説明

γ−アミノ酪酸含有経口用組成物

【課題】γ−アミノ酪酸の苦味が十分に抑制された経口用組成物を提供する。
【解決手段】<1>γ―アミノ酪酸(GABA)及びレバウディオサイドAが40%以上であるステビア甘味剤を含有する経口用組成物。<2>γ―アミノ酪酸に対するレバウディオサイドAの含有量比率が0.0001〜0.5である、<1>記載の経口用組成物。<3>さらにメントールを含有する、<1>または<2>に記載の経口用組成物。<4>咀嚼錠、口腔内崩壊錠、またはトローチである、<1>〜<3>に記載の経口用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ−アミノ酪酸を含有する経口用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
γ−アミノ酪酸(GABA) は、血圧降下作用、肝機能改善作用、肥満防止作用、精神安定作用等を示すことが知られ、これを配合したサプリメントが知られている。特に、咀嚼錠や口腔内崩壊錠、トローチは、水なしで服用できるため、好ましい剤形である。しかしGABAには特有の苦味があり、前記剤形とした場合は、香味の点で課題がある。特に、GABAを多く配合する場合、服用性は非常に悪いものになる。
苦味を有する生理活性成分をマスキングする手段としては、精油、清涼化剤、甘味剤等を配合すること、さらに、前記甘味剤としてアスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビアなどの高甘味度甘味剤を使用することが知られている。しかし、これらの高甘味度甘味剤を使用しても、γ−アミノ酪酸を多く配合した場合は、十分な苦味抑制効果が得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−9820
【特許文献2】特開2001−72578
【特許文献3】特開2002−3380
【特許文献4】特開2008−106048
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、γ−アミノ酪酸の苦味が十分に抑制された経口用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を検討し、γ−アミノ酪酸を含有する経口用組成物に特定のステビア抽出物を配合することによって、γ−アミノ酪酸の苦味を効果的に抑制できることを知見し、本発明を完成した。即ち、本発明は
<1>γ―アミノ酪酸(GABA)及びレバウディオサイドAが40%以上であるステビア甘味剤を含有することを特徴とする、経口用組成物。
<2>γ―アミノ酪酸に対するレバウディオサイドAの含有量比率が0.0001〜0.5であることを特徴とする、<1>記載の経口用組成物。
<3>さらにメントールを含有する、<1>または<2>に記載の経口用組成物。
<4>咀嚼錠、口腔内崩壊錠、またはトローチである、<1>〜<3>に記載の経口用組成物。
を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の構成とすることによって、γ−アミノ酪酸の苦味が十分抑制されたγ−アミノ酪酸含有経口用組成物が得られ、特に、咀嚼錠、口腔内崩壊錠、トローチ等の水なしで服用する製剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(1)γ−アミノ酪酸(GABA)
本発明の経口用組成物は、γ−アミノ酪酸を必須成分とする。γ−アミノ酪酸の配合量は、経口用組成物中0.01〜50質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%である。0.01質量%未満だと有効量を確保するのが困難であり、50質量%を越えると、錠剤硬度が低下し強度が保てない可能性がある。
【0008】
(2)レバウディオサイドA含有量が40質量%以上のステビア甘味剤
本発明の経口用組成物に使用される甘味剤は、ステビア抽出物は、レバウディオサイドA40質量%以上を含有するステビア抽出物である。
一般に、ステビア抽出物には、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、ズルコサイドA、ステビオサイドなどの甘味成分が含まれ、これらの成分比が異なる各種ステビア甘味剤が存在する。その中で、本発明で使用するステビア甘味剤は、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、ズルコサイドA、ステビオサイドの総量に対するレバウディオサイドAの含有量が40〜90質量%のものを使用する。レバウディオサイド40質量%未満のステビア甘味剤では、γ−アミノ酪酸の苦味抑制効果が十分でない。前記ステビア甘味剤としては、レバウディオA9−90CT、レバウディオA9−90、レバウディオA7−90(守田化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の経口用組成物へのステビア抽出物の配合量は、γ―アミノ酪酸に対する前記レバウディオサイドAの比率(質量比)が、好ましくはレバウディオサイドA/γ―アミノ酪酸剤=0.0001/1〜0.5/1、より好ましくは0.001/1〜0.1/1、さらに好ましくは0.01/1〜0.05/1となる量に設定する。この範囲で、γ−アミノ酪酸の苦味をマスキングし、良好な味の製剤とすることができる。
【0009】
(3)アスパルテーム
本発明のγ−アミノ酪酸含有経口用組成物には、さらにアスパルテームを含有することが好ましい。前記特定のステビア甘味剤とアスパルテームを併用することによって、より高いγ−アミノ酪酸の苦味抑制効果が得られる。
