説明

アクチュエータ、アクチュエータを備えたアンクランプ装置および加工装置

【課題】短時間の間に大きな駆動力を出力できると共に、エネルギ効率の向上が図られたアクチュエータ、このアクチュエータを備えたアンクランプ装置および加工装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータは、動力源10と、動力源10からの動力で駆動されるカム部材15と、カム部材15の動きに連動する追従部材19と、作動媒体を収容する収容室20aと、追従部材19で作動媒体に伝達された動力を出力するパンチシリンダ14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、このアクチュエータを備えたアンクランプ装置および加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パンチングマシンなどの加工装置などにおいては、僅かな時間の間に大きな駆動力を出力することができるアクチュエータが搭載されている。
【0003】
このようなアクチュエータは、たとえば、油タンクに接続され、モータにより駆動する油圧ポンプと、油圧ポンプの吐出側管路に接続されたサーボバルブと、チェック弁と、リリーフバルブと、アキュムレータ等を備えた油圧回路を備えている。そして、打撃してパンチング加工を行なうピストンロッドを備えた油圧シリンダには、上記サーボバルブが接続されており、油圧ポンプにて吐出された油圧は、油圧シリンダの上室に送られて、ピストンロッドを下降させる。そして、ピストンロッドによって、パンチング加工が施される。
【特許文献1】特開2000−312929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のように構成されたアクチュエータにおいては、常時油圧ポンプを駆動する必要があり、さらに、リリーフバルブから不要な圧力を逃がす必要があり、無駄なエネルギが大きく、駆動効率の悪いものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、短時間の間に大きな駆動力を出力できると共に、エネルギ効率の向上が図られたアクチュエータ、このアクチュエータを備えたアンクランプ装置および加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアクチュエータは駆動源と、駆動源からの動力で駆動されるカムと、カムの動きに連動する追従部材と、作動媒体を収容する収容室と、追従部材で作動媒体に伝達された動力を出力する出力部とを備える。好ましくは、上記収容室と出力部とに接続された接続部をさらに備える。好ましくは、上記作動媒体は液体状の作動媒体とされ、出力機構に接続され、作動媒体中の気体を分離可能な分離機構をさらに備える。好ましくは、上記カム部材に補助動力を与えることが可能な補助動力源をさらに備える。好ましくは、上記収容室内に外気を供給したり、収容室内の気体を排出したりするバルブをさらに備える。
【0007】
本発明に係るアンクランプ装置は、上記アクチュエータを備える。本発明に係る加工装置は、上記アクチュエータを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアクチュエータ、アンクランプ装置および加工装置によれば、短時間の間に大きな駆動力を出力することができると共に、駆動効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1から図6を用いて、本実施の形態に係るアクチュエータおよび加工装置について説明する。なお、同一の構成および相当する構成には、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0010】
図1は、本実施の形態1に係るアクチュエータ100を備えたパンチングマシン200の概略構成を示す断面図である。
【0011】
この図1に示されるように、パンチングマシン(加工装置)200は、アクチュエータ100と、たとえば、ワークを保持するワーク保持機構等とを備えている。アクチュエータ100は、モータ、クラッチ機構や減速機構を備えた動力源10と、出力機構としてのパンチシリンダ14と、動力源10からの動力を油(作動媒体)を介してパンチシリンダ14に伝達する動力伝達機構50とを備えている。
【0012】
パンチシリンダ14は、動力伝達機構50から供給される油の圧力によって駆動され、ワークに対してパンチ加工などを施すパンチロッド(駆動部)30と、このパンチロッド30を摺動可能に収容すると共に、動力伝達機構50からの油を収容する油収容室32が規定されたシリンダ部31とを備えている。
