説明

アスファルト混合物製造装置のドライヤ投入用コンベヤ装置

【課題】 骨材をドライヤに投入する際にコンベヤ装置の周辺部に細粒分等が溢れ落ちるのを極力防止して、コンベヤ周辺部を清浄に維持することの可能なアスファルト混合物製造装置のドライヤ投入用コンベヤ装置を提供する。
【解決手段】 ドライヤへ骨材を投入するコンベヤ装置4として、搬送端をドライヤ1内に臨ませたベルトコンベヤ5の下位に、ベルトコンベヤ5から溢れ落ちる骨材を受け止める有底状のケーシング6を一体的に備えると共に、このケーシング6内にはベルトコンベヤ5の搬送方向と並行に往復動する無端チェーン17に所定間隔にて複数のスクレーパー18を固着して成るチェーンコンベヤ14を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルト混合物製造装置の設備であって、該アスファルト混合物製造装置に設置される骨材加熱用ドライヤに新規骨材やアスファルト舗装廃材等の骨材を投入するコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト混合物製造装置においては、例えば特許文献1に示されるように、アスファルト混合物の素材となる新規骨材(以下、「新材」という)やアスファルト舗装廃材(以下、「廃材」という)等の骨材を、先端部を骨材加熱用のドライヤ内に臨ませるように配設したベルトコンベヤにて搬送してドライヤ内に投入し、ドライヤ内を転動流下させる間にバーナからの熱風に晒して所望温度に加熱乾燥処理するようにしている。
【0003】
ところで、前記新材や廃材等の骨材には付着を生じやすい細粒分が含まれており、骨材をベルトコンベヤにて搬送する際にはこの細粒分の一部がベルト搬送面に付着して搬送端で排出されずにそのまま復路側まで回り込み、復路側移動中に搬送時の振動等によって不規則に溢れ落ちてコンベヤ周辺部を汚してしまうため、作業環境上好ましいものではなく、頻繁に清掃作業をする必要があって甚だ面倒であった。
【0004】
一方、上記のような問題に対し、例えば、ベルトコンベヤの搬送端付近の復路側にベルト搬送面掻き取り用のスクレーパー等を固設し、ベルト搬送面に付着して復路側に回り込もうとする骨材細粒分をその都度掻き取ってドライヤ内に投入させるようにしたものが一般的に採用されている。
【特許文献1】特開平9−59913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベルト搬送面に強く付着する骨材細粒分を前記スクレーパー等で完全に取り除くことは難しく、コンベヤ周辺部の清掃作業を不要とするまでには至らない。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、骨材をドライヤに投入する際にコンベヤ装置の周辺部に細粒分等が溢れ落ちるのを極力防止して、コンベヤ周辺部を清浄に維持することの可能なアスファルト混合物製造装置のドライヤ投入用コンベヤ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルト混合物製造装置のドライヤ投入用コンベヤ装置では、アスファルト混合物製造装置に設置される骨材加熱用ドライヤに骨材を投入するコンベヤ装置であって、搬送端を前記ドライヤ内に臨ませたベルトコンベヤの下位に、該ベルトコンベヤから溢れ落ちる骨材を受け止める有底状のケーシングを備えると共に、該ケーシング内にはベルトコンベヤの搬送方向と並行に往復動する無端チェーンに所定間隔にて複数のスクレーパーを固着して成るチェーンコンベヤを備え、ベルトコンベヤからケーシング内に溢れ落ちた骨材を前記チェーンコンベヤのスクレーパーにて掻き寄せてドライヤ内に投入させるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアスファルト混合物製造装置のドライヤ投入用コンベヤ装置によれば、搬送端を前記ドライヤ内に臨ませたベルトコンベヤの下位に、該ベルトコンベヤから溢れ落ちる骨材を受け止める有底状のケーシングを備えると共に、該ケーシング内にはベルトコンベヤの搬送方向と並行に往復動する無端チェーンに所定間隔にて複数のスクレーパーを固着して成るチェーンコンベヤを備え、ベルトコンベヤからケーシング内に溢れ落ちた骨材を前記チェーンコンベヤのスクレーパーにて掻き寄せてドライヤ内に投入させるように構成したので、ドライヤへの骨材投入時に骨材細粒分等がコンベヤ装置周辺部に溢れ落ちるのを未然に防げ、コンベヤ装置周辺部を清浄に維持することが可能となる。また、ベルトコンベヤから溢れ落ちる骨材も無駄なく使用することができて好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のアスファルト混合物製造装置のドライヤ投入用コンベヤ装置にあっては、搬送端を骨材加熱用ドライヤ内に臨ませるように配されるベルトコンベヤの下位に、その全長に亘ってベルト幅よりも若干幅広で有底状のケーシングを備えていると共に、該ケーシング内にはベルトコンベヤの搬送方向と並行に往復動する無端チェーンに所定間隔にて複数のスクレーパーを固着して成るチェーンコンベヤを備えており、該チェーンコンベヤ運転時には各スクレーパーがケーシング底面に沿ってベルトコンベヤの搬送方向に走行するように構成している。
