説明

うつ病およびその他の情動障害を治療する方法

本発明はうつ病の治療のための医薬調合物を製造するためにガボクサドールを使用する方法に関する。さらに、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物と組み合わせて使用される医薬調合物を製造するためにガボクサドールを使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うつ病の治療に有用な薬剤を製造するためにガボクサドールを使用する方法に関する。本発明はまた、うつ病およびその他の情動障害を治療するために、ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤(SRI)または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物を組み合わせて使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2に記載されるガボクサドール(THIP)は、睡眠障害の治療における大きな可能性が示されている。
【0003】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(本明細書においてはSSRIsと呼ぶ)は、うつ病、特定の形態の不安および対人恐怖症の治療における第一選択の治療になっており、なぜならこれらは効果的で、良く許容され、そして古典的な三環系抗うつ剤と比較して良好かつ安全なプロファイルを有するからである。
【特許文献1】欧州特許(EP-B1)第0000338号明細書
【特許文献2】欧州特許(EP-B1)第0840601号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、うつ病および不安障害の臨床研究においては、SSRIsに対する非応答が30%に至るほどの相当な数であることが示されている。しばしば軽視されてしまう抗うつ治療におけるもう1つの要素はコンプライアンス(compliance)であり、これは薬物治療を続けるための患者の動機付けに相当大きな影響を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、うつ病治療用の医薬調合物を提供する。
【0006】
ガボクサドールは以下の一般式、
【0007】
【化1】

【0008】
を有し、「ガボクサドール」という記載は全体を通して、塩基(両性イオン)、薬学的に許容される塩、例えば薬学的に許容される酸付加塩、水和物または塩基もしくは塩の溶媒和物ならびに無水物(anhydrates)、および非晶質または結晶質の形態のような化合物の任意の形態も含むものである。
【0009】
さらに具体的には、本発明は、うつ病治療用の医薬調合物を製造するために、一般式、
【0010】
【化2】

【0011】
を有するガボクサドールを使用する方法に関する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、薬学的に許容される量のガボクサドールを、それを必要とする個体に投与することを含む、うつ病を治療する方法に関する。前記個体は、好ましくは男性のヒトまたは女性のヒト、子供、大人または高齢者のようなヒトである。
【0013】
本発明においてガボクサドールは、塩基(両性イオン)として、またはその薬学的に許容される酸付加塩として、または前記塩または塩基の無水物または水和物として使用することができる。本発明において使用される化合物の塩は、非毒性の有機または無機酸により形成される塩である。前記有機塩の例には、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、シュウ酸、ビスメチレンサリチル酸(bismethylene salicylic)、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸(ethane-disulfonic)、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、桂皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモテオフィリン(8-bromotheophylline)と同様にテオフィリン酢酸(theophylline acetic acids)を用いた塩が含まれる。前記無機塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸を用いた塩が含まれる。ガボクサドールは両性イオン、例えばその一水和物としても使用することもできる。
【0014】
本発明の酸付加塩は、ガボクサドールを不活性な溶剤における酸で処理し、引き続き公知の方法によって沈殿、単離および場合により再結晶化を行い、そして所望の場合には湿式または乾式粉砕またはその他の都合のよい方法による結晶質生成物の微粒子化を行い、または溶剤-乳化工程から粒子を製造することにより得ることができる。適当な方法は、特許文献1に記載されている。
【0015】
塩の沈殿は、典型的には不活性な溶剤、例えばアルコール(例えばエタノール、2-プロパノールおよびn-プロパノール)のような不活性な極性の溶剤において行われるが、水または水および不活性溶剤の混合物も使用することができる。
【0016】
1つの実施態様において、ガボクサドールは酸付加塩、または両性イオン水和物または両性イオン無水物の形態で使用される。さらなる実施態様において、ガボクサドールは塩酸塩または臭化水素酸塩から選択される薬学的に許容される酸付加塩の形態で、または両性イオンの一水和物の形態で使用される。ガボクサドールは結晶質形態であるのが最も都合がよい。
【0017】
本発明において、ガボクサドールは任意の適当な経路で、例えば経口的にまたは非経口的に投与することができ、前記投与に適する任意の適当な形態、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤または液剤または注射のための分散剤で存在することができる。好ましくは本発明の目的に応じて、ガボクサドールは適切には錠剤またはカプセル剤のような固体の薬剤の形態で、または注射のための懸濁剤、液剤または分散剤の形態で投与される。
【0018】
