アキシャルギャップ型回転機
【課題】1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型回転機において、回転子の傾きを有効に抑制し得る技術を提供すること。
【解決手段】回転子20の両端側に巻線固定子30,40が配設されている。第1巻線固定子30の所定相の巻線(例えば、巻線36U1)と、これと回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子40側の他の2相の巻線(例えば、巻線巻線46V6,46W6)とが独立した中性点でスター結線されることで、複数のスター結線巻線組が構成されている。各スター結線巻線組が電源に対して並列接続されている。
【解決手段】回転子20の両端側に巻線固定子30,40が配設されている。第1巻線固定子30の所定相の巻線(例えば、巻線36U1)と、これと回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子40側の他の2相の巻線(例えば、巻線巻線46V6,46W6)とが独立した中性点でスター結線されることで、複数のスター結線巻線組が構成されている。各スター結線巻線組が電源に対して並列接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アキシャルギャップ型回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
アキシャルギャップ型モータは、巻線固定子と回転子とが回転軸に沿ってギャップを隔てて設けられた構成とされている。
【0003】
このようなアキシャルギャップ型モータでは、回転軸方向に沿って、巻線固定子と回転子との間で吸引力が作用してしまうため、軸受損失が大きくなったり、軸受寿命が短くなってしまう。そこで、軸方向に作用する力をキャンセルし、さらに、回転部分を少なくするために、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設ける形態が好まれる。
【0004】
なお、本発明に関連する従来技術としては、特許文献1がある。特許文献1は、ラジアルギャップ型のモータにおいて、各相毎に相対する極位置関係にある巻線同士を並列に接続することで、回転子の偏心を抑制する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−217290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型モータでは、通常、回転子は径が大きい割には厚みが小さい形状なので、回転子をシャフトに保持する部分が短くなり、回転子が傾き易い傾向にある。また、回転子の径が比較的大きいので、僅かな傾きが回転子の外周部では大きなギャップ差となって現れる。そして、軸に直交する平面から傾いた状態で回転子が回転すると、振動や騒音を生じたり、また、回転子が巻線固定子に接してしまう恐れもある。また、一旦、回転子が傾いて巻線固定子に接近してしまうと、その部分で磁気抵抗が低下してより多くの磁束が通り、より回転子と巻線固定子とが接近してしまう恐れがある。これらは、高速運転時には特に問題となる。
【0007】
なお、特許文献1は、回転子の外周に巻線固定子を設けたラジアルギャップ型のモータにおいて、回転子の偏心を抑制する技術を開示するにすぎず、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型モータにおいて、回転子の傾きを有効に抑制し得る技術を開示ないし示唆するものではない。
【0008】
そこで、本発明は、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型回転機において、回転子の傾きを有効に抑制し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転機は、回転軸(28)を中心として回転自在に配設された回転子(20;320;420;520;620)と、前記回転軸方向における前記回転子の両側に、前記回転子に対してギャップを隔てて対向するように配設された第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び第2巻線固定子(40;240;340;440;740)と、を備え、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子のそれぞれに、3相の巻線(36,46;236,246;336,346;436,446;736,746)が、各相毎に複数個設けられており、前記第1巻線固定子に設けられた所定の相の巻線と、この所定の相の巻線に対して前記回転軸を挟んで対向する位置にある巻線であって前記第2巻線固定子に設けられた他の2つの相の巻線とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成され、これらの各スター結線巻線組が独立した中性点を持ちつつ並列に接続されている。
【0010】
第2の態様は、前記第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び前記第2巻線固定子(40;240;340;440;740)には、実質的に同じ配設態様及び実質的に同じ巻数で前記各巻線(36,46;236,246;336,346;436,446;736,746)が設けられており、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子は、磁気的に実質的に同じ固定子コア(32,42;332,342;432,442;732,742)を有するものである。
【0011】
第3の態様は、前記回転子(420)は、前記第1巻線固定子(430)側の面に磁極を呈する永久磁石(422a)と、前記第2巻線固定子(440)側の面に磁極を呈する永久磁石(422b)とが、独立した磁気回路を形成するように設けられているものである。
【0012】
第4の態様は、前記回転子(20;320)は、前記回転軸方向に沿って着磁された永久磁石(22)を有するものである。
【0013】
第5の態様は、前記永久磁石(22)のうち前記回転軸方向に沿った両端に、軟磁性体によって構成された界磁子磁性体(24)が設けられたものである。
【0014】
第6の態様は、前記回転子(520)は、前記回転軸周りに配設され、前記回転軸を中心とする円の周方向に沿って着磁されると共に、その周方向に沿って隣設するもの同士では逆方向に着磁された複数の永久磁石(524)と、軟磁性体によって構成され、前記各永久磁石間に配設されたコア(522)と、を有するものである。
【0015】
第7の態様は、前記回転子(620)は、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子と対向する部分に突極性を有するリラクタンス回転子であるものである。
【0016】
第8の態様は、前記第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び前記第2巻線固定子(40;240;340;440;740)は、前記巻線が巻回されるコア(34,44;734,744)を有するものである。
【0017】
第9の態様は、前記各巻線(36,46;236,246;336,346;436,446)が集中巻されているものである。
【0018】
第10の態様は、前記各巻線(736,746)が分布巻されているものである。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転機によると、前記第1巻線固定子に設けられた所定の相の巻線と、この所定の相の巻線に対して前記回転軸を挟んで対向する位置にある巻線であって前記第2巻線固定子に設けられた他の2つの相の巻線とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成され、これらの各スター結線巻線組が独立した中性点を持ちつつ並列に接続されている。このため、回転子が傾くと、前記第1巻線固定子に設けられた所定の相の巻線と、これにスター結線された他の2つの相の巻線とについて、同時に、対応するギャップが小さくなり、或は、対応するギャップが大きくなる。そして、小さくなったギャップに対応する各巻線では、その部分で磁気抵抗が小さくなってインダクタンスが増加し、これにより、電流が低下して吸引力が小さくなる。従って、両巻線固定子側で、回転子の傾きによりギャップが狭まった部分での吸引力を小さくすることができる。逆に、大きくなったギャップに対応する各巻線では、その部分で磁気抵抗が大きくなってインダクタンスが低下し、これにより電流が上昇して吸引力が大きくなる。従って、両巻線固定子側で、回転子の傾きによりギャップが狭まった部分での吸引力を小さくすることができる。これにより、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型回転機において、回転子の傾きを有効に抑制し得る。
【0020】
また、第2の態様によると、巻線による磁界の発生態様及び各第1巻線固定子及び第2巻線固定子での磁気回路と同等にすることで、回転子の傾きをより有効に抑制し得る。
【0021】
第3の態様によると、前記回転子の第1巻線固定子側及び前記第2巻線固定子側のそれぞれで独立した磁気回路が構成されるので、同相の前記各巻線に関して、前記第1巻線固定子に設けられた巻線と、前記第2巻線固定子に設けられた巻線とを、前記回転軸を挟んで対向する位置に配設可能なように、前記回転子の前記第1巻線固定子側の面の磁極及び前記第2巻線固定子側の面の磁極を設定することができる。
【0022】
第4の態様によると、回転軸方向に沿って一層の磁石で、両固定子に対して磁極を呈することができる。
【0023】
第5の態様によると、軟磁性体によって構成された界磁子磁性体によって、永久磁石に作用する減磁界の影響を緩和し、もって、永久磁石が減磁するのを防止できる。
【0024】
第6の態様によると、比較的少ない永久磁石によっても、第1の巻線固定子及び第2の巻線固定子のそれぞれに対して独立した磁気回路を構成できる。
【0025】
第7の態様によると、リラクタンストルクによって回転子に働くトルクを増大させることができる。
【0026】
また、第8の態様によると、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子は、前記巻線が巻回されるティースを有すると、磁気抵抗を小さくでき、磁束漏れを小さくできる。
【0027】
特に、巻線が集中巻されていると、回転軸の周方向に沿って精密に傾きを制御して抑制できる。
【0028】
特に、各巻線が分布巻されていると、1つの巻線に対するインダクタンスの状態が、複数のティースのギャップ間隔に影響を与えるため、傾き補正効果が顕著である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図1は本実施形態にかかるアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図であり、図2は同アキシャルギャップ型回転機をさらに分解した状態を示す分解斜視図であり、図3は同アキシャルギャップ型回転機における各巻線の結線図である。
【0030】
このアキシャルギャップ型回転機10は、1つの回転子20を備えると共に、2つの固定子として第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40を備えている。回転子20は、略円盤状に形成されており、2つの固定子30.40も略円盤状に形成されている。2つの固定子30,40は、回転子20の両面側に配設されており、当該回転子20を回転させるべく磁界を発生させる。
【0031】
各部についてより詳細に説明する。
【0032】
回転子20は、軸受によって回転自在に支持された回転軸部(共に図示省略)を介して所定の回転軸28周りに回転自在に配設されている。また、この回転子20は、回転軸28方向における両面において、当該回転軸28周りに交互の磁極を呈している。
【0033】
具体的には、回転子20は、回転軸28周りに間隔をあけて複数の永久磁石22を有している。各永久磁石22は、回転軸28周りのドーナツ板状部材を複数(ここでは8つ)に分割した形状、即ち、回転軸28周りに延びる弧状かつ帯状の板形状に形成されている。また、各永久磁石22は、回転軸28に沿った方向、即ち、永久磁石22の厚み方向に着磁されており、その両面にN極又はS極の磁極を呈する。これらの永久磁石22は、回転軸28の周りで環状かつ交互の磁極を呈するように配設されている。これにより、回転軸28方向に沿って一層の永久磁石22によって、つまり、比較的少ない数の永久磁石22で、両巻線固定子30,40に対して磁極を呈することができる。ここでは、回転子20は、8極として構成されている。そして、後述する各巻線36,46に3相交流を流すことによって、本回転子20が回転するようになっている。なお、リング状部材を周方向に、回転軸28方向に交互に着磁することによって、回転子20を構成してもよい。
【0034】
また、各永久磁石22の両面、即ち、各永久磁石22のうち回転軸28方向に沿った両端に、軟磁性体によって構成された界磁子磁性体24が設けられている。この界磁子磁性体24は、いわゆるロータコアとも呼ばれるものであり、ここでは、上記永久磁石22よりも大きい(ここでは一回り大きい)板形状に形成されており、上記永久磁石22の両面に重ね合せ状に配設されている。
【0035】
この界磁子磁性体によって、励磁された固定子30,40の外部磁界によって回転子20に減磁界が作用した場合に、各永久磁石22に作用する減磁界の影響を緩和し、もって、各永久磁石22が減磁するのを防止している。
【0036】
なお、これらの各永久磁石22及び各回転子磁心24は、非磁性体によって形成されるホルダ(図示省略)によって上記配設形態で一体化した状態で保持されると共に、回転軸部に固定されている。なお、上記配設形態では、各永久磁石22及び各回転子磁心24は、隣設するもの同士間で、空隙又は非磁性体によって磁気的に分離されている。
【0037】
第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40は、回転軸28方向において回転子20の両側に、当該回転子20に対してギャップ(ここでは僅かなギャップ)を隔てて対向するように配設されている。各第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40は、図示省略のケーシング等に固定されている。
【0038】
