説明

アジド含有フルオロポリマー及びその調製

スルホニルアジド基ではない1つ以上のアジド基を含むフルオロポリマー、及びその調製プロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジド(−N)基を含むフルオロポリマー、及びその作製プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロポリマー、即ち、フッ素化骨格鎖を有するポリマーは、長い間知られており、耐熱性、耐化学性、耐候性、紫外線安定性等の望ましい特性のために、種々の用途で用いられている。種々のフルオロポリマー、及びその用途は、例えば、「Modern Fluoropolymers」、John Scheirs編、Wiley Science 1997、「Fluoropolymer Applications in Chemical Processing Industries」、Sina Ebnesajjad及びPradip Khaladkar編、William Andrew Inc,Norwich,NJ,USA,2005に記載されている。
【0003】
典型的なフルオロポリマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニリデン(VDF)及び/若しくはヘキサフルオロプロピレン(HFP)等の気体フッ素化オレフィンのホモポリマー又はコポリマー、又は、例えば、ペルフルオロビニルエーテル(PVE)、ペルフルオロアリルエーテル、ペルフルオロアルコキシビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシアリルエーテル等の、前述のモノマーの1種以上と1種以上のコモノマーとのコモノマー、又はエチレン(E)及びプロピレン(P)等の非フッ素化オレフィンが挙げられる。典型的には、ポリマー中のこれらコモノマーの含量は、ポリマーの全体的な特徴がフルオロポリマーの全体的な特徴を残し、非フッ素化ポリマーの全体的な特徴を残さないように、50モル%未満、30モル%未満、又は10モル%未満である。
【0004】
フルオロポリマーの特性を改変又は改善するために、特に弾性を付与又は改善するために、典型的には、ポリマーに官能基が、例えば、フルオロポリマーを架橋(又は硬化)させることができる官能基が導入される。特定のフルオロエラストマー、即ち、弾性を有するフルオロポリマーでは、得られるフルオロポリマーを架橋させ得る官能基を有するモノマーである、いわゆる硬化部位モノマーを共重合させることにより調製される。典型的な硬化部位モノマーは、1つ以上の塩素、臭素、ヨウ素原子、若しくはニトリル基を含むオレフィン又はビニルエーテルである。かかる硬化部位モノマー及びそれを含有するエラストマーの例は、例えば、国際公開第01/27194号、欧州特許公開第A1−1 211 265号、又は欧州特許第0 868 447号に記載されている。米国特許第B1−6,417,379号には、スルホニルアジド基が官能基としてポリマー骨格鎖に導入されるプロセスが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
官能基をフルオロポリマーに導入する更なる方法、及び別の官能基を含むフルオロポリマーを見出すことが依然として望まれている。望ましくは、かかるプロセスは、フルオロエラストマーを調製することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、スルホニルアジド基ではないアジド基を1つ以上含むフルオロポリマーが提供される。
【0007】
別の態様では、スルホニルアジド基ではないアジド基を1つ以上含むフルオロポリマーを調製する方法であって、1つ以上の脱離基を含むフルオロポリマーの溶液又は分散液と、有効量のアジド化合物とを反応させる工程を含む方法が提供される。
【0008】
更に別の態様では、スルホニルアジド基ではないアジド基を1つ以上含むフルオロポリマーを調製する方法であって、アジド化合物の存在下で重合を実施する工程を含む方法が提供される。
【0009】
更に別の態様では、上記フルオロポリマーの1つ以上を硬化させることにより調製される物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1〜3のIRスペクトル。
【図2】実施例1〜3における、アジ化ナトリウム濃度に対するアジドシグナルの依存。
【図3】実施例4a(破線)及び実施例4b(点線)のIRスペクトル。
【図4】実施例5のIRスペクトルの拡大図。
【図5】実施例5のIRスペクトル全体。
【図6】実施例6、7、及び8のPVDFのH−NMRスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途において、以下の明細書又は実施例に記載される構成及び成分の配置の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本発明には他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。更に、本明細書で使用される専門語句及び専門用語は説明を目的としたものであり、発明を限定するものとして見なされるべきではない点は理解されるべきである。「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変形は、それらの後に列記される要素及びそれらの均等物、並びに更なる要素を包含することを意味するものである。「A」又は「an」は、「1つ以上の」を包含することを意味する。本明細書に引用される任意の数値的な範囲には、低位の値から高位の値までの全ての値を含む。例えば、濃度範囲が1%〜50%と記載される場合、これは1.2%〜1.8%、2%〜40%、又は10%〜30%、又は1%〜3%等の値が明確に列挙されることを意図する。列挙された最も低位の値と最も高位の値との間並びにこれらを含む、数値の全ての可能性のある組み合わせが、本明細書において明確に記載されていると考慮される。
