説明

おもちゃ

【課題】最小限の部材を使用するだけの簡単な構造で興趣に富んだ動作をすることができ、かつその動作に伴って倒れたり、位置が変動したりしないおもちゃを提供する。
【解決手段】柔軟性部材で構成された頭部、略円筒状の胴体部、及び吸盤部からなるおもちゃであって、頭部及び胴体部は一体成形されており、 胴体部と吸盤部とは前記吸盤部の上部を前記胴体部の下部に嵌め込むことによって接合されている。そして、前記吸盤部は一体成形された略円筒状の上部及び逆お椀型の下部とから構成されおり、吸盤部下部の逆お椀型の最大直径は吸盤部上部の略円筒状の最大直径の1〜3倍であり、吸盤部の逆お椀型の部分を床面や壁面などに吸着させることによって使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、興趣に富んだ動作をすることができるおもちゃに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おもちゃに関しては様々なものが提供されており、例えば、複雑なリンク機構やカム機構などを使用せずに最小限の部材を使用するだけの簡単な構造で興趣に富んだ動作をすることができるおもちゃが提供されている(特許文献1、特許文献2を参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3035877号公報
【特許文献2】実用新案登録第3036107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらのおもちゃでは、おもちゃが動作することに伴って倒れたり、おもちゃの位置が勝手に変動したりするという課題や、おもちゃが斜面や垂直面などにおいて固定した状態で動作することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために請求項1記載の発明は、柔軟性部材で構成された頭部、略円筒状の胴体部、及び吸盤部からなるおもちゃであって、頭部及び胴体部は一体成形されており、胴体部と吸盤部とは前記吸盤部の上部を前記胴体部の下部に嵌め込むことによって接合され、前記吸盤部は一体成形された略円筒状の上部及び逆お椀型の下部とから構成されており、吸盤部下部の逆お椀型の最大直径は吸盤部上部の略円筒状の最大直径の1〜3倍であることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のおもちゃであって、前記胴体部の下端寄りの位置にモータを内蔵するとともに、途中箇所を任意に屈曲させることが可能な細長い芯軸を、その一端が前記モータに接続して他端が頭部まで達するように胴体部及び頭部に内蔵したことを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のおもちゃであって、前記胴体部の下端寄りの位置にモータを内蔵するとともに、途中箇所を任意に屈曲させることが可能な細長い芯軸を、その一端が前記モータに接続して他端が頭部まで達するように胴体部及び頭部に内蔵し、前記モータの上方の直線状部位に断面多角形の回転体を取り付けるとともに、前記回転体の周囲に空隙部を設けて前記空隙部を取り囲む位置の胴体部の周壁を透明窓部となし、さらに前記空隙部に回転体の側面に接触して押されながら回転する複数のボールを収容したことを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3記載のおもちゃであって、前記柔軟性部材は、合成ゴム、シリコンゴム、塩化ビニル樹脂のいずれかで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るおもちゃは、柔軟性部材で構成された頭部、略円筒状の胴体部、及び吸盤部からなり、前記吸盤部は一体成形された略円筒状の上部及び逆お椀型の下部とから構成されて、吸盤部の上部を胴体部の下部に嵌め込むことによって、頭部及ぶ胴体部と一体化されているために、吸盤部の逆お椀型の部分を床面や壁面などに対して吸着させることによって、おもちゃがその動作に伴って倒れたり、位置が変動したりしないという効果がある。
また、吸盤部は斜面や垂直面にも吸着させることができるため、水平面だけでなく、おもちゃを斜面や垂直面などに吸着させて固定した状態で、おもちゃを動作させることができるという効果がある。
さらに、頭部及び胴体部が柔軟性部材でもって一体成形されていること、及び胴体部に途中箇所を任意に屈曲させることが可能な細長い芯軸を内蔵していることにより、頭部及び胴体部がクネクネと回転するおもしろさがあり、簡単な構造で興趣に富んだ動作をすることができるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