【0010】
そして、上記コンベヤ装置にて新材や廃材等の骨材をドライヤに投入するときには、上位のベルトコンベヤに骨材を供給してドライヤへと搬送して順次投入させる。このとき、骨材に含まれている細粒分の一部がベルト搬送面に付着し、搬送端に達しても排出されることなくベルト搬送面に付着したまま復路側まで回り込んでしまい、それが復路側で不規則に溢れ落ちる場合があるが、この溢れ落ちる細粒分は下位のケーシングにて全て受け止められ、コンベヤ装置周辺部を汚すようなおそれはない。そして、ケーシングにて受け止められた細粒分はチェーンコンベヤのスクレーパーによってコンベヤ搬送端へと掻き寄せられてドライヤ内に投入される。
【0011】
このように、新材や廃材等の骨材をベルトコンベヤにて搬送する際に、ベルト搬送面に細粒分等の付着が生じて復路側にて溢れ落ちるような事態が生じても、溢れ落ちる細粒分は下位のケーシングにて全て受け止められ、コンベヤ周辺部が汚れるのを未然に防いで清浄に維持することができ、従来要していた頻繁な清掃作業を不要とできる。また、ベルトコンベヤからケーシング内に溢れ落ちた骨材もケーシング内に備えたチェーンコンベヤのスクレーパーにて掻き寄せてドライヤへ投入させることができ、無駄なく有効に使用することが可能となる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0013】
図中の1はアスファルト混合物製造装置に設置される、新材や廃材等の骨材を加熱乾燥処理する骨材加熱用ドライヤであって、該ドライヤ1の一端部には熱風発生装置であるバーナ2を備え、該バーナ2の下位には骨材投入用の骨材投入部3を開口していると共に、該骨材投入部3に搬送端を臨ませるように骨材投入用のコンベヤ装置4を配設している。
【0014】
前記コンベヤ装置4は、その上位側にベルトコンベヤ5を、下位側にケーシング6を一体的に備えた構成としている。前記ベルトコンベヤ5は、本体フレーム7の基端部にテールプーリ8を、先端部にヘッドプーリ9をそれぞれ回転自在に軸支し、これらテールプーリ8とヘッドプーリ9とに搬送用ベルト10を巻回し、駆動モータ(図示せず)の駆動に応じてベルト10を所定速度にて往復動させ、供給ホッパ11より供給される骨材をベルト10搬送面に載せて搬送端まで搬送して、ドライヤ1の骨材投入部3を介してドライヤ1内に投入させるようにしている。
【0015】
一方、ケーシング6は、前記ベルトコンベヤ5の下位に備えられ、ベルトコンベヤ5の全長に亘ってかつベルト10幅よりも若干幅広の有底状の、図3に示すように断面略U字形状としており、上部開口部12よりベルトコンベヤ5の復路側をケーシング6内部に臨ませていると共に、ケーシング底面13は平滑面としている。
【0016】
また、ケーシング6内部にはチェーンコンベヤ14を備えている。前記チェーンコンベヤ14は、ケーシング6内の基端側に駆動スプロケット15を、先端側に従動スプロケット16をそれぞれ回転自在に軸支し、これら駆動スプロケット15と従動スプロケット16とに無端チェーン17を巻回すると共に、該無端チェーン17に所定間隔にて複数のスクレーパー18を固着して成り、駆動モータ(図示せず)の駆動に応じて無端チェーン17を介して各スクレーパー18をベルトコンベヤ5の搬送方向と並行に所定速度にて往復動可能としている。
【0017】
前記スクレーパー18は、図3に示すように、ケーシング6幅より若干短い長さの平板状の鋼材であり、その両端部をそれぞれ無端チェーン17に固着しており、該スクレーパー18が往路側である下位側に位置したときには、スクレーパー18の両端部がケーシング6の両側壁に近接し、かつ下端部がケーシング底面13と近接した状態を維持しながら、ケーシング底面13と沿うようにベルトコンベヤ5の搬送方向へ走行する構成としている。
【0018】