【0012】
アジド基
本明細書に提供されるフルオロポリマーは、スルホニルアジド基ではないアジド基を1つ以上含む。スルホニルアジドは、以下の一般式に相当する。
−S(O)(nは1又は2である。)
【0013】
アジド基は、炭素−アジド、即ち炭素に結合しているアジドであってもよい。炭素は、ポリマー骨格鎖の炭素、骨格鎖の末端部の炭素、若しくは側基の炭素、又はポリマーに結合している官能基の炭素であってもよい。好ましくは、炭素−アジドとは、本明細書においては以下の一般式に相当するものを指す。−[C(X1)(X2)]−C(Y1)(Y2)N(式中、X1、X2、Y1、及びY2は、互いに独立して、F又はHを表し、mは0又は1を表す)。好ましくは、X1及びX2の少なくとも1つ又はY1及びY2の少なくとも1つはHであり、より好ましくはX1及びX2はHであり、Y1及びY2はFである、又はX1及びX2はFであり、Y1及びY2はHである。炭素−アジド基の例としては、−CF−CH−N、−CH−CF−N、−CH−N、−CF−N、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
アジド基は、好ましくは末端基である、即ち、ポリマー鎖及び/又は存在する場合側鎖の末端に位置する。
【0015】
アジド基は、1つ以上の炭素三重結合を含む化合物と反応することができる。かかる化合物としては、アルキン及びアルキン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。かかる化合物は、アジド基と反応して、トリアゾール又は対応する誘導体を形成することができる。結果として、反応性アジド基としては、アルキンと反応することによりトリアゾール基に変換され得るもの、例えば、1,2−ジメチルアセチレンと反応することにより4,5ジ−メチルトリアゾールに変換され得るものが挙げられる。
【0016】
アジド基はまた、例えばテトラジン又はその誘導体を形成することにより、ニトリル基又はニトリル基含有化合物と反応することができる。本明細書で使用するとき、トリアゾール又はテトラジンの形成は、単離された最終生成物としてだけではなく、中間体としてのこれらの化合物の形成を含む。ニトリル基はまた、アジド基を含むポリマーと同じポリマー、又は別のポリマーの一部であってもよい。
【0017】
アジド基は、官能基として用いられて、アジドに対する当該技術分野において既知の反応により他の官能基をポリマーに導入することができる、又はポリマーの架橋に用いられ得る。この機能では、アジド基は硬化部位として、即ち、架橋反応を受けて、フルオロポリマーをアジド基自体と、又はフルオロポリマーを他のポリマー若しくは化合物とを架橋することができる官能基として作用する。
【0018】
フルオロポリマー
本明細書で記載されるフルオロポリマーは、部分又は全フッ素化骨格鎖を有し得る。特に好ましいフルオロポリマーは、少なくとも30重量%フッ素化された、好ましくは少なくとも50重量%フッ素化された、より好ましくは少なくとも65重量%フッ素化された骨格鎖を有するものである。
【0019】
用語「フッ素化」とは、分子の1つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されていることを意味すると理解されるべきである。
【0020】
用語「全フッ素化」とは、骨格鎖の全ての水素原子がフッ素原子に置換されていることを意味すると理解されるべきである。しかし、この用語は、水素原子の一部が、塩素若しくは臭素等の他のハロゲン、又は例えば酸素若しくは窒素等の他の原子に置換される可能性を排除することを意味するものではない。例えば、フッ素原子に加えて骨格鎖に塩素原子を有するフルオロポリマーは、例えば、クロロトリフルオロエチレン等の塩素含有モノマーの関与する重合から得ることができる。例えば、フッ素原子に加えて骨格鎖に酸素原子を有するフルオロポリマーは、例えば、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)等の酸素含有モノマーの関与する重合から得ることができる。
【0021】
したがって、用語「部分フッ素化」とは、骨格鎖の水素原子の一部のみがフッ素(上記の他の原子を含む)に置換されており、かつ水素の一部が骨格鎖に残っていることを意味すると理解されるべきである。
【0022】
典型的には、部分フッ素化フルオロポリマーは、1つ以上の−CH−CF−単位を含む。
【0023】
