説明

アシュワガンダの植物抽出物及びその調製方法

本発明は、アシュワガンダの植物抽出物、並びにアルツハイマー病(AD)などの神経変性疾病及び/又は疾患の処置に有用な前記抽出物を含む組成物に関する。本発明は、この抽出物の調製のための方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシュワガンダ(Withania somnifera)の植物抽出組成物、及びアルツハイマー病(AD)などの神経変性疾病又は疾患を処置することへのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)及び老年性認知症などの種々の神経変性疾患の発症率は、加齢とともに増加する。PDが振戦、硬直及び動作緩慢を特徴とする一方、ADは、失語症、失行症及び失認症をそれぞれ発生させる言語野、巧みな運動及び認識などの高度な認識機能に影響を与える、短期記憶喪失の後の認識機能障害(知能障害)を特徴とする。また、脳の前頭葉及び側頭葉に密接に関連する意思決定及び計画などの機能にも影響を及ぼす。
【0003】
アルツハイマー病の疫学が示すように、全世界で2600万人以上の人々が、2006年においてアルツハイマー病に罹患しており、2050年までに1億600万人以上に増加するであろう(非特許文献1)。ADの有病率が最も大きく増加するのは、アジアであろう。現在、全世界のアルツハイマーの症例の48%がアジアに存在している。症例の数は、アジアにおいて、2006年の1265万人から2050年には6285万人へと増加すると考えられている。
【0004】
アルツハイマー病は、進行性で不可逆な神経変性疾患であって、この疾患の原因病理論がほとんど理解されていないことから、現在、利用可能な治療はない。ADに利用可能な市販の薬物は、この疾病を予防又は治癒させず、症状の管理のみのために承認されている(非特許文献2)。この破滅的な疾患の病的影響を最小限とするために早期発見及び治療的介入が緊急に必要とされている。アーユルベーダなどの伝統的な医薬のシステムは、これらの疾患の処置のための治療的介入戦略の発達に利用され得る広範な資源を提供する。
【0005】
現在の植物種は、医療目的で広範に使用されている。ハーブは、天然物であって、合成薬よりもより安全で、神経系の種々の複合的な疾患を処置するのに有効である。例えば、イチョウ抽出物は、ADのマウスモデルにおいて空間学習や空間記憶の障害を防止することが示されている(非特許文献3)。同様に、過去の研究が示すように、アシュワガンダが、記憶を促進することを補助し得る。
【0006】
インドの朝鮮人参としても知られていたWithania somnifera(アシュワガンダ)は、インドの医薬システムで言及された高齢者用の強壮剤の主要なハーブ成分のひとつである。アシュワガンダは、種々の範囲の病気の処置及び予防のためのものとして知られている。このハーブの伝統的な用途は、強壮剤及び活性化剤としてのものである。寿命を延長させ、精神機能及び肉体的スタミナを増強し、性機能を向上させる(これにより、ハーブのバイアグラというニックネームを得た)と考えられている。また、学習能力及び記憶容量を向上させることを助けもする。
【0007】
植物抽出物の成分のひとつであるウィタノライド−Aは、in vitroで重篤に障害を受けたニューロンにおいて、神経突起を再生し、シナプスを再構築することを示されてきた(非特許文献4)。
【0008】
Ghoshal(特許文献1、2004年)は、樹齢1〜2年の植物の根茎及び葉に由来のWithania somnifera抽出物の調製方法を開示する。この方法は、外因性の多糖類の存在下、水性アルコールの抽出法を含む。
【0009】
Ghoshal(特許文献2、2008年)は、使用者のための認識力増強効果を高める安定な薬草の粉末の形態のWithania somnifera抽出組成物を開示する。この組成物は、8〜25%のウィタノライドグリコシド及びシトインドサイド、25〜75%のオリゴ糖、多糖(10%未満)並びにフリーのウィタフェリンA(2%未満)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許6,713,092号明細書
【特許文献2】米国特許7,318,938号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Brookmeyer R.、Johnson E.、Ziegler−Graham K.及びArrighi H.M.著、”Forecasting the Global Burden of Alzheimer’s Disease.”、Alzheimer’s and Dementia、2007年、3巻、p.186〜191
【非特許文献2】Melnikova、2007年
【非特許文献3】Quinnら著、2003年
【非特許文献4】Kuboyama T.、Tohda C.及びKomatsu K.著、”Neuritic regeneration and synaptic reconstruction induced by withanolide A.”、Br.J.Pharmacol.、2005年4月、144巻、7号、p.961〜971
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、Withania somniferaの植物抽出組成物及びこの抽出物を調製するための方法を提供する。本発明に開示の植物抽出物は、アルツハイマー病などの神経変性疾病又は疾患の処置に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一つの態様は、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供する。
【0014】
本発明の一つの態様は、75%のウィタノライド及び20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供する。
【0015】
本発明のその他の態様は、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイド並びに医薬的に許容可能なキャリアを含むWithania somnifera抽出物を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