第1巻線固定子30は、第1バックヨークコア33と複数のティース(巻線コア)34とを有する第1固定子コア32と、複数の巻線36U1,36U2,36U3,36U4,36V1,36V2,36V3,36V4,36W1,36W2,36W3,36W4(以下、第1巻線固定子30に設けられた巻線を総称する場合には、単に巻線36という)とを有している。ここでは、第1巻線固定子30は、巻線36が12個設けられており、機械角30゜間隔で配設されている。つまり、本第1巻線固定子30は、12スロットの集中巻形態として構成されている。
【0039】
第1バックヨークコア33は、磁性体によって構成されており、略中央部に孔部32hが形成された略円盤状に形成されている。
【0040】
各ティース34は、第1バックヨークコア33のうち回転子20側の面に、回転軸28周りの周方向に沿って間隔をあけて環状に配設されている。なお、互いに周方向に隣接する各ティース34間は、略等間隔である。各ティース34は、回転軸28と略直交する方向において、2等辺三角形状の各長短を丸めた形状を有する厚板状に形成されており、回転軸28から外方向に向けて順次幅広になる姿勢で配設されている。このティース34は、ティースの断面積を大きくしつつ、巻線面積を増大させる形状であり、磁気抵抗を小さくし、永久磁石の動作点を高くすることにより、永久磁石の磁束を有効に利用させる役割を有している。
【0041】
各巻線36は、上記各ティース34に巻回されている。各巻線36は、上記ティース34の外周形状に応じた形状に巻回された略三角環状形状に形成されている。また、第1巻線固定子30は、同相の巻線36を複数、即ち、U相の巻線36U1,36U2,36U3,36U4を4つ、V相の巻線36V1,36V2,36V3,36V4を4つ、W相の巻線36W1,36W2,36W3,36W4を4つ有している。
【0042】
また、この第1巻線固定子30では、各ティース34の回転子20側の面に幅広磁心38がそれぞれ設けられている。各幅広磁心38は、回転軸28と略直交する平面において、ティース34よりも大きい(ここでは一回り大きな)広がりを有する板状部材に形成されており、本第1巻線固定子30と回転子20との対向面積を増してギャップ部分での磁気抵抗を小さくし、もって、回転子20の磁束がより多く鎖交できるようにしている。なお、この幅広磁心38を省略してもよい。
【0043】
なお、上記第1バックヨークコア33、各ティース34及び各幅広磁心38は、軟磁性体、例えば、圧粉鉄心や積層鋼板等で構成される。これらは、全体を一体として形成してもよく、或は、製造上の必要性に応じて適宜分割し組合わせて形成してもよい。
【0044】
第2巻線固定子40は、上記第1巻線固定子30と同様構成を有しており、即ち、第2バックヨークコア43(第1バックヨークコア33に対応する)と複数のティース44(ティース34に対応する)とを有する第2固定子コア42(第1固定子コア32に対応する)と、複数の巻線46U5,46U6,46U7,46U8,46V5,46V6,46V7,46V8,46W5,46W6,46W7,46W8(上記巻線36U1,36U2,36U3,36U4,36V1,36V2,36V3,36V4,36W1,36W2,36W3,36W4に対応する、以下、第2巻線固定子40に設けられた巻線を総称する場合には、単に巻線46という)と、幅広磁心48(上記幅広磁心38に対応する)とを有している。
【0045】
上記固定子コア32,42は、形状、材料等において厳密に同じ構成である必要はないが、少なくとも磁気的には実質的に同じであることが好ましい。ここで、磁気的には実質的に同じであるとは、例えば、巻線に鎖交する磁束が、第1巻線固定子と、第二巻線固定子とで、ほぼ同一であるという意味である。これは、環状電流をできるだけ小さくするという目的からの要請である。
【0046】
これらの第1巻線固定子30と第2巻線固定子40とをそれらの相互関係で説明する。
【0047】
上記第1巻線固定子30では、巻線36は、回転軸28周りに3相交互に配設するようにして、より具体的には、巻線36U1を基準にして、図2の上方から右回りに巻線36V1,巻線36W1,巻線36U2,巻線36V2,巻線36W2,巻線36U3,巻線36V3,巻線36W3,巻線36U4,巻線36V4,巻線36W4の並び順で環状に配設されている。第2巻線固定子40では、回転軸28周りに上記第1巻線固定子30と同方向で3相交互に配設するようにして、より具体的には、巻線46U5を基準にして、つまり、図2の上方から右回りに巻線46V5,巻線46W5,巻線46U6,巻線46V6,巻線46W6,巻線46U7,巻線46V7,巻線46W7,巻線46U8,巻線46V8,巻線46W8の並び順で環状に配設されている。
【0048】
また、各相の配置関係に関して、所定相の巻線36,46は、回転子20を挟んで他の2相の巻線36,46との間に対向する位置関係にある。例えば、U相の巻線36U1は、回転子20を挟んで他のV相、W相の巻線46V8,46W8との間に対向する位置関係にある。そして、第2巻線固定子40の他の2相の巻線46(例えば、巻線46V8,46W8)による合成磁界は、U+V+W=0より、第1巻線固定子30側の所定相の巻線36(例えば、36U1)に応じた磁界となる。これにより、両巻線固定子30,40は、その周方向に沿って各部で同期した回転磁界を発生させて、回転子20を回転させることができる。集中巻の場合、それぞれの巻線固定子30,40で巻線36,46が偶数の場合には、回転軸28周りに半スロット分ずらすことによって、上記配置関係にしている。
【0049】
このように、第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40には、実質的に同じ配設態様及び実質的に同じ巻数で、巻線36,46が設けられている。このように巻線36,46による磁界の発生態様及び両巻線固定子30,40での磁気回路を同等にすることで、両巻線固定子30,40での磁気吸引力の発生態様を同じにし、後述する作用によって回転子20の傾きをより有効に抑制し得るようにしている。
【0050】
また、回転子20を基準にすると、第1巻線固定子30の各巻線36の巻回方向と第2巻線固定子40の各巻線46の巻回方向とは同一方向である。換言すれば、回転軸28に沿って一方側から見れば、第1巻線固定子30の各巻線36の巻回方向と第2巻線固定子40の各巻線46の巻回方向とは逆方向である。ここで、巻線36,46の巻回方向とは、実際にコイル線をどちらの向きで巻いていくかということではなく、後述するようにして結線して電源側から中性点側に電流が流れる方向、つまり、電源側の端端部からティース34,44周りに巻回されて中性点側の端部に至る方向を意味している。なお、以下の各実施形態及び各変形例の説明でも巻線の巻回方向とは同内容を意味している。図2では、巻線36U1,36V1,36W1及び巻線46U5,46V5,46W5の外周側に付された矢印が巻線36,46の巻回方向を示している。なお、以下の各実施形態の説明でも、巻線近傍に設けられた矢印はその巻回方向を示している。
【0051】
これにより、両側の第1巻線固定子30の巻線36及び第2巻線固定子40の巻線46に所定相の電流が流れたとき、例えば、U相の巻線36U1,36U2,36U3,36U4及び46U5,46U6,46U7,46U8に電流が流れたとき、第1巻線固定子30の巻線36U1,36U2,36U3,36U4には、図1及び図2の下向きに磁束が流れ、第2巻線固定子40の巻線46V5,46V6,46V7,46V8,46W5,46W6,46W7,46W8の各V相及びW相間にも、それらの合成磁界によって、図1及び図2の下向きに磁束が流れる。そして、一方の巻線36U1,36U2,36U3,36U4と、他方の巻線46V5,46V6,46V7,46V8,46W5,46W6,46W7,46W8の各V相及びW相間とは、回転子20を挟んで対向しているので、第1巻線固定子30と第2巻線固定子40とは連続した磁気回路を構成することになる。
【0052】
上記各巻線36,46は、次の態様で結線されている。即ち、図3に示すように、第1巻線固定子30に設けられた所定の相の巻線36と、この所定の相の巻線36に対して回転軸28を挟んで対向する位置にある巻線46であって第2巻線固定子40に設けられた他の2つの相の巻線46とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成されている。なお、ここで、一方の巻線固定子30,40に設けられた所定の相の巻線36,46と、他方の巻線固定子30,40に設けられた他の2つの相の巻線36,46とが、回転軸28を挟んで対向するとは、他の2つの相の巻線36,46を全体としてみて、所定の相の巻線36,46と対向している関係をいう。例えば、第1巻線固定子30のU相の巻線36U1は、回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子40の他のV相及びW相の巻線46V6,46W6と共に中性点を介してスター結線されてスター結線巻線組が構成されている。また、他の巻線36,46についても同様にそれぞれ独立した中性点でスター結線されることで、複数(ここでは、合計8つ)のスター結線巻線組が構成されている。そして、これらのスター結線巻線組が電源に対して並列に接続されている。
【0053】
このように構成されたアキシャルギャップ型回転機10によると、回転子20の両端側に巻線固定子30,40が配設されているため、回転子20は、回転軸28方向に短く径方向に長い構成となり易い。そうすると、回転子20が僅かでも傾くと、回転子20の外周部近傍では、両巻線固定子30,40のギャップ差は大きくなってしまう傾向にある。特に、上記回転子20の形態からして、回転子20を回転軸部で保持する保持部分の長さは短くなる傾向にあるので、回転子20は傾き易い傾向にあり、上記問題を生じる可能性は大きい。
【0054】
そして、上記回転子20の傾きにより、第1巻線固定子30の所定のU相の巻線(例えば、巻線36U1)部分で、ギャップ長が最小になると、これと回転軸28を挟んで対向する位置にある第2巻線固定子40のV相及びW相の巻線(例えば、巻線46V6,46W6)部分でもギャップ長は最小になる。これらの巻線(例えば、巻線36U1と巻線46V6,46W6)部分では、上記ギャップ長が小さくなることにより、そこでの磁気抵抗が小さくなる。そして、当該巻線(例えば、巻線36U1と巻線46V6,46W6)で、第1巻線固定子30側の界磁子磁性体24での磁気的短絡が多いこと等が原因で、インダクタンスが大きくなり、これにより所定電圧下での電流が小さくなると共に通過磁束数が減少し、磁気吸引力が減少する。また、U相の巻線(例えば、巻線36U1)からV相の巻線(例えば、巻線46V6)に電流が順方向又は逆方向に電流が流れるとき、又は、U相の巻線(例えば、巻線36U1)からW相の巻線(例えば、巻線46W6)に電流が順方向又は逆方向に電流が流れるときに着目すると、U相の巻線(例えば、巻線36U1)に対してV相の巻線(例えば、巻線46V6)及びW相の巻線(例えば、巻線46W6)は直列に接続されていると捉えることができる。このため、上記の所定のU相の巻線(例えば、巻線36U1)部分でギャップ長が最小になると、3相の巻線(例えば、巻線36U1,46V6,46W6)の相互作用によって、自己のインダクタンス増加に伴い電流が小さくなることにより、電流による磁束数が減少して、磁気吸引力が減少する。
【0055】
これと同時に、上記第1巻線固定子30の所定のU相の巻線(例えば、巻線36U1)と回転子20を挟んで対向する第2巻線固定子40のV相及びW相の巻線(例えば、巻線46V8,46W8)部分と、これと回転軸28を挟んで対向する位置にある第1巻線固定子30のU相の巻線(例えば、巻線36U3)部分では、ギャップ長は最大になり、そこでの磁気抵抗が大きくなる。そして、これらの巻線(例えば、巻線36U3と巻線46V8,46W8)では、第2巻線固定子40側の界磁子磁性体24での磁気的短絡が少ないこと等が原因で、インダクタンスが小さくなり、これにより所定電圧下での電流が大きくなると共に通過磁束数が増加して、磁気吸引力が増加する。また、上記と同様の捉え方とすると、U相の巻線(例えば、巻線36U3)に対して、V相及びW相の各巻線(例えば、巻線46V8,46W8)はそれぞれ直列に接続されていると捉えることができる。このため、3相の巻線(例えば、巻線36U3,46V8,46W8)の相互作用によって、自己のインダクタンス増加に伴い電流が小さくなることにより、電流による磁束数が減少して、磁気吸引力が減少する。
【0056】
しかも、上記のようにギャップが小さくなる部分に対応するスター結線巻線組(例えば、巻線36U1,46V6,46W6を含むもの)と、ギャップが大きくなる部分に対応するスター結線巻線組(例えば、巻線36U3,46V8,46W8を含むもの)とは、電源に対して並列接続されている。このため、一方のスター結線巻線組の電流増加又は減少の影響を受けても、他方のスター結線巻線組の電流が減少し又は増加するため、この点からも、電流の増加又は減少程度が大きくなって、磁気吸引力の増加及び減少程度がより大きくなる。他のU相、W相に着目しても同様になる。
【0057】
以上により、回転子20と両巻線固定子30,40間で、ギャップが小さくなった部分では、磁気吸引力を減らし、ギャップが大きくなった部分では磁気吸引力を増加させて、回転子20の傾きを解消して抑制することができる。このような現象は、回転子20をより高速で回転させるほど、磁束の変化速度が大きくなるため、より有効に傾き補正を是正すると考えられる。
【0058】
{第2実施形態}
次に、第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。なお、上記第1実施形態と同様構成については、同一符号を付してその説明を省略する。図4は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0059】
このアキシャルギャップ型回転機210は、いわゆる補極構造を採用した例であり、第1実施形態に対して、巻線の配置態様が異なっている。すなわち、第1巻線固定子230では、巻線236U1,236W1,236V1,236U2,236W2,236V2(以下、これらの巻線を総称する場合には単に巻線236という)が、各ティース34に対して周方向に1つおきに巻回されている。換言すれば、上記第1実施形態における巻線36を周方向に1つおきに省略した構成とされている。また、第2巻線固定子240では、巻線246W3,246V3,246U3,246W4,246V4,246U4(以下、これらの巻線を総称する場合には単に巻線246という))が、各ティース44に対して周方向に1つおきに巻回されている。換言すれば、上記第1実施形態における巻線46を周方向に1つおきに省略した構成とされている。
【0060】
なお、上記第1実施形態の場合と同様の能力を得るため、各巻線236,246の巻数は、巻線36,46の倍にすることが好ましい。
【0061】
