説明

げんげ調理食品とその製造方法

【課題】深海魚のげんげを使用して味と形が食べやすいげんげ調理食品とその製造方法を提供する。
【解決手段】深海魚のげんげの頭と内臓を除去して塩を付けた後に水洗いと酒洗いを行い細かく砕いたげんげミンチと、他の魚のすり身と、生姜と味噌の少なくとも一方が混合されて所定形状に成形され、加熱処理が施されてなる。前記げんげミンチと前記すり身の配合割合は、前記げんげミンチ1に対して前記すり身0.5〜2である。さらに、げんげミンチに、生姜と味噌及びみりんを混合し、葱とごぼうのみじん切りを混合し、つなぎを混ぜて所定形状に成形してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、げんげのすり身を材料としたげんげ調理食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚の調理食品として、魚のすり身につなぎと調味料を入れて加熱したつみれがある。つみれに使用される魚の種類は、いわし等いろいろなものがあり、またつなぎや調味料として添加する材料の種類も多種類であった。すり身に添加する材料として、つみれの魚臭を消したり、香りを付けたりといろいろな機能を有するものが考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているすり身材の製造方法は、すり身本体に対して5〜30%の酒粕を混合するものである。これにより、魚肉の生臭さを除去するとともに、酒かすの成分により、味を良くすることができる。特許文献2に開示されている魚肉調理食品の製造方法は、赤身魚のすり身の成形物の表面にパン粉を押圧して付着させ、油ちょうまたは焼成するものである。これにより、魚臭を緩和させ、食べやすくすることができる。
【0004】
一方、日本海側で流通している深海魚のげんげは、コラーゲンが豊富に含まれていることが知られている。コラーゲンは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するたんぱく質の一つで、多細胞動物の細胞外基質(細胞外マトリクス)の主成分である。ゼラチンの原料はコラーゲンであり、化粧品、医薬品などにも用いられている。そしてコラーゲンを摂取することで皮膚の張りを保つ、関節の痛みを改善する等の効果が期待されている。
【特許文献1】特開平6−253788号公報
【特許文献2】特開平11−137215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
深海魚のげんげは独特の臭みがあり、一般的に食される魚ではなく、一部の地域で鍋や干物として食されるのみである。また、げんげは、身が柔らかいため、げんげのすり身でつみれ等の調理食品を作ることができなかった。しかし、げんげはコラーゲンを多く含むことから、げんげを食べやすくしてたくさん摂取することができる調理食品が求められていた。
【0006】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、深海魚のげんげを使用して味と形が食べやすいげんげ調理食品とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、深海魚のげんげの頭と内臓を除去して塩を付けた後に水洗いと酒洗いを行い細かく砕いたげんげミンチと、他の魚のすり身と、生姜と味噌の少なくとも一方が混合されて所定形状に成形され、加熱処理が施されたげんげ調理食品である。
【0008】
前記げんげミンチと前記すり身の配合割合は、前記げんげミンチ1に対して前記すり身0.5〜2であり、好ましくは前記げんげミンチ1に対して前記すり身1である。
【0009】
前記げんげミンチに、生姜と味噌及びみりんを混合し、さらに葱とごぼうのみじん切りを混合し、つなぎを混ぜて所定形状に成形して加熱処理が施されたげんげ調理食品である。さらに、その他の材料が混合されてもよい。
【0010】
またこの発明は、下処理をしてぶつ切りにされたげんげに塩を振り、所定時間例えば5分放置後、水洗いと酒洗いを行い、細かく砕いて他の魚のすり身を混合し、生姜と味噌の少なくとも一方を混合して所定形状に成形し、加熱処理を施すげんげ調理食品の製造方法である。成形方法は、手で丸く団子状にしてもよい。げんげミンチの作り方は、肉ひき装置で行ってもよい。加熱処理は、鍋に昆布湯を沸かし、その中に成形されたげんげのミンチを入れてしばらく加熱し、げんげのミンチが浮いてきたら完了とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のげんげ調理食品とその製造方法によれば、深海魚のげんげの味と形を食べやすくすることができる。げんげをたくさん食べることにより、げんげに多く含まれるコラーゲンを摂取して、肌を整え関節の痛みを改善する効果を期待することができる。また、これまであまり利用されなかったげんげの消費を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について説明する。この実施形態のげんげ調理食品はつみれである。この実施形態のつみれは、深海魚のげんげの頭と内臓を除去し適宜にぶつ切りにして、塩を付けた後に水洗いと酒洗いを行い細かく砕いたげんげミンチと、他の魚のすり身と、所定の調味料や薬味、その他添加材料が混合されて所定形状に成形され、加熱処理が施されている。成形する所定形状は、手で丸めた団子状でもよい。