本発明の他の実施態様は、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を含む栄養補助組成物を提供する。
【0017】
本発明のさらに他の態様は、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を含むハーブ組成物を提供する。
【0018】
本発明のよりさらに他の態様は、Withania somniferaの植物抽出物の調製方法を提供するものであって、この方法は、Withaniaの根茎を提供すること、根茎抽出物を得るために、前記根茎を室温において約60〜75時間、有機溶媒で抽出すること;乾燥根茎抽出物を得るために、根茎抽出物から溶媒を除去すること;根茎抽出物の活性画分を得るために、乾燥根茎抽出物を、10%のメタノール−クロロホルムの混合物で処理することを含む。
【0019】
本発明のよりさらに他の態様は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)及び老年性認知症からなる群から選択された神経変性疾患の処置に有用な医薬の調製のための、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0020】
本発明のさらに他の態様は、必要とする対象に、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somniferaの植物抽出物の治療上の有効量を投与することを含む、神経変性疾患を改善する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】植物抽出物(PE)による処置が、放射状のアーム迷路(RAM)中におけるTgマウスの学習及び記憶能力を向上させることを示す。
【図2】植物抽出物(用量:1g/kg体重)で処置したTgマウス(9月齢)において、プラーク及びユビキチン化されたタンパク質凝集物が完全に除去されたことを示す:(a)環状の脳の切片は、連続的に切断され、プラークについて、Bielschowskyの銀染色で(10日ごとに)染色し、β−アミロイド及びユビキチン(ユビキチン−IHC)の免疫染色を行った。(b)プラークにより覆われ、並びに皮質及び海馬におけるアミロイド及びユビキチン化タンパク質凝集物により免疫染色された表面積の割合の定量的評価を示す。全てのデータは、平均値±S.D.(n=4)である。アスタリスクは、コントロールに対して有意差のある値を示す(p<0.001)。処置群は、ビヒクルで処置されたもの(V/Veh)、植物抽出物で処置されたもの(T/Trt)で示され、画像は、皮質(CT)、海馬(HP)から得たものである。
【図3】Withania somniferaの植物抽出物(1g/kg体重)が、9月齢のTgオスマウスの皮質に存在するβ−アミロイド蓄積を減少させることを示す。蓄積するアミロイドは、Aβ(1〜42、a)、Aβ(1〜40、b)に対するELISAを用いて定量化し、cは、Aβ42及びAβ40の比率を示す。データは、平均値±S.D.(n=6)である。アスタリスクは、コントロールに対して有意差を有する値を示す(p<0.001)。
【図4】Withania somniferaの植物抽出物(1g/kg)が、9月齢のTgメスマウスの皮質に存在するβ−アミロイド蓄積を減少させることを示す。蓄積するアミロイドは、ELISAを用いて定量化した。パネルI、II、IIIは、それぞれ、皮質、海馬及び血清におけるAβの負荷を示す。a、d、gは、Aβ(1〜42)の定量値を示す;b、e、hは、Aβ(1〜40)の定量値を示す;c、f、iは、Aβ42とAβ40の比率を示す。全てのデータは、平均値±S.D.(n=5)である。アスタリスクは、コントロールに対して有意差を有する値を示す(p<0.001)。
【図5】Withania somniferaの植物抽出物(用量:0.1g/kg及び0.5g/kg)で処置したTgマウス(9ヶ月齢)におけるプラーク及びユビキチン化されたタンパク質凝集物の減少を示す。(a)環状の脳の切片は、連続的に切断され、Bielschowskyの銀染色を用いてプラークについて染色された(毎10日目)。(b)皮質及び海馬におけるプラークにより覆われた表面積の割合の定量的評価について示す。全てのデータは、平均値±S.D.(n=5)である。アスタリスクは、コントロールに対して有意差を有する値を示す(p<0.001)。各群の動物は、ビヒクルで処置されたもの(V/Veh)、植物抽出物で処理されたもの(T/Trt)として示され、画像は、皮質(CT)、海馬(HP)から得たものである。
【図6】Withania somniferaの植物抽出物(0.5g/kg)で処置した9ヶ月齢のTgオスマウスの皮質において蓄積するβ−アミロイドの減少を示す。ELISAは、(a)Aβ(1〜42)、(b)Aβ(1〜40)を定量するように行われ、(c)は、Aβ42とAβ40の比率を示す。データは、平均値±S.D.(n=6)である。アスタリスクは、コントロールに対して有意差を有する値を示す(p<0.001)。
【図7】Withania somniferaの植物抽出物(PE)で処理した後の23ヶ月齢のTgマウスにおいて、放射状のアーム迷路(RAM)を用いて試験した学習及び記憶能力が向上したことを示す。メスAPP/PS1マウス(23ヶ月齢)は、PE(1g/kg)、ビヒクルを用いて30日の全期間処置され、この間、RAMにおける能力について評価された。(a)実験の時間は、課題が完了した時間として評価された。(b)参照記憶エラー(RME)は、餌をしかけられていないアームに最初に侵入した回数として評価された。(c)正解の作業記憶エラー(CWE)は、餌をしかけられたアームに再度侵入する回数として評価された。(d)不正解の作業記憶エラー(ICWE)は、餌をしかけられていないアームに再度侵入した回数として評価された。データは、平均値±S.D.(n=5)である。アスタリスクは、コントロールに対して有意差を有する値を示す(p<0.001)。各群の動物は、ビヒクルで処置されたトランスジェニックマウス(Tg−Veh)、植物抽出物で処置されたトランスジェニックマウス(Tg−Trt)として示された。