好適なフルオロポリマーの例としては、所望により1つ以上の非フッ素化モノマーと組み合わせられた1つ以上のフッ素化モノマーのポリマーが挙げられる。フッ素化モノマーの例としては、炭素原子に加えてフッ素原子のみを有し得るフッ素化C〜Cオレフィン、並びに炭素及びフッ素原子に加えて水素及び/又は塩素原子も有し得るオレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、2−クロロペンタフルオロプロペン、ジクロロジフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン(VDF)、及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)等のフッ素化アルキルビニルモノマー;全フッ素化ビニルエーテル(PVE)を含むフッ素化ビニルエーテル、全フッ素化アリルエーテル、及び(ペル)フルオロアルコキシビニルエーテル又は(ペル)フルオロアルコキシアリルエーテル等の対応するアルキルオキシ(alkyoxy)誘導体を含むフッ素化アリルエーテルが挙げられる。好適な非フッ素化コモノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、並びにエチレン(E)及びプロピレン(P)等のC〜Cオレフィンが挙げられる。
【0024】
本発明に使用することができるペルフルオロビニルエーテルの例としては、以下の式に相当するものが挙げられる:
CF=CF−O−R
(式中、Rは、1つ以上の酸素原子を含んでもよい全フッ素化、直鎖、環状、又は分岐鎖脂肪族基を表す)。
【0025】
以下の式に相当する全フッ素化ビニルエーテルが特に好ましい。
CF=CFO(RO)(RO)
(式中、R及びRは、1〜6個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子を有する異なる直鎖又は分枝鎖又は環状ペルフルオロアルキレン基であり、m及びnは独立して、0〜10であり、Rは、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である)。全フッ素化ビニルエーテルの具体例としては、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)、ペルフルオロ(n−プロピルビニル)エーテル(PPVE−1)、ペルフルオロ−2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−2−メトキシ−エチルビニルエーテル及びCF−(CF−O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−CF−O−CF=CF、が挙げられる。
【0026】
本発明に使用することができるペルフルオロアリルエーテルの例としては、以下の式に相当するものが挙げられる:
CF=CF−CF−O−R
(式中、Rは、1個以上の酸素原子を含んでもよい全フッ素化、直鎖、環状、又は分岐鎖脂肪族基を表す)。
【0027】
以下の式に相当する全フッ素化アリルエーテルが特に好ましい。
CF=CFCFO(RO)n(RO)(式中、残基は、対応するビニルエーテルについて上記したのと同じ意味を有する)。
【0028】
好適なフルオロアルキルビニルモノマーは、以下の一般式に相当する。
CF=CF−R又はCH=CH−R
(式中、Rは、1〜10個の、好ましくは、1〜5個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基を表す)。ペルフルオロアルキルビニルモノマーの典型的な例は、ヘキサフルオロプロピレンである。
【0029】
フルオロポリマーは、フルオロエラストマーであってもよい。フルオロエラストマーは、弾性を有するフルオロポリマーである。一般的に、エラストマーである、又はエラストマーを作製するために用いることができる(例えば、それを硬化させることにより)好適なフルオロポリマーは、実質的に非晶質であるフルオロポリマーである。典型的には、非晶質ポリマーは、(目立つ)融点を示さない。フルオロエラストマーは、典型的には、非晶質フルオロポリマーを硬化させた際に得られる。非晶質フルオロポリマーとしては、例えば、フッ化ビニリデンと、各二重結合している炭素原子に少なくとも1個のフッ素原子置換基を含む少なくとも1つの末端エチレン性不飽和フルオロモノマーとのコポリマーであって、前記フルオロモノマーの各炭素原子が、フッ素のみに、所望により塩素、水素、低級フルオロアルキルラジカル、又は低級フルオロアルコキシラジカルに置換されているコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、フルオロポリマーは、フッ化ビニリデン及び/又はフッ化ビニルから誘導された繰り返し単位を含む。
【0030】
好ましい非晶質フルオロポリマーは、一般的に、1つ以上の他のフッ素化エチレン性不飽和モノマー並びに/又はエチレン及びプロピレン等の1つ以上の非フッ素化C〜Cオレフィンと共重合している、VDF、TFE、及び/又はCTFEから誘導された繰り返し単位を20モル%〜85モル%、好ましくは50モル%〜80モル%含む。存在するとき、フッ素化エチレン性不飽和モノマーから誘導された単位は、一般的に、5〜45モル%、好ましくは10〜35モル%である。存在するとき、非フッ素化コモノマーの量は、一般的に、0〜50モル%、好ましくは1〜30モル%である。
【0031】
1つの実施形態では、フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンと、主なモノマー単位として少なくとも1つのペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルとを含むコポリマーである。かかるコポリマーでは、共重合全フッ素化エーテル単位は、ポリマー中に存在する全モノマー単位の約15〜約50モル%を占め得る。
