説明

アクチュエータユニット

【課題】FPCに切れ込みを入れることなく、FPC分割面のうねり及び湾曲を矯正して半田接合面の平面度を向上させることにより、FPCの接続電極とPZTの外部電極との密着性及び半田接合性を向上させて半田接合不良を低減することが可能なアクチュエータユニットを提供する。
【解決手段】ベース部材2に接合された圧電素子3に設けられた複数の外部電極6にフレキシブルプリントケーブル4に設けられた複数の接続電極9をそれぞれ半田接合することにより構成されたアクチュエータユニット1において、各外部電極6と各接続電極9との接合部近傍において、フレキシブルプリントケーブル4に各接続電極9の並び方向と同方向の軸線を有する曲げ加工部16を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル孔等の穴部からインク液滴等の液体を吐出する液体吐出ヘッドのアクチュエータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、ノズル孔からインク液滴を吐出して記録媒体上に着弾させることにより画像形成を行うインクジェットプリンタが広く普及しており、中でも記録に供するインク液滴のみを選択的に吐出する、いわゆるオンデマンド方式のものが主流となっている。このオンデマンド方式は、インク液が吐出する運動エネルギの発生原理により、電気・機械変換素子である圧電素子(以下、PZTともいう)の動作により生じる加圧液室体積変位によってインク液中に圧力を発生させてこの圧力からインク液滴吐出の運動エネルギを得るいわゆるピエゾ方式、電気・機械変換素子として静電アクチュエータを用いる静電方式、電気・熱変換素子によりインク液中に気泡を発生させてこの気泡の膨張によりインクを排除することによりインク液滴吐出の運動エネルギを得るいわゆるサーマル方式等に分類される。
【0003】
上述のピエゾ方式における液体吐出ヘッドとして、インク滴を吐出する複数の並列されたノズルに個別に対応して配置された複数の液室の少なくとも一部の壁面を振動板で形成し、この振動板をPZTによって変形させ液室の容積を変化させてインク滴を吐出させる圧電型アクチュエータを用いた圧電型ヘッドが知られており、この圧電型ヘッドとして複数の圧電素子柱が形成された圧電素子部材をベース部材上に複数並べて配置した圧電型アクチュエータを備えるものが知られている。このような圧電型ヘッドでは、例えば積層型PZTを用い、内部電極を端面に引き出した外部電極にフレキシブルプリントケーブル(以下、FPCともいう)等のフレキシブル配線基板の電極を接合し、各PZTに画像信号に応じた駆動信号を与えるように構成している。
【0004】
このようなFPCの接続電極とPZTの外部電極との半田接合において、ノズルからのエア噴射の圧力によりFPCの接続電極をPZTの外部電極に押さえつけ、FPCの半田部材をレーザによる加熱で溶融することによりFPCとPZTとを半田接合する技術が、例えば「特許文献1」に開示されている。また、FPCに切れ込みを形成してPZT部材間の段差による接合不良の発生を低減させ、FPCの接続電極間に切れ込みを形成することによりFPC分割面のうねり及び湾曲を矯正する技術が、例えば「特許文献2」に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし「特許文献1」に開示された技術では、FPCはリール状態から金型で分割して使用するが分割時においてFPC分割面にうねりや湾曲が発生してしまい、FPCのうねりや湾曲をエア噴射による圧力によって押さえることができないため、半田接合時にFPCの接続電極とPZTの外部電極とが密着できず、半田接合不良が発生するという問題点がある。また「特許文献2」に開示された技術では、圧電素子柱の幅及び間隔は数十μmと非常に微細な構造となっていることから、FPCに数十μm間隔で微細な切れ込みを形成するには大幅なコスト増加となると共に、エア噴射の圧力により切れ込みを形成したFPCが暴れてしまうため接合位置が定まらず、FPC外部電極と圧電素子柱との半田接合が行えないという問題点がある。
【0006】
本発明は上述の問題点を解消し、FPCに切れ込みを入れることなく、FPC分割面のうねり及び湾曲を矯正して半田接合面の平面度を向上させることにより、FPCの接続電極とPZTの外部電極との密着性及び半田接合性を向上させて半田接合不良を低減することが可能なアクチュエータユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、圧電素子を駆動させて所望の変位量を得ることにより液室内のインクを吐出させるインクジェットヘッドに用いられ、ベース部材に接合された前記圧電素子に設けられた複数の外部電極にフレキシブルプリントケーブルに設けられた複数の接続電極をそれぞれ半田接合することにより構成されたアクチュエータユニットにおいて、前記各外部電極と前記各接続電極との接合部近傍において、前記フレキシブルプリントケーブルには前記各接続電極の並び方向と同方向の軸線を有する曲