説明

アップリンク干渉源位置特定装置及びその方法

【課題】 アップリンク干渉源の位置を短時間で容易にかつ精度よく特定可能とする。
【解決手段】 2つの受信アンテナ10〜11で、2つの衛星経由のダウンリンクを受信し、2系統での受信信号を同時にADサンプリングしてデジタルデータを取得し、相関処理部40にて、到達時間差、ドップラ周波数差を算出するための相関処理を行う。一方、衛星位置算出処理部50にて、電波を受信している2衛星の測定した時刻における位置を算出する。発射源位置推定処理部60にて、相関処理部40で得た到達時間差、ドップラシフト周波数差の情報と、衛星位置算出処理部50で得た測定時刻における衛星位置、速度の情報を用いて、地上局の位置を推定し、表示部70にて、到達時間差の軌跡とドップラ周波数差の軌跡との交点の座標を地図上にプロットして、電波発射源の位置推定結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星通信などにおいて、干渉波をアップリンクする発射源の位置を推定し、その位置を特定可能なように表示するアップリンク干渉源位置特定装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星通信等で、地上局から衛星に向けて電波を発射するアップリンクにおいて、送信する方向、周波数、時間等を誤って送信してしまうことにより、運用している別の放送・通信に干渉を与えてしまうことがたびたび発生している。
【0003】
この問題に対し、従来、衛星にアップリンクしている地上局の位置を容易に特定する技術はないが、地上局からのアップリンク波を2衛星経由で受信できる場合に限り、位置を特定できることが分かっている。位置的に離れた2衛星からのダウンリンクを受信し、到達時間差、衛星運動によるドップラ周波数差を測定し、測定時刻の衛星位置/速度を考慮することにより、地上局の位置が特定可能である。
【0004】
しかしながら、この方法には以下のような技術的な課題がある。まず、2つの衛星からのダウンリンクを受信するが、衛星通信で用いられる送信アンテナのビームパターンは、パラボラアンテナの口径が大きくなるとビームが狭くなるため、2つの衛星の位置が離れている場合、少なくともどちらか一方は非常に微弱な電波となる。また、2つの衛星は、静止衛星であっても常にそれぞれ運動をしており、受信信号のドップラシフト量が異なるため、受信周波数に差が生じる。さらに、2つのアンテナの設置場所が離れており、伝送線路の長さを同一にできない場合がある。
【0005】
このように、2つの衛星経由の受信信号は、周波数が異なる上に、どちらか一方が非常に微弱な信号であるため、単純な相関処理では、到達時間差の検出が不可能である。また、伝送線路の長さにより遅延時間が発生し、到達時間差算出の際の誤差要因となる。特に、到達時間差、ドップラ周波数差の算出には、周波数差を考慮した相関処理を行うことで可能となるが、微弱な受信信号との相関処理で到達時間差を算出するためには、処理するADサンプルデータの数を増やし、処理利得を大きくする必要がある。そのため、相関処理の計算量は増大し、処理時間が非常にかかるという問題があった。
【0006】
尚、特許文献1及び2には、2衛星のダウンリンクを受信することによる発射源の位置を特定するための方法及び装置が記載されているが、本発明で課題対象とする処理の高速化、到達時間差の補正のための方法及び装置については、開示されていない。
【特許文献1】特表2000−512380公報
【特許文献2】特表2003−507747公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上述べたように、衛星通信などにおいて、干渉波をアップリンクする発射源の位置を推定することは極めて困難であった。
【0008】
本発明は上記の課題を解決し、アップリンク干渉源の位置を短時間で容易にかつ精度よく特定することができるアップリンク干渉源位置特定装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明に係るアップリンク干渉源位置特定装置は、第1及び第2の衛星経由のダウンリンクを受信する第1及び第2の受信アンテナと、前記第1及び第2の受信アンテナそれぞれの受信信号を同時にアナログ・デジタル変換して第1及び第2の受信データを取得するアナログ・デジタル変換手段と、前記第1及び第2の受信データについて相関処理を行って前記第1及び第2の衛星経由のダウンリンクの到達時間差、ドップラ周波数差を算出する相関処理手段と、前記相関処理について相関処理する計算範囲を徐々に絞り込む計算範囲制御手段と、前記ダウンリンクの電波を受信している2衛星の測定した時刻における位置を算出する衛星位置算出処理手段と、前記相関処理手段で得られた到達時間差、ドップラシフト周波数差の情報と、前記衛星位置算出処理手段で得られた測定時刻における衛星位置、速度の情報を用いて、地上局の位置を推定する発射源位置推定処理手段と、前記地上局の位置の推定結果から到達時間差の軌跡とドップラ周波数差の軌跡との交点の座標を地図上にプロットして、電波発射源の位置推定結果を表示する表示手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
