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アピキサバンの製剤形
説明

アピキサバンの製剤形

本発明はアピキサバンの溶解性改良形態を含む第Xa因子阻害製剤形に関し、該製剤形は、アピキサバンの制御放出を提供し、また本願発明は、該製剤形による静脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症および急性冠症候群の予防または治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアピキサバンの溶解性改良形態を含有する第Xa因子阻害製剤形に関するものであって、該製剤形は、アピキサバンの制御放出、ならびに前記製剤形による静脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症および急性冠症候群の予防または治療方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
活性化第Xa因子は、その主な実質的役割はプロトロンビンのタンパク質限定加水分解によるトロンビンの産生であるが、これは、血液凝固の最終の共通経路において内因性活性化メカニズムと外因性活性化メカニズムをつなぐ中心的な立場にある。トロンビン、フィブリン塊を生成する該経路における最後のセリンプロテアーゼ、のその前駆体からの産生は、プロトロンビナーゼ複合体の(第Xa因子、第V因子、Ca2+およびリン脂質)形成により増幅される。計算では第Xa因子の1分子がトロンビン阻害の138分子を産生することができるので、血液凝固システムの妨害において第Xa因子はトロンビンの不活性化よりもより効率的であり得る。従って、第Xa因子阻害剤は、血栓塞栓性疾患の治療に有効である化合物群である。
【0003】
米国特許第6,967,208号(引用することによって本明細書に組み込まれる)は、1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−3−カルボキサミド,4,5,6,7−テトラヒドロ−1−(4−メトキシフェニル)−7−オキソ−6−[4−(2−オキソ−1−ピペリジニル)フェニル]−;別名1−(4−メトキシフェニル)−7−オキソ−6−[4−(2−オキソピペリジン−1−イル)フェニル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[3.4−c]ピリジン−3−カルボキサミド(以後、アピキサバンと呼ぶ)を含む一連の第Xa因子阻害剤を開示する。アピキサバンの構造は:

である。米国特許第6,967,208号は、該発明の化合物は少なくとも1つの該化合物を、医薬的に許容されるビヒクル、希釈剤、または担体と共に含む医薬組成物の形態で投与されうることを開示する。経口投与用として、医薬組成物は溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、および粉末等の製剤形を取りうる。アピキサバンは1日2回投与として提供されてきた。WO2007/022165は第Xa因子(例えばアピキサバン)注射製剤を開示する。WO2006079474およびWO2008066102は第Xa因子阻害剤持続放出製剤を開示する。WO2008031782は第Xa因子阻害剤放出調節製剤を開示する。更なる医薬製剤形がEP1653926に記載される。
【0004】
第Xa因子阻害剤、例えばアピキサバン(abixaban)の安全で、効果的な送達方法は継続して必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
本発明はアピキサバンの溶解性改良形態を対象とし、ここで、該製剤形(A製剤形と呼ぶ)はアピキサバンの制御放出を提供する。
【0006】
A製剤形の好ましい態様は、インビボまたはインビトロで、該製剤形を水性使用環境へ投与した後、2時間以上をかけてアピキサバンの70重量%を放出する制御放出製剤形である。
【0007】
A製剤形の別の好ましい態様(B製剤形と呼ぶ)は、浸透性制御放出製剤形である。
【0008】
B製剤形の好ましい態様(C製剤形と呼ぶ)は、二層浸透性制御放出製剤形である。
【0009】
A製剤形の別の好ましい態様は、インビボ使用環境に投与後、約12時間以上の間にアピキサバン血漿濃度約70ng/mL以上を提供する製剤形である。
【0010】
また、A製剤形の別の好ましい態様は、該溶解性改良形態が:固体非晶質分散物、アピキサバンを含む脂質ビヒクル、基質に吸着されたアピキサバンを含む固体吸着物、ナノ粒子、架橋ポリマー中にあるアピキサバンの吸着物、ナノ懸濁液、過冷却形態、アピキサバン/シクロデキストリン薬物形態、軟質ゲル形態、自己乳化形態、三相アピキサバン形態、結晶性高溶解性形態、高エネルギー結晶性形態、水和物または溶媒和物結晶性形態、非晶質形態、アピキサバンおよび可溶化剤の混合物、および液体中に溶解したアピキサバンの溶液からなる群から選択される製剤形である。
【0011】
A製剤形の別の好ましい態様、D製剤形と呼ぶ、は、前記溶解性改良形態が、アピキサバンおよびポリマーを含む固体非晶質分散物である製剤形である。
【0012】
D製剤形の好ましい態様は、固体非晶質分散物が、噴霧乾燥した分散物である製剤形である。
【0013】
C製剤形の好ましい態様形態、E製剤形と呼ぶ、は、浸透性制御放出製剤形が、アピキサバンおよびポリマーを含む固体非晶質分散物を含む製剤形である。
【0014】
E製剤形の態様、F製剤形と呼ぶ、は、アピキサバンおよびポリマーを含む固体非晶質分散物が、噴霧乾燥した分散物である製剤形である。
【0015】
F製剤形の態様、G製剤形と呼ぶ、は、浸透性制御放出製剤形が、開口部(orifice)を有する二層錠剤を含む製剤形である。
【0016】
G製剤形の態様は、インビボ使用環境に投与後、約12時間以上の間にアピキサバン血漿濃度が約70ng/mL以上を提供する製剤形である。
【0017】
A製剤形の別の好ましい態様、H製剤形と呼ぶ、は、制御放出製剤形がマトリックス制御放出製剤形である製剤形である。
【0018】
H製剤形の好ましい態様は、マトリックス制御放出製剤形が、アピキサバンおよびポリマーを含む固体非晶質分散物を含み、かつ、固体非晶質分散物が噴霧乾燥した分散物である製剤形である。
【0019】
A製剤形の好ましい態様は、1時間までに約10重量%未満のアピキサバンが放出され、4時間までに約20重量%〜約40重量%のアピキサバンが放出され、約8時間で約60重量%〜約80重量%のアピキサバンが放出され、かつ10時間約70重量%を上回るアピキサバンが放出される、インビトロ溶解速度を有する製剤形である。
【0020】
A製剤形の好ましい態様は、1時間までに約20重量%未満のアピキサバンが放出され、2時間までに約20重量%〜約40重量%のアピキサバンが放出され、約4時間で約50重量%〜約75重量%のアピキサバンが放出され、かつ6時間で約70重量%を上回るアピキサバンが放出されるインビトロ溶解速度を有する製剤形である。
【0021】
A製剤形の別の好ましい態様はアピキサバンの平均放出速度が約7重量%/時間〜約10重量%/時間である平均放出速度を有する製剤形である。
【0022】
A製剤形のさらに別の好ましい態様はアピキサバンの平均放出速度が約11重量%/時間〜約18重量%/時間である平均放出速度を有する製剤形である。
【0023】
さらに本発明の別の態様は治療を必要とする哺乳動物に上記の製剤形のいずれかを投与することを特徴とする血栓塞栓性疾患の治療方法である。
【0024】
好ましい血栓塞栓性疾患は、静脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、急性冠症候群および動脈血栓症である。
【0025】
制御放出とは、アピキサバンが即時放出より遅い速度で放出されることを広く意味する。制御放出は、持続放出、遅延放出、および後に持続放出が続く即時放出を包含することを意図する。アピキサバンの制御放出は医薬分野における既知の手段、例えば浸透性制御放出デバイス、マトリックス制御放出デバイス、およびマルチ微粒子制御放出デバイスの使用により達成されうる。
【0026】
アピキサバンの溶解性改良形態は、水性使用環境中で結晶性アピキサバンの溶解性に対して約1.25倍以上、少なくとも一時的に、過飽和することができる形態である。すなわち、溶解性改良形態は、使用環境中で、アピキサバンの結晶性形態単独によってもたらされる平衡薬物濃度の少なくとも1.25倍の、アピキサバンの最大溶解薬物濃度(MDC)を提供する。
【0027】
本発明の上記のおよび他の目的、態様、および利点は、下記の詳細な本発明の説明を検討し、添付の図面を併用することでより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1〜7は、本発明の製剤形の典型的な実施形態の横断面の模式図である。
図8は、さまざまなアピキサバンの処方物に関する単回経口投与後のメジアン血漿アピキサバン濃度−時間プロファイルのグラフである。
図9は異なるアピキサバンの処方物の投与後の個々のおよび幾何学的血漿平均アピキサバンAUCinf値グラフである。
図10はさまざまなアピキサバンの処方物の投与後の、個々のおよび幾何学的血漿平均Cmax値のグラフである。
【0029】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明はアピキサバンの溶解性改良形態を含む制御放出製剤形を提供する。本明細書において、「即時放出」とは、使用環境へ導入後1時間以内に、該製剤形中に当初含まれていた化合物の少なくとも70重量%が放出されることを意味する。「制御放出」とは、アピキサバンは即時放出よりも遅い速度で放出される、すなわち、使用環境へ導入後1時間まで(内)に、アピキサバンの70重量%未満が放出されることを意味する。具体的な実施形態は、持続放出経口製剤形の形態であり、または、遅延放出製剤形の形態であり、あるいは、持続放出特性および遅延放出特性の組み合わせを示す経口製剤形の形態であり得る。用語「制御」は「持続」および「遅延」に対する一般的用語である。従って、「制御放出」は、持続放出および即時放出アピキサバンの遅延時間(lag time)後の持続放出を含むことを意図する。持続放出特性には、ゼロ次、一次、混合次または他の反応速度論に従ってアピキサバンを放出する製剤形が含まれる。
【0030】
「使用環境」との記載は、インビボ液、例えば動物(例えば哺乳類、特にヒト)の消化管、皮下、鼻腔内、口腔内、くも膜下腔内、眼、耳内、皮下腔、膣路(vaginal tract)、動脈および静脈血管、肺路または筋肉組織、あるいはインビトロ環境の試験溶液、例えばリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、酵素を含有しない模擬腸緩衝液(SIN)、または絶食時十二指腸モデル(MFD)溶液を意味し得る。適当なPBS溶液は、20mNリン酸ナトリウム(NaHPO)、47mMリン酸カリウム(KHPO)、87mM NaClおよび0.2mM KClを含む水性溶液(NaOHでpH6.5に調整)である。適切な酵素を含有しない模擬腸緩衝液(SIN)は、pH7.4に調整した50mMKHPO、またはpH6.8に調整した200mMリン酸ナトリウム(NaHPO)である。適当なMFD溶液は、7.3mMタウロコール酸ナトリウムおよび1.4mMの1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンをさらに含むPBS溶液である。
【0031】
使用環境への「投与」とは、インビボ使用環境が消化管である場合、経口摂取または嚥下または薬物を送達する他の手段による送達を意味する。当業者は、他のインビボ使用環境への「投与」とは、当該技術分野で知られる方法を用いて使用環境と本発明の組成物が接触することを意味すると理解するであろう。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (2000)を参照。使用環境がインビトロの場合、「投与」は、該製剤形のインビトロ試験溶媒への投入または送達を意味する。
【0032】
放出速度、適当な製剤形、アピキサバンおよび溶解性改良形態については、下記にてより詳細に記載する。
【0033】
放出速度
本発明の製剤形はアピキサバンの溶解性改良形態の制御放出を提供する。上記のとおり、「制御放出」とは、即時放出より遅い速度でアピキサバンが放出される、
すなわち、使用環境へ導入後1時間内にアピキサバンの70重量%未満が放出されることを意味する。本明細書において、アピキサバンの製剤形からの放出速度は、該製剤形を使用環境に投与後1時間内に放出される該製剤形中に当初含まれていたアピキサバンのパーセンテージによって特徴付けられる。
【0034】
本発明の製剤形からのアピキサバンの放出は、製剤形の使用環境への導入と70%のアピキサバンが該製剤形から出た時点との間の時間分によって特性付けられ得る。アピキサバンの放出速度の説明は、このような製剤形が最初には放出が少ししかないまたは起こらないという遅延時間が有り得、また、ゼロ次、一次、混合次または他の反応速度論に従ってアピキサバンを放出しうるといった事実のために複雑である。混乱を避けるために、放出速度を、製剤形の使用環境への投与と70%のアピキサバンが製剤形から出た時点との間の経過時間に関して記載する。放出された割合対時間曲線の形にかかわらず、この説明はアピキサバンを放出する全ての製剤形に適用され、持続放出製剤形、および初期の遅延時間後に持続放出を示す製剤形を含むことを意図する。従って、アピキサバンの「制御放出」とは、使用環境へ導入後1時間で、製剤形中に当初含まれていたアピキサバンの70重量%未満を放出する製剤形を意味する。「持続放出」とは、使用環境に投与後、アピキサバンが時間をかけて徐々に放出される製剤形を意味する。使用環境への導入後いずれか1時間をかけて、該製剤形中に当初含まれていたアピキサバンの70重量%を放出する製剤形は持続放出製剤形ではないとされる。
【0035】

1つの実施形態において、該製剤形中に当初含まれていたアピキサバンの70%が放出するための時間は、少なくとも約2時間であり、好ましくは少なくとも約3時間であり、より好ましくは少なくとも約4時間である。
【0036】
しかしながら、該製剤形からのアピキサバンの放出が遅すぎるべきではない。従って、該製剤形中に当初含まれていたアピキサバンの70%が放出するための時間は約24時間以内で有り得、より好ましくは約20時間以内であり、より好ましくは約18時間以内であることもまた好ましい。
【0037】
製剤形からのアピキサバンの放出はまた、ある期間の1時間あたりのアピキサバンの平均放出率(速度)(その期間の持続時間(時間)で割った、その期間に放出された製剤形に含まれていたアピキサバンの重量%と定義される)によって特徴付けられ得る。例えば、製剤形が16時間内に製剤形中に当初含まれていたアピキサバンの70重量%を放出するとき、アピキサバンの平均放出速度は4.4重量%/時間(70重量%/16時間)である。一方、平均放出速度は使用環境へ導入後のいずれかの期間で算出され得、従来どおり、使用される時間は製剤形中に当初含まれていたアピキサバンの70重量%を放出するために要する時間である。
【0038】
従って、本発明の製剤形は、アピキサバンの平均放出速度が約70重量%/時間未満である。好ましくは、本発明の製剤形は、約35重量%/時間以下、より好ましくは約23重量%/時間以下、およびさらにより好ましくは約17.5重量%/時間以下の平均速度で、アピキサバンを放出する。本発明の製剤形は、約2.9重量%/時間以上、好ましくは約3.5重量%/時間以上、より好ましくは約3.9重量%/時間以上の平均速度でアピキサバンを放出することもまた好ましい。
【0039】
本発明の製剤形は、同一溶解性改良形態の同量のアピキサバンを含むことからなる即時放出コントロール製剤形を構成物とする(for constitution)経口粉末を投与した場合と比較して、制御されたアピキサバンの放出を提供する。1つの実施形態において、使用環境が哺乳動物の消化管であるとき、製剤形は即時放出コントロール製剤形よりも長い投与後の該哺乳動物の血中最大薬物濃度に達する時間(Tmax)を提供する。好ましくは、血中Tmaxは即時放出コントロール製剤形よりも、少なくとも約1.25倍長く、好ましくは少なくとも約1.5倍長く、より好ましくは少なくとも約2倍長い。加えて、血中薬物最大濃度(Cmax)は、即時放出コントロール製剤形のCmaxの80%以下であり、および65%以下または50%以下でありうる。TmaxおよびCmaxは共に、摂食後または絶食時のいずれかで比較され得、製剤形は、摂食後および絶食時の少なくとも1つ、好ましくは両方について、上記のクライテリアに適合する。
【0040】
別の態様において、本発明の製剤形は、経口投与後以下の作用を生じるアピキサバンの制御放出を提供する:8週間投与後に、同量のアピキサバンの溶解性改良形態の即時放出を提供する製剤形と比較して、血漿平均Cmaxの20%以上の減少。言い換えれば、製剤形は、インビボ使用環境に投与後、溶解性改良形態の前記アピキサバンの同量の即時放出する製剤形の血中最大薬物濃度の80%以下である血中最大薬物濃度を提供する。
【0041】
本発明の製剤形は絶食時または摂食後にヒト対象に投与されうる。摂食後に投与されることが好ましい。
【0042】
好ましいアピキサバンの投与量および本発明の製剤形からのアピキサバンの放出速度は、当該技術分野の当業者に知られている、アピキサバンの薬物動態(PK)モデリング、または臨床的実験(すなわちヒト対象または患者における)によって決定するされうる。PKモデリングはまた、同一投与量の即時放出製剤形と比較してCmaxを20%以上の減少するそれらの投与量および放出速度を同定するために、さまざまなアピキサバンの投与量および放出速度に関してCmaxを予測するのに使用されうる。
【0043】
1つの態様において、本発明の製剤形のアピキサバンは、経口投与後、以下の作用の1つ以上を生じる:
(a)約12時間以上、好ましくは16時間以上、より好ましくは約24時間以上の期間における、約70ng/ml、好ましくは約110ng/ml、より好ましくは約160ng/ml、さらにより好ましくは約325ng/mlを超えるアピキサバンの血漿濃度;および
(b)同量のアピキサバンの溶解性改良形態の即時放出を提供する製剤形と比較して、血漿平均Cmaxの20%以上の減少。
【0044】
放出速度特性として表すとき、典型的な放出速度は、製剤形のインビトロ溶解速度が下記の直接的な溶解試験によって測定される。
【0045】
1つの実施形態において、典型的な製剤形は、1時間までに約10重量%未満のアピキサバンが放出され、約8時間で約60重量%〜約80重量%のアピキサバンが放出され、かつ、10時間で約70重量%を上回るアピキサバンが放出される、放出速度特性を有する。
【0046】
類似して、別の実施形態において、典型的な製剤形は、1時間までに約10重量%未満のアピキサバンが放出され、4時間までに約20重量%〜約40重量%のアピキサバンが放出され、約8時間で約60重量%〜約80重量%のアピキサバンが放出され、かつ10時間で約70重量%を上回るアピキサバンが放出される、放出速度特性を有する。
【0047】
類似して、別の実施形態において、典型的な製剤形は、1時間までに約20重量%未満のアピキサバンが放出され、4時間までに約50重量%〜約75重量%のアピキサバンが放出され、かつ6時間で約70重量%を上回るアピキサバンが放出される、放出速度特性を有する。
【0048】
類似して、別の実施形態において、典型的な製剤形は、1時間までに約20重量%未満のアピキサバンが放出され、2時間までに約20重量%〜約40重量%のアピキサバンが放出され、約4時間で約50重量%〜約75重量%のアピキサバンが放出され、かつ6時間で約70重量%を上回るアピキサバンが放出される、放出速度特性を有する。
【0049】
平均放出速度に関して、1つの実施形態において、典型的な製剤形は、少なくとも約8重量%/時間であるアピキサバンの平均放出速度を提供する。別の実施形態において、典型的な製剤形は、約7重量%/時間〜約10重量%/時間であるアピキサバンの平均放出速度を提供する。さらに別の実施形態において、典型的な製剤形は、約6重量%/時間〜約13重量%/時間であるアピキサバンの平均放出速度を提供する。
【0050】
さらに別の実施形態において、典型的な製剤形は、少なくとも約13重量%/時間であるアピキサバンの平均放出速度を提供する。別の実施形態において、典型的な製剤形は、約11重量%/時間〜約18重量%/時間であるアピキサバンの平均放出速度を提供する。
【0051】
本発明の製剤形は好ましくは1日1回投与される(「QD」)。この態様が達成するかは、アピキサバンの投与量および該製剤形からのアピキサバンの放出速度に依存する。
【0052】
インビトロ試験は製剤形が本発明の範囲内の放出特性を提供するかどうかを決定するために使用される。インビトロ試験は当該技術分野で広く知られる。インビトロ試験はインビボでの製剤形の挙動を模倣して設計される。当業者はこのような試験において、溶解溶媒は製剤形中の該薬物のシンク(sink)として機能する必要はないことを理解するであろう。このことは、浸透性製剤形から溶解していない薬物が押し出される速度が、実質的に溶解溶媒中での薬物溶解性によって影響されない浸透性製剤形にとりわけ当てはまる。しかしながら、溶解した状態の薬物を送達する製剤形に関しては、溶媒中での薬物の溶解性が溶媒の体積が投与された薬物の総量を上回る時間を決めるという溶解溶媒を選択されることが好ましい;すなわち、溶媒は薬物のシンクとして機能すべきである。「シンク」とは、溶解溶媒の組成および体積が該製剤形中にある薬物に相当する量の薬物単独が溶解溶媒に溶解するのに十分であることを意味する。溶解溶媒の組成および体積が該製剤形中にある薬物の少なくとも約2倍に相当する量の薬物は溶解溶媒に溶解するのに十分であることが好ましい。ほとんどの場合、アピキサバンは水性溶媒に十分には溶解しないので、界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)または他の賦形剤をその溶解溶媒に添加して、薬物の溶解性を上げることで、溶解溶媒が薬物のシンクとして機能するようにすることができうる。
【0053】
従って、下記の試験(インビトロ製剤形溶解試験)は、製剤形が本発明の範囲内の放出特性を提供するかどうかを決定するために使用される試験(定義により)である。この試験、いわゆる「直接」試験では、製剤形が37°Cの腸の内容物を模倣した溶解溶媒(具体的には、50mM KHPO、pH7.4または200mM NaHPO、pH6.8、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)含有)に入れられる。溶媒を75RPMの速度で回転するパドルを用いて攪拌する。製剤形が錠剤、カプセルまたは他の固体製剤形の形態であるとき、製剤形をワイヤー支持体に入れて製剤形はフラスコの底に触れないようにし、その表面全てが溶解溶媒に曝露するようにした。自動レセプター溶液レプレイスメントのついたVanKel VK8000自動サンプリングdissoetteを用いて、溶解溶媒から試料(サンプル)を定期的な間隔で取る。ついで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、試料のUV吸光度を薬物標準溶液の吸光度と比較することによって、溶解溶媒に溶解した薬物の濃度を決定する。ついで、溶解溶媒に溶解した薬物の量を、溶媒中の薬物の濃度および溶媒の体積から計算し、もともと製剤形中に存在した薬物の量を考慮しながら、その値を該製剤形から放出された薬物の実際の量を計算するために使用する。
【0054】
