説明

ろう付けされた金属表面において腐食を抑制する方法、ならびに、それに使用するための冷却剤および添加剤

ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む冷却剤が開示される。一実施態様において、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、構造(I)を有するポリカルボン酸官能基を有する化合物を含み、式中、R、R、R、および、Rは、それぞれ独立して、H、OH、COOH、C〜C10アルキル基、グリコールエステル、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択され、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせであり;ここで、(1)R、R、R、および、Rのうち少なくとも3個は、基−COOMを含み、(式中Mは上記で定義した通りである);または、(2)R、R、R、および、Rのうち少なくとも2個は、無水物基を形成し、R、R、R、および、Rのうち少なくとも1個は、基−COOMを含む(式中Mは上記で定義した通りである)。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2005年6月24日付けで出願された米国仮出願番号60/693,984の利益を主張し、その内容をこの参照により開示に含める。
【0002】
発明の分野
本発明は、ろう付けされた金属表面を用いる用途において腐食を抑制する方法、加えて、開示された方法で使用するための冷却剤および添加剤に関する。
【0003】
発明の背景
現在実用されている輸送機関の多くは、ガソリンまたはディーゼル燃料のいずれかを用いる内燃機関(ICE)で稼働する。エネルギー効率を高め、汚染を低減し、石油への依存性を減らす必要性のために、より進歩した推進技術を用いた乗り物が開発されつつある。なかでも特に興味深いものは、従来のICEの代替物であり、例えば電気モーター、燃料電池、およびそれらの組み合わせである。
【0004】
例えば、ハイブリッド電気自動車は、推進システムにICEと電気モーターとを併用している。ハイブリッド電気自動車におけるICEは、ICEで稼働するあらゆる車と同様に、連続的な制御された爆発によって回転クランクシャフトに連結されたピストンを押し下げることによって力を生産する。その回転する力(トルク)が、最終的に乗り物の車輪に伝達される。
【0005】
ハイブリッド電気自動車における電気モーターは、電池からエネルギーを得る。このような電池は、従来の車のオルタネーターと同様にICEによって稼働する発電機によって連続的に再充電される。従来のICE式中の乗り物において、減速から生じるエネルギーは散逸するために、それらは無駄になる。いくつかのハイブリッド自動車において、このようなエネルギーは回生ブレーキシステムによって捕獲され、それらは保存されて電気に変換され、乗り物の推進を補助することから、エネルギー効率が高まる。いくつかのハイブリッド自動車は、回生ブレーキから力を捕獲し、それらを初期加速のために放出することによって内蔵型の電池システムの寿命を延ばすためのウルトラキャパシタを使用している。
【0006】
燃料電池は、クリーンで効率的な動力源である。輸送機関での使用が提唱されている燃料電池は、水素と酸素との電気化学反応によって電気を生産する。乗り物を稼働させる燃料電池において、水素は、内蔵型の燃料タンク中に加圧ガスとして保存することが可能である。燃料電池によって生産された電気によって、乗り物の電気モーターにエネルギーを与える蓄電池(いくつかのハイブリッド電気自動車で使用されているものと同様のもの)が充電される。したがって、燃料電池による乗り物も一種のハイブリッド自動車とみなすことができる。
【0007】
従来のICEによって稼働する乗り物と、様々な代替の力のシステム、すなわち電気、燃料電池およびそれらの組み合わせによって稼働する乗り物とでは差があるが、ほとんどの輸送機関は、過剰な熱エネルギーの管理と制御を必要とする。すなわち、動力源に関係なくほとんどの輸送機関が、望ましくない熱エネルギーまたは熱の蓄積がシフトまたは移動するように設計された冷却システムを必要とする。
【0008】
ほとんどの冷却システムにおいて、動力源に関係なく、ICE、電気モーター、燃料電池スタック、および/または、乗り物中のその他の発熱部品からの熱には冷却剤が用いられる。このような場合、冷却剤を熱交換器(例えばラジエーター)を介して流して、空気によって冷却させる。冷却した冷却剤は冷却剤タンクに流し戻され、そこでそれらをポンプで乗り物の熱源に戻して、再度、過剰な熱や望ましくない熱を除去することができる。
【0009】
冷却剤と環境との間で熱を移行させるのに利用可能な表面積を最大化するために、熱交換器は多数のチューブを含み、これは、高い表面領域を有するフィンで熱交換するチューブアンドフィンタイプのものでもよい。このようなフィンは、冷却剤から環境に熱を移動させる熱交換器の能力を強化する。
【0010】
しかしながら、このような従来の熱交換器の構造は、相当な金属量を必要とする。現在、乗り物の重い重量の部品は、燃料の経済性の改善(マイル/ガロン)、および、排気物質の低減を必要とする環境基準を考慮すると望ましくない。したがって、現在、完全に、または、主としてより軽い重量の金属、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる熱交換器を構築することが望ましい。
【0011】
輸送機関で使用するための熱交換器の製造において、数種の方法が用いられる。
これまでに、ラジエーターを大量生産するために機械的な拡張法が用いられてきた。機械的な拡張法は、熱交換器の部品をそれらが一体化するように単に機械的につなぎ合わせることによる。これらの方法の利点としては、優れた機械的強度、および、高温での炉運転の利用を必要とする連結操作の回避が挙げられる。これらの方法の不利益としては、完成した熱交換器の熱的な性能が劣っていること、および、最終的な重量が比較的重いことが挙げられる。
【0012】
機械的に拡張したタイプの熱交換器の不利益を克服するために、熱交換器は、ますますろう付け操作によって形成されつつあり、このような場合、個々の部品はろう付け合金によって永久的に一つに連結される。一般的に、ろう付けされた熱交換器は、機械的な拡張によって形成された熱交換器よりも重量が軽く、効果的に熱を発散させることができる。
【0013】
熱交換器製造で用いられるろう付け操作は、従来、真空炉で行われてきた。さらに近年、アルミニウム製の熱交換器をろう付けするために「制御雰囲気下でのろう付け(controlled atmosphere brazing;CAB)」として知られているろう付け技術が自動車産業によって認められている。CABでろう付けされたアルミニウム製の熱交換器の実例としては、本明細書においてこの用語が用いられる場合、ラジエーター、コンデンサー、蒸発器、ヒーターコア、空気充填したクーラー、および、インタークーラーが挙げられる。
【0014】
CABでのろう付けは、真空炉によるろう付けの場合、改善された生産収率、炉をメンテナンスする必要性が軽減されること、ろう付けプロセスがより安定していること、および、用いられる器具の資本コストがより低いことから好ましい。
【0015】
しかしながら、CABプロセスにおいて、連結させようとする組み立て済みの部品表面に、フラックスまたはフラックス剤が適用される。このようなフラックスは、アルミニウム合金表面上に自然に形成される酸化アルミニウム層を解離または溶解させ、置き換えるために用いられる。このようなフラックスはまた、ろう付けの間の酸化アルミニウム層の再形成を予防し、ろう付け合金の流れを促進するためにも用いられる。フラックスの例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物または塩化物が挙げられる。
【0016】
アルミニウムのろう付けに広範に用いられるフラックスの一種は、ノコロック(Nocolok(R))という商標で販売されており、これは、KAlF、KAlF、および、KAlFの混合物のようである。(例えば、US3,951,328、および、US3,971,501を参照)。アルミニウムまたはアルミニウム合金のろう付けの場合、塩化物ベースのフラックスよりもフッ化物ベースのフラックスが一般的に好ましく、なぜなら、これらはアルミニウムおよびその合金に対して不活性または非腐蝕性であるためであるが、ろう付け後は実質的に水不溶性である。実際には、ノコロック(R)フラックスでのろう付けは、その非腐蝕性、および、ろう付けの組み立て品のフィットアップ(fit-up)に対する耐性、および、柔軟な制御のために、特に有利なアルミニウム製の熱交換器の連結方法である。現在これらは、自動車産業によって、アルミニウムおよびアルミニウム合金製の熱交換器の製造で一般的に使用されている。
【0017】
遺憾ながら、ろう付け用フラックスがアルミニウムまたはアルミニウム合金表面上に残留したままだと、フッ化物イオンが浸出する可能性があることが発見された。金属基板が冷却システムの冷却剤に浸されると、浸出したフッ化物イオンによって金属基板上に局所的な腐食が起こる可能性があると考えられる。この残留したフラックスによって生じた望ましくない局所的な腐食は、現在のところ利用可能な多数の市販の冷却剤、例えば有機酸ベースの(または寿命が長い)、または、ハイブリッドベースの(すなわち、従来のケイ酸ベースの冷却剤よりも少量のケイ酸塩、さらに1種またはそれより多くの有機酸を含む)腐食抑制剤などを含む冷却剤で起こることが見出された。
【0018】
その上、乗り物を稼働させる燃料電池で用いられる冷却剤は、特殊な必要条件を有する。例えば、燃料電池スタックと、「バランスオブプラント」システム、例えば空気圧縮機、電気モーター、DC−AC変換器およびその他のシステムとの両方を冷却するための冷却剤が必要である。しかしながら、燃料電池スタックを冷却するのに用いられる冷却剤は、電気的な衝撃の危険、腐食、および、効率の減少を最小化するために極めて低い導電率(例えば、5μS/cm未満)を有していいなければならない。
【0019】
燃料電池の組み立て品は、典型的に、陽極(負電荷を有する電極であり、ここで燃料、例えば水素の酸化反応が起こる)、陰極(正電荷を有する電極であり、ここで酸化剤、例えば酸素の還元反応が起こる)、および、これら2つの電極間の電解質を含む。乗り物のエンジンとして使用するのに十分な力を生産するために、燃料電池ベースのエンジンにおいて、多くのセルが連続して一つに連結されて、燃料電池スタックを形成することが必要である。それぞれ単一のセルは通常、0.6〜1.0VのDC電圧で稼働する。提唱されている乗り物で使用するための燃料電池スタックは、100個より多くの連続して連結されたセルを有することが多い。したがって、燃料電池スタックを通過するDC電圧は、極めて高い可能性がある。自動車用燃料電池スタックにおいて報告されている典型的なセルのDC電圧は、一般的に、125〜450Vの範囲である。
【0020】
相当量の電力が生成することに伴い、燃料電池の組み立て品は、関連する電気化学反応の性質と電流の流れのために、実質的な熱も生成する。
したがって、燃料電池スタックは、スタックから熱を除去するための冷却剤を循環させるための冷却剤用チャンネルをも含んでなる。冷却剤用のチャンネルを通って冷却剤を循環させる際、燃料電池スタックの温度は、最適な運転条件に望ましい範囲で制御が可能である。しかしながら、燃料電池スタックを取り囲む冷却システムは、燃料電池スタック本体と同じ電圧に晒される。電気的な衝撃の危険を予防または最小化するために、冷却剤は、極めて低い伝導率を有していなければならない。例えば、冷却剤の伝導率の上限は、5μS/cm未満に設定される場合がある(例えば、US5776624)。また、冷却剤システムにおける分流を低減し、システム効率減少を最小化するために、燃料電池の冷却剤が低い導電率を有することも望ましい。
【0021】
燃料電池の冷却剤中の、残留したろう付け用フラックスから生じるより高濃度のフッ化物イオンは、燃料電池の冷却剤の導電率の増加を引き起こすため、残留したろう付け用フラックスと冷却剤との相互作用は、CABでろう付けされた燃料電池の熱交換器において特に望ましくなく、あらゆるCABでろう付けされた熱交換器で起こる局所的な腐食の問題に耐えることができない。
【0022】
したがって、熱交換器製造においてCABプロセスを広範に使用ことによって、以下のような懸念が生じる。すなわち、(1)ろう付け用フラックスと現在のところ利用可能な冷却剤との相互作用による、ろう付けされたアルミニウム表面の局所的な腐食、および、(2)現在のところアルミニウムベースの燃料電池の熱交換器に用いられている冷却剤の導電率への、残留したろう付け用フラックスの影響、すなわち望ましくない導電率の増加である。これらの問題は、フッ化物ベースのろう付け用フラックスに関して特に懸念されている。
【0023】
発明の要約
ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む冷却剤を開示する。一実施態様において、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、以下の構造を有するポリカルボン酸官能基を有する化合物を含む:
【0024】
【化1】

