説明

アダマンタン誘導体の調製方法

本発明は、一般式(1)
【化1】


を有する3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸或いはその誘導体又は塩の調製方法に関する。当該方法において、式(2):
【化2】


(式中、Rは、C〜Cヒドロカルビル、CHOH、CHO又はCOOHである)を有するアダマンタンの1−アシル誘導体は、3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)或いはその誘導体又は塩を導く酸化条件下で酸化剤と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(1)
【0002】
【化1】

【0003】
を有する3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸或いはその誘導体又は塩の調製方法に関する。
【背景技術】
【0004】
3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)は、薬理学的に活性なジペプチジルペプチダーゼ阻害剤の合成にとって重要な中間体であり、ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤は、インスリン分泌の刺激並びに満腹の促進及び胃内容排出の遅滞に関与するペプチドGLP−1(7−36)の切断を阻害する。特許文献1は、3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)の下記調製方法を開示する(スキーム1):
【0005】
【化2】

【0006】
上記方法は、環境上扱いにくい溶剤ジクロロメタン中で1−ブロモアダマンタン(3)をトリス(トリメチルシロキシ)エチレンとZnClを触媒としてカップリングさせて、それによりα−ヒドロキシ酸誘導体(4)を得ることを含む。次に、化合物(4)をメタノール/塩化アセチル溶液によりエステル化して、α−ヒドロキシエステル誘導体(5)を得る。有害な塩化オキサリルを活用した技術的に面倒な低温(−60℃未満の内部温度を維持する)での(5)のスワーン酸化により、グリオキシル酸エステル(6)が得られる。続いて、エステル(6)を相当する3−ヒドロキシ化合物(7)に酸化する。最後に、水酸化ナトリウムによる(7)の加水分解により、標的分子(1)を得る。
【0007】
【特許文献1】PCT公開第WO2004/052850号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸の調製方法は今までのところ、面倒であり、有害であり且つ実用的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(2):
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、Rは、C〜Cヒドロカルビル、CHOH、CHO又はCOOHである)を有するアダマンタンの1−アシル誘導体を、3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)或いはその誘導体又は塩を導く条件下で、酸化剤と接触させることによる3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)の簡素且つ直接的な調製方法を提供する。出発材料としてのアダマンタンの1−アシル誘導体の使用は、最先端の技術による上述のプロセスが遭遇する困難を回避する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上述したように、式(2)のRは、C〜Cヒドロカルビル、CHOH、CHO、COOH又はCNであり得る。これらの基Rはそれ自体、カルボキシル基、又はカルボキシル基へ酸化され得る基として既知である。
【0013】
