説明

アザ−ベンゾイミダゾロンキマーゼ阻害剤

開示されたのは、式(I)で示される小分子阻害剤:ならびにその医薬組成物及びその製造方法である。その化合物はキマーゼが関与する種々の疾患及び状態を処置する際に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願データ
この出願は、2008年9月9日に出願された米国仮出願番号第61/095,335号の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、キマーゼが関与する種々の疾患及び状態を処置する際に有用な小分子阻害剤に関する。
【0003】
発明の背景
心筋症患者の心臓組織では、動物モデルにおいて心臓線維症を刺激することが実証されている形質転換成長因子−β(TGF−β)(Kuwahara, et al. Circulation, 2002, 106, 130)が増加する(Li et al., Circulation, 1997, 96, 874)。心筋線維化領域では、マスト細胞の数が増加し、心筋症患者の心臓組織における線維芽細胞の増殖の進行に寄与しうることが知られている(Patella et al., Circulation, 1998, 97, 971)。キマーゼは、マスト細胞の分泌顆粒に含有されるキモトリプシン様セリンプロテアーゼである。キマーゼの厳密な生理学的役割は完全には明らかにされてはいないが、キマーゼは、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換することが知られており、TGF−β、マトリックスプロテアーゼ、及びサイトカインの活性化に寄与しうる(Taipale et al., J. Biol. Chem., 1995, 270, 4689; Takai et al., Life Sci., 1996, 58, 591; Takai et al., Circulation, 1999, 100, 654)。
【0004】
強力かつ選択的キマーゼ阻害剤は、心臓リモデリングの2つの独立したメディエーターである、アンジオテンシンIIの心臓における局所産生及びTGF−βの放出を阻害することにより、慢性心不全、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、及び心筋梗塞の処置として、潜在的な用途を有する可能性がある。キマーゼは、微小血管の漏出、好中球の蓄積、粘液分泌の刺激、及びサイトカインの調節に関係するため、阻害剤はまた、マスト細胞媒介疾患、例えば、皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び肺炎症の処置用に潜在的な用途を有する可能性がある(He et al., Eur. J. Pharmacol., 1998, 352, 91)。
【0005】
幾つかの小分子キマーゼ阻害剤が、心不全の心筋症ハムスターモデル(Takai et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 2003, 305, 17)において、イヌにおけるバルーンカテーテルによる頸動脈損傷(Takai et al. J. Pharmacol.Exp. Ther, 2003, 304, 841)において、及び心不全のハムスター左冠動脈前下行枝結紮モデル(WO 03/018061)において有効であることが報告されている。加えて、キマーゼ阻害剤は、ヒツジ喘息モデルにおいて有効であることが実証されている(WO 2005/073214)。しかし、キマーゼ阻害剤の医薬としての商品化の例は存在しない。
【0006】
発明の概要
したがって、本明細書で定義する小分子キマーゼ阻害剤、及びその医薬組成物を提供することが本発明の目的である。
【0007】
また、前記キマーゼ阻害剤を、それに関連する種々の疾患及び状態を処置するために使用する方法を提供することも本発明の目的である。
【0008】
更に、前記キマーゼ阻害剤の調製方法を提供することも本発明の目的である。
【0009】
発明の詳細な説明
第一の一般的な実施態様において、式(I):
【0010】
【化1】


[式中、
A、Y又はXの1つはNであり、他の2つはピリドロ環を形成するCHであるか、あるいはA及びYは両方ともNであり、Xはピリミドロ環を形成するCHであり;
は、−SO、−SO−NH−R、−N(R)−SO、−NR、ヒドロキシル、Cアルコキシ及びアリールオキシであり;
は、アリール又はヘテロアリール(それぞれ、ハロゲン、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアシル、Cアルコキシカルボニル、アリール及びベンジルにより場合により置換されている)であり;
は、ピリドロ又はピリミドロ環上の炭素原子に結合しており、かつカルボキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、Cアルコキシ、Cアシル、C3−7シクロアルキル、−C(O)−NR1112;NR1112より選択され;R11及びR12は、水素、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアシル、Cアルコキシカルボニル、アリール及びベンジルより独立して選択され;
、R及びRは、水素又はCアルキル(ここで、R及びRは、ハロゲン、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアシル、Cアルコキシカルボニル、アリール及びベンジルにより場合により置換されているCシクロアルキル基を場合により形成する)より独立して選択され;
は、Cアルキル、Cシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール(それぞれ、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により独立して置換されている)より選択され;
は、水素、シアノ、アリール、ヘテロアリール、Cアルキル及びCシクロアルキルより選択され;
10は、水素、Cアルキル、Cアルコキシル、アリール、ヘテロアリール、及びCシクロアルキル(R10の各環基は、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により置換されている)より選択され;
n=0〜3であり、
ここで、全てのR基は、可能であれば、場合により、部分的に又は完全にハロゲン化されており;また
及びRの両方が水素である場合、R10は水素であることはできない]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩が提供される。
【0011】
別の実施態様において、
が、−N(R)−SO、ヒドロキシル又はCアルコキシであり;
が、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピロリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、インダゾリル、トリアゾリル又はテトラゾリル(それぞれ、1〜3個の、ハロゲン、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアシル、Cアルコキシカルボニル、アリール及びベンジルにより場合により置換されている)であり;
が、Cアルキル、Cシクロアルキル、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、インダゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル(それぞれ、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により独立して置換されている)より選択され;
10が、水素、Cアルキル、Cアルコキシル、フェニル、Cシクロアルキル、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、インダゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル(R10の各環基は、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により置換されている)より選択され;
n=0〜1である、本明細書に上述の化合物が提供される。
【0012】
別の実施態様において、
が、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピロリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチエニル、キノリニル又はキナゾリニル(それぞれ、1〜3個のCアルキル又はCアルコキシにより場合により置換されている)であり;
が、ピリドロ又はピリミドロ環上の炭素原子に結合しており、かつシアノ、Cアルキル、Cシクロアルキル、Cアルコキシ及びNH−C(O)−より選択され;
及びRが、水素及びCアルキル(ここで、R及びRは、Cシクロアルキル基を場合により形成する)より独立して選択され;
が、Cアルキル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、インダゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル(それぞれ、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により独立して置換されている)より選択され;
10が、水素、Cアルキル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インダゾリル及びフェニル(R10の各環基は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びハロゲンより選択される置換基で場合により置換されている)より選択される、本明細書に上述の化合物が提供される。
【0013】
別の実施態様において、
が、インドリル、ベンゾイソチアゾリル(それぞれ、1〜3個のCアルキルにより場合により置換されている)であり;
が、Cアルキル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル及びイミダゾリル(それぞれ、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により独立して置換されている)より選択され;
10が、水素、Cアルキル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インダゾリル及びフェニル(R10の各環基は、C1−4アルコキシ及びハロゲンより選択される置換基で場合により置換されている)より選択される、本明細書に上述の化合物が提供される。
【0014】
別の実施態様において、
が、−N(R)−SO、ヒドロキシル、メトキシ又はエトキシであり;
が、インドール−3−イル、ベンゾイソチアゾール−3−イル(それぞれ、1〜3個のメチルにより場合により置換されている)であり;
が、ピリドロ又はピリミドロ環上の炭素原子に結合しており、かつシアノ、メチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ及びNH−C(O)−より選択され;
及びRが、水素及びn−プロピル(ここで、R及びRは、場合によりシクロヘキシル基を形成する)より独立して選択され;
が、メチル、エチル、tert−ブチル及びイミダゾリル(イミダゾリルは、1〜2個のメチルで場合により置換されている)より選択され;
10が、水素、n−プロピル、ピリジニル及びフェニル(フェニルは、メトキシ及びハロゲンより選択される置換基で場合により置換されている)より選択される、本明細書に上述の化合物が提供される。
【0015】
別の実施態様において、式(I)の環:
【0016】
【化2】


が、
【0017】
【化3】


である、本明細書上記の実施態様のいずれかに記載の化合物が提供される。
【0018】
別の実施態様において、式(I)の環:
【0019】
【化4】


が、
【0020】
【化5】


である、本明細書上記の実施態様のいずれかに記載の化合物が提供される。
【0021】
別の実施態様において、式(I)の環:
【0022】
【化6】


が、
【0023】
【化7】


である、本明細書上記の実施態様のいずれかに記載の化合物が提供される。
【0024】
別の実施態様において、本明細書下記のスキーム及び実施例に記載のように、かつ当技術分野で通常の技術を有する者に明らかな方法により製造することができる表Iに記載の化合物:
【0025】
【表1】




















