説明

アクティブマトリクス型表示装置およびその駆動方法

【課題】しきい値補正ができ、回路構成の簡単なアクティブマトリクス型表示装置を提供する。
【解決手段】図1に示す回路において、図3に示すタイミングチャートにしたがって第1ゲート信号線101と第2ゲート信号線102にパルスを入力し、回路のトランジスタのオンオフをおこなう。その結果、第3のノードN3と第2のノードN2の電位差が第4トランジスタ112のしきい値によらず、データ線103の電位VDataと第2配線105の電位Vによってのみ決定されるため、表示素子107に目的とする電流を流すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス型表示装置に関する。特に、ダイオード特性を有する表示素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置に関する。ダイオード特性を有する表示素子とは、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ダイオードや発光ダイオード等が含まれるが、これらに限られず、電圧―電流特性において、ダイオード特性あるいはダイオード特性に近い特性を示し、それに伴って、発光量、透過率、反射率、色調、彩度等の変化が生じ、光学特性が変化するものをいう。以下では、単に表示素子ともいう。
【背景技術】
【0002】
ダイオード特性を有する電気光学素子の代表例として、有機EL素子がある。そして、有機EL素子を基板上にマトリクス状に形成し、それぞれをトランジスタで制御して、映像を表示するアクティブマトリクス型有機EL表示装置が知られている。
【0003】
アクティブマトリクス型有機EL表示装置に用いられるトランジスタには、限られた温度範囲で大面積に形成する必要から、半導体層にアモルファスシリコンやポリシリコン、酸化物半導体等が用いられる(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)。
【0004】
このような半導体材料を用いたトランジスタは一般にしきい値のばらつきが大きい。有機EL表示装置では、有機EL素子に流れる電流値により発光の程度を制御し、階調を得ている。アクティブマトリクス型有機EL表示装置では、有機EL素子に流れる電流値をトランジスタで制御するが、電流値はトランジスタのしきい値にも依存するため、トランジスタのしきい値がばらつくと、有機EL素子に流れる電流値もばらつき、表示も不均一となる。
【0005】
そのようなしきい値のばらつきによる表示不良を抑制するために、複数のトランジスタを用いて、しきい値補正する技術が知られている(特許文献2および特許文献3参照)。特許文献2および特許文献3には、Nチャネル型トランジスタのみ、Pチャネル型トランジスタのみ、あるいはNチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタの組み合わせで、しきい値補正回路を構成する例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7674650号明細書
【特許文献2】米国特許第6229506号明細書
【特許文献3】米国特許第7429985号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、利用できる半導体材料によっては、実用的なPチャネル型トランジスタが得られないものがある。逆に、Nチャネル型トランジスタが得られないものもある。また、表示素子の作製方法や構造上の問題から、トランジスタが表示素子の正極に接続することが求められることがある。逆にトランジスタが表示素子の負極に接続することが求められることがある。
【0008】
例えば、Nチャネル型のトランジスタしか利用できず、かつ、トランジスタは表示素子の正極に接続することが求められる場合には、特許文献2に記載されている方法は採用できない。このような場合には、例えば、特許文献3の図39に記載されているような回路を用いることが必要であった。
【0009】
特許文献3に開示されている回路を図2に示す。図2は1つのドット(表示装置を構成する最小単位で、通常は複数種の原色のドットから1つの画素が構成される)に必要な回路である。第1ゲート信号線201、第2ゲート信号線202、第3ゲート信号線203、第4ゲート信号線204、第5ゲート信号線205、データ線206、第1配線207、第2配線208、第3配線209(これは素子上に形成される)という9つの配線に加えて、発光素子210、キャパシタ211、第1トランジスタ212、第2トランジスタ213、第3トランジスタ214、第4トランジスタ215、第5トランジスタ216、第6トランジスタ217、第7トランジスタ218という7つのトランジスタを用いるドットである。
【0010】
いうまでもなく、配線数や素子数の増加は製造歩留まりを低下させるため好ましくない。本発明の一態様は、より簡略化した回路構成を提案することを課題の一とする。また、本発明の一態様は、上記の回路の駆動方法を提案することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様が、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決できる構成を以下に示す。それに先立って、本明細書で使用する用語について説明する。本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。
【0013】
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソースとして機能する部分、及びドレインとして機能する部分を、ソース又はドレインと呼ばず、ソースとドレインとの一方を、第1電極と表記し、ソースとドレインとの他方を第2電極と表記する場合がある。
【0014】
なお、キャパシタやダイオードのような二端子素子についても、一方の電極を第1電極と呼び、他方の電極を第2電極と呼ぶ場合がある。その際、キャパシタやダイオードにおいて、正極、負極の区別があるときであっても、第1電極がいずれであるかを指すものではない。ただし、回路の性質上、正極と負極を指定する必要があるときは、別途、記載することがある。
【0015】
なお、本明細書等において、第1、第2、第3などの語句は、様々な要素、部材、領域、層、区域を他のものと区別して記述するために用いられる。よって、第1、第2、第3などの語句は、要素、部材、領域、層、区域などの数を限定するものではない。さらに、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと置き換えることが可能である。
【0016】
なお、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とを含むものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも含むものとする。
【0017】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオードなど)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。
【0018】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同じであるとする。
【0019】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタなど)、受動素子(キャパシタなど)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなくても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。特に、端子の接続先が複数のケース考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。したがって、能動素子、受動素子などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0020】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。
