説明

βアミロイドの生成を抑制する化合物

アルツハイマー病などの、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患を治療するのに有用な化合物を提供する。化合物の治療有効量を投与することによって、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連するβアミロイド生成、βアミロイド沈着、βアミロイド神経毒性(タウの異常な過剰リン酸化を含む)及び小膠細胞症を治療する、又は発症するリスクを低下させる方法も提供する。診断有効量の化合物を投与することによって、動物又はヒトにおける大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患を診断する方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2006年3月1日に出願された米国特許仮出願第60/777772号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する、アルツハイマー病などの疾患の治療のための化合物並びに大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患の治療及び診断のための化合物の使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、高齢者の最も一般的な神経変性疾患であり、65歳の年齢をすぎた人口の約1%が罹患している。この疾患の特性として挙げられるのは、異常なタウタンパク質、対らせん形線維、ニューロンの損失、及び複数の神経伝達系の変化で構成される神経原線維変化である。微小管関連のタウタンパク質の過剰リン酸化は、AD脳において、病気の原因となる神経細胞のもつれの予備段階のマーカーとして知られている(非特許文献1)。
【0004】
ADの著しい病理的特色は、脳の辺縁系部位に関連して生じる拡散性及び緻密性を有する過剰な量の老人斑である。このような斑は、複数のタンパク質を含有しているにもかかわらず、そのコアは、主にβアミロイドタンパク質と、アミロイド前駆体タンパク質(APP)からタンパク質分解により誘導された39〜43アミノ酸タンパク分解性断片と、膜を通して発生するグリコタンパク質とから構成される。さらに、ADにおいて、APPのC末端断片(CTF)が、神経細胞内に蓄積することが知られている。
【0005】
βアミロイドは、APP、すなわち590〜680アミノ酸の細胞外アミノ末端ドメイン及び約55アミノ酸細胞質側末端を有する単一の膜貫通型タンパク質から誘導される。第21染色体上のAPP遺伝子からのメッセンジャーRNAは、選択的スプライシングを受けることにより、8つの可能なアイソフォームを産生し、そのうち3つ(695、751、及び770アミノ酸アイソフォーム)が脳内で優勢となる。APPは、α−、β−及びγセクレターゼと名付けられている3つの酵素活性を介して、タンパク質分解プロセシングを受ける。αセクレターゼは、βアミロイドドメインのアミノ酸17でAPPを切断し、これにより大きな可溶性アミノ末端の断片α−APPが、分泌のために放出される。αセクレターゼは、βアミロイドドメインで切断するので、この切断はβアミロイドの形成を妨げる。代わりにAAPはβセクレターゼにより切断され、βアミロイドのアミノ末端を定義し、可溶性アミノ末端の断片β−APPを生成することが可能である。γセクレターゼが、その後APPの細胞内カルボキシ末端領域を切断する結果、複数のペプチドが生成され、そのうち最も一般的な2つが、40アミノ酸βアミロイド(Aβ1−40)及び42アミノ酸βアミロイド(Aβ1−42)である。Aβ1−40は、分泌されたβアミロイドの90〜95%を構成し、脳脊髄液から回収した中での主な種である(非特許文献2)。対照的に、分泌されたβアミロイドの10%未満がAβ1−42である。Aβ1−42の生成は相対的に不足しているにもかかわらず、Aβ1−42は、斑内に存在する主な種であり最初に堆積されるが、おそらくこれは、Aβ1−40よりも急速に不溶性アミロイド凝集体を形成することができるためである(非特許文献3)。脳内でのβアミロイドの異常な蓄積は、脳からその末梢部へのβアミロイドの排除の低下、又はβアミロイドの過剰な生成によるものと考えられている。様々な研究により、過剰なβアミロイドの生成は、APPの過剰発現若しくはAPPのプロセシングの変化のいずれか、又はβアミロイドの形成の要因であるγセクレターゼ若しくはAPPの変異によるものということが示唆されている。
【0006】
したがってβアミロイドペプチドは、ADの病理に決定的役割を果たすと考えられる。なぜなら、家族性型ADに関わるすべての変異が、APPからのこれらペプチドのプロセシングに変化をもたらしているからである。実際、脳内の不溶性又は凝集したβアミロイドの原線維の堆積物は、被検体の遺伝的素因にかかわらず、ADのすべての型の顕著な神経病理特性である。ADの原因が、βアミロイドの神経毒性な特性によることも示唆されている。βアミロイドの細胞傷害性は、最初にげっ歯類の脳からの初代細胞培養において、及びヒト細胞培養でも確立された。非特許文献4の研究において、βアミロイドは、興奮性神経伝達物質グルタミン酸の存在下で、細胞内カルシウムの速効性病理的増大を引き起こし、大幅に増大したセカンドメッセンジャーの活性を経て細胞に対しかなりの毒性を生み出すと考えられることが指摘されている。
【0007】
βアミロイドの生成及びβアミロイドの沈着に伴い、βアミロイド堆積物内及びその周囲における炎症促進性サイトカイン及び急性期反応物質の生成を含めた、AD脳内での炎症性経路の強い活性化が存在する(非特許文献5)。脳に常在する先天性免疫細胞である、小膠細胞の活性化は、この炎症カスケードに密接に関係していると考えられている。反応性小膠細胞は、炎症性タンパク質などの炎症促進性サイトカイン並びにα1抗キモトリプシン、トランスフォーミング増殖因子β、アポリポタンパク質E及び補体因子などの急性期反応体を生成することが実証されており、これらすべてがβアミロイド斑に集中し、βアミロイド斑の「縮合」又は成熟を促進し(非特許文献6)、及び高レベルで神経変性を促進することが示されている。疫学の研究では、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)を使用している患者は、ADに対する危険性が50%も低下することが示され(非特許文献7)、NSAID治療を受けたAD患者の死後評価により、活性化した小膠細胞の数の減少が、リスク軽減に関連していることが実証された(非特許文献8)。さらに、アルツハイマー病のマウスモデルであるTg APPswマウスにNSAID(イブプロフェン)を与えると、このような動物は、小膠細胞の活性の低下と相互関係があるβアミロイド堆積物、アストロサイト、及びジストロフィーの神経突起の低下を示す(非特許文献9)。
【0008】
現在、ADの治療は限定されている。しかし数種の薬物が、FDAで認可され、ADの症状を改善又は安定化しており(非特許文献10)、そのような薬物には、Aricept(登録商標)(ドネペジル)、Exelon(登録商標)(リバスチグミン)、Reminyl(登録商標)(ガランタミン)、Cognex(登録商標)(タクリン)及びNamenda(登録商標)(メマンチン)が挙げられる。現在使用中の多くの薬物の効果は、小さい(非特許文献11)。ADに対する治療は、未だに臨床上の要求をほとんど満たしていない状態にある。
【0009】
特許文献1(2005年1月13日)(Mullan et al.)は、ニルバジピンを用いてβアミロイドの沈着を低下させるための方法、さらにニルバジピンを用いて大脳のアミロイド形成疾患を診断する方法を開示している。ニモジピンは、認知症の治療のために研究されてきた。非特許文献12、及び非特許文献13.
【0010】
カルシウム流入(CCE)を、CCEを仲介する原形質膜のストア感受性カルシウムチャネルの作用剤の同定を介して増大することが、ADの治療として示唆されてきた(非特許文献14)。特許文献2(2002年2月7日)は、CCEを増強することができる薬剤を投与するステップを含む、ADなどの神経変性疾患の治療を行うための方法を開示している。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005009885号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20020015941号明細書
【非特許文献1】Tan et al., “Microglial Activation Resulting from CD40R/CD40L Interaction after Beta-Amyloid Stimulation,”Science (1999) 286:2352-55
【非特許文献2】Seubert et al., Nature, 359:325-7, 1992
【非特許文献3】Jarrett et al., Biochemistry, 32:4693-7, 1993
【非特許文献4】Mattson et al. (J. Neurosci., 12:376-389, 1992)
【非特許文献5】McGeer et al., J. Leukocyte Biol., 65:409-15, 1999
【非特許文献6】Nilsson et al., J. Neurosci. 21:1444-5, 2001
【非特許文献7】Rogers et al., Neurobiol. Aging 17:681-6, 1996
【非特許文献8】Mackenzie et al., Neurology 50:986-90, 1998
【非特許文献9】Lim et al., J. Neurosci. 20:5709-14, 2000
【非特許文献10】Alzheimer's Disease Medications Fact Sheet: (July 2004) U.S. Department of Health and Human Services
【非特許文献11】Tariot et al., JAMA (2004)、291: 317-24
【非特許文献12】Fritze et al., J. Neural Transm. (1995) 46: 439-453
【非特許文献13】Forette et al. Lancet (1998) 352: 1347-1351
【非特許文献14】Tanzi et al. Neuron (2000) 27: 561-572
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ADの特徴である、脳変性の容赦ない進行を治療できる化合物を同定する必要性は未だ存在し、治療は、βアミロイド生成及び同時に起こるβアミロイド沈着、βアミロイド神経毒性(タウの異常な過剰リン酸化を含む)、小膠細胞の活性化による炎症、並びにAD患者に見られるAPPの変化、又は過剰な発現を対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
アルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患を治療するための方法に有用な化合物を提供する。
【0013】
一実施形態において、式Iの化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグ、
【0014】
【化1】


式I
【0015】
或いは式IIの化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグを提供する
【0016】
【化2】


式II
【0017】
(式中、
nは、3、4又は5であり、
Rは、置換されていてもよいアルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、イソブチルなど、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、又は置換されていてもよいアシルであり、
Amは、置換されていてもよいアルキルアミンなどのアミンの残基である)。
【0018】
一実施形態において、本発明が提供する化合物は、以下を含む。
【0019】
【化3】