【図8】植物抽出物(用量:1g/kg体重)で処置した23ヶ月齢のTgマウスにおいてプラーク及びユビキチン化されたタンパク質凝集物が減少したことを示す。(a)環状の脳の切片は、連続的に切断され、プラークについて、Bielschowskyの銀染色で(10日ごとに)染色し、β−アミロイド及びユビキチン(ユビキチン−IHC)の免疫染色を行った。(b)プラークにより覆われ、並びに皮質及び海馬におけるアミロイド及びユビキチン化タンパク質凝集物により免疫染色された表面積の割合の定量的評価を示す。全てのデータは、平均値±S.D.(n=5)である。アスタリスクは、コントロールに対して有意差のある値を示す(p<0.001)。処置群は、ビヒクルで処置されたもの(V/Veh)、植物抽出物で処置されたもの(T/Trt)で示され、画像は、皮質(CT)、海馬(HP)から得たものである。
【図9】Withania somniferaの植物抽出物(1g/kg)で処置した23ヶ月のTgメスマウスに蓄積するβ−アミロイドが減少したことを示す。蓄積するアミロイドは、ELISAを用いて定量化した。パネルI、II、IIIは、それぞれ、皮質、海馬及び血清におけるAβの負荷を示す。a、d、gは、Aβ(1〜42)の定量値を示す;b、e、hは、Aβ(1〜40)の定量値を示す;c、f、iは、Aβ42とAβ40の比率を示す。全てのデータは、平均値±S.D.(n=5)である。アスタリスクは、コントロールに対して有意差を有する値を示す(p<0.001)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明で用いるものとして、用語「Withania somnifera抽出物」、「Withania根茎抽出物」、「根茎抽出物」、「植物抽出物」及び「ハーブ抽出物」は、相互に入れ替え可能な用語として用いる。
【0023】
本発明は、Withania somnifera植物抽出組成物、及びアルツハイマー病などの神経変性疾病又は疾患の処置への使用を提供する。本発明は、この抽出物の調製方法をさらに提供する。
【0024】
さらに、本発明は、、乾燥したWithania根茎の粉末を従来の方法により調製すること、根茎の粉末にCHCl/MeOH(1:1)を添加すること;室温で約72時間攪拌すること;内容物をろ過すること、及び減圧下、ロータリーエバポレーターを用いて35〜40℃で、澄明なろ過物から溶媒を除去すること、抽出された植物材料に、新鮮なCHCl/MeOH(1:1)を添加すること、抽出工程を4回繰り返すこと、抽出物の均一性についてチェックすること、集められた抽出物から溶媒を除去すること、及び室温で空気乾燥することで微量の溶媒を除去し、Withania somnifera根茎の生物学的に活性な成分を有する精製された植物抽出物を得ることを含む、Withania somniferaの根茎からの植物抽出物の調製方法を提供する。
【0025】
本発明は、Withania somniferaの植物抽出物、及び根茎抽出物などのWithania somniferaの抽出物の生物学的に活性な成分を含む組成物に関する。
【0026】
本発明は、Withania somnifera抽出物、及びWithania somnifera抽出物の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物に関する。
【0027】
本発明の一つの態様は、神経疾病の予防及び治療的処置におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0028】
本発明の一つの態様は、神経変性疾患の予防及び治療的処置におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0029】
本発明の別の態様は、アルツハイマー病の予防及び治療的処置におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0030】
さらに、本発明の別の態様は、神経疾病の予防及び治療的処置に有用なWithania somnifera抽出物の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物を提供する。
【0031】
さらに、本発明の別の態様は、神経変性疾患の予防及び治療的処置に有用なWithania somnifera抽出物の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物を提供する。
【0032】
さらに、本発明の別の態様は、アルツハイマー病の予防及び治療的処置に有用なWithania somnifera抽出物の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物を提供する。
【0033】
本発明の一つの態様は、神経疾病の予防及び治療的処置のための医薬の調製におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0034】
本発明の一つの態様は、神経変性疾患の予防及び治療的処置のための医薬の調製におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0035】
本発明の別の態様は、アルツハイマー病の予防及び治療的処置のための医薬の調製におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0036】
本発明の別の態様は、Withania根茎の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物の有効量を提供することを含む、神経疾患の処置の治療的方法を提供する。
【0037】
本発明の別の態様は、Withania根茎の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物の有効量を提供することを含む、神経変性疾患の処置の治療的方法を提供する。
【0038】
本発明の別の態様は、Withania根茎の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物の有効量を提供することを含む、アルツハイマー病の処置の治療的方法を提供する。
【0039】
本発明のさらに別の態様は、Withania根茎の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物の有効量を提供することを含む、神経疾患の処置の予防的方法を提供する。
