説明

アミノ酸で緩衝された経口ニコチン製剤

口腔内における経粘膜取り込みにより、任意の形態のニコチンを対象者に送達するための薬学的経口製剤であって、任意の形態のニコチンを含み、この経口製剤は少なくとも1種のアミノ酸で緩衝され、好ましくは少なくとも1種の内因性アミノ酸で緩衝される。また、任意の形態のニコチンの経口送達のための方法、喫煙の衝動若しくはタバコ使用の衝動の減少のための方法、並びにこの経口製剤の製造のための方法、対象者の口腔内においてニコチンの経粘膜取り込みを達成するためのこの経口製剤の使用、及び、タバコ又はニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、禁煙後の体重管理よりなる群から選択される疾患の治療用の上記通りの経口製剤を製造するためのニコチンの使用についても検討される。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、服用者へのニコチンの口腔内送達のためのニコチン含有薬学的製剤に関する。この製剤は、緩衝剤として1種以上のアミノ酸を含む。特に関心対象となるのは、内因性アミノ酸である。またニコチン送達のための方法及びシステム、並びに、この製剤の使用及び製造についても検討される。
【0002】
〔背景技術〕
タバコ依存症とその減少は、望ましい目標である。近年、タバコ喫煙の有害な影響への認識と共に、タバコ喫煙に起因する健康への悪影響に関する情報を広めるための多くのキャンペーン及びプログラムが、政府機関及び種々の健康推進団体(health group)並びに他の関連組織によって行われてきた。更に、有害な影響についてのこの認識の結果、喫煙率を減らす試みを目的とする多くのプログラムが行われてきた。
【0003】
ニコチンは有機化合物であって、タバコの主要アルカロイドである。ニコチンは、紙巻きタバコ、葉巻、嗅ぎタバコなどに使用されるタバコ中の主要な習慣性成分である。ニコチンはまた習慣性薬物でもあり、喫煙者は、一時的に禁煙に成功した後に、再び喫煙習慣に逆戻りする強い傾向を示す特徴的がある。ニコチンは、コーヒー及び茶に含まれるカフェインに次いで世界で2番目に多く使用される薬物である。
【0004】
タバコ喫煙に関する主な問題は、健康に関するその大きな影響である。喫煙に関連した疾病によって、1年につき約300万〜400万人の死亡が引き起こされていると推定されている。米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)「成人の間の紙巻きタバコ喫煙−米国、1995年(cigarette smoking among adults-United States, 1995.)」(MMWR、1997年;46巻:1217〜1220頁)によれば、米国において毎年約50万人がタバコ使用の結果として死亡している。実際、過度の喫煙は、現在、世界中で主要な健康問題の1つと認識されている。タバコ喫煙のこの厳しい結果は、多くの医学会及び保健衛生当局に、タバコの使用に対して非常に強い措置をとるよう迫るものとなっている。
【0005】
今日多くの先進諸国でタバコ喫煙は減少しているが、この世界で2番目に多く使用されている薬物を社会がどのようにして駆逐することができるかは予測が困難である。喫煙率は多くの国、特に発展途上国では依然として増加している。
【0006】
ヘビースモーカーができる最善のことは、完全に喫煙をやめること、又は少なくとも喫煙量を減らすことである。しかしながら、たいていの場合タバコ喫煙が依存性障害又は欲求を引き起こすため、大部分の喫煙者にとってこれが極端に困難であることは、経験の示すところである。世界保健機構(「WHO」)では、その国際疾病分類(International Classification of Disorders)の中で、タバコ依存症(Tobacco Dependence)と呼ばれる診断を記載している。アメリカ精神医学会などの他の団体は、この中毒をニコチン依存症(Nicotine Dependence)と呼んでいる。禁煙がこのように難しいということが、これらのヘビースモーカーがニコチンに依存しているという事実に起因することは、一般的に認められている。しかしながら、健康に関する最も重要な危険因子は、発癌性タール生成物、一酸化炭素、N−ニトロサミン、アルデヒド、シアン化水素酸などの、タバコ燃焼中に形成される物質である。
【0007】
ニコチンの影響
ニコチンは、タバコ植物に由来する習慣性の有毒アルカロイドC54NC47NCH3である。ニコチンは、殺虫剤としても使用される。ニコチンの投与(例えば、紙巻きタバコ、葉巻、又はパイプの喫煙の形態で)は、喫煙者に対し快感を与えることができる。しかしながら喫煙は健康に有害であり、それゆえに、喫煙を止めることを促進するのに用いることができ、及び/又は喫煙の代わりとして用いることができるような、快くかつ無害な方法でニコチンを投与する代替法を作り出すことが望ましい。