1-38


1-50C


I-50E


I-52A


I-52B


I-52C
【0020】
本明細書中に開示した少なくとも1種の化合物、例えば本明細書中に開示した式I、II、III又はIVなどの化合物の治療有効量を投与することによって、ADなどの疾患に罹患している動物又はヒトにおいて、大脳でのβアミロイドの蓄積に関連する疾患を治療する方法も提供する。
【0021】
一実施形態における方法は、βアミロイド生成、βアミロイド沈着、βアミロイド神経毒性(タウの異常な過剰リン酸化を含む)及び小膠細胞症のうちの1つ又は複数を低下させるステップを含む。アルツハイマーアミロイドの大脳での蓄積を有するADなどの疾患のほとんどは、慢性、進行性、難治性の脳認知症であるため、少なくとも1つの活性薬剤を用いた治療期間は、動物又はヒトの寿命までの間ずっと続けてもよいように意図されている。
【0022】
別の実施形態においては、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患を治療するための方法であって、本明細書中に開示する少なくとも1種の化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグの治療有効量を、動物又はヒトに投与するステップを含む方法が提供される。好ましくは、活性薬剤は、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積の病態生理作用に対抗し、疾患に罹患している動物及びヒトにおいて、例えばβアミロイド生成、βアミロイド沈着、βアミロイド神経毒性及び/又は小膠細胞症を低下し得る。
【0023】
別の実施形態において、動物又はヒトにおける大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患の診断方法であって、動物又はヒトの末梢循環における血漿、尿、血清、全血、又は大脳の脊髄液(CSF)のβアミロイド濃度の第1の測定を行うステップと、本明細書中に開示する少なくとも1つの活性化合物、又はその塩、そのプロドラッグ、若しくはその誘導体の診断有効量を単位剤形で、動物又はヒトに投与するステップと、動物又はヒトの末梢循環における血漿、血清、全血、尿又はCSFのβアミロイド濃度の第2の測定を行うステップと、並びに第1の測定及び第2の測定の差を計算するステップとを含み、第1の測定と比較した場合の、血漿、血清、全血、尿又はCSFのβアミロイド濃度の第2の測定での変化、例えば濃度の増加又は減少は、動物又はヒトにおける大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患の診断となり得るものを示す方法を提供する。
【0024】
さらなる実施形態において、動物又はヒトに、本明細書中に開示される少なくとも1種の化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグの治療有効量を単位剤形で投与するステップを含む、外傷性脳損傷を治療する方法を提供する。一実施形態において活性薬剤の投与は、傷害後即時に開始される。一実施形態において、該化合物は、βアミロイド生成、Aβ沈着、βアミロイド神経毒性及び/又は小膠細胞症のリスクを減らす。
【0025】
該化合物とは任意選択で、APP又はその断片を過剰発現する細胞において、例えば細胞を含む培地において測定した場合、βアミロイド生成を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は50%、任意選択で低下させる化合物である。
【0026】
一実施形態において化合物は、APP又はその断片を過剰発現する細胞において、βアミロイドの生成、例えば、全Aβ1−40及びAβ1−42の生成を少なくとも約20%以上、任意選択で低下させる。
【0027】
任意選択で細胞は、APP751を過剰発現させるチャイニーズハムスター卵巣細胞であるか、又はヒトニューロンの前駆細胞(HNPC)、ヒトアストロサイトの初代培養、ニューロブラストーマ細胞、ヒト脳の微小血管内皮の初代培養、又はヒト臍帯の内皮細胞(HUVEC)から選択される。
【0028】
一実施形態において化合物は、約0.02〜1000mg/単位投与量、又は約0.5〜500mg/単位投与量の量で投与される。任意選択で、例えば7〜3000mg、又は例えば、10〜1000mg又は100〜500mgの活性化合物を含有する化合物を含む製剤を提供する。
【0029】
大脳のアミロイド形成疾患に罹患している、若しくは外傷性脳損傷を患っている、動物若しくはヒトに例えば単位剤形で投与するばかりでなく、動物若しくはヒトにおける大脳のアミロイド形成疾患を発症するリスクを決定及び/又は診断する目的のためにも投与する化合物の治療有効量は、例えば1日あたり約0.05mg〜20mg、1日あたり約2mg〜15mg、1日あたり約4mg〜12mg、また1日あたり約8mgの範囲とすることができる。一実施形態における1日の投与量は、単一の単位用量又は1日あたり2、3又は4回の単位用量に分割して投与することができる。
【0030】
大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患は、例えば、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性脳出血アミロイドーシス、他の形態の家族性アルツハイマー病及び家族性大脳アルツハイマーアミロイド血管症である。治療又は診断できる大脳のアミロイド形成疾患には、伝播性海綿状脳症、スクラピー、外傷性脳損傷、脳アミロイド血管症、及びゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
哺乳動物細胞におけるβアミロイド生成を低下することができ、個々のβアミロイド蓄積に関連する疾患の診断及び治療に使用することができる化合物を提供する。一実施形態において、アルツハイマー病(AD)など、動物及びヒトにおける大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する特定の疾患の特徴である脳変性の容赦ない進行を治療するために使用することができる該化合物を含む、化合物及び医薬組成物を提供する。
【0032】
定義
本明細書で使用する場合、「アルツハイマーアミロイド」という用語は、アミロイド前駆タンパク質(APP)から例えばタンパク質分解により誘導されたβアミロイドアミノ酸断片と定義される。βアミロイドアミノ酸断片は、例えば、約5〜43又は5〜47のβアミロイド配列の連続アミノ酸を含んでもよい。本明細書で使用する場合、「βアミロイド」「βアミロイドタンパク質」及び「Aβ」などの用語は、動物又はヒトの大脳に蓄積されるアルツハイマーアミロイドと互換的に使用される。
【0033】
本明細書で使用する場合、「APP又はその断片を過剰発現する」細胞という句は、アミロイド前駆タンパク質又はその断片を過剰発現する細胞を指し、好ましい一実施形態において、βアミロイド配列並びにβ及びγセクレターゼ切断部位を含む細胞を指す。APP又はその断片を過剰発現する細胞は、APP又はその断片が発現するその細胞内でβアミロイドを生成するAPP又はその断片を発現することが好ましい。
【0034】
本明細書で使用する場合、「アミロイド形成疾患」という用語は、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患を含む。
【0035】
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、特に指定しない限りは、C1−22の、飽和した、直鎖の、分枝の、又は環状の、第一級、第二級、又は第三級の炭化水素を含み、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、シクロ−オクチル、ドデシル、トリデシル、ペンタデシル、イコシル、ヘムイコシル、及びデコシルを含む。アルキル基が置換されていてもよいとして言及している場合、その基は無保護であるか、又は必要に応じて、例えば参照により本明細書に組み込まれているGreene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991に教示されているような当業者に既知の方法で保護されている、例えばハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード)、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸、ヘテロ環、フェニル、アリール、ホスホン酸、リン酸、又はホスホネートで置換されていてもよい。
【0036】
「より低級のアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、C−Cの飽和した直鎖の、分枝の、又はそれが適切ならば、環状の(例えば、シクロプロピル)のアルキル基を含む。
【0037】
「アラルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、アルキル基を介してその分子に結合しているアリール基を含む。
【0038】
「アルカリル」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、アリール基を介してその分子に結合しているアルキル基を含む。
【0039】
「アリールエーテル」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、エーテル基を介してその分子に結合しているアリール基を含む。
【0040】
「アルキルエーテル」という用語は、本明細書中で使用する場合、特に指定しない限りは、エーテル基を介してその分子に結合しているアルキル基を含む。
【0041】
「アリールチオエーテル」という用語は、本明細書中で使用する場合、特に指定しない限りは、硫黄を介してその分子に結合しているアリール基を含む。
【0042】
「アルキルチオエーテル」という用語は、本明細書中で使用する場合、特に指定しない限りは、硫黄を介してその分子に結合しているアルキル基を含む。
【0043】
「アミノ」という用語は、「−N(R’)」基を含み、例えばアルキル、アリール、ヘテロ環、及び/又はスルホニル基で置換されていてもよい一級アミン、並びに二級及び三級のアミンを含む。したがって、(R’)は、2個の水素、1個の水素及び1個のアルキル、1個の水素及び1個のアリール、1個の水素及び1個のアルケニル、2個のアルキル、2個のアリール、2個のアルケニル、1個のアルキル及び1個のアルケニル、1個のアルキル及び1個のアリール、又は1個のアリール及び1個のアルケニルを含んでもよいが、これらに限らない。
【0044】
炭素原子の範囲が言及されている場合にはいつでも、独立して及び個別にその範囲のあらゆるメンバーが含まれる。非制限的な例として、「C−C10アルキル」という用語はその基の各メンバーが独立して含まれると考えられ、よって例えば、C−C10アルキルは、直鎖の、分枝の、及び適切ならば、環状のC、C、C、C、C、C、C、C、C、及びC10のアルキル官能基を含む。
【0045】
「アミド」という用語は、「−C(O)N(R’)」(式中、R’は、独立して、置換されていてもよいH、アルキル、アルケニル、及びアリールを含み得る)という構造により表される部分を含む。
【0046】
「保護された」という用語は、本明細書で使用する場合、別に定義されない限り、さらなる反応を阻止するため、又は他の目的で、酸素、窒素、又はリンの原子などの原子に加えられる基を含む。有機物合成の分野では多様な酸素及び窒素の保護基が、当業者に知られている。
【0047】
「アリール」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、安定した単環、二環、又は三環で、各環8個までのメンバーを有し、少なくとも1つの環が芳香族である炭素環を含む。例としては、これだけには限定されないが、ベンジル、フェニル、ビフェニル、又はナフチルが挙げられる。置換されていてもよいと言及している場合、そのアリール基は、無保護であるか、又は必要に応じて、例えば、Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991に教示されているような当業者に既知である方法で保護されている、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード)、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、又はホスホネートを含めた1つ又は複数の部分で置換することができる。
【0048】
「ハロ」という用語は、本明細書で使用する場合、クロロ、ブロモ、ヨード、及びフルオロを含む。
【0049】
「アルケニル」という用語は、直鎖の、分枝の、又は環状の、少なくとも1つの二重結合を有するC2−22の炭化水素を含む。例としてビニル、アリル、及びメチルビニルが挙げられるが、これらに限定されない。置換されていてもよいと示されている場合、そのアルケニル基は、アルキル基に対する上述の方法と同様に置換されていてもよい。
【0050】
「アルキニル」という用語は、C2−22の、直鎖又は分枝の、少なくとも1つの三重結合を有する炭化水素を含む。置換されていてもよいと示されている場合、そのアルキニル基は、アルキル基に対する上述の方法と同様に置換されていてもよい。
【0051】
「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル構造の一部分を含む。
【0052】
「ヘテロ環」又は「複素環式」という用語は、炭素原子並びにO、S、N、及びPを含むがそれだけには限定されない、1〜3個のヘテロ原子からなる、飽和、不飽和、又は安定した芳香族性の5〜7員の単環式又は8〜11員の二環の複素環であって、窒素及び硫黄のヘテロ原子が酸化していてもよく、及び/又は窒素原子が四分割されていてもよい環を含み、上で定義した複素環のいずれかがベンゼン環と融合している任意の二環基を含む。複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子に結合することにより、安定な構造を生じ得る。非制限的な例又は複素環式基として挙げられるのは、ピロリル、ピリミジル、ピリジニル、イミダゾリル、ピリジル、フラニル、ピラゾール、オキサゾリル、オキシラン、イソオキサゾリル、インドリル、イソインドリル、チアゾリル、イソチアゾリル、キノリル、テトラゾリル、ボンゾフラニル(bonzofuranyl)、チオフェン、ピペラジン、及びピロリジンである。
【0053】
「アシル」という用語は、式R’C(O)(式中、R’はHであり、又は直鎖、分枝の、又は環状の、置換若しくは非置換のアルキル基又はアリール基である)の基を含む。
【0054】
「宿主」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、治療を必要とする哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、マウスなど)、ヒト、又は他の生物を含み、これらすべてに本明細書に記載の方法を用いて治療又は診断を行うことができる。
【0055】
「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、その方法により疾患又は障害の1種又は複数の症状が回復するか、さもなければ有利に変化する任意の方法を含む。
【0056】
「薬学的に許容されるその塩」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、比較的に毒性のない酸を用いて調製した活性化合物の塩を含む。化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸添加塩は、そのような化合物の中性形態を、純粋な又は適切な不活性溶媒の中のいずれかで、十分な量の所望の酸と接触させることにより得ることができる。薬学的に許容される酸添加塩の例としては、塩酸、臭水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸水素、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸などの無機酸から誘導される酸、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの、比較的毒性のない有機酸から誘導される塩が挙げられる。加えて、アルギネートなどのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸などの有機酸の塩(例えば、Berge, S. M., et al, “Pharmaceutical Salts”, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照されたい)なども含まれる。このような化合物の中性の形態は、塩を塩基又は酸に接触させることによって、及び従来の方法で、親化合物を単離することによって再生し得る。一実施形態における薬学的に許容される塩とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応などを生じることなく宿主の組織に接触させての使用に適切であり、利益/リスクの妥当な比率に相当し、その意図した使用に効果的であるような塩である。
【0057】
「薬学的に許容されるそのエステル」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応などを生じることなく宿主の組織に接触させての使用に適切であり、利益/リスクの妥当な比率に相当し、その意図した使用に効果的であるような、1種又は複数の化合物のエステルを含む。
【0058】
「薬学的に許容されるプロドラッグ」という用語は、本明細書で使用する場合、特に指定しない限りは、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応などを生じることなく宿主の組織に接触させて使用するのに適切であり、利益/リスクの妥当な比率に相当し、その意図する使用に効果的であるような、1種又は複数の、その組成の化合物のプロドラッグを含む。薬学的に許容されるプロドラッグは、可能であれば、その組成の1種又は複数の化合物の双性イオンの形態も含む。「プロドラッグ」という用語は、インビボで急速に変換することにより、例えば血中の加水分解により、その親化合物を産生する化合物を含む
【0059】
「一方のエナンチオマーを他方より多く含む」という用語は、本明細書で使用する場合、エナンチオマーの混合物であり、一方のエナンチオマーが、過剰に存在、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、100%を含めての程度まで、存在する化合物を指す。
【0060】
「置換されていてもよい」という用語は、本明細書で使用する場合、置換又は非置換を含む。基が「置換されていてもよい」と言及される場合、その基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アルキルエステル、アリールエステル、シリルエステル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアミド、アリールアミド、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、ヘテロ環、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、ボロン酸、又はホウ酸で置換されていてもよい。
【0061】
化合物
本明細書中及び以下に開示されている通り、様々な化合物が提供され、それらは一実施形態において、本明細書中に記載した方法で使用することができ、その方法には、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患の診断又は治療が含まれる。
【0062】
代表的な化合物には、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩、エステル、若しくはプロドラッグ、
【0063】
【化4】


