説明

アトルバスタチン、薬学的に許容し得るその塩及びその中間体の製造方法

【課題】アトルバスタチン、薬学的に許容し得るその塩及びその中間体のアルドラーゼを使用する新規な製造方法を提供する。
【解決手段】以下のステップを含む、製造方法:(a)アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成し;(b)前記ラクトールを対応するラクトンに酸化し;そして(c)前記ラクトンをアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の生成に充分な条件に供する。そのように製造された化合物はHMG−CoAレダクターゼの阻害剤として有用であり、そのため脂質低下剤及びコレステロール低下剤として使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アトルバスタチン、薬学的に許容し得るその塩及びその中間体のアルドラーゼを使用する新規な製造方法に関する。そのように製造された化合物はHMG−CoAレダクターゼの阻害剤として有用であり、そのため脂質低下剤及びコレステロール低下剤として使用され得る。
【背景技術】
【0002】
高濃度の血中コレステロール及び血中脂質はアテローム性動脈硬化症の発症に関与する状態である。HMG−CoAのメバロン酸への変換はコレステロール生合成経路における初期且つ律速段階である。この段階は酵素HMG−CoAレダクターゼによって触媒される。HMG−CoAレダクターゼの阻害剤は、ヒトの低密度リポ蛋白質コレステロール(LDL−C)の血漿中濃度を低下させるのに有効なことが知られている(M.S.BrownとJ.L.Goldstein、New England Journal of Medicine、305巻、第9号、515〜517頁、(1981)参照)。LDL−C濃度を低下させると虚血性心疾患が予防されることが確認されている(Journal of the American Medical Association、251巻、第3号、351〜374頁(1984)参照)。
【0003】
様々な程度においてスタチン類はHMG−CoAレダクターゼと相互作用し、そして/又は、HMG−CoAのメバロン酸への変換を触媒することを阻害する。そのようなことから、スタチン類は集合的に強力な脂質低下剤である。そのため、スタチン類は多くの脂質疾患の処置において第一に選択される薬物である。一つの代表的なスタチンはアトルバスタチン(atorvastatin)である。他の代表的なスタチンにはロバスタチン(lovastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、シンバスタチン(simvastatin)及びロスバスタチン(rosuvastatin)が含まれる。
【0004】
アトルバスタチン及び薬学的に許容し得るその塩はHMG−CoAレダクターゼの選択的な拮抗阻害剤である。アトルバスタチンカルシウムは現在ではリピトール(Lipitor(登録商標))として市販されており、化学名[R−(R、R)]−2−(4−フルオロフェニル)−β、δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)3水和物及び式:
【0005】
【化1】

