アップコンバージョンガラス及び光増幅媒体
【課題】Tb3+とYb3+間のエネルギー移動効率が高い、Tb3+とYb3+が添加されたアップコンバージョンガラスを実現すること。
【解決手段】TeO2 とWO3 で構成され、TeO2 が68.5mol%、WO3 が31.5mol%の組成比とするテルライトガラスに、Tb3+とYb3+の合計の質量濃度が、25%となるよう添加した。このガラスは透明であり、Tb3+とYb3+の濃度が高いためにTb3+とYb3+間のエネルギー移動効率が高い。すなわち、アップコンバージョン変換効率の高い、赤外光から可視光へのアップコンバージョンガラスである。
【解決手段】TeO2 とWO3 で構成され、TeO2 が68.5mol%、WO3 が31.5mol%の組成比とするテルライトガラスに、Tb3+とYb3+の合計の質量濃度が、25%となるよう添加した。このガラスは透明であり、Tb3+とYb3+の濃度が高いためにTb3+とYb3+間のエネルギー移動効率が高い。すなわち、アップコンバージョン変換効率の高い、赤外光から可視光へのアップコンバージョンガラスである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Tb3+とYb3+が添加された高効率なアップコンバージョンガラスと、そのアップコンバージョンガラスを用いた光増幅媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、青緑色帯の可視光レーザとしては、ヘリウムネオンレーザやアルゴンレーザなどの気体レーザがある。しかし、共振器構造を必要とするため、装置構成が複雑であり、小型化には適さない。また、長波長のレーザ光を非線形光学結晶を用いて高調波変換する方法があるが、非線形光学結晶の劣化による耐久性の点で問題がある。また、短波長の放射遷移を持つ活性イオンを用いる方法があるが、その放射光よりさらに短波長の励起光源を必要とし、そのような光源で効率の良いものがない。また、短波長光源は小型化が難しく、コンパクトなレーザ装置を実現できないため、望ましくない。
【0003】
そこで、希土類イオン間のエネルギー移動によるアップコンバージョンを用いて、長波長の励起光源から、励起光より波長の短いレーザ光を得る方法が検討されている。たとえば、Tb3+は青緑色のスペクトルを有しているので、この方法の適用が期待される。希土類イオン間のエネルギー移動によるアップコンバージョンの原理は、非特許文献1に記載されている。この文献によると、Tb3+とYb3+の間でのアップコンバージョンは、協同エネルギー移動によるものであり、そのエネルギー移動効率は、10-8〜10-6(cm2 /W)であると記されている。Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動について説明すると、Yb3+の励起エネルギー2つが合わさり、その合わさったエネルギーによりTb3+が励起される、という現象である。この文献に記されたエネルギー移動効率の値は非常に小さく、Tb3+とYb3+間での協同エネルギー移動によるアップコンバージョンを用いたレーザの実現は、困難であろうと思われる。
【0004】
また、特許文献1には、Tb3+とYb3+がともに添加された光ファイバによる青緑色レーザ装置が記載されている。光ファイバのガラスの母材としてはシリカが用いられている。Tb3+は20ppm、Yb3+は500ppmを添加したことが示されていて、添加物の濃度は、極めて低い。
【0005】
また、特許文献2には、希土類イオンを高濃度に添加可能なテルライトガラスが記載されている。そのテルライトガラスには、Tb3+とYb3+を添加しても良い旨が記されている。Yb3+については、15質量%まで添加できることが示されているが、Tb3+については、具体的に何質量%まで添加することができるのかは書かれていない。特許文献2のテルライトガラスは、Tb3+とYb3+によるアップコンバージョンを意図したものではなく、Tb3+とYb3+間におけるエネルギー移動については何ら触れられていない。
【特許文献1】特開平8−102586
【特許文献2】特開2004−244280
【非特許文献1】F.Auzel, Chem. Rev. 2004, vol.104, pp139-173
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、Tb3+とYb3+を添加した媒体を用いた波長変換の効率は極めて小さいと考えられていた。そこで、本発明者らは、希土類イオン間のエネルギー移動効率は、希土類イオン間の距離に依存すること、つまり、希土類イオンの濃度に依存することに注目して、Tb3+とYb3+の濃度を増減することにより、協同エネルギー移動効率を向上できるのではないかと考えた。
【0007】
上記いずれの文献においても、Tb3+とYb3+の濃度と協同エネルギー移動効率との依存関係について考察されていない。また、Tb3+とYb3+を添加するのに最適なガラスの材料組成についても不明である。
【0008】
以上より、本発明は、協同エネルギー移動効率を向上するのに適したTb3+とYb3+の濃度を求め、その濃度に適した材料組成であるアップコンバージョンガラスを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、赤外光による励起により可視光を放射するアップコンバージョン用のガラスであって、TbおよびYbが必須成分として添加されていて、Tb3+およびYb3+の質量濃度が、
1wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
であることを特徴とするアップコンバージョンガラスである。
ここで、Tb3+およびYb3+の質量濃度は、ガラスの全質量に対するTb3+およびYb3+の質量割合である。
【0010】
このアップコンバージョンガラスは、Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動を利用したもので、赤外光によりYb3+を励起させ、2つのYb3+の励起エネルギーにより、Tb3+を励起させ、青緑〜緑色の蛍光を放射する。
【0011】
一般に、イオン間の相互作用は、イオン間の距離に依存する。Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動も、Tb3+とYb3+間の相互作用によるものであるから、Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動効率もTb3+とYb3+間の距離に依存する。また、その距離は、Tb3+とYb3+の質量濃度に依存している。そこで、本発明者は、従来考察されていなかったTb3+とYb3+間の協同エネルギー移動効率と、Tb3+とYb3+の質量濃度に、どのような依存関係があるかについて考察したところ、Tb3+とYb3+の質量濃度の合計が、25wt%以下の範囲では、質量濃度の合計が増加すると、協同エネルギー移動効率も増加することがわかった。そこで、第1の発明は、Tb3+とYb3+の質量濃度の合計が25wt%以下、1wt%以上の範囲で、Tb3+とYb3+を高濃度に添加し、協同エネルギー移動効率を高めている。
【0012】
このように、第1の発明によるアップコンバージョンガラスは、従来知られているよりも多くのTb3+とYb3+を添加したことにより、アップコンバージョン変換の効率が高いガラスとなっている。Tb3+とYb3+の質量濃度比は、10:1〜1:10である方がより望ましい。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、Tb3+およびYb3+の質量濃度を、
17wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
としたアップコンバージョンガラスである。
Tb3+およびYb3+の質量濃度は高濃度である方がアップコンバージョン変換の効率をより高くすることができる。そこで、Tb3+とYb3+の質量濃度の合計は、17wt%〜25wt%である方がより望ましい。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、Tb3+およびYb3+の質量濃度を、
20wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
としたアップコンバージョンガラスである。20wt%〜25wt%であるとより一層望ましくなる。
【0015】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明において、Tb3+とYb3+の質量濃度比を、1:10〜10:1の範囲としたアップコンバージョンガラスである。
【0016】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明において、ガラスの母材がTeO2 とWO3 で構成されていて、TeO2 とWO3 の組成割合が、
65mol%≦TeO2 ≦75mol%
25mol%≦WO3 ≦35mol%
であるアップコンバージョンガラスである。
ここで、TeO2 とWO3 の組成割合は、添加物であるTb3+とYb3+を除いた割合である。
【0017】
このような組成のテルライトガラスは、Tb3+とYb3+を質量濃度で最大25wt%まで添加することができる。したがって、Tb3+とYb3+を高濃度に添加するのに適している。
【0018】
第6の発明は、コアおよびクラッドを有する光ファイバまたは光導波路よりなる光増幅媒体であって、コアの材料として、第1の発明から第5の発明のいずれかのアップコンバージョンガラスを用いた光増幅媒体である。
【0019】
第1の発明から第5の発明のいずれのアップコンバージョンガラスも、光ファイバ化が可能な熱安定性を有している。コアとクラッドの比屈折率差は、1%以上であることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明から第3の発明では、Tb3+およびYb3+の質量濃度を高くすることにより、アップコンバージョン変換の効率を高くしている。さらに、第4の発明のようなTb3+とYb3+の質量濃度比とすることで、より変換効率は高くなる。
また、第5の発明のテルライトガラスには、Tb3+およびYb3+を質量濃度で25wt%まで添加できるので、Tb3+、Yb3+を高濃度に添加するのに適している。
また、いずれの発明のガラスでも、光ファイバ化が可能な熱安定性を有しているので、光ファイバや光導波路の材料として用いることができ、それらの光ファイバや光導波路は、光増幅媒体として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
