説明

ざ瘡関連疾患を処置するための治療投与法

本発明は、ざ瘡関連疾患の処置のための新規治療投与法に関する。新規治療投与法は、レチノイドとBPOなどの抗菌剤との局所多剤混合薬を経口抗生物質治療の過程に加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ざ瘡関連疾患、特に尋常性ざ瘡を処置するための新規治療投与法(new therapy regimen)に関する。投与法は、アダパレンなどのレチノイドと過酸化ベンゾイル(BPO)などの抗菌剤との多剤混合薬での局所処置及び経口抗生剤を含む。
【背景技術】
【0002】
ざ瘡の負担は、著しい。5千万人を超えるアメリカ人がなんらかの形態のざ瘡を経験する。尋常性ざ瘡は、皮膚科への受診の20%を占めるありふれた皮膚障害であり、若年成人及び青年のおよそ80%を冒す。ざ瘡の管理は、特に疾患の慢性化及び処置への応答のばらつきを考慮すると困難である。ざ瘡の管理は、疾患がろ疱性の高角質化、皮脂産生の増大、ざ瘡菌(P.acne)増殖及び炎症を含む種々の病原学的特質を含んで多因子性であることから複雑である場合がある。
【0003】
経口イソトレチノイン(13-シス-レチノイン酸)は、全ての主要なざ瘡の病原性因子に作用する現時点で唯一の薬物療法である。しかし、この薬物は、複数の重篤な副作用を伴っており、最も重篤なのは催奇性である。したがって炎症性ざ瘡に対しては、本疾患の最重度または侵襲性の症例を除いて、経口抗生物質と局所処置との組合せなどの代替処置が好ましい選択肢であるはずである。
【0004】
炎症性ざ瘡における局所レチノイド-経口抗生物質配合治療についての最新証拠の大部分は、アダパレン0.1%についてである。ある調査は、ドキシサイクリン100mgとアダパレンゲル0.1%との配合が、経口抗生物質単独と比較してより大きく、かつより迅速な改善をもたらすことを具体的に実証した。「Combination therapy with adapalene gel 0.1% and doxycycline for severe acne vulgaris: a multicenter, investigator-blind, randomized, controlled study」、Skinmed. 2005年、5〜6月、4(3)、138〜46頁を参照されたい。
【0005】
最近のConsensus Recommendations for the Management of Acne (JAAD sup 2003年、49:1)は、有効なざ瘡処置は、できる限り多くのその病原性因子を標的にすべきであると述べている。
【0006】
この勧告(recommendations)は、局所レチノイドが現在利用可能な最も有効な抗面疱剤であることから、それらがざ瘡を有するほとんどすべての新規患者の初期処置において使用されるべきであることも述べている。レチノイドは、新たな微小面疱の発達を予防することによりざ瘡の病原性の破壊を助け、いくつかは直接的及び間接的の両方の抗炎症活性を有する。
【0007】
ざ瘡の管理は、配合治療及び長期的治療戦略をしばしば必要とする。例えば、Thiboutot D.、New treatments and therapeutic strategies for acne、Arch Family Med 2000年、9、179〜187頁、Gollnick H.ら、Management of Acne, a report from a Global Alliance to Improve Outcomes in Acne、J. Am. Acad. Dermatol.、2003年、49(1 suppl)、S1〜S37)を参照されたい。
【0008】
近年、ゲルの形態でのアダパレンと過酸化ベンゾイルとの独特な多剤混合薬(アダパレンBPOゲル)が、Epiduo(登録商標) (Galderma)の商標名の下で欧州及び米国における製造承認が許可された。アダパレンBPOゲルは、十分に耐容性かつ効果的な局所レチノイドであるアダパイン0.1%と、十分に確立された抗菌剤であるBPO2.5%との抗生物質不使用の独特な配合である。これら2つの薬剤の作用、有効性及び安全性プロファイルの相補的機序は、アダパレンBPOゲルを、最も重度の症例を除く全ての型のざ瘡に対する1日1回処置についての最も適切な選択肢にする。アダパレン(6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸)は、抗面疱形成、面疱消散及び抗炎症特性を有し、一方最も強力な殺菌剤であるBPOは、ざ瘡菌に対して他の局所抗生物質よりさらに有効である。「Adapalene-Benzoyl Peroxide, A Unique Fixed-Dose Combination Gel For Acne treatment: A Randomized, Double-Blind, Controlled Trial In 1668 Patients」(http://www.galdermanordic. com/ sverige/pdf/FP0039.pdf)を参照されたい。レチノイドもBPOも耐性についての選択圧を生じないことから、この配合は、抗生物質と比較して表皮での菌耐性の発生頻度を減少させることが期待できる。さらに、トレチノインとは異なり、アダパレンはBPOと配合された場合に光の存在下で安定である。「Adapalene-Benzoyl Peroxide Combination Effective and Safe for Acne」、CME公開、2007年9月11日、2008年9月11日まで有効、を参照されたい。
【0009】
アダパレンBPOゲルの有効性及び安全性は、大規模な臨床プログラムにおいて確立されている。アダパレンBPOゲル配合は、それぞれの単独療法と比較して中等度の尋常性ざ瘡の処置に顕著に優れた有効性及びより早い作用の発現を、アダパレンと比較して同程度の安全性及び耐容性プロファイルを有して提供する。
【0010】
さらに尋常性ざ瘡は、
・皮脂の過産生、
・濾胞性上皮の過角質化及び角質化の保持によって生じる微小面疱及び面疱の形成、
・皮脂での微生物、特にざ瘡菌の増殖、ならびに
・面疱の破裂から生じる炎症
によって特徴付けられる多因子疾患である。
【0011】
適切に処置されないと、ざ瘡は重度の身体的及び情緒的傷痕を生じる場合があり、疾患に冒されたものの生活の質に重大な影響を与えうる。
【0012】
疾患に対する理想的な処置投与法は、これらの因子のそれぞれについて根底にある病理学を考慮に入れるであろう。残念なことに経口イソトレチノインを除いて、全ての因子に対処する単一の物質は存在しない。ざ瘡を生じる因子のほとんどに対処する、重度の炎症性尋常性ざ瘡の処置を改善するためのいまだ満たされていない医学的必要性が結果としてある。
【0013】
したがって本発明の目的は、経口イソトレチノインの有害作用を回避し、ざ瘡を生じる因子のほとんどに対処するざ瘡関連疾患の処置のための新規治療投与法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第03/055472号
【特許文献2】国際公開第2008/006888号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】「Combination therapy with adapalene gel 0.1% and doxycycline for severe acne vulgaris: a multicenter, investigator-blind, randomized, controlled study」、Skinmed. 2005年、5〜6月、4(3)、138〜46頁
【非特許文献2】Consensus Recommendations for the Management of Acne (JAAD sup 2003年、49:1)
【非特許文献3】Thiboutot D.、New treatments and therapeutic strategies for acne、Arch Family Med 2000年、9、179〜187頁
【非特許文献4】Gollnick H.ら、Management of Acne, a report from a Global Alliance to Improve Outcomes in Acne、J. Am. Acad. Dermatol.、2003年、49(1 suppl)、S1〜S37)
【非特許文献5】「Adapalene-Benzoyl Peroxide, A Unique Fixed-Dose Combination Gel For Acne treatment: A Randomized, Double- Blind, Controlled Trial In 1668 Patients」(http://www.galdermanordic. com/ sverige/pdf/FP0039.pdf)
【非特許文献6】Adapalene-Benzoyl Peroxide Combination Effective and Safe for Acne」、CME 公開、2007年9月11日、2008年9月11日まで有効
