説明

アキュムレーションコンベヤ装置

【課題】本発明は、複雑な機構のブレーキユニットが不要で、敏速かつ確実に物品を搬送できるアキュムレーションコンベヤ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】各ゾーン毎にドライブシャフト6の側方にゾーン長のサブシャフト11を回転自在に設け、サブシャフト11と各搬送用ローラ4のそれぞれとに亘って巻回されて、サブシャフト11側の回転駆動力を搬送用ローラ4側に伝達する伝達用ベルト13を設け、各サブシャフト11の一端部にそれぞれ、ドライブシャフト6の回転駆動力をサブシャフト11に伝達し、またサブシャフト11を停止するクラッチおよびブレーキ装置17を設ける。この構成によれば、1台のクラッチおよびブレーキ装置17により駆動伝達とブレーキングを行うことができ、敏速かつ確実にゾーン間に渡って物品を搬送・停止でき、また従来のような複雑な機構のブレーキユニットが不要となり、コストを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュムレーションコンベヤ装置、特にサブシャフトを備えたアキュムレーションコンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアキュムレーションコンベヤ装置の一例が特許文献1に開示されている。
この特許文献1には、物品を複数のアキュームゾーン間に亘って搬送するローラコンベヤ設備であって、フレーム本体側に、多数のローラと、ローラ群の下方に位置するユニットベースを設け、各アキュームゾーン毎に、ユニットベース上に位置して、ローラ群に駆動手段(ベルト)を当接離反させるアキュームユニットと、ローラ群に当接離間作用するブレーキユニットと、両ユニットを可逆的に作用させる弁ユニットとを設けることが開示されている。前記ブレーキユニットは、ユニットベースに設けられた昇降ガイド手段に案内される昇降体と、これらユニットベースと昇降体との間に設けられた昇降用のエアアクチュエータと、前記昇降体に設けられローラ群に対して下方から作用自在(当接自在)なブレーキ部材などから構成されている。
【0003】
この構成により、アキュームゾーンのローラ群にアキュームユニットにより駆動手段が当接され、ブレーキユニットのブレーキ部材が離反されると、アキュームゾーンのローラ群は駆動され、アキュームゾーンの物品は搬送・搬出され、また逆に、アキュームゾーンのローラ群にブレーキユニットのブレーキ部材が当接され、アキュームユニットにより駆動手段が離反されると、アキュームゾーンのローラ群は停止され、アキュームゾーンの物品の搬送は停止される。
【0004】
また従来のサブシャフトを備えたアキュムレーションコンベヤ装置の一例が特許文献2に開示されている。
この特許文献2には、メインシャフトに並列にアキュームゾーン毎にサブシャフトを設け、サブシャフトとアキュームゾーンを形成するローラ群をベルトで連結し、サブシャフトを揺動することによりサブシャフトをメインシャフトに対して当接離間可能に構成したことが開示されている。
【0005】
この構成により、サブシャフトをメインシャフトに当接させると、メインシャフトよりサブシャフトに回転駆動力が伝達され、サブシャフトよりアキュームゾーンのローラ群が駆動されてアキュームゾーンの物品は搬送・搬出され、また逆に、サブシャフトをメインシャフトより離反させると、サブシャフトは停止され、アキュームゾーンのローラ群が停止されアキュームゾーンの物品の搬送は停止される。
【特許文献1】特開2004−284797号公報
【特許文献2】特開2000−344316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の特許文献1に記載のアキュムレーションコンベヤ装置では、アキュームユニットとブレーキユニットが個別に設けられ、ブレーキユニットが複数の部材を組み合わせた複雑な機構を有していることにより、コストがかかり、組立てに時間がかかるという問題があった。
【0007】
