説明

はんだ修正装置およびはんだ修正方法

【課題】電子部品の微細化にも拘わらず比較的に簡単に電子回路のショートを解消することができるはんだ修正装置およびはんだ修正方法を提供する。
【解決手段】はんだ修正装置ではステージ15、14上の特定スポットにはんだ51aは配置される。熱エネルギの働きではんだ51aは溶融する。このとき、垂直姿勢で仕切り板25が特定スポットに進入すると、仕切り板25ははんだ51aに進入していく。仕切り板25ははんだ51aに対して低い濡れ性を備えることから、仕切り板25ははんだ51aを弾く。こうしてはんだ51aは分断されることができる。こうしたはんだ51aの分断に基づき電子回路のショートは確実に解消されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はいわゆるはんだ修正装置および修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板ユニットではプリント基板に複数の電子部品が実装される。実装にあたってはんだが用いられる。はんだはしばしばプリント基板上で複数の電極パッドを跨って形成される。プリント基板上で電子回路のショートが発生する。こうしたプリント基板ユニットは出荷されることはできない。
【0003】
こういったプリント基板ユニットでは電子回路のショートが解消されなければならない。ショートの解消にあたって対応の電子部品はプリント基板から取り外される。その後、プリント基板には新たに電子部品が実装される。こうしてはんだの修正にあたって対応の電子部品は交換される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の取り外しや取り付けにあたって作業者の手作業が要求される。作業者ははんだ鏝で電子部品を加熱する。加熱と同時に電子部品は取り外される。電子部品が微細化されるにつれて、はんだ鏝の取り扱いに高度な技術が要求される。作業効率は悪い。しかも、取り外された電子部品は廃棄される。電子部品の廃棄は極力回避されることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、電子部品の微細化にも拘わらず比較的に簡単に電子回路のショートを解消することができるはんだ修正装置およびはんだ修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1発明によれば、特定スポット内で少なくとも対象物の特定部位の表面を基準平面に沿って配置するステージと、ステージ上の特定スポットに向けて熱エネルギを付与する加熱ユニットと、基準平面に直交する垂直姿勢で前記特定スポットに進入し、はんだに対して低い濡れ性を有する仕切り板とを備えることを特徴とするはんだ修正装置が提供される。
【0007】
こうしたはんだ修正装置ではステージ上の特定スポットにはんだは配置される。熱エネルギの働きではんだは溶融する。このとき、垂直姿勢で仕切り板が特定スポットに進入すると、仕切り板ははんだに進入していく。仕切り板ははんだに対して低い濡れ性を備えることから、仕切り板ははんだを弾く。こうしてはんだは分断されることができる。こうしたはんだの分断に基づき電子回路のショートは確実に解消されることができる。
【0008】
加熱ユニットは、エネルギビームを照射する照射源を備えてもよい。エネルギビームは外力の作用を伴わない。したがって、はんだの溶融時に実装部品に外力は加えられない。こうして所定の実装位置から実装部品の離脱は防止されることができる。従来では加熱にあたって例えば熱風が利用される。熱風はしばしば所定の実装位置から実装部品の離脱を引き起こす。
【0009】
加熱ユニットは、照射源および特定スポットの間に配置され、照射源のエネルギビームの一部を通過させる通過孔を有するマスクを備えてもよい。こういったマスクの働きで対象物には特定の輪郭のビームスポットが形成されることができる。こうしてエネルギビームの照射範囲は制限されることができる。周辺温度の上昇は最大限に回避されることができる。
【0010】
エネルギビームは、基準平面に直交する垂直方向から特定スポットに照射されればよい。エネルギビームが垂直方向から特定スポットに照射されると、特定スポットでは高い熱エネルギ密度は確保される。エネルギは効率よくはんだの加熱に用いられることができる。
【0011】
はんだ修正装置は、基準平面に直交する回転軸回りで回転自在に仕切り板を支持する仕切り板支持機構をさらに備えてもよい。仕切り板は回転軸回りで回転する。その結果、仕切り板は最適な向きで対象物に接近することができる。仕切り板支持機構に代わって、はんだ修正装置は、基準平面に直交する回転軸回りで回転自在にステージを支持するステージ支持機構をさらに備えてもよい。
【0012】