【0008】
紙巻きタバコを吸うと、ニコチンは喫煙者の血中に迅速に吸収され、吸入後約10秒以内に脳に達する。ニコチンの迅速な取り込みは、消費者に急速な充足感又は興奮を与える。この充足感は通常、紙巻きタバコの喫煙時間中、及びその後の一定時間にわたって持続する。有害、有毒、発癌性、及び中毒性という喫煙の性質が、方法、組成物、機器を開発するための強い動機付けとなっており、紙巻きタバコ喫煙の習慣を断つのにこれらを用いることができる。
【0009】
ニコチン代替製品
喫煙を減らす一方法は、喫煙以外の形態又は方式でニコチンを提供することである。このニーズを満たすためのいくつかの製品がこれまでに開発されてきた。現在、ニコチン含有製剤は、タバコ依存症に対する主要な処置手段である。
【0010】
現在知られている製品を使用した喫煙率減少の達成は、これまであまり成功していない。現況技術には、行動面アプローチと薬理学的アプローチの両方が関与している。一般的に、単独で喫煙率を減らすための行動面アプローチ又は薬理学的アプローチを使って当初に喫煙をやめたタバコ喫煙者のうち80%を超える人々が、約1年の期間内に喫煙を再開し、以前の喫煙率での喫煙習慣に戻る。
【0011】
禁煙する意欲がある人々のための助けとして、ニコチン代替製品のいくつかの方法と形態とが市場で利用可能である。タバコを用いたいという対象者の欲求を減らすために、ニコチン又はその誘導体を対象者に投与する手順を含むいくつかの方法及び手段が記載されており、例えば、米国特許第5,810,018号(経口ニコチン含有スプレー)、米国特許第5,939,100号(ニコチン含有ミクロスフィア)及び米国特許第4,967,773号(ニコチン含有トローチ剤)に記載されている。
【0012】
ニコチン含有の点鼻薬が報告されている(ラッセル(Russell)ら、British Medical Journal、286巻、683頁(1983年);ジャーヴィス(Jarvis)ら、Brit.J.of Addiction、82巻、983頁(1987年))。しかしながら、点鼻薬は投与が難しく、仕事中又はその他の公共の場で使用するには不便である。スプレーにより鼻腔内に直接送達するやり方によりニコチンを投与する方法は、米国特許第4,579,858号、ドイツ特許第32 41 437号、及び国際公開第93/12764号から既知である。ただし、これらは、ニコチン点鼻製剤の使用により局所的な鼻の炎症を起こすことがある。投与が難しいため、投与されるニコチンの用量も予測不能になる。
【0013】
ニコチンの経皮投与のための皮膚パッチの使用が報告されている(ローズ(Rose)著「タバコ依存症の薬理学的治療(Pharmacologic Treatment of Tobacco Dependence)」、(1986年)158〜166頁、ハーバード大学出版(Harvard Univ. Press))。今日広く使用されているニコチン含有皮膚パッチは、局所的な炎症を起こすことがあり、更にニコチンの吸収が遅く、皮膚血流によって影響を受ける。
【0014】
また、米国特許第5,167,242号で提案されているような、ニコチン蒸気を取り込むための紙巻きタバコに似せた吸入器具も知られている。これらの手段及び方法は、ニコチン中毒に関連する問題に取り組むものである。
【0015】
ニコチンをベースとし、喫煙の代替物として、及び/又は禁煙の助けとして使用される成功品の1つに、チューインガム・ニコレット(登録商標)がある。この製品は、米国食品医薬品局(FDA)により承認された最初のニコチン代替形態の1つであり、いまなお、最も多く使用されているニコチン代替製品の1つである。ニコレット(登録商標)チューインガムはこれまで数年間にわたって約60ヶ国で販売されている。このチューインガムでは、ニコチンが、ガムベース中に分散した不溶性カチオン交換体(ポラクリレックス(polacrilex))との複合体の形態で存在する。ニコチンは、噛むことによってガムからゆっくり放出され、噛み方、すなわち緩急に応じて、約30分後に紙巻きタバコを吸った時と同程度の血漿中濃度に達する。この製品に関連する特許は、例えば、米国特許第3,877,468号、同第3,901,248号、及び同第3,845,217号である。
【0016】
先行技術とその問題