又はその薬学的に許容しうる塩が提供される。
【0026】
以下は、本発明の好ましい式(I)化合物:
【0027】
【表2】








又はその薬学的に許容しうる塩についてのキマーゼIC50(nM)データである。
【0028】
本出願中で本明細書上記に開示されている全ての化合物において、命名法が、構造と矛盾する場合、化合物は構造により定義されるものと理解される。
【0029】
本発明は、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物、ならびに個々のジアステレオマーとして生じうる1個以上の不斉炭素原子を含む上述の任意の化合物の使用を包含する。これらの化合物の全てのこのような異性体型は、明白に本発明に包含される。各ステレオジェニック(stereogenic)炭素は、R又はS配置、あるいはそれらの配置の組み合わせで存在してよい。
【0030】
式(I)の化合物の幾つかは、1個より多い互変異性体形態で存在することができる。本発明は、全てのこのような互変異性体を使用する方法を包含する。
【0031】
本明細書で使用される全ての用語は、他に述べない限り、当技術分野で既知の通常の意味で理解される。例えば、C1−4アルコキシは、末端に酸素を有する有機基C1−4アルキル、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシを包含する。
【0032】
全ての有機基:アルキル、アルケニル及びアルキニル基、あるいは他の基に組み込まれているこのような基、例えば、アシル及びアルコキシは、構造的に可能な場合、分岐又は非分岐鎖であると理解するものとし、他に示さない限り、部分的に又は完全にハロゲン化されていてよい。
【0033】
有機基又は化合物に関連して本明細書上記及び下記に記載の用語「低級」は、それぞれ、7以下、好ましくは4以下、有利には1又は2個の炭素原子を有する分岐又は非分岐鎖と定義する。
【0034】
環基は、炭素環、複素環又はヘテロアリール(それぞれ、部分的に又は完全にハロゲン化されていてよい)を意味するものと理解される。
【0035】
アシル基は、−C(O)−R(ここで、Rは、有機基又は環基である)と定義される基である。アシルは、例えば、炭素環式又は複素環式アロイル、シクロアルキルカルボニル、(オキサ又はチア)−シクロアルキルカルボニル、低級アルカノイル、(低級アルコキシ、ヒドロキシ又はアシルオキシ)−低級アルカノイル、(モノ−又はジ−炭素環式又は複素環式)−(低級アルカノイル又は低級アルコキシ−、ヒドロキシ−又はアシルオキシ−置換低級アルカノイル)、又はビアロイルを表す。
【0036】
炭素環は、3〜14個の炭素原子を含む炭化水素環を包含する。これらの炭素環は、芳香族又は非芳香族環系のいずれであってもよい。非芳香族環系は、モノ−又はポリ不飽和の、単環式、二環式又は三環式であってよく、また架橋されていてもよい。好ましい炭素環は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、ベンジル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニル、アダマンチル、ノルボニル、フルオレン、及びベンゾシクロヘプテニルを包含するが、これらに限定されない。シクロアルキルについての特定の用語、例えば、シクロブタニル及びシクロブチルは、互換可能に使用される。
【0037】
用語「複素環」は、安定な非芳香族4〜8員(但し、好ましくは、5又は6員)単環式、あるいは非芳香族8〜11員二環式複素環基(飽和でも不飽和でもよい)を表す。各複素環は、炭素原子ならびに窒素、酸素及び硫黄より選択される1個以上の、好ましくは1〜4個のヘテロ原子からなる。複素環は、任意の環原子と結合していてもよく、これにより安定な構造の生成がもたらされる。他に述べない限り、複素環は、例えばピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、ジオキサラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラノン、1,3−ジオキサノン、1,4−ジオキサニル、ピペリジノニル、テトラヒドロピリミドニル、ペンタメチレンスルフィド、ペンタメチレンスルホキシド、ペンタメチレンスルホン、テトラメチレンスルフィド、テトラメチレンスルホキシド及びテトラメチレンスルホンを包含するが、これらに限定されない。
【0038】
用語「ヘテロアリール」は、芳香族5〜8員単環式、あるいは8〜11員二環式環(N、O及びSなどの1〜4個のヘテロ原子を含む)を意味するものと理解される。他に述べない限り、このようなヘテロアリールは、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピロリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、インダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルを包含する。
【0039】
本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄及びリンを意味するものと理解される。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「窒素」及び「硫黄」には、窒素及び硫黄の任意の酸化型、ならびに任意の塩基性窒素の四級化形態が含まれる。開鎖又は環式基中の全てのヘテロ原子には、全ての酸化型が含まれる。
【0041】
全てのアルキル基又は炭素鎖において、1個以上の炭素原子は、場合により、ヘテロ原子:O、S又はNにより置き換えられることができ、Nが置換されていない場合、それはNHであるものと理解され、ヘテロ原子が、分岐又は非分岐の炭素鎖内の末端炭素原子又は内部炭素原子のいずれかと置き換わってもよいものとも理解される。そのような基は、本明細書に上述のとおり、オキソなどの基により置換されることができ、その結果、定義、例えば:アルコキシカルボニル、アシル、アミド及びチオキソ(これらに限定されない)がもたらされる。
【0042】
本明細書で使用される用語「アリール」は、本明細書で定義される芳香族炭素環又はヘテロアリールを意味するものと理解される。各アリール又はヘテロアリールは、他に示さない限り、その部分又は完全水素化誘導体を含み、ならびに/あるいは、部分的に又は完全にハロゲン化されている。例えば、キノリニルは、デカヒドロキノリニル及びテトラヒドロキノリニルを含んでもよく、ナフチルは、テトラヒドラナフチルなどのその水素化誘導体を含んでもよい。本明細書に記載するアリール及びヘテロアリール化合物の他の部分又は完全水素化誘導体は、当技術分野で通常の技術を有する者に明らかであろう。
【0043】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」は、臭素、塩素、フッ素又はヨウ素、好ましくはフッ素を意味するものと理解される。定義「部分的又は完全ハロゲン化」;部分的又は完全フッ素化;「1個以上のハロゲン原子による置換」には、例えば、1個以上の炭素原子上のモノ、ジ又はトリハロ誘導体が含まれる。アルキルについては、非限定的な例は、−CHCHF、−CFなどであろう。
【0044】
本発明の化合物は、当業者により理解されるように、「化学的に安定である」ことが意図されているもののみである。例えば、「ダングリング原子価(dangling valency)」、又は「カルボアニオン」を有するような化合物は、本明細書で開示する本発明の方法により意図される化合物ではない。
【0045】
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に許容しうる誘導体を含む。「薬学的に許容しうる誘導体」とは、任意の薬学的に許容しうる塩又はエステル、あるいは任意の他の化合物(患者に投与すると、(直接的又は間接的に)本発明に有用な化合物を提供することができる)、あるいはその薬理学的に活性な代謝産物又は薬理学的に活性な残留物を表す。薬理学的に活性な代謝産物は、酵素的又は化学的に代謝されうる任意の本発明の化合物を意味するものと理解される。これには、例えば、ヒドロキシル化又は酸化された式(I)の誘導体化合物が含まれる。
【0046】
薬学的に許容しうる塩には、薬学的に許容しうる無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものが含まれる。好適な酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−硫酸及びベンゼンスルホン酸が含まれる。他の酸、例えば、シュウ酸は、それら自体薬学的に許容しうるものではないが、化合物及びそれらの薬学的に許容しうる酸付加塩を得るうえで中間体として有用な塩の調製に用いうる。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム及びN−(C−Cアルキル)塩が含まれる。
【0047】
加えて、本発明の範囲内には、式(I)の化合物のプロドラッグの使用がある。プロドラッグには、単純な化学転換により、本発明の化合物を生成するように改変されるこれらの化合物が含まれる。単純な化学転換には、加水分解、酸化及び還元が含まれる。具体的には、プロドラッグが患者に投与されるとき、プロドラッグは、本明細書上記に開示されている化合物に転換されて、それにより、所望の薬理学的効果を与えうる。
【0048】
本明細書に記載する化合物は、市販であるか、あるいは当技術分野で周知の方法及び任意の必要な中間体により製造することができる。
【0049】
本発明をより完全に理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、本発明の好ましい実施態様を説明する目的で供されるものであり、本発明の範囲をいかなる意味においても限定するものと解釈されるものではない。
【0050】
以下の実施例は説明的なものであり、当業者により認識されるように、特定の試薬又は条件を、個々の化合物の必要性に応じて、過度の実験を行うことなく改変することが可能である。下記のスキームにおいて使用する出発物質は、市販であるか、又は当業者により市販の物質から簡単に調製する。
【0051】
一般的合成方法
本発明はまた、式(I)の化合物の製造方法を提供する。全てのスキームにおいて、他に示さない限り、以下の式におけるR、R、R、R、R、R10、n、A、X及びYは、本明細書に上述の本発明の式(I)中のR、R、R、R、R、R10、n、A、X及びYの意味を有する。
【0052】
最適な反応条件及び反応時間は、使用する特定の反応物に応じて変化しうる。他に示さない限り、溶媒、温度、圧力、及び他の反応条件は、当技術分野で通常の技術を有する者により容易に選択しうる。具体的な手順は、合成例のセクションで与えられる。典型的には、反応の進行は、所望であれば、薄層クロマトグラフィー(TLC)により監視され、中間体及び生成物は、シリカゲルのクロマトグラフィーにより、及び/又は、再結晶化により精製しうる。
【0053】
本発明の化合物の調製に使用される適切に置換された出発物質及び中間体は、市販であるか、又は文献において当業者に既知の方法により容易に調製され、下記の合成例において説明される。
【0054】
当技術分野で既知であり、下記の実施例に説明されている方法による式(I)の初期生成物の更なる改変を用いて、本発明の更なる化合物を調製してもよい。
【0055】
式(I)の化合物を、スキーム1〜4に概説する方法により合成してもよい。
【0056】
【化8】