【0006】
を有する。
そのようにしてアトルバスタチンカルシウムは強力な脂質低下化合物であり、そのため脂質低下剤及び/又はコレステロール低下剤として有用である。アトルバスタチンカルシウムは骨粗鬆症、前立腺肥大症(BPH)及びアルツハイマー病の治療においてもまた有用である。
【0007】
アトルバスタチン、アトルバスタチン製剤、並びにアトルバスタチン製造のための方法及び主要な中間体を記載する特許及び公開された国際特許出願が多数発行されている。これらには、米国特許番号第4,681,893号、第5,003,080号、第5,097,045号、第5,103,024号、第5,124,482号、第5,149,837号、第5,155,251号、第5,216,174号、第5,245,047号、第5,248,793号、第5,273,995号、第5,280,126号、第5,298,627号、第5,342,952号、第5,397,792号、第5,446,054号、第5,470,981号、第5,489,690号、第5,489,691号、第5,510,488号、第5,686,104号、第5,969,156号、第5,998,633号、第6,087,511号、第6,121,461号、第6,126,971号、第6,433,213号、第6,476,235号、第6,528,660号、第6,600,051号、第6,605,759号、第6,613,916号、第6,646,133号、第6,730,797号、第6,867,306号、第6,891,047号、WO99/32434号、WO01/36384号、WO02/41834号、WO02/43667号、WO02/43732号、WO02/051804号、WO02/057228号、WO02/057229号、WO02/057274号、WO02/059087号、WO02/083637号、WO02/083638号、WO03/011826号、WO03/050085号、WO03/07072号、及びWO04/022053号が含まれる。
【0008】
化学酵素的方法におけるアルドラーゼのDERA(デオキシリボースアルドラーゼ)ファミリーの使用が記載されている。米国特許番号第5,795,749号、WO03/006656、WO2004/027075、WO2005/012246;Gijsen, H. J. M.ら、JACS、1994年、116巻、8422〜8423頁;Gijsen, H. J. M.ら、JACS、1995年、117巻、7585〜7591頁;Greenberg, W. A.ら、PNAS、2004年、101巻、5788〜5793頁を見よ。
【特許文献1】米国特許番号第5,795,749号
【特許文献2】WO03/006656
【特許文献3】WO2004/027075
【特許文献4】WO2005/012246
【非特許文献1】Gijsen, H. J. M.ら、JACS、1994年、116巻、8422〜8423頁
【非特許文献2】Gijsen, H. J. M.ら、JACS、1995年、117巻、7585〜7591頁
【非特許文献3】Greenberg, W. A.ら、PNAS、2004年、101巻、5788〜5793頁
【発明の開示】
【0009】
しかしながら、上述の方法には生成物の全体の収率及び純度が不充分なものがあった。さらに、これらの方法は特異的基質に限定されていた。従って、当業界においては有効且つ代替基質にも効果的な化学酵素的方法の必要性がある。
【0010】
発明の概要
これら及びその他の必要性は、アトルバスタチン、薬学的に許容し得るその塩(例えばアトルバスタチンカルシウム)及びその中間体を製造するための効果的且つコスト効果の高い合成経路を指向する本発明によって満たされる。
【0011】
本発明は、アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成するステップを含む方法を提供する。
【0012】
本発明はまた以下のステップを含むアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の製造方法を提供する:
(a)アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成し;
(b)前記ラクトールを対応するラクトンへと酸化し;そして
(c)前記ラクトンをアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の生成に充分な条件に供する。
【0013】
本発明はまた以下のステップを含むアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の製造方法を提供する:
(a)アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成し;
(b)前記ラクトールを触媒的脱水素条件と、それに続くラクトン化条件に供して対応するラクトンを生成し;そして
(c)前記ラクトンをアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の生成に充分な条件に供する。
【0014】
本発明はまた以下のステップを含むアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の製造方法を提供する:
(a)アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成し;
(b)前記ラクトールを対応するカルボン酸へと開環し;そして
(c)前記カルボン酸をアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の生成に充分な条件に供する。
【0015】
アトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の製造において有用な新規中間体もまた提供される。
発明の詳細な説明
定義
他に指示されない限り、以下の用語は以下のように定義される。
【0016】
本明細書中に使用される冠詞「a」又は「an」はそれが指す対象の単数形及び複数形の両方を指す。
本明細書中に使用される用語「アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件」は、本明細書中に記載されるようにアルドラーゼによって触媒され得る当業界で既知のいかなるアルドール縮合条件をも指す。
【0017】
本明細書中に使用される用語「アトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の生成に充分な条件」は、本明細書中に記載されるそれらの方法を含む当業界で記載されているそれらの方法を指す。
【0018】
本明細書中に使用される用語「薬学的に許容し得る塩」はアトルバスタチンの比較的非毒性の塩類を指し、これらは正常な医学的判断の範囲において、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答等を伴わず患者の組織との接触使用に適しており、妥当な利益/危険比率と釣り合っていて、且つ意図された使用に有効である。これらの塩は当業界で既知のいかなる方法で製造されてもよい。アトルバスタチンの薬学的に許容し得る塩の例は、アトルバスタチンカルシウム及びアトルバスタチンナトリウムを含むがこれらに限定されない当業界で既知のすべてのアトルバスタチン塩を含むがこれらに限定されない。
【0019】
本発明で使用されるアルデヒドは本明細書中に記載されるようなアルドラーゼの存在下で本明細書中に記載されるような基質とアルドール縮合するであろういかなるアルデヒドでもよい。適するアルデヒドの一例はアセトアルデヒドであるが、これに限定されない。
【0020】
本発明で使用される基質はいかなるアミノアルデヒド又はN−保護アミノアルデヒドでもよい。そのようなアミノアルデヒド又はN−保護アミノアルデヒドは、それぞれ本明細書中に記載されるようにアルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドと反応するであろう。本発明の一つの実施態様において、本発明で使用される基質は、一般式(I):
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、n=1〜4、好ましくはn=1〜3、より好ましくはn=1〜2であり、R’は水素であり、R’’は水素若しくはN−保護基であるか、又はR’及びR’’はそれらに結合した窒素と共に環状部分を形成している)を有する。
【0023】
アミノアルデヒドに適するN−保護基は、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、ブトキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、ベンジル、及びジベンジルを含むがこれらに限定されない。
【0024】
適するアミノアルデヒド基質の例は下記を含むがこれらに限定されない:
【0025】
【化3】

【0026】
本発明の一つの実施態様において、アミノアルデヒド基質はN−CBz−3−アミノプロピオンアルデヒド又はN−Fmoc−3−アミノプロピオンアルデヒドである。本発明の一つの実施態様において、アミノアルデヒド基質は3−アミノ−プロピオンアルデヒドである。本発明の一つの実施態様において、アミノアルデヒド基質はアミノ−アセトアルデヒドである。本発明の一つの実施態様において、アミノアルデヒド基質はN−CBz−3−アミノプロピオンアルデヒド(Aldrichより市販されている)である。本発明の一つの実施態様において、アミノアルデヒド基質はN−アセチル−3−アミノプロピオンアルデヒドである。本発明の一つの実施態様において、アミノアルデヒド基質はN−Fmoc−3−アミノプロピオンアルデヒドである。
【0027】
N−Fmoc−アミノアルデヒドは両方とも対応するN−Fmoc−アミノアルコールの標準的なデス・マーチン(Dess-Martin)酸化により得られた。
N−アセチル−3−アミノプロピオンアルデヒドは、3−アミノ−1−プロパノールから2段階手順により得られた:酢酸メチルにより3−アミノ−1−プロパノールをN−アセチル化し、続いてデス・マーチン酸化により目的生成物(正確なESI-MS[M+H]+116.25及び[M+Na]+138.20)を得た。
【0028】
あるいは、本発明で使用される基質はピロールアルデヒドでもよい。一つの実施態様において、ピロールアルデヒドは以下の構造を有する:
【0029】
【化4】