また、第1巻線固定子230と第2巻線固定子240との関係に関して、上記第1実施形態では半スロット分ずれていたのに対して、ここでは、それぞれのティース34,44が互いに対向する位置関係に配設されている。そして、一方の巻線固定子230,240の所定相の巻線36,46に回転軸28を挟んで対向する他方の巻線固定子230,240の位置には、空きティース34,44が補極として配設されている。そして、この補極としてのティース34,44を挟む位置に他の2相の巻線36,46が設けられている。例えば、第1巻線固定子230の所定のU相の巻線236U1に対して、回転子20を挟んで対向する補極としてのティース44を挟む位置にV相及びW相の巻線246V4,246W4が対向しており、さらに、第2巻線固定子240のV相及びW相の巻線246V3,246Wが全体として回転軸28を挟んで対向する位置に配設されている。
【0062】
また、回転子20を基準にすると、第1巻線固定子230の各巻線236の巻回方向と第2巻線固定子240の各巻線246の巻回方向とは逆方向、換言すれば、回転軸28に沿って一方側から見れば、各巻線236の巻回方向と各巻線246の巻回方向とは同方向である。
【0063】
各巻線236,246の結線態様は、図5に示すように、第1巻線固定子230に設けられた所定相の巻線236と、この所定の相の巻線236に対して回転軸28を挟んで対向する位置にある巻線246であって第2巻線固定子240に設けられた他の2つの相の巻線246とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成されている。例えば、第1巻線固定子230のU相の巻線236U1は、回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子240の他のV相及びW相の巻線246V3,246W3と共に中性点を介してスター結線されてスター結線巻線組が構成されている。また、他の巻線36,46についても同様にそれぞれ独立した中性点でスター結線されることで、複数(ここでは、合計4つ)のスター結線巻線組が構成されている。そして、これらのスター結線巻線組が電源に対して並列に接続されている。
【0064】
このアキシャルギャップ型回転機210では、各巻線236,246に3相交流を流すと、各巻線236,246が巻回されたティース34,44では、当該巻線236,246に流れる電流に応じた磁束が発生する。また、各巻線236,246が巻回されていない補極であるティース34,44では、その両側のティース34,44で発生した第1の相及び第2の相(例えば、U相及びV相)に応じた磁束により、第3の相(例えば、W相)に応じた磁束が発生する。これにより、上記第1実施形態と同様の回転磁界を発生させることができる。
【0065】
本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機210でも、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、巻線236,246数を少なくできるので、並列接続する巻線236,246の数が減り、結線をより簡易かつコンパクト化することができる。
【0066】
{第3実施形態}
第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図6は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0067】
このアキシャルギャップ型回転機310は、集中巻形態で、6極9スロットにした例である。すなわち、このアキシャルギャップ型回転機310は、回転子320と、回転子320の両側に設けられた第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340とを有している。
【0068】
回転子320は、第1実施形態における8極の回転子20を、6極の回転子320にした点で異なっており、他は当該回転子20と同様構成である。
【0069】
第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340は、第1実施形態における12スロットの第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40に対して以下の点で異なっている。すなわち、第1巻線固定子330は、第1固定子コア332に対して、9個の巻線336U1,336V1,336W1,336U2,336V2,336W2,336U3,336V3,336W3(以下、これらを総称する場合には、単に巻線336という)を回転軸28周りにこの順で配設した9スロット構成とされている。また、第2巻線固定子340は、第2固定子コア342に対して、9個の巻線346U4,346V4,346W4,346U5,346V5,346W5,346U6,346V6,346W6(以下、これらを総称する場合には、単に巻線346という)を回転軸28周りにこの順で配設した9スロット構成とされている。また、回転子320から見ると、両巻線固定子330,340の巻線336,346の巻回方向は異なる方向、即ち、回転軸28の一方側から見ると同巻回方向とされている。各巻線固定子330,340のその他の構成は、上記巻線固定子30,40と同様である。
【0070】
また、両巻線固定子330,340の関係に関して、各巻線336,346は各相を互いに対向させる位置に配設されている。つまり、それぞれの両巻線固定子330,340が奇数の巻線336,346を有する場合、上記位置関係にすることで、一方の巻線固定子330,340の所定相の巻線336,346と、回転軸28を挟んで対向する他方の巻線固定子330,340の他の2相の巻線336,346とを対向して配置できる。
【0071】
このアキシャルギャップ型回転機310における結線態様は、図7に示すようになっている。すなわち、第1巻線固定子330に設けられた所定相の巻線336と、この所定の相の巻線336に対して回転軸28を挟んで対向する位置にある巻線346であって第2巻線固定子340に設けられた他の2つの相の巻線346とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成されている。例えば、第1巻線固定子330のU相の巻線336U1が回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子340の他のV相及びW相の巻線346V5,346W5と共に中性点を介してスター結線されることで、スター結線巻線組が構成されている。また、他の巻線336,346についても同様にそれぞれ独立した中性点でスター結線されることで、複数(ここでは、合計6つ)のスター結線巻線組が構成されている。そして、これらのスター結線巻線組が電源に対して並列に接続されている。
【0072】
このアキシャルギャップ型回転機310では、第1巻線固定子330の各巻線336と第2巻線固定子340の各巻線346で共通する回転磁界を生成して回転子320を回転させることができる。
【0073】
つまり、上記第1実施形態では、各巻線固定子30,40のそれぞれに偶数の巻線36,46が設けられている場合に係る構成であったが、本アキシャルギャップ型回転機310では、第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340のそれぞれに奇数の巻線336,346が設けられた場合の配置関係を開示している。このアキシャルギャップ型回転機310によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
{第4実施形態}
第4実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図8は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0075】
このアキシャルギャップ型回転機410は、集中巻形態で、6極9スロットにした例である。第1巻線固定子430は、第1固定子コア432に対して、9個の巻線436U1,436V1,436W1,436U2,436V2,436W2,436U3,436V3,436W3(以下、これらを総称する場合には、単に巻線436という)を回転軸28周りにこの順で配設した9スロット構成とされている。また、第2巻線固定子440は、第2固定子コア442に対して、9個の巻線446U4,446V4,446W4,446U5,446V5,446W5,446U6,446V6,446W6(以下、これらを総称する場合には、単に巻線446という)を回転軸28周りにこの順で配設した9スロット構成とされている。これらの巻線436及び巻線446の配置関係は、上記第3実施形態と同様である。つまり、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440は、基本的には、上記第3実施形態における第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340と同様構成である。異なる点は、巻線436,446の巻回方向である。すなわち、回転子420から見ると、両巻線固定子430,440の巻線436,446の巻回方向は同方向、即ち、回転軸28の一方側から見ると逆巻回方向とされている。
【0076】
これらの各巻線436,446も上記第3実施形態と同様態様で結線されている。
【0077】
また、回転子420は、第1巻線固定子430側に磁極を呈する複数の永久磁石422aと、第2巻線固定子440側に磁極を呈する複数の永久磁石422bと、ロータバックヨーク424とを有している。
【0078】
各永久磁石422aは、第1巻線固定子430側に交互の磁極を呈し、各永久磁石422bは第2巻線固定子440側に交互の磁極を呈し、これらはロータバックヨーク424の両面に貼着けてある。また、各永久磁石422aと各永久磁石422bとは、ロータバックヨーク424を介して独立しており、それぞれ第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440との間で独立した磁気回路を形成するようになっている。
【0079】
このような回転子420では、第1巻線固定子430側と第2巻線固定子440側とで独立した磁気回路を形成するので、各巻線436,446を所望の位置に配設するように、各永久磁石422aと各永久磁石422bとの位置をずらして配設することができる。そこで、一方の巻線固定子430,440の所定相の巻線436,446と、他方の巻線固定子430,440の他の2相の巻線436,446とが、回転軸28を挟んで対向する位置関係となるように、各永久磁石422aや各永久磁石422bによる磁極を設定することができる。
【0080】
ここでは、回転子420の周方向所定部分で、第1巻線固定子430側の面及び第2巻線固定子440側の面の両方で同一の磁極を呈するように各永久磁石422aや各永久磁石422bによる磁極を設定することで、巻線436,446が上記位置関係に配設されるようにしている。
【0081】
かかるアキシャルギャップ型回転機410によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、回転子420の両面で別々の磁気回路を形成しているため、両巻線固定子430,440の巻線436,446の設置態様に応じて各磁極を設定することで、一方の巻線固定子430,440の所定相の巻線436,446と、他方の巻線固定子430,440の他の2相の巻線436,446とが、回転軸28を挟んで対向する位置関係となるように配設することができる。また、回転子420の両面で別々の磁気回路を形成しており、しかも、ロータバックヨーク424の磁路断面積が大きくなる傾向にあるため、回転子420の両面側でインダクタンスの差が生じ易い。このため、回転子420が傾いた場合に、磁気吸引力の差がより生じ易く、より有効に回転子420の傾きを解消することができる。
【0082】
{第5実施形態}
第5実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図9は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0083】
このアキシャルギャップ型回転機510は、集中巻形態で、6極9スロットにした例であり、回転子520と、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440とを備えている。第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440は、第4実施形態で説明したものと同様構成であるのでここでは説明を省略する。
【0084】
回転子520は、回転軸28周りに配設された複数の永久磁石524と、各永久磁石524間に配設された軟磁性体により形成されたコア522とを有している。
【0085】
各永久磁石524は、板状に形成されており、弧状棒状のコア522を介してリング状に連結されている。また、各永久磁石524は、回転軸28を中心とする円の周方向に沿って着磁されており、また、その着磁方向は、周方向に沿って隣設するもの同士の関係では互いに逆方向となっている。なお、この回転子520は、非磁性体で形成された回転軸部に固定され又は非磁性体のボスを介して回転軸部に固定される等、回転軸部への磁束漏洩を防止した態様で回転軸部に固定されている。
【0086】
この回転子520は、各コア522部分で、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440の双方に対して、交互の磁極を呈する。この際、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440のそれぞれに対して、独立した磁気回路を形成する。
【0087】
このため、上記第4実施形態と同様の作用効果を奏する。加えて、比較的少ない永久磁石522の数で、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440のそれぞれに対して、独立した磁気回路を形成することができる。
【0088】
{第6実施形態}
次に、第6実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図10は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0089】
このアキシャルギャップ型回転機610は、上記第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機310における回転子320に代えて、突極性を有する回転子620を備えた構成とすることで、リラクタンストルクによって回転運動を得るスイッチトリラクタンスモータを構成している。