【0057】
スキーム1に概説するように、式(II)(式中、Hal=Cl、Br又はIである)のニトロ化合物を、好適な塩基の存在下、好適な溶媒中で、式(III)のアミンと反応させて、式(IV)のニトロ化合物を得る。式(IV)の化合物のニトロ基を、標準的な条件下で還元して、式(V)の対応するアミンを得る。式(V)の中間体を、好適な溶媒中で、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)などの試薬を用いて環化して、式(VI)のイミダゾ化合物を得る。式(VI)の中間体を、標準的な条件下で、式(VII)のアルキル化剤(ここで、Lは脱離基である)と反応させて、式(I)の化合物を得る。当業者に既知の標準的な手順を用いて、式(I)の本化合物を更に改変して、更なる式(I)の化合物を得る。式(I)の化合物はまた、スキーム2に示す方法により製造してもよい。
【0058】
【化9】

【0059】
スキーム2に説明するように、式(VIII)のニトロアミン化合物を、好適な塩基の存在下、好適な溶媒中で、式(IX)のアルケンと反応させて、式(IV)の中間体を得る。式(IV)の中間体のニトロ基を、標準的な条件下で還元して、式(V)の対応するアミンを得る。次に、式(V)の中間体を、スキーム1に概説する工程により、式(I)の化合物に変換してもよい。
【0060】
式(I)(式中、A及びY=Nであり、X=CHである)の化合物を、スキーム3に示す方法により、合成してもよい。
【0061】
【化10】

【0062】
スキーム3に示すように、ニトロ酢酸エチル(X)を、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(XI)と反応させて、アルケン(XII)の混合物を得る。このアルケン(XII)の混合物を、好適な塩基の存在下、式(XIII)のアミジンと反応させて、式(XIV)のピリミジノンを得る。式(XIV)のピリミジノンを、好適な塩基の存在下、好適な溶媒中で、オキシ塩化リンと反応させて、式(XV)の中間体を得る。中間体(XV)を、好適な塩基の存在下、好適な溶媒中で、式(III)のアミンと反応させて、式(IV)の化合物を得る。式(IV)の中間体を、スキーム1に概説する工程により、式(I)の化合物に変換してもよい。
【0063】
当技術分野で既知であり、下記の実施例に説明されている方法による式(I)の初期生成物の更なる改変を用いて、本発明の更なる化合物を調製してもよい。
【0064】
中間体R−CH−L(このとき、R=4,6−ジメチル−ベンゾイソチアゾールであり、L=Brである)を、スキーム4に示す反応順序により調製してもよい。
【0065】
【化11】

【0066】
スキーム4に概説するように、ジメチルベンゼンチオール(XVI)を、塩化アルミニウムの存在下で、塩化オキサリルと反応させて、ジオン(XVII)を得る。ジオンを、メタノール中のアンモニアと反応させて、式(XVIII)のベンゾイソチアゾールを得る。標準的な反応条件下で、化合物(XVIII)のアミド基を加水分解し、その後エステル化して、式(XIX)の化合物を得る。水素化アルミニウムリチウムなどの試薬を用いて、化合物(XIX)中のエステル基を還元して、式(XX)の第一級アルコールを得る。アルコール(XX)を、四臭化炭素と反応させることにより、所望の中間体(VII)に変換してもよい。
【0067】
実験
実施例1:(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸
【0068】
【化12】

【0069】
(S)−3−(6−メチル−3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−ヘキサン酸エチルエステル.
DMF(3mL)中の2−クロロ−3−ニトロ−6−ピコリン(500mg、2.99mmol)の溶液に、(S)−3−アミノ−ヘキサン酸エチルエステル(554mg、3.48mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(1.0mL、5.80mmol)を加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌した。次に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した(×4)。次に、有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、ヘキサン及び酢酸エチル(4:1)を溶離剤として用いる分取TLCにより精製して、標記化合物358mg(42%)を橙色の油状物として得た。LCMS、M+1、m/z:296.65。
【0070】
(S)−3−(3−アミノ−6−メチル−ピリジン−2−イルアミノ)−ヘキサン酸エチルエステル.
MeOH(10mL)中の(S)−3−(6−メチル−3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−ヘキサン酸エチルエステル(358mg、1.21mmol)のスラリーに、Pd/C(150mg)を加えた。反応混合物を、ハウスバキュームを用いて脱ガスし、Hで飽和させた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を、セライトを通して濾過し、濾液を濃縮して、所望の生成物350mg(100%)を淡黄色の油状物として得た。得られた残留物を更に精製しないで次の反応に使用した。
【0071】
(S)−3−(5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−ヘキサン酸エチルエステル.
THF(10mL)中の(S)−3−(3−アミノ−6−メチル−ピリジン−2−イルアミノ)−ヘキサン酸エチルエステル(350mg、1.32mmol)の溶液に、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)(321mg、2.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物を、95:5 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物247mg(64%)を明褐色の油状残留物として得た。LCMS、M+1、m/z:292.59。
【0072】
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸エチルエステル.
DMF(5mL)中の(S)−3−(5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−ヘキサン酸エチルエステル(247mg、0.85mmol)の溶液に、KCO(234mg、1.7mmol)及び(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージド(438mg、1.27mmol)を加えた。反応混合物を60℃に48時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した(×4)。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、98:2 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物170mg(45%)を得た。LCMS、M+1、m/z:449.47。
【0073】
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸。
MeOH(10mL)中の(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸エチルエステル(170mg、0.38mmol)の溶液に、2N NaOH(2mL)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応が終了したら、反応混合物を1N HClで処理し、CHClで2回抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、10:1 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、生成物135mg(85%)を淡黄色の固体として得た。LCMS、M+1、m/z:421.41。
【0074】
下記の化合物を、2−クロロ−5−メチル−3−ニトロ−ピリジンを用いて同様に調製した。
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸。LCMS、M+1、m/z:421.58。
【0075】
【化13】

【0076】
下記の化合物を、3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾールを用いて同様に調製した。
(S)−3−[1−(4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸。LCMS、M+1、m/z:440.08。
【0077】
【化14】

【0078】
下記の化合物を、トリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
(S)−3−[5−メチル−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸。LCMS、M+1、m/z:435.76。
【0079】
【化15】

【0080】
下記の化合物を、2−クロロ−3−ニトロピリジンを用いて同様に調製した。
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸エチルエステル。LCMS、M+1、m/z:434.53
【0081】
【化16】

【0082】
下記の化合物を、3−クロロ−2−ニトロピリジンを用いて同様に調製した。
(S)−3−[3−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル]−ヘキサン酸エチルエステル。LCMS、M+1、m/z:434.53
【0083】
【化17】

【0084】
下記の化合物を、2−クロロ−3−ニトロピリジンを用いて同様に調製した。
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸。LCMS、M+1、m/z:406.48
【0085】
【化18】

【0086】
下記の化合物を、3−クロロ−2−ニトロピリジンを用いて同様に調製した。
(S)−3−[3−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル]−ヘキサン酸。LCMS、M+1、m/z:406.48
【0087】
【化19】

【0088】
下記の化合物を、4−クロロ−3−ニトロ−ピリジンを用いて同様に調製した。
(S)−3−[3−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−ヘキサン酸。LCMS、M+1、m/z:406.48
【0089】
【化20】

【0090】
下記の化合物を、2−クロロ−3−ニトロピリジンを用いて同様に調製した。
(S)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸エチルエステル。LCMS、M+1、m/z:452.57
【0091】
【化21】

【0092】
実施例2:(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸
【0093】
【化22】

【0094】
(R)−3−(6−メチル−3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(3mL)中の2−クロロ−3−ニトロ−6−ピコリン(200mg、1.16mmol)の溶液に、(R)−3−アミノ−3−フェニルプロパン酸エチルエステル塩酸塩(319mg、1.39mmol)及びDIPEA(0.5mL、2.90mmol)を加えた。反応混合物を70℃で12時間撹拌した。次に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した(×4)。次に、有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮して、標記化合物398mg(100%)を橙色の油状物として得た。得られた残留物を更に精製しないで次の反応に使用した。LCMS、M+1、m/z:330.29。
【0095】
(R)−3−(3−アミノ−6−メチル−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
MeOH(10mL)中の(R)−3−(6−メチル−3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(398mg、1.21mmol)の溶液に、MeOH(2mL)中のPd/C(150mg)のスラリーを加えた。反応混合物を、ハウスバキュームを用いて脱ガスした。フラスコをHで飽和させ、Hバルーン下で2時間撹拌した。反応が終了したら、混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、濾液を濃縮して、油状残留物390mg(100%)を得た。得られた残留物を更に精製しないで次の反応に使用した。LCMS、M+1、m/z:300.15。
【0096】
(R)−3−(5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
THF(10mL)中の(R)−3−(3−アミノ−6−メチル−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(390mg、1.30mmol)の溶液に、CDI(317mg、1.95mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次に、60℃に更に2時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、95:5 CHCl:MeOHを用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物250mg(59%)を明褐色の泡状残留物として得た。LCMS、M+1、m/z:326.43
【0097】
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(5mL)中の(R)−3−(5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(250mg、0.77mmol)の溶液に、KCO(212mg、1.54mmol)及び(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージド(397mg、1.15mmol)を加えた。反応混合物を、60℃に48時間加熱した。次に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した(×4)。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、98:2 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物200mg(54%)を得た。
【0098】
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸.
MeOH(5mL)中の(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(200mg、0.41mmol)の溶液に、2N NaOH(2mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。次に、反応混合物を、1N HClで処理し、CHClで2回抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、95:5 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物144mg(76%)をオフホワイトの固体として得た。LCMS、M+1、m/z:455.00。
【0099】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−ピリジン−3−イル−プロピオン酸エチルエステルを用いて同様に調製した。
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−ピリジン−3−イル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:456.81。
【0100】
【化23】