【0013】
さらに、このパンチシリンダ14は、パンチロッド30を付勢する弾性部材33をさらに備えており、油収容室32内に油が供給されることで、パンチロッド30は、弾性部材33からの付勢力に抗して、ワークに向けて押出される。
【0014】
動力伝達機構50は、動力源10によって回転駆動可能な回転軸(駆動軸)12と、この回転軸12に設けられたカム部材15と、カム部材15の動きに追従して、油を加圧、吐出する油圧ポンプ13とを備えている。そして、油圧ポンプ13は、カム部材15の動きに追従するピストンロッド(追従部材)19と、このピストンロッド19を摺動可能に支持するシリンダ部20とを備えている。
【0015】
シリンダ部20は、内部に油を収容する収容室20aが規定されており、ピストンロッド19が摺動することで、その容積が変動する。ここで、収容室20aは、ピストンロッド19の径より大径とされた貯留室26と、貯留室26の下端部に接続され、ピストンロッド19が嵌りこみ、油がピストンロッド19によって加圧される加圧室21とを備えている。
【0016】
ここで、ピストンロッド19が加圧室21内に嵌りこむ前の状態においては、加圧室21の内壁面と、貯留室26の内壁面と、ピストンロッド19との間には、隙間が形成され、貯留室26と加圧室21とは連通した状態となっている。そして、貯留室26は、加圧室21の上方に位置しているため、加圧室21内に入り込んだ空気等の気体は、上方に変位し、貯留室26内に入り込む。すなわち、加圧室21内の気体は、貯留室26内に排出され、貯留室26に排出された空気などの気体は、貯留室26の上端部側に蓄積される。このようにして、加圧室21内の空気は分離され、加圧室21内は油によって満たされる。ここで、加圧室21の内周面には、環状のシール部材23が設けられている。そして、ピストンロッド19の下端部が図1に示すように、加圧室21から離れた状態から、加圧室21に向けて変位し、さらに、シール部材23に差し掛かると、加圧室21と貯留室26とが分離される。そして、さらに、ピストンロッド19が下方に変位して、加圧室21内に入り込むと、加圧室21内の油の加圧が開始される。ここで、上記のように、加圧室21内に空気などの気体が入り込むことが抑制されているので、ピストンロッド19が油を良好に加圧することができる。
【0017】
なお、シリンダ部20には、バルブ24、25が設けられており、シリンダ部20内の内圧が所定圧以上となると、外部にシリンダ部20内の気体を排出したり、シリンダ部20内が所定圧より低くなると、内部に外気を供給したりして、シリンダ部20内が所定圧となるように保たれている。なお、バルブ24,25は、油の液面より上方に位置している。
【0018】
ピストンロッド19のカム部材15側の端部には、ローラ部材18が設けられている。このローラ部材18を回転可能に支持する軸部18aは、ピストンロッド19の上端部側に形成された穴部に挿入されている。そして、ローラ部材18は、カム部材15の外周面と接触している。このため、カム部材15が回転することにより、カム部材15の動きに合わせ、ローラ部材18を介して、ピストンロッド19が摺動する。
【0019】
シリンダ部20内において油を収容する収容容積を小さくするように、ピストンロッド19が摺動することにより、シリンダ部20内の油が加圧される。そして、シリンダ部20とシリンダ部31とに接続された接続管27が設けられており、ピストンロッド19によって加圧された油が、接続管27を介して、シリンダ部31の油収容室32内に供給される。このようにして、ピストンロッド19によって油に伝達された動力によってパンチロッド30が駆動される。このように、このアクチュエータ100においては、カム部材15の形状によって、パンチシリンダ14に供給される油の供給量を制御することができる。
【0020】
図2は、カム部材15の平面図である。図1および図2に示されるように、カム部材15は、カム部16およびカム部17とを備えている。そして、この図2に示す状態においては、図1に示すように、パンチロッド30は、ワークから退避した状態となっており、ピストンロッド19は、上方に変位している。
【0021】
そして、図2において、回転軸12が回転中心線Oを中心として回転して、カム部材15が回転すると、ローラ部材18は、徐々に下方に変位する。すなわち、回転軸12が回転を開始する際において、ローラ部材18は、カム部16の周面のうち、回転軸12の回転中心線Oから最も近い位置P1にて接触している。
