説明

アクセルペダル装置

【課題】ペダルが台座から外れることを抑制する。
【解決手段】アクセルペダル装置10では、嵌合部40の溝部42にペダル60の被嵌合部64がスライドして挿入されて、被嵌合部64と溝部42とが嵌合する。これにより、被嵌合部64を溝部42に組付ける際に、嵌合部40の開口部が開くように嵌合部40を変形させる必要がない。また、被嵌合部64の係合フック部66が係合孔50と係合される。さらに、ブラケット12の上壁14が台座20のストッパ部52と当接することで、係合孔50が被嵌合部64から離間する方向へ変位することが抑制される。このため、係合孔50が被嵌合部64から離間する方向へ変位しようとしても、係合孔50の変位が抑制されるため、係合孔50と係合フック部66との係合状態が維持されて、被嵌合部64が嵌合部40から離脱することが抑制される。以上により、台座20からペダル60が外れることを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されたアクセルペダル装置では、フロアに支持部材(台座)が設けられている。この支持部材(台座)は、一対のバネ板で構成されており、一対のバネ板によって嵌入口及び嵌入部が形成されている。
【0003】
そして、アクセルペダルの軸部を嵌入口から嵌入部側へ押し込むことで、バネ板が弾性変形して、軸部が嵌入部に係合される。一方、嵌入部に係合された軸部を嵌入口側へ引っ張ることで、バネ板が弾性変形して、軸部が嵌入部から離脱される(軸部と嵌入部との係合が解除される)。これにより、アクセルペダルの着脱を容易にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−12160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のアクセルペダル装置では、嵌入部の軸部に対する係合力の劣化やバネ板の経時的な変形によって、軸部が嵌入部から外れる可能性がある。このため、アクセルペダルの支持構造では、アクセルペダルの支持部材(台座)からの外れを抑制する点において、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、ペダルが台座から外れることを抑制できるアクセルペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のアクセルペダル装置は、車両の運転席のフロアに設けられたブラケットと、前記ブラケットに組付けられ、車幅方向に延設されると共に側面視で一部が開放された嵌合部と前記嵌合部に設けられた係合部とを含んで構成される台座と、車幅方向一側へスライドして前記嵌合部と嵌合される被嵌合部と前記被嵌合部に設けられると共に前記係合部と係合されることで前記被嵌合部の車幅方向他側への移動を制限する被係合部とを含んで構成され、踏力が付与されるペダルと、前記嵌合部と当接することで前記係合部が前記被嵌合部から離間する方向へ変位することを抑制する抑制部と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載のアクセルペダル装置では、車両のフロアにブラケットが設けられており、ブラケットには、台座が組付けられている。
【0009】
ここで、台座には、側面視において一部が開放された嵌合部が車幅方向に延設されており、ペダルの被嵌合部が、車幅方向一側へスライドして嵌合部と嵌合される。これにより、ペダルが台座に支持されると共に、被嵌合部を嵌合部と嵌合させる際に嵌合部の開放部分を開くように嵌合部を変形させる必要がない。
【0010】
また、被嵌合部には、嵌合部の係合部と係合される被係合部が設けられており、被係合部が係合部と係合されることで、被嵌合部の車幅方向他側への移動が制限される。これにより、被嵌合部(ペダル)が嵌合部(台座)から車幅方向他側へ離脱することが抑制される。
【0011】
さらに、アクセルペダル装置は抑制部を備えており、抑制部が台座と当接することで、係合部が被嵌合部から離間する方向へ変位することが抑制される。このため、例えば、仮に嵌合部が経時的に変形して係合部が被嵌合部から離間する方向へ変位しようとしても、抑制部によって係合部の変位が抑制されるため、係合部と被係合部との係合状態が維持される。
【0012】