【0021】
したがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0022】
なお、本明細書等において、明示的に単数として記載されているものについては、単数であることが望ましい。ただし、これに限定されず、複数であることも可能である。同様に、明示的に複数として記載されているものについては、複数であることが望ましい。ただし、これに限定されず、単数であることも可能である。
【0023】
なお、本明細書等において、画素は、マトリクス状に配置(配列)されている場合がある。ここで、画素がマトリクスに配置(配列)されているとは、縦方向もしくは横方向において、画素が直線上に並んで配置されている場合、又はギザギザな線上に配置されている場合を含むものとする。よって、例えば三色の色要素(例えばRGB)でフルカラー表示をおこなうとすると、ストライプ配置されている場合、三つの色要素のドットがデルタ配置されている場合、ベイヤー配置されている場合、モザイク配列されている場合も含むものとする。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。これにより、低消費電力化、又は表示素子の長寿命化を図ることができる。
【0024】
本発明の一態様は、第1ゲート信号線と第2ゲート信号線とデータ線と第1トランジスタと第2トランジスタと第3トランジスタと第4トランジスタと第5トランジスタと第6トランジスタとキャパシタと表示素子とを有し、第1トランジスタのゲートは第1ゲート信号線に接続し、第1トランジスタの第1電極はデータ線に接続し、第1トランジスタの第2電極は、第4トランジスタの第2電極および第5トランジスタの第1電極に接続し、第2トランジスタのゲートは第1ゲート信号線に接続し、第2トランジスタの第1電極は、第3トランジスタの第2電極と第4トランジスタの第1電極に接続し、第2トランジスタの第2電極は第4トランジスタのゲートとキャパシタの第1電極に接続し、第3トランジスタのゲートは第2ゲート信号線に接続し、第4トランジスタの第2電極は第5トランジスタの第1電極に接続し、第5トランジスタのゲートは第2ゲート信号線に接続し、第5トランジスタの第2電極は表示素子の第1電極と、キャパシタの第2電極と、第6トランジスタの第1電極に接続し、第6トランジスタのゲートは第1ゲート信号線に接続する回路を有するアクティブマトリクス型表示装置である。
【0025】
なお、トランジスタの数は6つに限定されることはなく、7つ以上あってもよい。また、キャパシタや表示素子も、それぞれ1つに限定されず、いずれかが2つ以上あってもよいし、双方が2つ以上あってもよい。なお、構造的にキャパシタや表示素子が直列あるいは並列に形成されているものは1つのキャパシタ、1つの表示素子とみなすこととする。
【0026】
ここで、第1トランジスタ乃至第6トランジスタはすべて同一導電型であり、第1トランジスタ乃至第6トランジスタがNチャネル型であれば、表示素子の第1電極は正極であり、第2電極は負極である。また、第1トランジスタ乃至第6トランジスタがPチャネル型であれば、表示素子の第1電極は負極であり、第2電極は正極である。
【0027】
また、第1トランジスタ乃至第6トランジスタがNチャネル型であれば、第3トランジスタの第1電極の電位は、第6トランジスタの第2電極の電位、および表示素子の第2電極の電位より高く、第1トランジスタ乃至第6トランジスタがPチャネル型であれば、第3トランジスタの第1電極の電位は、第6トランジスタの第2電極の電位、および表示素子の第2電極の電位より低い。
【0028】
なお、第1トランジスタ乃至第6トランジスタがNチャネル型であるとき、第6トランジスタの第2電極の電位は表示素子の負極の電位より低いか等しくてもよく、また、第6トランジスタの第2電極の電位は表示素子の負極の電位より高くてもよいが、第6トランジスタの第2電極と表示素子の負極の電位差が表示素子のしきい値よりも小さいことが好ましい。
【0029】
さらに、第3トランジスタの第1電極の電位と表示素子の第2電極の電位の差の絶対値は、第4トランジスタのしきい値の絶対値の5倍以上であることが好ましい。
【0030】
また、本発明の一態様は、上記の回路において、第2ゲート信号線に入力されるパルスは、第1ゲート信号線に入力されるパルスと重なる期間を有することを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置の駆動方法である。
【0031】
また、本発明の一態様は、表示素子と、キャパシタと、データ線と、第1ゲート信号線と、第2ゲート信号線と第1ゲート信号線にゲートが接続する複数のトランジスタ(トランジスタA)と、前記第2ゲート信号線にゲートが接続する複数のトランジスタ(トランジスタB)と、トランジスタAの一の第1電極とトランジスタBの一の第2電極にその第1電極が接続し、トランジスタAの一の第2電極とキャパシタの第1電極にそのゲートが接続し、トランジスタBの他の第1電極と、トランジスタAの他の第2電極にその第2電極が接続するトランジスタ(トランジスタC)を有する回路を有するアクティブマトリクス型表示装置である。
【0032】
ここで、トランジスタAの他の第1電極はデータ線に接続してもよい。またトランジスタBの他の第2電極は表示素子の第1電極に接続してもよい。また、トランジスタA乃至トランジスタCが全てNチャネル型であてもよい。さらに、トランジスタCの第1電極の電位は、表示素子の第2電極の電位より高くてもよい。
【0033】
また、本発明の一態様は、上記の回路において、トランジスタAとトランジスタBがいずれもオンである第1期間と、トランジスタAがオンでトランジスタBがオフである第2期間と、トランジスタAとトランジスタBがいずれもオフである第3期間と、トランジスタAがオフでトランジスタBがオンである第4期間を有することを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置の駆動方法である。
【0034】
ここで、第1期間の後に第2期間が、第2期間の後に第3期間が、第3期間の後に第4期間が、第4期間の後に第1期間が続くことが好ましい。また、第1期間と第3の期間が等しくなるように設定されてもよい。
【発明の効果】
【0035】
上記の構成により、画素(あるいはドット)に必要な配線数や素子数(トランジスタ数)を削減できる。例えば、図2の例と比較すると、ゲート信号線は3本削減されて2本となる。ゲート信号線には、パルスを入力する必要があるため、そのための駆動回路も必要であるが、ゲート信号線が少なくなると、そのための駆動回路も不要となり、その分、消費電力を低減できる。また、配線が少なくなると、集積度を高める上でも好適である。
【0036】
特にデータ線以外の電位変動が必要とされる配線(すなわち、トランジスタのゲートに接続する配線)の数は、図2では5本であるが、本発明では2本とすることができる。電位変動は消費電力の増大につながるので、電位変動の必要な配線を減らすことで消費電力を低減できる。
【0037】
このような簡略化された構成でありながら、従来の例と同等に、トランジスタのしきい値ばらつきを補正することができる。また、使用に伴って表示特性に経時劣化が生じる表示素子(例えば、有機EL素子や発光ダイオード)においては、その劣化を補償することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一態様の表示装置の回路の例を説明する図である。
【図2】従来の表示装置の回路の例を説明する図である。
【図3】本発明の一態様の表示装置の駆動方法の例を説明する図である。
【図4】本発明の一態様の表示装置の駆動方法の例を説明する図である。
【図5】本発明の一態様の表示装置の例を説明する上面図である。
