説明

お出迎えシステム

【課題】お出迎えシステムにおいて、より精度高くユーザに適した車両環境を実現することにある。
【解決手段】電子キー2及び携帯電話4に備えられる両加速度センサ21,41の検出結果に基づき生成される情報に基づき携帯電話のユーザが電子キー2を携帯しているか否かが判断される。ここで、電子キー2及び携帯電話4を同一のユーザが携帯している場合、電子キー2及び携帯電話4には同様の加速度の変化パターンが見られると想定される。よって、車載装置3は両加速度センサ21,41の検出結果に基づき生成される情報が一致又は近似していると判断される場合には、電子キー2及び携帯電話4は同一のユーザに携帯されているとして、ユーザ情報信号に基づき携帯電話4を携帯するユーザに適した車両環境を整える制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザに適した車両環境に整えることでユーザを出迎えるお出迎えシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子キーと車両側との無線通信を通じて車両ドアの施解錠、エンジン始動許可等を行う電子キーシステムが知られている。この電子キーシステムにおいて、例えば、1台の車両を複数のユーザが共有する場合には、各ユーザがオーディオ、座席位置等の車両環境を自分に適するように手動で整えねばならず、面倒であった。
【0003】
そこで、1台の車両に対して複数の電子キーが登録可能な電子キーシステムにおいて、電子キーと車両側との無線通信時に同電子キーに設定される個人の車両環境データが車両側に送信される構成が知られている。これにより、電子キーから送信される車両環境データに基づき自動でユーザに適した車両環境が整えられる(例えば、特許文献1参照。)。なお、ユーザの乗車時において、車両が同ユーザに適した車両環境を整えてユーザを出迎えるシステムをお出迎えシステムとよぶ。
【0004】
また、複数のユーザが1つの電子キーを共有する場合にも、電子キーを携帯するユーザに適した車両環境を実現するために、例えば、以下のような、お出迎えシステムが検討されている。すなわち、電子キーにはユーザの歩行に伴う加速度を検出する加速度センサが設けられる。そして、電子キーの制御部は加速度センサの検出結果に基づき、電子キーを携帯するユーザの歩調等の歩行態様を判断し、その判断結果に基づきユーザ推定を行う。これにより、複数のユーザが電子キーを共有した場合であっても、電子キーにおいてユーザの推定がされて、そのユーザに適した車両環境を車両側に要求することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−49918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記記載のお出迎えシステムではユーザの歩行態様に基づきユーザ推定を行っているところ、例えば、ユーザが荷物を持っていたり、走っていたりする等のユーザが普段と異なる態様で歩行した場合には、正しくユーザ推定がされないおそれがあり、ひいてはユーザに適した車両環境が整えられないことになる。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より精度高くユーザに適した車両環境を実現できるお出迎えシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、車両環境の自動調節機能を有する車両との無線通信を通じて自身を所持するユーザに適した車両環境への自動調節動作を実行する旨要求する要求信号を送信する電子キーと、前記要求信号に基づきユーザに適した車両環境への自動調節動作を実行する車載機と、を備えるお出迎えシステムにおいて、ユーザに所持されるとともに、そのユーザを示すユーザ情報信号を前記電子キー又は前記車載機に送信する携帯端末と、前記電子キー及び前記携帯端末に設けられるとともに、それぞれ自身を携帯するユーザの動作に伴い生じる加速度を検出する加速度検出手段と、を備え、前記携帯端末は自身の加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報を、前記携帯端末を携帯するユーザの動作を示す情報信号として前記電子キー又は前記車載機に送信し、前記電子キーは自身の加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報を、前記電子キーを携帯するユーザの動作を示す情報信号として前記車載機に送信し、前記車載機は、前記両情報信号に基づき前記両加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報が一致又は近似していると判断されるときには、前記電子キー及び前記携帯端末は同一のユーザに携帯されているとして、前記ユーザ情報信号に基づき前記携帯端末を携帯するユーザに適した車両環境を整える制御を実行することをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、電子キー及び携帯端末に備えられる加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報に基づき携帯電話のユーザが電子キーを携帯しているか否かが判断される。具体的には、電子キー及び携帯端末からの情報信号に基づく両加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報が一致又は近似しているか否かが判断される。ここで、電子キー及び携帯端末を同一のユーザが携帯している場合、電子キー及び携帯端末には同様の加速度の変化パターンが見られると想定される。