最小限の部材を使用するだけの簡単な構造で興趣に富んだ動作をすることができ、かつその動作に伴って倒れたり、位置が変動したりしないおもちゃを提供するという目的を、以下のように、本発明によるおもちゃによって実現した。
【実施例1】
【0010】
図1は、実施例1における本発明に係るおもちゃの構成を示した一部が断面図となっている説明図である。
本発明に係るおもちゃは、柔軟性部材で構成された頭部1、略円筒状の胴体部2、及び吸盤部3からなるおもちゃであって、頭部1及び胴体部2は一体成形されている。胴体部2の内部は中空であっても良い。
そして、断面図に示されている通り、胴体部2と吸盤部3とは吸盤部3の上部を胴体部2の下部に嵌め込むことによって接合されている。
前記吸盤部3は略円筒状の上部と逆お椀型の下部からなり、一体的に構成されており、前記吸盤部3の下部の逆お椀型の最大直径は上部の略円筒状の最大直径の1〜3倍である。吸盤部3の逆お椀型の部分を床面や壁面などに吸着させることによって使用する。吸盤部3は、斜面や垂直面にも吸着させることができるため、水平面だけでなく、おもちゃを斜面や垂直面などに吸着させて固定した状態で、おもちゃを動作させることができる。
そして、吸盤部3の下部の逆お椀型の表面には、吸着を解除することを容易にするための吸盤突起部4が備えられている。
【0011】
前記柔軟性部材の材質は、合成ゴム、シリコンゴム、塩化ビニル樹脂のいずれかで構成されている。ただし、頭部1、胴体部2及び吸盤部3が同一の柔軟性部材で構成されている場合ばかりでなく、例えば、頭部1及び胴体部2はシリコンゴムで構成され、吸盤部3は塩化ビニル樹脂で構成されている場合であっても良い。
【0012】
本実施例ではおもちゃ本体が略コケシの形状になっているが、本発明に係るおもちゃの形状はこれに限定するものではなく自由である。従って、頭部1または胴体部2の表面も滑らかでなく、例えば複数の突起などがあっても良い。
【実施例2】
【0013】
図2は、実施例2における本発明に係るおもちゃの構成を示した説明図である。実施例2は、実施例1のおもちゃの胴体部2にモータ5が内蔵された構成となっている。
すなわち、胴体部2の下端寄りの位置にモータ5を内蔵するとともに、途中箇所を任意に屈曲させることが可能な細長い芯軸6を、その一端が前記モータ5に接続して他端が頭部1まで達するように胴体部2及び頭部1に内蔵している。
胴体部2の下端部には硬質のケースが一体化して、そのケースに電池7が収納されている。また、ケースにはスイッチ8と、前記モータ5の回転数を調整可能なスピードコントローラ9が設けられている。
【0014】
前記スイッチ8をONにすると、胴体部2のモータ5が回転することに伴って芯軸6も回転する。頭部1及び胴体部2は、上記のように柔軟性部材により成形されているので、内蔵したモータ5の回転によって芯軸6が動くと、それに伴って変形する。したがって、頭部1及び胴体部2はクネクネと回転することになる。
しかし、この場合でも吸盤部3の逆お椀型の部分を床面や壁面などに吸着させることによって、おもちゃが倒れたり、位置が変動したりしない。また、吸盤部3は斜面や垂直面にも吸着させることができるため、水平面だけでなく、おもちゃを斜面や垂直面などに吸着させて固定した状態で、おもちゃを動作させることができる。
【0015】
本実施例ではおもちゃ本体が略コケシの形状になっているが、本発明に係るおもちゃの形状はこれに限定するものではなく自由である。従って、頭部1または胴体部2の表面も滑らかでなく、例えば複数の突起などがあっても良い。また、本実施例では胴体部2に内蔵した芯軸6をくの字形に屈曲させているが、この芯軸6の屈曲形状も自由であり、より複雑に屈曲させることも可能である。
【0016】
図4は本実施例のおもちゃが有線リモコンボックス14によって制御される場合を示したものであり、以下これについて詳説する。
本実施例において電池7は胴体部2に内蔵されている場合ばかりでなく、図4に示されている通り、外付けの有線リモコンボックス14に内蔵されていても良い。そして、有線リモコンボックス14とおもちゃ本体とはケーブル15によって接続されている。有線リモコンボックス14には、スイッチ8と、前記モータ5の回転数を調整可能なスピードコントローラ9が設けられている。
【0017】
有線リモコンボックス14のスイッチ8をON状態にすることによって、胴体部2のモータ5を回転させることができる。胴体部2のモータ5が回転すると芯軸6が回転する。芯軸6は上記のように途中箇所が屈曲しているので、その先端が大きく回転する。頭部1及び胴体部2は、上記のように柔軟性部材により成形されているので、内蔵したモータ5の回転によって芯軸6が動くと、それに伴って変形する。したがって、頭部1及び胴体部2はクネクネと回転することになる。