実施例1では、Tb3+とYb3+が添加されTeO2 とWO3 で構成されたテルライトガラスを作製した。TeO2 とWO3 の組成比を変えたNo.1〜7のガラスに対し、Tb3+とYb3+の添加量を0〜30wt%まで変化させ、ガラス化範囲について調べたところ、図1の表に示す結果を得た。○印は、可視光に対して透明なガラスであったもの、×印は不透明なガラスであったものを示している。なお、ガラスの組成比については、添加物を除いた組成割合をmol%で表し、Tb3+とYb3+の添加量については、添加物を含めた全ガラスの質量に対する添加物全体の質量の割合(質量%、wt%と記す)である。また、Tb3+とYb3+は、1:1の質量比としている。
【0023】
この図1の表から、No.3〜6の組成比のテルライトガラスでは、可視光に対して透明性を維持できるには、最大25wt%までTb3+とYb3+を添加できることがわかり、そのときのTeO2 とWO3 の組成比は、65mol%≦TeO2 ≦75mol%、25mol%≦WO3 ≦35mol%の範囲であることがわかる。
【0024】
実施例1のテルライトガラスは、所定量のTeO2 、WO3 、Tb4O7 、Yb2O3 を秤量して混合したのち、プラチナ坩堝を用いて酸素と窒素の混合雰囲気下960℃で融解させ、得られた融液を300〜450℃に予熱した鋳型に流し込むことにより作製した。以下の実施例においても、この方法により、Tb3+とYb3+が添加されたテルライトガラスを作製している。
【実施例2】
【0025】
実施例2では、Tb3+とYb3+が添加されTeO2 とWO3 で構成されたテルライトガラスにおいて、TeO2 が68.5mol%、WO3 が31.5mol%であるテルライトガラスを作製した。実施例1より、このテルライトガラスには、最大25wt%までTb3+とYb3+を添加することができる。実施例2のテルライトガラス中のTb3+とYb3+の間に、協同エネルギー移動が生じているかを確認した。
【0026】
Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動は、次のような現象である。
図2は、Tb3+とYb3+のエネルギー準位を示した図である。Tb3+の励起5D4 準位と 7F6 準位のエネルギー間隔は約20492cm-1である。Yb3+の2F7/2 準位と2F5/2 準位のエネルギー間隔は約10267cm-1であり、Tb3+の励起 5D4 準位と 7F6 準位のエネルギー間隔の約1/2である。したがって、Yb3+の励起エネルギー2つ分が協同することにより、Tb3+を 5D4 準位へ励起させることができる。このように、Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動は、Yb3+の励起エネルギーが合わさってTb3+を励起させる現象である。
【0027】
Yb3+の濃度を10wt%にし、Tb3+の濃度を3wt%、5wt%、10wt%と変えた、添加量の異なる3つの実施例2のテルライトガラスについて、Yb3+の励起光源として波長974nmのレーザダイオードを用い、Yb3+を励起させたときの蛍光スペクトルを測定したところ、図3に示す結果を得た。Tb3+の濃度の違いによらず、4つのピークが見られる。波長547nmにピークを持つ蛍光は、Tb3+の D4 準位から F5 準位への放射遷移によるものである。Yb3+を励起させることにより、Tb3+からの蛍光が得られているので、協同エネルギー移動が生じていることが確認された。また、Tb3+の濃度が高いほど、波長547nmの蛍光強度は強く、添加物の濃度と協同エネルギー移動効率には依存関係があることを示している。なお、488nm付近のピークは、Tb3+の D4 準位から F6 準位への放射遷移によるもので、590nm付近のピークは、Tb3+の D4 準位から F4 準位への放射遷移によるもので、625nm付近のピークは、Tb3+の D4 準位から F3 準位への放射遷移によるものである。
【0028】
このように、実施例2のテルライトガラスは、赤外光により励起され、可視光(特に青緑〜緑色光)を放射するアップコンバージョンガラスであることがわかる。
【実施例3】
【0029】
実施例3では、Tb3+とYb3+が添加された、TeO2 が68.5mol%、WO3 が31.5mol%であるテルライトガラスにおいて、さまざまなTb3+とYb3+の濃度のテルライトガラスを作製した。Tb3+からYb3+へのエネルギー移動効率と、Tb3+の濃度、Yb3+の濃度の関係を明らかにするためである。
【0030】
エネルギー移動効率をηとし、Yb3+のみを添加した場合のYb3+の F5/2 準位の蛍光寿命をτY 、Tb3+とYb3+をともに添加した場合のYb3+の F5/2 準位の蛍光寿命をτY-T とすると、エネルギー移動効率ηは、η=(1−τY-T /τY )×100により求められる(ηの単位は、%)。したがって、蛍光寿命τY 、τY-T を測定することにより、エネルギー移動効率ηを求めることができる。蛍光寿命は、実施例3のテルライトガラスに照射密度12W/cm2 、波長974nmの励起光をパルス照射したときに観測されるYb3+からの波長1050nmの蛍光の強度変化から測定する。
【0031】
Tb3+の濃度を10wt%とし、Yb3+の濃度を変化させた場合の蛍光寿命を測定し、エネルギー移動効率ηを求めたところ、図4に示す結果を得た。Yb3+の濃度が0〜10wt%の範囲において、Yb3+の濃度が高いほど、励起効率が高いことが読み取れる。
【0032】
また、Yb3+の濃度を10wt%とし、Tb3+の濃度を変化させた場合の蛍光寿命を測定し、エネルギー移動効率ηを求めたところ、図5に示す結果を得た。図4の結果と同様に、Tb3+の濃度が0〜10wt%の範囲において、Tb3+の濃度が高いほど、励起効率が高いことが読み取れる。
