説明

めっき被膜接続端子部材、これを用いた接続端子、これに用いられるめっき被膜材及び多層めっき材料、並びにめっき被膜接続端子部材の製造方法

【課題】レアメタルの使用量を抑えつつ、鉛フリーはんだに対するはんだ付け性(濡れ性)及び摺動性を両立して向上しながら、しかもウィスカの発生を抑制ないし防止することができるめっき被膜を有する接続端子部材を提供する。
【解決手段】導電性基材の外側にスズもしくはスズ合金からなる第1めっき層と、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層とを有する多層めっき材料をリフローしてなる接続端子部材であって、前記第1めっき層について、前記接続端子部材の挿抜部における厚さを0.3〜3μmとし、前記接続端子部材のはんだ付け部における厚さを前記挿抜部の厚さより厚くし、前記第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとした被膜接続端子部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛を含まないめっき被膜を有する接続端子部材、これを用いた接続端子、これに用いられるめっき被膜材及び多層めっき材料、並びにめっき被膜接続端子部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的な接続の目的で使用される接続端子には、車載用端子からプリント回路基板に使われるコネクタ端子(以下PCB端子)にいたるまで様々な用途のものがあり、そのそれぞれに適合した機能が要求される。図12には、PCB端子を模式化して示した断面図を示す。このPCB端子100は雄端子50及び雌端子60で構成され、各端子の筐体55,65にはそれぞれ雄端子部材51及び雌端子部材61が挿設されている。この雌端子60を全体として矢印(S)の方向に移動させて雄端子55の受口54に挿入すると、逆に針状の雄部材の挿抜部51aが筒状の雌部材に挿入され、電気的な接続状態が得られる。
端子部材の構造について雄端子部材51に基づいて詳しく説明する。該端子部材51は、TAB(Tape Automated Bonding[テープ・オートメイテッド・ボンディング])側で相手側の雌材と嵌合する挿抜部51aと、PCB側ではんだ付けされるはんだ付け部51bとを有する。このはんだ付け部51bでリード線52の導線と接続され、把持部53で固定された部分を介して端子の外方に延出し、該リード線がプリント回路基板へとつなげられる。このようなPCB端子の端子部材としては、黄銅等の銅合金を母材とし、この表面にスズめっき層を形成したものが一般的である。このようにスズめっきを施すことにより、電気接触部の嵌合側では、低い接触抵抗で摺動性の良いものとすることができ、さらに表面に耐食性を付与することができる。一方、はんだ付け部では良好なはんだ付け性を実現することができる。
【0003】
近年、PCB端子の小型化及び接続端子部(ピン)数の高密度化に対する要求が高まっており、その対応として接続する際の挿入力を小さくすることが求められる。しかし、上述したようなスズめっきによるものでは、スズが軟質金属であるため挿入時に容易に塑性変形してしまい、その変形部が挿入時の抵抗となりかえって嵌合に大きな挿入力が必要となることがある。そこでスズめっき層の厚さを薄くすることが考えられる。しかし、これは通常はんだ付け性の低下をまねく。
【0004】
さらに、スズめっき層はその内部応力や下地を含む基材金属の拡散等によりウィスカが発生しやすいという問題がある。ひとたびウィスカが発生し別の導電性部材等と電気的に接触するようなことがおこれば、短絡をおこしデバイスの動作に影響することはもとより、電子素子や半導体に重大な影響を与えることともなりかねない。この対策として、スズめっきを施した後にリフロー処理することが提案されている。また、上述したようなPCB端子において、特にファインピッチのものについては金めっきが使用されている。言うまでもなく、このような高価な金属の使用量を極力低減することが望まれる。
【0005】
ところで、近年はんだ材料の成分が大きく変わった。従来、63Sn−37Pb(スズ−鉛)はんだが汎用されていたが、廃棄物処理法などの環境関連法規制により、鉛は特別管理物質に指定されているなど環境への影響が懸念されており、鉛を含まないはんだ(鉛フリーはんだ)への移行が急速に進んでいる。これに対応するために、鉛を含まないものを適用することが求められている。その上で上述したような摺動性及びはんだ付け性といった相反する特性の両立に加え、ウィスカの発生防止を実現しなければならず、これらを同時に満足する技術の開発は一層困難なものとなっている。
【0006】
特許文献1はスズめっきの上にインジウムめっきを施したものを開示する。これにより外観とはんだ付け性が良好となるとされる。また、特許文献2はスズの電気めっき層の上に銀、ビスマス、銅、インジウム、又は亜鉛の電気めっき層を施したものを開示し、これにより、摺動性、はんだ付け性、耐食性を改善しうるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−279791号公報