【0025】
[式中、R、R、R、および、Rは、それぞれ独立して、H、OH、COOH、C〜C10アルキル基、グリコールエステル、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択され、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせであり;ここで、(1)R、R、R、および、Rのうち少なくとも3個は、基−COOMを含み、(式中Mは上記で定義した通りである);または、(2)R、R、R、および、Rのうち少なくとも2個は、無水物基を形成し、R、R、R、および、Rのうち少なくとも1個は、基−COOMを含む(式中Mは上記で定義した通りである)]。
【0026】
さらに、冷却剤と接触するろう付けされた金属表面において腐食を抑制する方法も開示する。一実施態様において、本方法は、ろう付けされた金属表面と、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む冷却剤とを接触させることを含む。一実施態様において、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択される基を1分子あたり平均して少なくとも3個を含むポリカルボン酸官能基を有する化合物を含み、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせである。
【0027】
その他の実施態様において、腐食に耐性を有する冷却システムを開示し、本冷却システムは、ろう付けされた金属表面を有する冷却システム部材を少なくとも1個と、該ろう付けされた金属表面と接触する冷却剤と含んでなり、該冷却剤は、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む酸官能基を有する腐食抑制成分を含む。一実施態様において、ろう付けされた金属表面は、残留したフラックスを含む。
【0028】
最後に、腐食に耐性を有する冷却システムのその他の実施態様を開示する。この実施態様において、本冷却システムは、ろう付けされた金属表面を含む冷却システムの部品を少なくとも1個含む、第一の冷却サブシステム、ろう付けされた金属表面と接触する第一の冷却剤(ここで、第一の冷却剤は、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む酸官能基を有する腐食抑制成分を含む)、第二の冷却サブシステム、および、第二の冷却システムと接触する第二の冷却剤(ここで、第二の冷却剤は、第一の冷却サブシステムと接触せず、第二の冷却剤は、ろう付けされたアルミニウム表面と接触しない)を含む

