説明

アプタマーを送達するためのリン脂質ゲル組成物、及びそれを用いて状態を治療する方法

本発明は、アプタマーの制御放出又は持続放出のためのゲル状医薬組成物、及び、必要としている動物に対してその医薬組成物を投与することによって動物の状態を治療又は予防する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願への相互参照
本出願は、2005年11月16日に出願された米国仮特許出願第60/736,863号の利益を主張するものであり、この内容は参照により本明細書中に援用される。
【0002】
2.発明の背景
2.1 発明の分野
本発明は、アプタマーの制御放出若しくは持続放出のためのゲル状医薬組成物、及び必要としている動物にその医薬組成物を投与して動物の状態を治療若しくは予防する方法に関する。この医薬組成物は、経口投与、局所投与、耳投与、注射投与、及び眼投与に適している。
【背景技術】
【0003】
例えば血中レベルなど、薬物の少なくとも最低限の治療レベルを長時間にわたって維持することができる制御放出又は持続放出製剤を用いて薬物を投与することが望まれる場合は多い。これらの制御放出又は持続放出製剤により、投与の回数が減ることで利便性及び服用遵守が向上し、さらに副作用の重症度及び回数も減少する。例えば、血中レベルを実質的に一定に維持し、一日あたり数回投与される従来の速放性製剤などに伴う薬物の血中レベルの変動を回避することにより、制御放出又は持続放出製剤は、従来の速放性製剤で得ることができるよりも優れた治療特性を提供することができる。
【0004】
薬物の制御放出又は持続放出のための公知の方法としては、浸透圧ポンプなどの移植デバイス、及び移植、経口投与、又は注射投与が可能な生体適合性ポリマーマトリックス中に分散した薬物が挙げられる。このような用途に用いられる生体適合性ポリマーの例としては、ポリ乳酸及び乳酸−グリコール酸共重合ポリマーが挙げられる。このポリマーは、通常インビボでゆるやかな加水分解を受け、内部に取り込まれた薬物を連続的に徐々に放出する。ポリマーの分解物は無毒性であり、生体によって吸収又は代謝される。例えば、生体適合性ポリマーがポリ乳酸又は乳酸−グリコール酸共重合ポリマーの場合、分解物は出発物質の酸である乳酸とグリコール酸であり、これらは生体に吸収される。
【0005】
Wangらによる米国特許第5,110,809号には、イミダゾール、ステロイド、一価及び二価アルコールを含む共溶媒系、並びにヒドロキシアルキルセルロースゲル化剤を含有する外用抗真菌剤用途の安定な無水ゲル製剤が開示されている。
【0006】
国際公開WO00/09117には、水溶性の低い非ステロイド系抗炎症剤であるニメスルフィド(nimesulfide)を含有する外用医薬組成物が開示されている。
【0007】
Pellicoによる米国特許第6,214,339号には、液体又は流動性ゲルキャリア中の実質的に非水性である二酵素系治療用組成物(dienzymatic therapeutic composition)を投与することを含む、イヌ及びネコの外耳炎の治療方法が開示されている。例示組成物は、グルコース、グルコースオキシダーゼ、ヨウ化カリウム、及びラクトペルオキシダーゼを、グリセロールとプロピレングリコールとの流体混合物中に含有する。
【0008】
ユーラシア特許EA0002978B1には、第一独立請求項にリン脂質懸濁液を調製するプロセスが請求されている。
【0009】
米国特許出願US2004/0220264には、酸性医薬物と機能性物質との分子複合体を含有する組成物、その組成物の作製方法、及びその組成物の使用が開示されている。機能性物質としては、アルカリ性アミノ酸、アミノ酸アミド、アミノ酸エステル、又は関連アミノ酸を用いることができる。この組成物は薬物を皮膚組織へ送達するのに有用であるとされている。
【0010】
米国特許出願US2004/0197408には、疎水性ブロックと親水性ブロックとを有するジブロック共重合ポリマー、並びにアミノ酸及びオリゴペプチドから選択される添加剤を含む製剤が開示されている。この製剤は、水と混合することでミセル状の薬物送達媒体を形成する。
【0011】
アプタマーはタンパク質又は代謝物などの特定の標的分子と結合するオリゴヌクレオチドであり、合成したものでも天然のものでもよい。通常、この結合は従来のワトソン−クリック塩基対以外の相互作用による。
【0012】
アプタマーは、現在の前臨床開発及び臨床開発において有望な治療薬に分類される。例えばペプチド又はモノクローナル抗体などの生物製剤(biologics)のように、アプタマーは分子標的と特異的に結合することができ、結合を通して標的の機能を阻害する。典型的なアプタマーはサイズが10〜15kDa(すなわち、30〜45ヌクレオチド)であり、サブナノモルの親和性で標的と結合して、関連性の高い標的を区別する(例えば、同一の遺伝子ファミリーの他のタンパク質とは通常結合しない)(Griffinら,(1993),Gene 137(1):25−31;Jenisonら,(1998),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.8(4):265−79;Bellら,(1999),In Vitro Cell.Dev.Biol.Anim.35(9):533−42;Watsonら,(2000),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10(2):63−75;Danielsら,(2002),Anal.Biochem.305(2):214−26;Chenら,(2003),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(16):9226−31;Khatiら,(2003),J.Virol.77(23):12692−8;Vaishら,(2003),Biochemistry 42(29):8842−51)。
【0013】
アプタマーは、米国特許第5,475,096号及び第5,270,163号に記載のように、ランダム配列オリゴヌクレオチドのライブラリーからの完全にインビトロでの選別プロセス(試験管内進化法(Systematic Evaluation of Ligands by Experimental Enrichment)、いわゆるSELEX(商標))によって作り出すことができる。アプタマーは、増殖因子、酵素、免疫グロブリン、及び受容体を含む治療に関係する数多くのタンパク質に対して作製されている(Ellington及びSzostak(1990),Nature 346(6287):818−22;Tuerk及びGold(1990),Science 249(4968):505−510)。
【0014】
アプタマーは治療用として数多くの魅力的な特性を有している。標的への高い親和性及び特異性に加えて、アプタマーは、標準的なアッセイでは毒性も免疫原性もほとんど又はまったく示さない(Wlotzkaら,(2002),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(13):8898−902)。確かに、いくつかの治療用アプタマーが、薬物動態分析、細胞及び動物疾患モデルにおける生物的効力の特定、並びに予備安全性薬理評価を含む様々な前臨床開発の段階を通じて最適化され進歩してきた(Reyderman及びStavchansky(1998),Pharmaceutical Research 15(6):904−10;Tuckerら,(1999),J.Chromatography B.732:203−212;Watsonら,(2000),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10(2):63−75)。
【0015】
アプタマーを含むオリゴヌクレオチドを主体とした治療薬はすべて、所望する医薬用途に適合するようにその薬物動態特性を調節することが重要である。細胞外の標的に対するアプタマーは(アンチセンス治療やRNAi治療では問題となるような)細胞内送達に付随する問題が生ずることはないが、アプタマーは標的器官及び組織に分配され、所望の投与計画と合致する期間の間、体内で(未修飾の形で)保持されなければならない。核酸主体の治療薬に関する初期の研究によると、未修飾のオリゴヌクレオチドがヌクレアーゼによって急速に分解されるのに対して、糖の2’位を保護基で修飾し、例えば[3’−3’dT]のような末端逆位キャップ構造(inverted terminal cap structure)とすることで、インビトロ及びインビボでの核酸の安定性が飛躍的に向上する(Greenら,(1995),Chem.Biol.2(10):683−95;Jellinekら,(1995),Biochemistry 34(36):11363−72;Ruckmanら,(1998),J.Biol.Chem.273(32):20556−67;Uhlmannら,(2000),Methods Enzymol.313:268−84)。SELEX法による選別方法(すなわち、SELEX実験又はセレクション(SELEXion))の中には、アプタマーを選別する核酸の初期プールが、例えば2’−フルオロピリミジン(2’−F)置換ヌクレオチドの取り込みなどの化学修飾によって通常あらかじめ安定化され、アプタマーのヌクレアーゼ分解に対する耐性が高められているものがある。SELEX法後の修飾工程を通して、又はより最近ではSELEX法そのものに不可欠な構成要素として2’−OMeを含むランダム配列ライブラリーを合成可能とすることによって、2’−O−メチルプリン(2’−OMeプリン)置換ヌクレオチドを取り込んだアプタマーも開発されている。
【0016】
オリゴヌクレオチド治療薬は、ヌクレアーゼによって排除されるのに加えて、腎臓のろ過によっても除去される。従って、ろ過を防ぐことができない限り、静脈投与されたヌクレアーゼ耐性を有するオリゴヌクレオチドのインビボでの半減期は10分未満となる。これは、血流から組織内への素早い分配を促進するか、又はオリゴヌクレオチドの見かけ分子量を糸球体の有効カットオフサイズよりも大きくすることによって実現することができる。PEGポリマーへの抱合(ペグ化)によって、アプタマーの循環血液中での耐性時間を飛躍的に伸ばすことができ、それによって投与回数が減り標的への効果が高まる(Reyderman及びStavchansky(1998),Pharmaceutical Research 15(6):904−10;Watsonら,(2000),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10(2):63−75)。修飾部位と抱合体形成されたもの、又は修飾ヌクレオチドを含有するものを含むアプタマー治療薬の血管外遊出を定量すること、及び、特には、アプタマー又はその修飾された形が疾患組織(例えば炎症部位、若しくは腫瘍内部)へ到達する能力を定量することによって、アプタマー処置による治療の可能性の範囲が明らかとなる。
【0017】
通常、治療用アプタマーは、例えば皮下注射などの注射投与が行われる。従って、アプタマーは投与のための液状媒体に溶解しなければならない。しかしながら、アプタマー、特に例えばペグ化などによって誘導体化されたアプタマーは比較的分子量が高く、動物への投与に対して臨床的に有用な医薬組成物を提供するのに十分な濃度で医薬として許容される溶媒中にアプタマーが溶解された医薬として許容される組成物を得ることが困難であることが多い。
【0018】
米国特許出願公開第2005/0175708号には、哺乳類においてアプタマーの持続的な送達が可能となる物質の組成物が開示されている。アプタマーは、アプタマーの対象部位への持続放出が可能で、そのためアプタマーの生物活性を長い時間にわたって発揮することができるマイクロスフェアとして投与される。アプタマーとしては抗VEGFアプタマーを用いることができる。
【0019】
P.Burmeisterら,(2004),Chemistry and Biology:15,25−33には、血管内皮増殖因子と結合し良好な安定性を示す2’−O−メチルアプタマー(ARC245)を作製する方法が開示されている。
【0020】
従って、当該技術分野において、治療剤としてアプタマーを用いた医薬組成物の改良が必要とされている。特に、動物への投与に対して臨床的に有用でありアプタマーの制御放出又は持続放出を行う医薬組成物を提供するのに十分な濃度で、及び医薬として許容される剤形で、アプタマーを含有することができる医薬組成物が求められている。本発明はこれらの、及びその他の要求に対応するものである。
【0021】
本出願におけるいずれの参考文献の引用も、その参考文献が本出願の先行技術であることを承認するものとして解釈されるべきではない。
【発明の開示】
【0022】
3.発明の概要
本発明のこれらの、及びその他の特徴及び利点は、本開示の残りの部分、特にすべて本発明の原理を例示する形で示している以下の好適な態様の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0023】
本発明は、アプタマー又は医薬として許容されるその塩を含む医薬組成物に関する。医薬組成物はゲル状である。一つの態様では、医薬組成物はアプタマーの制御放出又は持続放出を行う。
【0024】
一つの態様では、医薬組成物は、リン脂質若しくはスフィンゴミエリン;少なくとも1種類の有機溶媒;及びアプタマーを含み、この場合リン脂質若しくはスフィンゴミエリン及び少なくとも1種類の有機溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。
【0025】
一つの態様では、医薬組成物は、リン脂質;少なくとも1種類の有機溶媒;及びアプタマーを含み、この場合リン脂質及び少なくとも1種類の有機溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。
【0026】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)リン脂質若しくはスフィンゴミエリン;(ii)極性非プロトン性有機溶媒;(iii)極性プロトン性有機溶媒;及び(iv)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質若しくはスフィンゴミエリン、極性非プロトン性有機溶媒、及び極性プロトン性有機溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。
【0027】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)リン脂質;(ii)極性非プロトン性有機溶媒;(iii)極性プロトン性有機溶媒;及び(iv)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質、極性非プロトン性有機溶媒、及び極性プロトン性有機溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。
【0028】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)リン脂質若しくはスフィンゴミエリン;(ii)プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される溶媒;並びに(iii)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合、リン脂質若しくはスフィンゴミエリン、並びに、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される溶媒は、ゲルを形成するのに十分な量で存在する。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールと実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールとの混合物である。
【0029】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)リン脂質;(ii)プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される溶媒;並びに(iii)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質若しくはスフィンゴミエリン並びに、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される溶媒は、ゲルを形成するのに十分な量で存在する。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールと実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールとの混合物である。
【0030】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)(a)プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される第1溶媒と(b)N−メチルピロリドンとを含む溶媒;(ii)リン脂質若しくはスフィンゴミエリン;並びに(iii)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質若しくはスフィンゴミエリン及び溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールと実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールとの混合物である。
【0031】
本発明は、さらに、必要としている動物に本発明の医薬組成物を投与することを含む、動物の状態を治療する方法に関する。
【0032】
4.図面の簡単な説明
該当図なし。
【0033】
5.発明の詳細な説明
本発明は、ゲルであり、アプタマーを含む医薬組成物に関する。一つの態様では、医薬組成物はアプタマーの制御放出又は持続放出を行う。
【0034】
一つの態様では、医薬組成物は、リン脂質若しくはスフィンゴミエリン及び少なくとも1種類の有機溶媒;及びアプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質若しくはスフィンゴミエリン及び少なくとも1種類の有機溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。
【0035】
一つの態様では、医薬組成物は、リン脂質;少なくとも1種類の有機溶媒;及びアプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質及び少なくとも1種類の有機溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。
【0036】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)リン脂質若しくはスフィンゴミエリン;(ii)極性非プロトン性有機溶媒;(iii)極性プロトン性有機溶媒;及び(iv)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質若しくはスフィンゴミエリン、極性非プロトン性有機溶媒、及び極性プロトン性有機溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。
【0037】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)リン脂質;(ii)極性非プロトン性有機溶媒;(iii)極性プロトン性有機溶媒;及び(iv)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質、極性非プロトン性有機溶媒、及び極性プロトン性有機溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。
【0038】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)リン脂質若しくはスフィンゴミエリン、(ii)実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される溶媒、並びに(iii)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質若しくはスフィンゴミエリン、並びに、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される溶媒は、ゲルを形成するのに十分な量で存在する。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールと実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールとの混合物である。
【0039】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)リン脂質、(ii)実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される溶媒、並びに(iii)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質、並びに、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される溶媒は、ゲルを形成するのに十分な量で存在する。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである。一つの態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールと実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールとの混合物である。
【0040】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)(a)実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される第1溶媒と(b)N−メチルピロリドンとを含む溶媒;(ii)リン脂質若しくはスフィンゴミエリン;並びに(iii)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質若しくはスフィンゴミエリン及び溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールと実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールとの混合物である。
【0041】
一つの態様では、医薬組成物は、(i)(a)実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される第1溶媒と(b)N−メチルピロリドンとを含む溶媒;(ii)リン脂質;並びに(iii)アプタマー若しくは医薬として許容されるその塩を含み、この場合リン脂質及び溶媒はゲルを形成するのに十分な量で存在する。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである。一つの態様では、第1溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールと実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールとの混合物である。
【0042】
本発明は、さらに、必要としている動物に本発明の医薬組成物を投与することを含む、動物の状態を治療する方法に関する。
【0043】
7.1 定義
本明細書中で使用するとき、用語「ゲル」は、20℃における平均粘度が少なくとも約1000センチポアズ(「cP」)、好ましくは少なくとも約2000cP、より好ましくは少なくとも約5000cP、さらに好ましくは少なくとも約7500cP,最も好ましくは少なくとも約10000cPであるが、約100000cP未満、好ましくは約75000cP未満である物質を意味する。通常、ゲルはその成分間で、例えば会合複合体などの形で静的な及び/又は動的な相互作用を示し、それは一般に可逆的で、力(例えばせん断力)及び/又は温度をかけることで流動状態となる。
【0044】
本明細書中で使用するとき、用語「リン脂質」は、一般式:
【0045】
【化1】

【0046】
を有する化合物を意味し、
式中、
1は、−OH、又は−O-を表し;
2は:
(i)−H、又は
(ii)C2−C36の飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐のアシル基、
を表し;
3は:
(i)−H、
(ii)C2−C36の飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐のアシル基;又は、
(iii)−C=C−R9を表し、ここで、R9は任意に1以上の窒素含有基で置換されていてもよいC1−C22の飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり;
2又はR3の少なくとも1つは−Hではなく;
【0047】
4は:
(i)−H;
(ii)−(CH2n−R5、ここで、R5は−N(R6)(R7)若しくは−N+(R6)(R7)(R8)を表し、R6、R7、及びR8は各々独立して−H若しくはC1−C3のアルキル基を表すか、又はR6とR7が結合して5員環若しくは6員環の窒素含有複素環を形成し、nは1から4までの整数を表し、好ましくは2である;
(iii)
【0048】
【化2】

