説明

アナストロゾールを含む延長放出製剤

本発明は、緩効性アナストロゾール製剤に関し、特に、ポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーを含み、アナストロゾールが中に取り込まれるインサイチュ(in situ)ゲル化製剤に関する。本発明はまた、前記製剤を使用した治療方法(特に乳癌の治療方法)および前記製剤の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、徐放性アナストロゾール製剤に関し、特に、アナストロゾールが中に取り込まれるインサイチュ(in situ)ゲル化系に関する。本発明はまた、前記製剤を使用した治療方法(特に乳癌の治療方法)および前記製剤の調製方法に関する。
【0002】
アナストロゾール(アリミデックスTM)はアロマターゼ阻害剤であり、アロマターゼ阻害剤は組織においてエストロゲン合成を阻害するように作用する化合物群である。これらの化合物は、副腎アンドロゲン類(アンドロステンジオン及びテストステロン)のエストロゲン類(エストロゲン及びエストラジオール)への変換を触媒するアロマターゼ酵素を阻害することにより、エストロゲンの生合成を防止する。アナストロゾールは、選択性が高く、耐容性に優れ、そして進行性乳癌を治療する点で効果的である非ステロイド性のアロマターゼ阻害剤である(Buzdarら 1995,5 The Breast 4(3):256−257 Abs 104;Jonatら 1995,European Journal of Cancer 32A(3):404−412;Plourdeら 1995,Journal of Steroid Biochemistry 53:175−179)。(アリミデックスの臨床実績に関する詳細な情報は、アリミデックスの処方情報書面中に見出される)。アナストロゾールは米国特許RE366717に記載されており、その記載は参照により本明細書に含まれる。
【0003】
薬剤の送達のための注射可能な移植物の使用は周知である。1980年代以降、生分解性の移植体と非生分解性の移植体の両方が市販されている。これらの例は、乳癌の治療のためのゴセレリンのポリラクチド−コ−グリコリド製剤であるゾラデックスTM(ZoladexTM)、及び避妊のための非生分解性シリコン性デバイスであるノルプラントTM(NorPlantTM)である。小さく注射可能な微小粒子製剤もまた周知であり、その例は前立腺癌の治療のためのロイプロリドの製剤であるルプロン デポTM(Lupron DepotTM)である。そのような前もって形成された送達系の欠点は投与である。ゾラデックスTMのような円柱ロッドは、移植のために比較的大きい穴の針を必要とする。微小粒子製剤は、使用される針の穴をより小さくすることが可能であるが、これらは注射の前に水性ビヒクル中での分散を必要とし、そしてこれらの製造過程は典型的には複雑でありそして制御することが困難であり、しばしば除去を必要とするきつい溶媒の使用を伴う。さらに最近、液体として注射されるがインビボで固体製剤に変化する、いわゆる「インサイチュゲル化系(システム)」といわれる製剤が開発されてきている。これらの製剤は小さい穴の針を通じて皮下に注射可能であり、そして生体適合性溶媒のみを用いる。さらに、これらは特に微小粒子製剤と比較したとき、比較的製造しやすい。そのような系の概説のために、読者は、Sustained Release Injectable Products,Judy SeniorとMichael Radomsky編、Interpharm Press,Inc.,Buffalo Grove,Illinois,2000.TiptonとDunn中、インサイチュゲル化製剤(In Situ Gelling Formulation)−第10章,A.J.TiptonとR.L.Dunn.を参照されたい。
【0004】
アナストロゾールは、毎日1mgの錠剤として与えられる。最適な治療上の利益を享受するには、患者は毎日アナストロゾールを摂取することが重要である。しかしながら、患者がそのような毎日の投与計画を遵守することを確実にすることは困難であり、特に治療の経過が長い場合、中間段階である場合、又は一生涯の期間の場合には困難である。したがって、患者の遵守/便宜を改善し、患者に最適な治療上の利益を与えるために、アナストロゾールの延長放出製剤の必要性がある。延長放出剤形における化合物の製剤化はまた他の利益も提供する。例えば、延長放出剤形の形態で薬剤をより少ない頻度で投与することは、血漿濃度−時間プロファイルにおけるばらつきを効果的に平滑化する。そのような血漿プロファイルの平滑化は薬剤の治療上の効果を改善するだけでなく、望ましくない副作用を減少させうる。特に腫瘍学適応症に重要な延長放出製剤のさらなる利点は、疾患を毎日思い出させるものを取り除くことにより延長放出製剤が与える「クオリティオブライフ」の改善である。
【0005】
従来の経口治療に対するそのような製剤への患者の承諾を得るために、デポー製剤を用いた治療が出来るだけ心地よく、そして注射時に最小限の痛みしか引き起こさないことが重要である。したがって、出来るだけ少ない量の製剤、即ち低注射量の用量で投与することが非常に都合がよいであろう。1mg/日の経口用量でこれを実行するために、製剤は高い重量パーセントのアナストロゾールを含有する必要がある。しかしながら、アナストロゾールは293.4ダルトンの分子量及び25℃で0.53mg/mlの水溶性を有している。そのような溶解性を有する低分子量化合物は、インサイチュ形成延長放出製剤を得るために理想的とはいえない。これは、溶媒に溶解したポリマーからなる溶媒に基づく持続性組成物は、注射後即座に固体化することができないからである。溶媒が持続性製剤から拡散する注射後の初期の間、活性剤の拡散速度は、皮下に形成された固形マトリックスから生じる放出速度よりも十分に早い。したがって、多くの割合の活性成分が、系が形成されるにつれて、溶媒と共に放出されることが多い。これは、持続性製剤形成段階の間の持続性製剤の急速な分配(これは、初期における大量の薬剤噴出や非常に短い期間の薬剤放出につながる)が予想される、アナストロゾールのような良好な水溶解性を有する低分子量化合物について特に明らかである。この噴出効果は、製剤が高薬剤濃度及び非常に少ないレベルの速度修正ポリマーを含有するとき、さらに悪化する可能性が高い。