【0013】
次に、この実施形態のつみれの製造方法について図1に基づいて説明する。まず、げんげを下ごしらえをする。下ごしらえとは、げんげの頭と内臓を取り除き、水洗い後、1cm位にぶつ切りする。下ごしらえをしたげんげに、強めに塩を付け、約5分放置する。放置後、水洗いして塩分を取り除き、ざるで水切りをする。その後酒で洗い、ざるにあげる。そして、細かく砕いてげんげミンチにする。げんげミンチの細かさは、げんげの骨が口に障らない程度とし、例えば肉ひき機で切断する。
【0014】
そして、このげんげミンチに他の種類の魚のすり身を混合する。魚の種類は、いわし等で、ややかたいすり身を用いる。げんげミンチとすり身の配合割合は、げんげミンチ1に対して0.5〜2であり、好ましくはげんげミンチ1に対してすり身1である。そして、味付けとして所定の添加材料を加えて混合する。ここで添加材料の種類と配合量について説明する。げんげミンチ1kgとすり身の混合物1kgに対し、生姜20g、味噌30g、みりん100cc、片栗50g、太葱40を細かく切断したもの40cm分、ごぼうのみじん切り20gの割合で加えて、混合する。
【0015】
そして、すり身と添加材料を混合したげんげミンチを所定形状に成形する。げんげミンチ1個が約30gとなるように取り、手で丸めて所定形状の団子状としてもよい。次に加熱処理を行う。まず鍋に昆布湯を沸かし、その昆布湯の中へ団子状にしたげんげミンチを落とし入れる。しばらく放置して浮いてきたらざるにあげて完了として、つみれが出来上がる。
【0016】
この実施形態のつみれの食べ方は、鍋料理や汁物などに入れて調理する。つみれを揚げたり、焼いたりしてもよい。
【0017】
この実施形態のつみれとその製造方法によれは、簡単な方法でげんげの味と形を食べやすくすることができる。味噌や生姜などの添加材料が加えられてげんげ特有の魚臭さがなくなり、食べやすくなる。またげんげは身がやわらかいが、いわし等その他の魚のすり身を混ぜることで保形性が良好となり、食べやすい大きさと形状に成形することができる。このようにげんげの味と形を食べやすくすることにより、げんげに多く含まれるコラーゲンを摂取して、肌を整え関節の痛みを改善する効果を期待することができる。また、げんげの消費を増加させることができる。
【0018】
なお、この発明のげんげ調理食品とその製造方法は、上記実施の形態に限定されず、例えばげんげミンチに加える添加材料は適宜変更可能である。成形方法も自由であり、成形する形状や重さも自由に変更可能である。げんげミンチを作る手段は、肉ひき装置以外に、細かく切断されるものであればよい。加熱処理の手段も、風味を損なわず確実に加熱されるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態のげんげ調理食品の製造方法を示す概略工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
深海魚のげんげの頭と内臓を除去して塩を付けた後に水洗いと酒洗いを行い細かく砕いたげんげミンチと、他の魚のすり身と、生姜と味噌の少なくとも一方が混合されて所定形状に成形され、加熱処理が施されたことを特徴とするげんげ調理食品。
【請求項2】
前記げんげミンチと前記すり身の配合割合は、前記げんげミンチ1に対して前記すり身0.5〜2であることを特徴とする請求項1記載のげんげ調理食品。
【請求項3】
前記げんげミンチに、生姜と味噌及びみりんを混合し、さらに葱とごぼうのみじん切りを混合し、つなぎを混ぜて所定形状に成形して加熱処理が施されたことを特徴とする請求項2記載のげんげ調理食品。
【請求項4】
下処理をしてぶつ切りにされたげんげに塩を振り、所定時間放置後、水洗いと酒洗いを行い、細かく砕いて他の魚のすり身を混合し、生姜と味噌の少なくとも一方を混合して所定形状に成形し、加熱処理を施すことを特徴とするげんげ調理食品の製造方法。



【図1】
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【公開番号】特開2008−136371(P2008−136371A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323365(P2006−323365)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(504435449)
【Fターム(参考)】