アキシャルギャップ型回転機
【課題】コストの低減を図った従来にない新規な構成のアキシャルギャップ型回転機を提供する。
【解決手段】ロータ2aに対向するステータ3aのステータ磁極を外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極対33で構成し、外径側磁極35a、内径側磁極36aの極性が隣りの磁極対33の外径側磁極35a、内径側磁極36aそれぞれの極性と逆の極性とし、外径側磁極35aと内径側磁極36aの少なくとも同じ極性のものを永久磁石により形成し、外径側磁極35aと内径側磁極36aとの間に、環状コイル4が磁極面を周回するように設けてコイル量を少なくしたアキシャルギャップ型発電機1aを提供する。
【解決手段】ロータ2aに対向するステータ3aのステータ磁極を外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極対33で構成し、外径側磁極35a、内径側磁極36aの極性が隣りの磁極対33の外径側磁極35a、内径側磁極36aそれぞれの極性と逆の極性とし、外径側磁極35aと内径側磁極36aの少なくとも同じ極性のものを永久磁石により形成し、外径側磁極35aと内径側磁極36aとの間に、環状コイル4が磁極面を周回するように設けてコイル量を少なくしたアキシャルギャップ型発電機1aを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に発電機として用いられるアキシャルギャップ型回転機に関し、詳しくは、コストの低減を図った従来にない新規な構成の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機として用いられるアキシャルギャップ型回転機は、基本的に、ロータとステータが磁極面が対向するようにロータ軸方向に配置された構造であり、ラジアルギャップ型のものより軽量、小型に大きな磁極面積を確保することができ、車両(自動車)の各種の発電機や風力発電機等として有用である。
【0003】
図13は風力発電機にも利用可能な従来のアキシャルギャップ型回転機100の斜視図を示し、このアキシャルギャップ型回転機100は、図示していないロータ軸(回転軸)に間隔を設けて円板状の3個のロータ103、105、103が取り付けられ、これらのロータ103、105、103間の隙間に円板状のステータ104が配置され、3個のロータ103、105、103と2個のステータ104、104とを、磁極面が対向するように交互に配置した5層構造である。両端の2個のロータ103、103は、ステータ104に対向する片面(磁極面)に外径側の複数個の永久磁石106aと内径側の複数の永久磁石106bが環状に配設されている。中央(真ん中)のロータ105は、ステータ104、104に対向する両面(磁極面)それぞれに外径側の複数個の永久磁石107aと内径側の複数個の永久磁石107bが環状に配設されている。2個のステータ104、104は、両面(磁極面)それぞれに外径側の複数個の磁極位置に集中巻きされたコイル108aと内径側の複数個の磁極位置に集中巻ききされたコイル108bが環状に配設されている。そして、ロータ軸が回転することによってロータ103、105、103が回転し、ステータ104、104のコイル108a、108bから発電出力(起電力)が取り出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のアキシャルギャップ型回転機100の場合、とくにステータ104、104には、発電出力を取り出すための多数のコイル108a、108bを設ける必要があり、コイル量が極めて多くなる。そのため、アキシャルギャップ型回転機100が、重く、かつ、大型になり、組み付けも容易でなく、高価になる問題がある。
【0006】
本発明は、コストの低減を図った従来にない新規な構成のアキシャルギャップ型回転機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、ロータとステータとが磁極面が対向するようにロータ軸方向に配置され、前記ロータにロータ磁極が周方向に配設され、前記ステータにステータ磁極が周方向に配設されたアキシャルギャップ型回転機であって、前記ロータ磁極、前記ステータ磁極のいずれか一方は外径側磁極と内径側磁極の磁極対で構成され、前記磁極対は、前記外径側磁極、前記内径側磁極の極性が隣りの前記磁極対の前記外径側磁極、前記内径側磁極それぞれの極性と逆の極性であり、前記外径側磁極と前記内径側磁極は、少なくとも同じ極性のものが永久磁石により形成され、前記外径側磁極と前記内径側磁極との間に、環状コイルが磁極面を周回するように設けられることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
また、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、前記円環状コイルが前記ステータに設けられることを特徴としている(請求項2)。
【0009】
また、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、前記ステータ磁極が前記磁極対で構成され、前記ロータ磁極は鉄心磁極であることを特徴としている(請求項3)。
【0010】
また、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、前記外径側磁極、前記内径側磁極の前記永久磁石で形成されないものは鉄心磁極であり、前記鉄心磁極を励磁する界磁コイルを備えることを特徴としている(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明のアキシャルギャップ型回転機は、発電機の場合、外径側磁極及び内径側磁極の極性が隣りの磁極対の外径側磁極、内径側磁極の極性と逆の極性であることから、ロータが回転することにより、外径側磁極と内径側磁極との間の位置の環状コイルに交番する起電力が生じ、前記環状コイルから方形波状の単相発電出力が取り出される。
【0012】
そして、発電出力を取り出す前記環状コイルが、外径側磁極と内径側磁極との間の位置に磁極面を廻るように設けられるので、磁極対毎に発電出力を取り出すコイルを設けたりすることなく、前記環状コイルを各磁極対の共通のコイルとして発電出力を取り出すことができる。この場合、必要なコイル量が磁極対毎に発電出力を取り出すコイルを設ける場合等より少なくなり、アキシャルギャップ型回転機が軽量、小型でシンプルに構成でき、コイルの製作性や組付け性が向上し、コストの低減を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る本発明のアキシャルギャップ型回転機は、回転しないステータ側に前記環状コイルを設けるので、発電機の場合、環状コイルからの発電出力の取り出しが、回転するロータ側に設ける場合には必要な回転自在な接点構造等を設けることなく、容易かつ安価に行なえる。
【0014】
請求項3に係る本発明のアキシャルギャップ型回転機は、回転しないステータのステータ磁極に永久磁石が用いられ、回転するロータには永久磁石が用いられない。そして、ロータの構造が突極だけの堅牢な構造となるので、ロータは遠心力に強く、高回転が可能である。したがって、アキシャルギャップ型発電機が高出力で、一層小型かつ軽量になる。
【0015】
請求項4に係る本発明のアキシャルギャップ型回転機は、発電機の場合、界磁コイルへの通電を調整することにより、発電出力の電圧を調整することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機の斜視図である。
【図2】図1のアキシャルギャップ型回転機の発電出力の取り出し回路例の説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機の斜視図である。
【図4】(a)は図3の組み付けた状態の側面図、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機を示し、(a)は組み付けた状態の側面図、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機の斜視図である。
【図7】(a)は図6の組み付けた状態の側面図、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機を示し、(a)は組み付けた状態の側面図、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図9】(a)は本発明の第5の実施形態のステータの側面図、(b)はそのステータを背面から見た背面図である。