式I
【0064】
或いは式IIの化合物又は薬学的に許容されるその塩、エステル、若しくはプロドラッグが含まれる
【0065】
【化5】


式II
【0066】
(式中、
nは、3、4、又は5であり、
Rは、置換されていてもよいアルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、イソブチルなど、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、若しくはアシル、又は表1にRとして以下に挙げられた任意の基であり、
Amは、置換されていてもよいアルキルアミンなどのアミンの残基であり、Amは以下の表2のAmとして挙げられた基の1つから選択してもよいか、又は以下の表3に挙げられた基から選択してもよい)。
【0067】
別の実施形態において、式IIIの化合物を提供する
【0068】
【化6】


式III
【0069】
(式中、
nは、3、4、又は5であり、
Amは、置換されていてもよいアルキルアミンなどのアミンの残基であるか、又はAmは、以下の表2又は3に挙げられる基から選択されていてもよい)。
【0070】
式I又はIIの化合物の一実施形態において、Rは、以下の表1に挙げられた基から選択される。
【0071】
【表1】






【0072】
式I、II、又はIIIの化合物の一実施形態において、Amは、以下の表2に挙げられた基又は表3で以下に挙げられた基から選択される。
【0073】
【表2】





【0074】
【表3】











【0075】
別の実施形態において、化合物は、式IVの化合物、又はその塩、そのエステル若しくはそのプロドラッグである
【0076】
【化7】


IV
【0077】
(式中、nは、例えば1、2、又は3であり、
式中、Rは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、若しくは置換されていてもよいアルキニルであり、又は一実施形態において、C1−10のアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、若しくはイソブチルであり、
は、H、非置換のアルキル又は置換のアルキル、例えば直鎖、分枝、又はシクロアルキルを含む、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の、非置換又は置換のアルキルなどであるか、又はRと同じであり、
は、非置換のアルキル又は置換のアルキル、例えば直鎖、分枝、又はシクロアルキルを含む、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の、非置換又は置換のアルキルなどであり、その置換基は、例えば置換又は非置換の芳香族基であり、
及びRは、一緒になって、置換されていてもよいヘテロ環、例えば、窒素などの1種又は複数のヘテロ原子を含む、置換されていてもよい5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14員環の飽和又は不飽和のヘテロ環を形成してもよい)。
【0078】
一下位実施形態における、式IVの化合物において、
nは、1、2、又は3であり、
Rは、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルであり、
は、独立してHであるか、又はC1−C10の非置換のアルキル、例えばメチルであるか、又はRと同じであり、
は、C1−6の非置換又は置換のアルキルであり、式中、置換されている場合その置換基は、例えば、置換又は非置換の芳香族基、例えば1、2、又は3つのハロ基又はアルコキシ基で例えばメトキシ基などで置換されていてもよいベンジルである)。
【0079】
別の実施形態において、代表的な化合物は、以下に示す化合物又はシュウ酸塩などのその塩を含む。
【0080】
【化8】