国際公開第02/102357号は、コーティングされたニコチン含有チューインガムを開示している。このガムは、口腔内におけるニコチンの経粘膜的吸収の改善を提供する。これにより、より大きな紙巻きタバコに近い充足感と、喫煙への衝動のより急速な減少が達成される。しかしながら、国際公開第02/102357号において提案されているほとんどの緩衝剤は不快な風味を有し、その不快な味をカバーするために1つ以上の香味剤を添加する必要がある。緩衝剤リストにはグリシンの特定の塩が挙げられているが、これらの塩に不快な味があるかどうかについては言及されていない。
【0017】
国際公開第2005/023227号は、種子ではない生物由来、特に藻、細菌、及び/又は真菌由来のセルロースの中及び/又は上にニコチンを吸収させた、ニコチン含有組成物について開示している。国際公開第02/102357号と同様に、国際公開第2005/023227号で提案されているほとんどの緩衝剤も不快な風味を有する。緩衝剤リストにはグリシンの特定の塩が挙げられているが、これらの塩に不快な味があるかどうかについてはいかなる言及もされていない。
【0018】
小川多津子(Oqawa Tazuko)ら「キニーネの苦味抑制剤のスクリーニング:分子インプリント法によるポリマーの利用(Screening of bitterness-suppressing agents for quinine: The use of molecularly imprinted polymers)」(Journal of Pharmaceutical Sciences、94巻、2号(2005年2月)、353〜362頁)は、多くのアミノ酸は苦味を抑制しないものの、いくつかのアミノ酸がキニーネの苦味を抑制することができると推測している。小川らは、ニコチン含有製剤における緩衝剤としてのアミノ酸の有効性については一切開示していない。キニーネとニコチンは化学的にも薬理学的にも非常に異なっており、このことは、キニーネについての技術がニコチンには必ずしも適用できないことを意味している。
【0019】
緩衝剤に由来する不快な風味についての問題は、口内スプレー、チュアブル錠、錠剤、トローチ錠、チューインガム、カプセル、脂質充填(lipid-filled)マイクロゲル、経口フィルム、及び様々なキャンディタイプの製剤といった、他の経口送達用のあらゆるニコチン含有製剤において生じる可能性がある。
【0020】
ゆえに、使用する緩衝剤に由来する不快な風味を避けるために、経口送達用のニコチン含有製剤を改善する必要がある。本出願において新規性及び独創性があるものとして開示される緩衝剤化合物の多くは、内因性アミノ酸、すなわち人間の体内に既に存在するものであるため、特に有用である。
【0021】
これまでに、ニコチン含有薬学的製剤の緩衝剤としてのアミノ酸の利用について開示した報告はない。米国特許第5,733,572号は、気体充填ミクロスフィアを開示しており、これは、実証化されていない長い詳細リストにおいて述べられているように、ニコチン及び特定のアミノ酸を含んでいる可能性がある。しかしながらこのアミノ酸は緩衝目的ではなく、貯留作用効果を達成するためのものである。
【0022】
〔課題を解決するための手段〕
口腔内で溶解することを意図した医用製品を製剤する場合、感覚刺激特性が重要である。これに加えて、多くの場合、有効成分の取り込みが十分な速さで達成できるように、口腔内で最適pHを得る必要がある。製品に緩衝剤を用いることにより、このpH調節が可能になる。しかしながら、製薬上適切な緩衝剤の数は限られており、最も広く使用されている緩衝剤の一部は、明らかに不快な風味を有している。よって、この不快な風味をカバーするために、通常は1種以上の香味剤が製剤に添加されている。更に、製品に快い風味を与えるために、製剤に香味剤も使用される。不快な風味がない緩衝剤又は不快な風味が比較的マイルドである緩衝剤の使用が実現できれば、製剤作業が容易になり、香味調整プロセスの複雑さが減少する。アミノ酸タイプの緩衝剤の多くは、固有の不快な味がなく、したがって、経口取り込み用のニコチン含有製品にそのような賦形剤を使用することに利点があることが本発明者によって見出されている。
【0023】
ニコチン含有製剤における緩衝剤を選択する際のもう1つの重要な基準は、毒性である。一般的なアミノ酸の多くは、通常の栄養に1日当たり数グラムという多分量で存在しているため、無毒として分類することができる。
【0024】
ニコチン含有製剤の緩衝剤としてアミノ酸を用いる他の利点には、不快なにおいがないこと、並びにUSP/NF及びPh.Eurの両方において、対象のアミノ酸の多くが研究論文に取り上げられており、更に、その多くが不活性成分のFDAリストに記載されていることが挙げられる。
【0025】
対象者にニコチンを送達し、対象者の口腔内でのニコチンの経粘膜的取り込みを達成しようとする際の、当該技術分野で既知の、前述の不利益に鑑み、本発明は、使用される緩衝剤に由来する不快な風味を避け、対象者の口腔内におけるニコチンの経粘膜的取り込みを達成するための、新規及び改善された製品、システム及び方法を提供するものである。