【0049】
(iv)
【0050】
【化3】

【0051】
式中、R10は、独立して、−H若しくは−P(O)(OH)2である;又は、
(v)−CH2CH(OH)CH2(OH)
を表す。
【0052】
本明細書中で使用するとき、「飽和又は不飽和、直鎖又は分岐のC2−C36のアシル基」とは、式−O−C(O)−Rで表される基であり、式中、Rは飽和又は不飽和、直鎖又は分岐であってよいC1−C35の炭化水素基である。
【0053】
本明細書中で使用するとき、用語「スフィンゴミエリン」は、一般式:
【0054】
【化4】

【0055】
を有する化合物を意味し、
式中、
1は、−OH、又は−O-を表し;
4は:
(i)−H;又は
(ii)−(CH2n−R5を表し、ここで、R5は−N(R6)(R7)若しくは−N+(R6)(R7)(R8)を表し、R6、R7、及びR8は各々独立して−H若しくはC1−C3のアルキル基を表すか、又はR6とR7が結合して5員環若しくは6員環の窒素含有複素環を形成し、nは1から4までの整数を表し、好ましくは2である;
11は、任意に1若しくは2種類以上の窒素含有基で置換されていてもよいC1−C22の飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐の炭化水素基を表す。
【0056】
本明細書中で使用するとき、用語「脂肪酸」は、式R−C(O)OHで表されるカルボン酸を意味し、式中、RはC6−C22の直鎖若しくは分岐、飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表す。代表的な脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書中で使用するとき、用語「ポリカルボン酸」は、1個超の−C(O)OH基を有するポリマー化合物を意味する。当業者であれば、1個超の−C(O)OH基を有するポリマー化合物を容易に認識するであろう。代表的なポリカルボン酸としては、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、及びポリアクリル酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書中で使用するとき、用語「有機溶媒」は、約20℃若しくはそれより高温で、好ましくは約10℃若しくはそれより高温で、より好ましくは0℃若しくはそれより高温で、最も好ましくは−10℃若しくはそれより高温で流体である、有機化合物又は有機化合物の混合物を意味する。典型的な有機溶媒の分子量は約500g/mol以下、好ましくは100g/mol以下である。有機溶媒を動物へ投与する場合は、有機溶媒が、適度な効果/リスク比に対応する、過剰な毒性、刺激、又はアレルギー反応などの過度な有害作用を実質的に誘起しない化合物であることが好ましい(すなわち、「医薬として許容される有機溶媒」)。
【0059】
本明細書中で使用するとき、用語「極性非プロトン性有機溶媒」は、誘電率が約20超、好ましくは約30超、より好ましくは約50超であり、−OH官能基を持たない有機溶媒を意味する。
【0060】
本明細書中で使用するとき、用語「極性プロトン性有機溶媒」は、誘電率が約20超、好ましくは約30超、より好ましくは約50超であり、−OH官能基を持つ有機溶媒を意味する。
【0061】
本明細書中で使用するとき、用語「アプタマー」は、タンパク質又は代謝物などの特定の標的分子とワトソン−クリック塩基対以外の形で結合することができ、動物に対して薬理学的効果を有する、合成したものでも天然のものでもよいオリゴヌクレオチドを意味する。アプタマーは従来のリン酸ジエステルで結合したヌクレオチドを用いて合成することができ、当業者に公知の標準的な固相又は液相合成技術を用いて合成することができる(例えば、米国特許第5475096号、第5270163号を参照のこと)。アプタマーと標的ポリペプチドとの結合は、当業者に公知のアッセイにより容易に分析することができる。
【0062】
通常、薬理学的効果とは、動物の状態を治療又は予防することである。
本明細書で用いられる「状態」という用語は、体の機能、システム、若しくは器官の中断、停止、又は異常を意味する。代表的な状態としては、ガン、炎症、糖尿病、及び臓器不全が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書中で使用するとき、用語「動物」は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、両生類、爬虫類、及び鳥類を含むが、これらに限定されない。代表的な動物には、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、有蹄動物、チンパンジー、サル、ヒヒ、ニワトリ、シチメンショウ、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、及びヒトが挙げられるが、これらに限定されない。一つの態様では、動物は哺乳類である。一つの態様では、動物はヒトである。一つの態様では、動物はイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、又はブタである。
【0064】
本明細書中で使用するとき、用語「効果量」及び「治療効果量」は、動物の状態を治療又は予防するのに十分な量を意味する。
【0065】
「治療する」、「治療」などの表現は、特定の状態の改善又は停止を含む。
「予防する」、「予防」などの表現は、状態が発生してしまうことの回避を含む。
【0066】
本明細書中で使用するとき、「実質的に含有しない」という表現は、約5重量パーセント未満であることを意味する。例えば、「実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール(又はグリセロールホルマール)」という表現は、プロピレングリコール(又はグリセロールホルマール)中の他の有機溶媒の量が約5重量パーセント未満であることを意味する。
【0067】
「C1−C22の炭化水素基」とは、1〜22個の炭素原子を有する、直鎖若しくは分岐、飽和若しくは不飽和、環式若しくは非環式、芳香族若しくは非芳香族、炭素環式若しくはヘテロ環式の基を意味する。同様に、「C1−C22の炭化水素基」、「C1−C16の炭化水素基」、「C1−C10の炭化水素基」、「C1−C5の炭化水素基」、「C1−C3の炭化水素基」、「C16−C22の炭化水素基」、「C8−C18の炭化水素基」、「C10−C18の炭化水素基」、及び「C16−C18の炭化水素基」などの表現は、それぞれ1〜21個の炭素原子を有する、1〜16個の炭素原子を有する、1〜10個の炭素原子を有する、1〜5個の炭素原子を有する、1〜3個の炭素原子を有する、16〜22個の炭素原子を有する、8〜18個の炭素原子を有する、10〜18個の炭素原子を有する、及び16〜18個の炭素原子を有する、直鎖若しくは分岐、飽和若しくは不飽和、環式若しくは非環式、芳香族若しくは非芳香族、炭素環式若しくはヘテロ環式の基を意味する。従って、「式−C(O)−R1のアシル基で、式中、R1はC1〜C21の基を表す」という表現は、式−C(O)−R1のアシル基であって、式中、R1は1〜21個の炭素原子を有する、直鎖若しくは分岐、飽和若しくは不飽和、環式若しくは非環式、芳香族若しくは非芳香族、炭素環式若しくはヘテロ環式の炭化水素基を表す、ということを意味する。式−C(O)−R1で表され、式中、R1がC1〜C21の置換されていない基である代表的なアシル基としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ヘキサノイル、カプロイル、ラウロリル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミオレオイル(palmioleoyl)、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル、及びベンゾイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
本明細書中で使用するとき、用語「低級アルキル」は、C1−C6の炭化水素基を意味する。
【0069】
本明細書中で使用するとき、用語「塩」は、共有結合ではなくイオン間相互作用によって化学的に結合している2個の化合物を意味する。
【0070】
本明細書中で使用するとき、用語「医薬として許容される」とは、医薬組成物の成分を示す場合、動物へ投与した時に、適度な効果/リスク比に対応して、その成分が過剰な毒性、刺激、又はアレルギー反応などの過度な有害作用を持たないことを意味する。従って、本明細書中で使用するとき、用語「医薬として許容される有機溶媒」は、動物へ投与した時に、適度な効果/リスク比に対応して、過剰な毒性、刺激、又はアレルギー反応などの過度な有害作用を持たない有機溶媒を意味する。医薬として許容される有機溶媒は、米国食品医薬品局(「FDA」)によって一般に安全と認められる(「GRAS」)溶媒であることが好ましい。同様に、本明細書中で使用するとき、用語「医薬として許容される有機塩基」は、動物へ投与した時に、適度な効果/リスク比に対応して、過剰な毒性、刺激、又はアレルギー反応などの過度な有害作用を持たない有機塩基を意味する。
【0071】
本明細書中で使用するとき、「注射液」又は「注射組成物」という表現は、シリンジによって吸い上げることができ、有害作用を起こすことなく動物の皮下、腹腔内、又は筋肉内へ注入することができる組成物を意味する。通常、製剤を0.22μmのフィルターによって98°Fでろ過した時、フィルター上の残渣が製剤の約15%以下、好ましくは約10%以下、より好ましくは約5%以下、さらに好ましくは約2%以下、最も好ましくは約1%以下である場合に、製剤又は組成物が注射液であるとみなされる。一つの態様では、本明細書で用いられる「注射液」という用語は、約40℃の温度まで温めた後に0.22μmのフィルターによってろ過した時、フィルター上の残渣が製剤の約15%以下、好ましくは約10%以下、より好ましくは約5%以下、さらに好ましくは約2%以下、最も好ましくは約1%以下である組成物を含む。しかしながら、ゲルである本発明の組成物の中には、容易にシリンジから投与することができるが、0.22μmのフィルター上に残るものもある。本明細書で用いられる「注射液」という用語は、このようなゲル組成物を含む。
【0072】
本明細書中で使用するとき、「薬物デポー(drug depot)」という表現は、アプタマーを含有し、そのアプタマーを徐々に放出して薬理学的効果量のアプタマーを供給する、治療を受けた動物の体内で形成される析出物を意味する。析出物とは、インビトロ又は生理的(インビボ)環境下で、室温において溶媒中で形成される不溶性の固体のことである。析出物は、例えば固体、結晶、粘着性の塊、又はゲルなど、多くの形を取り得る。析出物は、粘着性の塊又はゲルであることが好ましい。
【0073】
本明細書中で使用するとき、値の範囲を表す「約」という用語は、その範囲の上限及び下限の両方に適用される。例えば、「約90:10〜10:90の範囲」という表現は、「約90:10〜約10:90の範囲」と同じ意味である。
【0074】
5.2 ゲル
本発明の医薬組成物はゲル状である。理論に束縛されるものではないが、リン脂質又はスフィンゴミエリンがゲルを形成するのに十分な量の溶媒と混合された場合にゲルが形成されると考えられる。リン脂質又はスフィンゴミエリンは加熱しながら溶媒と混合され、続いて冷却されることが好ましい。
【0075】
5.2.1 リン脂質
本発明の医薬組成物には、医薬として許容されるいかなるリン脂質も使用することができる。
【0076】
代表的な医薬として許容されるリン脂質としては、これらに限定されないが:
一般式:
【0077】
【化5】

【0078】
で表されるホスファチジン酸が挙げられ、式中、R1、R2、及びR3は上記で定義される。本発明の組成物及び方法に使用するのに適した適切なホスファチジン酸としては、Avanti Polar Lipids Inc.社、アラバマ州、アラバスター、より市販されている1−アシル−2−アシル−sn−グリセロ−3−ホスフェート、及び1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
一般式:
【0080】
【化6】

【0081】
で表されるホスファチジルエタノールアミンが挙げられ、式中、R1、R2、及びR3は上記で定義される。本発明の組成物及び方法に使用するのに適した適切なホスファチジルエタノールアミンとしては、Avanti Polar Lipids Inc.社、アラバマ州、アラバスター、より市販されている1−アシル−2−アシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、及び1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
一般式:
【0083】
【化7】

【0084】
で表されるホスファチジルコリンが挙げられ、式中、R1、R2、及びR3は上記で定義される。本発明の組成物及び方法に使用するのに適した適切なホスファチジルコリンとしては、Avanti Polar Lipids Inc.社、アラバマ州、アラバスター、より市販されている1−アシル−2−アシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(飽和系)、及び1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(不飽和系)、並びに、Phospholipid GmbH社、ドイツ、ケルン、より市販されているPhospholipon(登録商標)−50PG、Phospholipon(登録商標)−53MCT、Phospholipon(登録商標)−75SA、Phospholipon(登録商標)−80、Phospholipon(登録商標)−90NG、Phospholipon(登録商標)−90H、及びPhospholipon(登録商標)−100Hが挙げられるが、これらに限定されない。一つの態様では、リン脂質はPhospholipon(登録商標)−90Hである。
【0085】
一般式:
【0086】
【化8】

【0087】
で表されるホスファチジルセリンが挙げられ、式中、R1、R2、及びR3は上記で定義される。本発明の組成物及び方法に使用するのに適した適切なホスファチジルセリンとしては、Avanti Polar Lipids Inc.社、アラバマ州、アラバスター、より市販されている1−アシル−2−アシル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−L−セリン]、及び1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−L−セリン]が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
一般式:
【0089】
【化9】

【0090】
で表されるプラズマロゲンが挙げられ、式中、R1及びR2は上記で定義され、R3は−C=C−R9で表され、式中、R9は上記で定義される。本発明の組成物及び方法に使用するのに適した適切なプラズマロゲンとしては、Avanti Polar Lipids Inc.社、アラバマ州、アラバスター、より市販されているC16(Plasm)−12:0 NBD PC、C16(Plasm)−18:1 PC、C16(Plasm)−20:4 PC、C16(Plasm)−22:6 PC、C16(Plasm)−18:1 PC、C16(Plasm)−20:4 PE、及びC16(Plasm)−22:6 PE、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
一般式:
【0092】
【化10】

【0093】
で表されるホスファチジルグリセロールが挙げられ、式中、R1、R2、及びR3は上記で定義される。本発明の組成物及び方法に使用するのに適した適切なホスファチジルグリセロールとしては、Avanti Polar Lipids Inc.社、アラバマ州、アラバスター、より市販されている1−アシル−2−アシル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)]、及び1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)]が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
一般式:
【0095】
【化11】

【0096】
で表されるホスファチジルイノシトールが挙げられ、式中、R1、R2、及びR3は上記で定義される。本発明の組成物及び方法に使用するのに適した適切なホスファチジルイノシトールとしては、Avanti Polar Lipids Inc.社、アラバマ州、アラバスター、より市販されているホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、及びホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
医薬組成物中のリン脂質の量は、通常、医薬組成物に対して約0.1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲である。
【0098】
一つの態様では、医薬組成物中のリン脂質の量は、医薬組成物に対して約0.5重量パーセント〜7重量パーセントの範囲である。
【0099】
一つの態様では、医薬組成物中のリン脂質の量は、医薬組成物に対して約1重量パーセント〜4重量パーセントの範囲である。
【0100】
一つの態様では、医薬組成物中のリン脂質の量は、医薬組成物に対して約2重量パーセント〜4重量パーセントの範囲である。
【0101】
一つの態様では、医薬組成物中のリン脂質の量は、医薬組成物に対して約1重量パーセント超である。
【0102】
一つの態様では、医薬組成物中のリン脂質の量は、医薬組成物に対して約2重量パーセント超である。
【0103】
通常、医薬組成物中のリン脂質濃度が上がると、医薬組成物の粘度も上昇する。従って、医薬組成物中に存在するリン脂質の量を変えることによって、医薬組成物の粘度を変化させることが可能である。
【0104】
しかしながら、当業者であれば、本発明の医薬組成物中に存在するリン脂質の量が、医薬組成物中に存在する有機溶媒、アプタマー、及び/又はその他の追加成分によって大きく変化し得ることが認識されるであろう。
【0105】
リン脂質は市販されており、又は当業者に公知の方法によって得ることができる。リン脂質を得る代表的な方法は、Sandra Peschら,Properties of Unusual Phospholipids Bearing Acetylenic Fatty Acids,Tettrahedron,vol.15,no.43,14627−14634(1997);Sepp D.Kohlwein,Phospholipid Synthesis,Sorting,Subcellular Traffic−The Yeast Approach,Trends in Cell Biology,vol.6,260−266(1996)、Serguei V.Vinogradov,Synthesis of Phospholipids−Oligodeoxyribonucleotide Conjugates,Tett.Lett.,vol.36,no.14,2493−2496(1995)、及びこれらに引用されている文献に記載されている。
【0106】
7.2.2 スフィンゴミエリン
医薬として許容されるいかなるスフィンゴミエリンも本発明の医薬組成物に使用することができる。
【0107】
一つの態様では、スフィンゴミエリンは、
【0108】
【化12】