【0033】
最もエネルギー移動効率が高いのは、Yb3+とTb3+の濃度をそれぞれ10wt%とした場合で、約9%である。これを単位エネルギー密度当たりに換算すると、7.5×10-3cm2 /Wであり、非特許文献1に示されている値と比べて3桁以上大きい値である。
【0034】
また、測定した蛍光寿命を元に、エネルギー移動確率とYb3+とTb3+のイオン濃度について考察したところ、図6に示す結果を得た。図6は、Tb3+の濃度を10wt%で固定し、Yb3+の濃度を1〜10wt%の範囲で変化させたときの、WとNYb2 NTbの関係を示している。ここで、Wはエネルギー移動確率をあらわし、η=W×τY-T ×100であることから、Wを計算した。また、NYb、NTbは、それぞれYb3+、Tb3+のイオン濃度(個/cm3 )の値である。図6から、WはNYb2 NTbに比例していることがわかる。
【0035】
以上の結果から、Yb3+とTb3+の濃度が高いほどエネルギー移動効率が高くなり、アップコンバージョンガラスとして有用であることがわかった。
【実施例4】
【0036】
実施例4では、Tb3+とYb3+が添加された、TeO2 が68.5mol%、WO3 が31.5mol%であるテルライトガラスにおいて、Tb3+とYb3+の濃度がそれぞれ5wt%のものと、10wt%のものの2種類を作製した。本発明のテルライトガラスが、光ファイバ化の可能な材料であるかどうかを調べるためである。ファイバ化に対するガラスの熱安定性を調べるためには、示差走査熱量計での測定によりTx−Tgの値を評価すれば良い。ここで、Txは、結晶化開始温度、Tgは、ガラス転移点温度である。Tx−Tgの値は大きいほどよい。光ファイバ母材延伸と線引き工程における加熱に伴うガラスの結晶化を防ぎやすく、低損失な光ファイバを作製できるからである。Tx−Tgは、90℃以上であることが望ましい。
【0037】
Tx−Tgの値は、Tb3+とYb3+の濃度がそれぞれ5wt%のものでは、約105℃、Tb3+とYb3+の濃度がそれぞれ10wt%のものでは、約92℃であった。このように、本発明のテルライトガラスは、光ファイバ化が可能な熱安定性を有していることがわかった。
【0038】
なお、実施例ではガラスの母材としてテルライトガラスを用いているが、本発明はそれに限定されるものではない。Tb3+やYb3+を高濃度に添加できるのであれば、シリケート系ガラスなどを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によるアップコンバージョンガラスは、光増幅媒体などに用いることができ、可視光レーザー光源などの光学装置に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ガラス化範囲についての表。
【図2】Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動の原理を示す図。
【図3】実施例2のテルライトガラスのアップコンバージョンによる蛍光スペクトルの測定図。
【図4】Yb3+の濃度と励起効率の関係を示す図。
【図5】Tb3+の濃度と励起効率の関係を示す図。
【図6】WとNYb2 NTbの関係を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、Tb3+とYb3+が添加された高効率なアップコンバージョンガラスと、そのアップコンバージョンガラスを用いた光増幅媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、青緑色帯の可視光レーザとしては、ヘリウムネオンレーザやアルゴンレーザなどの気体レーザがある。しかし、共振器構造を必要とするため、装置構成が複雑であり、小型化には適さない。また、長波長のレーザ光を非線形光学結晶を用いて高調波変換する方法があるが、非線形光学結晶の劣化による耐久性の点で問題がある。また、短波長の放射遷移を持つ活性イオンを用いる方法があるが、その放射光よりさらに短波長の励起光源を必要とし、そのような光源で効率の良いものがない。また、短波長光源は小型化が難しく、コンパクトなレーザ装置を実現できないため、望ましくない。
【0003】
そこで、希土類イオン間のエネルギー移動によるアップコンバージョンを用いて、長波長の励起光源から、励起光より波長の短いレーザ光を得る方法が検討されている。たとえば、Tb3+は青緑色のスペクトルを有しているので、この方法の適用が期待される。希土類イオン間のエネルギー移動によるアップコンバージョンの原理は、非特許文献1に記載されている。この文献によると、Tb3+とYb3+の間でのアップコンバージョンは、協同エネルギー移動によるものであり、そのエネルギー移動効率は、10-8〜10-6(cm2 /W)であると記されている。Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動について説明すると、Yb3+の励起エネルギー2つが合わさり、その合わさったエネルギーによりTb3+が励起される、という現象である。この文献に記されたエネルギー移動効率の値は非常に小さく、Tb3+とYb3+間での協同エネルギー移動によるアップコンバージョンを用いたレーザの実現は、困難であろうと思われる。
【0004】
また、特許文献1には、Tb3+とYb3+がともに添加された光ファイバによる青緑色レーザ装置が記載されている。光ファイバのガラスの母材としてはシリカが用いられている。Tb3+は20ppm、Yb3+は500ppmを添加したことが示されていて、添加物の濃度は、極めて低い。