固体製剤の製造方法は当業者に公知である。錠剤は、活性成分を慣用のアジュバントおよび/または希釈剤と混合し、引き続いて適当な打錠機において前記混合物を圧縮することにより製造することができる。アジュバントまたは希釈剤の例には、コーンスターチ、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、ラクトース、増粘剤(gums)等が含まれる。その他の任意のアジュバント、または着色剤、香料、保存剤等のような添加剤も、活性成分と適合することを条件として使用することができる。
【0019】
ガボクサドールの適当な剤形は2002年5月17日に出願された国際公開(WO)第02/094225号明細書に記載されている。この特許出願における態様または実施態様はいずれも、本発明を限定することなく、本発明の薬剤または医薬調合物の適当な実施態様となる。
【0020】
ガボクサドールは典型的には、固体の経口用剤形のような経口用剤形、典型的には錠剤またはカプセル剤として、または液体の経口用剤形として投与される。ガボクサドールは、約0.1〜約100 mg/日、典型的には約0.5〜約50 mg/日、好ましくは約2.5〜約20 mg/日、例えば約5〜約15 mg/日のような、約0.1〜約150 mg/日の量で活性成分を含む、錠剤またはカプセル剤のような単位剤形(unit dosage forms)で経口的に投与されるのが最も都合がよい。ガボクサドールの量は遊離塩基形態を基準にして計算される。
【0021】
ガボクサドールは単剤療法はまたは他の薬剤との併用療法として投与することができる。特定の態様において、ガボクサドールは以下に記載するようにセロトニン再取り込み阻害剤と併用することができる。
【0022】
<ガボクサドールとセロトニン再取り込み阻害剤との併用>
さらに、ガボクサドールはセロトニン再取り込み阻害剤、特にシタロプラムおよびエスシタロプラムの治療効果のより速い発現を増強および提供するために使用することができる。
【0023】
今回驚くべきことに、ガボクサドールがセロトニン再取り込み阻害剤の治療効果のより速い発現を増強および提供するために使用することができることが見出された。
【0024】
1つの態様において本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物との併用において使用される医薬調合物の製造のために、ガボクサドールを使用する方法に関する。
【0025】
もう1つの態様において本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果の、より速い発現を増強および/または提供するために有用な医薬調合物の製造のために、ガボクサドールを使用する方法に関する。
【0026】
さらなる態様において本発明は、ガボクサドール、およびセロトニン再取り込み阻害剤である化合物または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物、および場合により薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤を含む、医薬調合物またはキットに関する。
【0027】
さらなる態様において本発明は、ガボクサドール、およびセロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物を、それを必要とする個体に投与することを含む、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物に応答する疾患または障害を治療する方法に関する。
【0028】
さらなる態様において本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果に応答する疾患または障害の治療のための医薬調合物を製造するために、ガボクサドール、およびセロトニン再取り込み阻害剤である化合物または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物を使用する方法に関する。
【0029】
さらなる態様において本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物で、治療されるまたは治療を受ける個体治療用の医薬調合物を製造するために、ガボクサドールを使用する方法であって、前記個体が、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果に応答する疾患または障害を患っていることを特徴とする前記方法に関する。
【0030】
さらなる態様において本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果に応答する疾患または障害の治療のためのキットを製造するために、ガボクサドール、およびセロトニン再取り込み阻害剤である化合物または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物を使用する方法に関する。
【0031】
さらなる態様において本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物で治療されるまたは治療を受ける個体にガボクサドールを投与することを含む、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果のより速い発現を増強および/または提供するための方法に関する。前記個体は好ましくは、男性のヒトまたは女性のヒト、子供、大人または高齢者のようなヒトである。
【0032】
1つの実施態様において、前記セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物は、うつ病、不安障害およびその他の情動障害、過食症のような摂食障害、食欲不振および肥満、恐怖症、気分変調、月経前症候群、認識障害、衝動調節障害、注意欠陥多動性障害および薬物乱用、特にうつ病の治療に使用される。
【0033】
さらなる実施態様において、前記セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物は、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害または社会不安障害を含む不安障害の治療に使用される。
【0034】
さらなる実施態様において、前記セロトニン再取り込み阻害剤は、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、ベンラファキシン、デュロキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、イミプラミン、フェモキセチンおよびクロミプラミンまたはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容される塩から選択される。前記のセロトニン再取り込み阻害剤のそれぞれが、個々の実施態様である。従って、それらの各々およびその使用方法が個々に請求され得る。