よって、車載機は両加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報が一致又は近似していると判断される場合には、電子キー及び携帯端末は同一のユーザに携帯されているとして、ユーザ情報信号に基づき携帯端末を携帯するユーザに適した車両環境を整える制御を実行する。これにより、より確実に電子キーを携帯するユーザに適した車両環境を実現できる。なお、ユーザの動作は、例えばユーザの歩行動作及び、車両への乗り込み動作である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のお出迎えシステムにおいて、前記電子キーは前記携帯端末からのユーザの動作を示す情報信号及び自身の加速度検出手段の検出結果に基づき、又は車載機は前記両情報信号に基づき、歩行時における前記電子キーを携帯するユーザの一歩に要する時間及び前記携帯端末を携帯するユーザの一歩に要する時間を算出して、前記両ユーザの一歩に要する時間が一致又は近似する場合には、前記電子キー及び前記携帯端末は同一のユーザに携帯されているとして、前記ユーザ情報信号に基づき前記携帯端末を携帯するユーザに適した車両環境を整える制御が実行されることをその要旨としている。
【0011】
一歩に要する時間、ひいては歩調は、歩行者の体格及び歩き方等により異なるため、電子キー及び携帯端末を携帯するユーザの歩調をみることで、電子キー及び携帯端末を携帯するユーザが同一人であるか否かを識別できる。上記構成によれば、歩調に相当する電子キー及び携帯端末を携帯するユーザの一歩に要する時間に基づき、電子キー及び携帯端末のユーザが同一か否か識別される。電子キー及び携帯端末のユーザが同一と識別された場合には、携帯端末からのユーザ情報信号に基づき同携帯端末を携帯するユーザに適した車両環境とされる。このように、ユーザの一歩に要する時間に基づき、より確実に電子キーを携帯するユーザに適した車両環境を実現できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のお出迎えシステムにおいて、前記車載機は、前記携帯端末に同携帯端末を携帯するユーザの動作を示す情報信号の送信を要求する旨の無線信号が送信される通信エリアを車両周辺に形成し、前記携帯端末は前記通信エリアに進入したときに、自身の前記加速度検出手段を起動させて、ユーザの動作を示す情報信号を前記車載機に送信可能とすることをその要旨としている。
【0013】
同構成によると、携帯端末は通信エリアに進入したときに自身の加速度検出手段を起動させる。従って、携帯端末を携帯するユーザが通信エリアの外に存在する場合には、加速度検出手段には電力が供給されない。このため、携帯端末において加速度検出手段の動作に伴う電力消費を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、お出迎えシステムにおいて、より精度高くユーザに適した車両環境を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における電子キーシステムの構成図。
【図2】本実施形態における検出された水平方向及び垂直方向の加速度の推移を示したグラフ。
【図3】本実施形態におけるユーザの歩調及び歩幅を示した模式図。
【図4】本実施形態における車両及びその周辺に形成される通信エリアを示した上面図。
【図5】他の実施形態における加速度の推移及び乗り込み動作の有無判断に供されるしきい値を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を電子キーシステムに具体化した一実施形態について図1〜図4を参照しつつ説明する。
図1に示すように、車両に搭載される電子キーシステムにおいては、車両ユーザが所持する電子キー2(送信側)と、車両側に設けられる車載装置3(受信側)との間での単方向通信が可能である。また、携帯電話4及び車載装置3の双方向間において、Bluetooth(R)通信が可能である。Bluetooth通信は数m〜数十m離間した情報機器間において情報信号に含まれる情報のやりとりを可能とする通信規格であり、特別な許可なしに利用できる利点から様々な分野の電子機器に搭載されている。すなわち、Bluetooth通信により携帯電話4及び車載装置3間において、2.4GHz帯の無線信号に情報が付加された情報信号が送受信可能である。
【0017】
<電子キー>
電子キー2は、マイコン23と、送信回路24と、送信アンテナ25と、キー側加速度センサ21と、アンロックスイッチ26と、ロックスイッチ27とを備えている。なお、電子キー2には図示しない電池が内蔵され、同電池から電子キー2の各部に動作電源が供給される。
【0018】
キー側加速度センサ21は、ユーザの歩行時に電子キー2に加わる加速度に応じた電圧をマイコン23に出力する。キー側加速度センサ21は3軸方向(XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸)の加速度を検出可能である。また、キー側加速度センサ21は常時起動していることが望ましい。なお、加速度センサには機械式、光学式、半導体式のもの等があるが、電子キー2に内蔵可能であって、ユーザの歩行に基づく電子キー2への加速度変化を検出できるものであれば何れもキー側加速度センサ21として採用可能である。
【0019】
マイコン23は、不揮発性のメモリ23aを備えるとともに、そのメモリ23aには、キー側加速度センサ21の検出結果に基づき電子キー2を携帯するユーザの歩調を算出するためのしきい値、及び電子キー2に個別に設定されたIDコード等が記憶されている。マイコン23は、キー側加速度センサ21の検出結果に基づき、電子キー2を携帯するユーザの歩調を算出する。