【図10】(a)は本発明の第5の実施形態のステータの一部を除去した斜視図、(b)はステータヨークの斜視図である。
【図11】本発明の第6の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機の斜視図である。
【図12】(a)は図11のロータ磁極面の正面図であり、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図13】従来の組み付け前の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、実施形態について、図1〜図12を参照して詳述する。なお、それらの図面においては、モータ軸や断面のハッチング等は適宜省略している。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
【0019】
図1は本実施形態のアキシャルギャップ型回転機である永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1aの構成を示し、この発電機1aは、それぞれ円板状のロータ2aとステータ3aとが磁極面が対向するようにロータ軸(図示せず)方向に配置され、ロータ2aは中心開口21を貫通するロータ軸に取り付けられてロータ軸とともに回転し、ステータ3aは図示省略した固定手段によって固定され中心開口31にロータ軸が遊挿されている。
【0020】
ロータ2aは磁性体又は非磁性体(アルミや樹脂)の円板状のロータケース22aを有し、ロータケース22aの周方向の180度離れた2位置の磁極面側に、圧粉磁心等で形成された略90度の扇型の突極を嵌め込んで形成した鉄心磁極のロータ磁極23がステータ3aの磁極面に対向するように配設されている。
【0021】
ステータ3aは円板状のステータヨーク32のロータ2aに対向する磁極面側に、ステータ磁極として、磁極面の略1/4等分に分割した略90度の扇型の形状の4個の磁極対33が分離用の隙間34を設けて周方向に配設されている。なお、発電出力を得るため、ステータ3には、ロータ磁極23の2倍の個数の磁極対33を設けることが望ましい。そこで、本実施形態の場合、2個のロータ磁極23に対してステータ磁極としての磁極対33は4個に設定されている。
【0022】
各磁極対33は径方向の中央部が後述する環状コイル4を設けるための隙間を設けて外径側と内径側に分割され、外径側が外径側磁極35a、内径側が内径側磁極36aを形成する。
【0023】
外径側磁極35a、内径側磁極36aは、本実施形態の場合、いずれも永久磁石によって形成される。
【0024】
なお、外径側磁極35aと内径側磁極36aは接していてもよいが、外径側磁極35aと内径側磁極36aが接していると、その部分が磁極として有効に作用しなくなるので、外径側磁極35aと内径側磁極36aは前記したように隙間を設けて電磁気的に絶縁分離することが好ましい。
【0025】
そして、各磁極対33の外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極面側の磁極は、外径側磁極35aと内径側磁極36aのいずれか一方がN極、他方がS極であり、しかも、各磁極対33の外径側磁極35aは周方向両隣の磁極対33の外径側磁極35aとは逆の極性であり、各磁極対33の内径側磁極36aも周方向両隣の磁極対33の内径側磁極36aと逆の極性である。したがって、各磁極対33の外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極面側の磁極の組み合わせが、磁極対33毎に交番して逆になる。
【0026】
つぎに、各磁極対33の外径側磁極35aと内径側磁極36aの間の位置、すなわち、各磁極対33の径方向中央部の前記した隙間には、発電出力を取り出すための適当なターン数の環状コイル4が磁極面を周回するループ状に設けられる。また、環状コイル4の両端4a、4bは発電機1から引き出されている。
【0027】
上記構成のアキシャルギャップ型発電機1のロータ軸が回転すると、それに軸支されているロータ2aが回転する。180度離れた2個の突極構造のロータ磁極23は、ロータ2aが1/4回転(電気角の半周期)する間に、ステータ3aの外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極配列が同一の180度離れた2磁極対33を同時に通過し、ロータ2aがさらに1/4回転する間には、ステータ3aの外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極配列が先程とは逆の180離れた2磁極対33を同時に通過する。このくり返しにより、環状コイル4はロータ2aが半回転する毎に正負に交番する方形波パルス状の起電力が発生して環状コイル4の両端4a、4bから取り出される。
【0028】
したがって、本実施形態のアキシャルギャップ型発電機1aは、下記(1)〜(5)の効果を奏する。
【0029】
(1)ステータ磁極を外径側磁極35aと内径側磁極36aに分割された磁極対33で形成したため、ステータ3aの周方向に極性が異なるステータ磁極を配設する場合等に比してステータヨーク32が薄くなる。
【0030】
(2)特許文献1の磁極対毎の径小の集中巻きのコイルではなく、ステータ3aの磁極面を周回する径大の1個の環状コイル4で各磁極対33の起電力を取り出すので、アキシャルギャップ型発電機1aはコイル量が少なく、軽量、小型でシンプルに構成することができ、コイルの製作性やステータへの組付け性が容易で向上し、コストの低減を図ることができる。
【0031】
(3)回転しないステータ3aのステータ磁極が永久磁石の磁極対33で形成され、回転するロータ2aの突極構造の鉄心のロータ磁極23には永久磁石を取り付けないため、ロータ2aが堅牢な構造になる。
【0032】
(4)ロータ2aにおいて、ステータ3aの各磁極対33に対向するロータ磁極23の部分を磁性体としてロータケース22aに収納することにより、ロータケース22aが樹脂等で形成して軽量化できる。
【0033】
(5)ロータ磁極23がロータケース22aより突出し、環状コイル4にステータ3aから突出した部分がある場合、ロータ磁極23の環状コイル4の部分に凹部を形成し、この凹部に環状コイル4のステータ3aから突出した部分を回転自在に収容することにより、アキシャルギャップ型発電機1aの軸長を短くすることができる。
【0034】
ところで、アキシャルギャップ型発電機1aの環状コイル4によって取り出された正負に交番する方形波パルス状の発電出力は、ロータ2aの回転数に比例して電圧が変化する単相交流である。
【0035】
そこで、アキシャルギャップ型発電機1aを、例えば自動車の補機用発電機や排気ターボの軸に取り付ける超高速発電機として用いる場合、前記単相交流を一定電圧の直流電圧に変換する必要がある。
【0036】
図2はロータ軸5の回転により発生するアキシャルギャップ型発電機1の前記単相交流を一定電圧の直流電圧に変換する発電出力調整回路6の一例を示し、この調整回路6は、環状コイル4の両端4a、4bの発電出力の前記単相交流をダイオードブリッジの整流回路61により全波整流して直流に変換し、この直流をコンデンサ62により平滑化する。このとき、コンデンサ62の容量に比して整流回路61の直流出力の電圧変化は大きく、平滑化された直流出力の電圧Vaはロータ2の回転数Nに比例して変化する。
【0037】
そこで、コンデンサ62により平滑化された直流出力を、ステップダウンコンバータ63により、所望の低電圧(例えば12V)Vdcに降圧した直流出力に変換する。ステップダウンコンバータ63は、スイッチングトランジスタ64、このトランジスタ64がオフしたときの電流路用のダイオード65、電流源用のインダクタ66、ローパスフィルタ用のコンデンサ67により形成され、スイッチングトランジスタ64のスイッチングと、このスイッチングに基づくインダクタ66の電流変化とに基づいて、前記平滑化された直流出力を降圧する。このとき、ステップダウンコンバータ63の出力電圧Vdcを検出して、スイッチングトランジスタ64のオン/オフの比を変えることにより、出力電圧Vdcをフィードバック制御して安定化してもよい。
【0038】
そして、アキシャルギャップ型発電機1aに発電出力調整回路6のボードを組み付けることにより、所望の定電圧の直流を出力する、前記の補機用発電機や超高速発電機に好適な発電出力調整回路付きの永久磁石・アキシャルギャップ型発電機を提供できる。なお、ステップダウンコンバータ63の構成等はどのようであってもよい。