【0109】
であり、式中、R11はC1−C24の飽和若しくは不飽和の直鎖炭化水素基を表し、R4は−CH2CH2N(CH33+を表す。別の態様では、R11はC8−C24の飽和若しくは不飽和の直鎖炭化水素基を表し、R4は−CH2CH2N(CH33+を表す。別の態様では、R11はC16−C24の飽和若しくは不飽和の直鎖炭化水素基を表し、R4は−CH2CH2N(CH33+を表す。
【0110】
適切なスフィンゴミエリンとしては、Avanti Polar Lipids Inc.社、アラバマ州、アラバスター、より市販されているC2−スフィンゴミエリン、C6−スフィンゴミエリン、C18−スフィンゴミエリン、C6−NBD−スフィンゴミエリン、及びC12−NBDスフィンゴミエリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
医薬組成物中のスフィンゴミエリンの量は、通常、医薬組成物に対して約0.1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲である。
【0112】
一つの態様では、医薬組成物中のスフィンゴミエリンの量は、医薬組成物に対して約0.5重量パーセント〜7重量パーセントの範囲である。
【0113】
一つの態様では、医薬組成物中のスフィンゴミエリンの量は、医薬組成物に対して約1重量パーセント〜4重量パーセントの範囲である。
【0114】
一つの態様では、医薬組成物中のスフィンゴミエリンの量は、医薬組成物に対して約2重量パーセント〜4重量パーセントの範囲である。
【0115】
一つの態様では、医薬組成物中のスフィンゴミエリンの量は、医薬組成物に対して約1重量パーセント超である。
【0116】
一つの態様では、医薬組成物中のスフィンゴミエリンの量は、医薬組成物に対して約2重量パーセント超である。
【0117】
通常、医薬組成物中のスフィンゴミエリン濃度が上がると、医薬組成物の粘度も上昇する。従って、医薬組成物中に存在するスフィンゴミエリンの量を変えることによって、医薬組成物の粘度を変化させることが可能である。
【0118】
しかしながら、当業者であれば、本発明の医薬組成物中に存在するスフィンゴミエリンの量が、医薬組成物中に存在する有機溶媒、アプタマー、及び/又はその他の追加成分によって大きく変化し得ることが認識されるであろう。
【0119】
7.2.3 溶媒
リン脂質又はスフィンゴミエリンとゲルを形成する、医薬として許容されるいかなる有機溶媒も本発明の医薬組成物に使用することができる。
【0120】
適切な有機溶媒には、少量の不純物が含まれていてもよい。通常、有機溶媒の純度は95重量パーセント超であり、好ましくは97重量パーセント超であり、より好ましくは98重量パーセント超であり、最も好ましくは99重量パーセント超である。
【0121】
一つの態様では、有機溶媒は、動物による使用又は摂取に対してFDAによりGRAS(「一般に安全と認められる」)に指定されている。
【0122】
別の態様では、有機溶媒は、ヒトによる使用又は摂取に対してFDAによりGRASに指定されている。
【0123】
一つの態様では、溶媒は、第1有機溶媒と第二の有機溶媒の混合物である。しかしながら、第1有機溶媒と第二の有機溶媒は相溶性でなければならない。
【0124】
一つの態様では、第1有機溶媒は、極性非プロトン性溶媒であり、第二の有機溶媒は、極性プロトン性溶媒である。
【0125】
本発明の組成物及び方法に有用な代表的な極性非プロトン性溶媒としては、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリアセチン、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
本発明の組成物及び方法に有用な代表的な極性非プロトン性溶媒としては、グリセロールホルマール並びにプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールなどのジオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
第1有機溶媒が極性非プロトン性溶媒であり、第二の有機溶媒が極性プロトン性溶媒の場合、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約90:10〜10:90の範囲とすることができる。一つの態様では、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約80:20〜20:80の範囲である。一つの態様では、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約70:30〜30:70の範囲である。一つの態様では、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約60:40〜40:60の範囲である。一つの態様では、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約50:50である。
【0128】
一つの態様では、第1有機溶媒及び第二の有機溶媒は各々実質的に水を含有しない。一つの態様では、第1有機溶媒及び第二の有機溶媒の水の含有量は各々約2重量パーセント未満である。一つの態様では、第1有機溶媒及び第二の有機溶媒の水の含有量は各々約1重量パーセント未満である。一つの態様では、第1有機溶媒及び第二の有機溶媒の水の含有量は各々約0.5重量パーセント未満である。一つの態様では、第1有機溶媒及び第二の有機溶媒の水の含有量は各々約0.2重量パーセント未満である。実質的に水を含有しない有機溶媒は、バクテリアの増殖に寄与しないため有利である。従って、通常、実質的に水を含有しない医薬組成物は保存剤を含む必要はない。しかしながら、ある態様では、本発明の非水性医薬組成物は保存剤を含むことができる。実質的に水を含有しないことが好ましい医薬として許容される有機溶媒を溶媒として使用した医薬組成物の別の利点としては、アプタマーの加水分解が最小限に抑えられることが挙げられる。通常、溶媒中に存在する水が多いほど、アプタマーはより容易に加水分解され得る。従って、医薬として許容される有機溶媒を溶媒として使用したアプタマー含有医薬組成物は、水を溶媒として使用したアプタマー含有医薬組成物よりも安定であることができる。
【0129】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールである。
【0130】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はプロピレングリコールである。
【0131】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールグリコール又はプロピレングリコールであり、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約80:20〜約20:80の範囲である。
【0132】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマール又はプロピレングリコールであり、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約75:25〜約25:75の範囲である。
【0133】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマール又はプロピレングリコールであり、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約60:40〜約40:60の範囲である。
【0134】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマール又はプロピレングリコールであり、第1有機溶媒の第二の有機溶媒に対する比は約50:50の範囲である。
【0135】
医薬組成物中の有機溶媒の総量(すなわち第1有機溶媒及び第二の有機溶媒)は、通常、医薬組成物に対して約20〜約99重量パーセントの範囲である。
【0136】
一つの態様では、医薬組成物中の有機溶媒の総量は、医薬組成物に対して約35〜約90重量パーセントである。
【0137】
一つの態様では、医薬組成物中の有機溶媒の量は、医薬組成物に対して少なくとも約35重量パーセントである。
【0138】
一つの態様では、医薬組成物中の有機溶媒の量は、医薬組成物に対して少なくとも約50重量パーセントである。
【0139】
一つの態様では、医薬組成物中の有機溶媒の量は、医薬組成物に対して少なくとも約75重量パーセントである。
【0140】
一つの態様では、医薬組成物中の有機溶媒の量は、医薬組成物に対して少なくとも約85重量パーセントである。
【0141】
一つの態様では、医薬組成物中の有機溶媒の量は、医薬組成物に対して少なくとも約90重量パーセントである。
【0142】
別の態様では、溶媒は、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される。
【0143】
プロピレングリコールは、式:
CH3−CH2(OH)−CH2−OH 又は OH−CH2−CH2−CH2−OH
で表される有機溶媒である。
【0144】
一つの態様では、プロピレングリコールは、1,2−プロピレングリコールである。別の態様では、プロピレングリコールは、1,3−プロピレングリコールである。一つの態様では、プロピレングリコールは、1,2−プロピレングリコールと1,3−プロピレングリコールとの混合物である。
【0145】
グリセロールホルマールは、式C483の有機溶媒であり、5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサンと4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソランとの約60:40の比の混合物として存在する。溶媒グリセロールホルマールは2種類の化合物から成り、この2種類の化合物は約60:40という特定の比率で存在しているが、通常は化合物の混合物ではなく「溶媒」とみなされる。これは、5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサンと4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソランとが互いに平衡の関係にあるからである。従って、本明細書で用いるグリセロールホルマール(すなわち、5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサンと4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソランとの約60:40の比の混合物)という用語は、実質的に他の有機溶媒を含有しない有機溶媒である。
【0146】
プロピレングリコールとグリセロールホルマールは、少量の不純物を含んでいてもよい。通常、プロピレングリコールとグリセロールホルマールの純度は、それぞれ95重量パーセント超であり、好ましくは98重量パーセント超であり、より好ましくは99重量パーセント超である。溶媒、特にグリセロールホルマールは安定剤を含んでいてもよい。通常、安定剤は0.5重量パーセント又はそれ未満の量で存在し、好ましくは0.25重量パーセント又はそれ未満の量、最も好ましくは0.5重量パーセント又はそれ未満の量である。例えば、市販されているグリセロールホルマールは、通常、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、チオジプロピオン酸、及び没食子酸プロピルを安定剤として含有している。
【0147】
一つの態様では、プロピレングリコール及びグリセロールホルマールは、それぞれ実質的に水を含有しない。一つの態様では、プロピレングリコール及びグリセロールホルマールの水の含有量は、それぞれ約2重量パーセント未満である。一つの態様では、プロピレングリコール及びグリセロールホルマールの水の含有量は、それぞれ約1重量パーセント未満である。一つの態様では、プロピレングリコール及びグリセロールホルマールの水の含有量は、それぞれ約0.5重量パーセント未満である。一つの態様では、プロピレングリコール及びグリセロールホルマールの水の含有量は、それぞれ約0.2重量パーセント未満である。実質的に水を含有しないプロピレングリコール及びグリセロールホルマールは、バクテリアの増殖に寄与しないため有利である。従って、通常、実質的に水を含有しない医薬組成物は保存剤を含む必要はない。しかしながら、ある態様では、本発明の非水性医薬組成物は保存剤を含むことができる。
【0148】
一つの態様では、医薬組成物はプロピレングリコールとグリセロールホルマールとの混合物を含む。プロピレングリコールのグリセロールホルマールに対する比は、約2:98〜98:2の範囲とすることができる。一つの態様では、プロピレングリコールのグリセロールホルマールに対する比は、約5:95〜95:5の範囲である。一つの態様では、プロピレングリコールのグリセロールホルマールに対する比は、約10:90〜90:10の範囲である。一つの態様では、プロピレングリコールのグリセロールホルマールに対する比は、約25:75〜75:25の範囲である。一つの態様では、プロピレングリコールのグリセロールホルマールに対する比は、約55:45〜45:55の範囲である。一つの態様では、プロピレングリコールのグリセロールホルマールに対する比は、約50:50である。
【0149】
プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物の医薬組成物中の量は、通常、医薬組成物に対して約20〜約99重量パーセントの範囲である。
【0150】
一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物の医薬組成物中の量は、医薬組成物に対して約35〜約90重量パーセントの範囲である。
【0151】
一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物の医薬組成物中の量は、医薬組成物に対して少なくとも約35重量パーセントである。
【0152】
一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物の医薬組成物中の量は、医薬組成物に対して少なくとも約50重量パーセントである。
【0153】
一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物の医薬組成物中の量は、医薬組成物に対して少なくとも約75重量パーセントである。
【0154】
一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物の医薬組成物中の量は、医薬組成物に対して少なくとも約85重量パーセントである。
【0155】
別の態様では、溶媒は、(i)プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される第1有機溶媒と、(ii)N−メチルピロリドンとの混合物である。一つの態様では、溶媒は、(i)実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される第1有機溶媒と、(ii)実質的に他の有機溶媒を含有しないN−メチルピロリドンとの混合物である。
【0156】
プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンは少量の不純物を含んでいてもよい。通常、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの純度は、それぞれ95重量パーセント超であり、好ましくは98重量パーセント超であり、より好ましくは99重量パーセント超である。溶媒、特にグリセロールホルマールは安定剤を含んでいてもよい。通常、安定剤は0.5重量パーセント又はそれ未満の量で存在し、好ましくは0.25重量パーセント又はそれ未満の量、最も好ましくは0.5重量パーセント又はそれ未満の量である。
【0157】
一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンは、それぞれ実質的に水を含有しない。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの水の含有量は、それぞれ約2重量パーセント未満である。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの水の含有量は、それぞれ約1重量パーセント未満である。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの水の含有量は、それぞれ約0.5重量パーセント未満である。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの水の含有量は、それぞれ約0.2重量パーセント未満である。実質的に水を含有しないプロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンは、バクテリアの増殖に寄与しないため有利である。従って、通常、実質的に水を含有しない医薬組成物は保存剤を含む必要はない。しかしながら、ある態様では、本発明の非水性医薬組成物は保存剤を含むことができる。
【0158】
プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物のN−メチルピロリドンに対する比は、約2:98〜98:2の範囲とすることができる。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物のN−メチルピロリドンに対する比は、約5:95〜95:5の範囲である。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物のN−メチルピロリドンに対する比は、約10:90〜90:10の範囲である。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物のN−メチルピロリドンに対する比は、約25:75〜75:25の範囲である。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物のN−メチルピロリドンに対する比は、約55:45〜45:55の範囲である。一つの態様では、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物のN−メチルピロリドンに対する比は、約50:50である。
【0159】
医薬組成物中のプロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの量は、通常、医薬組成物に対して約20〜約99重量パーセントである。
【0160】
一つの態様では、医薬組成物中のプロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの量は、通常、医薬組成物に対して約35〜約90重量パーセントの範囲である。
【0161】
一つの態様では、医薬組成物中のプロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの量は、通常、医薬組成物に対して少なくとも約35重量パーセントである。
【0162】
一つの態様では、医薬組成物中のプロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの量は、通常、医薬組成物に対して少なくとも約50重量パーセントである。
【0163】
一つの態様では、医薬組成物中のプロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの量は、通常、医薬組成物に対して少なくとも約75重量パーセントである。
【0164】
一つの態様では、医薬組成物中のプロピレングリコール、グリセロールホルマール、及びN−メチルピロリドンの量は、通常、医薬組成物に対して少なくとも約85重量パーセントである。
【0165】
5.3 アプタマー
アプタマーは、当業者に公知のいかなるアプタマーであってもよい。
一つの態様では、アプタマーはDNA鎖である。一つの態様では、DNAは二本鎖DNAである。一つの態様では、DNAは一本鎖DNAである。
【0166】
一つの態様では、アプタマーはRNA鎖である。
一つの態様では、アプタマーは80kDまでの分子量を有する。一つの態様では、アプタマーの分子量は約15kD〜80Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約10kD〜80Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約5kD〜80Kdの範囲である。
【0167】
一つの態様では、アプタマーは60kDまでの分子量を有する。一つの態様では、アプタマーの分子量は約15kD〜60Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約10kD〜60Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約5kD〜60Kdの範囲である。
【0168】
一つの態様では、アプタマーは40kDまでの分子量を有する。一つの態様では、アプタマーの分子量は約15kD〜40Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約10kD〜40Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約5kD〜40Kdの範囲である。
【0169】
一つの態様では、アプタマーは30kDまでの分子量を有する。一つの態様では、アプタマーの分子量は約15kD〜30Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約10kD〜30Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約5kD〜30Kdの範囲である。
【0170】
一つの態様では、アプタマーは20kD超の分子量を有する。一つの態様では、アプタマーの分子量は約10kD〜20Kdの範囲である。一つの態様では、アプタマーの分子量は約5kD〜20Kdの範囲である。
【0171】
一つの態様では、アプタマーの分子量は約5kD〜10Kdの範囲である。
アプタマーを構成するヌクレオチドは、修飾されることによって、例えば安定性を向上、すなわちインビボでの半減期を伸ばしたり、及び/又は動物へ投与した時の排出速度を減少させたりすることができる。「修飾される」という用語は、共有結合によって修飾された塩基及び/又は糖を有するヌクレオチドを包含する。例えば、修飾されたヌクレオチドは、3’位にヒドロキシル基以外の、5’位にリン酸基以外の低分子量有機基が共有結合した糖を有するヌクレオチドを含む。修飾されたヌクレオチドは、2’−O−メチル−;2’−O−アルキル;2’−O−アリル;2’−S−アルキル;2’−S−アリル;2’−フルオロ−;2’−ハロ、若しくは2’−アジド−リボースなどの2’置換された糖;炭素環式糖類似体;アラビノース、キシロース、若しくはリキソースなどのα−アノマー糖;及びエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、並びにセドヘプツロースも含むことができる。
【0172】
当該技術分野で公知の修飾されたヌクレオチドは、アルキル化されたプリン類及び/又はピリミジン類;アシル化されたプリン類及び/又はピリミジン類;又はその他の複素環を含むが、これらに限定されない。これらの種類のピリミジン類及びプリン類は当該技術分野で公知であり、シュードイソシトシン;N4,N4−エタノシトシン;8−ヒドロキシ−N6−メチルアデニン;4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル;5−フルオロウラシル;5−ブロモウラシル;5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル;5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル;ジヒドロウラシル;イノシン;N6−イソペンチル−アデニン;1−メチルアデニン;1−メチルシュードウラシル;1−メチルグアニン;2,2−ジメチルグアニン;2−メチルアデニン;2−メチルグアニン;3−メチルシトシン;5−メチルシトシン;N6−メチルアデニン;7−メチルグアニン;5−メチルアミノメチルウラシル;5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル;β−D−マンノシルキューオシン;5−メトキシカルボニルメチルウラシル;5−メトキシウラシル;2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン;ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル;シュードウラシル;2−チオシトシン;5−メチル−2−チオウラシル;2−チオウラシル;4−チオウラシル;5−メチルウラシル;N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル;ウラシル−5−オキシ酢酸;キューオシン;2−チオシトシン;5−プロピルウラシル;5−プロピルシトシン;5−エチルウラシル;5−エチルシトシン;5−ブチルウラシル;5−ペンチルウラシル;5−ペンチルシトシン;及び2,6−ジアミノプリン;メチルシュードウラシル;1−メチルグアニン;及び1−メチルシトシンが含まれる。
【0173】
アプタマーは、1又は2個以上のリン酸ジエステル結合を別の連結基で置換することによっても修飾することができる。別の連結基としては、P(O)OがP(O)S、P(S)S、P(O)NR2、P(O)R、P(O)OR’、CO、又はCH2で置換され、ここで、R又はR’が各々独立してH又は置換若しくは非置換のC1−C20のアルキル基である態様が挙げられるが、これらに限定されない。P(O)NR2基の置換基Rの組み合わせとしては、H及びメトキシエチルが好ましい。連結基は通常、−O−結合を介して各々に隣接するヌクレオチドと結合しているが、修飾されて−N−又は−S−結合を含んでもよい。オリゴマー中の結合がすべて同一である必要はない。
【0174】
アプタマーは、ポリマーと抱合体形成させて修飾することにより、例えば動物へ投与された時の排出速度を抑えることもできる。例えば、アプタマーは「ペグ化」、すなわちポリエチレングリコール(「PEG」)と抱合体形成することができる。一つの態様では、PEGの平均分子量は約20kD〜80kDの範囲である。アプタマーをPEGなどのポリマーと抱合体形成する方法は、当業者に公知である(例えば、Greg T.Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,1966を参照されたい)。
【0175】
本発明の組成物及び方法に有用な修飾されたアプタマーの例は、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005を参照されたい。
【0176】
一つの態様では、アプタマーはポリマーと抱合体形成している。
一つの態様では、アプタマーはポリマーと抱合体形成したRNA鎖である。
【0177】
一つの態様では、アプタマーはポリマーと抱合体形成したDNA鎖である。
一つの態様では、アプタマーはPEGと抱合体形成している。
【0178】
一つの態様では、アプタマーはPEGと抱合体形成したRNA鎖である。
一つの態様では、アプタマーはPEGと抱合体形成したDNA鎖である。
【0179】
一つの態様では、アプタマーはRNA鎖であり、この場合アプタマーを構成する糖の2’ヒドロキシルの少なくとも1つがO−メチル化されている。
【0180】
一つの態様では、アプタマーはRNA鎖であり、この場合アプタマーを構成する糖の2’ヒドロキシルの少なくとも1つがO−メチル化されており、RNA鎖がポリマーと抱合体形成している。
【0181】
一つの態様では、アプタマーはRNA鎖であり、この場合アプタマーを構成するヌクレオチドの2’ヒドロキシルの少なくとも1つがO−メチル化されており、RNA鎖がPEGと抱合体形成している。
【0182】
一つの態様では、アプタマーはVEGF(血管内皮増殖因子)と結合する。
一つの態様では、アプタマーは、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載のARC224である。
【0183】
一つの態様では、アプタマーは、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載のARC245である。
【0184】
一つの態様では、アプタマーは、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載のARC225である。
【0185】
一つの態様では、アプタマーは、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載のARC259である。
【0186】
一つの態様では、アプタマーは、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005、に記載のARC259であり、この場合アプタマーの5’リン酸基が:
【0187】
【化13】