【図6】本発明の一態様の表示装置の作製工程の例を説明する断面工程図である。
【図7】本発明の一態様の表示装置の作製工程の例を説明する断面工程図である。
【図8】表示装置を用いた電子機器を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0040】
また、図において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0041】
なお、図は、理想的な例を模式的に示したものであり、図に示す形状又は値などに限定されない。例えば、製造技術による形状のばらつき、誤差による形状のばらつき、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0042】
さらに、専門用語は、特定の実施の形態、又は実施例などを述べる目的で用いられる場合が多い。ただし、発明の一態様は、専門用語によって、限定して解釈されるものではない。
【0043】
また、本明細書で定義されていない文言(専門用語又は学術用語などの科学技術文言を含む)は、通常の当業者が理解する一般的な意味と同等の意味として用いることが可能である。辞書等により定義されている文言は、関連技術の背景と矛盾がないような意味に解釈されることが好ましい。
【0044】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどをおこなうことができる。
【0045】
なお、同じ材質のもの、あるいは同時に形成されるものを指す場合には、同じ符号を用いることがあるが、特に、その中でも区別する必要があるときには、符号に「_1」、「_2」等を付記して表示することがある。例えば、同じ材料で複数の第1層配線303が形成されている場合、図面では、それらの個々に、「303_1」、「303_2」等の符号を付す。そして、明細書中で第1層配線を総称するときには、「第1層配線303」と表記するが、その中の1つを他と区別する場合には、「第1層配線303_1」というように表記することがある。
【0046】
(実施の形態1)
図1(A)に本実施の形態の表示装置の回路の例を図示する。図1(A)に示される回路は、表示装置の1つのドットとして用いられる。第1ゲート信号線101と第2ゲート信号線102とデータ線103と第1配線104と第2配線105と第3配線106という6本の配線を有する。第1配線104と第2配線105と第3配線106の電位はそれぞれ一定となるように保たれるとよい。このうち、第2配線105と第3配線106を同じ電位となるように設計・設定されてもよい。
【0047】
また、表示素子107とキャパシタ108と第1トランジスタ109と第2トランジスタ110と第3トランジスタ111と第4トランジスタ112と第5トランジスタ113と第6トランジスタ114とを有する。
【0048】
第1トランジスタ109のゲートは第1ゲート信号線101に接続し、第1トランジスタ109の第1電極はデータ線103に接続し、第1トランジスタ109の第2電極は、第4トランジスタ112の第2電極および第5トランジスタ113の第1電極に接続する。
【0049】
また、第2トランジスタ110のゲートは第1ゲート信号線101に接続し、第2トランジスタ110の第1電極は、第3トランジスタ111の第2電極と第4トランジスタ112の第1電極に接続し、第2トランジスタ110の第2電極は第4トランジスタ112のゲートとキャパシタ108の第1電極に接続する。
【0050】
第3トランジスタ111のゲートは第2ゲート信号線102に接続し、第4トランジスタ112の第2電極は第5トランジスタ113の第1電極に接続し、第5トランジスタ113のゲートは第2ゲート信号線102に接続し、第5トランジスタ113の第2電極は表示素子107の第1電極と、キャパシタ108の第2電極と、第6トランジスタ114の第1電極に接続し、第6トランジスタ114のゲートは第1ゲート信号線101に接続する。
【0051】
さらに、第3トランジスタ111の第1電極は第1配線104に接続し、第6トランジスタ114の第2電極は第2配線105に接続し、表示素子107の第2電極は第3配線106に接続する。第1配線104、第2配線105、第3配線106は一定の電位に保たつように設定されればよい。
【0052】
なお、第1トランジスタ109の第2電極と第4トランジスタ112の第2電極と第5トランジスタ113の第1電極の交点を第1ノードN1、第5トランジスタ113の第2電極と第6トランジスタ114の第1電極と表示素子107の第1電極の交点を第2ノードN2、第2トランジスタ110の第2電極と第4トランジスタ112のゲートとキャパシタ108の第1電極の交点を第3ノードN3と呼ぶ。
【0053】
ここでは、全てのトランジスタをNチャネル型とする。そのため、表示素子107の第1電極は正極であり、第2電極は負極である。また、第1配線104の電位は、第2配線105や第3配線106の電位より高いことが求められる。電位差は回路の耐圧等を考慮して設定されるが、電位差が大きいほど、後述する理由からトランジスタのしきい値のばらつきや表示素子の劣化を補償することができる。
【0054】
電位差は、表示素子107の表示性能によっても決定されるが、例えば、第4トランジスタ112のしきい値を+1Vとすると、第1配線104と第3配線106の間の電位差は5V以上、好ましくは10V以上とするとよい。以下では、第1配線104の電位をV、第2配線105の電位をV、第3配線106の電位をVとする。例えば、電位Vを+10V、電位Vを0V、電位Vを0Vとできる。
【0055】
図1(A)に示す回路を駆動するためには、データ線103に映像データを入力し、かつ、第1ゲート信号線101、第2ゲート信号線102に図3に示すようなパルス信号を入力すればよい。ここで、Vは上記トランジスタがオンとなる電位、Vはオフとなる電位とする。
【0056】
図3に示されるように、1フレームは、第1ゲート信号線101の電位と第2ゲート信号線102の電位が共にVである期間aと、第1ゲート信号線101の電位がVで第2ゲート信号線102の電位がVである期間bと、第1ゲート信号線101の電位と第2ゲート信号線102の電位が共にVである期間cと、第1ゲート信号線101の電位がVで第2ゲート信号線102の電位がVである期間dという4つの期間からなる。
【0057】
なお、第1ゲート信号線101の電位がVである期間τと第2ゲート信号線102の電位がVである期間τとは、異なってもよいが、同じとなるように設計すると、回路も簡略化できるため好ましい。すなわち、1つのパルスを整形した後、そのパルスをそのまま第1ゲート信号線101に出力することができる。一方、同じパルスを反転させたものを遅延回路を通して出力することで、第2ゲート信号線102に出力できる。
【0058】
以下、図4を用いて、各期間におけるトランジスタの動作状態等を説明する。図4(A)には期間aの、図4(B)には期間bの、図4(C)には期間cの、図4(D)には期間dのトランジスタの状態を示す。オン状態であるトランジスタにはトランジスタの記号に丸を重ね、また、オフ状態であるトランジスタには×を重ねて表記する。
【0059】
期間aでは、第1ゲート信号線101、第2ゲート信号線102に接続する全てのトランジスタ(第1トランジスタ109、第2トランジスタ110、第3トランジスタ111、第5トランジスタ113、第6トランジスタ114)がオンとなる。また、第4トランジスタ112は、ゲートの電位と第1電極の電位がVとほぼ等しく、また、第2電極(第1ノードN1)の電位は、データ線103の電位VDataとほぼ等しいが、後者は前者よりも十分に小さいのでオンとなる。このとき、キャパシタの第1電極(第3ノードN3)の電位はVとほぼ等しく、キャパシタの第2電極(第2ノードN2)の電位はVとほぼ等しい。
【0060】
なお、上述のように、オン状態の第4トランジスタ112の第1電極と第2電極間に電位差が生じ、同じくオン状態の第5トランジスタ113の第1電極と第2電極間に電位差が生じるため、第4トランジスタ112と第5トランジスタ113は電力を消費する。そのため、期間aは可能な限り短時間であることが好ましく、100n秒乃至500n秒とするとよい。