【0029】
図面の説明
図1は、様々な冷却剤調合物のろう付けされたアルミニウム表面の腐食に対する作用を説明するグラフを示す。
【0030】
好ましい実施態様の詳細な説明
ろう付けされた金属表面、特にろう付けされたアルミニウム表面のための腐食抑制剤(以降、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤と称する)、および、それらを含む冷却剤を開示する。
【0031】
一実施態様において、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、ポリカルボン酸官能基を有する化合物を含む。
その他の実施態様において、本発明は、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤として、3個またはそれより多いカルボキシラート基、および、疎水性基、例えば4〜18個の炭素原子を含む炭化水素鎖を含む化合物を使用することを提唱する。
【0032】
あるいは、このようなろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択される基を1分子あたり平均して少なくとも3個を含むポリカルボン酸官能基を有する化合物を含むと説明することもでき、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、金属水酸化物、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせである。
【0033】
その他の実施態様において、本発明は、ろう付けされた金属表面のための腐食抑制剤として、トール油脂肪酸から誘導された化学物質の一種を使用することを提唱する。
一実施態様において、適切なろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、トール油脂肪酸から誘導された化合物であり、例えば、US5,292,480、および、US6,391,257B1(これらの内容は参照により開示に含まれる)で説明されているような様々なシクロヘキセン酸を含む化合物が挙げられる。
【0034】
具体的には、適切なろう付けされた金属用の腐食抑制剤としては、以下が挙げられる:(1)マレイン酸変性トール油脂肪酸、および、それらの塩(すなわちテナックス2010(TENAX(R)2010)であり、これは市販品の例である);(2)マレイン酸変性トール油脂肪酸の反応生成物、それらのジエチレングリコールエステルおよび塩(例えば、テナックス(R)WS−5520、および、WS−5560であり、これらは市販品の例である);(3)マレイン酸変性トール油脂肪酸の反応生成物、エチレングリコールエステル、および、それらの塩(例えば、OCD447、または、WS−3520であり、これらは市販品の例である);(4)マレイン酸変性トール油(例えば、テナックス(R)2015であり、これは市販品の例である)。加えて、マレイン酸化した飽和脂肪酸、および、所定のアクリル酸およびスチレンのコポリマー(例えば、アルコスパース725(Alcosperse 725))も、開示されたろう付けされたアルミニウムの腐食抑制剤の適切な例として用いることができる。また、適切な疎水性部分を含むカルボキシラートベースのポリマー、または、重合性の酸のグラフトポリマー、例えばEPML−483ポリマーなども開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤として適切である。最後に当然ながら、これらの実例の1種またはそれより多くを含む混合物も同様に、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤としての使用に適している。
【0035】
当然ながら、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、単一種の腐食抑制剤でなくてもよい。典型的な一実施態様において、このようなろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、その他の腐食抑制剤と組み合わされて存在する。一実施態様において、このようなその他の腐食抑制剤としては、酸官能基を有する化合物が可能であるが、本明細書においてこの用語が用いられるようなろう付けされた金属用の腐食抑制剤として開示された化合物以外のものとする。したがって、用語「酸官能基を有する腐食抑制成分」は、腐食を抑制する作用を提供し酸性基を含む、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤以外のあらゆる成分またはそれらの誘導体、例えば無水物、エステルなどを意味する。その他の実施態様において、「酸官能基を有する腐食抑制成分」は、本明細書においてろう付けされた金属用の腐食抑制剤と定義されたもの以外のあらゆる腐食抑制剤を意味する。
【0036】
一実施態様において、酸官能基を有する腐食抑制成分は、冷却剤の約0.1%〜約10重量%、好ましくは約1%〜約5%、より好ましくは約2%〜約4重量%の量で添加される。
【0037】
典型的な一実施態様において、開示された冷却剤の酸官能基を有する腐食抑制成分は、酸官能基を有する腐食抑制成分の総重量に基づき少なくとも10重量%またはそれより多くの、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤、最も好ましくは以下で説明するようなポリカルボン酸官能基を有する化合物を含む。その他の実施態様において、開示された冷却剤の酸官能基を有する腐食抑制成分は、以下で説明するようなポリカルボン酸官能基を有する化合物を、酸官能基を有する腐食抑制成分の総重量に基づき10重量%より多く、100重量%以下で含む。
【0038】
特定の理論に縛られることは望まないが、ポリカルボン酸官能基を有する化合物を含むろう付けされた金属用の腐食抑制剤の存在は、CABプロセスのようなろう付けプロセスで利用されたフラックスからのハロゲンイオン(例えばフッ化物または塩化物イオン)の浸出に関して必要であると考えられる。
【0039】
一実施態様において、本明細書で用いられる用語「ろう付けされた金属用の腐食抑制剤」または「ポリカルボン酸官能基を有する化合物」は、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択される基を少なくとも3個を有する化合物を意味し、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせであり、ここで無水物基は、2つの基として数える。
【0040】
典型的な一実施態様において、ポリカルボン酸官能基を有する化合物は、無水物基、カルボン酸基、それらの塩、それらの多価アルコールエステル、および、それらの組み合わせ;重合性の酸のグラフトポリマー;酸官能基を有するアクリル酸−スチレンコポリマー;および、それらの組み合わせからなる群より選択される基を平均して少なくとも3個有するマレイン酸変性トール油脂肪酸を少なくとも一種である。
【0041】
適切なマレイン酸変性トール油脂肪酸の実例としては、以下が挙げられる。
一実施態様において、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤、または、ポリカルボン酸官能基を有する成分は、構造(I):
【0042】
【化2】

【0043】
を有し、式中、R、R、R、および、Rは、それぞれ独立して、H、OH、COOH、C〜C10アルキル基、グリコールエステル、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択され、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせである。一実施態様において、R、R、R、および、Rのうち少なくとも3個は、基−COOMを含む(式中Mは上記で定義した通りである)。一実施態様において、R、R、R、および、Rのうち少なくとも2個は、無水物基を形成し、R、R、R、および、Rのうち少なくとも1個は、基−COOMを含む(式中Mは上記で定義した通りである)。
【0044】
典型的な一実施態様において、Rは、HまたはCOOHである。その他の実施態様において、Rは、構造(CH)−(COO)−[(CH−O]−Hを有する基であり、式中:xは、0〜10であり、yは、1〜5であり、zは、0〜5である。その他の実施態様において、Rは、C〜C10アルキル基である。その他の実施態様において、Rは、COOHである。さらにその他の実施態様において、RおよびRは、一緒になって単一の無水物基を形成する。
【0045】
特に典型的な一実施態様において、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、以下の構造を有するポリカルボン酸官能基を有する化合物を含む:
【0046】
【化3】

【0047】
[式中、R、R、R、および、Rは、それぞれ独立して、H、OH、COOH、C〜C10アルキル基、グリコールエステル、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択され、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせであり;ここで、(1)R、R、R、および、Rのうち少なくとも3個は、基−COOMを含むか(式中Mは上記で定義した通りである);または、(2)R、R、R、および、Rのうち少なくとも2個は、無水物基を形成し、R、R、R、および、Rのうち少なくとも1個は、基−COOMを含む(式中Mは上記で定義した通りである)]。
【0048】
有用なポリカルボン酸官能基を有する化合物の例としては、以下の式(II)、(III)、(IV)および(V)で示される化合物が挙げられる:
【0049】
【化4】

【0050】
前述の化合物の市販品の例は、ウェストベーコ社(Westvaco Corporation)より入手可能である。
その他の適切なポリカルボン酸化合物の実例としては、以下の構造(VI)および(VII)を有する化合物が挙げられる:
【0051】
【化5】

【0052】
式中、Rは、多価アルコール(または、多価アルコールの組み合わせ)であり、x+y=12である。
酸無水物であるエステルは、アミンおよび/または金属とさらに反応させて、以下の化学構造(VIII)および(IX)で示される腐食を抑制する分子を形成してもよい:
【0053】
【化6】

【0054】
式中、Rは、多価アルコールであり、x+y=12であり、ZおよびZは、イミダゾリン、脂肪ジアミン、金属水酸化物、金属酸化物、アンモニア、および、それらの組み合わせからなる群より選択される要素である。
【0055】
これらの具体的なろう付けされた金属用の腐食抑制剤を生産するプロセスは、まず、米国特許第4,927,669号の教示にしたがって、1種またはそれより多くのC18飽和脂肪酸と、無水マレイン酸、フマル酸およびそれらの組み合わせからなる群より選択される構成要素とを(ディールス・アルダー反応で)反応させて、既知の脂肪酸のディールス・アルダー付加物、または、脂肪酸−エン反応生成物を生産することによってなされる。しかしながら、この付加物または反応生成物を、さらに1種またはそれより多くの多価アルコールと(縮合または加水分解反応で)反応させ、低い酸価(すなわち80〜265)を有する酸無水物の部分エステルを形成する。
【0056】
この酸無水物エステルは、一種のアミンまたは複数種のアミンと反応させ(すなわち中和させ)、塩または石鹸を形成してもよい。このようにして得られた塩にした(または中和した)エステルを、金属水酸化物、金属酸化物、および/または、アンモニアとさらに反応させて、このようなエステルをさらに塩にしてもよい(または中和してもよい)。逆に言えば、酸無水物エステルは、金属水酸化物、金属酸化物、および/または、アンモニアと反応させて、塩を形成してもよい。このようにして得られた塩にしたエステルを一種のアミン(または複数種のアミン)でさらに塩にして(または中和して)、さらにエステルを塩にしてもよい。これらの実施態様はそれぞれ、ろう付けされた金属表面にとって優れた腐食抑制剤である。使用者の要求を満たすような抑制剤調合物を生産するために、様々な界面活性剤を添加してもよい。ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を分散させるために、必要に応じて適切なキャリアー溶媒を用いてもよい。
【0057】
最終的なろう付けされた金属の腐食を抑制するエステルの水溶性(例えば、水分散性であるか、または水溶性であるか)は、分子のエステル化と中和(すなわち塩にすること)両方の程度、調合物に添加された界面活性剤の量および特徴、および、利用したキャリアー溶媒の量および特徴に依存する。一般的に、このようにして反応する多価アルコールの分子量および親水性の特徴が、その結果得られるエステル化の程度を決定する。本発明における腐食を抑制するエステルは、25〜75%の範囲のエステル化を有し、好ましい範囲は、40〜60%である。
【0058】
酸無水物エステルは優れたろう付けされた金属用の腐食抑制剤であるが、一実施態様において、エステルを中和すること(すなわち塩にすること)によって腐食の抑制の程度を強化することが好ましい。エステル分子の中和の程度は、用いられるアミン(すなわちその親水性/疎水性の性質)、金属、または、アンモニア誘導体の選択によって決定される。好ましい腐食抑制剤は、エステルの50〜77重量%を、イミダゾリン、脂肪ジアミンまたはそれらの組み合わせで中和することによって生産される。加えて、エステルの1〜14重量%は、金属水酸化物、金属酸化物、アンモニア、または、それらの組み合わせと反応する可能性があり、この反応は、単独でもよいし、または、アミンでの中和と併用してもよい。
【0059】
ろう付けされた金属用の腐食抑制剤として有用な前述のマレイン酸変性トール油脂肪酸に類似した化合物のその他の例としては、以下のろう付けされた金属用の腐食抑制剤の構造の一覧で示される化合物が挙げられる。当然のことながら、炭素原子(C)において必要な原子価が不足しているような場合、このような炭素は、原子価が不足しているその他の類似の炭素原子、または、R基のいずれかに結合しており、すなわち脂環式成分であることを意味する。
【0060】
【化7】