【0188】
によってペグ化されている(以降「ペグ化ARC259」と称する)。
【0189】
一つの態様では、アプタマーの少なくともいくつかのリン酸基がプロトン化されている、すなわちアプタマーがプロトン化アプタマーとして存在する。一つの態様では、アプタマーのすべてのリン酸基がプロトン化されている。
【0190】
一つの態様では、アプタマーはプロトン化アプタマーの塩である。一つの態様では、アプタマーはプロトン化アプタマーの無機塩である。適切な無機塩としては、プロトン化アプタマーの酸性リン酸基と医薬として許容される無機塩基との反応によって調製される塩が挙げられるが、これらに限定されない。適切な無機塩基としては、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;並びにアルミニウム及び亜鉛などその他の金属の水酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
一つの態様では、アプタマーは、アプタマー及び1又は2種類以上の追加成分を含むアプタマー組成物として存在する。アプタマーが、アプタマー及び1又は2種類以上の追加成分を含むアプタマー組成物として存在する代表的な態様を以下に示す。
【0192】
7.3.1. (i)医薬として許容される有機塩基、及び(ii)プロトン化アプタマーを含む組成物
一つの態様では、アプタマーは、(i)医薬として許容される有機塩基及び(ii)プロトン化アプタマーを含むアプタマー組成物として存在する。理論に束縛されるものではないが、プロトン化アプタマーの酸性リン酸基は、式塩基−NH2の医薬として許容される有機塩基とプロトン化アプタマーについて以下に概略的に示すように、医薬として許容される有機塩基のアミノ基をプロトン化して1又は2種類以上の医薬として許容される有機塩基分子とアプタマーとの塩を形成すると考えられる。
【0193】
【化14】

【0194】
式中、Bはヌクレオチドを表し、Sは糖を表し、塩基−NH3+はプロトン化された医薬として許容される有機塩基を表す。しかしながら、すべてのリン酸基が医薬として許容される有機塩基分子とイオン結合する必要はない。
【0195】
当業者に公知の医薬として許容されるいかなる有機塩基も本発明の医薬組成物に使用することができる。代表的な有機塩基としては、アンモニア;シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン、N−メチルアミン、N−エチルアミン、ジエチルアミン;ジメチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)(モノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、及びトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンなど)、N,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミン(N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン若しくはN,N−ジアルキル−N−トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンなど)、などの非置換若しくはヒドロキシ置換のモノ−、ジ−、又はトリ−アルキルアミン;ピリジン;ベンジルアミン;フェネチルアミン;N−メチル−D−グルカミン;N,N’−ジベンジルエチレンジアミン;クロロプロカイン;クロリン;プロカインを含むがこれらに限定されない有機アミン;並びにアルギニン、リジンなどのアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない(Bergeら,J.Pharm.Sci.,1977,66,1も参照されたい)。
【0196】
本明細書で述べるいかなるアプタマーも組成物に使用することができる。
医薬として許容される有機塩基の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、通常、約2:1〜1:2の範囲である。一つの態様では、医薬として許容される有機塩基の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.5:1〜1:1.5の範囲である。一つの態様では、医薬として許容される有機塩基の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.25:1〜1:1.25の範囲である。一つの態様では、医薬として許容される有機塩基の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.1:1〜1:1.1の範囲である。一つの態様では、医薬として許容される有機塩基の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1:1である。しかしながら、医薬として許容される有機塩基の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、より広い範囲とすることも可能である。例えば、医薬として許容される有機塩基の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約15:1〜1:15の範囲とすることができる。
【0197】
一つの態様では、アミンはアミノ酸エステルである。
一つの態様では、アミンはアミノ酸アミドである。
【0198】
一つの態様では、アミンはジアミン(例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、又はリジンのエステル若しくはアミド)である。
【0199】
7.3.1.1 (i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、及び(ii)プロトン化アプタマーを含む組成物
一つの態様では、アプタマーは、(i)アミノ酸のエステル又はアミド、及び(ii)プロトン化アプタマーを含む組成物として存在する。理論に束縛されるものではないが、プロトン化アプタマーの酸性リン酸基は、アミノ酸エステルとプロトン化アプタマーについて以下に概略的に示すように、アミノ酸のエステル又はアミドのアミノ基をプロトン化して、1若しくは2種類以上のアミノ酸エステル又はアミドの分子とプロトン化アプタマーとの塩を形成すると考えられる:
【0200】
【化15】

【0201】
式中、B、S、R、R1は本明細書で述べる意味を表す。しかしながら、すべてのリン酸基がアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとイオン結合する必要はない。
【0202】
本明細書で述べるいかなるアミノ酸又はアミノ酸エステルも組成物に使用することができる。
【0203】
本明細書で述べるいかなるアプタマーも組成物に使用することができる。
アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、通常、約2:1〜1:2の範囲である。一つの態様では、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.5:1〜1:1.5の範囲である。一つの態様では、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.25:1〜1:1.25の範囲である。一つの態様では、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.1:1〜1:1.1の範囲である。一つの態様では、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1:1である。しかしながら、アミノ酸エステル又はアミノ酸の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、より広い範囲とすることも可能である。例えば、アミノ酸エステル又はアミノ酸の塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約15:1〜1:15の範囲とすることができる。
【0204】
アミノ酸エステル
アミノ酸エステルは、いかなるアミノ酸のいかなるエステル、すなわちアミノ酸のカルボン酸基がC1−C22のアルコールでエステル化されたアミノ酸であってよい。従って、アミノ酸エステルは一般式(I)で表され:
【0205】
【化16】

【0206】
式中、
Rは、アミノ酸の側鎖を表し;及び
1は、C1〜C22の炭化水素基を表す。
【0207】
当業者であれば容易に分かるように、アミノ酸の側鎖Rとして広範囲にわたる基が可能である。例えば、アミノ酸側鎖は、任意に置換されていてもよい炭化水素基であってよい。適切な置換基としては、ハロ、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸、スルホン酸、芳香族基、及び芳香族又は非芳香族複素環基が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸側鎖は、任意にチオール、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸、芳香族基、又は芳香族若しくは非芳香族複素環基で置換されていてもよいC1−C10の直鎖又は分岐炭化水素であることが好ましい。
【0208】
アミノ酸エステルは、天然アミノ酸のエステルであっても、合成アミノ酸のエステルであってもよい。アミノ酸は、d−アミノ酸であってもl−アミノ酸であってもよい。好ましくは、アミノ酸エステルは、天然アミノ酸のエステルである。より好ましくは、アミノ酸エステルは、グリジン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから選択されるアミノ酸のエステルである。
【0209】
炭化水素基R1は、C1〜C22のいかなる炭化水素基であってもよい。代表的なC1〜C22の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、アリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、cis−9−ヘキサデセニル、cis−9−オクタデセニル、cis,cis−9,12−オクタデセニル、及びcis,cis,cis−9,12,15−オクタデカトリエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
一つの態様では、R1は直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R1は分岐炭化水素基である。
【0211】
一つの態様では、R1は飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R1は不飽和炭化水素基である。
【0212】
一つの態様では、R1は直鎖飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R1は直鎖不飽和炭化水素基である。
【0213】
一つの態様では、R1はC1−C16の炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC1−C10の炭化水素基である。
【0214】
一つの態様では、R1はC1−C5の炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC1−C3の炭化水素基である。
【0215】
一つの態様では、R1はC6−C22の炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC6−C18の炭化水素基である。
【0216】
一つの態様では、R1はC8−C18の炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC10−C18の炭化水素基である。
【0217】
一つの態様では、R1はC16−C18の炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC16−C22の炭化水素基である。
【0218】
一つの態様では、R1はC1−C16の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC1−C10の直鎖炭化水素基である。
【0219】
一つの態様では、R1はC1−C5の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC1−C3の直鎖炭化水素基である。
【0220】
一つの態様では、R1はC6−C22の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC6−C18の直鎖炭化水素基である。
【0221】
一つの態様では、R1はC8−C18の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC10−C18の直鎖炭化水素基である。
【0222】
一つの態様では、R1はC16−C18の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC16−C22の直鎖炭化水素基である。
【0223】
一つの態様では、R1はC1−C16の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC1−C10の分岐炭化水素基である。
【0224】
一つの態様では、R1はC1−C5の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC1−C3の分岐炭化水素基である。
【0225】
一つの態様では、R1はC6−C22の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC6−C18の分岐炭化水素基である。
【0226】
一つの態様では、R1はC8−C18の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC10−C18の分岐炭化水素基である。
【0227】
一つの態様では、R1はC16−C18の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC16−C22の分岐炭化水素基である。
【0228】
一つの態様では、R1はC1−C16の直鎖不飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC1−C10の直鎖不飽和炭化水素基である。
【0229】
一つの態様では、R1はC1−C5の直鎖不飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC1−C3の直鎖不飽和炭化水素基である。
【0230】
一つの態様では、R1はC6−C22の直鎖不飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC6−C18の直鎖不飽和炭化水素基である。
【0231】
一つの態様では、R1はC8−C18の直鎖不飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC10−C18の直鎖不飽和炭化水素基である。
【0232】
一つの態様では、R1はC16−C18の直鎖不飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R1はC16−C22の直鎖不飽和炭化水素基である。
【0233】
後に述べるように、R1の構造を変えることによって、医薬組成物の性質を変化させることが可能である。
【0234】
アミノ酸エステルは、J.March,Advanced Organic Chemistry, Reaction Mechanisms and Structure,4th ed.John Wiley & Sons,NY,1992,pp.393−400などに記載の当業者に公知の方法を用いて、アミノ酸を式R1−OHのアルコールでエステル化することによって得ることができる。アミノ酸及び式R1−OHのアルコールは市販されており、又は当業者に公知の方法によって調製することができる。アミノ酸を式R1−OHのアルコールでエステル化する場合、アミノ酸又はアルコールの他のいくつかの官能基を、エステル化反応の後に引き続いて除去される保護基によって保護しなければならない場合がある。アミノ酸を式R1−OHのアルコールでエステル化する前にどの官能基を保護する必要があるのかは、当業者であれば容易に認識される。適切な保護基は当業者に公知であり、T.W.Greeneら,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.(1999)などに記載されている。
【0235】
アミノ酸アミド
アミノ酸アミドはいかなるアミノ酸のいかなるアミド、すなわちアミノ酸のカルボン酸が式HN(R3)(R4)のアミンと反応してアミドを形成するアミノ酸でよく、ここでR3及びR4は上記で定義される。従って、アミノ酸アミドは一般式(II)で表され:
【0236】
【化17】

【0237】
式中、
Rは、アミノ酸の側鎖を表し;
3は、C1〜C22の炭化水素基を表し;及び
4は、水素又はC1〜C22の炭化水素基を表す。
【0238】
当業者であれば容易に分かるように、アミノ酸の側鎖Rとして広範囲にわたる基が可能である。例えば、アミノ酸側鎖は、任意に置換されていてもよい炭化水素基であってよい。適切な置換基としては、ハロ、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸、スルホン酸、芳香族基、及び芳香族又は非芳香族複素環基が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸側鎖は、任意にチオール、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸、芳香族基、又は芳香族若しくは非芳香族複素環基で置換されていてもよいC1−C10の直鎖又は分岐炭化水素であることが好ましい。
【0239】
アミノ酸アミドは、天然アミノ酸のアミドであっても、合成アミノ酸のアミドであってもよい。アミノ酸は、d−アミノ酸であってもl−アミノ酸であってもよい。好ましくは、アミノ酸エステルは、天然アミノ酸のエステルである。より好ましくは、アミノ酸エステルは、グリジン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから選択されるアミノ酸のエステルである。
【0240】
3で表される基は、C1〜C22のいかなる炭化水素基であってもよい。R4で表される基は、水素又はC1〜C22のいかなる炭化水素基であってもよい。代表的なC1〜C22の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、アリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、cis−9−ヘキサデセニル、cis−9−オクタデセニル、cis,cis−9,12−オクタデセニル、及びcis,cis,cis−9,12,15−オクタデカトリエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0241】
一つの態様では、R4は水素であり、R3は直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3は分岐炭化水素基である。
【0242】
一つの態様では、R4は水素であり、R3は飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3は不飽和炭化水素基である。
【0243】
一つの態様では、R4は水素であり、R3は直鎖飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3は直鎖不飽和炭化水素基である。
【0244】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C16の炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C10の炭化水素基である。
【0245】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C5の炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C3の炭化水素基である。
【0246】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC6−C22の炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC6−C18の炭化水素基である。
【0247】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC8−C18の炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC10−C18の炭化水素基である。
【0248】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC16−C18の炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC16−C22の炭化水素基である。
【0249】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C16の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C10の直鎖炭化水素基である。
【0250】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C5の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C3の直鎖炭化水素基である。
【0251】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC6−C22の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC6−C18の直鎖炭化水素基である。
【0252】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC8−C18の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC10−C18の直鎖炭化水素基である。
【0253】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC16−C18の直鎖炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC16−C22の直鎖炭化水素基である。
【0254】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C16の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C10の分岐炭化水素基である。
【0255】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C5の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C3の分岐炭化水素基である。
【0256】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC6−C22の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC6−C18の分岐炭化水素基である。
【0257】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC8−C18の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC10−C18の分岐炭化水素基である。
【0258】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC16−C18の分岐炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC16−C22の分岐炭化水素基である。
【0259】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C16の直鎖飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C10の直鎖飽和炭化水素基である。
【0260】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C5の直鎖飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC1−C3の直鎖飽和炭化水素基である。
【0261】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC6−C22の直鎖飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC6−C18の直鎖飽和炭化水素基である。
【0262】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC8−C18の直鎖飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC10−C18の直鎖飽和炭化水素基である。
【0263】
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC16−C18の直鎖飽和炭化水素基である。
一つの態様では、R4は水素であり、R3はC16−C22の直鎖飽和炭化水素基である。
【0264】
一つの態様では、R3及びR4は各々、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0265】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C16の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0266】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C10の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0267】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C5の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0268】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C3の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0269】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C6−C22の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0270】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C6−C18の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0271】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C8−C18の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0272】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C10−C18の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0273】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C16−C18の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0274】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C16−C22の炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0275】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C16の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0276】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C10の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0277】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C5の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0278】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C3の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0279】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C6−C22の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0280】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C6−C18の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0281】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C8−C18の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0282】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C10−C18の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0283】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C16−C18の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0284】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C16−C22の直鎖炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0285】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C16の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0286】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C10の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0287】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C5の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0288】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C3の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0289】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C6−C22の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0290】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C6−C18の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0291】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C8−C18の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0292】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C10−C18の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0293】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C16−C18の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0294】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C16−C22の分岐炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0295】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C16の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0296】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C10の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0297】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C5の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0298】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C1−C3の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0299】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C6−C22の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0300】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C6−C18の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0301】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C8−C18の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0302】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C10−C18の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0303】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C16−C18の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0304】
一つの態様では、R3及びR4は各々、C16−C22の直鎖飽和炭化水素基であり、この場合R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
【0305】
一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は少なくとも6である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は少なくとも8である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は少なくとも10である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は少なくとも12である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は少なくとも18である。
【0306】
一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は6未満である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は8未満である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は10未満である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は12未満である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は18未満である。
【0307】
一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約1〜16の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約1〜10の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約1〜5の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約1〜3の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約16〜22の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約16〜18の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約8〜18の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約10〜18の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約12〜18の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約6〜30の範囲である。一つの態様では、R3とR4の炭素原子数の合計は約22〜30の範囲である。
【0308】
後に述べるように、R3及びR4の構造を変えることによって、医薬組成物の性質を変化させることが可能である。
【0309】
アミノ酸アミドは、J.March,Advanced Organic Chemistry Research Mechanisms and Structure,4th ed.John Wiley & Sons,NY,1992,pp.417−427、などに記載のような当業者に公知の方法により、アミノ酸のカルボン酸基をアミド基へ変換することで得ることができる。通常、アミノ酸をアミノ酸エステル又はアミノ酸の酸塩化物などのアミノ酸誘導体へ変換し、次にそのアミノ酸誘導体を式NHR34のアミンと反応させてアミノ酸アミドを得る。アミノ酸及び式NHR34のアミンは市販されており、又は当業者に公知の方法によって調製することができる。アミノ酸誘導体を形成する時、又はそのアミノ酸誘導体を式NHR34のアミンと反応させる時に、アミノ酸誘導体又はアミンの他のいくつかの官能基を、アミド化反応の後に引き続いて除去される保護基で保護しなければならない場合がある。アミノ酸誘導体を式NHR34のアミンと反応させる前にどの官能基を保護する必要があるのかは、当業者であれば容易に認識されるであろう。適切な保護基は当業者に公知であり、T.W.Greeneら,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.(1999)などに記載されている。
【0310】
アミノ酸エステル又はアミドがリジンのアミノ酸エステル又はアミドである組成物
一つの態様では、アプタマーは(i)リジンのエステル又はアミド、及び(ii)プロトン化アプタマーを含む組成物として存在する。
【0311】
一つの態様では、プロトン化アプタマーの酸性リン酸基に対して、リジン分子のエステル又はアミドはモル当量未満存在する、すなわちアミノ酸エステル又はアミド分子に対して過剰のプロトン化アプタマーの酸性リン酸基が存在する。
【0312】
理論に束縛されるものではないが、リジンのアミノ酸エステル又はアミドは、以下に示すように2個のプロトン化アプタマー分子と架橋すると考えられており:
【0313】
【化18】

