説明

アドレナリン受容体アゴニストα−1またはα−2、好ましくはブリモニジンの、充填剤、好ましくはヒアルロン酸との組み合わせ

本発明は、肌または皮膚の反応を低減するための、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品の、充填剤、好ましくはヒアルロン酸との組み合わせを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科および皮膚科学の領域に属する。本発明は、皮膚または皮膚反応を低減するための、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品の、充填剤、好ましくはヒアルロン酸との組み合わせを提供する。
【背景技術】
【0002】
外見上の挫傷および、程度は低いが、出血は、皮膚充填剤、ボツリヌス毒素およびレーザーリサーフェシング(laser resurfacing)を含めた、多くのエステティック手順のよくある結果である(平均して、その約3分の1が報告される)。
【0003】
より重大な挫傷は、脂肪吸引、豊胸術/バストリフト、フェースリフトおよび腹部整形術などの外科的手順で起こる。
【0004】
充填剤の皮下もしくは皮内の注射による、斑状出血、挫傷、炎症の開始に対して即時的な作用を有する血液成分の漏出、発赤および浮腫を誘導する血管損傷または血管壁破損を伴う二次的即時反応の管理は、特に興味深い。
【0005】
挫傷および出血、ならびに発赤および紅斑は、一般に大きな問題とみなされないが、ほとんどの医師は、手順の前にそれに対して患者に注意を促すことにより、患者にこの可能性について心構えをさせる。特に、医師はしばしば、手順の前後にアスピリンまたは他の抗凝固薬を用いることに対して警告し、手順後直ちに広範囲にアイスパックを使用し、治癒を促進するために用いられる薬草アルニカ(Arnica)をごく一般的に推奨する。この種類の欠点は、特にエステティック手順に対して、一部の患者を落胆させることがある。特に、挫傷/出血の結果に関して、医師の報告によれば、患者の最も重大な懸念の1つは、「ダウンタイム」の量であり、挫傷が発生したとき、患者は、仕事および社会活動に戻るよりも在宅することを好む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】カナダ特許第CA2326690号
【特許文献2】米国特許第6,387,383号
【特許文献3】米国特許第6,517,847号
【特許文献4】米国特許第6,468,989号
【特許文献5】米国特許第5,424,078号
【特許文献6】米国特許第5,736,165号
【特許文献7】米国特許第6,194,415号
【特許文献8】米国特許第6,248,741号
【特許文献9】米国特許第6,465,464号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Subtypes of functional α1- and α2-adrenoceptors」JR Docherty;European Journal of Pharmacology 361巻(1998年)1〜15頁
【非特許文献2】J.P.Heible and R.R.Ruffolo Therapeutic Applications of Agents Interacting with a-Adrenoceptors、180〜206頁 in Progress in Basic and Clinical Pharmacology Vol.8、P.LomaxおよびE.S.Vesell編.、Karger、1991年
【非特許文献3】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1577〜1591頁、1672〜1673頁、866〜885頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版.1995年
【非特許文献4】Ghosh、T.K.ら TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)
【非特許文献5】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 282〜291頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)
【非特許文献6】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1517〜1518頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)
【非特許文献7】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1585〜1591頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)
【非特許文献8】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1563〜1576頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)
【非特許文献9】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 866-885頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)