げ加工部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のアクチュエータユニットにおいて、さらに前記曲げ加工部は前記フレキシブルプリントケーブルの全幅にわたって設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のアクチュエータユニットにおいて、さらに前記曲げ加工部は前記各接続電極よりも先端側に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のアクチュエータユニットにおいて、さらに前記フレキシブルプリントケーブルの先端部は前記圧電素子よりはみ出していないことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載のアクチュエータユニットにおいて、さらに前記曲げ加工部の曲げ方向は前記接合部とは反対側であることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項3または4記載のアクチュエータユニットにおいて、さらに前記曲げ加工部の曲げ方向は前記接合部側であることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のアクチュエータユニットにおいて、さらに前記各外部電極と前記各接続電極との接合位置が前記圧電素子に対して前記フレキシブルプリントケーブルの前記曲げ加工部を突き当てることにより自動的に決定されることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項5記載のアクチュエータユニットにおいて、さらに前記曲げ加工部の曲げ角度は90度以下であることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載のアクチュエータユニットを用いるインクジェットプリンタヘッドであることを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載のアクチュエータユニットを用いる画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フレキシブルプリントケーブルに対して曲げ加工部16を設けることにより、曲げ加工部16におけるフレキシブルプリントケーブルの強度が増加して平面度が向上し、フレキシブルプリントケーブルのうねり及び湾曲に起因する半田接合不良の発生を防止することができ、半田接合不良のない良好なアクチュエータユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットの分解図である。
【図3】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットの概略図である。
【図4】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットのPZTとFPCとの接合を説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットのPZTとFPCとの接合を説明する概略図である。
【図6】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットに用いられるFPCを説明する概略図である。
【図7】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットにおける問題点を説明する概略図である。
【図8】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットにおける問題点を説明する概略図である。
【図9】本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットにおける問題点を説明する概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に用いられるFPCを説明する概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に用いられるFPCを説明する概略図である。
【図12】本発明の一実施形態の他の例に用いられるFPCを説明する概略図である。
【図13】本発明の一実施形態に用いられるFPCを説明する概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に用いられるFPC及びPZTを説明する概略図である。
【図15】本発明の一実施形態の変形例に用いられるPZTを説明する概略図である。
【図16】本発明の一実施形態の変形例に用いられるFPC及びPZTを説明する概略図である。
【図17】本発明の一実施形態に用いられるFPCを説明する概略図である。
【図18】本発明の一実施形態では用いられないFPCを説明する概略図である。
【図19】本発明の一実施形態に使用可能なFPCを説明する概略図である。