【0032】
フルオロポリマーはまた、硬化可能であり得る。フルオロポリマーは、例えば、紫外線、又は熱、又は硬化剤に曝露すること等、当業者に既知の方法のいずれによっても硬化することができる。硬化性フルオロポリマーは、アジド基に加えて、硬化部位、即ち、架橋され得る官能基を含み得る。典型的には、かかる架橋性基は、ハロゲン、具体的には、ヨウ素若しくは臭素基、又はニトリル基である。これらの基は、例えば、典型的には全フッ素化又は部分フッ素化オレフィン、前述の架橋性基の1つ以上で置換されているビニル又はアルキルエーテルである、硬化部位モノマーの存在下でモノマーを重合させることにより導入され得る。かかる硬化部位モノマー及び硬化系は、例えば、国際公開第2004/011543号(Kasparら)に記載されており、これは参照することにより本明細書に全文が援用される。
【0033】
これに代えて又はこれに加えて、本開示のフルオロポリマーは、他の硬化性ポリマー及び硬化剤(例えば、「背景技術」のセクションに列挙されている参考文献に記載されているもの)と混合して、得られた混合物を同時硬化させてもよい。
【0034】
本発明のフルオロポリマーはまた、ゴム及びプラスチック産業で周知である添加剤、加工助剤、及び充填剤、例えば、これらに限定されないが、カーボンブラック、硫酸バリウム、タルク、及びシリカ(親水性シリカ又は疎水性シリカを含む)を含む無機充填剤、フィブリル化又は非フィブリル化熱可塑性フルオロポリマー、金属酸化物、金属水酸化物等と混合してもよい。
【0035】
硬化組成物は、典型的には、フルオロポリマー鎖を互いに結合させて、三次元網目構造を形成する1つ以上の成分を含む。かかる成分としては、当該技術分野において既知である触媒、硬化剤、及び/又は架橋助剤(coagent)を挙げることができる。
【0036】
フルオロポリマー組成物は、従来のゴム加工装置内で、フルオロポリマー、硬化組成物、及び他の添加剤を混合することにより調製することができる。かかる装置としては、ゴム用ロール機、バンバリーミキサ等の密閉式ミキサ、及び混合押出成形機が挙げられる。
【0037】
フルオロポリマーの作製方法
本明細書に提供されるプロセスに従って、フルオロポリマーは、フッ素化モノマーのフリーラジカル重合により生成することができる。フリーラジカル重合は、有機溶媒、液状又は超臨界CO、水性懸濁液又は水性エマルション中で実施することができる。
【0038】
フリーラジカル重合を開始させるために用いることができる反応開始剤系としては、例えば、酸化剤と還元剤との組み合わせ等のレドックス反応を通してフリーラジカルを生じさせる反応開始剤系が挙げられる。好適な酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)、及び過硫酸ナトリウムを含む過硫酸塩が挙げられ、好ましくはAPS又はKPSである。好適な還元剤としては、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム又は重亜硫酸カリウム等のメタ重亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩及びチオ硫酸塩が挙げられ、好ましくは、Na、銅、鉄、銀等の金属イオンである。用いることができる別のレドックスベースの反応開始剤系としては、過マンガン酸カリウム、Mn3+−塩(三酢酸マンガン、シュウ酸マンガン等)から誘導されたもの等のマンガン系が挙げられる。好ましい金属塩は、KMnOである。更に、重合は、過硫酸塩等の熱で分解する反応開始剤で開始させることもできる。したがって、過硫酸塩はまた、還元剤の存在なしにそのままで使用することができる。ペルオキシドも反応開始剤系として用いることができ、例えば、ロンガリット(ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム)を有する又は有しないt−ブチルヒドロペルオキシドが好ましい系である。
【0039】
他の反応開始剤系としては、例えば、アゾ化合物、ペルオキソ炭酸塩、過酸エステル、及び有機ペルオキシド等の有機反応開始剤が挙げられる。
【0040】
用いられる反応開始剤の量は、重合混合物の総重量を基準にして典型的には0.03〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%である。反応開始剤の全量は、重合開始時に添加してもよく、又は反応開始剤は、70〜80%が変換されるまで重合中に連続的に重合に添加することが可能である。反応開始剤の一部を開始時に添加することもでき、残りを重合中に一度に又は別々の追加部分で添加することができる。
【0041】