その他、はんだ修正装置は、所定の押圧力で特定スポット内の特定部位に仕切り板を接触させた後に熱エネルギの付与を開始する制御回路をさらに備えてもよい。はんだの溶融に応じて仕切り板ははんだに進入する。したがって、わざわざ固有の手段ではんだの溶融が検知される必要はない。はんだ修正装置の構造は簡素化されることができる。
【0013】
第2発明によれば、プリント基板上で複数の電極パッドに跨るはんだを所定の基準平面に沿って配置する工程と、はんだに向かって熱エネルギを付与し、はんだを溶融させる工程と、基準平面に直交する垂直姿勢の仕切り板で、溶融したはんだを分断する工程とを備えることを特徴とするはんだ修正方法が提供される。こうしたはんだの分断に基づき電子回路のショートは確実に解消されることができる。
【0014】
こういったはんだ修正方法では仕切り板の表面にフラックスが塗布されてもよい。はんだの溶融時にはんだはフラックスで活性化される。こういったはんだは仕切り板で簡単に分断されることができる。
【0015】
はんだ修正方法では、熱エネルギの付与にあたって照射源からエネルギビームが照射されてもよい。前述のように、エネルギビームは外力の作用を伴わない。したがって、はんだの溶融時に実装部品に外力は加えられない。こうして所定の実装位置から実装部品の離脱は防止されることができる。
【0016】
エネルギビームは、基準平面に直交する垂直方向からはんだに照射されることが望まれる。エネルギビームが垂直方向から特定スポットに照射されると、特定スポットでは高い熱エネルギ密度は確保される。エネルギは効率よくはんだの加熱に用いられることができる。
【0017】
仕切り板は、基準平面に直交する回転軸回りで回転してもよい。こういった回転に代わって、ステージは、基準平面に直交する回転軸回りで回転してもよい。いずれの場合でも、仕切り板は最適な向きで対象物に接近することができる。
【0018】
はんだ修正方法は、はんだの分断後にはんだの固化を待ってはんだから仕切り板を離脱させる工程をさらに備えてもよい。こういった工程によれば、はんだの分断後にはんだの再結合は確実に防止されることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、電子部品の微細化にも拘わらず比較的に簡単に電子回路のショートを解消することができるはんだ修正装置およびはんだ修正方法は提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0021】
図1に示されるように、はんだ修正装置11は移動ステージ12を備える。移動ステージ12には任意の水平面すなわち基準平面に沿って広がる支持面13が区画される。支持面13は、水平面内で相互に直交するx軸およびy軸に沿って移動することができる。こういった移動の実現にあたって移動ステージ12にはXステージ14およびYステージ15が組み込まれる。Xステージ14は水平面内でx軸方向に移動する。Yステージ15は水平面内でy軸方向に移動する。こういったx軸方向の移動やy軸方向の移動の実現にあたって例えばボールねじ機構やリニアモーター機構が用いられればよい。
【0022】
はんだ修正装置11はステージ支持機構16を備える。ステージ支持機構16は、任意の垂直軸すなわちz軸回りで回転自在に移動ステージ12を支持する。その結果、移動ステージ12上の支持面13は任意の垂直軸回りで回転することができる。こういった回転の実現にあたってステージ支持機構16には例えばステッピングモーターといった駆動源が組み込まれる。駆動源の回転駆動力は例えば歯車機構の働きで移動ステージ12の回転運動に変換される。
【0023】
はんだ修正装置11にはフラックス槽17が組み込まれる。フラックス槽17には所定のゲル状のフラックスが溜められる。フラックスには例えば高耐熱性のものが利用される。こういったフラックスは例えば摂氏200度以上で溶融し始める。例えばはんだの融点が摂氏220度程度に設定されると、フラックスははんだの溶融の直前に溶融することができる。ここでは、フラックス槽17およびステージ支持機構16は共通の移動部材18に支持される。したがって、フラックス槽17は移動ステージ12に代わって所定の作業位置に位置決めされることができる。
【0024】
移動ステージ12の支持面13には垂直姿勢の仕切り板21が向き合わせられる。仕切り板21の配置にあたってアーム部材22が用いられる。アーム部材22は支持面13に平行に水平方向に延びる。アーム部材22の幅は例えば1.5mm程度に設定される。アーム部材22の幅はアーム部材22の長手方向に直交する水平方向に測定される。アーム部材22の先端にはアーム部材22から重力方向に延びる支軸23が固定される。支軸23の先端すなわち下端に仕切り板21が取り付けられる。支軸23および仕切り板21は例えば一体に形成されればよい。仕切り板21は例えば鉄鋼や黄銅、銅といった金属材料から成形されればよい。ここでは、鉄鋼や黄銅、銅といった金属素材の表面に硬質クロムめっき膜が形成される。こういった硬質クロムめっき膜は例えばはんだに対して十分に低い濡れ性を発揮する。ここで、「十分に低い濡れ性」は、溶融はんだに触れても溶融はんだの付着を防止することができる程度をいう。