上記試験は、本発明の製剤形の放出速度特性を決定するために使用される試験であるが、本発明の製剤形はまた「残留試験」を用いて評価され得、これは下記のように行われる。複数の製剤形を各々、胃または腸環境を模倣したバッファー溶液900mL(37°C)が入った別々の攪拌するUSP2型dissoetteフラスコに入れる。所定の時間間隔の後、製剤形をフラスコから除去し、放出した物質を製剤形の表面から除去し、該製剤形を半分にカットし、100mLの回収用溶液に下記のように入れた。最初の2時間は、該製剤形を25mLのアセトンまたは他の適当な溶媒中で攪拌して、製剤形上のコーティングを溶解する。つぎに、125mLのメタノールを加え、室温で終夜攪拌し、製剤形に残る薬物を溶解する。おおよそ2mLの回収用溶液を取り、遠心分離し、および250mLの上澄み液をHPLCバイアルに加え、750mLメタノールで希釈した。ついで残留薬物をHPLCで分析した。製剤形に残っている薬物の量を、該製剤形中に当初含まれていた薬物の総量から差し引き、各時間間隔で放出された量を得る。
【0055】
別法として、インビボ試験は、製剤形が本発明の範囲内の薬物放出特性を提供するかどうかを決定ために使用されうる。しかしながら、最終的な使用環境がヒト消化管であることが多いが、しかしインビボ方法特有の困難性および複雑さのため、インビトロ方法を製剤形を評価するために使用することが好ましい。上記のインビトロ試験はインビボ挙動に近いと見込まれ、ここで記載されるインビトロ放出速度に適合する製剤形は本発明の範囲内にある。製剤形を試験対象(例えばヒト)のグループに投与し、(1)定期的に血液を取り薬物血清濃度または薬物血漿濃度を測定する:または(2)肛門から出た製剤形に残る薬物の量を測定する(残留薬物)のいずれかによって、あるいは(3)(1)および(2)の両方によって、薬物放出および薬物吸収をモニターする。2番目の方法において、残留薬物は、試験対象の肛門から出た該製剤形を回収し、上記インビトロ残留試験で記載した同一の方法を用いて製剤形に残る薬物の量を測定することによって測定される。最初の製剤形中の薬物の量と残留薬物の量との間の差は、口〜肛門の通過時間の間に放出された薬物の量の測定である。この試験は単回薬物放出時点のみの提供であるのでその有用性は限定的であるが、インビトロ放出およびインビボ放出の間の相関を実証するのに有用である。
【0056】
薬物放出および薬物吸収をモニターする1つのインビボ方法において、横座標(x軸)の血液試料時間に対して、血清濃度または血漿薬物濃度を縦座標(y軸)にプロットする。ついで、従来の分析法、例えばWagner-NelsonまたはLoo-Riegelman分析を使って、薬物放出速度を決定するためにデータを分析されうる。Welling,“Pharmacokinetics: Processes and Mathematics”(ACS Monograph 185, Amer. Chem. Soc., Washington, D.C., 1986)を参照。この方法のデータの処理により、見かけ上のインビボ薬物放出特性が得られる。
【0057】
製剤形
本発明の製剤形は、アピキサバンの溶解性改良形態の制御放出を提供する。アピキサバンの制御放出はいくつかの理由から好ましい。良好なバイオアベイラビリティーを提供しつつ、好ましくない副作用を減らすために、同量のアピキサバンを含有する即時放出製剤形と比較して、投与後の血漿中最大アピキサバン濃度(Cmax)を低下する方法を有することが好ましいことがしばしばある。さらに、アピキサバンの投与が便利、すなわち1日1回投与(QD)であることが好ましい。なぜなら、複数の薬物を摂取する患者は、どの薬物をどの時間に取るかを把握するという難しい時間を持つかもしれないからである。さらに、いくつかの薬物、例えばアピキサバンは、食事と共に取るのが有利であり、薬物を食事と一緒に摂取するという要求を単純化するために、1日あたりの薬物を摂取する時間の回数を最小限にすることが好ましい。
【0058】
アピキサバンの溶解性改良形態の制御放出を提供する手段は、制御された方法で薬物の送達を可能とする医薬分野に知られるデバイスまたはデバイスの集まりであり得る。制御放出手段はアピキサバンの溶解性改良形態を使用環境へゆっくり放出する。アピキサバンの溶解性改良形態は懸濁液、すなわち制御放出手段を含んでいる小さな粒子として使用環境へ送達され得、そして、使用環境中、制御された速度で、薬物が溶解することを可能とする。典型的な制御放出手段にはマトリックス制御放出デバイス、浸透性制御放出デバイス、およびマルチ微粒子(multiparticulate)制御放出デバイスが挙げられる。制御放出デバイス自体は溶解するか、または溶解しなくても良い。
【0059】
制御放出手段
アピキサバンの溶解性改良形態の制御放出を提供する手段は、デバイスまたは制御された方法で薬物の送達を可能とする医薬分野に知られるデバイスの集まりであり得る。典型的なデバイスには、浸食性(erodible)および非浸食性(non-erodible)マトリックス制御放出デバイス、浸透性制御放出デバイス、およびマルチ微粒子制御放出デバイスが挙げられる。
【0060】
浸透性制御放出デバイス
アピキサバンの溶解性改良形態は浸透性制御放出デバイスに組み込まれ得る。このようなデバイスは少なくとも2つの構成成分を持つ:
(a)浸透圧剤(osmotic agent)およびアピキサバンの溶解性改良形態を含有するコア;および
(b)コアを囲む透水性、非溶解性および非浸食コーティング、そのコーティングは、コアの一部または全てが使用環境に出ることによって薬物放出を引き起こすように、水性使用環境からコアに水が流入するのを制御する。このデバイスのコアに含有される浸透圧剤は、水膨潤性親水性ポリマーであり得、またはそれはオスモゲン(osmogen)であり得、これはまたオスモエージェント(osmagent)として知られる。コーティングは好ましくは重合体、透水性であり、少なくとも1つの送達ポートを持つ。このようなデバイスの例は米国特許第6,706,283号により詳しく記載され、その開示は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0061】
アピキサバンの溶解性改良形態に加えて、浸透性デバイスのコアは任意に、「浸透圧剤」を含む。「浸透圧剤」とは、使用環境からデバイスのコアへ水を輸送するための推進力を創る剤を意味する。典型的な浸透圧剤は水膨潤性親水性ポリマー類、およびオスモゲン(またはオスマゲン(osmagen))である。従って、コアは水膨潤性親水性ポリマー類、イオン性および非イオン性の両方を含み得、これらはしばしば、「浸透性(osmo)ポリマー類」および「ハイドロゲル類」と呼ばれる。コアに含まれる水膨潤性親水性ポリマー類の量は、約5〜約80重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲であり得る。典型的な物質には、親水性ビニルおよびアクリルポリマー類、ポリサッカライド類(例えばアルギン酸カルシウム)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)および架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVP共重合体類および疎水性モノマー類、例えばメタクリル酸メチル、酢酸ビニル等を持つPVA/PVP共重合体類、大型PEOブロックを含有する親水性ポリウレタン類、クロスカルメロースナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンゴム、およびデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。他の物質には、付加によってまたは縮合重合によって形成されうるポリマー類の浸透(interpenetrating)ネットワークを含むハイドロゲル類が挙げられ、その構成成分には親水性および疎水性モノマー類、例えば上記のものが含まれ得る。水膨潤性親水性ポリマー類として使用するのに好ましいポリマー類には、PEO、PEG、PVP、クロスカルメロースナトリウム、HPMC、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリアクリル酸およびその架橋バージョンまたは混合物が挙げられる。
【0062】
コアはまた、オスモゲン(またはオスモエージェント)を含みうる。コアに含まれるオスモゲンの量は、約2〜約70重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲であり得る。適当なオスモゲンの典型的なクラスは、水を吸収することができ、それにより、周囲のコーティングのバリアをこえる浸透圧勾配を生じる、水溶性有機酸類、塩類および糖類であり得る。有用な典型的なオスモゲンには、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、キシリトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、クエン酸、コハク酸、酒石酸、およびその混合物が挙げられる。とりわけ 好ましいオスモゲンはグルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、キシリトールおよび塩化ナトリウムである。
【0063】
コアには、製剤形のパフォーマンスを増大しまたは安定性、打錠性または加工性を促進するさまざまな添加物および賦形剤が含まれうる。そのような添加物および賦形剤には、打錠補助剤、界面活性剤、水溶性ポリマー類、pH調整剤、増量剤、結合剤、色素、崩壊剤、抗酸化剤、潤滑剤および香料(flavorant)が挙げられる。そのような構成成分の典型的例は、微結晶性セルロース;酸の金属塩類(例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、およびステアリン酸亜鉛);pHコントロール剤(例えば緩衝剤、有機酸類、有機酸塩類、有機塩基、および無機塩基);脂肪酸類、炭化水素類および脂肪アルコール(例えばステアリン酸、パルミチン酸、流動パラフィン、ステアリルアルコール、およびパルミトール(palmitol));脂肪酸エステル類、例えばグリセリル(モノおよびジ)ステアレート類、トリグリセリド類、グリセリル(パルミチン酸ステアリン酸)エステル、ソルビタンエステル類(例えばソルビタンモノステアレート)、サッカロースモノステアレート、サッカロースモノパルミテート、およびフマル酸ステアリルナトリウム;ポリオキシエチレンソルビタンエステル類;界面活性剤、例えばアルキル硫酸塩類、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸マグネシウム;ポリマー類(例えばポリエチレングリコール類、ポリオキシエチレングリコール類、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンエーテル類、およびそれらの共重合体類、ならびにポリテトラフルオロエチレン;
無機物質(例えばタルクおよびリン酸二カルシウム;シクロデキストリン類;
糖類(例えばラクトースおよびキシリトール);およびデンプングリコール酸ナトリウムである。崩壊剤の例は、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばExplotab(商標))、微結晶性セルロース(例えばAvicel(商標))、微結晶性ケイ化(silicified)セルロース(例えばProSolv(商標))、クロスカルメロースナトリウム(例えばAc-Di-Sol(商標))である。
【0064】
溶解性改良形態が溶媒的製法によって形成された固体非晶質分散物であるとき、このような添加物は、アピキサバン/濃度増大用ポリマー分散物を形成する時に、添加物を溶液にスラリーとして溶解するかまたは懸濁するようにして直接に噴霧乾燥溶液に添加されうる。別法として、このような添加物は、最後の制御放出デバイスの形成を補助するために、噴霧乾燥プロセス後に添加されうる。溶解性増強剤および他の添加物は、また、アピキサバンの他の溶解性改良形態と混合することもできうる。
【0065】
浸透性デバイスの1つの実施形態は、アピキサバンの溶解性改良形態を含有する1つ以上の薬物層(例えば固体非晶質薬物/ポリマー分散物)と水膨潤性ポリマーを含む膨潤層で構成され、薬物層および膨潤層を囲むコーティングを伴う。各層は他の賦形剤、例えば打錠補助剤、オスモエージェント、界面活性剤、水溶性ポリマー類および水膨潤性ポリマー類を含有しうる。
【0066】
このような浸透性送達デバイスは、さまざまな形状、例えば:コアが、薬物層と互いに隣接した膨潤層とを含む二層;コアが2つの薬物層とその間に「挟まれた」膨潤層を含む三層;およびコアが中心に膨潤(sweller)組成物、その周りを囲む該薬物層を含む同心状形状;で組み立てられ得る。
【0067】
このような錠剤のコーティングは、水不溶性であるが、水には透過性であり、中に含まれる薬物および賦形剤には実質的に不透過性である膜を含む。コーティングは、薬物組成物を送達するための薬物含有層に通じる1つ以上の出口通路またはポートを有する。コアの薬物含有層は薬物組成物(任意にオスモエージェントおよび親水性水溶性ポリマー類を含む)を含有し、一方、膨潤層は、追加の浸透圧剤なしにまたは浸透圧剤と共に、膨張性ハイドロゲルで構成される。
【0068】
水性溶媒に入れると、錠剤はその膜を通して水を吸収して、組成物に不必要な水性組成物を形成させ、ハイドロゲル層を膨張させて薬物含有組成物を押し、組成物を出口通路から出させる。組成物は膨張することができ、薬物が通路から出るのを助ける。薬物は、出口通路から押し出された組成物中で溶解しまたは分散されたこのタイプの送達システムから送達され得る。
【0069】
コーティングの透過性および厚み、薬物含有層の浸透圧、ハイドロゲル層の親水性の程度、およびデバイスの表面積のようなファクターによって、薬物送達速度は制御される。当業者は、コーティングの厚みが増せば放出速度は減少し、一方、下記のいずれかによって放出速度は増加することを理解するであろう:コーティングの透過性増大;ハイドロゲル層の親水性の増大;薬物含有層の浸透圧の増大;またはデバイスの表面積増大。
【0070】
アピキサバンの溶解性改良形態自体の他に、薬物含有組成物を形成するのに有用な典型的な物質としては、HPMC、PEOおよびPVPおよび他の医薬的に許容される担体が挙げられる。加えて、オスモエージェント、例えば糖類または塩類、特にスクロース、ラクトース、キシリトール、マンニトール、または塩化ナトリウムが添加されうる。ハイドロゲル層を形成するのに有用な物質には、CMCナトリウム、PEO、ポリ(アクリル酸)、(ポリアクリル酸)ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、PVP、架橋PVP、および他の高分子量親水性物質が挙げられる。とりわけ、平均分子量が約5,000,000〜約7,500,000ダルトンであるPEOポリマー類が有用である。
【0071】
二層形状の場合では、薬物層および膨潤層の両方をデバイスの外面とつなぐように、送達ポートまたは出口通路は、薬物組成物を含有する錠剤側に位置し得、または錠剤の両側もしくは錠剤の端に位置しうる。出口通路は、機械的手法またはレーザードリルによって、または、錠の間に特別なツールを使用する、もしくは他手法によって錠剤上にコートするのが難しい箇所を作ることによって作られ得る。
【0072】
浸透性デバイスはまた、米国特許3,845,770に記載のように、半透過性膜コーティングで囲まれた均一性コアでもって製造されうる。アピキサバンの溶解性改良形態は錠剤コアに組み込むこまれ、半透過性膜コーティングは、従来の錠剤コーティング技術(例えばパンコーターを用いる)によって施すことができる。ついで薬物送達通路は、このコーティングにレーザーまたは機械的手段で穴を開けることによって、形成することができる。別法として、該通路は、コーティングの一部に裂け目を作ることによって、または上述したように、錠剤上にコートしにくい箇所を設けることによって形成され得る。
【0073】
浸透性デバイスのとりわけ有用な実施形態は、以下を含む:
(a)単一層圧縮コア:これは、(i)アピキサバンの溶解性改良形態、(ii)ヒドロキシエチルセルロース、および(iii)オスモエージェントを含み、ヒドロキシエチルセルロースは約2.0重量%〜約35重量%でコア中に含まれ、オスモエージェントは約15重量%〜70重量%含まれる;
(b)コア周囲の水透過性層;および
(c)錠剤周囲の液体環境に薬物を送達するための層(b)内の少なくとも1つの通路。好ましい実施形態において、デバイスは、(水膨潤性錠剤の)表面積対容積比が0.6mm−1より大きく、より好ましくは1.0mm−1より大きいように形成される。コアと液体環境とを連結する通路が錠剤バンド領域に設置されることが好ましい。とりわけ好ましい形状は、錠剤工具の軸、すなわち錠剤の形状を特定する長軸および短軸の比が、1.3〜3;より好ましくは1.5〜2.5である、楕円形状である。1つの実施形態において、溶解性改良形態の薬物とオスモエージェントとの組み合わせは、約100〜約200Mpaの平均延性、約0.8〜約2.0Mpaの平均抗張力、約0.2未満の平均脆性破壊指数を有する。単一層コアは任意に、崩壊剤、バイオアベイラビリティー増大添加物および/または医薬的に許容される賦形剤、担体または希釈剤を含み得る。このようなデバイスは、共同所有され係属中の米国特許出願公開2003−0175346(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)にさらに詳しく開示される。
【0074】
このような浸透性デバイスの操作の間に押出す液体中のアピキサバンの溶解性改良形態の粒子の引き込みは、非常に望ましい。粒子が良く引き込まれるために、薬物形態は、粒子が錠剤コア中に沈殿する機会を持つ前に、液体中に十分に分散されることが好ましい。これを達成する1つの一手段は、圧縮コアをその粒子状構成成分に分割する働きを持つ崩壊剤を添加することによる。標準的な崩壊剤の例として、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばExplotabTM CLV)、微結晶性セルロース(例えばAvicelTM)、微晶質ケイ化セルロース(例えばProSolvTM)、クロスカルメロースナトリウム(例えばAc-Di-SolTM)、および当業者に既知の他の崩壊剤が挙げられる。特定の処方物に依存して、他のと比較してより良好に働く崩壊剤もある。いくつかの崩壊剤は、それらが水で膨潤するとゲルを形成しがちであり、従ってデバイスからの薬物送達を妨害する。非ゲル化、非膨潤化崩壊剤は、水がコアに入ったとき、コア内の薬物粒子のより急速な分散を提供する。好ましい非ゲル化、非膨潤化崩壊剤は、樹脂、好ましくはイオン交換樹脂である。好ましい樹脂は、AmberliteTM IRP 88(RohmおよびHaas,フィラデルフィア,PAから入手可能)である。使用時、崩壊剤は、コア組成物の約1〜25%の範囲の量で含まれる。
【0075】
水溶性ポリマー類は、デバイスの内で懸濁された溶解性改良薬物形態の粒子が通路(例えば開口部)を通して送達され得る前に、それらを保持するために付加される。高粘度ポリマー類は、沈降を予防するのに有用である。しかしながら、薬物と組み合わせたポリマーは、相対的に低い圧力下で通路を通って押し出される。所定の押出圧力では、押出し速度は典型的には、粘度増大するのに伴って遅くなる。溶解度改良薬物の粒子と組み合わせたある種のポリマー類は、水で高粘度溶液を形成するが、相対的に低い力で錠剤から依然押出されることができる。対照的に、平均分子量(<約300,000)の小さいのポリマー類は、粒子沈降のため、錠剤コア内部で完全に送達するために十分に粘性のある溶液を形成しない。ポリマーの添加なしにデバイスを調製するとき、粒子の沈降は問題であり、粒子がコア内部で沈降しないよう錠剤が絶えず攪拌されない限り、不十分な薬物送達をもたらすこととなる。粒子が大きく、および/または高密度であって沈降速度が増えるときにも、沈降は、問題である。
【0076】
該浸透性デバイスの水溶性ポリマー類は、薬物と相互作用しないことが好ましい。非イオン性ポリマー類が好ましい。高粘度でありながら低い圧力で押し出し可能な溶液を形成する非イオン性ポリマーの例は、NatrosolTM 250H(高分子量ヒドロキシエチルセルロース、Hercules Incorporated、Aqualon Division、ウィルミントン、DEから入手可能;MWは約100万ダルトン相当、および重合度は約3,700相当)。オスモエージェントと組み合わされたとき、NatrosolTM 250Hはコアの約3重量%との低い濃度ででも有効な薬物送達を提供する。NatrosolTM 250H NFは、熱水または冷水に可溶な、高粘度グレード非イオン性セルロースエーテルである。Brookfield LVT(30RPM)を25℃で用いるNatrosolTM 250Hの1%溶液の粘度は約1,500〜約2,500cpsである。
【0077】
これらの単層浸透性錠剤に使用するヒドロキシエチルセルロースポリマー類は重量平均、分子量約300,000〜約1.5百万であることが好ましい。ヒドロキシエチルセルロースポリマーは、一般的に、コア中、約2.0%〜約35重量%含まれる。
【0078】
浸透性デバイスの別の例は浸透性カプセルである。カプセル殻またはカプセル殻の一部は半透過性でありうる。カプセルは、アピキサバンの溶解性改良形態で構成される粉末または液体、水吸収するして浸透ポテンシャルを提供する賦形剤、および/または水膨潤性ポリマー、または任意に可溶化賦形剤で充填されうる。カプセルコアはまた、上述した二層、三層または同心形状に似た二層または多層組成物を有するように製造される。
【0079】
本発明において有用な浸透性デバイスの別のクラスは、EP 378 404(引用することによって本明細書に組み込まれる)に記載されるような、コーティングされた膨潤性錠剤を含む。コーティングされた膨潤性錠剤は、薬物の溶解性改良形態および膨張性材料(好ましくは親水性ポリマー)を含み、水性使用環境中親水性ポリマーを押し出すことができ、薬物組成物を実行することが出来る穴または孔を持つ膜でコーティングされた錠剤コアを含む。別法として、膜は、重合体または低分子量水溶性「ポロシゲン(porosigen)」を含有しうる。ポロシゲンは、水性使用環境中に溶解して、親水性ポリマーおよび薬物を押し出す孔を提供する。ポロシゲンの例は、水溶性ポリマー類、例えばHPMC、PEG、および低分子量化合物、例えばグリセロール、スクロース、グルコース、および塩化ナトリウムである。さらに孔は、レーザーまたは他の機械的手法を用いてコーティングに穴を開けることにより形成され得る。このクラスの浸透性デバイスにおいて、膜物質は膜形成ポリマー、例えば水透過性または水不透性であるポリマー類を含み得、ただし、錠剤コア上に堆積される膜は多孔性であるかまたは水溶性ポロシゲンを含有し、または水進入および薬物放出のための肉眼で見える穴を保有する。このクラスの持続放出デバイスの実施形態はまた、EP 378 404に記載されるように、多重層化されうる。
【0080】
アピキサバンの溶解性改良形態が液体または油状物、例えば本明細書中に記載される脂質ビヒクル処方物であるとき、浸透性制御放出デバイスは液体処方物を含む軟質ゲルまたは複合壁でできたゼラチンカプセルを含みうるが、ここでその壁はカプセルの外表面上に形成されるバリヤー層、バリヤー層上に形成される膨張性層、および膨張性層上に形成される半透過性層を含む。送達ポートは、液体処方物と水性使用環境とを連結する。該デバイスは、米国特許第6,419,952号、第6,342,249号、第5,324,280号、第4,672,580号、第4,627,850号、第4,203,440号、および第3,995,631号(これらは引用することにより本明細書に組み込まれる)にさらに詳しく記載される。