【非特許文献7】Remington、The Science and Practice of Pharmacy、19版、(Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 1995年)、1399〜1404頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ざ瘡関連疾患の治療のための新規治療投与法を提供する。本発明の新規治療投与法は、レチノイドとBPOなどの抗菌剤との局所的な多剤混合薬を経口抗生物質治療の過程に加える。このレジーム(regime)は、ざ瘡関連疾患の処置のための予期せぬ相乗的結果を提供する。さらに投与法は、経口治療が中止された後の将来的な病変の発達を予防し、したがって長期に及ぶ経口抗生物質治療に伴う潜在的な菌耐性を回避する。
【0017】
このように本発明は、ざ瘡関連疾患を抑制するまたは処置するための治療投与法に関する。投与法は、少なくとも1つのレチノイド及び少なくとも1つの局所抗菌剤を含む多剤混合薬の治療有効量を、必要とする個々の対象に局所的に適用する段階、所定の期間について多剤混合薬と共に経口抗生物質の治療有効量を投与する段階、ならびに必要に応じてさらなる期間について多剤混合薬を任意選択で継続する段階を含む。
【0018】
好ましい実施形態において、投与法におけるざ瘡関連疾患は尋常性ざ瘡、より好ましくは中等度から重度のざ瘡である。
【0019】
一実施形態において、レチノイドは好ましくはアダパレンである。他の実施形態において局所抗菌剤は、好ましくは過酸化ベンゾイルである。
【0020】
好ましい実施形態において多剤混合薬は、薬学的に許容される担体に混合されたアダパレン及び過酸化ベンゾイルを含む。
【0021】
一実施形態により多剤混合薬は、1日1回適用される。好ましくは、多剤混合薬は、晩に適用され、経口抗生物質は朝に投与される。
【0022】
好ましい実施形態において、アダパレンと過酸化ベンゾイルとの多剤混合薬は、ゲル中にある。好ましくは水性ゲル。
【0023】
具体的な実施形態によれば、経口抗生物質は、リメサイクリン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、アボスルホン(avosulfone)、マクロライド、エリスロマイシン、アンピシリン、アミノグリコシスダイク(aminoglycosisdiques)、カナマイシン、シナジスチン(synergistines)及びプリスチナマイシンからなる群から選択される。優先的には、経口抗生物質は、リメサイクリン、クリンダマイシン及びドキシサイクリンからなる群から選択される。
【0024】
本発明の他の実施形態は、ざ瘡関連疾患を抑制するまたは処置するための治療投与法キットであって、(a)少なくとも1つのレチノイド及び少なくとも1つの局所抗菌剤を含む組成物を含む容器、(b)経口抗生物質を含む容器、ならびに(c)治療投与法での患者の服薬遵守を促進する説明書を含む治療投与法キットに関する。
【0025】
本発明の他の実施形態は、ざ瘡関連疾患を抑制するまたは処置することを目的とする組成物の調製のためのレチノイドと少なくとも1つの局所抗菌剤との多剤混合薬の使用であって、(a)少なくとも1つのレチノイド及び少なくとも1つの局所抗菌剤を含む多剤混合薬の治療有効量を必要とする個々の対象に局所適用する段階、(b)所定の期間について多剤混合薬と共に経口抗生物質の治療有効量を投与する段階、ならびに(c)必要に応じてさらなる期間について多剤混合薬を任意選択で継続する段階を含む使用に関する。好ましい実施形態において、レチノイドはアダパレンである。他の好ましい実施形態において抗菌剤は、過酸化ベンゾイルである。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、当業者が本明細書の記載に基づいて本発明をその最大限まで使用できることを確信する。以下の特定の実施形態は、単なる例示として解釈され、開示の残部を決して限定することはない。
【0028】
他に定義する場合を除いて、本明細書において使用する全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で述べられた全ての出版物、特許出願、特許及び他の参考文献もまた参照により組み込まれる。他に記載する場合を除いて、百分率は重量百分率を意味する(すなわち、%(W/W))。
【0029】
定義
以下の明細書及び特許請求の範囲の章において本明細書で使用する、用語「抑制」及びその派生語は、処置される状態または疾患の再発の可能性を本発明の投与法が減少させるように、処置される状態または疾患の発生または再発を抑えるまたは防止することを意味する。
【0030】
本明細書において使用する用語「処置する」または「処置」は、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを意味する。効果は、以下の1つまたは複数の結果:疾患、障害もしくは症候群の程度を部分的もしくは全体的に低減させること、障害に伴う臨床症状もしくは指標を回復もしくは改善させること、疾患、障害もしくは症候群の進行の可能性を遅延、抑制もしくは減少させることまたは疾患、障害もしくは症候群の発生もしくは発達の可能性を部分的もしくは全体的に遅延、抑制もしくは減少させることを部分的もしくは実質的に達成することを含んで、予防的または治療的でありうる。
【0031】
本明細書において使用する用語「局所」及びその派生語は、処置が必要な皮膚に、例えば手または塗布器を使用して直接塗布するまたは広げることを意味する。
【0032】
本明細書において使用する用語「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
【0033】
本明細書において使用する用語、治療剤の「治療有効量」は、意味のある患者の利益を示すために、すなわち処置される状態の症状の減少、回復または予防を生じるために十分である医薬製剤の各活性要素の量を示す。医薬製剤の有効量は、個体の感受性の程度、個体の年齢、性別及び体重ならびに個体の特異体質的応答などの因子に応じて変化する。
【0034】
本明細書において使用する用語、治療剤の「一定用量」は、患者の体重(WT)または体表面積(BSA)を考慮せずにヒト患者に投与される配合用量を意味する。したがって一定用量は、mg/kg用量またはmg/m2用量としては提供されず、むしろ治療剤の絶対量として提供される。
【0035】
本明細書において使用する「経口」は、経口摂取が意図される組成物を投与することを意味する。経口形態の例として、これだけに限らないが、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、顆粒剤、液剤または懸濁剤及び点滴剤が挙げられる。そのような形態は、そのまま服用できるかまたはチュアブル形態でありうる。経口形態は、皮膚に局所的に投与されることを目的とする組成物を含まない。
【0036】
本明細書において使用する「薬学的に許容される」は、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激作用、アレルギー応答などを有さず、適切な利益/危険性比率を有して適当である局所または経口投与に適する活性剤、不活性成分または組成物を意味する。
【0037】
多剤混合薬
本発明による多剤混合薬は、少なくとも1つのレチノイド及び1つの局所抗菌剤を含む。レチノイド及び局所抗菌剤は、レチノイド及び局所抗菌剤の両方を含む単一の局所組成物で適用される。
【0038】
用語「多剤混合薬」は、活性主成分が、適用部位にそれらを一緒に送達する同じビヒクル/媒体(単一製剤)中に一定用量で配合されている配合の意味として理解されるべきである。好ましくは一定配合形態にある医薬組成物はゲルであり、この場合2つの活性主成分は、ゲルの適用時にそれらを一緒に送達する同じビヒクル中に製造の際に、分散され、かつ十分に混合される。
【0039】
本明細書において使用する用語「レチノイド」は、頭-尾様式で結合した4つのイソプレノイド単位からなる化合物の種類を意味する。レチノイドは、形式上は5つの炭素-炭素二重結合及び非環式部分の末端に官能基を有する単環式親化合物から誘導されうる。本発明に適するレチノイドは、ざ瘡を処置するために有効なものである。本発明において有用なレチノイドの例として、トレチノイン、イソトレチノイン、タザロテン、アダパレン、安息香酸末端レチノイド及びそれらの複素環式類似物、それらの薬学的に許容される塩及びエステルなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
本明細書において使用する用語「抗菌剤」は、1つまたは複数の細菌を殺すまたはその増殖を抑制するが宿主に損傷がほとんど生じないかまたは生じない天然、半合成または合成由来の任意の物質を既知の全ての抗生物質を含んで意味する。
【0041】