また特許文献2に記載のアキュムレーションコンベヤ装置では、サブシャフトを揺動する方式としているために機構が大掛かりとなり、敏速なローラ群の駆動およびブレーキングを実現することは困難であり、またブレーキユニット自体がないために、搬送速度が速くなると物品をゾーンに確実に停止させることは困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、従来のような複雑な機構のブレーキユニットが不要となり、コストを低減でき、さらに敏速かつ確実にローラ群を駆動・ブレーキングでき、物品をゾーンに確実に停止できるアキュムレーションコンベヤ装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、左右一対の側板間で所定間隔おきに回転自在に配置された複数本の搬送用ローラと、前記各搬送用ローラの下方に搬送方向に沿って配置されたメイン回転駆動用軸体を備え、前記複数本の搬送用ローラを複数のゾーンに区画し、各ゾーン毎に前記回転駆動用軸体の駆動力により前記搬送用ローラを駆動するアキュムレーションコンベヤ装置であって、
前記各ゾーン毎に、前記メイン回転駆動用軸体の側方に前記搬送方向に沿って、サブ回転駆動用軸体を回転自在に配置し、前記各サブ回転駆動用軸体と前記ゾーンを形成する各搬送用ローラのそれぞれとに亘って巻回されて、サブ回転駆動用軸体側の回転駆動力を搬送用ローラ側に伝達する伝達用ベルトを設け、前記各サブ回転駆動用軸体の一方の端部にそれぞれ対向して、駆動輪体を前記メイン回転駆動用軸体に外嵌し、前記各サブ回転駆動用軸体にそれぞれ、前記駆動輪体に対向して、従動輪体を回転自在に設け、前記各サブ回転駆動用軸体の従動輪体と前記駆動輪体を、無端回動体により連結し、前記各ゾーン毎に、前記サブ回転駆動用軸体の前記一方の端部に、前記従動輪体の回転駆動力を前記サブ回転駆動用軸体へ伝達し、またサブ回転駆動用軸体を停止するクラッチおよびブレーキ装置を設け、
前記クラッチおよびブレーキ装置は、前記サブ回転駆動用軸体の前記一方の端部で、かつ前記従動輪体の外方位置に嵌められてサブ回転駆動用軸体とともに回転するとともに、サブ回転駆動用軸体に沿って前後方向に摺動する摺動部材と、前記摺動部材を、前記サブ回転駆動用軸体の外方へ付勢する付勢部材と、前記サブ回転駆動用軸体の前記一方の端部の正面に対向して配置されたブレーキシューと、前記付勢部材の付勢力に抗して押圧されると、前記摺動部材を前記従動輪体に接触させ、前記従動輪体の回転駆動力を前記サブ回転駆動用軸体へ伝達し、前記押圧が解除されると前記付勢部材の付勢力により、前記摺動部材を介して前記ブレーキシューに接触し、前記摺動部材を介して前記サブ回転駆動用軸体の回転を停止する駆動部材を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、駆動部材により付勢部材の付勢力に抗して摺動部材を押圧して従動輪体に接触させると、メイン回転駆動用軸体の回転駆動力が、駆動輪体、無端回動体、従動輪体、摺動部材を介してサブ回転駆動用軸体へ伝達され、このサブ回転駆動用軸体の回転駆動力が伝達ベルトを介して搬送用ローラへ伝達され、搬送用ローラが回転する。また駆動部材による摺動部材への押圧が解除されると、付勢部材の付勢力により摺動部材は従動輪体より離反し、同時に駆動部材はブレーキシューに接触してブレーキングされ、摺動部材を介してサブ回転駆動用軸体の回転が停止し、搬送用ローラは停止する。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記駆動部材は、ベローを使用して前記付勢部材の付勢力に抗して前記摺動部材を押圧されることを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、ベローへ空気が供給されてベローが膨らむと駆動部材は、付勢部材の付勢力に抗して摺動部材を押圧し、摺動部材を従動輪体に接触させ、またベローが開放されると付勢部材の付勢力により摺動部材は従動輪体から離反され、同時に駆動部材はブレーキシューに接触される。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアキュムレーションコンベヤ装置は、駆動部材により付勢部材の付勢力に抗して摺動部材を押圧して従動輪体に接触させることにより搬送用ローラを回転することができ、また駆動部材による摺動部材への押圧を解除することにより、搬送用ローラを停止できることにより、敏速かつ確実にゾーン間に渡って物品を搬送でき、また物品をゾーン内に確実に停止でき、さらに従来のような複雑な機構のブレーキユニットが不要となり、コストを低減できる、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は本発明の実施の形態におけるアキュムレーションコンベヤ装置の側面図、図3は同アキュムレーションコンベヤ装置の平面図、図4は同アキュムレーションコンベヤ装置の駆動部とアキュムレーション部の正面図である。