【0005】
また、特許文献2には、希土類イオンを高濃度に添加可能なテルライトガラスが記載されている。そのテルライトガラスには、Tb3+とYb3+を添加しても良い旨が記されている。Yb3+については、15質量%まで添加できることが示されているが、Tb3+については、具体的に何質量%まで添加することができるのかは書かれていない。特許文献2のテルライトガラスは、Tb3+とYb3+によるアップコンバージョンを意図したものではなく、Tb3+とYb3+間におけるエネルギー移動については何ら触れられていない。
【特許文献1】特開平8−102586
【特許文献2】特開2004−244280
【非特許文献1】F.Auzel, Chem. Rev. 2004, vol.104, pp139-173
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、Tb3+とYb3+を添加した媒体を用いた波長変換の効率は極めて小さいと考えられていた。そこで、本発明者らは、希土類イオン間のエネルギー移動効率は、希土類イオン間の距離に依存すること、つまり、希土類イオンの濃度に依存することに注目して、Tb3+とYb3+の濃度を増減することにより、協同エネルギー移動効率を向上できるのではないかと考えた。
【0007】
上記いずれの文献においても、Tb3+とYb3+の濃度と協同エネルギー移動効率との依存関係について考察されていない。また、Tb3+とYb3+を添加するのに最適なガラスの材料組成についても不明である。
【0008】
以上より、本発明は、協同エネルギー移動効率を向上するのに適したTb3+とYb3+の濃度を求め、その濃度に適した材料組成であるアップコンバージョンガラスを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、赤外光による励起により可視光を放射するアップコンバージョン用のガラスであって、TbおよびYbが必須成分として添加されていて、Tb3+およびYb3+の質量濃度が、
1wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
であることを特徴とするアップコンバージョンガラスである。
ここで、Tb3+およびYb3+の質量濃度は、ガラスの全質量に対するTb3+およびYb3+の質量割合である。
【0010】
このアップコンバージョンガラスは、Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動を利用したもので、赤外光によりYb3+を励起させ、2つのYb3+の励起エネルギーにより、Tb3+を励起させ、青緑〜緑色の蛍光を放射する。
【0011】
一般に、イオン間の相互作用は、イオン間の距離に依存する。Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動も、Tb3+とYb3+間の相互作用によるものであるから、Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動効率もTb3+とYb3+間の距離に依存する。また、その距離は、Tb3+とYb3+の質量濃度に依存している。そこで、本発明者は、従来考察されていなかったTb3+とYb3+間の協同エネルギー移動効率と、Tb3+とYb3+の質量濃度に、どのような依存関係があるかについて考察したところ、Tb3+とYb3+の質量濃度の合計が、25wt%以下の範囲では、質量濃度の合計が増加すると、協同エネルギー移動効率も増加することがわかった。そこで、第1の発明は、Tb3+とYb3+の質量濃度の合計が25wt%以下、1wt%以上の範囲で、Tb3+とYb3+を高濃度に添加し、協同エネルギー移動効率を高めている。
【0012】
このように、第1の発明によるアップコンバージョンガラスは、従来知られているよりも多くのTb3+とYb3+を添加したことにより、アップコンバージョン変換の効率が高いガラスとなっている。Tb3+とYb3+の質量濃度比は、10:1〜1:10である方がより望ましい。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、Tb3+およびYb3+の質量濃度を、
17wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
としたアップコンバージョンガラスである。
Tb3+およびYb3+の質量濃度は高濃度である方がアップコンバージョン変換の効率をより高くすることができる。そこで、Tb3+とYb3+の質量濃度の合計は、17wt%〜25wt%である方がより望ましい。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、Tb3+およびYb3+の質量濃度を、
20wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
としたアップコンバージョンガラスである。20wt%〜25wt%であるとより一層望ましくなる。
【0015】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明において、Tb3+とYb3+の質量濃度比を、1:10〜10:1の範囲としたアップコンバージョンガラスである。
【0016】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明において、ガラスの母材がTeO2 とWO3 で構成されていて、TeO2 とWO3 の組成割合が、