【特許文献2】特開2002−317295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本件発明者らは、上述のような摺動性の向上とはんだ付け性の向上とを両立するために、1つの端子部材において挿抜部とはんだ付け部とでスズめっき層の厚さを異ならせる差厚めっきの利用を検討した。しかし鉛を含まないめっき層においてこれを実現するためにスズの層とスズ以外の金属材料の層とを組み合わせて用いるとき、差厚めっきされたものの摺動性とはんだ付け性の両立は困難であると考えられる。特に、リフロー処理をした場合、上記複数の金属は層内で合金化し場所による厚さの差により合金組成に差が生じることが考えられ、その特性の予測及び制御は一層難しくなる。
【0009】
さらに本発明者らは、上述した各特性の良化とともにPCB端子用の端子部材を始めとしためっき被膜接続端子部材において、これを長期間使用したときのはんだ接合部の疲労耐久性をも向上することに着目した。その背景として例えば、車載用の接続端子はもとよりPCB端子のような微細なものにしてみても、近年、自動車や鉄道等の移動手段に搭載される複雑かつ高度な制御システムに組み込まれてきている。これをうけ、接続端子は微小化・精密化されながら、しかもその使用条件は動的なものとなっている。また、静的に使用される大型コンピュータやパーソナルコンピュータであっても疲労耐久性が必要ないとはいえない。コンピュータの内部、とくに内蔵されるCPU(中央処理装置)の周辺はかなりの高温になり、この使用時の温度の上昇と非使用時の徐冷とが日常頻繁に繰り返される。すると、端子接合部は熱の上昇・下降をうけ膨張と収縮とを繰り返し、亀裂の原因となるような歪を徐々に蓄積していくことが考えられる。用途によっては、長期間使用したときにもそのような亀裂破損等を生じない、十分に余裕をみた設計が求められる。
【0010】
本発明は、上述したような鉛を含まないめっき被膜に求められる特有の課題に鑑み、コストが高くまた将来的な入手困難性も指摘されるレアメタルの使用量を抑えつつ、鉛フリーはんだに対するはんだ付け性(濡れ性)及び摺動性を両立して向上し、しかもウィスカの発生を抑制ないし防止することができるめっき被膜を有する接続端子部材の提供を目的とする。また、上記の良好な特性とともにはんだ付け温度を低減し、しかも疲労耐久性に優れるめっき被膜接続端子部材、それを用いた接続端子、及びそれに用いられるめっき被膜材、多層めっき材料の提供を目的とし、さらにその製造に特に適しためっき被膜接続端子部材の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は下記の手段により解決された。
(1)導電性基材の外側にスズもしくはスズ合金からなる第1めっき層と、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層とを有する多層めっき材料をリフローしてなる接続端子部材であって、
前記第1めっき層について、前記接続端子部材の挿抜部における厚さを0.3〜3μmとし、前記接続端子部材のはんだ付け部における厚さを前記挿抜部の厚さより厚くし、
前記第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとしたことを特徴とするめっき被膜接続端子部材。
(2)前記リフロー処理により、前記第2めっき層のインジウムの濃度がめっき表面側から導電性基材側にむけ傾斜的に減少するようにしたことを特徴とする(1)に記載の接続端子部材。
(3)前記第1めっき層と前記導電性基材との間に、ニッケルまたはニッケル合金からなる下地めっき層が介在されている(1)又は(2)に記載の接続端子部材。
(4)前記第1めっき層と前記導電性基材との間に、銅または銅合金からなる下地めっき層が介在されている(1)〜(3)のいずれか1項に記載の接続端子部材。
(5)前記第2めっき層の厚さが前記挿抜部及び前記はんだ付け部において均一にされたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の接続端子部材。
(6)前記第1めっき層が、スズ、スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、スズ−銅合金、及びスズ−銀−銅合金の群から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の接続端子部材。
(7)前記第1めっき層の前記挿抜部における厚さが1.5μm以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の接続端子部材。
(8)前記第1めっき層の前記挿抜部の厚さ(Ts)と前記はんだ付け部との厚さ(Th)の差(Td=Th−Ts)を1.0〜2.7μmとしたことを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の接続端子部材。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の接続端子部材を具備する接続端子。