【0015】
本発明のアキュムレーションコンベヤ装置は、図2〜図4に示すように、物品の搬送方向aに順にゾーンZを形成し、ゾーンZ毎に物品を順送りするコンベヤであり、以下のように構成されている。すなわち、
比較的長い前後間隔にて配置された連結材1により互いに連結された左右一対の所定長さの側板2と、
これら両側板2,2間で所定間隔おきにそれぞれ支持軸材3を介して回転自在に支持された複数本の搬送用ローラ4と、
これら各搬送用ローラ4下方の左右いずれかの側方に(例えば、物品の搬送方向aの上流側から下流側に見て左側に)その搬送方向(前後方向である)aに沿って配置されるとともに連結材1に軸受5Aを介して回転自在に設けられたドライブシャフト(メインシャフト;メイン回転駆動用軸体の一例)6と、
このドライブシャフト6の下方位置に配置されてドライブシャフト6を回転する回転手段、例えば一対のプーリ7,8およびこれら両プーリ7,8に巻回されたVベルト9を介して回転する回転駆動機(例えば、減速機付き電動機が用いられる)10と、
各ゾーンZ毎に、前記ドライブシャフト6の側方に搬送方向aに沿って、一方(図では搬送方向aの左側)の側板2とドライブシャフト6との間に、連結材1に軸受5Bを介して回転自在に設けたゾーン長のサブシャフト(サブ回転駆動用軸体の一例)11と、
ゾーンZを形成する各搬送用ローラ4(一部を除く)に対応して各サブシャフト11に外嵌された複数のプーリ12と、
各サブシャフト11のプーリ12とゾーンZを形成する各搬送用ローラ4との間に亘ってそれぞれ巻回されてサブシャフト11側の回転駆動力を各搬送用ローラ4側に伝達するための伝達用ベルト13と、
各サブシャフト11の一方の端部にそれぞれ対向して、ドライブシャフト6に外嵌された駆動スプロケット(駆動輪体の一例)14と、
各サブシャフト11にそれぞれ、駆動スプロケット14に対向して、回転自在に設けた従動スプロケット(従動輪体の一例)15と、
各サブシャフト11の従動スプロケット15と、この従動スプロケット15に対向するドライブシャフト6の駆動スプロケット14とを連結するチェーン(無端回動体の一例)16と、
各サブシャフト11の前記一方の端部位置にそれぞれ設けられ、従動スプロケット15の回転駆動力を各サブシャフト11に伝達し、またサブシャフト11を停止するクラッチおよびブレーキ装置17と、
各ゾーンZ毎に設けられ、ゾーンZにおける物品の有無を検出する光電センサ18と、
各ゾーンZの光電センサ18が接続され、下流ゾーンZの光電センサ18の検出信号(物品無し信号)により下流のゾーンZから物品が搬出されたことを確認すると、一つ上流のゾーンZから物品をこの下流のゾーンZへ搬出し、また物品が搬入されたゾーンZでは光電センサ18の検出信号(物品有り信号)により物品を検出すると物品の移動を停止して保持し、下流のゾーンZから物品が搬出されるとこのゾーンZから物品を搬出する制御装置19(詳細は後述する)と
から構成されている。
【0016】
なお、制御装置19は、最下流端のゾーンZからの物品の搬出を、外部信号からの搬出指令に応じて実行している。
また上記伝達用ベルト13としては、所定幅で且つ所定厚さの平ベルトが用いられるとともに、この伝達用ベルト13が巻回される各搬送用ローラ4の表面には、伝達用ベルト13を案内するための凹状部20が形成されており、またこの凹状部20の両側縁は、外周面に行くほど広がるように形成されている。
【0017】
また各ゾーンZの最下流部と最上流部に位置する搬送用ローラ4には、伝達用ベルト13をかけることができないために、隣接する、伝達用ベルト13をかけた搬送用ローラ4と連動用ベルト21で連結して回動できるようにしている。
【0018】
また図5に示すように、従動スプロケット15を配置したサブシャフト11の一方の端部は先端に向かって、2段に渡って径が削られており、内側の1段目段差部11Aは、円柱状に形成され、1段目段差部11Aをさらに削った先端の2段目段差部11Bは、角柱状に形成されており、前記従動スプロケット15は、1段目段差部11Aに外嵌された軸受22に回転自在に設けられている。また1段目段差部11Aには、軸受22が1段目段差部11Aから外れることがないようにセットカラー23を設けている。