【非特許文献10】Ghosh、T.K.ら、TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)
【非特許文献11】BERGEら、66 J.PHARM.Sci.1〜19頁(1977年)
【非特許文献12】OCDE Guideline No.404.Acute dermal irritation/corrosion
【非特許文献13】Anna Wikberg-Matsson and Ulf Simonsen、「Potent α2A-Adrenoceptor-Mediated Vasoconstriction by Brimonidine in Porcine Ciliary Arteries」、Investig. Ophth. and Visual Science.2001年;42巻:2049〜2055頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、エステティックまたは外科的手順の間、特に充填剤が注入されるときに起こる挫傷/出血を緩和する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、エステティックまたは外科的手順、例えば充填剤注射と共にアドレナリン受容体アゴニストの局所適用/投与が、肌/皮膚の反応の発生を軽減するという本出願人による例証に基づいている。
【0010】
本発明は、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品の、充填剤、好ましくはヒアルロン酸との組み合わせまたは会合を提供する。前記組み合わせは、必要とする個体に局所的に投与される。
【0011】
本発明は、必要とする個体における、充填剤、好ましくはヒアルロン酸と組み合わせたまたは会合した、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品の使用を提供する。より具体的には、本発明は、必要とする個体における、皮膚反応を緩和または低減することを目的とした充填剤と組み合わせたまたは会合した、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2の使用を提供する。具体的な実施形態において、充填剤と組み合わせたまたは会合したある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2は、同時にまたは交互に、任意の順序で、またはある逐次的な順序で皮膚に適用されることが意図され、より具体的には、充填剤と組み合わせたまたは会合したある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2の皮膚適用は、1時間未満、好ましくは30分未満、好ましくは15分未満、より好ましくは5分未満の時間間隔の範囲内である。好ましい実施形態において、アドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2は、充填剤と組み合わせたまたは会合したブリモニジンであり、またはアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンと組み合わせたまたは会合した充填剤は、ヒアルロン酸である。
【0012】
最も好ましい実施形態において、皮膚反応は、以下の、挫傷、出血、斑状出血、紅斑、浮腫、壊死、潰瘍形成、腫脹および/または炎症から選択される。
【0013】
本発明は、ある量のアドレナリン受容体アンタゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品を充填剤、好ましくはヒアルロン酸と組み合わせるまたは会合させる部材からなるキット(kit of part)を提供する。前記ある量のアドレナリン受容体アンタゴニストα-1またはα-2は、局所組成物または製剤の形態である。
【0014】
本発明は、それを必要とする個体にある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品を提供することによって、特に、皮膚充填剤、好ましくはヒアルロン酸、ボツリヌス毒素およびレーザーリサーフェシングを含めた、エステティック手順において、挫傷および、程度は低いが、出血を減少させるまたは低減するまたは回避するための方法をも提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする個体にある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品を提供することによって、特に、皮膚充填剤、好ましくはヒアルロン酸の注射、ボツリヌス毒素およびレーザーリサーフェシングを含めたエステティック手順において、皮膚反応を緩和するまたは低減するための方法を提供する。最も好ましい実施形態において、皮膚反応は、以下の、挫傷、出血、斑状出血、紅斑、浮腫、壊死、潰瘍形成、腫脹および/または炎症から選択される。
【0016】
アドレナリン受容体アンタゴニストまたはそれらの塩の、充填剤との「会合」という表現は、2つの有効成分が別々に配合される;または、アドレナリン受容体アンタゴニスト(好ましくはブリモニジン)もしくはそれらの塩が、第1の組成物中に存在し、充填剤(好ましくはヒアルロン酸)が、第2の組成物中に存在することを意味する。本発明と関連して、「組み合わせ」および「会合」は、置換え可能である。