【0314】
式中、B、S、及びR1は本明細書で述べる意味を表す。
【0315】
リジンのエステル又はアミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、通常、約2:1〜1:2の範囲である。一つの態様では、リジンのエステル又はアミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.5:1〜1:1.5の範囲である。一つの態様では、リジンのエステル又はアミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.25:1〜1:1.25の範囲である。一つの態様では、リジンのエステル又はアミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.1:1〜1:1.1の範囲である。一つの態様では、リジンのエステル又はアミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1:1である。しかしながら、リジンのエステル又はアミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、より広い範囲とすることも可能である。例えば、リジンのエステル又はアミドの塩基性基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約15:1〜1:15の範囲とすることができる。
【0316】
本発明の他の態様では、リジンのエステル又はアミドが別のジアミンに置き換えられる。
【0317】
5.3.1.1.b. リジンのエステル又はアミド、プロトン化アプタマー、及びカルボン酸を含む組成物
一つの態様では、アプタマーは(i)リジンのエステル又はアミド、及び(ii)プロトン化アプタマーを含む組成物として存在し、その組成物はさらにカルボン酸を含む。理論に束縛されるものではないが、カルボン酸はリジンのε−アミノ基をプロトン化して以下に示すような構造を形成すると考えられており:
【0318】
【化19】

【0319】
式中、B、S、及びR1は本明細書で述べる意味を表し、R9はC1−C21の炭化水素を表す。
【0320】
リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基とカルボン酸の酸基との合計のモル比は、通常、約2:1〜1:2の範囲である。一つの態様では、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基とカルボン酸の酸基との合計のモル比は、約1.5:1〜1:1.5の範囲である。一つの態様では、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基とカルボン酸の酸基との合計のモル比は、約1.25:1〜1:1.25の範囲である。一つの態様では、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基とカルボン酸の酸基との合計のモル比は、約1.1:1〜1:1.1の範囲である。一つの態様では、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基とカルボン酸の酸基との合計のモル比は、約1:1である。しかしながら、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基及びカルボン酸の酸基のモル比は、より広い範囲とすることも可能である。例えば、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基及びカルボン酸の酸基のモル比は、約15:1〜1:15の範囲とすることができる。
【0321】
一般に、カルボン酸の酸基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約20:1〜1:20の範囲である。一つの態様では、カルボン酸の酸基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約15:1〜1:15の範囲である。一つの態様では、カルボン酸の酸基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約10:1〜1:10の範囲である。一つの態様では、カルボン酸の酸基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約5:1〜1:5の範囲である。一つの態様では、カルボン酸の酸基に対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約2:1〜1:2の範囲である。
【0322】
カルボン酸
カルボン酸は医薬として許容されるいかなるカルボン酸であってもよい。通常、カルボン酸はC1−C22のカルボン酸である。適切なカルボン酸は、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、デカン酸、ヘキサン酸、安息香酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0323】
一つの態様では、カルボン酸はC1−C16のカルボン酸である。
一つの態様では、カルボン酸はC1−C10のカルボン酸である。
【0324】
一つの態様では、カルボン酸はC1−C5のカルボン酸である。
一つの態様では、カルボン酸はC1−C3のカルボン酸である。
【0325】
一つの態様では、カルボン酸はC6−C22のカルボン酸である。
一つの態様では、カルボン酸はC6−C18のカルボン酸である。
【0326】
一つの態様では、カルボン酸はC8−C18のカルボン酸である。
一つの態様では、カルボン酸はC10−C18のカルボン酸である。
【0327】
一つの態様では、カルボン酸はC6−C18のカルボン酸である。
一つの態様では、カルボン酸はC16−C22のカルボン酸である。
【0328】
一つの態様では、カルボン酸は飽和又は不飽和の脂肪酸である。
一つの態様では、カルボン酸は飽和脂肪酸である。
【0329】
一つの態様では、カルボン酸は不飽和脂肪酸である。
一つの態様では、カルボン酸はジカルボン酸である。適切なジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、及びピメリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0330】
一つの態様では、カルボン酸はポリカルボン酸である。
カルボン酸は市販されており、又は当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0331】
一つの態様では、カルボン酸はN−アシルアミノ酸である。N−アシルアミノ酸は以下の一般式(III)を有し:
【0332】
【化20】

【0333】
式中:
Rはアミノ酸側鎖を表し、上記で定義されており;及び
2は式−C(O)−R5のアシル基を表し、式中、R5はC1〜C21の置換炭化水素基であり、すなわちアシル基R2はC1−〜C22のアシル基を表す。代表的な式−C(O)−R5のアシル基としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ヘキサノイル、カプロイル、ヘプトイル(heptoyl)、オクトイル(octoyl)、ノノイル(nonoyl)、デコイル(decoyl)、ウンデコイル(undecoyl)、ドデコイル(dodecoyl)、トリデコイル(tridecoyl)、テトラデコイル(tetradecoyl)、ペンタデコイル(pentadecoyl)、ヘキサデコイル(hexadecoyl)、ヘプタデコイル(heptadecoyl)、オクタデコイル(octadecoyl)、ラウロリル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミオレオイル(palmioleoyl)、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル、及びベンゾイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0334】
一つの態様では、R5はC1−C15の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC2−C16のアシル基である。
【0335】
一つの態様では、R5はC1−C9の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC2−C10のアシル基である。
【0336】
一つの態様では、R5はC1−C5の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC2−C6のアシル基である。
【0337】
一つの態様では、R5はC1−C3の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC2−C4のアシル基である。
【0338】
一つの態様では、R5はC5−C21の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC6−C22のアシル基である。
【0339】
一つの態様では、R5はC5−C17の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC6−C18のアシル基である。
【0340】
一つの態様では、R5はC7−C17の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC8−C18のアシル基である。
【0341】
一つの態様では、R5はC9−C17の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC10−C18のアシル基である。
【0342】
一つの態様では、R5はC15−C21の炭化水素基であり、すなわち式−C(O)−R5のアシル基はC16−C22のアシル基である。
【0343】
一つの態様では、式−C(O)−R5のアシル基は飽和又は不飽和の脂肪酸から得られる。
【0344】
一つの態様では、式−C(O)−R5のアシル基は、カプロイル、ラウロリル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミオレオイル(palmioleoyl)、オレオイル、リノレオイル、又はリノレノイル基である。
【0345】
N−アシル化アミノ酸は、当業者に公知の方法によって得ることができる。例えば、N−アシル化アミノ酸は、当業者に公知の方法を用いて、アミノ酸を式T−C(O)−R5の酸ハロゲン化物と反応させることによって得ることができ、式中、Tはハロゲン化物、好ましくは塩化物、R1は上記で定義される。アミノ酸を式T−C(O)−R5の酸ハロゲン化物でN−アシル化する場合、アミノ酸又は酸ハロゲン化物の他のいくつかの官能基を、アシル化反応の後に引き続いて除去される保護基によって保護しなければならない場合がある。アミノ酸を式T−C(O)−R5の酸ハロゲン化物でアシル化する前にどの官能基を保護する必要があるのかは、当業者であれば容易に認識される。適切な保護基は当業者に公知であり、T.W.Greeneら,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.(1999)などに記載されている。
【0346】
酸ハロゲン化物は、J.March,Advanced Organic Chemistry, Reaction Mechanisms and Structure,4th ed. John Wiley&Sons,NY,1992,pp.437−8、などに記載のような当業者に公知の方法を用いて得ることができる。例えば、酸ハロゲン化物はカルボン酸を塩化チオニル、臭化チオニル、又はヨウ化チオニルと反応させることによって得ることができる。酸塩化物及び酸臭化物は、カルボン酸を、各々三塩化リン又は三臭化リンと反応させることによって得ることもできる。酸塩化物は、四塩化炭素中でカルボン酸をPh3Pと反応させることによって得ることもできる。酸フッ化物は、カルボン酸をフッ化シアヌル酸と反応させることによって得ることができる。
【0347】
後に述べるように、カルボン酸の構造を変えることによって、医薬組成物の性質を変化させることが可能である。
【0348】
本発明の他の態様では、リジンのエステル又はアミドが別のジアミンに置き換えられる。
【0349】
5.3.1.1.c. アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミド、及びプロトン化アプタマーを含む組成物
別の態様では、アプタマーは(i)アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のエステル又はアミド、及び(ii)プロトン化アプタマーを含む組成物として存在し、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸の側鎖カルボン酸基もエステル化若しくはアミド化されている、すなわちアスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドである。理論に束縛されるものではないが、以下に、プロトン化アプタマーによってプロトン化されて以下に示す構造を形成し:
【0350】
【化21】

【0351】
式中、B、S、及びR1は上記で定義され、R6は下記で定義される。
【0352】
アスパラギン酸及びグルタミン酸のジエステルは、それぞれ以下の構造を有し:
【0353】
【化22】

【0354】
式中、R1は上記で定義され、R6はR1と同義である。R1とR6は同じでも異なっていてもよい。しかしながら、通常R1とR6は同じである。
【0355】
アスパラギン酸及びグルタミン酸のジアミドは、各々以下の構造を有し:
【0356】
【化23】

【0357】
式中、R3及びR4は上記で定義され、R7はR3と同義であり、R8はR4と同義である。アミド基−N(R3)(R4)及び−N(R7)(R8)は同じでも異なっていてもよい。しかしながら、通常アミド基−N(R3)(R4)及び−N(R7)(R8)は同じである。
【0358】
アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、通常、約2:1〜1:2の範囲である。一つの態様では、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.5:1〜1:1.5の範囲である。一つの態様では、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.25:1〜1:1.25の範囲である。一つの態様では、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1.1:1〜1:1.1の範囲である。一つの態様では、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約1:1である。しかしながら、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、より広い範囲とすることも可能である。例えば、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドに対するプロトン化アプタマーの酸性基のモル比は、約15:1〜1:15の範囲とすることができる。
【0359】
5.3.2. (i)プロトン化アプタマー及び(ii)ポリリジンを含む組成物
別の態様では、アプタマーは(i)プロトン化アプタマー及び(ii)ポリリジンを含む組成物として存在する。
【0360】
上述のいずれのアプタマーも組成物に使用することができる。
いかなるポリリジン(例えば、Sigma−Aldrich社、ウィスコンシン州、ミルウォーキー、より臭化水素酸塩として市販されているポリリジンのいずれかで、これは後に示すようにポリリジンに変換することができる)も医薬組成物に使用することができる。一つの態様では、ポリリジンの分子量は約1000〜4000の範囲である。一つの態様では、ポリリジンの分子量は約4000〜15000の範囲である。一つの態様では、ポリリジンの分子量は約15000〜30000の範囲である。一つの態様では、ポリリジンの分子量は約30000〜70000の範囲である。一つの態様では、ポリリジンの分子量は約70000〜150000の範囲である。一つの態様では、ポリリジンの分子量は約150000〜300000の範囲である。
【0361】
理論に束縛されるものではないが、ポリリジンのアミノ基がプロトン化アプタマーの酸性リン酸基によってプロトン化されると考えられる。
【0362】
通常、プロトン化アプタマーの量に対するポリリジンの量は、pH値が約3〜10の範囲の組成物の溶液(例えば、メタノール溶液又は水溶液)を提供するのに十分な量である。一つの態様では、組成物の溶液のpH値は約5〜9での範囲ある。一つの態様では、組成物の溶液のpH値は約6〜8の範囲である。一つの態様では、組成物の溶液のpH値は約7である。しかしながら、本発明の範囲内で、その他のpHの範囲も可能である。例えば、一つの態様では、組成物の溶液のpH値は約3〜7の範囲であり、別の態様では、組成物の溶液のpH値は約7〜10の範囲である。
【0363】
pHの測定は、組成物を溶媒中(例えばメタノール又は水)へ溶解し、得られた溶液の数マイクロリットルを取り出し、湿らせたpH試験紙(Sigma−Aldrich社、ウィスコンシン州、ミルウォーキー、などから市販)へ付着させることで容易に行うことができ、溶液のpHは溶液付着後の試験紙の色で示される。
【0364】
5.3.3. (i)アプタマー、(ii)二価の金属カチオン、及び(iii)任意にカルボキシレートを含む組成物
別の態様では、アプタマーは、(i)アプタマー、(ii)二価の金属カチオン、及び(iii)任意にカルボキシレートを含む組成物として存在する。理論に束縛されるものではないが、二価の金属カチオンがアプタマーのリン酸基と相互作用を起こして以下に示す構造を形成すると考えられ:
【0365】
【化24】

【0366】
式中、M+2は二価の金属カチオンを表し、B及びSは上記で定義される。
【0367】
理論に束縛されるものではないが、組成物が任意のカルボキシレートを含む場合、二価の金属カチオンがアプタマーのリン酸基及びカルボキシレートと相互作用を起こして以下に示す構造を形成すると考えられ:
【0368】
【化25】

【0369】
式中、B、S、R9、及びM+2は上記で定義される。理論に束縛されるものではないが、この構造は、二価の金属カチオンがプロトン化リジンに置き換わる点以外は、上述のアプタマー、アミノ酸リジン、及びカルボン酸の間で形成される構造と類似していると考えられる。
【0370】
理論に束縛されるものではないが、組成物が任意のカルボキシレートを含む場合、二価の金属カチオンが1個を超えるカルボキシレートと相互作用を起こして以下の構造を形成するとも考えられており、
【0371】
【化26】