【0025】
仕切り板21は、均一な厚みで広がる板本体24と、板本体24の下端に接続される仕切り刃25とを備える。板本体24の下端は水平面で仕切られる。仕切り刃25は下端に向かって板本体24の厚みから徐々に厚みを減少させる。仕切り刃25の下端は板本体24の下端に平行な直線に沿って延びる稜線を区画する。板本体24の厚みは例えば0.5mm程度に設定される。
【0026】
アーム部材22には上下動機構26が接続される。上下動機構26は垂直方向にアーム部材22の昇降を実現する。こうしてアーム部材22は垂直方向に位置決めされることができる。ここでは、上下動機構26とアーム部材22との間に垂直方向に所定の遊びが設定される。こういった遊びの働きで、上下動機構26の作動中でもアーム部材22は所定の位置に停止し続けることができる。反対に、上下動機構26の停止中でもアーム部材22は遊びの大きさだけ垂直方向に変位を実現することができる。
【0027】
仕切り板21の上方で移動ステージ12の支持面13には加熱ユニット27が向き合わせられる。この加熱ユニット27は、図2に示されるように、照射源すなわちハロゲンランプ28を備える。ハロゲンランプ28は移動ステージ12上の支持面13に向かって所定のエネルギビームすなわち熱光線を照射する。加熱ユニット27は着脱自在に例えば支柱29に固定されればよい。
【0028】
ハロゲンランプ28には絞りレンズ31が関連づけられる。この絞りレンズ31は、放射状に発散する熱光線を収束する。放射状の熱光線は平行光に変換される。こうして移動ステージ12上の支持面13には支持面13に直交する垂直方向から平行光が照射される。
【0029】
絞りレンズ31および移動ステージ12の支持面13との間にはマスク32が配置される。マスク32には通過孔33が形成される。マスク32は平行光を遮断する。通過孔33は平行光の通過を許容する。こうして通過孔33に基づき支持面13上には所定の光スポットが形成される。通過孔33は例えば円形に区画されればよい。このとき、支持面13上の光スポットでは、中心から半径3mmの円の内側で摂氏235度〜240度の温度が確立されると、中心から半径5mmの円上では摂氏220度〜225度の温度が確立されることが実証された。光スポットの大きさの設定にあたって例えば複数種類のマスク32が用意されればよい。マスク32ごとに加熱ユニット27が用意されてもよい。この場合、光スポットの大きさに応じて加熱ユニット27は交換されればよい。
【0030】
はんだ修正装置11にはカメラ34が組み込まれる。カメラ34は垂直方向から支持面13の平面画像を撮影する。カメラ34にはモニター(図示されず)が接続される。支持面13の平面画像はモニターに映し出される。モニター上では支持面13の平面画像内に仕切り板21の投影像が挿入される。作業者はモニターの画面上で支持面13と仕切り板21との相対的位置関係を確認することができる。
【0031】
その他、はんだ修正装置11には非接触の温度センサー35が組み込まれてもよい。こういった温度センサー35には例えば赤外線温度センサーが用いられればよい。温度センサー35は例えば支柱29に支持されればよい。温度センサー35は前述の光スポット内の温度を計測する。
【0032】
図3に示されるように、はんだ修正装置11には制御回路36が組み込まれる。制御回路36には、Xステージ14のx軸方向移動機構37、Yステージ15のy軸方向移動機構38、ステージ支持機構16の回転駆動機構39、移動部材18の駆動機構41、アーム部材22の上下動機構26、ハロゲンランプ28、カメラ34および温度センサー35が接続される。制御回路36は、Xステージ14のx軸方向移動機構37およびYステージ15のy軸方向移動機構38に所定の制御信号を供給する。その結果、移動ステージ12上の対象物はステージ支持機構16上の特定スポットに位置決めされることができる。位置決めにあたって制御回路36にはカメラ34から支持面13の平面画像が供給されてもよい。制御回路36はステージ支持機構16の回転駆動機構39に所定の制御信号を供給する。その結果、移動ステージ12上の対象物と仕切り板21との間で垂直軸回りに所定の回転角は確立されることができる。制御回路36は移動部材18の駆動機構41に所定の制御信号を供給する。その結果、仕切り板21には移動ステージ12およびフラックス槽17のいずれかが向き合わせられることができる。制御回路36はアーム部材22の上下動機構26に所定の制御信号を供給する。その結果、仕切り板21は、支持面13に直交する垂直方向から支持面13に接近したり当該垂直方向に支持面13から遠ざかったりすることができる。その他、制御回路36はハロゲンランプ28のオンオフやカメラ34の動作を制御する。制御回路36は温度センサー35からの温度検知信号に基づき所定の処理を実行することができる。温度検知信号には特定スポット内の温度が記述されればよい。