【0017】
したがって、本発明の別の実施形態によれば、医薬組成物は、充填剤を含む組成物Bと同時に適用されることを目的としたアドレナリン受容体アンタゴニストを含む組成物Aの形態である。好ましくは、組成物Aおよび組成物Bは、2つの組成物の同時投与を可能にするキットの形態で、あるいは、2つの別々のパッケージにおいて、同じ提示物中に少なくとも2つの生成物(組成物AおよびB)を組み合わせるキットの形態で、好ましくはチューブ(同時包装)の形態で存在する。
【0018】
「同時」適用という表現は、組成物が同時にまたは交互に、任意の順序で、または逐次的な順序で(例えば、医薬組成物Aの適用を先行することを含む医薬組成物Bの適用)皮膚に適用されるが、1時間未満、好ましくは30分未満、好ましくは15分未満、より好ましくは5分未満、さらには1分未満の時間間隔の範囲内であることを目的としているという意味である。
【0019】
本発明は、それを必要とする個体に、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品を提供することによって、特に、皮膚充填剤、好ましくはヒアルロン酸、ボツリヌス毒素およびレーザーリサーフェシングを含めたエステティック手順において、挫傷および、程度は低いが、出血を減少させるまたは低減するまたは回避するための方法を提供する。
【0020】
当技術分野で周知である通り、アドレナリン受容体は、αおよびβ受容体を包含する。α(また、a-で示される)アドレナリン受容体のうち、α1およびα2受容体は、1970年代に区別された。同じ年代の間、α2受容体は、血管の平滑筋において発生し、血管収縮反応の媒介を示すことが見出された(「Subtypes of functional α1- and α2-adrenoceptors」JR Docherty;European Journal of Pharmacology 361巻(1998年)1〜15頁)。したがって、αアドレナリンアゴニズムを示す分子、有利にはα2アドレナリンアゴニズムは、末梢の血管収縮活性を有する。
【0021】
α受容体のうち、アゴニストは、α1およびα2受容体の、アゴニストであってもよくまたはα1またはα2に特異的であってもよい。好ましくは、選ばれた分子は、α1受容体よりもα2に対してより親和性を示し、本出願の他の部分において「α2アドレナリン受容体アゴニスト」と一般に呼ばれている。
【0022】
a-2アドレナリン受容体のアゴニストは、高血圧、うっ血性心不全、狭心症、痙攣、緑内障、下痢を含めたいくつかの状態のためにおよびオピアート退薬症状の抑制のために治療的に用いられている(J.P.Heible and R.R.Ruffolo Therapeutic Applications of Agents Interacting with a-Adrenoceptors、180〜206頁 in Progress in Basic and Clinical Pharmacology Vol.8、P.LomaxおよびE.S.Vesell編.、Karger、1991年)。クロニジンなどのアドレナリン受容体アゴニストは、パッチ製剤が知られているが、主として経口で用いられている。a-2アゴニストは、患者のコアおよび末梢において血管収縮を媒介することが知られている。具体的には、a-2アドレナリン受容体アゴニストは、寒さまたはストレスによる刺激に応答して末梢の細動脈の血管収縮を引き起こすことが知られている。
【0023】
最も好ましい化合物は、(5-ブロモ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アミン(ブリモニジンと一般に称される)および薬学的に許容されるそれらの塩であり、具体的には酒石酸塩である。
【0024】
本発明の他の化合物には、ナファゾリン、テトラヒドロザリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリンおよびメトキサミンおよびそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0025】
いくつかの特許は、眼の状態および眼疾患を治療するためのブリモニジンの使用を記載している。カナダ特許第CA2326690号において、眼疾患を治療するために眼においてのみ使用するための局所の眼の製剤の使用を記載している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一実施形態において、本発明の化合物は、それを必要とする患者に局所的に投与される。したがって、本発明と関連して、化合物は、薬学的に許容される局所担体中で皮膚の患部に送達される。本明細書では、薬学的に許容される局所担体は、医薬または薬物の局所、真皮の、皮内、もしくは経皮送達のための皮膚表面に適用することができる任意の薬学的に許容される製剤である。薬学的に許容される局所担体および本発明の化合物の組み合わせは、本発明の局所製剤または局所組成物と呼ばれる。
【0027】
本発明の局所製剤は、当技術分野で周知の方法、例えば、その両方が、参照により本明細書に組み込まれる、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1577〜1591頁、1672〜1673頁、866〜885頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版.1995年);Ghosh、T.K.ら TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)などの標準的な参考書によって提供される方法に従って本発明の化合物を局所担体と混合することにより調製される。