【0039】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図3、図4を参照して説明する。それらの図面において、図1、図2と同一符号は同一もしくは相当するものを示す。
【0040】
図3は本実施形態の界磁コイル付の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1bの組み付け前の状態を示し、図4(a)は永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1bを組み付けた状態の側面図(断面図)、同図(b)はそのステータ磁極面の正面図である。それらの図面に示すように、永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1bが、前記第1の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1aと異なる点は以下の点である。
【0041】
第1の実施形態のロータ1aに対応するロータ2bは、磁性体の円板状のロータケース22bを有し、ロータケース22bにロータ磁極23が設けられている。
【0042】
第1の実施形態のステータ3aに対応するステータ3bの4個の磁極対33は、外径側磁極35aと内径側磁極36aのいずれか一方だけが永久磁石で形成され、他方は鉄心磁極(コンシクエント極)である。
【0043】
図3、図4では永久磁石の磁極を外径側磁極35am、内径側磁極36amで示す、外径側磁極35amは界磁コイル4を挟んで隣り合う一方の2磁極対33の隣り合う2個の外径側の磁極であり、内径側磁極36amは界磁コイル4を挟んで隣り合う他方の2磁極対33の隣り合う2個の内径側の磁極である。
【0044】
そして、前記一方の2磁極対33の外径側磁極35amは相互に逆の極性の磁極であり、同様に、他方の2磁極対33の内径側磁極36amも相互に逆の極性の磁極である。換言すれば、ステータ3の界磁コイル4を挟んで一方、他方の片側半面それぞれの隣り合う2磁極対33は、同じ極性(N極またはS極)の磁極が外側、内側に交互に配置される。
【0045】
そこで、本実施形態のステータ3bの磁極面は、外径側がある位置から時計回りに、鉄心の外径側磁極35a、N極の外径側磁極35am、S極の外径側磁極35am、鉄心の外径側磁極35aになる。内径側は、周方向に外径側と同じ位置から時計回りに、N極の内径側磁極36am、鉄心の外径側磁極35a、鉄心の外径側磁極35a、S極の内径側磁極36amになる。
【0046】
さらに、ステータ3bは、鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aを励磁する一つの環状の界磁コイル7を備える。
【0047】
界磁コイル7は隙間34の凹部にステータヨーク32に巻くように収容され、その上を環状コイル4が交差するように通る。このとき、界磁コイル7を収容する隙間34は磁極面から見て他の部分より凹部状に背面側に窪ませ、ロータ軸に影響を与えないようにすることが好ましい。
【0048】
そして、界磁コイル7の両端7a、7bに直流が給電されて界磁コイル7に界磁電流が流れると、界磁コイル7を挟んで周方向に隣り合う鉄心磁極の2個の外径側磁極35aがN極、S極に励磁され、同様に、界磁コイル7を挟んで周方向に隣り合う鉄心磁極の2個の内径側磁極36aもN極、S極に励磁され、その結果、各磁極対33の鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aは環状コイル4を介して隣り合う各磁極対33の永久磁石の外径側磁極35am、内径側磁極36amと異なる極性に励磁される。したがって、本実施形態のステータ3bも第1の実施形態のステータ3aと同様に、径方向及び周方向に隣接する全てのステータ磁極の極性が異なり、環状コイル4の端子4a、4bから発電出力が取り出される。したがって、永久磁石の使用個数を少なくして第2の実施形態と同様の効果を奏する。
【0049】
ここで、前記界磁電流の大きさによって発電電圧(出力)を調整でき、前記界磁電流がゼロで流れなければ、取り出される発電電圧は第1の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ発電機1aの約半分になり、前記界磁電流が負ならば、さらに発電電圧を小さくすることもできる。すなわち、本実施形態の場合、界磁コイル7を備えることにより。その通電方向や大きさを調整して発電電圧を調整できる利点がさらに生じる。
【0050】
また、界磁コイル7が発生する磁束の磁路は、ステータヨーク32の永久磁石取り付け部分も含めた幅の部分(図4(b)の実線Bの部分)であり、これは内径側の磁極の径方向の幅(図4(b)の実線Aの部分)よりも広いので(B>A)、ステータヨーク32の厚みを薄くして磁路断面積を確保することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、図5(a)、(b)を参照して説明する。図5(a)は本実施形態の界磁コイル付の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1cを組み付けた状態の側面図、同図(b)はそのステータ磁極面の正面図である。なお、図5(a)は同図(b)の一点破線a、aで切断した断面位置の側面図である。それらの図面において、図3、図4と同一符号は同一もしくは相当するものを示す。
【0052】
永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1cが、第2の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1bと異なる点は、第2の実施形態の1個の界磁コイル7に代えて、周方向に複数個(図では2個)配置した界磁コイル71a、71bを、界磁コイル71a、71bを介して隣り合うそれぞれ2個の鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aが同じ極性方向に励磁されるように各隙間34に巻回した点である。
【0053】
本実施形態の場合、界磁コイル71a、71bをステータヨーク32の周方向断面を囲う小さなコイルにより形成して第2の実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0054】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。図6は本実施形態の界磁コイル付の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1dの組み付け前の状態を示し、図7(a)は永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1dを組み付けた状態の側面図、同図(b)はそのステータ磁極面の正面図である。それらの図面において、図3〜図6と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、図7(a)は同図(b)の一点破線b、bで切断した断面位置の側面図である。
【0055】
永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1dが、第2、第3の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1b、1cと異なる点は、ステータ3a、3bと同様のステータ3cにおいて、ステータヨーク32の一部の隙間34の部分を周方向に繋がらないように切り欠いて切欠部34aに形成し、界磁コイル71cを少なくとも切欠部34aの対角の隙間34に鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aを周方向に励磁するように配置し、界磁コイル71cに磁束を発生する直流を給電するようにした点である。
【0056】
この場合、永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1dは、切欠部34aにより界磁コイル7cの磁束がステータヨーク32を周回して短絡することが防止され、その磁束によってステータ3cの鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aが励磁され、本実施形態のステータ3cも径方向及び周方向に隣接する全てのステータ磁極の極性が異なる。したがって、小さな1個の界磁コイル7cにより第2、第3の実施形態と同様の効果を奏する。