1-38


1-42A


1-42B


1-40


1-36


1-50A


1-50B


1-50C


1-50D


1-50E


1-52A


1-52B


1-52C


1-76A


1-76C


1-76D


1-86A


1-90A


1-90C


1-92A


1-92B


1-92C


























【0081】
化合物は、任意選択でシュウ酸塩などの塩、又はセシウム塩、塩酸塩、又は硫酸塩など、本明細書中に開示される他の塩の形態をしている。化合物は、任意選択で薬学的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグの形態をしている。
【0082】
本明細書中に開示される特定の化合物は、溶媒和していない形態ばかりでなく、水和した形態を含めて溶媒和した形態で存在できる。一般的に、溶媒和した形態は、溶媒和されていない形態に等しく、本発明の範囲内に包含されることを意図する。特定の化合物は、複数の結晶又は非晶質の形態で存在し得る。一般に、すべての物理学的形態が、本発明で予期される使用に相当し、本発明の範囲内であることを意図している。
【0083】
本明細書中に開示される特定の化合物は、不斉炭素原子(光学的中心s)又は二重結合を有し、そのラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、及び個々の異性体はすべて本発明の範囲内に包含されることを意図する。
【0084】
本明細書中に開示される化合物は、そのような化合物を構成する1種又は複数の原子において、原子同位体の、天然でない部分も含み得る。例えば化合物は、例えばトリチウム(H)、ヨウ素125(125I)又は炭素14(14C)など、放射性同位元素で放射標識してもよい。本発明の化合物のすべての同位体の変異形が、放射性又は非放射性に関わらず、本発明の範囲内に包含されることを意図する。
【0085】
一実施形態において化合物は、任意選択でAPP又はその断片を過剰発現する細胞におけるβアミロイドの生成を、例えば少なくとも約5%、10%、15%、20%以上低下させる。
【0086】
本明細書中に開示される化合物は、キラル中心を含み得ることを理解されたい。そのようなキラル中心は、(R)又は(S)配置のいずれかであるか、又はその混合物であってよい。したがって、本明細書中に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であるか、又は立体異性若しくはジアステレオマーの混合物であってよい。本明細書中での化合物の開示は、ラセミ体、光学活性、多形、若しくは立体異性における任意の形態、又はその混合物を包含し、好ましくは本明細書中で記載する有用な特性を所有し、光学活性な形態を調製する方法、及び本明細書中で記載する標準的試験を用いて、又は当分野で周知の他の類似の試験を用いて、活性を求める方法が当分野において周知であることを理解されたい。化合物の光学異性体を得るために使用することができる方法の例として、以下が挙げられる。
i)結晶の物理学的分離 個々のエナンチオマーの巨視的な結晶を手作業で分離する技法である。別々のエナンチオマーの結晶が存在する場合、すなわち、その物質は集合体であり、またその結晶が視覚的に異なる場合、この技法を使用することができる。
ii)同時結晶化技法 個々のエナンチオマーをラセミ体溶液から別々に晶出させる技法である。これはラセミ体が固体集合体である場合にのみ可能である。
iii)酵素での分割 酵素でエナンチオマーの反応速度を変化させることによって、ラセミ体の部分的な又は完全な分離を行う技法である。
iv)酵素での不斉合成 少なくとも1つの合成ステップにおいて、鏡像異性的に純粋な又は一方のエナンチオマーが他方よりも多い合成前駆物質を得るために酵素反応を使用する合成技法である。
v)化学的不斉合成 生成物に不斉性(すなわち、キラリティー)を生じる状況で、アキラル前駆体から所望のエナンチオマーを合成する技法であり、キラル触媒又はキラル添加剤を用いて達成し得る合成方法である。
vi)ジアステレオマー分離 ラセミ化合物を、個々のエナンチオマーをジアステレオマーに変換する、鏡像異性的に純粋な試薬(キラル補助剤)と反応させる技法である。生成したジアステレオマーは次いで、構造上の差がより顕著となることにより、クロマトグラフィー又は結晶化によって分離し、キラルな補助剤をその後で取り除くことによって、所望のエナンチオマーを得る。
vii)一次また二次不斉変換 ラセミ体からのジアステレオマーを平衡化することによって、所望のエナンチオマーからのジアステレオマー溶液中に優勢を生じさせる技法、又は所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの好ましい結晶化が平衡を乱すことにより、原理的には最終的にすべての物質が所望のエナンチオマーから結晶ジアステレオマーへ変換する技法である。所望のエナンチオマーは、その後ジアステレオマーから放出される。
viii)速度論的分割 この技法は、運動状態において、キラルな、非ラセミの試薬又は触媒とエナンチオマーとの不均等な反応速度によって、ラセミ体(又は部分的に分解した化合物のさらなる分割)の部分的又は完全な分割を達成することを指す。
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオマー特異的合成 非キラル出発物質から、所望のエナンチオマーを得る方法であり、その合成経過を通して立体化学的完全性について妥協しない、又は最小限にしか妥協しない合成技法である。
x)キラル液体クロマトグラフィー 固定相との相互作用を変えることによって、ラセミ体のエナンチオマーを液体移動相中で分離させる技法である。固定相は、キラル物質で作ることができるか、又は移動相に追加のキラル物質を含むことによって相互作用の変化を誘発させることができる。
xi)キラルガスクロマトグラフィー 固定された非ラセミのキラル吸着剤相を含有するカラムとのガス状の移動相での相互作用を変えることによって、ラセミ体を揮発させ、またエナンチオマーを分離させる技法である。
xii)キラル溶媒による抽出 1つのエナンチオマーをある特定のキラル溶媒へ優先的に溶解することによって、エナンチオマーを分離する技法である。
xiii)キラル膜を通過しての輸送 ラセミ体を希薄な膜バリアと接触させて配置する技法である。バリアは、通常2種混和液体を分離する。1つは、ラセミ体を含有し、濃度又は圧力の示差などによる推進力により、膜バリアを横切っての優先的な輸送を引き起こす。分離は、ラセミ体の1つのエナンチオマーしか通さないという膜の非ラセミのキラルな性質の結果として生じる。
【0087】
任意選択で化合物は、一方のエナンチオマーを他方より多く含む。
【0088】
治療方法
アルツハイマー病(AD)などの大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患に罹患している動物又はヒトを治療する方法であって、本明細書中に開示される化合物、又は任意選択で薬学的に許容されているその塩、そのエステル若しくはそのプロドラッグの治療有効量を投与するステップを含む方法を提供する。
【0089】
一実施形態において化合物の投与は、βアミロイドの生成、βアミロイドの沈着、βアミロイドの神経毒性(タウの異常な過剰リン酸化を含む)又は小膠細胞症、又はこの組合せのうちの1つ若しくは複数を低下させることになる。任意選択で化合物は、APP又はその断片を過剰発現する細胞において、例えば細胞を含む培地で測定した場合、又は細胞内で測定した場合、例えば少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、又はそれ以上の割合で、βアミロイド生成を低下させることを特徴とする。
【0090】
本明細書で使用する場合、βアミロイドの生成を低下させる化合物に言及した場合、APP又はその断片を過剰発現する細胞においてβアミロイドの生成を低下させる化合物を指し、その細胞とは、例えばAPPを過剰発現させるチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、例えば、7W WT APP751 CHO細胞、7W(wt APP751)細胞、7WΔC細胞、7WSW細胞、又は7WVF細胞であってよい。
【0091】
本明細書中に開示される実施形態が、APPを過剰発現させる細胞においてβアミロイドを低下させることについて言及している場合にはいつでも、例えば細胞培養又は細胞内におけるαCTF(αC末端のAPP断片、CTFαとしても知られている)及び/又はAPPSαの可溶性の断片の増加を代わりに測定することができるが、これはαCTF及び/又はAPPSαの可溶性の断片がAPPから生成される量が増加するのは、化合物がβアミロイドの生成を減少させるためであることに注意されたい。
【0092】
本明細書中に開示される実施形態が、APPを過剰発現させ細胞においてβアミロイドを低下させることについて言及している場合にはいつでも、例えば細胞培養媒体又は細胞内におけるβCTF(βC末端のAPP断片、CTFβとしても知られている)又はAPPSβの可溶性の断片の減少を代わりに測定することができるが、これはβCTF又はAPPSβの可溶性の断片がAPPから生成される量が減少するのは、化合物がβアミロイドの生成を減少させるためであることにさらに注意されたい。
【0093】
さらなる実施形態において、外傷性脳損傷(TBI)を患う動物又はヒトを治療するための方法を提供する。一実施形態において、βアミロイドの生成、βアミロイドの沈着、βアミロイドの神経毒性(タウの異常な過剰リン酸化を含む)及び/又は小膠細胞症は低下している。該方法は、動物又はヒトに、例えばTBIのすぐ後に本明細書中に開示される化合物、又は任意選択で薬学的に許容されていてもよいその塩、そのエステル、又はそのプロドラッグの治療有効量を投与するステップを含む。該方法は、その後定められた期間の間、化合物を用いた治療を継続することを含んでもよい。TBIは、AD発生の罹患率を増加させることが示されており、したがって、理論に縛られることなしに、TBIは、脳のβアミロイド蓄積及び酸化ストレスを促進し、これが相乗的に働くことにより、ADの開始を促進し、その進行を余儀なくさせると考えられている。したがって、該化合物はまた、本明細書中に開示されるβアミロイドの生成を減少させる。TBIを患う動物又はヒトへの化合物を用いた治療は、例えば、約1時間、24時間、1週間、2週間、1〜6カ月、1年、2年、又は3年の間継続することができる。
【0094】
本発明の方法に従って治療することができるアミロイド形成疾患は、制限なしにアルツハイマー病、脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性脳出血アミロイドーシス、又は他の形態の家族性AD及び家族性大脳アルツハイマーアミロイド血管症を含むことができる。
【0095】
本発明の方法は、PDAPP及びTgAPPswマウスモデルなどのAD用遺伝子導入動物モデルに制限なしに使用することができ、そのような動物又はヒトの中枢神経系における、βアミロイド生成、βアミロイド沈着、βアミロイド神経毒性(タウの異常な過剰リン酸化を含む)及び小膠細胞症に関連する病状を治療、阻止及び/又は阻害するのに有用となり得る。AD用遺伝子導入動物モデルは、例えば米国特許第5487992号明細書、第5464764号明細書、第5387742号明細書、第5360735号明細書、第5347075号明細書、第5298422号明細書、第5288846号明細書、第5221778号明細書、第5175385号明細書、第5175384号第5175383号明細書、及び第4736866号明細書に記載されている通り、制限なしに、当分野で知られている標準的な方法を用いて作ることができる。
【0096】
投与できる化合物の代表的な投与量は、0.001〜1.0mg/体重kgを含む。化合物の代表的な投与量は、1日あたり約1〜50mg/体重kg、1日あたり1〜20mg/体重kg、又は1日あたりレシピエント体重1kgあたり0.1〜約100mgである。より低い投与量は、好ましくは、例えば1日あたり体重1kgあたり、0.5〜100mg、0.5〜50mg、0.5〜10mg、又は0.5〜5mg、又は例えば、1日あたり体重1kgあたり0.01〜0.5mgの投与量である。有効投与量の範囲は、その化合物の活性及び薬理学の分野で知られている他の因子に基づいて計算することができる。
【0097】
化合物は、任意の適切な剤形で有利に投与され、これには、単位剤形あたり活性成分が、1〜3000mg、又は10〜1000mg含有される剤形が含まれるが、これだけに限らない。50〜1000mgの経口投与量は可能である。好ましくはより低い投与量、例えば10〜100若しくは1〜50mg、又は0.1〜50mg、又は0.1〜20mg、又は0.01〜10.0mgであってもよい。さらに、例えば注射又は吸入など非経口の経路での投与の場合、より低い投与量を利用してもよい。
【0098】
別の実施形態において、投与量は、1日あたり約0.05mg〜20mg、1日あたり約2mg〜15mgの間、1日あたり約4mg〜12mg、及び/又は1日あたり約8mgの範囲とすることができる。
【0099】
別の実施形態において、投与は、例えば約1日〜12カ月、約1週間〜6カ月、又は約2週間〜4週間の範囲である。
【0100】
ADなどの、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積を有するほとんどの疾患は、慢性、進行性、難治性の脳認知症であるため、本明細書中に開示される化合物を用いた治療期間は、動物又はヒトの寿命までずっと続けることが予期されている。
【0101】
インビトロ試験法
当技術分野で利用可能なインビトロ試験法を使用して、βアミロイドの阻害における活性、及びβアミロイドの過剰生成及び/又は蓄積に関連する疾患の治療における有用性について化合物をアッセイし得る。一実施形態においては、βアミロイド生成を減少させる化合物の能力を求めるためのアッセイを行う。例えば、APP又はその断片を過剰発現する細胞に、試験する化合物を曝露し、その細胞中のβアミロイド生成を測定し、APP又はその断片を過剰発現している細胞の例えば少なくとも約20%より多くの細胞において、βアミロイド生成の減少を、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患に罹患している動物又はヒトを治療するための化合物の治療有用性の一指標として検出する。アッセイは、当技術分野で利用できる、APP751を過剰発現させるチャイニーズハムスター卵巣細胞など、APP又はその断片を過剰発現する細胞を用いて行う。測定するβアミロイドは、例えば、Aβ1−40、Aβ1−42、又は全Aβ1−40+Aβ1−42である。Aβ1−40及び/又はAβ1−42、並びに特に、全Aβ1−40+Aβ1−42の生成において、例えば少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、又はそれ以上の減少は、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患に罹患している動物又はヒトの治療に対し、化合物の治療効果を示す。βアミロイド濃度は、例えば、細胞内又は例えば細胞外の培地で測定することができる。
【0102】
化合物は、例えば、約1nM〜10mM、約500nM〜50μM、又は約5μM〜30μMの範囲の濃度でスクリーニングすることができる。
【0103】
一実施形態において、細胞内のβアミロイド生成の低下について試験する細胞を、その試験化合物に曝露する。その方法において、その該化合物に曝露した細胞内でのβアミロイド(例えば、Aβ1−40及び/又はAβ1−42)の濃度は、測定すると共に、例えば平行して行う対照試験において、曝露していない細胞でのβアミロイド生成の測定値と比較することができる。単独又は組合せによるβアミロイド生成の、曝露した細胞での、例えば約5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、又はそれ以上の減少は、その対照細胞と比較した場合、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患に罹患している動物又はヒトを治療するための化合物の潜在的な治療効果を示している。任意選択で、全βアミロイド濃度(Aβ1−40+Aβ1−42)を測定する。βアミロイドは、例えば細胞を含む培地又は細胞内で測定する。
【0104】
βアミロイドを測定方法は、例えば、24ウェルプレート又は96ウェルプレート内の一連の化合物、並びに1種又は複数の対照試料を試験することを含んでもよい。アッセイにおいて化合物は、多くの場合約4〜48時間又は例えば18〜36時間、細胞と共にインキュベーションしなければならない。βアミロイドは、実施例に記載の通り、ELISAサンドイッチアッセイを用いて、大量に市販されている酵素標識した(西洋わさびペルオキシダーゼを用いて)、Aβ1−40及びAβ1−42の抗体を用いて、検出することができる。標識した抗体ELISAアッセイもまた、完了まで24時間近く必要であり得る。
【0105】
βアミロイド生成の低下を測定するためのアッセイに使用することができる細胞は、APP又はその断片を過剰発現する哺乳動物又は非哺乳動物の細胞を含み、これにはチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、例えば、7W WT APP751 CHO細胞が含まれるが、それだけには限定されない。Koo and Squazzo, J. Biol. Chem., Vol. 269, Issue 26, 17386-17389, Jul, 1994を参照されたい。APPで形質移入させた培養細胞株は、当技術分野で記載されており、7W(wt APP751)、7WΔC(APP751ほとんどすべての細胞質尾部を削除)(残留物710〜751)、7WSW(APP751「スウェーデン型」KM651/652NL二重変異)、及び7WVF(APP751 V698F変異有り)を含む。例えば、Xia et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 94, pp. 8208-8213, July 1997、 及びPerez, R. & Koo, E. (1997) in Processing of the β-Amyloid Precursor Protein: Effects of C-Terminal Mutations on Amyloid Production, eds. Iqbal, K., Winblad, B., Nishimura, T., Takeda, M. & Wisniewski, H. M. (J. Wiley & Sons, London), pp. 407-416を参照されたい。過剰発現されるAPPは、APP751などのAPP転写物を含み得るが、これに限らない。
【0106】
診断方法
さらなる実施形態において、動物又はヒトの血漿、血清、全血、尿又は大脳の脊髄液(CSF)などの末梢体液から、βアミロイド濃度の第1の測定を行うことによって、動物又はヒトにおいてADなどの大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾病を発症するリスクを診断又は求めるための方法を提供する。続いて該方法は、本明細書中に開示される通り、化合物の診断有効量を動物又はヒトに投与するステップを含む。任意選択で化合物は、APP又はその断片を過剰発現する、例えば培養細胞の培地内で測定した場合、又は細胞内で測定した場合、βアミロイドの生成を、例えば少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、又はそれ以上減少させるものである。βアミロイド濃度の第2の(終了時点は選択)測定は、それ以後の時間に動物又はヒトの血漿、血清、全血、尿又はCSFについて行い、第1の測定及び第2測定の差を求める。第1の測定と比較した場合の、第2の測定における血漿、血清、全血、尿又はCSFでのβアミロイド濃度の変化は、動物又はヒトにおいて、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾病を発症するリスク又は診断となり得るものを示す。一実施形態において、末梢性βアミロイドでの増加又は減少は、大脳βアミロイドの蓄積の存在、すなわち疾患のリスク又は疾患の存在を示すものである。
【0107】
化合物は、任意の理論に縛られず、血漿、尿、血清、全血又はCSF内のβアミロイド濃度変化を引き起こすことができると考えられている。
【0108】
第1の末梢体液測定から、第2の(終了時点を選択)末梢体液測定までの化合物の投与継続期間は、例えば、任意の適切な期間、例えば約1〜12時間、約1〜7日、約1〜4週間、約2〜6カ月、又はそれ以上である。時間の長さは、必要に応じて、例えば疾患の進行及び患者により、調整することができる。化合物の適切な定期的な(例えば1日の)投与量は、例えば経口的に又は静脈内に投与され、個々のβアミロイド濃度は、その終了時点まで定期的に観察することができる。好ましい一実施形態において化合物は、約3日〜4週間の間、投与開始からその終了時点での測定まで毎日投与する。βアミロイド蓄積に関連する疾患のリスク又は存在の指標である濃度変化は、第1測定と終了時点での測定との間で、例えば約10〜20%以上である。
【0109】
化合物の、投与可能な代表的な投与量は、例えば毎日0.001〜1.0mg/体重kgが挙げられる。化合物の代表的な投与量は、レシピエントの体重1kgあたり、1日あたり約1〜50mg、1日あたり1〜20mg、又は1日あたり0.1〜約100mgである。より低い投与量が好ましいこともあり、例えば投与量は、体重1kgあたり、1日あたり0.5〜100mg、0.5〜50mg、0.5〜10mg、0.5〜5mg、又は例えば体重1kgあたり、1日あたり0.01〜0.5mgである。有効投与量の範囲は、化合物の活性及び薬理分野で知られている他の因子に基づき、計算することができる。
【0110】
化合物は、任意の適切な剤形で有利に投与され、これは一単位剤形につき、1〜3000mg、又は10〜1000mgの活性成分を含有するものが含まれるが、それだけに限らない。経口投与量50〜1000mgは可能である。より低い投与量が好ましい場合もあり、例えば10〜100若しくは1〜50mg、又は0.1〜50mg、又は0.1〜20mg、又は0.01〜10.0mgである。さらに非経口の経路、例えば注射又は吸入による投与の場合には、さらにより低い投与量を利用してもよい。
【0111】
化合物の合成
本明細書中に開示される化合物は、当技術分野で利用できる合成技法を用いて生成することができる。
【0112】
一般の合成スキームを以下に示す。
【0113】
【化9】