【0040】
本発明のさらに別の態様は、Withania根茎の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物の有効量を提供することを含む、神経変性疾患の処置の予防的方法を提供する。
【0041】
本発明の別の態様は、Withania根茎の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物の有効量を提供することを含む、アルツハイマー病の処置の予防的方法を提供する。
【0042】
本発明は、Withania somnifera抽出物、及びWithania somnifera抽出物の生物学的に活性な成分を含む組成物に関する。
【0043】
本発明の一つの実施態様は、疾病の予防及び治療的処置においてWithania somnifera抽出物の生物学的に活性な成分の用途を提供する。
【0044】
本発明の別の実施態様は、神経疾病又は疾患の予防及び治療的処置におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0045】
本発明の他の実施態様は、神経変性疾患又は疾病の予防及び治療的処置におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0046】
さらに、本発明の別の実施態様は、アルツハイマー病の予防及び治療的処置におけるWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0047】
本発明の一つの実施態様は、健康又は栄養補助食品としてのWithania根茎抽出物の用途を提供する。
【0048】
本発明の一つの実施態様は、神経疾病の治療的及び/又は予防的処置に有用なWithania somnifera抽出物の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物を提供する。
【0049】
本発明の一つの実施態様は、疾病の処置のためのその他の医薬品及び/又は組成物と組み合わせて投与され得る医薬組成物を提供する。
【0050】
本発明の別の実施態様は、医薬的に許容可能な賦形剤とともにWithania somnifera抽出物の有効量を含む組成物を提供する。
【0051】
本発明の別の実施態様は、健康又は栄養補助食品として医薬的に許容可能な賦形剤とともにWithania somnifera抽出物の有効量を含む組成物の用途を提供する。
【0052】
本発明の別の実施態様は、神経疾病又は疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製におけるWithania somnifera抽出物の用途である。
【0053】
本発明の別の実施態様は、神経変性疾病又は疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製におけるWithania somnifera抽出物の用途である。
【0054】
本発明の別の実施態様は、アルツハイマー病の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製におけるWithania somnifera抽出物の用途である。
【0055】
抽出は、アルコール消化、水蒸気蒸留、共溶媒を添加することによる超臨界流体抽出法などの一般的な抽出方法、及びその他の従来の抽出法により行われ得る。
【0056】
本発明は、Withania根茎の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物の有効量を提供することを含む、神経疾患の処置の治療方法を提供する。
【0057】
本発明は、Withania根茎の生物学的に活性な成分を含む医薬組成物の有効量を提供することを含む、神経疾患の処置の予防方法をさらに提供する。
【0058】
本発明の一つの実施態様は、従来の方法により乾燥したWithania根茎の粉末を調製するステップ、根茎粉末にCHCl/MeOH(1:1)を添加するステップ;室温で約72時間攪拌するステップ;内容物をろ過し、減圧下、ロータリーエバポレーターを用いて35〜40℃で澄明なろ液から溶媒を除去するステップ;抽出した植物材料に新鮮なCHCl/MeOH(1:1)を添加するステップ及び抽出工程を4回繰り返すステップ;均一性について抽出物をチェックするステップ及び集めた抽出物から溶媒を除去するステップ並びに室温で空気乾燥することにより微量の溶媒を除去し、Withania根茎の生物学的に活性な成分を有する精製された植物抽出物を得るステップを含む、Withania somnifera根茎からの植物抽出物の調製及び精製方法を提供する。
【0059】
図1:オスのAPP/PS1マウス(9ヶ月齢)は、PE(1g/kg)又はビヒクルを用いて30日の全期間の間処理され、この間、RAMにおける能力を評価した。(a)実験の時間は、課題が完了した時間として評価された。(b)参照記憶エラー(RME)は、餌をしかけられていないアームに最初に侵入した回数として評価された。(c)正解の作業記憶エラー(CWE)は、餌をしかけられたアームに再度侵入する回数として評価された。(d)不正解の作業記憶エラー(ICWE)は、餌をしかけられていないアームに再度侵入した回数として評価された。WT−Veh及びWt−Trtは、全てのパラメータについてRAMにおいて同様に行った。データは、平均値±S.D.(n=6)として示した。アスタリスクは、コントロールに対して有意差を有する値を示す(p<0.05)。処置群は、ビヒクルで処置されたトランスジェニックマウス(Tg−Veh);植物抽出物で処置されたトランスジェニックマウス(Tg−Trt);ビヒクルで処置された野生型(Wt−Veh)及び植物抽出物で処置された野生型(WT−Trt)として示された。
【0060】
一つの実施態様において本発明によると、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供する。
【0061】
一つの実施態様において本発明によると、75%のウィタノライド及び20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供する。