そして、上記コンベヤ装置4にて、新材や廃材等の骨材をドライヤ1に投入するときには、上位側のベルトコンベヤ5を運転して搬送ベルト10を所定速度にて図中矢印方向へ走行させながら供給ホッパ11より骨材を供給し、順次下流へと搬送してドライヤ1内へ排出させて投入する。このとき、骨材に含まれている細粒分の一部がベルト10搬送面に付着すると、搬送端で排出しきれずに復路側まで回り込んでしまい、復路側で搬送時の振動等によって溢れ落ちる場合があるが、この溢れ落ちる細粒分は下位のケーシング6にて全て受け止められるため、コンベヤ装置4周辺部を汚してしまうようなおそれはない。
【0019】
一方、ベルトコンベヤ5の運転に合わせて下位のケーシング6内のチェーンコンベヤ14も運転し、無端チェーン17を介して各スクレーパー18を所定速度にて図中矢印方向へ走行させておき、ケーシング底面13にて受け止められた骨材細粒分はこれら各スクレーパー18にて直ちに掻き寄せて、搬送端であるドライヤ1へと送り出して投入させる。
【0020】
このように、新材や廃材等の骨材をベルトコンベヤ5にて搬送する際に、ベルト10の搬送面に細粒分等の付着が生じて復路側にて溢れ落ちるような事態が生じても、溢れ落ちる細粒分は下位のケーシング6にて全て受け止めることができ、コンベヤ装置1の周辺部が骨材細粒分等で汚れるのを未然に防いで清浄に維持することができると共に、従来必要であった頻繁な清掃作業を不要とすることができる。また、ベルトコンベヤ5からケーシング6に溢れ落ちる骨材を、チェーンコンベヤ14のスクレーパー18にて掻き寄せてドライヤ1に投入でき、無駄なく有効に使用することが可能となって好適である。
【0021】
なお、本実施例においては、ケーシング6内に備えるチェーンコンベヤ14のスクレーパー18に平板状のものを採用しているが、特にこの形状に限定するものではなく、例えば、上位のベルトコンベヤ5から溢れ落ちる骨材細粒分等が多いような場合には、断面略L字形状のものを採用して多くの骨材を安定して掻き寄せられるようにしても良い。
【0022】
また、本実施例においては、チェーンコンベヤ14の運転をベルトコンベヤ5の運転に合わせて常に一緒に行うようにしているが、必ずしもこのようにする必要はなく、例えば、ケーシング6内に溢れ落ちる骨材細粒分の量がそれ程多くないような場合には、ケーシング底面13に細粒分がある程度溜まったときを見計らって適宜運転させるようにしても良いし、或いは定期的に(例えば1時間毎等)行うようにしても良いなど、状況に応じて適宜方法で運転させるようにすると良い。
【0023】
また、本実施例においては、ケーシング6で受け止めた骨材細粒分を掻き寄せてドライヤ1に送り出す手段として、複数のスクレーパー18を無端チェーン17に固着して成るチェーンコンベヤ14を採用しているが、例えば、ケーシング6底部に配した一基のスクレーパーをワイヤー等にて牽引してケーシング底面13に沿って前後動させるようにしたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るアスファルト混合物製造装置のドライヤ投入用コンベヤ装置の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の一部省略要部拡大図である。
【図3】図2の一部省略A−A矢視図である。
【符号の説明】
【0025】
1…ドライヤ 4…コンベヤ装置
5…ベルトコンベヤ 6…ケーシング
10…ベルト 14…チェーンコンベヤ
17…無端チェーン 18…スクレーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト混合物製造装置に設置される骨材加熱用ドライヤに骨材を投入するコンベヤ装置であって、搬送端を前記ドライヤ内に臨ませたベルトコンベヤの下位に、該ベルトコンベヤから溢れ落ちる骨材を受け止める有底状のケーシングを備えると共に、該ケーシング内にはベルトコンベヤの搬送方向と並行に往復動する無端チェーンに所定間隔にて複数のスクレーパーを固着して成るチェーンコンベヤを備え、ベルトコンベヤからケーシング内に溢れ落ちた骨材を前記チェーンコンベヤのスクレーパーにて掻き寄せてドライヤ内に投入させるように構成したことを特徴とするアスファルト混合物製造装置のドライヤ投入用コンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−90645(P2010−90645A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263324(P2008−263324)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】