式(2)のRは、本発明の一実施形態によれば、C〜Cアルキル又はC〜Cアルケニルである。例えばメチル、エチル及びビニル基は、酸化時にカルボキシルを容易に形成する。好ましくは、RはCHであり、即ち出発化合物2は、1−アセチルアダマンタンであり、1−アセチルアダマンタンは、アセチルのメチル基をカルボキシル基へ、且つアダマンチル骨格のCH炭素3を相当するカルビノールへと共に酸化する条件下で酸化剤と接触される。1−アセチルアダマンタンのCHの酸化プロセスは、米国特許第3,325,478号に記載されている。しかしながら、生成物はアダマンタングリオキシル酸であり、標的化合物3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸1ではなかった。したがって、上記文献は、特許請求する本発明に反して教示している。
【0014】
本発明の第2の実施形態によれば、アダマンタンの1−アシル誘導体は、アダマンタングリオキシル酸であり、即ち上記式(2)のRはCOOHであり、アダマンタングリオキシル酸は、単に酸化剤と接触して、アダマンチル骨格のCH炭素番号3を相当するカルビノールへ酸化する。したがって、標的化合物(1)は、アダマンタングリオキシル酸の直接的な酸化により得ることができる。
【0015】
アダマンタンの1−アシル誘導体は通常、溶液中で酸化剤と接触する。溶媒の性質及び量は、所望の酸化反応を開始及び維持するのに十分なアダマンタンの1−アシル誘導体並びに酸化剤を溶解するようでなくてはならない。アダマンタンの1−アシル誘導体及び酸化剤の一方が或る相中に存在しかつ他方が別の相中に存在してもよく、それにより酸化は、相間の表面で起きる。
【0016】
通常、これらの試薬は、本質的に同じ相中に溶解される。それにより、溶液の溶媒が水の溶解力に相当する溶解力を有する場合、アダマンタンの1−アシル誘導体の量は適切に、溶液1リットル当たり0.1〜2molである。誘導体及び酸化剤を接触させる順序は重要でない。本発明の代表的な実施形態によれば、アダマンタンの1−アシル誘導体はまず溶解されて、続いて酸化剤と接触する。適切な酸化度を達成するために、酸化剤及び溶液構成成分(複数可)は、酸化剤が溶液構成成分(複数可)中に少なくとも部分的に可溶性であり、且つアダマンタンの1−アシル誘導体に対して、構成成分として水及びアルカリを含む溶液中での過マンガン酸カリウムと本質的に類似した酸化効果を有するように好適に選択される。
【0017】
特許請求されるプロセスの上述の好ましい特徴を適用して、標的化合物1を得る簡素且つ直接的な方法が提供され、当該方法では、スキーム2で表されるように、式2を有する容易に入手可能又は調製可能なアダマンタンの1−アシル誘導体が、塩基の存在下、溶媒中で酸化剤により酸化される。
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、Rは上記で定義される通りであり、[O]は酸化剤である)
酸化剤は、アダマンタンの1−アシル誘導体を標的化合物1へ酸化することが可能な任意の酸化剤であり得る。酸化剤は、酸素(希釈又は未希釈のO及びOの両方として)、過酸化物及びペルオキシ酸、ハロゲン化合物、クロム化合物、鉄化合物、マンガン化合物、鉛化合物、酸化還元樹脂、硫黄及びセレン並びにそれらの化合物、窒素化合物、並びにこれらの組合せから選択され得る。酸化剤はまた、コバルト族金属及びニッケル族金属のような酸化触媒と一緒に使用されてもよい。
【0020】
溶液は、主な構成成分として、例えば水、不活性アルコール、カルボン酸及びそれらのエステル、塩素化炭化水素、ケトン、ピリジン並びにそれらの混合物から選択される溶媒を含んでもよい。溶媒を選択する場合、アダマンタンの1−アセチル誘導体の部分的な又は完全な溶解が目的となり得る。反応は、誘導体を含む或る相と、酸化剤を含む別の相との間の境界面で起こる可能性があるため、相間移動触媒が推奨される(以下を参照)。反応はまた、同じ溶媒中に誘導体及び酸化剤を溶解することにより起こってもよく、それによって所望の生成物が生じるより自然な反応が起こる。最も好ましい溶媒は水である。
【0021】