(10)導電性基材の外側にスズもしくはスズ合金からなる第1めっき層と、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層とを有する多層めっき材料をリフローしてなるめっき被膜材であって、前記第1めっき層の厚さを0.3〜3μmとし、第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとしたことを特徴とする接続端子用めっき被膜材。
(11)前記第1めっき層について、所定の厚さの箇所とそれより薄い箇所とを設けたことを特徴とする(10)に記載のめっき被膜材。
(12)導電性基材の外側にスズもしくはスズ合金からなる第1めっき層と、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層とを有する多層めっき材料であって、前記第1めっき層の厚さを0.3〜3μmとし、前記第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとし、リフローして用いることを特徴とする接続端子用の多層めっき材料。
(13)前記第1めっき層について、所定の厚さの箇所とそれより薄い箇所とを設けたことを特徴とする(12)に記載の多層めっき材料
(14)導電性基材の外側に、スズもしくはスズ合金からなる第1めっき層を形成し、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層を形成して接続端子部材の多層めっき材料とし、該多層めっき材料をリフローして挿抜部とはんだ付け部とを有する接続端子部材とするに当たり、
前記第1めっき層について、前記挿抜部における厚さを0.3〜3μmとし、かつその前記はんだ付け部における厚さを前記挿抜部の厚さより厚くし、他方、前記第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとして前記多層めっき材料とし、該多層めっき材料をリフローして接続端子部材とすることを特徴とするめっき被膜接続端子部材の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のめっき被膜接続端子部材は、鉛を含まないめっき被膜を有する端子部材に求められる特有の課題を解決し、コストが高くまた将来的な入手困難性も指摘されるレアメタルの使用量を抑えつつ、鉛フリーはんだに対するはんだ付け性(濡れ性)及び摺動性(挿抜性)の向上はもとより、ウィスカの発生及び成長を抑制・防止するという優れた作用効果を奏する。また、本発明のめっき被膜接続端子部材は、上記の良好な特性とともに、端子部材において求められるはんだ付け温度の低減を実現し、しかも高い疲労耐久性を示す。
本発明のめっき被膜材及び多層めっき材料は上述した端子部材の素材として特に適し、これを用いた端子部材において安定した導通とともに長期間の使用においてもはんだ接合部の破損等を起こさない高い耐久性及びそれに基づく機器の信頼性を実現する。
また、本発明の製造方法によれば、上述した良好な特性を有するめっき被膜接続端子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のめっき被膜接続端子を構成するめっき被膜接続端子部材の一実施形態についてその一部分の表面を模式的に示す断面図であり、図1(a)がリフロー前、図1(b)がリフロー後の状態を示す。
【図2】本発明のめっき被膜接続端子部材の一実施形態を模式的に示す側面図(図2a)と、そのリフロー前のめっき被膜の厚さを示すグラフ(図2b)である。
【図3】作製例で得られためっき被膜材(試験体)のスズとインジウムとの傾斜的な濃度分布を示すオージェ分析の結果を示すグラフである。
【図4】作製例で得られた別のめっき被膜材(試験体)のスズとインジウムとの傾斜的な濃度分布を示すオージェ分析の結果を示すグラフである。
【図5】作製例で得られた試験体のはんだ濡れ性試験の結果を示すグラフである。
【図6】作製例で得られた試験体のバウデン試験の結果を示すグラフである。
【図7】作製例で得られた試験体の表面状態を撮影した顕微鏡写真(図面代用写真)である(拡大倍率:100倍)。
【図8】作製例で得られた別の試験体の表面状態を撮影した顕微鏡写真(図面代用写真)である(拡大倍率:100倍)。
【図9】図9に示した試験体[Sn1.5μm/In0.2μm](2000h)の表面状態を拡大して示した顕微鏡写真(図面代用写真)である。
【図10】図9に示した試験体[半光沢Sn(1.5μm)](2000h)の表面状態を拡大して撮影した顕微鏡写真(図面代用写真)である。
【図11】めっき被膜材(試験体)の疲労寿命評価試験の方法を模式化して説明するための斜視図である。
【図12】PCB端子の一般的な構造を模式的に示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のめっき被膜接続端子に用いることができる導電性基材の材料、形状は特に限定されず、通常の半導体装置に用いられる材料、形状のものを用いることができる。具体的には少なくともその表面が導電性を有する材料であればよく、例えば、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、及びこれらの組み合せによる基材などをあげることができる。目的や用途に応じて適宜に選定することができ、中でも接続端子としての使用を考慮すると、少なくとも表面の構成材料は銅単体、銅合金、ステンレス、鉄系合金などが好ましい。導電性基材の形状は特に限定されないが、接続端子としての使用を考慮すると導電性基材の形状は、平板条やプレス済条が好ましい。