【0090】
すなわち、回転子620は、永久磁石を有さず、軟磁性体によって構成されている。回転子620は、図示省略の回転軸部に連結固定される回転子ヨーク部622と、回転子ヨーク部622から外周側に向けて突出する複数(ここでは6つ)の突極部624とを有している。各突極部624は、回転軸28周りに略等間隔で配設されており、両巻線回転子330,340に対して突極性を呈する。なお、第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340は、上記第3実施形態で説明したものと同様構成である。
【0091】
そして、上記各巻線336,346によって周方向に沿った連続的な磁気吸引力を発生させることによって、回転子620が回転するようになっている。
【0092】
このようにスイッチトリラクタンスモータとして構成したアキシャルギャップ型回転機610においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0093】
{第7実施形態}
第7実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図11は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0094】
このアキシャルギャップ型回転機710は、分布巻の8極24スロットの形態であり、回転子20と、第1巻線固定子730及び第2巻線固定子740とを備えている。
【0095】
回転子20は、第1実施形態における8極の回転子20と同様構成である。
【0096】
第1巻線固定子730は、第1バックヨークコア733と、第1バックヨークコア733のうち回転子20側の面に回転軸28周りに突設された複数個(ここでは24個)のティース734とを有する第1固定子コア732と、巻線736U1,736U2,736V1,736V2,736W1,736W2(以下、これらを総称する場合には、単に巻線736という)とを備えている。
【0097】
巻線736U1,736V1,736W1,736U2,736V2,736W2は、それぞれ3つのティース734に跨って巻回され、かつ、各間に1つのティース734を介在させるようにして、その順で回転軸28周りに配設されている。
【0098】
第2巻線固定子740は、第1バックヨークコア743と、第1バックヨークコア743のうち回転子20側の面に回転軸28周りに突設された複数個(ここでは24個)のティース744とを有する第2固定子コア742と、巻線746U3,746U4,746V3,746V4,746W3,746W4(以下、これらを総称する場合には、単に巻線746という)とを備えている。
【0099】
巻線746U3,746V3,746W3,746U4,746V4,746W4は、それぞれ3つのティース744に跨って巻回され、かつ、各間に1つのティース744を介在させるようにして、その順で回転軸28周りに配設されている。
【0100】
そして、一方の巻線固定子730,740の各ティース734,744のうち所定相の巻線736,746が巻回されたものの周方向中間部のものと、他方の巻線固定子730,740の各ティース734,744のうち他の相の巻線736,746が巻回されたもの間に位置するものとを対向させた姿勢で、かつ、両巻線固定子730,740の各ティース734,744のうち所定相の巻線736,746が巻回されたものの周方向両端部に位置するもの同士を対向させた姿勢で、両巻線固定子730,740が配設されている。例えば、第1巻線固定子730の各ティース734のうち所定のU相の巻線736U1が巻回されたものの周方向中間部のものと、第2巻線固定子740の各ティース744のうち他のV相及びW相の巻線746V4,746W4が巻回されたもの間に位置するものとを対向させている。また、第1巻線固定子730の各ティース734のうち所定のU相の巻線736U1が巻回されたものの周方向両端部のものと、第2巻線固定子740の各ティース744のうち他のV相及びW相の巻線746V4,746W4が巻回されたものの周方向端部に位置するものとを対向させている。
【0101】
つまり、両巻線固定子730,740は、少なくとも各ティース734,744の位置及び形状と、各巻線736,746の相順及び巻数とに関して、回転軸28と略直交する両巻線固定子730,740間の平面を基準にした鏡面対称形状にしかつ、回転軸28を中心にして機械角(180/N)゜、(ここで、N=(回転子の極数)/4)、即ち、電気角で1周期分回転させた対称性を持たせている。ここでは、N=(8/4)=2であり、機械角で90゜回転させた対称性を持たせている。
【0102】
また、両巻線固定子730,740の各巻線736,746の巻回方向は、回転子20から見て逆方向、換言すれば、回転軸28の一方側から見ると同方向に巻回されている。
【0103】
つまり、このアキシャルギャップ型回転機710は、1つの回転子に対して1つの巻線固定子を設けた場合に、当該巻線固定子に分布巻形態として配設される巻線を2つに分けて、それぞれ第1巻線固定子730及び第2巻線固定子740に設けた構成と捉えることができる。
【0104】
そして、各ティース734,744において、第1巻線固定子730に設けられた各巻線736や第2巻線固定子740に設けられた各巻線746の単独磁界又は合成磁界によって、回転子20を回転軸28周りに回転させる磁束を発生させるようになっている。
【0105】
また、上記各巻線736及び各巻線746は図12に示すようにして結線されている。すなわち、第1巻線固定子730の所定相の所定の巻線736(例えば、巻線736U1)と、これに対して回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子740側の他の2相の巻線746(例えば、巻線746V3,746W3)とが中性点を介してスター結線されて、スター結線巻線組が構成されている。同様に他の巻線736,746もそれぞれ中性点を介してスター結線されて、合計4つのスター結線巻線組が構成されている。そして、これらの複数のスター結線巻線組が電源に対して並列に接続されている。
【0106】
このように各巻線736,746を分布巻したアキシャルギャップ型回転機710においても、各相の巻線736,746の配置関係からして、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、分布巻の形態では、複数のティース734,744のギャップ間隔の大小が、1つの巻線736,746のインダクタンスによる影響を受けるため、傾き補正の効果が顕著となる。
【0107】
{変形例}
なお、上記各アキシャルギャップ型回転機を駆動する電源としては、電圧一定駆動するものであっても電流一定駆動するものであっても上記作用効果を得ることができる。
【0108】
なお、上記したアキシャルギャップ型回転電機は、モータとしても発電機としても使用することができる。
【0109】
また、上記各実施形態及び変形例に係る構成は、相互に反しない限り、互いに適宜組合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図2】同上のアキシャルギャップ型回転機をさらに分解した状態を示す分解斜視図である。
【図3】同上のアキシャルギャップ型回転機の結線図である。
【図4】第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図5】同上のアキシャルギャップ型回転機の結線図である。
【図6】第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図7】同上のアキシャルギャップ型回転機の結線図である。
【図8】第4実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図9】第5実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図10】第6実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図11】第7実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図12】同上のアキシャルギャップ型回転機の結線図である。
【符号の説明】
【0111】
10;210;310;410;510;610;710 アキシャルギャップ型回転機
20;320;420;520;620 回転子
22;422a,422b;524 永久磁石
24 界磁子磁性体
28 回転軸
30;230;330;430;730 第1巻線固定子
32;332;432;732 第1固定子コア
34;734 ティース
36,36U1,36U2,36U3,36U4,36V1,36V2,36V3,36V4,36W1,36W2,36W3,36W4;236,236U1,236W1,236V1,236U2,236W2,236V2;336,336U1,336V1,336W1,336U2,336V2,336W2,336U3,336V3,336W3;436,436U1,436V1,436W1,436U2,436V2,436W2,436U3,436V3,436W3;736,736U1,736U2,736V1,736V2,736W1,736W2 巻線
38 幅広磁心
40;240;340;440;740 第2巻線固定子
42;342;442;742 第2固定子コア
44;744 ティース
46,46U5,46U6,46U7,46U8,46V5,46V6,46V7,46V8,46W5,46W6,46W7,46W8;246,246W3,246V3,246U3,246W4,246V4,246U4;346,346U4,346V4,346W4,346U5,346V5,346W5,346U6,346V6,346W6;446,446U4,446V4,446W4,446U5,446V5,446W5,446U6,446V6,446W6;746,746U3,746U4,746V3,746V4,746W3,746W4 巻線
48 幅広磁心
522 コア
624 突極部
【技術分野】
【0001】
この発明は、アキシャルギャップ型回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
アキシャルギャップ型モータは、巻線固定子と回転子とが回転軸に沿ってギャップを隔てて設けられた構成とされている。
【0003】
このようなアキシャルギャップ型モータでは、回転軸方向に沿って、巻線固定子と回転子との間で吸引力が作用してしまうため、軸受損失が大きくなったり、軸受寿命が短くなってしまう。そこで、軸方向に作用する力をキャンセルし、さらに、回転部分を少なくするために、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設ける形態が好まれる。
【0004】
なお、本発明に関連する従来技術としては、特許文献1がある。特許文献1は、ラジアルギャップ型のモータにおいて、各相毎に相対する極位置関係にある巻線同士を並列に接続することで、回転子の偏心を抑制する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−217290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型モータでは、通常、回転子は径が大きい割には厚みが小さい形状なので、回転子をシャフトに保持する部分が短くなり、回転子が傾き易い傾向にある。また、回転子の径が比較的大きいので、僅かな傾きが回転子の外周部では大きなギャップ差となって現れる。そして、軸に直交する平面から傾いた状態で回転子が回転すると、振動や騒音を生じたり、また、回転子が巻線固定子に接してしまう恐れもある。また、一旦、回転子が傾いて巻線固定子に接近してしまうと、その部分で磁気抵抗が低下してより多くの磁束が通り、より回転子と巻線固定子とが接近してしまう恐れがある。これらは、高速運転時には特に問題となる。
【0007】
なお、特許文献1は、回転子の外周に巻線固定子を設けたラジアルギャップ型のモータにおいて、回転子の偏心を抑制する技術を開示するにすぎず、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型モータにおいて、回転子の傾きを有効に抑制し得る技術を開示ないし示唆するものではない。
【0008】
そこで、本発明は、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型回転機において、回転子の傾きを有効に抑制し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転機は、回転軸(28)を中心として回転自在に配設された回転子(20;320;420;520;620)と、前記回転軸方向における前記回転子の両側に、前記回転子に対してギャップを隔てて対向するように配設された第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び第2巻線固定子(40;240;340;440;740)と、を備え、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子のそれぞれに、3相の巻線(36,46;236,246;336,346;436,446;736,746)が、各相毎に複数個設けられており、前記第1巻線固定子に設けられた所定の相の巻線と、この所定の相の巻線に対して前記回転軸を挟んで対向する位置にある巻線であって前記第2巻線固定子に設けられた他の2つの相の巻線とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成され、これらの各スター結線巻線組が独立した中性点を持ちつつ並列に接続されている。
【0010】
第2の態様は、前記第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び前記第2巻線固定子(40;240;340;440;740)には、実質的に同じ配設態様及び実質的に同じ巻数で前記各巻線(36,46;236,246;336,346;436,446;736,746)が設けられており、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子は、磁気的に実質的に同じ固定子コア(32,42;332,342;432,442;732,742)を有するものである。
【0011】
第3の態様は、前記回転子(420)は、前記第1巻線固定子(430)側の面に磁極を呈する永久磁石(422a)と、前記第2巻線固定子(440)側の面に磁極を呈する永久磁石(422b)とが、独立した磁気回路を形成するように設けられているものである。