本明細書において使用する用語「局所抗菌剤」は、局所適用に適する抗菌剤の種類を意味する。本明細書における使用のためのそのような局所抗菌剤の例として、これだけに限らないが、過酸化ベンゾイル及び、フルオロキノロン、β-ラクタム、テトラサイクリン、マクロライド、アミノグリコシド、糖ペプチド、リネゾリド、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、イミペネム、メロペネム、セフォテタン、セフォキシチン、セフロキシム、セフォペラゾン、セフォタシキム、セフタジジム、セフトゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、アジスロマイシン、アンピシリン、メズロシリン、ピペラシリン、チカルシリン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、アラトロフロキサシン、ガチフロキサシン、ミノサイクリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、バンコマイシン、セファゾリン、ペニシリンG、ナフシリン、オフロキサシン及びオキサシリンなどの局所抗生物質が挙げられる。
【0042】
好ましい実施形態において、局所組成物は、(i)アダパレン、(ii)過酸化ベンゾイル、及び(iii)薬学的に許容される局所担体の治療有効量を含む。本発明の局所組成物は、当業者に周知の方法を使用して調製されうる。
【0043】
投与される最適投与量は、当業者によって容易に決定可能であり、使用される具体的な精剤(extract)、投与の様式、製剤の強度、及び処置される疾患/状態の進度に応じて変化する。加えて、個体の年齢、体重、食事及び投与の時間が挙げられる、処置される具体的な個体に関連する因子は、投与量を調整する必要性を生じる。
【0044】
有利には多剤混合薬は、組成物の総重量に対して0.0001から20重量%の間のBPO及び0.0001から20重量%の間のアダパレンを含み、優先的には組成物の総重量に対してそれぞれ0.025から10重量%の間のBPO及び0.01重量%から2重量%の間のアダパレンを含む。
【0045】
好ましい実施形態においてBPOは、組成物の総重量に対して2重量%から10重量%の間、優先的は2.5重量%から5重量%の間の濃度で使用される。アダパレンは、この種の組成物中において組成物の総重量に対して0.01重量%から1重量%の間、優先的は0.01%から0.5%の間、最も好ましくは0.1重量%から0.3重量%の間の濃度で使用される。
【0046】
組成物は、これだけに限らないが、軟膏、ローション、クリーム、ゲル及びペーストが挙げられる多種多様の物に作製されうる。
【0047】
医薬製剤の技術分野において周知の軟膏は、典型的にはワセリンまたは他のワセリン誘導体に基づく半流動性製剤である。当業者によって理解されるとおり、使用される具体的な軟膏基剤は、最適な薬剤送達を提供するものであり、好ましくは、例えば軟化性などの他の所望の特徴も提供するものである。他の担体またはビヒクルと同様に、軟膏基剤は、不活性、安定、非刺激性かつ非感作性であるべきである。Remington、The Science and Practice of Pharmacy、19版、(Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 1995年)、1399〜1404頁において説明されるとおり、軟膏基剤は、4つの種類、油性基剤、乳化基剤、乳剤性基剤及び水溶性基剤に分類されうる。油性軟膏基剤として、例えば植物油、動物由来の脂肪及び石油由来の半流動性炭化水素が挙げられる。吸収性軟膏基剤としても既知である乳化軟膏基剤は、水をほとんど含まないかまたは含まず、例えば硫酸ヒドロキシステアリン、無水ラノリン及び親水性ワセリンが挙げられる。乳剤性軟膏基剤は、油中水乳剤(W/O)または水中油乳剤(O/W)のいずれかであり、例えばセチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン及びステアリン酸が挙げられる。好ましい水溶性軟膏基剤は、種々の分子量のポリエチレングリコールから調製される、さらなる情報のために再びRemington、The Science and Practice of Pharmacyを参照されたい。
【0048】
ローションは、摩擦無く皮膚表面に適用される製剤であり、典型的には活性剤を含む固体粒子が水またはアルコール基剤中に存在する半液状製剤である。ローションは、通常、固体の懸濁物であり、本目的のために好ましくは水中油型の液体油性乳剤を含む。ローションは、より流動性の組成物を適用する容易さにより、広い体表面積を処置するための本明細書において好ましい製剤である。ローション中の不溶性物質が細かく分割されていることは、一般に必要である。ローションは典型的には、より良い分散を作るための懸濁剤及び活性剤を局在化させ皮膚に接触させ続けるために有用な化合物、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含有する。
【0049】
当技術分野において周知のとおりクリームは、粘性の液体またな半流動性乳剤であり、水中油または油中水のいずれかである。クリーム基剤は、水洗性であり、油相、乳化剤、及び水相を含有する。「内」相とも称される油相は、一般にワセリン及び、セチルまたはステアリルアルコールなどの脂肪アルコールからなる。水相は、通常は(必要ではなく)容量で油相を超え、一般に湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、一般に非イオン性、陰イオン性、陽イオン性または両イオン性界面活性剤である。
【0050】
医薬製剤の分野における当業者によって容易に理解されるとおり、ゲルは、半流動性、懸濁型の系である。本明細書における使用のためのゲル形成剤は、典型的には医薬分野において局所用半流動性剤形のために使用される任意のゲル化剤でありうる。単相ゲルは、担体液全体に実質的に均一に分布する有機高分子を含有し、典型的には水性であり、アルコール及び任意選択で油も含有しうる。均一なゲルを調製するために、アルコールまたはグリセリンなどの分散剤を加えうるか、あるいはゲル化剤は滴定、機械的混合もしくは撹拌またはそれらの組合せによって分散されうる。ゲル化剤の量は、広く変動し、通常は組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%から約2.0重量%の範囲である。ゲル形成剤は、共重合の原理によっても作用する。アルカリ性pH下では、水の存在下でカルボマーは架橋結合を受け、ゲル様構造を形成する。重合の程度は、pHに依存する。閾値のpHでは、ポリマーの類別で達成される粘性が最大になる。
【0051】
特定の実施形態において、前記多剤混合薬組成物は、参照により本明細書組み込まれる国際公開第03/055472号に記載のとおりゲルの形態中に、好ましくは水性ゲル形態中にアダパレン及び過酸化ベンゾイルを含む。
【0052】
ペーストは、活性剤が適切な基剤中に懸濁された半流動性剤形である。基剤の性質に依存して、ペーストは脂肪性ペーストまたは単相水性ゲルから作製されるペーストに分類される。脂肪性ペースト中の基材は一般にワセリンまたは親水性ワセリンなどである。単相親水性ゲルから作製されるペーストは、一般に基材としてカルボキシメチルセルロースなどを含んでいる。
【0053】
抗生物質
本発明に適する抗生物質は、当業者に既知であり、かつ本発明の内容で実施されるために適切である任意の抗生物質を含む。本発明のための抗生物質は、好ましくは経口投与可能である。
【0054】
本明細書において使用する用語「経口抗生物質」は、経口投与に適する抗生剤の種類を意味する。本明細書において使用するそのような抗生剤の例として、これだけに限らないが、各世代のテトラサイクリン、ペニシリン、ニトロイミダソール、セファロスポリン;アミノグリコシド、カーバメン、クロラムフェニコール、フルオロキノロン、リンコサミド、マクロライド/ケトライド、オキサゾリジノン、スルホンアミド、アゾール、抗真菌薬、及び他の抗真菌薬ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0055】
本発明の特定の実施形態によれば、抗生物質は、リメサイクリン、クリンダマイシン、ドキシサイクリンなどのサイクリン、アゾスルホンなどのスルホン、エイスロマイシンなどのマクロライド、アンピシリンなどのペニシリン/B-ラクタム抗生物質、カナマイシンなどのアミノグリコシスダイク、及びプリスチナマイシンなどのシナシジスチンからなる群から選択される。好ましい実施形態において抗生物質は、リメサイクリン、クリンダマイシン及びドキシサイクリンからなる群から選択される。ドキシサイクリンは、好ましくはその塩酸塩として、または水和物、好ましくは一水和物として投与される。
【0056】
キット
