説明

β−グルカン含有組成物、その製造方法及び該組成物を含む飲食品若しくは皮膚用保湿剤

【課題】 アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する菌が産生するβ-グルカンを利用する。
【解決手段】 アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物から、紫外線照射処理又は変異原性物質処理による突然変異作出手段によって、色素蓄積性の低い変異株を作出する。その変異株を液体培地中で培養することにより得られた培養物は、メラニン様物質の蓄積による強い暗緑色を呈することなく、且つ、β−グルカン含量が高い組成物となり、β−グルカン含有組成物の生理活性機能を有する機能性食品としてそのまま摂取してもよく、また、飲食品、食品添加物、化粧料等に配合して利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウレオバシジウム属に属する微生物の培養物を含有するβ−グルカン含有組成物及びその製造方法に関し、更には該組成物を利用した飲食品又は皮膚用保湿剤に関する。
【背景技術】
【0002】
β−グルカンは、D-グルコースを構成糖として構成される多糖類であるが、例えばβ-1,3グルカンは、β−ピラノース型の環状D-グルコース同士がグルコース1位の炭素に結合している水酸基部位とグルコース3位の炭素に結合している水酸基部位との間でβ−1,3グルコシド結合によって縮合し、環状β−ピラノース型のD-グルコースが重合するように構成される多糖類である。β−グルカンのような多糖類はエネルギー源である糖の貯蔵分子や細胞壁などの構造分子として自然界の生物中に多種多様に見出されるが、キノコ類であるアガリクス茸、霊芝(レイシ)、舞茸(マイタケ)、椎茸(シイタケ)等に含有するβ−グルカンには、健康を維持増進ための様々な生理活性を有していることが知られ、免疫増強作用、抗腫瘍活性、ガン細胞増殖抑制作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用、コレステロール低下作用、抗血栓作用、食物繊維作用、血圧降下作用、血糖降下作用、肝機能亢進などを目的とする機能性素材や医薬品等として利用する試みが数多くなされている。また、難消化性であることから、便秘の予防・改善のための整腸剤、あるいは、その保湿性を利用する化粧品など、幅広い応用が期待できる多糖類の機能性素材として期待されている。
【0003】
有益な活性を有するβ−グルカンとして、β−1,3グルコシド結合からなる主鎖に加えて、グルコース6位の炭素からのD-グルコースの側鎖を有するβ−1,3−1,6−グルカンがよく知られており、枝分かれ構造が活性に必要であると考えられているが、その作用機序は必ずしも明らかでない。また、β−グルカンは天然物から得られる高分子ポリマーであることから、分岐の度合、主鎖の長さ、側鎖の長さ等の構造は、また、アミノ化、リン酸化、メチル化、アセチル化等によるD-グルコース水酸基の修飾の有無や度合も、均一ではなく、その構造や化学修飾が活性に与える影響に関する原理は示されていない。そこで、経験的にキノコ類由来のβ−グルカンが好んで用いられているに過ぎない面があり、他の生物種由来のβ−グルカンを利用する試みは少なかった。
【0004】
最近、自然界に広く存在する不完全菌であるアウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する菌(通称、黒酵母)が産生するβ−1,3−1,6−グルカンによっても、キノコ類由来のβ−グルカンと同等又は同等以上の機能が得られることが明らかとされている。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、オーレオバシジウム属に属する微生物により生産される細胞外ホモ多糖がβ−1,3−1,6−グルカンであることが記載されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、β−1,3−1,6グルカンを主成分とするアウレオバシジウム培養液が、経口的に高い抗腫瘍活性及び免疫賦活活性を有し、各種疾病に対する医薬品として応用できる旨が記載されている。
【特許文献1】特開平10−276740号公報
【特許文献2】特開2002−204687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常のキノコ類の培養には栽培が必要であるが、不完全菌であるアウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する菌は液体栄養培地中で振とう培養することができ、効率的に量産化することができる。また、β-グルカンを菌体外に放出しその培養液中に高濃度に蓄積することから、菌体から抽出せずに高濃度のβ-グルカン組成物として利用できる。また、菌体を含む培養物を利用することで、菌体に含まれる他の有用成分をも同時に含有した複合的な効果を期待する機能性素材とすることもできる。
【0008】
しかしながら一般に黒酵母と呼ばれるアウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物の培養液にはメラニン様物質が蓄積するため暗緑色を呈し、培養物や培養液をそのまま用いる飲食品や化粧品等としては見た目が悪く敬遠されるという問題があった。また、精製過程を経てメラニン色素を除去することもできるが、一般にそれは複雑な過程を伴うこととなり、天然物由来のβ−グルカンをそのままの抽出することは困難である。
【0009】