【0035】
さらなる実施態様において、前記セロトニン再取り込み阻害剤は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である。
【0036】
さらなる実施態様において、製造される医薬調合物またはキットは、活性成分の同時投与に適合する。1つの実施態様において、前記活性成分は同一単位の剤形に含まれる。
【0037】
さらなる実施態様において、製造される医薬調合物またはキットは、活性成分の連続投与に適合する。1つの実施態様において、前記活性成分は別々の単位剤形に含まれる。
【0038】
さらなる態様において本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物との併用で使用するための医薬調合物を製造するために、ガボクサドールを使用する方法に関する。
【0039】
特に本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果の、より速い発現を増強および/または提供するために有用な医薬調合物を製造するために、ガボクサドールを使用する方法に関する。
【0040】
さらに具体的には、本発明は、前記セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物とともに、うつ病、不安障害、および全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害および社会不安障害のようなその他の情動障害、過食症のような摂食障害、食欲不振および肥満、恐怖症、気分変調、月経前症候群、認識障害、衝動調節障害、注意欠陥多動性障害および薬物乱用、特にうつ病を治療するためにガボクサドールを上述のように使用する方法に関する。
【0041】
前記不安障害には、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害または社会不安障害が含まれる。
【0042】
本明細書で用いられる場合に、「増強(augmenting)」という語句は、SRIまたは細胞外5-HTのレベル上昇を引き起こす化合物の治療効果を改善すること、および/または前記治療効果を強化することに及ぶ。
【0043】
さらなる実施態様において本発明は、ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤である化合物または細胞外セロトニンのレベル上昇を引き起こす化合物を、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果に応答する疾患または障害の治療のための医薬調合物を製造するために使用する方法に関する。
【0044】
さらなる実施態様において本発明は、ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤である化合物または細胞外セロトニンのレベル上昇を引き起こす化合物を、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果に応答する疾患または障害の治療のための、成分一式(キット)を製造するために使用する方法に関する。
【0045】
セロトニン再取り込み阻害剤に応答する疾患には、うつ病、不安障害およびその他の情動障害、過食症のような摂食障害、食欲不振および肥満、恐怖症、気分変調、月経前症候群、認識障害、衝動調節障害、注意欠陥多動性障害および薬物乱用、特にうつ病が含まれる。
【0046】
語句「不安障害」は上述に定義したとおりである。
【0047】
1つの実施態様において本発明は、活性成分の同時投与に適合する上述のような医薬調合物を製造するために、ガボクサドールを使用する方法に関する。特に前記医薬調合物は、同一の単位剤形、例えば同一の錠剤またはカプセル剤中に活性成分を含むことができる。前記単位剤形は、均一な混合物として、または単位剤形の別々の区分において活性成分を含むことができる。
【0048】
もう1つの実施態様において本発明は、活性成分の連続投与に適合する上述したような医薬調合物またはキットを製造するために、ガボクサドールを使用する方法に関する。特に前記医薬調合物は、別々の単位剤形、例えば活性成分のいずれかを含む別々の錠剤またはカプセル剤で、活性成分を含むことができる。これらの別々の単位剤形は、同一の容器またはパッケージ、例えばブリスターパックに含まれていてもよい。
【0049】
本明細書におけるキットという語句は、それぞれの活性成分を含むが、別々の単位剤形で含む医薬調合物を意味する。
【0050】
本発明はまた、ガボクサドール、およびセロトニン再取り込み阻害剤である化合物または細胞外5-HTの上昇を引き起こすその他の化合物、および場合により薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤を含む医薬調合物またはキットに関する。
【0051】
本発明の医薬調合物またはキットは、上述に定義されるような活性成分の同時投与、または活性成分の連続投与に適合することができる。
【0052】
最後に本発明は、ガボクサドール、およびセロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンのレベル上昇を引き起こす化合物を、それを必要とする個体に投与することを含む、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンのレベル上昇を引き起こすその他の化合物に応答する疾患または障害を治療する方法に関する。
【0053】
特に本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物で治療されるまたは治療を受ける個体にガボクサドールを投与することを含む、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンのレベル上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果の、より速い発現を増強および/または提供するための方法に関する。
【0054】
うつ病、不安障害およびその他の情動障害、過食症のような摂食障害、食欲不振および肥満、恐怖症、気分変調、月経前症候群、認識障害、衝動調節障害、注意欠陥多動性障害および薬物乱用、特にうつ病を患う前記個体が、上述のような併用を用いる治療により恩恵を得ることができる。