本投与法についての服薬遵守を促進するために、その構成要素はキットとして提供されうる。キットは、例えば、少なくとも1つのレチノイド及び少なくとも1つの局所抗菌剤を含む組成物を含む容器、(b)経口抗生物質を含む容器、ならびに(c)本開示による治療投与法についての患者の服薬遵守を促進する説明書を含みうる。本投与法を達成するための説明書は、キットの外側容器に印刷されても、またはその中に挿入される別紙として提供されてもよい。キットが任意選択で、過酸化ベンゾイルを含有する組成物の適用前の発症領域の洗浄での使用のための洗浄剤(例えばシャワーゲルなど)を含みうることも考慮される。
【0057】
処置
本発明の治療投与法は、ざ瘡関連疾患の処置を目的とする。
【0058】
本明細書において使用する用語「ざ瘡関連疾患」は、炎症性濾胞、丘疹及び皮脂腺体が関与する膿疱性皮疹によって特徴付けられる皮膚の状態を記載するために使用される。ざ瘡の形態は非常にたくさんあるが、最も一般的な形態は、顔面、上背部及び胸部の皮疹によって特徴付けられる単純ざ瘡または尋常性ざ瘡として既知であり、主に面疱、襄胞、丘疹及び炎症基底部での膿疱からなる。状態は、主に思春期及び青年期において、ホルモン活性によって影響されると考えられる過活性化皮脂腺体によって生じる。
【0059】
好ましい実施形態においてざ瘡関連疾患は、尋常性ざ瘡である。より好ましい実施形態においてざ瘡は、中等度から重度のざ瘡、好ましくは重度の炎症性尋常性ざ瘡である。
【0060】
本発明の一実施形態により、治療投与法は12時間から36時間の間隔で1日1回投与されうる。治療投与法は、1日おきに投与されうる、すなわち投与の間の平均時間は、36から60時間の間などの約48時間である。処置の過程で偶発的に抜けた投与は、本発明の範囲から治療投与法を除外させない。
【0061】
好ましくはアダパレン及び過酸化ベンゾイルを含む多剤混合薬組成物は、晩に適用され、抗生物質は朝に投与される。好ましい実施形態において、アダパレンと過酸化ベンゾイルとを含む多剤混合薬組成物は、局所的に適用され、抗生物質は経口投与される。
【0062】
治療投与法の持続期間は、本発明の治療用組成物または製剤の表示または製造者の推奨により、ならびに処置される対象の状態及び他の個々に考慮すべき事柄によって当業者によって容易に決定されうる。
【0063】
本発明によれば、多剤混合薬組成物の局所投与は、経口抗生物質の中止後も継続できる。そのような期間の持続期間も治療剤または製剤の表示または製造者の推奨によって、及び対象の状態によって容易に決定されうる。これは、対象が長期化した経口抗生物質治療に伴う潜在的菌耐性を回避することを可能にする。
【0064】
当業者には、適切な、既知かつ一般に認められる細胞及び/または動物モデルを使用するin vivo及びin vitroでの両治験が、所与の状態を処置または予防するための精剤の能力の予測であることが理解されよう。当業者には、健常個体及び/または所与の状態もしくは障害を罹患している個体における、ヒトで最初の、用量決定及び有効性試験を含むヒト臨床試験を臨床及び医学的分野において周知の方法に従って完了できることがさらに理解されよう。
【0065】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】全病変数(第一判断基準)についての有効性結果を示すグラフであり、0週目から12週目の全病変数(LOCF-ITT)におけるベースラインからの%変化の中央値で表す。
【図2】炎症性病変についての有効性結果(第二判断基準)を示すグラフであり、0週目から12週目の炎症性病変数(LOCF-ITT)におけるベースラインからの%変化の中央値で表す。
【図3】非炎症性病変についての有効性結果(第二判断基準)を示すグラフであり、0週目から12週目の非炎症性病変数(LOCF-ITT)におけるベースラインからの%変化の中央値で表す。
【図4】治験責任医師包括的評価についての有効性結果(第二判断基準)を示すグラフであり、成功のIGA%(LOCF-ITT)で表す。
【0067】
(実施例)
本発明は、実施例によって以下にさらに例示されるが、本発明はそれに限定されない。
【0068】
(実施例1)
ドキシサイクリン塩酸塩100mg錠剤を併用するアダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%ゲルを含有するゲル組成物での重度尋常性ざ瘡の処置の臨床試験のための調査プロ路コール
この実施例は、これらの処置の同時使用を評価する最初の調査であった。この調査の目的は、重度の尋常性ざ瘡の処置においてドキシサイクリン塩酸塩100mg錠剤(以下、ドキシサイクリンと記す)を伴用するアダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%ゲル(以下、アダパレンBPOゲルと記す)の有効性に関する優位性を、ドキシサイクリン塩酸塩100mg錠剤を伴用するアダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%ビヒクルゲル(以下、ビヒクルゲルと記す)と比較して示すことである。
【0069】
調査母集団
およそ30から40箇所の場所で合計440名の対象(各群に220名)を登録した。
【0070】
重度尋常性ざ瘡の診断を有し、以下の具体的な組み入れ基準/除外基準に合致する任意の人種、年齢12から35歳(12歳と35歳も含む)の間の男性または女性対象。
【0071】
組み入れ基準
1.任意の人種、年齢12から35歳(12歳と35歳も含む)の男性または女性対象。
2.顔面の重度尋常性ざ瘡(包括的重症度スコア4)を有する対象。
3.最小で20箇所の炎症性病変(丘疹及び膿疱)を鼻を除く顔面に有する対象。
4.最小で30箇所、最大で120箇所の非炎症性病変(開放面疱及び閉鎖面疱)を鼻を除く顔面に有する対象。
5.ベースライン来診時に尿妊娠検査陰性である妊娠の可能性のある女性対象、調査中は高度に有効な避妊法を実行しなければならない、経口/全身性の[注射可能な、パッチなど]避妊薬(調査への登録に先立つ3カ月間に継続して投与されねばならない)、子宮内避妊器具、厳格な禁断、コンドーム、ペッサリー、スポンジ、殺精子剤またはパートナーが精管切除術を受けている。
6.妊娠の可能性が無い女性、すなわち初経前、閉経後(月経性出血の欠如が2年間)、子宮摘出、両側の卵管結紮または両側の卵巣摘出、2次性不妊症及び生殖不能は、調査の開始時にUPTを受ける必要は無い。
7.対象は、調査へのいかなる参加にも先だって認可されたインホームドコンセント用紙を読み、かつ署名する必要がある。未成年対象は、この調査に参加するために同意書に署名することができ、未成年対象は調査に関連するいかなる手順にも先だって片親または保護者がインホームドコンセント用紙を読み、かつ署名しなければならない(しかし親または保護者は、依頼が無ければその後の来診への出席は要求されない)。
8.米国内のみ、対象は、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)の通知を受ける、対象は、許可証に署名することによって確認されるとおり個人情報及びデータを共有する意思がある。
9.対象は、プロトコールによって必要とされる範囲及び程度まで協力する意思があり、かつ協力できる。
10.適格であれば、対象は、アダパレンBPOゲル対そのビヒクルゲルでの維持療法を評価するさらに6カ月間の無作為維持調査(彼/彼女のざ瘡が12週目で十分に改善されたか、または早期の来診終了時で消失した状態場合)に参加する意思がなければならない。およそ280名の患者だけがこの維持調査(RD.03.SPR.29075)に参加する。
【0072】
除外基準
1.顔面に2つより多い小結節または嚢胞を有する対象。
2.凝塊性ざ瘡、電撃性ざ瘡、二次性ざ瘡(塩素ざ瘡、薬物誘発性ざ瘡など)を有する対象。
3.妊娠、授乳または調査期間中に妊娠を計画している女性対象。
4.顔面への局所処置について下表にない休薬期間を有する対象(下表を参照されたい)。
5.
【0073】
【表1】

【0074】
6.全身治療についての下表にない休薬期間(下表を参照されたい)を有する対象。
【0075】
【表2】

【0076】
7.ペニシリンで処置されている、または処置される計画がある対象。
8.バルビタール、カルバマゼピン、フェニトイン、及びリファンピンなどの薬物を含む酵素の使用を必要とする対象。
9.メトキシフルランで処置されている、または処置される計画がある対象。
10.治験責任医師の意見において、対象を危険にさらす(腎機能障害を有する重度の腎臓疾患の病歴)、調査結果を交絡させる可能性がある、または調査への対象の参加を妨げる状態を有するまたは状況にある対象。
11.注意、警告及び禁忌に関して危険がある対象(添付文書及び/または治験薬概要書を参照されたい)。
12.治験薬の1つに対して既知または疑われるアレルギーを有する対象(添付文書及び/または治験薬概要書を参照されたい)。
13.登録の30日以内に他の治験薬または器具研究調査に参加していた対象。
14.調査の評価を妨害する可能性がある顎髭または他の顔面の髭を有する対象。
15.調査中に強度のUV暴露が予測される対象(山でのスポーツ、UV照射、日光浴など)。
【0077】
