アスファルト発生材の加熱方法及び加熱装置
【課題】アスファルト発生材を効率的に加熱することが出来て、しかも、いわゆる「5mmアンダー」のアスファルト発生材や、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材であっても、好適に加熱処理することが出来るアスファルト発生材の加熱方法及び加熱装置の提供。
【解決手段】排出装置(9)から排出される排気温度を計測する排気温度計測装置(93)と、当該排気温度計測装置(93)の計測結果に基いて吸入装置(8)の運転、停止を制御する制御装置(89)とを備え、当該制御装置(89)は、
計測された排気温度が所定温度よりも高温であれば、容器部(50)内が過加熱状態であると判断して、容器部(50)内に供給される空気の加熱を停止する。
【解決手段】排出装置(9)から排出される排気温度を計測する排気温度計測装置(93)と、当該排気温度計測装置(93)の計測結果に基いて吸入装置(8)の運転、停止を制御する制御装置(89)とを備え、当該制御装置(89)は、
計測された排気温度が所定温度よりも高温であれば、容器部(50)内が過加熱状態であると判断して、容器部(50)内に供給される空気の加熱を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設舗装体の表面から削り取ったアスファルト発生材を、再生加熱アスファルト混合物の材料として再利用するために加熱する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の道路補修工事として、例えば「切削オーバレイ工事」と呼ばれるタイプの道路補修工事を施工している状態が、図9で示されている。
図9において、先ず、切削機200を用いて既設舗装体(アスファルト舗装)を表面から数cm削り取る。削り取られたアスファルト発生材は、ダンプトラック300に積載され、例えば、所定の場所に集められ、大きさによって篩い分けられて、可能なものについては再利用が図られる。
【0003】
削り取られたアスファルト発生材は、切削機により0mm〜20mm程度に粉砕され、加熱装置により加熱されて、再生加熱アスファルト混合物として再利用される。ただし、アスファルト発生材の再利用において、加熱しない場合も存在する。
アスファルト発生材を加熱する場合には、ドラム式の加熱装置(特許文献1参照)において、バーナを用いて加熱装置内を700℃〜900℃に加熱する。
【0004】
当該ドラム式の加熱装置では、アスファルト発生材に付着しているアスファルトが燃焼しないように構造的な配慮がなされている。しかし、バーナによる熱風によりアスファルト発生材を加熱するため、わずかながらもアスファルト発生材に含まれるアスファルトは燃焼し、焦げてしまう。
そしてアスファルトが燃焼して焦げてしまうと、再生加熱アスファルト混合物の品質は劣化してしまう。それと共に、アスファルトが燃焼して焦げると臭気(刺激臭)を発生して、環境衛生上、問題となる恐れが存在する。
【0005】
また、当該ドラム式の加熱装置内では、アスファルト発生材に含まれるアスファルトと細粒分で構成される、いわゆる「アスファルトモルタル」中のアスファルトが溶け出して、加熱装置の構造物に付着し、それが成長して塊となってしまう。
そして、ドラム式の加熱装置の構造物に付着、成長したアスファルトモルタルの塊は、アスファルト発生材を加熱するための各種機能を阻害してしまう。
さらに、アスファルトモルタルの塊が長時間熱風に晒されることにより、当該塊におけるアスファルトが焦げてしまうので、臭気発生の原因となる。
【0006】
ここで、アスファルト発生材においては、篩い分けられたサイズにより、含有されるアスファルト量は相違する。特に5mm〜0mmのサイズのアスファルト発生材(いわゆる「5mmアンダー」のアスファルト発生材)は、アスファルトを多く含むアスファルトモルタルの含有量が多い。
そのため、5mmアンダーのアスファルト発生材を加熱装置に投入すると、上述した弊害(臭気、構造中への付着、塊に成長等の弊害)が顕著に現れる。したがって、5mmアンダーのアスファルト発生材は、加熱せずに再利用されること、例えば再生路盤材として用いられることが多い。
【0007】
一方、排水性アスファルト混合物(高機能舗装)に用いられるアスファルトは、ポリマなどの化学物質により、性状改良された「改質アスファルト」等と呼称される特殊なアスファルトが使用されている。
係る高機能舗装を切削して得られた排水性アスファルト発生材において、5mmアンダーのアスファルト発生材はアスファルトモルタルを多く含み、改質アスファルトを多く含んでいる。
ここで、改質アスファルトを再利用することが出来れば、改質アスファルトが備えている特性を活用して、再生加熱アスファルト混合物の性状に変化をもたらすことが出来るので、好都合である。
【0008】
しかし、改質アスファルトは、加熱された場合に、通常のアスファルトを加熱した場合に比較して、以下の様な問題が顕著に現れてしまう。
先ず、改質アスファルトは加熱されると粘性を発揮して、加熱装置内部への付着がより著しくなる。そして、加熱装置内部に一旦付着してしまうと、自然に剥離することはなく、当該箇所にさらに改質アスファルトを含むモルタル分が付着して、暫時、当該モルタル分の付着量が増加し続けてしまう。
また、改質アスファルトが加熱されると、包含されている化学物質が燃焼して、通常のアスファルトとは比べ物にならないほどの悪臭を発生する。
【0009】
換言すれば、通常のアスファルト発生材であれば、たとえ5mmアンダーのアスファルト発生材でも加熱して再利用することは可能であるが、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材については、従来の再生用アスファルトプラントで加熱して再利用することは、不可能であると考えられていた。
【0010】
ここで、ドラム式の加熱装置に代えて、図10、図11で示すように、「クッカ」と呼ばれる加熱装置を用いて加熱することが考えられる(例えば、特許文献2参照)。
図10において、アスファルト発生材加熱処理車両100Jは、大型トラックの荷台部分を改造して、「クッカ」と呼ばれる加熱装置(バーナ加熱式クッカ)500Jと燃料ガス(例えばプロパンガス)ボンベ室60と攪拌パドル駆動ユニット70を搭載している。
図10において、符号51iは、アスファルト発生材のような加熱対象物を、クッカ500J内に投入するための加熱対象物投入口を示している。
【0011】
図11は、バーナ加熱式クッカ500Jの構造の例を示している。
図11において、バーナ加熱式クッカ500Jは、クッカ本体5J、燃料ガスボンベ6(例えば、プロパンガスボンベ)、攪拌パドル駆動モータ7、駆動用チェーン8、ガス供給ホース9を備えている。
燃料ガスボンベ6は、図10の燃料ガスボンベ室60に収容されており、攪拌パドル駆動モータ7は、図10の攪拌駆動ユニット70の収容室内に収容されている。
【0012】
図11において、クッカ本体5Jは、円筒状の攪拌加熱槽50、攪拌加熱槽50上方を覆う天蓋51、攪拌シャフト52、攪拌シャフト52に対して2段に設けられた攪拌パドル53、軸受54、従動スプロケット55、バーナ56を有している。
攪拌シャフト52は軸受54によって回転自在に軸支され、2段に設けられた攪拌パドル53及び従動スプロケット55と一体に回転する。
天蓋51には、投入口51i(図10参照:図11では図示を省略)が形成されている。
【0013】
攪拌加熱槽50の円筒部の下方には、加熱後の加熱対象物(例えば、アスファルト発生材)を排出する排出口50cが形成されている。
攪拌加熱槽50の底部50dは厚さ寸法が大きな鋼板で構成され、その下方にはガスバーナ56が埋設されている。
ガスバーナ56の燃料(例えば、プロパンガス)は燃料ガスボンベ6内に貯蔵されている。燃料ガスボンベ6の流量調整バルブ61近傍にはレギュレータ62が取り付けられ、レギュレータ62の排出側にはガス圧力計63が取り付けられている。
ガスバーナ56とガス圧力計63とは、ガス供給ホース9によって接続されている。
【0014】
攪拌パドル駆動モータ7の出力軸71には駆動用スプロケット72が取り付けられている。
駆動用スプロケット72と攪拌シャフト52側の従動スプロケット55には、駆動用チェーン8が係合しており、駆動用チェーン8を介して、攪拌パドル駆動モータ7の回転出力が攪拌シャフト52に伝達される。
攪拌パドル53や駆動モータ7は、投入された加熱対象物(アスファルト発生材)を攪拌して、底部50dと接触している部分における加熱対象物が焦げ付いてしまうことを防止するために、設けられている。
【0015】
クッカ500Jを用いてアスファルト発生材を加熱する場合、ガスバーナ56を着火して、攪拌加熱槽50の底部50dを徐々に加熱する。
そして、攪拌パドル駆動モータ7を駆動して、投入口51iから加熱対象物を攪拌加熱槽50内に投入する。
【0016】
図10、図11で示すクッカ500Jでアスファルト発生材を加熱する場合において、攪拌加熱槽50に投入されるアスファルト発生材は、切削時に施された防塵用散水や貯蔵時の雨水によって、水分を包含する。
そして、水分を包含するアスファルト発生材を100℃〜110℃に加熱すると、図7で示すように、包含されている水分が気化するまで、アスファルト発生材の温度上昇が停滞してしまう。
【0017】
図10、図11で示す従来のクッカ500Jにおいて、加熱開始からの経過時間と加熱対象物の温度との関係を示す特性は、図7において符号βで示す様な特性(β線)となる。