【0015】
本発明において第1めっき層はスズもしくはスズ合金からなり、好ましくは、スズ(Sn)、スズ(Sn)−銀(Ag)合金、スズ(Sn)−ビスマス(Bi)合金、スズ(Sn)−銅(Cu)合金、及びスズ(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)合金の群から選ばれる少なくとも1種からなる。ここで、各金属ないし合金の融点は以下のとおりであり、後述するリフロー処理温度やインジウムの融点との関係で適用する材料を選定してもよい。なかでも、第1めっき層を構成する材料は、スズ、スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、又はスズ−銀−銅合金が好ましく、スズ又はスズ−銀合金がより好ましい。スズ単体の融点は231.9℃、スズ−3質量%銀合金は220℃、スズ−5質量%ビスマス合金は227℃、スズ−0.7質量%銅合金は227℃、スズ−3質量%銀−0.5質量%銅合金の融点は219℃である。スズ−銀合金の場合は銀含有量の上限値を4質量%とすることが好ましい。スズ−ビスマス合金の場合はビスマス含有量の上限値を5質量%とすることが好ましい。スズ−銅合金の場合は銅の含有量の上限値を1質量%とすることが好ましい。これらの合金において上記上限値の範囲内であると、クラックの抑制性やはんだ濡れ性が高まり好ましい。また、第2めっき層を構成するインジウムは、その融点が低く(156℃)、膜厚を細かく制御する目的から、第1めっき層の材料や厚さをそのばらつきの影響を打ち消すことができる範囲で適宜選定・調節することが好ましい。
【0016】
本発明において、第1めっき層の厚さは0.3〜3μmとされるが、その範囲で使用目的や用途に応じて適宜選択することができる。端子部材に使用したとき挿抜性を考慮したときには、第1めっき層の厚さを0.5〜1.5μmとすることが好ましく、0.5〜1.0μmとすることがより好ましい。さらに、接続端子部材としたときのはんだ付け性を考慮して、はんだ付け部の厚さを1.5〜3.0μmとすることが好ましく、2.0〜3.0μmとすることがより好ましい。挿抜部の第1めっき層の厚さ(Ts)とはんだ付け部の厚さ(Th)との差(差厚Td=Th−Ts)は用途や要求性能等に応じて適宜設定すればよいが、1.0〜2.7μmとすることが好ましい。上記のように挿抜部とはんだ付け部の第1めっき層の厚さに差をもたせることにより、摺動性(挿抜性)とはんだ付け性の両立を実現することができる。
【0017】
本発明のめっき被膜材において、第2めっき層にはインジウムが用いられる。第2めっき層の厚さは0.05〜0.2μmとされるが、使用目的等に応じて適宜選択することができる。接続端子部材としたときのはんだ付け性や摺動性、さらにはウィスカの抑制性及び耐疲労性等を特に考慮して、その厚さを0.05〜0.1μmとすることが好ましい。上記インジウムめっき層の厚さを上記の下限値以上とすることによりウィスカの発生を顕著に抑え、高い疲労耐久性を発現し、上記上限値以下とすることにより耐熱性が良化し、例えばリフロー時に生じるめっき表面の微細な凹凸も好適に防ぐことができる。さらに、比較的硬度の低い金属であるインジウムの量を上記範囲の少ない量に抑えたことと相俟って、良好な摺動性(挿抜性)を実現することができる。また、これを超えてインジウムの層を厚くするより、むしろ疲労寿命を最大化することができ好ましい。
【0018】
本発明においては、前述のとおりめっき表面層側にあるインジウムと基材層側のスズないしスズ合金との厚さを上記範囲に規定したことにより、典型的な鉛フリーはんだであるSn−3Ag−0.5Cuはんだと接合される場合に固液拡散が起こりはんだ濡れ性が高まる。また、表面層側のインジウムは低融点金属であるので、この点も相俟って実装する際のはんだ付け温度を低くすることが可能となる。さらに、本発明によれば、第2めっき層(表面層)のインジウムを0.05〜0.2μmという薄い厚さに抑えながら第1めっき層のスズないしその合金と組み合わせて所望の効果を奏するため、コスト面のみならず、レアメタルであるインジウムの使用量を僅少に抑えることができるという省資源の観点からも利点を有する。
【0019】
本発明においては、上述の利点とともに、さらに第2めっき層を構成するインジウム層を薄層化し、これをリフロー処理することにより傾斜した濃度分布としたことにより特有の作用がもたらされる。
まず、ウィスカの発生を抑制する作用が挙げられる。このように両層の金属が濃度勾配をもって傾斜的に存在することによる相互作用について推定を含めていえば下記のように説明される。すなわち、上記特定の厚さで敷設されたスズもしくはスズ合金層と表面層側のインジウム層とをリフローすることによって、表面相側のインジウムを下地金属側に適度に拡散し傾斜的に配置すると、インジウムのもつ適度なクリープ性が得られ、ウィスカの発生・成長を抑止すると考えられる。つまりスズないしスズ合金層中の内部応力が緩和され、その結果ウィスカの発生が効果的に抑制される。