【0101】
下記の化合物を、4−クロロ−3−ニトロ−ピリジンを用いて同様に調製した。
(R)−3−[3−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:441.57。
【0102】
【化24】

【0103】
下記の化合物を、2−クロロ−6−メトキシ−3−ニトロ−ピリジンを用いて同様に調製した。
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:471.43。
【0104】
【化25】

【0105】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル及び3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾールを用いて同様に調製した。
(R)−3−(4−クロロ−フェニル)−3−[1−(4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:507.66。
【0106】
【化26】

【0107】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(3−クロロ−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル及び3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾールを用いて同様に調製した。
(R)−3−(3−クロロ−フェニル)−3−[1−(4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:507.62。
【0108】
【化27】

【0109】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル及び(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
(R)−3−(4−クロロ−フェニル)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:489.72。
【0110】
【化28】

【0111】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(3−クロロ−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル及び(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
(R)−3−(3−クロロ−フェニル)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:489.69。
【0112】
【化29】

【0113】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル及び(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:485.37。
【0114】
【化30】

【0115】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル及びトリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
(R)−3−(4−クロロ−フェニル)−3−[5−メチル−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:503.78。
【0116】
【化31】

【0117】
下記の化合物を、1−アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル及び3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾールを用いて同様に調製した。
1−[1−(4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルメチル)−5−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル]−シクロヘキサンカルボン酸。LCMS、M+1、m/z:466.05。
【0118】
【化32】

【0119】
下記の化合物を、2−クロロ−3−ニトロピリジンを用いて同様に調製した。
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。LCMS、M+1、m/z:468.55
【0120】
【化33】

【0121】
下記の化合物を、2−クロロ−3−ニトロピリジンを用いて同様に調製した。
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:440.50
【0122】
【化34】

【0123】
下記の化合物を、1−アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル及び3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾールを用いて同様に調製した。
{1−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−シクロヘキシル}−酢酸。LCMS、M+1、m/z:450.55
【0124】
【化35】

【0125】
実施例3:(R)−3−[3−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸
【0126】
【化36】

【0127】
(R)−3−(2−クロロ−6−メチル−3−ニトロ−ピリジン−4−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMA(8mL)中の2,4−ジクロロ−6−メチル−3−ニトロピリジン(900mg、4.35mmol)の溶液に、(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチルエステルHCl(799mg、3.48mmol)及びDIPEA(1.6mL、8.70mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。次に、反応を酢酸エチルで希釈し、水で2回洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮して、黄色の油状物を得た。得られた油状残留物を、99:1 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物650mg(51%)を明橙色の油状物として得た。LCMS、M+1、m/z:364.15.
【0128】
(R)−3−(5−アミノ−2−メチル−ピリジン−4−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
MeOH(20mL)中の(R)−3−(2−クロロ−6−メチル−3−ニトロ−ピリジン−4−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(650mg、1.79mmol)の溶液に、MeOH(2mL)中のPd/C(500mg)のスラリーを加えた。反応混合物を、ハウスバキュームを用いて脱ガスした。フラスコをHで飽和させ、Hバルーン下で3時間攪拌した。反応が終了したら、混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、濾液を濃縮して、標記化合物590mg(100%)を得た。得られた明褐色の油状残留物を更に精製しないで次の反応に使用した。LCMS、M+1、m/z:300.92。
【0129】
(R)−3−(6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
THF(20mL)中の(R)−3−(5−アミノ−2−メチル−ピリジン−4−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(594mg、1.98mmol)の溶液に、CDI(483mg、2.98mmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、95:5 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物484mg(75%)を明褐色の固体として得た。LCMS、M+1、m/z:326.85。
【0130】
(R)−3−[3−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(3mL)中の(R)−3−(6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(80mg、0.25mmol)の溶液に、KCO(41mg、0.30mmol)及び(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージド(102mg、0.30mmol)を加えた。反応混合物を60℃に48時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した(×4)。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、98:2 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物80mg(67%)を得た。LCMS、M+1、m/z:484.10.
【0131】
(R)−3−[3−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。
MeOH(5mL)中の(R)−3−[3−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(80mg、0.17mmol)の溶液に、2N NaOH(2mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。次に、反応物を、0.5Nクエン酸溶液で処理した。反応混合物をCHClで2回抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、10:5 CHCl:MeOHを溶離剤として用いるシリカゲル分取TLCにより精製して、標記化合物67mg(89%)を白色の柔らかい固体として得た。LCMS、M+1、m/z:456.15.
【0132】
下記の化合物を、3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾールを用いて同様に調製した。
(R)−3−[3−(4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルメチル)−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:474.10.
【0133】
【化37】

【0134】
実施例4:(R)−3−[3−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸
【0135】
【化38】

【0136】
4,6−ジメチル−ベンゾ[b]チオフェン−2,3−ジオン。
CHCl(4mL)中の塩化アルミニウム(AlCl)(0.4g、3.6mmol)の溶液に、窒素下、−20℃で、3,5−ジメチルベンゼンチオール(1g、7.2mmol)及び塩化オキサリル(0.6mL、7.2mmol)をそれぞれ加えた。溶液を1時間室温に温め、マイクロ波反応器中で120℃に15分間加熱した。溶液を冷却し、砕氷に注いだ。溶液をCHClで抽出し、有機層を回収した。溶液をMgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残留物を、ヘキサン中の5%EtOAcを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(500mg、35%)を得た。
【0137】
4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−カルボン酸アミド。
アンモニア/MeOH(5mL)中の4,6−ジメチル−ベンゾ[b]チオフェン−2,3−ジオン(100mg、0.5mmol)の溶液に、30%H(0.17mL、1.6mmol)を室温で滴下した。溶液を同じ温度で2時間撹拌した。溶液を濃縮し、残留物を、ヘキサン中の20%EtOAcを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(35mg、33%)を淡赤色の固体として得た。
【0138】
4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−カルボン酸
EtOH(10mL)及びHO(2mL)中の4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−カルボン酸アミド(20mg、0.097mmol)の溶液に、KOH(11mg、0.19mmol)を加えた。溶液を85℃に48時間加熱した。溶液を冷却し、氷浴中に置いた。濃HClを加えて、溶液のpHを2に調整した。溶液から沈殿した固体を濾過により回収した。白色の固体を乾燥させ、標記化合物(15mg、75%)であることが確認された。
【0139】
4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−カルボン酸メチルエステル.
MeOH(5mL)中の4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−カルボン酸(10mg、0.048mmol)の溶液に、濃HSO(0.1mL)を室温でを加えた。溶液を60℃まで24時間加熱した。溶液を冷却し、飽和NaHCOで中和した。溶液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残留物を、ヘキサン中の20%EtOAcを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(10mg、94%)を無色の油状物として得た。
【0140】
(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル)−メタノール。
THF(10mL)中の4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−カルボン酸メチルエステル(100mg、0.45mmol)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)(34mg、0.9mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で加えた。溶液を同じ温度で1時間撹拌した。飽和NaHCOを加え、溶液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残留物を更に精製しないで合成の次の工程で使用した。
【0141】
3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール。
CHCl(15mL)中の(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル)−メタノール(100mg、0.5mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(PPh)(200mg、0.78mmol)及び四臭化炭素(CBr)(340mg、1mmol)を室温で加えた。溶液を同じ温度で1時間撹拌した。溶液を濃縮し、残留物を、ヘキサン中の10%EtOAcを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(90mg、68%)を白色の固体として得た。
【0142】
(R)−3−[3−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(10mL)中の(R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(実施例2を参照)(50mg、0.16mmol)の溶液に、3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール(62mg、0.24mmol)及びKCO(44mg、0.32mmol)を、窒素雰囲気下、室温で加えた。溶液を100℃に2時間加熱した。溶液を冷却し、水を加えた。溶液をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥させた。溶液を濾過し、濃縮した。残留物を、ヘキサン中の20%EtOAcを溶離剤としてを用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(15mg、90%)を無色の泡状物として得た。
【0143】
(R)−3−[3−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸
1,4−ジオキサン(5mL)及び水(1mL)中の(R)−3−[3−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(10mg、0.021mmol)の溶液に、水酸化リチウム(LiOH)(0.9mg、0.042mmol)を室温で加えた。溶液を同じ温度で4時間撹拌した。溶液を濃縮し、水を残留物に加えた。溶液を、氷浴中で、12N HClにより酸性化した。溶液を濃縮し、残留物を、CHCl中の10%MeOHを溶離剤として用いる分取TLCにより精製して、標記化合物(8.3mg、88%):LCMS、M+1、m/z:459.13を、白色の固体として得た。
【0144】
下記の化合物を、(R)−3−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(実施例2)を用いて同様の手順で合成した。
(R)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:459.15
【0145】
【化39】

【0146】
実施例5:(R)−3−[2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸
【0147】
【化40】