【0114】
pトシル化ベンゼン硫酸ナトリウム 1M NaOH中に溶解したベンゼン硫酸ナトリウムに、塩化トシル(2当量)を加え、反応物を水蒸気浴で2.5時間加熱する。反応物を次いで3N塩化水素酸で酸性化し、次いで氷に入れて濾過し、水、次に低温エーテルでよく洗浄し、所望の生成物を白色固体として産出する。
【0115】
【化10】

【0116】
塩化p−トシル化ベンゼンスルホニル 強化したpトシル化ベンゼン硫酸ナトリウムに、五塩化リン(例えば、2当量)少しずつを加える。生成した生成物を、油浴内で110Cで10時間加熱する。混合物を次いで水で洗浄し、乾燥させる。
【0117】
【化11】

【0118】
pトシル化ベンゼンスルフィン酸ナトリウム 1M水酸化ナトリウム中の亜硫酸ナトリウム(3当量)溶液に、塩化pトシル化ベンゼンスルホニルを加え、反応物を例えば3時間の間攪拌する。反応物を次いで濾過し、その化合物を例えば一晩空気乾燥する。
【0119】
【化12】

【0120】
4−(トシロキシ)フェニル2−ピコリルスルホン n−ブタノール中のpトシル化ベンゼンスルフィン酸ナトリウム溶液に、塩化ピコリル(1.5当量)及び酢酸ナトリウム(2当量)を加え、反応物を一晩還流させる。反応物を次いで冷却し、水に注ぎ、混合物を例えば15分間攪拌し、その後濾過し、水で洗浄し、空気乾燥する。
【0121】
【化13】

【0122】
2−イソプロピル−1−[[4−(トシルオキシ)フェニル]スルホニル]インドリジン 有機溶媒中の4−(トシルオキシ)フェニル2−ピコリルスルホン溶液に、1−ブロモ−3−メチル−2−ブタノン(2当量)及びKCO(2当量)を加える。その混合物を例えば24時間還流させる。反応物媒体を次いで室温まで戻し、真空下で蒸発し、過剰のケトンを取り出し、例えば酢酸エチル:ブライン(1:1)で抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で蒸発させると、固体が残る。それを例えばカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0123】
【化14】

【0124】
2−イソプロピル−l−([4−ヒドロキシフェニル)スルホニル]インドリジン 2−イソプロピル−1−[[4−(トシルオキシ)フェニル]スルホニル]インドリジンを、NaOH(2M)を含有するエタノール/水の混合物に加え、その混合物を24時間還流させる。冷却後、その溶液をさらより多くの水で希釈し、次いでエーテルで抽出する。水層を酸性化し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して乾燥させる。
【0125】
【化15】

【0126】
2−イソプロピル−l−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン メチルエチルケトン中の2−イソプロピル−l−([4−ヒドロキシフェニル)スルホニル]インドリジン溶液に、KCO(1.5当量)及び1,3−ジブロモプロパン(5当量)を加える。混合物を例えば24時間、還流させる。反応後、その溶液を蒸発乾燥し、抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮し、残留物を例えばクロマトグラフィーで精製する。均質の留分を溜め、蒸発乾燥させる。
【0127】
【化16】

【0128】
化合物 2−イソプロピル−l−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン、N−メチル−N−(3,4−ジメトキシフェネチル)アミン(2.5当量)又はその誘導体、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させる。次いでその溶媒を真空下で排除し、残留物をHO中で取り出す。媒体をCHClなどの溶媒で抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させる。得たオイルをフラッシュクロマトグラフィーを介して精製する。
【0129】
【化17】

【0130】
化合物のシュウ酸塩 化合物を任意選択でシュウ酸塩などの塩として単離する。アセトン中に溶解した塩基の溶液に、化学量論的量のシュウ酸を加え、対応するシュウ酸塩をアセトン又はイソプロパノール/ヘキサンの混合物から再結晶化させる。
【0131】
【化18】

【0132】
上記手順を用いて、例えばアミン(Am)の代替となるような適切な試薬を用いて、本明細書中に開示される化合物を調製することができる。
【0133】
別の実施形態において、化合物(3)から化合物(5)への転換は、以下に示す一段階の反応により実行することができ、反応は、水性溶媒中で行うことができる。
【0134】
【化19】

【0135】
別の実施形態において、試薬を改変し、以下に示す反応を行うことができる。
【0136】
【化20】

【0137】
したがって、一実施形態において、2−クロロメチル基(2−(クロロメチル)キノリンなど)を含むヘテロ環を、塩化ベンゼンスルホニル(塩化p−トシル化ベンゼンスルホニルなど)などの塩化スルホニルで反応させることによって、ヘテロ環上のメチル基と、塩化スルホニルとの間に、スルホン結合を形成するステップを含む方法を提供する。反応は炭酸水素ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムの存在下で、水性溶媒中で行うことができる。
【0138】
一実施形態において反応は以下のように表される
【0139】
【化21】

【0140】
(式中、Rは、例えば置換されていてもよいヘテロ環であり、Rは、例えば置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環、又はヘテロアリールである)。
【0141】
製剤及び投与方法
本明細書中に開示される化合物は、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性脳出血アミロイドーシス、他の形態の家族性のアルツハイマー病及び家族性大脳アルツハイマーアミロイド血管症などの大脳でのβアミロイドの蓄積に関連する疾患の治療に有効な量を投与することができる。そのような化合物は、本明細書中において「活性薬剤」とも呼ぶ。投与量及び製剤は、当分野で知られている方法を用いて選択できる。化合物は、非経口、経口、又は腹腔内の投与を含めた、当分野で知られている任意の経路で投与することができる。
【0142】
動物又はヒトに投与する本明細書中に開示される化合物は、当業者の標準的な医療行為及び一般知識に従って、投薬される。特に、化合物の治療有効量又はそれ以上を、単位剤形で、大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患に罹患しているか、又は外傷性脳損傷を患っている動物又はヒトに投与することができ、加えて大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患を発症するリスクを求めるため、及び/又は診断する目的で診断的に投与することができる。
【0143】
非経口投与は、静脈内、筋肉内、間質、動脈内、皮下、眼内、脳内、側脳室内、滑液包内、経皮から、吸入により肺から、眼から、舌下から、及び頬側からを含めた経上皮、眼から、皮膚から、接眼で、直腸から、又は吸入若しくは噴霧による経鼻の吸入を含めた局所的経路を含む。経鼻の吸入は、例えば、エアロゾル、アトマイザ、又は噴霧器を用いて行う。
【0144】
適切な投与量の例は、例えば1単位用量あたり約0.02mg〜1000mg、1単位用量あたり約0.5mg〜500mg、又は1単位用量あたり約20mg〜100mgである。毎日の投与量は、単一の単位用量で投与するか、又は1日あたり2、3、又は4つの単位用量に分割することができる。活性薬剤の治療期間は、例えば時間、週、月、年、寿命の単位である。治療期間は、例えば1〜7日、1〜4週間、1〜6カ月、6〜12カ月、又はそれ以上であってよい。
【0145】
化合物は、非経口的に又は腹腔内からCNSに投与することができる。例えば遊離塩基又は薬学的に許容される塩としての化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの適切な界面活性剤と混合して水の中で調製することができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びその混合物、並びにオイルの中に分散液を調製することもできる。このような調製物は、保存剤及び/又は抗酸化剤を含むことができるので、普通の保存及び使用の状態で微生物の成長又は化学的変性を阻止することができる。
【0146】
経口投与される化合物は、硬質又は軟質のシェルゼラチンカプセルに封入するか又は錠剤へと圧縮することができる。化合物は、賦形剤と共に取り込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル剤、サッシェ、ロゼンジ、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース(wafers)などの形態で使用することができる。さらに化合物は、粉末又は粒剤の形態、水性の液体若しくは非水性の液体の中の溶液又は懸濁液、又は水中油型若しくは油中水型の乳濁液の形態とすることができる。
【0147】
錠剤、トローチ、ピル、カプセル剤などに、例えば、ガムトラガカント、アカシア、コーンスターチなどの結合剤、ジリン酸カルシウムなどのゼラチン賦形剤、コーンスターチ、バレイショデンプン、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ショ糖、ラクトース、サッカリンなどの甘味量、又は着香料を含めることができる。単位剤形がカプセル剤の形態である場合、上述の物質に加えて、液体キャリアを含有することができる。他の様々な物質が、コーティングとして、さもなければその単位剤形の物理学的形態を変えるため存在し得る。例えば、錠剤、ピル、又はカプセル剤は、シェル、糖又はこれら両方でコーティングすることができる。シロップ又はエリキシル剤は本明細書中に開示される化合物、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチル及びプロピルパラベン、染料、及び香料を含有することができる。化合物はさらに、徐放性の薬剤及び製剤に取り込むことができる。
【0148】
本発明は、以下の非限定的実施例を考慮に入れて、さらに詳細に理解されるものとする。
[実施例]
【実施例1】
【0149】
Aβ1−40及び/又はAβ1−42の測定用アッセイ
ヒトAPP751(7W WT APP751 CHO細胞)で安定的に形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いる。例えば、Koo and Squazzo, J. Biol. Chem., Vol. 269, Issue 26, 17386-17389, Jul, 1994を参照されたい。細胞は、10%ウシ胎児血清を補充したDMEM培地及びペニシリン/ストレプトマイシン/ファンギゾン/グルタミンの混合物(Cambrex、MD)ジェネテシンの1X混合物を選択剤として75cm細胞培養フラスコ内に維持する。
【0150】
APP751を過剰発現させる7W WT APP751 CHO細胞は、1mL培地内の24穴の培養プレートに蒔く。各化合物を最終濃度が例えば30μM、10μM、又は3μMである集密細胞に加える。24時間の治療の後で、培地を収集し10倍及び2倍に溶解し、Aβ1−40及び/又はAβ1−42濃度をそれぞれ測定する。対照群は、1%DMSOである。製造会社の推奨する方法に従って、Aβ1−40及びAβ1−42を市販のELISA(Biosource、CA)で測定する。
【0151】
10μM及び30μMでの化合物1−38、1−50C、及び1−36によるAβ1−40に対する効果の結果を図1に示す。
【0152】
10μM及び30μMでの化合物1−50E、1−52A、1−42B、1−50D、1−42A、1−52B、1−40、1−50A、1−50B、及び1−52CによるAβ1−40に対する効果の結果を図2に示す。
【0153】
0.3、1.0、3.0、10.0及び30μMでの化合物1−76A、1−52C、1−50C、及び1−76DによるAβ1−40に対する効果の結果を図3に示す。
【0154】
10μM及び30μMでの化合物1−36、1−38、1−50C、1−50E、1−52A、1−42B、1−52B、1−40、1−50A、1−50B、及び1−52CによるAβ1−42に対する効果の結果を図4に示す。
【0155】
3μM、10μM及び30μMでの化合物1−90A及び1−76CによるAβ1−40に対する効果の結果を図5に示す。
【実施例2】
【0156】
合成
常法:無水状態が要求されるすべての反応は、窒素雰囲気下で、オーブンで乾燥したガラス器具内で行われる。分取用クロマトグラフィーをCombiflash Companion, Isco Inc.上で実行し、反応が終了してから、蛍光指示薬(254nm)を有するシリカプレートを用いてTLC分析を行い、UV、ホスホモリブデン酸又は4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒドで可視化する。すべての市販の試薬は、Aldrich及びAcrosから購入し、通常市販品をそのまま使用する。
【0157】
Barnstead社製融点測定装置上の開放型キャピラリーチューブを用いて融点を記録し、修正は行わない。H及び13C NMRスペクトルを、フーリエ変換モードで、Varian AS500分光器に規定されている電界強度で記録する。5mm直径チューブ内のCDCl溶液に対しスペクトルを得て、クロロホルムの残留信号に対応するその化学シフトをppmで記録する(δ7.25ppm、又はδ77.0ppm)。H NMRスペクトルの多重度は、s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、br=広域として記載し、結合定数は、Hzで報告する。低(MS)分解能の質量スペクトルを、Advion Bioscience Nanomate社製のエレクトロスプレー源を利用して、Micromass Q-Tof API-US社製の分光器上で測定する。イオン質量/充填量(m/z)比を原子質量単位の値として報告する。
【0158】
一般的合成スキームを以下に示す。
【0159】
【化22】