【0061】
ろう付けされた金属用の腐食抑制剤として有用な適切な重合性の酸のグラフトポリマー構造の実例としては、約1.0%〜約60重量%の不飽和の酸とアルキレン酸化物とをグラフトしたポリマーを含む構造が挙げられ、このような重合性の酸のグラフトポリマーは、以下の式を有する。
【0062】
ろう付けされた金属用の腐食抑制剤として有用な重合性の酸グラフト成分には、不飽和の酸とアルキレン酸化物とをグラフトしたポリマーが含まれ、このようなポリマーは、以下の式(X)で示される:
【0063】
【化8】

【0064】
式中、R’はそれぞれ独立して、水素原子、水素ラジカル、および、脂肪族の不飽和を含まないアシルラジカルからなる群より選択され;R”は、水素原子、水素ラジカル、アミンを含むラジカル、および、アシルラジカルからなる群より選択され;「n」はそれぞれ、独立して、2〜4の値を有し;「z」はそれぞれ、独立して、4〜約3500の値を有し、好ましくは約8〜約800であり;および、「a」は、1〜4の値を有する。
【0065】
一般的に、本発明において有用なアルキレン酸化物のポリマーは、約150〜約380,000、より好ましくは400〜約10,000の数平均分子量を有する。
アルキレン酸化物のポリマーの好ましいクラスは、式(XI)で示される:
【0066】
【化9】

【0067】
[式中、Rは、水素原子、水素ラジカル、アミンを含むラジカル、および、アシルラジカルからなる群より選択され;R’はそれぞれ独立して、−H、−CH、および、−Cからなる群より選択され、これらはそれぞれ、エチレンオキシド(「EO」)、プロピレンオキシド(「PO」)、または、ブチレンオキシド(「BO」)ポリマーを生じ;および、「z」は、4〜約3500の値を有し、好ましくは約8〜約800である]。
【0068】
より好ましいアルキレン酸化物のポリマーとしては、EOおよびPOポリマーのコポリマーが挙げられ、ここで、EO:POの重量比は、約1:100〜約100:1でもよく、好ましくは約1:20〜約20:1、より好ましくは約1:3〜約3:1である。このようなアルキレン酸化物のポリマーは容易に入手可能であるか(例えば、ユニオン・カーバイド(Union Carbide)のUCON.RTM.、ダウ(Dow)、BASF、および、オリン(Olin)のポリアルキレングリコール)、または、容易に製造できる(例えば、米国特許第4,146,488号;4,392,972号、および、4,404,114号を参照)。
【0069】
グラフトされる酸は、不飽和で重合性の酸であればいずれでもよく、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、および、ビニルリン酸からなる群より選択される。用語「重合性の酸」は、加水分解性の前駆体を意味し、例えば、アクリロニトリル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸エチル、ビス−(2−クロロエチル)ビニルホスホナート、ビス−(2−シクロエチル)ビニルスルホナート、または、それらの混合物などである。好ましいグラフトされる酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、および、マレイン酸が挙げられ、より好ましくはアクリル酸、および、マレイン酸であり、最も好ましくはアクリル酸である。
【0070】
重合性の酸のアルキレン酸化物のポリマーへのグラフトは、当業界既知のフリーラジカル重合によって(例えば、米国特許第4,146,488号、4,392,972号、4,404,114号、および、4,528,334号を参照)、グラフトポリマー中のグラフトされる酸の量が約60重量%以下になるように行うことができる。グラフトされる酸の含量は、好ましくは約1.0%〜約30%、より好ましくは約1%〜約20%、さらにより好ましくは約3%〜約15%である。グラフトされる酸は、極めて少量でも本発明で用いられる腐食抑制剤組成物にCEタイプの腐食の抑制を提供するが、約60%より多いグラフトされる酸含量を有するグラフトポリマーを使用すると、過度な高粘性を有するポリマーが生じる可能性がある。
【0071】
本発明において有用な重合性の酸のグラフトポリマーは、好ましくは、部分的に、または完全に塩基で中和されて、グラフトポリマーの塩の形態が生じるものでもよい。このような酸グラフトポリマーは完全に中和されていることが好ましい。グラフトポリマーを部分的に、または完全に中和するのに用いられる塩基は、どのような市販の塩基でもよく、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物およびアミンが挙げられ、例えば、式(XII)で示されるアミンである:
【0072】
【化10】