水性エマルション重合では、フッ素化モノマー及び所望により非フッ素化モノマーは、一般的にはフリーラジカル反応開始剤、及びフッ素化界面活性剤又は乳化剤、好ましくは、非休止(non-telogenic)乳化剤の存在下で、水相中にて重合することができる。乳化剤は、一般的に、水相の重量を基準として1重量%未満、例えば、0.1〜1重量%の量で用いられる。フッ素化乳化剤の例としては、塩、具体的には、アルキル鎖に4〜11個の炭素原子を有するカルボン酸及びスルホン酸を含有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキルのアンモニウム塩が挙げられる。具体例としては、ペルフルオロオクタン酸のアンモニウム塩(APFO、米国特許第2,567,011号に記載)、C17SOLi(Bayer AGから市販)、CSOLi、及びCSOK(米国特許第2,732,398号に記載)が挙げられる。ペルフルオロアルキル含有カルボン酸塩の更なる例は、C17SON(C)CHCOOKである(米国特許第2,809,990号に記載)。
【0042】
用いることができる更なる乳化剤としては、欧州特許出願第0 219 065号に開示されているようなペルフルオロポリエーテルカルボキシレート乳化剤、又は国際公開第2007/011631号、同第2007/011633号、同第2007/062059号、同第2007/120348号、同第2007/120346号、同第2007/140112号、に記載されているペルフルオロ化又は部分フッ素化乳化剤、例えば国際公開第2007/140112号の請求項1、3、及び4に列挙されているものが挙げられる。
【0043】
水性エマルション重合はまた、例えば、国際公開第96/24622号、同第97/17381号、同第2002/088207号、及び同第2002/088206号に記載されているように、フッ素化乳化剤なしに実行することもできる。
【0044】
水性エマルション重合は、連続的に行うことができ、例えば、得られるエマルション又は懸濁液を連続的に除去しながら、モノマー、水、任意に更なる乳化剤、緩衝剤、及び触媒が、最適な圧力及び温度条件下で攪拌反応器に連続的に注がれる。代替技術は、成分を攪拌反応器に供給し、それらを設定温度で一定時間反応させるか、又は所望量のポリマーが形成されるまで、一定圧力を維持するように、成分を反応器内に充填し、モノマーを反応器に供給することによる、バッチ又は半バッチ(半連続的)重合である。重合は、ガス状フッ素化モノマーのエマルション重合のために使用される標準容器又は従来型容器内で実施することができる。
【0045】
重合系は、緩衝剤等の助剤、必要に応じて、例えば、エタン及びn−ペンタン等のアルカン、ジメチルエーテル等のジアルキルエーテル、メチル第三級ブチルエーテル、並びに塩素、臭素、又はヨウ素含有連鎖移動剤を含む錯体形成剤又は連鎖移動剤を含み得る。重合温度は、10℃〜180℃、典型的には、30℃〜100℃であり得る。重合圧力は、100〜4000kPa(1〜40バール)、典型的には、300〜3000kPa(3〜30バール)であり得る。
【0046】
重合はまた、例えば、C.D.Woodらによる「Supercritical Carbon Dioxide in Polymer Reaction Engineering」、Kemmer,M.F、Meyer,T.編、Wiley−VCH,2005,189に記載されているように、液状(超臨界)CO中で実行することもできる。
【0047】
アジドを用いた重合
提供されるプロセスの1つに従って、アジド化合物は、フリーラジカル重合の反応開始剤として用いることができる。好適なアジド化合物としては、以下の式に相当するものが挙げられる。
M(N
式中、Mは、金属カチオン、又はアンモニウム基、又はH、又はハロゲン(I、Br、Cl)、又はCN等の擬ハロゲンを含む一価又は多価カチオンを表し、nは、カチオンの価数に相当する。好ましくは、Mは、カチオンである。好適なカチオンであるMとしては、有機(例えば、テトラアルキルアンモニウムカチオン)及び無機カチオンが挙げられる。特に有用なカチオンは、アンモニウムと、ナトリウム及びカリウム等の一価のカチオン、並びにカルシウム及びマグネシウム等の二価のカチオンを含む金属カチオンである。具体例としては、アジ化ナトリウム又はアジ化カリウムが挙げられる。
【0048】
アジドの最も有効な量は、日常的な試行実験により最適化することができる。典型的には、アジド化合物の量は、重合反応開始剤の量に対して選択することができる。典型的には、アジド化合物に含まれるアジド基と重合反応開始剤とのモル比は、1.1:0.1〜0.1:11、又は1.1:0.5〜0.2:5であり得る。
【0049】
アジド化合物は、好ましくは、重合媒体に可溶性である。用語「可溶性」は、重合条件下で、所望の量の化合物が重合媒体に溶解することを意味する。
【0050】
アジド化合物は、反応開始剤を添加する前、添加した後、又は添加と同時に添加してもよい。アジド化合物は、固体、懸濁液、又は溶液として添加してもよく、好ましくは溶液として、より好ましくは水溶液として添加される。アジド化合物は、一度にバッチ式に、又は連続的に添加してもよい。アジドはまた、例えば、第三級ブタノール又は類似のアルコール等の有機共溶媒を用いて導入され得る。
【0051】
重合性基(典型的には、非芳香族炭素−炭素二重結合)を有するアジド含有フルオロポリマーはまた、アジド化合物と同じ方法で上記フリーラジカル重合に用いることができる。
【0052】
アジド含有フルオロポリマーはまた、重合反応にアジド含有連鎖移動剤を用いることにより得ることができる。連鎖移動剤は、1本のポリマー鎖を終端させ、新規ポリマー鎖を開始させることができる分子である。典型的には、連鎖移動剤は、一般式I−(CFX)−N3(式中、Xは、F又はH又は分枝鎖ペルフルオロ若しくは部分フッ素化アルキル基であってもよく、nは1〜30の整数であり、好ましくは1〜15である)に相当し得る。