【0160】
p−トシル化ベンゼン硫酸ナトリウム 1M NaOH中に溶解したベンゼン硫酸ナトリウムに、塩化トシル(2当量)を加え、反応物を水蒸気浴で2.5時間加熱する。反応物を次いで3N塩化水素で酸性化し、次いで氷に入れて濾過し、水次いで低温エーテルでよく洗浄し、所望の生成物を白色固体として産出する。
【0161】
【化23】

【0162】
塩化p−トシル化ベンゼンスルホニル 強化したp−トシル化ベンゼン硫酸ナトリウムに、細かく分割した五塩化リン(2当量)を少しずつ加えた。第1の部分をすぐに反応させ、固体の混合物の液化を開始し、反応の残りの期間中は確実に攪拌した。添加が完了したら、生成した希薄なシロップを油浴の中で、110℃で10時間加熱した。ほとんど透明無色の混合物が残った。混合物を次いで粉砕した氷に入れ、塊を砕き、濾過して取り、水でよく洗浄し、乾燥させた。
【0163】
【化24】

【0164】
p−トシル化ベンゼンスルフィン酸ナトリウム 1M水酸化ナトリウム中の亜硫酸ナトリウム(3当量)溶液に、塩化p−トシル化ベンゼンスルホニルを加え、反応物を3時間攪拌したままにしておく。反応物を次いで濾過し、化合物を一晩空気乾燥した。
【0165】
【化25】

【0166】
4−(トシルロキシ)フェニル2−ピコリルスルホン n−ブタノール中のp−トシル化ベンゼンスルフィン酸ナトリウム溶液に、塩化ピコリル(1.5当量)及び酢酸ナトリウム(2当量)を加え、反応物を一晩還流させた。反応物を次いで冷却し、水に注ぎ、混合物を15分間攪拌し、その後濾過し、水で洗浄し、空気乾燥した。
【0167】
【化26】

【0168】
2−イソプロピル−1−[[4−(トシルオキシ)フェニル]スルホニル]インドリジン メチルエチルケトン又はTHF中の4−トシルオキシ)フェニル2−ピコリルスルホン溶液に、1−ブロモ−3−メチル−2−ブタノン(2当量)及びKCO(2当量)を加える。混合物を24時間還流する。反応媒体を次いで室温まで戻し、真空下で慎重に蒸発させ、過剰のケトンを取り出し、酢酸エチル:ブライン(1:1)で抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で蒸発させると、黄色の固体が残る。3:7酢酸エチル:ヘキサン、次いで1:1酢酸エチル:ヘキサンの段階溶出を用いて、これをカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0169】
【化27】

【0170】
2−イソプロピル−1−([4−ヒドロキシフェニル)スルホニル]インドリジン 2−イソプロピル−1−[[4−(トシルオキシ)フェニル]スルホニル]インドリジンを、NaOH(2M)を含有するエタノール/水の混合物に加える。混合物を24時間還流させた。冷却後、その溶液をさらにより多くの水で希釈し、次いでエーテルで抽出する。水層を酸性化し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、乾燥させる。
【0171】
【化28】

【0172】
2−イソプロピル−l−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン メチルエチルケトン中の2−イソプロピル−1−([4−ヒドロキシフェニル)スルホニル]インドリジン溶液にKCO(1.5当量)及び1,3−ジブロモプロパン(5当量)を加え、混合物を24時間還流する。反応後、溶液を蒸発乾燥させ、ブライン/塩化メチレンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮し、溶出剤として塩化メチレンを有するシリカカラム上でのクロマトグラフィーで残留物を精製する。均質の留分を溜め、蒸発乾燥させる。
【0173】
【化29】

【0174】
化合物 2−イソプロピル−l−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン、N−メチル−N−(3,4−ジメトキシフェネチル)アミン(2.5当量)又はその誘導体、及びトリエチルアミン(1.5当量)を24時間トルエン中で還流させる。次いでその溶媒を真空下で排除し、残留物をHO中で取り出す。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させる。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製する。
【0175】
【化30】

【0176】
シュウ酸塩 化合物をシュウ酸塩として単離する。アセトン中に溶解した塩基の溶液に、化学量論的量のシュウ酸を加え、対応するシュウ酸塩をアセトン又はイソプロパノール/ヘキサン混合物から再結晶化させる。
【0177】
【化31】

【0178】
或いは、化合物(3)から化合物(5)への変換は、以下に示す一段階反応として実行するが、これは水性溶媒中で行うことができる。:
【0179】
【化32】