【0018】
図5は本実施例のおもちゃが無線リモコンボックス16によって制御される場合を示したものであり、以下これについて詳説する。
まず、胴体部2に設置されているスイッチ8をON状態とすることによって、無線リモコンボックス16からの命令によっておもちゃを動作させることが可能な状態となる。胴体部2の下端部には硬質のケースが一体化して、そのケースに電池7が収納されている。
そして、無線リモコンボックス16の内部は、アンテナと送信回路を形成したプリント基板からなる送信部17と電池7を内蔵した構成になっている。無線リモコンボックス16には、スイッチ8と、前記モータ5の回転数を調整可能なスピードコントローラ9が設けられている。無線リモコンボックス16のスイッチ8はON状態で特定の周波数の電波をおもちゃ本体に向けて送信することができ、おもちゃ本体の胴体部2に内蔵されているアンテナと受信回路を形成したプリント基板からなる受信部18が当該電波を受けてモータ5の動作を制御する構成となっている。
【実施例3】
【0019】
図3は、実施例3における本発明に係るおもちゃの構成を示した説明図である。実施例3は、実施例2のおもちゃの胴体部2内のモータ5の上方に回転体10が設けられた構成となっている。
胴体部2は、その下端寄りの位置にモータ5を内蔵するとともに、その上方に回転体10付きの芯軸6も内蔵している。芯軸6は下端側に直線状部位を有し、その上方部位は略くの字形に屈曲しており、その直線状部位に回転体10を取り付けている。回転体10は断面が多角形、例えば断面が6角形になっており、全体形状は角柱になっている。芯軸6はその下端をモータ5に接続し、上端は頭部1まで達している。回転体10の周囲には空隙部11を設け、前記空隙部11を取り囲む位置の胴体部2の周壁を透明窓部12となしている。空隙部11には複数個のボール13を収容している。ボール13は回転体10の側面に接触し、又、透明窓部12の内面にも接触している。
胴体部2の下端部には硬質のケースが一体化して、そのケースに電池7が収納されている。また、ケースにはスイッチ8と、前記モータ5の回転数を調整可能なスピードコントローラ9が設けられている。
【0020】
前記スイッチ8をONにすると、胴体部2のモータ5を回転させることができる。胴体部2のモータ5が回転すると芯軸6及び回転体10が回転する。芯軸6は上記のように途中箇所が屈曲しているのでその上端が大きく回転する。頭部1及び胴体部2は、上記のように柔軟性部材により成形されているので、内蔵したモータ5の回転によって芯軸6及び回転体10が動くと、それに伴って変形する。したがって、頭部1及び胴体部2はクネクネと回転することになる。
しかし、この場合でも吸盤部3の逆お椀型の部分を床面や壁面などに吸着させることによって、おもちゃが倒れたり、位置が変動したりしない。また、吸盤部3は斜面や垂直面にも吸着させることができるため、水平面だけでなく、おもちゃを斜面や垂直面などに吸着させて固定した状態で、おもちゃを動作させることができる。
【0021】
また、回転体10が回転すると、その側面に接触したボール13が周方向に押されて回転する。このボール13の回転運動は透明窓部12から透視することができる。なお、ボール13は透明窓部12の内面にも接触し、その透明窓部12は柔軟性を有しているので、ボール13が回転するときに透明窓部12が押されて外側へ若干膨出し、その膨出部位はボール13の回転と共に周方向へ移動することになる。
【0022】
本実施例ではおもちゃ本体が略コケシの形状になっているが、本発明に係るおもちゃの形状はこれに限定するものではなく自由である。従って、頭部1または胴体部2の表面も滑らかでなく、例えば複数の突起などがあっても良い。また、本実施例では胴体部2に内蔵した芯軸6をくの字形に屈曲させているが、この芯軸6の屈曲形状も自由であり、より複雑に屈曲させることも可能である。
【0023】
なお、本実施例においても、回転体10は図示されていないが、図4に示されているように有線リモコンボックス14によって制御される場合であっても良い。
本実施例において電池7は胴体部2に内蔵されている場合ばかりでなく、外付けの有線リモコンボックス14に内蔵されていても良い。そして、有線リモコンボックス14とおもちゃ本体とはケーブル15によって接続されている。なお、有線リモコンボックス14には、スイッチ8と、前記モータ5の回転数を調整可能なスピードコントローラ9が設けられている。
【0024】