【0006】
本発明者らは、アナストロゾールの延長放出製剤としてインサイチュゲル化系を開発するために取りくみ、そしてある条件下でアナストロゾールの送達のためのインサイチュゲル化製剤を製造することが可能であることを発見した。
【0007】
本発明の第一の側面によれば、以下を含むインサイチュゲル化製剤が提供される:
(i)約10000ダルトン〜約50000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)約100:0〜約50:50の間のラクチドのグリコリドに対するモル比;
(iii)製剤の総重量に基づいて約5〜約30重量%のアナストロゾール;
(iv)適した溶媒;及び
(v)約50:50〜約60:40の間のポリマーの溶媒に対する重量比;
ここで、上記インサイチュゲル化製剤は、生理的な水性環境に置かれたとき少なくとも約7日の期間に渡ってアナストロゾールを連続的に放出する。
【0008】
本発明のさらなる側面によれば、
(i)約10000ダルトン〜約50000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)約100:0〜約50:50の間のラクチドのグリコリドに対するモル比;
(iii)移植体の総重量に基づいて約5〜約30重量%のアナストロゾール;及び、
(iv)適した溶媒;
(v)約50:50〜約60:40の間のポリマーの溶媒に対する重量比;
を有するインサイチュゲル化製剤が提供され、ここで、
(1)ポリマー/溶媒重量比が50:50〜55:45の場合、
a)ラクチドのグリコリドに対するモル比は、75:25〜100:0の間であり;
b)アナストロゾール使用量(loading)が20%を超える場合、ラクチドのグリコリドに対するモル比は95:5〜100:0の間であり、そしてポリマー又はコポリマーの平均分子量は30000ダルトン超であり;
c)アナストロゾール使用量が20%以下であり、ラクチドのグリコリドに対するモル比が75:25〜85:15の間である場合、ポリマー又はコポリマーの平均分子量は30000ダルトン超であり;そして
(2)ポリマー/溶媒重量比が55:45〜60:40の場合、
a)アナストロゾール使用量が20%を超える場合、ラクチドのグリコリドに対するモル比は85:15〜100:0の間であり、そしてポリマー又はコポリマーの平均分子量は20000ダルトン超であり;
b)アナストロゾール使用量が20%以下であり、ラクチドのグリコリドに対するモル比は50:50〜75:25の間である場合、ポリマー又はコポリマーの平均分子量は30000ダルトン超である。
【0009】
本発明のさらなる側面によれば、
(i)約10000ダルトン〜約50000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)約100:0〜約50:50の間のラクチドのグリコリドに対するモル比;
(iii)移植体の総重量に基づいて約5〜約30重量%のアナストロゾール;及び
(iv)適した溶媒;
(v)約50:50〜約60:40の間のポリマーの溶媒に対する重量比;
を有するインサイチュゲル化製剤が提供され、ここで、
(1)ポリマー/溶媒重量比が50:50〜55:45の場合、
a.以下の表が、所与のグリコリドに対するラクチド比での適切なアナストロゾール使用量及びポリマーの平均分子量を与え:
【0010】
【表1】

【0011】
そして、
b.ラクチドのグリコリドに対するモル比が75:25〜100:0の間であり、そしてアナストロゾール使用量が20%を超える場合、ラクチドのグリコリドに対するモル比は95:5〜100:0の間であり、そして
(2)ポリマー/溶媒重量比が55:45〜60:40の場合、
a.以下の表が、所与のグリコリドに対するラクチド比での適切なアナストロゾール使用量及び平均分子量を与え:
【0012】
【表2】

【0013】
そして、
b.アナストロゾール使用量が20%を超える場合、ラクチドのグリコリドに対するモル比は85:15〜100:0の間である。
【0014】
本発明のさらなる側面によれば、
(i)約10000ダルトン〜約50000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)約100:0〜約50:50の間のラクチドのグリコリドに対するモル比;
(iii)移植体の総重量に基づいて約5〜約30重量%のアナストロゾール;および
(iv)適した溶媒;
(v)約50:50〜約60:40の間のポリマーの溶媒に対する重量比;
を有するインサイチュゲル化製剤が提供され、
(vi)ここで、
(1)ポリマー/溶媒重量比が50:50〜55:45の場合、ポリマーの最低平均分子量が以下の等式:
MW=83.90−145.3(f+3.755)+33.96(f+3.755)+30.79(f−0.126)+1822.9(f−0.126)
から算出可能であり、
(2)ポリマー/溶媒重量比が55:45〜60:40の場合、ポリマーの最低平均分子量が以下の等式:
MW=−5.87+43.87(f+0.078)+182.9(f+0.078)+27.99(f+0.110)+55.0(f+0.110)
から算出可能であり、
ここで、fはアナストロゾールの割合であり1.0が100%であり、即ち5%は0.05として表現され;そして、fはグリコリドの割合であり1.0が100%であり、即ち50%は0.50として表現される。
【0015】
製剤におけるアナストロゾールの割合に関するときの用語「約」は、製剤の±5%の重量パーセント、特に製剤の±2%の重量パーセントを言う。
製剤からのアナストロゾールの放出期間に関するときの用語「約」は、±2日、特に±1日、さらに特に±12時間を言う。
【0016】
ポリマーの分子量に関するときの用語「約」は、±5KDa、特に±2KDa、さらに特に±1KDaを言う。
ポリマーの溶媒に対する比率に関するときの用語「約」は、±5、特に±2、さらに特に±1を言う。2つの数値の合計が常に100になるように比率が表されることは、当業者には明確であろう。したがって、60/40の比率は65/35〜55/45の間で変化可能である。
【0017】
本明細書で使用される用語「生理的水性環境」は温血動物の体、特にヒト、そしてとりわけそのような体の皮下環境を言う。製剤を35〜40℃の温度で、任意により生理的pHに緩衝された水性溶解培地中に置くことにより、このような条件はインビトロでシミュレート可能である。適した溶解培地は、リン酸緩衝液を使用しておよそ7.4のpHに緩衝された生理食塩水、例えばリン酸緩衝生理食塩水又はMcIlvaineクエン酸リン酸を含む。好ましくは、水性溶解培地は37℃±2℃の温度で維持される。所与の期間に渡って放出されるアナストロゾールの量は、溶解培地をサンプリングし、そして例えばHPLCのような適した分析方法を使用してアナストロゾールの濃度を測定することにより決定可能である。
【0018】
本明細書で使用される用語「連続的」は、生理的水性環境中に移植後少なくとも7日間の移植体からのアナストロゾールの断続的な放出を言う。アナストロゾールの放出速度は少なくとも7日間変化してよく、例えば移植直後にアナストロゾールの短い「初期噴出」が観察され、その後により低量での放出の期間が観察されてよい。しかしながら、移植後少なくとも7日の中に、移植体からのアナストロゾールの放出がアナストロゾールのインビボレベルを維持するために不十分である期間はない。アナストロゾール放出の好ましいレベルとしては、移植体が生理的水性環境に置かれたとき、1日当たりアナストロゾール少なくとも0.25mg、特に1日当たり少なくとも0.5mg、より特に1日当たり約1mgが挙げられる。好ましくは、アナストロゾールの放出速度は、少なくとも7日の期間の大部分にわたっておよそ一定であるが常に連続的である。
【0019】
用語「KDa」はキロダルトンを言う。
本明細書で使用される「インサイチュゲル化製剤」という用語は、薬剤、生分解性ポリマー及び生体適合性溶媒を含む製剤を指し、これは注射可能な液体として患者に送達されるが、液体溶媒がインビボで拡散するにつれて固体化し、固体の持続性製剤になる。
【0020】
用語「適した溶媒」は製剤の成分が溶解可能であり、そして製剤がインビボに注射された後に製剤から拡散し製剤の固体化を導く任意の溶媒を言う。生分解性ポリマーのための溶媒は、非毒性で、水混和性で、その他に生体適合性であることが好ましい。毒性のある溶媒は、生体中にいかなる物質を注射するためにも使用すべきではない。溶媒はまた、移植の部位で深刻な組織刺激又は壊死を引き起こさないように生体適合性であるべきでもある。さらに、溶媒は、体液中に急速に拡散し、水のポリマー溶液中への浸透を可能にしてその凝固又は固体化を引き起こすようにするため、水混和性であるべきである。そのような溶媒の例には、ベンジルアルコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、エタノール、プロピレングリコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、オレイン酸、及び1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンが含まれる。好ましい溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン及びベンジルアルコールである。
【0021】
本発明の製剤は、乳酸及びグリコール酸のポリマーを含む。
ポリラクチドポリマーは、ポリマーの全ての繰り返し単位が式(1):
【0022】
【化1】

【0023】
であるホモポリマーである。繰り返し単位は、D−配置、又はL−及びD−配置の混合物のポリマーから選択される。好ましくは、式(1)の繰り返し単位は、L−及びD−配置の混合物を含む。ポリマーがL−及びD−配置の繰り返し単位の混合物を含む場合、ポリマー中のL−単位のD−単位に対する比率は、好ましくは25:75〜75:25、より好ましくは30:70〜70:30、そして特別にはおよそ1:1である。
【0024】
各ポリマー鎖は、好ましくは1つのヒドロキシ基及び1つのCOOH基で末端となる。しかしながら、本発明の態様において、他の末端基の存在が製剤からのアナストロゾールの放出に不利に影響しないという条件で、そのような末端基が存在しうる。ポリマー上に存在しうる−OH又は−COOH以外の適した末端基は、適切な酸又はアルコールとポリマーの−OH及び/又は−COOH末端基とを反応することにより形成したエステルを含む。適したエステルは、アルキル(好ましくはC1−4−アルキル)又はアラルキル(好ましくはベンジル)エステルを含む。
【0025】