【0019】
また図2および図3に示すように、前後2つのゾーンZの上記クラッチおよびブレーキ装置17は、近接して配置され、後述するエア配管の敷設を容易にしている。
前記各クラッチおよびブレーキ装置17はそれぞれ、図1および図5に示すように、
従動スプロケット15と略同径のホイールで、従動スプロケット15に対向する面の内側が円錐状に削られており、中心が、サブシャフト11の先端の角柱状の2段目段差部11Bに嵌められ、サブシャフト11とともに回転するとともに、サブシャフト11の2段目段差部11Bに沿って前後方向に摺動し、また従動スプロケット15に対向する面の外周部に第1ゴムライニング(動力伝達部材)25が設けられた第1ホイール(摺動部材の一例)26と、
一端がセットカラー23に固定され、他端が第1ホイール26の内方に固定され、第1ホイール26を、サブシャフト11の外方(従動スプロケット15から離れる方向)へ付勢する圧縮コイルバネ(付勢部材の一例)27と、
サブシャフト11の前記一方の端部の正面に開放面の中心を対向させて、前記一方の側板2の内方に固定された、第1ホイール26と略同径の籠状の支持部材28と、
この支持部材28の円状の先端部に渡って設けられたリング形状のブレーキシュー(ブレーキゴム)29と、
前記支持部材28内に固定され、軸受30を水平に支持し、この軸受30をサブシャフト11の前記一方の端部の先端に接近離間させる、エアにより伸縮するベロー(外周にちょうちん状の深いひだを持った薄肉円筒状の物で、軸方向に伸縮可能な受圧素子;駆動装置)31と、
第1ホイール26と略同径のホイールであり、前記軸受30に固定されて回転自在に設けられ、第1ホイール26に対向する面に第2ゴムライニング(動力伝達部材)32を有し、他方の面がリング形状のブレーキシュー29に対向しており、ベロー31により圧縮コイルバネ27の付勢力に抗して押圧されると、第1ホイール26を従動スプロケット15に接触させ、従動スプロケット15の回転駆動力をサブシャフト11へ伝達し、前記ベロー31による押圧が解除されると圧縮コイルバネ27の付勢力により、ブレーキシュー29に接触し、第1ホイール26を介してサブシャフト11の回転を停止する第2ホイール(駆動部材の一例)33と
から構成されている。
【0020】
このようなクラッチおよびブレーキ装置17の構成により、ベロー31へ空気を供給しベロー31を膨らませて(伸ばして)軸受30をサブシャフト11へ接近させ、すなわち第2ホイール33をサブシャフト11へ接近させ、圧縮コイルバネ27の付勢力に抗して、第2ゴムライニング32を介して第1ホイール26を押圧すると、第1ホイール26は第1ゴムライニング25を介して従動スプロケット15に接触し、ドライブシャフト6の回転駆動力は、駆動スプロケット14、チェーン16、従動スプロケット15、第1ゴムライニング25および第1ホイール26を介してサブシャフト11側に伝達され、この伝達された回転駆動力は、サブシャフト11からゾーンZを形成する搬送用ローラ4へプーリ12および伝達用ベルト13を介して伝達され、ゾーンZを形成する搬送用ローラ4が回転される。
【0021】
またベロー31を開放し空気を抜いてベロー31を萎ませると(縮めると)、すなわち第2ホイール33の押圧を解除すると、圧縮コイルバネ27の付勢力により、第1ホイール26および第2ホイール33は先端側に移動し、第1ホイール26は従動スプロケット15から離反し、かつ第2ホイール33がブレーキシュー29に接触して第1ホイール26は停止され、よってサブシャフト11が停止され、これにより伝達用ベルト13が停止され、ゾーンZを形成する搬送用ローラ4は停止される。
【0022】
また前記ベロー31には、エア配管(図示せず)が接続されており、ベロー31へのエアの供給(ベローを膨らませる)とベロー31内の外部へ開放(ベローを萎ませる)は、制御装置19により制御される。
【0023】
制御装置19は、ドライブシャフト6の回転駆動力をサブシャフト11に伝達し、ゾーンZを形成する搬送用ローラ4を回転して物品を搬送するとき、ベロー31を膨らませ、第1ホイール26を従動スプロケット15に押し付ける。また制御装置19は、サブシャフト11を停止し、搬送用ローラ4にブレーキをかけ物品の移動を停止するとき、ベロー31を開放し圧縮コイルバネ27の付勢力により第1ホイール26を従動スプロケット15から離反し、同時に第2ホイール33を介して第1ホイール26をブレーキシュー29に押し付ける。