【0061】
期間bでは、第2ゲート信号線102の電位がVとなるため、それに接続する第3トランジスタ111、第5トランジスタ113がオフとなる。第3ノードN3の電位は、期間bの初期では期間aの電位と同じである。一方、第1トランジスタ109、第2トランジスタ110、第6トランジスタ114はオンである。そのため、第1ノードN1の電位は、データの電位VDataである。また第2ノードN2の電位はVとなる。
【0062】
第4トランジスタ112はオンであり、また、電位VDataは電位Vより低いため、第3ノードN3から第4トランジスタ112の第1電極を通って、第1ノードN1へ電荷が流れる。それに伴って、第3ノードN3の電位は低下する。この電荷の流れに伴う第3ノードN3の電位の低下は、第3ノードN3の電位が(VData+Vth)になるまで続く。すなわち、キャパシタ108の第1電極と第2電極間の電位差は(VData+Vth―V)である。
【0063】
期間cでは、第1ゲート信号線101の電位もVとなるため、それに接続する第1トランジスタ109、第2トランジスタ110、第6トランジスタ114もオフとなる。ここで、第1ノードN1、第2ノードN2、第3ノードN3の電位は期間bのときとほとんど変わらない。
【0064】
期間dでは、第2ゲート信号線102の電位がVとなるため、それに接続する第3トランジスタ111、第5トランジスタ113がオンとなる。期間dの初期では、第2ノードN2の電位はVであるので、第5トランジスタ113がオンになったことにより、第4トランジスタ112の第2電極の電位もVとなる。また、第3トランジスタ111がオンとなったことにより、第4トランジスタ112の第1電極の電位はVとなる。
【0065】
このとき、第4トランジスタ112のゲートの電位は、(VData+Vth)であり、第1電極が第2電極よりも電位が高い。そのため、第4トランジスタ112のゲートと第2電極間の電位差(VData+Vth―V)は、第1電極と第2電極との間の電位差(V―V)よりも小さく、第1電極と第2電極との間を流れる電流Iは、飽和領域のドレイン電流の式に従う。
【0066】
すなわち、ゲートとソース(この場合は第2電極)の電位差からしきい値を差し引いた値の自乗に比例する。この場合、第4トランジスタ112の第2電極がソースに相当する。
【0067】
I∝{(VData+Vth―V)―Vth=(VData―V (式1)
【0068】
式1から明らかなように、電流Iは第4トランジスタ112のしきい値に依存しない。
【0069】
電流が流れ、第2ノードに電荷が蓄積するにつれ、第2ノードN2の電位は上昇する。しかし、第2ノードN2の電位の上昇分は、キャパシタ108を介した容量結合によって、第3ノードN3の電位の上昇となるため、第3ノードN3の電位と第2ノードN2の電位の差は変わらない。すなわち、第2ノードN2の電位に関わらず、電流Iは一定である。
【0070】
第2ノードN2の電位が高まるにつれ、表示素子107が電流を流しやすくなり、第2ノードN2の電位が一定の値に達すると、表示素子107が流す電流と、電流Iが均衡する。すなわち第2ノードN2の電位は一定となる。表示素子107は、それを流れる電流値によって表示状態(発光量、透過率、反射率、色調、彩度等)が変化するが、その状態は式1から明らかなように、データVDataの電位等によって決定される。このようにして、トランジスタのしきい値のばらつきを補正することができる。
【0071】
なお、式1から明らかなように、電流Iが一定であるためには、第3ノードN3の電位が一定であることが必須である。第3ノードN3の電位が変動すると、それに応じて電流Iも変動する。例えば、第2トランジスタ110のオフ特性が不十分であると、1フレームの期間の間に、第3ノードN3の電位が上昇する。
【0072】
第3ノードN3の電位の上昇にともなって電流Iも増加する。このような変動は、個々の画素やドットの不良としても現れるが、表示装置全般にわたっても認められるものである。過度な場合にはちらつき等の表示不良となる。そのため、特に、第2トランジスタ110のオフ特性が十分であること(すなわち、オフ電流が十分に低いこと)が好ましい。
【0073】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の表示装置の一態様について、図5乃至図7を用いて説明する。本実施の形態では、発光素子として有機ELを用いた表示装置について説明する。特に、アクティブマトリクス回路上に発光層を形成し、アクティブマトリクス回路上方に光を照射して表示をおこなうトップエミッション型表示装置について説明する。
【0074】
図5(A)乃至図5(C)は表示装置の1つのドットの作製に用いる配線、コンタクトホール、半導体層等のレイアウトを示す。なお、各種絶縁膜等は記載されていない。各図の点線で示される長方形が1つのドットを表す。
【0075】
図5(A)は第1層配線303、半導体層305および、第1層配線から上方の配線への第1コンタクトホール306の位置を示す。このうち、第1層配線303_1は図1(A)の第2配線105に相当する配線である。また、第1層配線303_2は図1(A)の第1ゲート信号線101の一部となる。また、第1層配線303_4は図1(A)の第2ゲート信号線102の一部となる。また、第1層配線303_3の一部は、図1(A)のキャパシタ108の第1電極の一部となる。その他の第1層配線303は、図1(A)の第1トランジスタ109乃至第6トランジスタ114のゲートとなる。
【0076】
また、半導体層305_1、半導体層305_2、半導体層305_3、半導体層305_4、半導体層305_5、半導体層305_6は、それぞれ、図1(A)の第1トランジスタ109、第2トランジスタ110、第3トランジスタ111、第4トランジスタ112、第5トランジスタ113、第6トランジスタ114の半導体層となる。
【0077】
図5(B)は第2層配線307とその上方への配線へ接続する第2コンタクトホール310の位置を示す。このうち、第2層配線307_1は図1(A)のデータ線103となる。また、第2層配線307_6の一部は図1(A)のキャパシタ108の第2電極の一部となる。その他の第2層配線307は、図1(A)の第1トランジスタ109乃至第6トランジスタ114の第1電極あるいは第2電極となる。
【0078】
図5(C)は第3層配線311と表示素子の第1電極に接続する第3コンタクトホール314の位置を示す。このうち、第3層配線311_1は図1(A)の第1ゲート信号線101の一部となり、第3層配線311_4は第2ゲート信号線102の一部となり、第3層配線311_5は第1配線104の一部となる。
【0079】
図5(A)乃至図5(C)に示した形状の配線層、半導体層、コンタクトホール等を積層することにより表示装置に用いる回路が作製できる。以下、図6および図7を用いて、表示装置の作製方法の説明をおこなう。なお、図6および図7は、作製工程の断面図であるが、図5(A)乃至図5(C)の一点鎖線A−Bの断面に相当する。
【0080】
絶縁表面を有する第1基板301上に下地絶縁層302を形成する。さらに、導電層を形成した後、第1のフォトリソグラフィ工程をおこない、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して第1層配線303を形成する。図6(A)のように、第1層配線303の端部にテーパー形状が形成されるようにエッチングすると、積層する膜の被覆性が向上するため好ましい。
【0081】
第1基板301に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。第1基板301にはガラス基板を用いることができるが、これに限られず、透明、不透明、絶縁性、導電性の各種材料を用いることができる。特に本実施の形態では、表示に用いられる光は第1基板の上方に照射されるため基板が透明である必要はない。例えば、放熱性を高めるためであれば金属材料を用いてもよい。