ポリラクチドポリマーは、単一のポリラクチドホモポリマー又は2以上のポリラクチドホモポリマーの混合物を含んでよい。2以上のポリラクチドポリマーの混合物は、製剤からのアナストロゾール類似物の放出速度に対してさらなる制御を与えるために使用可能であり、これにより生理型環境において移植物の耐用期間に渡ってより一定な放出速度を提供する。2以上のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーの混合物、又はポリラクチドポリマーとポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーの混合物もまた使用可能である。ポリマーの混合物は、アナストロゾール放出プロファイルにおいて「平坦な点(flat spot)」を最小にするために特に有用であり、これにより製剤からのアナストロゾールの円滑で安定した放出を提供する。
【0026】
ポリラクチドポリマーは既知の方法を使用して調製してよい。ポリラクチド及びポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーの調製の好ましい方法は、2つの乳酸単位又は2つのグリコール酸単位、即ちそれぞれラクチド及びグリコリドからなる複素環式モノマーの開環重合である。開環重合は高温条件下、及びポリマー技術分野において周知の条件にて適当な触媒の存在下で実行する。
【0027】
開環重合のための適した触媒は、限定される訳ではないが、亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、p−トルエンスルホン酸、アンチモン触媒(例えば三フッ化アンチモン)、又は有機スズ触媒(例えばオクタン酸塩スズ(2−エチルヘキサン酸スズ))、又は塩化スズを含む。
【0028】
開環重合のための適した反応温度は、約120℃〜約240℃であり、より好ましくは140℃〜200℃である。開環重合は、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間の期間に渡って実行される。
【0029】
好ましくは、開環重合反応は、適した連鎖停止剤の存在下で実行され、これにより生じるポリラクチド又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーのMWを制御する。適した連鎖停止剤は、水、乳酸のようなヒドロキシ−カルボン酸、又はC1−6アルカノールのようなアルコールを含む。(適した方法に対するさらなる情報については、読者は以下のような当該技術分野における標準の教科書を参照されたい:Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology,Donald L.Wise編、Marcel Dekker,Inc.,ニューヨーク,2000、中のPolylactic and Polyglycolic Acids as Drug Delivery Carriers. L.Brannon−PeppasとM.Vert)。
【0030】
ポリラクチド及びポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーを調製するために使用される方法によって、典型的には個々のポリラクチドポリマー鎖の混合物を得られ、その多くは鎖長が異なる。ポリマーの多分散性はそのような混合物において鎖長の広がりの指標を提供し、そして重量平均分子量(MW)の数平均分子量(Mn)に対する比率として定義される。適当には、ポリマーの多分散性は1.3〜4.5である。
【0031】
本発明の製剤は、ポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド/グリコリド)コポリマーが溶媒中に溶解して提供され、ここで溶媒は非毒性で且つ水混和性であり、液性溶液を作る。一旦ポリマー溶液が十分な水がある体内へ置かれると、溶媒はポリマーから放散又は拡散し、ポリマーを固体構造に凝固又は固体化させる。溶液の配置は体内のどこでも可能であり、筋肉や脂肪のような軟部組織、骨のような硬組織、又は歯周、口腔、膣、直腸、鼻腔のような空洞、又は歯周ポケット又は目の円蓋(clu−de−sac)のようなポケットを含む。アナストロゾールは、ポリマー溶液に添加され、溶解して均質な溶液を形成するか、又は分散してポリマー溶液中に薬剤の懸濁液又は分散液を形成する。ポリマー溶液が体液又は水に暴露されると、溶媒はポリマー−薬剤混合物から拡散し、そして水は混合物中に拡散しポリマーを凝固し、これにより移植体が固体化するにつれてポリマーマトリックス中に薬剤を閉じ込めるかカプセル化する。次いで、薬剤の放出は、ポリマーマトリックス中からの薬剤の拡散又は溶解の一般原則に従う。
【0032】
本発明の製剤において、ポリマー溶液はシリンジ中に入れられ、そして針を通じて体内に注射される。一旦配置されると、溶媒は放散し、結果としてポリマーが固体化し、そして固体構造が形成される。移植体は機械的な力により周囲の組織又は骨に接着し、そして周囲の空洞の形態をとりうる。移植体の分解時間は、選択されたポリマー及びその分子量に依存して変化可能である。
【0033】
好適には、本発明の製剤は、アナストロゾール、及び溶媒中のポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーの溶液からなる2つの成分として保存可能である。使用前に、2つの成分を十分に混合する。これは、2つの成分をシリンジ中に保存することにより行うことができる。混合を容易にするために、2つのシリンジのノズルを連結し、そして2つのシリンジの間で成分を前後に押すことによって2つの成分を十分に混合する。混合後、シリンジの一方を製剤を投薬するために使用可能であり、好適には投薬シリンジには目盛り付けが可能である。