【0020】
さらに本発明においては、上記のようにスズないしスズ合金の層に対してインジウム層の厚さを上記の特定の範囲を超えないよう薄く規定したことで、リフローしたときにかえってはんだ付けしたものの疲労耐久性を高めることができる。そのため、例えばPCB端子や車載用端子としたときに不慮の停止等が許されないような分野や用途に適用される場合にも、極めて高い信頼性を実現することができる。さらには、内部温度の上昇/下降の大きい大型のコンピュータ等においても長期間の連続使用に好適に対応することができる。特に現在主流のはんだであるSn−3Ag−0.5Cuでは従前のSn−37Pbはんだに比べクラックが入りやすく疲労寿命が短くなるとの懸念もあるが、本発明によればそのような点が顕在化しうるアプリケーションにも好適に対応することができる。このような効果が得られる作用機序については未だ未解明の点があるが、上述した2種の金属を傾斜的に配置したためにもたらされるめっき被膜膜内での応力緩和効果が関与するものと考えられる。
【0021】
ところで、接続端子等におけるはんだ付け温度は、鉛入りはんだであるSn−37Pbを使用していた220℃から、鉛フリーはんだのSn−3Ag−0.5Cuの240℃以上へ移行したため、その差の分大きく上昇している。これに対し本発明によれば、端子部材のはんだ濡れ性を高め、より低温で濡れやすくすることができる。そのため、各種端子部材の製造工程におけるはんだ付け温度を下げることができ大幅なエネルギー削減とともに信頼性の向上につながる。
【0022】
接続端子部材とする熱処理としてのリフローの前の第1めっき層の厚さと第2めっき層の厚さの関係を以下のように調節することが好ましい。すなわち、第1めっき層の厚さ(t)と第2めっき層の厚さ(t)の比率(t/t)も考慮することが好ましい。第1めっき層の厚さと第2めっき層の厚さとの比率(t/t)は0.02〜0.04の範囲とすることが好ましい。この比率(t/t)を上記上限値以下とすることでウィスカの抑制・防止効果を一層好適に発現させることができ、上記下限値以上とすることで耐熱性を発揮させリフロー後の外観を良化することができる。
【0023】
図1は、本発明のめっき被膜接続端子部材を構成するめっき被膜材の一実施形態についてその一部分の表面近傍を模式的に示す断面図であり、図1(a)がリフロー前、図1(b)がリフロー後の状態を示す。リフロー前においては、導電性基材4の表面に、第1めっき層(スズもしくはスズ合金)1a及び第2めっき層(インジウム)が、その順で、上述したそれぞれの特定の層厚さd及びdで電気めっきにより形成されている。これにより多層めっき被膜3aが構成されている。この多層めっき材料10aをリフロー処理することにより、特に融点に低いインジウムからなる第2めっき層2aが溶けて流動し、インジウムがスズもしくはスズ合金からなる第1めっき層に拡散していく。この拡散の結果、インジウムの濃度がめっき層表面から基材4に向かって高−低の連続的な傾斜層dを呈することになる。つまり、リフロー後のめっき被膜層3は傾斜していないか若干傾斜した濃度分布とされためっき外層(主にスズ,スズ合金)1と傾斜した濃度分布とされためっき内層(インジウム−スズないしスズ合金)2とからなる。
【0024】
インジウムが傾斜した濃度で配置された傾斜層dの厚さは特に限定されないが、リフロー前の第1めっき層と第2めっき層との厚さの合計(d+d)の1〜10%であることが好ましく、1〜5%であることがより好ましい。具体的な厚さでいうと、接続端子としての利用を考慮したとき、傾斜層dが0.1〜0.5μmであることが好ましく、0.1〜0.2μmであることがより好ましい。なお、図1に示した部分では差厚めっきとなっていないが、差厚めっきとされたときにもリフロー後に傾斜的な金属材料の配置となることは同様である。このとき、本発明に規定される第1めっき層の厚さの範囲での差厚めっきとし、かつ本発明に規定される第2めっき層の厚さとしたため、例えば挿抜部とはんだ付け部とで第2めっき層の厚さを変える等の迂遠な処理を必要とせず所望の作用効果が得られるため好ましい。
【0025】
接続端子部材とする熱処理としてのリフローの条件は、基材及びめっきの厚さ等を考慮して設定してもよい。本発明によれば、この熱処理としてリフローとはんだ付けにおける加熱処理とをかねてもよく、この加熱処理温度を低減することができ好ましい。上記熱処理としてリフローするときの炉内雰囲気温度としていえば、300〜600℃とすることが好ましい。リフロー処理する時間は1〜10秒であることが好ましく、2〜5秒であることがより好ましい。リフロー処理温度が上記下限値以上であるとインジウムの拡散を十分に進行させ、所望の傾斜状態が得られる点で好ましい。リフロー温度が上記上限値以下であると、インジウムの傾斜を必要以上に進行させず例えばウィスカの抑制性を十分に発揮させることができ、また電子部品等の品質維持にも対応することができる。
【0026】
