すべり軸受及び振動アクチュエータ
【課題】軸をショートストロークで往復運動させても軸に疵が付くのを防止でき、また軸の回り止めも可能なすべり軸受を提供する。
【解決手段】すべり軸受は、外筒2に対して軸1が軸線方向に相対的に直線運動するのを案内する。軸1には樹脂製のスリーブ3が一体的に成形又は接合される。スリーブ3の外周面には、外側回り止め部4が形成される。外筒2の内周面には、スリーブ3が軸線方向にすべることができ、かつスリーブ3が軸線の回りを回転できないように、スリーブ3の外側回り止め部4が嵌まる内側回り止め部6が形成される。
【解決手段】すべり軸受は、外筒2に対して軸1が軸線方向に相対的に直線運動するのを案内する。軸1には樹脂製のスリーブ3が一体的に成形又は接合される。スリーブ3の外周面には、外側回り止め部4が形成される。外筒2の内周面には、スリーブ3が軸線方向にすべることができ、かつスリーブ3が軸線の回りを回転できないように、スリーブ3の外側回り止め部4が嵌まる内側回り止め部6が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外筒に対して軸が軸線方向に相対的に直線運動するすべり軸受、及びすべり軸受が組み込まれた振動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
外筒に対して軸が直線運動するのを案内する案内装置として、外筒の内周面で軸をすべらせるすべり軸受や、外筒に組み込まれるボールの転がり運動を介して軸を案内するボールブッシュが知られている。
【0003】
すべり軸受は、外筒の内周面と軸の外周面を接触させ、外筒の内周面に対して軸の外周面がすべるようにしたものである。外筒の内周面に潤滑剤を保持させ、外筒の内周面と軸の外周面との間の摩擦や焼き付けを防いでいる(特許文献1参照)。
【0004】
ボールブッシュは軸と外筒との間に転がり運動可能に多数のボールを介在させたものである。多数のボールは外筒に組み込まれるケージに保持される。外筒に対して軸が直線運動すると、多数ボールが外筒と軸との間で転がり運動する。ボールの転がり運動を利用するので、軽快な動きが得られるという利点がある。(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−024798号公報
【特許文献2】特開2001−116043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、軸のショートストロークの往復運動を案内するのにボールブッシュを使用すると、軸の往復運動の繰り返し回数が多くなることに伴って軸に疵が付くという問題が発生する。軸に疵が付く現象はフレッチングコロージョンと呼ばれる。ボールブッシュにかける予圧が大きければ大きいほど軸に疵が付く傾向がある。逆にボールブッシュに予圧をかけないと、軸の疵が減る。軸の疵が減る一因として、ボールの転がり運動がすべり運動に変化していることが挙げられる。軸に疵を付けないためには、ボールブッシュよりもすべり軸受が有効である。しかし、たとえすべり軸受を使用しても、軸の往復運動の繰り返し回数が多くなると、ボールブッシュほどではないものの、やはり軸に疵が付く。
【0007】
ところで、すべり軸受に軸の回り止め機能を持たせる場合、軸に軸線方向に延びる溝や突起が形成されるスプライン軸が用いられる。しかし、軸に溝や突起を形成すると、加工工程が増え、製品のコストアップを招いてしまう。
【0008】
そこで本発明は、軸をショートストロークで往復運動させても軸に疵が付くのを防止でき、また軸の回り止めも可能なすべり軸受及び振動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、外筒に対して軸が軸線方向に相対的に直線運動するすべり軸受であって、軸と、前記軸に一体的に成形又は接合され、周囲に外側回り止め部を有する樹脂製のスリーブと、前記スリーブが前記軸線方向にすべることができ、かつ前記スリーブが軸線の回りに回転できないように、内周面に前記スリーブの前記外側回り止め部が嵌まる内側回り止め部を有する外筒と、を備えるすべり軸受である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、すべり軸受が、軸、樹脂製のスリーブ、外筒の三層構造になり、樹脂製のスリーブが外筒に対してすべるので、軸や外筒に疵が付くのを防止できる。また、樹脂製のスリーブに回り止め部を形成するので、軸に直接回り止めのための溝や突起を形成する必要がない。このため、回り止め部の加工が容易になる。
【0011】
本発明のすべり軸受の用途は特に限定されるものではないが、軸がショートストロークで往復運動する振動アクチュエータに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態のすべり軸受(インボリュート方式)の全体図(図1(a)は側面図を示し、図1(b)は斜視図を示す)
【図2】すべり軸受の軸を示す図(図2(a)は正面図を示し、図2(b)は側面図を示す)
【図3】スリーブの詳細図(図3(a)はスリーブの正面図を示し、図3(b)はスリーブの側面図を示す(一部断面図を含む))
【図4】すべり軸受の外筒を示す図(図4(a)は外筒の正面図を示し、図4(b)は外筒の側面図(一部断面図を含む)を示す)
【図5】スリーブの歯と外筒の凹みの接触状態を示す断面図
【図6】本発明の第二の実施形態のすべり軸受(キー方式)のスリーブを示す図(図6(a)はスリーブの正面図を示し、図6(b)はスリーブの側面図を示す)
【図7】本発明の第二の実施形態のすべり軸受(キー方式)の外筒を示す図(図7(a)は外筒の正面図を示し、図7(b)は外筒の側面図を示す)
【図8】スリーブの軸線方向の長さが外筒の軸線方向の長さよりも長い場合の摩耗状態を示す図(比較例)
【図9】スリーブのキーと外筒の凹みの嵌合状態を示す模式図(図9(a)はキーの個数を偶数にしたときを示し、図9(b)はキーの個数を奇数にしたときを示す)
【図10】すべり軸受が組み込まれた振動アクチュエータの断面図
【図11】振動アクチュエータの磁石部の図10のXI−XI線断面図(図11(a)は軸が安定した状態を示し、図11(b)は軸に回転力を与えた状態を示す)
【図12】ストロークとすべり抵抗の関係を示すグラフ
【図13】キー方式のすべり抵抗及び軸変位を示すグラフ(図13(a)は往復回数とすべり抵抗との関係を示し、図13(b)は往復回数と軸変位との関係を示す)
【図14】インボリュート方式のすべり抵抗及び軸変位を示すグラフ(図14(a)は往復回数とすべり抵抗との関係を示し、図14(b)は往復回数と軸変位との関係を示す)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態のすべり軸受を詳細に説明する。図1(a)は本発明の第一の実施形態のすべり軸受(インボリュート方式)の外観側面図を示し、図1(b)はスリーブを示すために外筒から軸を抜いた状態の斜視図を示す。
【0014】
すべり軸受は、軸線方向に直線運動可能な軸1と、軸1が直線運動するのを案内する外筒2と、を備える。外筒2は、円筒状をなし、ベース等の固定側に取り付けられる。軸1は、円柱形状をなし、案内対象である移動体に取り付けられる。軸1の軸線方向の端部には、移動体に取り付けるための取付部として雄ねじ1aや雌ねじ1bが形成される。外筒2に対する軸1の直線運動は相対的なものであるから、軸1に対して外筒2が直線運動してもよい。