【0081】
本発明の浸透性制御放出デバイスはまたコーティングも含む。浸透性デバイスのコーティングに関する不可欠な事項は、それが水透過性であり、薬物の送達のための少なくとも1つのポートを有し、および主としてコーティング物質自体を通しての浸透を介して送達するのとは対照的に薬物が送達ポートまたは孔を通って実質的に全て送達されるように、薬物処方物の放出中に非溶解性および非浸食であることである。「送達ポート」とは、通路、開口部または孔を意味し、コーティングプロセスまたは使用時にそのままで、機械的にレーザードリルで孔形成によって作られるか、または使用時の破断によって作られる。コーティングは、コア重量に対して約5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲で含まれる。
【0082】
コーティングの好ましい形態は、使用前または使用中に形成されたポートを有する、半透過性高分子膜である。このような高分子膜の厚みは、約20〜800μmの間であり得、好ましくは100〜500μmの範囲である。送達ポートは一般に、0.1〜3000μm以上、好ましくは50〜3000μmのオーダーのサイズの範囲である。このようなポートは、機械的またはレーザードリルによって、コーティング後に形成され得るか、またはコーティングの破裂によってそのままで形成され得;該破裂は、相対的に小さいくて弱い部分をコーティング中に意図的に組み込むことによって制御され得る。送達ポートはまた、水溶性物質の栓が浸食されることによって、またはコア中の刻み目上のコーティングの薄い部分が破裂することよって、そのもので形成され得る。加えて、送達ポートは、米国特許第5,612,059号および第5,698,220号(これらは引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されるタイプの非対称膜コーティングの場合のように、コーティング中に形成され得る。
【0083】
送達ポートがコーティングの破裂によってそのもので形成されるとき、とりわけ好ましい実施形態は、本質的に同一のまたは可変な組成物のビーズの集まりである。薬物は、コーティングの破裂後に該ビーズから主として放出され、破裂後その放出は緩やかであるかまたは相対的突然であり得る。ビーズの集まりが可変な組成物を有するとき、投与後のさまざまな時間でビーズが破裂して、所望の継続時間の間、持続される薬物の全般的な放出をもたらすように、該組成物は選択され得る。
【0084】
コーティングは、高密度であるか、微小孔性であるか、または「非対称性」であり得、厚い多孔性領域により支持される高密度領域(例えば米国特許第5,612,059号および第5,698,220号に開示されるもの)を有しうる。コーティングが高密度であるとき、コーティングは水透過性物質で構成される。コーティングが多孔性であるとき、それは水透過性または水不透過性物質で構成されうる。コーティングが多孔性水不透過性物質で構成されるとき水は液体または蒸気として、コーティングの孔を通って浸透する。
【0085】
高密度コーティングを使用する浸透性デバイスの例には、米国特許第3,995,631号および第3,845,770号(これらは引用することにより本明細書に組み込まれる)が挙げられる。該高密度コーティングは、外の液体(例えば水)に対して透過性であり、これらの特許に記載される物質のいずれか、および当該技術分野で知られる他の水透過性ポリマーで構成され得る。
【0086】
膜はまた、米国特許第5,654,005号および第5,458,887号に開示されるように多孔性であり得、または耐水性ポリマー類から形成さえされ得る。米国特許第5,120,548号は、水不溶性ポリマーおよび浸出性(leachable)水溶性添加物の混合物からコーティングを形成するための別の適当な方法を記載する(その関連する記載は引用することにより本明細書に組み込まれる)。多孔性膜はまた、米国特許第4,612,008号(その関連する記載は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示される孔形成剤の添加によって形成され得る。
【0087】
加えて、蒸気透過性コーティングは、このようなコーティングが多孔性である限り、高密度であるとき本質的に水不透過性である、極めて疎水性の物質、例えばポリエチレンまたはポリビニリデンジフルオリドからさえ形成され得る。
【0088】
コーティングを形成するのに有用な物質として、生理的に適切なpHで水透過性および水不溶性であるか、または化学的変質(例えば架橋)によって水不溶性になりやすい、さまざまなグレードのアクリル類、ビニル類、エーテル類、ポリアミド類、ポリエステル類およびセルロース系誘導体が挙げられる。
【0089】
コーティングを形成するのに有用な適切なポリマー類(または架橋バージョン)の具体的な例として、可塑化、非可塑化および強化セルロースアセテート(CA)、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、CAプロピオネート、セルロースニトレート、セルロースアセテートブチレート(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、CAスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、CAジメチルアミノアセテート、CAエチルカルボネート、CAクロロアセテート、CAエチルオキサレート、CAメチルスルホネート、CAブチルスルホネート、CAp−トルエンスルホネート、寒天アセテート、アミローストリアセテート、βグルカンアセテート、βグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、ローカストビーンガムのトリアセテート、ヒドロキシル化エチレン−ビニルアセテート、EC、PEG、PPG、PEG/PPG共重合体類、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸類およびエステル類、およびポリ−(メタクリル)酸類およびエステル類ならびにその共重合体類、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン類、ポリエーテル類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリスチレン類、ポリビニルハライド類、ポリビニルエステル類およびエーテル類、天然ろうおよび合成ろうが挙げられる。
【0090】
好ましいコーティング組成物には、セルロース系ポリマー、特にセルロースエーテル類、セルロースエステル類およびセルロースエステル−エーテル類、すなわちエステルおよびエーテル置換基の混合物を有するセルロース系誘導体が含まれる。
【0091】
コーティング物質の別の好ましいクラスは、ポリ(アクリル)酸類およびエステル類、ポリ(メタクリル)酸類およびエステル類、ならびにそれらの共重合体類である。
【0092】
より好ましいコーティング組成物には、セルロースアセテートが含まれる。さらにより好ましいコーティングには、セルロース系ポリマーおよびPEGが含まれる。最も好ましいコーティングには、セルロースアセテートおよびPEGが含まれる。
【0093】
コーティングは、従来の方法、典型的には、溶媒中にコーティング物質を溶解または懸濁し、ついで浸漬、スプレーコーティング、または好ましくはパン−コーティングによりコーティングすることにより行われる。好ましいコーティング溶液は、5〜15重量%のポリマーを含有する。上記のセルロース系ポリマー類に有用な典型的な溶媒として、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチル、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、ニトロエタン、ニトロプロパン、テトラクロロエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水およびそれらの混合物が挙げられる。孔形成剤および非溶媒(例えば水、グリセロールおよびエタノール)または可塑剤(例えばジエチルフタレート)はまた、ポリマーが噴霧温度で可溶性である任意の量で添加され得る。孔形成剤および二次加工コーティングにおけるそれらの使用は、米国特許第5,612,059号(その関連する記載は引用することにより本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0094】
米国特許第5,798,119号(その関連する記載は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されるように、コーティングはまた、疎水性微小孔性層であり得、その孔は実質的に気体で満たされ、水性溶媒で湿潤しないが水蒸気に対して透過性である。このような疎水性であって水蒸気透過性のコーティングは典型的には、疎水性ポリマー類、例えばポリアルケン類、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリスチレン類、ポリビニルハライド類、ポリビニルエステル類およびエーテル類、天然ろうおよび合成ろうから構成される。特に好ましい疎水性微小孔性コーティング物質として、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンおよびポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。当該疎水性コーティングは、蒸気クエンチ、液体クエンチ、熱処理、コーティングからの可溶性物質の浸出のいずれかを用いる既知の位相反転(phase inversion)法により、またはコーティング粒子を焼結することによって製造され得る。熱処理においては、潜在する溶媒中のポリマーの溶液が、冷却工程における液体−液体相分離に提供される。溶媒の蒸発が防止されないとき、得られた膜は、典型的には多孔性である。このようなコーティングプロセスは、米国特許第4,247,498号;第4,490,431号および第4,744,906号(これらは引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示される方法によって行われうる。
【0095】
浸透性制御放出デバイスは、医薬業界で知られる方法を用いて調製され得る。例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (2000)を参照。
【0096】
マトリックス制御放出デバイス
1つの実施形態において、アピキサバンの溶解性改良形態は、浸食性(erodible)または非浸食性(non-erodible)高分子マトリックス制御放出デバイスに組み込まれる。浸食性マトリックスとは、純水中で浸食性または膨潤性または溶解性である、または浸食または溶解を引き起こすくらいに十分に高分子マトリックスをイオン化するための酸または塩基の存在が必要であるという意味で、水浸食性または水膨潤性または水可溶性であることを意味する。使用水性環境と接触したとき、浸食性高分子マトリックスは水を吸収しアピキサバンの溶解性改良形態を封入する水膨潤性ゲルまたは「マトリックス」を形成する。水膨潤マトリックスは、使用環境中で徐々に浸食し、膨潤し、崩壊または溶解して、その結果、使用環境へのアピキサバンの放出を制御する。当該デバイスの例は、同一出願人による係属中の欧州特許番号1027887号(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)にさらに詳細に開示される。
【0097】
アピキサバンの溶解性改良形態が組み込まれる浸食性高分子マトリックスは、その形成後に溶解性改良形態と混合され、使用水性環境と接触したとき、水を吸収し、該薬物形態を封入する水膨潤ゲルまたは「マトリックス」を形成する賦形剤のセットと一般にされている。薬物放出は、さまざまなメカニズムにより生じ得る:溶解性改良形態の薬物の粒子または顆粒の周りからマトリックスが崩壊または溶解し得;または薬物は、吸収された水性溶液中に溶解し、デバイスの錠剤、ビーズまたは顆粒から拡散し得る。この水膨潤マトリックスの重要な成分は、水膨潤性、浸食性または可溶性ポリマーであり、一般に、浸透性ポリマー(osmopolymer)、ハイドロゲルまたは水膨潤性ポリマーとされ得る。このようなポリマー類は、直鎖、分枝鎖または架橋したものであり得る。それらは、ホモポリマー類または共重合体類であり得る。それらはビニル、アクリレート、メタクリレート、ウレタン、エステルおよびオキシドモノマー由来の合成ポリマー類であり得るが、最も好ましくは天然ポリマー類(例えばポリサッカライド類またはタンパク質)の誘導体である。
【0098】
このような物質として、天然ポリサッカライド類(例えばキチン、キトサン、デキストランおよびプルラン);ゴムアガー(gum agar)、アラビアゴム、カラヤゴム、ローカストビーンガム、トラガカントゴム、カラギーナン、ガティゴム、グアーゴム、キサンタンゴムおよびスクレログルカン;デンプン(例えばデキストリンおよびマルトデキストリン);親水性コロイド(例えばペクチン);ホスファチド(例えばレシチン);アルギン酸塩(例えばアルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、カリウム、またはカルシウム、アルギン酸プロピレングリコール);ゼラチン;コラーゲン;およびセルロース系類が挙げられる。「セルロース系類」とは、糖繰り返し単位のヒドロキシル基の少なくとも一部分と、エステル結合またはエーテル結合置換基を形成するための化合物との反応により修飾されているセルロース系ポリマーを意味する。例えばセルロース系エチルセルロースは、糖繰り返し単位に結合するエーテル結合エチル置換基を有し、対して、セルロース系セルロースアセテートはエステル結合アセテート置換基を有する。
【0099】
浸食性マトリックスのためのセルロース系類の好ましいクラスには、水溶性および水浸食性セルロース系類、例えばエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、セルロースアセテート(CA)、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)が含まれる。とりわけ好ましいクラスの当該セルロース系類は、低粘度(MW50,000ダルトン以下)および高粘度(MW50,000ダルトンより大きい)HPMCのさまざまなグレードを含む。市販の低粘度HPMCポリマー類として、Dow METHOCELシリーズE5、E15LV、E50LVおよびK100LYが挙げられ、高粘度HPMCポリマーとして、E4MCR、E10MCR、K4M、K15MおよびK100Mが挙げられ;この群でMETHOCEL(商標)Kシリーズが特に好ましい。市販のHPMCの他のタイプとして、Shin Etsu METOLOSE 90SHシリーズが挙げられる。
【0100】
浸食性マトリックス物質の主要な役割は、使用環境へのアピキサバンの溶解性改良形態の放出速度を制御することであるが、本発明人らは、マトリックス物質の選択が、デバイスによって得られる最大薬物濃度ならびに高薬物濃度の保持に大きく影響しうることを見出した。1つの実施形態において、マトリックス物質は、本明細書中以下に記載する濃度増大用ポリマーである。
【0101】
浸食性マトリックス物質として有用な他の物質には、これらに限定されないが、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、グリセロール脂肪酸エステル類、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、エタクリル酸またはメタクリル酸の共重合体類(EUDRAGIT(登録商標),Rohm America,Inc., Piscataway, New Jersey)、および他のアクリル酸誘導体(例えばブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレートおよび(トリメチルアミノエチル)メタクリレートクロリドのホモポリマーおよび共重合体)が挙げられる。
【0102】
浸食性マトリックスポリマーは、医薬業界で知られる添加物および賦形剤の様々な同一タイプのものを含み得、例えば浸透性ポリマー、オスマゲン、溶解性増強または遅延剤、およびデバイスの安定性または加工を促進する賦形剤を含み得る。
【0103】
別法として、本発明の組成物は、非浸食性マトリックスデバイスによって投与され得、または非浸食性マトリックスデバイス中に組み込まれ得る。当該デバイスにおいて、アピキサバンの溶解性改良形態は不活性マトリックス中に分散される。薬物は、不活性マトリックスを介して拡散により放出される。不活性マトリックスに適する物質の例には、不溶性プラスチック類(例えばメチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニルおよびポリエチレン);親水性ポリマー類(例えばエチルセルロース、セルロースアセテートおよび架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドンとしても知られる));および脂肪化合物(例えばカルナバろう、微結晶性ろうおよびトリグリセリド類)が挙げられる。このようなデバイスは、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition (2000)にさらに説明される。
【0104】
マトリックス制御放出デバイスは、アピキサバンの溶解性改良形態および他の賦形剤を合わせて混合し、ついで混合物を錠剤、カプレット、ピルおよび圧縮力により形成される他のデバイス形態に形成することにより調製され得る。圧縮デバイスは、医薬デバイスの製造に使用される様々なプレスを用いて形成されうる。例としては、単一パンチプレス、回転式錠剤プレスおよび多層回転式錠剤プレスが挙げられ、これらは全て当該技術分野で知られている。例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition (2000)を参照。圧縮デバイスは、任意の形状、例えば円形、卵形、楕円、円筒形または三角形でありうる。圧縮デバイスの上表面および下表面は、扁平、球面、凹面または凸面であり得る。
【0105】
圧縮により形成されるとき、デバイスは好ましくは、少なくとも5キロポンド(Kp)/cm、より好ましくは少なくとも7Kp/cmの「強度」を有する。「強度」は、当該物質から形成された錠剤を砕くために必要な錠剤「硬度」としても知られる破壊力を、その力に対して垂直を成す錠剤の最大断面積で割ったものである。該破壊力は、Schleuniger錠剤硬度テスターモデル6Dを用いて測定され得る。この強度を達成するために必要とされる圧縮力は、錠剤のサイズに依存するが、一般に約5kP/cmより大きい。脆砕性(friability)は、デバイスに標準化された撹拌方法を行った後の重量損失をパーセンテージで測定する、表面磨耗に対するデバイスの耐性の周知の測定である。0.8〜1.0%の脆砕性値は、受容性の上限を構成するとみなされる。5kP/cmより大きい強度を有するデバイスは、一般に非常に頑健で、0.5%未満の脆砕性を有する。
【0106】
マトリックス制御放出デバイスを形成するための他の方法は、医薬業界で周知である。例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2000を参照。
【0107】
マルチ微粒子制御放出デバイス
本発明の製剤形はまた、マルチ微粒子制御放出デバイスの使用によるアピキサバンの溶解性改良形態の制御放出を提供する。マルチ微粒子は一般に、直径約10μm〜約2mm、より典型的には約100μm〜1mmの範囲であり得る多数の粒子または顆粒を含むデバイスを意味する。当該マルチ微粒子は、例えばカプセル(例えばゼラチンカプセル、または水性可溶性ポリマー(例えばHPMCA、HPMCまたはデンプン)から生成されるカプセル)中に入れられ;懸濁液または液体中のスラリーとして投与され得るし;またはそれらは、圧縮または当該技術分野で知られる他の方法により錠剤、カプレットまたはピルに成形され得る。
【0108】
このようなマルチ微粒子は、既知の方法、例えば湿式および乾式造粒法、押出/球状化、ローラー圧縮、溶融−凝固によって、または種コアのスプレーコーティングによって製造され得る。例えば、湿式および乾式造粒法においては、アピキサバンの溶解性改良形態および任意の賦形剤を含む組成物を造粒して、所望のサイズのマルチ微粒子を形成しうる。他の賦形剤、例えば結合剤(例えば微結晶性セルロース)は、マルチ微粒子を加工および成型するのを助けるために組成物と混合され得る。湿式造粒法の場合、結合剤(例えば微結晶性セルロース)は、適当なマルチ微粒子を形成するのを助けるために造粒液体中に含まれ得る。例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (2000)を参照。
【0109】
どんな場合でも、得られた粒子はそれ自体、マルチ微粒子を構成し得、またはそれらはさまざまなフィルム形成物質(例えば腸溶性ポリマー類または水膨潤性または水溶性ポリマー類)によりコーティングされ得、またはそれらは患者に投与するのに役立つように他の賦形剤またはビヒクルと組合わされ得る。
【0110】
典型的な実施形態(図面への言及と共に)
本発明の製剤形はアピキサバンの溶解性改良形態の制御放出を提供する。1つの態様において、製剤形は単一製剤形の形態である。「単一製剤形」とは、アピキサバンを含有する単一の製剤形が、その単一製剤形を使用環境に投与した後、アピキサバンが制御放出として使用環境に送達されるような溶解性改良形態であることを意味する。用語「単一製剤形」には、単一の錠剤、カプレット、ピル、カプセル、小袋、粉末、溶液、および1つ以上の錠剤、カプレット、ピル、カプセル、小袋、粉末、または溶液を、一緒に使用されることを意図して含むキットが含まれる。
【0111】
1つの実施形態において、単一製剤形は、図1の製剤形3として簡略して示される、アピキサバン組成物を含む。アピキサバン組成物は浸透性制御放出デバイス6の形態である。浸透性制御放出デバイス6はコア12、コーティング15、および送達ポート9を含む。コアは単一の組成物であり得、またはいくつかの層、例えばアピキサバンの溶解性改良形態およびアピキサバンを使用環境に押し出すための高膨潤層を含む層で構成され得る。
【0112】
1つの実施形態において、単一製剤形はアピキサバン組成物を含み、ここでアピキサバン組成物はマトリックス制御放出デバイスの形態である。アピキサバン組成物は、アピキサバンの溶解性改良形態、マトリックスポリマー、および上記にてマトリックス制御放出デバイスについて記載した任意の賦形剤を含む。図2に関しては、1つの態様において、単一製剤形20は本明細書に記載される賦形剤を含むコーティング(本明細書に記載される)22を有するアピキサバンの溶解性改良形態を含むマトリックス錠剤21の形態である。
【0113】
別法として、単一製剤形は、図3の製剤形30として簡略して示されるアピキサバンを含む。アピキサバン組成物30はマトリックス制御放出デバイス31およびマトリックスデバイスに付随する膨潤層(または即時放出層の形態にある2つ目のアピキサバン組成物)32(本明細書で記載される膨潤層)の形態である。付随するとは、膨潤層32を含むが層マトリックス制御放出デバイス31と隣接したまたは実質的に接触していることを意味する。膨潤層32はまた、当該技術分野で知られるように、マトリックス制御放出デバイスから結合剤または希釈剤を含む中間の層(図3には示されていない)で分離されていてもよい。単一製剤形30は、従来のコーティング33で任意にコーティングされうる。