【0030】
このピロールアルデヒドはジケトン9から2段階手順によって製造された:3-アミノ−1−プロパノールをPaal-Knorr反応させ、続いてデス・マーチン酸化により目的生成物(正確なESI-MS[M+H]+455.4及び[M+Na]+477.3)を得た。
【0031】
本発明で使用されるアルドラーゼは、それぞれ本明細書中に記載されるように、アミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質に対してアルドラーゼ活性を有するいかなる化合物でもよい。本発明の一つの実施態様において、アルドラーゼは2−デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ(DERA)である。適するDERAアルドラーゼの例は以下を含むが、これらに限定されない:
DERA03(E. Coli)(Sigma Aldrich, St. Louis, MOより市販されている);
DERA04(William A. Greenbergら、PNAS(2004)、101巻、16号、5788〜5793頁、又はその改変体);
DERA06(GenBankアクセッション番号NP 294929又はその改変体);
DERA08(GenBankアクセッション番号NP 465519又はその改変体);
DERA11(GenBankアクセッション番号NP 439273);
DERA12(GenBankアクセッション番号NP 229359);又は
DERA15(Haruhiko Sakurabaら、Journal of Biological Chemistry(2003)、278巻、12号、10799〜10806頁)。
【0032】
本発明の一つの実施態様において、アルドラーゼは、本明細書中に記載されるDERAアルドラーゼに対して少なくとも約20%(例えば、30%、40%、50%、60%)、好ましくは少なくとも70%(例えば、80%、85%、90%、95%、98%)のアミノ酸配列同一性を有するアルドラーゼである。同一性%の計算の際は、対象となる配列を最適に整列し、比較することができる。そのための適当なコンピュータープログラム及びソフトウェアは当業者に良く知られており、適用する際にはデフォルト値を使用することができる。あるいは、本発明の一つの実施態様において、アルドラーゼは、本明細書中に記載されるDERAアルドラーゼのいずれか一つのアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/若しくは付加したアミノ酸配列を有するアルドラーゼである。このようなアミノ酸置換等の方法は当業者には良く知られており、改変された配列が本発明に従ってアルドースとして作用する能力を保持するかぎり、例えば、1、2又は3〜10、20又は30のアミノ酸残基について行うことができる。本発明の一つの実施態様において、DERAアルドラーゼはDERA04又はDERA06である。本発明の一つの実施態様においてDERAアルドラーゼはDERA06である。
【0033】
本発明によれば、DERA03、DERA04、DERA06、DERA08、DERA11、DERA12及びDERA15は実施例10〜23に示されるそれらのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列によって同定される。
より明確には、DERA03は配列番号:1のヌクレオチド配列及び配列番号:8のアミノ酸配列を有するアルドラーゼである。
【0034】
DERA04は配列番号:2のヌクレオチド配列及び配列番号:9のアミノ酸配列を有するアルドラーゼである。
DERA06は配列番号:3のヌクレオチド配列及び配列番号:10のアミノ酸配列を有するアルドラーゼである。
【0035】
DERA08は配列番号:4のヌクレオチド配列及び配列番号:11のアミノ酸配列を有するアルドラーゼである。
DERA11は配列番号:5のヌクレオチド配列及び配列番号:12のアミノ酸配列を有するアルドラーゼである。
【0036】
DERA12は配列番号:6のヌクレオチド配列及び配列番号:13のアミノ酸配列を有するアルドラーゼである。
DERA15は配列番号:7のヌクレオチド配列及び配列番号:14のアミノ酸配列を有するアルドラーゼである。
【0037】
本明細書中に記載されるDERAアルドラーゼは、当業界で既知のいかなる方法で製造されてもよく、組み換え型E. coliでの蛋白質発現のための標準的なプロトコル(SambrookとRussell、Molecular Cloning: A Laboratory Manual第3版、Cold Spring Harbor、NY2001)を含むがこれに限定されない。当業者には理解されるであろうように、既知のDERAアルドラーゼの改変体が必要とされるか、又はクローニング条件に依存して生じることもあり、これらも本発明に包含される。
【0038】
以下のスキームは本発明を例証する。
【0039】
【化5】

【0040】
スキーム1は本発明に包含される方法を概略的に記載している。スキーム1に示されるように、DERAアルドラーゼはアミノアルデヒド又はN−保護アミノアルデヒドと2モルのアセトアルデヒドとのアルドール縮合反応を触媒し、目的のアミノラクトール(A)を与える。次にアミノ−ラクトール(A)は対応するラクトン(B)へと選択的に酸化され得る。結果として得られるラクトン(B)は次に脱保護とそれに続くジケトン(9):
【0041】
【化6】

【0042】
とのPaal-Knorr縮合を経てアトルバスタチンラクトンへと変換することができ、対応するアトルバスタチンラクトンを与える。このアトルバスタチンラクトンをCa(OH)2で開環するとアトルバスタチンカルシウムが得られるであろう。
【0043】
あるいは、アミノ-ラクトール(A)を触媒(例えばPt/C、Pd/C)により脱水素してカルボン酸(C)を生成し、これをラクトン化して(B)を生成し、次にこれを上に記載されるようにアトルバスタチンカルシウムへと変換してもよい。
【0044】
もう一つの実施態様においては、カルボン酸(C)がジケトン(9)と縮合してアトルバスタチンカルシウムを与える。
本発明によれば、当業者には理解されるであろうように、酵素的段階の立体選択性はラセミ体標準物の化学的製造及び関連するキラルクロマトグラフィー法の展開によって確認し得る。
【0045】
ラクトール(A)からラクトン(B)又はカルボン酸(C)への酸化は、目的の変換が達成されるであろう当業界では既知のいかなる酸化方法を使用して実施してもよい。本発明の一つの実施態様においては、選択的な酸化は実施例2及び3に記載される方法によって達成し得る。
【0046】
(A)を(C)へと変換する当業界では既知のいかなる触媒的脱水素方法も本発明に包含される。適する触媒の例は、Pt/C、Pd/C、Pt/Bi/C、Pd/Bi/C及び他のいかなる脱水素触媒をも含むがこれらに限定されない。本発明の一つの実施態様において、この触媒的脱水素はpH約7〜10において空気又は酸素を最終酸化剤として使用して実施される。
【0047】
カルボン酸(C)をラクトン(B)へと変換する当業界では既知のいかなるラクトン化方法も本発明に包含され、例えばHCl、HSO、メタンスルホン酸(MSA)、p−トルエンスルホン酸(TSA)及び当業界で既知の他のいかなるラクトン化酸等(これらに限定されない)の酸触媒の使用を含むがこれに限定されない。
【0048】
【化7】