【図20】本発明の一実施形態に用いられるFPCを説明する概略図である。
【図21】本発明の一実施形態の変形例に用いられるPZTを説明する概略図である。
【図22】本発明の一実施形態の変形例に用いられるFPC及びPZTを説明する概略図である。
【図23】本発明の一実施形態の変形例に用いられるFPC及びPZTを説明する概略図である。
【図24】本発明の一実施形態の変形例に用いられるFPC及びPZTを説明する概略図である。
【図25】本発明の一実施形態に使用可能なFPCの問題点を説明する概略図である。
【図26】本発明の一実施形態に用いられるFPCを説明する概略図である。
【図27】本発明の一実施形態に用いられるアクチュエータユニットのPZTとFPCとの接合を説明する概略図である。
【図28】本発明の一実施形態を適用したアクチュエータユニットの概略図である。
【図29】本発明の一実施形態に用いられるFPC及びPZTを説明する概略図である。
【図30】本発明の一実施形態を適用したアクチュエータユニットの概略斜視図である。
【図31】本発明の一実施形態を適用したアクチュエータユニットの概略断面図である。
【図32】本発明の一実施形態における問題点を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態を適用可能なアクチュエータユニットを示している。同図においてアクチュエータユニット1は、ベース部材2に固定された圧電素子(PZTともいう)3にフレキシブルプリントケーブル(FPCともいう)4を接合することによって構成されており、このアクチュエータユニット1を用いることにより、特開2010−34127号公報に開示された技術と同様に、インクジェットプリンタヘッド及び画像形成装置を構成することができる。
【0020】
図2に、アクチュエータユニット1の詳細図を示す。PZT3は内部電極5、外部電極6、圧電材料層7をそれぞれ有しており、FPC4はテープ部材8、接続電極9、接続電極9にコーティングされた半田部材10、配線パターン11等からそれぞれ構成されており、外部電極6と接続電極9とを密着させた状態で半田部材10を溶融させて接合させることにより、PZT3とFPC4との接合を行っている。
【0021】
図3は、アクチュエータユニット1をFPC4側から見た図を示している。同図に示すように、PZT3は圧電素子柱12の集合によって構成されている。外部電極6と接続電極9との半田接合は、圧電素子柱12内に接続電極9が収まるように圧電素子柱12と接続電極9との接合位置を調整した状態で行われる。
【0022】
次に、PZT3とFPC4との半田接合について説明する。PZT3の外部電極6に対するFPC4の接続電極9の押さえ付けには、図4に示すようにエア噴射の圧力を利用する。圧電素子柱12と外部電極6との位置合わせ後、FPC4の上方からエアを噴射し、この圧力によって外部電極6と接続電極9とを接触させ、この状態で半田部材10に熱を加えて半田接合を行う。
【0023】
図5は半田接合の様子を示している。図5において、エアノズル13からのエア噴射によりFPC4の接続電極9をPZT3の外部電極6に対して押さえ付けた状態とし、レンズ14を介して照射口15から照射されるレーザによって半田部材10を溶融させることにより、接続電極9と外部電極6との半田接合が行われる。
【0024】
次に、従来技術の問題点について説明する。FPC4は、図6に示すようにその複数が1つのロール状となるように形成されており、金型によって個々に分割して使用する。このように金型によって分割するため、FPC4には図7の断面図に示すようにうねり及び湾曲が発生しており、接続電極9の分割面にも同様にうねり及び湾曲が発生する。図7は半田接合前に接続電極9と圧電素子柱12とをアライメントしたときのFPC4側から見た図であり、図7の断面図に示すように、エア噴射前の状態では圧電素子柱12に対して接続電極9が接触していない箇所(隙間が発生する箇所)が存在する。そこでエアを噴射することにより接続電極9を外部電極6に接触させるが、図8に示すようにPZT3の長手方向全体に対する大きなピッチでのうねり及び湾曲はエア噴出によって押さえ込むことができるが、ア部拡大図に示すように非常に狭いピッチでのうねり及び湾曲は押さえ込むことができず、半田接合時に外部電極6と接続電極9とが離れてしまい接合不良が発生してしまう。これに対し、噴出するエアの圧力を上昇させることで外部電極6と接続電極9との密着性を向上して半田接合不良の発生を抑制する可能性があるが、エアの圧力を上昇させると図9に示すようにFPC4の接続電極9を含む先端部がばたついてしまい、接続電極9が外部電極6から離間して接合不良が発生してしまうことから、エアの圧力はある程度以上は上昇させることができない。
【0025】