【0015】
図1(b)に示すように、金属製の軸1には樹脂製のスリーブ3が一体に成形される。すべり軸受は、金属製の軸1、樹脂製のスリーブ3、金属製の外筒2の三層構造になっている。軸1とスリーブ3が一体であるから、外筒2に対して軸1を直線運動させると、外筒2に対してスリーブ3がすべる。スリーブ3の周囲には、外側回り止め部としての複数の歯4が形成され、外筒2の内周面には、複数の歯4に対応する複数の凹み6(図4参照)が形成される。スリーブ3の複数の歯4が外筒2の複数の凹み6に嵌まるので、外筒2に対する軸1の軸線回りの回り止めが実現される。
【0016】
図2は軸1を示す。図2(a)は軸1の正面図を示し、図2(b)は軸1の側面図を示す。図2に示すように、軸1は円柱形状であり、その外周面にはスプライン溝やスプライン突起が形成されていない。軸1の軸線方向の端部には、移動体に取り付けるための取付部として雄ねじ1aや雌ねじ1bが形成される。軸1の材質には、ステンレス、鋼、アルミニウム、真鍮等の金属が用いられる。
【0017】
図3は、軸1に一体に成形されるスリーブ3の詳細図を示す。図3(a)はスリーブ3の正面図を示し、図3(b)はスリーブ3の側面図を示す(一部断面図を含む)。図3には、スリーブ3のみが示されるが、実際にはスリーブ3は軸1と一体である。スリーブ3の材質は、耐摩耗特性の優れたポリオキシメチレン(POM)等の熱可塑性樹脂である。スリーブ3は、インサート成形又はアウトサート成形等、いわゆる射出成形によって金属製の軸1に一体に成形される。スリーブ3の軸線方向の長さは軸1の軸線方向の長さよりも短く、スリーブ3は軸1の軸線方向の一部にのみ形成される。スリーブ3の周囲には、外側回り止め部として周方向に一定のピッチで複数の歯4が成形される。歯4はスリーブ3の軸線方向の全長に渡って伸びる。歯4の歯形は、インボリュートに形成される。インボリュート以外にもサイクロイドに形成することもできる。歯4をインボリュートに形成することで、歯4の側面は曲面に形成される。なお、スリーブ3を軸1に一体に成形する替わりに、スリーブ3のみを樹脂成形した後、接着剤でスリーブ3を軸1に接合してもよい。
【0018】
歯4の軸線方向の両端部には、歯の高さh(歯たけとも呼ばれ、基礎円C1の半径と歯先円C2の半径の差)が両端で小さくなるようにクラウニング7が施される。図3(b)に示すように、クラウニングの形状は曲線状に形成される。曲線状以外にも直線状に形成することも可能である。このクラウニングは通常の歯車のクラウニング(歯すじにそって中央が膨らんで、両端が薄くなるよう歯幅を変化させるクラウニング)とは異なっていて、歯4の軸線方向の両端部の歯の高さhを小さくするものである。
【0019】
図4は外筒2を示す。図4(a)は外筒2の正面図を示し、図4(b)は外筒2の側面図(一部断面図を含む)を示す。外筒2の内周面には、内側回り止め部として、スリーブ3の複数の歯4の形状に合わせた複数の凹み6が周方向に一定のピッチで形成される。凹み6は外筒2の軸線方向の全長に渡って伸びる。外筒2の凹み6の軸線方向の長さL4は、スリーブ3の歯4の軸線方向の長さL3(図3(b)参照)よりも長い。望ましくは、スリーブ3の歯の軸線方向の長さL3に軸1の往復運動するストロークを合算した長さよりも長い。外筒2の凹み6の軸線方向の両端部には、両端で外筒2の内径が広がるようにクラウニング8が施される。このクラウニング8によって、組立て作業の際、外筒2内にスリーブ3を挿入するのが容易になる。
【0020】
外筒2の材質は、銅等の金属粉末を焼結して得られる焼結合金である。外筒2のビッカース硬さはスリーブ3のビッカース硬さよりも硬く、具体的にはスリーブ3のビッカース硬さの3倍以上に設定される。ビッカース硬さの比を3倍以上にすることで、確率論的にスリーブ3側を摩耗させ、外筒2側を摩耗させないことが可能になる。焼結合金の多数の気孔には、潤滑油が含浸される。潤滑油は外筒2とスリーブ3の接触面にしみ出し、これらの間に潤滑油の膜を形成する。ただし、焼結合金に多数の気孔を形成すると外筒2の強度が不足することがある。外筒2をステンレスや鋼製のパイプ内に嵌め込めば、外筒2の強度を増すことができる。
【0021】
図5はスリーブ3の歯4と外筒2の凹み6の接触状態を示す。スリーブ3の歯4と外筒2の凹み6とは、歯面合わせで面接触する。すなわち、歯4の側面4aと凹み6の側面6aとが面接触する。歯4の側面4aは曲面に形成されるので、歯4と凹み6とは曲面で接触する。歯4の歯底4bや頂部4cは、凹み6と接触していない。
【0022】
本実施形態のすべり軸受によれば、金属製の軸1、樹脂製のスリーブ3、金属製の外筒2の三層構造になっていて、樹脂製のスリーブ3が金属製の外筒2に対してすべる。スリーブ3に樹脂を使用することで、たとえ軸1が傾いてもスリーブ3が変形して外筒2にならうので、スリーブ3と外筒2の接触面積を確保することができる。このため、外筒2に疵が付くのを防止できる。これに対して、スリーブ3に高硬度の素材を使用すると、軸1が傾いたとき、点接触となって面圧が上がり、外筒2に疵が付いてしまう。スリーブ3に高硬度の素材としてリン青銅を用いて試験したところ、かじり付きが多数発生した。スリーブ3にリン青銅を用いたときのすべり抵抗については、実験結果において説明する。
【0023】
また、本実施形態のすべり軸受によれば、スリーブ3に複数の歯4を形成するので、軸1に直接スプライン溝や突起を加工する必要がなくなる。軸1のスプライン加工が不要になるので、軸1の加工が容易になる。軸1の端末加工も容易になり、軸長の自由な設定も可能になる。
【0024】
樹脂製のスリーブ3が金属製の外筒2に対してすべるとき、もっぱら樹脂製のスリーブ3が摩耗する。スリーブ3の歯4の軸線方向の長さは、外筒2の凹み6の軸線方向の長さよりも短い。このため、スリーブ3の歯4の軸線方向の全長が均等に摩耗する。これに対して、図8に示すように、スリーブ3の軸線方向の長さL3が外筒2の軸線方向の長さL4よりも長いと、スリーブ3の歯4の軸線方向の中央部4−2の摩耗量が両端部4−1の摩耗量よりも大きくなり、スリーブ3の歯4の摩耗量が軸線方向で一様にならなくなる。
【0025】
スリーブ3の歯4の両端部にクラウニング7を施すことで、すべり抵抗を小さくすることができるとともに、組立時の疵を減らすことができる。クラウニング7とすべり抵抗の関係については、実験結果において後述する。
【0026】
スリーブ3の歯4にインボリュートを使用することで、すべり軸受に作用する垂直方向荷重、回転方向荷重ともにインボリュートの歯4で自動調心しながら受ける。このため、スリーブ3及び外筒2の加工誤差やスリーブ3と外筒2との平行度誤差の吸収が可能になる。また、スリーブ3及び外筒2の高い加工精度が不要になるので、廉価に製造することができる。
【0027】
さらに外筒2に含油焼結合金を使用することで、焼結合金から油を少しずつしみ出させることが可能になり、メンテナンスフリーが実現できる。また、スリーブ3だけでなく外筒2も型による成形が可能になるので、外筒2を廉価に製造することができる。
【0028】