【0114】
別の実施形態において、単一製剤形はカプセルの形態であり、そのカプセルは図4の製剤形40として簡略して示されている。カプセルは、(1)アピキサバンの溶解性改良形態を含む、少なくとも1つの制御放出デバイス42、例えばマトリックス制御放出デバイスまたは浸透性制御放出デバイスを含む。この実施形態において、アピキサバンを含む制御放出デバイス42を最初に、当該技術分野で知られる方法を用いて製造し、ついで例えば当該技術分野で知られる適当なカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセルまたは軟質ゼラチンカプセル中に入れることにより、一体化されうる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy (20th ed. 2000)を参照。1つの実施形態において、アピキサバンは、上記のマトリックス制御放出デバイスの形態である。別の実施形態において、アピキサバンは、上記の浸透性制御放出デバイスの形態である。任意の層44は、例えば本明細書で記載される賦形剤であり得る。
【0115】
別の実施形態において、単一製剤形は、図5の製剤形50として簡略して示されるカプセルの形態である。該カプセルは(1)複数の制御放出デバイス、例えばアピキサバンの溶解性改良形態を含む制御放出マルチ微粒子または顆粒52、および(2)任意の賦形剤54を含む。制御放出アピキサバンマルチ微粒子または顆粒52および賦形剤54を上記で概説した方法を用いて最初に製造し、ついで例えば当該技術分野でよく知られる適当なカプセル、例えば硬質ゼラチン カプセルまたは軟質ゼラチンカプセルにそれらを入れることによって一体化されうる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy (20th ed. 2000)を参照。
【0116】
さらに別の実施形態において、単一製剤形はアピキサバンおよび併用薬剤組成物を含み、ここで、アピキサバン組成物はマトリックス制御放出デバイスの形態であり、および併用薬剤組成物は即時放出コーティングの形態である。アピキサバン組成物は、アピキサバンの溶解性改良形態、マトリックスポリマー、および先にマトリックス制御放出デバイスについて記載した任意の賦形剤を含む。併用薬剤組成物は併用薬剤および任意の賦形剤を含む。図6に関して、1つの態様において、単一製剤形60は、上記の併用薬剤および任意の賦形剤を含む、即時放出コーティング64でコーティングされたアピキサバンの溶解性改良形態を含むマトリックス錠剤62の形態である。即時放出コーティング64は、任意に従来のコーティング(図6には示されていない)でコーティングされうる。
【0117】
別の実施形態において、単一製剤形は、アピキサバン組成物および併用薬剤組成物を含み、図7の製剤形70として簡略して示される。アピキサバン組成物は浸透性制御放出デバイス77の形態であり、併用薬剤組成物は即時放出コーティング74の形態である。浸透性制御放出デバイス77は、コア73、コーティング78、および送達ポート79を含む。コアは単一の組成物であり得るか、または数層から構成され得、溶解性改良形態のCETP阻害剤および使用環境へCETP阻害剤を押し出すための高膨潤層を含む層を含む。即時放出コーティング74は従来のコーティング(図7には示されていない)で任意にコーティングされうる。
【0118】
本発明はまた、アピキサバン療法を必要とする対象を治療する方法であって、当該療法を必要とする対象に本発明の製剤形を投与することを含む方法もカバーする。製剤形は、以下の少なくとも1つを提供する:(i)少なくとも12時間、第Xa因子の少なくとも50%阻害;(ii)同量のアピキサバンの溶解性改良形態の即時放出を提供する製剤形により提供される血中最大薬物濃度の80%以下である血中最大薬物濃度;および(iii)投与前に得られたものの約90%以下である、8週間投与後の平均第Xa因子阻害レベル。
【0119】
本発明の製剤形は任意に、当該技術分野でよく知られる従来のコーティングでコーティングされ得る。コーティングは、味をマスクし、見た目を改善し、製剤形の嚥下を促進し、または製剤形からの薬物の放出を遅延し、持続し、またはさもなくば制御するために用いられ得る。このようなコーティングは、従来手段、例えば、水性または有機溶媒を用いる流動床コーティング、スプレーコーティング、パンコーティングおよび粉末コーティングにより加工されうる。適当なコーティング物質の例には、スクロース、マルチトール、酢酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリメタクリレート類、ポリアクリレート類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セチルアルコール、ゼラチン、マルトデキストリン、パラフィンろう、微結晶性ろうおよびカルナバろうが挙げられる。ポリマー類の混合物も用いられ得る。好ましいコーティングには、市販の水性コーティング処方物Surelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)(Colorcon, Inc., WestPoint, Pennsylvania)が挙げられる。
【0120】
アピキサバン
アピキサバンおよびその製造方法は、米国特許第6,967,208号および第7,396,932号、およびPCT公開WO2007/001385およびWO2006/13542(これらの記載は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示される。
【0121】
アピキサバンは水性の環境、例えばヒト消化管のルーメン液(lumenal fluid)中では低溶解性である。アピキサバンは弱塩基であり、その溶解性は約1μg/mL未満(室温、pH6.8)である。血液中への吸収を改良して、改良された治療効果を得るために、アピキサバンは溶解性改良形態で消化管の薬物濃度改良するために消化管に提供される。このような胃腸液中の薬物濃度の増大は、少なくとも約2倍であり得、しばしば少なくとも約3倍であり、または少なくとも約5倍でさえありうる。このような処方物は、一般に「溶解性改良」形態と称される。
【0122】
併用薬剤
本発明の化合物は、単独でまたは1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて投与されうる。「組み合わせて投与される」または「併用療法」とは、本発明の化合物および1つ以上の追加の治療薬が治療される哺乳動物に同時に投与されることを意味する。組み合わせて投与される場合、各構成要素を、同時にまたは異なる時点でいずれかの順序で連続して、投与しても良い。従って、各構成要素は、別々に、しかし所望の治療効果が得られるよう時間的に十分接近して投与されうる。従って、本願明細書に記載する予防および治療には、併用薬剤の使用が含まれる。
【0123】
併用薬剤は治療的に有効な量で哺乳動物に投与される。「治療的に有効な量」とは、単独でまたは追加の治療薬と組み合わせて哺乳動物に投与されるとき、所望の疾患/症状(例えば血栓塞栓性症状疾患)を治療するのに有効な本発明の化合物の量を意味する。
【0124】
追加の治療薬には、他の抗血液凝固剤または凝固阻害剤、抗血小板薬または血小板阻害剤、トロンビン阻害剤、血栓溶解剤または線維素溶解薬、抗不整脈剤(抗不整脈薬)、抗高血圧薬、カルシウムチャンネル遮断薬(L型およびT型)、強心配糖体、利尿薬(diruetic)、ミネラルコルチコイドレセプターアンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ(phospodiesterase)阻害剤、コレステロール/脂質降下剤および脂質プロファイル療法、抗糖尿病薬、抗鬱剤、抗炎症薬(ステロイド性および非ステロイド性)、抗骨粗しょう症剤、ホルモン補充療法、経口避妊薬、抗肥満薬、抗不安薬、抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗潰瘍薬および胃食道逆流症治療薬、成長ホルモンおよび/または成長ホルモン分泌促進剤、甲状腺模倣薬(例えば甲状腺レセプターアンタゴニスト)、抗感染症薬、抗ウイルス薬、抗生物質、および抗真菌薬が挙げられる。。
【0125】
別の実施形態において、本発明は、2つ目の薬剤が別の第Xa因子阻害剤、抗血液凝固剤、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、血栓溶解剤、または線維素溶解薬から選択される少なくとも1つの薬剤である組み合わせを提供する。
【0126】
別の好ましい実施形態において、2つ目の薬剤はワルファリン、非分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、合成五糖類、ヒルジン、アルガトロバン(argatrobanas)、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン、メフェナメート(mefenamate)、ドロキシカム、ジクロフェナク、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、チクロピジン、クロピドグレル、チロフィバン、エプチフィバチド、アブシキシマブ、メラガトラン、ジスルフェート(disulfato)ヒルジン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、改変組織プラスミノーゲンアクチベーター、アニストレプラーゼ、ウロキナーゼ、およびストレプトキナーゼから選択される少なくとも1つの薬剤である。
【0127】
好ましい2つ目の薬剤は少なくとも1つの抗血小板薬である。特に好ましい抗血小板薬はアスピリンおよびクロピドグレルである。
【0128】
用語抗血小板薬(または血小板阻害剤)とは、本明細書において、例えば血小板の凝集、接着または粒状分泌を阻害することによって血小板機能を阻害する薬剤を意味する。薬剤には、これらに限定されないが、さまざまな既知の非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)、例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン、メフェナメート(mefenamate)、ドロキシカム、ジクロフェナク、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、およびそれらの医薬的に許容される塩類またはプロドラッグが含まれる。NSAIDSの、アスピリン(アセチルサリチル酸またはASA)およびピロキシカムが好ましい。他の適当な血小板阻害剤には、IIb/IIIaアンタゴニスト(例えばチロフィバン、エプチフィバチド、およびアブシキシマブ)、トロンボキサン−A2−レセプターアンタゴニスト(例えばイフェトロバン(ifetroban)、トロンボキサン−A2−シンセターゼ阻害剤、PDE−III阻害剤(例えばジピリダモール)、およびそれらの医薬的に許容される塩類またはプロドラッグが挙げられる。
【0129】
用語、抗血小板薬(または血小板阻害剤)は、本明細書において、ADP(アデノシン二リン酸)レセプターアンタゴニストを含むことを意図し、好ましくはプリン受容体P2Y1およびP2Y12のアンタゴニスト、またP2Y12がさらに好ましい。好ましいP2Y12レセプターアンタゴニストには、チクロピジンおよびクロピドグレルならびにそれらの医薬的に許容される塩類またはプロドラッグが挙げられる。クロピドグレルがさらに好ましい薬剤である。チクロピジンおよびクロピドグレルもまた、好ましい化合物である。なぜなら、それらは使用時胃腸管に優しいことが知られているからである。
【0130】
用語、トロンビン阻害剤(または抗トロンビン剤)は、本明細書において、セリンプロテアーゼトロンビンの阻害剤を意味する。トロンビンを阻害することによって、さまざまなトロンビン媒介プロセス、例えばトロンビン媒介血小板活性化(すなわち、例えば、血小板の凝集、および/またはプラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1および/またはセロトニンの粒状)および/またはフィブリン形成が乱される。多数のトロンビン阻害剤が当業者に知られていて、これらの阻害剤は、本願の化合物と組み合わせて使用できると考えられる。このような阻害剤には、これらに限定されないが、例えば、ボロアルギニン(boroアルギニン)誘導体、ボロペプチド類、ヘパリン類、ヒルジン、アルガトロバン、およびメラガトラン、ならびにそれらの医薬的に許容される塩類およびプロドラッグが挙げられる。ボロアルギニン誘導体およびボロペプチド類には、ボロン酸のN−アセチルおよびペプチド誘導体、例えばリジンのC末端アルファ−アミノボロン酸誘導体、オルニチン、アルギニン、ホモアルギニンおよびその対応するイソチウロニウム類似体が挙げられる。用語ヒルジンには、本明細書において、ヒルジンの適当な誘導体または類似体が含まれ、本明細書において、ヒルログ(hirulog)、例えばジスルフェートヒルジンと称される。用語、血栓溶解剤または線維素溶解薬(または血栓溶解剤または線維素溶解薬)は、本明細書において、血液栓(血栓)を溶解する薬剤を意味する。このような薬剤には、組織プラスミノゲン活性化因子(天然または組み替え)およびその改変形態、アニストレプラーゼ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ(TNK)、ラノテプラーゼ(nPA)、第V因子IIa阻害剤、PAI−1阻害剤(すなわち、組織プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤の不活性化剤)、アルファ2−抗プラスミン阻害剤、およびアニソイレイト化(anisoylated)プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体、ならびにそれらの医薬的に許容される塩類またはプロドラッグが挙げられる。用語アニストレプラーゼは、本明細書において、例えば欧州特許第028,489号(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されるような、アニソイレイト化(anisoylated)プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体を意味する。用語ウロキナーゼは、本明細書において、二重および1重鎖ウロキナーゼの両方を意味することを意図し、後者はまた、本明細書においてプロウロキナーゼを意味する。
【0131】
抗不整脈剤(抗不整脈薬)の適当な例として:クラスI剤(例えばプロパフェノン);クラスII剤(例えばカルバジオール(carvadiol)およびプロプラノロール);クラスIII剤(例えばソタロール、ドフェチリド、アミオダロン、アジミリドおよびイブチリド);クラスIV剤(例えばジルチアゼム(ditiazem)およびベラパミル);K+チャネルオープナー(例えばIAch阻害剤、およびIKur阻害剤(例えばWO01/40231に開示の化合物))が挙げられる。
【0132】
抗高血圧薬の適当な例には:アルファアドレナリン遮断薬;ベータアドレナリン遮断薬;カルシウムチャンネル遮断薬(例えばジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピンおよびミベフラジル);利尿薬(diruetic)(例えばクロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロルメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸チクリナフェン、クロルタリドン、フロセミド、ムゾリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロライド、スピロノラクトン);レニン阻害剤;ACE阻害剤(例えばカプトプリル、ゾフェノプリル、ホシノプリル、エナラプリル、セラノプリル(ceranopril)、シラザプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル);AT−1レセプターアンタゴニスト(例えばロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン);ETレセプターアンタゴニスト(例えばシタクスセンタン、アトラセンタンおよび米国特許第5,612,359号および第6,043,265号に開示される化合物);二重ET/AIIアンタゴニスト(例えば化合物WO00/01389に開示される化合物);中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;バソペプチダーゼ阻害剤(二重NEP−ACE阻害剤)(例えばオマパトリラト、ゲモパトリラトおよびナイトレート)が挙げられる。
【0133】
カルシウムチャンネル遮断薬(L型またはT型)の適当な例には、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピンおよびミベフラジルが挙げられる。
【0134】
強心配糖体の適当な例には、ジギタリスおよびウアバインが挙げられる。
【0135】
利尿薬(diruetic)の適当な例には:クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロルメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸チクリナフェン、クロルタリドン、フロセミド、ムゾリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロライド、およびスピロノラクトンが挙げられる。
【0136】
ミネラルコルチコイドレセプターアンタゴニストの適当な例には、スピロノラクトン(sprionolactone)およびエプリリノン(eplirinone)が挙げられる。
【0137】
ホスホジエステラーゼ(phospodiesterase)阻害剤の適当な例には、:PDE III阻害剤(例えばシロスタゾール);およびPDE V阻害剤(例えばシルデナフィル)が挙げられる。
【0138】
コレステロール/脂質降下剤および脂質プロファイル療法の適当な例には:HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えばプラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、NK−104(a.k.a.イタバスタチン、またはニスバスタチンまたはニスバスタチン)およびZD−4522(a.k.a.ロスバスタチン、またはアタバスタチンまたはビサスタチン));スクアレンシンセターゼ阻害剤;フィブラート;胆汁酸捕捉剤(例えばクエストラン);ACAT阻害剤;MTP阻害剤;リポキシゲナーゼ阻害剤;コレステロール吸収阻害剤;およびコレステロールエステル輸送タンパク質阻害剤(例えばCP−529414)が挙げられる。
【0139】
抗糖尿病薬の適当な例には:ビグアナイド類(例えばメトホルミン);グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース);インスリン類(インスリン分泌促進剤またはインスリン感作物質を含む);メグリチニド類(例えばレパグリニド);スルホニル尿素類(例えばグリメピリド、グリブリドおよびグリピジド);ビグアナイド/グリブリド併用剤(例えばグルコバンス)、チアゾリジンジオン(例えばトログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、PPAR−アルファアゴニスト、PPAR−ガンマアゴニスト、PPARアルファ/ガンマ二重アゴニスト、SGLT2阻害剤、脂肪酸結合タンパク質の阻害剤(aP2)(例えばWO00/59506に開示されるもの)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、およびジペプチジルペプチダーゼIV(DP4)阻害剤が挙げられる。
【0140】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに適当な抗血液凝固剤の例には、ヘパリン類(例えば未分画および低分子量ヘパリン(例えばエノキサパリンおよびダルテパリン))が挙げられる。
【0141】
とりわけ単一の投薬単位として提供されるとき、組み合わされる有効成分間で化学的相互作用が存在する可能性がある。この理由から、アピキサバンおよび2つ目の治療薬を単一の投薬単位としてあわせるときには、それらは、有効成分が単一の投薬単位中で合わされるが、有効成分間の物理的接触は最小限になるように(すなわち、減るように)処方される。例えば、1つの有効成分を腸溶性コーティングしても良い。有効成分の1つを腸溶性コーティングすることによって、合わされた有効成分間の接触を最小限にすることが可能となるだけでなく、これらの構成成分の1つが胃で放出されず、むしろ腸で放出されるように胃腸管でのこれらの構成成分の1つの放出を制御することが可能である。有効成分の1つもまた、胃腸管の間の持続放出に影響し、合わされた有効成分間の物理的接触を最小化する働きを持つ物質でコーティングしてもよい。さらに、持続放出される構成成分をさらに腸溶性コーティングして、この構成成分の放出が腸のみで生じるようにすることが出来る。さらに、別の方法では、有効成分をさらに分離するために、一方の構成成分が持続および/または腸溶性放出ポリマーでコーティングされ、他方の構成成分もまた、ポリマー(例えば低粘度グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))または当該技術分野で知られる他の適当な物質でコーティングされているが組み合わせ製剤の処方物が包含されるあろう。ポリマーコーティングはもう一方の構成成分との相互作用に対する追加のバリアを形成するのに役立つ。
【0142】
単一の製剤形で投与されるか、または別々の形態で投与されるが同一の方法で同時に投与される、本発明の組み合わせ製剤の構成成分間の接触を最小化するこれらのならびに他の方法は、本願の開示を身につけた当業者に容易に明らかになるであろう。
【0143】
溶解性改良形態
アピキサバンの溶解性改良形態は、水性使用環境中で、結晶性アピキサバンの溶解度と比較して、約1.25倍以上だけ、少なくとも一時的に過飽和し得る任意の形態である。すなわち、溶解性改良形態は、使用環境中で、結晶性形態のアピキサバン単独によって提供される平衡薬物濃度の少なくとも1.25倍であるアピキサバンの最大溶解薬物濃度(MDC)を提供する。好ましくは、溶解性改良形態は、水溶液中のアピキサバンのMDCを、コントロール組成物と比較して、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、さらに好ましくは少なくとも5倍増大する。
【0144】