【0180】
O(20mL)中のNaHCO(4.9g、58.38mmol、5当量)及びNaSO(2.94g、23.35mmol、2当量)溶液へ、塩化p−トシル化ベンゼンスルホニル(少しずつ)をゆっくりと加え、反応物をrt(室温)で2時間攪拌する。次いで2−(クロロメチル)含有ヘテロ環化合物、例えば2−(クロロメチル)キノリン(4.04g、11.7mmol、1当量)を非常にゆっくりと少しずつ加え、反応物をrtで10分間攪拌し、次いで5時間の間100℃へ温める。反応物をrtに冷却し、DCMで数回抽出する。99+%の粗製生成物は、次のステップでさらなる精製なしで使用する。
【0181】
アミン(Am)に代わり適切な試薬を用いて、上記手順に従い、以下の化合物をシュウ酸塩として得た。化合物は、以下に示すように化学的に同定した。
【0182】
{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−スルホニル)−フェノキシ]−プロピル}−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−アミン(1−50A) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、3,4,5−トリメトキシアニリン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHO中に取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥した。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いてフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
H NMR(500MHz,アセトン−d)δ 1.24(d,J=6.9Hz,6H)、2.82〜2.87(m,8H)、3.31(t,J=6.5Hz,2H)、4.20(t,J=6.1Hz,2H)、5.95〜6.01(m,2H)、6.86(dt,J=1.0,6.8Hz,1H)、7.05〜7.09(m,2H)、7.17(dd,J=6.9,9.2Hz,1H)、7.52(s,1H)、7.84〜7.87(m,2H)、8.21(d,J=9.2Hz,1H)、8.33(d,J=6.9Hz,1H)。13C NMR(125MHz,アセトン−d)ppm 25.8、26.7、42.2、57.1、61.6、67.9、92.3、94.2、110.2、114.0、114.4、116.5、119.6、124.6、128.5、129.7、131.7、135.9、139.3、139.4、147.6、156.0、163.9。
【0183】
(3,5−ジメトキシ−フェニル)−{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−スルホニル)−フェノキシ]−プロピル}−アミン(1−50B) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、3,5−ジメトキシアニリン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHO中に取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥した。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.23(d,J=6.8Hz,6H)、3.32(t,J=6.6Hz,2H)、3.55〜3.64(m,1H)、3.74〜3.77(m,6H)、4.09(t,J=5.9Hz,2H)、5.81(d,J=2.1Hz,1H)、5.85〜5.90(m,1H)、6.72(dt,J=1.1,6.8Hz,1H)、6.89〜6.92(m,2H)、7.04〜7.08(m,1H)、7.14(s,1H)、7.83〜7.86(m,2H)、7.91〜7.94(m,1H)、8.26(d,J=9.2Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDCl)ppm 24.5、24.9、28.8、40.9、55.1、55.2、66.1、89.8、91.0、91.7、93.4、107.8、111.4、112.6、114.4、118.3、122.5、125.6、128.0、134.4、137.2、138.1、149.9、161.6、161.7。
【0184】
[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−スルホニル)−フェノキシ]−プロピル}−アミン(1−50C) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチルアミン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHO中に取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.22(d,J=6.9Hz,6H)、1.91〜1.97(m,3H)、2.76(t,J=7.0Hz,2H)、2.80(t,J=6.9Hz,2H)、2.88(t,J=7.0Hz,2H)、3.55〜3.61(m,1H)、3.84(s,3H)、3.86(s,3H)、4.02(t,J=6.1Hz,2H)、6.68〜678(m,5H)、6.84〜6.87(m,2H)、7.02〜7.06(m,1H)、7.13(s,1H)、7.80〜7.83(m,2H)、7.91(d,J=6.8Hz,1H)、8.24(d,J=9.2Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDCl)ppm 24.4、24.8、29.3、35.6、46.5、51.2、55.8、66.5、107.8、111.2、111.3、111.9、112.5、114.3、118.2、120.5、122.4、125.6、127.9、132.3、134.3、137.0、138.0、147.4、148.9、161.7。
【0185】
シクロヘキシル−{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−スルホニル)−フェノキシ]−プロピル}−アミン(1−52A) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、シクロヘキシルアミン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.22(d,J=6.8Hz,6H)、1.61〜1.71(m,3H)、1.81〜1.86(m,2H)、2.24〜2.29(m,2H)、2.46〜2.52(m,1H)、3.03〜3.10(m,1H)、3.15〜3.23(m,1H)、3.53〜3.60(m,1H)、4.09(t,J=5.8Hz,2H)、6.72(t,J=6.8Hz,1H)、6.86〜6.90(m,2H)、7.04〜7.09(m,1H)、7.13(s,1H)、7.81〜7.84(m,2H)、7.93(d,J=6.8Hz,1H)、8.24(d,J=9.2Hz,1H)、9.02(brs,1H)。13C NMR(125MHz,CDCl)ppm 24.5、24.7、24.9、25.7、29.1、42.1、57.9、65.4、107.6、111.4、112.7、114.4、118.3、122.6、125.7、128.0、134.4、137.6、138.1、161.1。
【0186】
1−{4−[3−(アザシクロドデク−1−イル)−プロポキシ]−ベンジル}−2−イソプロピル−インドリジン(1−76A) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、ドデカメチレンイミン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 8.16(d,1H,J=9.2Hz)、7.82(d,1H,J=6.8Hz)、7.74(d,2H,J=8.9Hz)、7.03(m,1H)、6.95(ddd,1H,J=1.0Hz,J=6.7Hz,J=9.1Hz)、6.80(d,2H,J=8.9Hz)、6.61(dt,1H,J=1.2Hz,J=6.8Hz)、3.97(t,2H,J=6Hz)、3.50(七重線,1H,J=6.9Hz)、2.38(t,2H,J=6.6Hz)、2.24(t,4H,J=5.1Hz)、1.78(五重線,2H,J=6.4Hz)、1.24(m,22H)、1.12(d,6H,J=6.9Hz)。13−C NMR(125MHz)24.5、24.8、25.1、25.5、25.8、26.1、26.4、27.0、51.1、55.4、66.6、108.2、111.3、112.5、114.5、118.4、122.8、126.2、128.0、134.4、136.5、137.8、161.9。
【0187】
tert−ブチル−{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−イルメチル)−フェノキシ]−プロピル}−アミン(1−76D) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、tert−ブチルアミン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 1.13(d,6H,J=6.8Hz)、1.42(s,9H)、2.49(五重線,2H,J=6.5Hz)、3.06(m,2H)、3.48(七重線,1H,J=6.8Hz)、4.00(t,2H,J=5.8Hz)、6.64(dt,1H,J=1.0Hz,J=6.8Hz)、6.80(d,2H,J=8.9Hz)、6.98(m,1H)、7.05(s,1H)、7.74(d,2H,J=8.9Hz)、7.84(d,1H,J=6.8Hz)、8.15(d,1H,J=9.2Hz)、8.88(s,1H)。13−C NMR(125MHz)24.5、24.9、26.0、26.1、39.5、58.1、65.5、107.6、111.4、112.7、114.4、118.3、122.6、125.7、128.0、134.5、137.6、138.2、161.2。
【0188】
ジヘキシル−{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−イルメチル)−フェノキシ]−プロピル}−アミン(1−86A) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、ジ−n−ヘキシルアミン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 0.86(t,6H,J=6.8Hz)、1.22(d,6H,J=6.9Hz)、1.28(m,12H)、1.42(m,4H,J=5.6Hz)、1.92(m,2H)、2.42(m,4H)、2.58(m,2H)、3.59(七重線,1H,J=6.8Hz)、4.03(t,2H,J=6.3Hz)、6.71(dt,1H,J=1.1Hz,J=6.8Hz)、6.89(d,2H,J=8.9Hz)、7.05(ddd,1H,J=0.9Hz,J=6.7Hz,J=9.1Hz)、7.13(s,1H)、7.83(d,2H,J=8.9Hz)、7.91(d,1H,J=6.9Hz)、8.25(d,1H,J=9.1Hz)。13−C NMR(125MHz)14.3、22.9、24.8、25.1、27.4、32.0、50.6、54.4、66.8、108.2、111.6、112.8、114.6、118.6、122.7、125.9、128.2、134.6、137.1、138.4、162.2。
【0189】
2−イソプロピル−1−{4−[3−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−ベンジル}−インドリジン(1−50E) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、4−フェニルピペリジン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 1.23(d,6H,J=6.9Hz)、2.04(d,3H,J=13.6Hz)、2.44(bs,4H)、2.75(bs,3H)、3.10(bs,2H)、3.58(m,3H)、4.12(t,2H,J=5.7Hz)、6.73(dt,1H,J=1.1Hz,J=6.8Hz)、6.89(d,2H,J=8.9Hz)、7.07(m,1H)、7.14(s,1H)、7.30(m,6H)、7.85(d,2H,J=8.9Hz)、7.93(d,1H,J=6.8Hz)、8.25(d,1H,J=9.1Hz)。13−C NMR(125MHz)24.8、25.2、111.7、112.9、114.6、118.6、122.9、126.0、127.1、128.3、129.1、134.7、138.4。
【0190】
(3,4−ジメトキシ−フェニル)−{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−イルメチル)−フェノキシ]−プロピル}−アミン(1−42A) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、3,4−ジメトキシアニリン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 1.23(d,6H,J=6.8Hz)、1.59(bs,1H)、2.10(五重線,2H,J=6.3Hz)、3.30(t,2H,J=6.6Hz)、3.59(td,1H,J=6.8Hz,J=13.7Hz)、3.83(s,3H)、3.86(s,3H)、4.12(t,2H,J=5.9Hz)、6.17(dd,1H,J=2.5Hz,J=8.5Hz)、6.26(m,3H)、6.34(d,1H,J=2.5Hz)、6.73(td,4H,J=5.9Hz,J=6.8Hz)、6.92(d,2H,J=8.8Hz)、7.06(dd,1H,J=6.8Hz,J=9.1Hz)、7.13(s,1H)、7.85(d,2H,J=8.8Hz)、7.92(d,1H,J=6.8Hz)、8.26(d,1H,J=9.2Hz)。13−C NMR(125MHz)24.5、24.9、29.0、41.8、55.7、56.6、56.7、66.2、99.0、100.7、103.6、106.4、111.4、112.6、113.1、113.3、114.4、118.4、122.5、125.6、128.0、134.4、137.3、138.2、140.6、141.7、142.2、142.9、150.1、161.6。
【0191】
[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−イルメチル)−フェノキシ]−プロピル}−メチル−アミン(1−38) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]−メチルアミン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 1.21(d,6H,J=6.9Hz)、1.96(五重線,2H,J=6.7Hz)、2.33(s,3H)、2.61(m,5H)、2.73(dd,3H,J=5.9Hz,J=9.6Hz)、3.58(七重線,1H,J=6.8Hz)、3.83(s,3H)、3.85(s,3H)、3.99(t,2H,J=6.3Hz)、6.72(m,4H)、6.88(d,2H,J=8.9Hz)、7.04(ddd,1H,J=0.9Hz,J=6.7Hz,J=9.1Hz)、7.12(s,1H)、7.82(d,2H,J=8.9Hz)、7.91(d,1H,J=6.7Hz)、8.24(d,1H,J=9.1Hz)。13−C NMR(125MHz)24.5、24.8、26.9、33.2、42.1、53.8、55.8、55.9、59.6、66.3、111.2、111.3、112.0、112.6、114.4、118.3、120.5、122.4、125.6、127.9、134.3、136.9、138.1、147.3、148.9、161.8。
【0192】
ジブチル−{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−イルメチル)−フェノキシ]−プロピル}−アミン(1−52C) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、ジ−n−ブチルアミン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 0.89(t,6H,J=7.4Hz)、1.21(d,6H,J=6.8Hz)、1.31(六重線,4H,J=7.5Hz)、1.51(m,4H)、2.03(m,2H)、2.57(bs,4H)、2.74(bs,2H)、3.57(七重線,1H,J=6.8Hz)、4.04(t,2H,J=6.1Hz)、6.71(dt,1H,J=0.7Hz,J=6.8Hz)、6.88(d,2H,J=8.8Hz)、7.05(dd,1H,J=6.8Hz,J=9.1Hz)、7.13(s,1H)、7.82(d,2H,J=8.8Hz)、7.92(d,1H,J=6.9Hz)、8.24(d,1H,J=9.2Hz)。13−C NMR(125MHz)13.9、20.5、24.5、24.8、50.3、53.5、66.1、107.8、111.3、112.6、114.3、118.3、122.4、125.6、127.9、134.3、137.0、138.0、161.6。
【0193】
トルエン−4−スルホン酸4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−スルホニル)−フェニルエステル(SrOTs)(6)
1H−NMR(500MHz)ppm 1.20(d,6H,J=6.9Hz)、2.47(s,3H)、3.51(七重線,1H,J=6.8Hz)、6.77(dt,1H,J=1.2Hz,J=6.8Hz)、7.09(m,4H)、7.32(d,2H,J=8.0Hz)、7.68(d,2H,J=8.3Hz)、7.84(d,2H,J=8.9Hz)、7.96(d,1H,J=6.8Hz)、8.23(d,1H,J=9.2Hz)。13−C NMR(125MHz)21.7、24.4、24.9、111.8、113.0、118.2、122.8、123.1、125.9、127.7、128.5、129.9、131.8、134.9、138.4、143.8、145.8、151.9。
【0194】
2−イソプロピル−1−{4−[3−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−ベンゼンスルホニル}−インドリジン(1−50D) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、1−フェニルピペラジン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 1.23(d,6H,J=6.9Hz)、1.98(五重線,2H,J=6.6Hz)、2.07(td,2H,J=2.2Hz,J=4.4Hz)、2.53(t,2H,J=7.0Hz)、2.57(m,4H)、2.87(bs,1H)、3.16(m,4H)、3.62(七重線,1H,J=6.9Hz)、4.15(t,2H,J=6.4Hz)、6.79(t,1H,J=7.3Hz)、6.84(dt,1H,J=1.1Hz,J=6.8Hz)、6.94(d,2H,J=8.0Hz)、7.06(d,2H,J=8.9Hz)、7.16(ddd,1H,J=0.9Hz,J=6.8Hz,J=9.1Hz)、7.22(dd,2H,J=7.4Hz,J=8.6Hz)、7.50(s,1H)、7.86(d,2H,J=8.9Hz)、8.22(d,1H,J=9.2Hz)、8.31(d,1H,J=6.9Hz)。13−C NMR(125MHz)25.8、26.6、28.3、50.7、55.0、56.3、68.3、110.2、113.9、114.4、116.4、117.5、119.6、120.8、124.5、128.4、129.7、130.7、135.9、139.3、153.5、164.0。
【0195】
{3−[4−(2−イソプロピル−インドリジン−1−スルホニル)−フェノキシ]−プロピル}−(3,4,5−トリメトキシ−ベンジル)−アミン(1−42B) 2−イソプロピル−1−[[4−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−フェニル]スルホニル]インドリジン(8)、3,4,5−トリメトキシベンジルアミン(2.5当量)、及びトリエチルアミン(1.5当量)をトルエン中で24時間還流させた。次いで溶媒を真空下で排除し、残留物をHOに取り出した。媒体をCHClで抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発乾燥させた。得たオイルを、溶出剤としてCHCl/MeOHを用いたフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。
1H−NMR(500MHz)ppm 1.13(d,6H,J=6.9Hz)、1.18(s,1H)、1.92(m,4H)、2.75(t,2H,J=6.9Hz)、3.39(s,1H)、3.49(七重線,1H,J=6.9Hz)、3.67(s,2H)、3.74(s,9H)、3.99(t,2H,J=6.1Hz)、6.48(s,2H)、6.62(dt,1H,J=1.1Hz,J=6.8Hz)、6.80(d,2H,J=8.9Hz)、6.96(ddd,1H,J=0.9Hz,J=6.7Hz,J=9.1Hz)、7.04(s,1H)、7.74(d,2H,J=8.9Hz)、7.83(d,1H,J=6.8Hz)、8.15(d,1H,J=9.2Hz)。13−C NMR(125MHz)24.8、29.2、29.7、54.1、60.7、66.5、105.0、111.4、112.6、114.4、118.3、122.5、125.7、127.9、134.3、137.0、138.1、153.2、161.7。
【0196】
トルエン−4−スルホン酸4−(ピリジン−2−イルメタンスルホニル)−フェニルエステル(5)
1H−NMR(500MHz)ppm 2.48(s,3H)、4.55(s,2H)、7.10(d,2H,J=8.7Hz)、7.26(m,1H)、7.35(d,2H,J=8.1Hz)、7.46(d,2H,J=7.8Hz)、7.61(d,2H,J=8.7Hz)、7.70(d,3H,J=8.1Hz)、8.40(d,1H,J=4.2Hz)。13−C NMR(125MHz)21.6、64.6、122.9、123.5、125.8、128.5、130.0、130.4、131.8、136.8、136.9、140.0、148.6、149.7、153.4。
【0197】
1−[4−(3−ブロモ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−2−イソプロピル−インドリジン(8)
1H−NMR(500MHz)ppm 1.24(d,6H,J=6.8Hz)、2.32(五重線,2H,J=6.1Hz)、3.60(m,3H)、4.13(t,2H,J=5.8Hz)、6.73(dd,1H,J=3.8Hz,J=9.8Hz)、6.92(d,2H,J=8.9Hz)、7.06(m,1H)、7.14(s,1H)、7.86(d,2H,J=8.8Hz)、7.93(d,1H,J=6.9Hz)、8.26(d,1H,J=9.2Hz)。13−C NMR(125MHz)24.8、25.1、29.8、32.3、65.8、108.1、111.6、112.9、114.7、118.6、122.7、125.9、128.3、134.7、137.6、138.4、161.7。
【0198】
トルエン−4−スルホン酸4−[4−(キノリン−2−イルメタンスルホニル)−フェノキシ]−フェニルエステル HO(20mL)中のNaHCO(4.9g、58.38mmol、5当量)及びNaSO(2.94g、23.35mmol、2当量)の溶液に、塩化スルホニル(少しずつ)をゆっくりと加え、反応物をrtで2時間攪拌した。次いでピコリル塩酸塩(4.04g、11.7mmol、1当量)を少しずつ非常にゆっくりと加え、反応物をrtで10分間攪拌し、次いで100℃まで5時間温めた。反応物をrtへ冷却し、DCMで数回抽出した。粗製生成物は、次のステップでさらなる精製なしで使用した。白色固体(49%Yld、3.10g、5.68mmol)、R0.5(EtOAC/ヘキサン2:1)H NMR(CDCl,500MHz)ppm 2.45(3H,s,CH)、4.74(2H,s,CH)、7.03(2H,d,J=8.8Hz,CHAr)、7.28(2H,d,J=8.3Hz,CHAr)、7.60(4H,d,J=8.8Hz,CHAr)、7.65(2H,d,J=8.3Hz,CHAr)、7.76(1H,t,J=8.3Hz,CHAr)、7.82(1H,d,J=8.3Hz,CHAr)、7.85(1H,d,J=8.8Hz,CHAr)、8.20(1H,d,J=8.3Hz,CHAr)。
【実施例3】
【0199】
インビボ試験
短期のインビボ試験をマウスを用いて行った。マウス(Tg PS1/APPsw、月齢4カ月)に10mg/Kgの化合物又は媒体(100μLのDMSO)のみの腹腔内注射を4日間行った。最後の注射から1時間後、マウスを安楽死させ、脳及び血漿を収集した。脳及び血漿中のAβ1−40及びAβ1−42を評価し、水可溶性Aβ1−40及びAβ1−42を抽出しELISA(Biosource、CA)で定量化した。BCA方法を用いて異なる試料中のタンパク質濃度を測定しタンパク質1mgにおけるAβのpgで結果を計算した。結果は最終的に、媒体のみ(対照に対する%)を与えた動物で計算した値の%として表現した。
【0200】
化合物1−52C及び1−76Dに対する結果を以下図6で示す。これは、10mg/Kgの化合物を用いた血漿βアミロイド(Aβ)(対照に対する%)を示すものである。図7は、10mg/Kgの化合物1−52C及び1−76Dを用いての脳の水可溶性βアミロイド(Aβ)(対照に対する%)を示すものである。対照は、媒体の値である。βアミロイド阻害剤として知られているDAPT(4,4,4−トリニトロ酪酸の1,3−ジアジド−2−プロピルエステル)での結果も示されている。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】7W WT APP 751チャイニーズハムスターの卵巣(7W WT APP 751 CHO)細胞によるAβ1−40生成に対する、化合物1−38、1−50C、及び1−36の効果を示す棒グラフである。
【図2】7W WT APP751 CHO細胞によるAβ1−40生成に対する、10種の異なる濃度の化合物の効果を示す棒グラフである。
【図3】7W WT APP751 CHO細胞によるAβ1−40生成に対する、様々な濃度の様々な化合物の効果を示すグラフである。
【図4】7W WT APP751 CHO細胞によるAβ1−42生成に対する、様々な濃度の様々な化合物の効果を示す棒グラフである。
【図5】7W WT APP751 CHO細胞によるAβ1−40生成に対する、様々な濃度の様々な化合物の効果を示す棒グラフである。
【図6】インビボ実験における、化合物1−52C及び1−76Dでの治療後の、血漿βアミロイド(Aβ)(対照に対する%)濃度をを示す棒グラフである。
【図7】インビボ実験における、化合物1−52C及び1−76Dでの治療後の、脳水溶性βアミロイド(Aβ)濃度を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大脳でのアルツハイマーアミロイドの蓄積に関連する疾患を治療するための方法であって、前記方法が、式I、II、III、又はIVの化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグの治療有効量を、それを必要とする動物又はヒトに投与するステップを含み、前記化合物が、APP又はその断片を過剰発現する細胞においてβアミロイドの生成を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は50%、任意選択で減少させ、式Iの化合物が、次式
【化1】