【0024】
上記構成による作用を説明する。
初期状態(アキュムレーションコンベヤ装置上に物品が無い状態)では、制御装置19は、全てのゾーンZのクラッチおよびブレーキ装置17のベロー31を開放しブレーキをかけ、物品の移動を停止している。
【0025】
まず、制御装置19は、回転駆動機10を駆動してプーリ7,8およびVベルト9を介してドライブシャフト6を駆動する。
続いて初期状態では、各ゾーンZには物品が無く、光電センサ18は物品無しを検出していることから、制御装置19は、全てのゾーンZのクラッチおよびブレーキ装置17のベロー31を膨らませて搬送用ローラ4を駆動し、物品の移動を可能とする。
【0026】
これにより、物品が最上流のゾーンZに投入されると、上述した制御装置19の制御、すなわち「下流ゾーンZの光電センサ18の検出信号により下流のゾーンZから物品が搬出されたことを確認すると、一つ上流のゾーンZから物品を下流のゾーンZへ搬出し、また物品が搬入されたゾーンZでは光電センサ18の検出信号により物品を検出すると移動を停止して保持し、下流のゾーンZから物品が搬出されるとこのゾーンZから物品を搬出する」制御により、物品は最下流端のゾーンZまで移動し、最下流端のゾーンZの光電センサ18により物品有りが検出されると、最下流端のゾーンZのクラッチおよびブレーキ装置17のベロー31を開放して搬送用ローラ4にブレーキをかけて停止する。これにより物品は、最下流端のゾーンZで停止される。
【0027】
次の物品は、最下流端のゾーンZに物品が有ることから、一つ上流のゾーンZで停止されて保持され、同様に続けて搬入された物品は上流側の各ゾーンZで順に保持される。
そして、制御装置19は、外部信号により最下流端のゾーンZからの物品の搬出が指令されると、最下流端のゾーンZのクラッチおよびブレーキ装置17のベロー31を膨らませて搬送用ローラ4を駆動し、物品を搬出する。そして、最下流端のゾーンZの光電センサ18の検出信号(物品無しの信号)により物品の搬出を確認すると、一つの上流のゾーンZのクラッチおよびブレーキ装置17のベロー31を膨らませて、搬送用ローラ4を駆動し、物品を搬出する。そして、最下流端のゾーンZの光電センサ18の検出信号により物品が検出されると、クラッチおよびブレーキ装置17のベロー31を開放して搬送用ローラ4を停止し、最下流端のゾーンZに物品を保持する。同様にして、順に物品が一つ下流のゾーンZに移動されて保持される。
【0028】
このように、各ゾーンZに物品が保持され、順に下流のゾーンZに物品は移動されて搬出される。
そして、物品の投入が終了し、全ての物品の搬出が終了すると、制御装置19は、全てのゾーンZのクラッチおよびブレーキ装置17のベロー31を開放してブレーキをかけ、回転駆動機10を停止してドライブシャフト6を停止する。
【0029】
以上のように本実施の形態によれば、ドライブシャフト6の側方にゾーンZ毎にサブシャフト11を設け、ドライブシャフト6に設けた駆動スプロケット14とサブシャフト11に設けた従動スプロケット15との間にチェーン16をかけてドライブシャフト6の回転駆動力をサブシャフト11へ伝達可能とし、サブシャフト11に軸端に配置したクラッチおよびブレーキ装置17により、ドライブシャフト6からサブシャフト11への駆動伝達およびサブシャフト11のブレーキングを行うことにより、各ゾーンZ毎にサブシャフト11より伝達用ベルト13を介して搬送用ローラ4を駆動でき、敏速かつ確実にゾーンZ間に渡って物品を搬送でき、また物品をゾーンZ内に確実に停止できる。
【0030】
さらに、クラッチおよびブレーキ装置17は、1台のアクチュエータで駆動伝達とブレーキングを実現できる構成とされることにより、従来のような複雑な機構のブレーキユニットが不要となり、コストを低減でき、作業者の手間を削減することができる。また同様の構成を、カーブコンベヤ装置とジャンクションコンベヤ装置にも適用でき、アキュムレーションコンベヤ装置を形成することができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、クラッチおよびブレーキ装置17の駆動装置として、ベロー31を使用しているが、他の駆動装置、例えばシリンダ装置を使用することも可能である。