別法として、溶解性改良形態は、コントロール組成物により提供されるものの少なくとも1.25倍であり得る使用環境での薬物濃度対時間曲線下面積(「AUC」)を提供する。AUCは、薬物濃度対時間のプロットの積分である。使用環境がインビトロであるとき、AUCは、経時的に試験溶液中の薬物濃度をプロットすることにより、またはインビボ試験については経時的にインビボ使用環境(例えば動物の消化管)中の薬物濃度をプロットすることにより決定され得る。AUCの算出は医薬業界で周知の方法であり、例えばWelling, "Pharmacokinetics Processes and Mathematics," ACS Monograph 185 (1986)に記載される。より具体的には、使用環境において、アピキサバンの溶解性改良形態は、使用環境へ導入後約0分〜約270分の任意の90分間に、コントロール組成物の少なくとも1.25倍のAUCを提供する。コントロール組成物は通常、可溶化添加物を含まないアピキサバン単独の最低エネルギー結晶性形態である。コントロール組成物は、可溶化剤またはアピキサバンの溶解性に実質的に影響を及ぼすであろう他の構成成分を含まないと理解され、また、アピキサバンはコントロール組成物中に固体形態で存在すると理解される。コントロール組成物は通常、アピキサバン単独の最低エネルギーのまたは最も安定な結晶性形態であり、そうでなければ、以後本明細書中で「バルク結晶性形態」のアピキサバンと称される。好ましくは、溶解性改良形態によって提供されるAUCは、コントロール組成物の少なくとも2倍、より好ましくは3倍である。アピキサバンについて、溶解性改良形態は、上記のコントロールの少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、および250倍をも上回るAUC値を提供し得る。
【0145】
溶解性改良形態は、濃度増大用ポリマーまたは低分子量水溶性物質中のアピキサバンの固体非晶質分散物を含み得る。アピキサバンの固体非晶質分散物および濃度増大用ポリマー類は、例えば、同一出願人による米国特許第7,115,279号および米国特許第7,235,259(これらの記載は参照することにより、本明細書に組み込まれる)によって開示される。別法として、溶解性改良形態は、非晶質アピキサバンを含み得る。溶解性改良形態は、少量の界面活性剤またはポリマー類によって任意に安定化されたナノ粒子、すなわち直径約900nm未満の固体アピキサバン粒子を含み得、例えば米国特許第5,145,684号に記載される。溶解性改良形態は、架橋ポリマー中にアピキサバンの吸着物を含み得、例えば米国特許第5,225,192号に記載される。溶解性改良形態は、例えば米国特許第5,858,410号に記載されるように、ナノ懸濁液を含み得、そのナノ懸濁液は液体中固体または半固体中固体の分散系であって、その分散された相は純粋なアピキサバンまたはアピキサバン混合物を含み得る。溶解性改良形態は、過冷却形態にあるアピキサバンを含み得、例えば米国特許第6,197,349に記載される。溶解性改良形態は、アピキサバン/シクロデキストリン形態を含み得、例えば、米国特許第5,134,127号、第6,046,177号、第5,874,418号および第5,376,645号に記載されたものが挙げられる。溶解性改良形態は、軟質ゲル形態、例えば脂質またはコロイドタンパク質(例えばゼラチン)と混合されたアピキサバンを含み得、例えば、米国特許第5,851,275号、第5,834,022号および第5,686,133号に記載されたものが挙げられる。溶解性改良形態は、自己乳化形態を含み得、例えば米国特許第6,054,136号および第5,993,858号に記載されたものが挙げられる。溶解性改良形態は、三相薬物形態を含み得、例えば米国特許第6,042,847号に記載されたものを含む。上記の溶解性改良形態はまた、同一出願人による同時係属中米国特許出願公開2003−0072801(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されるように、濃度増大用ポリマーと混合され、改良溶解性増大を提供し得る。溶解性改良形態はまた、(1)高エネルギー結晶性形態のアピキサバン;(2)水和物または溶媒和物結晶性形態のアピキサバン;(3)非晶質形態のアピキサバン(非晶質または結晶として存在し得るアピキサバンについて);(4)アピキサバン(非晶質または結晶)および可溶化剤の混合物;または(5)水性液体または有機性液体中に溶解されたアピキサバンの溶液を含み得る。上記の溶解性改良形態は、米国特許出願公開2002−0006443(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されるように、濃度増大用ポリマーと混合されて、改良溶解性増大を提供し得る。溶解性改良形態はまた、米国特許出願公開2009−0011024(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されるように、(a)アピキサバンおよびマトリックスを含み、分散物中のアピキサバンの少なくとも大部分は非晶質である固体分散物;および(b)濃度増大用ポリマー含み得る。溶解性改良形態はまた、支持体上に吸着された低溶解性アピキサバンを含む固体吸着物を含み、その支持体は少なくとも20m/gの表面積を有し、その固体吸着物中にあるアピキサバンの少なくとも大部分は非晶質でありうる。固体吸着物は任意に、濃度増大用ポリマーを含み得る。固体吸着物はまた、濃度増大用ポリマーと混合され得る。このような固体吸着物は、米国特許出願公開2003−0054037(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示される。溶解性改良形態はまた、同一出願人による同時係属中米国特許第6,962,931(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されたタイプの脂質ビヒクル中に処方されたアピキサバンを含み得る。
【0146】
水性使用環境は、インビボ環境(例えば動物、とりわけヒトの消化管)、または試験溶液のインビトロ環境、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液または絶食時十二指腸モデル(MFD)溶液であり得る。
【0147】
本発明の製剤形に用いられるアピキサバンの溶解性改良形態は、インビトロ溶解試験において、溶解したアピキサバンの濃度増大を提供する。MFD溶液でのインビトロ溶解試験における薬物濃度増大はインビボパフォーマンスおよびバイオアベイラビリティーの良好な指標であるされている。下記の溶解性改良/薬物濃度増大インビトロ試験は、上述の(インビトロ製剤形溶解試験)とは対比して提供される。MFD溶液は20mM NaHPO、47mM KHPO、87mM NaCl、および0.2mM KClからなる水溶液(NaOHでpH6.5に調整)で、7.3mMタウロコール酸ナトリウムおよび1.4mMの1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンも含む。具体的には、アピキサバンの溶解性改良形態は、それをMFD溶液に加え、溶解を促進するために攪拌することによって、溶解試験をされ得る。
【0148】
下記のインビトロ試験を用いて、組成物がアピキサバンの溶解性改良形態であるかどうかを決定する。結晶性アピキサバン単独の試料を撹拌しながら十分量のMFD溶液にアピキサバンが平衡濃度に達するまで添加する。別の試験においては、全てのアピキサバンが溶解した場合に、アピキサバンの理論濃度がアピキサバンの平衡濃度を少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍超えるように、試験組成物(例えばアピキサバンの溶解性改良形態)の試料をMFD溶液に加える。ついで、試験溶媒中の試験組成物の測定MDCおよび/または水性AUCを、コントロール組成物の平衡濃度、および/または水性AUCと比較する。このような溶解試験の実施においては、使用される試験組成物またはコントロール組成物の量は、全てのアピキサバンが溶解したとき、アピキサバン濃度が平衡濃度の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも100倍となる量である。
【0149】
溶解したアピキサバンの濃度は典型的には、試験溶媒をサンプリングし、MDCを確認することが出来るように試験溶媒中のアピキサバン濃度対時間をプロットすることによって、時間に応じて測定される。MDCは、試験期間中にわたって測定された溶解アピキサバンの最大値であるとされる。水性使用環境へ組成物の導入の時間(時間=0)と使用環境への導入後270分(時間=270分)の間の任意の90分間にわたる濃度対時間曲線を積分することによって、水性AUCは算出される。典型的には、組成物が迅速に、例えば約30分未満で、そのMDCに到達する場合、AUCを算出するために使用される時間間隔は時間ゼロ〜時間90分である。しかしながら、上記の任意の90分の時間にわたる組成物のAUCが本発明の基準に適合する場合、形成された組成物は本発明の範囲内であるとみなされる。
【0150】
誤った判断を呈しうる大きいアピキサバン粒子を避けるために、試験溶液をろ過または遠心分離する。「溶解薬物」とは典型的には、0.45μmシリンジフィルターを通過する物質であるか、あるいは遠心分離後に上澄み液に残っている物質とみなされる。ろ過は、商標TITAN(登録商標)のもと、Scientific Resourcesによって販売される13mm、0.45μm二フッ化ポリビニリデンシリンジフィルターを用いて行われうる。遠心分離は典型的には、ポリプロピレン微小遠心管中、13,000Gで60秒間遠心分離することによって、行われうる。他の同様のろ過または遠心分離法が用いることができ、有用な結果が得られる。例えば、他のタイプの微小フィルターの使用は、上記のフィルターで得られるものよりいくぶん高いかまたは低い(±10〜40%)値を生じ得るが、好ましい分散物の同定は依然可能である。
【0151】
別法として、アピキサバンの溶解性改良形態は、ヒトまたは他の動物に経口投与されるとき、同量のバルク結晶性形態のアピキサバンからなるコントロール組成物が投与されたときに観察される値の少なくとも約1.25倍、好ましくは少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約3倍、好ましくは少なくとも約4倍、好ましくは少なくとも約6倍、好ましくは少なくとも約10倍、およびさらにより好ましくは少なくとも約20倍である血中(血清または血漿)アピキサバン濃度のAUCを提供する。このような組成物は、コントロール組成物の約1.25倍〜約20倍の相対的バイオアベイラビリティーを有するとも言えることに留意される。
【0152】
アピキサバンの溶解性改良形態の相対的バイオアベイラビリティーは、このような判断をするための従来の方法を用いて、動物またはヒトにおいてインビボで試験され得る。インビボ試験、例えば交差研究は、アピキサバンの溶解性改良形態の組成物が、上記のコントロール組成物と比較して、増大した相対的バイオアベイラビリティーを提供するかを決定するために、使用されうる。インビボ交差研究においては、アピキサバンの溶解性改良形態の試験組成物を試験対象群の半分に投与し、適切な洗浄(washout)期間(例えば1週間)後、その対象に、試験組成物と同量の結晶性アピキサバンからなるコントロール組成物を投与する。試験対象群の残り半分には、最初にコントロール組成物を投与し、試験組成物が続く。相対的バイオアベイラビリティーは、試験群について測定された血中(血清または血漿)濃度対時間曲線下面積(AUC)を、コントロール組成物により提供された血中AUCで割ったものとして測定される。好ましくは、この試験/コントロール比は各対象について決定され、ついで、その比を、該試験における全ての対象全体で平均化する。AUCのインビボ決定は、横座標(x軸)の時間に対して縦座標(y軸)の薬物の血清または血漿濃度をプロットすることによって行われうる。投与を促進するために、投与ビヒクルを用いて、投与量を投与しうる。投与ビヒクルは好ましくは水であるが、試験またはコントロール組成物を懸濁するための物質も含有し得、ただし、これらの物質は組成物を溶解せず、インビボでの薬物溶解性も変えない。
【0153】
アピキサバンの固体非晶質分散物
1つの実施形態において、アピキサバンの溶解性改良形態は、アピキサバンおよび濃度増大用ポリマーの固体非晶質分散物を含む。固体非晶質分散物とは、アピキサバンの少なくとも一部分が非晶質形態であってポリマー中に分散されている固体物質を意味する。好ましくは、固体非晶質分散物のアピキサバンの少なくとも大部分は、非晶質である。「非晶質」とは、単にアピキサバンが非結晶性状態であることを意味する。本明細書において、アピキサバンの「大部分」という用語は、固体非晶質分散物中の薬物の少なくとも60重量%が、結晶性形態よりはむしろ、非晶質形態であることを意味する。好ましくは固体非晶質分散物中のアピキサバンは、実質的に非晶質である。本明細書において、「実質的に非晶質」とは、結晶性形態のアピキサバンの量が約25重量%を超えないことを意味する。固体非晶質分散物中のアピキサバンは、結晶性形態のアピキサバンの量が約10重量%を超えないことを意味する「ほとんど完全に非晶質」であることがより好ましい。結晶性アピキサバンの量は、粉末X線回析(PXRD)、走査型電子顕微鏡(SEM)分析、示差走査熱量測定(DSC)、または他の標準的な定量的測定法により測定され得る。
【0154】
固体非晶質分散物は、アピキサバンの投与量および濃度増大用ポリマーの有効性に依存して、約1〜約80重量%のアピキサバンを含有し得る。水性アピキサバン濃度および相対的バイオアベイラビリティーの増大は、典型的には低アピキサバン濃度で、典型的には約25〜約40重量%未満で、最も良い。しかしながら、製剤形サイズの実用的な制限のため、より高いアピキサバン濃度が好ましく、それは多くの場合良好に機能しうる。
【0155】
ポリマー中に均一に分配された薬物の固溶体として、またはこれらの状態の組み合わせ、またはそれらの間に中間体が存在するそれらの状態で、非晶質アピキサバンは相対的に純粋な非晶質薬物ドメインまたは領域の固体非晶質分散物内に存在し得る。固体非晶質分散物は好ましくは、非晶質アピキサバンがポリマー中にできるだけ均一に分散されるように実質的に均一である。本明細書において、「実質的に均一な」とは、固体非晶質分散物内の相対的に純粋な非晶質薬物ドメインまたは領域に含まれるアピキサバンの割合が相対的に小さく、薬物の総量の20重量%未満、好ましくは10重量%未満のオーダーであることを意味する。実質的に均一である固体非晶質分散物は一般に、非均一性分散物と比較してより物理的に安定であり、濃度増大特性の改善、続いて、バイオアベイラビリティー改善を有する。
【0156】
アピキサバンとポリマーとが、十分に離れた(約20℃より大きい)ガラス転移温度を有する場合、固体非晶質分散物内の相対的に純粋な非晶質薬物ドメインまたは領域に存在する薬物の割合は、固体非晶質分散物のガラス転移温度(Tg)を調べることにより決定され得る。本明細書において、Tgは、ガラス状物質が、徐々に加熱したとき、比較的急速(例えば10〜100秒で)なガラス状態からゴム状態への物理学的変化を受ける、特徴的な温度である。非晶質物質、例えばポリマー、薬物または分散物のTgは、いくつかの方法により測定することができ、例えば動的機械的分析器(DMA)、膨張計、誘電分析器、およびDSCにより測定され得る。各方法により測定された正確な値は、幾分変わりうるが、通常は互いの10℃〜30℃内である。固体非晶質分散物が単一のTgを示すとき、固体非晶質分散物中の純粋な非晶質薬物ドメインまたは領域のアピキサバンの量は一般的に約10重量%未満であり、固体非晶質分散物が実質的に均一であることを裏付ける。このことは、一般的に2つの異なるTg(1つは薬物の、もう1つはポリマーの)を示す純粋な非晶質薬物粒子および純粋な非晶質ポリマー粒子の単純な物理的混合物とは対照的である。2つの異なるTg(1つは薬物のTgに近いもの、もう1つは残りの薬物/ポリマー分散物のTg)を示す固体非晶質分散物に関しては、薬物の少なくとも一部分が相対的に純粋な非晶質ドメイン中に存在する。相対的に純粋な非晶質薬物のドメインまたは領域中に含まれるアピキサバンの量は、実質的に均一な分散物のキャリブレーション標準をまず調製し、固体非晶質分散物のTg対分散物中の薬物量を決定することにより、決定されうる。これらのキャリブレーションデータおよび薬物/ポリマー分散物のTgから、相対的に純粋な非晶質薬物ドメインまたは領域のアピキサバンの割合が決定され得る。別法として、相対的に純粋な非晶質薬物ドメインまたは領域中に存在するアピキサバンの量は、薬物Tgの近くの転移のための熱容量の大きさを、非晶質薬物およびポリマーの物理的混合物から本質的になる較正標準と比較することにより、決定され得る。いずれかにせよ、固体非晶質分散物内の相対的に純粋な非晶質薬物ドメインまたは領域に存在するアピキサバンの割合がアピキサバンの総量の20重量%未満、好ましくは10重量%未満であるとき、固体非晶質分散物は実質的に均一であるとみなされる。
【0157】
濃度増大用ポリマー
本発明の組成物に使用するのに適する濃度増大用ポリマーは、それらが不利な様式でアピキサバンと化学的に反応せず、医薬的に許容でき、および生理的に適切なpH(例えば1〜8)の水溶液中で少なくともいくらかの溶解性を有するという意味で、不活性である。ポリマーは中性またはイオン性であり得、1〜8のpH範囲の少なくとも一部分で、少なくとも0.1mg/mLの水溶解性を有する。
【0158】
本発明の使用に適する濃度増大用ポリマーは、セルロース系または非セルロース系であり得る。ポリマーは、水溶液中で中性またはイオン性であり得る。これらの、イオン性およびセルロース系ポリマー類が好ましく、イオン性セルロース系ポリマーがさらに好ましい。
【0159】
ポリマー類の好ましいクラスは、本質的に「両親媒性」であるポリマー類を含み、これはポリマーが疎水性および親水性部分を有することを意味する。疎水性部分は、脂肪族または芳香族炭化水素基のような基を含み得る。親水性部分は、水素結合することが出来るイオン性または非イオン性基、例えばヒドロキシル、カルボン酸、エステル、アミンまたはアミドを含み得る。
【0160】
両親媒性および/またはイオン性ポリマー類が好ましい。なぜなら、当該ポリマー類はアピキサバンと相対的に強い相互作用を有する傾向があり、上記のような使用環境においてさまざまなの種類のポリマー/薬物アセンブリーの形成を促し得ると考えられるためである。加えて、このようなポリマー類のイオン化基の同様の電荷の反発力は、ナノメートルまたはサブミクロンのスケールにポリマー/薬物アセンブリーのサイズを制限するのに役立ち得る。例えば、特定の理論に結び付けることを望まないが、該ポリマー/薬物アセンブリーは、アピキサバンに向かって内側に向いたポリマーの疎水性領域と、水性環境に向かって外側に向いたポリマーの親水性領域とを有するポリマーで取り囲まれた、疎水性アピキサバンクラスターを含み得る。別法として、アピキサバンの特有の化学的性質に依存して、ポリマーのイオン化官能基は、例えばイオン対形成または水素結合を介してアピキサバンのイオン性または極性基と会合し得る。イオン性ポリマー類の場合、ポリマーの親水性領域はイオン化官能基を含むであろう。溶液中の該ポリマー/薬物アセンブリーは、荷電高分子ミセル様構造と非常に類似している。どのような場合でも、作用メカニズムにかかわらず、該両親媒性ポリマー類とりわけイオン性セルロース系ポリマー類は、当該ポリマー類を含まないコントロール組成物と比較して、水溶液中のアピキサバンのMDCおよび/またはAUCを改善することが示されている(同一出願人による米国特許出願第09/918,127号(2001年7月31日出願)に記載(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる))。
【0161】
驚くべきことに、該両親媒性ポリマー類は、アピキサバンが使用環境に投与された場合に得られるアピキサバンの最大濃度を大きく増大し得る。加えて、該両親媒性ポリマー類は、アピキサバンと相互作用して、その濃度が実質的にその平衡濃度を超えるにもかかわらず、溶液からのアピキサバンの沈殿または結晶化を防止する。具体的には、好ましい組成物がアピキサバンおよび濃度増大用ポリマーの固体非晶質分散物であるとき、とりわけ、該分散物が実質的に均一である場合、組成物は、薬物濃度の大きな増大を提供する。最大薬物濃度は、結晶性アピキサバンの平衡濃度の10倍であり得、しばしば50倍を上回る。このようなアピキサバン濃度増大は、続いて、アピキサバンの相対的バイオアベイラビリティーの実質的な増大につながる。
【0162】
本発明に使用するのに適したポリマー類の1つのクラスは、中性非セルロース系ポリマー系を含む。例示的ポリマー類として:ヒドロキシル、アルキルアシルオキシまたは環状アミドの置換基を有するビニルポリマー類および共重合体類;非加水分解(ビニルアセテート)形態にそれらの繰り返し単位の少なくとも一部分を有するポリビニルアルコール類;ポリビニルアルコールポリビニルアセテート共重合体類;ポリビニルピロリドン;
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体類(ポロキサマーとしても知られる);および、ポリエチレンポリビニルアルコール共重合体類;が挙げられる。
【0163】
本発明に使用するのに適するポリマー類の別のクラスは、イオン性非セルロース系ポリマー類を含む。典型的なポリマーとして:カルボン酸官能化ビニルポリマー類、例えばカルボン酸官能化ポリメタクリレート類およびカルボン酸官能化ポリアクリレート類、例えばEUDRAGITS(登録商標)(Rohm Tech Inc. 製, Malden, Massachusetts);アミン官能化ポリアクリレート類およびアミン官能化ポリメタクリレート類;タンパク質;およびにカルボン酸官能化デンプン類、例えばデンプングリコール酸;が挙げられる。
【0164】
両親媒性である非セルロース系ポリマー類は、相対的親水性および相対的疎水性モノマーの共重合体類である。例としては、アクリレートおよびメタクリレート共重合体類、ならびにポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体類が挙げられる。該共重合体の典型的な商用グレードは、EUDRAGITS(メタクリレートおよびアクリレートの共重合体である)、およびPLURONICS(BASFにより供給される、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体類である)が挙げられる。
【0165】
ポリマー類の好ましいクラスは、少なくとも1つのエステル−および/またはエーテル結合置換基を有するイオン性および中性セルロース系ポリマーを含み、そのポリマーは各置換基について少なくとも0.1の置換度を有する。
【0166】
本明細書中で用いられるポリマー命名法においては、エーテル結合置換基は、エーテル基に結合される部分として「セルロース」の前に記載され;例えば「エチル安息香酸セルロース」は、エトキシ安息香酸置換基を有することに留意される。同様に、エステル結合置換基は、カルボキシレートとして「セルロース」の後に記載され;例えば「セルロースフタレート」は、ポリマーにエステル結合された各フタレート部分の1つのカルボン酸を有し、残りは未反応のカルボン酸である。
【0167】
ポリマー名、例えば「酢酸フタル酸セルロース」(CAP)は、エステル結合を介してセルロース系ポリマー類のヒドロキシル基の有意な割合に結合されるアセテート基およびフタレート基を有するセルロース系ポリマー類のファミリーのいずれかを意味することに留意される。一般に、各置換基の置換度は、ポリマーの他のクライテリアに適合する限り、0.1〜2.9の範囲であり得る。「置換度」とは、置換されたセルロース鎖上のサッカライド繰り返し単位当たりの3つのヒドロキシルの平均数を意味する。例えば、セルロース鎖上のヒドロキシルが全てフタレート置換される時、フタレート置換度は3である。また、比較的に少量でポリマーの性能を実質的に変えないで付加される追加の置換基を有するセルロース系ポリマー類は、各ポリマーファミリータイプ内に含まれる。
【0168】