この調査は、多施設、無作為、二重盲検、対照及び平行群治験として実施した。この優位性調査は、重度尋常性ざ瘡を有し、具体的な組み入れ基準/除外基準に合致する任意の人種、年齢12から35歳(12歳と35歳も含む)の対象に関する。
【0078】
合計440名の対象(各群に220名)を米国及びカナダのおよそ30から40箇所の場所で登録した。およそ12名の対象を各場所で登録した。
【0079】
対象を、ベースラインで登録し、どちらも経口ドキシサイクリンを併用する、アダパレンBPOゲルまたはそのビヒクルゲルのいずれかで12週間処置した。1:1の割合で無作為化した2つの平行群があった。
【0080】
5回の調査来診、ベースライン、2週目(±2日)、4週目(±3日)、8週目(±3日)及び12週目(±5日)があった。
【0081】
調査計画
アダパレンBPOゲル一定配合が調査開始前に米国及びカナダにおいて登録されたことから、この比較調査は第3b相とみなされる。ドキシサイクリンは、尋常性ざ瘡に対する補助的処置として米国及びカナダにおいて処方された。
【0082】
対象の選択及びドキシサイクリンについての投与量は、ドキシサイクリンの米国/カナダで認可された表示に基づいた。
【0083】
アダパレンBPOゲルの投与量は、食品医薬品局によって現在検討中の開発計画(第1相から第3相調査)に基づいた。
【0084】
この調査において、アダパレンBPOゲル及びドキシサイクリンは、尋常性ざ瘡の異なる病態生理学的因子にそれらが作用することから、一緒に使用した。これにより併用は、ドキシサイクリン単独と比較して優れた有効性をもたらした。
【0085】
軽度及び中等度のざ瘡を有する対象は、通常は局所処置だけで処置される。この理由から、重度の顔面尋常性ざ瘡を有する対象だけをこの調査に登録した。通常、重度のざ瘡は、経口と局所剤とを含む配合治療で処置する臨床的重症度に対応する。
【0086】
各対象は、以下を実施した:
局所調査投薬(アダパレンBPOゲルまたはそのビヒクルゲル)を顔面全体に1日1回、晩に適用、及び
全身性調査投薬(ドキシサイクリン)を1日1回、朝、食事と共に摂取。
【0087】
調査の調査期間は12週間であった。それは、12週間の処置後に有効性を評価するざ瘡臨床試験と一般的に一致する。適格な対象は、5回(ベースライン、2週目、4週目、8週目及び12週目、Table I(表3):調査フローチャートを参照されたい)評価した。
【0088】
【表3】

【0089】
調査来診記載及び手順
1.1 ベースライン来診
1.対象及び、対象が未成年の場合は親または保護者に調査の性質及び制約を概説及び説明する。
2.対象(及び未成年対象については親/保護者)にIRB認可インホームドコンセント用紙を読ませ、日付を付けさせ、かつ署名させる。各対象及び該当する場合は親/保護者に日付を付け署名した複写を渡す。
3.症例報告用紙に予め印刷された対象同定番号を割り当てる。
4.人口統計、病歴、以前の及び併用の治療に関して対象に尋ねる。認められた及び禁止された併用治療について対象に知らせる。対象が休薬期間を必要とする場合は、対象のベースライン評価は、休薬期間が終了した後に実施されなければならない。
5.組み入れ及び除外基準(3.3章及び3.4章を参照されたい)により対象を評価する。
6.該当する場合は、妊娠の可能性がある女性対象に尿妊娠検査(UPT)を実施する。
7.顔面の治験責任医師包括的評価(IGA)を実施する、統計的疾患評価。
8.初期顔面炎症性及び非炎症性病変の計数を実施(添付資料2を参照されたい)。
9.耐容性に関連する徴候及び症状(紅斑、乾燥、落屑及び刺傷/熱傷)の重症度を類別及び記録する。
10.スキンフォトタイプIVからVI(T.B. Fitzpatrickの定義による)を有する対象について炎症後色素沈着過剰(PIH)の重症度を類別及び記録する。
11.対象にざ瘡QoL質問票を完了させる(13歳またはそれより年長で、母語が英語またはスペイン語の対象のみ、添付資料4を参照されたい)。
12.選択された部位についてのみ(及び対象及び、該当する場合は親/保護者がIRB承認の情報と同意書を通じて承諾した場合のみ)特定の写真手順に従って顔面の写真を撮る(6.3.2章及び添付資料5を参照されたい)。
13.対象に質問し、いかなる有害事象の発生をも記録する。
14.調査投薬を担当する者(以下調査薬調剤師と記す)は、対象の日誌に伴って順番にベースライン来診キットを処方する。各来診キットは、局所治験薬チューブ2本を含む。調査薬調剤師は、治験薬チューブを含む来診キットからの切り取りラベルを薬剤調剤記録に貼る。
15.調査薬調剤師は、100錠を含むドキシサイクリン箱1個も処方する。調査薬調剤師は、ドキシサイクリン箱ラベル上の来診キット番号を記録し、薬剤調剤記録のドシキサイクリン調剤を確認する。
16. Cetaphil(登録商標) Gentle Skin Cleanser、Cetaphil(登録商標) Moisturizing Lotion、Cetaphil(登録商標) Daily Facial Moisturizer SPF 15(非治験薬)も調剤する。
17.調査薬調剤師(調査有効性及び安全性測定基準に関与せず)は、治験薬及び非治験薬について、どのようにそれらを使用するか、飲み忘れた分の用量をどのように記録するかに関して口頭及び書面での説明(添付資料1を参照されたい)を提供し、治験薬を使用する処方されたルーチンに従うことの重要性を強調する。
18.2週目(±2日)のベースライン後来診の予定を入れる。
【0090】
1.2 経過観察来診2、4及び8週目
1.対象に任意の新規有害事象の発生について及び最後の調査来診時から継続している有害事象での任意の変化について質問する。症例報告用紙に全ての変化を記録する。
2.対象の最後の来診以降に併用治療が追加、中止または変更されたかどうか調査する。症例報告用紙に全ての変化を記録する。
3.顔面の炎症性及び非炎症性病変の計数を実施する(添付資料2を参照されたい)。
4.顔面の治験責任医師包括的評価(IGA)を実施する、統計的疾患評価。
5.耐容性に関連する徴候及び症状(紅斑、乾燥、落屑及び刺傷/熱傷)の重症度を類別及び記録する。
6.スキンフォトタイプIVからVI(T.B. Fitzpatrickの定義による)を有する対象についてPIHの重症度を類別及び記録する。
7.4及び8週目で先行する4週間に月経期がなかった妊娠可能な対象にUPTを実行する。
8.4及び8週目で選択された部位についてのみ標準的写真手順に従って顔面の写真を撮る(添付資料5を参照されたい)。
9.2週目で調査薬調剤師は、対象の処置日誌を確認し、治験薬及び非治験薬をどのように使用するか、飲み忘れた分の用量をどのように記録するか、及び治験薬でのルーチンに従うことがいかに重要であるかについての口頭及び書面での説明(添付資料1を参照されたい)を対象に再度行う。
10.4及び8週目で調査薬調剤師は、対象の処置日誌及び対象への問診により治験薬及び非治験薬の服薬を記録し、それまでに使用した来診キットを回収し、チューブ2本を含む新規来診キットを処方し、切り取りラベルを薬剤調剤記録に貼り、治験薬及び非治験薬をどのように使用するか、飲み忘れた分の用量をどのように記録するかについて口頭及び書面での説明(添付資料1を参照されたい)を対象に再度行い、治験薬の服薬遵守を強調する。
11.次回の経過観察来診[4週目(±3日)、8週目(±3日)または12週目(±5日)]の予定を入れる。
12.理由にかかわらず、調査の早期終了の場合には、対応する来診の全ての確認された調査手順は、実行されかつCRFの適切な来診頁に記録されねばならない。次いで最終手順が実行され(包括的改善、満足度及びざ瘡QoL質問票)、終了用紙は調査中断についての主な理由を述べること及び妊娠可能な全ての対象について妊娠検査を実施することによって完了されねばならない。
13.さらに、早期終了の理由が消失した状態(対象が2、4または8週目に消失したと類別された)である場合は、対象は維持調査(RD.03.SPR.29075)への参加を勧められる。治験責任医師は、維持相への参加または不参加をCRFに記録する必要がある。
【0091】
1.3 12週目
1.対象に任意の新規有害事象の発生について及び最後の調査来診時から継続している有害事象での任意の変化について質問する。症例報告用紙に全ての変化を記録する。
2.対象の最後の来診以降に併用治療が追加、中止または変更されたかどうか調査する。症例報告用紙に全ての変化を記録する。
3.顔面の炎症性及び非炎症性病変の最終計数を実施する(添付資料2を参照されたい)。
4.顔面の最終治験責任医師包括的評価(IGA)を実施する、統計的疾患評価。
5.耐容性に関連する徴候及び症状(紅斑、乾燥、落屑及び刺傷/熱傷)の最終重症度を類別及び記録する。
6.スキンフォトタイプIVからVI(T.B. Fitzpatrickの定義による)を有する対象についてPIHの最終重症度を類別及び記録する。
7.選択された部位についてのみ標準的写真手順に従って顔面の写真を撮る(添付資料5を参照されたい)。
8.対象の処置日誌及び対象への問診により治験薬及び非治験薬の服薬を記録する。