【0020】
以下に、マイコン23による電子キー2を携帯するユーザの歩調の算出方法について説明する。
図2には、キー側加速度センサ21による地面に対して垂直方向の加速度の検出結果を実線にて例示する。なお、マイコン23は重力加速度の方向変化により電子キー2が地面に対してどのような向きにあるかを判断できる。
【0021】
図2に示されるとともに、メモリ23aに記憶されるしきい値Aは、例えば以下のような観点に基づき、シミュレーション等により決定される。すなわち、図3に示すように、歩行の際に一方の足が後から前に振り出されて着地したとき、ユーザが携帯する電子キー2には着地に伴う衝撃が加わる。しきい値Aは、当該衝撃に伴う加速度未満に設定される。
【0022】
マイコン23は、図2に示すように、キー側加速度センサ21により検出される加速度がしきい値A以上となった時刻t1から自身に設けられる図示しないタイマを通じて一度しきい値未満となってから次に加速度がしきい値A以上となる時刻t2までの第1の時間T1を計測する。そして、時刻t2からタイマを通じて一度しきい値未満となってから次に加速度がしきい値A以上となる時刻t3までの第2の時間T2を計測する。さらに、時刻t3からタイマを通じて一度しきい値未満となってから次に加速度がしきい値A以上となる時刻t4までの第3の時間T3を計測する。以下同様にして、第10の時間T10までを計測する。
【0023】
各時間T1〜T10は、図3に示すように、一方の足が地面を離れてから他方の足が地面に着地するまでの時間、すなわち一歩に要する時間であり、これらの時間は歩調に対応している。正確には、ユーザの一歩に要する時間は歩調の一拍に相当する。マイコン23は、第1の時間T1から第10の時間T10までの時間を平均することで、ユーザの動作を示す情報としての一歩に要する時間、すなわち歩調の一拍の平均時間を算出する。ここで、歩調の一拍の平均時間は、歩く人の体格、歩き方等により個人差が見られる。このため、歩調の一拍の平均時間に基づきユーザ推定が可能となる。
【0024】
図1に示すように、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27は、操作されるとその旨を示す操作信号をマイコン23へ出力する。マイコン23は、アンロックスイッチ26が操作された旨の操作信号を受けると、車両に対してドアの解錠を要求する旨のIDコードを含む解錠要求信号を生成する。このとき、マイコン23は、電子キー2を携帯するユーザの歩調の一拍をユーザ歩調コードとして解錠要求信号に含ませる。すなわち、図1に拡大して示すように、解錠要求信号には電子キー2のIDコードと、車両ドアの解錠の実行を要求する機能コードと、ユーザ歩調コードとが含まれている。そして、マイコン23は、この解錠要求信号を送信回路24に出力する。
【0025】
また、マイコン23は、ロックスイッチ27が操作された旨の操作信号を受けると、車両に対してドアの施錠を要求する旨のIDコードを含む施錠要求信号を生成する。すなわち、施錠要求信号には、電子キー2のIDコードと、車両ドアの施錠の実行を要求する機能コードとが含まれている。なお、施錠要求信号には上記のユーザ歩調コードは含まれていない。そして、マイコン23は、この施錠要求信号を送信回路24に出力する。
【0026】
送信回路24は、マイコン23から入力された解錠要求信号又は施錠要求信号を所定周波数帯の電波に変調する。なお、所定周波数帯は、例えばRF(Radio Frequency)帯である。送信アンテナ25は、送信回路24により変調された解錠要求信号又は施錠要求信号を送信する。
【0027】
<携帯電話>
図1に示すように、携帯電話4は携帯側加速度センサ41と、携帯側制御部43と、スレーブ通信部45と、を備えている。なお、携帯電話4には、図示しない電池が内蔵され、各部に動作電源を供給している。また、携帯電話4は、例えばユーザの衣服のポケット、カバン等に収納された状態で携帯される。また、携帯電話4には、携帯電話本来の機能である通話機能等を発揮するために、上記構成の他に各種構成が備えられているが、ここでは必要な構成についてのみ図示し、その他の構成の図示は省略している。
【0028】
携帯側加速度センサ41はユーザの歩行時に携帯電話4に加わる加速度に応じた電圧を携帯側制御部43に出力する。携帯側加速度センサ41は、上記キー側加速度センサ21と同様に3軸方向の加速度を検出可能である。なお、加速度センサには機械式、光学式、半導体式のもの等があるが、携帯電話4に内蔵可能であって、ユーザの歩行に基づく携帯電話4への加速度変化を検出できるものであれば何れも携帯側加速度センサ41として採用可能である。
【0029】
携帯側制御部43は、図1に示すように、不揮発性のメモリ43aを備えるとともに、そのメモリ43aには、携帯側加速度センサ41の検出結果に基づき携帯電話4を携帯するユーザの歩調を算出するためのしきい値、本携帯電話4の携帯者(ユーザ)が誰であるかを示すユーザ情報等が記憶されている。携帯側制御部43は携帯側加速度センサ41の検出結果に基づき携帯電話4を携帯するユーザの歩調(正確には、歩調の一拍の平均時間)を算出する。携帯電話4を携帯するユーザの歩調の算出方法は、上記電子キー2のマイコン23による電子キー2を携帯するユーザの歩調の算出方法と同様である。すなわち、携帯側制御部43は、携帯側加速度センサ41の検出する加速度がしきい値A以上となる時刻間の時間T1〜時間T10を平均することで、歩調の一拍の平均時間を算出する。
【0030】
スレーブ通信部45は、後述する車載装置3に備えられるマスタ通信部35との間でBluetooth通信を行う。携帯側制御部43は、スレーブ通信部45に常時待機電力を供給することで、マスタ通信部35からの無線信号を常時受信可能な待ち受け状態とする。