【0057】
そして、界磁コイル71cは、ステータヨーク32の周方向に1個所設ければよく、また、ステータヨーク32の周方向断面を囲う小さなコイルであってよく、第3の実施形態の界磁コイル71a、71bの半分の大きさであり、コイル量が一層少なくなる。なお、界磁コイル7cは絶縁ボビン等を用いてステータヨーク32に券回してもよく、開口部37の空隙を利用してステータヨーク32に直接巻き込んでもよい。
【0058】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について、図8〜図10を参照して説明する。図8(a)は本実施形態の界磁コイル付の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eを組み付けた状態の側面図、同図(b)はそのステータ磁極面の正面図、図9(a)、(b)はステータ3dの側面図、背面図である。図10(a)は永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eの鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aを取り付けた状態のステータ3dの斜視図、同図(b)は同図(a)から外径側磁極35a、内径側磁極36aを取り除いた状態のステータ3dの斜視図である。それらの図面において、図3〜図8と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、図8(a)、図9(a)は図8(b)、図9(b)それぞれの矢印線の方向から見たものである。
【0059】
永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eも第4の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eと同様に、ステータcと同様のステータ3dにおいて、ステータヨーク32の一部の隙間34の部分を周方向に磁束が繋がらないように切欠部34aに形成し、界磁コイル71cに対応する1個の界磁コイル71dを少なくとも切欠部34aの対角の隙間34に鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aを周方向に励磁するように配置し、界磁コイル71dに磁束を発生する直流を給電するようにしている。
【0060】
さらに、永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eが永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eと異なる点は、界磁コイル71dのコイルエンド部を略L字状に折り曲げ、ステータ3dの背面部での界磁コイル71dの位置を界磁コイル71cとはずらし、ステータ3dに接近するようにして軸方向の厚みを薄くするようにした点である。なお、図10(a)、(b)に示したように界磁コイル71dを収容する隙間34は磁極面から見て他の部分より凹部状に背面側に窪み、ロータ軸に影響を与えないようになっている。
【0061】
したがって、本実施形態の場合、ステータ3d背面への界磁コイル71dの突出を防ぎ、ステータ3dを薄型にすることができる利点もあり、ステータ3d背面の界磁コイル71dの部分以外のスベースに、整流回路等を配置して装置全体の小型化を図ることも可能である。
【0062】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態について、図11、図12(a)、(b)を参照して説明する。
【0063】
図11は本実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1fの組み付け前の斜視図であり、図12(a)、(b)はそのロータ2c、ステータ3eの磁極面の正面図である。それらの図面において、図1、図2と同一符号は同一もしくは相当するものを示す。
【0064】
永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1fは最も簡素な構成であり、ロータ2cは、円板状のロータコア24の磁極面の半分に鉄心の突極で構成されたロータ磁極23cを設け、前記磁極面の残りの半分にはカウンタウエイト24が設けられ、1極(1極対)+カウンタウェイト24の構成である。ステータ3eは、ステータコア32の磁極面側に磁極面の略半分(180度)ずつの2個の磁極対33が設けられ、両磁極対33はそれぞれ環状コイル4で外径側、内径側に区切られた部分が永久磁石の外径側磁極35am、内径側磁極36amで形成され、2極対の構成である。
【0065】
そして、本実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1fの場合、最も簡単な磁極構成で第1の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1aと同様の効果が得られる。
【0066】
以上説明したように、各実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1a〜1fは、発電出力を取り出すコイル量が極めて少なく、軽量、かつ、小型になる。また、ステータ3a〜3eのステータ磁極が外径側と内径側に分割された磁極対33で形成されるので、少なくともステータ3a〜3fのヨークを薄くでき、一層、小型、軽量に形成できる。さらに、ロータ2a〜2cには永久磁石を取り付けないので鉄心だけの堅牢な構造が可能であり、遠心力に強く、高回転が可能になる。しかも、ステータ3a〜3eのコイル4、7、71a〜71dは円環状あるいは楕円環状であるのでコイル製作が容易で、低コストであり、組付性もよい。したがって、小型、軽量で高出力、組み付けが容易な、従来にない新奇な構造のアキシャルギャップ型回転機を提供することができる。
【0067】
そして、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、環状コイル4はロータ2a〜2c側に設けてもよい。この場合、ロータ2a〜2cとともに環状コイル4が回転するので、発電出力の取り出しには回転自在の接点構造を用いる必要がある。
【0068】
また、ロータ2a〜2c及びステータ3a〜3eの磁極数等は前記各実施形態の磁極数に限るものではない。
【0069】
そして、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、アキシャルギャップ型発電機だけでなくアキシャルギャップ型モータとしても用いることができ、例えば、永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1a〜1fの構成を3相分備えることにより、アキシャルギャップモータとして用いることができる。この場合、環状コイル4は給電によりステータ3a〜3eの磁極を励磁する磁束発生用のコイルを形成する。
【0070】
そして、本発明は、種々の用途のアキシャルギャップ型発電機、アキシャルギャップ型モータに適用できる。
【符号の説明】
【0071】
1a〜1f 永久磁石・アキシャルギャップ型発電機
2a〜2c ロータ
3a〜3e ステータ
4 環状コイル
7、71a〜71d 界磁コイル
33 磁極対
23、23c ロータ磁極
35a、35am 外径側磁極
36a、36am 内径側磁極
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に発電機として用いられるアキシャルギャップ型回転機に関し、詳しくは、コストの低減を図った従来にない新規な構成の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機として用いられるアキシャルギャップ型回転機は、基本的に、ロータとステータが磁極面が対向するようにロータ軸方向に配置された構造であり、ラジアルギャップ型のものより軽量、小型に大きな磁極面積を確保することができ、車両(自動車)の各種の発電機や風力発電機等として有用である。
【0003】