【0028】
本発明の化合物の局所送達のために有用な局所担体は、医薬品を局所的に投与するために、当技術分野で知られている任意の担体とすることができ、例えば、それだけには限らないが、多価アルコールまたは水などの薬学的に許容される溶媒;クリーム剤またはローション剤などの乳剤(水中油型または油中水型乳剤);マイクロエマルジョン;ゲル剤;軟膏剤;リポソーム;粉末;および水溶液または懸濁液とすることができる。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明の化合物を送達するために用いられる局所担体は、乳剤、ゲル剤、または軟膏剤である。クリーム剤およびローション剤などの乳剤は、本発明において用いるための適当な局所製剤である。
【0030】
乳剤は、少なくとも2つの不混和性の相を含む分散系であり、一方の相が直径0.1mu mから100mu mの液滴としてもう一方の相に分散される。乳化剤は、通常、安定性を改善するために含まれる。
【0031】
水が分散相であり、油が分散媒であるとき、乳剤は、油中水型乳剤と呼ばれる。
【0032】
油が液滴として水相を通して液滴として分散されるとき、乳剤は、水中油型乳剤と呼ばれる。
【0033】
局所担体として用いることができるクリーム剤およびローション剤などの乳剤およびそれらの調製は、参照により本明細書に組み込まれるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 282〜291頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)に開示されている。
【0034】
別の実施形態において、本発明の化合物を送達するために用いられる局所担体は、ゲル剤であり、例えば、2相ゲル剤または単相ゲル剤である。ゲル剤は、液体によって浸透される小型の無機粒子または大型の有機分子の懸濁液からなる半固形系である。
【0035】
ゲル質量が少量の個別の無機粒子のネットワークを含むとき、それは2相ゲル剤として分類される。
【0036】
単相ゲル剤は、分散した巨大分子と液体との間に明らかな境界が存在しないような、液体を通して均一に分布する有機巨大分子からなる。
【0037】
本発明において用いるための適当なゲル剤は、参照により本明細書に組み込まれるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1517〜1518頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)に開示されている。本発明で用いるための他の適当なゲル剤は、米国特許第6,387,383号(2002年5月14日発行);米国特許第6,517,847号(2003年2月11日発行);および米国特許第6,468,989号(2002年10月22日発行)に開示されており、それらの特許はそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
別の実施形態において、本発明の化合物を送達するために用いられる局所担体は、軟膏剤である。
【0039】
軟膏剤は、水があったとしてもほとんど含まない油性の半固形である。
【0040】
好ましくは、軟膏剤は、ろう、ワセリン、またはゲル状の鉱油などの炭化水素系である。本発明において用いるための適当な軟膏剤は、当技術分野で周知であり、参照により本明細書に組み込まれるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1585〜1591頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)に開示されている。
【0041】
別の実施形態において、本発明の局所製剤において使用される局所担体は、水溶液または懸濁液であり、好ましくは、水溶液である。
【0042】
よく知られている溶液および懸濁液は、本発明において用いるための適当な局所担体である。
【0043】
本発明において用いるための適当な水性局所製剤は、参照により本明細書に組み込まれる、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1563〜1576頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年)に開示されている。他の適当な水性局所担体系は、米国特許第5,424,078号(1995年6月13日発行);米国特許第5,736,165号(1998年4月7日発行);米国特許第6,194,415号(2001年2月27日発行);米国特許第6,248,741号(2001年6月19日発行);米国特許第6,465,464号(2002年10月15日発行)に開示されており、それらの特許はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
本発明の局所製剤は、それだけには限らないが、保護薬、吸収剤、粘滑薬、皮膚軟化剤、保存剤、酸化防止剤、保湿剤、緩衝剤、可溶化剤、皮膚-浸透剤、および界面活性剤を含めた、参照により本明細書に組み込まれるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 866-885頁(Alfonso R.Gennaro編 第19版 1995年);Ghosh、T.K.ら、TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)に列挙されるものなど、薬学的に許容される添加剤を含むことができる。