【0055】
上述のように、不安障害には、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害または社会不安障害が含まれる。
【0056】
ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤は、上述のように同時に投与することができる。
【0057】
あるいは、活性成分は、例えば上述のような2つの別々の単位剤形で連続的に投与することができる。
【0058】
驚くべきことに、ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤を共投与することにより、抗うつ効果の予測動物モデル、マウス強制水泳試験において、応答がセロトニン再取り込み阻害剤単独での投与と比較して有意に増加した。
【0059】
上述のように、セロトニン再取り込み阻害剤では作用発現の遅延が見られる。SSRIsに対して応答する者においてさえ、症状の緩和に達するには数週間の治療が必要である。ガボクサドールは、セロトニン再取り込み阻害剤の治療効果のより速い発現を提供する。
【0060】
ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤を組み合わせて使用することにより、うつ病およびその他の情動障害の治療に必要なセロトニン再取り込み阻害剤の量を大幅に減らすことができ、従ってセロトニン再取り込み阻害剤により生じる副作用を減らすことができる。特に、減少した量のSRIとガボクサドールの併用は、SSRIに誘導される性機能不全および睡眠障害のリスクを減少させることができる。
【0061】
ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤の共投与は、難治性うつ病、すなわちセロトニン再取り込み阻害剤単独の投与では適当に治療することができないうつ病の治療にも有用である。典型的にはガボクサドールは、SRIを用いた治療の最初の6週間で、症状の少なくとも40〜60%の減少が達成されない患者において、SRIsへの応答を増加させるための追加治療として使用することができる。
【0062】
典型的には、ガボクサドールは酸付加塩、または両性イオン水和物または両性イオン無水物の形態で使用される。さらなる実施態様において、ガボクサドールは塩酸塩または臭化水素酸塩から選択される薬学的に許容される酸付加塩の形態で、または両性イオン一水和物の形態で使用される。ガボクサドールは結晶質形態であるのが最も都合がよい。
【0063】
多くのセロトニン再取り込み阻害効果を有する抗うつ剤が文献に記載されている。中枢神経系(CNS)におけるセロトニン再取り込み阻害を通してその治療効果を主にまたは部分的に発揮する薬学的に活性な化合物はいずれも、ガボクサドールを用いた増強により恩恵を受けることができる。
【0064】
以下のリスト:シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、R-フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、ベンラファキシン、デュロキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、イミプラミン、イミプラミンN-オキシド、デシプラミン、ピランダミン、ダゼピニル、ネフォパム、ベフラリン、フェゾラミン、フェモキセチン、クロミプラミン、シアノイミプラミン、リトキセチン、セリクラミン、セプロキセチン、WY 27587、WY 27866、イメルジン(imeldine)、イホキセチン、チフルカルビン、ビクァリン、ミルナシプラン、バジナプリン、YM 922、S 33005、F 98214-TA、OPC 14523、アラプロクラート、シアノドセピン(cyanodothepine)、トリミプラミン、キヌプラミン、ドチエピン、アモキサピン、ニトロキサゼピン(nitroxazepine)、McN 5652、McN 5707、Ol 77、Org 6582、Org 6997、Org 6906、アミトリプチリン、アミトリプチリンN-オキシド、ノルトリプチリン、CL 255.663、ピルリンドール、インダトラリン、LY 113.821、LY 214.281、CGP 6085 A、RU 25.591、ナパメゾール、ジクロフェンシン、トラゾドン、EMD 68.843、BMY 42.569、NS 2389、セルクロレミン(sercloremine)、ニトロキパジン(nitroquipazine)、アデメチオニン、シブトラミン、クロボキサミン、デスメチルスビトラミン(desmethylsubitramine)、ジデスメチルスビトラミン(didesmethylsubitramine)、クロボキサミンビラゾドン(clovoxamine vilazodone)、N-[( 1-[(6-フルオロ-2-ナフタレニル)メチル]- 4-ピペリジニル)アミノ]カルボニル]-3-ピリジンカルボキサミド、[trans-6-(2-クロロフェニル)-1,2,3,5,6,10b-ヘキサヒドロピロロ- (2,1-a)イソキノリン] (McN 5707)、 (dl-4-exo-アミノ-8-クロロ-ベンゾ-(b)-ビシクロ[3.3.1]ノナ-2-6 アルファ(10 アルファ)-ジエン ヒドロクロリド)(Org 6997)、 (dl)-(5 アルファ,8 アルファ,9 アルファ)-5,8,9,10-テトラヒドロ-5,9- メタノベンゾシクロオクテン-8-アミン塩酸塩 (Org 6906)、-[2-[4-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジニル]エチル]-3-イソプロピル-6-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロ-1H-2,1,3-ベンゾチアジアジン-2,2-ジオキシド (LY393558)、[4-(5,6-ジメチル-2-ベンゾフラニル)-ピペリジン] (CGP 6085)、ジメチル-[5-(4-ニトロ-フェノキシ)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-7-イル]-アミン (RU 25.591) 、にはガボクサドールを用いた増強から恩恵を受け得る多くのセロトニン再取り込み阻害剤が含まれる。
【0065】
【化3】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】

