説明

アクラトニウムナパジシル酸塩及びその類似化合物の合成方法

本発明は下式(V)化合物の合成方法について述べたものである。
【化1】


そのうち、R1〜R7の相違はそれぞれ水素、C1〜4のアルキル基による。nは1〜4の整数から選んだ。特に“ワンポット合成法”を採用している。本発明は他にも乳酸を原料としてコリン類薬物アクラトニウムナパジシル酸塩及びその類似化合物の合成方法を提示している。この方法は原材料が得やすく、生産コストが比較的低く、同時に技術要求が低く、制御しやすく、大規模生産に向いている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、下式(V)化合物の合成方法、特に“ワンポット合成”を採用した化合物Vの合成方法に関するものである。本発明は他に下式(I)のコリン類薬物活性化成分のアクラトニウムナパジシル酸塩及びその類似化合物の合成、特にアクラトニウムナパジシル酸塩の合成方法に関するもので、薬学化学分野に属する。
【0002】
【化1】

【0003】
【化2】

この中でR1〜R8の相違はそれぞれ水素、C1〜4のアルキル基による。nは1〜4の整数から選んだ。
【0004】
[背景技術]
コリン類薬品活性化成分アクラトニウムナパジシル酸塩及びその類似化合物は、一種の平滑筋及び消化器運動機能増強薬で、胃腸及び胆管の興奮作用があり、胃幽門前庭部への作用は強く、消化器官のほかの部位への作用は胃より弱い。他にも、胆管末端の運動亢進、胆嚢内圧上昇、胆汁十二指腸排泄を促進することができる。迷走神経及びモルヒネによる運動機能低下状態に対しても増強作用があり、健常者だけでなく、慢性胃炎或いは術後患者に対しても胃内容物排出作用を促進することができる。消化器官機能異常、例えば悪心や嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、慢性胃炎、胆管運動障害、消化器術後等の治療に使われる。現在、臨床で使用されている薬物は主にアクラトニウムナパジシル酸塩で、化学結合式は下記の通りである(Ia):
【0005】
【化3】

【0006】
[発明の開示]
[発明が解決しようとする課題]
現有のアクラトニウムナパジシル酸塩及び類似化合物の合成技術では、原料獲得、原料合成の難度が高い上に中間生成物の単離や精製が難しく、設備要求や生産コストも比較的高いため、大規模生産には向いていなかった。
【0007】
本発明の主旨は大規模生産に適したアクラトニウムナパジシル酸塩と類似化合物の生産方法を提供することである。
【0008】
[課題を解決するための手段]
本発明の技術プロトコルは以下の通り:
本発明は化合物Vを生成する方法を提示する。化合物IIは以下の方法によって得ることができる:
(1)化合物IIと塩化アセチルaをエステル化し、化合物IIIを得る。
【0009】
【化4】

(2)化合物IIIと塩化チオニル(SOCl)をアルキル化し、化合物IVを得る。
【0010】
【化5】

(3)合物IVとアルカミンbを有機溶剤と酸受容体とともにエステル化し、化合物Vを得る。
【0011】
【化6】

この中でR1〜R7の違いはそれぞれ水素、C1〜4のアルキル基による。nは1〜4の整数から選んだ。
【0012】
本発明の優先プロトコルとして、上記の方法のように“ワンポット合成”によって、措置(1)〜(3)を同一の反応容器にて行うことである。
【0013】
また、本発明は化合物Iの生成方法を提示する。化合物Iは化合物IIより以下の方法にて生成できる。
(1)化合物IIと塩化アセチルaをエステル化し化合物IIIを得る。
【0014】
【化7】