両親媒性セルロース系類は、その親セルロース系ポリマーが各サッカライド繰り返し単位上に存在する3つのヒドロキシル基のいずれかまたは全てが少なくとも1つの相対的疎水性置換基で置換されているポリマー類を含む。疎水性置換基は本質的には、十分なレベルまたは置換度に置換されるとき、セルロース系ポリマーを本質的に水不溶性にしうる、任意の置換基であり得る。疎水性置換基の例として、エーテル結合アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル等);または、エステル結合アルキル基(例えばアセテート、プロピオネート、ブチレート等);および、エーテルおよび/またはエステル結合アリール基(例えばフェニル、ベンゾエートまたはフェニレート)が挙げられる。ポリマーの親水性領域は、相対的に非置換である部分(非置換ヒドロキシル自体が相対的に親水性であるため)、または親水性置換基で置換された領域であり得る。親水性置換基として、エーテル結合またはエステル結合非イオン性基、例えばヒドロキシアルキル置換基ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびアルキルエーテル基、例えばエトキシエトキシまたはメトキシエトキシが挙げられる。とりわけ好ましい親水性置換基は、エーテル結合またはエステル結合イオン性基、例えばカルボン酸類、チオカルボン酸類、置換フェノキシ基類、アミン類、ホスフェート類またはスルホネート類である。
【0169】
セルロース系ポリマー類の1つクラスは中性ポリマー類を含み、これはそのポリマー類が実質的に水溶液中で非イオン性であることを意味する。当該ポリマー類は非イオン性置換基を含有し、エーテル結合またはエステル結合され得る。典型的なエーテル結合非イオン性置換基として:アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル等;ヒドロキシアルキル基、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル等;およびアリール基、例えばフェニル;が挙げられる。典型的なエステル結合非イオン性置換基として:アルキル基、例えばアセテート、プロピオネート、ブチレート等;およびアリール基、例えばフェニレートが挙げられる。しかしながら、アリール基が含まれる場合、ポリマーが1〜8の生理的に適切なpHで少なくとも幾分かの水溶解性を有するよう、ポリマーは十分量の親水性置換基を含む必要がありうる。
【0170】
ポリマーとして使用されうる典型的な非イオン性ポリマー類として:酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシエチルエチルセルロース;が挙げられる。
【0171】
中性セルロース系ポリマー類の好ましいセットは、両親媒性であるものである。典型的なポリマー類として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酢酸ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられ、このとき、非置換ヒドロキシルまたはヒドロキシプロピル置換基と比較して相対的に多数のメチルまたはアセテート置換基を有するセルロース繰り返し単位は、ポリマー上の他の繰り返し単位と比較して疎水性領域を構成する。本発明の固体非晶質分散物中に使用するのに適する中性ポリマー類は、同一出願人による係属中米国特許出願第10/175,132号(2002年6月18日出願、その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)により詳しく開示される。
【0172】
セルロース系ポリマーの好ましいクラスは、生理的に適切なpHで少なくとも部分的にイオン性であり、少なくとも1つのイオン性置換基を含むポリマーであって、エーテル結合またはエステル結合され得るものを含む。典型的なエーテル結合イオン性置換基として:カルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸、サリチル酸、アルコキシ安息香酸、例えばエトキシ安息香酸またはプロポキシ安息香酸、アルコキシフタル酸の種々の異性体、例えばエトキシフタル酸およびエトキシイソフタル酸、アルコキシニコチン酸の種々の異性体、例えばエトキシニコチン酸、および、ピコリン酸の種々の異性体、例えばエトキシピコリン酸等;チオカルボン酸、例えばチオ酢酸;置換フェノキシ基、例えばヒドロキシフェノキシ等;アミン、例えばアミノエトキシ、ジエチルアミノエトキシ、トリメチルアミノエトキシ等;ホスフェート、例えばホスフェートエトキシ;ならびにスルホネート、例えばスルホネートエトキシが挙げられる。典型的なエステル結合イオン性置換基として:カルボン酸、例えばスクシネート、シトレート、フタレート、テレフタレート、イソフタレート、トリメリテート、およびピリジン二カルボン酸の種々の異性体等;チオカルボン酸、例えばチオスクシネート;置換フェノキシ基、例えばアミノサリチル酸;アミン、例えば天然または合成アミノ酸、例えばアラニンまたはフェニルアラニン;ホスフェート、例えばリン酸アセチル;およびスルホネート、例えばスルホン酸アセチル;が挙げられる。必要な水性溶解性を有する芳香族置換ポリマーとしては、十分な親水性基、例えばヒドロキシプロピルまたはカルボン酸官能基がポリマーに結合して、そのポリマーを少なくともイオン性基がイオン化されるpHで水溶性することが望ましい。場合によっては、芳香族基自体がイオン性であり得、例えばフタレートまたはトリメリテート置換基であり得る。
【0173】
生理的に適切なpHで少なくとも部分的にイオン化される典型的なセルロース系ポリマーとして:酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース、コハク酸ヒドロキシエチルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシエチルメチルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸メチルセルロース、酢酸フタル酸エチルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸コハク酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酪酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、酢酸トリメリト酸メチルセルロース、酢酸トリメリト酸エチルセルロース、酢酸トリメリト酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸トリメリト酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸トリメリト酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース、プロピオン酸トリメリト酸セルロース、酪酸トリメリト酸セルロース、酢酸テレフタル酸セルロース、酢酸イソフタル酸セルロース、酢酸ピリジン二カルボン酸セルロース、酢酸サリチル酸セルロース、酢酸ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロース、酢酸エチル安息香酸セルロース、酢酸ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロース、酢酸エチルフタル酸セルロース、酢酸エチルニコチン酸セルロースおよび酢酸エチルピコリン酸セルロース;が挙げられる。
【0174】
両親媒性の定義に適合し、親水性および疎水性領域を有する、典型的なセルロース系ポリマー類としては、酢酸フタル酸セルロースおよび酢酸トリメリト酸セルロースのようなポリマー類が挙げられ、ここで、1つ以上のアセテート置換基を有するそのセルロース繰り返し単位は、アセテート置換基を有さないかまたは1つ以上のイオン化フタレートまたはトリメリテート置換基を有するものと比較して、疎水性である。
【0175】
セルロース系イオン性ポリマー類のとりわけ望ましいサブセットは、カルボン酸官能性芳香族置換基およびアルキレート置換基を両方有し、従って両親媒性であるものである。典型的なポリマー類として、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸メチルセルロース、酢酸フタル酸エチルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酪酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、酢酸トリメリト酸メチルセルロース、酢酸トリメリト酸エチルセルロース、酢酸トリメリト酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸トリメリト酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸トリメリト酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース、プロピオン酸トリメリト酸セルロース、酪酸トリメリト酸セルロース、酢酸テレフタル酸セルロース、酢酸イソフタル酸セルロース、酢酸ピリジン二カルボン酸セルロース、酢酸サリチル酸セルロース、酢酸ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロース、酢酸エチル安息香酸セルロース、酢酸ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロース、酢酸エチルフタル酸セルロース、酢酸エチルニコチン酸セルロースおよび酢酸エチルピコリン酸セルロースが挙げられる。
【0176】
セルロース系イオン性ポリマー類の別のとりわけ望ましいサブセットは、非芳香族カルボキシレート置換基を有するものである。典型的なポリマー類として、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシエチルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシエチルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルエチルセルロースが挙げられる。
【0177】
上記のとおり幅広いポリマー類を使用してアピキサバンの分散物を形成し得るが、相対的疎水性ポリマー類は、高いMDCおよびAUC値によって示される最良のパフォーマンスを示した。具体的には、それらの非イオン化状態で水不溶性であるが、それらのイオン化状態では水溶性であるセルロース系ポリマー類が、とりわけ良好に機能する。当該ポリマー類の特定のサブクラスは、いわゆる「腸溶性」ポリマー類であり、例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酢酸トリメリト酸セルロースの特定のグレードが挙げられる。当該ポリマー類から形成される分散物は一般に、溶液試験で達成される最大薬物濃度が非常に大きな増大を示し、結晶薬物コントロールのものと比較して、50倍〜1000倍のオーダーで増大する。加えて、非腸溶性グレードの当該ポリマー類ならびに密接に関連するセルロース系ポリマー類は、アピキサバンクラス内の物理的特性における類似性に起因して、良好に機能することが予測される。
【0178】
従って、特に好ましいポリマー類は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、酢酸フタル酸メチルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸テレフタル酸セルロース、酢酸イソフタル酸セルロース、およびカルボキシメチルエチルセルロースである。最も好ましいイオン性セルロース系ポリマーは、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、およびカルボキシメチルエチルセルロースである。
【0179】
本発明の分散物を形成するのにとりわけ有効なポリマーは、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)である。アピキサバンおよびCMECで形成される分散物は典型的には、高い相対湿度で高いガラス転移温度を有し、これはCMECの高いガラス転移温度に起因する。上記のとおり、このような高いTgは、優れた物理安定性を有する固体非晶質分散物をもたらす。加えて、CMEC上の置換基の全てがエーテル結合を介してセルロース骨格に結合するため、CMECは優れた化学的安定性を有する。さらに、商用グレードのCMEC、例えばFreund Industrial Company, Limited (東京、日本)により提供されるものは両親媒性であり、高度に濃度の増大を導く。最終的に疎水性アピキサバンはしばしばCMEC中で高い溶解性を持ち、高薬物量の物理学的に安定な分散物の形成が可能となる。
【0180】
アピキサバンと使用するのにとりわけ有効な濃度増大用ポリマーは、HPMCASである。HPMCAS−HGがより好ましい。HPMCAS−HGグレード(AQOAT−HG)(Shin Etsu製、東京、日本)(「G」は粒状を意味する)はpH約6.8までの腸溶性保護を提供する。
【0181】
具体的なポリマー類が本発明の組成物での使用に適していることが記載されているが、当該ポリマー類の混合物もまた適している。従って、用語「ポリマー」は、単一種類のポリマーに加えて、ポリマー類の混合物を含むことが意図される。
【0182】
最良のパフォーマンスを得るために、とりわけ使用前の長期間の保存において、アピキサバンは可能な限り、非晶質状態のままであることが好ましい。このことは、非晶質アピキサバン物質のガラス転移温度Tgが実質的に組成物の貯蔵温度を超える場合に、最も良く達成される。具体的には、非晶質状態のアピキサバンのTgは少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃であることが好ましい。しかしながら、これは常に当てはまるわけではない。例えば、非晶質アピキサバンのTgは約30℃である。組成物が固体であり、濃度増大用ポリマー中のアピキサバンの実質的に非晶質の分散物である本発明の態様については、濃度増大用ポリマーは、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも70℃、より好ましくは100℃より高いTgを有することが好ましい。典型的な高Tgのポリマーとして、HPMCAS、HPMCP、CAP、CAT、CMEC、およびアルキレートまたは芳香族置換基またはアルキレートおよび芳香族置換基の両方を有する他のセルロース系類が挙げられる。
【0183】
ポリマー類の別の好ましいクラスは、中和された酸性ポリマー類で構成される。「中和された酸性ポリマー」とは、かなりの割合の「酸性部分」または「酸性置換基」が「中和され」ており;すなわちそれらの脱プロトン化形態で存在する任意の酸性ポリマーを意味する。「酸性ポリマー」とは、有意な数の酸性部分を有する任意のポリマーを意味する。概して、酸性部分の有意な数は、ポリマー1g当たり約0.1ミリ当量以上の酸性部分である。「酸性部分」には、十分に酸性で、水と接触するかまたは水中に溶解されると、少なくとも部分的に水素陽イオンを水に供与して、その結果水素イオン濃度を増大しうる任意の官能基が含まれる。この定義には、官能基が約10未満のpKaを有するポリマーに共有結合するとき、それが称されるように、任意の官能基または「置換基」が含まれる。上記の説明に含まれる官能基の典型的なクラスとして、カルボン酸、チオカルボン酸、フタレート、フェノール基およびスルホネートが挙げられる。当該官能基は、ポリアクリル酸についてのようなポリマーの一次構造を作りうるが、しかしより一般的には、親ポリマーの骨格に共有結合し、結果「置換基」と称される。中和された酸性ポリマーは、同一出願人による同時継続の米国特許出願第10/175,566号(“Pharmaceutical Compositions of Drugs and Neutralized Acidic Polymers”)(2002年6月17日出願、これらの記載は参照することにより、本明細書に組み込まれる)にさらに詳しく記載される。
【0184】
加えて、上記の好ましいポリマー類、すなわち両親媒性セルロース系ポリマー類は、本発明の他のポリマーと比較してより大きな濃度増大特性を有する傾向がある。一般に、イオン性置換基を有するそれらの濃度増大用ポリマー類は、もっとも良好に機能する傾向がある。当該ポリマー類の組成物のインビトロ試験では、本発明の他のポリマー類の組成物よりもより高いMDCおよびAUC値を有する傾向がある。
【0185】
分散物の調製
少なくとも大部分(少なくとも70%)が非晶質状態であるアピキサバンをもたらす、固体非晶質分散物を形成するための従来の方法に従って、アピキサバンおよびの濃度増大用ポリマーの固体非晶質分散物を製造し得る。当該製法には、機械的、熱的および溶媒的製法が挙げられる。典型的な機械的製法として粉砕および押し出し成形が挙げられ;融解製法として高温融合、溶媒改変融合、および融解凝固製法が挙げられ;および溶媒的製法として非溶媒沈澱、スプレーコーティングおよび噴霧乾燥が挙げられる。例えば、以下の米国特許(これらは引用することにより本明細書に組み込まれる)を参照:米国特許第5,456,923号および第5,939,099号(押し出し成形による分散物の形成を記載する);米国特許第5,340,591号および第4,673,564号(粉砕法による分散物の形成を記載する);および米国特許第5,707,646号および第4,894,235号(融解凝固製法による分散物の形成を記載)。
【0186】
1つの実施形態において、固体非晶質分散物は、共通溶媒中のアピキサバンおよび1つ以上のポリマー類の溶解から構成される「溶媒処理」によって形成される。ここで「共通」とは、溶媒、化合物の混合物であり得る、が、アピキサバンおよびポリマーの両方を溶解することを意味する。アピキサバンおよびポリマーの両方が溶解した後、蒸発または非溶媒との混合により、溶媒を迅速に除去する。典型的な方法は、噴霧乾燥、スプレーコーティング(パンコーティング、流動床コーティング等)、およびポリマーおよびアピキサバン溶液とCO、水または他の非溶媒とを急速に混合することによる沈殿である。好ましくは、溶媒の除去は、実質的に均一な固体非晶質分散物の形成を生じる。当該分散物において、アピキサバンはポリマー全体にできるだけ均一に分散され、ポリマー中に分散されたアピキサバンの固溶体と考えられうるが、ここで、固体非晶質分散物は熱力学的に安定であり、このことは、ポリマー中のアピキサバンの濃度がその平衡値であるかまたはそれより低いことを意味するか、または、それは濃度増大用ポリマー中のアピキサバン濃度がその平衡値より高い過飽和固溶体であるとみなされ得る。
【0187】
溶媒は、噴霧乾燥により除去され得る。用語「噴霧乾燥」は、従来から使用されており、小滴へ液体混合物をバラバラにし(霧化)、および小滴から溶媒を蒸発させるための強力な推進力がある噴霧乾燥装置中で混合物から溶媒を迅速に除去することを伴う方法を広く意味する。噴霧乾燥法および噴霧乾燥装置は、Perry's Chemical Engineers' Handbook, pages 20-54 to 20-57 (Sixth Edition 1984)に一般的に記載されている。噴霧乾燥法および装置に関しては、Marshall, "Atomization and Spray-Drying," 50 Chem. Eng. Prog. Monogr. Series 2 (1954), and Masters, Spray Drying Handbook (Fourth Edition 1985)にさらに詳細が記載されている。溶媒蒸発用の強力な推進力は一般に、乾燥する小滴の温度の溶媒の蒸気圧よりも噴霧乾燥装置中の溶媒の分圧を十分に低く維持することによって提供される。これは、(1)噴霧乾燥装置中の圧力を不完全真空(例えば0.01〜0.50atm)に維持し;または(2)液体小滴を加温乾燥ガスと混合し;または(3)(1)および(2)の両方によって達成される。加えて、溶媒の蒸発のために必要とされる熱の少なくとも一部は、噴霧溶液を加熱することにより提供され得る。
【0188】
噴霧乾燥に適する溶媒は、アピキサバンおよびポリマーが互いに可溶である任意の有機化合物であり得る。好ましくは、溶媒はまた、揮発性であり、150℃以下の沸点を有する。加えて、溶媒は、相対的に低毒性であり、および「The International Committee on Harmonization(ICH)のガイドライン」で許容されるレベルにまで固体非晶質分散物から除去される。このレベルへの溶媒の除去は、その後に続く処理工程、例えばトレー乾燥を必要としうる。好ましい溶媒として、アルコール(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールおよびブタノール);ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン);エステル(例えばエチルアセテートおよびプロピルアセテート);およびさまざまな他の溶媒(例えばアセトニトリル、塩化メチレン、トルエンおよび1,1,1−トリクロロエタン)が挙げられる。低揮発性の溶媒(例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルスルホキシド)もまた、使用されうる。溶媒の混合物(例えば50%メタノールおよび50%アセトン)もまた、ポリマーおよびアピキサバンが噴霧乾燥法を実施可能とするのに十分に可溶である限り、水との混合物のように用いられ得る。一般に、アピキサバンの低い溶解性に起因して非水性溶媒が好ましく、これは溶媒が約10重量%未満の水を含むことを意味する。
【0189】
溶媒を有する供給物、これはアピキサバンおよび濃度増大用ポリマーを含む、は、さまざまな条件下で噴霧乾燥され、依然として許容可能な特性を有する分散物を産生しうる。例えば、さまざまなタイプのノズルを噴霧溶液を霧化するために使用することができ、その結果、噴霧溶液を小小滴の集まりとして噴霧乾燥チャンバー中に導入することができる。生成される小滴が、噴霧乾燥チャンバー壁にくっつかず被覆しないよう十分に乾燥(溶媒の蒸発のため)し、十分に小さく生成される限り、本質的にいずれの種類のノズルも溶液を噴霧するために使用しうる。
【0190】
最大小滴サイズは、噴霧乾燥機内でのサイズ、形状およびフローパターンに応じて、広範に変動するが、小滴は一般に、ノズルを出る時、直径約500μm未満である。固体非晶質分散物を形成するために用いられ得るノズルの例には、二液ノズル、噴水型ノズル、フラットファン型ノズル、圧力ノズルおよび回転アトマイザーが挙げられる。好ましい実施形態において、米国特許出願公開第2003−085893号(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に詳細に開示されるように、圧力ノズルを使用する。
【0191】
噴霧溶液は、広範囲の温度および流速で、噴霧ノズルに送達され得る。一般に、噴霧溶液温度は、溶媒の凝固点の直ぐ上から、その周囲圧沸点(溶液を加圧することによる)を超える約20℃高い温度までいずれかの範囲であり、それより高い場合もあり得る。噴霧ノズルへの噴霧溶液の流量は、ノズルのタイプ、噴霧乾燥機サイズおよび噴霧乾燥条件(例えば流入口温度および乾燥ガスの流速)に依存して、さまざまに変わり得る。一般に、噴霧乾燥法における噴霧溶液から溶媒を蒸発させるためのエネルギーは、主として、乾燥ガスに由来する。
【0192】
乾燥ガスは、原則として、本質的に任意の気体であり得るが、安全上の理由のため、および固体非晶質分散物中のアピキサバンまたは他の物質の望ましくない酸化を最小限にするために、不活性ガス、例えば窒素、窒素を多く含む空気またはアルゴンが利用される。乾燥ガスは、典型的には、約60℃〜約300℃、好ましくは約80℃〜約240℃の温度で乾燥チャンバー中に導入される。
