説明

アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4及びその方法

図1のアトルバスタチンマグネシウムの結晶多形相B4及びその製造方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状及びその調製方法に関する。その新規な形状は、エンザイム3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタリル‐コエンザイムAレダクターゼ(HMG‐CoAレダクターゼ)の阻害剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4、すなわち[R‐(R,R)]‐2‐(4‐フルオロフェニル)‐β,σ‐,6‐ジヒドロキシ‐5‐(1‐メチルエチル)‐3‐フェニル‐4‐[(フェニルアミノ)‐カルボニル]‐IH‐ピロール‐ヘプタン酸マグネシウム塩(2:1)(式Iにより表される)、別名アトルバスタチンマグネシウム、その調製方法及び単離方法、形状B4を含む医薬組成物、薬学的に許容可能なキャリア、並びに脂質異常症及び高コレステロール血症の治療ための医薬組成物の治療量の投与方法に関するものである。
【0003】
この結晶性形状は、パッキングの密度を変える結晶格子の分子の独特の配列によって、及び/又は水素結合ネットワークの変化によって、異なる性質を有する。したがって、個々の結晶性形状は、他の多形相と比較して、異なる有利な及び/又は不利な及び/又は物理的な特性を有する区別可能な固体であると考えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主要な目的は、X線粉末回折パターンによって特徴づけられる、アトルバスタチンマグネシウムの新たな多形相、すなわち結晶性形状B4を調製することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、アトルバスタチンマグネシウム形状B4の新たな調製方法を発展させることにある。
【0006】
本発明の更なる他の目的は、アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を備える医薬組成物及び投与形態を発展させることにある。
【0007】
本発明の更なる他の目的は、治療有効量のアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を含む医薬組成物を用いた脂質異常症及び高コレステロール血症の治療方法を発展させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、図1に示されるX線粉末回折パターンにより特徴づけられるアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4、
図1に示されるアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4の調製方法であって、a.適当な溶剤又は溶剤混合物を前記アトルバスタチンマグネシウムに加えて混合物を得る工程と、b.前記混合物から前記アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を単離する工程と、を有する方法、
アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4及び薬学的に許容可能な添加剤を有する医薬組成物、
エンザイム3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタリル‐コエンザイムAレダクターゼ(HMG‐CoAレダクターゼ)を、それを必要とする対象において阻害する方法であって、薬剤有効量のアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を、任意に薬学的に許容可能な添加剤と共に、前記対象に投与する工程を含む方法、及び
高コレステロール血症及び/又は脂質異常症を、それを必要とする対象において治療し、予防し又は軽減する方法であって、薬剤有効量のアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を、任意に薬学的に許容可能な添加剤と共に、前記対象に投与する工程を含む方法、に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、図1に示すようなX線粉末回折パターンによって特徴づけられるアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4に関する。
【0010】
本発明の他の実施形態では、前記形状B4は98%より大きい純度を示す。
【0011】
本発明の更に他の実施形態では、前記形状B4は100%の純度を有する。
【0012】
本発明は、図1に示すようなアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を調製する方法であって、以下の工程、
a. アトルバスタチンマグネシウムに適当な溶剤又は溶剤混合物を加えて混合物を得る工程、及び
b. 前記混合物からアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を単離する工程、を有する。
【0013】
本発明は、以下に簡潔に説明する添付の図1を参照した、以下の限定しない実施例により更に説明される。
【0014】
本発明の更に他の実施形態では、混合物は任意に攪拌され、結晶化されて、その後濾過及び乾燥される。
【0015】
本発明の更に他の実施形態では、混合物は摂氏25〜50度の間に分布する適当な温度に任意にさらされる。
【0016】