図13は風力発電機にも利用可能な従来のアキシャルギャップ型回転機100の斜視図を示し、このアキシャルギャップ型回転機100は、図示していないロータ軸(回転軸)に間隔を設けて円板状の3個のロータ103、105、103が取り付けられ、これらのロータ103、105、103間の隙間に円板状のステータ104が配置され、3個のロータ103、105、103と2個のステータ104、104とを、磁極面が対向するように交互に配置した5層構造である。両端の2個のロータ103、103は、ステータ104に対向する片面(磁極面)に外径側の複数個の永久磁石106aと内径側の複数の永久磁石106bが環状に配設されている。中央(真ん中)のロータ105は、ステータ104、104に対向する両面(磁極面)それぞれに外径側の複数個の永久磁石107aと内径側の複数個の永久磁石107bが環状に配設されている。2個のステータ104、104は、両面(磁極面)それぞれに外径側の複数個の磁極位置に集中巻きされたコイル108aと内径側の複数個の磁極位置に集中巻ききされたコイル108bが環状に配設されている。そして、ロータ軸が回転することによってロータ103、105、103が回転し、ステータ104、104のコイル108a、108bから発電出力(起電力)が取り出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のアキシャルギャップ型回転機100の場合、とくにステータ104、104には、発電出力を取り出すための多数のコイル108a、108bを設ける必要があり、コイル量が極めて多くなる。そのため、アキシャルギャップ型回転機100が、重く、かつ、大型になり、組み付けも容易でなく、高価になる問題がある。
【0006】
本発明は、コストの低減を図った従来にない新規な構成のアキシャルギャップ型回転機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、ロータとステータとが磁極面が対向するようにロータ軸方向に配置され、前記ロータにロータ磁極が周方向に配設され、前記ステータにステータ磁極が周方向に配設されたアキシャルギャップ型回転機であって、前記ロータ磁極、前記ステータ磁極のいずれか一方は外径側磁極と内径側磁極の磁極対で構成され、前記磁極対は、前記外径側磁極、前記内径側磁極の極性が隣りの前記磁極対の前記外径側磁極、前記内径側磁極それぞれの極性と逆の極性であり、前記外径側磁極と前記内径側磁極は、少なくとも同じ極性のものが永久磁石により形成され、前記外径側磁極と前記内径側磁極との間に、環状コイルが磁極面を周回するように設けられることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
また、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、前記円環状コイルが前記ステータに設けられることを特徴としている(請求項2)。
【0009】
また、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、前記ステータ磁極が前記磁極対で構成され、前記ロータ磁極は鉄心磁極であることを特徴としている(請求項3)。
【0010】
また、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、前記外径側磁極、前記内径側磁極の前記永久磁石で形成されないものは鉄心磁極であり、前記鉄心磁極を励磁する界磁コイルを備えることを特徴としている(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明のアキシャルギャップ型回転機は、発電機の場合、外径側磁極及び内径側磁極の極性が隣りの磁極対の外径側磁極、内径側磁極の極性と逆の極性であることから、ロータが回転することにより、外径側磁極と内径側磁極との間の位置の環状コイルに交番する起電力が生じ、前記環状コイルから方形波状の単相発電出力が取り出される。
【0012】
そして、発電出力を取り出す前記環状コイルが、外径側磁極と内径側磁極との間の位置に磁極面を廻るように設けられるので、磁極対毎に発電出力を取り出すコイルを設けたりすることなく、前記環状コイルを各磁極対の共通のコイルとして発電出力を取り出すことができる。この場合、必要なコイル量が磁極対毎に発電出力を取り出すコイルを設ける場合等より少なくなり、アキシャルギャップ型回転機が軽量、小型でシンプルに構成でき、コイルの製作性や組付け性が向上し、コストの低減を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る本発明のアキシャルギャップ型回転機は、回転しないステータ側に前記環状コイルを設けるので、発電機の場合、環状コイルからの発電出力の取り出しが、回転するロータ側に設ける場合には必要な回転自在な接点構造等を設けることなく、容易かつ安価に行なえる。
【0014】
請求項3に係る本発明のアキシャルギャップ型回転機は、回転しないステータのステータ磁極に永久磁石が用いられ、回転するロータには永久磁石が用いられない。そして、ロータの構造が突極だけの堅牢な構造となるので、ロータは遠心力に強く、高回転が可能である。したがって、アキシャルギャップ型発電機が高出力で、一層小型かつ軽量になる。
【0015】
請求項4に係る本発明のアキシャルギャップ型回転機は、発電機の場合、界磁コイルへの通電を調整することにより、発電出力の電圧を調整することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機の斜視図である。
【図2】図1のアキシャルギャップ型回転機の発電出力の取り出し回路例の説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機の斜視図である。
【図4】(a)は図3の組み付けた状態の側面図、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機を示し、(a)は組み付けた状態の側面図、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機の斜視図である。
【図7】(a)は図6の組み付けた状態の側面図、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機を示し、(a)は組み付けた状態の側面図、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図9】(a)は本発明の第5の実施形態のステータの側面図、(b)はそのステータを背面から見た背面図である。
【図10】(a)は本発明の第5の実施形態のステータの一部を除去した斜視図、(b)はステータヨークの斜視図である。
【図11】本発明の第6の実施形態の組み付け前のアキシャルギャップ型回転機の斜視図である。
【図12】(a)は図11のロータ磁極面の正面図であり、(b)はそのステータ磁極面の正面図である。
【図13】従来の組み付け前の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、実施形態について、図1〜図12を参照して詳述する。なお、それらの図面においては、モータ軸や断面のハッチング等は適宜省略している。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
【0019】
図1は本実施形態のアキシャルギャップ型回転機である永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1aの構成を示し、この発電機1aは、それぞれ円板状のロータ2aとステータ3aとが磁極面が対向するようにロータ軸(図示せず)方向に配置され、ロータ2aは中心開口21を貫通するロータ軸に取り付けられてロータ軸とともに回転し、ステータ3aは図示省略した固定手段によって固定され中心開口31にロータ軸が遊挿されている。
【0020】
ロータ2aは磁性体又は非磁性体(アルミや樹脂)の円板状のロータケース22aを有し、ロータケース22aの周方向の180度離れた2位置の磁極面側に、圧粉磁心等で形成された略90度の扇型の突極を嵌め込んで形成した鉄心磁極のロータ磁極23がステータ3aの磁極面に対向するように配設されている。
【0021】
ステータ3aは円板状のステータヨーク32のロータ2aに対向する磁極面側に、ステータ磁極として、磁極面の略1/4等分に分割した略90度の扇型の形状の4個の磁極対33が分離用の隙間34を設けて周方向に配設されている。なお、発電出力を得るため、ステータ3には、ロータ磁極23の2倍の個数の磁極対33を設けることが望ましい。そこで、本実施形態の場合、2個のロータ磁極23に対してステータ磁極としての磁極対33は4個に設定されている。
【0022】
各磁極対33は径方向の中央部が後述する環状コイル4を設けるための隙間を設けて外径側と内径側に分割され、外径側が外径側磁極35a、内径側が内径側磁極36aを形成する。