であり、
式IIの化合物が、次式
【化2】


であり、
式IIIの化合物が、次式
【化3】


であり、
式IVの化合物が、次式
【化4】


である方法
(式I、II、及びIII中、
nは、3、4、又は5であり、
Rは、置換されていてもよいアルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、イソブチルなど、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、若しくはアシル、又は表1にRとして挙げられた任意の基であり、
Amは、置換されていてもよいアルキルアミンなどのアミンの残基であるか、又はAmは、表2又は3に挙げられている基から選択してもよく、
式IV中、
nは、1、2、又は3であり、
Rは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、若しくは置換されていてもよいアルキニル、又は一実施形態において、C1−10アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、若しくはイソブチルであり、
は、H、非置換アルキル又は置換アルキル、例えば直鎖、分枝、又はシクロアルキルを含む、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の非置換又は置換アルキルなどであるか、又はRと同じであり、
は、非置換アルキル又は置換アルキル、例えば直鎖、分枝、又はシクロアルキルを含む、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の非置換又は置換アルキルなどであり、その置換基は、例えば置換又は非置換の芳香族基であり、
及びRは、一緒になって、置換されていてもよいヘテロ環、例えば、窒素などの1種又は複数のヘテロ原子を含む、置換されていてもよい5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14員環の飽和又は不飽和ヘテロ環を形成してもよい)。
【請求項2】
式I、II、又はIIIにおいては、Rが、表1からなる群から選択され、Amが、表2又は表3からなる群から選択され、
式IVにおいては、
nが、1、2、又は3であり、
Rが、C1−10アルキルであり、
が、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、又はC10の非置換又は置換アルキルであり、
が、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の非置換又は置換アルキルであり、Rの置換基が、存在する場合には、置換又は非置換の芳香族基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式I、II、又はIIIにおいては、RがH、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、及びイソブチルから選択され、Amがアルキルアミンであり、
式IVにおいては、Rが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、又はイソブチルからなる群から選択され、Rが、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、又はC10の非置換アルキルであり、Rが、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の非置換アルキルである、請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
化合物が、
【化5】

1-52C
及び
【化6】

1-76D
からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
化合物の治療有効量が、1単位用量あたり約0.02〜1000mg、又は1単位用量あたり約0.5〜500mgである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
化合物を動物又はヒトに投与する経路が、非経口、経口、又は腹腔内である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
化合物が、硬質又は軟質のゼラチンシェルのカプセル剤、錠剤、トローチ、サッシェ、ロゼンジ、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース、パウダー、粒剤、溶液、及び乳濁液からなる群から選択される単位剤形で経口的に投与される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
それを必要とするヒトに投与するステップを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
疾患が、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性脳出血アミロイドーシス、又は他の形態の家族性のアルツハイマー病及び家族性大脳アルツハイマーアミロイド血管症からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
疾患が、アルツハイマー病である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
式I、II、III、又はIVの化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグであって、式Iの化合物が、次式
【化7】


であり、
式IIの化合物が、次式
【化8】


であり、
式IIIの化合物が、次式
【化9】


であり、
式IVの化合物が、次式
【化10】


である化合物
(式I、II、及びIII中、
nは、3、4、又は5であり、
Rは、置換されていてもよいアルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、若しくはアシル、又は表1にRとして挙げられた任意の基であり、
Amは、置換されていてもよいアルキルアミンなどのアミンの残基であるか、又はAmは、表2又は3に挙げられた基から選択してもよく、
式IV中、
nは、1、2、又は3であり、
Rは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、若しくは置換されていてもよいアルキニル、又は一実施形態においてはC1−10アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、若しくはイソブチルであり、
は、H、非置換アルキル又は置換アルキル、例えば直鎖、分枝、又はシクロアルキルを含むC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の非置換又は置換アルキルなどであるか、又はRと同じであり、
は、非置換のアルキル又は置換のアルキル、例えば直鎖、分枝、又はシクロアルキルを含むC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の非置換又は置換アルキルなどであり、その置換基は、例えば、置換又は非置換の芳香族基であり、
及びRは、一緒になって、置換されていてもよいヘテロ環、例えば窒素などの1又は複数のヘテロ原子を含む、置換されていてもよい5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14員環の飽和又は不飽和ヘテロ環を形成してもよい)。
【請求項12】
式I、II、又はIIIにおいては、Rが、表1からなる群から選択され、Amが、表2又は表3からなる群から選択され、
式IVにおいては、
nが、1、2、又は3であり、
Rが、C1−10アルキルであり、
が、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、又はC10の非置換又は置換アルキルであり、
が、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、又はC10の非置換又は置換アルキルであり、Rの置換基が、存在する場合には、置換又は非置換芳香族基である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
式I、II、又はIIIにおいては、Rが、H、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、及びイソブチルから選択され、Amがアルキルアミンであり、
式IVにおいては、Rが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、又はイソブチルからなる群から選択され、Rが、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、又はC10の非置換アルキルであり、Rが、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の非置換アルキルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
化合物が、
【化11】

1-52C
及び
【化12】

1-76D
からなる群から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載の化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグの治療有効量と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−528380(P2009−528380A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557480(P2008−557480)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/062959
【国際公開番号】WO2007/103683
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508121603)ロスキャンプ リサーチ, エルエルシー (2)
【氏名又は名称原語表記】ROSKAMP RESEARCH, LLC
【Fターム(参考)】