【0073】
[式中、Rはそれぞれ独立して、H、または、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である;R、RおよびRはそれぞれ独立して、2〜4個の炭素原子を有するアルキレンラジカルからなる群より選択され;「e」は、0〜3の値を有し、「b」、「c」および「d」はそれぞれ独立して、0、または、1であり、ただし、「b」、「c」および「d」が1の場合、「e」は、0である]。
【0074】
適切な酸官能基を有するアクリル酸−スチレンコポリマーの実例は、約3000の分子量を有する酸官能基を有するアクリル酸スチレンコポリマーであり、例えば、テネシー州チャタヌーガのアルコ・ケミカル(Alco Chemical)から市販されているアルコスパース725(AlcosperseTM725)である。
【0075】
開示された冷却剤は、一実施態様において、1種またはそれより多くの凝固点降下剤、および、水をさらに含む。
その他の実施態様において、開示された冷却剤は、約10%〜99重量%の範囲の、凝固点降下剤;水;本明細書において開示されたようなろう付けされた金属用の腐食抑制剤;以下で説明するような従来の腐食抑制剤;消泡剤;その他の冷却剤用の添加剤、例えば、着色剤、分散剤、防スケール剤、湿潤剤、殺生剤、pH調節剤、緩衝剤などの1種またはそれより多く、加えてこのような添加剤の組み合わせを含む。一実施態様において、このような冷却剤は、燃料電池以外の用途で使用するのに特に適している。一実施態様において、冷却剤で使用するための任意の添加剤は、非導電性であるか、または、極めて低い導電率しか有さない。
【0076】
適切な凝固点降下剤としては、アルコール、または、アルコールの混合物が挙げられ、例えば、一価または多価アルコール、およびそれらの混合物である。例えば、一実施態様において、適切なアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フルフロール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エトキシ化されたフルフリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、グリセロール−1,2−ジメチルエーテル、グリセロール−1,3−ジメチルエーテル、グリセロールのモノエチルエーテル、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチルプロパン、アルコキシアルカノール、例えばメトキシエタノール、および、前述したもの1種またはそれより多くを含む混合物からなる群より選択される。
【0077】
一実施態様において、適切な凝固点降下剤は、開示された冷却剤組成物中に、冷却剤組成物の総重量に基づき約10%〜約99.9%の量で存在し、一方、その他の実施態様において、アルコールは、約30%〜99.5%の量で存在する。特に典型的な一実施態様において、適切なアルコールは、組成物総重量の約40%〜約99%の量で存在する。
【0078】
開示された冷却剤に使用するのに適した水としては、脱イオン水、軟水、または、飲用水が挙げられる。水は、冷却剤組成物中に、約0.1%〜約90重量%、好ましくは、約0.5%〜70%の量で存在する。典型的な一実施態様において、水は、冷却剤組成物の総重量に基づき約1%〜約60重量%の量で開示された冷却剤中に存在する。
【0079】
一実施態様において、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、有機酸の冷却剤またはハイブリッド冷却剤に一般的に使用される1種またはそれより多くの「従来の」腐食抑制剤と組み合わされる。当然のことながら、このような「従来の」腐食抑制剤は、上述の酸官能基を有する腐食抑制剤の一部であり得る。ろう付けされた金属用の腐食抑制剤と、従来の腐食抑制剤との組み合わせは、燃料電池以外の乗り物の冷却システムで使用することを目的とする冷却剤で使用するのに特に適している。しかし当然のことながら、これらは同様に、燃料電池用途に使用するのにも適している。
【0080】
本発明で用いることができる「従来の」冷却剤用の腐食抑制剤としては、銅および銅合金用の腐食抑制剤が挙げられる。適切な銅および銅用の腐食抑制剤としては、活性な官能基として5または6員の複素環を含む化合物(ここで、複素環は、少なくとも1個の窒素原子を含む)が挙げられ、例えばアゾール化合物である。
【0081】
具体的に適切なものは、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール(例えば、4−メチルベンゾトリアゾール、および、5−メチルベンゾトリアゾール)、ブチルベンゾトリアゾール、および、その他のアルキルベンゾトリアゾール(例えば、アルキル基は、2〜20個の炭素原子を含む)、メルカプトベンゾトリアゾール、チアゾール、およびその他の置換されたトリアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、およびその他の置換されたイミダゾール、インダゾール、および置換されたインダゾール、テトラゾール、および置換されたテトラゾールの1種またはそれより多くであり、さらにこれらの混合物も、銅および銅合金用の腐食抑制剤として用いることができる。
【0082】
一実施態様において、これらの従来の銅および銅合金用の腐食抑制剤は、開示された冷却剤組成物中に、冷却剤の総重量に基づき約0〜約7重量%、より具体的には約0.01〜4重量%の量で存在する。
【0083】
また、アルミニウムおよび第一鉄の金属の腐食を抑制する腐食抑制剤も従来の腐食抑制剤として適切である。
これらの「従来の」 腐食抑制剤の実例としては、ケイ酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、または、それらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアミン塩の1種またはそれより多くが挙げられる。
【0084】
適切なカルボン酸塩としては、飽和および不飽和脂肪族および芳香族のモノ、ジおよびトリカルボン酸、ならびにそれらの塩および異性体、ならびにそれらのあらゆる混合物が挙げられる。具体的に適切なカルボン酸塩としては、C〜C12モノまたはジカルボン酸、例えば2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ドデカン二酸、および、セバシン酸、または、アルカリおよびアルカリ土類金属、アンモニウムおよびアミン塩、または、それらの異性体および混合物が挙げられる。
【0085】
アルミニウムおよび第一鉄の金属腐食抑制剤は、冷却剤中に、いずれも冷却剤組成物の総重量に基づき約0〜約7重量%の量で、より具体的には約0.05〜約6重量%の量で存在していてもよい。
【0086】
少なくとも1種のろう付けされた金属表面を含む乗り物の冷却システムにおける冷却剤に、開示されたろう付けされた金属の腐食を抑制する化合物を添加することによって、システム中の金属製の成分の腐食からの保護が実質的に改善される。乗り物の冷却剤中に存在するろう付けされた金属表面上に存在する、ろう付け用フラックスからの残留したハロゲンイオン、特にフッ化物イオンの浸出は、実質的に減少する。したがって、一実施態様において、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤、および、それらを含む冷却剤は、ろう付けプロセスによって連結された金属部品上、すなわち「ろう付けされた金属表面または部品」、特にろう付けされたアルミニウム表面上の腐食の形成および作用を抑制および/または予防すると考えられる。しかしながら、これらのろう付けされた金属用の腐食抑制剤、および、それらを含む冷却剤は、それ以外の有益な作用も提供すると考えられる。
【0087】
例えば、添付の実施例で示したように、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤を冷却剤に使用することは、冷却剤へのハロゲンイオンの浸出または可溶化を予防するように作用するであると考えられる。ハロゲンイオン、例えばフッ化物、および、塩化物イオンは、ろう付けプロセスで用いられるフラックス中に存在すると考えられる。冷却剤中のハロゲンイオンの存在は、このようなハロゲンイオンを含む冷却剤と接触する金属表面上での腐食の形成、および、望ましくない作用に寄与することがわかっている。
【0088】
その代わりに、または、それに加えて、冷却剤に開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤を使用すると、ろう付けされた金属表面上での腐食の形成をブロックする反応生成物の生産が起こると考えられる。例えば、添付の実施例で示されるように、開示された冷却剤は、開示された冷却剤を除去して、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含まない冷却剤で置き換えた後でも持続する保護作用を提供する。特定の理論に縛られることは望まないが、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤とハロゲンイオンとが反応して、通常損傷を受けやすいろう付けされた金属表面上で腐食の形成をブロックまたは抑制する反応生成物が形成されると考えられる。
【0089】
燃料電池によって稼働する乗り物に関して、開示された冷却剤は、2つの独立したループを含む冷却システムで用いてもよい。一方のループは、燃料電池スタックを冷却するのに用いられる。第二のループは、それ以外の冷却を必要とする乗り物システムの部分を冷却するのに用いられる。このような2つのループは独立しており、ステンレス鋼またはその他の適切な材料で製造された熱交換器の使用によって熱伝達される。一実施態様において、このような2種の異なるループに2種の異なる冷却剤を用いてもよい。一実施態様において、燃料電池スタックを冷却するのに用いられる冷却剤ループの熱交換器中に、ろう付けされた金属表面は存在しない。当然のことながら、上述の燃料電池以外の乗り物の冷却システムのための冷却剤も、燃料電池スタック用ではない冷却剤ループで用いることができる。
【0090】
一実施態様において、 燃料電池スタック用の冷却剤の場合、イオン交換樹脂を、必要な腐食からの保護を提供することを目的とする望ましい腐食抑制剤組成物で予め飽和させる。
【0091】
具体的には、まず最初に、イオン交換樹脂(例えば、混床式樹脂、または、陰イオン交換樹脂)を、活性な官能基として5または6員の複素環(ここで、複素環は、少なくとも1個の窒素原子を含む)を含む腐食抑制剤、例えばアゾールで予備処理する。次に、イオン交換樹脂を、燃料電池スタックの冷却剤ループの副流に取り付けられたフィルターに充填する。燃料電池の冷却剤に存在する、または、燃料電池の運転中に生成するイオン種のうちいくつかは、イオン交換樹脂上の交換可能な部位に結合した腐食抑制剤で交換される。これにより、樹脂からの腐食抑制剤の放出と、冷却剤からのイオン種の除去が起こる。腐食抑制剤として用いられる5または6員の窒素含有複素環式化合物は、弱イオン性化合物であるため、それらの典型的な使用濃度範囲(例えば、冷却剤中、数千ミリグラム/リットル未満)での放出によって、許容できない程の伝導率の増加は起こらない。本発明の利点の一つは、樹脂からの抑制剤の放出量が、冷却剤の腐食からの保護の必要性に依存する点である。冷却剤中の腐食物質が増加すると、より多くのイオン種を生産し、それに続いてイオン交換メカニズムにより樹脂からの腐食抑制剤の量の増加が起こる。冷却剤中の腐食抑制剤濃度の増加により、腐食速度の低下が起こる。開示されたシステムのその他の利点は、混床式イオン交換樹脂の存在は、ループ中の燃料電池の冷却剤における低い伝導率を持続させる点である。加えて、燃料電池スタックの冷却剤ループへのイオン交換樹脂ビーズの漏れを予防するために、開示された冷却システムにフィルターおよび/またはストレーナーが含まれていてもよい。
【0092】
腐食抑制剤でローディングされたイオン交換樹脂は、樹脂中の全ての交換可能な基の15%またはそれより多くが腐食抑制剤で交換されるのに十分な長さの接触時間、言い換えれば、腐食抑制剤のローディングは、樹脂の交換能力の15%またはそれより多くに達するのに十分な長さの接触時間、イオン交換樹脂と腐食抑制剤を含む水溶液とを接触させることによって製造することができる。好ましくは、腐食抑制剤のローディングは、樹脂の交換能力の50%より大きい。より好ましくは、腐食抑制剤のローディングは、樹脂の交換能力の75%より大きい。続いて、腐食抑制剤でローディングされたイオン交換樹脂をフィルターに充填し、燃料電池の冷却システム中に設置することによって、望ましい腐食からの保護が提供される。冷却システムに取り付ける前に、システムへ偶発的に不純物が導入される可能性を最小化するために、腐食抑制剤でローディングされたイオン交換樹脂は、脱イオン水、および/または、洗浄された燃料電池の冷却剤で洗浄してもよい。
【0093】
本発明で用いることができる腐食抑制剤としては、活性な官能基として5または6員の複素環を含む化合物(ここで、複素環は、少なくとも1個の窒素原子を含む)が挙げられ、例えばアゾール化合物である。具体的には、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール(例えば、4−メチルベンゾトリアゾール、および、5−メチルベンゾトリアゾール)、ブチルベンゾトリアゾール、および、その他のアルキルベンゾトリアゾール(例えば、アルキル基は、2〜20個の炭素原子を含む)、メルカプトベンゾトリアゾール、チアゾール、およびその他の置換されたチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、および、その他の置換されたイミダゾール、インダゾール、および置換されたインダゾール、テトラゾール、および置換されたテトラゾール、および、それらの混合物を、腐食抑制剤として用いることができる。その他の腐食抑制剤、例えばコロイドシリカ、シロキサン、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、アミンなども用いることができる。
【0094】
本発明で用いられるイオン交換樹脂は、用いようとする腐食抑制剤の性質に依存する。腐食抑制剤として窒素含有複素環式化合物が用いられる場合、イオン交換樹脂は、再生可能な混床式樹脂、または、陰イオン交換樹脂であろう。腐食抑制剤が、溶液中で正電荷を有する種になる可能性がある場合、再生可能な混床式樹脂、または、陽イオン交換樹脂を用いることができる。用いられる混床式樹脂は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂との混合物である。本発明で用いられる陽イオン交換樹脂は、Hの形態であり、陰イオン交換樹脂は、OHの形態である。イオン交換樹脂は、高分子マトリックス、および、イオンと相互作用する官能基からなる。イオン交換体のマトリックスは、ポリスチレン、例えばポリスチレンおよびスチレンコポリマー、ポリアクリル酸、フェノール−ホルムアルデヒド、および、ポリアルキルアミンであり得る。陽イオン交換樹脂の官能基は、スルホン酸基(−SOH)、ホスホン酸基(−POH)、ホスフィン酸基(−POH)、または、カルボン酸基(−COOHまたは−C(CH)−COOH)であり得る。陰イオン交換樹脂の官能基は、第四アンモニウム基、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウム基、または、ベンジルジメチルエタノールアンモニウム基;または、第三アミン官能基であり得る。一般的に、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)によって生産されたイオン交換樹脂(例えば、アンバーライト(Amberlite)、アンバージェット(Amberjet)、および、デュオライト(Duolite)、アイマック(Imac)樹脂)、バイエル(Bayer)によって生産されたイオン交換樹脂(レバチット(Lewatit))、ダウ(Dow)によって生産されたイオン交換樹脂(ダウエックス(Dowex))、三菱(Mitsubishi)によって生産されたイオン交換樹脂(ダイヤイオン(Diaion))、ピュロライト(Purolite)、シブロン(Sybron)によって生産されたイオン交換樹脂(イオナック(Ionac))、レジンテック(Resintech)によって生産されたイオン交換樹脂などが、本発明で用いることができる。
【0095】
本発明で提唱されている燃料電池スタック用の冷却剤は、(1)アルコール、または、アルコールの混合物;(2)シロキサンベースの化合物または混合物、および/または、コロイドシリカ、ならびにアゾール化合物を含む腐食抑制剤;(3)脱イオン水;(4)有効な消泡剤;および、(5)その他の任意の冷却剤用の添加剤、例えば非導電性の着色剤、湿潤剤、および、殺生剤などを含む。
【0096】
適切なアルコールとしては、一価または多価アルコール、および、それらの混合物が挙げられる。このようなアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フルフロール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エトキシ化されたフルフリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、グリセロール−1,2−ジメチルエーテル、グリセロール−1,3−ジメチルエーテル、グリセロールのモノエチルエーテル、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチルプロパン、アルコキシアルカノール、例えばメトキシエタノール、および、それらの混合物からなる群より選択される。このようなアルコールは、組成物中に、約10%〜約90重量%、好ましくは約30%〜70%の量で存在する。より好ましくは、このようなアルコールは、約40%〜60重量%の量で存在する。
【0097】
適切なシロキサンベースの化合物としては、GEシリコーンズ(GE Silicones)/OSiスペシャリティーズ(OSi Specialties)製のシルウェット(Silwet)シロキサン界面活性剤、例えばシルウェットL−77、シルウェットL−7657、シルウェットL−7650、および、シルウェットL−7600、加えてその他のシルウェット界面活性剤、または、ダウ・コーニング(Dow Corning)またはその他の供給元より入手可能なその他の類似のシロキサン−ポリエーテルコポリマーが挙げられる。その他の適切なシロキサン化合物としては、非導電性、または、ほぼ非導電性の、1個またはそれより多くのケイ素−炭素結合を含むオルガノシランベースの化合物[すなわち、水の存在下で加水分解してシラノールを形成することができる化合物(すなわち、1個またはそれより多くのSi−OH基を有する化合物)]、例えば、アルコキシシラン、例えば、フォルマシル(Formasil)891、フォルマシル593、フォルマシル433、シルクエスト(Silquest)(R)Y−5560シラン(すなわち、ポリアルキレンオキサイドアルコキシシラン)、シルクエスト(R)A−186[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン]、シルクエスト(R)A−187(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、または、GEシリコーンズ/OSiスペシャリティーズまたはその他の供給元より入手可能なその他のシルクエスト界面活性剤が挙げられる。このようなシロキサンベースの化合物、および、それらの混合物は、調合物中に、約0.01%〜約10重量%、好ましくは約0.02%〜約2重量%の量で存在する。
【0098】
燃料電池スタック用の冷却剤において腐食抑制剤として使用するためのコロイドシリカは、約1nm(またはナノメートル)〜約200nmの呼び粒度を有する。好ましくは、コロイドシリカの粒度は、約1nm〜約100nmである。より好ましくは、コロイドシリカの粒径は、約1nm〜約40nmである。適切なコロイドシリカとしては、デュポン(DuPont)、または、グレース・デビッドソン(Grace Davidson)製のルドックス(Ludox)コロイドシリカ、アクゾノーベル(Akzo Nobel)−エカ・ケミカルズ(Eka Chemicals)製のナイアコール(Nyacol)および/またはビンドジル(Bindzil)コロイドシリカ、日産化学(Nissan Chemical)製のスノーテックス(Snowtex)コロイドシリカ、加えて、ナルコ(Nalco)およびその他の供給元製のコロイドシリカが挙げられる。冷却剤にコロイドシリカを用いるその他の利点は、それらはナノ粒子であるため、冷却剤の熱伝達効率および/または熱容量を高める可能性がある点である。このようなコロイドシリカは、調合物中に、約10,000ppm以下、好ましくは約2000ppm未満の量で存在する。
【0099】
適切なアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール(例えば、4−メチルベンゾトリアゾール、および、5−メチルベンゾトリアゾール)、ブチルベンゾトリアゾール、および、その他のアルキルベンゾトリアゾール(例えば、アルキル基は、2〜20個の炭素原子を含む)が挙げられる。加えて、イミダゾール、および置換されたイミダゾール、テトラゾール、および置換されたテトラゾールも用いることができる。このようなアゾール化合物または混合物は、調合物中に、約1ppm〜約2000ppm、好ましくは約10ppm〜約500ppmの量で存在する。
【0100】
本発明において、多数の非導電性ポリジメチルシロキサンエマルジョンベースの消泡剤を用いることができる。これらの例としては、ニューハンプシャー州ボスカウエンにあるパフォーマンス・ケミカルズ社(Performance Chemicals, LLC)製のPC−5450NF;ロードアイランド州ウーンソケットにあるCNCインターナショナル(CNC International)製のCNC消泡剤XD−55NFおよびXD−56が挙げられる。
【0101】
任意に、1〜20個の炭素原子を含むアルキル基とのテトラアルキルオルトケイ酸エステル(例えば、テトラメチルオルトケイ酸エステル、テトラエチルオルトケイ酸エステルなど)も含まれる。テトラアルキルオルトケイ酸エステルは、調合物中に、0%〜約5重量%の量で存在する。
【0102】
最後に、開示されたろう付けされた金属用の腐食抑制剤は、イオン交換樹脂に用いてもよい。
実施例
以下の実施例で、本発明を用いる利点を示す実験データを説明する。
【0103】
表1は、様々な冷却剤調合物における、ノコロックフラックスでろう付けされたアルミニウムサンプルに晒した後、および、冷却剤に浸漬しながらサンプル上で陽極の分極曲線測定を行った後のフッ化物濃度の溶液解析の結果を示す。
【0104】
【表1】