【0148】
1,4,6−トリメチル−1H−インドール。
DMF(20mL)中の4,6−ジメチルインドール(750mg、5.2mmol)の溶液を、窒素下、0℃に冷却し、鉱油(413mg、10.3mmol)中の60%水素化ナトリウムで処理した。15分間撹拌した後、ヨードメタン(0.4mL、6.2mmol)を導入し、冷却浴を除去した(反応物は明紫色になった)。30分後、続いて溶液を水(5mL)でクエンチし、次に、濃縮して、DMFの容量を減少させた。反応物を水(200mL)及びEtOAc(100mL)に注いだ。層を分離し、水相をEtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機物を水で洗浄し(3×)、次に乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。残留物を、ヘキサン中の10%EtOAcを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(700mg、80%)を白色の固体として得た。
【0149】
1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−カルボアルデヒド。
DMF(0.9mL)中の1,4,6−トリメチル−1H−インドール(800mg、5mmol)の溶液を、窒素下、5℃に冷却した。次に、ジホスホリルクロリド(pyrophosphoryl chloride)(1.4mL、10mmol)をゆっくりと導入した。添加が終了したら、冷却浴を除去し、反応を周囲温度まで温まるにまかせた。合計45分後、反応物を5℃に冷却し、2N NaOHでゆっくりとクエンチした。pHを8に調整した。溶液から沈殿した固体を濾過により回収し、水で洗浄した。残留した白色の固体をオーブン中で乾燥させ、標記化合物(875mg、93%)であることを確認した。
【0150】
ジメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アミン。
CHCl(30mL)及びジメチルアミン(MeOH中2.0M溶液)(4.7mL、9.3mmol)中の1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−カルボアルデヒド(875mg、4.7mmol)の溶液に、0℃で、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc))(2.9g、14mmol)を加えた。添加が終了したら、冷却浴を除去し、反応混合物を、室温で48時間攪拌した。反応が終了したら、混合物をCHClで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。層を分離し、有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を精製しないで合成の次の工程で使用した。
【0151】
トリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アミノヨージド。
アセトニトリル(10mL)中のジメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アミン(910mg、4.2mmol)の撹拌溶液に、室温で、ヨードメタン(0.3mL、5mmol)を加えた。溶液を同じ温度で5時間撹拌した。溶液を濃縮し、得られた白色の固体を少量の冷EtOで洗浄し、濾過した。白色の固体(1g、66%)を更に精製しないで合成の次の工程で使用した。
【0152】
(R)−3−[2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(10mL)中の(R)−3−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(実施例2を参照)(80mg、0.26mmol)の溶液に、室温で、トリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アミノヨージド(138mg、0.39mmol)及びKCO(71mg、0.51mmol)を加えた。溶液を100℃で4時間加熱した。溶液を冷却し、水及びEtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残留物を、ヘキサン中の20%EtOAcを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(100mg、81%)を白色の泡状物として得た。
【0153】
(R)−3−[2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。
1,4−ジオキサン(10mL)及び水(2mL)中の(R)−3−[2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(80mg、0.17mmol)の溶液に、室温で、LiOH(7.9mg、0.33mmol)を加えた。溶液を同じ温度で6時間撹拌した。溶液を濃縮し、水を残留物に加えた。溶液を、氷浴中で、12N HClにより酸性化した。溶液から沈殿した固体を濾過により回収し、減圧下で乾燥させた。得られた白色の固体は、標記化合物(65mg、87%)であることが確認された:LCMS、M+1、m/z:455.91.
【0154】
下記の化合物を、(R)−3−(5−メトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(実施例2)を用いて同様の手順で合成した。
(R)−3−[5−メトキシ−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:485.95.
【0155】
【化41】

【0156】
実施例6:2−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル]−ペンタン酸
【0157】
【化42】

【0158】
2−[(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−ペンタン酸エチルエステル
DMF(3mL)中の2−アミノ−3−ニトロピリジン(390mg、2.80mmol)の撹拌溶液に、2−プロピルアクリル酸エチル(500mg、3.52mmol)、続いて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(30μl)を加えた。混合物を80℃に温め、TLC(シリカゲル、30%EtOAc/ヘキサン)により監視した。48時間後、出発物質だけが、TLCにより検出された。反応混合物を100℃に4日間温め、室温に冷ました。反応物を水及びEtOAcに注いだ。層を分離し、水相をもう一度EtOAcで抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して、粗生成物を得て、それを、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Companion、シリカゲル12g、15〜50%EtOAc/ヘキサン)により精製した。生成物を含有する画分を合わせ、濃縮して、所望の化合物90mg(11%)を得て、それを更に精製しないで使用した。
【0159】
2−[(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−ペンタン酸エチルエステル
EtOH(5mL)中の2−[(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−ペンタン酸エチルエステル(90mg、0.32mmol)の溶液に、Pd/C(20mg)を加えた。反応混合物を、ハウスバキュームを用いて脱ガスし、Hで飽和させた。反応混合物を室温で18時間撹拌した。混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、濾液を濃縮して、所望の生成物70mg(87%)を得て、それを更に精製しないで次の反応に使用した。
【0160】
2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル)−ペンタン酸エチルエステル
THF(10mL)中の2−[(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−ペンタン酸エチルエステル(70mg、0.28mmol)の撹拌溶液に、CDI(135mg、0.84mmol)を加えた。得られた溶液を室温で5日間撹拌したが、その後反応は終了したようであった。シリカゲルを加え、混合物を濃縮した。残留固体を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Companion、シリカゲル12g、30〜100%EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物50mg(65%)を油状物として得て、それを静置して凝固させた。
【0161】
2−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル]−ペンタン酸エチルエステル
DMF(5mL)中の2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル)−ペンタン酸エチルエステル(50mg、0.18mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、室温で、(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージド(75mg、0.22mmol)及びKCO(75mg、0.54mmol)を加えた。溶液を60℃に3時間加熱した。溶液を冷却し、水(100mL)及びEtOAcに注いだ。層を分離し、水相をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。残った残留物を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Companion、シリカゲル4g、20〜100%EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物85mg(108%)を得た。
【0162】
2−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル]−ペンタン酸
ジオキサン(5mL)及び水(1.5mL)中の2−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル]−ペンタン酸エチルエステル(85mg、0.20mmol)の撹拌溶液に、水酸化リチウム一水和物(41mg、0.98mmol)を室温で加えた。一晩撹拌した後、反応は終了したようであった。反応を低容量に濃縮し、水(〜20mL)で希釈した。HOAcを用いて酸性化し、得られた沈殿物を濾過により回収した。生成物を、1:1 MeOH/アセトニトリル2mLに懸濁し、濾過し、アセトニトリルで洗浄した。固体をハウスバキュームで乾燥させて、標記化合物25mg(31%)を得た。LCMS、M+1、m/z:407.91。
【0163】
実施例7:(R)−3−[5−シアノ−1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸
【0164】
【化43】

【0165】
(R)−3−(6−クロロ−3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(30mL)中の2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン(0.75g、3.58mmol)の溶液に、(R)−3−アミノ−3−フェニルプロパン酸エチルエステル(0.83g、4.29mmol)及びDIPEA(1.25mL、7.15mmol)を加えた。反応混合物を70℃で一晩撹拌し、その後、それを、水(200mL)及びEtOAcに注いだ。層を分離し、水相をもう一度EtOAcで抽出した。合わせた有機物を水で2回洗浄し、乾燥させた(MgSO)。濾過し、濃縮して、粗生成物を橙色の油状物として得て、次に、それを、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル12g、5%EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物0.80g(64%)を橙色の油状物として得て、それを更に精製しないで使用した。
【0166】
(R)−3−(6−シアノ−3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
マイクロ波反応容器に、DMF(12mL)中の(R)−3−(6−クロロ−3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(0.75g、2.14mmol)を溶解した。シアン化亜鉛(0.15g、1.29mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.25g、0.21mmol)を加えた。反応混合物を、窒素流を用いて脱ガスし、蓋をした。反応物を、120℃にて1時間マイクロ波で加熱し、次に、室温で72時間撹拌した。この後、反応物を水及びEtOAcに注いだ。層を分離し、水相をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して、粗生成物を得て、それを、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル12g、5〜20%EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物0.70g(96%)を得た。
【0167】
(R)−3−(3−アミノ−6−シアノ−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル
EtOH(20mL)中の(R)−3−(6−シアノ−3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(0.70g、2.06mmol)の溶液に、Pd/C(140mg)を加えた。反応混合物を、ハウスバキュームを用いて脱ガスし、Hで飽和させた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、濾液を濃縮して、標記化合物0.60g(94%)を得て、それを更に精製しないで次の反応に使用した。
【0168】
(R)−3−(5−シアノ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
THF(20mL)中の(R)−3−(3−アミノ−6−シアノ−ピリジン−2−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(600mg、1.93mmol)の撹拌溶液に、CDI(630mg、3.87mmol)及びDBU(0.12mL、0.77mmol)を加えた。得られた溶液を室温で18時間撹拌したが、その後反応は終了したようであった。シリカゲルを加え、濃縮した。残留固体を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Companion、シリカゲル12g、30〜60%EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物120mg(19%)を得た。
【0169】
(R)−3−[5−シアノ−1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(5mL)中の(R)−3−(5−シアノ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(60mg、0.18mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、室温で、(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージド(74mg、0.21mmol)及びKCO(30mg、0.21mmol)を加えた。溶液を60℃で18時間加熱した。溶液を冷却し、水及びEtOAcに注いだ。層を分離し、水相をEtOAc(1×)で抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。残った残留物を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Companion、シリカゲル12g、30〜50%EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物70mg(80%)を泡状物として得た。
【0170】
(R)−3−[5−シアノ−1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。
ジオキサン(4mL)及び水(2mL)中の(R)−3−[5−シアノ−1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(70mg、0.14mmol)の撹拌溶液に、室温で、水酸化リチウム一水和物(12mg、0.28mmol)を加えた。6時間撹拌した後、反応は終了したようであった。反応物を低容量に濃縮し、水で希釈した。反応混合物を、酢酸を用いて酸性化し、得られた沈殿物を濾過により回収した。固体を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル12g、0〜10%MeOH/ジクロロメタン)により一度、次に、分取TLC(2×0.5mmシリカゲル、5%MeOH/ジクロロメタン)により再度精製して、標記化合物25mg(31%)を得た。LCMS、M+1、m/z:466.43。
【0171】
下記の化合物を、トリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
(R)−3−[5−シアノ−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:480.73。
【0172】
【化44】