【0031】
<車載装置>
図1に示すように、車載装置3は、受信アンテナ31と、受信回路32と、車載制御部33と、マスタ通信部35とを備えている。受信アンテナ31は、電子キー2から送信されてくる所定周波数(RF帯)の電波である解錠要求信号又は施錠要求信号を受信する。受信回路32は、受信アンテナ31により受信された解錠要求信号又は施錠要求信号を復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号を車載制御部33に出力する。
【0032】
マスタ通信部35は、前述した携帯電話4に備えられるスレーブ通信部45との間でBluetooth通信を行う。マスタ通信部35は、図4に示すように、無線信号(2.4GHz帯)を車両周辺に送信する。そして、マスタ通信部35(車載装置3)を中心として当該無線信号が送信される半径数十mのピコネット(Piconet)と称する通信エリア60が形成される。
【0033】
図4に示すように、通信エリア60に携帯電話4を携帯するユーザが進入すると、両通信部35,45間において通信が開始される。通信開始から所定時間経過後に両通信部35,45間の通信が成立する。両通信部35,45間において通信が成立したときには、携帯側制御部43は携帯側加速度センサ41に電力を供給して、ユーザの歩行に伴う加速度の計測を開始する。また、通信成立後にはマスタ通信部35及びスレーブ通信部45間において、適宜無線信号に情報が付加された情報信号が送受信されることで、情報のやりとりが可能となる。すなわち、通信が成立したときには、スレーブ通信部45からマスタ通信部35に携帯電話4のユーザを示すユーザ情報信号が送信される。また、携帯側制御部43によって歩調の一拍の平均時間の算出が完了したときには、スレーブ通信部45からマスタ通信部35にユーザ歩調コードを含む歩調情報信号が送信される。なお、歩調情報信号のユーザ歩調コードには、歩調の一拍の平均時間を示す情報が付加されている。
【0034】
車載制御部33は、不揮発性のメモリ33aを備えるとともに、そのメモリ33aには、車載装置3が搭載されている車両に適合する電子キー2のIDコードと同一のIDコード、並びにユーザ毎に運転に適した車両環境及び好みの車両環境が登録されている個人データが記憶されている。具体的に、個人データにはユーザに適したシート位置、シート角度、ステアリング位置、音楽等が記憶されている。車載制御部33はシート位置、シート角度及びステアリング位置を自動で調整する運転姿勢調節装置51、カーナビゲーション等の表示部としてのディスプレイ装置52、音楽等を音声にて出力するオーディオ装置53、車室灯のオンオフ、光量及び色の調整を行う照明装置54、車両ドアの施解錠を行うドア制御装置50等の統括制御を行う。
【0035】
車載制御部33は、受信回路32から入力された受信信号にメモリ33aに記憶されたIDコードと一致するIDコードが含まれる解錠要求信号であると判断したとき、正規の電子キー2による車両ドアの解錠に関する要求があった旨を認識する。そして、車載制御部33は、このように認識したとき、ドア制御装置50にドア解錠指令信号を出力する。その結果、ドア制御装置50により車両ドアが解錠される。
【0036】
また、車載制御部33は携帯電話4からのユーザ情報信号に基づきユーザを推定する。さらに、車載制御部33は、電子キー2の解錠要求信号及び携帯電話4の歩調情報信号に含まれる歩調の一拍の平均時間の比較を通じて、上記ユーザの推定結果を肯定又は否定する。詳細な車載制御部33によるユーザの推定方法については後で説明する。
【0037】
車載制御部33はユーザ推定を肯定した場合、自身のメモリ33aに記憶される個人データを参照して肯定されたユーザが登録されているか否か確認する。個人データに肯定されたユーザが登録されている場合には、同ユーザの運転に適した車両環境を整える。具体的には、運転姿勢調節装置51を介してシート位置、シート角度、ステアリングの高さ、をユーザの体格等に適するように調整することで運転に適した車両環境を整える。また、車載制御部33は自身のメモリ33aに記憶される個人データを参照して、ユーザの好みに応じた車両環境とする。具体的には、照明装置54を介して車室灯の色及び光量を、オーディオ装置53を介して音楽を、同オーディオ装置53のスピーカ部及びディスプレイ装置52を介してユーザを出迎えるときの音声及び表示等を、それぞれユーザの好みの設定とする。このように、運転に適した車両環境及びユーザの好みに応じた車両環境を実現することで、ユーザに適した車両環境を整えることができる。一方、個人データに肯定されたユーザが登録されていない場合には、シート位置等を初期位置に戻すなどして車両環境をデフォルト状態とする、若しくは前回降車したときの車両環境を保つ。
【0038】
個人データは、例えば図示しない入力装置をスイッチ操作することで、適宜登録または変更可能とされている。例えば、ユーザは最も運転し易いシート位置等を個人データとして登録が可能である。また、ユーザは、複数種類の選択候補から好みの照明色等を選択し、これを個人データとして登録できる。また、ユーザは、好みの音楽等も個人データとして登録可能である。この場合、車両側ではユーザ毎に登録された曲を再生してもよいし、若しくはラジオ局を選局してもよい。また、ユーザの好きな音楽のジャンルを登録しておき、そのジャンルに適した音楽を検索して再生するようにしてもよい。なお、個人データは学習によって更新されていってもよい。この場合には、推定されたユーザが乗車毎に実行する車両環境の調整、例えばシート位置、音楽等の設定を同ユーザの個人データとして自動で登録される。