【0105】
冷却剤組成物1は、25%のモノカルボン酸ベースの冷却剤、および、100ppmの塩化物イオンを含む。
冷却剤組成物2は、25%のモノカルボン酸ベースの冷却剤、および、100ppmの塩化物イオンを含む。
【0106】
冷却剤組成物3は、25重量%のモノカルボン酸ベースの冷却剤、100ppmの塩化物イオン、および、0.1重量%のOCD−447を含む。
冷却剤組成物4は、25重量%のモノカルボン酸ベースの冷却剤、100ppmの塩化物イオン、および、0.3重量%のOCD−447を含む。
【0107】
冷却剤組成物5は、25重量%のモノカルボン酸ベースの冷却剤、100ppmの塩化物イオン、および、0.3重量%のOCD−448を含む。
冷却剤組成物6は、25%のケイ酸/カルボン酸低含有のハイブリッド冷却剤、および、100ppmの塩化物イオンを含む。
【0108】
冷却剤組成物7は、25%の従来のケイ酸高含有をベースとする冷却剤、および、100ppmの塩化物イオンを含む。
OCD−448、および、OCD−447はそれぞれ、サウスカロライナ州チャールストンのミード・ウェストベーコ(Mead Westvaco)から市販されているマレイン酸変性トール油脂肪酸、エチレングリコールエステル、カリウム塩、および、マレイン酸変性トール油脂肪酸、ジエチレングリコールエステル、カリウムである。
【0109】
表1の結果によれば、乗り物の運転条件下で、有機酸を含む冷却剤、ケイ酸低含有のハイブリッド、および、従来のケイ酸高含有をベースとする腐食抑制剤調合物は、アルミニウム合金に優れた腐食からの保護を提供することができるが、フッ化物ベースのフラックスを含むろう付けされたアルミニウムに関するそれらの腐食からの保護は、実質的な改善の余地を有することが示される。この試験条件下では、ケイ酸低含有のハイブリッド冷却剤は、より不良な腐食からの保護の結果しか得られなかった。少量(例えば0.1〜0.3重量%)のトール油脂肪酸から誘導された化合物を有機酸ベースの冷却剤に添加すると、残留したフラックスを含むろう付けされたアルミニウムの腐食からの保護が、実質的に改善された。OCD−448(またはWS−5520)は、同じ使用量条件下でOCD−447よりも優れた結果が得られたようだった。我々が得た陽極の分極曲線の結果(図1を参照)に示されるように、表1で示した結果と類似の結果が得られた。注目すべきことに、図1に示す結果が示すように、OCD−447では、同等の条件下でOCD−448よりも優れたろう付けされたアルミニウムの腐食からの保護が得られたようである。その上、砂型鋳造したアルミニウムでの電気化学的な測定からも、冷却剤中のフッ化物濃度を増加させると、一般的に、ろう付けされた残留物で覆われていないアルミニウム部分(例えばエンジンブロック)において腐食を増加させることが示さる。このような作用は、フッ化物濃度が増加するにつれて増加する。
【0110】
表2は、様々な設定の試験条件下での、フッ化物濃度の溶液解析の結果、および、ろう付けされたアルミニウムサンプルの質量損失の結果を示す。表1と実質的に同じ結果が得られた。モノカルボン酸およびセバシン酸ベースの冷却剤では、ろう付けされたアルミニウムに関して腐食からの保護の類似する結果が得られた。少量(すなわち0.3重量%)のマレイン酸変性トール油脂肪酸、ジエチレングリコールエステル、および、それらの塩の反応生成物(すなわち、WS−5520、または、OCD−448)を有機酸ベースの冷却剤に添加すると、ろう付けされたアルミニウムの腐食からの保護性能を実質的に高めることができる。加えて、少量(0.4重量%)のアクリル酸−スチレンコポリマー(すなわち、アルコスパース725)を有機酸ベースの冷却剤に添加しても、試験中にサンプルから放出されたフッ化物イオンの量が減少し、すなわちこれは、それらが、試験条件下で、ろう付けされたアルミニウムの腐食を減少させることにおいて有益な作用を有することを示す。
【0111】
【表2】