好ましくは、酸化剤は過マンガン酸塩であり、溶液は、溶媒としての水並びに酸化触媒及び/又は調節因子としてのアルカリを含む。最も好ましくは、過マンガン酸塩は、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムである。酸化は、アダマンタンの1−アシル誘導体に対する過マンガン酸カリウムのモル比が1.0〜5.0mol/mol、特に2.0〜4.0mol/molである場合に特に円滑に進行する。1つの相中で酸化する場合、酸化の程度は、アダマンタンの1−アシル誘導体を含有する溶液中での酸化剤の濃度に直接的に依存する。その酸化力に応じて、酸化剤の濃度は、アルカリ水溶液中で0.05〜0.5g/ml、好ましくは0.1〜0.4g/mlのKMnOであるか、或いはそれに相当する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、水及びアルカリを含む溶液はまた、水溶性有機溶媒を含んでもよい。かかる有機溶媒は、アダマンタンの1−アシル誘導体の溶解度を増大させる可能性があり、したがって酸化を促進し得る。代表的な有用な水溶性溶媒は、例えば不活性(非酸化)アルコール(例えば、t−ブタノール)又はピリジンである。
【0023】
好適には、アルカリ及び水を含む溶液の、酸化を触媒及び/又は調節するアルカリ構成成分は、アルカリ金属水酸化物若しくは炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物若しくは炭酸塩、又は水酸化アンモニウム、或いはそれらの混合物である。最も好適には、酸化を触媒及び/又は調節するアルカリ構成成分は、NaOH、KOH又はLiOHである。1つの水相中で酸化する場合、アダマンタンの1−アシル誘導体に対するアルカリのモル比は、通常0.1〜0.6mol/molである。
【0024】
特許請求される本発明の1つの態様(version)によれば、溶液は、相間移動触媒を含む。その目的は、或る相から別の相への反応物の移動を促進し、また触媒として機能することである。本発明では、相は、一方で未溶解で単独のあるいはある溶媒中に溶解されたアダマンタンの1−アシル誘導体であり、他方では別の溶媒中に溶解された酸化剤であり得る。アルカリ酸化を包含する本発明の実施形態では、かかる相間移動触媒は、塩基性である場合は単独で使用されてもよく、或いはそうでない場合は塩基と一緒に使用されてもよい。塩基と共に使用されるのに適した相間移動触媒は、水酸化テトラブチルアンモニウムのような第四級アルキルアンモニウム水酸化物、又は臭化テトラブチルアンモニウムのような第四級アルキルアンモニウム塩である。
【0025】
また、アダマンタンの1−アシル誘導体は好ましくは、高温、即ち室温(27℃)より高い温度で酸化剤と接触させるべきであることも見出された。好ましい温度区間は28〜100℃であり、30〜70℃が最も好ましい。保護範囲を限定するものではないが、高温は、酸化剤と同じ媒質中へのアダマンタンの1−アシル誘導体の溶解を促進させ、それらを共により効果的な酸化へと至らせている可能性が最も高い。
【0026】
アダマンタンの1−アシル誘導体は、本発明の一実施形態によれば、徐々に酸化剤と接触させるべきである。保護範囲を限定するものではないが、この徐々に接触させることは、発熱酸化に対する調節効果を有し、高収率の標的化合物1を与えると考えられる。徐々に接触させることに関する代表的な期間は、0.25時間〜25時間、最も好ましくは0.5時間〜10時間である。以下の実施例を参照されたい。通常、徐々に接触させた後、反応混合物は、或る特定の期間(これは通常、3〜100時間である)混合されるか、又は静置されて維持される。
【0027】
最後に、酸化生成物を含有する反応混合物は仕上げがなされる。これには、精製、酸性化(pH4未満)、抽出、濃縮及び再結晶化が包含され得る。これらの工程の最適化は、90%を超える純度をもたらす。以下を参照されたい。3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸の揮発性誘導体を調製する場合、蒸留による回収が用いられ得る。
【0028】
本発明の幾つかの代表的な実施形態による3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)の調製手順を以下の実施例で提示する。
【実施例1】
【0029】
1−アセチルアダマンタン30gを、水500mL中のNaOH 6.8gの溶液に添加した。懸濁液の温度を40〜50℃に上昇させて、1.5時間の期間中に過マンガン酸カリウム80gを添加した。得られた混合物を50〜55℃で6時間、その後室温27℃で17時間攪拌した後、濾過によって、形成された二酸化マンガン沈殿物を分離した。濾液の酸性化、有機溶媒による抽出及び併せた有機相の濃縮を含む濾液ワークアップ後、部分的に結晶化された物質28gを得た。物質の再結晶化により、相当するメチルエステルのGC分析によると純度92.1%を有する白色結晶性固体として、標的3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)13.6gを得た。