前記相関処理手段は、前記計算範囲制御手段の代わりに相関処理する計算の範囲を複数の計算機により分担し、並列処理することを特徴とする。
【0011】
前記発射源位置推定処理手段は、前記相関処理手段で得られる到達時間差の算出時の誤差を補正した上で推定処理を実行することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るアップリンク干渉源位置特定方法は、第1及び第2の衛星経由のダウンリンクを2つの受信アンテナで受信して同時にアナログ・デジタル変換して第1及び第2の受信データを得る受信過程と、前記第1及び第2の受信データについて相関処理を行って前記第1及び第2の衛星経由のダウンリンクの到達時間差、ドップラ周波数差を算出する相関処理過程と、前記相関処理について相関処理する計算範囲を徐々に絞り込む計算範囲制御過程と、前記ダウンリンクの電波を受信している2衛星の測定した時刻における位置を算出する衛星位置算出処理過程と、前記相関処理過程で得られた到達時間差、ドップラシフト周波数差の情報と、前記衛星位置算出処理過程で得られた測定時刻における衛星位置、速度の情報を用いて、地上局の位置を推定する発射源位置推定処理過程と、前記地上局の位置の推定結果から到達時間差の軌跡とドップラ周波数差の軌跡との交点の座標を地図上にプロットして、電波発射源の位置推定結果を表示する表示過程とを具備することを特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明に係るアップリンク干渉源位置特定装置及びその方法は、ある衛星へ向けてアップリンクした電波のダウンリンクと、近傍にある別の衛星による同じ電波のダウンリンクを2つの受信アンテナで受信し処理することにより、発射源の位置を推定するに際し、到達時間差、ドップラ周波数差を算出する相関処理を実行し、相関処理する計算の範囲を徐々に絞り込むことにより計算時間を短縮することを特徴とする。
【0014】
また、ある衛星へ向けてアップリンクした電波のダウンリンクと、近傍にある別の衛星による同じ電波のダウンリンクを2つの受信アンテナで受信し処理することにより、発射源の位置を推定するシステムにおいて、到達時間差、ドップラ周波数差を算出する相関処理部を備え、相関処理する計算の範囲を複数の計算機により分担し、並列処理することにより、計算時間を短縮することを特徴とする。
【0015】
また、ある衛星へ向けてアップリンクした電波のダウンリンクと、近傍にある別の衛星による同じ電波のダウンリンクを2つの受信アンテナで受信し処理することにより、発射源の位置を推定するシステムにおいて、2つの受信アンテナで同一衛星の同一電波を受信することにより到達時間差算出時の誤差を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アップリンク干渉源の位置を短時間で容易に特定することができるアップリンク干渉源位置特定装置及びその方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアップリンク干渉源位置特定装置の構成を概略的に示すブロック図である。この装置は、受信アンテナ10〜11、周波数変換部20、AD変換部30、相関処理部40、衛星位置計算処理部50、発射源位置推定処理部60、及び表示部70から構成されている。
【0019】
受信アンテナ10〜11は、同一周波数帯を測定可能な受信アンテナである。アンテナの形状・種類、アンテナを配置するための間隔などは、測定対象、測定目的などにより任意であるが、衛星からの微弱な電波を受信可能で十分な開口面の大きさを持つパラボラアンテナが望ましい。
【0020】
周波数変換部20は、衛星からの受信信号をAD変換可能な中間周波数へ変換する。2系統の受信系において、共通のローカル信号を用いることが望ましい。
【0021】
AD変換部30は、2系統の受信信号を同時にサンプリングできるものを使用する。サンプリング周波数、ダイナミックレンジ等は、受信信号により適切に選択する必要がある。
【0022】
全体の処理フローを図2に示す。
【0023】
図2において、ステップ11では、2つの受信アンテナ10〜11で、2つの衛星経由のダウンリンクを受信し、2系統での受信信号を同時にADサンプリングして、デジタルデータを取得する。
【0024】
