説明

まな板除菌用袋

【課題】充填する除菌液の量を減らしてコスト削減を図るとともに、設置スペースに合わせて向きを自在に変えて設置することができるまな板除菌用袋を提供する。
【解決手段】パルプを材料に用いて作られてまな板2を包む不織布製シート3と、このシート3で包まれた状態でまな板2を収納すべく合成樹脂材料からなる袋本体4とからなり、袋本体4の出し入れ用開口部13を閉じて袋本体4の密封状態を保持するジッパー14を備え、前記シート3で包まれたまな板2を袋本体4の中で除菌液に浸した状態を保持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まな板を除菌するために除菌液に浸け置きすることができるまな板除菌用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
まな板で肉を切ったり魚をさばいたりしたあとで、まな板を洗剤で洗い流すだけでなく殺菌液に浸け置きしたい場合がある。このような場合に用いる浸け置き袋として、特許文献1に開示されているものが知られている。特許文献1の浸け置き袋では合成樹脂製の袋が使用され、この袋の中に汚れたまな板を収納するとともに除菌液が入れられて、まな板の除菌を行うようになっている。浸け置き袋が設置されたときに、閉じられた開口部が除菌液に浸からないようにするために、開口部は袋の上部に立ち上がった状態で設けられる。これによって開口部に除菌液の圧力が掛かって除菌液が外部に漏れ出すことを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−63733
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の浸け置き袋では、まな板全体を直接除菌液に触れさせるために浸け置きされるので多量の除菌液が必要になるという問題があった。
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、充填する除菌液の量を減らしてコスト削減を図るとともに、設置スペースに合わせて自在に向きを変えて設置することができるまな板除菌用袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載のまな板除菌用袋は、パルプ繊維を材料に用いて作られてまな板を包む不織布製のシートと、このシートで包まれた状態でまな板を収納すべく合成樹脂材料からなる袋本体とからなり、袋本体の出し入れ用開口部を閉じて袋本体の密封状態を保持する手段を備え、前記シートで包まれたまな板を袋本体の中で除菌液に浸した状態を保持するようにしたものである。請求項2に記載のまな板除菌用袋は、不織布製のシートがパルプ繊維100%からなるものである。請求項3に記載のまな板除菌用袋は、不織布製のシートが合成繊維を含むものである。請求項4に記載のまな板除菌用袋は、不織布製のシートが袋状に作られているものである。請求項5に記載のまな板除菌用袋は、不織布製のシートが袋本体の内部にまな板を包むように装着されているものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明によれば、まな板は除菌液が浸透した不織布製のシートに包まれた状態で袋本体に収納され、袋本体の出し入れ用開口部は閉じられて袋本体の密封状態が保持されるので、充填する除菌液の量を減らしてコスト削減を図ることができるとともに、設置スペースに合わせて水平置き、縦置きなど自在に向きを変えて設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態のまな板除菌用袋の構成部品を示す斜視図である。
【図2】同不織布の繊維の拡大断面図である。
【図3】同不織布製シートにまな板を収納した状態を示す斜視図である。
【図4】同まな板を入れた不織布製シートを袋本体に収納した状態を示す斜視図である。
【図5】同まな板を入れた不織布製シートを収納した袋本体に除菌液を充填した後にジッパーを閉じた状態を示す斜視図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態において、袋本体を止め具を用いて閉じたまな板除菌用袋の斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態におけるまな板除菌用袋の斜視図である。
【図9】図8のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第1の実施の形態について図1〜図6に基づいて説明する。まな板除菌用袋1は、まな板2を包む袋状の不織布製シート3と、不織布製シート3で包まれたまな板2を収納する袋本体4とを備える。本実施の形態では、不織布製シート3の材料としてパルプ繊維と合成繊維とを含んだ不織布繊維5が使用される。合成繊維は不織布全体の約85重量%を占めており、残りがパルプ繊維である。