【実施例2】
【0030】
NaOH 30%水溶液1.7mLを水500mLで希釈して、1−アセチルアダマンタン60gをその溶液へ添加した。懸濁液の温度を35〜40℃に上昇させて、0.5時間で過マンガン酸カリウム144gを懸濁液に添加した。混合物を35〜40℃で25時間攪拌した後、二酸化マンガン沈殿物を濾過した。酸性化、有機溶媒による抽出及び併せた有機相の濃縮から構成される濾液ワークアップ手順により、相当するメチルエステルのGC分析によると純度85.7%を有する標的3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)25.2gが生じた。
【実施例3】
【0031】
NaOH 30%水溶液3.0mLを水120mLで希釈した。溶液を50℃へ加熱して、臭化テトラブチルアンモニウム0.36gを溶液に添加した。ここで、1−アセチルアダマンタン10gを攪拌しながら添加した後、50〜52℃で4時間で過マンガン酸カリウム24.8gを添加した。攪拌をさらに4時間続けた。混合物を室温で一晩静置させた後、二酸化マンガン沈殿物を濾別した。濾液ワークアップは、濾液の酸性化、抽出及び併せた有機相の部分的濃縮を包含した。濃縮溶液に、有機溶媒10mLを添加して、混合物を室温で一晩維持した。形成された結晶を濾別して、溶媒で洗浄して、乾燥させて、相当するメチルエステルのGC分析によると純度96.4%を有する標的3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)4.7gを得た。
【実施例4】
【0032】
1−アセチルアダマンタン10gを、t-BuOH 55mL及び水35mLの混合物中に50℃で溶解させた。NaOH 30%水溶液1.0mLを添加して、得られた溶液の温度を55〜60℃へ上昇させた。次に、過マンガン酸カリウム35.5gを、温度55〜65℃で5時間の間に徐々に添加した。攪拌は、同じ温度55〜65℃で30時間続けた。続いて、混合物を室温にまで冷却させて、二酸化マンガン沈殿物を濾別した。ここで、t−BuOHを濾液から蒸発させ、濾液を酸性化して抽出した。抽出物の濃縮により、相当するメチルエステルのGC分析によると3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)34.9%及びアダマンタングリオキシル酸58.1%を含有する半固体残渣9.7gを得た。これらの化合物は、順を追って分離された。
【実施例5】
【0033】
1−アセチルアダマンタン3.0gを水40mL中に懸濁させた。ピリジン4.0mL及びKOH 1.1gを添加して、得られた懸濁液の温度を55℃に上昇させた。次に、過マンガン酸カリウム8.6gを、55〜60℃で3時間で徐々に添加して、攪拌をさらに3時間続けた。続いて、混合物を室温で60時間静置させた。次に、二酸化マンガン沈殿物を濾別して、濾液を酸性化して抽出した。抽出物の濃縮により、主に3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)を含有する部分的に結晶化された物質3.7gを得た。
【実施例6】
【0034】
NaOH 30%水溶液2.8mLを水30mLで希釈した。溶液を55℃に加熱して、アダマンタングリオキシル酸3.0gをその中に溶解させた。次に、過マンガン酸カリウム3.3gを2時間で徐々に添加して、得られた混合物の攪拌は、55〜60℃で9時間続けた。混合物を室温で一晩静置させた。次に、二酸化マンガン沈殿物を濾別して、酸性化、有機溶媒による抽出及び併せた有機相の濃縮から構成される濾液ワークアップ手順により、相当するメチルエステルのGC分析によると純度68.9%を有する標的3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)2.5gが生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