【0062】
本発明のさらに別の実施態様において、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供し、この抽出物は、ウィタフェリンを含まない。
【0063】
本発明のさらに別の実施態様において、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供し、この抽出物は、Withania somniferaの根茎から得られたものである。
【0064】
本発明の一つの実施態様は、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供し、この抽出物は、アルツハイマー病、パーキンソン病及び老年性認知症からなる群から選択された神経変性疾患の処置に有用である。
【0065】
本発明の別の実施態様は、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供し、この抽出物は、粉末、液体、カプセル又は錠剤の形態である。
【0066】
本発明の別の実施態様は、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供し、この抽出物は、アルツハイマー病の処置に有用である。
【0067】
本発明の別の実施態様は、約75%のウィタノライド及び約20%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を提供し、この抽出物は、アルツハイマー病の処置に有用であり、アルツハイマー病の処置のための抽出物の有効量は、0.5/日/kg体重〜1g/日/kg体重の範囲である。
【0068】
本発明の別の実施態様において、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物並びに医薬的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物を提供する。
【0069】
約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むWithania somnifera抽出物を含む栄養補助組成物を提供する。
【0070】
本発明は、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むWithania somniferaを含むハーブ組成物をさらに提供する。
【0071】
本発明の一つの実施態様において、Withania somniferaの植物抽出物の調製方法を提供し、この方法は、Withania根茎を提供すること、根茎抽出物を得るように、この根茎を、室温で約60〜75時間、有機溶媒で抽出すること;乾燥根茎抽出物を得るように、根茎抽出物から溶媒を除去すること;根茎抽出物の活性画分を得るように、乾燥根茎抽出物を10%のメタノール−クロロホルム混合物で処置することを含む。
【0072】
本発明の一つの実施態様において、Withania somniferaの植物抽出物の調製方法を提供し、この方法は、Withania根茎を提供すること、根茎抽出物を得るように、この根茎を、室温で約60〜75時間、有機溶媒で抽出すること;乾燥根茎抽出物を得るように、根茎抽出物から溶媒を除去すること;根茎抽出物の活性画分を得るように、乾燥根茎抽出物を10%のメタノール−クロロホルム混合物で処置することを含み、有機溶媒は、クロロホルム及びメタノールの混合物である。
【0073】
本発明の一つの実施態様において、Withania somniferaの植物抽出物の調製方法を提供し、この方法は、Withania根茎を提供すること、根茎抽出物を得るように、この根茎を、室温で約60〜75時間、有機溶媒で抽出すること;乾燥根茎抽出物を得るように、根茎抽出物から溶媒を除去すること;根茎抽出物の活性画分を得るように、乾燥根茎抽出物を10%のメタノール−クロロホルム混合物で処置することを含み、有機溶媒は、クロロホルム及びメタノールの混合物であり、クロロホルムとメタノールの比率は、2:3、1:1又は3:2である。
【0074】
本発明の一つの実施態様において、Withania somniferaの植物抽出物の調製方法を提供し、この方法は、Withania根茎を提供すること、根茎抽出物を得るように、この根茎を、室温で約60〜75時間、有機溶媒で抽出すること;乾燥根茎抽出物を得るように、根茎抽出物から溶媒を除去すること;根茎抽出物の活性画分を得るように、乾燥根茎抽出物を10%のメタノール−クロロホルム混合物で処置することを含む、有機溶媒は、クロロホルム及びメタノールの混合物であり、メタノールとクロロホルムの比率は、1:1である。
【0075】
本発明の別の実施態様において、必要とする対象に、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むWithania somniferaの植物抽出物の治療的有効量を投与することを含む神経変性疾患を改善する方法を提供する。
【0076】
本発明の別の実施態様において、必要とする対象に、75%のウィタノライド及び20%のウィタノサイドを有するWithania somniferaの植物抽出物の治療的有効量を投与することを含む神経変性疾患を改善する方法を提供する。
【0077】
本発明の別の実施態様は、対象に、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むWithania somniferaの植物抽出物の治療的有効量を投与することを含み、神経変性疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病及び老年性認知症からなる群から選択される神経変性疾患を改善する方法を提供する。
【0078】
本発明の別の態様態様は、必要とする対象に、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むWithania somniferaの植物抽出物の治療的有効量を投与することを含み、神経変性疾患がアルツハイマー病である神経変性疾患を改善する方法を提供する。
【0079】