【0022】
そして、カム部材15が回転するにしたがって、ローラ部材18がカム部16と接触する接触点と、回転中心軸Oとの距離は、大きくなる。
【0023】
このため、図1において、ピストンロッド19も漸次下方に変位する。そして、図1において、ピストンロッド19が下方に変位することで、ピストンロッド19の下端部が加圧室21に入り込み、加圧室21内の油が加圧され始める。
【0024】
そして、接続管27を介して、油がパンチシリンダ14に供給されて、パンチロッド30が動き始める。
【0025】
さらに、図2において、回転軸12が回転すると、ローラ部材18とカム部16の外周面との接触点は、カム部16の外周面のうち、最も回転中心線Oから離間した位置P2に近づく。
【0026】
ここで、位置P1から位置P2に向けて、カム部16の周面の曲率半径は大きくなるように形成されている。そして、位置P2に近傍における曲率半径の変化率は、位置P1近傍における曲率半径の変化率よりも小さい。
【0027】
このため、ローラ部材18と、カム部16との接触位置が、位置P2から位置P1に向かい始める過程においては、ローラ部材18の変位速度は大きく、ローラ部材18とカム部16との接触位置が、位置P2に近づくにつれて、ローラ部材18の変位速度が小さくなる。
【0028】
このように、ローラ部材18とカム部16との接触位置が位置P2に近づくにつれて、ローラ部材18の変位量が低減されているため、ローラ部材18から大きな押圧力がかかった状態においても、カム部材15を確実に回転させることができる。このため、パンチロッド30がワークに対してパンチ加工を施すときのように、大きな押圧力がローラ部材18にかかっているときにおいても、カム部材15は回転することができ、ローラ部材18を変位させることができる。これにより、パンチロッド30が確実にワークを加工することができる。
【0029】
このように、カム部材15のカム部16の形状によって、パンチロッド30がワークに向けて近接していく際には、変位速度を高くすることができると共に、パンチロッド30がワークを加工する際には、確実に大きな駆動力を発生させることができる。
【0030】
また、このアクチュエータ100が駆動される期間は、パンチシリンダ14を駆動させる際に限定されている。このため、常時、動力源10や動力伝達機構50が駆動されることが抑制されており、さらに、油を油タンク等にリリーフさせる必要もなく、無駄なエネルギの発生を抑制することができ、作動効率の向上も図ることができる。
【0031】
さらに、カム部材15の形状を各種変更することで、パンチロッド30の駆動を各種変更することができ、製品の設計変更に対しても容易に対応することができる。
【0032】
そして、液体状の油が、動力源10からの動力をパンチシリンダ14に伝達しているので、接続管27の配設位置を適宜変更することで、パンチシリンダ14と動力源10および動力伝達機構50のレイアウトを自由に変更することができる。このため、加工部品の設計変更に伴う金型変更にも、容易に対応することができる。
【0033】
ここで、本実施の形態に係るアクチュエータ100においては、図1に示すように、カム部材15に補助動力を加えることができる補助動力機構(補助動力源)11が設けられている。この補助動力機構11としては、たとえば、図1に示すようなコイルバネ(弾性部材)38やガススプリングなどであってもよい。
【0034】
この補助動力機構11は、コイルバネ38と、このコイルバネ38を収容する収容ケース39と、カム部材15のカム部17の周面に当接するローラ部材35と、このローラ部材35を回転可能に支持すると共に、コイルバネ38によってカム部材15に向けて付勢された支持部材37とを備えている。
【0035】
ローラ部材35の軸部35aは、支持部材37に形成された貫通孔に挿入されている。そして、このローラ部材35は、支持部材37を介して、コイルバネ38からの付勢力によってカム部17の周面に押圧されている。
【0036】
そして、図2において、カム部材15が回転方向Pに向けて回動して、ローラ部材18とカム部16の周面との接触位置が、位置P2に近接する際に、ローラ部材35がカム部16の周面に加える押圧力の分力は、カム部17の周面を回転方向Pに向けて押圧する。
【0037】
すなわち、ローラ部材18がカム部16の位置P2に近接するときには、ローラ部材35がカム部17の周面を押圧する押圧力は、カム部材15が回転方向Pに向けて回転することを補助する。
【0038】