したがって、本発明の目的は、色素蓄積性が低く、且つ、β−グルカン生産性が高い、天然酵母由来のβ−グルカン含有組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究した結果、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物から色素蓄積性の低い変異株を作出することにより、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のβ−グルカン含有組成物は、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物を親株として、紫外線照射処理又は変異原性物質処理による突然変異作出手段によって作出された、色素蓄積性が該親株より低い変異株を、液体培地中で培養することにより得られた培養物からなり、β−グルカン含量が0.3質量%以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明のβ−グルカン含有組成物によれば、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物が増殖中に菌体外に産出するβ−グルカンを高濃度に含有し、しかも着色度合の低いβ−グルカン含有組成物を提供することができる。
【0013】
本発明のβ−グルカン含有組成物においては、前記培養物の着色度が明度L*値で10以上であることが好ましい。この態様によれば、上記β−グルカンを高濃度に含有し、且つその見た目によって製品の商品性に影響を与えないβ−グルカン含有組成物を提供することができる。
【0014】
また、本発明のβ−グルカン含有組成物においては、前記親株がアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物であることが好ましい。この態様によれば、菌学的性質のよく知られた微生物を原材料にすることができる。
【0015】
更にまた、本発明のβ−グルカン含有組成物においては、前記変異株が、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)(FERM BP-10014)であることが好ましい。この態様によれば、入手が容易であり菌学的性質のよく知られた安全性の高い微生物を原材料にすることができる。
【0016】
本発明のβ−グルカン含有組成物の製造方法は、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物を親株として、紫外線照射処理又は変異原性物質処理による突然変異作出手段によって作出された、色素蓄積性が該親株より低い変異株を、液体培地中で培養することにより、該培養物中にβ−グルカンを0.3質量%以上生成させることを特徴とする。
本発明のβ−グルカン含有組成物の製造方法によれば、前記変異株を液体培地中で培養することにより、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物が増殖中に菌体外に産出するβ−グルカンを高濃度に含有し、しかも着色度合の低いβ−グルカン含有組成物を効率よく製造することができる。
【0017】
本発明のβ−グルカン含有組成物の製造方法においては、前記培養物の着色度が明度L*値で10以上であることが好ましい。この態様によれば、上記β−グルカンを高濃度に含有し、且つその見た目によって製品の商品性に影響を与えないβ−グルカン含有組成物を効率よく製造することができる。
また、本発明のβ−グルカン含有組成物の製造方法においては、前記親株がアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物であることが好ましい。この態様によれば、菌学的性質のよく知られた微生物を原材料に用いることができる。
【0018】
更にまた、本発明のβ−グルカン含有組成物の製造方法においては、前記変異株が、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)(FERM BP-10014)であることが好ましい。この態様によれば、入手が容易であり菌学的性質のよく知られた安全性の高い微生物を原材料に用いることができる。
本発明のβ−グルカン含有組成物の製造方法の好ましい態様では、前記液体培地のpHが4.5〜6.0の状態で培養することが好ましい。
【0019】
これによれば、β―グルカンを生産する培養中の培養液pHは4.5〜6.0の範囲にあり、特に培養後半にはpHが5.0未満となり、雑菌汚染による品質劣化を受けにくいばかりでなく、培養終了後に必要な加熱殺菌が容易になる。
更に、本発明のβ−グルカン含有組成物の製造方法のもう一つの態様では、得られた培養物にビタミンC及び/又は有機酸を添加してpH4.5未満に調整し、その後加熱殺菌する工程を含むことができる。
【0020】
これによれば、食品衛生法の製造基準に定められるpH4.5未満の組成物に適合する緩和な加熱条件で殺菌することが容易となり、上記の発明のβ−グルカン含有組成物の特性を有し、且つ、食感、着色、味、香り等の食品添加物等としての特性の加熱による変化が最小限に抑制されたβ−グルカン含有組成物を提供することができる。また、その組成物を、抗酸化性ほか各種の生理活性機能を有するビタミンC及び/又は有機酸を含有し、且つ、さわやかな呈味性を有する組成物とすることができる。
【0021】
一方、本発明の飲食品は、上記の発明の態様によって得られるβ−グルカン含有組成物を含有することを特徴とする。本発明の飲食品によれば、着色度合の低いアウレオバシジウム由来の多糖類であるβ−グルカンを簡便に、且つ安全に摂取するための飲食品を提供することができる。
