説明

アスファルトプラント

【課題】 脱臭炉を有するプラントの煙突から放出される高温の排ガスより効果的に熱回収を図って有効利用可能としたアスファルトプラントを提供する。
【解決手段】 廃材ドライヤ3の排気煙道20に、排ガス中の臭気成分を燃焼分解して脱臭処理する脱臭炉28と、この脱臭炉から導出される高温の排ガスを大気中へ放出する煙突29とを備えると共に、煙突29の近傍には外周を断熱材で覆うなどして保温機能を具備させたオイルタンク51を備える。また、前記オイルタンク51には内部のホットオイルを前記煙突29に沿わせるように供給して排ガスとの熱交換により昇温させながらオイルタンク51へと循環させる循環配管53と、所定温度に昇温させたオイルタンク51内のホットオイルをアスファルトタンク40や合材サイロ44等のプラント設備に循環供給する供給配管56、57とを連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト混合物を製造するアスファルトプラントには、アスファルト混合物の原料となる新規な骨材(以下「新材」という)をバーナからの熱風に晒して加熱処理する新材加熱用のドライヤ(以下「新材ドライヤ」という)や、道路工事等によって掘り起こされるアスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)を同様に加熱処理する廃材加熱用のドライヤ(以下「廃材ドライヤ」という)が備えられており、前記新材ドライヤから導出される排ガスはサイクロンやバグフィルタ等の集塵機を経由させて集塵処理した後、煙突より大気中へと放出するようにしている一方、廃材ドライヤから導出される排ガスには臭気成分が含まれているため、集塵処理した後、この臭気成分を約800℃程度の高温の熱風に1乃至2秒程度晒して燃焼分解する脱臭炉を経由させて脱臭処理した上で、煙突より大気中へと放出するようにしている。
【0003】
このようにアスファルトプラントにおいては、新材ドライヤや廃材ドライヤにて新材や廃材を加熱処理する際や、脱臭炉にて排ガスを脱臭処理する際に多くの熱エネルギーを使用しているが、その一部は排ガスと共に大気中へと放出されており、省エネルギーの観点からその量をできるだけ減らすべく以前より様々な方法・手段を用いて熱回収が図られている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2009−1996号公報)では、新材ドライヤと廃材ドライヤ、及び脱臭炉とを備えて成るアスファルト合材製造設備において、前記脱臭炉から導出される高温の排ガスの一部を新材ドライヤに供給して熱回収を図るようにした装置が記載されている。また、特許文献2(特開2009−179935号公報)では、脱臭炉から導出される高温の排ガスの一部を、上記文献と同様に新材ドライヤに供給すると共に、各ドライヤや脱臭炉のバーナへ燃焼用空気として供給して熱回収を図るようにした装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−1996号公報
【特許文献2】特開2009−179935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、アスファルトプラントにおいては、以前より種々の方法・手段を用いて排ガスから熱回収を図って有効利用するようにしているが、それでもなお煙突からは比較的高温の排ガスが放出されており、特に脱臭炉を備えたアスファルトプラントの場合には約800℃程度もの高温にて脱臭処理が行われるため、煙突から放出される排ガス温度も約350〜400℃程度と比較的高温のものが放出されている。なお、上記特許文献に示されるように、その一部を新材ドライヤ等に供給することによってある程度は熱回収を図ることも可能であるが、排ガスの全量を利用できるわけではなく、余った残りの排ガスは高温のまま煙突より放出されることを余儀なくされる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、脱臭炉を有するプラントの煙突から放出される高温の排ガスより効果的に熱回収を図って有効利用可能としたアスファルトプラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載のアスファルトプラントでは、アスファルト舗装廃材を加熱処理する廃材ドライヤの排気煙道に、排ガス中の臭気成分を燃焼分解して脱臭処理する脱臭炉と、該脱臭炉から導出される高温の排ガスを大気中へ放出する