【0012】
第4の態様は、前記回転子(20;320)は、前記回転軸方向に沿って着磁された永久磁石(22)を有するものである。
【0013】
第5の態様は、前記永久磁石(22)のうち前記回転軸方向に沿った両端に、軟磁性体によって構成された界磁子磁性体(24)が設けられたものである。
【0014】
第6の態様は、前記回転子(520)は、前記回転軸周りに配設され、前記回転軸を中心とする円の周方向に沿って着磁されると共に、その周方向に沿って隣設するもの同士では逆方向に着磁された複数の永久磁石(524)と、軟磁性体によって構成され、前記各永久磁石間に配設されたコア(522)と、を有するものである。
【0015】
第7の態様は、前記回転子(620)は、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子と対向する部分に突極性を有するリラクタンス回転子であるものである。
【0016】
第8の態様は、前記第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び前記第2巻線固定子(40;240;340;440;740)は、前記巻線が巻回されるコア(34,44;734,744)を有するものである。
【0017】
第9の態様は、前記各巻線(36,46;236,246;336,346;436,446)が集中巻されているものである。
【0018】
第10の態様は、前記各巻線(736,746)が分布巻されているものである。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転機によると、前記第1巻線固定子に設けられた所定の相の巻線と、この所定の相の巻線に対して前記回転軸を挟んで対向する位置にある巻線であって前記第2巻線固定子に設けられた他の2つの相の巻線とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成され、これらの各スター結線巻線組が独立した中性点を持ちつつ並列に接続されている。このため、回転子が傾くと、前記第1巻線固定子に設けられた所定の相の巻線と、これにスター結線された他の2つの相の巻線とについて、同時に、対応するギャップが小さくなり、或は、対応するギャップが大きくなる。そして、小さくなったギャップに対応する各巻線では、その部分で磁気抵抗が小さくなってインダクタンスが増加し、これにより、電流が低下して吸引力が小さくなる。従って、両巻線固定子側で、回転子の傾きによりギャップが狭まった部分での吸引力を小さくすることができる。逆に、大きくなったギャップに対応する各巻線では、その部分で磁気抵抗が大きくなってインダクタンスが低下し、これにより電流が上昇して吸引力が大きくなる。従って、両巻線固定子側で、回転子の傾きによりギャップが狭まった部分での吸引力を小さくすることができる。これにより、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設けた形態のアキシャルギャップ型回転機において、回転子の傾きを有効に抑制し得る。
【0020】
また、第2の態様によると、巻線による磁界の発生態様及び各第1巻線固定子及び第2巻線固定子での磁気回路と同等にすることで、回転子の傾きをより有効に抑制し得る。
【0021】
第3の態様によると、前記回転子の第1巻線固定子側及び前記第2巻線固定子側のそれぞれで独立した磁気回路が構成されるので、同相の前記各巻線に関して、前記第1巻線固定子に設けられた巻線と、前記第2巻線固定子に設けられた巻線とを、前記回転軸を挟んで対向する位置に配設可能なように、前記回転子の前記第1巻線固定子側の面の磁極及び前記第2巻線固定子側の面の磁極を設定することができる。
【0022】
第4の態様によると、回転軸方向に沿って一層の磁石で、両固定子に対して磁極を呈することができる。
【0023】
第5の態様によると、軟磁性体によって構成された界磁子磁性体によって、永久磁石に作用する減磁界の影響を緩和し、もって、永久磁石が減磁するのを防止できる。
【0024】
第6の態様によると、比較的少ない永久磁石によっても、第1の巻線固定子及び第2の巻線固定子のそれぞれに対して独立した磁気回路を構成できる。
【0025】
第7の態様によると、リラクタンストルクによって回転子に働くトルクを増大させることができる。
【0026】
また、第8の態様によると、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子は、前記巻線が巻回されるティースを有すると、磁気抵抗を小さくでき、磁束漏れを小さくできる。
【0027】
特に、巻線が集中巻されていると、回転軸の周方向に沿って精密に傾きを制御して抑制できる。
【0028】
特に、各巻線が分布巻されていると、1つの巻線に対するインダクタンスの状態が、複数のティースのギャップ間隔に影響を与えるため、傾き補正効果が顕著である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図1は本実施形態にかかるアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図であり、図2は同アキシャルギャップ型回転機をさらに分解した状態を示す分解斜視図であり、図3は同アキシャルギャップ型回転機における各巻線の結線図である。
【0030】
このアキシャルギャップ型回転機10は、1つの回転子20を備えると共に、2つの固定子として第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40を備えている。回転子20は、略円盤状に形成されており、2つの固定子30.40も略円盤状に形成されている。2つの固定子30,40は、回転子20の両面側に配設されており、当該回転子20を回転させるべく磁界を発生させる。
【0031】
各部についてより詳細に説明する。
【0032】
回転子20は、軸受によって回転自在に支持された回転軸部(共に図示省略)を介して所定の回転軸28周りに回転自在に配設されている。また、この回転子20は、回転軸28方向における両面において、当該回転軸28周りに交互の磁極を呈している。
【0033】
具体的には、回転子20は、回転軸28周りに間隔をあけて複数の永久磁石22を有している。各永久磁石22は、回転軸28周りのドーナツ板状部材を複数(ここでは8つ)に分割した形状、即ち、回転軸28周りに延びる弧状かつ帯状の板形状に形成されている。また、各永久磁石22は、回転軸28に沿った方向、即ち、永久磁石22の厚み方向に着磁されており、その両面にN極又はS極の磁極を呈する。これらの永久磁石22は、回転軸28の周りで環状かつ交互の磁極を呈するように配設されている。これにより、回転軸28方向に沿って一層の永久磁石22によって、つまり、比較的少ない数の永久磁石22で、両巻線固定子30,40に対して磁極を呈することができる。ここでは、回転子20は、8極として構成されている。そして、後述する各巻線36,46に3相交流を流すことによって、本回転子20が回転するようになっている。なお、リング状部材を周方向に、回転軸28方向に交互に着磁することによって、回転子20を構成してもよい。
【0034】
また、各永久磁石22の両面、即ち、各永久磁石22のうち回転軸28方向に沿った両端に、軟磁性体によって構成された界磁子磁性体24が設けられている。この界磁子磁性体24は、いわゆるロータコアとも呼ばれるものであり、ここでは、上記永久磁石22よりも大きい(ここでは一回り大きい)板形状に形成されており、上記永久磁石22の両面に重ね合せ状に配設されている。
【0035】
この界磁子磁性体によって、励磁された固定子30,40の外部磁界によって回転子20に減磁界が作用した場合に、各永久磁石22に作用する減磁界の影響を緩和し、もって、各永久磁石22が減磁するのを防止している。
【0036】
なお、これらの各永久磁石22及び各回転子磁心24は、非磁性体によって形成されるホルダ(図示省略)によって上記配設形態で一体化した状態で保持されると共に、回転軸部に固定されている。なお、上記配設形態では、各永久磁石22及び各回転子磁心24は、隣設するもの同士間で、空隙又は非磁性体によって磁気的に分離されている。
【0037】
第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40は、回転軸28方向において回転子20の両側に、当該回転子20に対してギャップ(ここでは僅かなギャップ)を隔てて対向するように配設されている。各第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40は、図示省略のケーシング等に固定されている。
【0038】
第1巻線固定子30は、第1バックヨークコア33と複数のティース(巻線コア)34とを有する第1固定子コア32と、複数の巻線36U1,36U2,36U3,36U4,36V1,36V2,36V3,36V4,36W1,36W2,36W3,36W4(以下、第1巻線固定子30に設けられた巻線を総称する場合には、単に巻線36という)とを有している。ここでは、第1巻線固定子30は、巻線36が12個設けられており、機械角30゜間隔で配設されている。つまり、本第1巻線固定子30は、12スロットの集中巻形態として構成されている。
【0039】
第1バックヨークコア33は、磁性体によって構成されており、略中央部に孔部32hが形成された略円盤状に形成されている。
【0040】
各ティース34は、第1バックヨークコア33のうち回転子20側の面に、回転軸28周りの周方向に沿って間隔をあけて環状に配設されている。なお、互いに周方向に隣接する各ティース34間は、略等間隔である。各ティース34は、回転軸28と略直交する方向において、2等辺三角形状の各長短を丸めた形状を有する厚板状に形成されており、回転軸28から外方向に向けて順次幅広になる姿勢で配設されている。このティース34は、ティースの断面積を大きくしつつ、巻線面積を増大させる形状であり、磁気抵抗を小さくし、永久磁石の動作点を高くすることにより、永久磁石の磁束を有効に利用させる役割を有している。
【0041】
各巻線36は、上記各ティース34に巻回されている。各巻線36は、上記ティース34の外周形状に応じた形状に巻回された略三角環状形状に形成されている。また、第1巻線固定子30は、同相の巻線36を複数、即ち、U相の巻線36U1,36U2,36U3,36U4を4つ、V相の巻線36V1,36V2,36V3,36V4を4つ、W相の巻線36W1,36W2,36W3,36W4を4つ有している。
【0042】
また、この第1巻線固定子30では、各ティース34の回転子20側の面に幅広磁心38がそれぞれ設けられている。各幅広磁心38は、回転軸28と略直交する平面において、ティース34よりも大きい(ここでは一回り大きな)広がりを有する板状部材に形成されており、本第1巻線固定子30と回転子20との対向面積を増してギャップ部分での磁気抵抗を小さくし、もって、回転子20の磁束がより多く鎖交できるようにしている。なお、この幅広磁心38を省略してもよい。
【0043】
なお、上記第1バックヨークコア33、各ティース34及び各幅広磁心38は、軟磁性体、例えば、圧粉鉄心や積層鋼板等で構成される。これらは、全体を一体として形成してもよく、或は、製造上の必要性に応じて適宜分割し組合わせて形成してもよい。
【0044】
第2巻線固定子40は、上記第1巻線固定子30と同様構成を有しており、即ち、第2バックヨークコア43(第1バックヨークコア33に対応する)と複数のティース44(ティース34に対応する)とを有する第2固定子コア42(第1固定子コア32に対応する)と、複数の巻線46U5,46U6,46U7,46U8,46V5,46V6,46V7,46V8,46W5,46W6,46W7,46W8(上記巻線36U1,36U2,36U3,36U4,36V1,36V2,36V3,36V4,36W1,36W2,36W3,36W4に対応する、以下、第2巻線固定子40に設けられた巻線を総称する場合には、単に巻線46という)と、幅広磁心48(上記幅広磁心38に対応する)とを有している。
【0045】
上記固定子コア32,42は、形状、材料等において厳密に同じ構成である必要はないが、少なくとも磁気的には実質的に同じであることが好ましい。ここで、磁気的には実質的に同じであるとは、例えば、巻線に鎖交する磁束が、第1巻線固定子と、第二巻線固定子とで、ほぼ同一であるという意味である。これは、環状電流をできるだけ小さくするという目的からの要請である。
【0046】
これらの第1巻線固定子30と第2巻線固定子40とをそれらの相互関係で説明する。
【0047】
上記第1巻線固定子30では、巻線36は、回転軸28周りに3相交互に配設するようにして、より具体的には、巻線36U1を基準にして、図2の上方から右回りに巻線36V1,巻線36W1,巻線36U2,巻線36V2,巻線36W2,巻線36U3,巻線36V3,巻線36W3,巻線36U4,巻線36V4,巻線36W4の並び順で環状に配設されている。第2巻線固定子40では、回転軸28周りに上記第1巻線固定子30と同方向で3相交互に配設するようにして、より具体的には、巻線46U5を基準にして、つまり、図2の上方から右回りに巻線46V5,巻線46W5,巻線46U6,巻線46V6,巻線46W6,巻線46U7,巻線46V7,巻線46W7,巻線46U8,巻線46V8,巻線46W8の並び順で環状に配設されている。
【0048】
また、各相の配置関係に関して、所定相の巻線36,46は、回転子20を挟んで他の2相の巻線36,46との間に対向する位置関係にある。例えば、U相の巻線36U1は、回転子20を挟んで他のV相、W相の巻線46V8,46W8との間に対向する位置関係にある。そして、第2巻線固定子40の他の2相の巻線46(例えば、巻線46V8,46W8)による合成磁界は、U+V+W=0より、第1巻線固定子30側の所定相の巻線36(例えば、36U1)に応じた磁界となる。これにより、両巻線固定子30,40は、その周方向に沿って各部で同期した回転磁界を発生させて、回転子20を回転させることができる。集中巻の場合、それぞれの巻線固定子30,40で巻線36,46が偶数の場合には、回転軸28周りに半スロット分ずらすことによって、上記配置関係にしている。
【0049】
このように、第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40には、実質的に同じ配設態様及び実質的に同じ巻数で、巻線36,46が設けられている。このように巻線36,46による磁界の発生態様及び両巻線固定子30,40での磁気回路を同等にすることで、両巻線固定子30,40での磁気吸引力の発生態様を同じにし、後述する作用によって回転子20の傾きをより有効に抑制し得るようにしている。
【0050】