ステップ12では、相関処理部40において、到達時間差、ドップラ周波数差を算出するための相関処理を行う。
【数1】

【0025】
ここで、s 、s は、2アンテナでの受信信号を示している。Tは測定時間を示している。また、τとνはそれぞれ到達時間差、周波数差を示すパラメータである。到達時間差、ドップラシフト周波数差は、|F(τ、ν)|を最大とするτ、νを推定することにより求まる。
【0026】
相関処理による処理利得は、相関処理に用いるADサンプリングデータの数Nに比例するため、処理利得50dBを得るためには、100,000ポイントのADサンプリングデータが必要である。しかしながら、計算量は、ADサンプリング数Nの2乗に比例するため、ADサンプリング数を2倍にすると計算量及び計算時間は4倍となる。
【0027】
さらに(1)式において、周波数差のパラメータνを考慮する。νについて計算すべき周波数範囲をMポイントで計算する場合を考えると、計算量はMに比例する。
【0028】
したがって、相関処理Fは、ADサンプリング数Nの2乗と周波数差のパラメータνの計算数Mに比例し、N、Mを増やし、それなりに精度良く計算しようとすると、計算量は膨大になり、処理時間に何十時間もかかることになる。
【0029】
相関処理Fは、時間のパラメータτについては非常に敏感に反応するが、周波数fのパラメータには緩やかに反応する。そのため、パラメータτについては、データを間引くことができないが、パラメータνについては、ある程度間引くことができる。パラメータτについては、データを間引くことにより相関ピークを見失うことが考えられるが、パラメータνについてはある程度間引いても相関ピークを見失うことはない。
【0030】
図3に上記相関処理フローを示す。
【0031】
ステップ101で時間のパラメータτ、周波数のパラメータの計算範囲を以下のように決める。
τについては、τminからτmaxまでnサンプル計算する。
νについては、νminからνmaxまでmサンプル計算する。
【0032】
ステップ102では、ステップ101で決めた計算範囲について相関処理Fを計算する。相関値|F|が最大値となるときのτをτ、νをνとする。
【0033】
ステップ103では、νの範囲を狭め、τ=τ固定で相関処理Fを計算する。
【0034】
νの計算範囲を以下のように決定する。
【0035】
新しいνmaxを、ν+(νmax−νmin)/αとνmaxの大きいほうに決める。
【0036】
新しいνminを、ν−(νmax−νmin)/αとνminの小さいほうに決める。
【0037】
αは、1より大きい数としてνの範囲を狭める速さを決めるパラメータである。
【0038】
必要な回数だけステップ103を繰り返すことにより、νの範囲は指数的に狭くしていくことが可能となり、早く収束する。
【0039】
図2に戻り、ステップ13では、衛星位置算出処理部50において、電波を受信している2衛星の測定した時刻における位置をなるべく正確に算出する。正確な軌道要素・軌道情報を入手するか、別の測定系によりADデータ取得時の衛星の位置と速度を測定するなどが必要となる。
【0040】
ステップ14では、発射源位置推定処理部60において、相関処理部40で得た到達時間差、ドップラシフト周波数差の情報と、衛星位置算出処理部50で得た測定時刻における衛星位置、速度の情報を用いて、地上局の位置を推定する。
【0041】
図4に発射源位置推定処理のアルゴリズムを示す。
【0042】
ステップ201では、到達時間差による軌跡を算出する。
【0043】
電波発射源Xの位置ベクトルをxはベクトルを表す)とし、2衛星A、Bの位置ベクトルをそれぞれp、pBとし、受信点Qの位置ベクトルをqとしたときに、
【数2】

【0044】
を満たすxの軌跡を求める。ΔTは、到達時間差、cは光速を表す。到達時間差ΔTの符号は、衛星B経由の電波が到達した時間を基準としている。
【0045】
ステップ202では、ドップラ周波数差による軌跡を算出する。上記のように、電波発射源Xの位置ベクトルをx~とし、2衛星A、Bの位置ベクトルをそれぞれp、pBとし、受信点Qの位置ベクトルをq、2衛星A、Bの速度ベクトルをそれぞれV、Vとしたときに、電波発射源Xから発射された電波が衛星A、Bで受信されるときのドップラ周波数を算出する。
【0046】
さらに、衛星においてアップリンク周波数をダウンリンク周波数に変換されるローカル信号の周波数を考慮する。さらに衛星A、Bからダウンリンクとして発射された電波が受信点Qで受信されるときのドップラ周波数を考慮する。
【0047】
以上を考慮して、受信点Qにおける2衛星経由のドップラ周波数差が測定されたドップラ周波数差となる電波発射源Xの軌跡を算出する。
【0048】
ステップ203では、ステップ201、ステップ202で算出した到達時間差の軌跡、ドップラ周波数差の軌跡の交点の座標を算出する。
【0049】