煙突とを備えると共に、該煙突の近傍には保温機能を有したオイルタンクを備え、該オイルタンクにはタンク内のホットオイルを前記煙突に沿わせるように供給して排ガスとの熱交換により昇温させながらオイルタンクへと循環させる循環配管と、所定温度に昇温させたオイルタンク内のホットオイルを加熱保温が有効なプラント設備に循環供給する供給配管とを連結したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントによれば、アスファルト舗装廃材を加熱処理する廃材ドライヤの排気煙道に、排ガス中の臭気成分を燃焼分解して脱臭処理する脱臭炉と、該脱臭炉から導出される高温の排ガスを大気中へ放出する煙突とを備えると共に、該煙突の近傍には保温機能を有したオイルタンクを備え、該オイルタンクにはタンク内のホットオイルを前記煙突に沿わせるように供給して排ガスとの熱交換により昇温させながらオイルタンクへと循環させる循環配管と、所定温度に昇温させたオイルタンク内のホットオイルを加熱保温が有効なプラント設備に循環供給する供給配管とを連結したので、脱臭炉から導出される高温の排ガス熱を煙突にて効率よく回収できると共に、回収熱によって昇温したホットオイルにて加熱保温が有効なアスファルトタンクやアスファルト混合物貯蔵用の合材サイロ等のプラント設備を効果的に保温できて有効利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るアスファルトプラントの一実施例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のアスファルトプラントにあっては、新材を加熱処理する新材ドライヤと、該新材ドライヤにて加熱した新材を送り出す垂直搬送装置と、振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽、ミキサ等から成るプラント本体と、石粉貯蔵用の石粉貯蔵サイロやアスファルト貯蔵用のアスファルトタンク等の基本設備に加え、製造したアスファルト混合物を一時的に貯蔵する合材サイロ等を備えていると共に、前記新材ドライヤの近傍には廃材を加熱処理する廃材ドライヤを並設し、該廃材ドライヤにて加熱した廃材を貯蔵する廃材貯蔵ビン、廃材計量槽、該廃材計量槽から排出する廃材を前記プラント本体のミキサに投入させる供給手段等を備えている。
【0012】
また、前記新材ドライヤや廃材ドライヤには排ガス導出用の排気煙道を連結していると共に、廃材ドライヤの排気煙道はその途中に脱臭処理用の脱臭炉を介在させて末端を煙突に連結している一方、新材ドライヤの排気煙道はその途中にバグフィルタ等の集塵装置を介在させて末端を前記廃材ドライヤの排気煙道に連結して合流させるようにしている。
【0013】
また、前記煙突の近傍には断熱材で覆うなどして保温機能を施したオイルタンクを備え、該オイルタンクにはタンク内のホットオイルを煙突の外周壁に沿わせるように供給して排ガスとの熱交換により昇温させながらオイルタンクへと循環させる循環配管と、適宜温度に昇温させたタンク内のホットオイルを加熱保温が有効なプラント設備、例えば、アスファルトタンクや合材サイロ等に循環供給する供給配管とを連結している。
【0014】
そして、上記アスファルトプラントにてアスファルト混合物を製造するときには、新材ドライヤ及び廃材ドライヤにて新材及び廃材をそれぞれ加熱処理し、新材ドライヤにて加熱した新材は、垂直搬送装置にてプラント本体に送り出し、振動篩にて篩い分けて下位の骨材貯蔵ビンに粒度別に貯蔵する一方、廃材ドライヤにて加熱した廃材は、廃材貯蔵ビンにて貯蔵する。そして、これら骨材貯蔵ビンと廃材貯蔵ビンから加熱新材及び加熱廃材を所定量ずつ計量してミキサに投入すると共に、アスファルトタンクや石粉貯蔵サイロより供給される所定量のアスファルトや石粉等と共に混合処理し、所望のアスファルト混合物を製造する。そして、製造したアスファルト混合物は、トラック等に積載して出荷したり、或いは合材サイロに投入して出荷に備えて一時的に貯蔵させる。
【0015】
一方、廃材ドライヤから導出される排ガスは脱臭炉の炉内に導入させ、高温の熱風に晒して臭気成分を燃焼分解して脱臭処理すると共に、この脱臭炉から導出される高温の排ガスは、新材ドライヤから導出される排ガスと共に煙突より大気中へ放出させる。このとき、煙突近傍に備えたオイルタンク内のホットオイルを循環配管を介して煙突表面に沿わせるように循環させており、その間に循環配管内を流れるホットオイルと煙突から放出される高温の排ガスとで熱交換が行われ、やがてオイルタンク内のホットオイルは約200〜300℃程度の比較的高温なものに入れ替わっていく。