(2)化合物IIIと塩化チオニル(SOCl)をアルキル化し、化合物IVを得る。
【0015】
【化8】

(3)化合物IVとアルカミンbを有機溶剤と酸受容体とともにエステル化し、化合物Vを得る。
【0016】
【化9】

(4)化合物Vと1、5−ナフタレンジスルホン酸デアルキル脂cを有機溶剤で反応させ、化合物Iを得る。
【0017】
【化10】

この中でR1〜R8の相違はそれぞれ水素、C1〜4のアルキル基による。nは1〜4の整数から選んだ。
【0018】
本発明の優先プロトコルとして、上記の化合物Iの生成方法として“ワンポット合成”を採用し、措置(1)〜(3)は同一の反応容器にて行う。生成された化合物Vを更に1、5−ナフタレンジスルホン酸デアルキル脂cと反応させ化合物Iを得る。
【0019】
上記の方法のでは、措置(1)と(2)は溶剤がある状態でもない状態でも行うことができる。有機溶剤は非プロトン性溶媒、例えばベンジン、トルエンあるいはエーテル類溶剤(例えばジエチルエーテル)などのうち一種あるいは多種を優先的に使用する。また、本発明では措置(1)と(2)は溶媒がない状態で行うものとしている。
【0020】
そして、措置(1)と(2)の反応時間と温度には、特別な要求はない。例えば、措置(1)のエステルかは通常0〜100℃で1〜8時間という条件で行い、措置(2)のアルキル化は通常20〜80℃で2〜6時間の条件で行う。
【0021】
上記の方法では、措置(3)の有機溶剤は、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ベンジン、アセトン、クロロホルム等のうち一つか多数を使用する。また、縛酸剤としては第三級アミン、トリエチルアミン、N、N-ジメチルホルムアミド、ピリジンのうち一つか多数を使う。
【0022】
また、措置(3)のエステル化では、優先的に−10〜30℃で0.5〜6時間行う。反応終了後に、純化、分離、乾燥と濃縮を行った後、比較的高純度の化合物Vを得ることができる。
【0023】
本発明の具体的な施行方法として、上記の方法の中でR1、R6、R7を水素、R2、R3、R4、R5、R8はアルキル基、nを2とし、化合物Iは下記結合式の化合物Iaである。
【0024】
【化11】

【0025】
[発明の効果]
現有のアクラトニウムナパジシル酸塩及びその類似化合物の合成技術と比べ、本発明の反応原料は廉価で入手しやすく、特に本発明のアクラトニウムナパジシル酸塩とその類似化合物の反応原料となる乳酸は原料が豊富の上、廉価で入手しやすい。本発明の最も突出している特徴は原材料(化合物II)から中間生成物(化合物V)の合成過程にある。“ワンポット合成”或いは“一釜法”によって行われ、すべての反応家庭を同一の反応容器で行うことができ、純化措置や反応設備を節約でき、収率を向上させ、生産コストを大幅に削減できる。また、本発明の合成方法の反応条件温度等は制御しやすく操作も容易で大規模な生産に向いている。
【0026】
[発明を実施するための最良の形態]
以下の生成例を通して本発明の詳細な説明を行う。生成例は本発明の内容と主旨に限定されるものではない。
【0027】
(生成例1):2−アセトキシメチルプロパノール(化合物Va)の生成
【0028】
【化12】