このため、ローラ部材18には、動力源10および補助動力機構11からの動力が加えられる。このため、たとえば、パンチロッド30がワークを加工する際のように、パンチロッド30に大きな駆動力を加える必要がある際に、動力源10からの出力が過大となることを抑制することができる。
【0039】
これにより、動力源10が要する最大出力を低減することができ、動力源10のコンパクト化および低廉化を図ることができる。
【0040】
なお、パンチロッド30がワークを加工した後に、ワークから退避する際には、ローラ部材18とカム部16の周面との接触位置は、カム部16の位置P2を通り越し、位置P1に向けて変位する。
【0041】
この際、ローラ部材35からカム部17の周面に加えられる押圧力は、カム部材15を回転方向Pと反対方向に向けて回転させるように働く場合もあるが、補助動力機構11からの出力よりも、動力源10からの出力の方が大きいので、カム部材15は、回転方向Pに向けて回転する。
【0042】
そして、ローラ部材18とカム部16の周面との接触位置が、位置P1に位置することにより、パンチロッド30は、ワークから退避した初期位置に戻る。
【0043】
図3は、本実施の形態に係るアクチュエータ100の第1変形例を示す一部を断面視した側面図である。この図3に示されるように、このアクチュエータ100Aにおいては、シリンダ部20の収容室20a内は、油が充填されており、この収容室20aの上端には、油内の気体を分離する気液分離タンク(分離機構)40が接続管41を介して接続されている。
【0044】
この気液分離タンク40は、シリンダ部20より上方に配置されており、この気液分離タンク40には、油の液面が位置しており、油と空気(気体)とが充填されている。
【0045】
ここで、ピストンロッド19が図3に示すように、加圧室21から離間した状態においては、加圧室21と貯留室26は、連通状態とされている。さらに、貯留室26に接続された接続管41を介して、貯留室26と気液分離タンク40とは、連通状態とされており、加圧室21と貯留室26と、気液分離タンク40とは、互いに連通している。
【0046】
このため、加圧室21内に入り込んだ空気などの気体は、貯留室26、接続管41を介して、気液分離タンク40に排出される。
【0047】
そして、ピストンロッド19の下端部が、加圧室21内に入り込み、シール部材23に差し掛かると、加圧室21の開口部がピストンロッド19によって閉塞され、加圧室21と貯留室26とが分離される。そして、ピストンロッド19が加圧室21内にさらに入り込むことで、加圧室21内の油が加圧される。この際、加圧室21内の空気は、既に気液分離タンク40に排出されているため、ピストンロッド19は、良好に油を加圧することができ、パンチロッド30に動力を良好に伝達することができる。
【0048】
図4は、本実施の形態に係るアクチュエータの第2変形例を示す模式図である。この図4に示す例のように、端面カム(end cam, bell cam)115を介して、動力源10からの動力を油圧ポンプ13に動力を供給してもよい。
【0049】
図5は、本実施の形態に係るアクチュエータをアンクランプ装置300に適用した例を示す断面図であり、図6は、図5に示すアンクランプ装置300にアンクランプ動作の際の駆動力を供給するアクチュエータ500を示す断面図である。
【0050】
図5において、アンクランプ装置300は、ケーシング151と、ケーシング151に回転可能に支持された主軸152と、この主軸152の下端部に設けられ、工具170が装着される装着部154と、主軸152を回転させるモータ等の駆動源400とを備えている。そして、装着部154に工具170を装着した状態で、主軸152が回転することで、図示されないワークが加工される。なお、主軸152は、複数の軸受156,157によって回転可能に支持されている。
【0051】
さらに、アンクランプ装置300は、主軸152に形成され、軸方向に延びる貫通孔152a内に挿入されたドローバ153と、貫通孔152a内に収容され、ドローバ153を装着部154から離れる方向に付勢する皿バネなどの弾性部材155と、ドローバ153を装着部154に向けて押圧可能なアンクランプ機構114と、コレット(把持部)161とを備えている。
【0052】
コレット161は、貫通孔152a内に収容されており、装着部154に装着された工具170の上端部と、ドローバ153の下端部とのいずれにも係合している。そして、工具170が装着部154に装着されている際には、ドローバ153は、弾性部材155によって上方に向けて付勢されており、コレット161も上方に向けて付勢されている。
【0053】