【0039】
また、車載制御部33は、受信回路32から入力された受信信号にメモリ33aに記憶されたIDコードと一致するIDコードが含まれる施錠要求信号であると判断したとき、正規の電子キー2による車両ドアの施錠に関する要求があった旨を認識する。そして、車載制御部33は、このように認識したとき、ドア制御装置50にドア施錠指令信号を出力する。その結果、ドア制御装置50によりドアが施錠される。
【0040】
次に、車載制御部33によるユーザの推定方法について詳述する。なお、ここでは、電子キー2及び携帯電話4が通信エリア60に進入し、スレーブ通信部45及びマスタ通信部35間で通信が成立した後に、電子キー2に対してアンロックスイッチ26のスイッチ操作が行われたとする。
【0041】
前述のように、車載制御部33は携帯電話4からのユーザ情報信号に基づきユーザを推定する。さらに、車載制御部33は、ユーザ情報信号を送信した携帯電話4の携帯者(ユーザ)が電子キー2の携帯者(ユーザ)と同一人であるか否かを判断するために、以下のような処理を行う。
【0042】
すなわち、車載制御部33は電子キー2からの解錠要求信号に含まれるユーザ歩調コードを認識するとともに、携帯電話4からの歩調情報信号に含まれるユーザ歩調コードを認識する。そして、車載制御部33は電子キー2及び携帯電話4からの両ユーザ歩調コードに含まれる歩調の一拍の平均時間の比較を通じて、ユーザ情報信号に基づくユーザの推定結果を肯定又は否定する。
【0043】
ここで、同一のユーザが電子キー2及び携帯電話4を携帯して歩いていた場合には、電子キー2及び携帯電話4にて算出される歩調の一拍の平均時間は一致又は近似する。このため、車載制御部33は、両ユーザ歩調コードに含まれる両歩調の一拍の平均時間が一致又は近似していると判断した場合には、電子キー2及び携帯電話4を携帯しているユーザは同一人であるとして、ユーザ情報信号に基づくユーザの推定結果を肯定する。ここで、両歩調の一拍の平均時間の近似は、両加速度センサ21,41の検出誤差等による両歩調の一拍の平均時間の微差を含むように設定されている。
【0044】
ところで、同一のユーザが電子キー2及び携帯電話4を携帯していた場合であっても、電子キー2及び携帯電話4をそれぞれ異なる位置に収納して携帯することが考えられる。具体的には、電子キー2がポケットに収納され、携帯電話4がカバンに収納されるようなケースである。このような場合には、図2に示すように、しきい値A以上となる加速度が生じた時刻t1〜時刻t10は電子キー2及び携帯電話4においてそれぞれ異なる。しかしながら、電子キー2及び携帯電話4において、同一周期毎にしきい値A以上となる加速度が検出されるところ、各時刻t1〜t10間の時間T1〜T10は同一である。すなわち、電子キー2及び携帯電話4が収納される位置に関わらず、歩行に伴う局所的な加速度変化の周期は同一となる。このため、同一のユーザが電子キー2及び携帯電話4を異なる位置に収納していても、各時間T1〜T10の平均時間である歩調の一拍の平均時間は、一致又は近似することとなり、ユーザ情報信号に基づくユーザの推定結果が肯定される。ユーザの推定結果が肯定された場合には、上記したようにユーザに適した車両環境が整えられる。
【0045】
一方、車載制御部33は、両歩調の一拍の平均時間が一致及び近似していないと判断した場合には、電子キー2及び携帯電話4を携帯しているユーザは同一人でないとして、ユーザ情報信号に基づくユーザの推定結果を否定する。
【0046】
ここで、例えば、複数人が同一車両に乗車する際には、各人が携帯する携帯電話と車載装置3との間(正確には、両通信部35,45間)で通信が行われることが想定される。各人が携帯する携帯電話にはBluetooth通信機能、すなわちスレーブ通信部45に相当するものが設けられているとする。このような状況においては、車載制御部33は、各人が携帯する携帯電話からのユーザ情報信号及び歩調情報信号に基づき、各携帯電話のユーザ及び同各人の歩調の一拍の平均時間を認識する。ここで、複数人で車両に向けて歩行する場合には、例えば喋りながら横に並んで歩くことが想定される。従って、両者の歩調の一拍の平均時間は近似しやすい。このような場合には、まず車載制御部33は携帯電話のユーザである複数人についてユーザ推定する。このユーザ推定結果を肯定又は否定するために、車載制御部33は各人の歩調の一拍の平均時間と、電子キー2からの解錠要求信号に含まれる歩調の一拍の平均時間とを比較する。そして、車載制御部33は、電子キー2の歩調の一拍の平均時間に最も近い歩調の一拍の平均時間が算出された携帯電話4、正確には同平均時間を含む歩調情報信号を送信した携帯電話4についてのユーザ推定結果のみを肯定する。これにより、電子キー2及び携帯電話4を携帯するユーザと、携帯電話のみを携帯する同乗者とが並んで歩いている場合であっても、正しく電子キー2を携帯するユーザの推定について肯定される。また、同一の車両を異なるユーザが運転する場合であっても、電子キー2を携帯するユーザは特別な操作を行うことなく、電子キー2を運転者に手渡すだけで乗車時において自らに適した車両環境が整えられる。ただし、ユーザが携帯する携帯電話が送信するユーザ情報信号に含まれるユーザ情報に対応する個人データが予め車載制御部33のメモリ33aに登録されている必要がある。
【0047】
また、電子キー2とは別に設けられる図示しないメカニカルキーを車両の運転席近傍に設けられる同じく図示しないキー孔に差し込み操作することにより、車両エンジンを始動及び停止することができる。