【0022】
更に、本発明の皮膚用保湿剤は、上記の発明の態様によって得られるβ−グルカン含有組成物を含有することを特徴とする。この態様によれば、アウレオバシジウム由来の多糖類であるβ−グルカンの保湿性を利用する皮膚用保湿剤を、その見た目によって製品の商品性に影響を与えずに提供することができる。
【0023】
本発明のアウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物の変異株は、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物を親株として、紫外線照射処理又は変異原性物質処理による突然変異作出手段によって作出された変異株であって、色素蓄積性が該親株より低く、β−グルカン蓄積性が該親株より高いことを特徴とする。
【0024】
本発明のアウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物の変異株によれば、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物が増殖中に菌体外に産出するβ−グルカンを高濃度に含有し、しかも着色度合の低いβ−グルカン含有組成物を提供することができ、更に、その見た目によって製品の商品性に影響を与えないβ−グルカンを含有する飲食品、皮膚用保湿剤等を提供することができる。
【0025】
また、本発明のアウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物の変異株の好ましい態様としては、前記アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物の変異株が、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)(FERM BP-10014)であることが好ましい。この態様によれば、色素蓄積性やβ−グルカン蓄積性以外は親株と同等の菌学的性質を維持している変異株を、前記β−グルカンを含有する組成物、飲食品、皮膚用保湿剤等の原材料とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、着色度合が低く且つβ−グルカンを高濃度に含有する、β−グルカン含有組成物を簡便に得ることができる。
【0027】
また、本発明のβ−グルカン含有組成物の製造方法において、前記液体培地のpHが4.5〜6.0の状態で培養する場合は、とくに培養後期においてpHが低いほど製造工程での雑菌の雑菌汚染による品質劣化を受けにくく、食品衛生上必要な加熱殺菌処理を、より緩和な条件でおこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明において親株として用いる微生物は、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属し、β−グルカン生産能を有する菌であればよいが、例えば、アウレオバシジウム プルランスM−1(Aureobasidium pullulans M-1、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター寄託番号FERM BP-08615)を利用することができる。
【0029】
本発明における突然変異作出手段は、微生物の突然変異株を得るために通常用いられる紫外線照射処理又は変異原性物質処理等であればよい。変異原性物質としては、メタンスルホン酸エチル、ニトロソグアニジン、エチジムブロマイドなどの一般的な変異原性物質を用いることができる。また、紫外線照射には、UVランプ等を用いることができる。
【0030】
本発明の色素蓄積性が親株より低い変異株は、上記突然変異作出手段によって処理されたアウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物の菌体集団の中から、平板寒天培地上で培養し、濃緑色を呈さないコロニーを単離することにより、再現性よく作出することができるが、色素蓄積性やβ−グルカン蓄積性以外は親株と同等の菌学的性質を維持していることが好ましく、例えば、上記アウレオバシジウム プルランスM−1(Aureobasidium pullulans M-1)を親株とするアウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP-10014)を用いることができる。
【0031】
本発明において、親株として用いる微生物とその変異株(以下それらをアウレオバシジウム菌と称する)は、通常の栄養培地で培養することができ、栄養培地に特に制限はないが、例えば、ショ糖1%、アスコルビン酸0.2%、米糠0.2%を含む液体培地(pH5.2〜5.4)を用いることができる。温度20〜30℃で通気培養、好ましくは通気撹拌培養することによりアウレオバシジウム菌を安定に増殖させ、維持することができる。また、平板寒天培地上で培養し、コロニーを形成させることができる。
【0032】