【0045】
医薬品添加物
本発明の局所製剤は、医薬またはそれらの薬学的に許容される塩、例えば、それだけには限らないが、ベタメタゾン、ジフロラゾン、アムシノニド、フルオシノロン、モメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、およびトリアムシノロンなどの局所コルチコステロイドおよび他の抗炎症薬;カンフル、メントール、リドカイン、およびジブカイン、およびプラモキシンなどの局部麻酔薬および鎮痛薬;シクロピロクス、クロロキシレノール、トリアセチン、スルコナゾール、ナイスタチン、ウンデシレン酸、トルナフタート、ミコニゾール、クロトリマゾール、オキシコナゾール、グリセオフルビン、エコナゾール、ケトコノゾール、およびアムホテリシンBなどの抗真菌薬;ムピロシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、ゲンタマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、およびスルファジアジン銀などの抗生物質および抗感染症薬;ならびにヨウ素、ポビジン-ヨウ素、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、クロルヘキシジン、ニトロフラジン、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、ヘキサクロロフェン、フェノール、レソルシノール、および塩化セチルピリジニウムなどの防腐剤を含むことができる。
【0046】
用量および投薬回数は、本発明の化合物の活性、特定の局所製剤の特性、ならびに治療されるもしくは予防される皮膚化学的な障害の同一性および重症度に依存して訓練を受けた医療従事者により決定される。
【0047】
一般に、本発明の化合物は、製剤の全重量の約0.001%から約10%の量で、好ましくは、製剤の全重量の約0.05%から約5%の量で、より好ましくは、製剤の全重量の約0.1%から約2%の量で本発明の製剤中に存在する。
【0048】
本発明の別の態様は、使用するためのラベル表示および指示がある適当な容器中に本発明の局所製剤を含む製品である。
【0049】
容器は、適当な小型のオリフィスサイズを有するスポイトまたはチューブとすることができ、例えば、本発明の局所製剤は、プラスチック製のスクイーズボトルもしくはチューブ;または小型の瓶、薬瓶もしくはバイアルに充填し包装することができる。
【0050】
好ましくは、指示は、例えば、パンフレットまたはパッケージラベルなど、本発明の製剤と共に包装される。ラベル表示の指示は、患者を治療するために十分な量および期間で本発明の局所製剤を投与する方法を説明する。好ましくは、ラベルには、用量および投与指示、製剤の組成、臨床薬理学、薬物抵抗性、薬物動態、吸収、バイオアベイラビリティ、および禁忌が含まれる。
【0051】
充填剤は、当業者によって知られている任意の生成物とすることができ、好ましい化合物は、ヒアルロン酸、コラーゲン、硫酸デキストラン、エラスチン、ポリウレタンゲル、ポリ-L-乳酸またはカルシウムハイドロキシアパタイトまたはシリコーンもしくはその混合物などの分子である。最も好ましいのは、ヒアルロン酸架橋もしくは直鎖などの再吸収可能な化合物である。
【0052】
ヒアルロン酸またはヒアルロナートは、結合組織、上皮組織、および神経組織の全体において広く分布する非硫酸化グリコサミノグリカンである。これは、細胞外基質の主な構成物の1つであり、細胞増殖および移動に大きく寄与している。ヒアルロン酸は、皮膚水和および皮膚弾性において重要な役割を果たしている。ヒアルロン酸のレベルは、量および質が老化と共に低下し、しわになる皮膚乾燥を誘導する。
【0053】
ヒアルロン酸は、水溶性が高く、高い粘度レベルを有する溶液を形成する。したがって、医薬品として広く用いられる。本化合物の安全性は、免疫原性反応が観察されているため、非常に安全であるとみなされる。僅かな有害事象も、ほとんど認められていない。
【0054】
したがって有利には、充填剤は、ヒアルロン酸または薬学的に許容されるそれらの塩もしくは誘導体であり、具体的にはナトリウム塩またはカリウム塩である。ヒアルロン酸は、異なる形態で用いることができる。すなわち、直鎖の形態または架橋の、エステルまたはアミドなどのそれらの塩、それらの誘導体である。具体的には、通常500kDaから5000kDaで構成される分子量、および架橋結合の程度は、適用に依存し、特に、満たされるべきしわの深度に依存する。
【0055】
本発明によれば、「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書では、哺乳動物において局所使用のために安全かつ有効であり、所望の生物活性を有する本発明の化合物のこれらの塩を意味する。薬学的に許容される塩には、本発明の化合物中に存在する酸性基または塩基性基の塩が含まれる。
【0056】
薬学的に許容される酸付加塩には、それだけには限らないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩(maleat)、ゲンチシナート、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロナート、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトアート))が含まれる。本発明のある種の化合物は、様々なアミノ酸により薬学的に許容される塩を形成することができる。