【0173】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル塩酸塩を用いて同様に調製した。
(R)−3−[5−シアノ−1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:484.20。
【0174】
【化45】

【0175】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル塩酸塩及びトリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
(R)−3−[5−シアノ−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:498.20。
【0176】
【化46】

【0177】
下記の化合物を、3−アミノ−ヘキサン酸メチルエステル塩酸塩を用いて同様に調製した。
3−[5−シアノ−1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸。LCMS、M+1、m/z:432.20。
【0178】
【化47】

【0179】
下記の化合物を、3−アミノ−ヘキサン酸メチルエステル塩酸塩及びトリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
3−[5−シアノ−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸。LCMS、M+1、m/z:446.20。
【0180】
【化48】

【0181】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル塩酸塩を用いて同様に調製した。
(R)−3−(4−クロロ−フェニル)−3−[5−シアノ−1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:500.20。
【0182】
【化49】

【0183】
下記の化合物を、(R)−3−アミノ−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル塩酸塩及びトリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アンモニウムヨージドを用いて同様に調製した。
(R)−3−(4−クロロ−フェニル)−3−[5−シアノ−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:514.20。
【0184】
【化50】

【0185】
実施例8:3−[5−カルバモイル−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸
【0186】
【化51】

【0187】
3−[5−カルバモイル−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸。
硫酸(0.1mL)を氷浴中で冷却し、3−[5−シアノ−1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸(20mg、0.04mmol)で処理した。反応物を徐々に室温に温め、LC−MSにより監視した。一晩撹拌した後、反応物を水で希釈し、白色の沈殿物を濾過により回収した。沈殿物を水で洗浄し、乾燥させて、標記化合物20mg(96%)を得た。LCMS、M+1、m/z:464.20。
【0188】
実施例9:(R)−3−[5−カルバモイル−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸
【0189】
【化52】

【0190】
(R)−3−[5−カルバモイル−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸。
ジオキサン(10mL)及び水(3mL)中の(R)−3−[5−シアノ−2−オキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル(0.17g、0.33mmol)の撹拌溶液に、水酸化リチウム一水和物(70mg、1.66mmol)を加えた。反応物を24時間撹拌し、その後、それを水で希釈し、酢酸を用いて酸性化した。得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄した。残留固体を、分取TLC(2×1mmシリカゲルプレート、5%MeOH/ジクロロメタン)により精製して、標記化合物22mg(13%)を得た。LCMS、M+1、m/z:516.20。
【0191】
実施例10:2−メチル−プロパン−2−スルホン酸{(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサノイル}−アミド
【0192】
【化53】

【0193】
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸は、実施例1のとおり合成する。
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサン酸(85mg、0.21mmol)をTHF(1.0mL)に溶解し、CDI(76mg、0.47mmol)を室温で加えた。混合物を55℃で1時間加熱した。混合物を室温に冷却した後、2−メチル−プロパン−2−スルホン酸アミド(57mg、0.42mmol)を加え、10分後、DBU(0.063mL、0.42mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。次に、1.0M HCl 2.0mL、続いて水30mLを加えた。混合物を、EtOAc(3×20mL)で抽出し、有機層を合わせ、乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得た。最初にCHCl中の5%MeOHを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、次に、分取TLC(1%濃NHOHを含む、CHCl中の6%MeOH)により精製して、標記化合物79mg(71%)を得た。LCMS、M+1、m/z:526.13。
【0194】
下記の化合物を、メチルスルホン酸アミドを用いて同様に調製した。
N−{(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサノイル}−メタンスルホンアミド。LCMS、M+1、m/z:483.58
【0195】
【化54】

【0196】
下記の化合物を、エチルスルホン酸アミドを用いて同様に調製した。
エタンスルホン酸{(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサノイル}−アミド。LCMS、M+1、m/z:497.61
【0197】
【化55】

【0198】
下記の化合物を、1−メチル−1H−イミダゾール−4−スルホンアミドを用いて同様に調製した。
1−メチル−1H−イミダゾール−4−スルホン酸{(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル]−ヘキサノイル}−アミド。LCMS、M+1、m/z:549.64
【0199】
【化56】

【0200】
実施例11:(R)−3−[2−シクロプロピル−7−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−プリン−9−イル]−3−フェニル−プロピオン酸
【0201】
【化57】

【0202】
(Z)−3−メトキシ−2−ニトロ−アクリル酸エチルエステル及び(Z)−3−ジメチルアミノ−2−ニトロ−アクリル酸エチルエステル。
ニトロ酢酸エチル(9.00mL、78mmol)を丸底フラスコに導入し、それにジメチルホルムアミドジメチルアセタール(13.00mL、97.5mmol)を加えた。直ちに反応混合物は赤橙色に変わり、温かくなった。反応混合物を室温で一晩保持した。過剰な試薬を減圧下で蒸発させ、フラスコを60℃に3時間加熱した。NMRは、2個のオレフィンの混合物(ほぼ1:1)を示した。鮮やかな赤味を帯びた粘ちょうな液体を得た。静置して凝固させたこの物質をそのまま使用した。
【0203】
2−シクロプロピル−5−ニトロ−3H−ピリミジン−4−オン。
エタノール(20mL)中のニトロオレフィン混合物(350mg、2mmol)の撹拌溶液に、シクロプロピルアミジン塩酸塩(301mg、2.5mmol)、続いてトリエチルアミン(2.5mmol)を加えた。混合物を、90℃で6時間維持した油浴中で加熱した。ジクロロメタン中の5%メタノールでのTLCは主に単一の生成物を示し、LC−MSは所望の生成物の質量と一致するピークを示した。室温に冷却した後、溶媒を蒸発乾固し、粗生成物を、ジクロロメタン中の3%メタノールで溶離したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。褐色を帯びた油状物を得た(310mg、86%)。この物質をそのまま次の工程に使用した。
【0204】
4−クロロ−2−シクロプロピル−5−ニトロ−ピリミジン。
ジクロロメタン(15mL)中の2−シクロプロピル−5−ニトロ−3H−ピリミジン−4−オン(900mg、4.9mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(505mg、5mmol)を加えた。得られた清澄な溶液に、オキシ塩化リン(1.5g、10mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を室温で2時間保持した。TLCは単一のスポットを示した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して、褐色の油状物を得た。この物質をそのまま次の工程に使用した。
【0205】
(R)−3−(2−シクロプロピル−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(10mL)中の4−クロロ−2−シクロプロピル−5−ニトロ−ピリミジン(597mg、3mmol)の溶液に、(R)−3−アミノ−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル塩酸塩(582mg、3mmol)を加えた。混合物を氷上で5分間撹拌し、DIPEA(580mg、4.5mmol)を加えた。溶液を室温で1時間撹拌した。TLCは出発物質の消失を示した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して、油状物を得て、それをそのまま次の工程に使用した。
【0206】
(R)−3−(5−アミノ−2−シクロプロピル−ピリミジン−4−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
(R)−3−(2−シクロプロピル−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(1.42g、4mmol)を酢酸エチル(30mL)に溶解した。溶液に、Pd/C(200mg)を加え、混合物を、水素下、1atmで1時間撹拌した。反応混合物を濾過し、蒸発乾固して、油状物を得た。残留物をそのまま次の工程に使用した。
【0207】
(R)−3−(2−シクロプロピル−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−プリン−9−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
(R)−3−(5−アミノ−2−シクロプロピル−ピリミジン−4−イルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(880mg、2.7mmol)を、THF(10mL)に溶解した。溶液に、CDIを加え、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。得られた黒色の残留物を、ジクロロメタン中の3%メタノールで溶離したクロマトグラフィーにより精製して、油状物(427mg、45%)を得た。
【0208】
(R)−3−[2−シクロプロピル−7−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−プリン−9−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル。
DMF(5mL)中の(R)−3−(2−シクロプロピル−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−プリン−9−イル)−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(313mg、0.89mmol)の溶液に、KCO(234mg、1.7mmol)及び(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチル−アンモニウムヨージド(275mg、1.27mmol)を加えた。反応混合物を100℃に4時間に加熱した。そこで反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水(×4)で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を、3%メタノール〜10%(CHCl中)で溶離したクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(231mg、50%)を得た。LCMS、M+1、m/z:509.59.
【0209】
(R)−3−[2−シクロプロピル−7−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−プリン−9−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。
(R)−3−[2−シクロプロピル−7−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−プリン−9−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(130mg、0.255mmol)を、THF(3mL)に溶解した。溶液に、水(2mL)中のLiOHの濃縮溶液を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応をTLCにより監視した。反応混合物を1N HClで中和し、次に、酢酸エチル(3×)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。得られた白色の固体を、ジクロロメタン中の10%メタノールで溶離した分取TLCにより精製して、標記化合物(52mg、43%)を得た。LCMS、M+1、m/z:481.54
【0210】
下記の化合物を、イソプロピルアミジン塩酸塩を用いて同様に調製した。
(R)−3−[7−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2−イソプロピル−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−プリン−9−イル]−3−フェニル−プロピオン酸。LCMS、M+1、m/z:483.56
【0211】
【化58】