図6は本発明の第二の実施形態のすべり軸受(キー方式)のスリーブ11を示し、図7は外筒15を示す。図6に示すように、この実施形態のすべり軸受のスリーブ11は、円筒形の基部12と、基部12の周囲に一定のピッチを空けて形成される多数のキー13と、を備える。キー13は、スリーブ11の軸線方向の全長に渡って伸びる。キー13は断面略四角形に形成され、互いに平行な一対の側面13aと、天井面13bと、を備える。キー13の個数は3個、5個、7個、9個等の奇数である。キー13の軸線方向の両端部には、キー13の高さが両端で低くなるようにクラウニング13cが施される。クラウニング13cは円弧形状に形成される。
【0029】
図7に示すように、外筒15の内周面には、内側回り止め部としてスリーブ11の複数のキー13の形状に合わせた複数の凹み16が周方向に一定のピッチで形成される。凹み16の横幅W2や高さL2はキー13の横幅W1や高さL1よりも僅かに大きく設定される。外筒15の内周面の半径R2は、スリーブ11の基部12の外周面の半径R1と一致していて、外筒15の内周面とスリーブ11の基部12の外周面とが面接触する。スリーブ11のキー13と外筒15の凹み16とは常時接触している訳ではなく、軸1に回転力が作用したときに接触する。これにより、スリーブ11のキー13や外筒15の凹み16の高い加工精度が不要になる。外筒15の凹み16の軸線方向の端部には、組立て作業を容易にするために、外筒15の内径が広がるような直線状又は曲線状のクラウニング17が形成される。
【0030】
インボリュートの歯4に比べて自動調心性は劣るものの、図6に示すように、スリーブ11には、外側回り止め部としてキー13を使用することもできる。その場合、キー13の個数は奇数が望ましい。図9(a)に示すように、キー13の個数を偶数にすると、一つのキー13に対して周方向に180度離れた位置にも必ずキー13が配置される。これが原因で、キー13の傾きや平行度が狂うと、図9(a)中×の部分でキー13と凹み16とが干渉し、外筒15の凹み16にキーを嵌めることが困難になる。これを防止するため、キー13を高精度に加工する必要がある。これに対し、図9(b)に示すように、キー13の個数を奇数にすると、一つのキー13に対して周方向に180度離れた位置にキー13が配置されなくなる。このため、キー13の平行度や傾きが多少狂っても、外筒15を微小回転することで凹み16にキー13が嵌まるようになる。キー13の高精度な加工が不要になるので、キー13の加工が容易になる。なお、キー13を使用した場合、自動調心性以外は第1の実施形態と同様な効果を奏する。
【0031】
図10は本発明の第一の実施形態のすべり軸受が組み込まれる振動アクチュエータを示す。この振動アクチュエータは、軸線方向に並べられた複数の永久磁石21と、永久磁石21を囲む複数のコイル22と、を備える。コイル22が固定側の筒状のケーシング24に収納され、永久磁石21がケーシング24に対して振動する軸1に結合される。コイル22に交流を流すと、永久磁石21に発生する磁界とコイル22に流れる電流との相互作用によって軸1が振動する。
【0032】
円筒状のケーシング24の一方の端部には、回り止め機能を持つすべり軸受20が設けられ、ケーシング24の他方の端部には回り止め機能を持たないブッシュ27が設けられる。軸1,26はすべり軸受20及びブッシュ27の2か所で直線運動可能に支持される。
【0033】
すべり軸受20は上記実施形態のすべり軸受と同一の構成であるから、同一の符号を附してその説明を省略する。すべり軸受20の外筒2の軸線方向の長さは、スリーブ3の軸線方向の長さよりも長い。望ましくは、スリーブ3の軸線方向の長さに軸1の往復運動のストロークを合算した長さよりも長い。すべり軸受20の軸1の材質には、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の非磁性材料が用いられる。
【0034】
ブッシュ27は、樹脂製の外筒25と、金属製の軸26と、を備える。ブッシュ27の軸26の材質にも、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の非磁性材料が用いられる。ブッシュ27の外筒25の内周面の断面形状は円に形成され、軸26の外周面の断面形状は円に形成される。ブッシュ27は回り止め機能を持たず、軸26は外筒25に対して回転可能である。
【0035】
永久磁石21は、希土類やフェライト磁石からなり、軸線方向に着磁されている。複数の永久磁石21は互いに同極同士が向かい合うように配置される。永久磁石21はすべり軸受20の軸1と、ブッシュ27の軸26との間に挟まれる。永久磁石21には貫通孔が空けられる。永久磁石21の貫通孔に通しボルト等の締結部材を通し、締結部材の両端部に軸1,26を結合することで、永久磁石21が軸1,26と一体になる。
【0036】
ケーシング24の一端部には、軸1に軸線の回りに回転する回転力を与える回転力付与手段としての磁石部33が設けられる。この磁石部33は、磁石31,32の吸引力及び/又は反発力を利用して軸1に回転力を与える。
【0037】
図11は、磁石部33の断面図の一例を示す。この例では、磁石部33は、ケーシング24に設けられるケーシング側磁石31a,31bと、軸1に設けられる軸側磁石32と、を備える。そして、ケーシング側磁石31a,31bと軸側磁石32との間に働く吸引力によって、軸1に回転力を与えている。ケーシング24には、180度の間隔を空けて棒磁石からなる一対のケーシング側磁石31a,31bが配置される。ケーシング側磁石31a,31bは軸線方向に着磁され、ケーシング24の半径方向に細長く伸びる。図中上側のケーシング側磁石31aは半径方向の外側(上側)がN極に着磁され、半径方向の内側(図中下側)がS極に着磁される。図中下側の永久磁石31bは半径方向の外側(下側)がS極に着磁され、半径方向の内側(図中上側)がN極に着磁される。
【0038】
ブッシュ27の軸26には、ケーシングの棒磁石と吸引し合う軸側磁石32が配置される。軸側磁石32は棒磁石からなり、軸26の軸線方向と直交する方向に細長く伸びる。軸側磁石32は軸線方向に着磁される。軸側磁石32の図中上側がN極に着磁され、図中下側がS極に着磁される。
【0039】
図11(a)に示すように、軸26がケーシング24に対して自由に回転できるとき、上側のケーシング側磁石31aのS極と軸側磁石32の上側のN極とが引き付け合い、下側のケーシング側磁石31bのN極と軸側磁石32の下側のS極とが引きつけ合う。その結果、軸側磁石32のN極が鉛直上側、S極が鉛直下側を向いた状態で軸26の姿勢が安定する。図11(b)に示すように、軸を回転させると、ケーシング側磁石31a,31bと軸側磁石32との吸引力によって、図11(a)に示すような安定した状態に戻ろうとする。これにより、軸26に回転力を付与することができる。
【0040】
図10に示すように、軸1はすべり軸受20によって回り止めされる。軸26を介して軸1に回転力を与えると、すべり軸受20のスリーブ3の歯4の側面4aの一方のみ(図3参照)が外筒2の凹み6に接触する。このため、軸1の周方向のがたを無くすことができ、軸1が円滑に振動する。
【0041】
<実験結果1>