図2に戻り、ステップ15では、表示部70において、ステップ203で算出された到達時間差の軌跡とドップラ周波数差の軌跡との交点の座標を地図上にプロットして、電波発射源の位置推定結果を表示する。到達時間差の軌跡とドップラ周波数差の軌跡も合わせて表示する。
【0050】
以上のように、上記構成によるアップリンク干渉源位置特定装置によれば、アップリンク干渉源の位置を短時間で容易に特定することができるようになる。
【0051】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態の構成装置において、相関処理Fは、ADサンプリング数Nの2乗と周波数差のパラメータνの計算数Mに比例し、N、Mを増やし、それなりに精度良く計算しようとすると、計算量は膨大になり、処理時間に何十時間もかかることになる。
【0052】
但し、相関処理Fは、単純な計算を繰返し行うため計算時間がかかるものである。そのため、計算する範囲を複数の計算機に分担させ、並列処理を行うことができれば、計算時間は計算機数に反比例して減少する。
【0053】
相関処理Fは、容易に時間のパラメータτ、周波数のパラメータνについて分担する範囲を決めることができ、分担に配送するデータも2系統分のADサンプリングデータのみで済むため、並列処理に向いている。
【0054】
そこで、本発明に係る第2の実施形態として、図1に示した相関処理部40を複数の計算機で並列に処理するハードウェアを備えたアップリンク干渉源位置特定装置を提案する。
【0055】
図6は本発明が適用される相関処理部40の内部構成ブロック図を示す。デジタルデータ配信部401、相関処理分担部1〜M(4021〜402M)、相関処理結果合成処理部403から構成される。
【0056】
図7に相関処理フローを示す。
【0057】
ステップ301では、デジタルデータ配信部401において、2系統の受信信号のADサンプリングデータを、相関処理分担1〜M(4021〜402M)に配信する。配信するデータは、各分担に対し同一のデータとなる。各分担では、相関処理を行う範囲が明確となっている。
【0058】
ステップ302では、相関処理分担1〜M(4021〜402M)の各分担で、担当する範囲について相関処理を計算する。相関処理結果を後段の相関処理結果合成処理部403へ配信する。
【0059】
ステップ303で、相関処理結果合成処理部403において、各分担からの相関処理結果を集め、合成して全ての範囲についての相関処理結果を作成する。
【0060】
本実施形態において、発射源位置推定処理のアルゴリズムは先に述べた第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
上記構成によれば、相関処理部の処理がより高速に計算可能となるため、アップリンク干渉源の位置をさらに短時間で特定することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
ところで、上記第1及び第2の実施形態の装置では、いずれも2つの衛星経由の電波を2つの受信アンテナで受信するが、2つのアンテナの設置場所が離れており、伝送線路の長さを同一にできない場合には、伝送線路の長さにより遅延時間が発生し、到達時間差算出の際の誤差要因となる。このため、発射源位置の推定処理の精度が低下してしまう。
【0063】
そこで、本発明に係る第3の実施形態として、図7に示すように、図1に示す発射源位置推定処理部60に到達時間差の補正値を算出するための機能を追加する。
【0064】
全体の処理フローは、図8に示すように、ステップ13まで図2に示したフローと同じであり、2つの受信アンテナ10,11で、1つの衛星経由の同一のダウンリンクを受信し、2系統での受信信号を同時にADサンプリングして、デジタルデータを取得し、相関処理部40で、到達時間差、ドップラ周波数差を算出するための相関処理を行い、衛星位置計算処理部50で、電波を受信している一つの衛星の測定した時刻における位置を算出する。
【0065】
発射源位置推定処理60では、まず、ステップ141で、相関処理部40で得た到達時間差の情報と、衛星位置計算処理部50で得た測定時刻における衛星位置の情報を用いて、受信アンテナ10,11の伝送線路の経路長の違いによる到達時間差の補正値を得る。続いて、ステップ142で、到達時間差の補正値により、相関処理部40で得られる到達時間差を補正した後、先の実施形態で述べた発射源位置推定処理を行う。
【0066】
上記補正値は、以下の処理によって求められる。すなわち、電波発射源Xの位置ベクトルをxとし、衛星の位置ベクトルをそれぞれpとする。受信点の位置ベクトルをq、q2としたときに、
【数3】

【0067】
を満たす補正値δを求める。ΔTは到達時間差、cは光速を表す。
【0068】