【0082】
第1基板としてガラス基板用いる場合には、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いるとよい。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられる。なお、ホウ酸と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用いることが好ましい。
【0083】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶縁体でなる基板を用いてもよい。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。
【0084】
下地絶縁層302は、第1基板301からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、また、第1基板301が導電性である場合には、回路の絶縁性を保持する機能もある。下地絶縁層302は窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0085】
第1層配線303の材料は、Mo、Ti、Cr、Ta、W、Al、Cu、Pt、Pd等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。例えば、Tiの上に仕事関数の高い窒化インジウムや酸化モリブデンを積層した構造とすることができる。
【0086】
次に、第1層配線303上にゲート絶縁物304を形成する。ゲート絶縁物304は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層、又は酸化アルミニウム層を単層で又は積層して形成することができる。例えば、成膜ガスとして、SiH、NOを用いてプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を形成すればよい。
【0087】
次に、半導体層を形成し第2のフォトリソグラフィ工程により島状の半導体層305を形成する。半導体層305の材料は、シリコン半導体や酸化物半導体を用いて形成することができる。シリコン半導体としては、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどがあり、酸化物半導体としては、In−Ga−Zn系酸化物などを、適宜用いることができる。
【0088】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0089】
例えば、半導体層305としては、In−Ga−Zn系酸化物である酸化物半導体を用いて、オフ電流の低い半導体層とすることで、トランジスタのリーク電流を削減し、特に図1(A)の第3ノードN3の電位を一定に保つことは表示品位を上げる上で好ましい。
【0090】
なお、酸化物半導体は、In−Ga−Zn系酸化物に限られず、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むものを用いればよい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0091】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0092】
例えば、その他の酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0093】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0094】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0095】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を高めることにより移動度を上げることができる。
【0096】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物のrだけ近傍であるとは、a、b、cが、
(a―A)+(b―B)+(c―C)≦r
を満たすことを言う。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0097】
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
【0098】
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0099】
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0100】
半導体層305を形成後、ゲート絶縁物304の一部に、第3のフォトリソグラフィ工程により第1層配線に達する第1コンタクトホール306を形成する。第1コンタクトホール306の形成方法は、ドライエッチング、ウェットエッチングなど適宜選択すればよい。ここまでの断面を図6(A)に示す。
【0101】
次に、ゲート絶縁物304、及び半導体層305上に導電膜を形成し、第4のフォトリソグラフィ工程により第2層配線307を形成する。第2層配線307に用いる導電膜としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。
【0102】
また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方または双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としてもよい。
【0103】
また、第2層配線307を導電性の金属酸化物で形成してもよい。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Sn系酸化物(ITO等)、In−Zn系酸化物、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0104】
次に、半導体層305、及び第2層配線307上に、第1層間絶縁物308および第2層間絶縁物309を形成する。第1層間絶縁物308としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。第2層間絶縁物309としては、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択するのが好適である。例えば、SOG(スピンオンガラス)等の無機材料、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、等の有機材料を用いることができる。これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、第2層間絶縁物309を形成してもよい。
【0105】
次に、第5のフォトリソグラフィ工程により、第1層間絶縁物308および第2層間絶縁物309に第2層配線307に達する第2コンタクトホール310を形成する。第2コンタクトホール310の形成方法は、ドライエッチング、ウェットエッチングなど適宜選択すればよい。ここまでの様子を図6(B)に示す。
【0106】
次に、第2層間絶縁物上に導電膜を形成し、第6のフォトリソグラフィ工程により第3層配線311を形成する。第3層配線311に用いる導電膜としては、第2層配線307に用いる材料から選択できるが、特に抵抗率の低いものが好ましく、Cuあるいはその合金を用いるとよい。
【0107】
次に、第3層配線311上に、第3層間絶縁物312および第4層間絶縁物313を形成する。第3層間絶縁物312、第4層間絶縁物313は第1層間絶縁物308、第2層間絶縁物309に用いることのできる材料で形成できる。
【0108】