請求項2に記載のアクセルペダル装置は、請求項1に記載のアクセルペダル装置において、前記抑制部が前記ブラケットに設けられている。
【0013】
請求項2に記載のアクセルペダル装置では、抑制部がブラケットに設けられているため、ブラケットを利用して係合部の変位を抑制できる。これにより、抑制部を設けるための部材を別途設ける必要がない点において、抑制部を効率よく設けることができる。
【0014】
請求項3に記載のアクセルペダル装置は、請求項2に記載のアクセルペダル装置、前記ブラケットが断面ハット形状に形成されている。
【0015】
請求項3に記載のアクセルペダル装置では、ブラケットが断面ハット形状に形成されているため、剛性の高いブラケットに台座を当接させて係合部の変位を抑制できる。
【0016】
請求項4に記載のアクセルペダル装置は、請求項2又は請求項3に記載のアクセルペダル装置において、前記台座に設けられ、前記抑制部側へ突出されると共に、前記抑制部と当接可能に構成された突出部を備えている。
【0017】
請求項4に記載のアクセルペダル装置では、台座に突出部が設けられている。この突出部は、抑制部側へ突出されると共に、抑制部と当接可能に構成されている。このため、突出部の突出量を調整することで、抑制部と台座との間の距離に対応して抑制部に台座を当接させることができる。
【0018】
請求項5に記載のアクセルペダル装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のアクセルペダル装置において、前記車幅方向一側が車両右方とされている。
【0019】
請求項5に記載のアクセルペダル装置では、車幅方向一側が車両右方とされているため、被嵌合部が台座に対して車両左側から車両右方へスライドして嵌合部内に挿入される。つまり、ペダルが、車両のブレーキペダル側から台座に組付けられる。このため、ブレーキペダルからアクセルペダル装置のペダルへドライバーが踏み替える際にドライバーからアクセルペダル装置のペダルへ入力される力の方向と、ペダルが台座に組み付けられる方向と、を略一致させることができる。これにより、ペダルに入力される当該力によって、ペダルが台座から外れることを抑制できる。
【0020】
請求項6に記載のアクセルペダル装置は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のアクセルペダル装置において、前記台座に設けられ、前記ブラケットに挿入されて前記ブラケットと係合可能に構成された係合爪部を備えている。
【0021】
請求項6に記載のアクセルペダル装置では、台座に係合爪部が設けられており、係合爪部がブラケットに挿入される。このため、台座をブラケットに組付ける際の台座の位置を係合爪部によって決めることができる。また、係合爪部はブラケットと係合可能に構成されているため、例えば、台座とブラケットとの間にカーペットを配置して台座をブラケットに組付ける際に、カーペットから台座に作用する反力によって台座が浮くことを抑制できる。これにより、台座をブラケットに組付ける際の組付性を向上できる。
【0022】
請求項7に記載のアクセルペダル装置は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のアクセルペダル装置において、前記台座は少なくとも2つ締結部材によって前記ブラケットに締結される。
【0023】
請求項7に記載のアクセルペダル装置は、少なくとも2つ締結部材によって台座がブラケットに締結されるため、台座をブラケットに締結させる際にブラケットに対する台座の回転を抑制した状態で台座をブラケットに締結できる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載のアクセルペダル装置によれば、ペダルが台座から外れることを抑制できる。
【0025】
請求項2に記載のアクセルペダル装置によれば、抑制部を効率よく設けることができる。
【0026】
請求項3に記載のアクセルペダル装置によれば、剛性の高いブラケットに台座を当接させて係合部の変位を抑制できる。
【0027】
請求項4に記載のアクセルペダル装置によれば、抑制部と台座との間の距離に対応して抑制部に台座を当接させることができる。
【0028】
請求項5に記載のアクセルペダル装置によれば、ブレーキペダルからアクセルペダル装置のペダルにドライバーが踏み替える際にドライバーからペダルへ入力される力によって、ペダルが台座から外れることを抑制できる。