【0049】
スキーム2はラクトール(1)からアトルバスタチンカルシウムを製造するための3つの可能な経路を説明している。ラクトール(1)は本明細書中に記載される化学酵素的方法により製造し得る。
【0050】
経路1:酸触媒により(3)をラクトン化し、続いてPd/C触媒による水素化によって(2)のベンジルオキシカルボニル(CBz)を脱保護することで、アミノ−ラクトン(2)を製造し得る。
【0051】
経路2:Pd/C触媒による水素化によって(3)のCBzを脱保護することによりω−アミノ酸−ジオール(5)を製造し得る。続いて(5)をジケトン(9):
【0052】
【化8】

【0053】
と縮合させてアトルバスタチンカルシウムを得た。
経路3:化合物(8)(TBIA)は、(3)の酸触媒によるジオール保護により(6)を生成し、(6)とt-BuOHとのカップリングにより(7)を生成し、そして(7)のCBzをPd/C触媒による水素化によって脱保護して(8)を生成することにより製造し得る。次に化合物(8)をジケトン(9)と縮合させ、脱保護、ラクトン化及びCa(OH)によるラクトン開環によってアトルバスタチンカルシウムを生成する。
【0054】
もう一つの実施態様において、カルボン酸(3)をt−ブチル−イソプロピリジンアミン(8)へと変換し、続いてジケトン(9)と縮合させ、脱保護、ラクトン化及びラクトン開環によってアトルバスタチンカルシウムを生成し得る。
【0055】
【化9】

【0056】
スキーム3は、本明細書中に記載される方法により製造されるラクトール(1)からアトルバスタチンカルシウムを生成するもう一つの経路を記載している。保護されたアミノ−ラクトール(12)は、ラクトール(1)をエチル−保護ラクトール(11)へと変換し、続いてPd/C触媒による水素化によって(11)のCBzを脱保護することにより製造される。続いて(12)をジケトン(9)と縮合させて(13)を得、次に(13)を脱保護して(14)が得られ、(14)は酸化されてアトルバスタチンラクトン(10)を与え、次に(10)がアトルバスタチンカルシウムへと変換される。
【0057】
【化10】

【0058】
スキーム4において、アトルバスタチンカルシウムはジケトン9から出発して製造される。ジケトン9は当業界で既知の手順、例えばBaumann, Kelvin L.、Tetrahedron Letters (1992),33(17),2283〜2284頁を含む手順に従って製造し得る。ジケトン9をピバル酸と処理して対応するピロールアルコールを生成し、次にこれをデス・マーチン条件下で酸化して対応するピロールアルデヒドを生成する。次にピロールアルデヒドをアルドラーゼ触媒によりアルドール縮合させて対応するピロールラクトールを生成する。結果として得られるピロールラクトールを次に標準的な酸化によりピロールラクトンへと変換し得る。ピロールラクトンは次に当業界で既知の方法によってアトルバスタチンカルシウムへと変換され得る。
【0059】
以下の非限定的実施例は本発明を例証する。
【実施例1】
【0060】
6R−[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]エチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2,4−ジオール(1)の製造
【0061】
【化11】

【0062】
DERA04(デオキシリボースアルドラーゼ、42,000単位、14.0mL)の溶液にリン酸緩衝液(60mL、pH7.3、0.05M)を加えた。ジメチルスルホキシド(DMSO)(2.5mL)に溶解した[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]プロピオンアルデヒド(10.0g、48.3mmol、Aldrich)及びアセトアルデヒド(5.5mL、96.6mmol、Aldrich)/リン酸緩衝液(5.5mL、pH7.3、0.05M)を、プログラムしたポンプを用いて上記DERA溶液へ2時間以内で継続的に加えた。反応の変換は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で検出した。20〜24時間に変換が95%に到達した後、反応混合物を酢酸エチル(100mL)で抽出した。2層を遠心分離した後、有機層を乾燥蒸発させて粗ラクトール1(14.5g)をオイルとして得、これを直接次のステップに供した。ヘプタン/酢酸エチル/メタノール(1:8:1)を使用したシリカゲルクロマトグラフィーにより、純粋な1(10.8g、76%)が得られた。LC-MS m/z[M+Na]+ 318.2。主要なアノマーの113C NMR (CDCl3, 75 MHz): δ 136.96, 157.00, 128.90, 128.61, 93.07, 69.01, 67.89, 67.10, 40.21, 38.00, 35.50。
【実施例2】
【0063】
【化12】

【0064】
6R−[1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]エチル−4R−ヒドロキシテトラヒドロ−2−H−ピラン−2−オン(2)の製造
ラクトール1(50mg、0.169mmol、実施例1に従って製造)のアセトニトリル(ACN)(1mL)溶液にBaCO3(1.5当量、0.253mmol、Aldrich)を加えた。上記混合物に臭素(1.5当量、0.253mmol、Aldrich)を1滴ずつ加え激しく攪拌した。5時間後、残余固体を濾過して溶液を得、これを蒸発させて粗ラクトン2を得た。LC-ESIMS:m/z[M+Na]+ m/z 316.1。このラクトンのジアステレオマー過剰率(de)及びエナンチオマー過剰率(ee)はキラルHPLCにより決定した。
【実施例3】
【0065】
3R,5R−ジヒドロキシ−1−[ベンジルオキシカルボニル]アミノ−7−ヘプタン酸(3)の製造
【0066】
【化13】