上記液体培養の好ましい態様によって、所定量の液体培地中でアウレオバシジウム菌が増殖する際には、アウレオバシジウム菌が増殖のための液体培地中の栄養成分を消費し増殖定常期に至った段階で、その培養液には、通常、0.6〜1.8質量%の固形分が含まれており、その固形分中にはβ−グルカンが5〜90質量%含まれている。ここで培養液とは培養後の培養物から増殖した菌体部分を遠心分離やろ過によって除くことで得られる溶液部分であり、培養液中に含まれる固形分とは溶液の水分を除く成分である。また、菌体外に放出されているものの溶液中に拡散していない放出成分にβ−グルカンを含有する成分が含まれていることもある。なお、上述のとおり、アウレオバシジウム菌が産生する主要な高分子多糖は、グルコースがβ−1,3結合した主鎖からβ−1,6結合でグルコースが分岐した構造を有するβ−1,3−1,6グルカンであることを特徴としており、本発明においてアウレオバシジウム菌が生産し放出するβ−グルカンもその構造上の構成や分岐度を大きく異にするものではない。
【0033】
本発明において作出される変異株は、上記のように所定量の液体培地中で前記変異株を増殖させることによって得られる培養物から菌体部分を遠心分離やろ過等によって除くことで得られる溶液中に、親株の1.5倍以上のβ−グルカンを放出するβ−グルカン蓄積性を有する変異株であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましい。そのような変異株を用いることで、培養後の培養物の総重量中にβ−グルカン含量が0.3質量%以上である本発明のβ−グルカン含有組成物を簡単に得ることができる。
【0034】
本発明においてアウレオバシジウム菌の色素蓄積性や培養液の着色度合は、分光測色計や色彩色差計などを利用して、その色成分を定性分析することによりおこなうことができ、例えば市販されている、「分光測色計JS555」(商品名、株式会社カラーテクノシステム製)を用いて分析することができる。その場合、色彩情報を数値化するカラーモデルのひとつであり、CIE(国際照明委員会)によって規格化されたLabカラー表色系において、黒から白の範囲の明度要素(L)によって明るさの度合を数値化した明度L*値を指標とすることができる。
【0035】
通常、アウレオバシジウム菌はメラニン様物質を生産する性質を有し、上記液体培養の好ましい態様によって増殖定常状態に至った段階でメラニン様物質が蓄積した培養物は全体として暗緑色を呈し、その培養物の明度L*値は10未満となっている。
【0036】
本発明において作出される変異株は、親株の示す前記培養物の着色度との比較において、明度L*値の差が5以上となる色素蓄積性を有することが好ましく、10以上であることがより好ましい。また、20以上であることが更により好ましい。そのような変異株を用いることで、前記増殖定常状態に至った段階でメラニン様物質が蓄積した培養物の着色度を、明度L*値として10以上とすることができる。
【0037】
本発明のβ−グルカン含有組成物は、上記のように所定量の液体培地中で上記変異株を増殖させることによって得られる培養物自体であってもよく、あるいは、前記培養物の一部であり、培養物から遠心分離やろ過等によって菌体部分を分離除去した溶液部分であってもよい。すなわち、β−グルカン含有組成物が培養物自体からなる場合は、アウレオバシジウム菌の菌体を含有する組成物となり、菌体内や菌体外に放出されているものの溶液中に拡散せずに菌体表面にとどまっているβ−グルカンをも同時に含有することとなる。また、β−グルカン含有組成物が培養物の溶液部分からなる場合は、アウレオバシジウム菌の菌体を含有しない組成物となり、それぞれ用途に応じて使用することができる。
【0038】
本発明のβ−グルカン含有組成物は、上記培養物の溶液部分を、更に、エタノール沈澱処理等することによってβ−グルカンを沈殿部に分離濃縮し、エタノール沈澱処理等によってその沈殿部に分離濃縮されない低分子物質を除いたものとすることもできる。
【0039】
本発明のβ−グルカン含有組成物においては、β−グルカン含有組成物の水分を除く固形分中に含有する上記アウレオバシジウム菌が生産するβ−グルカンの配合割合は、β−グルカン換算で5〜90質量%であることが好ましく、20〜90質量%であればより好ましい。
【0040】
本発明のβ−グルカン含有組成物は、殺菌処理しないものとすることもできるが、通常は、上記培養物を殺菌したもの、もしくは、培養物から遠心分離やろ過等によって菌体部分を分離除去した溶液部分を加熱又は加圧加熱殺菌したものであることが好ましい。その場合、ビタミンC、有機酸等のpH調整剤でpHを4.5、より好ましくは4.0未満に調整し、食品衛生法の製造基準に定められている緩和な加熱条件で殺菌することにより、食感、着色、味、香り等の食品としての特性の変化を最小限に抑制できる。更に、ビタミンC及び/又は有機酸の添加によれば、抗酸化性ほか各種の生理機能を付与するばかりでなく、本発明のβ−グルカン含有組成物をさわやかな呈味性を伴うものとすることができる。
【0041】
本発明のβ−グルカン含有組成物には、上記β−1,3−1,6グルカン等のアウレオバシジウム菌が生産する多糖類やその他の成分以外に、ビタミン、ミネラル、オリゴ糖、食物繊維、ポリフェノール等を適宜配合することができる。
【0042】
本発明のβ−グルカン含有組成物は、通常用いられる製剤法によって各種製剤に調製することができるが、溶解性の点から、凍結乾燥、噴霧造粒等の粉体・造粒加によって粉末、あるいは顆粒とすることが好ましい。また、それらからカプセル剤や錠剤等を調製することもできる。
【0043】
本発明のβ−グルカン含有組成物は、例えば、清涼飲料、牛乳、ヨーグルト、乳酸菌飲料、ゼリー飲料、果汁飲料、野菜ジュース、スープ、味噌汁等の各種飲食品に配合することができる。
本発明のβ−グルカン含有組成物を経口的に摂取する場合、その1日当りの摂取量に特に制限はないが、β−グルカン換算で0.5mg〜10mg/Kg/日であることが好ましい。
【0044】