本発明の別の実施態様は、必要とする対象に、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを有するWithania somniferaの植物抽出物の治療的有効量を投与することを含み、Withania somniferaの植物抽出物が約0.5g/日/kg体重〜1g/日/kg体重の用量で対象に投与される神経変性疾患を改善する方法を提供する。
【0080】
本発明の別の実施態様において、アルツハイマー病、パーキンソン病及び老年性認知症からなる群から選択される神経変性疾患の処置に有用な医薬の調製のための、約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを有するWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0081】
本発明の別の実施態様において、アルツハイマー病、パーキンソン病及び老年性認知症からなる群から選択される神経変性疾患の処置に有用な医薬の調製のための、75%のウィタノライド及び20%のウィタノサイドを有するWithania somnifera抽出物の用途を提供する。
【0082】
好ましい実施態様に関連して本発明について述べたが、本発明がこれらの実施例に限定されることを意図されるものではないことを理解すべきである。逆に、添付の特許請求の範囲に定義されたもののように本発明の精神及び範囲内に含まれ得るものとして、全ての代替、改変及び等価物を包含することを意図するものである。
【実施例】
【0083】
理解されるべきように、ここに述べる以下の実施例は、示すことのみを目的とするものであり、明細書を考慮した種々の改変又は変更は、当業者に示唆的であり、本願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれるものである。
【0084】
(実施例1)
Withania somniferaからの活性画分の単離
粉末化された植物材料、つまり、Withania somniferaの根茎は、インドのArya Vaidya Shala、Kottakkalより得た。植物抽出物は、丸底フラスコ中、根茎粉末にCHCl/MeOH(1:1)を添加し、機械式攪拌機を用いて、室温で72時間攪拌することで、調製した。内容物をろ過し、ロータリーエバポレーターを用いて、減圧下、35〜40℃、好ましくは37℃で澄明なろ液から溶媒を除去した。抽出された植物材料に新鮮なCHCl/MeOH(1:1)を添加し、この抽出工程を4回繰り返した。これらの化学成分について均一であることを確認するように、4つの全ての抽出物を、CHCl及びCHCl/MeOH(90:10)溶媒系を用いたTLC上でチェックした。4つの全ての抽出物に同様の成分が含まれることを確認したので、これらを合わせた。泡立ちが始まるまで、上記の条件を用いて、合わせた抽出物から溶媒を除去した。残存する微量の溶媒は、室温で空気乾燥することにより除去され、乾燥抽出物をWS−1とラベルした。
【0085】
WS−1の試験サンプルについて、非極性から開始して極性へと至る種々の溶媒、即ち、石油エーテル、CHCl、CHCOCH及びMeOH中における溶解性をチェックした。最終的に、さらなる分画のため、CHCl/MeOH(90:10)を選択した。したがって、空気乾燥された画分WS−1は、溶解性成分のほとんどを溶解するように、CHCl/MeOH(90:10)(3×400mL)で処理された。上記の通り溶媒を除去し、残存した画分に、活性を有することを見出し、WS−1a(薬物)としてラベルした。不溶性の部分についても乾燥させ、WS−1bとラベルした。異なるバッチから得られた活性画分(WS−1a)もまた、HP−TLC上でチェックされ、同様の比率で類似の成分を含むことが見出された。抽出物の収率は、根茎粉末1kg当たり約20gであった。
【0086】
(実施例2)
トランスジェニック動物
動物
本研究では、幼弱(6ヶ月)及び高齢(23ヶ月)マウス並びに年齢に適合した非トランスジェニックの同腹子からなる、オス及びメスのヘテロ型B6C3Tg動物を用いた。B6C3Tgの二重のトランスジェニックマウスは、キメラのマウス/ヒトのアミロイド前駆体タンパク質(Mo/HuAPP695swe)及び変異型ヒトプレセニリン1(PS1−dE9)を発現する。APPにおけるスウェーデン変異(K595N/M596L)及びPS1におけるエクソン9の欠失により、βセクレターゼ経路を介したプロセッシングを補助することによりトランス遺伝子により製造されるA−βの量が増加する。マウスは、アメリカのJackson研究室により生産された(Borcheltら著、1996年、Jankowskyら著、2001年)。ジェノタイピングにより、新生マウスの遺伝的構成を周期的に追跡した。
【0087】
ジェノタイピングにより、新生マウスの遺伝的構成を周期的に追跡した。子孫については、尾から抽出されたゲノムDNAのPCR増幅によりトランス遺伝子の存在についての、ジェノタイピングを行った。
【0088】
抽出及び給餌のスケジュール
植物抽出物(0.1〜1g/kg体重)は、30日間毎日単一用量で25μL経口で投与可能なように、エタノールに懸濁した。中間年齢及び高齢のマウスには、1ヶ月の期間中、経口で植物抽出物又はビヒクル(エタノール)を給餌した。処置プロトコールは、挙動の評価を行うことなく3日間処置すること、及びその後、処置及び28日間の挙動パラダイムを含む。
【0089】
挙動パラダイム
マウスを、中央の8角形のプラットフォームから放射状に等間隔に伸びる全く同じ8本のアームからなり、75cmの高さがある放射状のアーム迷路(RAM)でトレーニングした。RAMは、空間的及び作業記憶を評価する方法として用いられる。RAMにおける挙動評価は、正解の作業記憶エラー(餌を付されたアームへの再度の侵入の回数)、不正解の作業記憶エラー(餌を付されていないアームへの再度の侵入の回数)、参照記憶エラー(餌を付されていないアームへの最初の侵入の回数;トライアル当たり最大4つ)及び実験の時間(課題を完了する時間)をチェックすることを含む(Yeeら著、2004年)。
【0090】
挙動試験は、28日間行われ、下記の事項を含む:
(i)3日間の慣らしの期間
(ii)10日間の前トレーニング
(iii)15日間のトレーニング及び記録。トレーニングの最後の3日間は、ビデオでの記録も含んでいる。
【0091】
(実施例3)
免疫組織化学及び染色プロトコール