65mol%≦TeO2 ≦75mol%
25mol%≦WO3 ≦35mol%
であるアップコンバージョンガラスである。
ここで、TeO2 とWO3 の組成割合は、添加物であるTb3+とYb3+を除いた割合である。
【0017】
このような組成のテルライトガラスは、Tb3+とYb3+を質量濃度で最大25wt%まで添加することができる。したがって、Tb3+とYb3+を高濃度に添加するのに適している。
【0018】
第6の発明は、コアおよびクラッドを有する光ファイバまたは光導波路よりなる光増幅媒体であって、コアの材料として、第1の発明から第5の発明のいずれかのアップコンバージョンガラスを用いた光増幅媒体である。
【0019】
第1の発明から第5の発明のいずれのアップコンバージョンガラスも、光ファイバ化が可能な熱安定性を有している。コアとクラッドの比屈折率差は、1%以上であることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明から第3の発明では、Tb3+およびYb3+の質量濃度を高くすることにより、アップコンバージョン変換の効率を高くしている。さらに、第4の発明のようなTb3+とYb3+の質量濃度比とすることで、より変換効率は高くなる。
また、第5の発明のテルライトガラスには、Tb3+およびYb3+を質量濃度で25wt%まで添加できるので、Tb3+、Yb3+を高濃度に添加するのに適している。
また、いずれの発明のガラスでも、光ファイバ化が可能な熱安定性を有しているので、光ファイバや光導波路の材料として用いることができ、それらの光ファイバや光導波路は、光増幅媒体として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
実施例1では、Tb3+とYb3+が添加されTeO2 とWO3 で構成されたテルライトガラスを作製した。TeO2 とWO3 の組成比を変えたNo.1〜7のガラスに対し、Tb3+とYb3+の添加量を0〜30wt%まで変化させ、ガラス化範囲について調べたところ、図1の表に示す結果を得た。○印は、可視光に対して透明なガラスであったもの、×印は不透明なガラスであったものを示している。なお、ガラスの組成比については、添加物を除いた組成割合をmol%で表し、Tb3+とYb3+の添加量については、添加物を含めた全ガラスの質量に対する添加物全体の質量の割合(質量%、wt%と記す)である。また、Tb3+とYb3+は、1:1の質量比としている。
【0023】
この図1の表から、No.3〜6の組成比のテルライトガラスでは、可視光に対して透明性を維持できるには、最大25wt%までTb3+とYb3+を添加できることがわかり、そのときのTeO2 とWO3 の組成比は、65mol%≦TeO2 ≦75mol%、25mol%≦WO3 ≦35mol%の範囲であることがわかる。
【0024】
実施例1のテルライトガラスは、所定量のTeO2 、WO3 、Tb4O7 、Yb2O3 を秤量して混合したのち、プラチナ坩堝を用いて酸素と窒素の混合雰囲気下960℃で融解させ、得られた融液を300〜450℃に予熱した鋳型に流し込むことにより作製した。以下の実施例においても、この方法により、Tb3+とYb3+が添加されたテルライトガラスを作製している。
【実施例2】
【0025】
実施例2では、Tb3+とYb3+が添加されTeO2 とWO3 で構成されたテルライトガラスにおいて、TeO2 が68.5mol%、WO3 が31.5mol%であるテルライトガラスを作製した。実施例1より、このテルライトガラスには、最大25wt%までTb3+とYb3+を添加することができる。実施例2のテルライトガラス中のTb3+とYb3+の間に、協同エネルギー移動が生じているかを確認した。
【0026】
Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動は、次のような現象である。
図2は、Tb3+とYb3+のエネルギー準位を示した図である。Tb3+の励起5D4 準位と 7F6 準位のエネルギー間隔は約20492cm-1である。Yb3+の2F7/2 準位と2F5/2 準位のエネルギー間隔は約10267cm-1であり、Tb3+の励起 5D4 準位と 7F6 準位のエネルギー間隔の約1/2である。したがって、Yb3+の励起エネルギー2つ分が協同することにより、Tb3+を 5D4 準位へ励起させることができる。このように、Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動は、Yb3+の励起エネルギーが合わさってTb3+を励起させる現象である。
【0027】
Yb3+の濃度を10wt%にし、Tb3+の濃度を3wt%、5wt%、10wt%と変えた、添加量の異なる3つの実施例2のテルライトガラスについて、Yb3+の励起光源として波長974nmのレーザダイオードを用い、Yb3+を励起させたときの蛍光スペクトルを測定したところ、図3に示す結果を得た。Tb3+の濃度の違いによらず、4つのピークが見られる。波長547nmにピークを持つ蛍光は、Tb3+の D4 準位から F5 準位への放射遷移によるものである。Yb3+を励起させることにより、Tb3+からの蛍光が得られているので、協同エネルギー移動が生じていることが確認された。また、Tb3+の濃度が高いほど、波長547nmの蛍光強度は強く、添加物の濃度と協同エネルギー移動効率には依存関係があることを示している。なお、488nm付近のピークは、Tb3+の D4 準位から F6 準位への放射遷移によるもので、590nm付近のピークは、Tb3+の D4 準位から F4 準位への放射遷移によるもので、625nm付近のピークは、Tb3+の D4 準位から F3 準位への放射遷移によるものである。