補正値δを用いて、衛星の到達時間差を補正することで、より正確な発射源推定が可能となる。したがって、本実施形態によれば、到達時間差補正値を算出することができ、この値を用いることにより、より正確にアップリンク干渉源位置特定することができるようになる。
【0069】
本発明は、干渉波の発射源を発見することを目的とする電波監視分野など様々な分野で応用可能である。
【0070】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施形態に関わるアップリンク干渉源位置特定装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示す装置の全体の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図1に示す装置の相関処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1に示す装置の発射源位置推定処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態として、図1に示す相関処理部の内部ブロック構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す相関処理部の相関処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態として、図1に示す装置に到達時間差補正値算出処理を加えた構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7に示す装置の全体の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
10,11…受信アンテナ、
20…周波数変換部、
30…AD変換部、
40…相関処理部、
50…衛星位置算出処理部、
60…発射源位置推定処理部、
70…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の衛星経由のダウンリンクを受信する第1及び第2の受信アンテナと、
前記第1及び第2の受信アンテナそれぞれの受信信号を同時にアナログ・デジタル変換して第1及び第2の受信データを取得するアナログ・デジタル変換手段と、
前記第1及び第2の受信データについて相関処理を行って前記第1及び第2の衛星経由のダウンリンクの到達時間差、ドップラ周波数差を算出する相関処理手段と、
前記相関処理について相関処理する計算範囲を徐々に絞り込む計算範囲制御手段と、
前記ダウンリンクの電波を受信している2衛星の測定した時刻における位置を算出する衛星位置算出処理手段と、
前記相関処理手段で得られた到達時間差、ドップラシフト周波数差の情報と、前記衛星位置算出処理手段で得られた測定時刻における衛星位置、速度の情報を用いて、地上局の位置を推定する発射源位置推定処理手段と、
前記地上局の位置の推定結果から到達時間差の軌跡とドップラ周波数差の軌跡との交点の座標を地図上にプロットして、電波発射源の位置推定結果を表示する表示手段と
を具備することを特徴とするアップリンク干渉源位置特定装置。
【請求項2】
前記相関処理手段は、前記計算範囲制御手段の代わりに相関処理する計算の範囲を複数の計算機により分担し、並列処理することを特徴とする請求項1記載のアップリンク干渉源位置特定装置。
【請求項3】
前記発射源位置推定処理手段は、前記相関処理手段で得られる到達時間差の算出時の誤差を補正した上で推定処理を実行することを特徴とする請求項1記載のアップリンク干渉源位置特定装置。
【請求項4】
第1及び第2の衛星経由のダウンリンクを2つの受信アンテナで受信して同時にアナログ・デジタル変換して第1及び第2の受信データを得る受信過程と、
前記第1及び第2の受信データについて相関処理を行って前記第1及び第2の衛星経由のダウンリンクの到達時間差、ドップラ周波数差を算出する相関処理過程と、
前記相関処理について相関処理する計算範囲を徐々に絞り込む計算範囲制御過程と、
前記ダウンリンクの電波を受信している2衛星の測定した時刻における位置を算出する衛星位置算出処理過程と、
前記相関処理過程で得られた到達時間差、ドップラシフト周波数差の情報と、前記衛星位置算出処理過程で得られた測定時刻における衛星位置、速度の情報を用いて、地上局の位置を推定する発射源位置推定処理過程と、
前記地上局の位置の推定結果から到達時間差の軌跡とドップラ周波数差の軌跡との交点の座標を地図上にプロットして、電波発射源の位置推定結果を表示する表示過程と
を具備することを特徴とするアップリンク干渉源位置特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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