【0072】
上述の化合物はまた、その塩基または酸付加塩のような薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。上述に記載された各セロトニン再取り込み阻害剤は、個々に実施態様となり得る。従ってそれらの各々およびその使用方法が、個々にクレームされ得る。
【0073】
ガボクサドールを用いた増強により恩恵を受けるその他の治療用化合物には、セロトニン再取り込み阻害剤ではないけれどもシナプス間隙における5-HTの細胞外レベル上昇を引き起こす化合物が含まれる。前記化合物の1つはティアネプチンである。
【0074】
セロトニン再取り込み阻害剤およびセロトニンの細胞外レベル上昇を引き起こすその他の化合物に関する前記リストは、それによる限定を意図するものではない。
【0075】
1つの実施態様において、SRIsはシタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、デュロキセチン、ベンラファキシン、デュロキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、イミプラミン、フェモキセチンおよびクロミプラミンから選択される。これらのSRIs各々は個々に実施態様を構成し、個々の請求項の対象になることができる。
【0076】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)という語句は、ドーパミンおよびノルアドレナリントランスポーターよりもセロトニントランスポーターにおいてより強力な阻害効果を有するモノアミントランスポーターの阻害剤を意味する。
【0077】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRIs)は、本発明において使用される最も好ましいセロトニン再取り込み阻害剤の1つである。従ってさらなる実施態様において、SRIはシタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリンまたはパロキセチンのようなSSRIsから選択される。
【0078】
本発明の活性成分、すなわちガボクサドールおよびSRIまたは細胞外セロトニンレベル上昇を引き起こす化合物は、遊離塩基の形態で、またはその薬学的に許容される酸付加塩の形態で使用することができ、後者は前記塩基形態を適当な酸と反応させることにより得ることができる。
【0079】
好ましくはシタロプラムは臭化水素酸塩の形態で、または塩基として、エスシタロプラムはシュウ酸塩の形態で、フルオキセチン、セルトラリンおよびパロキセチンは塩酸塩の形態で、そしてフルボキサミンはマレイン酸塩の形態で使用される。
【0080】
上述のように、ガボクサドールとセロトニン再取り込み阻害剤との併用は予想外にCNSにおける相乗効果を示す。結果として、ガボクサドールおよび単剤療法において通常使用されるよりも低用量のセロトニン再取り込み阻害剤を用いる併用療法は効果的であり、単剤療法において使用される多量のセロトニン再取り込み阻害剤に伴う副作用は減少するか、または完全に抑制される。
【0081】
さらに、通常用量のセロトニン再取り込み阻害剤を用いるガボクサドールとの併用療法は、SSRIsを用いる慣用の単剤療法に対しては応答しない多数の患者において、しばしば有効なCNS効果を得ることができるという利点を有する。
【0082】
併用療法において使用されるガボクサドールの量は、約0.1〜約100 mg/日、約0.5〜約50 mg/日、約5〜約50 mg/日、または約1〜約5 mg/日のような、約0.1〜約150 mg/日の範囲内でよい。睡眠障害において有意な効果を示さない低量のガボクサドールは、エスシタロプラムのようなセロトニン再取り込み阻害剤を用いた併用療法において、明確かつ有意な効果を示す。低量は、典型的には約0.1〜約2.0 mg/日のような約0.1〜約2.5 mg/日から選択され、それに対して高量は、典型的には約2.5〜約150 mg/日から選択される。
【0083】
具体的に上述されるSSRIsを含むセロトニン再取り込み阻害剤は、分子量および活性の両方において相違する。結果として、併用療法で使用されるセロトニン再取り込み阻害剤の量は、前記セロトニン再取り込み阻害剤の性質に依存する。本発明の1つの実施態様において、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外5-HTのレベルの上昇を引き起こす化合物は、化合物が単独で使用される場合に必要な量よりも低用量で投与される。もう1つの実施態様において、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外5-HTレベルの上昇を引き起こす化合物は、通常の用量で投与される。
【0084】
本発明の医薬調合物を製造するために、塩形態または塩基形態である適当な量の活性成分が、投与に求められる調合物の形態に依存して多様な形態を取ることができる薬学的に許容されるキャリアーとともに、密な混合物(intimate admixture)に組み込まれる。これらの医薬調合物は好ましくは、経口的な、経直腸的な、経皮的なまたは非経口注射による投与に適した一体的な剤形である。例えば、経口剤形での調合物の製造では、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシルおよび液剤のような経口用の液体調合物の場合には、水、グリコール、油、アルコール等;散剤、丸剤(pills)、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、糖、カオリン、潤滑剤、バインダー、崩壊剤等のような固体のキャリアーのようないずれの通常の薬学的媒体も使用することができる。投与の容易さから、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態(dosage unit form)であり、その場合には当然に固体の薬学的キャリアーが使用される。
【0085】
投与の容易さおよび用量の均一性のために、投与単位形態で前記医薬調合物を製剤化することが特に有利である。本明細書および請求項において用いられる場合、単位剤形は、単一用量として適当な物理的に別個の単位を表し、各単位は必要な薬学的キャリアーと合わせて、予め決められ、所望の治療効果を実現するために計算された量の活性成分を含む。前記投与単位形態の例は、錠剤(分割錠および被覆錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、パウダーパケット(powder packets)、ウエハース(wafers)、注射用溶液または懸濁剤、ティースプーンフル(teaspoonfuls)、テーブルスプーンフル(tablespoonfuls)等、およびそれらの分離した複合物(segregated multiples)である。