9.対象が使用した/未使用の全ての治験薬チューブを秤量*するために、及び残っている治験薬錠剤を計数*するために調査薬調剤師に返却したことを確認する。紛失した全てのチューブ/錠剤は、調査薬調剤師によって薬剤調剤記録の所見欄及び他の説明用用紙などに説明されねばならない。
【0092】
*最終秤量及び計数は、調査終了時に主催者によって実施された。
【0093】
1.4 最終手順
1.ベースラインから最終調査来診までの包括的改善を類別及び記録する、動的疾患評価。
2.最終ざ瘡QoL質問票及び満足度質問票を完成させるように対象に依頼し、完了のために質問票を点検する。
【0094】
検査材料
製品の識別及び使用
1.1.2製品の識別
【0095】
【表4】

【0096】
1.1.3処置方法の割り当て
調査の開始に先立ち、無作為表がGaldermaからの第IV相統計学者によって作成され、表示のために指定された臨床用包装機間に伝達された。
【0097】
SASシステムのRANUIルーチンをキット番号を作成するために使用した。
【0098】
無作為表に記されたキット番号は、局所治験薬のラベルに記されたキット番号に対応する。このキット番号は、ドシキサイクリン箱のラベルに調査薬調剤師によって示された。
【0099】
局所処置剤を、各群について1:1の比率で対象用連続ブロック4個に分配した。完成した処置剤のブロックを治験場所に、各治験責任医師がおよそ12名の対象を登録するように送った。
【0100】
無作為表及び電子ファイルは、調査データベースをロックし、非盲検化の準備ができるまで、鍵付きの戸棚及び調査投薬の表示及び操作に直接責任がある指名された個人だけにアクセス制限された電子ファイルに保管した。
【0101】
処置割り当てについて、ベースライン来診時に調査処置を受けるための全ての基準を満たした各対象に、調査への彼/彼女の参加の時間的順序で配置した対象キットから来診箱を処方した、除外または飛ばした番号はなかった。
【0102】
調査投薬を担当する指名された調査員(以下、調査薬調剤師と記す)は、各対象に口頭で治験薬及び非治験薬を「どのように使用するか」について説明した。対象キット(アダパレンBPOゲルチューブまたはそのビヒクルゲルチューブ)を対象の調査への登録の時間的順序でドシキサイクリン箱1個と共に処方した。
【0103】
対象は、ドキシサイクリン錠剤1個を朝に食物と共に摂取すると共に1日1回晩に顔全体をアダパレンBPOゲルまたはそのビヒクルゲルで12週間処置した(添付資料1を参照されたい)。
【0104】
調査薬調剤師は、盲検を維持するために調査の有効性及び安全性の評価者とは異なっていた(5.4章を参照されたい)。
【0105】
処置投与を、以下にさらに記載する。
【0106】
【表5】

【0107】
有効性及び安全性評価
臨床評価は、調査全体を通じて同じ評価者(治験責任医師または被指名者)によって実行した。
【0108】
対象を追跡するために同じ評価者を使用することが不可能な場合は、一緒に対象を検査し、所見を検討するために少なくとも1回の来診について評価を重複させた。
【0109】
1.有効性評価
1.1有効性基準
初期有効性基準は、
12週目での全病変数(非炎症性病変と炎症性病変との合計)でのベースラインからの百分率変化であった。
【0110】
二次有効性基準は、
各中間来診で計数された全病変でのベースラインからの百分率変化、
ベースライン後の各来診で計数された炎症性病変でのベースラインからの百分率変化、
ベースライン後の各来診で計数された非炎症性病変でのベースラインからの百分率変化、
ベースライン後の各来診での治験責任医師包括的評価における変化のベースラインとの比較、
12週目/早期終了でのベースラインからの包括的改善であった。
【0111】
1.2有効性測定
病変計数
各種類の病変を個別に計数し、適切な症例報告用紙に記録する。評価者(治験責任医師または非指名者)は、左及び右の前頭部、左及び右の頬、ならびに下あごの線より上のあご(鼻を除く)から病変数を取得する。
【0112】
病変数は、全病変数を得るために電子的に合計する。
【0113】
以下は、計数する病変の定義である。
【0114】
非炎症性病変
開放面疱 開口している濾胞の後方に詰まった皮脂物質の腫瘤(黒色面疱)。
閉鎖面疱 閉鎖している濾胞の後方に詰まった皮脂物質の腫瘤(稗粒腫)。
【0115】
炎症性病変
丘疹 小さな、直径1センチメートル未満の固形隆起。病変のほとんどは皮膚表面上にある。
膿疱 小さな、黄白色浸出物を含んだ皮膚の限局性隆起。
小結節/嚢胞 一般に直径1.0cmより大きい限局性の、隆起した、病変(2個より多くない小結節/嚢胞が調査への参加を許可される)。
【0116】
治験責任医師の包括的評価
評価者(治験責任医師または被指名者)は、ベースライン時及び各ベースライン後来診時にざ瘡の重症度(包括的類別)を評価した。包括的重症度評価を、ざ瘡の重症度を定義するために使用した。評価者は、ざ瘡重症度の静的な(スナップショット)評価を実施して対象のざ瘡を各来診時に評価した。
【0117】
評価者は、対象の顔面のざ瘡を評価する際にベースラインまたは他のそれ以前の他の来診を参照しなかった。
【0118】
包括的重症度評価を、以下の表に略述する:
【0119】
【表6】

【0120】
対象が2、4または8週目で消失と類別される場合、対象はこの時点で調査を中止し、対応する調査来診及び終了用紙を完成させた。さらに対象に維持調査への参加を勧めた(RD.03.SPR.29075)。
【0121】
改善の包括的評価
評価者(治験責任医師または被指名者)は、12週目(または早期終了時)の顔面皮膚の状態をベースライン時の皮膚の状態と比較することによって改善の包括的評価を実行した。対象を以下の尺度に従って評価した:
【0122】
【表7】

【0123】
2)安全性評価
2.1耐容性評価
紅斑、落屑、乾燥及び刺傷/熱傷を各来診時に以下のとおり類別した:
【0124】
【表8】

【0125】
紅斑、落屑及び乾燥は、評価者(治験責任医師または被指名者)が評価した。刺傷及び熱傷は、対象との話し合い後に評価者が記録した。
【0126】
2.2有害事象(AEs):
有害事象は、各経過観察来診の間に記録した。治験責任医師によって観察されたかまたは対象によって報告されたかにかかわらず、かつ製剤または調査手順に関連すると考えられるかどうかにかかわらず、全ての臨床医学的事象を、有害事象と見なし、耐容性評価として評価/報告された事象(7.1.1章を参照されたい)を除いて、適切な有害事象用紙に記録した。
【0127】
3)その他
3.1対象の満足度質問票:
12週目/早期終了時に対象は、この調査において使用してきた処置に関する満足度質問票を完成させた。
【0128】
3.2ざ瘡特有の生活の質質問票(ざ瘡QoL)
ベースライン時及び12週目/早期終了時に回収した。治験責任医師または被指名者は、ざ瘡QoL用紙を対象(13歳またはそれより年長の対象のみ)に提供し、対象にそれを読んで生活の質の質問全19問に回答するように指示した。質問票は、健康関連の生活の質に与える顔面ざ瘡の影響を測った。カナダフランス語を話す対象は、確認された翻訳が無いことからそのような質問票を完成させることを要求されなかった。
【0129】
19問は、0〜6スケールで4つの領域に分けられている:自己認識(5問、合計スコア範囲0から30)、精神的役割(5問、合計スコア範囲0から30)、社会的役割(4問、合計スコア範囲0から24)及びざ瘡症状(5問、合計スコア範囲0から30)。
【0130】
対象が12週目/早期終了調査来診時に13歳になる場合及び対象が維持調査(RD.03.SPR.29075)に加わる場合、彼/彼女はざ瘡QoL質問票を完成させる必要がある。
【0131】
治験責任医師または被指名者は、全ての質問が回答されていることを確認するために対象がその場を去る前に質問票を点検しなければならなかった。
【0132】
3.3可視及びUV光写真
対象をベースライン時、4週目、8週目及び12週目/早期終了時に写真撮影した。
【0133】
特定のデジタルカメラでの可視及びUV蛍光写真をこの技術を熟知している選択された場所で撮影した。
【0134】
ポルフィリン蛍光の画像化は、ざ瘡菌の存在を実証するために有益な手段である。
【0135】
ざ瘡菌の代謝産物(ポルフィリン)は、橙赤色蛍光を有する。橙色蛍光の強度がざ瘡菌の存在及び活性に相関することが以前の調査において実証されている。治療中の橙蛍光の濾疱の数の減少をざ瘡菌活性への治験薬の有効性の測定値として解釈した。
【0136】
両評価は、添付資料5に記載の詳細な手順に従って実施した。
【0137】
測定の妥当性
有効性は、主な評価基準であり、ざ瘡の重症度を評価する現在の慣行である病変計数によって評価された。
【0138】
治験責任医師包括的評価も実施した。この評価スケールは、ざ瘡の重症度を評価するために現在使用される非侵襲的技術である。
【0139】
ベースラインからの改善の包括的評価は、皮膚科学的製品についての臨床調査において一般的に使用される評価スケールでもある。
【0140】
同じ評価者(治験責任医師または非指名者)が、全調査を通じて同じ対象を各来診時に評価した。
【0141】
有害事象