次に、第7のフォトリソグラフィ工程により、第3層間絶縁物312および第4層間絶縁物313に第3層配線311に達する第3コンタクトホール314を形成する。第3コンタクトホール314の形成方法は、ドライエッチング、ウェットエッチングなど適宜選択すればよい。ここまでの様子を図6(C)に示す。
【0109】
次に、第4層間絶縁物313上に導電膜を形成し、第8のフォトリソグラフィ工程により、反射電極層315を形成する。反射電極層315は、図1(A)の表示素子107の第1電極に相当する。反射電極層315としては、光の取り出し効率を向上させるため、後に形成される発光層317が発する光を効率よく反射する材料が好ましい。
【0110】
なお、反射電極層315を積層構造としてもよい。例えば、発光層317に接する側に金属酸化物による導電膜、またはチタン等を薄く形成し、他方に反射率の高い金属膜(アルミニウム、アルミニウムを含む合金、または銀など)を用いることができる。このような構成とすることで、発光層317と反射率の高い金属膜(アルミニウム、アルミニウムを含む合金、または銀など)との間に形成される絶縁膜の生成を抑制することができるので好適である。
【0111】
次に、反射電極層315上に隔壁316を形成する。隔壁316としては、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、反射電極層315上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0112】
次に、反射電極層315、隔壁316上に発光層317、発光層317上に透過電極層318を形成する。発光層317は、単層の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでもよいが、本実施の形態では、発光層317が発する光は白色であり、赤、緑、青のそれぞれの波長領域にピークを有する光が好ましい。
【0113】
本実施の形態では、発光層317として、有機EL材料を用いるので、発光層317は真空蒸着法を用いて形成されることが好ましい。また、その特性上、発光層317やその上に形成される膜をフォトリソグラフィ工程によりパターン形成することが困難であるので、発光層317と透過電極層318は第1基板上に一様に形成される。なお、透過電極層318は図1(A)の表示素子107の第2電極に相当する。
【0114】
以上の工程により、発光素子の駆動を制御するトランジスタ及び発光層317が形成される。ここまでの様子を図7(A)に示す。
【0115】
次に、遮光膜320、カラーフィルタ321、及びオーバーコート膜322が形成された第2基板319の作製方法を以下に示す。第2基板319は、透明であることが必要であるが、その他の条件は第1基板301に比較すると緩く、耐熱性の劣る材料も使用できる。
【0116】
まず、第2基板319上に不透明な膜を形成し、フォトリソグラフィ工程をおこない、遮光膜320を形成する。遮光膜320により、各画素間での混色や光漏れを防止することができる。なお、遮光膜320は設けなくてもよい。遮光膜320としては、チタン、クロムなどの反射率の低い金属膜、または、黒色顔料や黒色染料が含浸された有機樹脂膜などを用いることができる。
【0117】
次に、第2基板319、及び遮光膜320の上に、カラーフィルタ321を形成する。カラーフィルタ321は、特定の波長帯域の光を透過する有色層である。例えば、赤色の波長帯域の光を透過する赤色(R)のカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過する緑色(G)のカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過する青色(B)のカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、公知の材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。
【0118】
なお、ここでは、RGBの3色を用いた方法について説明したが、これに限定されず、RGBに加えてY(黄色)の4色を用いた構成、または、5色以上の構成としてもよい。
【0119】
次に、遮光膜320、及びカラーフィルタ321の上にオーバーコート膜322を形成する。オーバーコート膜322は、アクリル、ポリイミド等の有機樹脂膜により形成することができる。オーバーコート膜322により、カラーフィルタ321に含有された不純物成分等を発光層317側への拡散を防止することができる。また、オーバーコート膜322は、有機樹脂膜と無機絶縁膜との積層構造としてもよい。無機絶縁膜としては、窒化シリコン、酸化シリコンなどを用いることができる。なお、オーバーコート膜322は、形成しなくてもよい。
【0120】
以上の工程により、遮光膜320、カラーフィルタ321、及びオーバーコート膜322が設けられた第2基板319が形成される。そして、第1基板301と、第2基板319とをアライメントして張り合わせをおこない表示装置とする。
【0121】
第1基板301と第2基板319の張り合わせは、特に限定はなく、接着可能な屈折率が大きい透光性の接着剤などを用いておこなうことができる。第1基板301と第2基板319の間には密閉された空間323が形成される。空間323は、特に限定はなく、透光性を有し、外気が侵入しなければよい。
【0122】
ただし、空間323は、屈折率が空気よりも大きい透光性を有した材料で充填した方が好ましい。屈折率が小さい場合、発光層317から射出された斜め方向の光が、空間323によりさらに屈折し、場合によっては隣接の画素から光が射出してしまう。従って、空間323としては、例えば、第1基板301と第2基板319とが、接着可能な屈折率が大きい透光性の接着剤を用いることができる。
【0123】
また、窒素やアルゴンなどの不活性な気体なども用いることができる。また、空間323に乾燥剤等を分散させておいてもよい。ここまでの様子を図7(B)に示す。
【0124】
図7(B)に示す表示装置は、発光層317から第2基板319の方向へ発光する、いわゆる上面射出構造(トップエミッション構造)の表示装置である。さらに、発光層317より発せられた白色光がカラーフィルタ321によって色分離される構造である。
【0125】
このような白色発光する発光素子と、カラーフィルタと、を組み合わせたトップエミッション構造(以下、白色+CF+TE構造と省略する)の表示装置と、塗り分け方式により形成した発光素子のトップエミッション構造(以下、塗り分け+TE構造)の表示装置について比較をおこなう。なお、塗りわけ方式とは、各画素にRGBの材料を蒸着法などにより塗り分ける方式である。
【0126】
まず、カラー化に対しては、白色+CF+TE構造の場合、カラーフィルタを用いてカラー化をおこなう。そのため、カラーフィルタが必要になる。一方、塗り分け+TE構造の場合、各画素を蒸着等により塗り分けてカラー化をおこなうため、カラーフィルタは不要である。しかし、白色+CF+TE構造では、カラーフィルタが必要であるが、塗り分け+TE構造では、塗り分けをおこなうためにメタルマスク等が必要となる。また、メタルマスクを用いずにインクジェット等を利用して塗り分けをおこなうことも可能であるが、まだ技術的な課題が多い。
【0127】
なお、メタルマスクを使用した場合、蒸着材料がメタルマスクにも蒸着されてしまうため、材料使用効率が悪く、コストが高いといった課題もある。また、メタルマスクと発光素子とが接触し、発光素子の破壊、または接触によるキズ、パーティクル等が発生するため歩留まりが低下してしまう。
【0128】
次に、画素サイズに対しては、塗りわけ+TE構造では、各画素の色を塗り分ける必要がり、画素間に塗り分けに必要な領域を設ける必要がある。そのため、1画素のサイズを大きくすることが出来ない。これによって、開口率が大幅に低減してしまう。一方、白色+CF+TE構造の場合、画素間に塗り分けに必要な領域を設ける必要がないため、1画素のサイズを大きくすることができ、これに伴い開口率を向上させることができる。
【0129】