【0033】
いま、移動ステージ12の支持面13上にプリント基板ユニット45が設置される場面を想定する。図4に示されるように、プリント基板ユニット45ではプリント基板46上に複数の実装部品47が実装される。こういった実装部品47には1005角チップや0603角チップ、0402角チップのチップコンデンサやチップ抵抗、その他のチップ形電子部品、フラットケーブルの端子が含まれることができる。プリント基板の表面には個々の実装部品47ごとに1対の電極パッド48が形成される。1対の電極パッド48に1つの実装部品47が実装される。実装にあたってはんだ51が利用される。ここでは、隣接する電極パッド48に跨ってはんだ51a、51bが形成される。
【0034】
プリント基板ユニット45の設置に先立って移動ステージ12に代わってフラックス槽17が仕切り板21に向き合わせられる。このとき、制御回路36は移動部材18の駆動機構41に制御信号を供給する。移動ステージ12は仕切り板21の下方の空間から離脱する。したがって、作業者は仕切り板21に煩わされずに支持面13上にプリント基板ユニット45を設置することができる。その後、制御回路36はフラックスの塗布を指示する。制御回路36は上下動機構26に制御信号を供給する。上下動機構26は重力方向にアーム部材22を移動させる。仕切り板21の先端はフラックス槽17内のフラックスに浸される。こうして仕切り板21にはフラックスが塗布される。続いて制御回路36の指示に従ってアーム部材22は上昇する。その後、制御回路36は駆動機構41に制御信号を供給する。フラックス槽17に代わって移動ステージ12は仕切り板21に向き合わせられる。
【0035】
制御回路36にはカメラ34から画像信号が供給される。制御回路36は画像信号に基づき支持面13の平面画像を作成する。図5に示されるように、平面画像には仕切り板21の投影像が差し込まれる。作業者は平面画像に基づきマニュアルで移動ステージ12を移動させる。移動にあたって任意の入力装置から制御回路36に指示は供給される。こうして目標のはんだ51aおよび対応の実装部品47はステージ支持機構16上の特定スポットに位置決めされる。特定スポットは仕切り板21の真下に設定される。その他、こういった作業者のマニュアル作業に代えて制御回路36で画像認識処理が実現されてもよい。この場合、制御回路36は画像認識処理に基づき平面画像上で仕切り板21の位置を特定する。特定される仕切り板21の位置に基づきx軸方向移動機構37およびy軸方向移動機構38に制御信号を供給する。こうして目標のはんだ51aおよび対応の実装部品47はステージ支持機構16上の特定スポットに位置決めされてもよい。
【0036】
その後、制御回路36ははんだ51aの分断処理を実行する。まず、制御回路36は上下動機構26に制御信号を供給する。仕切り板21は下降する。図6に示されるように、仕切り刃25が特定スポット内の目標のはんだ51aに接触すると、上下動機構26は仕切り板21の下降を停止する。このとき、上下動機構26は、仕切り板21の接触後、所定の遊びにわたってアーム部材22の下降を持続する。したがって、仕切り板21は遊びの上限位置で目標のはんだ51aに下支えされる。仕切り刃25には、仕切り板21、支軸23およびアーム部材22の自重に基づきはんだ51aに向かって押し付け力が作用する。
【0037】
制御回路36はハロゲンランプ28に制御信号を供給する。図7に示されるように、ハロゲンランプ28は照射を開始する。支持面13上の特定スポットに円形の光スポットは形成される。このとき、熱光線の通り道にアーム部材22や仕切り板21が存在するものの、中心から半径3mmの円内では全体に十分に温度が上昇する。こうして特定スポットでは温度が上昇する。しかも、熱光線は垂直方向からプリント基板46の表面に達する。したがって、光スポット内の熱エネルギ密度は最大限に高められる。特定スポットは効率的に加熱されることができる。
【0038】
特定スポットの温度がはんだ51、51aの融点に達すると、はんだ51、51aは溶融する。はんだ51aが溶融すると、図8に示されるように、重力に基づき仕切り板21は落下する。仕切り板21ははんだ51、51aに対して低い濡れ性を示すことから、溶融はんだ51aは仕切り板21から弾かれる。はんだ51aは分断される。このとき、仕切り刃25とプリント基板46の表面との間には所定のクリアランスが確保される。落下時に、仕切り刃25とプリント基板46との衝突は回避される。すなわち、遊びの下限位置で仕切り刃25とプリント基板46との衝突は回避される。
【0039】
こうしてはんだ51aが分断されると、はんだ51aは固有の表面張力に基づき対応の電極パッド48に引き寄せられる。実装部品47は2つの電極パッド48上のはんだ51に基づきセルフアライメントを実現する。その結果、単純にはんだ51aの分断に応じて、図9に示されるように、実装部品47は正しい位置に位置合わせされる。