本発明のめっき被膜材においては、スズないしスズ合金のめっきに先立ち、導電性基材の表面に予め下地層を配設しておくことが好ましい。下地層としては、ニッケルまたはニッケル合金からなる層を電気めっきにより形成することが挙げられる。これらの下地めっき層は導電性基材の銅などの熱拡散を抑制するためのバリアとして有効に機能し、この上に形成された2層構造のめっき層の耐熱性を向上させることができる。また、ニッケル合金を下地めっきとして施しておくと、リフロー時の銅のめっき層への拡散を抑制ないし防止することができ好ましい。さらにまた、導電性基材の表面に予め銅または銅合金を下地めっきしておくことにより、一層良好な導電性を付与することができ好ましい。他方、第2めっき層の外側に他の層等を設けてもよい。
【0027】
本発明の製造方法の好ましい実施態様を挙げると、下記(1)〜(9)の工程を適宜組み合せることが挙げられ、これらをその順で順次行うことが好ましい。(1)導電性基材を浸漬脱脂し必要により水洗する工程、(2)電解脱脂し必要により水洗する工程、(3)酸洗浄し必要により水洗する工程、(4)ニッケルめっき(電気めっき)を施し必要により水洗する工程、(5)スズめっき(電気めっき)を施し必要により水洗する工程、(6)インジウムめっき(電気めっき)を施し必要により水洗する工程、(7)乾燥工程、(8)多層めっき材料への熱処理としてのリフロー処理する工程、(9)雄端子ないし雌端子にリード線等をはんだ付けする工程。
【0028】
浸漬脱脂する工程(1)では、市販の浸漬脱脂液を濃度2〜4%の範囲で、温度50℃、約20秒間で行うことが可能である。電解脱脂する工程(2)でも、それぞれ市販の電解脱脂液を濃度5%程度で、室温付近で電流密度2〜4A/dm、約20秒間で行うことが可能である。酸洗浄工程(3)は、好ましくは濃度5%硫酸で、室温、20秒間で行うことが可能である。ニッケルめっき工程(4)は、スルファミン酸ニッケル浴を用いて約55℃で、電流密度5A/dm、30秒間で行うことが可能である。スズめっき工程(5)は、酸性スズめっき浴を用いて約30℃で、電流密度5A/dm、40秒間で行うことが可能である。インジウムめっき工程(6)は、めっき浴を用いて約30℃で、電流密度0.5A/dm、120秒間で行うことが可能である。このように、めっき工程における電流密度及びめっき処理時間を適宜設定して、第1めっき層(スズ,スズ合金)及び第2めっき層(インジウム)の厚さを上記特定のものとすることができる。
【0029】
図2(a)は、本発明のめっき被膜接続端子部材の一実施形態を模式的に示す側面図であり、図2(b)はリフロー前のめっき被膜層(第1めっき層及び第2めっき層)の厚さを示すグラフである。同図に示しためっき被膜接続端子部材(雄端子部材)71は図12に示した雄端子部材51と同種のものであるが、多少形状の異なるものとして示している。雄端子部材71はTAB側が針状の挿抜部71aとされ雌端子部材(図示せず)に挿入して接続される。一方、その反対側のプリント回路基板側は同様に針状ではあるがはんだ付けしてリード線と接続されるはんだ付け部71bとされている。図2(b)に示したように、リフロー前において同接続端子71をなす多層めっき材料の第1めっき層は、挿抜部I〜III間においておよそ1.2μmの厚さとされている。一方、はんだ付け部IV−V間においては第1めっき層が3μmにまで厚くされている。第2めっき層は全体において0.2μmの均一な厚さで配設されている。このように本実施形態の接続端子部材71は挿抜部からはんだ付け部に向けて第1めっき層の厚さが増すように差厚めっきが適用され、所定の厚さの箇所とそれより薄い箇所とが設けられている。このようにすることで、従来実現が困難であった複数の要求特性を同時に満足し、すなわち、良好な挿抜性とはんだ付け性を両立することができることはもとより、ウィスカの発生を抑制し、疲労寿命を長期化することにより機器における耐久性及び信頼性を大幅に高めることができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
(作製例)
試験体1
0.64mm(厚さ)×20mm(幅)の黄銅(35/65黄銅)からなる導電性基材に、ニッケルからなる下地めっきを0.5μmの厚さで設けた。その後、上記下地めっきの表面にスズめっき層1.5μmを施し、さらにそのスズめっき層の表面にインジウムめっき層0.05μmを形成して多層めっき材料を得た。この多層めっき材料に対し、雰囲気温度400〜450℃の条件でリフロー処理を行ない、めっき被膜材の試験体1を得た。この試験体1について、インジウム表面側から基材側にエッチングしスズとインジウムとの組成を測定するオージェ分析を行なった。その結果、表面側にインジウムが高濃度で存在し、基材側に進むにつれその濃度が減少していくことが確認できた(図3参照)。このとき、インジウムが傾斜的に配置された傾斜層dの厚さは0.1μmと算定された。
【0031】
試験体2〜10、c1〜c8
銅合金(導電性基材)、下地めっき、第1めっき層、第2めっき層を表1のように変えた以外、上記試験体1と同様にしてめっき被膜材を作製した。試験体10について、上記と同様にオージェ分析を行なった。その結果、表面側にインジウムが高濃度で存在し、基材側に進むにつれその濃度が減少していくことが確認できた(図4参照)。このとき、インジウムが傾斜的に配置された傾斜層dの厚さは0.1〜0.2μmと算定された。
【0032】
(実施例・比較例)
試験体11〜14、c9