図7のβ線(特性β)を参照すると、領域「Tβ」では、クッカ内の空気中の水蒸気が飽和状態となり、アスファルト発生材中の水の蒸発を妨げてしまう。そのため、当該領域「Tβ」では、時間が経過しても加熱対象物の温度は上昇せず、アスファルト発生材中の水分が気化するまで停滞してしまうのである。
換言すれば、従来技術に係るクッカ500Jでは、図7の特性βにおける領域「Tβ」において、加熱対象物の温度上昇が停滞するため、効率的に加熱することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平9−31910号公報
【特許文献2】特開2005−54358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、アスファルト発生材(既設舗装体を表面から削り取られて、0mm〜20mm程度に粉砕された舗装体)を効率的に加熱することが出来て、しかも、いわゆる「5mmアンダー」のアスファルト発生材(5mm〜0mmのサイズのアスファルト発生材)や、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材であっても、好適に加熱処理することが出来るアスファルト発生材の加熱方法及び加熱装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のアスファルト発生材の加熱方法は、攪拌装置(52、53)を備えた加熱装置(いわゆる「クッカ」500)の容器部(50:例えば攪拌加熱槽)内に収容されたアスファルト発生材(M)を攪拌しつつ容器部(50)の床部(50d)から加熱燃焼装置(バーナ56)により加熱し、吸入装置(熱風ブロワ8)を介して容器部(50)内に加熱された空気を供給し、排出装置(排気装置9)を介してアスファルト発生材(M)を加熱した空気を容器部(50)内から排出することを特徴としている。
ここで、「アスファルト発生材(M)」としては、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材と、改質アスファルトが使用されていないアスファルト発生材の双方を包含する。
【0021】
上述したアスファルト発生材の加熱方法(請求項1の方法)を実施する本発明のアスファルト発生材の加熱装置(いわゆる「クッカ」500)は、アスファルト発生材(M)を収容する容器部(50)と、当該容器部(50)内に配置されて収容されたアスファルト発生材(M)を攪拌する攪拌装置(52、53)と、容器部(50)の床部に設けられた燃焼加熱装置(バーナ56)と、空気を加熱して容器部(50)内に供給する吸入装置(熱風ブロワ8)と、アスファルト発生材(M)を加熱した空気を容器部(50)から排出する排出装置(排気装置9)を備えることを特徴としている。
【0022】
本発明のアスファルト発生材の加熱方法において、排出装置(排気装置9)から排出される排気温度を計測する排気温度計測工程(S1)と、
排気温度計測工程(S1)で計測された排気温度が所定温度(しきい値温度)よりも高温で、容器部(50)内が過加熱状態と判断された場合に、容器部(50)内に供給される空気の加熱を停止する工程(S3)と、
排気温度計測工程(S1)で計測された排気温度が所定温度(しきい値温度)以下の温度であり、容器部(50)内が過加熱状態ではないと判断された場合に、容器部(50)内に供給される空気の加熱を続行する工程(S4)を有しているのが好ましい。
【0023】
上述したアスファルト発生材の加熱方法(請求項2の方法)を実施する本発明のアスファルト発生材の加熱装置(いわゆる「クッカ」500)は、排出装置(排気装置9)から排出される排気温度を計測する排気温度計測装置(93)と、当該排気温度計測装置(93)の計測結果に基いて吸入装置(熱風ブロワ8)の運転、停止を制御する制御装置(85)とを備え、当該制御装置(85)は、
排気温度計測装置(93)で計測された排気温度が所定温度(しきい値温度)よりも高温であれば、容器部(50)内が過加熱状態であると判断して、容器部(50)内に供給される空気の加熱を停止し、
排気温度計測装置(93)で計測された排気温度が所定温度(しきい値温度)以下の温度であれば、容器部(50)内が過加熱状態ではないと判断して、容器部(50)内に供給される空気の加熱を続行する制御を行なう機能を有しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
上述する構成を具備する本発明によれば、切削時の防塵用散水や貯蔵時の雨水により、アスファルト発生材(M)が水分を包含しており、加熱により容器部(50)内の空気が飽和状態となっても、排出装置(排気装置9)を介してアスファルト発生材(M)を加熱した空気を容器部(50)内から排出しているので、水蒸気で飽和した空気が容器部(50)から掃気される(積極的にクッカ500内の空気が押し出されること)。
容器部(50)内の空気が水蒸気で飽和しても直ちに排出装置(9)を介して容器部(50)内から排出されるので、容器部(50)内の空気は水蒸気で飽和した状態にはならず、アスファルト発生材(M)から水分が蒸発する状態を維持し続ける。
そのため、従来技術の加熱装置500Jとは異なり、包含されている水分が気化するまで温度上昇が停滞してしまうことが防止され、効率的な加熱が可能である。
【0025】
ここで、常温の大気を加熱装置(500)の容器部(50)内に供給すると、容器部(50)内の温度が低下してしまう。しかし、本発明では、吸入装置(熱風ブロワ8)を介して容器部(50)内に加熱された空気を供給しているので、掃気により飽和していない空気を供給しても、容器部(50)内の温度が低下してしまうことがない。
【0026】
そして本発明によれば、容器部(50)内の空気が飽和状態とはならず、容器部(50)に収容されたアスファルト発生材(M)中の水が効率的に蒸発して、効率的に加熱するので、容器部の床部(50d)における加熱燃焼装置(バーナ56)による加熱を、マイルドにすることが出来る。
加熱燃焼装置(500)による加熱をマイルドにすることが出来るので、本発明によれば、加熱燃焼装置(500)の加熱によってアスファルトが焦げ付いてしまうことが防止される。そのため、いわゆる「5mmアンダー」のアスファルト発生材(M)であっても、好適に加熱処理を行なうことが出来る。
さらに、マイルドな加熱を行うことにより、燃料消費量を大幅に削減することが出来る。
【0027】
本発明によれば、バーナ(56)の燃料消費量を削減し、マイルドな加熱でアスファルト発生材(M)を乾燥させることが出来るので、改質アスファルトが必要以上に加熱されることによって容器部(50)内へ付着してしまうことが防止され、同一箇所に改質アスファルトが付着し続けて、改質アスファルトの付着量が増加し続けてしまうことが防止される。
それと共に、マイルドな加熱でアスファルト発生材(M)を乾燥させることが出来る本発明によれば、高粘度アスファルトを加熱しても、悪臭の発生を抑制することが出来る。
そのため、本発明によれば、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材(M)であっても、好適に加熱処理することが出来る。
【0028】
また、本発明において、容器部(50)内が過加熱状態であるか否かを判断して、過加熱状態の場合には、容器部(50)内に供給される空気の加熱を停止して、加熱されていない空気をブロワ(8)により容器部(50)内吹き込む様に構成すれば、加熱されていない空気を容器部(50)内に供給することにより、容器部(50)内の温度が低下して、過加熱状態が解消する。
【0029】
これに加えて、本発明では、加熱装置(500)の容器部(50)内にアスファルト発生材(M)を収容し、攪拌しつつ容器部(50)の床部(50d)から加熱燃焼装置(バーナ56)により加熱しているので、アスファルト発生材(M)は、容器部(50)内という閉鎖した空間で、所定量毎に処理、いわゆる「バッチ処理」が為されている。
そして、閉鎖されている空間である容器部(50)内では温度のコントロールが正確に行なわれて、所望の温度まで確実に昇温することが出来るので、本発明によれば、アスファルト発生材(M)の加熱処理に必要な温度(例えば170℃〜180℃)まで、容器部(50)内を昇温することが出来る。
【0030】
さらに本発明によれば、吸入装置(8)を介して容器部(50)内に供給され、排出装置(9)を介して排出される空気(その流れが矢印Favで示されている)は、容器部(50)内部全域を満遍なく流れて、水蒸気で飽和した空気を連行して容器部(50)から排出される。
そのため、容器部(50)内から水蒸気で飽和した空気が確実に排気(掃気)され、容器部(50)内に残存してしまうことがない。そのため、容器部(50)内の空気は常に水蒸気で飽和していない状態に保たれる。そして、アスファルト発生材(M)内の水が効率的に蒸発して、容器部(50)内を、アスファルト発生材(M)の加熱処理に必要な温度(例えば170℃〜180℃)にまで昇温する時間を短縮させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】クッカに投入される空気の流れを示す平面図である。
【図4】実施形態におけるブロワの拡大側面図である。
【図5】実施形態におけるブロワの拡大正面図である。
【図6】実施形態における排気口を模式的に示す拡大側面図である。
【図7】クッカにおける加熱開始からの経過時間と加熱対象物の温度との特性を示す特性図である。
【図8】実施形態における加熱方法の手順を示すフローチャートである。