【0029】
請求項6に記載のアクセルペダル装置によれば、台座をブラケットに組付ける際の組付性を向上できる。
【0030】
請求項7に記載のアクセルペダル装置では、台座をブラケットに組付ける際の組付性を一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係るアクセルペダル装置に用いられるペダルの被嵌合部が台座の溝部に嵌合された状態を示す断面図(図2の1−1線断面図)である。
【図2】図1に示されるアクセルペダル装置を示す斜視図である。
【図3】図2に示されるアクセルペダル装置を分解した斜視図である。
【図4】図2に示されるアクセルペダル装置を台座の裏面側から見た裏面図である。
【図5】図2に示されるアクセルペダル装置を示す側断面図(図2の5−5線断面図)である。
【図6】図4に示されるアクセルペダル装置に用いられる台座の係合爪部がブラケットの位置決孔に挿入された状態を示す断面図(図4の6−6線断面図)である。
【図7】図2に示されるアクセルペダル装置に用いられる台座がブラケットに締結された状態を示す断面図(図2の7−7線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図2には、本発明の実施の形態に係るアクセルペダル装置10の全体が斜視図にて示されており、図3には、アクセルペダル装置10を分解した状態が斜視図にて示されている。また、図5には、アクセルペダル装置10が車両左方から見た断面図にて示されている。なお、図面に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印RHは車両右方(車幅方向一側)を示し、矢印UPは車両上方を示している。
【0033】
これらの図に示されるように、アクセルペダル装置10は、車両の運転席のフロアFに固定されるブラケット12と、ブラケット12に締結される(組付けられる)台座20と、台座20に支持されるペダル60とを含んで構成されている。なお、図3では、ブラケット12が図示省略されている。
【0034】
図5に示されるように、ブラケット12は、板金により製作されて、側面視においてハット形状に形成されている。また、ブラケット12は車両前方へ向かうに従い上方へ傾斜して配置されている。図7にも示すように、このブラケット12には、上壁14において、後述する台座20を締結させるための一対の締結孔16が設けられており、締結孔16は車幅方向に沿って配置されている。また、ブラケット12の上壁14には、裏面側(車両のフロアF側)の部分において、一対のナット18が溶接等により固定されており、ナット18は締結孔16と同軸上に配置されている。
【0035】
台座20は、樹脂(例えば、ガラス繊維を含有したPA「ポリアミド」)により製作されると共に、略矩形板状に形成されている。また、台座20は、ブラケット12に対して車両の車室側(車両のフロアFとは反対側)に設けられて、ブラケット12の上壁14に対向して配置されている。これにより、台座20は、側面視において車両前方へ向かうに従い上方へ傾斜して配置されている。
【0036】
図3、図4、及び図7に示すように、台座20の略中央部には、一対の凹部22、24がブラケット12の締結孔16に対応して設けられている。凹部22、24はブラケット12側へ突出されており、凹部22、24の底壁22A、24Aがブラケット12の上壁14と平行に配置されている。
【0037】
車両左方の凹部22の底壁22Aには、円形状の嵌入孔22Bが設けられている。嵌入孔22B内には、金属により製作された円筒形状の第1カラー26が嵌入されており、第1カラー26はブラケット12の締結孔16と同軸上に配置されている。この第1カラー26の高さ寸法は、底壁22Aの厚さ寸法に比して若干大きく設定されており、これにより、第1カラー26が、底壁22Aに対してブラケット12側へ若干突出されて、ブラケット12の上壁14に当接されている。
【0038】
また、車両右方の凹部24の底壁24Aには、略トラック形状の嵌入孔24Bが設けられている。嵌入孔24B内には、金属により製作された略トラック形筒状の第2カラー28が嵌入されており、第2カラー28はブラケット12の締結孔16と同軸上に配置されている。この第2カラー28の高さ寸法は、底壁24Aの厚さ寸法に比して若干大きく設定されており、これにより、第2カラー28が、底壁24Aに対してブラケット12側へ若干突出されて、ブラケット12の上壁14に当接されている。