0.64mm(厚さ)×20mm(幅)の黄銅(35/65黄銅)からなる導電性基材を図2(a)の形に打ち抜いた後、ニッケルからなる下地めっきを0.5μmの厚さで設けた。その後、上記下地めっきの表面に挿抜部はスズめっき層1.0μm、はんだ付け部はスズめっき層3.0μmを施し、さらにそのスズめっき層の表面にインジウムめっき層0.2μmを形成して多層めっき材料を得た。この多層めっき材料に対し、雰囲気温度400〜450℃の条件でリフロー処理を行ない、めっき被膜材の試験体11を得た。
試験体c9については、試験体11と同様の多層めっき材料を得た後、リフロー処理しなかった。試験体12〜14についてはめっき厚さを変えた以外は試験体11と同様にして試験体を得た。
【0033】
【表1】

【0034】
<はんだ濡れ性試験>
はんだ濡れ性は、JIS C0053 環境試験方法−電気・電子−はんだ付け試験方法(平衡法)に準拠して行なった。溶融したはんだ(千住金属工業社製、Sn−3Ag−0.5Cu、フラックスマイルドロジン NA200[商品名])に、上で得た試験体1(Sn1.5/In0.05)、試験体c1(リフローSn1.5)、試験体c2(半光沢Sn1.5)を、はんだ温度230、240、245℃でそれぞれ2秒間浸漬して、そのはんだの濡れ性をゼロクロス時間として測定した。ゼロクロス時間とははんだが濡れ始めてから作用力がゼロとなるまでの時間であり短いほどはんだがめっき表面に濡れやすいことを示す。結果を図5に示した。試験体12〜14、c9ははんだ付部のみ試験した。
【0035】
<摩擦特性試験>
試験体1(Sn1.5/In0.05)、試験体c1(リフローSn1.5)について、下記のようにして摩擦特性試験を行った。バウデン型磨耗試験機を用いて、荷重300g、摺動速度100mm/分で試験を開始し、摺動距離10mm、往復20回摺動させた時の動摩擦係数を測定した。 結果を図6に示した。摩擦特性試験で得られる動摩擦係数について、試験体1は試験体c1と同等もしくは同等以下であり、現行で使用されている試験体c1で実用上の要求レベルを十分に満足していることから、試験体1はこの特性において良好な性能を示すことがわかる。なお、表2に示した本試験の結果について、試験体12〜14,c9は挿抜部のみ試験した。
【0036】
<はんだ接合疲労試験>
図11に示すように、導電性基材(黄銅)4の上にめっき被膜(リフローされ傾斜状態となった第1めっき層及び第2めっき層)3を施した試験体片10同士を、めっき層3同士が対面するよう重ね合わせ、その間に50〜100μmの厚さに塗布したSn−3Ag−0.5Cuはんだを介在させ245℃の条件ではんだ付け処理を行なった。インジウム層の厚さを変えた以外試験体1と同様にして試験体を作製し、これをはんだ接合疲労試験の供試材とし低サイクル疲労寿命を測定した。このとき、歪1%、速度5μm/sec、500サイクルの条件を一方の供試材の末端においてその長さ方向(図中の振幅方向)に付加し、接合部の状態を目視または拡大観察により相対評価した。
【0037】
<ウィスカ感受性試験>
試験体3(Sn2μm/In0.05μm)、試験体c4(半光沢Sn2μm)を常温(約28℃)で500、1000、2000、4000時間放置後に、それぞれSEMにより観察しめっき表面の状態を調べた。結果を図7に示す。同様にして試験体1、c3についてSEM観察を行った結果(2000h)を図8〜10に示した。
【0038】
[各試験における評価基準]
・はんだ濡れ性(245℃)
◎・・・ゼロクロス時間が1.0秒未満の場合
△・・・ゼロクロス時間が1.0秒以上2秒未満の場合
×・・・ゼロクロス時間が2秒以上の場合
・ウィスカ感受性試験(2000h)
◎・・・ウィスカの発生が認められない
△・・・ウィスカの発生がわずかに認められた
×・・・ウィスカの発生が認められた
【0039】
・摩擦特性試験
◎・・・動摩擦係数が試験体c1と比較して同等もしくは小さい
○・・・動摩擦係数が試験体c1と比較してやや大きい
×・・・動摩擦係数が試験体c1と比較して大きい
・はんだ接合疲労試験
◎・・・クラック発生なし、またはクラックほとんどなし
○・・・ややクラックの発生あり
−・・・試験を実施していない
【0040】
上記の結果から分かるように、本発明のめっき被膜接続端子に適用される厚さの第1めっき層及び第2めっき層を施されためっき被膜材はリフロー処理によりインジウムとスズとの傾斜的な濃度分布が実現され、良好なはんだ濡れ性と摺動性とを示し、しかもウィスカの発生防止性を示し、また高い耐疲労性(亀裂抑制性)が実現されることが分かる。
【符号の説明】
【0041】
1 めっき内層(リフロー後の第1めっき層側の領域)
1a 第1めっき層
2 めっき外層(リフロー後の第2めっき層側の領域)
1a 第2めっき層
3 リフロー後のめっき被膜層
3a 多層めっき被膜
4 導電性基材
10 めっき被膜材(接続端子部材)
10a 多層めっき材料(接続端子部材の前駆体)
50 雄端子
51、71 雄端子部材
51a、71a 挿抜部
51b、71b はんだ付け部
52 リード線
53 把持部
54 雄端子受口
55 雄端子筐体
60 雌端子
61 雌端子部材
65 雌端子筐体