【0040】
実装部品47のセルフアライメントが確認されると、制御回路36はハロゲンランプ28に制御信号を供給する。ハロゲンランプ28は照射を停止する。特定スポットの温度は下がり始める。温度がはんだ51の融点を下回ると、はんだ51は固化する。はんだ51の修正は終了する。その後、制御回路36は上下動機構26に制御信号を供給する。上下動機構26は仕切り板21を上昇させる。こうしてはんだ51の固化後に仕切り板21が上昇することから、はんだ51の再結合は確実に防止されることができる。仕切り板21の上昇にあたって特定スポット内の温度は前述の温度センサー35で測定されてもよい。この場合には、温度に基づき確実にはんだ51の固化は確認されることができる。その他、仕切り板21の落下から所定の時間経過後に仕切り板21の上昇は実施されてもよい。この場合には、予めハロゲンランプ28の照射停止からはんだ51の固化まで経過時間が見積もられればよい。
【0041】
いま、例えば図10に示されるように、プリント基板46上で垂直軸回りに実装部品47が傾く場面を想定する。前述のように実装部品47の位置決めが完了すると、制御回路36はステージ支持機構16の回転駆動機構39に所定の制御信号を供給する。その結果、移動ステージ12は垂直軸回りで回転する。こうして移動ステージ12上のプリント基板ユニット45と仕切り板21との間で垂直軸回りに所定の回転角は確立される。実装部品47同士の間隙の向きと仕切り板21の向きとが合わせ込まれる。その後、前述と同様に、はんだ51bの分断処理は実行される。はんだ51bは分断される。はんだ51bの溶融中、セルフアライメントの効果で実装部品47の向きは整えられる。プリント基板46上で実装部品47の向きが傾いても、こうして実装部品47と仕切り板21との接触は回避されることができる。
【0042】
ここでは、回転角の確立にあたって仕切り板21が垂直軸回りで回転してもよい。こういった場合には、支軸23は垂直軸回りにに回転自在にアーム部材22に支持されればよい。支軸23の回転にあたって例えばパルスモーター52が用いられればよい。例えば図11に示されるように、支軸23とパルスモーター52の駆動軸53とは例えばベルト54で連結されればよい。その他、ベルト54に代えて例えば歯車機構が用いられてもよい。
【0043】
(付記1) 特定スポット内で少なくとも対象物の特定部位の表面を基準平面に沿って配置するステージと、ステージ上の特定スポットに向けて熱エネルギを付与する加熱ユニットと、基準平面に直交する垂直姿勢で前記特定スポットに進入し、はんだに対して低い濡れ性を有する仕切り板とを備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【0044】
(付記2) 付記1に記載のはんだ修正装置において、前記加熱ユニットは、エネルギビームを照射する照射源を備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【0045】
(付記3) 付記2に記載のはんだ修正装置において、前記加熱ユニットは、前記照射源および前記特定スポットの間に配置され、前記照射源のエネルギビームの一部を通過させる通過孔を有するマスクを備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【0046】
(付記4) 付記2に記載のはんだ修正装置において、前記エネルギビームは、前記基準平面に直交する垂直方向から前記特定スポットに照射されることを特徴とするはんだ修正装置。
【0047】
(付記5) 付記1に記載のはんだ修正装置において、前記基準平面に直交する回転軸回りで回転自在に前記仕切り板を支持する仕切り板支持機構をさらに備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【0048】
(付記6) 付記1に記載のはんだ修正装置において、前記基準平面に直交する回転軸回りで回転自在に前記ステージを支持するステージ支持機構をさらに備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【0049】
(付記7) 付記1に記載のはんだ修正装置において、所定の押圧力で前記特定部位に前記仕切り板を接触させた後に前記熱エネルギの付与を開始する制御信号を出力する制御回路をさらに備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【0050】
(付記8) プリント基板上で複数の電極パッドに跨るはんだを所定の基準平面に沿って配置する工程と、はんだに向かって熱エネルギを付与し、はんだを溶融させる工程と、基準平面に直交する垂直姿勢の仕切り板で、溶融したはんだを分断する工程とを備えることを特徴とするはんだ修正方法。