有線リモコンボックス14のスイッチ8をONにすると、胴体部2のモータ5を回転させることができる。胴体部2のモータ5が回転すると芯軸6及び回転体10が回転する。胴体部2のモータ5が回転すると芯軸6が回転する。芯軸6は上記のように途中箇所が屈曲しているのでその先端が大きく回転する。頭部1及び胴体部2は、上記のように柔軟性部材により成形されているので、内蔵したモータ5の回転によって芯軸6及び回転体10が動くと、それに伴って変形する。したがって、頭部1及び胴体部2はクネクネと回転することになる。
【0025】
なお、本実施例においても、回転体10は図示されていないが、図5に示されているように無線リモコンボックス16によって制御される場合であっても良い。
まず、胴体部2に設置されているスイッチ8をON状態とすることによって、無線リモコンボックス16からの命令によっておもちゃを動作させることが可能な状態となる。胴体部2の下端部には硬質のケースが一体化して、そのケースに電池7が収納されている。
そして、無線リモコンボックス16の内部は、アンテナと送信回路を形成したプリント基板からなる送信部17と電池7を内蔵した構成になっている。無線リモコンボックス16には、スイッチ8と、前記モータ5の回転数を調整可能なスピードコントローラ9が設けられている。無線リモコンボックス16のスイッチ8はON状態で特定の周波数の電波をおもちゃ本体に向けて送信することができ、おもちゃ本体の胴体部2に内蔵されているアンテナと受信回路を形成したプリント基板からなる受信部18が当該電波を受けてモータ5の動作を制御する構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1における本発明に係るおもちゃの構成を示した一部が断面図となっている説明図である。
【図2】実施例2における本発明に係るおもちゃの構成を示した説明図である。
【図3】実施例3における本発明に係るおもちゃの構成を示した一部が断面図となっている説明図である。
【図4】有線リモコンボックス14を使用した場合のおもちゃの構成を示した説明図である。
【図5】無線リモコンボックス16を使用した場合のおもちゃの構成を示した説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 頭部
2 胴体部
3 吸盤部
4 吸盤突起部
5 モータ
6 芯軸
7 電池
8 スイッチ
9 スピードコントローラ
10 回転体
11 空隙部
12 透明窓部
13 ボール
14 有線リモコンボックス
15 ケーブル
16 無線リモコンボックス
17 送信部
18 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性部材で構成された頭部、略円筒状の胴体部、及び吸盤部からなるおもちゃであって、
頭部及び胴体部は一体成形されており、
胴体部と吸盤部とは前記吸盤部の上部を前記胴体部の下部に嵌め込むことによって接合され、
前記吸盤部は一体成形された略円筒状の上部及び逆お椀型の下部とから構成されており、吸盤部下部の逆お椀型の最大直径は吸盤部上部の略円筒状の最大直径の1〜3倍であることを特徴とするおもちゃ。
【請求項2】
前記胴体部の下端寄りの位置にモータを内蔵するとともに、途中箇所を任意に屈曲させることが可能な細長い芯軸を、その一端が前記モータに接続して他端が頭部まで達するように胴体部及び頭部に内蔵したことを特徴とする請求項1記載のおもちゃ。
【請求項3】
前記胴体部の下端寄りの位置にモータを内蔵するとともに、途中箇所を任意に屈曲させることが可能な細長い芯軸を、その一端が前記モータに接続して他端が頭部まで達するように胴体部及び頭部に内蔵し、
前記モータの上方の直線状部位に断面多角形の回転体を取り付けるとともに、
前記回転体の周囲に空隙部を設けて前記空隙部を取り囲む位置の胴体部の周壁を透明窓部となし、
さらに前記空隙部に回転体の側面に接触して押されながら回転する複数のボールを収容したことを特徴とする請求項1記載のおもちゃ。
【請求項4】
前記柔軟性部材は、合成ゴム、シリコンゴム、塩化ビニル樹脂のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のおもちゃ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−112752(P2009−112752A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313983(P2007−313983)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(507398486)
【Fターム(参考)】