上述した問題点を解決する本発明の特徴部について説明する。本発明は、FPC4の接続電極9の配設位置近傍に曲げ加工を施した曲げ加工部を設けることにより、接続電極9の平面度を向上させてFPC4の分割により発生するうねり及び湾曲を矯正し、接続電極9と外部電極6との半田接合不良の発生を抑制するものである。FPC4の接続電極9の幅は数十μm、各接続電極9間のピッチは数百μmであり、本発明は非常に狭いピッチにおける面の平面度を向上させるものである。曲げ加工部としては、図10(A)に示すように折り目を有する曲げ加工部16と、図10(B)に示すように折り目を有さずにカーブさせた曲げ加工部17とがある。曲げ加工部16は曲げ加工部17に比して折り曲げ部に強度が増し、より平面度が向上することから本実施形態では曲げ加工部16を採用している。
【0026】
図11は、曲げ加工部16を有するFPC4を示している。図11に示した例ではFPC4の接続電極9よりもPZT3側である先端側を曲げているが、接続電極9よりもベース部材2側を曲げても平面度を向上させることができる。図12は、接続電極9よりもベース部材2側に曲げ加工部16を有するFPC4を示しており、この例では曲げ加工部16の形成箇所に配線パターン11が配設されている。図12に示す構成では配線パターン11も曲げてしまうことから配線パターンに断線の虞があることから、本実施形態では図11に示すようにPZT3側に曲げ加工部16を有する構成を採用している。
【0027】
次に、曲げ加工部16におけるFPC4の折り曲げ方向であるが、図13(A)に示すように半田部材10とは反対側、すなわち外部電極6との接合部とは反対側に曲げる方法と、図13(B)に示すように半田部材10側、すなわち外部電極6との接合部側に曲げる方法とがある。しかし、図13(B)に示すように接合部側に曲げた場合には、図14に示すようにFPC4の先端と外部電極6とが接触する可能性があるため、図15に示すような加工を施したPZT3Aを使用する。このPZT3Aは、その静電容量に影響を与えない箇所であって内部電極5が存在しない圧電材料層7の一部を削ることにより作成する。このPZT3Aと図13(B)に示したFPC4とを接合すると、図16に示す構成となる。この構成により、PZT3Aの駆動特性に影響を与えることなく、かつFPC4の曲げ加工部16が干渉することなく、PZT3AとFPC4とを良好に接合することが可能となる。
【0028】
図13(A)に示すように、外部電極6との接合部とは反対側に曲げ加工部16を曲げたFPC4の場合には、図17に示すようにその曲げ角度を90度以下としている。これは、図18(A)に示すように曲げ角度を90度以上とすると、図5に示すように半田接合を行う際に、照射口15から照射されるレーザが図18(B)に示すように曲げ加工部16の先端がレーザに干渉してしまい、半田接合に悪影響を及ぼすためである。しかし、これはレーザを用いた半田接合の場合であり、リフロ炉等のレーザ照射以外で半田接合を行う場合には、曲げ加工部16の曲げ角度は図19に示すように90度以上であっても問題はなく、接続電極9と外部電極6との接合が可能である。
【0029】
図13(B)に示すように、外部電極6との接合部側に曲げ加工部16を曲げたFPC4の場合には、図20に示すようにその曲げ角度を−90度以上0度以下としている。FPC4を−90度よりもさらに曲げる場合には、図21に示すように先端に斜めの切欠部を有するPZT3Bを用いることにより可能となる。この構成ではPZT3Bが先端に傾斜を有しているため、FPC4の先端がPZT3Bに引っ掛かることから図22に示すように接合位置を容易に決定することが可能となる。また、図23(A)に示すようにFPC4に曲げ加工部16を2箇所形成し、図23(B)に示すようにFPC4の形状に応じたPZT3Cを用いることにより、図24に示すような接合も可能となる。
【0030】
上述の構成により、FPC4に対して曲げ加工部16を設けることにより、曲げ加工部16におけるFPC4の強度が増加して平面度が向上し、FPC4のうねり及び湾曲に起因する半田接合不良の発生を防止することができ、半田接合不良のない良好なアクチュエータユニット1を提供することができる。また、FPC4の全幅にわたって曲げ加工部16を設けることにより、アクチュエータユニット1いおける外部電極6と接続電極9との全ての接合箇所において半田接合不良の発生を防止することができる。
【0031】
本発明では、図13に示すようにFPC4の接続電極9よりも先端側のテープ材8のみを折り曲げて曲げ加工部16を形成しているが、図25に示すように接続電極9から折り曲げると、折り曲げ時において接続電極9と半田部材10とが割れる可能性がある。また、割れが発生した場合には割れた場所から電極片や半田部材片等が発生し、異物となってヘッドの吐出特性に悪影響を及ぼす虞がある。このため、本発明ではテープ材8のみを折り曲げる構成を採用している。
【0032】
図26(A),(B)に曲げ加工部16を設けたFPC4の斜視図を示す。接続電極9の先端側のテープ部材8に曲げ加工を施して曲げ加工部16を形成することにより、接続電極9が配設されたFPC4の平面度を向上させてうねり及び湾曲を矯正している。このFPC4を用い、図27に示すように接続電極9と外部電極6とを半田接合することにより、FPC4のうねり及び湾曲に起因する半田接合不良の発生を低減することができる。この接合により、図28(A)または図28(B)に示すアクチュエータユニット1が完成する。