動物は、1ヶ月の期間、薬物及びビヒクルで処置され、その終期において、屠殺された。脳を摘出し、大脳半球を分離し、左半球を、固定用の4%パラホルムアルデヒド中で保存し、24時間放置した。その後、脳が溶液中で沈むまで、30%スクロース溶液中で保存した。その後、クリオスタットを用いて30μmの厚みで薄切した。切片は、PBS溶液中で浮かせた状態で保存した。各10番目の切片をスライド上に載置した。
【0092】
銀染色
切片を、蒸留水で各3分間3回洗浄し(洗浄ステップ)、15分間、前もって温めた10%硝酸銀溶液に浸漬した。洗浄ステップを繰り返し、洗浄された切片を、30〜45分間、アンモニア性硝酸銀溶液中に保存した。その後、発色するまで、切片を発色溶液に入れておいた。その後、反応を停止するように、切片を1%アンモニア溶液中に保存した。再び洗浄ステップを繰り返し、その後、過剰の染色剤を除去するように、切片を、5分間、5%チオ硫酸ナトリウム中に保存した(Beech R.及びDavenport H.著、1933年)。その後、脱水するため、切片を、アルコール勾配処置及びキシレン処置を行い、その後、DPXを用いてカバースリップを載せた。顕微鏡下で画像を撮影し、Leicaより供給されているIM50ソフトウェアを用いてプラーク蓄積を測定した。
【0093】
免疫組織化学
切片を、蒸留水を用いて各3分3回洗浄した(洗浄ステップ)。その後、切片を、クエン酸ナトリウム緩衝液中に浸漬し、抗原回復のため、最初の笛が鳴るまで圧力鍋に保存した。その後、20分間、PBS中の3%H中で切片を急冷した。洗浄ステップを繰り返した。通常のヤギ血清(3〜5%)を用いて、1時間ブロッキングを行った。その後、切片を、ブロッキング溶液中の一次抗体溶液(1:500)中、一晩4℃で保存した。再び、洗浄ステップを繰り返した。その後、切片をPBS中の二次抗体(1:500)中で、室温で1〜2時間保存した。洗浄ステップを繰り返した。Vectorから市販されているアビジン−ビオチン複合体を用いてシグナル強調を行った。最終的に、Vectorから市販されているDAB又はNOVAレッドキットを用いて発色させた。反応を停止させるため、切片を蒸留水で洗浄した。その後、DABの場合、脱水するため、切片をアルコール勾配処理及びキシレン処理を行い、一方、NOVAレッドの場合、脱水のため、キシレンのみを用い、その後、DPXを用いてカバースリップを載せた。顕微鏡下で画像を撮影し、IM50ソフトウェアを用いてプラーク蓄積を測定した。
【0094】
(実施例4)
ELISAプロトコール
組織の調製
動物を、1ヶ月の期間、薬物及びビヒクルで処置し、最後の投与の後24時間で屠殺した。脳を解剖し、脳半球を分離し、右半球を5つの主要な部分、即ち前頭皮質、残りの皮質、海馬、小脳、脳の残りの部分に解剖した。組織を、液体窒素を用いて凍結し、その後、ホモジナイズし、全ホモジネート、核除去後上清及び細胞質画分として分離するため遠心分離した。全ホモジネートを、グアニジン−塩酸(5M)で処理した。抗体12F4及び11A50−B10をそれぞれ用いてβ−アミロイド1〜42及び1〜40についてELISAを行った(Signet covance)。
【0095】
プレートの調製
ELISAプレートを、コーティング緩衝液(0.05M NaHCO、0.05M NaCO、蒸留水中、pH9.4)を用いて、濃度1.5μg/mLの捕捉抗体(12F4又は11A50−B10、Signet cavance)で、4℃で一晩コートした。ウェルを、洗浄緩衝液(0.15M NaCl、0.1%Tween)で15〜30秒洗浄し、吸引し、その後、300μLのブロッキング溶液(0.14M NaCl、8mM NaHPO・2HO、1.5mM KHPO、2.6mM KCl、0.5%ウシ血清アルブミン、水中、pH7.4)でブロッキングした。プレートを覆い、室温で1〜2時間インキュベートした。ウェルからブロッキング溶液を吸引した。標準液及びサンプルを、アッセイ緩衝液(0.14M NaCl、8mM NaHPO・2HO、1.5mM KHPO、2.6mM KCl、0.5%ウシ血清アルブミン、0.1%Tween20、水中、pH7.4)で希釈し、コートしたプレートに添加し、2時間インキュベートした。溶液を吸引し、ウェルを4回洗浄した(各30秒)。検出抗体(ポリクローナルβ−アミロイドH−43、Santa Cruz Inc.)を0.5μg/mLに希釈し、ウェルに添加し、1時間インキュベートし、その後、洗浄ステップを行った。ビオチン化二次抗体を、アッセイ緩衝液で希釈し、ウェルに添加し、1時間インキュベートし、その後、洗浄した。ストレプトアビジンHRPを希釈し、ウェルに添加し、30分間インキュベートした。TMBキットで発色させ、1N HSOを添加して反応を停止させた。Biorad社製のELISAリーダーを用いて450nmのODを測定した。分析のため、標準曲線をプロットし、3次元非線形回帰を用いて曲線フィッティングを行い、サンプルの濃度を算出した。
【0096】
(実施例5)
1g/kg体重の用量の植物抽出物を用いて、9ヶ月のB6C3Tgマウスで行われた挙動実験
9〜10ヶ月齢のトランスジェニックマウス(APP及びPS1の遺伝子を変異)を、植物抽出物(PE)及びビヒクルで、1g/kg体重の用量で1ヶ月間処置した。マウスを、放射状のアーム迷路上で空間学習及び記憶についてトレーニングし試験した。PEで処置したトランスジェニックマウスでは、記憶エラーの低下を示した(図1)。
【0097】
染色
マウスを屠殺し、その脳を、染色及び生化学的アッセイ用に加工した。凍結切片を、銀染色、β−アミロイド免疫組織化学(IHC)及びユビキチンIHCを用いて染色した。
【0098】
植物抽出物で処理することにより、ビヒクルで処理したマウスと比較して、プラークが完全に除去された。立体解析を行い、プラークで覆われた皮質又は海馬の面積の割合を算出した(図2)。
【0099】
ELISAを用いたアミロイド負荷
異なる形態のAβを定量するため、ELISAを行った。ELISAを用いて、同じマウスの皮質、海馬及び血清におけるAβ1〜40、Aβ1〜42のβ−アミロイドの負荷を測定し、脳及び血清において、Aβ1〜40及びAβ1〜42が有意に低下したことが見出された(図3〜4)。
【0100】
(実施例6)
0.1g/kg及び0.5g/kg体重の用量の植物抽出物を用いて、9ヶ月齢のB6C3Tgマウスで行われた実験