本発明のβ−グルカン含有組成物を含有する皮膚用保湿剤は、上記β−グルカン含有組成物をそのまま化粧水や化粧液として用いてもよく、各種皮膚用化粧料(例えば、乳液、クリーム、パック等)を適宜配合して用いてもよい。β−グルカン含有組成物の前記皮膚用保湿剤への配合割合はβ−グルカン含有組成物として、0.5〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【実施例】
【0045】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0046】
<実施例1>
(アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)の作出)
親株であるアウレオバシジウム プルランスM−1(Aureobasidium pullulans M-1、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター寄託番号FERM BP-08615)を、PDA (Potato Dextrose Agar:Difco 社製)スラントで7日間培養し、得られた菌体をPBS 10mlに懸濁し、1,000 CFU/ml程度の溶液とした。その菌体懸濁液0.2mlをPDA (Potato Dextrose Agar:Difco 社製)プレートに塗布し、その後のプレート上の菌体に対して0、5、10分間とそれぞれ照射時間を変えてUV照射処理を行った。25℃で 4日間静置培養してコロニー形成を確認し、更にプレートを4℃で3日間培養して菌体を厚膜胞子化させた。これらのプレートから白色コロニーを選択し複数の変異株を単離した。白色コロニーの出現頻度は1/1200程度であった。
【0047】
得られた変異株の一つをアウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託した。(寄託番号FERM BP-10014)
【0048】
アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)の菌学的性質を、親株であるアウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)と比較するために、寒天平板培地上で1週間培養したコロニーについて、その直径・色調、表面性状、可溶性色素生産の有無になどを巨視的に観察し、また、その栄養菌糸の形状や分生子形成様式などの微視的形態を顕微鏡下に観察した。その結果、色調以外に差異は認められなかった。色調に関しては、アウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)において、コロニー観察時や顕微鏡下の観察時に、アウレオバシジウム プルランスに特徴的な濃緑色を呈することが観察されるのに対し、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)においては、そのような色素蓄積性は認められなかった。
【0049】
したがって、上記の観察からは、色素蓄積性以外に親株と異なる菌学的性質は特に認められなかった。
【0050】
更に、菌種を同定するためにアウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)及びアウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)の遺伝子配列解析をおこなった。具体的には、アウレオバシジウム菌のゲノムDNA上に近接して配置されるリボゾームRNA遺伝子領域(1):ITS−5.8S領域とリボゾームRNA遺伝子領域(2):28SrRNA−D1/D2領域とを含むDNA領域を、配列表の配列番号1及び8にそれぞれその塩基配列を示すプライマーITS5とプライマーNL4をプライマーセットに用いてPCR増幅し、そのDNAフラグメントを鋳型にしたサーマルサイクルシークエンシングによって塩基配列を決定した。表1には前記DNA増幅に用いたDNAプライマー、及びサーマルサイクルシークエンシングに用いたDNAプライマーを示す。
【0051】
【表1】

【0052】
上記DNA領域のリボゾームRNA遺伝子領域(1):ITS−5.8S領域部分のサーマルサイクルシークエンシングのためには、上記プライマーITS5、又は、配列表の配列番号2、3及び4にそれぞれその塩基配列を示すプライマーITS2、プライマーITS3及びプライマーITS4をシークエンスプライマーとして用い、「ABI PRISM 3100 DNA Sequencer」(商品名、アプライドバイオシステムズ社製)によって、全長605塩基部分にわたって塩基配列を決定した。また、上記DNA領域のリボゾームRNA遺伝子領域(2):28SrRNA−D1/D2領域部分のサーマルサイクルシークエンシングのためには、上記プライマーNL4、又は、配列表の配列番号5、6及び7にそれぞれその塩基配列を示すプライマーNL1、プライマーNL2及びプライマーNL3をシークエンスプライマーとして用い、同様に、全長614塩基部分にわたって塩基配列を決定した。
【0053】
その結果、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)のゲノムDNAからのリボゾームRNA遺伝子領域(1)及び(2)は、配列表の配列番号9、10にそれぞれ示す塩基配列を有し、アウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)のゲノムDNAからのリボゾームRNA遺伝子領域(1)及び(2)は、配列表の配列番号11、12にそれぞれ示す塩基配列を有することが確認され、それぞれについて100%相同であった。