本発明の更に他の実施形態では、前記溶剤は、プロトン溶剤、非プロトン溶剤、水混和性溶剤、水非混和性溶剤、極性溶剤及び非極性溶剤を含む群から選択される。
【0017】
本発明の更に他の実施形態では、前記溶剤は、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、t‐ブタノール、イソブタノール、四塩化炭素、1,4‐ジオキサン、n‐ブタノール、ジイソプロピルエーテル及びジエチルエーテルを含む群から選択される。
【0018】
本発明の更に他の実施形態では、アトルバスタチンマグネシウムは非晶形及び/又は結晶性形状である。
【0019】
本発明の更に他の実施形態では、結晶性形状B4は98%より大きい純度を示す。
【0020】
本発明の更に他の実施形態では、結晶性形状B4は100%の純度を有する。
【0021】
本発明の更に他の実施形態では、非晶形のアトルバスタチンマグネシウムの調製は、以下の工程、
a. メタノール及び水をアトルバスタチンマグネシウムに加えて混合物を得る工程と、
b. アトルバスタチンマグネシウムを単離する工程と、を有する。
【0022】
本発明の更に他の実施形態では、アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を産出するために前記温度が上げられ、又は下げられる。
【0023】
本発明は、アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4及び薬学的に許容可能な添加剤を含む医薬組成物に関する。
【0024】
本発明の更に他の実施形態では、前記添加物は、造粒剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香料添加剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤及び球状化剤を含む群から選択される。
【0025】
本発明は、エンザイム3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタリル‐コエンザイムAレダクターゼ(HMG‐CoAレダクターゼ)を、それを必要とする対象において阻害する方法に関し、前記方法は、薬剤有効量のアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を、任意に薬学的に許容可能な添加剤と共に、前記対象に投与する工程を含む。
【0026】
本発明は、高コレステロール血症及び/又は脂質異常症を、それを必要とする対象において治療し、予防し又は軽減する方法に関し、前記方法は、薬剤有効量のアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を、任意に薬学的に許容可能な添加剤と共に、前記対象に投与する工程を含む。
【0027】
本発明の更に他の実施形態では、前記添加剤は、造粒剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香料添加剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤及び球状化剤を含む群から選択される。
【0028】
本発明の更に他の実施形態では、アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4の投薬量は、0.5〜100mgの間に分布する。
【0029】
本発明は、98.0%より大きい純度のアトルバスタチンマグネシウムに関する。
【0030】
本発明は、100%の純度のアトルバスタチンマグネシウムに関する。
【0031】
本発明の更に他の実施形態では、アトルバスタチンマグネシウムは更なる結晶性形状で調製されうることが発明されている。このように、本発明は、結晶性形状B4と称される新たな多形相のアトルバスタチンマグネシウム(2:1)を提供する。前記形状B4は、それらのX線粉末回折パターンから明らかなように、異なる物理的特性を示す。
【0032】
本発明をこれらの具体的な実施形態と共に説明するにあたり、当然のことながら、本発明をこのような具体的な実施形態に限定するものではない。逆に、代替物、改良物及び等価物が、添付のクレームにより規定される発明の趣旨及び範囲に含まれるものとして保護されることを意図している。以下の記述において、本発明が完全に理解されるために、多数の具体的詳細が示される。本発明は、これらの具体的詳細のいくらか又はすべてを使用せずに実施してもよい。他の例では、本発明が曖昧になるのを避けるため、周知のプロセス操作については詳細に説明していない。
【0033】
本発明は、式Iに示される以下の総称的な化学式を有する、[R‐(R,R)]‐2‐(4‐フルオロフェニル)‐β,σ‐ジヒドロキシ‐5‐(1‐メチルエチル)‐3‐フェニル‐4‐[(フェニルアミノ)‐カルボニル]‐IH‐ピロール‐ヘプタン酸マグネシウム塩(2:1)の結晶性形状B4に関する。
【0034】
【化1】

【0035】
本発明は更に、形状B4の調製及び単離方法、結晶性形状B4及び薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物、脂質異常症及び高コレステロール血症の治療のための医薬組成物の治療量の投与方法に関する。アトルバスタチンマグネシウムのB4形状は、エンザイム,3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタリル‐コエンザイムAレダクターゼの阻害剤として有用であり、したがって脂質異常症及び高コレステロール血症を治療するための薬剤として有用である。
【0036】
B4形状は、図1に示すように、それら独特のX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。