また、表示装置を大型化する場合、表示装置の製造技術が必要不可欠な要素となる。塗り分け+TE構造の場合、塗り分けのためにメタルマスクが必要となり、大型対応のメタルマスクの技術、及び生産設備が確立しておらず困難である。また、仮に大型対応のメタルマスクの技術、及び生産設備が確立したとしても、蒸着材料がメタルマスクにも蒸着されるといった材料使用効率の課題は解決しない。一方、白色+CT+TE構造の場合、メタルマスクが不要となるため、従来までの生産設備を用いて製造が可能であり好適である。
【0130】
また、表示装置の生産性については、表示装置の製造装置が重要な要素となる。例えば、発光素子を複数段の積層構造とする場合、表示装置を製造する装置をインラインまたは、マルチチャンバーとして複数の蒸着源を一度に、または連続して基板に形成することが好ましい。塗りわけ+TE構造の場合、各画素の色を塗り分ける必要があるため、所望の位置に形成するためにメタルマスクを交換して形成する必要がある。メタルマスクを交換するために、製造装置をインラインまたは、マルチチャンバーとすることが困難である。一方、白色+CF+TE構造の場合、メタルマスクを用いる必要がないため、インライン化、またはマルチチャンバー化の製造装置の構成とするのが容易である。
【0131】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示装置を用いて作製される電子機器の具体例について、図8を用いて説明する。
【0132】
本発明を適用可能な電子機器の一例として、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、遊技機(パチンコ機、スロットマシン等)、ゲーム筐体が挙げられる。これらの電子機器の具体例を図8に示す。
【0133】
図8(A)は、表示部を有するテーブル400を示している。テーブル400は、筐体401に表示部403が組み込まれている。本発明の一態様を用いて作製される表示装置は、表示部403に用いることが可能であり、表示部403により映像を表示することが可能である。なお、4本の脚部402により筐体401を支持した構成を示している。また、電力供給のための電源コード405を筐体401に有している。
【0134】
表示部403は、タッチ入力機能を有しており、テーブル400の表示部403に表示された表示ボタン404を指などで触れることで、画面操作や、情報を入力することができる。また、筐体401に設けられたヒンジによって、表示部403の画面を床に対して垂直に立てることもでき、テレビジョン装置としても利用できる。狭い部屋においては、大きな画面のテレビジョン装置は設置すると自由な空間が狭くなってしまうが、テーブルに表示部が内蔵されていれば、部屋の空間を有効に利用することができる。
【0135】
先の実施の形態に示した遮光性を有するスペーサを備えた表示装置を利用すれば、表示における色のにじみ、色ずれなどが生じにくいため、当該表示装置を表示部403に用いることで、従来に比べて表示品質の高い表示部403とすることができる。また、遮光性を有するスペーサによって一対の基板が保持されているため、衝撃や歪みなどの外力に極めて強いため、図8(A)に示すテーブルとして好適に用いることができる。
【0136】
図8(B)は、テレビジョン装置410を示している。テレビジョン装置410は、筐体411に表示部412が組み込まれている。本発明の一態様を用いて作製される表示装置は、表示部412に用いることが可能であり、表示部412により映像を表示することが可能である。なお、ここではスタンド413により筐体411を支持した構成を示している。
【0137】
テレビジョン装置410の操作は、筐体411が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機414によりおこなうことができる。リモコン操作機414が備える操作キー416により、チャンネルや音量の操作をおこなうことができ、表示部412に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機414に、当該リモコン操作機414から出力する情報を表示する表示部415を設ける構成としてもよい。
【0138】
図8(B)に示すテレビジョン装置410は、受信機やモデムなどを備えている。テレビジョン装置410は、受信機により一般のテレビ放送の受信をおこなうことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信をおこなうことも可能である。
【0139】
先の実施の形態に示した遮光性を有するスペーサを備えた表示装置を利用すれば、表示における色のにじみ、色ずれなどが生じにくいため、当該表示装置をテレビジョン装置の表示部412に用いることで、従来に比べて表示品質の高いテレビジョン装置とすることができる。
【0140】
図8(C)はパーソナルコンピュータ420であり、筐体421、筐体422、表示部423、キーボード424、外部接続ポート425、ポインティングデバイス426等を含む。コンピュータは、本発明の一態様を用いて作製される表示装置をその表示部423に用いることにより作製される。
【0141】
また、先の実施の形態に示した遮光性を有するスペーサを備えた表示装置を利用すれば、表示における色のにじみ、色ずれなどが生じにくいため、当該表示装置をコンピュータの表示部423に用いることで、従来に比べて表示品質の高い表示部とすることが可能となる。
【0142】
図8(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機430は、筐体431に組み込まれた表示部432の他、電源ボタン433、外部接続ポート434、スピーカ435、マイク436、操作ボタン437などを備えている。携帯電話機430は、本発明の一態様を用いて作製される表示装置を表示部432に用いることにより作製される。
【0143】
図8(D)に示す携帯電話機430は、表示部432を指などで触れることで、情報を入力する、電話を掛ける、またはメールを作成するなどの操作をおこなうことができる。
【0144】
表示部432の画面は、主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合したものである。
【0145】
例えば、電話を掛ける、またはメールを作成する場合は、表示部432を文字の入力を主とする入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作をおこなえばよい。この場合、表示部432の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0146】
また、携帯電話機430内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機430の向き(縦向きか横向きか)を判断して、表示部432の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0147】
また、画面モードの切り替えは、表示部432を触れる、または筐体431の操作ボタン437の操作によりおこなわれる。また、表示部432に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0148】
また、入力モードにおいて、表示部432の光センサで検出される信号を検知し、表示部432のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0149】
また、表示部432は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部432に掌や指を触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証をおこなうことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0150】