【0054】
また、得られたリボゾームRNA遺伝子領域の塩基配列を用いて、国際DNAデータベースから検索される類似配列のうち上位20に関して、近隣結合法により分子系統樹を作成し、図1にはリボゾームRNA遺伝子領域(1):ITS−5.8S領域の塩基配列を用いて作成した分子系統樹を、また、図2にはリボゾームRNA遺伝子領域(2):28SrRNA−D1/D2領域の塩基配列を用いて作成した分子系統樹を、それぞれ図示した。
【0055】
上記の遺伝子配列解析の結果から、上記UV照射により作出された変異株であるアウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)は、親株であるアウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)と同じ不完全菌黒色菌科アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する菌であることが確認された。
【0056】
<実施例2>
(β−グルカン含有組成物の製造)
アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)を、ショ糖2.0%、米糠0.2%、アスコルビン酸ナトリウム0.1%、を含む2リットルの液体栄養培地(pH5.2〜5.4)に植菌し、3リットルタンク中0.5v/v/mの通気攪拌条件で、環境温度25℃において増殖定常期に至るまで(植菌から120時間)培養した。得られた培養物は薄い乳白色を呈し、アウレオバシジウム プルランスの通常有する濃緑色の色調を欠いていた。
【0057】
また、前記培養物中のβ−グルカン含量を測定するために、培養物100gを10000rpmで遠心した上清部分から70%エタノールで高分子物質を沈殿させ遠心分離した。この70%エタノール沈澱部をαアミラーゼ、プロテアーゼ、アミログルコシダーゼで酵素処理し、β−グルカン以外の高分子物質を低分子化した後に、95%エタノールを4倍容加え、β−グルカンをその沈殿部に分離した。得られた95%エタノール沈殿部を、一晩風乾させた後に105℃で3時間風乾させ、その重量を測定し、β−グルカン量とした。
【0058】
この培養物は総重量100gあたり0.7g(0.7質量%)のβ−グルカンを含有していた。
【0059】
<比較例1>
(色素蓄積性)
アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)の色素蓄積性を、親株であるアウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)の色素蓄積性と比較するために、両者を実施例2の培養条件で増殖定常期に至るまで通気攪拌培養し、その培養時間中、植菌から72時間後及び264時間後にそれぞれ培養物の一部を採取した。採取した培養物の色成分を定性分析するために、「分光測色計JS555」(商品名、株式会社カラーテクノシステム製)を用いて分析した。表2には、その分析結果をCIE(国際照明委員会)Labカラー表色系によって数値化した測定値を示す。
【0060】
【表2】

【0061】
Labカラー表色系は色彩情報を数値化するカラーモデルのひとつであり、CIE(国際照明委員会)によって規格化された表色系である。その表色系は、黒から白の範囲である明度要素(L)と、緑から赤の範囲(a)及び青から黄の範囲(b)の2つの色彩要素、とによって構成されており、ヒトの視覚に近い表色空間を規定できることが知られている。
【0062】
表2に明らかなように、増殖定常期に至ったアウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)の培養物は、増殖定常期に至った親株の培養物に比べて、黒から白の範囲である明度要素(L)の値は有意に高く、濃緑色色素蓄積性の低いものであることが明らかであった。
【0063】
<比較例2>
(β−グルカン蓄積性)
アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)のβ−グルカン蓄積性を、親株であるアウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)と比較した。そのために、両者を実施例2の培養条件で増殖定常期に至るまで通気攪拌培養し、その培養時間中、植菌から48時間後から264時間後に至るまで、経時的に培養物を採取して、培養物100g中のβ−グルカン量を上記実施例2における方法で測定した。図3には、その結果を示す。
【0064】
図3に明らかにされるように、親株であるアウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)の培養においては、目視によってメラニン様色素(濃緑色色素)の蓄積が観察される培養時間72時間を過ぎたあたりから、β−グルカン生成能が低下した。一方、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)の培養においては、培養液の粘度が高まり、攪拌効率が著しく低下するまでβ−グルカン生成が続くため、結果的に高濃度の培養液を得ることができた。また、植菌後96時間以後のβ−グルカンの蓄積量には1.5〜3.0倍の差がみられた。
【0065】
<試験例1>