【0016】
そして、こうして温めたオイルタンク内のホットオイルを加熱保温が有効なプラント設備に、例えばアスファルトタンクや合材サイロ等に供給配管を介して循環供給させ、アスファルトタンク内のアスファルトや合材サイロ内のアスファルト混合物等を所定温度に保温維持するのに有効利用する。なお、プラントの運転が無いときには煙突にて熱回収ができない分、タンク内のホットオイルの温度は徐々に低下していくものの、オイルタンク周囲は断熱材で覆うなどして保温機能を施しているため、比較的短時間であればタンク内のホットオイルの温度を一定に保てアスファルトタンクや合材サイロ等の保温用として十分に有効利用することができる。
【0017】
このように、脱臭炉を有したプラントの煙突の外壁面に沿わせるように備えた循環配管にホットオイルを循環させて高温の排ガスから効率よく熱回収を図り、回収した熱エネルギーは高温のホットオイルとしてオイルタンク内に貯め置けると共に、この高温のホットオイルを加熱保温が有効なプラント設備である、例えばアスファルトタンクや合材サイロ等に供給することによって好適に有効利用することができる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図中の1は本発明のアスファルトプラントであり、新材を加熱処理する新材ドライヤ2と、廃材を加熱処理する廃材ドライヤ3、及びこれら両ドライヤにて加熱した新材や廃材にアスファルトや石粉等を添加して混合するプラント本体4等を主体として構成している。
【0020】
前記新材ドライヤ2は、内周部に多数の掻き上げ羽根(図示せず)を周設した円筒状のドラム5を機台6上に回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させるようにしており、ドラム5一端部に備えたバーナ7よりドラム5内に熱風を送り込むと共に、ドラム5他端部の排気煙道8下流の排風機9によって燃焼ガスを吸引排気する一方、新材貯蔵サイロ10a、10b、10cから切り出される砂や砕石等の新材をベルトコンベヤ11を介してドラム5内に供給し、ドラム5内を転動流下させる間に所定温度まで加熱する。
【0021】
そして、この加熱した新材はドラム5一端側の排出部12より排出して垂直搬送装置13に投入し、該垂直搬送装置13にてプラント本体4上部まで持ち上げて、排出シュート14よりプラント本体4に供給する。また、前記排気煙道8の下流にはバグフィルタ等の集塵機15を備え、排ガス中のダストを捕捉して清浄となった排ガスを、後述する廃材ドライヤ3の排気煙道20の下流側に合流させて末端の煙突29より大気中に放出するようにしている。
【0022】
廃材ドライヤ3は、新材ドライヤ2と類似した構造であり、内周部に掻き上げ羽根(図示せず)を周設した円筒状のドラム16を機台17上に回転自在に傾斜支持し、ドラム16一端部に備えたバーナ18の火炎を燃焼室19内に形成しながらドラム16内に熱風を送り込むと共に、ドラム16他端部の排気煙道20下流の排風機21によって燃焼ガスを吸引排気する一方、廃材貯蔵サイロ22a、22bから切り出される廃材をベルトコンベヤ23を介してドラム16内に供給し、ドラム16内を転動流下させる間に所定温度まで加熱する。
【0023】
そして、この加熱した廃材はドラム16他端側に備えた廃材貯蔵ビン24に一旦貯蔵させた後、廃材計量槽25にて所定量計量し、供給手段である投入シュート26にてプラント本体4のミキサ43に供給する。また、排気煙道20の下流にはサイクロン等の集塵機27を備えていると共に、その下流には排ガス中の臭気成分であるアスファルト分を燃焼分解するための脱臭炉28を備えており、これら集塵機27や脱臭炉28を通過して清浄となった排ガスを末端の煙突29から大気中に放出する。
【0024】
前記脱臭炉28は、一端に炉内温度を所定値に維持するためのバーナ30を備えており、炉内に導入する排ガスを高温雰囲気に晒し、排ガス中に含まれるアスファルト分を燃焼分解する。なお、脱臭炉28はアスファルト分が完全に燃焼分解できるように、炉内温度を、例えば約800℃程度の高温に維持するようにバーナ30の燃焼量をコントロールすると共に、排ガスが炉内を通過するのに少なくとも1乃至2秒以上かかる程度の滞留室28aを備えていることが好ましい。
【0025】