【0372】
式中、M+2及びR9は上記で定義される。
【0373】
本明細書で述べるいかなるアプタマーも組成物に用いることができる。
カルボキシレートはいかなる医薬として許容されるカルボン酸からも得ることができる。カルボキシレートを提供するために、上述のいずれのカルボン酸も用いることができる。
【0374】
一つの態様では、カルボキシレートは一般式(III)のN−アシルアミノ酸から得られる。本明細書で述べる一般式(III)のいずれのN−アシルアミノ酸も用いることができる。
【0375】
適切な二価の金属カチオンとしては、アルカリ土類金属カチオン、Mg+2、Zn+2、Cu+2、及びFe+2が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい二価の金属カチオンは、Ca+2、Mg+2、Zn+2、Cu+2、及びFe+2である。
【0376】
二価の金属カチオンに対するアプタマーのアニオン性基とカルボキシレートのアニオン性基との合計のモル比は、通常、約4:1〜1:4の範囲である。一つの態様では、二価の金属カチオンに対するアプタマーのアニオン性基とカルボキシレートのアニオン性基との合計のモル比は、約3:1〜1:3の範囲である。一つの態様では、二価の金属カチオンに対するアプタマーのアニオン性基とカルボキシレートのアニオン性基との合計のモル比は、約2.5:1〜1:2.5の範囲である。一つの態様では、二価の金属カチオンに対するアプタマーのアニオン性基とカルボキシレートのアニオン性基との合計のモル比は、約2:1〜1:2の範囲である。一つの態様では、二価の金属カチオンに対するアプタマーのアニオン性基とカルボキシレートのアニオン性基との合計のモル比は、約2:1である。しかしながら、二価の金属カチオンに対するアプタマーのアニオン性基及びカルボキシレートのアニオン性基のモル比は、より広い範囲とすることも可能である。例えば、二価の金属カチオンに対するアプタマーのアニオン性基及びカルボキシレートのアニオン性基のモル比は、約15:1〜1:15の範囲とすることができる。
【0377】
一般に、カルボキシレートのアニオン性基に対するアプタマーのアニオン性基のモル比は、約20:1〜1:20の範囲である。一つの態様では、カルボキシレートのアニオン性基に対するアプタマーのアニオン性基のモル比は、約15:1〜1:15の範囲である。一つの態様では、カルボキシレートのアニオン性基に対するアプタマーのアニオン性基のモル比は、約10:1〜1:10の範囲である。一つの態様では、カルボキシレートのアニオン性基に対するアプタマーのアニオン性基のモル比は、約5:1〜1:5の範囲である。一つの態様では、カルボキシレートのアニオン性基に対するアプタマーのアニオン性基のモル比は、約2:1〜1:2の範囲である。
【0378】
5.3.4. アプタマー含有組成物の一般的性質
アミノ酸エステル若しくはアミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量を変えることにより、これらの成分を含有する医薬組成物の性質を変化させることが可能である。アミノ酸エステル若しくはアミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量は、アミノ酸エステル(若しくはアミノ酸アミド)を形成するのに用いるアミノ酸及び/又はアルコール(若しくはアミン)を変えることによって変化させることができる。例えば、アミノ酸エステルの炭化水素基R1を変えることによって、アミノ酸エステルの親油性及び/又は分子量を変化させることができる。通常、R1の分子量を大きくすると、アミノ酸エステルの親油性が高まる。同様に、アミノ酸アミドの基R3及び/又はR4を変えることによって、アミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量を変化させることができる。
【0379】
同様に、さらにカルボン酸を含む医薬組成物において、カルボン酸の量及び/又は親油性及び/又は分子量を変えることによって(すなわち、カルボン酸のR9の親油性又は分子量を変えることによって)、医薬組成物の性質を変化させることが可能である。同様に、アミノ酸のエステル又はアミドがアスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドである医薬組成物において、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドの量及び/又は親油性及び/又は分子量を変えることによって(すなわち、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステルのR1及び/又はR6を変えることによって、又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジアミドのR3、R4、R7、及び/又はR8を変えることによって)、医薬組成物の性質を変化させることが可能である。
【0380】
例えば、アミノ酸エステル若しくはアミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量を変えることにより、アプタマーが医薬組成物から放出される速度を変化させることが可能である。一般に、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの親油性が高いほど、医薬組成物からのアプタマーの放出速度は遅くなる。同様に、アプタマー含有組成物がさらにカルボン酸、又は、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドを含む場合、カルボン酸、又は、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のジエステル又はジアミドの量及び/又は親油性及び/又は分子量を変えることによって、アプタマーが医薬組成物から放出される速度を変化させることが可能である。
【0381】
同様に、アプタマー;二価の金属カチオン;及びカルボキシレートを含む医薬組成物では、カルボキシレートの量及び/又は親油性及び/又は分子量を変えることによって(すなわち、カルボキシレートのR9の親油性又は分子量を変えることによって)、医薬組成物の性質(例えば、アプタマーが医薬組成物から放出される速度)を変化させることが可能である。
【0382】
医薬組成物からの放出速度の測定は、約50μL(50μg)の医薬組成物を遠心用チューブ中の脱イオン水約4mL中へ注入することによって行うことができる。医薬組成物を水へ注入した時間をT=0として記録する。定められた時間Tの後、サンプルを約−9℃まで冷却し、遠心分離機により約13000rmpで約20分間回転させる。次に、得られた上清をHPLCで分析し、水溶液中に存在するアプタマーを定量する。遠心分離で得られた沈殿物中のアプタマーの量も測定することができ、沈殿物を回収し、約10μLのメタノールに溶解し、そのメタノール溶液をHPLCで分析して沈殿中のアプタマーの量を定量する。水溶液中のアプタマーの量及び沈殿中のアプタマーの量は、アプタマーに対応するHPLCピークのピーク面積を、アプタマー濃度に対するアプタマーピーク面積の検量線と比較することによって定量する。適切なHPLC条件は、当業者であれば容易に決定することができる。
【0383】
5.3.5. アプタマー含有組成物の調製方法
医薬組成物の調製は、アプタマーの無機塩、通常はカリウム塩又はナトリウム塩、を、例えばメタノール又は水などのこれを可溶な溶媒中へ溶解し、得られた溶液のpH値を、以下に示すようにギ酸などの有機酸で約2から3の間に調節することによって行うことができ:
【0384】
【化27】

【0385】
式中、S及びBは上記で定義され、M+は金属イオンを表し、プロトン化アプタマーの溶液が提供される。
【0386】
次に、得られたプロトン化アプタマーの溶液を水に対して透析して過剰のギ酸及びギ酸の塩を除去し、もし、例えば中和をメタノール溶媒中で行った場合は、メタノールを水で置換する。次に凍結乾燥によってプロトン化アプタマーの水溶液から水を除去してプロトン化アプタマーを得ることができ、又は別の選択肢として、プロトン化アプタマーの水溶液をメタノールに対して透析して水をメタノールで置換し、その後単にメタノールを減圧留去することによってプロトン化アプタマーを得ることもできる。
【0387】
プロトン化アプタマーの溶液は、カチオン交換樹脂を用いて調製することもできる。当業者に公知のいかなるカチオン交換樹脂も用いることができ、例えば、Strata(登録商標)SCXカチオン交換樹脂(Phenomenex社、カリフォルニア州、トーランス、より市販)又はDOWEX(登録商標)50などのDOWEX(登録商標)カチオン交換樹脂(Dow Chemical Company社、ミシガン州、ミッドランド、より市販)を用いることができる。通常、カチオン交換樹脂を含むカラムをまず酸性溶液で洗浄して樹脂をプロトン化し、次に例えばメタノール又は水などの溶媒中の、通常はカリウム塩又はナトリウム塩であるアプタマー無機塩の溶液を樹脂へ通液し、溶出液としてプロトン化アプタマーの溶液を得る。
【0388】
アプタマー及び医薬として許容される有機塩基(代表的な医薬として許容される有機塩基としてアミノ酸のエステル又はアミドを用いる)を含むアプタマー組成物を調製するには、プロトン化アプタマーを、通常は撹拌しながらメタノールなどの溶媒に溶解し、続いて、得られた溶液にアミノ酸のエステル又はアミドを以下に示すように添加する:
【0389】
【化28】

【0390】
式中、S、B、R、及びR1は上記で定義される。
【0391】
その後、カルボン酸など組成物のその他の成分を得られた溶液に添加する。
通常、十分なアミノ酸のエステル又はアミド、及びその他の成分を添加して、pH値が約5〜9の範囲の溶液を得る。一つの態様では、十分なアミノ酸のエステル又はアミド、及びその他の成分を添加して、pH値が約6〜8の範囲の溶液を得る。一つの態様では、十分なアミノ酸のエステル又はアミド、及びその他の成分を添加して、pH値が約7の溶液を得る。pHの測定は、数マイクロリットルの溶液を取り出して湿らせたpH試験紙(Sigma−Aldrich社、ウィスコンシン州、ミルウォーキー、などから市販)へ付着させることで容易に行うことができ、溶液のpHは溶液付着後の試験紙の色で示される。その後、溶媒を減圧留去することで、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド及びアプタマーを含む組成物が得られる。
【0392】
アプタマー;二価の金属カチオン;及びカルボキシレートを含むアプタマー組成物を調製するには、プロトン化アプタマーをメタノールなどの溶媒へ溶解し、得られた溶液に酢酸金属塩などの金属塩又は金属水酸化物を、好ましくは撹拌しながら添加する。次に、得られた溶液にカルボン酸を、好ましくは撹拌しながら添加する。その後、溶媒を減圧留去することで、アプタマー、二価の金属カチオン、及びカルボキシレートを含むアプタマー組成物が得られる。
【0393】
アプタマー及びポリリジンを含むアプタマー組成物を調製するには、ポリリジン溶液(メタノール溶液など)をプロトン化アプタマー溶液(メタノール溶液など)へ、好ましくは撹拌しながら、及び得られた溶液のpHをモニターしながらゆっくり添加し、所望のpH値を有する溶液を得る。その後、メタノールを減圧留去することで、アプタマー及びポリリジンを含むアプタマー組成物が得られる。
【0394】
ポリリジンは、市販のポリリジン臭化水素酸塩(Sigma−Aldrich社、ミズーリ州、セントルイス、より市販)から得られ、単にポリリジン臭化水素酸塩の溶液(メタノール溶液又は水溶液など)を水酸化アンモニウムで中和することによって、pH値が約10〜12の溶液が得られる。次に、得られたポリリジン溶液を水に対して透析にかけて、過剰の臭化アンモニウム及び水酸化アンモニウムを除去し、もし、例えば中和をメタノール溶媒中で行った場合はメタノールを水で置換する。次に凍結乾燥によってポリリジンの水溶液から水を除去してポリリジンを得ることができ、又は別の選択肢として、ポリリジンの水溶液をメタノールに対して透析にかけて水をメタノールで置換し、その後単にメタノールを減圧留去することによってポリリジンを得ることもできる。
【0395】
5.4 医薬組成物
本明細書で述べるいかなるアプタマーも医薬組成物に用いることができる。
本明細書で述べるいかなるリン脂質又はスフィンゴミエリンも医薬組成物に用いることができる。
【0396】
本明細書で述べるいかなる溶媒も医薬組成物に用いることができる。
一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約2重量パーセントより高い。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約5重量パーセントより高い。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約7.5重量パーセントより高い。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約10重量パーセントより高い。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約12重量パーセントより高い。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約15重量パーセントより高い。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約2重量パーセント〜5重量パーセントの範囲である。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約2重量パーセント〜7.5重量パーセントの範囲である。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約2重量パーセント〜10重量パーセントの範囲である。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約2重量パーセント〜12重量パーセントの範囲である。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約2重量パーセント〜15重量パーセントの範囲である。一つの態様では、医薬組成物中のアプタマー濃度は、医薬組成物に対して約2重量パーセント〜20重量パーセントの範囲である。
【0397】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約1000cPより高い。
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約2000cPより高い。
【0398】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約5000cPより高い。
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約10000cPより高い。
【0399】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約15000cPより高い。
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約20000cPより高い。
【0400】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約25000cPより高い。
通常、医薬組成物の20℃における粘度は約100000cP未満である。
【0401】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約75000cP未満である。
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約1000cP〜100000cPの範囲である。
【0402】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約2000cP〜100000cPの範囲である。
【0403】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約5000cP〜100000cPの範囲である。
【0404】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約10000cP〜100000cPの範囲である。
【0405】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約20000cP〜100000cPの範囲である。
【0406】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約25000cP〜100000cPの範囲である。
【0407】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約1000cP〜75000cPの範囲である。
【0408】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約2000cP〜75000cPの範囲である。
【0409】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約5000cP〜75000cPの範囲である。
【0410】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約10000cP〜75000cPの範囲である。
【0411】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約20000cP〜75000cPの範囲である。
【0412】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約25000cP〜75000cPの範囲である。
【0413】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約2000cP〜25000cPの範囲である。
【0414】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約5000cP〜25000cPの範囲である。
【0415】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約2000cP〜18000cPの範囲である。
【0416】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約5000cP〜18000cPの範囲である。
【0417】
一つの態様では、医薬組成物の20℃における粘度は約2000cP未満である。
粘度の測定は、Brookfield DV−II−PRO粘度計(Brookfield社、マサチューセッツ州、マールボロ、より市販)を用い、円錐−平板型のサンプラー、CPE−40スピンドル、サンプル量0.5mL、回転速度3rpm、及び25℃に制御された温度により行った。
【0418】
一つの態様では、医薬組成物は18〜24ゲージのニードルで吐出することができ、従って注射投与が可能である。
【0419】
5.4.1. 任意の添加剤
本医薬組成物は、必要であれば、任意に適量の医薬として許容される保存剤を含んでもよく、これは微生物の繁殖に対する追加的な予防策となる。
【0420】
本発明の医薬組成物に有用な保存剤の例としては、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、ブチルパラベンなどのその他のパラヒドロキシ安息香酸エステル、エチルアルコール若しくはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、又は塩化ベンザルコニウム(例えば塩化ベンゼトニウム)などの四級化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0421】
一つの態様では、本発明の医薬組成物は、任意に適量の医薬として許容されるポリマーを含んでもよい。ポリマーは、医薬組成物の粘度をさらに高める。本発明の医薬組成物の多くは、40℃より高い温度においてそのゲル特性を失う。医薬組成物にポリマーを含有することにより、医薬組成物は高温においてもそのゲル特性を保持する。
【0422】
本発明の組成物及び方法に用いる適切なポリマーとしては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、キトサン、ポリアクリル酸、及びポリメタクリル酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0423】
一つの態様では、ポリマーはHPMCである。
一つの態様では、ポリマーはヒドロキシプロピルセルロースである。
【0424】
一つの態様では、ポリマーはポリアクリル酸である。一つの態様では、ポリアクリル酸は、Carbomer(登録商標)(Carbomer,Inc.社、マサチューセッツ州、ウエストボロー、より市販)などの架橋ポリアクリル酸である。
【0425】
一つの態様では、ポリマーはポリメタクリル酸である。
通常、ポリマーは、医薬組成物に対して0より大きく10重量パーセントまでの範囲の量で存在する。
【0426】
一つの態様では、ポリマーは、医薬組成物に対して約0.1〜10重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0427】
一つの態様では、ポリマーは、医薬組成物に対して約1〜7.5重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0428】
一つの態様では、ポリマーは、医薬組成物に対して約1.5〜5重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0429】
一つの態様では、ポリマーは、医薬組成物に対して約2〜4重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0430】
医薬組成物の成分(ポリマー、溶媒、及びアプタマー、並びにその他の任意の成分)は生体適合性及び無害であって、徐々に単に体内で吸収及び/又は代謝されるだけであることが好ましい。
【0431】
一つの態様では、本発明の医薬組成物は実質的にポリマーを含有しない。
一つの態様では、本発明の医薬組成物に添加されるいかなる追加成分も、動物による使用又は摂取に対してFDAによりGRASに指定されている。
【0432】
別の態様では、本発明の医薬組成物に添加されるいかなる追加成分も、ヒトによる使用又は摂取に対してFDAによりGRASに指定されている。
【0433】
5.4.2 代表的な医薬組成物
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質は、
【0434】
【化29】