【0053】
アジドを用いたポリマーの処理による調製
アジド基はまた、1個以上の脱離基を含むフルオロポリマーを、上記アジド化合物で処理することにより、フルオロポリマーに導入することができる。
【0054】
脱離基は、アジドに交換することができる分子又は部分である。典型的な脱離基としては、ヨウ素、臭素、塩素、メシラート、トシレート、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されず、ヨウ素が好ましい。
【0055】
この処理に好適な反応条件は、好適な溶媒を用いる還流条件であることが見出されている。還流条件に加えて、例えば、12時間超、又は更には24時間超の反応時間等の、長い反応時間が好適であることが見出されている。
【0056】
かかる脱離基を含むポリマーは、例えば、一般式CX1Y1=CX2Y2(式中、X1、X2、Y1、Y2はF又はHであり、X1、X2、Y1、Y2の少なくとも1つがヨウ素、塩素、又は臭素、メシラート又はトシレート基であり、好ましくはヨウ素である)のオレフィンを用いて、又は対応するビニルエーテル若しくはアルキルエーテルを用いて、脱離基を含むコモノマーとモノマーを重合させることにより調製され得る。このようなモノマーは、例えば、国際公開第2004/011543号に記載されている。あるいは、ポリマーは、例えば、CFI又はジヨードメタン等の対応する脱離基を含む連鎖移動剤を用いる典型的な重合反応で調製することができる。トシレート又はメシラートを含むフルオロポリマーはまた、−OH基を含むポリマーをトシレート又はメシラートで置換することにより調製され得る。
【0057】
アジドとの交換反応は、典型的には、ポリマーを、溶液又は分散液中で、有効量の上記アジド化合物で、十分な時間処理することにより実行される。反応は、周囲温度又は高温で実行することができ、好ましくは還流条件で実行される。好ましくは、反応は、例えば、ジメチルスルホキシド又はジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒中で、好ましくは還流条件で実行される。
【0058】
本発明を実施例に限定することを意図せずに以下の実施例を用いて本発明を今から更に例示する。特に指示がない限り、部及び百分率は全て重量による。
【実施例】
【0059】
IR−分光法
IR−分光法は、Nicolet MAGNA−IR 560分光計を用いて実施した。
【0060】
固形含有量
固形含有量は、Mettler Thermobalance HR73を用いて測定した。アルミニウムのカップ(直径100mm、高さ7mm)に、14gの焼き入れされた採石場の砂を入れた。重合から得られたポリマーラテックスを、焼き入れされた採石場の砂(Merck Darmstadt,Germany,No 107536)に均一に分布させ、160℃で20分間乾燥させた。
【0061】
粒径
粒径は、ISO(DIS 13321)に従ってMalvern Zetazizer 1000HSA(Malvern Instruments Inc.,Southborough,MA)を用いて、動的光散乱により測定した。報告された平均粒径は、Z平均である。測定温度は20℃であった。
【0062】
ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度(Tg)は、Pyris1(Perkin Elmer)を用いてDSCにより測定した。
【0063】
ムーニー粘度
ムーニー粘度は、ASTM D 1646に従って測定された。特に明記しない限り、ムーニー粘度は、121℃(ML 1+10@121℃)において、1分間の予熱及び10分間の試験を用いて、フルオロポリマーのみを含有する組成物から測定した。
【0064】
(実施例1)
インペラ攪拌器システムを備える総体積48.5Lの重合ケトルに、28.2kgの脱イオン水を入れ、70℃まで加熱した。攪拌システムを280rpmに設定し、以下の3サイクルにおいて、容器を脱気し、次いで全ての酸素が確実に除去されるように窒素を充填した。ケトルに、527kgのフッ化ビニリデン(VDF)及び1127kgのヘキサフルオロプロピレン(HFP)を更に入れ、絶対反応圧力を1550kPa(15.5バール)にした。次いで、160gの25%APS溶液(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)により重合を開始させた。反応が開始したとき、絶対反応圧力1550kPa(15.5バール)は、VDF及びHFPを気相に、0.52のHFP(kg)/VDF(kg)の供給比で供給することにより維持された。70℃の反応温度も維持された。アジ化ナトリウムの水溶液(800gの水中に1.6gのNaN)を、6.5mL/分の体積流量で供給した。120分後に4743gのVDFの供給が完了したとき、モノマー弁を閉じた。ケトルを換気し、3サイクルにおいて、Nで洗い流した。このようにして得られたポリマー分散液は、23.2%の固形含有量を有し、ラテックス粒子の直径は動的光散乱によれば371mmであった。
【0065】
ポリマー分散液は、MgCl水溶液に滴下されたときに凝固し、濾過され、脱イオン水(60〜70℃)で5回洗浄された。ポリマーを、空気循環オーブン内で130℃にて一晩乾燥させた。ポリマーは、認識できる融解転移を示さず、ガラス転移温度は−20℃であった(中間点値)。IR分析は、アジド基に典型的である2130cm−1にバンドを示す。