【0009】
図2に示す不織布繊維5の断面図において、不織布繊維5は3層構造となっており、不織布繊維5の最内層6から中間層7、最外層8に向かって合成繊維が多く含まれており、不織布繊維5の最外層8から中間層7、最内層6に向かってパルプ繊維が多く含まれている。不織布製シート3の表側および裏側を形成する長方形状のシート9a,9bには合成繊維としてポリエチレンとポリプロピレンとを混合したものが含まれているので、3つの辺10a,10b,10cを各々ヒートシールして容易に袋状の不織布製シート3を形成することができる。本実施の形態では合成繊維としてポリエチレンとポリプロピレンとを混合したものが用いられるが、これに限定されるものではなくポリエチレンまたはポリプロピレンを単独で用いることもできる。
【0010】
袋本体4は、表面および裏面を形成する長方形状の合成樹脂製シート11a,11bの最内層が例えばポリエチレンで形成されており、3つの辺12a,12b,12cが各々ヒートシールされている。袋本体4は、まな板2を収納した不織布製シート3が内部に収まる大きさとされ、袋本体4の開口部13近傍には袋本体4の内部に充填した除菌液が外部に漏れ出ることを防止するためにジッパー14が設けられる。
【0011】
ここで、まな板除菌用袋1の使用手順について説明する。まな板2を袋状の不織布製シート3の内部に収納した後に、不織布製シート3の開口部を折り曲げて閉じる。不織布製シート3は、内部にまな板2が収納されたとき、まな板2の表面および裏面が不織布製シート3の内面に接する大きさとされることが好ましい。
【0012】
次に、まな板2が収納された不織布製シート3を袋本体4の内部に収める。袋本体4は、まな板2が収納された不織布製シート3を容易に収めることができ取り出すことができる大きさとされ、まな板2が収納された不織布製シート3を袋本体4に収めた状態で、袋本体4の内部に除菌液が充填される。除菌液の量は、不織布製シート3全体に除菌液を浸み込ませることができる量であればよく、不織布製シート3全体が除菌液に浸かることを要しない。このとき充填すべき除菌液の量が分かるように、袋本体4に目印を付けておくと便利である。
【0013】
袋本体4の下部に溜まった除菌液は不織布製シート3のパルプ繊維に染み込み、毛細管現象によって順次不織布製シート3全体のパルプ繊維に浸み込んでいく。パルプ繊維は不織布繊維5の中心部に近いほど多く含まれているので、除菌液は不織布繊維5の中心部寄りを多く通って上方に浸み込んでいくことになる。このようにして除菌液を不織布製シート3の全体に浸透させることができ、まな板2は除菌液が保持された不織布製シート3に覆われた状態で効果的に除菌される。
【0014】
このように、まな板2は除菌液に直接浸されることなく、除菌液が保持された不織布製シート3に覆われて除菌されるので、除菌液の量を効果的に減らすことができるとともに、まな板除菌用袋1の向きを自由に選択して設置することができる。例えば、夕食の料理に使用したまな板2を、まな板除菌用袋1に収納して一晩除菌する場合に、通常まな板2を保管する場合と同様に、まな板除菌用袋1をまな板置き台などに立てた状態で設置することができ、あるいは壁に立て掛けたり水平状態で置くこともできる。このように、まな板除菌用袋1は、特別な設置スペースを必要とすることなく、通常まな板2を保管しているスペースに設置することができる。袋本体4を開閉するジッパー14は、機密性が高いので、除菌液が外部に漏れることを確実に防止することができるとともに、繰り返し開閉することができるので、まな板除菌用袋1を繰り返し使用することができる。
【0015】
本実施の形態では、まな板2を袋状の不織布製シート3に収納しているが、これに限定されるものではなく、まな板2を風呂敷状に形成した不織布で包むこともできる。この場合には不織布をまな板2の表面に容易に当接させることができ、除菌効果を高めることができる。不織布製のシートを風呂敷状とする場合には、不織布繊維5に合成繊維が含まれていなくてもよく、パルプ繊維100%とすることもできる。このようにすると不織布製のシートに多量の除菌液を保持させることができる。
【0016】
また、袋本体4の開口部13の開閉をジッパー14を用いて行っているが、これに限定されるものではなく、たとえば図7に示す第2の実施の形態のような袋本体4を外部から挟む止め具15を用いることもできる。この場合にも除菌液が外部に漏れることを確実に防止することができるとともに、繰り返し使用することができる。さらに、袋本体4の開口部13の内面に粘着剤を塗布して開口部13を繰り返し開閉できるようにしても良い。また、不織布製シート3の開口部は折り曲げて閉じているが、これに限定されるものではなく、袋本体4の開口部13と同様に止め具などを用いて開閉することもできる。