調査の全過程を通じて、全ての有害事象を監視し、任意の要求された、及び既知である情報を開示する有害事象用紙に報告した。有害事象が生じた場合、最も重要なことは調査対象の安全性であった。
【0142】
定義
有害事象(AE)
有害事象(AE)は、医薬品/治験薬または調査手順に関連するか否かにかかわらず、医薬品/治験薬の使用に一時的に関連する任意の好ましくない及び/または意図しない徴候(異常な検査知見を含む)、症状または疾患でありうる。
【0143】
したがって任意の新たな徴候、症状もしくは疾患または、既存の徴候、症状もしくは疾患の強度における臨床的に顕著な増大を有害事象と見なした。
【0144】
注:
調査期間に生じた、評価される疾患/状態の臨床的に顕著な増悪は、有害事象と見なした。
【0145】
偶然の、もしくは故意的な過量投与または誤用の後に出現した、対象が罹患した任意の新たな徴候または症状も有害事象として報告した。
【0146】
治験薬または調査手順に関連するか否かにかかわらず有害事象を、好ましくは診断と共に、または徴候/症状の記載、発生の日付、重症度、重篤度、関連及び治験薬と共に行われた行為のみならずAEを処置するために施された処置及び最終的なAEの転帰と共に有害事象用紙に報告した。
【0147】
AEの重篤度、重症度及び因果関係の評価は、詳細な定義に基づいた。
【0148】
対象が有害事象により中止した場合は、有害事象用紙及び終了用紙を完成しなければならなかった。
【0149】
副作用が局所調査処置の間に予側される場合があり、その特徴はこのプロトコールに記載されている(例えば紅斑、落屑、乾燥及び刺傷/熱傷)。これらの予期される事象の経過を評価し、耐容性評価に報告した。有害事象用紙は、予側される徴候及び症状の重症度が、治験責任医師の判断で対象の調査への参加の中断が生じた場合及び/または徴候/症状を処置するための併用の薬物療法が処方(保湿剤の提供を除く)された場合にのみ完成させた。
【0150】
重篤な有害事象(SAE)
重篤な有害事象は、任意の用量で:
死に至る、
生命を脅かす、
患者の入院加療または入院加療の長期化を必要とする、
持続的なまたは顕著な身体障害/無能に至るか、または
先天的異常/先天性欠損である
任意の予期しなかった医学的出来事である。
さらに:
対象を危険にさらす、または上に記載した転帰の1つを予防するために介入治療が必要な他の重要な医学的事象である。
注:
用語「生命を脅かす」は、対象が事象の時点で死の危険にあった事象を意味し、さらに重度であった場合に仮説上で死を生じる場合があった事象は意味しない。
【0151】
診断検査のためだけの入院加療(たとえ有害事象に関連した場合でも)、調査への対象の組み入れの前に既に計画されていた介入治療のための待機入院、及びデイケア施設への入院は、それ自体が重度の有害事象として見なされる十分な根拠とならなくてよい。
【0152】
重症度
重症度は、有害事象の強度の臨床的判定である。
【0153】
有害事象についての重症度評価は、この調査の間に生じた全ての有害事象について以下の定義をガイドラインとして使用して完了させた(Galdermaによって実施/主催された全ての臨床試験において通常使用される):
【0154】
【表9】

【0155】
調査薬剤との関連
有害事象についての関連性評価は、Galdermaによって実施または主催された臨床試験の間に生じた全ての有害事象について以下の定義をガイドラインとして使用して完成させた:
【0156】
【表10】

【0157】
可能性、高可能性または確実に関連に類別されたAEについて、治験責任医師は局所もしくは経口治験薬剤または両方に関連するかどうかを決定した。
【0158】
感作が疑われる(貼付試験)
感作を確認するために、追加的貼付試験;治験用ゲル剤を使用する第1貼付試験及び、治験用ゲルの全ての個々の成分を使用する第2貼付試験(第1貼付試験で陽性反応の場合のみ)を実施できる。
【0159】
治験用ゲル剤適用中止の少なくとも2週間後に、パッチを対象の腕または背部に48時間適用した。
【0160】
読み取りはパッチ除去の15から30分の間に、次いで48時間後に実施した。
【0161】
貼付試験は、Galdermaによって供給された。各貼付試験からの結果は主催者の指示通り報告される。
【0162】
【化1】

【0163】
有害事象を報告するための手順
各来診時に治験責任医師は、対象の回答に影響しないように注意して自由回答式質問法を使用して有害事象について対象に質問した(例えば「前回の来診からあなたの健康に何か変化がありましたか」)。次いで妥当な場合は指示質問及び検査を行った。
【0164】
報告された全ての有害事象は、要求された及び既知のいかなる情報も除外することなく適切な症例報告用紙に記録した。
【0165】
調査中に併用治療が報告されるたびに、適切な場合は有害事象用紙を完成させ、処置についての理由を記述した。
【0166】
調査終了まで有害事象が持続した場合治験責任医師は、治験責任医師とGaldermaが事象が申し分なく解決したと同意するまで対象の経過観察を実行した。
【0167】
統計的方法
統計的及び分析的方法
この調査の主な目的は、抗生物質単独と比較してドキシサイクリンを併用するアダパレンBPOゲルの有効性に関しての、すなわち尋常性ざ瘡の全病変数における百分率変化に関しての優位性を実証することであった。
【0168】
統計的に分析される変数
以下の変数が分析される:
【0169】
第一次有効性変数:
12週目での全病変数(非炎症性と炎症性病変との合計)におけるベースラインからの百分率変化
【0170】
第二次有効性変数:
各中間来診時での全病変数におけるベースラインからの百分率変化
ベースライン後の各来診時での炎症性病変数におけるベースラインからの百分率変化
ベースライン後の各来診時での非炎症性病変数におけるベースラインからの百分率変化
ベースライン後の各来診時での治験責任医師包括的評価:スコア全体での対象の%
12週目/早期終了でのベースラインからの包括的改善:スコア全体での対象の%
【0171】
安全性変数:
局所耐容性のベースライン後の最悪スコア:スコア全体での対象の%
炎症後色素沈着過剰のベースライン後の最悪スコア:スコア全体での対象の%
【0172】
その他
対象の質問票(満足度質問票及びざ瘡QoL)
分析された母集団、評価可能性及びバイアス評価の限界
【0173】
以下の母集団を分析する:
プロトコールごとの有効性母集団(PP)
この母集団は、プロトコールからの大幅な逸脱により評価可能でないと見なされた対象を除く、登録し、かつ無作為化された全ての対象からなった。
【0174】
大幅な逸脱はデータ入力後で調査処置の非盲検化の前に定義した。組み入れ基準を遵守しない、有効性評価入手不能、組入れ時の妨害治療などを含んでよい。
【0175】
治療を意図した母集団(Intent-to-Treat efficacy population)(ITT)
この母集団は、登録し、かつ無作為化された母集団全体からなった(すなわち、割り当てられた処置(またはキット)番号)。
【0176】
安全性母集団(APT)
この母集団は、監視報告書に確実に基づいて処置を受けたことがない対象を除く、治療を意図した母集団からなった。
【0177】
欠損値
有効性変数について、大幅な異常値またはデータ除外の影響を評価するために、ITT母集団を各来診時で、欠測値を帰するための最終観察の引き延ばし補完法(LOCF)を使用して分析した。ベースライン後のデータが利用可能でない場合は、ベースラインを引き延ばした。したがって対象の数は、来診時ごとで変化しなかった。他の欠測値は置き換えなかった(観察されたデータ)。
【0178】
データ提示及び図解
全ての継続的データを、通常の統計学、値の数、平均、中央値、標準偏差、最少及び最大を使用して、ならびに定性的データについては度数分布(n、%)によって要約した。順序データについては、度数分布と通常の統計との両方を示した。全ての表は、調査投薬及び来診によって示す。
【0179】
安全性変数については、全ての要約は、安全性母集団(APT)に基づいた。有害事象は、治験薬との関連性によって及び強度(すなわち、軽度、中等度及び重度)によって記述的に要約した(n、%)。調査期間中に有害事象が1回より多く生じた場合は、期間中で最も高い薬物関連評価を有した有害事象を薬物への関連性の種類による要約に使用した。同様にその期間中で最も高い強度を有した有害事象を強度による要約に使用した。有害経験をSOC及び優先使用語(MedDRA)で要約した(n、%)。死亡及び重篤な有害事象ならびに有害事象による休薬を報告した。
【0180】
統計的分析
母集団の定義は、場所ごとの対象の分布が検討された盲検データ検討会議の後にまとめた。少なすぎる場所または場所の間の人数に著しい不均衡がある場合は、いくつかの場所を、例えば地理的領域ごとに組み合わせ、統計分析用の階層化の目的で分析センターをもうけた。
【0181】
この調査の主な目的は、ドキシサイクリンを併用するアダパレンBPOゲルの優位性をドキシサイクリンを併用するそのビヒクルゲルと比較して12週目での全病変数における百分率変化(LOCF)に関して実証することであった。
【0182】