【0034】
使用時に、アナストロゾールを注射前にポリマー溶液に添加し、次いでポリマー/溶媒/剤混合物を体内に注射する。注射後に溶媒が放散し、ポリマーが固体化し、固体マトリックス中に薬剤を捕捉または包み込む。使用したポリマー及び溶媒に依存して、溶媒が放散するにつれてアナストロゾールのいくらかは製剤から失われることがあり、インビボでのアナストロゾールの噴出をもたらす。そのような噴出は生物学的に許容可能なレベルに保たれるべきであり、即ち高レベルのアナストロゾールのいかなる望ましくない効果を最小にすべきである。初めの24時間について、噴出レベルが25〜30%であることが、アナストロゾールについて好ましい。これら固体移植体からの薬剤の放出は、モノリシックな(monolithic)ポリマーデバイスからの薬剤の放出と同様の一般原則に従う。薬剤の放出は、移植体のサイズ及び形状、移植体内の薬剤の使用量、薬剤及び特定のポリマーに関する浸透性因子、並びにポリマーの分解性により影響を受けうる。上記のパラメーターは薬剤送達(ドラッグデリバリー)の当業者により調節され、望ましい放出速度及び放出期間とすることが可能である。
【0035】
注射可能で、インサイチュで固体形成する製剤中に取り込まれたアナストロゾールの量は、望ましい放出プロファイル、生物学的効果に必要なアナストロゾールの濃度、及び薬剤を治療のために放出しなければならない時間の長さに依存する。
【0036】
本発明の製剤の特性、特に初期放出動態における特性は、ポリマーの溶媒に対する重量比を変えることで変更することも可能である。好ましいポリマー溶媒比は、使用されるポリマー及び溶媒に依存する。例えば、溶媒としてN−メチルピロリドンを使用し、85:15〜95:5の間のラクチド/グリコリドコポリマーを使用した場合、50:50〜60:40の間のポリマーの溶媒に対する比率が好ましい。
【0037】
本発明に係る新規製剤は、例えば、以下に定義される意味のいずれかの特性を有する製剤を含む。
(a)溶媒がN−メチル−ピロリドン又はベンジルアルコール。
【0038】
(b)溶媒がN−メチル−ピロリドン。
(c)溶媒がベンジルアルコール。
(d)ポリラクチド又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーの重量平均分子量が以下の数値の間である:
(i)約10000〜約45000ダルトン;
(ii)約18000〜約35000ダルトン;
(iii)約20000〜約30000ダルトン;
(iv)約23000〜約26000ダルトン。
【0039】
ポリマーの重量平均分子量(MW)は、MW200〜400000Daのリニアーレンジを有する2×30cm混合ベッド‘D’sPLGelカラム(供給業者Polymer Laboratories)を持つ、テトラヒドロフラン(THF)中のポリマー溶液を使用したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して測定可能であり;ここで580〜400000Daの範囲のMWでPL Easical PS−2ポリスチレン調整物を使用して、系を初めに調整する。PLGelパッキング物質は、高度に架橋された球形のポリスチレン/ジビニルベンゼンマトリックスである。Wyatt Optilab DSP屈折計を検出のために使用してよい。
【0040】
(e)製剤のアナストロゾールの比率として以下が挙げられる:
(i)約5〜25重量%;
(ii)約5〜20重量%;
(iii)約5〜15重量%;
(iv)約10〜25重量%;
(v)約10〜20重量%。
【0041】
(f)放出期間として以下がある:
(i)少なくとも約4日;
(ii)少なくとも約7日;
(iii)少なくとも約10日;
(iv)少なくとも約15日;
(v)少なくとも約21日;
(vi)少なくとも約25日;
(vii)少なくとも約30日;
(viii)少なくとも約40日;
(ix)少なくとも約60日。
【0042】
(g)ポリマーの溶媒に対する比率として以下がある:
(i)約50/50〜約60:40の間;
(ii)約50/50〜約60:40の間;
(iii)約50/50;
(iv)約60/40;
(v)N−メチルピロリドンについて−約50/50〜約60:40の間;
(vi)ベンジルアルコールについて−約50/50〜約60:40の間;
(vii)ベンジルアルコールについて−約60:40。
【0043】
(h)ラクチドのグリコリドに対するモル比として以下がある:
(i)約100:0〜約80:20の間;
(ii)約100:0〜約90:10の間;
(iii)約95:5。
【0044】
(i)製剤はN−メチルピロリドン又はベンジルアルコールを含み、そして以下の特性を有する:
【0045】
【表3】

【0046】
本発明のさらなる側面によれば、
(a)適した溶媒中に ポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーを溶解することと、
(b)ポリマー溶液中にアナストロゾールの有効量を溶解することと、
を含む本発明の製剤を調製するための方法が提供される。
【0047】
本発明のさらなる側面によれば、生体においてインサイチュの移植物を形成する方法が提供され、この方法は、
(a)適した溶媒中に ポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーを溶解することと、
(b)ポリマー溶液中にアナストロゾールの有効量を溶解することと、
(c)体内に製剤を置くことと、
(d)溶媒を放散して固体の又はゲルの移植物を生成させることと、