【0112】
冷却剤組成物8は、50%のモノカルボン酸ベースの冷却剤を含む。
冷却剤組成物9は、50%のモノカルボン酸ベースの冷却剤、および、100ppmの塩化物イオンを含む。
【0113】
冷却剤組成物10は、50%のモノカルボン酸ベースの冷却剤を含む。
冷却剤組成物11は、50%のモノカルボン酸ベースの冷却剤、および、100ppmの塩化物イオンを含む。
【0114】
冷却剤組成物12は、50%のテキサコ(Texaco)のデックス−クール(Dex−Cool)冷却剤(セバシン酸、および、2−エチルヘキサン酸を含む)、および、100ppmの塩化物イオンを含む。
【0115】
図1は、様々な冷却剤組成物の電導度の量を示す:
冷却剤組成物21は、有機酸ベースの冷却剤を含む。
冷却剤組成物22は、有機酸ベースの冷却剤、および、0.3%のOCD−447を含む。
【0116】
冷却剤組成物23は、有機酸ベースの冷却剤、および、0.3%のOCD−448を含む。
冷却剤組成物24は、従来のケイ酸高含有をベースとする冷却剤を含む。
【0117】
冷却剤組成物25は、ケイ酸有機酸低含有のハイブリッド冷却剤を含む。
図1で示されるように、冷却剤組成物22および冷却剤組成物23の場合のように、酸官能基を有する腐食抑制成分を添加すると、溶液の電導度を増加させない。図1は、60±5℃で1時間沸騰させた後に行った試験で、25体積%の冷却剤、100ppmのClに関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】様々な冷却剤調合物のろう付けされたアルミニウム表面の腐食に対する作用を説明するグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
残留フラックスを含むろう付けされたアルミニウム表面における腐食を抑制するための腐食を抑制する冷却剤であって、
該冷却剤は、酸官能基を有する腐食抑制成分を含み、該腐食抑制成分は、以下の構造:
【化1】