【0039】
そして、第1カラー26及び第2カラー28内には、それぞれ「締結部材」としてのボルト30が挿通されており、ボルト30がナット18に螺合されて、台座20がブラケット12に締結されている(図7参照)。なお、台座20に対してブラケット12側には、カーペットCが配置されており、台座20がブラケット12に締結されることで、台座20の周縁の一部とブラケット12とによってカーペットCが狭持されている。
【0040】
図4及び図6に示すように、台座20の裏面(ブラケット12側面)側の部分には、略中央部において、一対の係合爪部32が一体に設けられており、係合爪部32は車幅方向に沿って対向して配置されている。係合爪部32は略矩形板状の係合片34を有しており、係合片34は台座20からブラケット12側へ突出されている。また、係合片34は車幅方向に弾性変形可能に構成されている。車両右方に配置された係合爪部34には、先端部において、爪36が設けられている。爪36は、車両前方から見て車両右方へ突出された略三角形状に形成されている。また、車両左方に配置された係合爪部32の先端部には、先端に向かうに従い車両右方へ傾斜された傾斜面38が形成されている。そして、一対の係合爪部32は、ブラケット12に設けられた略矩形状の位置決孔14A内に挿入されている。
【0041】
図1、及び図3〜図5に示すように、台座20には、一対の凹部22、24の車両前方の位置において、嵌合部40が設けられている。嵌合部40は、車両左方から見て車室側に一部開放された略矩形環状に形成されると共に、台座20の車両左側端部から車幅方向に沿って車両右側端部の手前まで延設されている。これにより、嵌合部40の内部には、側面視において矩形状の溝部42が車幅方向に沿って形成されており、溝部42は車両前方へ向かうに従い車両上方へ傾斜して配置されている。また、嵌合部40の開放された部分は開口部44とされており、開口部44は側面視における溝部42の幅方向中間部に連通されている。
【0042】
図4に示すように、嵌合部40の底壁40Aには、車両左側の部分において、一対のスリット46が設けられている。このスリット46は、嵌合部40の車両左側端部から車幅方向に沿って台座20の車幅方向中間部の手前まで延設されると共に、溝部42に連通されている。これにより、この一対のスリット46間の部分が、撓み部48とされており、撓み部48は底壁40Aに対して直交する方向に撓み変形(弾性変形)可能に構成されている。
【0043】
図1にも示すように、嵌合部40の撓み部48には、「係合部」としての係合孔50が設けられている。係合孔50は、略矩形状に形成されると共に、溝部42と連通されている。また、嵌合部40の撓み部48には、係合孔50に対して車両左方の位置において、「突出部」としてのストッパ部52が一体に設けられている。ストッパ部52は、略直方体状に形成されて、撓み部48からブラケット12側へ突出されており、ストッパ部52の先端がブラケット12の上壁14に当接されている。これにより、ブラケット12の上壁14が本願の「抑制部」とされており、ストッパ部52が上壁14に当接されることで、係合孔50がブラケット12側へ変位することが抑制されるように構成されている。なお、ストッパ部52の先端と上壁14との間に若干の隙間が形成されるように、ストッパ部52を設けてもよい。
【0044】
図3に示すように、ペダル60は、樹脂(例えば、熱可塑性ポリエステルエラストマー、一例として東レ・デュポン株式会社の製造・販売に係る商標「ハイトレル」)により製作されている。このペダル60は、台座20に支持される支持部62と、略矩形板状に形成されて踏力が付与されるパッド部70と、パッド部70と支持部62とを連結するヒンジ72とを含んで構成されている。
【0045】
支持部62は、ペダル60の車両下方の部分を構成しており、車幅方向に沿って長尺状に形成されている。図5に示すように、支持部62には、下端部において、側面視で略逆T字形状に形成された被嵌合部64が設けられている。被嵌合部64は、台座20の溝部42及び開口部44に挿入されて、台座20の嵌合部40に嵌合されている。
【0046】