【0435】
であり、式中、R2及びR3はそれぞれステアロイル基又はパルミトイル基であり、全ステアロイル基のパルミトイル基に対する比は約85:15であり、R1はO-である(Phospholipon(登録商標)90H、Phospholipid GmbH社、ドイツ、ケルン、より市販)。
【0436】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲である。
【0437】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50である。
【0438】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在する。
【0439】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在する。
【0440】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約3重量パーセントの量で存在する。
【0441】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約3重量パーセントの量で存在する。
【0442】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005、に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。
【0443】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲であり、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。
【0444】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50であり、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。
【0445】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在し、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。
【0446】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在し、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。
【0447】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約3重量パーセントの量で存在し、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。
【0448】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約3重量パーセントの量で存在し、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。
【0449】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、アプタマーはペグ化ARC259である。
【0450】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲であり、アプタマーはペグ化ARC259である。
【0451】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50であり、アプタマーはペグ化ARC259である。
【0452】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在し、アプタマーはペグ化ARC259である。
【0453】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在し、アプタマーはペグ化ARC259である。
【0454】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約60:40〜40:60の範囲であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約3重量パーセントの量で存在し、アプタマーはペグ化ARC259である。
【0455】
一つの態様では、第1有機溶媒はプロピレンカーボネートであり、第二の有機溶媒はグリセロールホルマールであり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、グリセロールホルマールに対するプロピレンカーボネートの比は約50:50であり、リン脂質は、医薬組成物に対して約3重量パーセントの量で存在し、アプタマーはペグ化ARC259である。
【0456】
上述の各医薬組成物において、グリセロールホルマールはプロピレングリコールに置き換えることができる。
【0457】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90H(Phospholipid GmbH社、ドイツ、ケルン、より市販)である。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0458】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在する。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0459】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜2重量パーセントの量で存在する。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0460】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、アプタマーはペグ化ARC259である。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0461】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在し、アプタマーはペグ化ARC259である。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0462】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜2重量パーセントの量で存在し、アプタマーはペグ化ARC259である。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0463】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0464】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜4重量パーセントの量で存在し、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0465】
一つの態様では、溶媒はプロピレングリコール、グリセロールホルマール、又はこれらの混合物であり、リン脂質はPhospholipon(登録商標)90Hであり、リン脂質は、医薬組成物に対して約1〜2重量パーセントの量で存在し、アプタマーは、ARC224、ARC245、ARC225、ARC259(各々、P.Burmeisterら,Direct In Vitro Selection of a 2’−O−methyl Aptamer to VEGF,Chemistry and Biology,vol.12,25−33,January 2005に記載)、及びペグ化ARC259から成る群より選択される。一つの態様では、プロピレングリコールは実質的に他の有機溶媒を含有せず、グリセロールホルマールも実質的に他の有機溶媒を含有しない。
【0466】
5.5 動物の状態を治療する方法
本発明の医薬組成物は人間医学及び獣医学に有用である。従って、本発明はさらに、動物に本発明の医薬組成物を効果量投与することを含む、動物の状態を治療若しくは予防する方法に関する。
【0467】
一つの態様では、本発明は、必要としている動物に本発明の医薬組成物を効果量投与することを含む、動物の状態を治療する方法に関する。
【0468】
一つの態様では、本発明は、必要としている動物に本発明の医薬組成物を効果量投与することを含む、動物の状態を予防する方法に関する。
【0469】
投与の方法は、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、脳内、膣内、経皮、直腸内、及び局所投与が挙げられるが、これらに限定されない。投与の方法は医師の判断に委ねる。ほとんどの場合、投与によってアプタマーを血流中へ放出する結果となる。
【0470】
一つの態様では、動物の状態を治療又は予防する方法は、必要としている動物に、本発明の医薬組成物を非経口投与することによって効果量のアプタマーを投与することを含む。一つの態様では、医薬組成物は点滴注入又はボーラス注入によって投与される。一つの態様では、医薬組成物は皮下投与される。一つの態様では、医薬組成物は皮下投与され、アプタマーを徐々にゆっくり放出する薬物デポーを動物内に形成する。
【0471】
一つの態様では、動物の状態を治療又は予防する方法は、必要としている動物に、本発明の医薬組成物を経口投与することによって治療効果量の薬理活性剤を投与することを含む。医薬組成物を経口投与するために、医薬組成物を、例えば硬質ゼラチンカプセル又は軟質ゼラチンカプセルなどのカプセル内に封入して、そのカプセルを動物へ経口投与することができる。本発明に用いられる適切なカプセルは、Shionogi Qualicaps(塩野義製薬、日本、大阪、より市販)である。経口投与の剤形は、薬理活性化合物が胃の内部で直ちに若しくはほとんど直ちに放出されるように、又は薬理活性化合物が胃の内部で持続的に放出されるように設計することができる。経口投与の剤形は、薬理活性化合物が腸の内部で直ちに若しくはほとんど直ちに放出されるように、又は薬理活性化合物が腸の内部で持続的に放出されるように設計することもできる。剤形が腸に到達するまで薬理活性化合物の放出を遅らせるために、カプセルに腸溶コーティングが施される。通常、腸溶コーティングは、Eudragit(登録商標)L−100(DeGussa AG社、ドイツ、フランクフルト、より市販)などのpH応答性ポリマーである。薬理活性化合物の放出速度は、医薬組成物中のリン脂質又はスフィンゴミエリンの量を変えることや、医薬組成物中のポリマーの存在によって変化する。
【0472】
一つの態様では、動物の状態を治療又は予防する方法は、必要としている動物に、本発明の医薬組成物の耳への投与によって治療効果量の薬理活性剤を投与することを含む。
【0473】
一つの態様では、動物の状態を治療又は予防する方法は、必要としている動物に、本発明の医薬組成物の眼への投与によって治療効果量の薬理活性剤を投与することを含む。
【0474】
医薬組成物は、上皮内層又は皮膚粘膜内層(epithelial or mucocutaneous lining)(例えば、口内粘膜、直腸粘膜、及び腸粘膜など)を通しての吸収により、局所投与することもできる。一つの態様では、動物の状態を治療又は予防する方法は、必要としている動物に、本発明の医薬組成物の局所投与によって治療効果量の薬理活性剤を投与することを含む。本発明の医薬組成物は皮膚によく付着し、従って局所投与に有用である。
【0475】
本発明の医薬組成物は高粘性組成物である。高粘性組成物は、動物の状態の治療又は予防において、低粘性の(薄い)液状製剤に比べて利点を有する場合がある。例えば、局所投与、耳への投与、及び眼への投与の場合、特に獣医学的用途において、薄い液状製剤は、高粘性の(濃い)製剤に比べて容易に送達の標的領域から洗い流されたり取り払われたりする。状態を治療する場合、濃い医薬組成物の利点として、アプタマーを標的領域内に長時間保持するということが挙げられる。
【0476】
医薬組成物は、全身投与することも局所投与することもできる。
医薬組成物は、他の生物活性剤と共に投与することができる。
【0477】
動物に投与される効果量は、治療を受ける動物の種類、治療する状態、状態の重症度、及び投与される具体的なアプタマーなど様々な要因に依存するが、これらに限定されない。当業者であれば、動物の状態を治療するための医薬組成物の効果量がどの程度であるかは容易に認識するであろう。
【0478】
本発明の医薬組成物は、アプタマーに応答するいかなる状態の治療にも用いることができる。
【0479】
一つの態様では、アプタマーは抗血管内皮増殖因子(VEGF)アプタマーである。一つの態様では、アプタマーは抗血管内皮増殖因子(VEGF)アプタマーであり、疾患は眼疾患である。代表的な眼疾患としては、加齢黄斑変性症、視神経乳頭血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、硝子体血管新生、緑内障、パンヌス、翼状片、黄斑浮腫、血管性網膜症、網膜変性症、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾患、又は増殖性硝子体網膜症が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物の送達には、眼に薬剤を送達するほとんどいかなる方法も使用することができる。一つの態様では、医薬組成物は、例えば硝子体内注射などによって硝子体内投与される。一つの態様では、医薬組成物は経強膜投与される。
【0480】
一つの態様では、アプタマーは血管新生を阻害するアプタマーである。
一つの態様では、アプタマーは血管新生を阻害するアプタマーであり、治療される疾患はガンである。一つの態様では、アプタマーは血管新生を阻害するアプタマーであり、治療される疾患は固形腫瘍である。
【0481】
一つの態様では、本発明にかかる医薬組成物は、少なくとも約4〜約15日間にわたって効果量のアプタマーを制御放出又は持続放出する。しかしながら、医薬組成物の中には、15日を超える期間にわたって効果量のアプタマーを制御放出又は持続放出することができるものもある。
【0482】
別の態様では、本発明にかかる医薬組成物は、少なくとも約4〜約10日間にわたって効果量のアプタマーを制御放出又は持続放出する。
【0483】
別の態様では、本発明にかかる医薬組成物は、少なくとも約1週間にわたって効果量のアプタマーを制御放出又は持続放出する。
【0484】
別の態様では、本発明にかかる医薬組成物は、少なくとも約1〜約4日間にわたって効果量のアプタマーを制御放出又は持続放出する。
【0485】
別の態様では、本発明にかかる医薬組成物は、少なくとも約1〜約2日間にわたって効果量のアプタマーを制御放出又は持続放出する。
【0486】
状態を治療又は予防するのに効果的なアプタマーの量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。さらに、最適な投与量の範囲を見極める手助けとして、インビトロアッセイ又はインビボアッセイを任意に行ってもよい。使用する正確な投与量は、投与経路、状態の重症度、及び治療を受ける動物にも依存し、医師の判断及び/又はそれぞれの動物の状況に応じて決定することができる。本明細書で述べる効果投与量とは、投与されるすべてのアプタマーの合計量のことである;すなわち1種類を超すアプタマーを投与する場合、効果投与量は投与される合計量に相当する。
【0487】
通常、医薬組成物は毎日約1回〜毎週約1回の割合で、状態が改善するまで投与される。しかしながら、医薬組成物はこれより低い頻度又は高い頻度で投与してもよい。
【0488】
一つの態様では、医薬組成物は、状態が改善するまで毎日1回投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、状態が改善するまで毎日2回投与される。
【0489】
一つの態様では、医薬組成物は、状態が改善するまで毎週1回投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、状態が改善するまで毎週2回投与される。
【0490】
一つの態様では、医薬組成物は、状態が改善するまで約12時間ごとに投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、状態が改善するまで約2週間ごとに投与される。
【0491】
一つの態様では、医薬組成物は、1回投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、1週間、毎日投与される。
【0492】
一つの態様では、医薬組成物は、4週間、約7日ごとに投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、3週間、約7日ごとに投与される。
【0493】
一つの態様では、医薬組成物は、2週間、約7日ごとに投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、約24時間の間隔をあけて、2回投与される。
【0494】
一つの態様では、医薬組成物は、約48時間の間隔をあけて、2回投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、約4週間、約24時間ごとに投与される。
【0495】
一つの態様では、医薬組成物は、約4週間、約12時間ごとに投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、約2週間、約24時間ごとに投与される。
【0496】
一つの態様では、医薬組成物は、約2週間、約12時間ごとに投与される。
一つの態様では、医薬組成物は、約1週間、約24時間ごとに投与される。
【0497】
一つの態様では、医薬組成物は、約1週間、約12時間ごとに投与される。
別の態様では、状態が改善するまで、効果投与量が毎日投与される。総投与量は、任意に毎日の投与量に分けてもよく、及び/又は、約2〜4回分の個別の投与量に分けてもよい。
【0498】
理論に束縛されるものではないが、本発明の医薬組成物は、アプタマーを含有するゲル状であり、リポソーム製剤で達成される充填量(最大充填量はリポソーム含有組成物に対してわずかに約1重量パーセントと考えられる)よりも高い充填量が可能であると考えられる。確かに、本発明の組成物を用いることにより、医薬組成物に対して約12重量パーセント程度、及びさらにそれを超える量の均一に分散されたアプタマーを含む医薬組成物を、通常の方法で作製可能である。本発明の医薬組成物は、実質的にリポソームを含有しないことが望ましい。一つの態様では、本発明の医薬組成物はリポソームを含有しない。
【0499】
一つの態様では、動物はヒトではない動物である。
別の態様では、動物はヒトである。
【0500】
一つの態様では、動物は哺乳類である。
一つの態様では、動物はイヌ類、ネコ類、ウマ類、ウシ類、ヒツジ類、ブタ類、又はトリ類である。
【0501】
一つの態様では、動物はネコである。
一つの態様では、動物はイヌである。
【0502】
一つの態様では、動物はウシである。
一つの態様では、動物はブタである。
【0503】
一つの態様では、動物はヒツジである。
一つの態様では、動物はウマである。
【0504】
5.6 医薬組成物の調製
(i)リン脂質又はスフィンゴミエリン;(ii)第1有機溶媒;(iii)第二の有機溶媒;及び(iv)アプタマーを含む本発明の医薬組成物は、例えば、単にアプタマーを第1有機溶媒と第二の有機溶媒との混合物(「混合溶媒」)(通常、最終医薬組成物で所望される混合溶媒の量の約90%)に添加し、アプタマーが溶解するまで得られた混合物を振動又は撹拌することによって調製することができる。1若しくは2種類以上の任意の添加剤を同時に、及び/又は順に添加することができ、任意の添加剤が溶解するまで混合物を振動又は撹拌する。次に、振動又は撹拌しながら、及び任意に加熱もしながら、リン脂質を混合物に添加してリン脂質混合物を得る。通常、混合物は、リン脂質の添加前に100℃未満の温度、好ましくは70℃未満、より好ましくは約50℃未満、最も好ましくは約40℃で加熱される。その後、追加の混合溶媒を添加して医薬組成物中のアプタマーを所望の濃度とし、リン脂質混合物を室温まで冷却して医薬組成物を得る。
【0505】
同様に、(i)リン脂質又はスフィンゴミエリンと、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール及び実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールから成る群より選択される溶媒と、(iii)アプタマーと、を含む本発明の医薬組成物は、例えば、単にアプタマーをプロピレングリコール又はグリセロールホルマール(通常、最終医薬組成物で所望される溶媒の量の約90%)に添加し、得られた混合物を、任意に加熱した状態で、アプタマーが溶解するまで振動又は撹拌することによって調製することができる。1若しくは2種類以上の任意の添加剤を同時に、及び/又は順に添加することができ、任意の添加剤が溶解するまで混合物を振動又は撹拌する。次に、振動又は撹拌しながら、及び任意に加熱もしながら、リン脂質を混合物に添加してリン脂質混合物を得る。通常、混合物は、リン脂質の添加前に100℃未満の温度、好ましくは70℃未満、より好ましくは約50℃未満、最も好ましくは約40℃で加熱される。その後、追加のプロピレングリコール又はグリセロールホルマールを添加して医薬組成物中のアプタマーを所望の濃度とし、リン脂質混合物を室温まで冷却して医薬組成物を得る。
【0506】
しかしながら、当業者であれば、例えば成分を溶媒へ添加する順番を変えることができるなど、本発明の医薬組成物を調製するための上述の方法の変形が可能であることは容易に認識するであろう。例えば、プロトン化アプタマー及びリジンのエステル又はアミドを含む医薬組成物は、単にプロトン化アプタマーを第1有機溶媒及び第二の有機溶媒(若しくは実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール及び実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール)へ添加し、次に、単にリジンのエステル又はアミドを、好ましくは撹拌しながら添加することによって調製することができる。続いて、得られた溶液にリン脂質を、好ましくは撹拌及び加熱をしながら添加する。
【0507】
5.7 キット
本発明は、アプタマーの動物への投与を簡便にすることができるキットを包含する。本発明の典型的なキットには、本発明の医薬組成物の単位剤形が含まれる。一つの態様では、単位剤形は、有利に殺菌したものであってよい、本発明の医薬組成物を含む容器(小瓶、小袋、チューブ、シリンジなど)である。キットはさらに、状態の治療若しくは予防のためのアプタマーの服用について説明したラベル又は印刷した説明書を有していてよい。別の態様では、キットは本発明の医薬組成物の単位剤形、及び医薬組成物を投与するための点滴器、シリンジ、又はその他の投与器具を含む。通常、例えば単位剤形及び説明書などのキットの構成物は、適切な包装材料内に収容される。
【0508】
以下の例は、本発明の理解を促すために示すものであり、ここで説明し請求する本発明を、特に制限するものとして解釈されるべきではない。当業者の理解の範囲内であろう現在公知の、又は後に開発されるあらゆる同等物との置き換え、及び製剤の変更若しくは実験計画の小さな変更、などを含む本発明の変形は、本明細書に組み入れられる本発明の範囲内に含まれるものであるとみなされるべきである。
【実施例】
【0509】
実施例6.1 アミノ酸エステルの調製
トリプトファンブタノエート:1gのトリプトファンブタノエート塩酸塩(Sigma−Aldrich社、ミズーリ州、セントルイス、より市販)を25mLのジクロロメタンに懸濁させ、撹拌しながらこの懸濁液に600μlのトリエチルアミンを加えた。撹拌を15分間続け、得られた溶液を分液ロートへ移した。この有機溶液を25mLの水で2回洗浄し、続いて25mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮してトリプトファンブタノエートを得た。構造は質量分析によって確認した。
【0510】
トリプトファンオクタノエート:4gのトリプトファンブタノエート塩酸塩Sigma−Aldrich社、ミズーリ州、セントルイス(www.sima−aldrich.com)、より市販)を100mLのジクロロメタンに懸濁させ、撹拌しながらこの懸濁液に3mlのトリエチルアミンを加えた。撹拌を15分間続け、得られた溶液を分液ロートへ移した。この有機溶液を25mLの水で2回洗浄し、続いて25mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮してトリプトファンオクタノエートを得た。構造は質量分析によって確認した。
【0511】
チロシンブタノエート:冷却管及びディーンスターク装置を取り付けた500mLの丸底フラスコ中、18.19gのチロシンを、9.8gの濃硫酸、40mLの水、40mLのブタノール、及び200mLのトルエンから成る溶液に懸濁させた。得られた溶液を水が留去されなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を氷浴中で冷却し、溶液を2相に分離した。上相を捨て、下相の油性シラップを残した。このシラップに、十分な量の5%炭酸水素ナトリウム水溶液を混合して酸性不純物を中和し、得られた固体をろ過によって回収し冷水で洗浄した。得られた固体を酢酸エチルで再結晶した。
【0512】
イソロイシンブチレート:冷却管及びディーンスターク装置を取り付けた500mLの丸底フラスコ中、26.23gのイソロイシンを、20gの濃硫酸、20mLの水、40mLのブタノール、及び200mLのトルエンから成る溶液に溶解させた。得られた溶液を水が留去されなくなるまで還流温度で加熱した。次に、得られた溶液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた液体を真空蒸留して無色液体のイソロイシンブチレートを得た。
【0513】
フェニルアラニンブチレート:冷却管及びディーンスターク装置を取り付けた500mLの丸底フラスコ中、16.52gのイソロイシンを、10gの濃硫酸、20mLの水、20mLのブタノール、及び200mLのトルエンから成る溶液に溶解させた。得られた溶液を水が留去されなくなるまで還流温度で加熱した。次に、得られた溶液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた液体を真空蒸留してフェニルアラニンブチレートを得た。
【0514】
フェニルアラニンオクタノエート:冷却管及びディーンスターク装置を取り付けた500mLの丸底フラスコ中、16.52gのフェニルアラニンを、10gの濃硫酸、20mLの水、20mLのオクタノール、及び120mLのトルエンから成る溶液に溶解させた。得られた溶液を水が留去されなくなるまで還流温度で加熱した。次に、得られた溶液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。次に溶媒を減圧留去することで白色固体のフェニルアラニンオクタノエートが得られ、これをシリカゲルカラムを用い、1:9のメタノール:ジクロロメタン混合溶媒で溶出して精製した。
【0515】
フェニルアラニンドデカノエート:冷却管及びディーンスターク装置を取り付けた500mLの丸底フラスコ中、16.52gのフェニルアラニンを、10gの濃硫酸、20mLの水、20mLのドデカノール、及び120mLのトルエンから成る溶液に溶解させた。得られた溶液を水が留去されなくなるまで還流温度で加熱した。次に、得られた溶液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。次に溶媒を減圧留去することで固体のフェニルアラニンドデカノエートが得られ、これをシリカゲルカラムを用い、1:9のメタノール:ジクロロメタン混合溶媒で溶出して精製した。
【0516】
チロシンオクタノエート:冷却管及びディーンスターク装置を取り付けた500mLの丸底フラスコ中、9.06gのチロシンを、10gの濃硫酸、20mLの水、10mLのオクタノール、及び200mLのトルエンから成る溶液に溶解させた。得られた溶液を水が留去されなくなるまで還流温度で加熱した。次に、得られた溶液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、エマルジョンを得た。約150mLの酢酸エチルをこのエマルジョンに加えて2相に分離させた。水相を捨て、有機相を飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去することで白色固体のチロシンオクタノエートが得られ、これをシリカゲルカラムを用い、1:9のメタノール:ジクロロメタン混合溶媒で溶出して精製した。
【0517】
イソロイシンオクタノエート:油浴中に設置した、冷却管及びディーンスターク装置を取り付けた500mLの丸底フラスコ中、13.1gのイソロイシンを、10gの濃硫酸、20mLの水、20mLのオクタノール、及び200mLのトルエンから成る溶液に溶解させた。得られた溶液を水が留去されなくなるまで還流温度で加熱した。次に、得られた溶液を室温まで冷却し、120mLの酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた液体を蒸留して無色液体のイソロイシンオクタノエートを得た。
【0518】
プロリンブタノエート:冷却管及びディーンスターク装置を取り付けた500mLの丸底フラスコ中、34.5gのプロリンを、35gの濃硫酸、40mLの水、120mLのブタノール、及び200mLのトルエンから成る溶液に懸濁させた。得られた溶液を水が留去されなくなるまで還流温度で加熱した。次に、得られた溶液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた液体を蒸留して無色液体のプロリンブタノエートを得た。
【0519】
リジンヘキサデカノエート:BOC保護リジン(6.25g、0.018モル)を、窒素雰囲気下、約40mLのテトラヒドロフラン中に溶解した。この溶液を氷水浴を用いて約0℃まで冷却し、この冷却した溶液中へカルボニルジイミダゾール(2.93g、0.018モル)を加えた。次に、この反応混合物を約5℃で約5分間、続いて室温で約30分間撹拌した。次に、得られた溶液に、約10mLのテトラヒドロフラン中のヘキサデカノール(4.38g、0.018モル)溶液を滴下により添加した。次に、得られた溶液を約45℃に加熱し、約12時間撹拌した。撹拌後、溶媒を減圧留去し;得られた残渣を酢酸エチルへ溶解し、この酢酸エチル溶液を0.1Nの塩酸(3回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3回)、及び塩水(3回)で洗浄し;有機相を乾燥させた(Na2SO4)。次に、酢酸エチルを減圧留去し、得られた粗BOC保護リジンヘキサデカノエートを、シリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィーによりヘキサン中0〜20パーセントの酢酸エチルで溶出して精製した。次に、溶媒を減圧留去して精製BOC保護リジンヘキサデカノエートを得た。トリフルオロ酢酸(20mL)を精製BOC保護リジンヘキサデカノエートに加え、得られた反応混合物を約5時間撹拌した。過剰のトリフルオロ酢酸を減圧留去した。そして得られた残渣をメタノールに溶解し、Dowex550A(OH)樹脂(50g)(Dow Chemical Company社、ミシガン州、ミッドランド、より市販)に通液し、溶媒を減圧留去し、得られたリジンヘキサデカノエートを真空乾燥して、乾燥リジンヘキサデカノエートを得た(3.6g)。
【0520】
実施例6.2:アプタマー及びアミノ酸エステルを含むリン脂質組成物
A: 100mgのペグ化ARC259を1.5mLのグリセロールホルマールに溶解して医薬組成物を調製した。次に、得られた混合物に10μLのイソロイシンブチレートを加え、得られた溶液を、間欠的に超音波処理を施しながらボルテックスミキサーにより混合し、透明溶液を得た。得られた溶液に、40mgのPhospholipon(登録商標)90H(Phospholipid GmbH社、ドイツ、ケルン、又はAmerican Lecithin Company社、コネチカット州、オックスフォード、より市販)を加え、得られた混合物を約40℃で3時間加熱した。この溶液を室温まで冷却し、ゲルを得た。
【0521】
医薬組成物は、40℃まで加熱されると、有利に、滅菌ろ過することができる自由流動液体(free flowing liquid)となる。自由流動液体はシリンジにあらかじめ充填しておくことも可能で、医薬組成物は室温まで冷却されるとゲルを形成するが、このゲルを容易にシリンジから投与することができる。
【0522】
B: 100mgのペグ化ARC259を1mLのプロピレングリコールに溶解して医薬組成物を調製した。次に、得られた混合物に500μLのグリセロールホルマール及び10μLのイソロイシンブチレートを加え、得られた溶液を、間欠的に超音波処理を施しながらボルテックスミキサーにより混合し、透明溶液を得た。得られた溶液に、40mgのPhospholipon(登録商標)90H(Phospholipid GmbH社、ドイツ、ケルン、又はAmerican Lecithin Company社、コネチカット州、オックスフォード、より市販)を加え、得られた混合物を約40℃で2時間加熱した。この溶液を室温まで冷却し、ゲルを得た。
【0523】
医薬組成物は、40℃まで加熱されると、有利に、滅菌ろ過することができる自由流動液体となる。自由流動液体はシリンジにあらかじめ充填しておくことも可能で、医薬組成物は室温まで冷却されるとゲルを形成するが、このゲルを容易にシリンジから投与することができる。
【0524】
実施例6.3 本発明の医薬組成物のHPLC分析、及び本発明の医薬組成物からのアプタマーの放出速度を測定する方法
時間の関数としての、実施例6.2のA又はBのいずれかの医薬組成物から放出されるアプタマーの量の測定は、約50μL(50μg)の医薬組成物を遠心チューブ中の約4mLの脱イオン水へ注入し、析出物を形成させることで行うことができる。医薬組成物を水へ注入した時間をT=0として記録する。定められた時間Tの後、任意にサンプルを約−9℃まで冷却し、遠心分離機により13000rmpで約20分間回転させることで沈殿物と上清が得られ、これらは上清をデカントすることによって容易に分離することができる。次に、得られた上清を適切なHPLC法で分析し、水溶液中に存在するアプタマーを定量する。沈殿物中のアプタマーの量も定量することができ、沈殿物を約3mLのメタノールに溶解し、そのメタノール溶液を適切なHPLC法で分析して沈殿中のアプタマーの量を定量する。水溶液中のアプタマーの量及び沈殿中のアプタマーの量は、アプタマーに対応するHPLCピークのピーク面積を、アプタマー濃度に対するアプタマーピーク面積の検量線と比較することによって定量することができる。適切なHPLC法は、当業者であれば容易に決定することができる。例えば、上述の実験で用いたアプタマー(すなわち、ペグ化ARC259)に対しては、以下のHPLC法を使用することができる:
【0525】
カラム:Jupiter 5μ C4 300A、30×4.6mm(品番:00A−4167−EO)
流速:2.0mL/分
注入量:20μL
検出器設定:258nm
分析時間:10分
ポンプA:オプション1(酸性移動相):25mM 酢酸アンモニア−トリフルオロ酢酸(TFA)、pH4.76、又は
ポンプA:オプション2(塩基性移動相):50mM トリエタノールアミン−HCl、pH7.8
ポンプB:メタノール
初期条件:0%ポンプB 100%ポンプA
【0526】
HPLCカラムの溶出は以下の濃度勾配溶出条件を用いて行う。
【0527】
【表1】