【0067】
粗ラクトール1(7.5g、実施例1に従って製造)のt−ブタノール/H2O(38mL/38mL)溶液にPt/C(3.0g、3%mol、Arldrich)を加えた。この反応混合物に泡立たせた空気を40℃で注入することにより脱水素を実施した。反応混合物のpHは飽和NaHCO溶液の継続的添加により8.0に保った。24時間後、触媒を濾過し、酢酸エチル(70mL)で洗浄して、3の粗水溶液をナトリウム塩として得た。この水溶液を10%HClでpH4.0まで酸性化し、酢酸エチル(2×70mL)で抽出した。有機層を乾燥濃縮させて粗3を薄黄色のオイル(4.0g)として得た。LC-ESIMS m/z [M+Na]+ 334.1。
【実施例4】
【0068】
6R−[1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]エチル−4R−ヒドロキシテトラヒドロ−2−H−ピラン−2−オン(2)の製造
【0069】
【化14】

【0070】
粗3(2.0g、実施例3に従って製造)/テトラヒドロフラン(THF)(50mL)に塩酸(HCl)/ジオキサン(100μL、4M、Aldrich)を加え、この反応混合物を23℃で2〜3時間攪拌した。THFを蒸発させた後、粗オイルを酢酸エチル(50mL)に溶解して水(pH7.0、50mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ溶媒を蒸発させた後、残余物はヘプタン/アセトン(4:1、50mL)から長針を形成し、2が白色固体として得られた(1.5g、3段階の総収率〜45%、de>97%、ee>99%)。LC-ESIMS [M+Na]+ m/z 316.1。1H NMR (CDCl3, 300MHz):d 7.23-7.50 (m, 5H), 5.19 (brs, 1H), 5.08 (s, 2H), 4.78 (m, 1H), 4.32 (s, 1H), 3.38 (m, 2H), 2.65 (m, 2H), 1.59-2.02 (m, 4H)。13C NMR (CDCl3, 75 MHz) d 170.28, 156.71, 136.49, 128.56, 128.17, 128.09, 73.82, 66.82, 62.59, 38.51, 37.34, 35.81, 35.64。
【実施例5】
【0071】
6R−アミノエチル−4R−ヒドロキシテトラヒドロ−2−H−ピラン−2−オン(4)の製造
【0072】
【化15】

【0073】
ラクトン2(100mg、0.341mmol、実施例4に従って製造)/THF(2mL)をPd/C(5%、100mg、Aldrich)で、23℃で1時間水素化した。触媒を濾過した後、遊離のアミノエチル−ラクトン4が生成され、これを次のPaal-Knorr縮合に直接使用した(実施例8を見よ)。LC-ESIMS: m/z [M+THF]+ 232.3。
【実施例6】
【0074】
[6−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4−イル]−酢酸t−ブチルエステル(7)の製造
【0075】
【化16】

【0076】
粗酸3(1.0g、実施例3に従って製造)/アセトン(2.0mL)及びジメトキシプロパン(4.0mL、Aldrich)混合物にメチルスルホン酸(MSA)(15μL、触媒量、Aldrich)を加えた。この混合物を室温(rt)で2〜3時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、粗残余物/アセトニトリル(ACN)(10mL)にDCC(1.0当量、720mg、Aldrich)及びt−ブタノール(2.0当量、660μL、Aldrich)を加えた。この混合物を室温で2時間混合した。生成された固体を濾過して溶媒を蒸発させた後に粗生成物7が得られ、次の脱保護段階に直接供された。LC-ESIMS m/z [M+Na]+431.5。
【実施例7】
【0077】
t−ブチル−イソプロピリジンアミン(TBIA)(8)の製造
【0078】
【化17】

【0079】
粗7(2.3g、実施例6に従って製造)/メタノール(20mL)をPd/C(5%、500mg、Aldrich)で、23℃で水素化した。触媒を濾過しメタノールを蒸発させた後、粗生成物を酸性緩衝液(pH4.0)に溶解し、これを酢酸エチル(1×50mL)で洗浄した。水相のpHを1NNaOHで10へと調整し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機相を乾燥蒸発させて8をオイルとして得た。
【実施例8】
【0080】
アトルバスタチンラクトン(10)の製造
【0081】
【化18】

【0082】
アミノ−ラクトン4(77mg、0.486mmol、実施例5に従って製造)、ジケトン9(0.7等量、142mg)及びピバリン酸(1.0当量、34.7mg、Fluka)の混合物をトルエン/ヘプタン(1:1、3mL)中で、110℃で24時間還流した。LC-MSスペクトルにより、<5%のアトルバスタチンラクトン10が生成したことが示された。LC-ESIMS: m/z [M+Na]+ 563.2。
【実施例9】
【0083】
N−CBz−3−アミノ−エチル−ラクトール(11)の製造
【0084】
【化19】