先の実施の形態に示した遮光性を有するスペーサを備えた表示装置を利用すれば、表示における色のにじみ、色ずれなどが生じにくいため、当該表示装置を携帯電話機の表示部432に用いることで、従来に比べて表示品質の高い携帯電話機とすることが可能となる。また、遮光性を有するスペーサによって一対の基板が保持されているため、衝撃や歪みなどの外力に極めて強いため、図8(D)に示す携帯電話機として好適に用いることができる。
【0151】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0152】
101 第1ゲート信号線
102 第2ゲート信号線
103 データ線
104 第1配線
105 第2配線
106 第3配線
107 表示素子
108 キャパシタ
109 第1トランジスタ
110 第2トランジスタ
111 第3トランジスタ
112 第4トランジスタ
113 第5トランジスタ
114 第6トランジスタ
201 第1ゲート信号線
202 第2ゲート信号線
203 第3ゲート信号線
204 第4ゲート信号線
205 第5ゲート信号線
206 データ線
207 第1配線
208 第2配線
209 第3配線
210 発光素子
211 キャパシタ
212 第1トランジスタ
213 第2トランジスタ
214 第3トランジスタ
215 第4トランジスタ
216 第5トランジスタ
217 第6トランジスタ
218 第7トランジスタ
301 第1基板
302 下地絶縁層
303 第1層配線
304 ゲート絶縁物
305 半導体層
306 第1コンタクトホール
307 第2層配線
308 第1層間絶縁物
309 第2層間絶縁物
310 第2コンタクトホール
311 第3層配線
312 第3層間絶縁物
313 第4層間絶縁物
314 第3コンタクトホール
315 反射電極層
316 隔壁
317 発光層
318 透過電極層
319 第2基板
320 遮光膜
321 カラーフィルタ
322 オーバーコート膜
323 空間
400 テーブル
401 筐体
402 脚部
403 表示部
404 表示ボタン
405 電源コード
410 テレビジョン装置
411 筐体
412 表示部
413 スタンド
414 リモコン操作機
415 表示部
416 操作キー
420 パーソナルコンピュータ
421 筐体
422 筐体
423 表示部
424 キーボード
425 外部接続ポート
426 ポインティングデバイス
430 携帯電話機
431 筐体
432 表示部
433 電源ボタン
434 外部接続ポート
435 スピーカ
436 マイク
437 操作ボタン
N1 第1ノード
N2 第2ノード
N3 第3ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ゲート信号線と第2ゲート信号線とデータ線と第1トランジスタと第2トランジスタと第3トランジスタと第4トランジスタと第5トランジスタと第6トランジスタとキャパシタと表示素子とを有し、
前記第1トランジスタのゲートは前記第1ゲート信号線に接続し、
前記第1トランジスタの第1電極は前記データ線に接続し、
前記第1トランジスタの第2電極は、前記第4トランジスタの第2電極および前記第5トランジスタの第1電極に接続し、
前記第2トランジスタのゲートは前記第1ゲート信号線に接続し、
前記第2トランジスタの第1電極は、前記第3トランジスタの第2電極と前記第4トランジスタの第1電極に接続し、
前記第2トランジスタの第2電極は前記第4トランジスタのゲートと前記キャパシタの第1電極に接続し、
前記第3トランジスタのゲートは前記第2ゲート信号線に接続し、
前記第4トランジスタの第2電極は前記第5トランジスタの第1電極に接続し、
前記第5トランジスタのゲートは前記第2ゲート信号線に接続し、
前記第5トランジスタの第2電極は、前記表示素子の第1電極と、前記キャパシタの第2電極と、前記第6トランジスタの第1電極に接続し、
前記第6トランジスタのゲートは前記第1ゲート信号線に接続する回路を有するアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項2】
前記第1トランジスタ乃至前記第6トランジスタが全てNチャネル型である請求項1記載のアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項3】
前記第3トランジスタの第1電極の電位は、前記第6トランジスタの第2電極の電位、および前記表示素子の第2電極の電位より高い請求項1または請求項2のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項4】
前記第6トランジスタの第2電極の電位と前記表示素子の第2電極の電位が同じとなるように設定されている請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項5】
表示素子と、
キャパシタと、
データ線と、
第1ゲート信号線と、
第2ゲート信号線と
前記第1ゲート信号線にゲートが接続する複数の第1トランジスタと、
前記第2ゲート信号線にゲートが接続する複数の第2トランジスタと、
前記第1トランジスタの一の第1電極と前記第2トランジスタの一の第2電極に第1電極が接続し、前記第1トランジスタの一の第2電極と前記キャパシタの第1電極にゲートが接続し、前記第2トランジスタの他の第1電極と、前記第1トランジスタの他の第2電極に第2電極が接続する一以上の第3トランジスタと
を有し、
前記第1トランジスタの他の第1電極は前記データ線に接続し、
前記第2トランジスタの他の第2電極は前記表示素子の第1電極に接続する回路を有するアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項6】
前記第1トランジスタ乃至第3トランジスタが全てNチャネル型である請求項5記載のアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項7】
前記第3トランジスタの第1電極の電位は、前記表示素子の第2電極の電位より高い請求項5または請求項6のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項8】
前記表示素子が有機EL素子である請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項9】
請求項5乃至請求項7記載のいずれか一に記載のアクティブマトリクス型表示装置において、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタがいずれもオンである第1期間と、前記第1トランジスタがオンで前記第2トランジスタがオフである第2期間と、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタがいずれもオフである第3期間と、前記第1トランジスタがオフで前記第2トランジスタがオンである第4期間を有することを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置の駆動方法。
【請求項10】
前記第1期間の後に前記第2期間が、前記第2期間の後に前記第3期間が、前記第3期間の後に前記第4期間が、前記第4期間の後に前記第1期間が続くことを特徴とする請求項9に記載のアクティブマトリクス型表示装置の駆動方法。
【請求項11】
前記第1期間と前記第3の期間が等しくなるように設定された請求項9または請求項10のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置の駆動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−252329(P2012−252329A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108075(P2012−108075)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】