【図9】従来の道路補修工事を示す模式図である。
【図10】従来のクッカの概要を示す側面図である。
【図11】従来のクッカの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面の図1〜図8を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、実施形態に係る加熱装置(燃料ガスバーナ加熱式クッカ:以下、「クッカ」と記載する)500は、大型トラック100の荷台部分に、クッカ本体5、燃料ガスボンベ室60、攪拌パドル駆動ユニット70を搭載している。
図1において、クッカ500下部のバーナに燃料を供給する機構は、図11と同様であり、図面の簡略化のため図示を省略している。
【0033】
図10、図11のクッカ500Jと同様に、クッカ本体5は、円筒状の攪拌加熱槽50、攪拌加熱槽50上方を覆う天蓋51、攪拌シャフト52、攪拌シャフト52に対して2段に設けられた攪拌パドル53、軸受54、従動スプロケット55、バーナ56を有している。
攪拌シャフト52は軸受54によって回転自在に軸支され、2段に設けられた攪拌パドル53及び従動スプロケット55と一体に回転する。
天蓋51には、加熱対象物(アスファルト発生材M)を投入する投入口(図示を省略)が形成されており、且つ、熱風ブロワ8及び排気装置9が天蓋51に設けられている。
【0034】
攪拌加熱槽50の下方で且つ車両の後方(図1では右方)端部には、排出口50cが形成されている。
攪拌加熱槽50の底部50dは厚さ寸法の大きな鋼板で構成され、その下方にはガスバーナ56が埋設されている。
ガスバーナ56への燃料ガスの供給系統及び攪拌シャフト52の駆動機構については、図11の従来技術と同様であり、図1では図示を省略する。
【0035】
図1において図示された状態では、加熱対象物であるアスファルト発生材Mが、上段の攪拌パドル53の高さまで到達するように、攪拌加熱槽50内に投入されている。
図1において、符号Faは、熱風ブロワ8に吸入される外気の流れを示し、符号Fahは、熱風ブロワ8で暖められて攪拌加熱槽50内に流入する熱風の流れを示す。また、符号Favは、攪拌加熱槽50内及び大気に排出される空気の流れ(掃気)を示している。
【0036】
ここで、図1においては、攪拌加熱槽50内の空気の流れFavを分かり易く表示するために、クッカ本体5の天蓋51において、熱風ブロワ8はトラック100の後方に設けられ、排気装置9はトラック100の前方に設けられた状態で示されている。
しかし、実際には、図2、図3で示す様に、熱風ブロワ8と排気装置9は、トラック100の左右方向(前後方向と直交する方向)に離隔して設けられている。トラック100の前後方向については、熱風ブロワ8及び排気装置9は同じ位置である。
換言すれば、熱風ブロワ8及び排気装置9がトラック100の前後方向に離隔して1において示されているのは、単に図1における表示の容易化のためであり、実際には、図2、図3で示すように、熱風ブロワ8と排気装置9は、トラック100の左右方向(前後方向と直交する方向)に離隔して設けられている。
【0037】
図2、図3で示すように、熱風ブロワ8と排気装置9を、トラック100の左右方向に離隔して設けているのは、攪拌パドル駆動モータ7、駆動用スプロケット72、駆動用チェーン8と干渉しない様にするためである。
仮に、図1で示すように、熱風ブロワ8をトラック100の後方に設け、排気装置9をトラック100の前方に設けると、図2、図3から明らかな様に、排気装置9は、トラック100前方に設けられた攪拌パドル駆動モータ7、駆動用スプロケット72、駆動用チェーン8と干渉してしまう。
【0038】
その様な干渉を防止するために、排気装置9を熱風ブロワ8の近傍に設けることが考えられる。
しかし、排気装置9を熱風ブロワ8の近傍に設けた場合には、熱風ブロワ8を介して攪拌加熱槽50内に供給された空気が直ちに排気装置9から排出されてしまうので、水蒸気で飽和した空気を十分に連行することが出来ず、攪拌加熱槽50内の空気が水蒸気で飽和した状態が解消されない。
従って、熱風ブロワ8と排気装置9が出来る限り離隔しなければならない。
【0039】
また、熱風ブロワ8及び/又は排気装置9を、攪拌加熱槽50から外れた位置(攪拌加熱槽50の上方ではない位置)に設けることも考えられる。
しかし、そのように構成した場合には、攪拌加熱槽50から熱風ブロワ8及び/又は排気装置9まで連通する排気用配管を別途設ける必要があり、スペース的に制限があるトラック100に仮想することが困難になってしまう。
すなわち、熱風ブロワ8及び排気装置9は、攪拌加熱槽50の上方に設けなければならない。
【0040】
さらに、排気装置9が攪拌パドル駆動モータ7、駆動用スプロケット72、駆動用チェーン8と干渉しない様に、攪拌加熱槽50上方ではあるが、トラック100の前後方向中心軸よりも左右何れかに偏奇させることも考えられる。
しかし、排気装置9を、トラック100の前後方向中心軸よりも左右何れかに偏奇した場合には、熱風ブロワ8から攪拌加熱槽50内に供給された空気は、排気装置9が偏奇して配置された側にのみ流れてしまうことになる。そのため、攪拌加熱槽50内に、熱風ブロワ8から供給される空気Favが流れない領域(排気装置9が偏奇しているのとは、逆側の領域)が出来てしまい、攪拌加熱槽50内の水蒸気で飽和した空気が排出され難くなってしまう。
従って、熱風ブロワ8と排気装置9は、攪拌加熱槽50の中心(従動スプロケット55の中心)について点対象に配置すべきである。
【0041】
換言すれば、熱風ブロワ8を介して攪拌加熱槽50内に供給され、排気装置9を介して攪拌加熱槽50から排出される空気(その流れが矢印Favで示されている)が、攪拌加熱槽50内を満遍なく流過して、水蒸気で飽和した空気を連行して攪拌加熱槽50から排出されるため、また、トラック100に架装可能に構成するためには、熱風ブロワ8及び排気装置9を出来る限り離隔し、攪拌加熱槽50の上方に配置し、攪拌加熱槽50の中心(従動スプロケット55の中心)について点対象に配置されなければならない。
係る条件を充足し、且つ、攪拌加熱槽50の中心よりもトラック100の前方に設けられている攪拌パドル駆動モータ7、駆動用スプロケット72、駆動用チェーン8と干渉しない様にするためには、図2、図3で示すように、熱風ブロワ8と排気装置9を、トラック100の左右方向に離隔して、攪拌加熱槽50上に設けなれればならない。
【0042】
上述した様に熱風ブロワ8及び排気装置9を配置することにより、熱風ブロワ8から供給される加熱された空気は、上方から下方に向かって流れて攪拌加熱槽50内に流入する。そして、図1の矢印Favで示すように、アスファルト発生材Mの上方を流れ、攪拌加熱槽50内から排気装置9に流入し、排気装置9内を下方から上方に向かって流れる。
ここで、攪拌加熱槽50内に流入した空気は、その一部は攪拌加熱槽50上方の天蓋51近傍を流れる(矢印Favu)と共に、矢印Favと矢印Favuの間の領域も流れる。従って、熱風ブロワ8から攪拌加熱槽50内に流入し、排気装置9から排出される空気は、垂直方向(図1の上下方向)について、攪拌加熱槽50内を満遍なく流れる。
【0043】
また、図3で示すように、攪拌加熱槽50内に流入した空気は、図3の矢印Favcで示すように、攪拌加熱槽50の内壁面に沿って円周方向に流れて、排気装置9から攪拌加熱槽50の外部へ排出される。それと共に、図3では明示されていないが、攪拌加熱槽50内に流入した空気の一部は、攪拌加熱槽50の中心(従動スプロケット55の中心)近傍を通過して、熱風ブロワ8と排気装置9との最短距離、すなわち直径方向にも流れ、攪拌加熱槽50の内壁面と中心との間の領域にも流れて、排気装置9から攪拌加熱槽50の外部へ排出される。
すなわち、攪拌加熱槽50内に流入した空気は、水平方向(図3の紙面の方向)についても、攪拌加熱槽50内を満遍なく流れる。
すなわち、熱風ブロワ8を介して攪拌加熱槽50内に供給され、排気装置9を介して排出される空気(その流れが矢印Favで示されている)は、攪拌加熱槽50の内部全域を満遍なく流れて、水蒸気で飽和した空気を連行して攪拌加熱槽50から排出される。
【0044】
図4、図5は熱風ブロワ8を示している。
図4、図5において、熱風ブロワ8は、ブロワ本体81、燃料ポンプ82、空気加熱用バーナ(図示せず)、第1の送風ダクト83、第2の送風ダクト84、制御ボックス85及び空気ダンパ86を備えている。
【0045】
ブロワ本体81は、吸入口811と排出口812を有し、排出口812にはフランジ813が設けられている。そのフランジ813は、第1の送風ダクト83の上流側(図4、図5では上側)のフランジ831と接続される。
第1の送風ダクト83の下流側フランジ832は、第2の送風ダクト84のフランジ841と接続される。そして、第2の送風ダクト84は、公知の手段によって天蓋51(図1参照)に取り付けられている。
第1の送風ダクト83の下流側(フランジ832側)には、燃焼筒83Bが設けられており、図示しない空気加熱用バーナは、燃焼筒83Bに設けられている。
【0046】
燃料ポンプ82は、流量制御弁87を介装した燃料供給チューブ88によって、燃焼筒83B内の空気加熱用バーナ(図示せず)に燃料を供給している。
図示しない空気加熱用バーナが着火すれば、ブロワ本体81から第1の送風ダクト83に送られる空気は加熱されて、熱風となって攪拌加熱槽50内に供給される。