【0057】
適当な塩基との塩には、それだけには限らないが、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびジエタノールアミン塩が含まれる。薬学的に許容される塩の総説については、参照により本明細書に組み込まれるBERGEら、66 J.PHARM.Sci.1〜19頁(1977年)を参照のこと。
【0058】
「薬学的に許容される局所製剤」は、本発明と関連して、本発明の化合物の局所送達のために薬学的に許容される任意の製剤を意味している。本発明によれば、局所製剤は、本発明の少なくとも1種の化合物を含む。局所製剤の選択は、治療しようとするまたは予防しようとする症状の性質、本発明の特定の化合物および存在する他の添加剤の生理化学の特性、製剤中のそれらの安定性、利用可能な製造装置、および費用制約条件を含めた、いくつかの因子に依存する。
【0059】
本明細書では、「本発明の化合物の治療上有効量」は、本発明と関連して所望の効果を得るのに有効である化合物の最小量を意味する。
【0060】
本明細書では、「対象」または「患者」という用語は、同等に用いられ、本発明の化合物または製剤を投与するまたは投与されている、任意の動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは、ヒトを意味する。本明細書で用いられる「哺乳動物」という用語は、任意の哺乳動物を包含する。
【0061】
図は、(皮膚擦傷術の後直ちにおよび2〜5および10分で撮影した同じ写真中の治療(Z4)および未治療領域(Z3)を含めた)ブリモニジンによる皮膚治療の写真である。
【0062】
(実施例)
以下の実施例は、例証のみを目的として提供され、いかなる形においても本発明の範囲を限定するものと解釈されるものではない。
【0063】
(実施例1)
本発明の水溶液局所製剤は、(5-ブロモ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アミン-L-タルトラート、(酒石酸ブリモニジン)(0.15重量%);保存剤として塩化ベンザルコニウム(0.005重量%);および不活性成分:ホウ酸;塩化カルシウム;塩化マグネシウム;塩化カリウム;純水;ホウ酸ナトリウム;カルボキシメチルセルロースナトリウム;塩化ナトリウムを;pHを5.6から6.6に調整するために塩酸および/または水酸化ナトリウムと共に含む。重量オスモル濃度は、250〜350mOsmol/Kgの範囲である。
【0064】
(実施例2)
本発明の有り得るゲル製剤を、以下の表に記載する。
【0065】
【表1】

【0066】
成分を一緒にして混合し、水性水酸化ナトリウムを、pH約7になるまで混合物にゆっくりと加え、ゲルを形成させる。
【0067】
(実施例3)
BURANE XLレーザーを用いたミニブタの小区域モデルにおけるin vivo皮膚擦傷術アッセイおよびブリモニジンゲル剤との皮膚相互作用。
本試験の目的は、プラセボまたは1%適用されたブリモニジンゲル剤の単回の皮膚適用の、Gottingen(登録商標)ミニブタにおける区切られた擦過された小区域(2.8cm2および異なる皮膚擦過された皮膚状態)に対する局所的な皮膚効果を評価することであった。
【0068】
本作業において、皮膚反応、具体的には発赤/出血のカイネティクスの修正を評価するために、ブタの種においてよく知られている強力な血管収縮薬*であるα2A-アドレナリン受容体(ブリモニジン)を異なる皮膚の皮膚擦傷状態に関して評価する。
【0069】
月齢4から8ヵ月の、(未処置の)雌のGottingen(登録商標)ミニブタ1匹は、1%のブリモニジンゲル剤の区切られた小区域(2.8cm2、ringflost(登録商標)を用いて)への皮膚(局所)適用を受けた。
【0070】
1日目:各区域を、毛を刈り取りなくす。(背側、脊柱および肩甲骨内領域を避け)刈り取られた領域で、4ヵ所の小区域(両側2ヵ所)を、ringflost(登録商標)を用いて区切り、消えないペンで囲む。
【0071】
1日目:動物を、皮膚擦傷術前に麻酔する(Zoletil(登録商標))。各小区域をクロルエキシジンで消毒する。各区域のために用いた実験条件を以下の通り設定する。
【0072】
【化1】

【0073】
1%ブリモニジンゲル剤を、皮膚擦傷術手順前に5分間穏やかに適用する。
【0074】
皮膚反応を、皮膚擦傷術手順後直ちにおよび2〜5分および10分で評価する。皮膚を試験して紅斑、浮腫、落屑、痂皮形成および他の任意の病変の程度を評価する。皮膚反応を「OCDE Guideline No.404.Acute dermal irritation/corrosion」に記載される評価尺度(grading scale)に従って評価する。
【0075】
可能な場合、皮膚反応評価は、全試験中同じ人によって行われる。
【0076】
治療の期間は1日であった。その後各区域を創傷治癒プロセスを完了するまでTegaderm(登録商標)包帯剤で被覆する。
【0077】
(同じ写真中で治療されたおよび未治療領域を含めた)写真は、皮膚擦傷術手順後直ちにおよび2〜5分および10分で撮影する。
【0078】