200g(90%)(2.0mol)の乳酸を反応容器に入れ、攪拌しながら282g(3.6mol)の塩化アセチルを滴定、滴定後20〜30℃で4時間反応させ、反応終了後反応液を減圧蒸留し、余剰の塩化アセチルを蒸発させる。蒸発後、α−アセトキシメチルを得る。357g(3.0mol)の塩化チオニルを滴定し、滴定後加熱し4時間反応させる。反応終了後、減圧蒸留によって余剰の塩化チオニルを蒸発させ、2−アセトキシメチルプロパノールクロライドを得る。冷却しながら134g(1.5mol)N、N−ジメチルアミノエタノール、152g(1.5mol)トリエチルアミンと1000mlのジエチルエーテルを上記の反応容器に加え、5〜10℃で2時間攪拌し、反応終了後濾過し、濾過液を1%NaOH溶液で洗浄する。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過しジエチルエーテル層を蒸留した後、減圧蒸留し化合物Vaを得る(244g、収率60%)。
【0029】
(生成例2):2アセトキシメチルプロパノール(化合物Va)の生成
200g(90%)(2.0mol)の乳酸を反応容器に入れ、攪拌しながら塩化アセチル282g(3.6mol)を滴定し、20〜30℃で4時間反応させ、反応終了後反応液を減圧蒸留し、余剰の塩化アセチルを蒸発させる。蒸留後α−アセトキシメチルを得る。357g(3.0mol)の塩化チオニルを滴定し、加熱回流で4時間反応させた後、減圧蒸留で余剰の塩化チオニルを蒸発させ、2−アセトキシメチルプロパノールクロライドを得る。冷却しつつ134g(1.5mol)のN、N-ジメチルアミノエタノール、110g(1.5mol)ジメチルホルムアミドと1000mlのベンジンを上記の反応容器に入れ、5〜10℃で攪拌しつつ2時間反応させ、濾過し、濾過液を%NaOH溶液で洗浄する。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過しベンジン層を蒸留したのち、減圧蒸留し化合物Vaを得る(236g、収率58.1%)。
【0030】
(生成例3):2−アセトキシメチルプロパノール(化合物Va)の生成
生成例1と同様の方法を行い、その中で119g(1.5mol)ピリジン、1000mlクロロホルムをそれぞれ生成例1のトリエチルアミン、ジエチルエーテルと置き換え、化合物Vaを得る(229g、収率56.3%)。
【0031】
(生成例4)アクラトニウムナパジシル酸塩(化合物Ia)の生成
100g(0.316mol)の1,5−ジメチルナパジシル酸塩と800mlのイソプロピルアルコールを反応容器に入れ、攪拌しつつ130g(0.634mol)の2−アセトキシメチルプロパノール(化合物Va)を加え、50〜60℃まで加熱し1時間攪拌し、反応終了後熱を取り、濾過し170gのアクラトニウムナパジシル酸塩(化合物Ia)を得る。収率74.5%、融点191〜192℃。構造(C304614)、理論値(%)C49.85,H6.42,N3.88;実測値(%)C49.84,H6.44,N3.88;1H−NMR(DO):1.350(3H,d,CHCH), 2.046(3H,s,COCH),3.011(3H,s,NCH),3.547(2H,t,NCHCH),4.412(2H,t,NCHCH),4.976(1H,q,CHCH),7.675〜8.798(Ar−H)。13C−NMR(D2O):15.865(CHCH),20.101(COCH),53.750(NCH),59.258(NCHCH),64.397(NCHCH),69.448(CHCH),
126.348〜139.251(−C=),172.025(OCOCHCH),173.440(OCOCH)。IR(cm−1): 3036,2984,1758,1733,1491,1456,1380,1247,1201,1106,1033,803。MS(EI)m/z:222,127,115,58,42。
【0032】
(生成例5)アクラトニウムナパジシル酸塩(化合物Ia)の生成
100g(0.316mol)1,5−メチルナパジシル酸塩と900mlアセトンを反応容器に入れ、攪拌しつつ130g(0.634mol)2−アセトキシメチルプロパノール(化合物Va)を入れ、50〜60℃まで加熱し、1時間攪拌した後、熱を取って濾過し、167gのアクラトニウムナパジシル酸塩(化合物Ia)を得る。収率73.1%、融点191〜192℃。
【0033】
(生成例6):2−アセトプロピルプロパノール(化合物Vb)の生成
200g(90%)(2.0mol)の乳酸を反応容器に入れ、攪拌しつつ332.8g(3.6mol)のプロピオン酸クロライドを滴定した後、20〜30℃で4時間反応させる。反応後減圧蒸留し、余剰のプロピオン酸クロライドを蒸発させ、α−アセトプロピルを得る。357g(3.0mol)塩化チオニルを滴定した後、加熱回流で4時間反応させた後、余剰な塩化チオニルを蒸発させ、2−アセトプロピオン酸クロライドを得る。冷却しつつ134g(1.5mol)N,N-ジメチルアミノエタノール、152g(1.5mol)トリエチルアミンと1000mlジエチルエーテルを上記の反応容器に加え、5〜10℃で2時間反応させた後、濾過し、濾過液を1%NaOH溶液で洗浄する。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過しジエチルエーテル層を蒸留した後、減圧蒸留し、化合物Vbを得る(265g、収率61.0%)。
【0034】
(生成例7):マロトニウムナパジシル酸塩(化合物Ib)の生成
100g(0.316mol)1,5−ジメチルナパジシル酸塩と800mlイソプロピルアルコールを反応容器に入れ、攪拌しつつ138g(0.634mol)2−アセトプロピルプロパノール(化合物Vb)を加え、50〜60℃まで加熱し1時間攪拌後、熱を取り、176gのマロトニウムナパジシル酸塩(化合物Ib)を得る。収率:75.6%、融点120〜122℃。構造(C314814)、理論値(%):C50.53,H6.57,N3.80、実測値(%):C50.46,H6.49,N3.72。
【0035】
(生成例8):ブチトニウムナパジシル酸塩(化合物Ic)の生成
上記の生成方法例における塩化アセチル或いはプロピオン酸クロライドをブチリルクロリドに置き換え、ブチトニウムナパジシル酸塩(化合物Ic)を得る。
【0036】
生成例を用いて本発明を詳しく説明した。上記の描写と実施例は本発明の例に過ぎない。本発明の目的と範囲の中で、本領域技術者は本発明の代行プロトコルや改善プロトコルを設計することができ、本発明の保護範囲内にそれらは属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物Vの生成方法の特徴は化合物IIを以下の措置によって得ることである:
(1)化合物IIと塩化アセチルaによるエステル化反応によって化合物IIIを得る。
【化1】