制御ボックス85は、その内部に図示しないコントロールユニットが内蔵されており、温度センサ93(図1、図6参照)が検知した排気温度に基づいて、空気加熱用バーナの作動・停止を制御する。ここで、温度センサ93が計測する排気温度は、排気装置9(図1、図6参照)を介して攪拌加熱槽50内から排出(掃気)される気体の温度である。
図5における空気ダンパ86は、図示しない空気加熱用バーナにおいて燃焼時の空気量の調整を行うもので、図5で示す例では手動式となっている。
【0047】
攪拌加熱槽50内に常温の外気(大気)を吹き込むと、攪拌加熱槽50内の温度が低下してしまう。
攪拌加熱槽50内の温度を不必要に低下することを防止するため、図5示の実施形態では、必要に応じて大気を加熱して、攪拌加熱槽50内に吹き込むように構成されている。
【0048】
図6において、排気装置9は、第1の排気管91と第2の排気管(掃気排出口)92とを有している。
図6において、第1の排気管91の上端には、フランジ911が設けられており、第2の排気管92の下端には、フランジ921が設けられている。そして、第1の排気管91と第2の排気管92とは、フランジ911、921を接合することによって、接続されている。
【0049】
第1の排気管91は、公知の手段で、天蓋51(図1)に取り付けられている。
図6で示すように、第2の排気管92内には、攪拌加熱槽50から掃気(排出)される排気温度を計測する温度センサ93が取り付けられている。
温度センサ93は信号ラインLiによって制御装置85と接続されている。
【0050】
図7は、加熱対象物、即ち、アスファルト発生材M(図1参照)を攪拌加熱槽50内に投入してからの経過時間と、アスファルト発生材Mの温度との関係(特性)を示している。
図7において、β線(特性β)は従来技術(熱風装置なし)において、加熱時間とアスファルト発生材の温度との特性を示している。
一方、図7におけるα線(特性α)は、図示の実施形態において、攪拌加熱槽50内にアスファルト発生材Mを投入してからの経過時間と、当該アスファルト発生材Mの温度との特性を示している。
【0051】
上述した様に、アスファルト発生材Mには相当量の水分が含まれるため、従来技術(特性β)では、攪拌加熱槽内の空気が長時間に亘って水蒸気飽和状態となり、アスファルト発生材中の水の蒸発を妨げ、アスファルト発生材の温度上昇を妨げている。
図7の特性βにおいて、アスファルト発生材の温度が100℃に達して、アスファルト発生材Mの水分が気化すると、攪拌加熱槽内の空気は直ちに水蒸気飽和状態となる。そのため、従来技術(特性β)では、アスファルト発生材の温度が100℃になってから、170℃に上昇するまでに(図7において、「Tβ」で示す領域)、約120分を要している。
【0052】
それに対して、図示の実施形態では、図7の特性αで示すように、攪拌加熱槽50内の空気が水蒸気飽和状態となってから、アスファルト発生材Mの温度が100℃に達してから170℃に上昇するまで(図7において、「Tα」で示す領域)の時間は約40分であり、従来技術(特性β)に比較すると、約1/3程度の時間しか経過していない。
図示の実施形態では、熱風ブロワ8からの熱風によりアスファルト発生材Mが直接加熱されている。それに加えて、攪拌加熱槽50内のアスファルト発生材Mの温度が100℃に達して水蒸気が発生しても、攪拌加熱槽50内の空気は直ちに排気装置9から排出(掃気)されるため、攪拌加熱槽50内の空気は水蒸気飽和状態にはならない。そして、攪拌加熱槽50内の空気が水蒸気飽和状態ではないので、図示の実施形態によれば、攪拌加熱槽50内のアスファルト発生材M中の水が効率的に蒸発して、加熱が効率的に行なわれると考えられる。
【0053】
そして、図7の特性αと特性βとを比較すれば明らかな様に、図示の実施形態によれば、アスファルト発生材Mの温度が100℃に達してから170℃に上昇するまでの時間が約1/3に短縮できる。そのため、アスファルト発生材Mの温度が100℃に達した後、従来技術と概略等しい時間をかけて170℃まで上昇させるのであれば、図示の実施形態では、従来技術に比較して、攪拌加熱槽50下方のガスバーナ56による加熱を弱く(マイルドに)して、アスファルト発生材Mの温度を上昇させることが出来る。
攪拌加熱槽50下方のガスバーナ56による加熱を弱く(マイルドに)することが出来る結果、図示の実施形態によれば、攪拌加熱槽50におけるアスファルトの焦げ付きが防止され、ガスバーナ56における燃料消費量を大幅に削減することが出来る。
【0054】
図示の実施形態において、温度センサ93の計測結果によって過加熱と判断された場合は、熱風バーナ8側のバーナによる加熱を防止して、加熱されていない空気(常温の大気)をブロワ81により攪拌加熱槽50内に供給している。
加熱されていない空気を攪拌加熱槽50内に供給することにより、アスファルト発生材Mを加熱処理中の攪拌加熱槽50は、その内部温度が低下するので、過加熱状態が解消する。
ここで、攪拌加熱槽50下方を加熱しているガスバーナ56を過加熱時に停止する機能は、図10、図11で示す従来の攪拌加熱槽50にも備わっている。そのため、ガスバーナ56を過加熱時に停止する機能に関しては、図示及び説明を省略する。
【0055】
次に、図8のフローチャートに基づき、図1〜図6をも参照して、図示の実施形態により、アスファルト発生材Mを加熱する制御について説明する。
図8のステップS1において、排気装置9の温度センサ93によって、攪拌加熱槽50内から排出(掃気)された排気温度を計測する。
次のステップS2では、制御ボックス85に設けられた図示しないコントロールユニットは、温度センサ93の計測結果から、アスファルト発生材Mが過加熱となっているか否かを判断する。より詳細には、温度センサ93の計測結果が予め定められたしきい値よりも高温の場合には、アスファルト発生材Mが過加熱であると判断する。
なお、当該しきい値については、加熱条件やクッカ500の仕様、その他の条件により、ケース・バイ・ケースで定められる。
【0056】
温度センサ93の計測結果が予め定められたしきい値よりも高温であり、アスファルト発生材Mが過加熱状態であると判断された場合(ステップS2がYES)には、ステップS3に進む。
アスファルト発生材Mが過加熱状態であると判断されてステップS3に進んだならば、ブロワ8による空気の加熱を停止して、攪拌加熱槽50には常温の外気のみを供給する。そして、ステップS5に進む。
【0057】
一方、温度センサ93の計測結果が予め定められたしきい値以下であり、アスファルト発生材Mが過加熱状態ではないと判断したならば(ステップS2がNO)、ステップS4に進む。
ステップS4では、ブロワ8による加熱を続行し、ブロワ8で吸入した大気を図示しないバーナで加熱し、加熱された空気を攪拌加熱槽50に送り込む。そして、ステップS5に進む。
【0058】
ステップS5では、制御ボックス85に設けられた図示しないコントロールユニットは、アスファルト発生材Mの加熱作業を終了するか否かを判断する。
アスファルト発生材Mの加熱作業を終了するのであれば(ステップS5がYES)、ステップS6に進む。ステップS6では、ガスバーナ56を消してブロワ8を停止して制御を終える。
アスファルト発生材Mの加熱作業を続行するのであれば(ステップS5がNO)、ステップS1以降を繰り返す。
【0059】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0060】
5・・・クッカ本体
8・・・熱風ブロワ
9・・・排気装置
50・・・攪拌加熱槽
51・・・天蓋
52・・・攪拌シャフト
53・・・攪拌パドル
54・・・軸受
55・・・従動スプロケット
60・・・プロパンボンベ室
70・・・攪拌パドル駆動ユニット
81・・・ブロワ本体
82・・・燃料ポンプ
83・・・第1のダクト
83B・・・燃焼筒
85・・・制御ボックス
93・・・温度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設舗装体の表面から削り取ったアスファルト発生材を、再生加熱アスファルト混合物の材料として再利用するために加熱する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の道路補修工事として、例えば「切削オーバレイ工事」と呼ばれるタイプの道路補修工事を施工している状態が、図9で示されている。
図9において、先ず、切削機200を用いて既設舗装体(アスファルト舗装)を表面から数cm削り取る。削り取られたアスファルト発生材は、ダンプトラック300に積載され、例えば、所定の場所に集められ、大きさによって篩い分けられて、可能なものについては再利用が図られる。
【0003】
削り取られたアスファルト発生材は、切削機により0mm〜20mm程度に粉砕され、加熱装置により加熱されて、再生加熱アスファルト混合物として再利用される。ただし、アスファルト発生材の再利用において、加熱しない場合も存在する。
アスファルト発生材を加熱する場合には、ドラム式の加熱装置(特許文献1参照)において、バーナを用いて加熱装置内を700℃〜900℃に加熱する。
【0004】
当該ドラム式の加熱装置では、アスファルト発生材に付着しているアスファルトが燃焼しないように構造的な配慮がなされている。しかし、バーナによる熱風によりアスファルト発生材を加熱するため、わずかながらもアスファルト発生材に含まれるアスファルトは燃焼し、焦げてしまう。
そしてアスファルトが燃焼して焦げてしまうと、再生加熱アスファルト混合物の品質は劣化してしまう。それと共に、アスファルトが燃焼して焦げると臭気(刺激臭)を発生して、環境衛生上、問題となる恐れが存在する。
【0005】