【0026】
本発明の1つの目的は、このような従来より知られていた製品及び方法の不利益を回避した、対象者におけるニコチンの取り込みのための効率的で効果的な製品並びに方法及びシステムを提供するものである。
【0027】
本発明は、任意の形態のニコチンを含む経口製剤のために供給されるものであり、少なくとも1種のアミノ酸を緩衝剤とし、この少なくとも1種のアミノ酸のpH調整機能が不十分な場合は、pH調整化合物をも含む。
【0028】
本発明は更に、対象者の口腔内に任意の形態のニコチンを含む経口製剤を投与することを含む、任意の形態での対象者へのニコチン送達方法を提供し、その送達方法では、必要に応じて経口製剤中の任意の形態のニコチンを口腔内の唾液中に放出し、対象者の体循環に吸収させるようにすることができ、加えて上述の経口製剤製造の製造方法を提供する。口内スプレーにおいてはニコチンは直接利用されるため、前述のような唾液中への放出は必要がない。よって、前述の文では「必要に応じて」との一節が挿入されており、下記及び本出願内の対応する文においても同様である。
【0029】
本発明は更に、喫煙の衝動又はタバコ含有物質を用いたいという衝動の減少を達成する方法、及び/又は喫煙せずに喫煙の充足感を与える方法を提供し、この方法は、このタバコ含有物質を少なくとも部分的に上述した経口製剤で置き換える工程と、任意の形態のニコチン含有経口製剤を対象者の口腔内に投与する工程と、必要に応じて経口製剤中の任意の形態のニコチンを口腔の唾液中に放出して対象者に吸収させる工程とを含む。
【0030】
更に、本発明は、任意の形態のニコチンを対象者に送達するためのシステムであって、上述の経口製剤及び、喫煙の衝動若しくはタバコ使用の衝動の減少を実現するための、少なくとも1つの他の手段を含むシステム、並びに、喫煙の衝動若しくは別様のタバコの使用の衝動の減少を達成するための、及び/又は、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのシステムであって、上述したような経口製剤、及び、喫煙の衝動若しくは別様のタバコの使用の衝動の減少を達成するための少なくとも1つの他の方法を含むシステムを提供する。このシステムは、この少なくとも1つの他の方法が、口内スプレー、鼻スプレー、経皮パッチ、吸入器具、トローチ剤、錠剤を介する投与、及び、非経口的方法、皮下的方法、及び経粘膜的方法、よりなる群から選ばれるか、又は別のタバコ使用である、システムであり得る。
【0031】
あるアミノ酸を唯一の緩衝剤又は主緩衝剤として前述の経口製剤中に用いることにより、前述した緩衝剤に由来する不快な風味による問題が解決される。更に、そのような緩衝剤は、前述したように、毒性の観点から適切であると見なすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
本明細書で使用する時、用語「経口製剤」又は同様の語は、ニコチンを本質的に口腔内の粘膜に送達するため、口腔内に配置するのに適したあらゆる製剤形態を意味するものである。
【0033】
本明細書では、用語「口腔内送達」は、口腔の任意の組織による有効成分の吸収によって全身の血液循環に送達することを意味するものである。
【0034】
本明細書では、用語「完全な減少」又は「完全な」は、完全な減少又は実質的に完全な減少を意味するものである。
【0035】
用語「制御放出」は、経口製剤から対象者の口腔内へのニコチンの放出を意味するものであり、これにより、その経口製剤の能動的な吸引又は他の操作が、放出されるニコチンの量を制御する。
【0036】
用語「持続放出」は、吸引又は他の操作をすると、一定期間(例えば数分間〜1時間)にわたって経口製剤からニコチンが放出されることを意味するものである。
【0037】
用語「単位製剤」は、経口製剤1単位を意味するものである。
【0038】
用語「一時的」は、非永続的変化であって、関連状態、例えば生物的状態又は生理的状態が、一定時間の後、この変化前のその値又は挙動に戻る、非永続的変化を意味するものである。
【0039】
本明細書では、用語「口腔の(buccal)」及び「口腔内に(buccally)」は、口腔の組織の全て又は任意の部分に関係することを意図するものである。
【0040】
有用な経口製剤
ほとんどの投薬形態は、選択されたアミノ酸を唯一又は主たる緩衝剤として用いることによるニコチン効果の経口送達を目的としている。これらの製剤には、例えば、口内スプレー、チューインガム、錠剤、溶融錠剤、トローチ剤、ハードボイルドキャンディ(hard boiled candies)、チューイングキャンディ、グミ、カプセル、経口フィルム、及び液剤、並びに口腔内及び肺吸入用の粉末製剤が含まれる。