【0023】
外径側磁極35a、内径側磁極36aは、本実施形態の場合、いずれも永久磁石によって形成される。
【0024】
なお、外径側磁極35aと内径側磁極36aは接していてもよいが、外径側磁極35aと内径側磁極36aが接していると、その部分が磁極として有効に作用しなくなるので、外径側磁極35aと内径側磁極36aは前記したように隙間を設けて電磁気的に絶縁分離することが好ましい。
【0025】
そして、各磁極対33の外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極面側の磁極は、外径側磁極35aと内径側磁極36aのいずれか一方がN極、他方がS極であり、しかも、各磁極対33の外径側磁極35aは周方向両隣の磁極対33の外径側磁極35aとは逆の極性であり、各磁極対33の内径側磁極36aも周方向両隣の磁極対33の内径側磁極36aと逆の極性である。したがって、各磁極対33の外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極面側の磁極の組み合わせが、磁極対33毎に交番して逆になる。
【0026】
つぎに、各磁極対33の外径側磁極35aと内径側磁極36aの間の位置、すなわち、各磁極対33の径方向中央部の前記した隙間には、発電出力を取り出すための適当なターン数の環状コイル4が磁極面を周回するループ状に設けられる。また、環状コイル4の両端4a、4bは発電機1から引き出されている。
【0027】
上記構成のアキシャルギャップ型発電機1のロータ軸が回転すると、それに軸支されているロータ2aが回転する。180度離れた2個の突極構造のロータ磁極23は、ロータ2aが1/4回転(電気角の半周期)する間に、ステータ3aの外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極配列が同一の180度離れた2磁極対33を同時に通過し、ロータ2aがさらに1/4回転する間には、ステータ3aの外径側磁極35aと内径側磁極36aの磁極配列が先程とは逆の180離れた2磁極対33を同時に通過する。このくり返しにより、環状コイル4はロータ2aが半回転する毎に正負に交番する方形波パルス状の起電力が発生して環状コイル4の両端4a、4bから取り出される。
【0028】
したがって、本実施形態のアキシャルギャップ型発電機1aは、下記(1)〜(5)の効果を奏する。
【0029】
(1)ステータ磁極を外径側磁極35aと内径側磁極36aに分割された磁極対33で形成したため、ステータ3aの周方向に極性が異なるステータ磁極を配設する場合等に比してステータヨーク32が薄くなる。
【0030】
(2)特許文献1の磁極対毎の径小の集中巻きのコイルではなく、ステータ3aの磁極面を周回する径大の1個の環状コイル4で各磁極対33の起電力を取り出すので、アキシャルギャップ型発電機1aはコイル量が少なく、軽量、小型でシンプルに構成することができ、コイルの製作性やステータへの組付け性が容易で向上し、コストの低減を図ることができる。
【0031】
(3)回転しないステータ3aのステータ磁極が永久磁石の磁極対33で形成され、回転するロータ2aの突極構造の鉄心のロータ磁極23には永久磁石を取り付けないため、ロータ2aが堅牢な構造になる。
【0032】
(4)ロータ2aにおいて、ステータ3aの各磁極対33に対向するロータ磁極23の部分を磁性体としてロータケース22aに収納することにより、ロータケース22aが樹脂等で形成して軽量化できる。
【0033】
(5)ロータ磁極23がロータケース22aより突出し、環状コイル4にステータ3aから突出した部分がある場合、ロータ磁極23の環状コイル4の部分に凹部を形成し、この凹部に環状コイル4のステータ3aから突出した部分を回転自在に収容することにより、アキシャルギャップ型発電機1aの軸長を短くすることができる。
【0034】
ところで、アキシャルギャップ型発電機1aの環状コイル4によって取り出された正負に交番する方形波パルス状の発電出力は、ロータ2aの回転数に比例して電圧が変化する単相交流である。
【0035】
そこで、アキシャルギャップ型発電機1aを、例えば自動車の補機用発電機や排気ターボの軸に取り付ける超高速発電機として用いる場合、前記単相交流を一定電圧の直流電圧に変換する必要がある。
【0036】
図2はロータ軸5の回転により発生するアキシャルギャップ型発電機1の前記単相交流を一定電圧の直流電圧に変換する発電出力調整回路6の一例を示し、この調整回路6は、環状コイル4の両端4a、4bの発電出力の前記単相交流をダイオードブリッジの整流回路61により全波整流して直流に変換し、この直流をコンデンサ62により平滑化する。このとき、コンデンサ62の容量に比して整流回路61の直流出力の電圧変化は大きく、平滑化された直流出力の電圧Vaはロータ2の回転数Nに比例して変化する。
【0037】
そこで、コンデンサ62により平滑化された直流出力を、ステップダウンコンバータ63により、所望の低電圧(例えば12V)Vdcに降圧した直流出力に変換する。ステップダウンコンバータ63は、スイッチングトランジスタ64、このトランジスタ64がオフしたときの電流路用のダイオード65、電流源用のインダクタ66、ローパスフィルタ用のコンデンサ67により形成され、スイッチングトランジスタ64のスイッチングと、このスイッチングに基づくインダクタ66の電流変化とに基づいて、前記平滑化された直流出力を降圧する。このとき、ステップダウンコンバータ63の出力電圧Vdcを検出して、スイッチングトランジスタ64のオン/オフの比を変えることにより、出力電圧Vdcをフィードバック制御して安定化してもよい。
【0038】
そして、アキシャルギャップ型発電機1aに発電出力調整回路6のボードを組み付けることにより、所望の定電圧の直流を出力する、前記の補機用発電機や超高速発電機に好適な発電出力調整回路付きの永久磁石・アキシャルギャップ型発電機を提供できる。なお、ステップダウンコンバータ63の構成等はどのようであってもよい。
【0039】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図3、図4を参照して説明する。それらの図面において、図1、図2と同一符号は同一もしくは相当するものを示す。
【0040】
図3は本実施形態の界磁コイル付の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1bの組み付け前の状態を示し、図4(a)は永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1bを組み付けた状態の側面図(断面図)、同図(b)はそのステータ磁極面の正面図である。それらの図面に示すように、永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1bが、前記第1の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1aと異なる点は以下の点である。
【0041】
第1の実施形態のロータ1aに対応するロータ2bは、磁性体の円板状のロータケース22bを有し、ロータケース22bにロータ磁極23が設けられている。
【0042】
第1の実施形態のステータ3aに対応するステータ3bの4個の磁極対33は、外径側磁極35aと内径側磁極36aのいずれか一方だけが永久磁石で形成され、他方は鉄心磁極(コンシクエント極)である。
【0043】
図3、図4では永久磁石の磁極を外径側磁極35am、内径側磁極36amで示す、外径側磁極35amは界磁コイル4を挟んで隣り合う一方の2磁極対33の隣り合う2個の外径側の磁極であり、内径側磁極36amは界磁コイル4を挟んで隣り合う他方の2磁極対33の隣り合う2個の内径側の磁極である。
【0044】
そして、前記一方の2磁極対33の外径側磁極35amは相互に逆の極性の磁極であり、同様に、他方の2磁極対33の内径側磁極36amも相互に逆の極性の磁極である。換言すれば、ステータ3の界磁コイル4を挟んで一方、他方の片側半面それぞれの隣り合う2磁極対33は、同じ極性(N極またはS極)の磁極が外側、内側に交互に配置される。
【0045】
そこで、本実施形態のステータ3bの磁極面は、外径側がある位置から時計回りに、鉄心の外径側磁極35a、N極の外径側磁極35am、S極の外径側磁極35am、鉄心の外径側磁極35aになる。内径側は、周方向に外径側と同じ位置から時計回りに、N極の内径側磁極36am、鉄心の外径側磁極35a、鉄心の外径側磁極35a、S極の内径側磁極36amになる。