栄養培地中の糖は、β−グルカン生成時の原料になると考えられ、その糖濃度の差がグルカン生成に及ぼす影響について調べることとした。そのために、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)を、ショ糖濃度の異なる栄養培地(ショ糖濃度;1、2,3または4%)で実施例2の培養条件で増殖定常期に至るまで振とう培養した。植菌から192時間後の培養液の一部を採取し、上記比較例2と同様の方法で、培養物100g中のβ−グルカン含量を測定した。その結果、図4に示すとおり、いずれの栄養培地ショ糖濃度においても十分にβグルカンを生産しており、特に2〜4%の栄養培地でその蓄積量が高かった。
【0066】
<試験例2>
一般に、食品加工工程においてはpH環境を酸性に維持することにより、雑菌汚染による品質劣化を受けにくく、また必要に応じて殺菌処理を行う場合、緩和な条件を適用することができる。そこで、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)のpH環境に関する培養条件を検討するために、植菌時初発pHの異なる培地を用い、実施例2の培養条件で増殖定常期に至るまで振とう培養し、植菌から240時間後の培養液の一部を採取した。上記比較例2と同様の方法で、培養物100g中のβ−グルカン含量を測定し、更に、培養後の培養液のpH、粘度を測定した。それらの結果を表3に示す。また、図5には、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)についてその培養中の培養液のpHを経時的に測定した結果を示す。
【0067】
【表3】

【0068】
目視による観察においては、どの植菌時初発pHからの培養物もその色調は薄い乳白色であり著しい差異はみられなかった。β−グルカン蓄積量に関しては、植菌時初発pHが4.5又は8.5の培養では低下が見られるものの、その場合でも親株であるアウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)との比較において、相対的には高濃度といえるものであった。また、得られる培養液の粘度にはpH依存性はみられなかったが、親株のものに比べて顕著に高くなった。一方、図5に示されるように、長時間培養後の培養液のpHはpH3.9〜4.4に収束する傾向を示し、前記培養液の植菌時初発をpH4.5〜6.0の範囲に設定することにより、人為的な制御を必要とせずにpH4.5〜6.0の範囲のpH環境で培養できることが明らかとなった。
【0069】
これらの結果から、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)は、pH4.5〜6.0の範囲のpH環境下、その色素蓄積性やβ−グルカン蓄積性に影響を与えることなく、好適に培養できることが明らかとなった。
【0070】
<実施例3>
(β−グルカン含有組成物を配合した高機能ヨーグルトスタータ)
実施例2で得られたアウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)の培養物(1000g)を加圧下121℃、15分間殺菌した後、このうち300gをミキサーで高速撹拌(1500rpm、20分間)して低粘度化してから、粉末化基剤としてデキストリン(商品名「サンデック」、三和澱粉工業社製)及び/又は脱脂粉乳を280g添加してミキサーで均一に混合した。これを残りの前記培養物(700g)と混合してから凍結乾燥して粉末化し、β−グルカン含有組成物を得た。これに、デキストリン(商品名「サンデック」、三和澱粉工業社製)及び/又は脱脂粉乳155g、ヨーグルト粉末(ヨーグルトスタータを含む)25g脱脂粉乳等20gを加え、ヨーグルトスタータとした。
【0071】
このヨーグルトスタータは、アウレオ培養液βグルカン由来の粘性及び、機能性を含んだ乳白色を呈するヨーグルトスタータであった。
【0072】
<実施例4>
(β−グルカン含有組成物を配合した皮膚用保湿剤)
実施例2で得られたアウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)の培養物から遠心分離により菌体部分を除く溶液とし、加圧下121℃、15分間殺菌した。この溶液30重量部にソルビット2重量部、1.3ブチレングリコール2重量部、ポリエチレングリコール1重量部、ポリオキシエチレンイレイルエーテル2重量部、ポリオキシエチレン0.1重量部、エタノール10重量部、精製水52.8重量部を加え、さらにpH調整剤、香料、防腐剤、酸化防止剤を適量添加することで、全体で100重量部からなる増粘型柔軟化粧水とした。
【0073】
この化粧水は、βグルカン由来の粘性及び、機能性を含んだ淡黄色を呈する化粧水であった。
【0074】
「配列表フリーテキスト」
配列番号1:DNA forward プライマーITS5
配列番号2:DNA reverse プライマーITS2
配列番号3:DNA forward プライマーITS3
配列番号4:DNA reverse プライマーITS4
配列番号5:DNA forward プライマーNL1
配列番号6:DNA reverse プライマーNL2
配列番号7:DNA forward プライマーNL3
配列番号8:DNA reverse プライマーNL4
配列番号9:アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)のゲノムDNA上にコードされるリボゾームRNA遺伝子領域(1):ITS−5.8S領域部分の塩基配列
配列番号10:アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)のゲノムDNA上にコードされるリボゾームRNA遺伝子領域(2):28SrRNA−D1/D2領域部分の塩基配列