を含む。
【0048】
プロセス(a)
ポリマーは、撹拌及び混合のようないずれかの都合のよい方法によって適した溶媒に溶解可能である。適した溶媒は上記のように定義され、適した溶媒の例はN−メチル−2−ピロリドン及びベンジルアルコールを含む。
【0049】
プロセス(b)
アナストロゾールは、粉末のようないずれかの都合のよい形態でポリマー溶液に添加可能であり、又は適した溶媒に溶解可能である。アナストロゾールが適した溶媒に溶解する場合、溶媒はポリマーを溶解するために使用したものと同じ溶媒であることが望ましい。アナストロゾールが粉末として添加される場合、撹拌及び混合のようないずれかの都合のよい方法によってポリマー溶液中に溶解可能である。ポリマー溶液中のアナストロゾールの溶解をさらに補助するために、超音波処理もまた使用可能である。
【0050】
プロセス(c)
好ましくは、製剤は体内の適した点に注射により、体内に置かれる。そのような部位の例は、腹部及び上臀部を含む。好ましくは、製剤は皮下に注射される。
【0051】
プロセス(d)
流動性製剤の注射時、有機溶媒が注射部位から拡散し、ポリマーの沈殿又はゲル化を引き起こし、これにより持続放出性薬剤中に化合物を捕捉する。
【0052】
本発明のさらなる側面によれば、患者の体内において本発明の生分解性移植体のインサイチュ形成に適した医薬キットが提供され、これは
(a)アナストロゾールを含むデバイスと、
(b)適した溶媒中のポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーの溶液を含むデバイスと、
を含んでなり、ここで、各デバイスは、アナストロゾール又はポリマー溶液のための排出口と、排出口を通じてアナストロゾール又はポリマー溶液を排出する排出器と、排出口に適合した中空管とを有し、ここで、2つのデバイスの内容物が共に混合されるが、これは患者の体内に混合物を含有するデバイスの内容物を送達する直前である。
【0053】
本発明のさらなる側面によれば、本発明の製剤を含む医薬が提供される。
本発明のさらなる側面によれば、アナストロゾールで治療可能な状態(好ましくは乳癌)の治療に医薬として使用するための、本発明の製剤が提供される。
【0054】
本発明のさらなる側面によれば、本発明の製剤を患部に投与することを含むアナストロゾールにより治療可能な状態(好ましくは乳癌)に罹患した温血動物(好ましくはヒト)を治療するための方法が提供される。
【0055】
本発明のさらなる側面によれば、アナストロゾールで治療可能な状態(好ましくは乳癌)の治療に医薬として使用するための、本発明の製剤が提供される。
本発明の製剤は、アナストロゾールのようなアロマターゼ阻害剤の投与を必要とする広く様々な病状の治療に有用である。そのような病状は、限定されるわけではないが、乳癌、卵巣癌、子宮内膜症及び良性前立腺肥大のようなホルモン依存性疾患を含む。
【0056】
特定の状態の治療に必要とされるアナストロゾールの用量は、治療しようとする状態及び投与される動物の両方に依存するであろう。例えば、乳癌の治療及び予防のために、アナストロゾールの用量は一般的に1日当たり1mgである。
【0057】
本発明のさらなる側面によれば、温血動物中に本発明の製剤を(好ましくは皮下に)注射することを含む、温血動物に(特にヒトに)アナストロゾールを投与するための方法が提供される。
【0058】
本発明を、以下の実施例によりさらに説明するが、ここで全ての部(parts)は特記しない限り重量部であり、以下の略語を使用する:
・BA :ベンジルアルコール
・AUC :曲線下面積
・NMP :N−メチル−2−ピロリドン
・PLGA:ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー
【実施例】
【0059】
実施例1:ラットにおけるPLGA/NMP液体製剤試験
ポリ(dl−ラクチド−コ−グリコリド)をdl−ラクチド及びグリコリドダイマーの開環縮合により調製した。ラクチドのグリコリドに対する85/15比を有するポリマーの量、23kDaの重量平均分子量(MW)及び末端カルボキシ基をsovrilボトル中で秤量し、そして十分量のあらかじめ滅菌ろ過したNMPを添加し、ポリマーの溶媒に対する60:40重量比を得た。ポリマーが完全に溶解するまで、室温で磁気スターラーバーの補助ありで混合物を穏やかに撹拌した。次いで、必要量のアナストロゾールをポリマー溶液に添加し、そして混合物を室温で超音波処理し溶媒中に100mg/mlの濃度の澄んだ流動性のある組成物を得た。
【0060】
新たに調製された製剤を16ゲージの太い針により1mlガラスシリンジ中に注入した。次いで、注入針を1.5インチの21ゲージ針に交換し、そして100μlのポリマー組成物を12匹のオスのWistarラットに皮下注射し、ラット当たりアナストロゾール10mgの総用量を与えた。ラットを4つの試料群に分割し、以下の時間間隔のそれぞれで3匹の動物から血液試料を回収することにした:基準、2、4、6、12、24及び36時間、並びに3、4、5、6、8、10、12、15、17、19、22、24、26、29、31、33、36、38、40、43及び46日。
【0061】
液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC−MS)を使用して、血清試料をアナストロゾールについてアッセイした。測定されたアナストロゾール血清濃度から計算した血清及び累積AUCパーセンテージプロファイルを図1に示す。この結果から、製剤が初めの24時間に渡って薬剤総量の18%を放出したことが示された。この噴出に続いて、血漿レベルは37日の期間中およそ50〜150ng/mlで比較的一定のままであった。