(2)化合物IIIと塩化チオニル(SOCl)によるアルキル化反応によって化合物IVを得る。
【化2】

(3)有機溶剤と酸受容体の中で化合物IVとアルカミンbのエステル化反応によって化合物Vを得る。
【化3】

この中でR1〜R7の相違はそれぞれ水素、C1〜4のアルキル基による。nは1〜4の整数から選んだ。
【請求項2】
請求項1に述べた方法に基づき、述べた方法は“ワンポット合成”法にて行われることが特徴である。措置(1)〜(3)は同一の反応容器内で行われる。
【請求項3】
化合物Iの生成方法の特徴は、以下の措置により化合物IIから生成される:
(1)化合物IIと塩化アセチルaのエステル化反応により、化合物IIIを得る。
【化4】

(2)化合物IIIと塩化チオニル(SOCl)によるアルキル化により、化合物IVを得る。
【化5】

(3)有機溶剤と酸受容体の中で化合物IVとアルカミンbのエステル化反応によって化合物Vを得る。
【化6】

(4)有機溶剤の中で化合物Vと1,5−ナフタレンジスルホン酸デアルキル脂cを反応させ、化合物Iを得る。
【化7】

この中でR1〜R8の相違はそれぞれ水素、C1〜4のアルキル基による。nは1〜4の整数から選んだ。
【請求項4】
請求項3にて述べた方法に基づき、この方法は“一釜法”にて行われ、措置(1)〜(3)は同一の容器内にて行われる。
【請求項5】
請求項1〜4の方法に基づき、その措置(1)と(2)は溶剤或いは有機溶剤がない状態で行う。優先的に溶剤がない状態で行う。
【請求項6】
請求項5の方法に基づき、有機溶剤は優先的に非極性溶剤のベンジン、トルエン、エーテル類溶剤(例えばジエチルエーテル)のうち一種か多種を使用する。
【請求項7】
請求項1〜6の方法に基づき、措置(3)で述べた有機溶剤は優先的にアセトニトリル、ジエチルエーテル、ベンジン、アセトン、クロロホルムのうち、一種か多種を使用する。
【請求項8】
請求項1〜7の方法に基づき、措置(3)における酸受容体は優先的に、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ピリジン等から一種か多種を使用する。
【請求項9】
請求項1〜8の方法に基づき、措置(4)で述べた有機溶剤は優先的にエタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、ジエチルエーテル、アセトン、ベンジン、トルエンのうち一種或いは多種を使用する。
【請求項10】
請求項1〜9の方法に基づき、R1、R6、R7を水素、R2、R3、R4、R5、R8はアルキル基、nは2とする。

【公表番号】特表2009−524606(P2009−524606A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551635(P2008−551635)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【国際出願番号】PCT/CN2007/070948
【国際公開番号】WO2008/061466
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(508230019)
【氏名又は名称原語表記】LI,Xiaoxiang
【住所又は居所原語表記】No.312,Suixilu,Heifei City,Anhui 230031,China
【Fターム(参考)】