【0037】
本発明は、アトルバスタチンマグネシウム(2:1)の結晶性形状B4の調製方法をも提供する。前記方法は、アトルバスタチンを異なる溶剤及び温度条件にさらして結晶性形状B4を産出する工程を含む。
【0038】
結晶性アトルバスタチンマグネシウム形状B4は、制御された条件下で調整されてもよい。特に、適当な温度における、水性溶剤、水混和性溶剤、非水性溶剤又は非極性溶剤からの結晶化により調製/単離することができる。適当な溶剤は、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、イソプロピルアルコール、THF、ジクロロメタン、t‐ブタノール、イソブタノール、四塩化炭素、1,4‐ジオキサン、n‐ブタノール、ジイソプロピルエーテル又はジエチルエーテルを含む。
【0039】
一の実施形態では、アトルバスタチンマグネシウムは、適当な温度範囲において2以上の適当な溶剤/貧溶剤の混合物と共に処理され、その後、好ましくは真空下において、混合物は濾過されて乾かされ、結晶性アトルバスタチンマグネシウムが得られる。
【0040】
他の実施形態では、アトルバスタチンマグネシウムは、適当な温度範囲において適当な溶剤又は溶剤の混合物と共に処理され、その後、乾かされて非晶質アトルバスタチンマグネシウムが得られる。
【0041】
他の実施形態では、他のいかなる結晶性形状又は非晶形のアトルバスタチンマグネシウムも形状4に直接変換されることができ、又は他のいかなる結晶性形状も非結晶性形状に変換されてから形状4に変換されることができる。
【0042】
好ましくは、アトルバスタチンマグネシウムは、溶剤又は溶剤の混合物中に懸濁されうる。好ましくは、溶剤はメタノール及び水である。溶剤/複数の溶剤とアトルバスタチンマグネシウムとの混合物は、適当な温度で攪拌され、適当な時間置かれて結晶化を起こすことができる。好ましくは、混合物は1〜4日間置かれる。その後、混合物は濾過されて、生成物は適当な温度で乾かされる。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。
【0043】
図1に、アトルバスタチンマグネシウムの形状4の典型的なXRDを示す。
【0044】
このようにして得られた生成物は、250ミクロン未満の粒径であってもよい。この生成物には、粉砕又は所望の粒径を得るのに適した処理が行われてもよい。
【0045】
前記方法によって得られる生成物は、薬学的に許容可能な等級/純度でありうる。この生成物は、98%より大きい純度で得られうる。好ましくは、この生成物は、99%より大きい純度で得られうる。この生成物は、抽出、クロマトグラフィー、結晶化/沈殿等の公知技術により、100%程度の純度まで精製されてもよい。
【0046】
前記生成物中には、構造的に関係する又は関係しない、いくらかの不純物が、様々な濃度で見付かることが見込まれる。この不純物は、0.001〜2%の範囲に分布する濃度で存在しうる。比較的多量の不純物を含む生成物は、溶剤‐溶剤抽出、クロマトグラフィー又は結晶化等、より高い純度の生成物を得るのに適した処理を受けてもよい。
【0047】
見付けられうる不純物は、アトルバスタチンアミド、デスフルオロアトルバスタチン、O‐メチルアトルバスタチン、アトルバスタチンラクトン、アトルバスタチンメチルエステル、アトルバスタチンジエポキシド、ジケト1,2‐ジオール、ジケトエポキシドアトルバスタチンラクトン、アトルバスタチン開環酸(open acid)及びその開環酸の異性体、ラクトン又はアトルバスタチンマグネシウムから選択された一以上の不純物である。前記生成物の含水量は、API処理条件、保存条件、出荷条件又は製剤処理条件等により異なってもよい。
【0048】
本発明の組成物が投与される対象は、当然のことながら、特定の創傷状態に悩まされずに済む。実際に、本発明の組成物は、症状の進行に先立って、予防的に投与されてもよい。「治療上の」及び「治療的に」という用語並びにこれらの用語の並べ替えは、治療上の、症状の緩和及び予防のための使用を網羅するために用いられる。したがって、ここで使用されるように、「症状を治療し又は緩和する」ことにより、本発明の組成物が投与された個体について、そのような投与を受けない個体と比較して、症状を低減し、予防し及び/又は回復に向かわせることを意味する。
【0049】
「治療有効量」という用語は、望まれる治療結果を得るのに効果的な投薬量での治療を意味している。更に、当業者であれば、本発明の組成物の治療有効量は、病気が快方に向かうことにより、及び/又は本発明の組成物を複数投与することにより、又は本発明の組成物を他の組成物と共に投与することにより、低減され又は増加されうることが理解できる。したがって、本発明は、前記投与/治療を、既知の哺乳類に特有の、個々の要求に合わせる方法を提供する。以下の実施例で示すように、治療有効量は、例えば、実験的に比較的低い量から始めて、薬効の評価を行いつつ、段階的に増やすことにより簡易に決定してもよい。
【0050】
本発明による組成物は、希釈剤及び補形剤を含む、周知の薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的に許容可能な賦形剤において、任意に定式化される(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA 1990 and Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams & Wilkins, 1995参照)。本発明の組成物を生成するのに使用される薬学的に許容可能なキャリア/賦形剤の種類は、前記組成物の哺乳類への投与形態に応じて変化するが、一般に、薬学的に許容可能なキャリアは、生理学的に不活性で毒性がない。本発明の組成物の製剤設計では、複数種類の本発明の組成物を含んでもよく、また、治療中の病状/健康状態の治療に有用な他のいかなる薬学的に活性な成分を含んでもよい。