【0062】
実施例2:ラットにおけるPLGA/BA液体製剤
ポリ(dl−ラクチド−コ−グリコリド)をdl−ラクチド及びグリコリドダイマーの開環縮合により調製した。ラクチドのグリコリドに対する95/5比を有するポリマーの量、26kDaの重量平均分子量(MW)及び末端カルボキシ基をsovrilボトル中で秤量し、そして十分量のあらかじめ滅菌ろ過したBAを添加し、ポリマーの溶媒に対する50:50重量比を与えた。ポリマーが完全に溶解するまで、室温で磁気スターラーバーの補助ありで混合物を穏やかに撹拌した。次いで、必要量のアナストロゾールをポリマー溶液に添加し、そして混合物を室温で超音波処理し、溶媒中に50mg/mlの濃度の澄んだ流動性ある組成物を得た。
【0063】
新たに調製した製剤を16ゲージの太い針により1mlガラスシリンジ中に注入した。次いで、注入針を1.5インチの21ゲージ針に交換し、そして200μlのポリマー組成物を12匹のオスのWistarラットに皮下注射し、ラット当たりアナストロゾール10mgの総用量を与えた。ラットを4つの試料群に分割し、以下の時間間隔のそれぞれで3匹の動物から血液試料を回収することにした:基準、2、4、6、12、24及び36時間、並びに3、4、5、6、8、10、12、15、17、19、22、24、26、29、31、33、36、38、40、43、46、49、52、55及び57日。
【0064】
LC−MS法を使用して、血清試料をアナストロゾールについてアッセイした。測定されたアナストロゾール血清濃度から計算した血清及び累積AUCパーセンテージプロファイルを図2に示す。この結果から、製剤が56日に渡ってアナストロゾールの継続的放出を達成可能であることが示された。
【0065】
実施例3:イヌにおけるPLGA/NMP液体製剤試験
ポリ(dl−ラクチド−コ−グリコリド)をdl−ラクチド及びグリコリドダイマーの開環濃縮により調製した。ラクチドのグリコリドに対する85/15比を有するポリマーの量、23kDaの重量平均分子量(MW)及び末端カルボキシ基をsovrilボトル中で秤量し、そして十分量のあらかじめ滅菌ろ過したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、ポリマーの溶媒に対する重量比を60:40とした。ポリマーが完全に溶解するまで、室温で磁気スターラーバーの補助ありで混合物を穏やかに撹拌した。次いで、必要量のアナストロゾールをポリマー溶液に添加し、そして混合物を室温で超音波処理し、溶媒中に100mg/mlの濃度の澄んだ流動性のある組成物を与えた。
【0066】
新たに調製された製剤を16ゲージの太い針により1mlガラスシリンジ中に注入した。次いで、注入針を1.5インチの21ゲージ針に交換し、そして300μlのポリマー組成物を4匹のオスのビーグル犬に皮下注射し、イヌ当たりアナストロゾール30mgの総用量を与えた。血清試料を以下の時点で回収した:基準、2、4、6、12、24及び36時間、並びに3、4、5、6、8、10、12、15、17、19、22、24、26、29、31、33、36、38、40、43及び46日。
【0067】
LC−MS法を使用して、血清試料をアナストロゾールについてアッセイした。測定されたアナストロゾール血清濃度から計算した血清及び累積AUCパーセンテージプロファイルを図3に示す。この結果から、製剤が30日に渡ってアナストロゾールの放出を持続できることが示された。初めの24時間に渡る小さい薬剤噴出に続いて、血漿レベルは放出期間を通じて20〜40ng/mlで比較的一定のままであった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、オスのWistarラットへの100μlの60:40 PLGA 85/15(L/G),23kDa:NMP液体製剤中の100mg/mlのアナストロゾールの皮下投与後の、(A)血漿中のアナストロゾール、及び(B)累積曲線下面積(AUC)パーセンテージプロフィールを示し、ここで、x軸は日数であり、そしてパネルAのy軸はng/mlでのアナストロゾール濃度であり、そしてパネルBのy軸は累積AUCパーセンテージである。
【図2】図2は、オスのWistarラットへの200μlの50:50 PLGA 95/5(L/G),26kDa:BA液体製剤中の50mg/mlのアナストロゾールの皮下投与後の、(A)血漿中のアナストロゾール、及び(B)累積AUCパーセンテージプロフィールを示し、ここで、x軸は日数であり、そしてパネルAのy軸はng/mlでのアナストロゾール濃度であり、そしてパネルBのy軸は累積AUCパーセンテージである。
【図3】図3は、オスのビーグル犬への300μlの60:40 PLGA 85/15(L/G),23kDa:NMP液体製剤中の100mg/mlのアナストロゾールの皮下投与後の、(A)血漿中のアナストロゾール、及び(B)累積AUCパーセンテージプロフィールを示し、ここで、x軸は日数であり、そしてパネルAのy軸はng/mlでのアナストロゾール濃度であり、そしてパネルBのy軸は累積AUCパーセンテージである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約10000ダルトン〜約50000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)約100:0〜約50:50の間のラクチドのグリコリドに対するモル比;
(iii)製剤の総重量に基づいて約5〜約30重量%のアナストロゾール;
(iv)適した溶媒;及び
(v)約50:50〜約60:40の間のポリマーの溶媒に対する重量比;