図12は、軸1をリン青銅製のスプラインとし、軸1を金属製の外筒2内で直接すべらせたとき(比較例)と、軸1に樹脂製のスリーブ3を成形し、樹脂製のスリーブ3を金属製の外筒2内ですべらせたとき(本発明例)とで、すべり抵抗を測定した結果を示す。軸1の先端に25gの錘をぶら下げ、軸1を10mmストロークさせたときのすべり抵抗を力覚センサで測定した。本発明例では、スリーブ11,3に回り止め部としてキー13を形成した場合(キー方式)とインボリュートの歯4を形成した場合(インボリュート方式)の両方を測定した。
【0042】
比較例及び本発明例の、すべり抵抗及びすべり抵抗の変動値の測定結果は下記のとおりである。
【0043】
【表1】
【0044】
比較例のリン青銅スプラインの場合、すべり抵抗が大きく、すべり抵抗の変動幅も大きかった。これに対し、本発明例のキー方式及びインボリュート方式のいずれでも、すべり抵抗及びすべり抵抗の変動幅が小さかった。軸1に樹脂製のスリーブ3を成形することですべり抵抗が低減することがわかる。また、インボリュート方式を採用すると、キー方式よりもさらにすべり抵抗が低減した。インボリュートの歯4と外筒2の凹み6とが歯面合わせで接触するので、自動調心作用があることが原因だと推測される。
【0045】
<実験結果2>
スリーブ3,11の歯4及びキー13にクラウニング7,13cを付けたときとクラウニングを付けないときとで、すべり抵抗を比較した。軸1の先端に25gの錘をぶら下げ、軸1を10mmストロークさせたときのすべり抵抗を力覚センサで測定した。表2はキー13の測定結果を示し、表3はインボリュートの歯4の測定結果を示す。クラウニングを施すことで摺動面へのグリースの入り込み性を上げられ、また組立時や負荷による一点当たりを減らせることができたため、すべり抵抗が低減できたと推測される。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
<実験結果3>
軸1の往復回数を増やしたとき、すべり抵抗及び軸変位がどのように変化するかを実験した。軸1の先端に25gの負荷をぶら下げ、軸1を2mmのストローク、50Hzのサイクルの条件で軸1の往復運動を所定回数行った。軸1を所定回数往復運動させた後、軸1の先端に25gの負荷をぶら下げ、軸1を10mmストロークさせたときのすべり抵抗を力覚センサで測定した。また、軸1の先端に100gの錘をぶら下げたときの軸1の変位を測定した。
【0049】
図13は、キー13(キー方式)のすべり抵抗及び軸変位を示す。図13(a)がすべり抵抗を示し、図13(b)が軸変位を示す。実験はNo.1〜No.3の3つのサンプル軸受を用いて行われた。すべり抵抗は、走行初期から2000万回往復時までに大きく低下するが、その後安定する結果が得られた。軸変位は走行初期の段階で大きく増加し、その後も走行に伴い増加する傾向が認められた。摩耗が進んでいるものと推測される。
【0050】
図14は、インボリュートの歯4(インボリュート方式)のすべり抵抗及び軸変位を示す。図14(a)がすべり抵抗を示し、図14(b)が軸変位を示す。実験はNo.1〜No.3の3つのサンプル軸受を用いて行われた。すべり抵抗は、キー方式と同様に、走行初期から2000万回往復時までに大きく低下するが、その後安定する結果が得られた。軸変位は走行初期から2000万回往復時までに大きく増加するが、その後増加量が少なくなる結果が得られた。5000万回往復以降は僅かな増加が認められる程度であった。5000〜10000万回までで平均増加量は0.01mmであった。インボリュート方式とすることで、キー方式のときよりもすべり抵抗及び軸変位とも良好な結果が得られた。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更可能である。本発明のすべり軸受は、軸が外筒に対してショートストロークで往復運動する様々な装置に適用することができる。例えば、民生機器、車載機器、家電機器、医療機器に組み込むことが可能である。上記実施形態では、軸が外筒に対して移動しているが、外筒が軸に対して移動してもよい。
【0052】
すべり軸受のスリーブの回り止めとして、インボリュートの歯やキーを形成する以外に、スリーブの断面を多角形に形成する方法も採用し得る。外筒の多角形の孔にスリーブを嵌めることで回り止めを構成してもよい。すべり軸受の軸及び外筒の材質には、金属以外に樹脂を用いることができる。
【0053】
本発明のすべり軸受が組み込まれる振動アクチュエータは、上記構造に限られることはない。軸を振動させるための永久磁石、コイルの構造、個数、配置は自由に設定できる。軸の振動を補助するためにケーシングと軸との間にコイルばねを介在してもよい。
【0054】
磁石部の構造も上記実施形態に限られることはない。磁石の吸引力及び/又は反発力を利用して軸に回転力を与えることができれば、ケーシング側磁石及び軸側磁石の形状、個数、着磁方向は、自由に設定できる。ケーシング側磁石及び軸側磁石のいずれか一方に鉄等の磁性材料を用いてもよい。さらに回転力付与手段としては、磁石の吸引力及び/又は反発力を利用する磁石部の替わりに弾性力を利用するねじりコイルばねを使用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…軸,2,15…外筒,3,11…スリーブ,4…歯(外側回り止め部),6,16…凹み(内側回り止め部),7,13c…クラウニング,13…キー(外側回り止め部),31a,31b…ケーシング側磁石(磁石部),32…軸側磁石(磁石部),33…磁石部
【技術分野】
【0001】
本発明は、外筒に対して軸が軸線方向に相対的に直線運動するすべり軸受、及びすべり軸受が組み込まれた振動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
外筒に対して軸が直線運動するのを案内する案内装置として、外筒の内周面で軸をすべらせるすべり軸受や、外筒に組み込まれるボールの転がり運動を介して軸を案内するボールブッシュが知られている。
【0003】
すべり軸受は、外筒の内周面と軸の外周面を接触させ、外筒の内周面に対して軸の外周面がすべるようにしたものである。外筒の内周面に潤滑剤を保持させ、外筒の内周面と軸の外周面との間の摩擦や焼き付けを防いでいる(特許文献1参照)。
【0004】
ボールブッシュは軸と外筒との間に転がり運動可能に多数のボールを介在させたものである。多数のボールは外筒に組み込まれるケージに保持される。外筒に対して軸が直線運動すると、多数ボールが外筒と軸との間で転がり運動する。ボールの転がり運動を利用するので、軽快な動きが得られるという利点がある。(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−024798号公報
【特許文献2】特開2001−116043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、軸のショートストロークの往復運動を案内するのにボールブッシュを使用すると、軸の往復運動の繰り返し回数が多くなることに伴って軸に疵が付くという問題が発生する。軸に疵が付く現象はフレッチングコロージョンと呼ばれる。ボールブッシュにかける予圧が大きければ大きいほど軸に疵が付く傾向がある。逆にボールブッシュに予圧をかけないと、軸の疵が減る。軸の疵が減る一因として、ボールの転がり運動がすべり運動に変化していることが挙げられる。軸に疵を付けないためには、ボールブッシュよりもすべり軸受が有効である。しかし、たとえすべり軸受を使用しても、軸の往復運動の繰り返し回数が多くなると、ボールブッシュほどではないものの、やはり軸に疵が付く。