【0086】
ガボクサドールは、ガボクサドールの投与とセロトニン再取り込み阻害剤の投与との間の時間によって成分がCNSにおいて相乗的に作用することができるということを条件として、セロトニン再取り込み阻害剤の投与の前、投与の間、または投与の後に投与することができる。ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤の同時投与を想定する場合には、セロトニン再取り込み阻害剤およびガボクサドールの両方を含む調合物が特に都合がよい。もう1つの方法として、ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤は、適当な調合物の形態で別々に投与することができる。前記調合物は上述の記載のように製造することができる。
【0087】
本発明はまた、精神医学の薬物療法における同時に、別々にまたは連続的に使用するための配合剤としてガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤を含む生成物を含む。前記生成物は、例えば、ガボクサドールを含む個別の単位剤形およびセロトニン再取り込み阻害剤を含む個別の単位剤形を含むキットであって、全てが同一の容器またはパック、例えばブリスターパックに含まれる前記キットを含むことができる。
【0088】
上述の同時または連続投与のための調合物は、セロトニン再取り込み阻害剤の代わりに、細胞外5-HTレベルの上昇を引き起こす他の化合物を含むことができる。
【実施例】
【0089】
<ガボクサドールの抗うつ効果に関する薬理学的試験>
うつ病に関するラット慢性軽度ストレス(CMS)モデルは、抗うつ活性に対して高度の予測妥当性を有する(Willner (1997), Psychopharmacol 134:319-329)。さらに前記手法は、動物における抗うつ作用の発現を研究するために適したモデルである(Behavioural Pharmacology 14:465-470, 2003, Sanchez, C. et al)。前記モデルの原理はストレスと情動障害との間の関係に基づく。慢性ストレスにさらされたラットは、褒美(例えばおいしいショ糖溶液)に対する感受性の減少を示す。
【0090】
<慢性軽度ストレスに関する実験方法>
実験開始2ヶ月前に雄のウィスターラット(Gorzkowska社, Warsaw)を研究所に持ち込んだ。以下の記載を除いて、前記動物を飼料および水を自由摂取させて1匹ずつ飼育し、22 ± 2 °Cの温度で12時間明/暗サイクルを維持した。
【0091】
最初に前記動物を1%ショ糖溶液を摂取するように訓練し;訓練は14時間の絶食絶飲に続いて、ホームケージにおいてショ糖を与える8回の1時間における基礎試験からなり;試験の終わりに、ショ糖溶液を含む計量前のボトルを計量することにより摂取量を測定した。続いて、全体の実験を通して類似の条件下でショ糖の摂取を観察した。最終の基礎試験におけるこれらのショ糖摂取量に基づいて、前記動物を2つの調和のとれた群(matched groups)に分類した。一方の群の動物に連続8週間、慢性軽度ストレスの処理を付した。毎週のストレス措置は、絶食絶飲、ケージを45度傾ける、断続的な照明(2時間おきに照明をオンおよびオフする)、汚れたケージ(オガクズの寝床に250 mlの水)、ペアでの飼育および弱いストロボ照明(1分あたり150回のフラッシュ)の2期間、およびストレスなしの2期間からなる。全てのストレス要因は10〜14時間の継続時間であり、個々におよび連続的に、日中におよび夜間に施される。他方の群の動物、ストレスを与えないコントロールは、別の部屋で飼育され、ストレスを与えられる動物とは接触させなかった。前記ラットはショ糖試験前の14時間は絶食絶飲させ、それ以外はホームケージにおいて飼料および水を自由摂取させた。3週間のストレス付与後のショ糖摂取スコアに基づいて、ストレス付与動物およびコントロール動物の両方を調和のとれた小群に分割し、その後5週間の間、1日に2回(およそ10時および17時に)腹腔内に薬剤注射を施した。ショ糖試験は週1回(火曜日)の頻度で午前10時に行った。異なる群の動物(n = 8)にビヒクル(vehicle)(1日あたり1 ml/kg)または試験薬剤を投与した。試験期間の前に、薬剤をおよそ10.00hに投与し、ショ糖試験を前の薬剤注射後24時間で実施した。ストレスは治療期間全体を通して継続された。基礎試験、および薬剤治療の終了までに体重を測定した。
【0092】
<慢性軽度ストレスの結果>
ラット慢性軽度ストレスモデルにおけるガボクサドールの試験により、前記化合物が有意な抗うつ様作用を有することが示された。1日あたり2.5 mg/kgの用量で、このモデルにおける明確かつ有意な作用を有していた。
【0093】
<エスシタロプラムとの併用におけるガボクサドール>
抗うつ活性に重要な系の活性を調節するために、セロトニン再取り込み阻害剤の行動モデル、マウス5-HTP相乗作用試験、および抗うつ活性の予測モデル、マウス強制水泳試験(C. Sanchez et al, Psychopharmacology (2003), 167:353-362参照)におけるガボクサドールとエスシタロプラム(SSRIである)との間の相互作用の評価を行った。
【0094】
<実験方法>
雄のNMRI/BOMマウス(18〜25 g;Bomholtgaard製, Denmark)を使用した。マウスはプラスチックケージ(35 x 30 x 12 cm)でそれぞれに10匹飼育し、試験前の少なくとも1週間施設に慣れさせた。室温(21 ± 2°C)、適切な湿度(55 ± 5%)、および換気(1時間に16回)は自動制御された。前記動物は試験前に市販のフードペレットおよび水道水を自由に摂取することができる。
【0095】
(5-HTP誘導行動の相乗作用)
マウスにおける研究のための試験方法はHyttel等(1992年)により詳細に記載されている。簡潔に言うと、試験化合物の皮下投与30分後にマウスに5-HTP(100 mg/kg、静脈注射)を投与する。その後、15分の観察期間の間、ホームケージにおいて、常同症(外側頭の移動)、震えおよび後肢外転に関して前記動物の評価を行った。徴候が存在するとそれぞれに対して1点が与えられる。1つの用量あたり合計8〜16匹のマウスを使用した。