また、回転子20を基準にすると、第1巻線固定子30の各巻線36の巻回方向と第2巻線固定子40の各巻線46の巻回方向とは同一方向である。換言すれば、回転軸28に沿って一方側から見れば、第1巻線固定子30の各巻線36の巻回方向と第2巻線固定子40の各巻線46の巻回方向とは逆方向である。ここで、巻線36,46の巻回方向とは、実際にコイル線をどちらの向きで巻いていくかということではなく、後述するようにして結線して電源側から中性点側に電流が流れる方向、つまり、電源側の端端部からティース34,44周りに巻回されて中性点側の端部に至る方向を意味している。なお、以下の各実施形態及び各変形例の説明でも巻線の巻回方向とは同内容を意味している。図2では、巻線36U1,36V1,36W1及び巻線46U5,46V5,46W5の外周側に付された矢印が巻線36,46の巻回方向を示している。なお、以下の各実施形態の説明でも、巻線近傍に設けられた矢印はその巻回方向を示している。
【0051】
これにより、両側の第1巻線固定子30の巻線36及び第2巻線固定子40の巻線46に所定相の電流が流れたとき、例えば、U相の巻線36U1,36U2,36U3,36U4及び46U5,46U6,46U7,46U8に電流が流れたとき、第1巻線固定子30の巻線36U1,36U2,36U3,36U4には、図1及び図2の下向きに磁束が流れ、第2巻線固定子40の巻線46V5,46V6,46V7,46V8,46W5,46W6,46W7,46W8の各V相及びW相間にも、それらの合成磁界によって、図1及び図2の下向きに磁束が流れる。そして、一方の巻線36U1,36U2,36U3,36U4と、他方の巻線46V5,46V6,46V7,46V8,46W5,46W6,46W7,46W8の各V相及びW相間とは、回転子20を挟んで対向しているので、第1巻線固定子30と第2巻線固定子40とは連続した磁気回路を構成することになる。
【0052】
上記各巻線36,46は、次の態様で結線されている。即ち、図3に示すように、第1巻線固定子30に設けられた所定の相の巻線36と、この所定の相の巻線36に対して回転軸28を挟んで対向する位置にある巻線46であって第2巻線固定子40に設けられた他の2つの相の巻線46とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成されている。なお、ここで、一方の巻線固定子30,40に設けられた所定の相の巻線36,46と、他方の巻線固定子30,40に設けられた他の2つの相の巻線36,46とが、回転軸28を挟んで対向するとは、他の2つの相の巻線36,46を全体としてみて、所定の相の巻線36,46と対向している関係をいう。例えば、第1巻線固定子30のU相の巻線36U1は、回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子40の他のV相及びW相の巻線46V6,46W6と共に中性点を介してスター結線されてスター結線巻線組が構成されている。また、他の巻線36,46についても同様にそれぞれ独立した中性点でスター結線されることで、複数(ここでは、合計8つ)のスター結線巻線組が構成されている。そして、これらのスター結線巻線組が電源に対して並列に接続されている。
【0053】
このように構成されたアキシャルギャップ型回転機10によると、回転子20の両端側に巻線固定子30,40が配設されているため、回転子20は、回転軸28方向に短く径方向に長い構成となり易い。そうすると、回転子20が僅かでも傾くと、回転子20の外周部近傍では、両巻線固定子30,40のギャップ差は大きくなってしまう傾向にある。特に、上記回転子20の形態からして、回転子20を回転軸部で保持する保持部分の長さは短くなる傾向にあるので、回転子20は傾き易い傾向にあり、上記問題を生じる可能性は大きい。
【0054】
そして、上記回転子20の傾きにより、第1巻線固定子30の所定のU相の巻線(例えば、巻線36U1)部分で、ギャップ長が最小になると、これと回転軸28を挟んで対向する位置にある第2巻線固定子40のV相及びW相の巻線(例えば、巻線46V6,46W6)部分でもギャップ長は最小になる。これらの巻線(例えば、巻線36U1と巻線46V6,46W6)部分では、上記ギャップ長が小さくなることにより、そこでの磁気抵抗が小さくなる。そして、当該巻線(例えば、巻線36U1と巻線46V6,46W6)で、第1巻線固定子30側の界磁子磁性体24での磁気的短絡が多いこと等が原因で、インダクタンスが大きくなり、これにより所定電圧下での電流が小さくなると共に通過磁束数が減少し、磁気吸引力が減少する。また、U相の巻線(例えば、巻線36U1)からV相の巻線(例えば、巻線46V6)に電流が順方向又は逆方向に電流が流れるとき、又は、U相の巻線(例えば、巻線36U1)からW相の巻線(例えば、巻線46W6)に電流が順方向又は逆方向に電流が流れるときに着目すると、U相の巻線(例えば、巻線36U1)に対してV相の巻線(例えば、巻線46V6)及びW相の巻線(例えば、巻線46W6)は直列に接続されていると捉えることができる。このため、上記の所定のU相の巻線(例えば、巻線36U1)部分でギャップ長が最小になると、3相の巻線(例えば、巻線36U1,46V6,46W6)の相互作用によって、自己のインダクタンス増加に伴い電流が小さくなることにより、電流による磁束数が減少して、磁気吸引力が減少する。
【0055】
これと同時に、上記第1巻線固定子30の所定のU相の巻線(例えば、巻線36U1)と回転子20を挟んで対向する第2巻線固定子40のV相及びW相の巻線(例えば、巻線46V8,46W8)部分と、これと回転軸28を挟んで対向する位置にある第1巻線固定子30のU相の巻線(例えば、巻線36U3)部分では、ギャップ長は最大になり、そこでの磁気抵抗が大きくなる。そして、これらの巻線(例えば、巻線36U3と巻線46V8,46W8)では、第2巻線固定子40側の界磁子磁性体24での磁気的短絡が少ないこと等が原因で、インダクタンスが小さくなり、これにより所定電圧下での電流が大きくなると共に通過磁束数が増加して、磁気吸引力が増加する。また、上記と同様の捉え方とすると、U相の巻線(例えば、巻線36U3)に対して、V相及びW相の各巻線(例えば、巻線46V8,46W8)はそれぞれ直列に接続されていると捉えることができる。このため、3相の巻線(例えば、巻線36U3,46V8,46W8)の相互作用によって、自己のインダクタンス増加に伴い電流が小さくなることにより、電流による磁束数が減少して、磁気吸引力が減少する。
【0056】
しかも、上記のようにギャップが小さくなる部分に対応するスター結線巻線組(例えば、巻線36U1,46V6,46W6を含むもの)と、ギャップが大きくなる部分に対応するスター結線巻線組(例えば、巻線36U3,46V8,46W8を含むもの)とは、電源に対して並列接続されている。このため、一方のスター結線巻線組の電流増加又は減少の影響を受けても、他方のスター結線巻線組の電流が減少し又は増加するため、この点からも、電流の増加又は減少程度が大きくなって、磁気吸引力の増加及び減少程度がより大きくなる。他のU相、W相に着目しても同様になる。
【0057】
以上により、回転子20と両巻線固定子30,40間で、ギャップが小さくなった部分では、磁気吸引力を減らし、ギャップが大きくなった部分では磁気吸引力を増加させて、回転子20の傾きを解消して抑制することができる。このような現象は、回転子20をより高速で回転させるほど、磁束の変化速度が大きくなるため、より有効に傾き補正を是正すると考えられる。
【0058】
{第2実施形態}
次に、第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。なお、上記第1実施形態と同様構成については、同一符号を付してその説明を省略する。図4は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0059】
このアキシャルギャップ型回転機210は、いわゆる補極構造を採用した例であり、第1実施形態に対して、巻線の配置態様が異なっている。すなわち、第1巻線固定子230では、巻線236U1,236W1,236V1,236U2,236W2,236V2(以下、これらの巻線を総称する場合には単に巻線236という)が、各ティース34に対して周方向に1つおきに巻回されている。換言すれば、上記第1実施形態における巻線36を周方向に1つおきに省略した構成とされている。また、第2巻線固定子240では、巻線246W3,246V3,246U3,246W4,246V4,246U4(以下、これらの巻線を総称する場合には単に巻線246という))が、各ティース44に対して周方向に1つおきに巻回されている。換言すれば、上記第1実施形態における巻線46を周方向に1つおきに省略した構成とされている。
【0060】
なお、上記第1実施形態の場合と同様の能力を得るため、各巻線236,246の巻数は、巻線36,46の倍にすることが好ましい。
【0061】
また、第1巻線固定子230と第2巻線固定子240との関係に関して、上記第1実施形態では半スロット分ずれていたのに対して、ここでは、それぞれのティース34,44が互いに対向する位置関係に配設されている。そして、一方の巻線固定子230,240の所定相の巻線36,46に回転軸28を挟んで対向する他方の巻線固定子230,240の位置には、空きティース34,44が補極として配設されている。そして、この補極としてのティース34,44を挟む位置に他の2相の巻線36,46が設けられている。例えば、第1巻線固定子230の所定のU相の巻線236U1に対して、回転子20を挟んで対向する補極としてのティース44を挟む位置にV相及びW相の巻線246V4,246W4が対向しており、さらに、第2巻線固定子240のV相及びW相の巻線246V3,246Wが全体として回転軸28を挟んで対向する位置に配設されている。
【0062】
また、回転子20を基準にすると、第1巻線固定子230の各巻線236の巻回方向と第2巻線固定子240の各巻線246の巻回方向とは逆方向、換言すれば、回転軸28に沿って一方側から見れば、各巻線236の巻回方向と各巻線246の巻回方向とは同方向である。
【0063】
各巻線236,246の結線態様は、図5に示すように、第1巻線固定子230に設けられた所定相の巻線236と、この所定の相の巻線236に対して回転軸28を挟んで対向する位置にある巻線246であって第2巻線固定子240に設けられた他の2つの相の巻線246とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成されている。例えば、第1巻線固定子230のU相の巻線236U1は、回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子240の他のV相及びW相の巻線246V3,246W3と共に中性点を介してスター結線されてスター結線巻線組が構成されている。また、他の巻線36,46についても同様にそれぞれ独立した中性点でスター結線されることで、複数(ここでは、合計4つ)のスター結線巻線組が構成されている。そして、これらのスター結線巻線組が電源に対して並列に接続されている。
【0064】
このアキシャルギャップ型回転機210では、各巻線236,246に3相交流を流すと、各巻線236,246が巻回されたティース34,44では、当該巻線236,246に流れる電流に応じた磁束が発生する。また、各巻線236,246が巻回されていない補極であるティース34,44では、その両側のティース34,44で発生した第1の相及び第2の相(例えば、U相及びV相)に応じた磁束により、第3の相(例えば、W相)に応じた磁束が発生する。これにより、上記第1実施形態と同様の回転磁界を発生させることができる。
【0065】
本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機210でも、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、巻線236,246数を少なくできるので、並列接続する巻線236,246の数が減り、結線をより簡易かつコンパクト化することができる。
【0066】
{第3実施形態}
第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図6は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0067】
このアキシャルギャップ型回転機310は、集中巻形態で、6極9スロットにした例である。すなわち、このアキシャルギャップ型回転機310は、回転子320と、回転子320の両側に設けられた第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340とを有している。
【0068】
回転子320は、第1実施形態における8極の回転子20を、6極の回転子320にした点で異なっており、他は当該回転子20と同様構成である。
【0069】
第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340は、第1実施形態における12スロットの第1巻線固定子30及び第2巻線固定子40に対して以下の点で異なっている。すなわち、第1巻線固定子330は、第1固定子コア332に対して、9個の巻線336U1,336V1,336W1,336U2,336V2,336W2,336U3,336V3,336W3(以下、これらを総称する場合には、単に巻線336という)を回転軸28周りにこの順で配設した9スロット構成とされている。また、第2巻線固定子340は、第2固定子コア342に対して、9個の巻線346U4,346V4,346W4,346U5,346V5,346W5,346U6,346V6,346W6(以下、これらを総称する場合には、単に巻線346という)を回転軸28周りにこの順で配設した9スロット構成とされている。また、回転子320から見ると、両巻線固定子330,340の巻線336,346の巻回方向は異なる方向、即ち、回転軸28の一方側から見ると同巻回方向とされている。各巻線固定子330,340のその他の構成は、上記巻線固定子30,40と同様である。
【0070】
また、両巻線固定子330,340の関係に関して、各巻線336,346は各相を互いに対向させる位置に配設されている。つまり、それぞれの両巻線固定子330,340が奇数の巻線336,346を有する場合、上記位置関係にすることで、一方の巻線固定子330,340の所定相の巻線336,346と、回転軸28を挟んで対向する他方の巻線固定子330,340の他の2相の巻線336,346とを対向して配置できる。
【0071】