【0051】
本発明の組成物は、この組成物を薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント又は賦形剤と混合することにより、医薬組成物に調製されうる。得られた医薬組成物は、多種多様の投与形態により、例えば、経口的投与又は非経口的投与等により投与されうる。本分野の当業者であれば、このような投与形態、例えば、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、会合体(aggregates)、座薬、顆粒等、又は液体形態、例えば、液剤、懸濁剤、若しくは乳剤は、本発明の活性成分として構成されてもよい。固体投薬形態では、アトルバスタチンマグネシウム結晶性形状B1B4は、細かく分割され、又は
不活性充てん材、味若しくは香味料の正誤表(corrigenda)、化学保存料、溶解剤、滑剤等の役割を果たしうる一以上の非活性成分と混合される。液体形態では、アトルバスタチンマグネシウム結晶性形状B4は、種々の不活性成分、例えば、溶剤、バッファ、安定剤、着色剤、香味料等を含む適当な賦形剤中で懸濁され、乳化され又は溶解される。本発明の医薬組成物の好ましい単位投与量は、典型的には0.5から100mgのアトルバスタチンマグネシウム形状B4を含有する。
【0052】
以下の実施例は、本発明のある好ましい実施形態を更に示すことを意図するものであり、本質的に限定するものではない。当業者であれば、所定の実験を更に行うことなく、ここに記載される具体的な物質及び手続についての多くの等価物を認識し、又は究明することができるであろう。
【0053】
本発明は、以下の実施例を用いて更に詳しく説明される。ただし、これらの実施例は発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0054】
[実施例1]
メタノール(1.8L)と、式IIの組成物(100g、0.153mol)との溶液に、30分間にわたってHCI(1N、210mL)が加えられ、室温で2.5hの間攪拌された。
【0055】
【化2】

【0056】
水酸化ナトリウム(10%、153mL)の水溶液が反応混合物に加えられ、室温で2.5hの間攪拌された。(TLCによる)反応が完了した後、1NのHCIを用いて反応混合物のpHが9.0−9.5に調製され、セライトベッドにより混合物が濾過された。ろ液は約400mLに濃縮され、水(1.0L)及びメチルターシャリブチルエーテル(MTBE、400mL)が加えられた。十分な量のメタノールを加えることにより2つの層が得られ、MTBE層が分離した。水層が更にMTBE(400mL)で洗浄された。水層のpHが(1NのHCIを用いて)7.5−8.0に調製され、MTBE(2×400mL)で洗浄された。水層は40−45℃に温められ、酢酸マグネシウム四水和物(24.5g、0.114mol)と水(570mL)との溶液が1hにわたって加えられた。混合物を40−45℃で15分間攪拌した後、3hかけて約30℃に冷却された。アトルバスタチンマグネシウムは濾過され、水及びメタノール(8.5:1.5の比率)の混合物により洗浄された。得られた生成物はメタノールに溶解され、真空下、摂氏35−45度で濃縮されることにより、HPLCによる測定で98.5%の純度のアトルバスタチンマグネシウム固形物が得られた。
【0057】
[実施例2]
式IIIの組成物(100g、0.142mol)がメタノール(300mL)及び水(1L)の混合物に懸濁され、水酸化ナトリウム(28.5g)と水(90mL)との溶液が加えられた。
【0058】
【化3】

【0059】
混合物は4hの間還流させられた。反応混合物は室温まで冷却され、MTBE(400mL)で洗浄された。層を分離した後、水層は真空下で1h置かれ、溶液は室温で2h置かれた。形成された沈殿物は濾過された。得られた生成物は、水(1L)、メタノール(300mL)及びMTBE(400mL)の混合物に溶解された。水層のpHは、HCI(1N)によって7.5−8.0に調製され、MTBE層が分離した。水層は40−45℃に温められ、酢酸マグネシウム四水和物(22.9g)と水(75mL)との溶液が加えられた。反応組成物は40−45℃で1h攪拌され、1hかけて室温まで冷却された。生成物は濾過され、水及びメタノール(8.5:1.5の比率)の混合物により洗浄された。得られた生成物はメタノールに溶解され、真空下、摂氏35−45度で濃縮されることにより、HPLCによる測定で99.5%の純度のアトルバスタチンマグネシウム固形物が得られた。
【0060】
[実施例3]
先の実施例等で得られたアトルバスタチンマグネシウム(100g)がメタノール(500mL)及び水(2L)の混合物に懸濁され、室温で攪拌されて、3日間置かれた。混合物は濾過され、生成物は真空下35−50℃で乾燥された。重量は80gであった。図1に、生成物のX線粉末回折パターンを示す。
【0061】
特定の実施形態について顕著な特徴が図示され説明されたが、本発明の趣旨及び範囲の中で改良が可能なことは容易に理解され、したがって、本発明を図示され説明された厳密な詳細に限定することは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4の特徴的なX線粉末回折パターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1に示されるX線粉末回折パターンにより特徴づけられるアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4。
【請求項2】
前記形状B4は98%より大きい純度を示す、請求項1に記載の結晶性形状。
【請求項3】