【0528】
これらの条件下におけるアプタマーの保持時間は約3分である。
本発明は、本発明の数種類の局面を示すことを意図したこれらの例によって開示された具体的態様の範囲に限定されるものではなく、機能的に同等であるいかなる態様も本発明の範囲内である。確かに、当業者にとっては、本明細書で示し、説明した変形に加えて、様々な変形が明らかとなるであろうし、それらの変形は添付の請求項の範囲内に入ることを意図している。
【0529】
多くの文献が引用されており、これらの開示内容のすべてが参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン脂質又はスフィンゴミエリン;
少なくとも1つの有機溶媒;及び
アプタマー又は医薬として許容されるその塩
を含む医薬組成物であって、ここで、前記リン脂質又はスフィンゴミエリン及び少なくとも1つの有機溶媒が、ゲルを形成するのに十分な量で存在する医薬組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの有機溶媒が、極性非プロトン性有機溶媒と極性プロトン性有機溶媒との組み合わせである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記プロトン性有機溶媒と前記非プロトン性有機溶媒との比が、90:10〜10:90の範囲である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記プロトン性有機溶媒がグリセロールホルマールであり、前記非プロトン性有機溶媒がプロピレンカーボネートである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記リン脂質が、一般構造:
【化1】

(式中、R2及びR3が、それぞれ、独立して、ステアロイル基又はパルミトイル基であり、ここで、ステアロイル基とパルミトイル基との比は約85:15であり、R1はO-である)
を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
25℃における医薬組成物の粘度が、約1,000cP〜75,000cPの範囲である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記リン脂質が、医薬組成物に対して約0.1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記リン脂質が、医薬組成物に対して約1重量パーセント〜4重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
さらにポリマーを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、医薬組成物に対して約0.1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記リン脂質が、一般構造:
【化2】

(式中、R2及びR3が、それぞれ、独立して、ステアロイル基又はパルミトイル基であり、ここで、ステアロイル基とパルミトイル基との比は約85:15であり、R1はO-である)
を有する、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項13】
25℃における医薬組成物の粘度が、約1,000cP〜75,000cPの範囲である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、医薬組成物に対して約1重量パーセントを超える量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、医薬組成物に対して約1〜15重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)医薬として許容される有機塩基との間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬として許容される有機塩基が、シクロヘキシルアミン;シクロペンチルアミン;シクロヘキシルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;N−メチルアミン;N−エチルアミン;ジエチルアミン;ジメチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、若しくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン;2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン;トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン;N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N,N−ジアルキル−N−トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン;ピリジン;ベンジルアミン;フェネチルアミン;N−メチル−D−グルカミン;N,N’−ジベンジルエチレンジアミン;クロロプロカイン;コリン;プロカイン、アミノ酸、並びにアミノ酸のエステル及びアミドから成る群より選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)アミノ酸のエステル又はアミドとの間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在し、
ここで、前記アミノ酸エステルが、構造:
【化3】

(式中、
Rは、アミノ酸の側鎖を表し;
1は、C1〜C22の炭化水素基を表す)
を有し、又は、
及び、前記アミノ酸アミドが、構造:
【化4】

(式中、
Rは、アミノ酸の側鎖を表し;
3は、C1〜C22の炭化水素基を表し;及び
4は、水素又はC1〜C22の炭化水素基を表す)
を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記アミノ酸のエステル又はアミドが、リジンのエステル又はアミドである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
さらにカルボン酸を含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記カルボン酸が脂肪酸である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)ポリリジンとの間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)アプタマーと(ii)二価の金属カチオンとを含むアプタマー組成物として存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記アプタマー組成物が、さらにカルボキシレートを含む、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1つの有機溶媒が、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記溶媒が、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記有機溶媒が、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記有機溶媒が、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールと実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールとの混合物である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記リン脂質が、一般構造:
【化5】

(式中、R2及びR3が、それぞれ、独立して、ステアロイル基又はパルミトイル基であり、ここで、ステアロイル基とパルミトイル基との比が約85:15であり、R1はO-である)
を有する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項30】
25℃における医薬組成物の粘度が、約1,000cP〜75,000cPの範囲である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記リン脂質又はスフィンゴミエリンが、医薬組成物に対して約0.1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記リン脂質又はスフィンゴミエリンが、医薬組成物に対して約1重量パーセント〜4重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
さらにポリマーを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記ポリマーが、医薬組成物に対して約0.1〜10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、医薬組成物に対して約1重量パーセントを超える量で存在する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、医薬組成物に対して約1〜15重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)医薬として許容される有機塩基との間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記医薬として許容される有機塩基が、シクロヘキシルアミン;シクロペンチルアミン;シクロヘキシルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;N−メチルアミン;N−エチルアミン;ジエチルアミン;ジメチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、若しくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン;2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン;トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン;N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N,N−ジアルキル−N−トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン;ピリジン;ベンジルアミン;フェネチルアミン;N−メチル−D−グルカミン;N,N’−ジベンジルエチレンジアミン;クロロプロカイン;コリン;プロカイン;アミノ酸、及びアミノ酸のエステル若しくはアミドから成る群より選択される、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)アミノ酸のエステル又はアミドとの間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在し、
ここで、前記アミノ酸エステルが、構造:
【化6】

(式中、
Rは、アミノ酸の側鎖を表し;及び
1は、C1〜C22の炭化水素基を表す)
を有し、又は、
前記アミノ酸アミドが、構造:
【化7】

(式中、
Rは、アミノ酸の側鎖を表し;
3は、C1〜C22の炭化水素基を表し;及び
4は、水素又はC1〜C22の炭化水素基を表す)
を有する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記アミノ酸のエステル又はアミドが、リジンのエステル又はアミドである、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
さらにカルボン酸を含む、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記カルボン酸が脂肪酸である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)ポリリジンとの間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)該アプタマーと(ii)二価の金属カチオンとを含むアプタマー組成物として存在する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記アプタマー組成物が、さらにカルボキシレートを含む、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記カルボキシレートが、脂肪酸のカルボキシレートである、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記少なくとも1つの有機溶媒が:(a)実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコール、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマール、及びこれらの混合物から成る群より選択される第1溶媒、並びに(b)N−メチルピロリドンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記第1溶媒が、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールである、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記第1有機溶媒が、実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールである、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記第1溶媒が、実質的に他の有機溶媒を含有しないプロピレングリコールと実質的に他の有機溶媒を含有しないグリセロールホルマールとの混合物である、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記リン脂質が、一般構造:
【化8】

(式中、R2及びR3が、それぞれ、独立して、ステアロイル基又はパルミトイル基であり、ここで、ステアロイル基とパルミトイル基との比が約85:15であり、R1はO-である)
を有する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項53】
25℃における医薬組成物の粘度が、約1,000cP〜75,000cPの範囲である、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記リン脂質又はスフィンゴミエリンが、医薬組成物に対して約0.1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記リン脂質又はスフィンゴミエリンが、医薬組成物に対して約1重量パーセント〜4重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
さらにポリマーを含む、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記ポリマーが、医薬組成物に対して約0.1〜10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、医薬組成物に対して約1重量パーセントを超える量で存在する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、医薬組成物に対して約1〜15重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)医薬として許容される有機塩基との間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記医薬として許容される有機塩基が、シクロヘキシルアミン;シクロペンチルアミン;シクロヘキシルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;N−メチルアミン;N−エチルアミン;ジエチルアミン;ジメチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、若しくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン;2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン;トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン;N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N,N−ジアルキル−N−トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン;ピリジン;ベンジルアミン;フェネチルアミン;N−メチル−D−グルカミン;N,N’−ジベンジルエチレンジアミン;クロロプロカイン;コリン;プロカイン;アミノ酸、及びアミノ酸のエステル若しくはアミドから成る群より選択される、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)アミノ酸のエステル又はアミドとの間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在し、
ここで、前記アミノ酸エステルが、構造:
【化9】

(式中、
Rは、アミノ酸の側鎖を表し;及び
1は、C1〜C22の炭化水素基を表す)
を有し、又は、
前記アミノ酸アミドが、構造:
【化10】

(式中、
Rは、アミノ酸の側鎖を表し;
3は、C1〜C22の炭化水素基を表し;及び
4は、水素又はC1〜C22の炭化水素基を表す)
を有する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記アミノ酸のエステル又はアミドが、リジンのエステル又はアミドである、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項65】
さらにカルボン酸を含む、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記カルボン酸が、脂肪酸である、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項67】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)プロトン化アプタマーと(ii)ポリリジンとの間で形成される塩を含むアプタマー組成物として存在する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記アプタマー又は医薬として許容されるその塩が、(i)該アプタマーと(ii)二価の金属カチオンとを含むアプタマー組成物として存在する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記アプタマー組成物が、さらにカルボキシレートを含む、請求項68に記載の医薬組成物。
【請求項70】
前記カルボキシレートが、脂肪酸のカルボキシレートである、請求項68に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2009−515961(P2009−515961A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541212(P2008−541212)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/043105
【国際公開番号】WO2007/058800
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(505388551)アイデックス ラボラトリーズ,インコーポレイティド (11)
【Fターム(参考)】