【0085】
粗ラクトール1(100mg、実施例1に従って製造)/エタノール(1mL)にH2SO4を2mL加えた。この混合物を室温で1時間混合した。溶媒を除去した後、粗保護ラクトール11が変換率>95%で得られた。LC-ESIMS: m/z [M+Na]+ 346.3。
【実施例10】
【0086】
配列番号:1 DERA03のヌクレオチド配列
atgactgatctgaaagcaagcagcctgcgtgcactgaaattgatggacctgaccaccctgaatgacgacgacaccgacgagaaagtgatcgccctgtgtcatcaggccaaaactccggtcggcaataccgccgctatctgtatctatcctcgctttatcccgattgctcgcaaaactctgaaagagcagggcaccccggaaatccgtatcgctacggtaaccaacttcccacacggtaacgacgacatcgacatcgcgctggcagaaacccgtgcggcaatcgcctacggtgctgatgaagttgacgttgtgttcccgtaccgcgcgctgatggcgggtaacgagcaggttggttttgacctggtgaaagcctgtaaagaggcttgcgcggcagcgaatgtactgctgaaagtgatcatcgaaaccggcgaactgaaagacgaagcgctgatccgtaaagcgtctgaaatctccatcaaagcgggtgcggacttcatcaaaacctctaccggtaaagtggctgtgaacgcgacgccggaaagcgcgcgcatcatgatggaagtgatccgtgatatgggcgtagaaaaaaccgttggtttcaaaccggcgggcggcgtgcgtactgcggaagatgcgcagaaatatctcgccattgcagatgaactgttcggtgctgactgggcagatgcgcgtcactaccgctttggcgcttccagcctgctggcaagcctgctgaaagcgctgggtcacggcgacggtaagagcgccagcagctactaa
【実施例11】
【0087】
配列番号:2 DERA04のヌクレオチド配列
atgggtaatatcgcgaaaatgattgatcacaccctcttaaaacccgaagcaaccgaacaacaaattgtacaattatgcacggaagcgaaacaatatggctttgcagcagtatgcgtaaatccgacatgggttaaaaccgccgcacgtgaattaagcgggacagacgttcgtgtgtgtactgtaattggatttcccttgggcgctacgactccagaaactaaagcattcgaaactactaacgcgattgaaaatggagcacgggaagtagatatggtaattaatattggtgcattgaaatctggacaagatgaactggtggaacgtgatattcgtgccgttgttgaagctgcagcaggccgcgcgcttgtgaaagtaattgtagaaacagcccttcttactgatgaagaaaaagttcgcgcttgtcaattagcagtaaaagcgggtgccgattatgtgaagacgtcgacaggatttagcggtggtggtgcaacggtggaagatgtggctttaatgcggaaaacggttggtgatcgtgcaggggtcaaagcaagcggcggagtacgtgactggaaaacagcagaagcaatgattaacgcaggagcaacgcgcattggcacaagttctggagtagcaatcgtaacaggtggaaccggccgggcagactattaa
【実施例12】
【0088】
配列番号:3 DERA06のヌクレオチド配列
atgggactcgcctcctacatcgaccacacgctgcttaaggccaccgccacgctcgccgacatccgcacgctgtgtgaggaagcccgcgagcactcgttctacgcggtgtgcatcaacccggtctttattccccacgcccgcgcctggctcgaaggcagcgacgtgaaggtcgccaccgtctgcggctttcccctcggcgccatcagctccgagcagaaagctctggaagcccgcctgagcgccgaaacgggcgccgacgaaatcgatatggtcatccacatcggctcggcgcttgccggcgactgggacgcggtggaagccgacgtgcgggcagtgcgccgcgcggtgcccgagcaggtgctcaaggtgattatcgaaacctgctacctgaccgacgagcaaaagcgcttggcgactgaggtcgccgtacagggcggcgccgacttcgtgaagacgagcacaggcttcggcaccggcggcgccaccgtggacgacgtgcgcctgatggcggaagtgatcgggggccgcgccggactcaaggcggcgggcggcgtccgcactcctgccgacgcgcaagccatgatcgaggcgggcgcgacccggctgggcacctcgggcggcgtgggtctggtgtcgggcggcgaaaacggagccggctactga
【実施例13】
【0089】
配列番号:4 DERA08のヌクレオチド配列
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【実施例14】
【0090】
配列番号:5 DERA11のヌクレオチド配列
atgacatcaaatcaacttgctcaatatatcgatcacaccgcacttaccgcagaaaaaaatgaacaagatatttcgacactctgtaatgaagcgattgaacacggattttattctgtatgtatcaattctgcttatattccactcgctaaagaaaaacttgctggctcaaatgtaaaaatttgcaccgtagttggattccctttgggggcgaatttaacctcagtcaaagcatttgaaacgcaagaatctattaaagcgggtgcaaatgaaattgatatggtgattaatgtaggttggataaaatcgcaaaaatgggatgaagtaaaacaagatattcaagcggtatttaatgcttgtaatggcacgccattaaaagtgattttagaaacttgtttgctcactaaagatgaaatagtgaaagcctgcgaaatttgtaaagaaatcggtgtagcttttgttaaaacatcaacaggctttaataaaggtggtgcgaccgtagaagatgttgcattgatgaaaaacacggtcggcaatattggtgttaaagcatcaggtggtgtgcgtgatactgaaactgcacttgcaatgattaaggcgggtgcgactcgcattggtgcaagcgctggcattgcgattattagcggtactcaagacactcaaagcacttactaa
【実施例15】
【0091】
配列番号:6 DERA12のヌクレオチド配列