前記形状B4は100%の純度を有する、請求項1に記載の結晶性形状。
【請求項4】
図1に示されるアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4の調製方法であって、以下の工程、
a. 適当な溶剤又は溶剤混合物を前記アトルバスタチンマグネシウムに加えて混合物を得る工程と、
b. 前記混合物から前記アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を単離する工程と、
を有する。
【請求項5】
前記混合物は任意に攪拌され、結晶化されて、その後濾過及び乾燥される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物は摂氏25〜50度の間に分布する適当な温度に任意にさらされる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記溶剤は、プロトン溶剤、非プロトン溶剤、水混和性溶剤、水非混和性溶剤、極性溶剤及び非極性溶剤を含む群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記溶剤は、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、t‐ブタノール、イソブタノール、四塩化炭素、1,4‐ジオキサン、n‐ブタノール、ジイソプロピルエーテル及びジエチルエーテルを含む群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記アトルバスタチンマグネシウムは非晶形及び/又は結晶性形状である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記結晶性形状B4は98%より大きい純度を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記結晶性形状B4は100%の純度を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記アトルバスタチンマグネシウムの非晶形の調製は、以下の工程、
a. メタノール及び水を前記アトルバスタチンマグネシウムに加えて混合物を得る工程と、
b. 前記アトルバスタチンマグネシウムの非晶形を単離する工程と、
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記アトルバスタチンマグネシウムの前記結晶性形状B4を産出するために前記温度が上げられ、又は下げられる、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4及び薬学的に許容可能な添加剤を有する医薬組成物。
【請求項15】
前記添加物は、造粒剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香料添加剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤及び球状化剤を含む群から選択される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
エンザイム3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタリル‐コエンザイムAレダクターゼ(HMG‐CoAレダクターゼ)を、それを必要とする対象において阻害する方法であって、薬剤有効量のアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を、任意に薬学的に許容可能な添加剤と共に、前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項17】
高コレステロール血症及び/又は脂質異常症を、それを必要とする対象において治療し、予防し又は軽減する方法であって、薬剤有効量のアトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4を、任意に薬学的に許容可能な添加剤と共に、前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項18】
前記添加剤は、造粒剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香料添加剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤及び球状化剤を含む群から選択される、請求項17に記載の治療方法。
【請求項19】
前記アトルバスタチンマグネシウムの結晶性形状B4の投薬量は、0.5〜100mgの間に分布する、請求項17に記載の治療方法。
【請求項20】
98.0%より大きい純度のアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項21】
100%の純度のアトルバスタチンマグネシウム。

【図1】
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【公表番号】特表2009−536638(P2009−536638A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508670(P2009−508670)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際出願番号】PCT/IN2006/000202
【国際公開番号】WO2007/132472
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508283783)バイオコン リミテッド (1)
【Fターム(参考)】