このため、工具170は、コレット161によって、主軸152に向けてひきつけられており、装着部154に工具170が嵌め込まれている。
【0054】
そして、このアンクランプ装置300は、図5および図6に示すように、装着部154に装着(クランプ)された工具170をアンクランプ状態とするためのアクチュエータ500を備えている。
【0055】
このアクチュエータ500は、上記図1に示すアクチュエータ100と同様に構成されている。このアクチュエータ500は、動力源10と、図5に示す出力部としてのアンクランプ機構114と、動力源10からの動力をアンクランプ機構114に伝達する動力伝達機構50とを備えている。
【0056】
ここで、動力伝達機構50と、アンクランプ機構114との間は、油が流通する接続管27が接続されている。このため、接続管27の引き回し方を変更することで、動力源10および動力伝達機構50等をアンクランプ装置本体から離れた位置に配置することができる。さらに、アンクランプ装置300の設置条件に合わせて、アクチュエータ500の位置を適宜変更することができる。
【0057】
図5において、アンクランプ機構114は、動力伝達機構50から供給される油圧によって駆動されるアンクランプシリンダ160と、アンクランプシリンダ160のピストンロッド130によって押圧される押圧部材150と、この押圧部材150およびドローバ153とに係合するピン133とを備えている。
【0058】
アンクランプシリンダ160は、動力伝達機構50から供給される油圧によって摺動するピストンロッド130と、ピストンロッド130を摺動可能に支持するシリンダ部131と、シリンダ部131内に規定され、油が供給される油収容室132とを備えている。
【0059】
そして、工具170をアンクランプ状態にする際には、まず、図5において、動力源10が起動して、カム部材15が回転する。
【0060】
ここで、カム部材15は、上記図2に示すような形状とされており、工具170がクランプされた状態においては、ローラ部材18は、カム部16の位置P1にてカム部16の周面と接触している。
【0061】
そして、カム部材15が回転して、ローラ部材18とカム部16の周面との接触位置が位置P2に近づくにしたがって、回転中心線Oと、ローラ部材18とカム部16との接触位置との間の距離が大きくなる。
【0062】
このため、ピストンロッド19が変位して、ピストンロッド19が、収容室20aの容積を狭める。
【0063】
そして、加圧室21内にピストンロッド19が入り込むことで、油が加圧され、図6に示す油収容室132内に油が供給される。これにより、ピストンロッド130が工具170に向けて変位し、押圧部材150およびピン133も工具170に向けて変位する。
【0064】
このため、弾性部材155からの付勢力に抗して、ドローバ153が工具170に向けて変位し始める。そして、ドローバ153が所定の位置にまで下方に変位すると、コレット161が変形して、コレット161と工具170との係合状態が解除される。
【0065】
そして、図2において、ローラ部材18とカム部16との接触位置と位置P2の近傍および位置P2に達する際に、動力伝達機構50から大きな動力が、アンクランプシリンダ160に供給される。
【0066】
そして、ピストンロッド130、押圧部材150およびピン133を介して、動力伝達機構50からの大きな駆動力が、ドローバ153に伝達される。これにより、工具170が装着部154から確実に外される。このようにして、工具のアンクランプ動作が終了する。なお、この図6に示す例においても、補助動力機構11が設けられており、動力源10の最高出力の低減が図られている。
【0067】
なお、アンクランプ動作が完了した時点で、図6に示す動力源10の駆動が停止したり、動力源10内のクラッチ機構によって、回転軸12への動力の伝達が切断される。これにより、工具170のアンクランプ状態は、維持される。このように、工具をアンクランプした後、他の工具を装着する際には、新たな工具170を装着部154内に挿入する。
【0068】
その後、挿入された工具170をクランプする際には、図6に示す動力源10が再度起動したり、動力源10内のクラッチ機構によって、回転軸12への動力の伝達が接続される。
【0069】
これにより、カム部材15が回転し始める。この際、図2において、ローラ部材18とカム部16との接触位置が、位置P2から、位置P1に向けて変位する。
【0070】
このため、ローラ部材18とカム部16との接触位置と回転中心線Oとの間の距離が小さくなる。これにより、図6において、ピストンロッド19は、上方に変位して、油圧が低減されると共に、シリンダ部20の収容室20a内に油が戻り始める。