【0041】
特殊な製剤は口内スプレーである。口内スプレーは、口腔内粘膜を経由したニコチンの急速取り込みを達成するために有用である適度の投与形態である。口内スプレーは口腔内、あるいは舌の下に直接スプレーすることができる。後述の実施例3では、本発明による口内スプレーの製造方法が開示される。
【0042】
本発明によるチューインガムのガムベース量は、ガムコア全体の約15重量%〜80重量%であり、好ましくは約40重量%〜80重量%である。ニコチンの持続放出のために採用されたガムベースの量は通常、ニコチン単体で使用される場合又は吸収済み形態が用いられる場合、より多い範囲にある。
【0043】
ガムベースは、当該技術分野で既知の任意の従来の性質のものでもよい。例えば、市販元から容易に入手可能な天然又は合成起源のガムベースを含むことができる。天然ガムベースには、例えば、チクル(chicle)、ジェルトン(jelutong-)ガム、レチ・デ・カスピ(lechi de caspi-)ガム、ソー(soh-)ガム、シアク(siak-)ガム、カチアウ(katiau-)ガム、ソーワ(sorwa-)ガム、バラタ(balata-)ガム、ペンダレ(pendare-)ガム、マラヤ(malaya-)ガム、及びピーチ(peach)ガム、天然のカウチュク(cautchouc)、並びにダマール(dammar)及びマスチックス(mastix)といった天然樹脂が挙げられる。合成ガムベースは、下記の物質の混合物である:
−エラストマー(例えばポリマー及び/又は咀嚼剤)、
−可塑剤(例えば樹脂、エラストマー及び/又は溶媒)
−充填剤(例えばテクスチャライザー及び/又は水溶性補助剤)、
−柔軟剤(例えば脂肪)、
−乳化剤、
−ろう、
−酸化防止剤、
−及び、抗粘着剤(例えばビニル系ポリマー及び/又は親水性樹脂など)
【0044】
ガムベースの他の例は、寒天、アルギネート、アラビアガム、キャロブガム、カラギーナン、ガッティガム、グアーガム、カラヤガム、ペクチン、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ゲランガム、及びキサンタンガムなどのゴムである。
【0045】
ゲル化剤の例には、アラビアガム、デンプン、ゼラチン、寒天、及びペクチンが挙げられる。
【0046】
本発明に従って、任意の形態のニコチン及び1種又は複数種の緩衝剤をチューインガム素材に取り込む場合、多種多様なチューインガム組成物と多種多様な量のチューインガムベースを用いることが可能である。
【0047】
ニコチンレベル、ニコチンの配分及び他の添加物に関して、消費者の好みと使用の目的に応じて、様々なチューインガム製品を構成することができる。
【0048】
更に下記では、本発明に従って有用なチューインガム、錠剤、溶融錠剤、口内スプレー、ソフトカプセル、ハードボイルドキャンディ、経口フィルム、グミ、及びチューイングキャンディについての実施例が記載されている。これらの実施例を基盤として、他の有用な実施形態も予見可能となる。
【0049】
緩衝剤
口腔から体循環へのニコチン吸収は、唾液のpH、血漿のpH、及びニコチンの酸塩基平衡(37℃においてpKaは約7.8)に依存する。唾液のpHを6.8と仮定すると、ニコチンのうち約10%だけが非荷電の塩基形態となる。それゆえに、粘膜を介して優勢的に吸収される形態である遊離塩基形態のニコチン吸収を促進するためには、唾液のpHを高める必要がある。pH 9.0では、ニコチンの90%超が、容易に吸収可能な遊離塩基形態となる。
【0050】
本発明によると、経口製剤は、物質、薬剤又は他の手段の使用により緩衝され、この緩衝には少なくとも一部分アミノ酸1種が含まれ、好ましくはこれは内因性アミノ酸及び/又はその塩である。
【0051】
上述のように、緩衝剤に用いるタイプのアミノ酸の多くは、不快な固有の味を持たない。更に、一般的なアミノ酸の大半、特に内因性アミノ酸は、通常の栄養に1日当たり数グラムと、大量に存在しているため、毒性の観点では無毒として分類することができる。
【0052】
ニコチン含有製剤における緩衝剤として有用なアミノ酸を選択する際は、下記の基準のうちの少なくともいくつかを望ましくは使用すべきである:
1)pKaが8.0〜9.6の間(システムが、25℃でのニコチンのpKa値を上回るpH領域において緩衝するように)。
2)水溶解度が約10g/kgを上回る。
3)毒性の観点から見て有用。
4)好ましくは、ニコチンを含まない製剤処方における緩衝剤として既に使用されている。
【0053】
最も有用なアミノ酸が、次の表1に列記されている。
【0054】
【表1】

a)非ニコチン含有製剤処方における緩衝剤として報告されている。