アスパルテームの含有量は、好ましくはステビア甘味剤/アスパルテーム=1/1〜1/20、より好ましくは1/2〜1/10である。この範囲で、特に良好なγ−アミノ酪酸の苦味抑制効果が得られる。
【0010】
(4)メントール
本発明のγ−アミノ酪酸含有経口用組成物には、さらにメントールを含有することが好ましい。前記特定のステビア甘味剤とメントールとを併用することによって、より高いγ−アミノ酪酸の苦味抑制効果が得られる。
メントールの含有量は、好ましくはステビア甘味剤/メントール=1/0.001〜1/10、より好ましくは1/0.01〜1/5である。この範囲で、特に良好なγ−アミノ酪酸の苦味抑制効果が得られ、風味のよい組成物が得られる。
【0011】
(5)他の成分
本発明の経口用組成物には、前記成分の他に、経口用製剤に使用可能な各種生理活性成分(薬物)、不活性成分(添加剤)を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0012】
生理活性成分としては、機能性食品に配合される各種活性成分、例えば各種ビタミン、アミノ酸、薬用ハーブ、有機酸(食酢など)、ミネラル、食物繊維、DHA、EPA等が挙げられる。
【0013】
不活性成分としては、賦型剤、崩壊剤、結合剤、他の甘味剤、他の香料、顔料、滑沢剤などが挙げられる。
賦型剤としては、乳糖等の糖、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール、コーンスターチ等のデンプン、二酸化ケイ素が挙げられ、好ましくは糖アルコール、二酸化ケイ素を使用する。特に好ましい糖アルコールは、ソルビトールである。ソルビトールを使用すると、咀嚼錠とした場合に良好な硬度が得られ、噛んだ場合の食感に優れる。賦型剤の含有量は、経口用組成物全体に対して、好ましくは50〜99.9%、より好ましくは60〜99.8%である。
崩壊剤としては、クロスカルメロース、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースなどが挙げられる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、α化デンプンなどが挙げられる。
【0014】
他の甘味剤としては、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ソーマチンなどの甘味剤を含有することができる。
メントール以外の香料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の香料を配合することができる。
顔料としては、酸化亜鉛、二酸化チタンなどが挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0015】
(6)剤形、製造方法
本発明のγ−アミノ酪酸含有経口組成物は、錠剤、粒状剤等の固形製剤、ガム、液剤、ゼリー剤などとすることができるが、固形製剤とすることが好ましい。特に、咀嚼錠、口腔内崩壊錠、口腔内溶解錠、トローチなど、水なしで服用する製剤とすることが好ましい。
各製剤の製造は、特に限定されず、公知の方法で製造することができる。例えば、錠剤の場合は、各成分を混合し、打錠機にて打錠して得ることができる。
【実施例】
【0016】
以下に、本発明のγ−アミノ酪酸含有経口用組成物を、実施例を用いて説明する。表1に示した組成の錠剤を製造し、各々の錠剤について、γ−アミノ酪酸の苦味の有無を評価し、本発明の効果を示した。
【0017】
<γ−アミノ酪酸含有錠剤の製造>
(実施例1)
ソルビトール(パーテックSI150、メルク(株)社製)2000g、微粒二酸化ケイ素(サイロページ#720、富士シリシア化学(株)社製)28g、γ−アミノ酪酸(豊玉香料(株)社製)440g、ペパーミント香料150g、メントール香料130g、アスパルテーム80g、ステビア甘味剤14gをV型混合機V−5型(徳寿製作所)にて均一に混合し、さらにステアリン酸カルシウム14gを加えて均一に混合し、混合品2856gを得た。
ロータリー式錠剤機(菊水製作所製)で混合品を1粒あたり143mgとなるように打錠し、直径7.0mmの錠剤を得た。
この錠剤は、錠剤硬度は11.0kgであった。
【0018】
(実施例2〜4、比較例1〜2)
実施例1に準じて、各錠剤を製造した。これらの錠剤硬度は、10〜13kgfであった。
【0019】
<苦味抑制評価>
成人男性10人により、得られたγ−アミノ酪酸含有錠剤の苦味抑制効果を評価した。実施例、比較例の錠剤を口腔内に入れ、軽くかみながら溶解させ、苦味の有無を下記基準(5段階評価)により評価し、10人の平均値で示した。3.0点以上のものが許容できるレベルである。
苦味の評価基準
苦味がない :5点
わずかに苦味がある:4点
やや苦味がある :3点
かなり苦味がある :2点
非常に苦味がある :1点

【0020】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ―アミノ酪酸(GABA)及びレバウディオサイドAが40質量%以上であるステビア抽出物を含有することを特徴とする、経口用組成物。
【請求項2】
γ―アミノ酪酸に対するレバウディオサイドAの含有量比率が0.0001〜0.5であることを特徴とする、請求項1記載の経口用組成物。
【請求項3】
さらにメントールを含有する、請求項1又は2に記載の経口用組成物。
【請求項4】
咀嚼錠、口腔内崩壊錠、またはトローチである、請求項1〜3に記載の経口用組成物。








【公開番号】特開2010−280645(P2010−280645A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137746(P2009−137746)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】