0.1g/kg及び0.5g/kg体重の2つの異なる用量を用いて、上記の実験を繰り返した。結果は、以下の通りである。
【0101】
染色
低用量の植物抽出物であっても、プラーク負荷が有意に低下した(図5)。
【0102】
ELISAを用いたアミロイド負荷
0.5g/kg体重の用量で、Aβ42及びAβ40のβ−アミロイド負荷が有意に低下したことを観察した(図6)。
【0103】
(実施例7)
1g/kg体重の用量の植物抽出物を用いて、23ヶ月齢のB6C3Tgで行われた実験
23ヶ月齢のトランスジェニックマウスについて同様の実験を行った。
【0104】
挙動
植物抽出物で処置した高齢のTgマウスは、ビヒクルで処置したTgマウスと比較して、放射状のアーム迷路での課題をうまくこなした。ビヒクルで処置したマウスと比較して、記憶エラーが有意に低下した(図7)。
【0105】
染色
ビヒクルで処置したTg動物と比較して、植物抽出物で処置したTg動物でプラークの負荷が有意に低下した(図8)。
【0106】
アミロイド負荷
ELISAを用いて、同じマウスの皮質、海馬及び血清におけるAβ1〜40及びAβ1〜42のβ−アミロイド負荷を測定し、脳及び血清においてAβ1〜40、Aβ1〜42が有意に低下したことを見出した(図9)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約70〜80%のウィタノライド及び約15〜25%のウィタノサイドを含むアシュワガンダ抽出物。
【請求項2】
前記抽出物が75%のウィタノライド及び20%のウィタノサイドを含む請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物。
【請求項3】
ウィタフェリンを含まない請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物。
【請求項4】
アシュワガンダの根茎から得られた請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物。
【請求項5】
アルツハイマー病、パーキンソン病及び老年性認知症からなる群から選択された神経変性疾患を処置するのに有用である請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物。
【請求項6】
粉末、液体、カプセル又は錠剤の形態である請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物。
【請求項7】
アルツハイマー病の処置に有用である請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物。
【請求項8】
アルツハイマー病の処置のための前記抽出物の効果的な用量が0.5g/日/kg体重〜1g/日/kg体重の範囲である請求項7に記載のアシュワガンダ抽出物。
【請求項9】
請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物及び医薬的に許容可能なキャリアを有する医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物を有する栄養補助組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のアシュワガンダ抽出物を有する薬草組成物。
【請求項12】
アシュワガンダの根茎を提供すること、前記根茎を室温で約60〜75時間、有機溶媒を用いて抽出して根茎抽出物を得ること、前記根茎抽出物から前記溶媒を除去して乾燥根茎抽出物を得ること、前記乾燥根茎抽出物を10%メタノール−クロロホルム混合物を用いて処理してアシュワガンダの植物抽出物を得ること、を含むアシュワガンダの植物抽出物の調製方法。
【請求項13】
有機溶媒がクロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エタノール、メタノール及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有機溶媒がクロロホルム及びメタノールの混合物である請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物中のクロロホルムとメタノールの比率が2:3、1:1又は3:2である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
75%のウィタノライド及び20%のウィタノサイドを含むアシュワガンダの植物抽出物の治療的な有効量を対象に投与することを含む神経変性疾患を改善する方法。
【請求項17】
前記変性神経疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病及び老年性認知症からなる群から選択される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記神経変性疾患がアルツハイマー病である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記アシュワガンダの植物抽出物が約0.5g/日/kg体重〜1g/日/kg体重の用量で前記対象に投与される請求項16に記載の方法。
【請求項20】
アルツハイマー病、パーキンソン病及び老年性認知症からなる群から選択された神経変性疾患の処置に有用な医薬の調製のための、請求項1に記載のアシュワガンダの抽出物の用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−500236(P2013−500236A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520655(P2011−520655)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000430
【国際公開番号】WO2010/013254
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511014611)ナショナル ブレイン リサーチ センタ (1)
【出願人】(511014600)インディアン インスティテュート オブ サイエンス (1)
【出願人】(511014622)ユニバーシティ オブ デリー (1)
【Fターム(参考)】