【0048】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)電子キー2及び携帯電話4に備えられる両加速度センサ21,41の検出結果に基づき生成される情報(歩調の一拍の平均時間)に基づき携帯電話のユーザが電子キー2を携帯しているか否かが判断される。具体的には、電子キー2及び携帯電話4からの情報信号に基づく両加速度センサ21,41の検出結果に基づき生成される情報が一致又は近似しているか否かが判断される。ここで、電子キー2及び携帯電話4を同一のユーザが携帯している場合、電子キー2及び携帯電話4には同様の加速度の変化パターンが見られると想定される。よって、車載装置3は両加速度センサ21,41の検出結果に基づき生成される情報が一致又は近似していると判断される場合には、電子キー2及び携帯電話4は同一のユーザに携帯されているとして、ユーザ情報信号に基づき携帯電話4を携帯するユーザに適した車両環境を整える制御を実行する。これにより、より確実に電子キー2を携帯するユーザに適した車両環境を実現できる。
【0049】
(2)一歩に要する時間、ひいては歩調は、歩行者の体格及び歩き方等により異なるため、電子キー2及び携帯電話4を携帯するユーザの歩調をみることで、電子キー2及び携帯電話4を携帯するユーザが同一人であるか否かを識別できる。上記構成によれば、歩調に相当する電子キー2及び携帯電話4を携帯するユーザの一歩に要する時間(歩調の一拍)に基づき、電子キー2及び携帯電話4のユーザが同一か否か識別される。電子キー2及び携帯電話4のユーザが同一と識別された場合には、携帯電話4からのユーザ情報信号に基づき同携帯電話4を携帯するユーザに適した車両環境とされる。このように、ユーザの一歩に要する時間に基づき、より確実に電子キー2を携帯するユーザに適した車両環境を実現できる。
【0050】
(3)携帯電話4は通信エリア60に進入したときに携帯側加速度センサ41を起動させる。従って、携帯電話4を携帯するユーザが通信エリア60の外に存在する場合には、携帯側加速度センサ41には電力が供給されない。このため、携帯電話4において携帯側加速度センサ41の動作に伴う電力消費を低減できる。
【0051】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態においては、携帯端末として携帯電話4を利用していた。しかし、ユーザの歩行時の加速度を検出及びその検出結果を車載装置3に送信可能であれば、携帯電話4に限らず、専用の携帯端末であってもよい。
【0052】
・上記実施形態においては、送信側である電子キー2から解錠要求信号又は施錠要求信号が受信側である車載装置3に単方向に送信される、ワイヤレスキーシステムと呼ばれる電子キーシステムが搭載されていた。しかし、車載装置3から送信される応答要求信号に応じて電子キー2が応答信号を返信することで、ユーザが操作することなく車両ドアの施解錠等が可能となる、キー操作フリーシステムと呼ばれる電子キーシステムを採用してもよい。本構成においては、電子キー2は応答信号にユーザ歩調コードを含ませることが可能である。また、マスタ通信部35から送信される無線信号を応答要求信号として利用することもできる。この場合には、電子キー2にスレーブ通信部45又は受信回路及びアンテナ等を設け、応答要求信号を受信可能とする。
【0053】
・上記実施形態においては、10歩目までの各時間T1〜T10を計測していた。しかし、計測する歩数はこれに限定されない。計測する歩数を増やした場合には、より精度の高い歩調の一拍の平均時間を算出でき、ひいては、より精度高くユーザ推定結果を肯定又は否定できる。また、計測する歩数は計測する歩数に達する前にユーザが車両に到着することがないように設定される。すなわち、比較的大きい通信エリア60が形成されている場合には、車両到達まで多くの歩数を要するため、計測する歩数も多くすることが可能となる。
【0054】
・上記実施形態においては、電子キー2からの歩調の一拍の平均時間は解錠要求信号に含まれて送信されていたが、解錠要求信号と別の独立した信号として送信してもよい。この場合には、例えば、歩調の一拍の平均時間の算出が完了した時点等のアンロックスイッチ26が操作されたタイミング以外においても算出された歩調の一拍の平均時間を含む無線信号を車載装置3に送信可能である。よって、いっそう迅速にユーザ推定結果の肯定が可能となり、ひいては、より迅速にユーザに適した車両環境が整えられる。
【0055】
・上記実施形態においては、車載制御部33はユーザに適した車両環境を整えるために、シート位置、車室灯の色等を調整していた。しかし、ユーザに適した車両環境は上記実施形態に挙げたものに限らず、例えばドアミラー角度、エアコンディショナの室温等をユーザに適した設定とすることで、ユーザに適した車両環境としてもよい。
【0056】
・上記実施形態においては、歩調の一拍の平均時間に基づきユーザ推定結果を肯定又は否定していた。しかし、歩調の一拍の平均時間に限らず、平均歩幅に基づきユーザ推定結果を肯定又は否定してもよい。具体的に、平均歩幅の算出方法について説明する。両加速度センサ21,41は3軸方向の加速度が検出可能であるところ、重力方向のみならず、地面に対して水平方向の加速度を検出することができる。ここで、歩行時には足が地面に着地することに伴う減速と、地面に接する足を踏ん張ることで生じる推力に伴う加速と、を繰り返すところ、水平方向の加速度は図2に一点鎖線で示すように、周期的に増減を繰り返す波形となる。
【0057】