【0028】
このように、実施例2のテルライトガラスは、赤外光により励起され、可視光(特に青緑〜緑色光)を放射するアップコンバージョンガラスであることがわかる。
【実施例3】
【0029】
実施例3では、Tb3+とYb3+が添加された、TeO2 が68.5mol%、WO3 が31.5mol%であるテルライトガラスにおいて、さまざまなTb3+とYb3+の濃度のテルライトガラスを作製した。Tb3+からYb3+へのエネルギー移動効率と、Tb3+の濃度、Yb3+の濃度の関係を明らかにするためである。
【0030】
エネルギー移動効率をηとし、Yb3+のみを添加した場合のYb3+の F5/2 準位の蛍光寿命をτY 、Tb3+とYb3+をともに添加した場合のYb3+の F5/2 準位の蛍光寿命をτY-T とすると、エネルギー移動効率ηは、η=(1−τY-T /τY )×100により求められる(ηの単位は、%)。したがって、蛍光寿命τY 、τY-T を測定することにより、エネルギー移動効率ηを求めることができる。蛍光寿命は、実施例3のテルライトガラスに照射密度12W/cm2 、波長974nmの励起光をパルス照射したときに観測されるYb3+からの波長1050nmの蛍光の強度変化から測定する。
【0031】
Tb3+の濃度を10wt%とし、Yb3+の濃度を変化させた場合の蛍光寿命を測定し、エネルギー移動効率ηを求めたところ、図4に示す結果を得た。Yb3+の濃度が0〜10wt%の範囲において、Yb3+の濃度が高いほど、励起効率が高いことが読み取れる。
【0032】
また、Yb3+の濃度を10wt%とし、Tb3+の濃度を変化させた場合の蛍光寿命を測定し、エネルギー移動効率ηを求めたところ、図5に示す結果を得た。図4の結果と同様に、Tb3+の濃度が0〜10wt%の範囲において、Tb3+の濃度が高いほど、励起効率が高いことが読み取れる。
【0033】
最もエネルギー移動効率が高いのは、Yb3+とTb3+の濃度をそれぞれ10wt%とした場合で、約9%である。これを単位エネルギー密度当たりに換算すると、7.5×10-3cm2 /Wであり、非特許文献1に示されている値と比べて3桁以上大きい値である。
【0034】
また、測定した蛍光寿命を元に、エネルギー移動確率とYb3+とTb3+のイオン濃度について考察したところ、図6に示す結果を得た。図6は、Tb3+の濃度を10wt%で固定し、Yb3+の濃度を1〜10wt%の範囲で変化させたときの、WとNYb2 NTbの関係を示している。ここで、Wはエネルギー移動確率をあらわし、η=W×τY-T ×100であることから、Wを計算した。また、NYb、NTbは、それぞれYb3+、Tb3+のイオン濃度(個/cm3 )の値である。図6から、WはNYb2 NTbに比例していることがわかる。
【0035】
以上の結果から、Yb3+とTb3+の濃度が高いほどエネルギー移動効率が高くなり、アップコンバージョンガラスとして有用であることがわかった。
【実施例4】
【0036】
実施例4では、Tb3+とYb3+が添加された、TeO2 が68.5mol%、WO3 が31.5mol%であるテルライトガラスにおいて、Tb3+とYb3+の濃度がそれぞれ5wt%のものと、10wt%のものの2種類を作製した。本発明のテルライトガラスが、光ファイバ化の可能な材料であるかどうかを調べるためである。ファイバ化に対するガラスの熱安定性を調べるためには、示差走査熱量計での測定によりTx−Tgの値を評価すれば良い。ここで、Txは、結晶化開始温度、Tgは、ガラス転移点温度である。Tx−Tgの値は大きいほどよい。光ファイバ母材延伸と線引き工程における加熱に伴うガラスの結晶化を防ぎやすく、低損失な光ファイバを作製できるからである。Tx−Tgは、90℃以上であることが望ましい。
【0037】
Tx−Tgの値は、Tb3+とYb3+の濃度がそれぞれ5wt%のものでは、約105℃、Tb3+とYb3+の濃度がそれぞれ10wt%のものでは、約92℃であった。このように、本発明のテルライトガラスは、光ファイバ化が可能な熱安定性を有していることがわかった。
【0038】
なお、実施例ではガラスの母材としてテルライトガラスを用いているが、本発明はそれに限定されるものではない。Tb3+やYb3+を高濃度に添加できるのであれば、シリケート系ガラスなどを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によるアップコンバージョンガラスは、光増幅媒体などに用いることができ、可視光レーザー光源などの光学装置に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ガラス化範囲についての表。
【図2】Tb3+とYb3+間の協同エネルギー移動の原理を示す図。
【図3】実施例2のテルライトガラスのアップコンバージョンによる蛍光スペクトルの測定図。
【図4】Yb3+の濃度と励起効率の関係を示す図。
【図5】Tb3+の濃度と励起効率の関係を示す図。
【図6】WとNYb2 NTbの関係を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光による励起により可視光を放射するアップコンバージョン用のガラスであって、
Tb3+およびYb3+が必須成分として添加され、