【0066】
(実施例2及び3)
重合は、多量のNaNを用いたことを除いて実施例1に記載の方法と同様の方法で実施した。実施例2及び3で用いた組成物、量、及び重合条件、並びに分析結果を表1に列挙する。実施例1〜3のIRスペクトルを図1に示す。図2は、アジ化ナトリウムの量の増加と共に増加する2130cm−1におけるアジドシグナルを示す。
【表1】

【0067】
(実施例4)
インペラ攪拌器システムを備える総体積48.5Lの重合ケトルに、28.2kgの脱イオン水を入れ、70℃まで加熱した。攪拌システムを240rpmに設定し、以下の3サイクルにおいて、容器を脱気し、次いで全ての酸素が確実に除去されるように窒素を充填した。ケトルに、0.518kgのフッ化ビニリデン(VDF)、0.123kgのテトラフルオロエチレン(TFE)、及び1.187kgのヘキサフルオロプロピレン(HFP)を更に入れ、絶対反応圧力を1700kPa(17.0バール)にした。次いで、160gの25%APS溶液(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)により重合を開始させた。反応が開始したとき、絶対反応圧力1700kPa(17.0バール)は、VDF、TFE、HFP、及びブロモトリフルオロエチレン(BTFE)を気相に、0.23のTFE(kg)/VDF(kg)、0.61のHFP(kg)/VDF(kg)、及び0.013のBTFE(kg)/VDF(kg)の供給比で供給することにより維持された。70℃の反応温度も維持された。100gのVDFの変換においては、26.2gのジヨードメタンの69.1gのt−ブタノール溶液を、0.5g/分の質量流で供給した。195分後に6552gのVDFの供給が完了したとき、モノマー弁を閉じた。ケトルを換気し、3サイクルにおいて、Nで洗い流した。このようにして得られたポリマー分散液は、31.1%の固形含有量を有し、ラテックス粒子の直径は動的光散乱によれば540mmであった。
【0068】
(実施例4a)
0.4重量%のBr及び0.1重量%のIを含有する実施例4のポリマー分散液1L(テトラフルオロエチレン(15.0重量%)、フッ化ビニリデン(49.5%)、及びヘキサフルオロプロピレン(35.5重量%)から誘導されたランダムに繰り返されるモノマー単位を含む)及びアジ化ナトリウム(NaN)2gを、還流凝縮器を備える1つ口フラスコに注ぎ入れた。混合物を100℃で1時間攪拌した。分散液を、実施例1に記載のように作製した。得られたポリマーを、FT−IR分光法により分析し、約2130cm−1におけるアジド振動を示した(図3)。
【0069】
(実施例4b)
実施例4のポリマー分散液1L及びアジ化ナトリウム(NaN)2gを、還流凝縮器を備える1つ口フラスコに注ぎ入れた。混合物を100℃で3時間攪拌する。分散液を、実施例1に記載のように作製した。得られたポリマーを、FT−IR分光法により分析した(図3)。
【0070】
(実施例5):NaNを用いた1−ヨード−ペルフルオロオクタンの変換
30gのヨウ化ペルフルオロオクチル(C17I、FLUOWET I 800、Clariant製)、100gのジメチルスルホキシド(DMSO)、及び17gのアジ化ナトリウムの混合物を、還流凝縮器を備える1つ口フラスコ(250mL)に注ぎ入れた。混合物を90℃で30時間攪拌した。反応後、溶液を50mLの水で処理し、その結果、有機相及び水相が形成された。有機相を3回、50mLのの脱イオン水にて洗浄した。得られた生成物を、FT−IR分光法により分析し、約2130cm−1における振動を示した(図4)。
【0071】
(実施例6):PVDF−Iの調製
約2040g・mol?1の分子量Mを有するPVDF−Iを、73重量%のCO、120℃の温度、及び150MPa(1500バール)の圧力を用いて、Beuermann.S.;Imran−ul−haq,M.,Macromol.Symp.2007,259,page 210に記載のようにCO溶液を調製した。フッ化ビニリデン(VDF)を3.7mol・L?1の濃度で用い、ジ−t−ブチルペルオキシドを61mmol・L?1の濃度で用い、C13Iを0.2mol・L?1の濃度で用いた。PVDF−Iは、粉末形態で得られた。分子量は、参照物質としてポリスチレンを用いてGPCにより測定した。末端基の決定は、以下に記載のようにH−NMRにより実施した。
【0072】
GPC測定:
ポリマーのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、溶出剤として0.1%のLiBrを含有するN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を用いて、45℃のカラム温度で実施した。Polymer Standards Services製の、Agilent 1200定組成ポンプ、Agilent 1200屈折率検出器、及び2つのGRAMカラム(10μm、8×300mm、孔径100及び1000)からなるSEC設定で試料を分析した。SEC設定は低多分散性ポリスチレン標準物質(PSS)を用いて較正された。
【0073】
アセトン−dに溶解したPVDFのH−NMRスペクトルを、Bruker 300 MHz分光計で記録した(図6に示す)。
【0074】
(実施例7):PVDF−IとNaN3との反応