【0212】
使用方法
本発明によれば、本明細書に記載する化合物及びそれらの薬学的に許容しうる誘導体の使用方法が提供される。本発明で使用される化合物はキマーゼを阻害する。キマーゼは、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに転換することが知られており、TGF−β、マトリックスプロテアーゼ及びサイトカインの活性化に寄与しうるので、キマーゼの阻害は、多様な疾患又は状態を予防及び治療するための魅力的な手段である。例として、慢性心不全(非虚血性)、心筋梗塞後心不全(虚血性)、急性心筋梗塞、再灌流障害、左心室機能障害、心臓線維症、拡張期心不全及び肥大型心筋症を含む心不全、肺高血圧症、収縮期高血圧症及び抵抗性高血圧症を含む高血圧症、冠動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、動脈瘤、安定/不安定狭心症、再狭窄、糖尿病性腎症、心房細動/心室性不整脈、心臓弁膜症、心膜疾患、腎不全(慢性腎疾患、末期腎疾患)及び脳卒中が挙げられる。本発明の化合物はまた、以下の処置:冠動脈バイパス術、経皮冠動脈インターベンション及びステント留置術にも有用である。
【0213】
本発明の範囲内にある他の疾患には、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び肺炎症、変形性関節炎、骨吸収疾患、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、移植片対宿主病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、毒素性ショック症候群、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、急性及び慢性疼痛ならびに炎症症状、熱傷、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、外傷に続発する多臓器損傷、急性糸球体腎炎、急性炎症成分を含む皮膚病、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系障害、血液透析に関連する症候群、白血球搬出、顆粒球輸血に関連する症候群、壊死性腸炎、外傷性関節炎、ならびに敗血症が含まれる。この点に関して、U.S. 5,948,785 ; U.S. 6,271,238; U.S. 5,691,335; U.S. 5,814,631; U.S. 6,300,337; EP 1,099,690; U.S. 6,323,219; US 2005-0245536 A1; Fukami, et al., Current Pharmaceutical Design 1998, vol. 4, pp. 439-453を参照することができる。
【0214】
本発明の背景に開示するように、本発明の化合物は、サイトカインの活性化に寄与しうるので、腫瘍性疾患の処置に有用である。この点に関して、US 2005-0245536 A1を参照することができる。これらの疾患には、乳房、気道、脳、生殖器、消化管、尿路、目、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺及びそれらの遠隔転移の癌などの固形腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。それらの疾患には、リンパ腫、肉腫及び白血病も含まれる。
【0215】
乳癌の例には、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、及び上皮内小葉癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0216】
気道の癌の例には、小細胞及び非小細胞肺癌、ならびに気管支腺腫、胸膜肺芽腫、及び中皮腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
脳腫瘍の例には、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、及び視床下部神経膠腫(hypophtalmic glioma)、小脳及び大脳星状細胞腫、髄芽腫、上衣腫、ならびに下垂体、神経外胚葉及び松果体の腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0218】
末梢神経系腫瘍の例には、神経芽細胞腫、神経節芽細胞腫、及び末梢神経鞘腫瘍
が含まれるが、これらに限定されない。
【0219】
内分泌系及び外分泌系の腫瘍の例には、甲状腺癌、副腎皮質癌、褐色細胞腫、カルチノイド腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0220】
男性生殖器の腫瘍の例には、前立腺癌及び精巣癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0221】
女性生殖器の腫瘍の例には、子宮内膜癌、子宮頸部癌、卵巣癌、膣癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0222】
これらの障害はヒトにおいて十分に特徴的であるが、他の哺乳動物においても同様の病因を有して存在しており、本発明の医薬組成物により処置することができる。
【0223】
治療的使用のため、本化合物は任意の従来の方法により、任意の従来の投与量で投与してもよい。投与経路には、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、滑液嚢内投与、点滴投与、舌下投与、経皮投与、経口投与、局所投与又は吸入投与が含まれるが、これらに限定されない。投与の好ましい方法は、経口投与及び静脈投与である。
【0224】
本明細書に記載する化合物 は、単独で投与されても、あるいは、その他の有効成分を含む、阻害剤の安定性を高め、特定の実施態様において本化合物を含む医薬組成物の投与を促進し、溶解性や分散性を増大させ、阻害活性を増大させ、補助的治療をもたらすなどの補助剤と組み合わせて投与してもよい。有利なことに、そのような併用療法は、従来の治療薬をより少量で使用するため、これらの薬剤を単独療法として用いる場合に生じうる毒性及び悪影響を避ける。本発明の化合物は、従来の治療薬又は他の補助剤と物理的に組み合わせて、単一の医薬組成物としてもよい。他の治療薬との組み合わせには以下のものが含まれるが、これらに限定されない:アンギオテンシンII受容体遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、CETP阻害剤/apoA1模倣剤、アデノシン二リン酸(P2Y12)阻害剤、直接トロンビン阻害剤、アルドステロンアンタゴニスト、ファクターXa阻害剤、ナトリウム利尿ペプチド(ANP/BNP)、レニン阻害剤、抗不整脈剤、キマーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン)、Rhoキナーゼ阻害剤、ベータ遮断薬、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2阻害剤、強心配糖体、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、フィブラート、エンドセリン受容体アンダゴニスト、GPIIb/IIIa阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヘパリン、ニコチン酸誘導体、血管ペプチターゼ阻害剤、亜硝酸塩及び硝酸塩、脂肪酸酸化阻害剤、経口抗凝固薬、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、血栓溶解剤、ミクロゾームトリグリセリド転移タンパク質阻害剤、チアゾリジンジオン、アデノシン受容体モジュレーター、コレステロール吸収阻害剤、高次グリコシル化最終産物/受容体(AGE/RAGE)相互作用モジュレーター/遮断薬、アセチルサリチル酸、ジピリダモール、遺伝子治療及び細胞治療。
【0225】
有利なことに、そのような併用療法は、従来の治療薬をより少量で使用するため、これらの薬剤を単独療法として用いる場合に生じうる毒性及び悪影響を避ける。本発明の化合物は、従来の治療薬又は他の補助剤と物理的に組み合わせて、単一の医薬組成物としてもよい。有利には、本化合物はまた、単一の剤形で一緒に投与してもよい。いくつかの実施態様において、そのような組み合わせの化合物を含む医薬組成物は、少なくとも約5%、しかしより好ましくは少なくとも約20%の化合物(w/w)又はその組み合わせを含有する。本発明の化合物の最適割合(w/w)は変化してもよく、これは当業者の認識する範囲内である。代替的には、本化合物は別々に(連続的に又は並行して)投与してもよい。別々に投与することにより、投与計画により大きな柔軟性が得られる。
【0226】
上述のように、上記化合物の剤型は、当技術分野で通常の技術を有する者に既知の薬学的に許容しうる担体及び補助剤を含む。これらの担体及び補助剤には、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、緩衝物質、水、塩又は電解質、及びセルロース系物質が含まれる。好ましい剤型には、錠剤、カプセル剤、カプレット、液剤、溶剤、懸濁剤、乳剤、トローチ剤、シロップ剤、再構成可能な粉末、顆粒、坐薬及び経皮パッチ剤が含まれる。このような剤型を調製する方法は既知である(例えば、H.C. Ansel and N.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th ed., Lea and Febiger (1990)を参照のこと)。投与量レベル及び必要条件は、当技術分野においてよく認識されており、特定の患者に適した利用可能な方法及び技術から当技術分野で通常の技術を有する者が選択してもよい。いくつかの実施態様においては、投与量レベルは、70kgの患者に対して一投与当たり約1〜1000mgの範囲内である。1日当たり1回の投与で十分であるが、1日当たり最大5回の投与をしてもよい。経口投与については、最大2000mg/日を必要としうる。当業者であれば理解するように、特定の要因に応じてより低い投与量又はより高い投与量を必要としうる。例えば、特定の投与計画及び処置計画は、患者の一般的な健康プロフィール、患者の疾患の重篤度や経過又はその素因、ならびに処置する医師の判断などの要因に依存するであろう。
【0227】
用語「患者」は、ヒト及びヒト以外の哺乳動物の両方を含む。
【0228】
用語「有効量」は、本発明の化合物を投与又は使用する状況において、所望の効果又は結果を達成するのに十分な本発明の化合物の量を意味する。状況に応じて、用語「有効量」は、薬学的有効量又は診断的有効量を包含するか、あるいはそれと同義であってよい。
【0229】
用語「薬学的有効量」又は「治療有効量」は、必要とする患者に投与した場合、本化合物が効用を有する病状、状態、又は疾患の処置に効果をもたらすのに十分な本発明の化合物の量を意味する。そのような量は、研究者又は臨床医の求める、組織、器官系又は患者の生物学的又は医学的反応を引き出すのに十分であろう。治療有効量を構成する本発明の化合物の量は、本化合物及びその生物学的活性、投与に用いられる組成物、投与時間、投与経路、本化合物の排出率、処置期間、処置される病状又は障害の種類及びその重篤度、本発明の化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬剤、ならびに、患者の年齢、体重、全般的健康度、性別、及び食事などの要因に応じて変化するであろう。そのような治療有効量は、当技術分野で通常の技術を有する者が自身の知識、先行技術、及び本開示を考慮して日常的に決定することができる。
【0230】
用語「診断的有効量」とは、診断方法、装置、又はアッセイにおいて使用する場合、診断方法、装置、又はアッセイに対して必要な所望の診断結果又は所望の生物学的活性を達成するのに十分な本発明の化合物の量を意味する。そのような量は、研究者又は臨床医の求める、患者あるいはインビトロ又はインビボの組織又は器官系における生物学的又は医学的反応を含みうる、診断方法、装置、又はアッセイにおける生物学的又は医学的反応を引き出すのに十分であろう。治療有効量を構成する本発明の化合物の量は、本化合物及びその生物学的活性、用いられる診断方法、装置、又はアッセイ、投与に用いられる組成物、投与時間、投与経路、本化合物の排出率、投与期間、本発明の化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬剤及び他の化合物、ならびに、患者が診断上の投与の対象である場合、患者の年齢、体重、全般的健康度、性別、及び食事などの要因に応じて変化するであろう。そのような診断的有効量は、当技術分野で通常の技術を有する者が自身の知識、先行技術、及び本開示を考慮して日常的に決定することができる。
【0231】
用語「処置すること」又は「処置」は、患者の病状を処置することを意味し、以下を包含する:
(i)特に、患者が遺伝的又は他の理由でその病状に対する素因があるが、未だその病状と診断されていないとき、患者のその病状の発生を防ぐこと;
(ii)患者の病状を抑制又は改善すること、すなわち、その進行を止めるか又は遅らせること;あるいは
(iii)患者の病状を緩和すること、すなわち、病状を後退させるか又は治癒すること。
【0232】
キマーゼの阻害に関するインビトロアッセイ
キマーゼアッセイを、非結合表面を有するCorning黒色不透明384ウェルマイクロタイタープレート(Corning, NY)中、総容量15μLで行った。アッセイ緩衝液は、20mMトリスHCl pH8.0、50mM NaCl、0.01%CHAPSから構成された。試験化合物を、DMSO原液10mMから、96ウェルポリプロピレンプレート中で、純粋なDMSOを用いて連続的に3倍に希釈して、10ポイントの用量反応曲線を得た。得られたDMSO溶液3μLを、384ウェルポリプロピレンプレートに二重に移し、アッセイ緩衝液37μLを加えた。PlateMate Plus (Matrix Technologies Corp., Hudson, NH)を用いて、キマーゼをアッセイ緩衝液3μL中のアッセイプレートに加え、続いて適切な化合物希釈物2μLを加えた。Multidrop (Thermo Electron Corp., Waltham, MA)を用いて、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP, Pierce Chemical, Rockford, IL)150μMを含有するアッセイ緩衝液中のローダミン110 10μL、ビス−(スクシノイル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロリル−L−フェニルアラニルアミド)(American Peptides, Sunnyvale, CA)を加えて、反応を開始した。最終アッセイ濃度は、500pMキマーゼ、100nM基質、100μM TCEP、及び1%DMSOであった。プレートを、28℃かつ湿度80%で1時間インキュベートし、その時点で485nmの励起、530nmの発光、及びフルオレセインダイクロイックミラーを用い、Viewlux 1430 Microplate Imager(Perkin Elmer Life Sciences, Boston, MA)により、蛍光を読み取った。キマーゼを引いた完全反応を含有するアッセイブランク、及び化合物の代わりに1%DMSOを有するアッセイ緩衝液を含有する100%コントロールに対して、コントロール値の割合を計算した。XLFit4(IDBS Software)を用いてデータを当てはめることにより、IC50値を得た。
【0233】
本発明の好ましい化合物は、100ナノM以下の活性を有する。
【0234】
本出願において引用される全ての特許及び参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化59】