【0017】
本実施の形態では、不織布製シート3の合成繊維としてポリエチレンとポリプロピレンとを混合したもの、またはポリエチレンあるいはポリプロピレンが単独で用いられ、シート9a,9bの3つの辺10a,10b,10cがヒートシールされるが、これに限定されるものではなく、超音波シールあるいは高周波シールされるものでもよい。超音波シールの場合には、合成繊維としてポリプロピレンあるいはポリエチレンテレフタレートが好適である。高周波シールの場合には、合成繊維としてポリ塩化ビニルあるいはポリ塩化ビニリデンが好適である。
【0018】
本発明の第3の実施の形態について図8及び図9に基づいて説明する。第1の実施の形態の説明と重複する部分については同一の参照符を用いる。第1の実施の形態では、不織布製シート3と袋本体4とが各々別々に形成されているが、本実施の形態では袋本体4の表、裏の合成樹脂製シート11a,11bの各内面に重なるように不織布製のシート21a,21bを位置せしめ、不織布製のシート21a,21bと袋本体4とが一体的に形成されている。
【0019】
不織布製のシート21a,21bとしてポリエチレンとポリプロピレンとを混合したもの、またはポリエチレンあるいはポリプロピレンを単独で含んだ不織布繊維5を用い、袋本体4を形成する合成樹脂製シート11a,11bの最内層をポリエチレンあるいはポリプロピレンで形成すると、合成樹脂製シート11a,11bの間に不織布製のシート21a,21bを挟み込んだ状態で押し出しラミネートまたはヒートシールすることができる。これによって図8,図9に示すように、袋本体4と不織布製のシート21a,21bとを一体化させることができる。このように除菌液を浸み込ませるシート21a,21bが袋本体4と一体的に形成されると、まな板2を直接袋本体4に収めることができ、まな板2を袋状の不織布製シートに収納する手間を省くことができる。
【0020】
このように、まな板除菌用袋1は、パルプ繊維を材料に用いて作られてまな板2を包む不織布製シート3,21a,21bと、この不織布製シート3,21a,21bで包まれた状態でまな板2を収納すべく合成樹脂材料からなる袋本体4とからなり、袋本体4の出し入れ用開口部13を閉じて袋本体4の密封状態を保持する手段であるジッパー14や止め具15などを備え、前記不織布製シート3,21a,21bで包まれたまな板2を袋本体4の中で除菌液に浸した状態を保持するようにしたので、まな板2は除菌液が浸透した不織布製シート3,21a,21bに包まれた状態で袋本体4に収納され、袋本体4の出し入れ用開口部13は閉じられて袋本体4の密封状態が保持されるので、充填する除菌液の量を減らしてコスト削減を図るとともに、設置スペースに合わせて自在に向きを変えて設置することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 まな板除菌用袋
2 まな板
3 不織布製シート
4 袋本体
5 不織布繊維
6 最内層
7 中間層
8 最外層
9a,9b,21a,21b シート
10a,10b,10c,12a,12b,12c 辺
11a,11b 合成樹脂製シート
13 開口部
14 ジッパー
15 止め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ繊維を材料に用いて作られてまな板を包む不織布製のシートと、このシートで包まれた状態でまな板を収納すべく合成樹脂材料からなる袋本体とからなり、袋本体の出し入れ用開口部を閉じて袋本体の密封状態を保持する手段を備え、前記シートで包まれたまな板を袋本体の中で除菌液に浸した状態を保持するようにしたことを特徴とするまな板除菌用袋。
【請求項2】
シートはパルプ繊維100%からなることを特徴とする請求項1記載のまな板除菌用袋。
【請求項3】
シートは合成繊維を含むことを特徴とする請求項1記載のまな板除菌用袋。
【請求項4】
シートは袋状に作られていることを特徴とする請求項3記載のまな板除菌用袋。
【請求項5】
シートは袋本体の内部にまな板を包むように装着されていることを特徴とする請求項3記載のまな板除菌用袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−125427(P2012−125427A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279979(P2010−279979)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000208226)大和グラビヤ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】