このアキシャルギャップ型回転機310における結線態様は、図7に示すようになっている。すなわち、第1巻線固定子330に設けられた所定相の巻線336と、この所定の相の巻線336に対して回転軸28を挟んで対向する位置にある巻線346であって第2巻線固定子340に設けられた他の2つの相の巻線346とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成されている。例えば、第1巻線固定子330のU相の巻線336U1が回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子340の他のV相及びW相の巻線346V5,346W5と共に中性点を介してスター結線されることで、スター結線巻線組が構成されている。また、他の巻線336,346についても同様にそれぞれ独立した中性点でスター結線されることで、複数(ここでは、合計6つ)のスター結線巻線組が構成されている。そして、これらのスター結線巻線組が電源に対して並列に接続されている。
【0072】
このアキシャルギャップ型回転機310では、第1巻線固定子330の各巻線336と第2巻線固定子340の各巻線346で共通する回転磁界を生成して回転子320を回転させることができる。
【0073】
つまり、上記第1実施形態では、各巻線固定子30,40のそれぞれに偶数の巻線36,46が設けられている場合に係る構成であったが、本アキシャルギャップ型回転機310では、第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340のそれぞれに奇数の巻線336,346が設けられた場合の配置関係を開示している。このアキシャルギャップ型回転機310によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
{第4実施形態}
第4実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図8は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0075】
このアキシャルギャップ型回転機410は、集中巻形態で、6極9スロットにした例である。第1巻線固定子430は、第1固定子コア432に対して、9個の巻線436U1,436V1,436W1,436U2,436V2,436W2,436U3,436V3,436W3(以下、これらを総称する場合には、単に巻線436という)を回転軸28周りにこの順で配設した9スロット構成とされている。また、第2巻線固定子440は、第2固定子コア442に対して、9個の巻線446U4,446V4,446W4,446U5,446V5,446W5,446U6,446V6,446W6(以下、これらを総称する場合には、単に巻線446という)を回転軸28周りにこの順で配設した9スロット構成とされている。これらの巻線436及び巻線446の配置関係は、上記第3実施形態と同様である。つまり、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440は、基本的には、上記第3実施形態における第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340と同様構成である。異なる点は、巻線436,446の巻回方向である。すなわち、回転子420から見ると、両巻線固定子430,440の巻線436,446の巻回方向は同方向、即ち、回転軸28の一方側から見ると逆巻回方向とされている。
【0076】
これらの各巻線436,446も上記第3実施形態と同様態様で結線されている。
【0077】
また、回転子420は、第1巻線固定子430側に磁極を呈する複数の永久磁石422aと、第2巻線固定子440側に磁極を呈する複数の永久磁石422bと、ロータバックヨーク424とを有している。
【0078】
各永久磁石422aは、第1巻線固定子430側に交互の磁極を呈し、各永久磁石422bは第2巻線固定子440側に交互の磁極を呈し、これらはロータバックヨーク424の両面に貼着けてある。また、各永久磁石422aと各永久磁石422bとは、ロータバックヨーク424を介して独立しており、それぞれ第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440との間で独立した磁気回路を形成するようになっている。
【0079】
このような回転子420では、第1巻線固定子430側と第2巻線固定子440側とで独立した磁気回路を形成するので、各巻線436,446を所望の位置に配設するように、各永久磁石422aと各永久磁石422bとの位置をずらして配設することができる。そこで、一方の巻線固定子430,440の所定相の巻線436,446と、他方の巻線固定子430,440の他の2相の巻線436,446とが、回転軸28を挟んで対向する位置関係となるように、各永久磁石422aや各永久磁石422bによる磁極を設定することができる。
【0080】
ここでは、回転子420の周方向所定部分で、第1巻線固定子430側の面及び第2巻線固定子440側の面の両方で同一の磁極を呈するように各永久磁石422aや各永久磁石422bによる磁極を設定することで、巻線436,446が上記位置関係に配設されるようにしている。
【0081】
かかるアキシャルギャップ型回転機410によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、回転子420の両面で別々の磁気回路を形成しているため、両巻線固定子430,440の巻線436,446の設置態様に応じて各磁極を設定することで、一方の巻線固定子430,440の所定相の巻線436,446と、他方の巻線固定子430,440の他の2相の巻線436,446とが、回転軸28を挟んで対向する位置関係となるように配設することができる。また、回転子420の両面で別々の磁気回路を形成しており、しかも、ロータバックヨーク424の磁路断面積が大きくなる傾向にあるため、回転子420の両面側でインダクタンスの差が生じ易い。このため、回転子420が傾いた場合に、磁気吸引力の差がより生じ易く、より有効に回転子420の傾きを解消することができる。
【0082】
{第5実施形態}
第5実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図9は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0083】
このアキシャルギャップ型回転機510は、集中巻形態で、6極9スロットにした例であり、回転子520と、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440とを備えている。第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440は、第4実施形態で説明したものと同様構成であるのでここでは説明を省略する。
【0084】
回転子520は、回転軸28周りに配設された複数の永久磁石524と、各永久磁石524間に配設された軟磁性体により形成されたコア522とを有している。
【0085】
各永久磁石524は、板状に形成されており、弧状棒状のコア522を介してリング状に連結されている。また、各永久磁石524は、回転軸28を中心とする円の周方向に沿って着磁されており、また、その着磁方向は、周方向に沿って隣設するもの同士の関係では互いに逆方向となっている。なお、この回転子520は、非磁性体で形成された回転軸部に固定され又は非磁性体のボスを介して回転軸部に固定される等、回転軸部への磁束漏洩を防止した態様で回転軸部に固定されている。
【0086】
この回転子520は、各コア522部分で、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440の双方に対して、交互の磁極を呈する。この際、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440のそれぞれに対して、独立した磁気回路を形成する。
【0087】
このため、上記第4実施形態と同様の作用効果を奏する。加えて、比較的少ない永久磁石522の数で、第1巻線固定子430及び第2巻線固定子440のそれぞれに対して、独立した磁気回路を形成することができる。
【0088】
{第6実施形態}
次に、第6実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図10は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0089】
このアキシャルギャップ型回転機610は、上記第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機310における回転子320に代えて、突極性を有する回転子620を備えた構成とすることで、リラクタンストルクによって回転運動を得るスイッチトリラクタンスモータを構成している。
【0090】
すなわち、回転子620は、永久磁石を有さず、軟磁性体によって構成されている。回転子620は、図示省略の回転軸部に連結固定される回転子ヨーク部622と、回転子ヨーク部622から外周側に向けて突出する複数(ここでは6つ)の突極部624とを有している。各突極部624は、回転軸28周りに略等間隔で配設されており、両巻線回転子330,340に対して突極性を呈する。なお、第1巻線固定子330及び第2巻線固定子340は、上記第3実施形態で説明したものと同様構成である。
【0091】
そして、上記各巻線336,346によって周方向に沿った連続的な磁気吸引力を発生させることによって、回転子620が回転するようになっている。
【0092】
このようにスイッチトリラクタンスモータとして構成したアキシャルギャップ型回転機610においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0093】
{第7実施形態}
第7実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機について説明する。図11は本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【0094】
このアキシャルギャップ型回転機710は、分布巻の8極24スロットの形態であり、回転子20と、第1巻線固定子730及び第2巻線固定子740とを備えている。
【0095】
回転子20は、第1実施形態における8極の回転子20と同様構成である。
【0096】
第1巻線固定子730は、第1バックヨークコア733と、第1バックヨークコア733のうち回転子20側の面に回転軸28周りに突設された複数個(ここでは24個)のティース734とを有する第1固定子コア732と、巻線736U1,736U2,736V1,736V2,736W1,736W2(以下、これらを総称する場合には、単に巻線736という)とを備えている。
【0097】
巻線736U1,736V1,736W1,736U2,736V2,736W2は、それぞれ3つのティース734に跨って巻回され、かつ、各間に1つのティース734を介在させるようにして、その順で回転軸28周りに配設されている。
【0098】
第2巻線固定子740は、第1バックヨークコア743と、第1バックヨークコア743のうち回転子20側の面に回転軸28周りに突設された複数個(ここでは24個)のティース744とを有する第2固定子コア742と、巻線746U3,746U4,746V3,746V4,746W3,746W4(以下、これらを総称する場合には、単に巻線746という)とを備えている。
【0099】
巻線746U3,746V3,746W3,746U4,746V4,746W4は、それぞれ3つのティース744に跨って巻回され、かつ、各間に1つのティース744を介在させるようにして、その順で回転軸28周りに配設されている。
【0100】
そして、一方の巻線固定子730,740の各ティース734,744のうち所定相の巻線736,746が巻回されたものの周方向中間部のものと、他方の巻線固定子730,740の各ティース734,744のうち他の相の巻線736,746が巻回されたもの間に位置するものとを対向させた姿勢で、かつ、両巻線固定子730,740の各ティース734,744のうち所定相の巻線736,746が巻回されたものの周方向両端部に位置するもの同士を対向させた姿勢で、両巻線固定子730,740が配設されている。例えば、第1巻線固定子730の各ティース734のうち所定のU相の巻線736U1が巻回されたものの周方向中間部のものと、第2巻線固定子740の各ティース744のうち他のV相及びW相の巻線746V4,746W4が巻回されたもの間に位置するものとを対向させている。また、第1巻線固定子730の各ティース734のうち所定のU相の巻線736U1が巻回されたものの周方向両端部のものと、第2巻線固定子740の各ティース744のうち他のV相及びW相の巻線746V4,746W4が巻回されたものの周方向端部に位置するものとを対向させている。
【0101】
つまり、両巻線固定子730,740は、少なくとも各ティース734,744の位置及び形状と、各巻線736,746の相順及び巻数とに関して、回転軸28と略直交する両巻線固定子730,740間の平面を基準にした鏡面対称形状にしかつ、回転軸28を中心にして機械角(180/N)゜、(ここで、N=(回転子の極数)/4)、即ち、電気角で1周期分回転させた対称性を持たせている。ここでは、N=(8/4)=2であり、機械角で90゜回転させた対称性を持たせている。
【0102】
また、両巻線固定子730,740の各巻線736,746の巻回方向は、回転子20から見て逆方向、換言すれば、回転軸28の一方側から見ると同方向に巻回されている。
【0103】
つまり、このアキシャルギャップ型回転機710は、1つの回転子に対して1つの巻線固定子を設けた場合に、当該巻線固定子に分布巻形態として配設される巻線を2つに分けて、それぞれ第1巻線固定子730及び第2巻線固定子740に設けた構成と捉えることができる。
【0104】
そして、各ティース734,744において、第1巻線固定子730に設けられた各巻線736や第2巻線固定子740に設けられた各巻線746の単独磁界又は合成磁界によって、回転子20を回転軸28周りに回転させる磁束を発生させるようになっている。
【0105】
また、上記各巻線736及び各巻線746は図12に示すようにして結線されている。すなわち、第1巻線固定子730の所定相の所定の巻線736(例えば、巻線736U1)と、これに対して回転軸28を挟んで対向する第2巻線固定子740側の他の2相の巻線746(例えば、巻線746V3,746W3)とが中性点を介してスター結線されて、スター結線巻線組が構成されている。同様に他の巻線736,746もそれぞれ中性点を介してスター結線されて、合計4つのスター結線巻線組が構成されている。そして、これらの複数のスター結線巻線組が電源に対して並列に接続されている。