実施例6のPVDF−I(200mg、0.1mmol)を、還流凝縮器に接続されたフラスコ内で、15mLのジメチルホルムアミド中のNaN(200mg、3.07mmol)と、90℃で70時間反応させた。反応が進行するにつれて、溶液の色が透明から茶色に変化した。水を反応混合物に添加して、ポリマーを沈殿させた。沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0075】
反応生成物の末端基の終端により新たな多重項が1.1〜1.2ppm生じ、これは−CH−N又は−CH−CF−Nプロトンによるものであった(図6と比較)。
【0076】
(実施例8):PVDF−Nとアルキンとの反応
実施例7のポリマー(200mg、0.10mmol)、アジ化ナトリウム(200mg、3.07mmol)、及び2−ブチン(0.5mL、6.4mmol)、及び15mLのDMFを、還流凝縮器に接続されたフラスコに添加した。反応混合物を72時間90℃で攪拌した。反応が進行するにつれて、溶液の色が透明から茶色に変化する。反応生成物は水に沈殿し、濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0077】
反応生成物の末端基の終端により新たな多重項が1.1〜1.2ppm生じ、これは−CH−N又は−CH−CF−Nプロトンによるものであった。トリアゾールのアジド基に近接するメチレンプロトンによるシグナルが、3.90〜4.08ppmに見られた。トリアゾール環に結合しているメチル基は、2.5〜3ppmに見られた(図6と比較)。
【0078】
トリアゾール末端基もまた、エレクトロスプレイイオン化質量分光法において、608.1、672.1、及び736.1のm/zに見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホニルアジド基ではないアジド基を1つ以上含む、フルオロポリマー。
【請求項2】
前記アジド基が、炭素−アジド(C−N)基である、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項3】
前記アジド基が、式−CX1X2N(式中、X1及びX2は、互いに独立してH又はFを表す)に相当する、請求項1又は2に記載のフルオロポリマー。
【請求項4】
前記アジド基が、一般式
−[C(X1)(X2)]−C(Y1)(Y2)N
(式中、X1、X2、Y1、及びY2は、互いに独立して、F又はHを表し、mは0又は1を表す)に相当する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項5】
前記アジド基が、1つ以上の炭素三重結合を有する化合物と反応する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項6】
前記フルオロポリマーが部分的にフッ素化されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項7】
前記フルオロポリマーが、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、及びこれらの組み合わせから選択されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項8】
前記フルオロポリマーがエラストマーである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項9】
前記フルオロポリマーが硬化性エラストマーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項10】
スルホニルアジド基ではないアジド基を1つ以上含むフルオロポリマーを調製する方法であって、1つ以上の脱離基を含むフルオロポリマーの溶液又は分散液と、有効量のアジド化合物とを反応させる工程を含む、方法。
【請求項11】
スルホニルアジド基ではないアジド基を1つ以上含むフルオロポリマーを調製する方法であって、アジド化合物、又は1つ以上の重合性基を含むアジド基含有フルオロポリマーの存在下で重合を実施する工程を含む、方法。
【請求項12】
前記フルオロポリマーが、部分フッ素化フルオロポリマーである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記フルオロポリマーが、フッ化ビニル又はフッ化ビニリデンから誘導される繰り返し単位を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記重合が、エマルション重合、懸濁重合、又は液状CO中における重合である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項9に記載の硬化したものを含む物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−500322(P2012−500322A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523904(P2011−523904)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/053982
【国際公開番号】WO2010/021962
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】