[式中、
A、Y又はXの1つはNであり、他の2つはピリドロ環を形成するCHであるか、あるいはA及びYは両方ともNであり、Xはピリミドロ環を形成するCHであり;
は、−SO、−SO−NH−R、−N(R)−SO、−NR、ヒドロキシル、Cアルコキシ又はアリールオキシであり;
は、アリール又はヘテロアリール(それぞれ、1個以上の、ハロゲン、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアシル、Cアルコキシカルボニル、アリール又はベンジルにより場合により置換されている)であり;
は、ピリドロ又はピリミドロ環上の炭素原子に結合しており、かつカルボキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、Cアルコキシ、Cアシル、C3−7シクロアルキル、−C(O)−NR1112;NR1112より選択され;R11及びR12は、水素、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアシル、Cアルコキシカルボニル、アリール及びベンジルより独立して選択され;
、R及びRは、水素及びCアルキル(ここで、R及びRは、ハロゲン、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアシル、Cアルコキシカルボニル、アリール又はベンジルにより場合により置換されているCシクロアルキル基を場合により形成する)より独立して選択され;
は、Cアルキル、Cシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール(それぞれ、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により独立して置換されている)より選択され;
は、水素、シアノ、アリール、ヘテロアリール、Cアルキル及びCシクロアルキルより選択され;
10は、水素、Cアルキル、Cアルコキシル、アリール、ヘテロアリール、及びCシクロアルキル(R10の各環基は、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により置換されている)より選択され;
n=0〜3であり、
ここで、全てのR基は、可能であれば、場合により、部分的に又は完全にハロゲン化されており;また
及びRの両方が水素である場合、R10は水素であることはできない]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
が、−N(R)−SO、ヒドロキシル又はCアルコキシであり;
が、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピロリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、インダゾリル、トリアゾリル又はテトラゾリル(それぞれ、1〜3個の、ハロゲン、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアシル、Cアルコキシカルボニル、アリール又はベンジルにより場合により置換されている)であり;
が、Cアルキル、Cシクロアルキル、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、インダゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル(それぞれ、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により独立して置換されている)より選択され;
10が、水素、Cアルキル、Cアルコキシル、フェニル、Cシクロアルキル、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、インダゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル(R10の各環基は、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により置換されている)より選択され;
n=0〜1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピロリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチエニル、キノリニル又はキナゾリニル(それぞれ、1〜3個のCアルキル又はCアルコキシにより場合により置換されている)であり;
が、ピリドロ又はピリミドロ環上の炭素原子に結合しており、かつシアノ、Cアルキル、Cシクロアルキル、Cアルコキシ及びNH−C(O)−より選択され;
及びRが、水素及びCアルキル(ここで、R及びRは、Cシクロアルキル基を場合により形成する)より独立して選択され;
が、Cアルキル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、インダゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル(それぞれ、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により独立して置換されている)より選択され;
10が、水素、Cアルキル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インダゾリル及びフェニル(R10の各環基は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びハロゲンより選択される置換基で場合により置換されている)より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、インドリル又はベンゾイソチアゾリル(それぞれ、1〜3個のCアルキルにより場合により置換されている)であり;
が、Cアルキル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル及びイミダゾリル(それぞれ、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン及びシアノより選択される置換基で場合により独立して置換されている)より選択され;
10が、水素、Cアルキル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インダゾリル及びフェニル(R10の各環基は、C1−4アルコキシ及びハロゲンより選択される置換基で場合により置換されている)より選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、−N(R)−SO、ヒドロキシル、メトキシ又はエトキシであり;
が、インドール−3−イル又はベンゾイソチアゾール−3−イル(それぞれ、1〜3個のメチルにより場合により置換されている)であり;
が、ピリドロ又はピリミドロ環上の炭素原子に結合しており、かつシアノ、メチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ及びNH−C(O)−より選択され;
及びRが、水素及びn−プロピル(ここで、R及びRは、場合によりシクロヘキシル基を形成する)より独立して選択され;
が、メチル、エチル、tert−ブチル及びイミダゾリル(イミダゾリルは、1〜2個のメチルで場合により置換されている)より選択され;
10が、水素、n−プロピル、ピリジニル及びフェニル(フェニルは、メトキシ及びハロゲンより選択される置換基で場合により置換されている)より選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式(I)の環:
【化60】


が、
【化61】


である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(I)の環:
【化62】


が、
【化63】


である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式(I)の環:
【化64】


が、
【化65】


である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
以下:
【表3】








より選択される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項10】
治療有効量の請求項1に記載の化合物ならびに1個以上の薬学的に許容しうる担体及び/又は補助剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
慢性心不全(非虚血性)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧症、肺炎症、心筋梗塞後心不全(虚血性)、急性心筋梗塞、再灌流障害、左心室機能障害、心臓線維症、拡張期心不全、肥大型心筋症、収縮期高血圧症、抵抗性高血圧症、冠動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、動脈瘤、安定/不安定狭心症、再狭窄、糖尿病性腎症、心房細動/心室性不整脈、心臓弁膜症、心膜疾患、慢性腎疾患、末期腎疾患及び脳卒中より選択される疾患又は状態を処置する方法であって、患者に薬学的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項12】
冠動脈バイパス術、経皮冠動脈インターベンション及びステント留置術より選択される医療処置を必要とする疾患又は状態を処置する方法であって、患者に薬学的有効量の請求項1に記載の化合物を更に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2012−502034(P2012−502034A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526106(P2011−526106)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/054830
【国際公開番号】WO2010/030500
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】