【0096】
(強制水泳が誘導する不動の阻害)
空間的に拘束される容器において水泳を強制されたマウスは、特徴的な不動状態を示す。抗うつ剤での前治療によりこの効果は打ち消される。この試験はSanchezおよびMeier(Psychopharmacol 129:197-205; 1997)により詳細に記載されるとおりに行った。簡潔に言うと、6つの水泳ユニットを有する完全自動化試験系(マウスが予め入れられている1200 mlの汚れた水(23〜25°C)で満たした2000 mlのガラス瓶)を使用した。不動の評価は画像解析により行った。薬剤またはビヒクル処理の30分後に、マウスは前記ガラス瓶に入れられ、合計6分間水中に置かれる。最後の3分間における不動の積算継続時間を測定した。1つの用量あたり合計9〜18匹のマウスの試験を行った。
【0097】
<結果>
ガボクサドール (2.5 mg/kg) は5-HTP相乗作用試験におけるエスシタロプラム(0.5〜0.025 mg/kg)の急性効果を大きく増強し、強制水泳試験においてそれ自体では活性でないガボクサドール用量(2.5 mg/kg)は、エスシタロプラム(2.5および5 mg/kg)の抗うつ様効果を有意に増強した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容される量のガボクサドールをそれを必要とする個体に投与することを含む、うつ病の治療方法。
【請求項2】
ガボクサドールが酸付加塩または両性イオン水和物または両性イオン無水物の形態である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ガボクサドールが塩酸塩または臭化水素酸塩から選択される薬学的に許容される酸付加塩の形態、または両性イオン一水和物の形態である、請求項1〜2のいずれか1つに記載の方法。
【請求項4】
薬学的に許容される量が1日あたり5 mg〜15 mgのような2.5 mg〜20 mgの範囲のガボクサドールである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ガボクサドールが経口用剤形として投与される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
ガボクサドールが錠剤またはカプセル剤のような固体の経口用剤形、または液体の経口用剤形である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記ガボクサドールが結晶質である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記個体がヒトである、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
うつ病治療用の医薬調合物を製造するためにガボクサドールを使用する方法。
【請求項10】
ガボクサドールが酸付加塩または両性イオン水和物または両性イオン無水物の形態である、請求項9記載の使用方法。
【請求項11】
ガボクサドールが塩酸塩または臭化水素酸塩から選択される薬学的に許容される酸付加塩の形態、または両性イオン一水和物の形態である、請求項9〜10のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項12】
前記医薬調合物が5 mg〜15 mgのような2.5 mg〜20 mgのガボクサドールを含む、請求項9〜11のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項13】
ガボクサドールが経口用剤形である、請求項9〜12のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項14】
ガボクサドールが錠剤またはカプセル剤のような固体の経口用剤形、または液体の経口用剤形である、請求項9〜13のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項15】
前記ガボクサドールが結晶質である、請求項9〜14のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項16】
前記医薬調合物がうつ病にかかっているヒトを治療するためのものである、請求項9〜15のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項17】
セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物と組み合わせて使用するための医薬調合物を製造するためにガボクサドールを使用する方法。
【請求項18】
セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果のより速い発現を増強および/または提供するのに有用な医薬調合物を製造するために、ガボクサドールを使用する方法。
【請求項19】
セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物で治療されるかまたは治療を受ける個体の治療のための医薬調合物を製造するためにガボクサドールを使用する方法であって、前記個体が、セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物の治療効果に応答する疾患または障害を患っていることを特徴とする、前記使用方法。
【請求項20】
前記セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物が、うつ病、不安障害およびその他の情動障害、過食症のような摂食障害、食欲不振および肥満、恐怖症、気分変調、月経前症候群、認識障害、衝動調節障害、注意欠陥多動性障害および薬物乱用の治療に使用される、請求項17〜19のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項21】
前記セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物がうつ病の治療に使用される、請求項20記載の使用方法。
【請求項22】