【0007】
ところで、すべり軸受に軸の回り止め機能を持たせる場合、軸に軸線方向に延びる溝や突起が形成されるスプライン軸が用いられる。しかし、軸に溝や突起を形成すると、加工工程が増え、製品のコストアップを招いてしまう。
【0008】
そこで本発明は、軸をショートストロークで往復運動させても軸に疵が付くのを防止でき、また軸の回り止めも可能なすべり軸受及び振動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、外筒に対して軸が軸線方向に相対的に直線運動するすべり軸受であって、軸と、前記軸に一体的に成形又は接合され、周囲に外側回り止め部を有する樹脂製のスリーブと、前記スリーブが前記軸線方向にすべることができ、かつ前記スリーブが軸線の回りに回転できないように、内周面に前記スリーブの前記外側回り止め部が嵌まる内側回り止め部を有する外筒と、を備えるすべり軸受である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、すべり軸受が、軸、樹脂製のスリーブ、外筒の三層構造になり、樹脂製のスリーブが外筒に対してすべるので、軸や外筒に疵が付くのを防止できる。また、樹脂製のスリーブに回り止め部を形成するので、軸に直接回り止めのための溝や突起を形成する必要がない。このため、回り止め部の加工が容易になる。
【0011】
本発明のすべり軸受の用途は特に限定されるものではないが、軸がショートストロークで往復運動する振動アクチュエータに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態のすべり軸受(インボリュート方式)の全体図(図1(a)は側面図を示し、図1(b)は斜視図を示す)
【図2】すべり軸受の軸を示す図(図2(a)は正面図を示し、図2(b)は側面図を示す)
【図3】スリーブの詳細図(図3(a)はスリーブの正面図を示し、図3(b)はスリーブの側面図を示す(一部断面図を含む))
【図4】すべり軸受の外筒を示す図(図4(a)は外筒の正面図を示し、図4(b)は外筒の側面図(一部断面図を含む)を示す)
【図5】スリーブの歯と外筒の凹みの接触状態を示す断面図
【図6】本発明の第二の実施形態のすべり軸受(キー方式)のスリーブを示す図(図6(a)はスリーブの正面図を示し、図6(b)はスリーブの側面図を示す)
【図7】本発明の第二の実施形態のすべり軸受(キー方式)の外筒を示す図(図7(a)は外筒の正面図を示し、図7(b)は外筒の側面図を示す)
【図8】スリーブの軸線方向の長さが外筒の軸線方向の長さよりも長い場合の摩耗状態を示す図(比較例)
【図9】スリーブのキーと外筒の凹みの嵌合状態を示す模式図(図9(a)はキーの個数を偶数にしたときを示し、図9(b)はキーの個数を奇数にしたときを示す)
【図10】すべり軸受が組み込まれた振動アクチュエータの断面図
【図11】振動アクチュエータの磁石部の図10のXI−XI線断面図(図11(a)は軸が安定した状態を示し、図11(b)は軸に回転力を与えた状態を示す)
【図12】ストロークとすべり抵抗の関係を示すグラフ
【図13】キー方式のすべり抵抗及び軸変位を示すグラフ(図13(a)は往復回数とすべり抵抗との関係を示し、図13(b)は往復回数と軸変位との関係を示す)
【図14】インボリュート方式のすべり抵抗及び軸変位を示すグラフ(図14(a)は往復回数とすべり抵抗との関係を示し、図14(b)は往復回数と軸変位との関係を示す)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態のすべり軸受を詳細に説明する。図1(a)は本発明の第一の実施形態のすべり軸受(インボリュート方式)の外観側面図を示し、図1(b)はスリーブを示すために外筒から軸を抜いた状態の斜視図を示す。
【0014】
すべり軸受は、軸線方向に直線運動可能な軸1と、軸1が直線運動するのを案内する外筒2と、を備える。外筒2は、円筒状をなし、ベース等の固定側に取り付けられる。軸1は、円柱形状をなし、案内対象である移動体に取り付けられる。軸1の軸線方向の端部には、移動体に取り付けるための取付部として雄ねじ1aや雌ねじ1bが形成される。外筒2に対する軸1の直線運動は相対的なものであるから、軸1に対して外筒2が直線運動してもよい。
【0015】
図1(b)に示すように、金属製の軸1には樹脂製のスリーブ3が一体に成形される。すべり軸受は、金属製の軸1、樹脂製のスリーブ3、金属製の外筒2の三層構造になっている。軸1とスリーブ3が一体であるから、外筒2に対して軸1を直線運動させると、外筒2に対してスリーブ3がすべる。スリーブ3の周囲には、外側回り止め部としての複数の歯4が形成され、外筒2の内周面には、複数の歯4に対応する複数の凹み6(図4参照)が形成される。スリーブ3の複数の歯4が外筒2の複数の凹み6に嵌まるので、外筒2に対する軸1の軸線回りの回り止めが実現される。
【0016】
図2は軸1を示す。図2(a)は軸1の正面図を示し、図2(b)は軸1の側面図を示す。図2に示すように、軸1は円柱形状であり、その外周面にはスプライン溝やスプライン突起が形成されていない。軸1の軸線方向の端部には、移動体に取り付けるための取付部として雄ねじ1aや雌ねじ1bが形成される。軸1の材質には、ステンレス、鋼、アルミニウム、真鍮等の金属が用いられる。
【0017】
図3は、軸1に一体に成形されるスリーブ3の詳細図を示す。図3(a)はスリーブ3の正面図を示し、図3(b)はスリーブ3の側面図を示す(一部断面図を含む)。図3には、スリーブ3のみが示されるが、実際にはスリーブ3は軸1と一体である。スリーブ3の材質は、耐摩耗特性の優れたポリオキシメチレン(POM)等の熱可塑性樹脂である。スリーブ3は、インサート成形又はアウトサート成形等、いわゆる射出成形によって金属製の軸1に一体に成形される。スリーブ3の軸線方向の長さは軸1の軸線方向の長さよりも短く、スリーブ3は軸1の軸線方向の一部にのみ形成される。スリーブ3の周囲には、外側回り止め部として周方向に一定のピッチで複数の歯4が成形される。歯4はスリーブ3の軸線方向の全長に渡って伸びる。歯4の歯形は、インボリュートに形成される。インボリュート以外にもサイクロイドに形成することもできる。歯4をインボリュートに形成することで、歯4の側面は曲面に形成される。なお、スリーブ3を軸1に一体に成形する替わりに、スリーブ3のみを樹脂成形した後、接着剤でスリーブ3を軸1に接合してもよい。
【0018】
歯4の軸線方向の両端部には、歯の高さh(歯たけとも呼ばれ、基礎円C1の半径と歯先円C2の半径の差)が両端で小さくなるようにクラウニング7が施される。図3(b)に示すように、クラウニングの形状は曲線状に形成される。曲線状以外にも直線状に形成することも可能である。このクラウニングは通常の歯車のクラウニング(歯すじにそって中央が膨らんで、両端が薄くなるよう歯幅を変化させるクラウニング)とは異なっていて、歯4の軸線方向の両端部の歯の高さhを小さくするものである。
【0019】