b)水に対する溶解度値が低いか又は不明。
【0055】
アミノ酸の説明データは「化学・物理ハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)」第85版、表7−1「タンパク質の基本構成要素である20の基本アミノ酸(20 standard amino acids that are the basic constituents of proteins)」及び表7−2「生化学的に重要なアミノ酸及び関連化合物(Amino acids and related compounds of biochemical importance)」より抜粋されている。
【0056】
緩衝剤は、経口製剤が溶融、離解、又は溶解する際に、高いpH値で、対象者の唾液の一時的な緩衝作用を達成するよう設計される。この変化は一時的であるため、pHは所定の時間経過後、その通常の値に復帰する。
【0057】
この唾液のpHの変化(ここではpHの上昇)を使用することによって、口腔中のニコチンの経粘膜的取り込み量が変化し、例えば、本発明に従った唾液の緩衝が行われない場合のニコチン取り込み量と比較して増大する。また、本発明による口腔中のニコチンの経粘膜的取り込みは、本発明に従った緩衝が行われないニコチンの経粘膜的取り込みよりも速いので、飲み込まれて胃腸(G.I.)管に達するニコチンがより少なくなる。胃腸管に到達したニコチンは、第1の通過代謝の対象となるため、吸収される完全なニコチンの総量が減少する。これはすなわち、緩衝剤と共に投与されなかったニコチンの生物学的利用能が、緩衝剤と共に投与された場合よりも一般的に低くなることを意味する。
【0058】
本発明の更なる実施形態には、アミノ酸と他の緩衝剤又はpH調整化合物とを組み合わせて緩衝作用を行う経口投与形態が含まれる。この他の緩衝剤又はpH調整化合物は好ましくは、アルカリ金属(カリウム若しくはナトリウムなど)又はアンモニウム、又はそれらの混合物の、炭酸塩(重炭酸塩若しくはセスキ炭酸塩を含む)、リン酸塩、グリセロリン酸塩、又はクエン酸塩からなる群から選択される。
【0059】
なお更なる実施形態には、様々なリン酸塩系(例えばリン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム;及びリン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム)、及び水酸化カルシウム、グリシン酸ナトリウム、トロメタモール、及びそれらの混合物と組み合わせたアミノ酸の使用を包含することができる。
【0060】
アルカリ金属の炭酸塩及びリン酸塩は、好ましい追加の緩衝剤又はpH調整化合物である。
【0061】
緩衝能力を増大させ、同時にこれに伴ってpHを高めないようにするためには、具体的実施形態において、この第一の緩衝剤に対して、第二又は補助的な緩衝剤(例えば重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウム緩衝剤など)を使用することができる。更に、塩基性を高めるためには、例えば水酸化ナトリウムなどの強塩基を製剤に追加することができる。これによって好ましい味を維持するように努めるべきである。第二又は補助的な緩衝剤は、この目的に対して好ましいアルカリ金属重炭酸塩よりなる群から選ぶことができる。このようにして、本発明の更なる実施形態には、アミノ酸、並びにアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属リン酸塩と、アルカリ金属重炭酸塩との混合物を含むことができる。有用な混合比のいくつかが、後述の実施例において提供される。
【0062】
経口製剤における緩衝剤及び任意のpH調整化合物の量は、好ましくは、具体的実施形態において口腔内の唾液のpHを7より上、例えばpH 7〜10に一時的に維持するために十分な量である。
【0063】
ニコチンは、様々な形態、例えば様々な錯体又は塩の形態で投与することができる。様々なニコチン投与形態で高いpHを達成するのに必要な緩衝剤及びpH調整化合物の量は、当業者によって容易に算出される。pH上昇の度合と持続時間は、使用される緩衝剤(1種又は複数種)の種類と量、並びに次の段落で記述される事項に依存する。
【0064】
有効成分
本発明によれば、本経口製剤は、任意の形態(例えば遊離塩基、塩、又は錯体など)のニコチンを含む。
【0065】
ニコチンには、塩基形態のニコチン、3−(1−メチル−2−ピロリジニル)−ピリジンが含まれることが意図されており、これには、合成ニコチン、並びにタバコ植物又はその一部からのニコチン抽出物(ニコチアナ属単独又はそれらの組み合わせなど);又は、製薬上許容できる塩が含まれる。