31、32は熱交換器であって、脱臭炉28から導出される約800℃程度の高温の排ガスが保有する熱エネルギーを有効利用するためのものであり、上流側の熱交換器31では排気煙道20から脱臭炉28に導入される排ガスを昇温させる一方、下流側の熱交換器32では燃焼用空気供給ファン33から脱臭炉28のバーナ30へ供給する燃焼用空気の予熱を図っている。
【0026】
プラント本体4は、新材ドライヤ2にて加熱されて垂直搬送装置13より送り出されてくる新材を受け入れて篩い分ける振動篩34、該振動篩34にて篩い分けた新材を粒度別に貯蔵する骨材貯蔵ビン35、該骨材貯蔵ビン35に貯蔵した各粒度の新材を累積計量する骨材計量槽36、また石粉貯蔵ビン37からスクリューフィーダ38にて供給される石粉を計量する石粉計量槽39、電気ヒータ等を周設して加熱保温構造としたアスファルトタンク40から供給ポンプ41にて供給されるアスファルトを計量するアスファルト計量槽42、及びこれら各計量槽にて計量した新材、石粉、アスファルトと、前記廃材計量槽25にて計量して供給される廃材等を混合してアスファルト混合物を製造するミキサ43等を備えている。
【0027】
44は製造したアスファルト混合物を一時的に貯蔵する合材サイロであって、外周を断熱材で被覆しかつ電気ヒータ等を周設して加熱保温構造としていると共に、上部に投入口45を、下部に排出口46を備えている。そして、ミキサ43より排出されるアスファルト混合物は、ミキサ43下位に備えた水平トロリー47のバケット48に一旦投入した後、スキップエレベータ49のバケット50に移し替えて合材サイロ44上部まで持ち上げ、上部投入口45より合材サイロ44内に投入し、出荷に備えて加熱保温しながら貯蔵するようにしている。
【0028】
前記煙突29の近傍には、外周を断熱材等で覆うなどして保温機能を具備させたオイルタンク51を備えていると共に、該オイルタンク51にはタンク内のホットオイルを供給ポンプ52にて送り出し、煙突29の外壁面に蛇行させながら沿わせるように供給して煙突29から放出される高温の排ガスと熱交換させることにより徐々に昇温させながらオイルタンク51へと循環させる循環配管53を連結している。このとき、プラント運転時の煙突29からは約350〜400℃程度の排ガスが放出されており、この排ガスと循環するホットオイルとを所定時間熱交換させることによりオイルタンク51内のホットオイルを約200〜300℃程度の比較的高温のものに入れ替えられる構成としている。なお、本実施例においては、循環配管53を煙突29の外壁面に沿わせるように配置して排ガスと熱交換させるようにしているが、煙突29内部に配置しても良い。
【0029】
また、前記オイルタンク51には、上記温度に昇温させたホットオイルを供給ポンプ54、55にて送り出し、加熱保温が有効なプラント設備である、例えば、アスファルトタンク40や合材サイロ44等に循環供給する供給配管56、57を連結している。前記供給配管56、57は、アスファルトタンク40や合材サイロ44の外壁面に蛇行させながら沿わせるように配管しており、この供給配管56、57にて高温のホットオイルを供給することにより、効果的にアスファルトタンク40や合材サイロ44を加熱保温可能としている。
【0030】
そして、上記構成のアスファルトプラント1にてアスファルト混合物を製造するときには、新材ドライヤ2に新材貯蔵サイロ10a〜10cより切り出される砂や砕石等の新材を供給してバーナ7からの熱風に晒して所定温度に加熱し、加熱した新材は下流の垂直搬送装置13を介してプラント本体4に送り出すと共に、プラント本体4では投入された新材を振動篩34にて篩い分けて下位の骨材貯蔵ビン35に粒度別に貯蔵する。一方、廃材ドライヤ3には廃材貯蔵サイロ22a、22bより切り出される廃材を供給してバーナ18からの熱風に晒して所定温度に加熱し、加熱した廃材は廃材貯蔵ビン24に貯蔵する。
【0031】
そして、骨材貯蔵ビン35より各粒度の新材を骨材計量槽36に順次払い出して累積計量してミキサ43に投入すると共に、廃材貯蔵ビン24からも廃材を廃材計量槽25に払い出して計量して前記ミキサ43に投入し、更に石粉計量槽39にて計量した石粉と、アスファルト計量槽42にて計量したアスファルトとをミキサ43に投入して所定時間混合し、所望のアスファルト混合物を製造する。そして、製造したアスファルト混合物はミキサ43より排出してトラック等に積載して出荷したり、或いは、出荷まで余裕があるときには水平トロリー47、スキップエレベータ49等を介して合材サイロ44に投入し、一時的に貯蔵させて出荷に備える。
【0032】