atgatagagtacaggattgaggaggcagtagcgaagtacagagagttctacgaattcaagcccgtcagagaaagcgcaggtattgaagatgtgaaaagtgctatagagcacacgaatctgaaaccgtttgccacaccagacgatataaaaaaactctgtcttgaagcaagggaaaatcgtttccatggagtctgtgtgaatccgtgttatgtgaaactggctcgtgaagaactcgaaggaaccgatgtgaaagtcgtcaccgttgttggttttccactgggagcgaacgaaactcggacgaaagcccatgaggcgattttcgctgttgagagtggagccgatgagatcgatatggtcatcaacgttggcatgctcaaggcaaaggagtgggagtacgtttacgaggatataagaagtgttgtcgaatcggtgaaaggaaaagttgtgaaggtgatcatcgaaacgtgctatctggatacggaagagaagatagcggcgtgtgtcatttccaaacttgctggagctcatttcgtgaagacttccacgggatttggaacaggaggggcgaccgcagaagacgttcatctcatgaaatggatcgtgggagatgagatgggtgtaaaagcttccggagggatcagaaccttcgaggacgctgttaaaatgatcatgtacggtgctgatagaataggaacgagttcgggagttaagatcgttcaggggggagaagagagatatggaggttga
【実施例16】
【0092】
配列番号:7 DERA15のヌクレオチド配列
atgccgtcggccagggatatactgcagcagggtctagacaggctagggagccctgaggacctcgcctcgaggatagactctacgctactaagccctagggctacggaggaggacgttaggaatcttgtgagagaggcgtcggactacgggtttagatgcgcggttctgactccagtgtacacagtaaagatttctgggctggctgagaagcttggtgtgaagctatgtagcgttataggctttcccctgggccaggccccgctcgaggtaaagctagttgaggcacaaactgttttagaggctggggctactgagcttgatgttgtcccccatctctcactaggccccgaagctgtttacagggaggtctcagggatagtgaagttggcgaaaagctatggagccgttgtgaaagtaatattagaagcgccactctgggatgacaaaacgctctccctcctggtggactcgtcgaggagggcgggggcggatatagtgaagacaagcaccggggtctatacaaagggtggtgatccagtaacggtcttcaggctggccagtcttgccaagccccttggtatgggtgtaaaggcaagcggcggtataaggagtggcatcgacgccgtcctcgccgtaggagctggcgcggatatcatagggacaagcagtgctgtaaaggttttggagagcttcaaatccctagtctaa
【実施例17】
【0093】
配列番号:8 DERA03のアミノ酸配列
mtdlkasslralklmdlttlndddtdekvialchqaktpvgntaaiciyprfipiarktlkeqgtpeiriatvtnfphgnddidialaetraaiaygadevdvvfpyralmagneqvgfdlvkackeacaaanvllkviietgelkdealirkaseisikagadfiktstgkvavnatpesarimmevirdmgvektvgfkpaggvrtaedaqkylaiadelfgadwadarhyrfgassllasllkalghgdgksassy
【実施例18】
【0094】
配列番号:9 DERA04のアミノ酸配列
mgniakmidhtllkpeateqqivqlcteakqygfaavcvnptwvktaarelsgtdvrvctvigfplgattpetkafettnaiengarevdmvinigalksgqdelverdiravveaaagralvkvivetalltdeekvracqlavkagadyvktstgfsgggatvedvalmrktvgdragvkasggvrdwktaeaminagatrigtssgvaivtggtgrady
【実施例19】
【0095】
配列番号:10 DERA06のアミノ酸配列
mglasyidhtllkatatladirtlceearehsfyavcinpvfipharawlegsdvkvatvcgfplgaisseqkalearlsaetgadeidmvihigsalagdwdaveadvravrravpeqvlkviietcyltdeqkrlatevavqggadfvktstgfgtggatvddvrlmaeviggraglkaaggvrtpadaqamieagatrlgtsggvglvsggengagy
【実施例20】
【0096】
配列番号:11 DERA08のアミノ酸配列
mgiakmidhtalkpdttkeqiltltkeareygfasvcvnptwvklsaeqlagaesvvctvigfplgantpevkafevkdaiqngakevdmvinigalkdkddelverdiravvdaakgkalvkviietclltdeekvraceiavkagtdfvktstgfstggataedialmrktvgpnigvkasggvrtkedvekmieagatrigasagvaivsgekpakpdny
【実施例21】
【0097】
配列番号:12 DERA11のアミノ酸配列
mtsnqlaqyidhtaltaekneqdistlcneaiehgfysvcinsayiplakeklagsnvkictvvgfplganltsvkafetqesikaganeidmvinvgwiksqkwdevkqdiqavfnacngtplkviletclltkdeivkaceickeigvafvktstgfnkggatvedvalmkntvgnigvkasggvrdtetalamikagatrigasagiaiisgtqdtqsty
【実施例22】
【0098】
配列番号:13 DERA12のアミノ酸配列
mieyrieeavakyrefyefkpvresagiedvksaiehtnlkpfatpddikklclearenrfhgvcvnpcyvklareelegtdvkvvtvvgfplganetrtkaheaifavesgadeidmvinvgmlkakeweyvyedirsvvesvkgkvvkviietcyldteekiaacvisklagahfvktstgfgtggataedvhlmkwivgdemgvkasggirtfedavkmimygadrigtssgvkivqggeerygg
【実施例23】
【0099】
配列番号:14 DERA15のアミノ酸配列
mpsardilqqgldrlgspedlasridstllsprateedvrnlvreasdygfrcavltpvytvkisglaeklgvklcsvigfplgqaplevklveaqtvleagateldvvphlslgpeavyrevsgivklaksygavvkvileaplwddktlsllvdssrragadivktstgvytkggdpvtvfrlaslakplgmgvkasggirsgidavlavgagadiigtssavkvlesfkslv。
【0100】
発行された特許、特許出願及び雑誌記事を含むがこれらに限定されない、本出願中に引用されたすべての刊行物は参照することによりそれぞれそのまま本明細書中に組み込まれる。
【0101】
本発明は開示された実施態様に関して以上に記載されたが、当業者は特定の詳細な実験は本発明の例証に過ぎないことを容易に認識するであろう。従って、本発明は請求項のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成するステップを含む方法。
【請求項2】
以下のステップを含む、アトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の製造方法:
(a)アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成し;
(b)前記ラクトールを対応するラクトンに酸化し;そして
(c)前記ラクトンをアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の生成に充分な条件に供する。
【請求項3】