この目的は、コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)統計値を使用することによって示され、列平均差統計学での再転換後にセンター(または分析センター)によって階層化され、平等の仮説を検定した。p-値は、ITT/LOCF母集団において12週目で0.05より下であった。PP分析もITT/LOCF母集団で得られた結果のロバスト性を評価するために実施した。
【0183】
第二次有効性変数、局所耐容性最悪スコア、PIH最悪スコア及び質問票を第一次分析と同様に適切な母集団で分析した。
【0184】
各検査は、有意性レベル0.050で両側性であった。
【0185】
対象の素質、以前の及び併用の薬物療法、調査処置持続期間/服薬遵守、有害事象、人口統計学、ベースライン特徴、安全性変数(最悪スコアを除く)、炎症性、非炎症性及び全病変数を適切な母集団について記述的に要約した。
【0186】
(実施例2)
ドキシサイクリン塩酸塩100mg錠剤を併用するアダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%ゲルを含むゲル組成物での重度尋常性ざ瘡の処置の臨床試験
【0187】
臨床検査プロトコールは、実施例1に記載した。全ての処置は、1日1回12週間、ざ瘡を罹患している患者517名に投与した。
【0188】
1.エピデュオゲル
アダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%ゲルを含有するエピデュオゲルを調査に使用した。各対象はエピデュオゲルを1日1回、晩に適用した。
【0189】
エピデュオゲルは、以下の処方(重量/総重量の%として表す)を有する。
アダパレン 0.10%
過酸化ベンゾイル 2.50%
アクリルアミドとアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムとの共重合体 4.00%
ドクサートナトリウム 0.05%
EDTA二ナトリウム 0.10%
グリセロール 4.00%
ポロキサマー124 0.20%
プロピレングリコール 4.00%
精製水 適量100%
【0190】
2.ドキシサイクリン塩酸塩
ドキシサイクリン塩酸塩100mg錠剤を調査に使用した。対象選択及びドキシサイクリンについての投与量は、米国/カナダで認可されたドキシサイクリンの表示に基づいた。各対象は、ドキシサイクリンを1日1回、朝に食事と共に摂取した。
【0191】
3.ビヒクルゲル
アダパレン及び過酸化ベンゾイルを除いてエピデュオゲルと本質的に同じ処方であるビヒクルゲルでの結果は、調査のためのベースラインとして使用した。
【0192】
4.結果
この調査の結果は、同じ調査プロトコールで以前実施され、本明細書にその全体が組み込まれる国際公開第2008/006888号に記載のエピデュオ調査の結果と比較した。
【0193】
比較結果をTable 1(表11)に示す。
【0194】
【表11】

【0195】
1)調査の主な4つの基準:成功の程度及び3種類の病変の百分率での減少について、一定配合とドキシサイクリンが、一定配合(エピデュオゲル)またはドキシサイクリン単独よりも統計的に優位であることが見出された。
【0196】
2)ビヒクルとして使用したゲルの効果を一定配合とドキシサイクリン、一定配合(エピデュオゲル)、及びドキシサイクリン単独の効果から減算すると、本発明の治療投与法の正味の臨床的利益は、一定配合(エピデュオゲル)及びドキシサイクリン単独の正味の臨床的利益の合計より顕著に優位である。
【0197】
したがってこれらの結果は、4つすべての分類、すなわち成功の程度及び3種類の病変の百分率での向上における本発明の治療投与法の相乗効果を示す。
【0198】
加えて、Epiduo(登録商標)ゲル+ドキシサイクリン、ビヒクルゲル+ドキシサイクリンを全ての調査来診時で比較して、これらの結果は以下も示す。
a)図1に示すとおり、全病変結果については、Epiduo(登録商標)ゲル+ドキシサイクリンがビヒクルゲル+ドキシサイクリンよりも全ての調査来診時及び早くも2週目で顕著に優位である(-21%対-13%)。12週目で、Epiduo(登録商標)ゲル+ドキシサイクリンについて64%減少が観察されるのに対して-41%である。PP母集団は、12週目で全病変の-66%に対して-43%の減少でEpiduo(登録商標)ゲル+ドキシサイクリンの顕著な優位性をビヒクルゲル+ドキシサイクリンと比較して確認する。
b)図2に示すとおり、炎症性病変の減少百分率は、ビヒクルゲル+ドキシサイクリンと比較してEpiduo(登録商標)ゲル+ドキシサイクリンを支持して、2週目(-27%対-22%)から12週目(-72%対-48%)での統計的に有意な急速な作用の出現を示す。
c)図3に示すとおり、非炎症性病変の減少百分率は、ビヒクルゲル+ドキシサイクリンと比較してEpiduo(登録商標)ゲル+ドキシサイクリンを支持して、2週目(-17%対-10%)から12週目(-61%対-40%)での統計的に有意な急速な作用の出現を示す。
d)図4に示すとおり、成功率(消失+ほとんど消失)の観点から、ビヒクルゲル+ドキシサイクリンと比較してEpiduo(登録商標)ゲル+ドキシサイクリンを支持して、8週目(9.8%対2.6%)から12週目(31.5%対8.4%)に顕著な差異が、Epiduo(登録商標)ゲル+ドキシサイクリンについて最終月での急増を有して観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ざ瘡関連疾患を抑制するまたは処置するための治療投与法であって、
(a)少なくとも1つのレチノイド及び少なくとも1つの局所抗菌剤を含む多剤混合薬の治療有効量を、必要とする個々の対象に局所的に適用する段階、
(b)所定の期間について多剤混合薬と共に経口抗生物質の治療有効量を投与する段階、ならびに
(c)必要に応じてさらなる期間について多剤混合薬を任意選択で継続する段階
を含む、治療投与法。
【請求項2】
ざ瘡関連疾患が尋常性ざ瘡である、請求項1に記載の投与法。
【請求項3】
ざ瘡が中等度から重度のざ瘡である、請求項2に記載の投与法。
【請求項4】
レチノイドがアダパレンである、請求項1に記載の投与法。
【請求項5】
局所抗菌剤が過酸化ベンゾイルである、請求項1に記載の投与法。
【請求項6】
多剤混合薬が、薬学的に許容される担体に混合されたアダパレン及び過酸化ベンゾイルを含む、請求項1に記載の投与法。
【請求項7】
多剤混合薬が1日1回適用される、請求項6に記載の投与法。
【請求項8】
多剤混合薬が晩に適用され、かつ経口抗生物質が朝に投与される、請求項6に記載の投与法。
【請求項9】
アダパレンと過酸化ベンゾイルとの多剤混合薬がゲル中にある、請求項6に記載の投与法。
【請求項10】
アダパレンと過酸化ベンゾイルとの多剤混合薬が水性ゲル中にある、請求項9に記載の投与法。
【請求項11】
経口抗生物質が、リメサイクリン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、アボスルホン、マクロライド、エリスロマイシン、アンピシリン、アミノグリコシスダイク、カナマイシン、シナジスチン、及びプリスチナマイシンからなる群から選択される、請求項1に記載の投与法。
【請求項12】
経口抗生物質が、リメサイクリン、クリンダマイシン、及びドキシサイクリンからなる群から選択される、請求項11に記載のレジームまたは投与法。
【請求項13】
ざ瘡関連疾患を抑制するまたは処置するための治療投与法キットであって、
(a)少なくとも1つのレチノイド及び少なくとも1つの局所抗菌剤を含む組成物を含む容器、
(b)経口抗生物質を含む容器、ならびに
(c)治療投与法での患者の服薬遵守を促進する説明書
を含む、治療投与法キット。
【請求項14】
ざ瘡関連疾患を抑制するまたは処置することを目的とする組成物の調製のための、レチノイドと少なくとも1つの抗菌剤との多剤混合薬の使用であって、
(a)少なくとも1つのレチノイド及び少なくとも1つの局所抗菌剤を含む多剤混合薬の治療有効量を、必要とする個々の対象に局所的に適用する段階、
(b)所定の期間について多剤混合薬と共に経口抗生物質の治療有効量を投与する段階、ならびに
(c)必要に応じてさらなる期間について多剤混合薬を任意選択で継続する段階
を含む使用。
【請求項15】
レチノイドがアダパレンである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
抗菌剤が過酸化ベンゾイルである、請求項14に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−520849(P2011−520849A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508947(P2011−508947)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056015
【国際公開番号】WO2009/138516
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】