【0066】
ニコチン化合物は唾液に可溶性の形態であるべきであり、又は、口腔内の唾液中へのニコチンの急速な放出が容易であるべきであり、更にその後の、対象者の口腔内唾液から体循環へのニコチン取り込みが容易であるべきである。ニコチンが、ニコチン・レジン複合体(NRC)の形態が主である場合、ニコチンの放出は緩衝剤の存在によって調整される。
【0067】
好ましい実施形態において、遊離塩基形態のニコチン、ニコチン塩、ニコチン誘導体(例えば、ニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、又は任意の非共有結合ニコチン)、ゼオライトに結合したニコチン、セルロース又はデンプンミクロスフィアに結合したニコチン、及びこれらの混合物からなる群から、任意の形態のニコチンが選択される。
【0068】
例えば、表2に示す塩のように、数多くのニコチン塩が知られており、使用することができ、好ましくは一酒石酸塩、水素酒石酸塩(重酒石酸塩又は重酒石酸塩二水和物とも呼ばれる)、クエン酸塩、リンゴ酸塩、及び/又は塩酸塩を使用することができる。
【0069】
【表2】

* 製造時点において推奨
【0070】
包接錯体は、ニコチン−β−シクロデキストリンなどのニコチン−シクロデキストリン(1−1)化合物であってもよい。
【0071】
適切なカチオン交換体は、下記の表3、及び米国特許第3,845,217号に開示されている。ニコチンカチオン交換体として好ましいのは、ローム&ハース(Rohm & Haas)販売のアンバーライト(Amberlite)シリーズなどのポリアクリレートである。
【0072】
【表3】

本発明の経口製剤に、1種以上の添加物を追加することができる。添加物については、後述の「経口製剤の他の添加物」の段落で更に説明される。
【0073】
経口製剤におけるニコチンの量及び配分
本発明による任意の形態のニコチンは、ある効果を達成する服用量を対象者に与えるように製剤される。この効果は、喫煙なしで喫煙の充足感を与えることができる。投与された任意の形態のニコチンの別の効果は、喫煙への衝動又はタバコを用いたいという衝動の減少であり得る。
【0074】
この効果は、前述の衝動の減少と、喫煙なしで喫煙の充足感を与えることとの組み合わせであり得る。ニコチンの量は、対象者にそのような効果を与えるのに十分なものであるべきである。この量は当然、人によって異なる可能性がある。
【0075】
本発明によれば、経口製剤の実施形態は、任意の形態のニコチンが、経口製剤の単位用量当たり、遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に0.05〜8mgの量で存在する実施形態を含む。これは、様々な実施形態において、単位用量当たり、遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に0.1、0.5、1、2、3、4、5、6又は8mgを含んでもよい。
【0076】
また好ましい実施形態は、任意の形態のニコチンが、経口製剤の単位用量当たり、遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に0.5〜6mgの量で存在する実施形態を含有してもよい。
【0077】
更に好ましい実施形態は、任意の形態のニコチンを、経口製剤の単位用量当たり、遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に0.5〜5mgの量で含有する。
【0078】
任意の形態のニコチンを様々な実施形態において経口製剤に配分することができる。経口製剤全体にわたるニコチンの様々な配分は、対象者に対するニコチン投与が様々な方法で行われることを意味する。したがって、これによって、対象者の喫煙への衝動又はタバコを用いたいという衝動に応じて、様々な対象者の様々なニーズに従う、経口製剤の組成物を調節するといういくつかの可能性を提供することができる。後述の実施例では、そのような様々な実施形態が開示される。
【0079】
経口製剤の他の添加物
弱い塩基性を与えるために、例えば、水酸化ナトリウムなどの強塩基を製剤に追加することができる。
【0080】