100 端子(コネクター)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基材の外側にスズもしくはスズ合金からなる第1めっき層と、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層とを有する多層めっき材料をリフローしてなる接続端子部材であって、
前記第1めっき層について、前記接続端子部材の挿抜部における厚さを0.3〜3μmとし、前記接続端子部材のはんだ付け部における厚さを前記挿抜部の厚さより厚くし、
前記第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとしたことを特徴とするめっき被膜接続端子部材。
【請求項2】
前記リフロー処理により、前記第2めっき層のインジウムの濃度がめっき表面側から導電性基材側にむけ傾斜的に減少するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の接続端子部材。
【請求項3】
前記第1めっき層と前記導電性基材との間に、ニッケルまたはニッケル合金からなる下地めっき層が介在されている請求項1又は2に記載の接続端子部材。
【請求項4】
前記第1めっき層と前記導電性基材との間に、銅または銅合金からなる下地めっき層が介在されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の接続端子部材。
【請求項5】
前記第2めっき層の厚さが前記挿抜部及び前記はんだ付け部において均一にされたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続端子部材。
【請求項6】
前記第1めっき層が、スズ、スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、スズ−銅合金、及びスズ−銀−銅合金の群から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の接続端子部材。
【請求項7】
前記第1めっき層の前記挿抜部における厚さが1.5μm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の接続端子部材。
【請求項8】
前記第1めっき層の前記挿抜部の厚さ(Ts)と前記はんだ付け部との厚さ(Th)の差(Td=Th−Ts)を1.0〜2.7μmとしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の接続端子部材。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の接続端子部材を具備する接続端子。
【請求項10】
導電性基材の外側にスズもしくはスズ合金からなる第1めっき層と、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層とを有する多層めっき材料をリフローしてなるめっき被膜材であって、前記第1めっき層の厚さを0.3〜3μmとし、前記第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとしたことを特徴とする接続端子用めっき被膜材。
【請求項11】
前記第1めっき層について、所定の厚さの箇所とそれより薄い箇所とを設けたことを特徴とする請求項10に記載のめっき被膜材。
【請求項12】
導電性基材の外側にスズもしくはスズ合金からなる第1めっき層と、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層とを有する多層めっき材料であって、前記第1めっき層の厚さを0.3〜3μmとし、前記第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとし、リフローして用いることを特徴とする接続端子用の多層めっき材料。
【請求項13】
前記第1めっき層について、所定の厚さの箇所とそれより薄い箇所とを設けたことを特徴とする請求項12に記載の多層めっき材料
【請求項14】
導電性基材の外側に、スズもしくはスズ合金からなる第1めっき層を形成し、該第1めっき層の表面にインジウムからなる第2めっき層を形成して接続端子部材の多層めっき材料とし、該多層めっき材料をリフローして挿抜部とはんだ付け部とを有する接続端子部材とするに当たり、
前記第1めっき層について、前記挿抜部における厚さを0.3〜3μmとし、かつ前記はんだ付け部における厚さを前記挿抜部の厚さより厚くし、他方、前記第2めっき層の厚さを0.05〜0.2μmとして前記多層めっき材料とし、該多層めっき材料をリフローして接続端子部材とすることを特徴とするめっき被膜接続端子部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−280955(P2010−280955A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135575(P2009−135575)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人 溶接学会 マイクロ接合研究委員会主催「第89回マイクロ接合研究委員会」、平成20年12月5日
【出願人】(390024464)協和電線株式会社 (13)
【Fターム(参考)】