[式中、R、R、R、および、Rは、それぞれ独立して、H、OH、COOH、C〜C10アルキル基、グリコールエステル、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択され、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせであり;
ただし、以下の条件の通りである:
(1)R、R、R、および、Rのうち少なくとも3個は、基−COOMを含むか(式中Mは上記で定義した通りである)、または、
(2)R、R、R、および、Rのうち少なくとも2個は、無水物基を含み、R、R、R、および、Rのうち少なくとも1個は、基−COOMを含む(式中Mは上記で定義した通りである)]
を有するポリカルボン酸官能基を有する化合物を含む、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む、上記冷却剤。
【請求項2】
が、HまたはCOOHである、請求項1に記載の腐食を抑制する冷却剤。
【請求項3】
が、構造(CH)−(COO)−[(CH−O]−Hを有する基であり、式中: xは、0〜10であり、yは、1〜5であり、zは、0〜5である、請求項1に記載の腐食を抑制する冷却剤。
【請求項4】
が、C〜C10アルキル基である、請求項1に記載の腐食を抑制する冷却剤。
【請求項5】
が、COOHである、請求項1に記載の腐食を抑制する冷却剤。
【請求項6】
およびRが、無水物基を形成する、請求項1に記載の腐食を抑制する冷却剤。
【請求項7】
前記ポリカルボン酸官能基を有する化合物が、10%〜100重量%の前記酸官能基を有する腐食抑制成分を含む、請求項1に記載の冷却剤。
【請求項8】
前記酸官能基を有する腐食抑制成分が、冷却剤の総重量の約0.1重量%〜約10重量%を構成する、請求項1に記載の冷却剤。
【請求項9】
前記酸官能基を有する腐食抑制成分が、冷却剤の総重量の約1重量%〜約5重量%を構成する、請求項1に記載の冷却剤。
【請求項10】
前記酸官能基を有する腐食抑制成分が、約2重量%〜約4重量%の冷却剤の総重量を含む、請求項1に記載の冷却剤。
【請求項11】
前記腐食を抑制する冷却剤が、添加剤をさらに含み、該添加剤は、着色剤、分散剤、防スケール剤、湿潤剤、殺生剤、pH調節剤、緩衝剤、および、前述の添加剤うち少なくとも1種を含む組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の冷却剤。
【請求項12】
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フルフロール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エトキシ化されたフルフリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、グリセロール−1,2−ジメチルエーテル、グリセロール−1,3−ジメチルエーテル、グリセロールのモノエチルエーテル、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチルプロパン、アルコキシアルカノール、および、それらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種のアルコールをさらに含む、請求項1に記載の冷却剤。
【請求項13】
前記ポリカルボン酸官能基を有する腐食抑制成分とは異なる腐食抑制剤をさらに含む、請求項1に記載の冷却剤。
【請求項14】
前記腐食抑制剤が、銅合金用腐食抑制剤である、請求項13に記載の冷却剤。
【請求項15】
前記銅合金用腐食抑制剤が、アゾール化合物である、請求項14に記載の冷却剤。
【請求項16】
前記腐食抑制剤が、アルミニウム−第一鉄の金属腐食抑制剤である、請求項13に記載の冷却剤。
【請求項17】
前記アルミニウム−第一鉄の金属腐食抑制剤が、ケイ酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン塩の少なくとも1種であるか、または、前述したもの1種またはそれより多くの組み合わせである、請求項16に記載の冷却剤。
【請求項18】
約0.01%〜約40%の前記腐食抑制剤を含む、請求項13に記載の冷却剤。
【請求項19】
冷却剤と接触するろう付けされた金属表面において腐食を抑制する方法であって、
前記ろう付けされた金属表面と、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択される基を1分子あたり平均して少なくとも3個を含むポリカルボン酸官能基を有する化合物を含む、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む冷却剤とを接触させることを含み、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NHアミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせである、上記方法。
【請求項20】
前記ポリカルボン酸官能基を有する化合物が、シクロヘキセン酸を含む化合物から誘導されたトール油脂肪酸を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記シクロヘキセン酸を含む化合物には、マレイン酸変性トール油脂肪酸、マレイン酸変性トール油脂肪酸の塩、マレイン酸変性トール油脂肪酸から誘導された反応生成物、マレイン酸変性トール油脂肪酸の塩から誘導された反応生成物、エチレングリコールエステルから誘導された反応生成物、エチレングリコールエステルの塩から誘導された反応生成物、または、マレイン酸変性トール油が含まれる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリカルボン酸官能基を有する化合物が、マレイン酸化した不飽和脂肪酸、 アクリル酸コポリマー、スチレンコポリマー、または、重合性の酸のグラフトポリマーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリカルボン酸官能基を有する化合物が、以下の構造:
【化2】

[式中、R、R、R、および、Rは、それぞれ独立して、H、OH、COOH、C〜C10アルキル基、グリコールエステル、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択され、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせであり;
ただし、以下の条件の通りである:
(1)R、R、R、および、Rのうち少なくとも3個は、基−COOMを含むか(式中Mは上記で定義した通りである)、または、
(2)R、R、R、および、Rのうち少なくとも2個は、無水物基を形成し、R、R、R、および、Rのうち少なくとも1個は、基−COOMを含む(式中Mは上記で定義した通りである)]
を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
が、HまたはCOOHである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
が、構造(CH)−(COO)−[(CH−O]−Hを有する基であり、式中:xは、0〜10であり、yは、1〜5であり、zは、0〜5である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
が、C〜C10アルキル基である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
が、COOHである、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
およびRが、無水物基を形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記ろう付けされたアルミニウム表面が、残留フラックスを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記残留フラックスが、ハロゲン原子を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ハロゲン原子が、フッ素原子である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記残留フラックスが、アルカリ金属のハロゲン化合物、または、アルカリ土類金属のハロゲン化合物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記残留フラックスが、KAlF、KAlF、および、KAlFの混合物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
腐食に耐性を有する冷却システムであって、
該冷却システムは、
ろう付けされた金属表面を有する、少なくとも1個の冷却システムの部材と、
該ろう付けされた金属表面と接触する冷却剤、ここで、該冷却剤は、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む酸官能基を有する腐食抑制成分を含む、と、
を含んでなる、上記システム。
【請求項35】
前記ろう付けされた金属用の腐食抑制剤が、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択される基を1分子あたり平均して少なくとも3個を含むポリカルボン酸官能基を有する化合物を含み、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせである、請求項34に記載の冷却システム。
【請求項36】
前記ろう付けされたアルミニウム表面が、フラックスを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記ろう付けされたアルミニウム表面が、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属フッ化物、または、アルカリ土類金属塩化物を含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記フラックスが、アルカリ金属フッ化物を含み、ここで、該アルカリ金属フッ化物は、KAlF、KAlF、および、KAlFから選択される、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記ポリカルボン酸官能基を有する化合物が、シクロヘキセン酸を含む化合物から誘導されたトール油脂肪酸を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項40】
前記シクロヘキセン酸を含む化合物が、マレイン酸変性トール油脂肪酸、マレイン酸変性トール油脂肪酸の塩、マレイン酸変性トール油脂肪酸から誘導された反応生成物、マレイン酸変性トール油脂肪酸の塩から誘導された反応生成物、エチレングリコールエステルから誘導された反応生成物、エチレングリコールエステルの塩から誘導された反応生成物、または、マレイン酸変性トール油を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記ポリカルボン酸官能基を有する化合物が、マレイン酸化した不飽和脂肪酸、アクリル酸コポリマー、スチレンコポリマー、または、重合性の酸のグラフトポリマーを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項42】
前記ポリカルボン酸官能基を有する化合物が、以下の構造を有する、請求項34に記載のシステム:
【化3】

[式中、R、R、R、および、Rは、それぞれ独立して、H、OH、COOH、C〜C10アルキル基、グリコールエステル、無水物基、−COOM、および、それらの組み合わせからなる群より選択され、ここで、Mは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、NH、アミン、イミダゾリン、多価アルコールエステル、C〜C12アルキル基の少なくとも1種、および、それらの組み合わせであり;
ただし、以下の条件の通りである:
(1)R、R、R、および、Rのうち少なくとも3個は、基−COOMを含むか(式中Mは上記で定義した通りである)、または、
(2)R、R、R、および、Rのうち少なくとも2個は、無水物基を形成し、R、R、R、および、Rのうち少なくとも1個は、基−COOMを含む(式中Mは上記で定義した通りである)]。
【請求項43】
が、HまたはCOOHである、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
が、構造(CH)−(COO)−[(CH−O]−Hを有する基であり、式中:xは、0〜10であり、yは、1〜5であり、zは、0〜5である、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
が、C〜C10アルキル基である、請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
が、COOHである、請求項42に記載のシステム。
【請求項47】
およびRが、無水物基を形成する、請求項42に記載のシステム。
【請求項48】
冷却剤と接触するイオン交換樹脂をさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項49】
腐食に耐性を有する冷却システムであって、
該冷却システムは:
ろう付けされた金属表面を有する冷却システムの部品を少なくとも1個含む、第一の冷却サブシステム、
ろう付けされた金属表面と接触する第一の冷却剤(ここで、第一の冷却剤は、ろう付けされた金属用の腐食抑制剤を含む酸官能基を有する腐食抑制成分を含む)、
第二の冷却サブシステム、および、
第二の冷却システムと接触する第二の冷却剤(ここで、第二の冷却剤は、第一の冷却サブシステムと接触せず、第二の冷却剤は、ろう付けされたアルミニウム表面と接触しない)、
を含む、上記冷却システム。
【請求項50】
第一の冷却サブシステムと第二の冷却サブシステムとの間で熱が移動するように設計された熱交換器をさらに含む、請求項49に記載の冷却システム。
【請求項51】
第二の冷却サブシステムは、燃料電池を冷却するように設計される、請求項49に記載の冷却システム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−546910(P2008−546910A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518487(P2008−518487)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/024741
【国際公開番号】WO2007/002558
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】