【0193】
小滴の大きな表面対体積比および溶媒を蒸発させるための大きな推進力よって、小滴の急速な固化時間がもたらされる。固化時間は、約20秒未満、好ましくは約10秒未満、より好ましくは1秒未満である。この急速な固化はしばしば、アピキサバンに富む相およびポリマーに富む相が分離するのに代えて、一律の均一な分散物を維持する粒子にとって不可欠である。好ましい実施形態において、噴霧乾燥機の高さおよび容積は、米国特許第6,763,607号(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に詳しく開示されるように、小滴が噴霧乾燥機の内表面に衝突する前に乾燥するのに十分な時間を提供するよう調整される。上記のように、できるだけ均一な分散物を得ることが、濃度およびバイオアベイラビリティーの大きな増大を得るために、しばしば必要である。
【0194】
固化後、固体粉末は典型的には、約5〜60秒間噴霧乾燥チャンバー中に留められ、さらに固体粉末から溶媒を蒸発させる。これは固体非晶質分散物中のアピキサバン分子の可動性を低下し、その安定性を向上するため、固体分散物の最終溶媒含有量は乾燥機を出る際には低いはずである。一般に、噴霧乾燥チャンバーを出る時の固体非晶質分散物の溶媒含有量は、10重量%未満、好ましくは2重量%未満である。形成後、適当な乾燥方法(例えばトレー乾燥、流動床乾燥、マイクロ波乾燥、ベルト乾燥、回転式乾燥、および当該技術分野で知られる他の乾燥方法)を用いて、固体非晶質分散物は乾燥され、残留溶媒が除去される。
【0195】
固体非晶質分散物は大抵、小さな粒子の形態である。粒子の平均サイズは、直径500μm未満、または直径100μm未満、直径50μm未満、または直径25μm未満であり得る。固体非晶質分散物が噴霧乾燥により形成される時、得られた分散物は小さな粒子の形態である。固体非晶質分散物が他の方法により、例えば融解−凝固または押し出し成形法により形成されるとき、得られた分散物はふるいにかけられ、粉砕され、あるいは加工されて、複数の小さい粒子を産生し得る。
【0196】
アピキサバンおよび濃度増大用ポリマーを含む固体非晶質分散物が形成されると、いくつかの加工操作を用いて、製剤形中への分散物の組み込みを促進し得る。これらの加工操作としては、乾燥、造粒および粉砕が挙げられる。
【0197】
固体非晶質分散物は、適当な製剤形を形成しつつ、粒子サイズを増大し、分散物のハンドリングを改良するために造粒化され得る。好ましくは、顆粒の平均サイズは、50〜1000μmの範囲である。上記のとおり、該造粒法は、組成物が乾燥される前または後に行われうる。乾式または湿式造粒法が、このために用いられ得る。乾式造粒法の例は、ローラー圧縮である。湿式造粒法として、いわゆる低せん断および高せん断造粒、ならびに流動床造粒が挙げられる。これらの方法においては、造粒組成物の形成を助けるために、乾燥構成成分が混合された後、造粒液体が組成物と混合される。造粒液の例として、水、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、ブタノールのさまざまな異性体、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0198】
湿式造粒法を用いるとき、さらなる加工の前に粒状組成物はしばしば乾燥される。湿式造粒と関連して用いられるべき乾燥方法の適当な例は、上記のものと同一である。固体非晶質分散物が溶媒的製法によって製造される場合、、残留溶媒の除去の前に組成物を造粒することができる。乾燥工程の間に、残留溶媒および造粒液は同時に組成物から除去される。
【0199】
組成物を造粒し、ついでそれを粉砕して、所望の粒子サイズが得られうる。組成物を粉砕するための適当な方法の例には、ハンマー粉砕、ボール粉砕、液体エネルギー粉砕、ローラー粉砕、カッティング粉砕、および当該技術分野で知られる他の粉砕法が含まれる。
【0200】
アピキサバンおよび濃度増大用ポリマーの固体非晶質分散物の形成方法は、例えば、米国特許第7,115,279号および第7,235,259号(これらは引用することにより本明細書に組み込まれる)に詳細に記載される。
【0201】
上記で概説した方法を用いて、アピキサバンの固体非晶質分散物は、制御放出デバイス中に処方され得る。
【0202】
脂質ビヒクル処方物
本発明の別の態様において、アピキサバンの溶解性改良形態は、アピキサバン、および可消化油、親油性溶媒(別の溶媒が実際に存在するか否かにかかわらず、本明細書中では「共溶媒」ともいう)、親油性界面活性剤、およびその任意の2つ以上の混合物から選択される親油性ビヒクルを含む。実施形態として、アピキサバンと、(1)医薬的に許容される可消化油および界面活性剤の組み合わせ;(2)医薬的に許容される可消化油およびそれと混和性である親油性溶媒の組み合わせ;および(3)医薬的に許容される可消化油、親油性溶媒および界面活性剤の組み合わせ;が挙げられる。
【0203】
1つの実施形態において、本発明は、アピキサバンの経口バイオアベイラビリティーを増大するための組成物を提供する。組成物は:
1.アピキサバン;
2.共溶媒;
3.1〜8以下のHLBを有する界面活性剤;
4.8より大きく20までのHLBを有する界面活性剤;
5.任意に可消化油を含む。
【0204】
当該処方物において、賦形剤は全て医薬的に許容されるものである。上記の組成物は本明細書において時々、水または他の水性溶媒(通常、消化液)と穏やかに混合されるとき、安定な乳濁液を生成するその機能を参照して「前濃縮物」と呼ばれる。それはまた、軟質ゲルカプセル用の充填物としてのその有用性を参照して、本明細書において「充填物」とも呼ばれる。
【0205】
本発明で使用するための好ましい製剤形として、軟質ゲルについて言及が本明細書において頻繁にされており、「軟質ゲル」は軟質ゼラチンカプセルの略号である。用語「軟質ゲル」単独について言及するとき本発明は、硬度、柔らかさ等にかかわらず、ゼラチンおよび非ゼラチンの全てのタイプに等しく適用すると理解される。
【0206】
共溶媒とは、脂質ビヒクルにおけるアピキサバンの溶解性を増加する溶媒を意味する。
【0207】
上記のとおり、および以下でさらに記載されるように、可消化油は前濃縮物の一部を構成しうる。前濃縮物の他の構成成分が乳化可能油性相として機能することができない場合、可消化油は、アピキサバンの溶媒として働き、かつ前濃縮物が水に添加されたときに、分散して(乳化可能)油小滴相を形成する油分として含まれ得る。しかしながら、いくつかの界面活性剤は、二重の機能、すなわち界面活性剤、ならびに水中油型乳濁液を形成するための溶媒および油性ビヒクルとして作用する機能を供給しうる。このような界面活性剤が用いられるような場合、および使用される量に依存して、可消化油はあまり多くは必要とされ得ないか、または全く必要とされ得ない。
【0208】
前濃縮物は、自己乳化性または自己マイクロ乳化性(self-microemulsifying)であり得る。
【0209】
用語「自己乳化性」は、水または他の水性溶媒で少なくとも100倍に希釈し、穏やかに混合されるとき、平均小滴直径約5μ未満、しかし100nmより大きい、不透明で安定な油/水乳濁液を生じ、一般に多分散系である処方物を意味する。このような乳濁液は少なくとも数時間(すなわち少なくとも6時間)安定であり、これは、視覚的に検出可能な相分離がなく、視覚的に検出可能なアピキサバンの結晶化はないことを意味する。
【0210】
用語「自己マイクロ乳化性」は、水性溶媒で少なくとも100×に希釈し、穏やかに混合したとき、約1μ以下の平均小滴サイズを持つ非不透明で安定な油/水乳濁液を生じる前濃縮物を意味し、前記平均粒子サイズは、好ましくは100nm未満である。粒子サイズは主として単一モードである。最も好ましくは、乳濁液は透明であり、例えば動的光散乱によって測定したとき50nm未満の平均直径を有する単一モード粒子サイズ分布を有する。マイクロエマルションは、熱力学的に安定であり、アピキサバンの結晶化の徴候はない。
【0211】
上記の「穏やかに混合する」とは、穏やかに手(または機械)で混合する、例えば標準的な実験用混合機で繰り返し反転することによる、乳濁液の形成を意味すると当該技術分野で理解される。高せん断混合は、乳濁液を生成するためには必要でない。当該前濃縮物は一般に、ヒト(または他の動物)胃腸管中に導入されるとき、ほとんど自発的に乳化する。
【0212】
2つの界面活性剤の組み合わせ、一方は1〜8のHLBを有する低HLB界面活性剤であり、他方が8〜20、好ましくは9〜20の高HLBを有する高HLB界面活性剤である、を用いて、有効な乳化のための最適な条件を作ることができる。「親水性−親油性バランス」の頭字語であるHLBは、非イオン性界面活性剤についての1〜20の範囲でありうる評価尺度である。HLBが高いほど、界面活性剤はより親水性である。親水性界面活性剤(HLB約8〜20)は、単独で使用されるとき、有益なことに胃から均一に出されそうであって、吸収のための非常に広い表面積を提供する良好な乳濁液を提供する。しかしながら不利なことは、このような高HLB界面活性剤の油との混和性の限界はそれらの有効性を制限し得、従って、低HLB親油性界面活性剤(HLB約1〜8)もまた含まれる。界面活性剤のこの組み合わせはまた、優れた乳化を提供し得る。中鎖トリグリセリド(例えばMiglyol(登録商標)812)、ポリソルベート80(HLB15)および中鎖モノ/ジグリセリド(Capmul(登録商標)MCM、HLB=6)の組み合わせは、ミグリオール812(登録商標)およびHLB10の界面活性剤(Labrafac(登録商標)CM)と同様に効率的であることが認められた(N.H. Shah et al. Int. J. Pharm., vol 106, 15 (1994))。自己乳化系のために高および低HLB界面活性剤の組み合わせを用いる利点は、例えばリポリーシスの促進が、Lacy(米国特許第6,096,338号)によって示されている。
【0213】
適当な可消化油としては、これはビヒクルとして単独で用いられ得る、または混合物の一部として可消化油を含むビヒクル中に用いられ得るものであるが、中鎖トリグリセリド(MCT、C1〜C12)および長鎖トリグリセリド(LCT、C14〜C20)、ならびにモノ、ジおよびトリグリセリド類の混合物、または脂肪酸類の親油性誘導体(例えばアルキルアルコールとのエステル)が挙げられる。好ましいMCTの例として、分画ヤシ油、例えばMiglyol(登録商標)812(56%カプリル酸(C8)および36%カプリン酸(C10)トリグリセリド)、Miglyol(登録商標)810(68%C8および28%C10)、Neobee(登録商標)M5、Captex(登録商標)300、Captex(登録商標)355およびCrodamol(登録商標)GTCCが挙げられる。Miglyolは、Condea Vista Inc. (Huls)により、Neobee(登録商標)はStepan Europe, Voreppe, Franceにより、Captex(登録商標)はAbitec Corp.により、およびCrodamol(登録商標)はCroda Corp.によって供給される。LCTの例として、植物油(例えばダイズ、ベニバナ、トウモロコシ、オリーブ、綿実、落花生、ヒマワリ種子、ヤシまたはナタネ油)が挙げられる。アルキルアルコールの脂肪酸エステルの例としては、エチルオレエートおよびグリセリルモノオレエートが挙げられる。可消化油では、MCTが好ましく、Miglyol(登録商標)812が最も好ましい。
【0214】
ビヒクルはまた、単独使用のため、または混合物中の共溶媒として、医薬的に許容される溶媒でありうる。適当な溶媒としては、投与単位当たりの所望の投与量の送達を可能にするために、処方物中のアピキサバンの溶解性を増大するために用いられる溶媒が挙げられる。個々の溶媒中のアピキサバンの溶解性を一般的に予測することはできないが、このようなものは、「トライアルラン」によって容易に決定することができる。適切な溶媒として、トリアセチン(1,2,3−プロパントリイルトリアセテートまたはグリセリルトリアセテート、Eastman Chemical Corp.より入手可能)、または他の脂肪酸のポリオールエステル、トリアルキルクエン酸エステル、プロピレンカルボネート、ジメチルイソソルビド、エチルラクテート、N−メチルピロリドン、トランスクトール(Transcutol)、グリコフロール、ペパーミント油、1,2−プロピレングリコール、エタノールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。好ましい溶媒として、トリアセチン、プロピレンカルボネート(Huntsman Corp.)、トランスクトール(Gattefosse)、エチルラクテート(Purac, Lincolnshire, NE)およびジメチルイソソルビド(登録商標ARLASOLVE DMI, ICI Americasの下で販売される)である。親水性溶媒はカプセル殻に移動してその殻を軟化し、揮発性である場合には、組成物中のその濃度が低下しうるが、有効構成成分(アピキサバン)溶解性に負の影響を及ぼす可能性がある。より好ましくは、親油性溶媒、トリアセチン、エチルラクテートおよびプロピレンカルボネートである。
【0215】
8〜20のHLB、好ましくは10より大きいHLBを有する親水性界面活性剤は、乳濁液小滴粒子サイズを低下する際にとりわけ有効である。適当な選択肢として、非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80(商標TWEEN80としてICIから市販されている);ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20、TWEEN 20);ポリエチレン(40または60)硬化ヒマシ油(登録商標CREMOPHOR(登録商標)RH40およびRH60としてBASFから入手可能);ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油(CREMOPHOR(登録商標)EL);ポリエチレン(60)硬化ヒマシ油(Nikkol(登録商標)HCO−60);αトコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS);グリセリルPEG8カプリレート/カプレート(登録商標LABRASOL(登録商標)の下Gattefosseから市販されている);PEG32グリセリルラウレート(登録商標GELUCIRE(登録商標)44/14の下Gattefosseから市販されている)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(登録商標MYRJの下ICIから市販されている)、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル(登録商標BRIJとしてICIから市販されている)が挙げられる。ポリソルベート80、CREMOPHOR(登録商標)RH40(BASF)およびビタミンE TPGS(Eastman)が好ましい。
【0216】
8未満のHLBを有する親油性界面活性剤は、安定な乳濁液を提供するための極性のバランスを達成するのに有用であり、親水性界面活性剤のリポリーシス阻害効果を逆にするためにも使用される。適当な親油性界面活性剤には、以下の登録商標のカプリン酸およびカプリル酸のモノおよびジグリセリドが挙げられる:Capmul(登録商標)MCM、MCM8およびMCM10(Abitecから市販);およびImwitor(登録商標)988、742または308(Condea Vistaから市販);ポリオキシエチレン6杏仁油(登録商標Labrafil(登録商標)M1944CSとしてGattefosseから市販されている);ポリオキシエチレンコーン油(Labrafil(登録商標)M2125として市販されている);プロピレングリコールモノラウレート(LauroglycolとしてGattefosseから市販されている);プロピレングリコールジカプリレート/カプレート(Captex(登録商標)200としてAbitecから、またはMiglyol(登録商標)840としてCondea Vistaから市販されている)、ポリグリセリルオレエート(Plurol oleiqueとしてGattefosseから市販されている)、脂肪酸のソルビタンエステル(例えばSpan(登録商標)20、Crill(登録商標)1、Crill(登録商標)4、ICIおよびCrodaから市販されている)、およびグリセリルモノオレエート(Maisine、Peceol)。このクラスから好ましいのものは、Capmul(登録商標)MCM(Abitec Corp.)およびLabrafil(登録商標)M1944CS(Gattefosse)である。
【0217】
上記の主な液体処方物成分に加えて、当該技術分野で従来から知られている軟質ゲル処方物の他の安定化添加物が、必要に応じて充填物に、通常は相対的に少量で、導入され得、例えば、抗酸化剤(BHA、BHT、トコフェロール、プロピルガレート等)および防腐剤(例えばベンジルアルコールまたはパラベン)が挙げられる。
【0218】
組成物は、軟質ゼラチンカプセル、適当な封止を有する硬質ゼラチンカプセル、非ゼラチンカプセル(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)、または経口液体もしくは乳濁液中に封入される充填物として、当該技術分野で一般的に用いられる方法により処方され得る。充填物は、賦形剤およびアピキサバンを、必要な場合は加熱しながら混合することにより調製される。
【0219】
アピキサバン、可消化油、共溶媒、および界面活性剤の比率は、乳化の性能および溶解性によって決まり、溶解性は所望されるカプセル当たりの投与量に依存する。主要目的が一般に油溶液単独を用いるより非常に低い食物作用で軟質ゲル当たりの高投与量(少なくとも60mg)を送達することである場合に、自己乳化処方物は一般に有用である。概して、前濃縮物中の少なくとも140mg/mLのアピキサバンの溶解性を有し、従ってより高量の共溶媒およびより低レベルの界面活性剤および油を要する軟質ゲル前濃縮物が好ましい。
【0220】
概して、アピキサバンの自己乳化処方物の構成成分の重量%は以下の範囲である:
1〜50%アピキサバン
5〜60%共溶媒
5〜75%高HLB界面活性剤
5〜75%低HLB界面活性剤。
【0221】
有利に低い食物作用を有する好ましい範囲としては、すぐ下に記載されるものが挙げられる:
1〜33%アピキサバン
0〜30%可消化油
15〜55%共溶媒
5〜40%高HLB界面活性剤
10〜50%低HLB界面活性剤。
【0222】
アピキサバンの自己マイクロ乳化性処方物の構成成分の重量パーセントの一般的範囲を以下に示す:
1〜40%アピキサバン
5〜65%可消化油
5〜60%共溶媒
10〜75%高HLB界面活性剤
5〜75%低HLB界面活性剤。
【0223】
例えば、当該脂質ビヒクル処方物のさらなる説明は、米国特許第6,962,931号(その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示される。
【0224】
当該脂質ビヒクル処方物は、制御放出デバイス中に処方され得、例えば上述のものである。
【0225】
治療方法
本発明の製剤形は、第6,967,208号に開示されるような、アピキサバンを投与することによって治療を受ける任意の症状の治療に使用され得る。
【0226】
1つの態様において、本発明の製剤形は心室の血栓塞栓性疾患を予防または治療するために使用される。
【0227】
従って、アピキサバンは哺乳動物の血栓塞栓性疾患(例えば第Xa因子関連疾患)を治療または予防するための抗血液凝固剤として有用である。概して、血栓塞栓性疾患は血栓によって引き起こされる循環器疾患(すなわち、フィブリン形成、血小板活性化、および/または血小板凝集を伴う疾患)である。本明細書において、用語「血栓塞栓性疾患」には、動脈性心血管系血栓塞栓性疾患、静脈性心血管系血栓塞栓性疾患、および心室の血栓塞栓性疾患が含まれる。本明細書において、用語「血栓塞栓性疾患」には:不安定狭心症または他の急性冠症候群、最初のまたは再発性の心筋梗塞、虚血性突然死、一過性脳虚血発作、脳卒中、アテローム性動脈硬化、末梢動脈閉塞症、静脈性血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症、および(a)人工弁または他のインプラント、(b)留置カテーテル、(c)ステント、(d)心肺バイパス、(e)血液透析、または(f)血液が血栓症を促進する人工の表面に曝される他の方法から生じる血栓症;から選択される具体的な疾患が含まれるが、それらに限定されない。血栓症には、閉塞(例えばバイパスの後)および再閉塞(例えば経皮的冠動脈形成術の間またはその後)が含まれることが留意される。血栓塞栓性疾患は、これらに限定されないが、例えば、アテローム性動脈硬化、手術または手術合併症、長期の運動抑制、心房細動、先天性血栓形成傾向、癌、糖尿病、薬物療法またはホルモンの影響、および妊娠の合併症を含む症状から生じ得る。本発明の化合物の抗凝固効果は、第Xa因子またはトロンビンの阻害に起因すると考えられる。
【0228】
1つの態様において、本発明の製剤形は血液凝固酵素ヒト第Xa因子を阻害するために使用される。
【0229】
別の態様において、本発明の製剤形は静脈血栓塞栓症を予防または治療するために使用される。
【0230】
別の態様において、本発明の製剤形は深部静脈血栓症を予防または治療するために使用される。
【0231】
別の態様において、本発明の製剤形は急性冠症候群を予防または治療するために使用される。
【0232】
別の態様において、本発明の製剤形は動脈血栓症を予防または治療するために使用される。
【0233】
上記の予防および方法は、例えば膝手術、人工股関節置換股関節骨折修復、下肢関節鏡下手術、肥満手術、心臓手術(成人および小児の、心臓バイパス、心臓弁手術、先天性心臓修復を含む)、移植手術、脊椎手術、腹部および骨盤外科的方法(癌手術を含む)、および胸部手術方法等の手術に伴い得る。
【0234】
製剤形に含まれるアピキサバンの量は、例えば治療される症状に依存する所望の投与量によって異なる。例えば、アピキサバンの所望の投与量は、1mg/日〜100mg/日、好ましくは5mg/日〜25mg/日、最も好ましくは5mg/日〜15mg/日、典型的には5mg/日または10mg/日の範囲であるが、投与量5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15mg/日も使用されうる。1日当たりの総投与量は、単回投与または分割投与で投与され得、医師の判断で、上記の典型的な範囲の外になり得る。これらの投与量は、約60kg〜70kgの体重である平均ヒト対象に基づく。医師は容易にその体重がこの範囲にない、例えば乳児および高齢者である対象への投与量を決定することができる。特定の対象について、具体的な投薬計画が、個々の必要性および投与または組成物の投与を監督する人の専門家の判断に従って時間と共に調節されるべきであり、および、本願明細書で記載される投与量範囲は、単に典型例であり、請求項にかかる組成物の範囲または実施を制限することを意図するものではないことはさらに理解されるべきである。例えば、投与量は薬物動態または薬力学的パラメーターに基づいて調節され得、これは例えば毒作用のような臨床効果、および/または実験室値を含みうる。従って、本発明は、当業者によって決定される患者内用量漸増を包含する。適当な化学療法薬の投与量および投与計画の決定は当該技術分野に周知であり、本明細書に開示される教示を提供されたものと、当業者によって理解される。