【0106】
このように各巻線736,746を分布巻したアキシャルギャップ型回転機710においても、各相の巻線736,746の配置関係からして、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、分布巻の形態では、複数のティース734,744のギャップ間隔の大小が、1つの巻線736,746のインダクタンスによる影響を受けるため、傾き補正の効果が顕著となる。
【0107】
{変形例}
なお、上記各アキシャルギャップ型回転機を駆動する電源としては、電圧一定駆動するものであっても電流一定駆動するものであっても上記作用効果を得ることができる。
【0108】
なお、上記したアキシャルギャップ型回転電機は、モータとしても発電機としても使用することができる。
【0109】
また、上記各実施形態及び変形例に係る構成は、相互に反しない限り、互いに適宜組合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図2】同上のアキシャルギャップ型回転機をさらに分解した状態を示す分解斜視図である。
【図3】同上のアキシャルギャップ型回転機の結線図である。
【図4】第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図5】同上のアキシャルギャップ型回転機の結線図である。
【図6】第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図7】同上のアキシャルギャップ型回転機の結線図である。
【図8】第4実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図9】第5実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図10】第6実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図11】第7実施形態に係るアキシャルギャップ型回転機を示す分解斜視図である。
【図12】同上のアキシャルギャップ型回転機の結線図である。
【符号の説明】
【0111】
10;210;310;410;510;610;710 アキシャルギャップ型回転機
20;320;420;520;620 回転子
22;422a,422b;524 永久磁石
24 界磁子磁性体
28 回転軸
30;230;330;430;730 第1巻線固定子
32;332;432;732 第1固定子コア
34;734 ティース
36,36U1,36U2,36U3,36U4,36V1,36V2,36V3,36V4,36W1,36W2,36W3,36W4;236,236U1,236W1,236V1,236U2,236W2,236V2;336,336U1,336V1,336W1,336U2,336V2,336W2,336U3,336V3,336W3;436,436U1,436V1,436W1,436U2,436V2,436W2,436U3,436V3,436W3;736,736U1,736U2,736V1,736V2,736W1,736W2 巻線
38 幅広磁心
40;240;340;440;740 第2巻線固定子
42;342;442;742 第2固定子コア
44;744 ティース
46,46U5,46U6,46U7,46U8,46V5,46V6,46V7,46V8,46W5,46W6,46W7,46W8;246,246W3,246V3,246U3,246W4,246V4,246U4;346,346U4,346V4,346W4,346U5,346V5,346W5,346U6,346V6,346W6;446,446U4,446V4,446W4,446U5,446V5,446W5,446U6,446V6,446W6;746,746U3,746U4,746V3,746V4,746W3,746W4 巻線
48 幅広磁心
522 コア
624 突極部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(28)を中心として回転自在に配設された回転子(20;320;420;520;620)と、
前記回転軸方向における前記回転子の両側に、前記回転子に対してギャップを隔てて対向するように配設された第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び第2巻線固定子(40;240;340;440;740)と、
を備え、
前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子のそれぞれに、3相の巻線(36,46;236,246;336,346;436,446;736,746)が、各相毎に複数個設けられており、
前記第1巻線固定子に設けられた所定の相の巻線と、この所定の相の巻線に対して前記回転軸を挟んで対向する位置にある巻線であって前記第2巻線固定子に設けられた他の2つの相の巻線とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成され、これらの各スター結線巻線組が独立した中性点を持ちつつ並列に接続されている、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;410;510;610;710)。
【請求項2】
請求項1記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び前記第2巻線固定子(40;240;340;440;740)には、実質的に同じ配設態様及び実質的に同じ巻数で前記各巻線(36,46;236,246;336,346;436,446;736,746)が設けられており、
前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子は、磁気的に実質的に同じ固定子コア(32,42;332,342;432,442;732,742)を有する、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;410;510;610;710)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記回転子(420)は、前記第1巻線固定子(430)側の面に磁極を呈する永久磁石(422a)と、前記第2巻線固定子(440)側の面に磁極を呈する永久磁石(422b)とが、独立した磁気回路を形成するように設けられている、アキシャルギャップ型回転機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記回転子(20;320)は、前記回転軸方向に沿って着磁された永久磁石(22)を有する、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;710)。
【請求項5】
請求項4記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記永久磁石(22)のうち前記回転軸方向に沿った両端に、軟磁性体によって構成された界磁子磁性体(24)が設けられた、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;710)。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記回転子(520)は、
前記回転軸周りに配設され、前記回転軸を中心とする円の周方向に沿って着磁されると共に、その周方向に沿って隣設するもの同士では逆方向に着磁された複数の永久磁石(524)と、
軟磁性体によって構成され、前記各永久磁石間に配設されたコア(522)と、
を有するアキシャルギャップ型回転機(510)。
【請求項7】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記回転子(620)は、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子と対向する部分に突極性を有するリラクタンス回転子である、アキシャルギャップ型回転機(610)。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び前記第2巻線固定子(40;240;340;440;740)は、前記巻線が巻回されるコア(34,44;734,744)を有する、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;410;510;610;710)。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記各巻線(36,46;236,246;336,346;436,446)が集中巻されている、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;410;510;610)。
【請求項10】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記各巻線(736,746)が分布巻されている、アキシャルギャップ型回転機(710)。
【請求項1】
回転軸(28)を中心として回転自在に配設された回転子(20;320;420;520;620)と、
前記回転軸方向における前記回転子の両側に、前記回転子に対してギャップを隔てて対向するように配設された第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び第2巻線固定子(40;240;340;440;740)と、
を備え、
前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子のそれぞれに、3相の巻線(36,46;236,246;336,346;436,446;736,746)が、各相毎に複数個設けられており、
前記第1巻線固定子に設けられた所定の相の巻線と、この所定の相の巻線に対して前記回転軸を挟んで対向する位置にある巻線であって前記第2巻線固定子に設けられた他の2つの相の巻線とがスター結線されることで複数のスター結線巻線組が構成され、これらの各スター結線巻線組が独立した中性点を持ちつつ並列に接続されている、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;410;510;610;710)。
【請求項2】
請求項1記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び前記第2巻線固定子(40;240;340;440;740)には、実質的に同じ配設態様及び実質的に同じ巻数で前記各巻線(36,46;236,246;336,346;436,446;736,746)が設けられており、
前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子は、磁気的に実質的に同じ固定子コア(32,42;332,342;432,442;732,742)を有する、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;410;510;610;710)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記回転子(420)は、前記第1巻線固定子(430)側の面に磁極を呈する永久磁石(422a)と、前記第2巻線固定子(440)側の面に磁極を呈する永久磁石(422b)とが、独立した磁気回路を形成するように設けられている、アキシャルギャップ型回転機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記回転子(20;320)は、前記回転軸方向に沿って着磁された永久磁石(22)を有する、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;710)。
【請求項5】
請求項4記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記永久磁石(22)のうち前記回転軸方向に沿った両端に、軟磁性体によって構成された界磁子磁性体(24)が設けられた、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;710)。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記回転子(520)は、
前記回転軸周りに配設され、前記回転軸を中心とする円の周方向に沿って着磁されると共に、その周方向に沿って隣設するもの同士では逆方向に着磁された複数の永久磁石(524)と、
軟磁性体によって構成され、前記各永久磁石間に配設されたコア(522)と、
を有するアキシャルギャップ型回転機(510)。
【請求項7】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記回転子(620)は、前記第1巻線固定子及び前記第2巻線固定子と対向する部分に突極性を有するリラクタンス回転子である、アキシャルギャップ型回転機(610)。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記第1巻線固定子(30;230;330;430;730)及び前記第2巻線固定子(40;240;340;440;740)は、前記巻線が巻回されるコア(34,44;734,744)を有する、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;410;510;610;710)。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記各巻線(36,46;236,246;336,346;436,446)が集中巻されている、アキシャルギャップ型回転機(10;210;310;410;510;610)。
【請求項10】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転機であって、
前記各巻線(736,746)が分布巻されている、アキシャルギャップ型回転機(710)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−252976(P2008−252976A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87654(P2007−87654)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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