図4は外筒2を示す。図4(a)は外筒2の正面図を示し、図4(b)は外筒2の側面図(一部断面図を含む)を示す。外筒2の内周面には、内側回り止め部として、スリーブ3の複数の歯4の形状に合わせた複数の凹み6が周方向に一定のピッチで形成される。凹み6は外筒2の軸線方向の全長に渡って伸びる。外筒2の凹み6の軸線方向の長さL4は、スリーブ3の歯4の軸線方向の長さL3(図3(b)参照)よりも長い。望ましくは、スリーブ3の歯の軸線方向の長さL3に軸1の往復運動するストロークを合算した長さよりも長い。外筒2の凹み6の軸線方向の両端部には、両端で外筒2の内径が広がるようにクラウニング8が施される。このクラウニング8によって、組立て作業の際、外筒2内にスリーブ3を挿入するのが容易になる。
【0020】
外筒2の材質は、銅等の金属粉末を焼結して得られる焼結合金である。外筒2のビッカース硬さはスリーブ3のビッカース硬さよりも硬く、具体的にはスリーブ3のビッカース硬さの3倍以上に設定される。ビッカース硬さの比を3倍以上にすることで、確率論的にスリーブ3側を摩耗させ、外筒2側を摩耗させないことが可能になる。焼結合金の多数の気孔には、潤滑油が含浸される。潤滑油は外筒2とスリーブ3の接触面にしみ出し、これらの間に潤滑油の膜を形成する。ただし、焼結合金に多数の気孔を形成すると外筒2の強度が不足することがある。外筒2をステンレスや鋼製のパイプ内に嵌め込めば、外筒2の強度を増すことができる。
【0021】
図5はスリーブ3の歯4と外筒2の凹み6の接触状態を示す。スリーブ3の歯4と外筒2の凹み6とは、歯面合わせで面接触する。すなわち、歯4の側面4aと凹み6の側面6aとが面接触する。歯4の側面4aは曲面に形成されるので、歯4と凹み6とは曲面で接触する。歯4の歯底4bや頂部4cは、凹み6と接触していない。
【0022】
本実施形態のすべり軸受によれば、金属製の軸1、樹脂製のスリーブ3、金属製の外筒2の三層構造になっていて、樹脂製のスリーブ3が金属製の外筒2に対してすべる。スリーブ3に樹脂を使用することで、たとえ軸1が傾いてもスリーブ3が変形して外筒2にならうので、スリーブ3と外筒2の接触面積を確保することができる。このため、外筒2に疵が付くのを防止できる。これに対して、スリーブ3に高硬度の素材を使用すると、軸1が傾いたとき、点接触となって面圧が上がり、外筒2に疵が付いてしまう。スリーブ3に高硬度の素材としてリン青銅を用いて試験したところ、かじり付きが多数発生した。スリーブ3にリン青銅を用いたときのすべり抵抗については、実験結果において説明する。
【0023】
また、本実施形態のすべり軸受によれば、スリーブ3に複数の歯4を形成するので、軸1に直接スプライン溝や突起を加工する必要がなくなる。軸1のスプライン加工が不要になるので、軸1の加工が容易になる。軸1の端末加工も容易になり、軸長の自由な設定も可能になる。
【0024】
樹脂製のスリーブ3が金属製の外筒2に対してすべるとき、もっぱら樹脂製のスリーブ3が摩耗する。スリーブ3の歯4の軸線方向の長さは、外筒2の凹み6の軸線方向の長さよりも短い。このため、スリーブ3の歯4の軸線方向の全長が均等に摩耗する。これに対して、図8に示すように、スリーブ3の軸線方向の長さL3が外筒2の軸線方向の長さL4よりも長いと、スリーブ3の歯4の軸線方向の中央部4−2の摩耗量が両端部4−1の摩耗量よりも大きくなり、スリーブ3の歯4の摩耗量が軸線方向で一様にならなくなる。
【0025】
スリーブ3の歯4の両端部にクラウニング7を施すことで、すべり抵抗を小さくすることができるとともに、組立時の疵を減らすことができる。クラウニング7とすべり抵抗の関係については、実験結果において後述する。
【0026】
スリーブ3の歯4にインボリュートを使用することで、すべり軸受に作用する垂直方向荷重、回転方向荷重ともにインボリュートの歯4で自動調心しながら受ける。このため、スリーブ3及び外筒2の加工誤差やスリーブ3と外筒2との平行度誤差の吸収が可能になる。また、スリーブ3及び外筒2の高い加工精度が不要になるので、廉価に製造することができる。
【0027】
さらに外筒2に含油焼結合金を使用することで、焼結合金から油を少しずつしみ出させることが可能になり、メンテナンスフリーが実現できる。また、スリーブ3だけでなく外筒2も型による成形が可能になるので、外筒2を廉価に製造することができる。
【0028】
図6は本発明の第二の実施形態のすべり軸受(キー方式)のスリーブ11を示し、図7は外筒15を示す。図6に示すように、この実施形態のすべり軸受のスリーブ11は、円筒形の基部12と、基部12の周囲に一定のピッチを空けて形成される多数のキー13と、を備える。キー13は、スリーブ11の軸線方向の全長に渡って伸びる。キー13は断面略四角形に形成され、互いに平行な一対の側面13aと、天井面13bと、を備える。キー13の個数は3個、5個、7個、9個等の奇数である。キー13の軸線方向の両端部には、キー13の高さが両端で低くなるようにクラウニング13cが施される。クラウニング13cは円弧形状に形成される。
【0029】
図7に示すように、外筒15の内周面には、内側回り止め部としてスリーブ11の複数のキー13の形状に合わせた複数の凹み16が周方向に一定のピッチで形成される。凹み16の横幅W2や高さL2はキー13の横幅W1や高さL1よりも僅かに大きく設定される。外筒15の内周面の半径R2は、スリーブ11の基部12の外周面の半径R1と一致していて、外筒15の内周面とスリーブ11の基部12の外周面とが面接触する。スリーブ11のキー13と外筒15の凹み16とは常時接触している訳ではなく、軸1に回転力が作用したときに接触する。これにより、スリーブ11のキー13や外筒15の凹み16の高い加工精度が不要になる。外筒15の凹み16の軸線方向の端部には、組立て作業を容易にするために、外筒15の内径が広がるような直線状又は曲線状のクラウニング17が形成される。
【0030】
インボリュートの歯4に比べて自動調心性は劣るものの、図6に示すように、スリーブ11には、外側回り止め部としてキー13を使用することもできる。その場合、キー13の個数は奇数が望ましい。図9(a)に示すように、キー13の個数を偶数にすると、一つのキー13に対して周方向に180度離れた位置にも必ずキー13が配置される。これが原因で、キー13の傾きや平行度が狂うと、図9(a)中×の部分でキー13と凹み16とが干渉し、外筒15の凹み16にキーを嵌めることが困難になる。これを防止するため、キー13を高精度に加工する必要がある。これに対し、図9(b)に示すように、キー13の個数を奇数にすると、一つのキー13に対して周方向に180度離れた位置にキー13が配置されなくなる。このため、キー13の平行度や傾きが多少狂っても、外筒15を微小回転することで凹み16にキー13が嵌まるようになる。キー13の高精度な加工が不要になるので、キー13の加工が容易になる。なお、キー13を使用した場合、自動調心性以外は第1の実施形態と同様な効果を奏する。
【0031】
図10は本発明の第一の実施形態のすべり軸受が組み込まれる振動アクチュエータを示す。この振動アクチュエータは、軸線方向に並べられた複数の永久磁石21と、永久磁石21を囲む複数のコイル22と、を備える。コイル22が固定側の筒状のケーシング24に収納され、永久磁石21がケーシング24に対して振動する軸1に結合される。コイル22に交流を流すと、永久磁石21に発生する磁界とコイル22に流れる電流との相互作用によって軸1が振動する。