【0071】
そして、図5において、ピストンロッド130も、油収容室132の容積が小さくなるように変位して、装着部154から離れる方向に変位し始める。
【0072】
このように、アンクランプ機構114からドローバ153に加えられる駆動力が低減されると、弾性部材155からの付勢力によって、ドローバ153が上方に変位し始める。
【0073】
ドローバ153が上方に変位することにより、ドローバ153の下端部に設けられたコレット161も、装着部154から離間するように変位する。
【0074】
このようにコレット161が変位することにより、開くように変形していたコレット161の端部が閉じるように変形して、工具170の上端部と係合する。
【0075】
そして、さらに、ドローバ153が上方に変位することにより、このドローバ153の下端部と係合したコレット161と、このコレット161に係合する工具170も上方に変位する。
【0076】
このようにして、新しい工具170が、装着部154に装着される。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、アクチュエータ、アクチュエータを備えたアンクランプ装置および加工装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施の形態1に係るアクチュエータを備えたパンチングマシンの概略構成を示す断面図である。
【図2】カム部材の平面図である。
【図3】本実施の形態に係るアクチュエータの第1変形例を示し、一部を断面視した側面図である。
【図4】本実施の形態に係るアクチュエータの第2変形例を示す模式図である。
【図5】本実施の形態に係るアクチュエータをアンクランプ装置に適用した例を示す断面図である。
【図6】図5に示すアンクランプ装置にアンクランプ動作の際の駆動力を供給するアクチュエータを示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
10 動力源、11 補助動力機構、12 回転軸、13 油圧ポンプ、14 パンチシリンダ、15 カム部材、16,17 カム部、18 ローラ部材、19 ピストンロッド、20 シリンダ部、20a 収容室、21 加圧室、24 バルブ、26 貯留室、27 接続管、30 パンチロッド、40 気液分離タンク、50 動力伝達機構、100 アクチュエータ、200 パンチングマシン、300 アンクランプ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
前記駆動源からの動力で駆動されるカムと、
前記カムの動きに連動する追従部材と、
作動媒体を収容する収容室と、
前記追従部材で前記作動媒体に伝達された動力を出力する出力部と、
を備えたアクチュエータ。
【請求項2】
前記収容室と前記出力部とに接続された接続部をさらに備える、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記作動媒体は液体状の作動媒体とされ、
前記出力機構に接続され、前記作動媒体中の気体を分離可能な分離機構をさらに備えた、請求項1または請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記カム部材に補助動力を与えることが可能な補助動力源をさらに備えた、請求項1から請求項3のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記収容室内に外気を供給したり、前記収容室内の気体を排出したりするバルブをさらに備えた、請求項1から請求項4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のアクチュエータを備えた、アンクランプ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のアクチュエータを備えた、加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−232218(P2008−232218A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70725(P2007−70725)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(596037194)パスカルエンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】