配列番号11:アウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)のゲノムDNA上にコードされるリボゾームRNA遺伝子領域(1):ITS−5.8S領域部分の塩基配列
配列番号12:アウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1)のゲノムDNA上にコードされるリボゾームRNA遺伝子領域(2):28SrRNA−D1/D2領域部分の塩基配列
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のβ−グルカン含有組成物は、健康や美容を維持増進するための機能性飲食品、化粧品等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】リボゾームRNA遺伝子領域(1):ITS−5.8S領域の塩基配列に基づいて近隣結合法により作成した分子系統樹である。
【図2】リボゾームRNA遺伝子領域(2):28SrRNA−D1/D2領域の塩基配列に基づいて近隣結合法により作成した分子系統樹である。
【図3】培養液中に放出され蓄積するβ−グルカンを主成分とする多糖に関し、その蓄積量の経時変化を示す図である。
【図4】培養液中に放出され蓄積するβ−グルカンを主成分とする多糖に関し、その生成量に与える栄養培地中のショ糖濃度の影響を示す図である。
【図5】植菌時初発pHの異なる培養液におけるの培養時間中のpHの経時変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物を親株として、
紫外線照射処理又は変異原性物質処理による突然変異作出手段によって作出された、色素蓄積性が該親株より低い変異株を、液体培地中で培養することにより得られた培養物からなり、β−グルカン含量が0.3質量%以上であることを特徴とするβ−グルカン含有組成物。
【請求項2】
前記培養物の着色度が明度L*値で10以上である請求項1記載のβ−グルカン含有組成物。
【請求項3】
前記親株がアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物である請求項1又は2記載のβ−グルカン含有組成物。
【請求項4】
前記変異株が、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)(FERM BP-10014)である請求項1〜3のいずれか一つに記載のβ−グルカン含有組成物。
【請求項5】
アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物を親株として、紫外線照射処理又は変異原性物質処理による突然変異作出手段によって作出された、色素蓄積性が該親株より低い変異株を、液体培地中で培養することにより、該培養物中にβ−グルカンを0.3質量%以上生成させることを特徴とするβ−グルカン含有組成物の製造方法。
【請求項6】
前記培養物の着色度が明度L*値で10以上である請求項5記載のβ−グルカン含有組成物の製造方法。
【請求項7】
前記親株がアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物である請求項5又は6記載のβ−グルカン含有組成物の製造方法。
【請求項8】
前記変異株が、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)(FERM BP-10014)である請求項5〜7のいずれか一つに記載のβ−グルカン含有組成物の製造方法。
【請求項9】
前記液体培地のpHが4.5〜6.0の状態で培養する請求項5〜8のいずれか一つに記載のβグルカン含有組成物の製造方法。
【請求項10】
得られた培養物にビタミンC及び/又は有機酸を添加してpH4.5未満に調整し、その後加熱殺菌する工程を含む請求項5〜9のいずれか一つに記載のβグルカン含有組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のβ−グルカン含有組成物を含有することを特徴とする飲食品。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のβ−グルカン含有組成物を含有することを特徴とする皮膚用保湿剤。
【請求項13】
アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物を親株として、紫外線照射処理又は変異原性物質処理による突然変異作出手段によって作出された変異株であって、色素蓄積性が該親株より低く、β−グルカン蓄積性が該親株より高いことを特徴とする、アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物の変異株。
【請求項14】
前記アウレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物の変異株が、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2)(FERM BP-10014)である請求項13記載の微生物の変異株。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−75076(P2006−75076A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262450(P2004−262450)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(501257370)株式会社アウレオ (2)
【Fターム(参考)】