【0051】
(付記9) 付記8に記載のはんだ修正方法において、前記仕切り板の表面にはフラックスが塗布されることを特徴とするはんだ修正方法。
【0052】
(付記10) 付記8に記載のはんだ修正装置において、前記熱エネルギの付与にあたって照射源からエネルギビームを照射することを特徴とするはんだ修正方法。
【0053】
(付記11) 付記10に記載のはんだ修正方法において、前記熱エネルギビームは照射源およびはんだの間で部分的に遮断されることを特徴とするはんだ修正方法。
【0054】
(付記12) 付記10に記載のはんだ修正方法において、前記エネルギビームは、前記基準平面に直交する垂直方向から前記はんだに照射されることを特徴とするはんだ修正方法。
【0055】
(付記13) 付記8に記載のはんだ修正方法において、前記仕切り板は、前記基準平面に直交する回転軸回りで回転することを特徴とするはんだ修正方法。
【0056】
(付記14) 付記8に記載のはんだ修正方法において、前記ステージは、前記基準平面に直交する回転軸回りで回転することを特徴とするはんだ修正方法。
【0057】
(付記15) 付記8に記載のはんだ修正方法において、前記はんだの分断後にはんだの固化を待ってはんだから仕切り板を離脱させる工程をさらに備えることを特徴とするはんだ修正方法。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係るはんだ修正装置の構造を概略的に示す正面図である。
【図2】はんだ修正装置の構造を概略的に示す一部断面図である。
【図3】はんだ修正装置の制御系を概略的に示すブロック図である。
【図4】プリント基板上ではんだの様子を概略的に示すプリント基板ユニットの拡大部分平面図である。
【図5】カメラで捕らえられる平面画像を概略的に示す図である。
【図6】はんだに接触する仕切り板を示すはんだ修正装置の部分断面図である。
【図7】加熱ユニットの動作を概略的に示すはんだ修正装置の部分断面図である。
【図8】はんだの分断の様子を概略的に示すプリント基板ユニットの側面図である。
【図9】仕切り板の上昇を示すプリント基板ユニットの側面図である。
【図10】プリント基板と仕切り板との間で所定の回転角が確立される場面を示すプリント基板ユニットの拡大部分平面図である。
【図11】ベルトで連結される仕切り板およびパルスモーターを概略的に示す部分透視斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
11 はんだ修正装置、12 ステージ(移動ステージ)、16 ステージ支持機構、21 仕切り板、22 仕切り板支持機構(アーム部材)、27 加熱ユニット、28 照射源(ハロゲンランプ)、32 マスク、33 通過孔、36 制御回路、51a(51b) 対象物(はんだ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定スポット内で少なくとも対象物の特定部位の表面を基準平面に沿って配置するステージと、ステージ上の特定スポットに向けて熱エネルギを付与する加熱ユニットと、基準平面に直交する垂直姿勢で前記特定スポットに進入し、はんだに対して低い濡れ性を有する仕切り板とを備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【請求項2】
請求項1に記載のはんだ修正装置において、前記加熱ユニットは、エネルギビームを照射する照射源を備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【請求項3】
請求項1に記載のはんだ修正装置において、前記基準平面に直交する回転軸回りで回転自在に前記仕切り板を支持する仕切り板支持機構をさらに備えることを特徴とするはんだ修正装置。
【請求項4】
プリント基板上で複数の電極パッドに跨るはんだを所定の基準平面に沿って配置する工程と、はんだに向かって熱エネルギを付与し、はんだを溶融させる工程と、基準平面に直交する垂直姿勢の仕切り板で、溶融したはんだを分断する工程とを備えることを特徴とするはんだ修正方法。
【請求項5】
請求項4に記載のはんだ修正方法において、前記熱エネルギの付与にあたって照射源からエネルギビームを照射することを特徴とするはんだ修正方法。
【請求項6】
請求項4に記載のはんだ修正方法において、前記仕切り板は、前記基準平面に直交する回転軸回りで回転することを特徴とするはんだ修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−49102(P2009−49102A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212278(P2007−212278)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】