【0032】
円筒状のケーシング24の一方の端部には、回り止め機能を持つすべり軸受20が設けられ、ケーシング24の他方の端部には回り止め機能を持たないブッシュ27が設けられる。軸1,26はすべり軸受20及びブッシュ27の2か所で直線運動可能に支持される。
【0033】
すべり軸受20は上記実施形態のすべり軸受と同一の構成であるから、同一の符号を附してその説明を省略する。すべり軸受20の外筒2の軸線方向の長さは、スリーブ3の軸線方向の長さよりも長い。望ましくは、スリーブ3の軸線方向の長さに軸1の往復運動のストロークを合算した長さよりも長い。すべり軸受20の軸1の材質には、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の非磁性材料が用いられる。
【0034】
ブッシュ27は、樹脂製の外筒25と、金属製の軸26と、を備える。ブッシュ27の軸26の材質にも、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の非磁性材料が用いられる。ブッシュ27の外筒25の内周面の断面形状は円に形成され、軸26の外周面の断面形状は円に形成される。ブッシュ27は回り止め機能を持たず、軸26は外筒25に対して回転可能である。
【0035】
永久磁石21は、希土類やフェライト磁石からなり、軸線方向に着磁されている。複数の永久磁石21は互いに同極同士が向かい合うように配置される。永久磁石21はすべり軸受20の軸1と、ブッシュ27の軸26との間に挟まれる。永久磁石21には貫通孔が空けられる。永久磁石21の貫通孔に通しボルト等の締結部材を通し、締結部材の両端部に軸1,26を結合することで、永久磁石21が軸1,26と一体になる。
【0036】
ケーシング24の一端部には、軸1に軸線の回りに回転する回転力を与える回転力付与手段としての磁石部33が設けられる。この磁石部33は、磁石31,32の吸引力及び/又は反発力を利用して軸1に回転力を与える。
【0037】
図11は、磁石部33の断面図の一例を示す。この例では、磁石部33は、ケーシング24に設けられるケーシング側磁石31a,31bと、軸1に設けられる軸側磁石32と、を備える。そして、ケーシング側磁石31a,31bと軸側磁石32との間に働く吸引力によって、軸1に回転力を与えている。ケーシング24には、180度の間隔を空けて棒磁石からなる一対のケーシング側磁石31a,31bが配置される。ケーシング側磁石31a,31bは軸線方向に着磁され、ケーシング24の半径方向に細長く伸びる。図中上側のケーシング側磁石31aは半径方向の外側(上側)がN極に着磁され、半径方向の内側(図中下側)がS極に着磁される。図中下側の永久磁石31bは半径方向の外側(下側)がS極に着磁され、半径方向の内側(図中上側)がN極に着磁される。
【0038】
ブッシュ27の軸26には、ケーシングの棒磁石と吸引し合う軸側磁石32が配置される。軸側磁石32は棒磁石からなり、軸26の軸線方向と直交する方向に細長く伸びる。軸側磁石32は軸線方向に着磁される。軸側磁石32の図中上側がN極に着磁され、図中下側がS極に着磁される。
【0039】
図11(a)に示すように、軸26がケーシング24に対して自由に回転できるとき、上側のケーシング側磁石31aのS極と軸側磁石32の上側のN極とが引き付け合い、下側のケーシング側磁石31bのN極と軸側磁石32の下側のS極とが引きつけ合う。その結果、軸側磁石32のN極が鉛直上側、S極が鉛直下側を向いた状態で軸26の姿勢が安定する。図11(b)に示すように、軸を回転させると、ケーシング側磁石31a,31bと軸側磁石32との吸引力によって、図11(a)に示すような安定した状態に戻ろうとする。これにより、軸26に回転力を付与することができる。
【0040】
図10に示すように、軸1はすべり軸受20によって回り止めされる。軸26を介して軸1に回転力を与えると、すべり軸受20のスリーブ3の歯4の側面4aの一方のみ(図3参照)が外筒2の凹み6に接触する。このため、軸1の周方向のがたを無くすことができ、軸1が円滑に振動する。
【0041】
<実験結果1>
図12は、軸1をリン青銅製のスプラインとし、軸1を金属製の外筒2内で直接すべらせたとき(比較例)と、軸1に樹脂製のスリーブ3を成形し、樹脂製のスリーブ3を金属製の外筒2内ですべらせたとき(本発明例)とで、すべり抵抗を測定した結果を示す。軸1の先端に25gの錘をぶら下げ、軸1を10mmストロークさせたときのすべり抵抗を力覚センサで測定した。本発明例では、スリーブ11,3に回り止め部としてキー13を形成した場合(キー方式)とインボリュートの歯4を形成した場合(インボリュート方式)の両方を測定した。
【0042】
比較例及び本発明例の、すべり抵抗及びすべり抵抗の変動値の測定結果は下記のとおりである。
【0043】
【表1】
【0044】
比較例のリン青銅スプラインの場合、すべり抵抗が大きく、すべり抵抗の変動幅も大きかった。これに対し、本発明例のキー方式及びインボリュート方式のいずれでも、すべり抵抗及びすべり抵抗の変動幅が小さかった。軸1に樹脂製のスリーブ3を成形することですべり抵抗が低減することがわかる。また、インボリュート方式を採用すると、キー方式よりもさらにすべり抵抗が低減した。インボリュートの歯4と外筒2の凹み6とが歯面合わせで接触するので、自動調心作用があることが原因だと推測される。
【0045】
<実験結果2>
スリーブ3,11の歯4及びキー13にクラウニング7,13cを付けたときとクラウニングを付けないときとで、すべり抵抗を比較した。軸1の先端に25gの錘をぶら下げ、軸1を10mmストロークさせたときのすべり抵抗を力覚センサで測定した。表2はキー13の測定結果を示し、表3はインボリュートの歯4の測定結果を示す。クラウニングを施すことで摺動面へのグリースの入り込み性を上げられ、また組立時や負荷による一点当たりを減らせることができたため、すべり抵抗が低減できたと推測される。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
<実験結果3>
軸1の往復回数を増やしたとき、すべり抵抗及び軸変位がどのように変化するかを実験した。軸1の先端に25gの負荷をぶら下げ、軸1を2mmのストローク、50Hzのサイクルの条件で軸1の往復運動を所定回数行った。軸1を所定回数往復運動させた後、軸1の先端に25gの負荷をぶら下げ、軸1を10mmストロークさせたときのすべり抵抗を力覚センサで測定した。また、軸1の先端に100gの錘をぶら下げたときの軸1の変位を測定した。
【0049】
図13は、キー13(キー方式)のすべり抵抗及び軸変位を示す。図13(a)がすべり抵抗を示し、図13(b)が軸変位を示す。実験はNo.1〜No.3の3つのサンプル軸受を用いて行われた。すべり抵抗は、走行初期から2000万回往復時までに大きく低下するが、その後安定する結果が得られた。軸変位は走行初期の段階で大きく増加し、その後も走行に伴い増加する傾向が認められた。摩耗が進んでいるものと推測される。
【0050】