また、当該ドラム式の加熱装置内では、アスファルト発生材に含まれるアスファルトと細粒分で構成される、いわゆる「アスファルトモルタル」中のアスファルトが溶け出して、加熱装置の構造物に付着し、それが成長して塊となってしまう。
そして、ドラム式の加熱装置の構造物に付着、成長したアスファルトモルタルの塊は、アスファルト発生材を加熱するための各種機能を阻害してしまう。
さらに、アスファルトモルタルの塊が長時間熱風に晒されることにより、当該塊におけるアスファルトが焦げてしまうので、臭気発生の原因となる。
【0006】
ここで、アスファルト発生材においては、篩い分けられたサイズにより、含有されるアスファルト量は相違する。特に5mm〜0mmのサイズのアスファルト発生材(いわゆる「5mmアンダー」のアスファルト発生材)は、アスファルトを多く含むアスファルトモルタルの含有量が多い。
そのため、5mmアンダーのアスファルト発生材を加熱装置に投入すると、上述した弊害(臭気、構造中への付着、塊に成長等の弊害)が顕著に現れる。したがって、5mmアンダーのアスファルト発生材は、加熱せずに再利用されること、例えば再生路盤材として用いられることが多い。
【0007】
一方、排水性アスファルト混合物(高機能舗装)に用いられるアスファルトは、ポリマなどの化学物質により、性状改良された「改質アスファルト」等と呼称される特殊なアスファルトが使用されている。
係る高機能舗装を切削して得られた排水性アスファルト発生材において、5mmアンダーのアスファルト発生材はアスファルトモルタルを多く含み、改質アスファルトを多く含んでいる。
ここで、改質アスファルトを再利用することが出来れば、改質アスファルトが備えている特性を活用して、再生加熱アスファルト混合物の性状に変化をもたらすことが出来るので、好都合である。
【0008】
しかし、改質アスファルトは、加熱された場合に、通常のアスファルトを加熱した場合に比較して、以下の様な問題が顕著に現れてしまう。
先ず、改質アスファルトは加熱されると粘性を発揮して、加熱装置内部への付着がより著しくなる。そして、加熱装置内部に一旦付着してしまうと、自然に剥離することはなく、当該箇所にさらに改質アスファルトを含むモルタル分が付着して、暫時、当該モルタル分の付着量が増加し続けてしまう。
また、改質アスファルトが加熱されると、包含されている化学物質が燃焼して、通常のアスファルトとは比べ物にならないほどの悪臭を発生する。
【0009】
換言すれば、通常のアスファルト発生材であれば、たとえ5mmアンダーのアスファルト発生材でも加熱して再利用することは可能であるが、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材については、従来の再生用アスファルトプラントで加熱して再利用することは、不可能であると考えられていた。
【0010】
ここで、ドラム式の加熱装置に代えて、図10、図11で示すように、「クッカ」と呼ばれる加熱装置を用いて加熱することが考えられる(例えば、特許文献2参照)。
図10において、アスファルト発生材加熱処理車両100Jは、大型トラックの荷台部分を改造して、「クッカ」と呼ばれる加熱装置(バーナ加熱式クッカ)500Jと燃料ガス(例えばプロパンガス)ボンベ室60と攪拌パドル駆動ユニット70を搭載している。
図10において、符号51iは、アスファルト発生材のような加熱対象物を、クッカ500J内に投入するための加熱対象物投入口を示している。
【0011】
図11は、バーナ加熱式クッカ500Jの構造の例を示している。
図11において、バーナ加熱式クッカ500Jは、クッカ本体5J、燃料ガスボンベ6(例えば、プロパンガスボンベ)、攪拌パドル駆動モータ7、駆動用チェーン8、ガス供給ホース9を備えている。
燃料ガスボンベ6は、図10の燃料ガスボンベ室60に収容されており、攪拌パドル駆動モータ7は、図10の攪拌駆動ユニット70の収容室内に収容されている。
【0012】
図11において、クッカ本体5Jは、円筒状の攪拌加熱槽50、攪拌加熱槽50上方を覆う天蓋51、攪拌シャフト52、攪拌シャフト52に対して2段に設けられた攪拌パドル53、軸受54、従動スプロケット55、バーナ56を有している。
攪拌シャフト52は軸受54によって回転自在に軸支され、2段に設けられた攪拌パドル53及び従動スプロケット55と一体に回転する。
天蓋51には、投入口51i(図10参照:図11では図示を省略)が形成されている。
【0013】
攪拌加熱槽50の円筒部の下方には、加熱後の加熱対象物(例えば、アスファルト発生材)を排出する排出口50cが形成されている。
攪拌加熱槽50の底部50dは厚さ寸法が大きな鋼板で構成され、その下方にはガスバーナ56が埋設されている。
ガスバーナ56の燃料(例えば、プロパンガス)は燃料ガスボンベ6内に貯蔵されている。燃料ガスボンベ6の流量調整バルブ61近傍にはレギュレータ62が取り付けられ、レギュレータ62の排出側にはガス圧力計63が取り付けられている。
ガスバーナ56とガス圧力計63とは、ガス供給ホース9によって接続されている。
【0014】
攪拌パドル駆動モータ7の出力軸71には駆動用スプロケット72が取り付けられている。
駆動用スプロケット72と攪拌シャフト52側の従動スプロケット55には、駆動用チェーン8が係合しており、駆動用チェーン8を介して、攪拌パドル駆動モータ7の回転出力が攪拌シャフト52に伝達される。
攪拌パドル53や駆動モータ7は、投入された加熱対象物(アスファルト発生材)を攪拌して、底部50dと接触している部分における加熱対象物が焦げ付いてしまうことを防止するために、設けられている。
【0015】
クッカ500Jを用いてアスファルト発生材を加熱する場合、ガスバーナ56を着火して、攪拌加熱槽50の底部50dを徐々に加熱する。
そして、攪拌パドル駆動モータ7を駆動して、投入口51iから加熱対象物を攪拌加熱槽50内に投入する。
【0016】
図10、図11で示すクッカ500Jでアスファルト発生材を加熱する場合において、攪拌加熱槽50に投入されるアスファルト発生材は、切削時に施された防塵用散水や貯蔵時の雨水によって、水分を包含する。
そして、水分を包含するアスファルト発生材を100℃〜110℃に加熱すると、図7で示すように、包含されている水分が気化するまで、アスファルト発生材の温度上昇が停滞してしまう。
【0017】
図10、図11で示す従来のクッカ500Jにおいて、加熱開始からの経過時間と加熱対象物の温度との関係を示す特性は、図7において符号βで示す様な特性(β線)となる。
図7のβ線(特性β)を参照すると、領域「Tβ」では、クッカ内の空気中の水蒸気が飽和状態となり、アスファルト発生材中の水の蒸発を妨げてしまう。そのため、当該領域「Tβ」では、時間が経過しても加熱対象物の温度は上昇せず、アスファルト発生材中の水分が気化するまで停滞してしまうのである。
換言すれば、従来技術に係るクッカ500Jでは、図7の特性βにおける領域「Tβ」において、加熱対象物の温度上昇が停滞するため、効率的に加熱することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平9−31910号公報
【特許文献2】特開2005−54358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、アスファルト発生材(既設舗装体を表面から削り取られて、0mm〜20mm程度に粉砕された舗装体)を効率的に加熱することが出来て、しかも、いわゆる「5mmアンダー」のアスファルト発生材(5mm〜0mmのサイズのアスファルト発生材)や、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材であっても、好適に加熱処理することが出来るアスファルト発生材の加熱方法及び加熱装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のアスファルト発生材の加熱方法は、攪拌装置(52、53)を備えた加熱装置(いわゆる「クッカ」500)の容器部(50:例えば攪拌加熱槽)内に収容されたアスファルト発生材(M)を攪拌しつつ容器部(50)の床部(50d)から加熱燃焼装置(バーナ56)により加熱し、吸入装置(熱風ブロワ8)を介して容器部(50)内に加熱された空気を供給し、排出装置(排気装置9)を介してアスファルト発生材(M)を加熱した空気を容器部(50)内から排出することを特徴としている。
ここで、「アスファルト発生材(M)」としては、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材と、改質アスファルトが使用されていないアスファルト発生材の双方を包含する。
【0021】
上述したアスファルト発生材の加熱方法(請求項1の方法)を実施する本発明のアスファルト発生材の加熱装置(いわゆる「クッカ」500)は、アスファルト発生材(M)を収容する容器部(50)と、当該容器部(50)内に配置されて収容されたアスファルト発生材(M)を攪拌する攪拌装置(52、53)と、容器部(50)の床部に設けられた燃焼加熱装置(バーナ56)と、空気を加熱して容器部(50)内に供給する吸入装置(熱風ブロワ8)と、アスファルト発生材(M)を加熱した空気を容器部(50)から排出する排出装置(排気装置9)を備えることを特徴としている。
【0022】
本発明のアスファルト発生材の加熱方法において、排出装置(排気装置9)から排出される排気温度を計測する排気温度計測工程(S1)と、