前記セロトニン再取り込み阻害剤がシタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、ベンラファキシン、デュロキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、イミプラミン、フェモキセチンおよびクロミプラミン、またはこれらの化合物のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、請求項17〜21のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項23】
前記セロトニン再取り込み阻害剤が選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、請求項17〜22のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項24】
ガボクサドールが酸付加塩または両性イオン水和物または両性イオン無水物の形態である、請求項17〜23のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項25】
ガボクサドールが塩酸塩または臭化水素酸塩から選択される薬学的に許容される酸付加塩の形態、または両性イオン一水和物の形態である、請求項17〜24のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項26】
前記医薬調合物が約0.1〜約2.5 mgの範囲の量のガボクサドールを含む、請求項17〜25のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項27】
前記医薬調合物が約2.5〜約20 mgの範囲の量のガボクサドールを含む、請求項17〜25のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項28】
ガボクサドールが経口用剤形である、請求項17〜27のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項29】
前記セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物が経口用剤形である、請求項17〜28のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項30】
ガボクサドールが錠剤またはカプセル剤のような固体の経口用剤形、または液体の経口用剤形である、請求項28記載の使用方法。
【請求項31】
前記セロトニン再取り込み阻害剤または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こす化合物が錠剤またはカプセル剤のような固体の経口用剤形、または液体の経口用剤形である、請求項29記載の使用方法。
【請求項32】
ガボクサドールが結晶質である、請求項17〜31のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項33】
製造される医薬調合物がガボクサドールおよび前記セロトニン再取り込み阻害剤の同時投与に適合する、請求項17〜32のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項34】
ガボクサドールおよび前記セロトニン再取り込み阻害剤が同一の単位剤形に含まれる、請求項17〜33のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項35】
製造される医薬調合物がガボクサドールおよび前記セロトニン再取り込み阻害剤の連続投与に適合する、請求項17〜34のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項36】
ガボクサドールおよびセロトニン再取り込み阻害剤である化合物または細胞外セロトニンレベルの上昇を引き起こすその他の化合物、および場合により薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤を含む医薬調合物。
【請求項37】
前記セロトニン取り込み阻害剤がシタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、ベンラファキシン、デュロキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、イミプラミン、フェモキセチンおよびクロミプラミン、またはこれらの化合物のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択されることを特徴とする、請求項36記載の医薬調合物。
【請求項38】
ガボクサドールおよび前記セロトニン再取り込み阻害剤の同時投与に適合する、請求項36〜37のいずれか1つに記載の医薬調合物。
【請求項39】
ガボクサドールおよび前記セロトニン再取り込み阻害剤が同一の単位剤形に含まれる、請求項36〜38のいずれか1つに記載の医薬調合物。
【請求項40】
ガボクサドールが酸付加塩または両性イオン水和物または両性イオン無水物の形態である医薬調合物。
【請求項41】
ガボクサドールが塩酸塩または臭化水素酸塩から選択される薬学的に許容される酸付加塩の形態、または両性イオン一水和物の形態である、請求項36〜40のいずれか1つに記載の医薬調合物。
【請求項42】
ガボクサドールが約0.1〜約2.5 mgの範囲の量で存在する、請求項36〜41のいずれか1つに記載の医薬調合物。
【請求項43】
ガボクサドールが約2.5〜約20 mgの範囲の量で存在する、請求項36〜41のいずれか1つに記載の医薬調合物。
【請求項44】
ガボクサドールが錠剤またはカプセル剤のような固体の経口用剤形、または液体の経口用剤形のような経口用剤形である、請求項36〜43のいずれか1つに記載の医薬調合物。
【請求項45】
セロトニン再取り込み阻害剤が錠剤またはカプセル剤のような固体の経口用剤形、または液体の経口用剤形のような経口用剤形である、請求項36〜44のいずれか1つに記載の医薬調合物。
【請求項46】
ガボクサドールが結晶質である、請求項36〜45のいずれか1つに記載の医薬調合物。

【公表番号】特表2007−508236(P2007−508236A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515735(P2006−515735)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000459
【国際公開番号】WO2004/112786
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】