図14は、インボリュートの歯4(インボリュート方式)のすべり抵抗及び軸変位を示す。図14(a)がすべり抵抗を示し、図14(b)が軸変位を示す。実験はNo.1〜No.3の3つのサンプル軸受を用いて行われた。すべり抵抗は、キー方式と同様に、走行初期から2000万回往復時までに大きく低下するが、その後安定する結果が得られた。軸変位は走行初期から2000万回往復時までに大きく増加するが、その後増加量が少なくなる結果が得られた。5000万回往復以降は僅かな増加が認められる程度であった。5000〜10000万回までで平均増加量は0.01mmであった。インボリュート方式とすることで、キー方式のときよりもすべり抵抗及び軸変位とも良好な結果が得られた。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更可能である。本発明のすべり軸受は、軸が外筒に対してショートストロークで往復運動する様々な装置に適用することができる。例えば、民生機器、車載機器、家電機器、医療機器に組み込むことが可能である。上記実施形態では、軸が外筒に対して移動しているが、外筒が軸に対して移動してもよい。
【0052】
すべり軸受のスリーブの回り止めとして、インボリュートの歯やキーを形成する以外に、スリーブの断面を多角形に形成する方法も採用し得る。外筒の多角形の孔にスリーブを嵌めることで回り止めを構成してもよい。すべり軸受の軸及び外筒の材質には、金属以外に樹脂を用いることができる。
【0053】
本発明のすべり軸受が組み込まれる振動アクチュエータは、上記構造に限られることはない。軸を振動させるための永久磁石、コイルの構造、個数、配置は自由に設定できる。軸の振動を補助するためにケーシングと軸との間にコイルばねを介在してもよい。
【0054】
磁石部の構造も上記実施形態に限られることはない。磁石の吸引力及び/又は反発力を利用して軸に回転力を与えることができれば、ケーシング側磁石及び軸側磁石の形状、個数、着磁方向は、自由に設定できる。ケーシング側磁石及び軸側磁石のいずれか一方に鉄等の磁性材料を用いてもよい。さらに回転力付与手段としては、磁石の吸引力及び/又は反発力を利用する磁石部の替わりに弾性力を利用するねじりコイルばねを使用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…軸,2,15…外筒,3,11…スリーブ,4…歯(外側回り止め部),6,16…凹み(内側回り止め部),7,13c…クラウニング,13…キー(外側回り止め部),31a,31b…ケーシング側磁石(磁石部),32…軸側磁石(磁石部),33…磁石部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒に対して軸が軸線方向に相対的に直線運動するすべり軸受であって、
軸と、
前記軸に一体的に成形又は接合され、周囲に外側回り止め部を有する樹脂製のスリーブと、
前記スリーブが前記軸線方向にすべることができ、かつ前記スリーブが軸線の回りに回転できないように、内周面に前記スリーブの前記外側回り止め部が嵌まる内側回り止め部を有する外筒と、
を備えるすべり軸受。
【請求項2】
前記スリーブの前記外側回り止め部の前記軸線方向の長さは、前記外筒の内側回り止め部の軸線方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載のすべり軸受。
【請求項3】
前記スリーブの前記外側回り止め部は、歯形がインボリュートの複数の歯を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のすべり軸受。
【請求項4】
前記スリーブの前記外側回り止め部は、円筒形の基部の周囲に一定のピッチを空けて形成される複数のキーを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のすべり軸受。
【請求項5】
前記スリーブの外側回り止め部の歯又はキーの前記軸線方向の両端部には、歯の高さ又はキーの高さが前記軸線方向の両端で小さくなるようクラウニングが施されることを特徴とする請求項3又は4に記載のすべり軸受。
【請求項6】
前記外筒は、潤滑油を含ませた焼結合金製であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のすべり軸受。
【請求項7】
前記スリーブの前記外側回り止め部の側面の一方のみが前記外筒の前記内側回り止め部に接触するように、前記外筒に対して相対的に前記軸線の回りを回転する回転力が前記軸に与えられることを特徴とする請求項1に記載のすべり軸受。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のすべり軸受が組み込まれ、前記軸が前記軸線方向に振動する振動アクチュエータ。
【請求項1】
外筒に対して軸が軸線方向に相対的に直線運動するすべり軸受であって、
軸と、
前記軸に一体的に成形又は接合され、周囲に外側回り止め部を有する樹脂製のスリーブと、
前記スリーブが前記軸線方向にすべることができ、かつ前記スリーブが軸線の回りに回転できないように、内周面に前記スリーブの前記外側回り止め部が嵌まる内側回り止め部を有する外筒と、
を備えるすべり軸受。
【請求項2】
前記スリーブの前記外側回り止め部の前記軸線方向の長さは、前記外筒の内側回り止め部の軸線方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載のすべり軸受。
【請求項3】
前記スリーブの前記外側回り止め部は、歯形がインボリュートの複数の歯を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のすべり軸受。
【請求項4】
前記スリーブの前記外側回り止め部は、円筒形の基部の周囲に一定のピッチを空けて形成される複数のキーを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のすべり軸受。
【請求項5】
前記スリーブの外側回り止め部の歯又はキーの前記軸線方向の両端部には、歯の高さ又はキーの高さが前記軸線方向の両端で小さくなるようクラウニングが施されることを特徴とする請求項3又は4に記載のすべり軸受。
【請求項6】
前記外筒は、潤滑油を含ませた焼結合金製であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のすべり軸受。
【請求項7】
前記スリーブの前記外側回り止め部の側面の一方のみが前記外筒の前記内側回り止め部に接触するように、前記外筒に対して相対的に前記軸線の回りを回転する回転力が前記軸に与えられることを特徴とする請求項1に記載のすべり軸受。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のすべり軸受が組み込まれ、前記軸が前記軸線方向に振動する振動アクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−255488(P2012−255488A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128892(P2011−128892)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]