を有するインサイチュ(in situ)ゲル化製剤であって、
生理的な水性環境に置かれたとき少なくとも約7日の期間に渡ってアナストロゾールを連続的に放出する、上記インサイチュゲル化製剤。
【請求項2】
(i)約10000ダルトン〜約50000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)約100:0〜約50:50の間のラクチドのグリコリドに対するモル比;
(iii)製剤の総重量に基づいて約5〜約30重量%のアナストロゾール;
(iv)適した溶媒;及び
(v)約50:50〜約60:40の間のポリマーの溶媒に対する重量比;
を有するインサイチュゲル化製剤であって、
(1)ポリマー/溶媒重量比が50:50〜55:45の場合、ポリマーの最低平均分子量が以下の等式:
分子量=83.90−145.3(f+3.755)+33.96(f+3.755)+30.79(f−0.126)+1822.9(f−0.126)
から算出可能であり、
(2)ポリマー/溶媒重量比が55:45〜60:40の場合、ポリマーの最低平均分子量が以下の等式:
分子量=−5.87+43.87(f+0.078)+182.9(f+0.078)+27.99(f+0.110)+55.0(f+0.110)
から算出可能であり、
ここで、fはアナストロゾールの割合であり1.0が100%であり、fはグリコリドの割合であり1.0が100%である、上記インサイチュゲル化製剤。
【請求項3】
ポリマーの平均分子量が、約20000ダルトン〜約30000ダルトンである、請求項1または2のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤。
【請求項4】
ポリマーの平均分子量が、約23000ダルトン〜約26000ダルトンである、請求項1〜3のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤。
【請求項5】
ラクチドのグリコリドに対するモル比が約95:5である、請求項1〜4のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤。
【請求項6】
アナストロゾールが、製剤の総重量に基づいて約5〜約30重量%の間である、請求項1〜5のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤。
【請求項7】
溶媒が、N−メチル−ピロリドン及びベンジルアルコールから選択される、請求項1〜6のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤。
【請求項8】
ポリマーの溶媒に対する比が約50:50である、請求項1〜7のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤。
【請求項9】
ポリマーの溶媒に対する比が約60:40である、請求項1〜8のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤。
【請求項10】
医薬としての請求項1〜9のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤の使用。
【請求項11】
温血動物においてアナストロゾールにより治療可能な状態の治療のための医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤の使用。
【請求項12】
乳癌の治療のための医薬の製造における、請求項11のインサイチュゲル化製剤の使用。
【請求項13】
請求項1のインサイチュゲル化製剤を調製するための方法であって、
(a)適した溶媒中に ポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーを溶解することと、
(b)ポリマー溶液中にアナストロゾールの有効量を溶解することと、
を含む、上記方法。
【請求項14】
生体において、インサイチュの移植物を形成する方法であって、
(a)請求項13に記載の方法によりインサイチュゲル化製剤を調製することと、
(b)体内にその製剤を置くことと、
(c)溶媒を放散させ固体の又はゲルの移植物を生成させることと、
を含む、上記方法。
【請求項15】
患者の体内において、請求項1〜8のいずれか1項のインサイチュゲル化製剤から、生分解性移植物をインサイチュ形成させるのに適した医薬キットであって、
(a)アナストロゾールを含有するデバイスと、
(b)適した溶媒中のポリラクチドポリマー又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーの溶液を含有するデバイスと、
を含んでなり、
各デバイスは、アナストロゾール又はポリマー溶液のための排出口と、排出口を通じてアナストロゾール又はポリマー溶液を排出する排出器と、排出口に適合した中空管とを有し、ここで、2つのデバイスの内容物が共に混合されるのが、混合物を含有するデバイスの内容物を患者の体内に送達する直前である、上記キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−506101(P2009−506101A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528574(P2008−528574)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003214
【国際公開番号】WO2007/026145
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】