図1に示すように、被嵌合部64の車両右側端部は、台座20の嵌合部40の右側壁40Cに当接されており、これにより、組付位置(図1に示す位置)における被嵌合部64(ペダル60)の車両右方への移動が制限されている。
【0047】
また、被嵌合部64には、嵌合部40の底壁40Aと対向する面において、断面略台形状の「被係合部」としての係合フック部66が設けられている。係合フック部66は、被嵌合部64から底壁40A側へ突出されると共に、台座20の係合孔50内に配置されている。この係合フック部66の車両左端面が係止面66Aとされており、係止面66Aは、係合孔50の内周面と対向して配置されて、当該内周面と当接されている。これにより、組付位置における被嵌合部64(ペダル60)の車両左方への移動が制限されている。
【0048】
図3及び図5に示すように、支持部62には、嵌合部40に対して車両上方の位置において、略矩形板状のフランジ部68が設けられている。フランジ部68は被嵌合部64と対向して配置されており、フランジ部68と被嵌合部64とで嵌合部40の上壁40Bを挟持している。これにより、ペダル60が台座20に支持されている。
【0049】
図2及び図3に示すように、パッド部70は、略矩形板状に形成されており、略上下方向に沿って延設されている。パッド部70の下端部は、支持部62のフランジ部68の車両上方へ配置されて、ヒンジ72によって支持部62と連結されている(図5参照)。これにより、パッド部70がヒンジ72を支点として搖動可能に構成されており、ドライバーがパッド部70を踏み込むことで、パッド部70に踏力が付与されるように構成されている。
【0050】
次に、台座20及びペダル60をブラケット12に組付ける手順について説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0051】
まず、ペダル60を台座20に組付ける際には、ペダル60の被嵌合部64を台座20に対して車両左側から台座20の溝部42内に挿入すると共に、被嵌合部64を車両右方へスライド移動させる。被嵌合部64の係合フック部66が台座20の撓み部48に到達した際には、係合フック部66が嵌合部40の底壁40Aを押圧して、撓み部48が底壁40Aに対して直交する方向(被嵌合部64から離間する方向)へ撓み変形(弾性変形)する。これにより、係合フック部66の溝部42内への挿入されることが許容される。そして、被嵌合部64を車両右方へさらにスライド移動させると、被嵌合部64の車両右側端部が、嵌合部40の右側壁40Cに当接すると共に、被嵌合部64の係合フック部66が嵌合部40の係合孔50内に配置される。これにより、ペダル60が台座20に組付けられて、ペダル60と台座20とがサブアッセンブリーされる。
【0052】
そして、この状態で、台座20とブラケット12との間にカーペットCを配置しつつ、台座20の一対の係合爪部32をブラケット12の位置決孔14A内に挿入する。この時にカーペットCよる反力が台座20に作用すると、この反力によって台座20がブラケット12から離間する方向へ移動されるが、車両右方の係合爪部32の爪36が位置決孔14Aの内周面に係合して、台座20のブラケット12から離間する方向への移動が抑制される。
【0053】
さらに、ボルト30を第1カラー26及び第2カラー28内にそれぞれ挿入して、ボルト30がナット18に螺合されることで、台座20がブラケット12に締結される。これにより、台座20及びペダル60がブラケット12を介して車両のフロアFに組付けられる。
【0054】
ここで、上述したように、台座20には、内部に溝部42を有する嵌合部40が車幅方向に延設されており、嵌合部40は、車室側へ一部開放された環状に形成されている。この溝部42には、ペダル60の被嵌合部64が車両右方へスライドして挿入されて、被嵌合部64と溝部42とが嵌合している。これにより、被嵌合部64を溝部42に組付ける際に、開口部44が開くように(被嵌合部64の上壁40Bが互いに離間するように)嵌合部40を変形させる必要がない。
【0055】
また、被嵌合部64には、嵌合部40の係合孔50と係合される係合フック部66が設けられており、係合フック部66が係合孔50と係合される(係合フック部66の係止面66Aが係合孔50の内周面に当接する)ことで、被嵌合部64の車両左方への移動が制限される。これにより、被嵌合部64(ペダル60)が嵌合部40(台座20)から車両左方へ離脱することが抑制される。
【0056】