【0046】
さらに、ステータ3bは、鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aを励磁する一つの環状の界磁コイル7を備える。
【0047】
界磁コイル7は隙間34の凹部にステータヨーク32に巻くように収容され、その上を環状コイル4が交差するように通る。このとき、界磁コイル7を収容する隙間34は磁極面から見て他の部分より凹部状に背面側に窪ませ、ロータ軸に影響を与えないようにすることが好ましい。
【0048】
そして、界磁コイル7の両端7a、7bに直流が給電されて界磁コイル7に界磁電流が流れると、界磁コイル7を挟んで周方向に隣り合う鉄心磁極の2個の外径側磁極35aがN極、S極に励磁され、同様に、界磁コイル7を挟んで周方向に隣り合う鉄心磁極の2個の内径側磁極36aもN極、S極に励磁され、その結果、各磁極対33の鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aは環状コイル4を介して隣り合う各磁極対33の永久磁石の外径側磁極35am、内径側磁極36amと異なる極性に励磁される。したがって、本実施形態のステータ3bも第1の実施形態のステータ3aと同様に、径方向及び周方向に隣接する全てのステータ磁極の極性が異なり、環状コイル4の端子4a、4bから発電出力が取り出される。したがって、永久磁石の使用個数を少なくして第2の実施形態と同様の効果を奏する。
【0049】
ここで、前記界磁電流の大きさによって発電電圧(出力)を調整でき、前記界磁電流がゼロで流れなければ、取り出される発電電圧は第1の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ発電機1aの約半分になり、前記界磁電流が負ならば、さらに発電電圧を小さくすることもできる。すなわち、本実施形態の場合、界磁コイル7を備えることにより。その通電方向や大きさを調整して発電電圧を調整できる利点がさらに生じる。
【0050】
また、界磁コイル7が発生する磁束の磁路は、ステータヨーク32の永久磁石取り付け部分も含めた幅の部分(図4(b)の実線Bの部分)であり、これは内径側の磁極の径方向の幅(図4(b)の実線Aの部分)よりも広いので(B>A)、ステータヨーク32の厚みを薄くして磁路断面積を確保することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、図5(a)、(b)を参照して説明する。図5(a)は本実施形態の界磁コイル付の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1cを組み付けた状態の側面図、同図(b)はそのステータ磁極面の正面図である。なお、図5(a)は同図(b)の一点破線a、aで切断した断面位置の側面図である。それらの図面において、図3、図4と同一符号は同一もしくは相当するものを示す。
【0052】
永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1cが、第2の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1bと異なる点は、第2の実施形態の1個の界磁コイル7に代えて、周方向に複数個(図では2個)配置した界磁コイル71a、71bを、界磁コイル71a、71bを介して隣り合うそれぞれ2個の鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aが同じ極性方向に励磁されるように各隙間34に巻回した点である。
【0053】
本実施形態の場合、界磁コイル71a、71bをステータヨーク32の周方向断面を囲う小さなコイルにより形成して第2の実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0054】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。図6は本実施形態の界磁コイル付の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1dの組み付け前の状態を示し、図7(a)は永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1dを組み付けた状態の側面図、同図(b)はそのステータ磁極面の正面図である。それらの図面において、図3〜図6と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、図7(a)は同図(b)の一点破線b、bで切断した断面位置の側面図である。
【0055】
永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1dが、第2、第3の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1b、1cと異なる点は、ステータ3a、3bと同様のステータ3cにおいて、ステータヨーク32の一部の隙間34の部分を周方向に繋がらないように切り欠いて切欠部34aに形成し、界磁コイル71cを少なくとも切欠部34aの対角の隙間34に鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aを周方向に励磁するように配置し、界磁コイル71cに磁束を発生する直流を給電するようにした点である。
【0056】
この場合、永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1dは、切欠部34aにより界磁コイル7cの磁束がステータヨーク32を周回して短絡することが防止され、その磁束によってステータ3cの鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aが励磁され、本実施形態のステータ3cも径方向及び周方向に隣接する全てのステータ磁極の極性が異なる。したがって、小さな1個の界磁コイル7cにより第2、第3の実施形態と同様の効果を奏する。
【0057】
そして、界磁コイル71cは、ステータヨーク32の周方向に1個所設ければよく、また、ステータヨーク32の周方向断面を囲う小さなコイルであってよく、第3の実施形態の界磁コイル71a、71bの半分の大きさであり、コイル量が一層少なくなる。なお、界磁コイル7cは絶縁ボビン等を用いてステータヨーク32に券回してもよく、開口部37の空隙を利用してステータヨーク32に直接巻き込んでもよい。
【0058】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について、図8〜図10を参照して説明する。図8(a)は本実施形態の界磁コイル付の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eを組み付けた状態の側面図、同図(b)はそのステータ磁極面の正面図、図9(a)、(b)はステータ3dの側面図、背面図である。図10(a)は永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eの鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aを取り付けた状態のステータ3dの斜視図、同図(b)は同図(a)から外径側磁極35a、内径側磁極36aを取り除いた状態のステータ3dの斜視図である。それらの図面において、図3〜図8と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、図8(a)、図9(a)は図8(b)、図9(b)それぞれの矢印線の方向から見たものである。
【0059】
永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eも第4の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eと同様に、ステータcと同様のステータ3dにおいて、ステータヨーク32の一部の隙間34の部分を周方向に磁束が繋がらないように切欠部34aに形成し、界磁コイル71cに対応する1個の界磁コイル71dを少なくとも切欠部34aの対角の隙間34に鉄心磁極の外径側磁極35a、内径側磁極36aを周方向に励磁するように配置し、界磁コイル71dに磁束を発生する直流を給電するようにしている。
【0060】