排気温度計測工程(S1)で計測された排気温度が所定温度(しきい値温度)よりも高温で、容器部(50)内が過加熱状態と判断された場合に、容器部(50)内に供給される空気の加熱を停止する工程(S3)と、
排気温度計測工程(S1)で計測された排気温度が所定温度(しきい値温度)以下の温度であり、容器部(50)内が過加熱状態ではないと判断された場合に、容器部(50)内に供給される空気の加熱を続行する工程(S4)を有しているのが好ましい。
【0023】
上述したアスファルト発生材の加熱方法(請求項2の方法)を実施する本発明のアスファルト発生材の加熱装置(いわゆる「クッカ」500)は、排出装置(排気装置9)から排出される排気温度を計測する排気温度計測装置(93)と、当該排気温度計測装置(93)の計測結果に基いて吸入装置(熱風ブロワ8)の運転、停止を制御する制御装置(85)とを備え、当該制御装置(85)は、
排気温度計測装置(93)で計測された排気温度が所定温度(しきい値温度)よりも高温であれば、容器部(50)内が過加熱状態であると判断して、容器部(50)内に供給される空気の加熱を停止し、
排気温度計測装置(93)で計測された排気温度が所定温度(しきい値温度)以下の温度であれば、容器部(50)内が過加熱状態ではないと判断して、容器部(50)内に供給される空気の加熱を続行する制御を行なう機能を有しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
上述する構成を具備する本発明によれば、切削時の防塵用散水や貯蔵時の雨水により、アスファルト発生材(M)が水分を包含しており、加熱により容器部(50)内の空気が飽和状態となっても、排出装置(排気装置9)を介してアスファルト発生材(M)を加熱した空気を容器部(50)内から排出しているので、水蒸気で飽和した空気が容器部(50)から掃気される(積極的にクッカ500内の空気が押し出されること)。
容器部(50)内の空気が水蒸気で飽和しても直ちに排出装置(9)を介して容器部(50)内から排出されるので、容器部(50)内の空気は水蒸気で飽和した状態にはならず、アスファルト発生材(M)から水分が蒸発する状態を維持し続ける。
そのため、従来技術の加熱装置500Jとは異なり、包含されている水分が気化するまで温度上昇が停滞してしまうことが防止され、効率的な加熱が可能である。
【0025】
ここで、常温の大気を加熱装置(500)の容器部(50)内に供給すると、容器部(50)内の温度が低下してしまう。しかし、本発明では、吸入装置(熱風ブロワ8)を介して容器部(50)内に加熱された空気を供給しているので、掃気により飽和していない空気を供給しても、容器部(50)内の温度が低下してしまうことがない。
【0026】
そして本発明によれば、容器部(50)内の空気が飽和状態とはならず、容器部(50)に収容されたアスファルト発生材(M)中の水が効率的に蒸発して、効率的に加熱するので、容器部の床部(50d)における加熱燃焼装置(バーナ56)による加熱を、マイルドにすることが出来る。
加熱燃焼装置(500)による加熱をマイルドにすることが出来るので、本発明によれば、加熱燃焼装置(500)の加熱によってアスファルトが焦げ付いてしまうことが防止される。そのため、いわゆる「5mmアンダー」のアスファルト発生材(M)であっても、好適に加熱処理を行なうことが出来る。
さらに、マイルドな加熱を行うことにより、燃料消費量を大幅に削減することが出来る。
【0027】
本発明によれば、バーナ(56)の燃料消費量を削減し、マイルドな加熱でアスファルト発生材(M)を乾燥させることが出来るので、改質アスファルトが必要以上に加熱されることによって容器部(50)内へ付着してしまうことが防止され、同一箇所に改質アスファルトが付着し続けて、改質アスファルトの付着量が増加し続けてしまうことが防止される。
それと共に、マイルドな加熱でアスファルト発生材(M)を乾燥させることが出来る本発明によれば、高粘度アスファルトを加熱しても、悪臭の発生を抑制することが出来る。
そのため、本発明によれば、改質アスファルトが使用されたアスファルト発生材(M)であっても、好適に加熱処理することが出来る。
【0028】
また、本発明において、容器部(50)内が過加熱状態であるか否かを判断して、過加熱状態の場合には、容器部(50)内に供給される空気の加熱を停止して、加熱されていない空気をブロワ(8)により容器部(50)内吹き込む様に構成すれば、加熱されていない空気を容器部(50)内に供給することにより、容器部(50)内の温度が低下して、過加熱状態が解消する。
【0029】
これに加えて、本発明では、加熱装置(500)の容器部(50)内にアスファルト発生材(M)を収容し、攪拌しつつ容器部(50)の床部(50d)から加熱燃焼装置(バーナ56)により加熱しているので、アスファルト発生材(M)は、容器部(50)内という閉鎖した空間で、所定量毎に処理、いわゆる「バッチ処理」が為されている。
そして、閉鎖されている空間である容器部(50)内では温度のコントロールが正確に行なわれて、所望の温度まで確実に昇温することが出来るので、本発明によれば、アスファルト発生材(M)の加熱処理に必要な温度(例えば170℃〜180℃)まで、容器部(50)内を昇温することが出来る。
【0030】
さらに本発明によれば、吸入装置(8)を介して容器部(50)内に供給され、排出装置(9)を介して排出される空気(その流れが矢印Favで示されている)は、容器部(50)内部全域を満遍なく流れて、水蒸気で飽和した空気を連行して容器部(50)から排出される。
そのため、容器部(50)内から水蒸気で飽和した空気が確実に排気(掃気)され、容器部(50)内に残存してしまうことがない。そのため、容器部(50)内の空気は常に水蒸気で飽和していない状態に保たれる。そして、アスファルト発生材(M)内の水が効率的に蒸発して、容器部(50)内を、アスファルト発生材(M)の加熱処理に必要な温度(例えば170℃〜180℃)にまで昇温する時間を短縮させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】クッカに投入される空気の流れを示す平面図である。
【図4】実施形態におけるブロワの拡大側面図である。
【図5】実施形態におけるブロワの拡大正面図である。
【図6】実施形態における排気口を模式的に示す拡大側面図である。
【図7】クッカにおける加熱開始からの経過時間と加熱対象物の温度との特性を示す特性図である。
【図8】実施形態における加熱方法の手順を示すフローチャートである。
【図9】従来の道路補修工事を示す模式図である。
【図10】従来のクッカの概要を示す側面図である。
【図11】従来のクッカの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面の図1〜図8を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、実施形態に係る加熱装置(燃料ガスバーナ加熱式クッカ:以下、「クッカ」と記載する)500は、大型トラック100の荷台部分に、クッカ本体5、燃料ガスボンベ室60、攪拌パドル駆動ユニット70を搭載している。
図1において、クッカ500下部のバーナに燃料を供給する機構は、図11と同様であり、図面の簡略化のため図示を省略している。
【0033】
図10、図11のクッカ500Jと同様に、クッカ本体5は、円筒状の攪拌加熱槽50、攪拌加熱槽50上方を覆う天蓋51、攪拌シャフト52、攪拌シャフト52に対して2段に設けられた攪拌パドル53、軸受54、従動スプロケット55、バーナ56を有している。
攪拌シャフト52は軸受54によって回転自在に軸支され、2段に設けられた攪拌パドル53及び従動スプロケット55と一体に回転する。
天蓋51には、加熱対象物(アスファルト発生材M)を投入する投入口(図示を省略)が形成されており、且つ、熱風ブロワ8及び排気装置9が天蓋51に設けられている。
【0034】
攪拌加熱槽50の下方で且つ車両の後方(図1では右方)端部には、排出口50cが形成されている。
攪拌加熱槽50の底部50dは厚さ寸法の大きな鋼板で構成され、その下方にはガスバーナ56が埋設されている。
ガスバーナ56への燃料ガスの供給系統及び攪拌シャフト52の駆動機構については、図11の従来技術と同様であり、図1では図示を省略する。
【0035】
図1において図示された状態では、加熱対象物であるアスファルト発生材Mが、上段の攪拌パドル53の高さまで到達するように、攪拌加熱槽50内に投入されている。
図1において、符号Faは、熱風ブロワ8に吸入される外気の流れを示し、符号Fahは、熱風ブロワ8で暖められて攪拌加熱槽50内に流入する熱風の流れを示す。また、符号Favは、攪拌加熱槽50内及び大気に排出される空気の流れ(掃気)を示している。
【0036】
ここで、図1においては、攪拌加熱槽50内の空気の流れFavを分かり易く表示するために、クッカ本体5の天蓋51において、熱風ブロワ8はトラック100の後方に設けられ、排気装置9はトラック100の前方に設けられた状態で示されている。
しかし、実際には、図2、図3で示す様に、熱風ブロワ8と排気装置9は、トラック100の左右方向(前後方向と直交する方向)に離隔して設けられている。トラック100の前後方向については、熱風ブロワ8及び排気装置9は同じ位置である。
換言すれば、熱風ブロワ8及び排気装置9がトラック100の前後方向に離隔して1において示されているのは、単に図1における表示の容易化のためであり、実際には、図2、図3で示すように、熱風ブロワ8と排気装置9は、トラック100の左右方向(前後方向と直交する方向)に離隔して設けられている。