これらのアッセイによれば、表面損傷のみがこれらの状態においてErbiumレーザーによって誘導され、深度は、表皮に限られることが示された。すべての皮膚擦傷術手順を麻酔(Zoletil(登録商標))下で行う。
【0079】
痛み止め(動物当たり1mL、Finadyne(登録商標))を皮膚評価終了の20分後に用いる。
【0080】
用いられたレーザーは、Wavelight aesthetics(Quantel)から入手したErbium Yag、2940 nm BURANE XLである。
【0081】
Z3およびZ4の写真における比較分析によって実証された通り、ブリモニジンの血管収縮薬効果は、ブリモニジンの半減期が4時間であるため、皮膚擦傷術後5分から開始し14分およびそれを超えて視覚的に明らかである。
【0082】
この効果は、明らかに視覚可能であり、末梢領域(紅斑性の(erythematic)ハロ)から開始し、円形領域の中心部まで拡大する。
【0083】
結論として、この実施例では、ブリモニジンが審美的または外科的手順の間皮膚反応を低減することができ、特に、挫傷または出血反応を緩和することができることを示している。
【0084】
(*):Anna Wikberg-Matsson and Ulf Simonsen、「Potent α2A-Adrenoceptor-Mediated Vasoconstriction by Brimonidine in Porcine Ciliary Arteries」、Investig. Ophth. and Visual Science.2001年;42巻:2049〜2055頁
【図1a】

【図1b】

【図1c)】

【図1d)】

【図1e)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品の、充填剤、好ましくはヒアルロン酸との組み合わせまたは会合。
【請求項2】
必要とする個体における、皮膚反応を緩和または低減することを目的とした充填剤と組み合わせたまたは会合した、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2の使用。
【請求項3】
充填剤と組み合わせたまたは会合したある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2が、同時にまたは交互に、任意の順序で、またはある逐次的な順序で皮膚に適用されることが意図される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
充填剤と組み合わせたまたは会合した、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2の皮膚適用が、1時間未満、好ましくは30分未満、好ましくは15分未満、より好ましくは5分未満の時間間隔の範囲内である、請求項2または3に記載の使用。
【請求項5】
アドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2が、充填剤と組み合わせたまたは会合したブリモニジンである、請求項2から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
アドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンと組み合わせたまたは会合した充填剤が、ヒアルロン酸である、請求項2または5に記載の使用。
【請求項7】
皮膚反応が、以下の、挫傷、出血、斑状出血、紅斑、浮腫、壊死、潰瘍形成、腫脹および/または炎症から選択される、請求項2から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品を充填剤、好ましくはヒアルロン酸と組み合わせる部材からなるキット。
【請求項9】
前記ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品が、局所組成物または製剤の形態である、請求項8に記載の部材からなるキット。
【請求項10】
それを必要とする個体に、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品を提供することによって、特に、皮膚充填剤、好ましくはヒアルロン酸、ボツリヌス毒素およびレーザーリサーフェシングを含めたエステティック手順において、挫傷および、程度は低いが、出血を減少させるまたは低減するまたは回避するための方法。
【請求項11】
それを必要とする個体に、ある量のアドレナリン受容体アゴニストα-1またはα-2、好ましくはブリモニジンとして知られている製品を提供することによって、特に、皮膚充填剤、好ましくはヒアルロン酸の注射、ボツリヌス毒素およびレーザーリサーフェシングを含めたエステティック手順において、皮膚反応を緩和するまたは低減するための方法。
【請求項12】
皮膚反応が、以下の反応のリスト、斑状出血、挫傷、出血、紅斑、浮腫、壊死、潰瘍形成、腫脹および/または炎症から選択される、請求項8に記載の方法。

【公表番号】特表2012−528130(P2012−528130A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512401(P2012−512401)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057469
【国際公開番号】WO2010/136585
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】