また、新材ドライヤ2の排気煙道8から導出される排ガスは下流の集塵機15にて集塵処理した後、廃材ドライヤ3の排気煙道20の下流側に合流させる一方、廃材ドライヤ3の排気煙道20から導出される排ガスは下流の脱臭炉28に導入させ、約800℃程度の高温の熱風に1乃至2秒程度晒して臭気成分を燃焼分解して脱臭処理すると共に、その際に発生する高温の排ガスは熱交換器31、32にてその一部を熱回収した後、前記新材ドライヤ2からの排ガスと共に末端の煙突29より大気中に放出する。
【0033】
このとき、煙突29近傍に備えたオイルタンク51からは循環配管53を介して煙突29の外壁面に沿わせるようにホットオイルが供給され、煙突29より放出される約350〜400℃程度の高温の排ガスと熱交換させて徐々に昇温させながらオイルタンク51へと循環させており(図中の二点鎖線矢印A参照)、タンク内のホットオイルは最終的に約200〜300℃程度の比較的高温のものに入れ替わっていく。そして、こうして温めたオイルタンク51内のホットオイルを加熱保温が有効なプラント設備に、例えばアスファルトタンク40や合材サイロ44等に供給配管56、57を介して循環供給させ、タンク内のアスファルトやサイロ内のアスファルト混合物等を所定温度に保温維持するのに有効利用する。
【0034】
なお、これらアスファルトタンク40や合材サイロ44では、内容物であるアスファルトやアスファルト混合物等を絶えず一定の温度(例えば約170℃程度)に保温維持する必要があるため基本的には既設の電気ヒータにて加熱保温しているが、上記のように、略プラント運転時に限られるもののタンクやサイロ外壁面に高温のホットオイルを供給することにより、電気ヒータによる保温を補助することができて電気使用量の低減が期待できる。
【0035】
また、プラントの運転が無いときには煙突29にて熱回収ができないため、オイルタンク51内のホットオイルの温度の低下は避けられないものの、オイルタンク51外周は断熱材で覆うなどして保温機能を施しているため、比較的短時間であればタンク内のホットオイルの温度を一定に保てアスファルトタンク40や合材サイロ44等の保温用として十分に有効利用できる。また、本実施例では、高温のオイルにて加熱保温させるプラント設備として、アスファルトタンク40や合材サイロ44を例としてあげたが、これらに限定されるものでは無く、例えば加熱骨材が供給されるプラント本体4の骨材貯蔵ビン35等の外周にも同様に高温のホットオイルを供給して保温維持するようにしても良い。
【0036】
このように、上記構成の装置によれば、脱臭炉28を有したアスファルトプラント1の煙突29から導出される高温の排ガスから効率よく熱回収が図れ、回収した熱エネルギーは高温のホットオイルとして保温構造のオイルタンク51内に貯め置けると共に、この高温のホットオイルを加熱保温が有効なプラント設備である、アスファルトタンク40や合材サイロ44等に供給することによって好適に有効利用することが可能となって省エネルギー化が期待できる。
【符号の説明】
【0037】
1…アスファルトプラント 2…新材ドライヤ
3…廃材ドライヤ 4…プラント本体
20…排気煙道 28…脱臭炉
29…煙突 31、32…熱交換器
40…アスファルトタンク(プラント設備)
44…合材サイロ(プラント設備) 51…オイルタンク
53…循環配管 56、57…供給配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト舗装廃材を加熱処理する廃材ドライヤの排気煙道に、排ガス中の臭気成分を燃焼分解して脱臭処理する脱臭炉と、該脱臭炉から導出される高温の排ガスを大気中へ放出する煙突とを備えると共に、該煙突の近傍には保温機能を有したオイルタンクを備え、該オイルタンクにはタンク内のホットオイルを前記煙突に沿わせるように供給して排ガスとの熱交換により昇温させながらオイルタンクへと循環させる循環配管と、所定温度に昇温させたオイルタンク内のホットオイルを加熱保温が有効なプラント設備に循環供給する供給配管とを連結したことを特徴とするアスファルトプラント。

【図1】
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【公開番号】特開2011−140746(P2011−140746A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282(P2010−282)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】