【0037】
図2、図3で示すように、熱風ブロワ8と排気装置9を、トラック100の左右方向に離隔して設けているのは、攪拌パドル駆動モータ7、駆動用スプロケット72、駆動用チェーン8と干渉しない様にするためである。
仮に、図1で示すように、熱風ブロワ8をトラック100の後方に設け、排気装置9をトラック100の前方に設けると、図2、図3から明らかな様に、排気装置9は、トラック100前方に設けられた攪拌パドル駆動モータ7、駆動用スプロケット72、駆動用チェーン8と干渉してしまう。
【0038】
その様な干渉を防止するために、排気装置9を熱風ブロワ8の近傍に設けることが考えられる。
しかし、排気装置9を熱風ブロワ8の近傍に設けた場合には、熱風ブロワ8を介して攪拌加熱槽50内に供給された空気が直ちに排気装置9から排出されてしまうので、水蒸気で飽和した空気を十分に連行することが出来ず、攪拌加熱槽50内の空気が水蒸気で飽和した状態が解消されない。
従って、熱風ブロワ8と排気装置9が出来る限り離隔しなければならない。
【0039】
また、熱風ブロワ8及び/又は排気装置9を、攪拌加熱槽50から外れた位置(攪拌加熱槽50の上方ではない位置)に設けることも考えられる。
しかし、そのように構成した場合には、攪拌加熱槽50から熱風ブロワ8及び/又は排気装置9まで連通する排気用配管を別途設ける必要があり、スペース的に制限があるトラック100に仮想することが困難になってしまう。
すなわち、熱風ブロワ8及び排気装置9は、攪拌加熱槽50の上方に設けなければならない。
【0040】
さらに、排気装置9が攪拌パドル駆動モータ7、駆動用スプロケット72、駆動用チェーン8と干渉しない様に、攪拌加熱槽50上方ではあるが、トラック100の前後方向中心軸よりも左右何れかに偏奇させることも考えられる。
しかし、排気装置9を、トラック100の前後方向中心軸よりも左右何れかに偏奇した場合には、熱風ブロワ8から攪拌加熱槽50内に供給された空気は、排気装置9が偏奇して配置された側にのみ流れてしまうことになる。そのため、攪拌加熱槽50内に、熱風ブロワ8から供給される空気Favが流れない領域(排気装置9が偏奇しているのとは、逆側の領域)が出来てしまい、攪拌加熱槽50内の水蒸気で飽和した空気が排出され難くなってしまう。
従って、熱風ブロワ8と排気装置9は、攪拌加熱槽50の中心(従動スプロケット55の中心)について点対象に配置すべきである。
【0041】
換言すれば、熱風ブロワ8を介して攪拌加熱槽50内に供給され、排気装置9を介して攪拌加熱槽50から排出される空気(その流れが矢印Favで示されている)が、攪拌加熱槽50内を満遍なく流過して、水蒸気で飽和した空気を連行して攪拌加熱槽50から排出されるため、また、トラック100に架装可能に構成するためには、熱風ブロワ8及び排気装置9を出来る限り離隔し、攪拌加熱槽50の上方に配置し、攪拌加熱槽50の中心(従動スプロケット55の中心)について点対象に配置されなければならない。
係る条件を充足し、且つ、攪拌加熱槽50の中心よりもトラック100の前方に設けられている攪拌パドル駆動モータ7、駆動用スプロケット72、駆動用チェーン8と干渉しない様にするためには、図2、図3で示すように、熱風ブロワ8と排気装置9を、トラック100の左右方向に離隔して、攪拌加熱槽50上に設けなれればならない。
【0042】
上述した様に熱風ブロワ8及び排気装置9を配置することにより、熱風ブロワ8から供給される加熱された空気は、上方から下方に向かって流れて攪拌加熱槽50内に流入する。そして、図1の矢印Favで示すように、アスファルト発生材Mの上方を流れ、攪拌加熱槽50内から排気装置9に流入し、排気装置9内を下方から上方に向かって流れる。
ここで、攪拌加熱槽50内に流入した空気は、その一部は攪拌加熱槽50上方の天蓋51近傍を流れる(矢印Favu)と共に、矢印Favと矢印Favuの間の領域も流れる。従って、熱風ブロワ8から攪拌加熱槽50内に流入し、排気装置9から排出される空気は、垂直方向(図1の上下方向)について、攪拌加熱槽50内を満遍なく流れる。
【0043】
また、図3で示すように、攪拌加熱槽50内に流入した空気は、図3の矢印Favcで示すように、攪拌加熱槽50の内壁面に沿って円周方向に流れて、排気装置9から攪拌加熱槽50の外部へ排出される。それと共に、図3では明示されていないが、攪拌加熱槽50内に流入した空気の一部は、攪拌加熱槽50の中心(従動スプロケット55の中心)近傍を通過して、熱風ブロワ8と排気装置9との最短距離、すなわち直径方向にも流れ、攪拌加熱槽50の内壁面と中心との間の領域にも流れて、排気装置9から攪拌加熱槽50の外部へ排出される。
すなわち、攪拌加熱槽50内に流入した空気は、水平方向(図3の紙面の方向)についても、攪拌加熱槽50内を満遍なく流れる。
すなわち、熱風ブロワ8を介して攪拌加熱槽50内に供給され、排気装置9を介して排出される空気(その流れが矢印Favで示されている)は、攪拌加熱槽50の内部全域を満遍なく流れて、水蒸気で飽和した空気を連行して攪拌加熱槽50から排出される。
【0044】
図4、図5は熱風ブロワ8を示している。
図4、図5において、熱風ブロワ8は、ブロワ本体81、燃料ポンプ82、空気加熱用バーナ(図示せず)、第1の送風ダクト83、第2の送風ダクト84、制御ボックス85及び空気ダンパ86を備えている。
【0045】
ブロワ本体81は、吸入口811と排出口812を有し、排出口812にはフランジ813が設けられている。そのフランジ813は、第1の送風ダクト83の上流側(図4、図5では上側)のフランジ831と接続される。
第1の送風ダクト83の下流側フランジ832は、第2の送風ダクト84のフランジ841と接続される。そして、第2の送風ダクト84は、公知の手段によって天蓋51(図1参照)に取り付けられている。
第1の送風ダクト83の下流側(フランジ832側)には、燃焼筒83Bが設けられており、図示しない空気加熱用バーナは、燃焼筒83Bに設けられている。
【0046】
燃料ポンプ82は、流量制御弁87を介装した燃料供給チューブ88によって、燃焼筒83B内の空気加熱用バーナ(図示せず)に燃料を供給している。
図示しない空気加熱用バーナが着火すれば、ブロワ本体81から第1の送風ダクト83に送られる空気は加熱されて、熱風となって攪拌加熱槽50内に供給される。
制御ボックス85は、その内部に図示しないコントロールユニットが内蔵されており、温度センサ93(図1、図6参照)が検知した排気温度に基づいて、空気加熱用バーナの作動・停止を制御する。ここで、温度センサ93が計測する排気温度は、排気装置9(図1、図6参照)を介して攪拌加熱槽50内から排出(掃気)される気体の温度である。
図5における空気ダンパ86は、図示しない空気加熱用バーナにおいて燃焼時の空気量の調整を行うもので、図5で示す例では手動式となっている。
【0047】
攪拌加熱槽50内に常温の外気(大気)を吹き込むと、攪拌加熱槽50内の温度が低下してしまう。
攪拌加熱槽50内の温度を不必要に低下することを防止するため、図5示の実施形態では、必要に応じて大気を加熱して、攪拌加熱槽50内に吹き込むように構成されている。
【0048】
図6において、排気装置9は、第1の排気管91と第2の排気管(掃気排出口)92とを有している。
図6において、第1の排気管91の上端には、フランジ911が設けられており、第2の排気管92の下端には、フランジ921が設けられている。そして、第1の排気管91と第2の排気管92とは、フランジ911、921を接合することによって、接続されている。
【0049】
第1の排気管91は、公知の手段で、天蓋51(図1)に取り付けられている。
図6で示すように、第2の排気管92内には、攪拌加熱槽50から掃気(排出)される排気温度を計測する温度センサ93が取り付けられている。
温度センサ93は信号ラインLiによって制御装置85と接続されている。
【0050】
図7は、加熱対象物、即ち、アスファルト発生材M(図1参照)を攪拌加熱槽50内に投入してからの経過時間と、アスファルト発生材Mの温度との関係(特性)を示している。
図7において、β線(特性β)は従来技術(熱風装置なし)において、加熱時間とアスファルト発生材の温度との特性を示している。
一方、図7におけるα線(特性α)は、図示の実施形態において、攪拌加熱槽50内にアスファルト発生材Mを投入してからの経過時間と、当該アスファルト発生材Mの温度との特性を示している。
【0051】
上述した様に、アスファルト発生材Mには相当量の水分が含まれるため、従来技術(特性β)では、攪拌加熱槽内の空気が長時間に亘って水蒸気飽和状態となり、アスファルト発生材中の水の蒸発を妨げ、アスファルト発生材の温度上昇を妨げている。
図7の特性βにおいて、アスファルト発生材の温度が100℃に達して、アスファルト発生材Mの水分が気化すると、攪拌加熱槽内の空気は直ちに水蒸気飽和状態となる。そのため、従来技術(特性β)では、アスファルト発生材の温度が100℃になってから、170℃に上昇するまでに(図7において、「Tβ」で示す領域)、約120分を要している。
【0052】
それに対して、図示の実施形態では、図7の特性αで示すように、攪拌加熱槽50内の空気が水蒸気飽和状態となってから、アスファルト発生材Mの温度が100℃に達してから170℃に上昇するまで(図7において、「Tα」で示す領域)の時間は約40分であり、従来技術(特性β)に比較すると、約1/3程度の時間しか経過していない。