【0033】
図29に示すように、本実施形態ではFPC4の曲げ加工部16先端のテープ部材8がPZT3の先端からはみ出さないように構成している。テープ部材8がPZT3の先端部よりはみ出していても、接続電極9と外部電極6との半田接合性には影響を与えることはない。PZT3とFPC4とを接合しアクチュエータユニット1を完成させた後、図30に示すようにPZT3に振動板18を接合するが、このときの断面図が図31である。このとき、曲げ加工部16先端のテープ部材8がPTZ3からはみ出した状態であると、図32に示すようにテープ部材8と振動板18とが接触し、ヘッドの吐出特性に影響を与える場合がある。そのため本発明では、図29に示すように曲げ加工部16先端のテープ部材8がPTZ3からはみ出さないように構成している。しかし、この構成はPZT3の内部電極5面に垂直方向に伸縮するd33モードに対応している。PZT3の内部電極5面に沿った方向に伸縮するd31モードのPZT3を使用したアクチュエータユニット1に接合される振動板18の接合位置は上述とは異なるため、この場合にはFPC4の曲げ加工部16先端の長さに制約はない。
【符号の説明】
【0034】
1 アクチュエータユニット
2 ベース部材
3 圧電素子(PZT)
4 フレキシブルプリントケーブル(FPC)
6 外部電極
9 接続電極
16 曲げ加工部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】特開2008−218963号公報
【特許文献2】特開2010−34127号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を駆動させて所望の変位量を得ることにより液室内のインクを吐出させるインクジェットヘッドに用いられ、ベース部材に接合された前記圧電素子に設けられた複数の外部電極にフレキシブルプリントケーブルに設けられた複数の接続電極をそれぞれ半田接合することにより構成されたアクチュエータユニットにおいて、
前記各外部電極と前記各接続電極との接合部近傍において、前記フレキシブルプリントケーブルには前記各接続電極の並び方向と同方向の軸線を有する曲げ加工部が設けられていることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項2】
請求項1記載のアクチュエータユニットにおいて、
前記曲げ加工部は前記フレキシブルプリントケーブルの全幅にわたって設けられていることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項3】
請求項2記載のアクチュエータユニットにおいて、
前記曲げ加工部は前記各接続電極よりも先端側に設けられていることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項4】
請求項3記載のアクチュエータユニットにおいて、
前記フレキシブルプリントケーブルの先端部は前記圧電素子よりはみ出していないことを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項5】
請求項3または4記載のアクチュエータユニットにおいて、
前記曲げ加工部の曲げ方向は前記接合部とは反対側であることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項6】
請求項3または4記載のアクチュエータユニットにおいて、
前記曲げ加工部の曲げ方向は前記接合部側であることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項7】
請求項6記載のアクチュエータユニットにおいて、
前記各外部電極と前記各接続電極との接合位置が前記圧電素子に対して前記フレキシブルプリントケーブルの前記曲げ加工部を突き当てることにより自動的に決定されることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項8】
請求項5記載のアクチュエータユニットにおいて、
前記曲げ加工部の曲げ角度は90度以下であることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1つに記載のアクチュエータユニットを用いることを特徴とするインクジェットプリンタヘッド。
【請求項10】
請求項1ないし8の何れか1つに記載のアクチュエータユニットを用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−232457(P2012−232457A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101635(P2011−101635)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】