マイコン23は、図3に示すように、時刻t1から時刻t2までの加速度センサ21により検出される水平方向への加速度を時間で2回積分することで時刻t1から時刻t2までの歩幅L1を演算する。さらに、マイコン23は、時刻t2から時刻t3までの歩幅L2、時刻t3から時刻t4までの歩幅L3、同様にして歩幅L10までを演算する。そして、マイコン23は、各歩幅L1〜L10を平均することで平均歩幅を算出する。また、携帯側制御部43も同様に歩幅L1〜L10の演算を通じて、平均歩幅を算出する。マイコン23又は携帯側制御部43は算出された平均歩幅を解錠要求信号又は歩調情報信号に含ませて車載装置3に送信する。ここで、歩調と同様に、歩幅は歩く人の体格、歩き方等により個人差が見られる。すなわち、平均歩幅が一致又は近似する場合には、同一ユーザが電子キー2及び携帯電話4を携帯している可能性が高い。従って、車載制御部33は、解錠要求信号及び歩調情報信号に含まれる平均歩幅が一致又は近似している場合、携帯電話4からのユーザ情報信号に基づくユーザの推定結果を肯定する。また、車載制御部33は平均歩幅に加えて、歩調の一拍の平均時間を比較することで、さらに精度高くユーザ推定結果を肯定又は否定できる。
【0058】
・上記実施形態においては、ユーザの歩行時における動作、具体的には歩調の一拍の平均時間に基づきユーザ推定結果を肯定又は否定していた。しかし、ユーザの歩行に限らず、ユーザの車両への乗り込み動作に基づきユーザ推定を肯定又は否定してもよい。
【0059】
具体的には、ユーザが乗り込み動作をする場合には、歩行時に比べて大きな加速度が発生すると想定される。そこで、図5に示すように、マイコン23及び携帯側制御部43は、それぞれしきい値B以上の加速度が検出された時刻t100を認識する。ここで、しきい値Bは、シミュレーション等により、歩行時に生じる加速度を超え、かつ乗り込み動作時に生じる加速度を含む値に設定されている。そして、携帯側制御部43は乗り込み動作があった旨を歩調情報信号に含ませて車載制御部33に送信する。ここで、乗り込み動作中においては、すでに解錠要求信号は送信済みであるところ、マイコン23は乗り込み動作があった旨を解錠要求信号に含ませて送信することはできない。そこで、マイコン23は乗り込み動作があった旨示す情報を新たな無線信号に含ませて車載装置3側に送信する。
【0060】
車載制御部33は歩調情報信号及び新たな無線信号に基づき電子キー2及び携帯電話4がそれぞれ認識した時刻t100、すなわち乗り込み動作時が同一であるか否かを判断する。車載制御部33は電子キー2及び携帯電話4における乗り込み動作時が同一であると判断した場合には、電子キー2及び携帯電話4を携帯するユーザが同一人であるとして、携帯電話4からのユーザ情報信号に基づくユーザ推定結果を肯定する。そして、そのユーザに適した車内環境が整えられる。ここで、たとえ複数人が並んで車両に近づいた場合であっても、車両への乗り込むタイミングは異なると想定される。このため、乗り込むタイミングを見ることで、何れの携帯電話4のユーザが電子キー2を携帯しているかを確実に判断できる。なお、乗り込み動作時の同一は、若干の誤差を許容するように設定されている。
【0061】
・上記実施形態においては、電子キー2はキー側加速度センサ21の検出結果に基づき、携帯電話4は携帯側加速度センサ41の検出結果に基づき、それぞれ歩調の一拍の平均時間を算出して、それら算出結果を解錠要求信号及び歩調情報信号に含ませて車載装置3に送信していた。しかし、電子キー2及び携帯電話4にて歩調の一拍の平均時間を算出することなく、両加速度センサ21,41の検出結果を解錠要求信号及び歩調情報信号に含ませて車載装置3に送信してもよい。この場合、車載制御部33は両加速度センサ21,41の検出結果に基づき歩調の一拍の平均時間を算出し、両算出結果を比較する。そして、車載装置3は、これら算出結果である歩調の一拍の平均時間が一致又は近似する場合には、ユーザ情報信号に基づくユーザ推定結果を肯定して、そのユーザに適した車両環境を整える。
【0062】
また、車載装置3は、歩調の一拍の平均時間を算出することなく、両加速度センサ21,41の検出結果を比較してもよい。この場合、車載装置3は図2に例示するような両加速度センサ21,41により検出される加速度の変化のパターンが近似するか否かに基づきユーザ推定結果を肯定又は否定する。これにより、例えば、ユーザが車椅子に乗って移動している場合等であって、図2に示す歩行に伴う局時的な加速度変化がみられないときであっても、電子キー2及び携帯電話4の加速度の変化のパターンが一致又は近似すれば、車載制御部33は同一ユーザが電子キー2及び携帯電話4を携帯しているとして、ユーザ推定結果を肯定する。
【0063】
・上記実施形態においては、携帯電話4及び車載装置3間において、Bluetooth通信が可能であったが、電子キー2にマスタ通信部35を設け、携帯電話4及び電子キー2間においてBluetooth通信を可能としてもよい。この場合には、電子キー2においてユーザの推定及びその推定結果の肯定及び否定を行う。具体的には、携帯電話4及び電子キー2間の通信成立時において、携帯電話4から電子キー2に歩調情報信号及びユーザ情報信号が送信される。電子キー2のマイコン23はユーザ情報信号に基づきユーザの推定を行った後に、キー側加速度センサ21の検出結果及び携帯電話4からの歩調情報信号に基づきユーザ推定結果を肯定又は否定する。そして、電子キー2のアンロックスイッチ26が押下されたときには、マイコン23は肯定されたユーザ推定結果を含む解錠要求信号を送信する。従って、車載装置3は解錠要求信号に含まれるユーザ推定結果に基づき車両環境を整えることができる。また、メモリ23aに個人データが記憶されていれば、マイコン23は同個人データに基づき肯定されたユーザに適した車両環境を実現する制御の実行を要求する旨を解錠要求信号に含ませて送信してもよい。この場合、車載制御部33は個人データを参照することなく、解錠要求信号に含まれる制御内容に応じて車両環境を整える制御を実行する。