【0032】
また本実施の形態では、支持部材28の円状の先端部に渡ってリング形状のブレーキシュー29を設けているが、必ずしも全周に設ける必要はなく、部分的に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態におけるアキュムレーションコンベヤ装置のアキュムレーション部の説明斜視図である。
【図2】同アキュムレーションコンベヤ装置の側板を外した状態の側面図である。
【図3】同アキュムレーションコンベヤ装置の搬送用ローラを外した平面図である。
【図4】(a)は同アキュムレーションコンベヤ装置の駆動部の正面図、(b)は同アキュムレーションコンベヤ装置のアキュムレーション部の正面図である。
【図5】(a)は同アキュムレーションコンベヤ装置のアキュムレーション部のブレーキ時の動作図、(b)は同アキュムレーションコンベヤ装置のアキュムレーション部の駆動時の動作図、(c)は同アキュムレーションコンベヤ装置のアキュムレーション部のA−A矢視図である。
【符号の説明】
【0034】
Z ゾーン
2 側板
4 搬送用ローラ
6 ドライブシャフト
10 回転駆動機
11 サブシャフト
12 プーリ
13 伝達用ベルト
14 駆動スプロケット
15 従動スプロケット
16 チェーン
17 クラッチおよびブレーキ装置
19 制御装置
25 第1ゴムライニング
26 第1ホイール
27 圧縮コイルバネ
28 支持部材
29 ブレーキシュー
30 軸受
31 ベロー
32 第2ゴムライニング
33 第2ホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側板間で所定間隔おきに回転自在に配置された複数本の搬送用ローラと、前記各搬送用ローラの下方に搬送方向に沿って配置されたメイン回転駆動用軸体を備え、前記複数本の搬送用ローラを複数のゾーンに区画し、各ゾーン毎に前記回転駆動用軸体の駆動力により前記搬送用ローラを駆動するアキュムレーションコンベヤ装置であって、
前記各ゾーン毎に、前記メイン回転駆動用軸体の側方に前記搬送方向に沿って、サブ回転駆動用軸体を回転自在に配置し、
前記各サブ回転駆動用軸体と前記ゾーンを形成する各搬送用ローラのそれぞれとに亘って巻回されて、サブ回転駆動用軸体側の回転駆動力を搬送用ローラ側に伝達する伝達用ベルトを設け、
前記各サブ回転駆動用軸体の一方の端部にそれぞれ対向して、駆動輪体を前記メイン回転駆動用軸体に外嵌し、
前記各サブ回転駆動用軸体にそれぞれ、前記駆動輪体に対向して、従動輪体を回転自在に設け、
前記各サブ回転駆動用軸体の従動輪体と前記駆動輪体を、無端回動体により連結し、
前記各ゾーン毎に、前記サブ回転駆動用軸体の前記一方の端部に、前記従動輪体の回転駆動力を前記サブ回転駆動用軸体へ伝達し、またサブ回転駆動用軸体を停止するクラッチおよびブレーキ装置を設け、
前記クラッチおよびブレーキ装置は、
前記サブ回転駆動用軸体の前記一方の端部で、かつ前記従動輪体の外方位置に嵌められてサブ回転駆動用軸体とともに回転するとともに、サブ回転駆動用軸体に沿って前後方向に摺動する摺動部材と、
前記摺動部材を、前記サブ回転駆動用軸体の外方へ付勢する付勢部材と、
前記サブ回転駆動用軸体の前記一方の端部の正面に対向して配置されたブレーキシューと、
前記付勢部材の付勢力に抗して押圧されると、前記摺動部材を前記従動輪体に接触させ、前記従動輪体の回転駆動力を前記サブ回転駆動用軸体へ伝達し、前記押圧が解除されると前記付勢部材の付勢力により、前記摺動部材を介して前記ブレーキシューに接触し、前記摺動部材を介して前記サブ回転駆動用軸体の回転を停止する駆動部材
を備えたこと
を特徴とするアキュムレーションコンベヤ装置。
【請求項2】
前記駆動部材は、ベローを使用して前記付勢部材の付勢力に抗して前記摺動部材を押圧されること
を特徴とする請求項1に記載のアキュムレーションコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−208903(P2009−208903A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54185(P2008−54185)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】