さらに、永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eが永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1eと異なる点は、界磁コイル71dのコイルエンド部を略L字状に折り曲げ、ステータ3dの背面部での界磁コイル71dの位置を界磁コイル71cとはずらし、ステータ3dに接近するようにして軸方向の厚みを薄くするようにした点である。なお、図10(a)、(b)に示したように界磁コイル71dを収容する隙間34は磁極面から見て他の部分より凹部状に背面側に窪み、ロータ軸に影響を与えないようになっている。
【0061】
したがって、本実施形態の場合、ステータ3d背面への界磁コイル71dの突出を防ぎ、ステータ3dを薄型にすることができる利点もあり、ステータ3d背面の界磁コイル71dの部分以外のスベースに、整流回路等を配置して装置全体の小型化を図ることも可能である。
【0062】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態について、図11、図12(a)、(b)を参照して説明する。
【0063】
図11は本実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1fの組み付け前の斜視図であり、図12(a)、(b)はそのロータ2c、ステータ3eの磁極面の正面図である。それらの図面において、図1、図2と同一符号は同一もしくは相当するものを示す。
【0064】
永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1fは最も簡素な構成であり、ロータ2cは、円板状のロータコア24の磁極面の半分に鉄心の突極で構成されたロータ磁極23cを設け、前記磁極面の残りの半分にはカウンタウエイト24が設けられ、1極(1極対)+カウンタウェイト24の構成である。ステータ3eは、ステータコア32の磁極面側に磁極面の略半分(180度)ずつの2個の磁極対33が設けられ、両磁極対33はそれぞれ環状コイル4で外径側、内径側に区切られた部分が永久磁石の外径側磁極35am、内径側磁極36amで形成され、2極対の構成である。
【0065】
そして、本実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1fの場合、最も簡単な磁極構成で第1の実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1aと同様の効果が得られる。
【0066】
以上説明したように、各実施形態の永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1a〜1fは、発電出力を取り出すコイル量が極めて少なく、軽量、かつ、小型になる。また、ステータ3a〜3eのステータ磁極が外径側と内径側に分割された磁極対33で形成されるので、少なくともステータ3a〜3fのヨークを薄くでき、一層、小型、軽量に形成できる。さらに、ロータ2a〜2cには永久磁石を取り付けないので鉄心だけの堅牢な構造が可能であり、遠心力に強く、高回転が可能になる。しかも、ステータ3a〜3eのコイル4、7、71a〜71dは円環状あるいは楕円環状であるのでコイル製作が容易で、低コストであり、組付性もよい。したがって、小型、軽量で高出力、組み付けが容易な、従来にない新奇な構造のアキシャルギャップ型回転機を提供することができる。
【0067】
そして、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、環状コイル4はロータ2a〜2c側に設けてもよい。この場合、ロータ2a〜2cとともに環状コイル4が回転するので、発電出力の取り出しには回転自在の接点構造を用いる必要がある。
【0068】
また、ロータ2a〜2c及びステータ3a〜3eの磁極数等は前記各実施形態の磁極数に限るものではない。
【0069】
そして、本発明のアキシャルギャップ型回転機は、アキシャルギャップ型発電機だけでなくアキシャルギャップ型モータとしても用いることができ、例えば、永久磁石・アキシャルギャップ型発電機1a〜1fの構成を3相分備えることにより、アキシャルギャップモータとして用いることができる。この場合、環状コイル4は給電によりステータ3a〜3eの磁極を励磁する磁束発生用のコイルを形成する。
【0070】
そして、本発明は、種々の用途のアキシャルギャップ型発電機、アキシャルギャップ型モータに適用できる。
【符号の説明】
【0071】
1a〜1f 永久磁石・アキシャルギャップ型発電機
2a〜2c ロータ
3a〜3e ステータ
4 環状コイル
7、71a〜71d 界磁コイル
33 磁極対
23、23c ロータ磁極
35a、35am 外径側磁極
36a、36am 内径側磁極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータとステータとが磁極面が対向するようにロータ軸方向に配置され、前記ロータにロータ磁極が周方向に配設され、前記ステータにステータ磁極が周方向に配設されたアキシャルギャップ型回転機であって、
前記ロータ磁極、前記ステータ磁極のいずれか一方は外径側磁極と内径側磁極の磁極対で構成され、
前記磁極対は、前記外径側磁極、前記内径側磁極の極性が隣りの前記磁極対の前記外径側磁極、前記内径側磁極それぞれの極性と逆の極性であり、
前記外径側磁極と前記内径側磁極は、少なくとも同じ極性のものが永久磁石により形成され、
前記外径側磁極と前記内径側磁極との間の位置に、環状コイルが磁極面を周回するように設けられたことを特徴とするアキシャルギャップ型回転機。
【請求項2】
請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転機において、
前記円環状コイルが前記ステータに設けられることを特徴とするアキシャルギャップ型回転機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアキシャルギャップ型回転機において、
前記ステータ磁極が前記磁極対で構成され、前記ロータ磁極は鉄心磁極であることを特徴とするアキシャルギャップ型回転機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転機において、
前記外径側磁極、前記内径側磁極の前記永久磁石で形成されないものは鉄心磁極であり、前記鉄心磁極を励磁する界磁コイルを備えることを特徴とするアキシャルギャップ型回転機。
【請求項1】
ロータとステータとが磁極面が対向するようにロータ軸方向に配置され、前記ロータにロータ磁極が周方向に配設され、前記ステータにステータ磁極が周方向に配設されたアキシャルギャップ型回転機であって、
前記ロータ磁極、前記ステータ磁極のいずれか一方は外径側磁極と内径側磁極の磁極対で構成され、
前記磁極対は、前記外径側磁極、前記内径側磁極の極性が隣りの前記磁極対の前記外径側磁極、前記内径側磁極それぞれの極性と逆の極性であり、
前記外径側磁極と前記内径側磁極は、少なくとも同じ極性のものが永久磁石により形成され、
前記外径側磁極と前記内径側磁極との間の位置に、環状コイルが磁極面を周回するように設けられたことを特徴とするアキシャルギャップ型回転機。
【請求項2】
請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転機において、
前記円環状コイルが前記ステータに設けられることを特徴とするアキシャルギャップ型回転機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアキシャルギャップ型回転機において、
前記ステータ磁極が前記磁極対で構成され、前記ロータ磁極は鉄心磁極であることを特徴とするアキシャルギャップ型回転機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転機において、
前記外径側磁極、前記内径側磁極の前記永久磁石で形成されないものは鉄心磁極であり、前記鉄心磁極を励磁する界磁コイルを備えることを特徴とするアキシャルギャップ型回転機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−125021(P2012−125021A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272574(P2010−272574)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】
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