を有する3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸或いはその誘導体又は塩の調製方法であって、式(2):
【化2】

(式中、Rは、C〜Cヒドロカルビル、CHOH、CHO又はCOOHである)を有するアダマンタンの1−アシル誘導体が、該3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸(1)或いはその誘導体又は塩を導く酸化条件下で酸化剤と接触することを特徴とする、3−ヒドロキシアダマンタングリオキシル酸或いはその誘導体又は塩の調製方法。
【請求項2】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体が、1−アセチルアダマンタン(RはCHである)であり、該1−アセチルアダマンタンが、1−アセチルのメチル基をカルボン酸基へ、且つアダマンチル骨格のCH炭素3をカルビノールへ酸化する条件下で酸化剤と接触することを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体が、アダマンタングリオキシル酸(RはCOOHである)であり、該アダマンタングリオキシル酸が、アダマンチル骨格のCH炭素3をカルビノールへ酸化する条件下で酸化剤と接触することを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体が、溶液中で前記酸化剤と接触することを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の調製方法。
【請求項5】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体の量が、前記溶液1リットル当たり0.1〜2molであることを特徴とする、請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体が、まず溶解されて、続いて前記酸化剤と接触することを特徴とする、請求項4又は5に記載の調製方法。
【請求項7】
前記酸化剤及び前記溶液構成成分(複数可)が、該酸化剤が該溶液中に少なくとも部分的に可溶性であり、且つ前記アダマンタンの1−アシル誘導体に対して、水及びアルカリを含む溶液中での過マンガン酸カリウムと本質的に同じ酸化効果を有するように選択されることを特徴とする、請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
前記酸化剤が、酸素(希釈又は未希釈O、O)、過酸化物及びペルオキシ酸、ハロゲン化合物、クロム化合物、鉄化合物、マンガン化合物、鉛化合物、酸化還元樹脂、硫黄及びその化合物、セレン及びその化合物、窒素化合物並びにこれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の調製方法。
【請求項9】
前記溶液が、前記構成成分として、水、不活性アルコール、不活性カルボン酸及びそれらのエステル、不活性塩素化炭化水素、不活性ケトン及びピリジン、又はそれらの混合物から選択される溶媒を含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の調製方法。
【請求項10】
前記酸化剤が過マンガン酸塩であり、前記溶液が、前記構成成分として、水及びアルカリを含むことを特徴とする、請求項9に記載の調製方法。
【請求項11】
前記過マンガン酸塩が、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項10に記載の調製方法。
【請求項12】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体に対する前記過マンガン酸カリウムのモル比が、1.0〜5.0mol/molであることを特徴とする、請求項11に記載の調製方法。
【請求項13】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体に対する前記過マンガン酸カリウムのモル比が、2.0〜4.0mol/molであることを特徴とする、請求項12に記載の調製方法。
【請求項14】
水及びアルカリを含む前記溶液が、有機溶媒をさらに含むことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項15】
前記有機溶媒が、不活性アルコール及び/又はピリジンであることを特徴とする、請求項14に記載の調製方法。
【請求項16】
前記アルカリが、アルカリ金属水酸化物若しくは炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物若しくは炭酸塩、又は水酸化アンモニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項10〜15のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項17】
前記アルカリが、NaOH、KOH又はLiOHであることを特徴とする、請求項16に記載の調製方法。
【請求項18】
アダマンタンの1−アシル誘導体に対するアルカリのモル比が、0.05〜5.0mol/molであることを特徴とする、請求項16又は17に記載の調製方法。
【請求項19】
アダマンタンの1−アシル誘導体に対するアルカリのモル比が、0.1〜0.6mol/molであることを特徴とする、請求項18に記載の調製方法。
【請求項20】
前記溶液が、相間移動触媒を含むことを特徴とする、請求項4〜19のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項21】
前記相間移動触媒が、第四級アルキルアンモニウム水酸化物又は第四級アルキルアンモニウム塩であることを特徴とする、請求項20に記載の調製方法。
【請求項22】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体が、高温で前記酸化剤と接触することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項23】
前記高温が、28〜100℃であることを特徴とする、請求項22に記載の調製方法。
【請求項24】
前記高温が、30〜70℃であることを特徴とする、請求項23に記載の調製方法。
【請求項25】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体が、前記酸化剤と徐々に接触することを特徴とする、請求項1〜24のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項26】
前記徐々に接触することが、0.25時間〜25時間から選択される期間中に行われることを特徴とする、請求項25に記載の調製方法。
【請求項27】
前記徐々に接触することが、0.5時間〜10時間から選択される期間中に行われることを特徴とする、請求項26に記載の調製方法。
【請求項28】
前記徐々に接触することの後で、前記アダマンタンの1−アシル誘導体が、前記酸化剤と接触して維持されることを特徴とする、請求項25、26又は27に記載の調製方法。
【請求項29】
前記アダマンタンの1−アシル誘導体が、3〜100時間から選択される期間、前記酸化剤と接触して維持されることを特徴とする、請求項28に記載の調製方法。

【公表番号】特表2008−542343(P2008−542343A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514131(P2008−514131)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【国際出願番号】PCT/FI2006/000167
【国際公開番号】WO2006/128952
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(508102484)ケミファイン グループ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】