さらに、ブラケット12の上壁14が台座20のストッパ部52の先端と当接することで、係合孔50が被嵌合部64から離間する方向(車両のフロアF側)へ変位することが抑制される。このため、例えば、仮に台座20の経年変化などによって係合孔50(撓み部48)が被嵌合部64から離間する方向へ変位しようとしても、ブラケット12の上壁14によって係合孔50の変位が抑制されるため、係合孔50と係合フック部66との係合状態が維持される。以上により、台座20からペダル60が外れることを抑制できる。
【0057】
また、上述したように、ブラケット12の上壁14によって係合孔50(撓み部48)の変位が抑制されるため、ブラケット12を利用して係合孔50の変位を抑制できる。これにより、台座20のストッパ部52に当接される部材を別途設ける必要がない点において、台座20のストッパ部52に当接される部分を効率よく設けることができる。
【0058】
さらに、ブラケット12の断面がハット形状に形成されている。このため、剛性の高いブラケット12に台座20のストッパ部52を当接させて、係合孔50の変位を抑制できる。
【0059】
また、台座20にストッパ部52が設けられており、ストッパ部52は、ブラケット12の上壁14側へ突出されると共に、ストッパ部52の先端が上壁14と当接可能に構成されている。このため、ストッパ部52の突出量を調整することで、上壁14と台座20との間の距離に対応して上壁14と台座20と当接させることができる。
【0060】
さらに、ペダル60の被嵌合部64が台座20の車両左側から車両右方へスライド移動して溝部42に挿入される。つまり、ペダル60が車両のブレーキペダル側から台座20に組付けられる。このため、ブレーキペダルからペダル60にドライバーが踏み替える際にドライバーからペダル60に入力される力の方向と、ペダル60の台座20への組付方向と、を略一致させることができる。これにより、ペダル60に入力される当該力によって、ペダル60が台座20から外れることを抑制できる。
【0061】
また、台座20に一対の係合爪部32が設けられており、係合爪部32はブラケット12の位置決孔14Aに挿入される。このため、台座20をブラケット12に組付ける際の台座20の位置決めとして係合爪部32が作用する。また、車両右方の係合爪部32には爪36が設けられている。このため、台座20をブラケット12に組付ける際にカーペットCよる反力が台座20に作用して、台座20がブラケット12から離間する方向へ移動される際に、係合爪部32の爪36が位置決孔14Aの内周面に係合して、台座20のブラケット12から離間する方向への移動が抑制される。これにより、ブラケット12に台座20を組付ける際に台座20が浮くことを抑制できる。したがって、台座20をブラケット12に組付ける際の組付性を向上できる。
【0062】
さらに、一対のボルト30によって台座20がブラケット12に締結されるため、台座20をブラケット12に締結させる際にブラケット12に対する台座20の回転を抑制した状態で台座20をブラケット12に締結できる。したがって、台座20をブラケット12に組付ける際の組付性を一層向上できる。また、例えば、台座20に爪を設けて、当該爪をブラケット12に嵌合させて台座20をブラケット12に固定する場合に比して、ブラケットから台座20を取外すことを容易にできる。これにより、台座20及びペダル60を再利用することもできる。
【0063】
さらに、台座20とペダル60とは別部材で構成されている。このため、例えば、ガラス繊維を含有した樹脂によって台座20を製作することで、台座20を比較的強度の高い部品として構成できる。これにより、台座20をブラケット12に組付ける際の組付性を効果的に向上できる。
【0064】
なお、本実施の形態では、台座20の係合孔50は嵌合部40の底壁40Aを貫通して溝部42と連通している。これに替えて、係合孔50をブラケット12側へ突出された有底の凹形状に形成してもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、ペダル60の被嵌合部64に係合フック部66が形成されて、係合フック部66が台座20の係合孔50内に配置されている。これに替えて、台座20の嵌合部40に係合フック部66を形成すると共に、ペダル60の被嵌合部64に係合孔50を形成して、係合フック部66を係合孔50内に配置してもよい。この場合には、係合フック部66が本願の「係合部」とされて、係合孔50が本願の「被係合部」とされる。