前記アミノアルデヒド又は前記N−保護アミノアルデヒドが3−アミノプロピオンアルデヒド、アミノアセトアルデヒド、N−CBz−3−アミノプロピオンアルデヒド、N−アセチル−3−アミノプロピオンアルデヒド、N−Fmoc−3−アミノプロピオンアルデヒド、又はN−Fmoc−アミノアセトアルデヒドである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミノアルデヒド又は前記N−保護アミノアルデヒドがN−CBz−3−アミノプロピオンアルデヒド又はN−Fmoc−3−アミノプロピオンアルデヒドである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記アミノアルデヒド又は前記N−保護アミノアルデヒドがN−CBz−3−アミノプロピオンアルデヒドである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記アルドラーゼが2−デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ(DERA)である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記アルドラーゼが配列番号:1のヌクレオチド配列若しくは配列番号:8のアミノ酸配列を含むDERA03;
配列番号:2のヌクレオチド配列若しくは配列番号:9のアミノ酸配列を含むDERA04;
配列番号:3のヌクレオチド配列若しくは配列番号:10のアミノ酸配列を含むDERA06;
配列番号:4のヌクレオチド配列若しくは配列番号:11のアミノ酸配列を含むDERA08;
配列番号:5のヌクレオチド配列若しくは配列番号:12のアミノ酸配列を含むDERA11;
配列番号:6のヌクレオチド配列若しくは配列番号:13のアミノ酸配列を含むDERA12;
配列番号:7のヌクレオチド配列若しくは配列番号:14のアミノ酸配列を含むDERA15;又は
それらのいずれか一つに少なくとも約20%のアミノ酸配列同一性を有するアルドラーゼ、又はそれらのいずれか一つのアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/若しくは付加したアミノ酸配列を有するアルドラーゼである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記アルドラーゼが配列番号:2のヌクレオチド配列若しくは配列番号:9のアミノ酸配列を含むDERA04;又は配列番号:3のヌクレオチド配列若しくは配列番号:10のアミノ酸配列を含むDERA06である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記アルドラーゼが配列番号:3のヌクレオチド配列若しくは配列番号:10のアミノ酸配列を含むDERA06である、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記薬学的に許容し得るアトルバスタチン塩がアトルバスタチンカルシウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
以下のステップを含む、アトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の製造方法:
(a)アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成し;
(b)前記ラクトールを触媒的脱水素条件とそれに続くラクトン化条件に供して対応するラクトンを生成し;そして
(c)前記ラクトンをアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の生成に充分な条件に供する。
【請求項12】
前記アミノアルデヒド又は前記N−保護アミノアルデヒドが3−アミノプロピオンアルデヒド、アミノアセトアルデヒド、N−CBz−3−アミノプロピオンアルデヒド、N−アセチル−3−アミノプロピオンアルデヒド、N−Fmoc−3−アミノプロピオンアルデヒド、又はN−Fmoc−アミノアセトアルデヒドである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アミノアルデヒド又は前記N−保護アミノアルデヒドがN−CBz−3−アミノプロピオンアルデヒド又はN−Fmoc−3−アミノプロピオンアルデヒドである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記アミノアルデヒド又は前記N−保護アミノアルデヒドがN−CBz−3−アミノプロピオンアルデヒドである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記アルドラーゼが2−デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ(DERA)アルドラーゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記アルドラーゼが配列番号:1のヌクレオチド配列若しくは配列番号:8のアミノ酸配列を含むDERA03;
配列番号:2のヌクレオチド配列若しくは配列番号:9のアミノ酸配列を含むDERA04;
配列番号:3のヌクレオチド配列若しくは配列番号:10のアミノ酸配列を含むDERA06;
配列番号:4のヌクレオチド配列若しくは配列番号:11のアミノ酸配列を含むDERA08;
配列番号:5のヌクレオチド配列若しくは配列番号:12のアミノ酸配列を含むDERA11;
配列番号:6のヌクレオチド配列若しくは配列番号:13のアミノ酸配列を含むDERA12;
配列番号:7のヌクレオチド配列若しくは配列番号:14のアミノ酸配列を含むDERA15;又は
それらのいずれか一つに少なくとも約20%のアミノ酸配列同一性を有するアルドラーゼ、又はそれらのいずれか一つのアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/若しくは付加したアミノ酸配列を有するアルドラーゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記アルドラーゼが配列番号:2のヌクレオチド配列若しくは配列番号:9のアミノ酸配列を含むDERA04;又は配列番号:3のヌクレオチド配列若しくは配列番号:10のアミノ酸配列を含むDERA06である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記アルドラーゼが配列番号:3のヌクレオチド配列若しくは配列番号:10のアミノ酸配列を含むDERA06である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記薬学的に許容し得るアトルバスタチン塩がアトルバスタチンカルシウムである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
以下のステップを含む、アトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の製造方法:
(a)アルドラーゼにより触媒されるアルドール縮合条件下でアルデヒドをアミノアルデヒド基質、N−保護アミノアルデヒド基質又はピロールアルデヒド基質と反応させて対応するラクトールを生成し;
(b)前記ラクトールを対応するカルボン酸に開環し;そして
(c)前記カルボン酸をアトルバスタチン又は薬学的に許容し得るその塩の生成に充分な条件に供する。
【請求項21】
前記薬学的に許容し得るアトルバスタチン塩がアトルバスタチンカルシウムである、請求項20に記載の方法。

【公開番号】特開2006−345863(P2006−345863A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166218(P2006−166218)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】