【0235】
本発明の製剤形の有効性は、例えば、当業者に知られる方法、例えば、本明細書に記載のインビトロ溶解試験、および下記の臨床試験によって試験されうる。
【0236】
健常人においてアピキサバン錠剤の放出調節製剤をアピキサバン即時放出錠剤と比較する無作為化、非盲検、単回投与、4通りクロスオーバー試験を例えば放出調節製剤のバイオアベイラビリティーを評価するために使用しうる。
【0237】
代替の投与選択肢を提供するために、アピキサバンの放出調節製剤を、即時放出(IR)錠剤と比較して、トラフ血漿アピキサバン濃度変動に対してより低いピークを達成することを評価した。例えば、放出調節製剤の実現可能性を評価するために、異なる放出特性を持つ3つのプロトタイプ処方物(MR1、MR2、およびMR3)を試験した。
【0238】
試験は、適切に健康な男性および/または女性対象における、無作為化、非盲検、単回投与、4期間、4シークエンス、4通り交差研究であった。
【表1】

【0239】
上記のテーブルに示されるように、対象は4治療期間の4シークエンスの1つに無作為化された。各シークエンスは下記の4つ治療で構成された:アピキサバンIR、アピキサバンMR1、アピキサバンMR2、およびアピキサバンMR3。試験処理は、休薬期間によって分離された。各治療期間の間に薬物動態および安全性評価を行った。バリデイトされた方法を用いてアピキサバンの血漿濃度を測定した。標準的な非コンパートメント方法を用いて血漿濃度−時間データから、薬物動態パラメーター(例えばCmax、C24、Tmax、AUCinf、AUClast、およびt1/2)を測定した。この試験のデータを、放出調節製剤を評価するため、および、代替の処方物を製造するために使用することができる。
【0240】
上述の説明に従って臨床試験を行った。即時放出処方物は一般に実施例7に記載される。MR1処方物はアピキサバンの非溶解性増大形態を含んだ。MR2およびMR3処方物は、制御放出処方物中にあるアピキサバンの溶解性増大形態であった。MR2は実施例2で例示され、およびMR3は実施例1で例示される。MR2およびMR3錠剤(放出期間がそれぞれ5−6時間、および10時間である浸透性処方物)は、IR処方物と比較して、Cmaxの減少、相対的バイオアベイラビリティーの減少を生じた。アピキサバン吸収の減少の大きさは試験された処方物の放出特性に関連しているようであった。2×5mgIR錠剤と比較した、2つ試験10mg MR2およびMR3錠剤処方物の相対的バイオアベイラビリティーは、MR2およびMR3錠剤処方物について、それぞれ、おおよそ66%、および50%であった。補正された幾何学的平均Cmax値の比率(試験/参照)に基づいて、MR2、およびMR3試験処方物のピーク曝露はそれぞれ参照錠剤の44%、および21%であった。
【0241】
即時放出、MR2およびMR3処方物についての単回経口投与量後のメジアン血漿アピキサバン濃度−時間プロファイルが図8に示される。線グラフ中、投与量後の名目上の時間(時間)X軸は、血漿濃度(ng/ml)Y軸に対して示される。
【0242】
PKパラメーターはテーブル1に記述的にまとめられ、統計比較はテーブル2にまとめられる。MR2およびMR3錠剤の投与後のアピキサバンの総曝露は、平均アピキサバンAUCinfに基づいて、IR錠剤と比較してそれぞれおおよそ66%、および50%であった。MR2およびMR3錠剤投与後の平均アピキサバンCmax値は、それぞれIR錠剤の44%、および21%であった。IR錠剤のメジアンTmax値は3時間であり、一方、MR2およびMR3錠剤のメジアンTmax値は5および6時間であった。IR錠剤の見かけのt1/2は平均値おおよそ14時間であり;MR2およびMR3の平均t1/2値はおおよそ20時間であった。全処置を通してC24値は同様であった。
【0243】
maxおよびAUCinfの変動性は、CV%に基づいて、標準品およびMR2およびMR3処方物について一般に同様であった。C24の変動性(CV%)は、参照錠剤(41%)がMR2およびMR3錠剤(26−34%)より若干高かった。
【0244】
個々のおよび幾何学的血漿平均アピキサバンAUCinfおよびCmax値が、それぞれ、図9および10にグラフで示される。図9のAUCinfグラフは、Y軸AUCinf(ng.hr/mL)に対するX軸治療群を示す。図10のCmaxグラフは、Y軸Cmax(ng/mL)に対するX軸治療群をグラフに示す。丸印は幾何学的平均を示し、星印は個々の値を示す。「ボックス」プロットは、四分位の1.5倍範囲内の最終ポイントまでの髭と共に、メジアンおよび25%/75%四分位数を提供する。
【表2】


【表3】

【0245】
本発明の他の態様および実施形態は下記の実施例から明かになるであろうが、これらは本発明の説明のために提供されるものであって、その範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0246】
実施例1
この実施例はアピキサバンの溶解性改良形態の制御放出送達を提供する本発明の製剤形を実証する。
【0247】
アピキサバンの溶解性改良形態の形成
アピキサバンの溶解性改良形態を、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース−HG(HPMCAS)中のアピキサバンの固体非晶質分散物を形成することによって調製した。Shin Etsu(東京、日本)製HPMCAS−HGグレード(AQOAT−HG)(「G」は粒状を表す)はpH約6.8までの腸溶性保護を提供する。該分散物を、0.5重量%のアピキサバン、1.5重量%のHPMCAS−HG、93.1%のテトラヒドロフランおよび4.9重量%の精製水含有溶液を噴霧乾燥することによって調製した。該溶液を圧力噴霧ノズル(Spray Systems SK 78-16)を用いて噴霧圧力(270psig)、液体供給量約163+/−10g/分で、入口温度約117℃+/−10℃および出口温度約45℃+/−5℃に保持したNiro PSD−1噴霧乾燥機のステンレス製チャンバー中に噴霧乾燥した。該PSD−1は9−インチ(ilnch)および6脚チャンバーエクステンションを備えていた。第二の乾燥を、ES2000 Mini Tray Dryer(Environmental Specialties, Raleigh, NC)を用いて、乾燥床温度40℃+/−5℃にて、乾燥時間16時間行った。
【0248】
インビトロ溶解試験を行って、実施例1の固体非晶質分散物がアピキサバンの溶解性改良形態であることを実証した。この試験に関し、十分な量の材料を微小遠心試験管に加え、その薬物全てが溶解した場合、アピキサバンの濃度が1000μg/mLであるようにした。本試験を2回行った。その試験官を37°C温度制御チャンバーに入れ、および1.8mLのPBS(7.3mMタウロコール酸ナトリウムおよび1.4mM 1 パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン含有(絶食時十二指腸(MFD)モデル溶液)、pH6.5および290mOsm/kg)をそれぞれの試験管に加えた。試料をすばやくボルテックスミキサーで約60秒間混合した。該試料を13,000G、37°Cで、1分間遠心分離した。ついで生じた上澄み液を取り、メタノールで1:6(体積)に希釈し、ついで高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。Zorbax SB C8カラムを用いてHPLC分析を行った。移動相は60%30−mM酢酸アンモニウムおよび40%アセトニトリルであった。UV吸光度を280nmで測定した。各試験管の内容物をボルテックスミキサーで混合し、次の試料が取られるまで37°Cで静かに放置した。試料は4、10、20、40、90、および1200分に採取した。
【0249】
コントロールとして、結晶性アピキサバン単独を同一の方法を用いて評価した。十分な量の物質を加え、薬物全てが溶解した場合にアピキサバンの濃度が1000μg/mLとなるようにした。
【0250】
これらの試料で得られたアピキサバンの濃度を、試験開始90分間中の溶液中でのアピキサバンの最大溶解濃度(MDC90)、試験開始90分間中の濃度対時間曲線下面積(「AUC90」)、および1200分でのアピキサバンの濃度(「C1200」)を決定するために、使用した。結果はテーブル3に示される。
【表4】

【0251】
制御放出アピキサバン組成物
二層浸透性制御放出デバイスをアピキサバンの溶解性改良形態を用いて下記のように調製した。量は単位あたりの量(mg)として示される。237.6mgのPolyOx WSR−N80(Dow)および118.4mgのキシリトール(商品名 XYLITAB 200)を合わせ、混合した。混合した材料を0.032インチ(032R)ふるいを装着したComil 197に通して、低速(おおよそ1000rpm)で賦形剤の塊を無くした(de-lumped)。得られた材料をブレンダーに放出し、40mgのアピキサバン固体非晶質分散物(アピキサバン:HPMCAS−HG)をそのブレンダー中に重ね入れ、12RPMでおおよそ15分間混合した。2mgのステアリン酸マグネシウムをそのブレンダーに加え、12RPMでおおよそ5分間混合した。混合物を、約0.72の固体フラクションに回転圧縮した(roll compacted)(Gerteis Minipactor)。得られた顆粒をブレンダーに移し、2mgのステアリン酸マグネシウムをそのブレンダーに加え、12RPMでおおよそ15分間混合した。ナトリウム粉末を0.032インチ(032R)丸孔ふるいおよびモデル1601羽根車を装着したComil 197中、おおよそ1000RPMで塊を無くした(de-lumped)。129mgのPEO WSR Coagulant(Dow)、51.6mgのAvicel PH200(FMC)、17.2mgの塩化ナトリウム、0.6mgのFD&C #2 Blue Lakeを別の(第2の)ブレンダーに移し、12RPMでおおよそ15分間混合した。1mgのステアリン酸マグネシウムをその第2のブレンダーに加え、12RPMでおおよそ15分混合し、膨潤性層を形成した。
【0252】
錠剤コアは600mg(400mgの非晶質分散物アピキサバン層;200mgの膨潤性層)を回転式3層プレス(Elizabeth−HATA AP−55)を用いて圧縮することによって形成した。供給ホッパー#1を非晶質分散物アピキサバン層で満たし、供給ホッパー#2は空であり、および供給ホッパー#3を膨潤性層で満たした。非晶質分散物アピキサバン層にはタンプ力(tamp force)50−65kgを用い、およびホッパー#3の後にタンプ力500−600kgを用い、および最終圧縮力はおおよそ14kNであり、硬度おおよそ15kPの錠剤を生じた。
【0253】
長時間持続コーティング
Schlick 970 Vector Hybrid抗ベアーディング(bearding)ノズル付きVector LDCS−20パンコーターを用いて、水透過性コーティングを該コアに施した。該コーティング溶液を4重量%固体で調製した。8.0mg/gのポリエチレングリコール(PEG3350、Union Carbide)を40.0mg/gの水中に溶解し、そして、920mg/gのアセトンをPEG/水溶液に加えた。32.0mg/g酢酸セルロース(CA 398−10、Eastman Fine Chemical、Kingsport、Tennessee)を攪拌する該溶液に加え、得られた溶液を均一になるまで混合した。別な方法で記載すると、9.6mg/錠剤のポリエチレングリコール(PEG3350、Union Carbide)を48mg/錠剤の水に溶解し、そして、1104mg/錠剤のアセトンをPEG/水溶液に加えた。38.4mg/錠剤の酢酸セルロース(CA 398-10 from Eastman Fine Chemical, Kingsport, Tennessee)を攪拌する該溶液に加え、得られた溶液を均一になるまで混合した。
【0254】
該コーティング溶液を、20g/分の速度で、出口温度設定37℃+/−1℃にて塗布した。10psigの窒素を使用して、コーティング溶液をスプレーノズルから噴霧し、ノズル〜ベッドの距離は2.5インチであった。パターンエアを5psiにセットした。パン回転を22+/−1RPMにセットした。そのようにコーティングした錠剤を40℃で乾燥し、対流式オーブンでアセトンおよび水の本質的に全てを除去した。最終乾燥コーティング重量(48mg/unit)は錠剤コアの8重量%であり、約38.4mgのCA、および9.6mgのPEG3350から構成された。ついで、該錠剤の薬物含有組成物側面上のコーティングに直径1200μmの穴1つをレーザードリルで開けて、錠剤あたり1つの送達ポートを作った。
【0255】
インビトロ溶解試験
実施例1の製剤形からのアピキサバンの放出を測定するためにインビトロ試験を行った。インビトロ溶解試験を行うために、まず、各製剤形を、腸内容物模倣バッファー溶液(200mM NaHPO、pH6.8および0.5%SLS)900mLが入った攪拌USP2型dissoetteフラスコに入れた。該溶液を速度75RPMで回転するパドルを用いて攪拌した。試料を、レセプター溶液の試料を定期的に取り除くためにプログラムされた自動サンプリングdissoetteデバイスを用いて、定期的な間隔で採取した。薬物濃度を、HPLCによって、Waters XBridge Shield RP18カラム、移動相:60/40(vol.%)アセトニトリル/30mM酢酸アンモニウムを用いて分析した。UV吸収を280nmで測定した。結果はテーブル4に示される。
【表5】

【0256】
データは、実施例1の製剤形は、該製剤形から該薬物の80重量%が放出する時間は約10時間であるアピキサバンの制御放出を提供したことを示す。該製剤形は、試験溶媒への投与後の最初の10時間に、平均速度約9重量%/時間でアピキサバンを放出した。
【0257】
実施例2
この実施例はアピキサバンの制御放出送達を提供する本発明の2つめの製剤形を説明する。アピキサバンは固体非晶質分散物の形態にあり、実施例1で記載されたとおりに製造された。固体非晶質分散物を含有する二層浸透性錠剤コアもまた実施例1で記載された通りに調製した。
【0258】
短時間持続コーティング
Schlick 970 Vector Hybrid抗ベアリング(bearding)ノズル付きVector LDCS−20パンコーターを用いて、水透過性コーティングを該コアに施した。コーティング溶液を4重量%総固体として施した。16.0mg/gのポリエチレングリコール(PEG3350、Union Carbide)を40.0mg/g水中で溶解し、920mg/gアセトンを該PEG/水溶液に加えた。24.0mg/gの酢酸セルロース(CA 398-10 from Eastman Fine Chemical, Kingsport, Tennessee)を攪拌する該溶液に加え、そして得られた溶液を均一になるまで混合した。別な方法で記載すると、24mg/錠剤のポリエチレングリコール(PEG3350、Union Carbide)を60mg/錠剤水中に溶解し、そして、1440mg/錠剤のアセトンを該PEG/水溶液に加えた。36mg/錠剤の酢酸セルロース(CA 398-10 from Eastman Fine Chemical, Kingsport, Tennessee)を攪拌する該溶液に加え、得られた溶液を均一になるまで混合した。該コーティング溶液を、流速20g/分、出口温度設定37℃+/−1℃で施した。10psiの窒素を用いて、該コーティング溶液をスプレーノズルから、ノズル〜ベッドの距離2.5インチで噴霧した。パターンエアを5psiでセットした。パン回転を22+/−1RPMにセットした。そのようにコーティングした錠剤を対流式オーブン40℃で乾燥し、本質的に全てのアセトンおよび水を除去した。最終乾燥コーティング重量(60mg)は錠剤コアの10重量%であり、約36mgのCA、および24mgのPEG3350で構成された。ついで、錠剤の該薬物含有組成物側面上のコーティングに直径1200μmの穴1つをレーザードリルで開け、錠剤あたり1つの送達ポートを作った。インビトロ溶解結果がテーブル5に示される。
【表6】

【0259】
データは実施例2の製剤形は該製剤形から該薬物の80重量%が放出する時間が約6時間であるアピキサバンの制御放出を提供したことを示す。該製剤形は試験溶媒へ投与後最初の6時間にアピキサバンを平均速度約16重量%/時間で放出した。
【0260】
実施例3〜6
さまざまなポリマー類を用い、さまざまな薬物量で、アピキサバンの固体非晶質分散物を形成することによって、アピキサバンの溶解性改良形態を製造した。HPMCASの「M」グレード(Shin Etsu製AQOAT−MG、これはpH6.0までの腸溶性保護を提供する)を用いて、実施例3−5を噴霧乾燥した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E3 Prem、Dow Chemical Company、Midland、MI)を用いて、実施例6を噴霧乾燥した。小型の噴霧乾燥機を用いて、実施例3〜6を噴霧乾燥した。テーブル6は噴霧溶液組成物を示す。
【表7】

【0261】
実施例3〜6の固体非晶質分散物がアピキサバンの溶液濃度増加を提供することを実証するために、インビトロ溶解試験を行った。該試験を、該分散物を0.5重量%Methocel A(Dow Chemical Company)を含有する水性懸濁液媒体(ビヒクル)として微小遠心管に加えたことを除いては、実施例1に記載したとおりに行った。十分な量の分散物を0.5重量%Methocel A溶液に加え、10mgA/mL懸濁液を得、そして90μLの懸濁液を微小遠心試験管に加え、該薬物の全てが溶解した場合にアピキサバンの濃度が500μg/mLとなるようにした。MFD溶液を実施例1に記載したように加えた。コントロールとして、結晶性アピキサバン単独を同一の方法を用いて評価した。
【0262】
これらの試料で得られたアピキサバンの濃度は、MDC90、AUC90、およびC1200を決定するために使用した。結果はテーブル7に示される。
【表8】

【0263】
結果は、実施例3〜6の固体非晶質分散物は、結晶性アピキサバン単独と比較して、溶解性改良形態であったことを示す。MDC90値は結晶性アピキサバンの7.5〜8.3倍であり、およびAUC90値は結晶性アピキサバンの10.6〜11.7倍であった。該データはまた、1200時間後の溶解したアピキサバンの濃度(C1200)は結晶性アピキサバンの11〜12.5倍であったことを示す。
【0264】
実施例7
5mgのアピキサバンを含有する即時放出錠剤を概して下記のように調製した:
【0265】
造粒に先立って、テーブル8(下記)に記載の原材料を混合した。混合した原材料を乾式造粒法を用いて顆粒化した。ついで、乾式造粒した材料を外部粒の材料と混合した。混合した材料を錠剤に打錠し、従来の「美容」用のコーティング法でフィルムコーティングした。
【表9】

【0266】
上記で使用した用語および表現は、本明細書において、説明として使用されものであって、限定するものではなく、そのような用語および表現の使用において、記載される態様の均等物および一部分を排除するする意図はなく、本発明の範囲は下記の特許請求の範囲によってのみ、定義され限定されると認識される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アピキサバンの溶解性改良形態を含む製剤形であって、該製剤形はアピキサバンの制御放出を提供することを特徴とする、製剤形。
【請求項2】
該製剤形が、水性の使用環境に投与後2時間以上かけて、インビボまたはインビトロで70重量%のアピキサバンを放出する制御放出製剤形である、請求項1に記載の製剤形。
【請求項3】
該制御放出製剤形が浸透性制御放出製剤形である、請求項1に記載の製剤形。
【請求項4】
該制御放出製剤形が二層浸透性制御放出製剤形である、請求項3に記載の製剤形。
【請求項5】
インビボ使用環境に投与後、約12時間以上の期間、該製剤形が約70ng/mL以上のアピキサバンの血漿濃度を提供することを特徴とする、請求項1に記載の製剤形。
【請求項6】
該溶解性改良形態は固体非晶質分散物、アピキサバンを含む脂質ビヒクル、基質上に吸着されたアピキサバンを含む固体吸着物、ナノ粒子、架橋ポリマー中にあるアピキサバンの吸着物、ナノ懸濁液、過冷却形態、アピキサバン/シクロデキストリン薬物形態、軟質ゲル形態、自己乳化形態、三相アピキサバン形態、結晶性高溶解性形態、高エネルギー結晶性形態、水和物または溶媒和物結晶性形態、非晶質形態、アピキサバンおよび可溶化剤の混合物、および液体に溶解したアピキサバンの溶液からなる群から選択される、請求項1に記載の製剤形。
【請求項7】
該溶解性改良形態がアピキサバンおよびポリマーを含む固体非晶質分散物である、請求項1に記載の製剤形。
【請求項8】
該固体非晶質分散物が噴霧乾燥された分散物である、請求項7に記載の製剤形。
【請求項9】
該浸透性制御放出製剤形が、アピキサバンおよびポリマーを含む固体非晶質分散物を含む、請求項4に記載の製剤形。
【請求項10】
アピキサバンおよびポリマーを含む該固体非晶質分散物が噴霧乾燥された分散物である、請求項9に記載の製剤形。
【請求項11】
該浸透性制御放出製剤形が開口部を有する二層錠剤を含むことを特徴とする、請求項10に記載の製剤形。
【請求項12】
インビボ使用環境に投与後、該製剤形が約12時間以上の期間、約70ng/mL以上のアピキサバンの血漿濃度を提供する、請求項11に記載の製剤形。
【請求項13】
該制御放出製剤形がマトリックス制御放出製剤形である、請求項1に記載の製剤形。
【請求項14】
該マトリックス制御放出製剤形がアピキサバンおよびポリマーを含む固体非晶質分散物を含み、該固体非晶質分散物は噴霧乾燥された分散物である、請求項13に記載の製剤形。
【請求項15】
1時間までに約10重量%未満のアピキサバンが放出され、4時間までに約20重量%〜約40重量%のアピキサバンが放出され、約8時間で約60重量%〜約80重量%のアピキサバンが放出され、かつ10時間で約70重量%を上回るアピキサバンが放出されるインビトロ溶解速度を有する、請求項1に記載の製剤形。
【請求項16】
1時間までに約20重量%未満のアピキサバンが放出され、2時間までに約20重量%〜約40重量%のアピキサバンが放出され、約4時間で約50重量%〜約75重量%のアピキサバンが放出され、かつ6時間で約70重量%を上回るアピキサバンが放出されるインビトロ溶解速度を有する請求項1に記載の製剤形。
【請求項17】
アピキサバンの平均放出速度が約7重量%/時間〜約10重量%/時間である平均放出速度を有する請求項1に記載の製剤形。
【請求項18】
アピキサバンの平均放出速度が約11重量%/時間〜約18重量%/時間である平均放出速度を有する請求項1に記載の製剤形。
【請求項19】
請求項1−18のいずれか1つに記載の製剤形を治療が必要な哺乳動物に投与することを特徴とする血栓塞栓性疾患の治療方法。
【請求項20】
血栓塞栓性疾患が静脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、急性冠症候群または動脈血栓症である、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2012−530141(P2012−530141A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516197(P2012−516197)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/038660
【国際公開番号】WO2010/147978
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】