【0064】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項1又は請求項2に記載のお出迎えシステムにおいて、前記電子キーは前記携帯端末からのユーザの動作を示す情報信号及び自身の加速度検出手段の検出結果に基づき、又は車載機は前記両情報信号に基づき、ユーザの歩幅を算出し、前記歩幅が一致又は近似する場合には、前記電子キー及び前記携帯端末は同一のユーザに携帯されているとして、前記ユーザ情報信号に基づき前記携帯端末を携帯するユーザに適した車両環境を整える制御が実行されるお出迎えシステム。
【0065】
歩幅も歩調と同様に、歩行者の体格及び歩き方等により異なるため、電子キー及び携帯端末を携帯するユーザの歩幅をみることで、電子キー及び携帯端末を携帯するユーザが同一人であるか否かを識別できる。特に、請求項2に記載のお出迎えシステムに適用することで、歩調に相当する一歩に要する時間に加えて、さらに歩幅を算出して、歩調及び歩幅の両者により、電子キー及び携帯端末が同一のユーザに携帯されているか否かの識別がされるため、より精度高くその識別がされて、ひいては、より確実に電子キーを携帯するユーザに適した車両環境を実現できる。
(ロ)請求項1〜3のいずれか一項に記載のお出迎えシステムにおいて、前記携帯端末は携帯電話であるお出迎えシステム。
【0066】
近年、携帯電話の他機能化に伴い加速度検出手段が内蔵されているものも一般的になりつつある。この加速度検出手段を備えた携帯電話をお出迎えシステムにおける携帯端末とすることで、携帯電話に新たな構成を加えることなく、さらなる付加価値を与えることができる。
【0067】
(ハ)請求項1〜3のいずれか一項に記載のお出迎えシステムにおいて、前記電子キーから前記車載機に送信される前記要求信号は車両ドアの解錠を要求する旨の解錠要求信号であって、前記解錠要求信号には前記電子キーを携帯するユーザの動作を示す情報が付加されて送信されるお出迎えシステム。
【0068】
同構成によれば、車両ドアを解錠する際に車載機に送信される解錠要求信号にユーザの動作を示す情報が付加されるため、車両ドアの解錠とともに、ユーザに適した車両環境が
整えられる。よって、ユーザが車両に乗り込んだ時点において、確実に車両環境の調整を完了させることができる。
【符号の説明】
【0069】
2…電子キー、3…車載装置、4…携帯電話、21…キー側加速度センサ(加速度検出手段)41…携帯側加速度センサ(加速度検出手段)、23…マイコン、33…車載制御部、35…マスタ通信部、43…携帯側制御部、45…スレーブ通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両環境の自動調節機能を有する車両との無線通信を通じて自身を所持するユーザに適した車両環境への自動調節動作を実行する旨要求する要求信号を送信する電子キーと、前記要求信号に基づきユーザに適した車両環境への自動調節動作を実行する車載機と、を備えるお出迎えシステムにおいて、
ユーザに所持されるとともに、そのユーザを示すユーザ情報信号を前記電子キー又は前記車載機に送信する携帯端末と、
前記電子キー及び前記携帯端末に設けられるとともに、それぞれ自身を携帯するユーザの動作に伴い生じる加速度を検出する加速度検出手段と、を備え、
前記携帯端末は自身の加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報を、前記携帯端末を携帯するユーザの動作を示す情報信号として前記電子キー又は前記車載機に送信し、
前記電子キーは自身の加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報を、前記電子キーを携帯するユーザの動作を示す情報信号として前記車載機に送信し、
前記車載機は、前記両情報信号に基づき前記両加速度検出手段の検出結果あるいは、同結果に基づき生成される情報が一致又は近似していると判断されるときには、前記電子キー及び前記携帯端末は同一のユーザに携帯されているとして、前記ユーザ情報信号に基づき前記携帯端末を携帯するユーザに適した車両環境を整える制御を実行するお出迎えシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のお出迎えシステムにおいて、
前記電子キーは前記携帯端末からのユーザの動作を示す情報信号及び自身の加速度検出手段の検出結果に基づき、又は車載機は前記両情報信号に基づき、
歩行時における前記電子キーを携帯するユーザの一歩に要する時間及び前記携帯端末を携帯するユーザの一歩に要する時間を算出して、前記両ユーザの一歩に要する時間が一致又は近似する場合には、前記電子キー及び前記携帯端末は同一のユーザに携帯されているとして、前記ユーザ情報信号に基づき前記携帯端末を携帯するユーザに適した車両環境を整える制御が実行されるお出迎えシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のお出迎えシステムにおいて、
前記車載機は、前記携帯端末に同携帯端末を携帯するユーザの動作を示す情報信号の送信を要求する旨の無線信号が送信される通信エリアを車両周辺に形成し、
前記携帯端末は前記通信エリアに進入したときに、自身の前記加速度検出手段を起動させて、ユーザの動作を示す情報信号を前記車載機に送信可能とするお出迎えシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−63052(P2011−63052A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213024(P2009−213024)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】