【0066】
さらに、本実施の形態では、台座20の開口部44が、側面視において台座20の溝部42の幅方向中間部に連通されているが、台座20の開口部44の位置は台座20の溝部42の幅方向に対して任意に設定できる。例えば、台座20の開口部44を、側面視において台座20の溝部42の幅方向一端部に連通するように配置してもよい。この場合には、ペダル60の嵌合部40が、側面視において略L字形状に形成される。
【0067】
また、本実施の形態では、台座20のストッパ部52の先端がブラケット12の上壁14に当接されることで、係合孔50の変位が抑制される。これに替えて、台座20のストッパ部52の先端に当接可能に構成された別部材を車両のフロアに固定してもよい。
【0068】
さらに、本実施の形態では、台座20のストッパ部52は係合孔50の車両左方に配置されているが、ストッパ部52の位置は任意に設定できる。つまり、係合孔50の変位を抑制できるように、ストッパ部52がブラケット12の上壁14に当接可能に構成されていればよい。
【0069】
また、本実施の形態では、台座20の一対の係合爪部32において、車両右方に配置された係合爪部32にのみ爪36が設けられているが、爪36が一対の係合爪部32にそれぞれ設けられていてもよい。
【0070】
さらに、本実施の形態では、2つのボルト30によって、台座20がブラケット12に締結されているが、2つ以上のボルト30によって、台座20をブラケット12に締結してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 アクセルペダル装置
12 ブラケット
14 上壁(抑制部)
20 台座
30 ボルト(締結部材)
32 係合爪部
40 嵌合部
50 係合孔(係合部)
52 ストッパ部(突出部)
60 ペダル
64 被嵌合部
66 係合フック部(被係合部)
F フロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席のフロアに設けられたブラケットと、
前記ブラケットに組付けられ、車幅方向に延設されると共に側面視で一部が開放された嵌合部と前記嵌合部に設けられた係合部とを含んで構成される台座と、
車幅方向一側へスライドして前記嵌合部と嵌合される被嵌合部と前記被嵌合部に設けられると共に前記係合部と係合されることで前記被嵌合部の車幅方向他側への移動を制限する被係合部とを含んで構成され、踏力が付与されるペダルと、
前記嵌合部と当接することで前記係合部が前記被嵌合部から離間する方向へ変位することを抑制する抑制部と、
を備えたアクセルペダル装置。
【請求項2】
前記抑制部が前記ブラケットに設けられた請求項1に記載のアクセルペダル装置。
【請求項3】
前記ブラケットが断面ハット形状に形成された請求項2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項4】
前記台座に設けられ、前記抑制部側へ突出されると共に、前記抑制部と当接可能に構成された突出部を備えた請求項2又は請求項3に記載のアクセルペダル装置。
【請求項5】
前記車幅方向一側が車両右方とされた請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のアクセルペダル装置。
【請求項6】
前記台座に設けられ、前記ブラケットに挿入されて前記ブラケットと係合可能に構成された係合爪部を備えた請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のアクセルペダル装置。
【請求項7】
前記台座は少なくとも2つ締結部材によって前記ブラケットに締結される請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のアクセルペダル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112125(P2013−112125A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259299(P2011−259299)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】