前記Tb3+および前記Yb3+の質量濃度が、
1wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
であることを特徴とするアップコンバージョンガラス。
【請求項2】
前記Tb3+および前記Yb3+の質量濃度が、
17wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
であることを特徴とする請求項1に記載のアップコンバージョンガラス。
【請求項3】
前記Tb3+および前記Yb3+の質量濃度が、
20wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
であることを特徴とする請求項2に記載のアップコンバージョンガラス。
【請求項4】
前記Tb3+と前記Yb3+の質量濃度比が、
1:10〜10:1の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアップコンバージョンガラス。
【請求項5】
前記ガラスの母材が、TeO2 とWO3 で構成され、
前記TeO2 と前記WO3 の組成割合が、
65mol%≦TeO2 ≦75mol%
25mol%≦WO3 ≦35mol%
であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のアップコンバージョンガラス。
【請求項6】
コアおよびクラッドを有する光ファイバまたは光導波路よりなる光増幅媒体であって、
前記コアの材料として、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアップコンバージョンガラスが用いられていることを特徴とする光増幅媒体。
【請求項1】
赤外光による励起により可視光を放射するアップコンバージョン用のガラスであって、
Tb3+およびYb3+が必須成分として添加され、
前記Tb3+および前記Yb3+の質量濃度が、
1wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
であることを特徴とするアップコンバージョンガラス。
【請求項2】
前記Tb3+および前記Yb3+の質量濃度が、
17wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
であることを特徴とする請求項1に記載のアップコンバージョンガラス。
【請求項3】
前記Tb3+および前記Yb3+の質量濃度が、
20wt%≦(Tb3+の質量濃度+Yb3+の質量濃度)≦25wt%
であることを特徴とする請求項2に記載のアップコンバージョンガラス。
【請求項4】
前記Tb3+と前記Yb3+の質量濃度比が、
1:10〜10:1の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアップコンバージョンガラス。
【請求項5】
前記ガラスの母材が、TeO2 とWO3 で構成され、
前記TeO2 と前記WO3 の組成割合が、
65mol%≦TeO2 ≦75mol%
25mol%≦WO3 ≦35mol%
であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のアップコンバージョンガラス。
【請求項6】
コアおよびクラッドを有する光ファイバまたは光導波路よりなる光増幅媒体であって、
前記コアの材料として、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアップコンバージョンガラスが用いられていることを特徴とする光増幅媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2008−28260(P2008−28260A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201153(P2006−201153)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年3月17日発行の「豊田工業大学ハイテク・リサーチ・センター 先端フォトンテクノロジー研究センター 第7回シンポジウム予稿集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年3月22日 社団法人応用物理学会発行の「2006年(平成18年)春季 第53回応用物理学関係連合講演会予稿集 第0分冊・第2分冊」に発表
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(592032636)学校法人トヨタ学園 (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年3月17日発行の「豊田工業大学ハイテク・リサーチ・センター 先端フォトンテクノロジー研究センター 第7回シンポジウム予稿集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年3月22日 社団法人応用物理学会発行の「2006年(平成18年)春季 第53回応用物理学関係連合講演会予稿集 第0分冊・第2分冊」に発表
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(592032636)学校法人トヨタ学園 (57)
【Fターム(参考)】
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