図示の実施形態では、熱風ブロワ8からの熱風によりアスファルト発生材Mが直接加熱されている。それに加えて、攪拌加熱槽50内のアスファルト発生材Mの温度が100℃に達して水蒸気が発生しても、攪拌加熱槽50内の空気は直ちに排気装置9から排出(掃気)されるため、攪拌加熱槽50内の空気は水蒸気飽和状態にはならない。そして、攪拌加熱槽50内の空気が水蒸気飽和状態ではないので、図示の実施形態によれば、攪拌加熱槽50内のアスファルト発生材M中の水が効率的に蒸発して、加熱が効率的に行なわれると考えられる。
【0053】
そして、図7の特性αと特性βとを比較すれば明らかな様に、図示の実施形態によれば、アスファルト発生材Mの温度が100℃に達してから170℃に上昇するまでの時間が約1/3に短縮できる。そのため、アスファルト発生材Mの温度が100℃に達した後、従来技術と概略等しい時間をかけて170℃まで上昇させるのであれば、図示の実施形態では、従来技術に比較して、攪拌加熱槽50下方のガスバーナ56による加熱を弱く(マイルドに)して、アスファルト発生材Mの温度を上昇させることが出来る。
攪拌加熱槽50下方のガスバーナ56による加熱を弱く(マイルドに)することが出来る結果、図示の実施形態によれば、攪拌加熱槽50におけるアスファルトの焦げ付きが防止され、ガスバーナ56における燃料消費量を大幅に削減することが出来る。
【0054】
図示の実施形態において、温度センサ93の計測結果によって過加熱と判断された場合は、熱風バーナ8側のバーナによる加熱を防止して、加熱されていない空気(常温の大気)をブロワ81により攪拌加熱槽50内に供給している。
加熱されていない空気を攪拌加熱槽50内に供給することにより、アスファルト発生材Mを加熱処理中の攪拌加熱槽50は、その内部温度が低下するので、過加熱状態が解消する。
ここで、攪拌加熱槽50下方を加熱しているガスバーナ56を過加熱時に停止する機能は、図10、図11で示す従来の攪拌加熱槽50にも備わっている。そのため、ガスバーナ56を過加熱時に停止する機能に関しては、図示及び説明を省略する。
【0055】
次に、図8のフローチャートに基づき、図1〜図6をも参照して、図示の実施形態により、アスファルト発生材Mを加熱する制御について説明する。
図8のステップS1において、排気装置9の温度センサ93によって、攪拌加熱槽50内から排出(掃気)された排気温度を計測する。
次のステップS2では、制御ボックス85に設けられた図示しないコントロールユニットは、温度センサ93の計測結果から、アスファルト発生材Mが過加熱となっているか否かを判断する。より詳細には、温度センサ93の計測結果が予め定められたしきい値よりも高温の場合には、アスファルト発生材Mが過加熱であると判断する。
なお、当該しきい値については、加熱条件やクッカ500の仕様、その他の条件により、ケース・バイ・ケースで定められる。
【0056】
温度センサ93の計測結果が予め定められたしきい値よりも高温であり、アスファルト発生材Mが過加熱状態であると判断された場合(ステップS2がYES)には、ステップS3に進む。
アスファルト発生材Mが過加熱状態であると判断されてステップS3に進んだならば、ブロワ8による空気の加熱を停止して、攪拌加熱槽50には常温の外気のみを供給する。そして、ステップS5に進む。
【0057】
一方、温度センサ93の計測結果が予め定められたしきい値以下であり、アスファルト発生材Mが過加熱状態ではないと判断したならば(ステップS2がNO)、ステップS4に進む。
ステップS4では、ブロワ8による加熱を続行し、ブロワ8で吸入した大気を図示しないバーナで加熱し、加熱された空気を攪拌加熱槽50に送り込む。そして、ステップS5に進む。
【0058】
ステップS5では、制御ボックス85に設けられた図示しないコントロールユニットは、アスファルト発生材Mの加熱作業を終了するか否かを判断する。
アスファルト発生材Mの加熱作業を終了するのであれば(ステップS5がYES)、ステップS6に進む。ステップS6では、ガスバーナ56を消してブロワ8を停止して制御を終える。
アスファルト発生材Mの加熱作業を続行するのであれば(ステップS5がNO)、ステップS1以降を繰り返す。
【0059】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0060】
5・・・クッカ本体
8・・・熱風ブロワ
9・・・排気装置
50・・・攪拌加熱槽
51・・・天蓋
52・・・攪拌シャフト
53・・・攪拌パドル
54・・・軸受
55・・・従動スプロケット
60・・・プロパンボンベ室
70・・・攪拌パドル駆動ユニット
81・・・ブロワ本体
82・・・燃料ポンプ
83・・・第1のダクト
83B・・・燃焼筒
85・・・制御ボックス
93・・・温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌装置を備えた加熱装置の容器部内に収容されたアスファルト発生材を攪拌しつつ容器部の床部から加熱燃焼装置により加熱し、吸入装置を介して容器部内に加熱された空気を供給し、排出装置を介してアスファルト発生材を加熱した空気を容器部内から排出することを特徴とするアスファルト発生材の加熱方法。
【請求項2】
排出装置から排出される排気温度を計測する排気温度計測工程と、
排気温度計測工程で計測された排気温度が所定温度よりも高温で、容器部内が過加熱状態と判断された場合に、容器部内に供給される空気の加熱を停止する工程と、
排気温度計測工程で計測された排気温度が所定温度以下の温度であり、容器部内が過加熱状態ではない判断された場合に、容器部内に供給される空気の加熱を続行する工程を有している請求項1のアスファルト発生材の加熱方法。
【請求項3】
請求項1のアスファルト発生材の加熱方法を行なうアスファルト発生材の加熱装置において、アスファルト発生材を収容する容器部と、当該容器部内に配置されて収容されたアスファルト発生材を攪拌する攪拌装置と、容器部の床部に設けられた燃焼加熱装置と、空気を加熱して容器部内に供給する吸入装置と、アスファルト発生材を加熱した空気を容器部から排出する排出装置を備えることを特徴とするアスファルト発生材の加熱装置。
【請求項4】
排出装置(排気口)から排出される排気温度を計測する排気温度計測装置と、当該排気温度計測装置の計測結果に基いて吸入装置の運転、停止を制御する制御装置とを備え、当該制御装置は、
排気温度計測装置で計測された排気温度が所定温度よりも高温であれば、容器部内が過加熱状態であると判断して、容器部内に供給される空気の加熱を停止し、
排気温度計測装置で計測された排気温度が所定温度以下の温度であれば、容器部内が過加熱状態ではないと判断して、容器部内に供給される空気の加熱を続行する制御を行なう機能を有している請求項3のアスファルト発生材の加熱装置。
【請求項1】
攪拌装置を備えた加熱装置の容器部内に収容されたアスファルト発生材を攪拌しつつ容器部の床部から加熱燃焼装置により加熱し、吸入装置を介して容器部内に加熱された空気を供給し、排出装置を介してアスファルト発生材を加熱した空気を容器部内から排出することを特徴とするアスファルト発生材の加熱方法。
【請求項2】
排出装置から排出される排気温度を計測する排気温度計測工程と、
排気温度計測工程で計測された排気温度が所定温度よりも高温で、容器部内が過加熱状態と判断された場合に、容器部内に供給される空気の加熱を停止する工程と、
排気温度計測工程で計測された排気温度が所定温度以下の温度であり、容器部内が過加熱状態ではない判断された場合に、容器部内に供給される空気の加熱を続行する工程を有している請求項1のアスファルト発生材の加熱方法。
【請求項3】
請求項1のアスファルト発生材の加熱方法を行なうアスファルト発生材の加熱装置において、アスファルト発生材を収容する容器部と、当該容器部内に配置されて収容されたアスファルト発生材を攪拌する攪拌装置と、容器部の床部に設けられた燃焼加熱装置と、空気を加熱して容器部内に供給する吸入装置と、アスファルト発生材を加熱した空気を容器部から排出する排出装置を備えることを特徴とするアスファルト発生材の加熱装置。
【請求項4】
排出装置(排気口)から排出される排気温度を計測する排気温度計測装置と、当該排気温度計測装置の計測結果に基いて吸入装置の運転、停止を制御する制御装置とを備え、当該制御装置は、
排気温度計測装置で計測された排気温度が所定温度よりも高温であれば、容器部内が過加熱状態であると判断して、容器部内に供給される空気の加熱を停止し、
排気温度計測装置で計測された排気温度が所定温度以下の温度であれば、容器部内が過加熱状態ではないと判断して、容器部内に供給される空気の加熱を続行する制御を行なう機能を有している請求項3のアスファルト発生材の加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−12846(P2012−12846A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150880(P2010−150880)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(507194017)株式会社高速道路総合技術研究所 (33)
【出願人】(000181354)鹿島道路株式会社 (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(507194017)株式会社高速道路総合技術研究所 (33)
【出願人】(000181354)鹿島道路株式会社 (46)
【Fターム(参考)】
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