他の添加物も、経口製剤に所望により追加することができる。任意の添加剤には、次のものよりなる群から選択される少なくとも1種以上の添加剤が含まれる:溶媒(エタノール及び水など)、共溶媒(プロピレングリコールなど)、安定剤(例えば、抗酸化剤といった保存料など)、柔軟剤(ソルビトール及びグリセリンなど)、増粘剤(コロイド状二酸化ケイ素など)、結合剤(キサンタンガムなど)、充填剤(マンニトール、イソマルト、ココアパウダー、及びクロスポビドンなど)、可溶化剤(ポリソルバット(Polysorbat)80及びアトモス(Atmos)300など)、ゴム、脂質保護剤(スクロース脂肪酸エステル及び水素添加植物油など)、被膜形成剤(ブタ由来ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガムなど)、乳化剤(ペクチン、大豆レシチン、モノステアリン酸グリセロール、ヒマシ油及びポロキサマーなど)、滑剤(コロイド状二酸化ケイ素など)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、コーティング剤(ヒマシ油及びソルビトールなど)、溶融性ビヒクル(植物油など)、甘味料、香味剤、香料、冷却剤、増強剤、着色剤、ビタミン、ミネラル、フッ素、口臭防止剤、歯のホワイトニング剤、及びこれらの混合物。本発明によれば、そのような添加物のうちの少なくとも1種が任意に本製品に添加される。
【0081】
増強剤は主に、口腔からの経粘膜的ニコチン取り込みを増加させるために追加することができる。
【0082】
甘味料は主に、味を改善するために添加される。甘味料は、1つ以上の合成糖又は天然糖を含み、すなわち甘味料として使用に適した任意の形態の炭水化物、並びに、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム(例えばニュートラスウィート(NutraSweet)(登録商標))、アセスルファム又はアセスルファムK(Acesulfame K)、アセスルファムカリウム、タウマチン、グリチルリチン、スクラロース、ジヒドロカルコン、アリテーム、ミラクリン、モネリン、ステブシド、ネオテームなどの、いわゆる人工甘味料を含む。
【0083】
適切な甘味料は、次のものよりなる群から選択することができる:糖アルコール(ソルビトール、キシリトールなど)、単糖(サトウキビ及びテンサイから抽出された糖(スクロース)を含む)、デキストロース(グルコースとも呼ばれる)、フルクトース(レブロースとも呼ばれる)、及びラクトース(乳糖とも呼ばれる);ソルビトール、マンニトール、グリセロール、キシリトール、エリスリトール、マルチトールシロップ(又は水素添加デンプン加水分解物)、イソマルト、ラクチトール;並びに、グルコースシロップ、(例えば、デキストロース、マルトース及び一連の複合糖質の混合物を含有するデンプン加水分解物)、転化糖シロップ(例えば、デキストロースとフルクトースとの混合物を含有するインベルターゼ(スクラーゼ又はサッカラーゼとも呼ばれる)で転化されたスクロース)、高い糖含有量のシロップ(特定のレブロース、デキストロース、マルトース、ラクチトール、スクロース、樹脂、デキストリン及び高級糖の混合物を含有する糖蜜及び蜂蜜など)を含めた、糖の混合物;並びに、モルト又は麦芽エキス。
【0084】
香味剤及び香料添加物は、1種以上の合成又は天然の風味マスキング剤、香味剤、香料を含むことができる。香味剤及び芳香剤は、次の中から選択することができる:アルコール、エステル、アルデヒド及びラクトンの混合物を含む、切った花、葉、皮、若しくはつぶした果物全体の蒸留物、溶媒抽出物、又は冷圧搾物などのエッセンシャルオイル;エッセンス(エッセンシャルオイルの希釈溶液又は、果物、例えば、イチゴ、キイチゴ及びブラックカラントの天然の香味にマッチさせるようにブレンドされた合成化学物質の混合物など);醸造物及びリカー(コニャック、ウィスキー、ラム、ジン、シェリー、ポートワイン及びワインなど)の人工又は天然の香味剤;タバコ、コーヒー、茶、ココア及びミント;フルーツジュース(洗浄しこすり洗いした果物(例えば、レモン、オレンジ及びライム)から得られたジュースなど);スペアミント、ペパーミント、冬緑油、シナモン、カコー(cacoe)/ココア、バニラ、リコリス、メントール、ユーカリ、アニスシード、ナッツ(例えば、ピーナッツ、ココナッツ、ヘイゼルナッツ、クリ、クルミ、コーラナッツ)、アーモンド、レーズン;及び、ニコチンのレベルに有意に関与しない量のタバコ植物部分(例えばニコチアナ属)などのパウダー、粉末、又は植物性材料、及びショウガ。
【0085】
着色添加剤は、食品添加物として承認されている着色剤から選択することができる。
【0086】
安定剤添加物は、次のものよりなる群から選択することができる:酸化防止剤(ビタミンE(すなわち、トコフェロール)、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、エデト酸、及びエデト酸塩など);及び防腐剤(クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、安息香酸、及びソルビン酸など)。好ましい実施形態は、安定剤として酸化防止剤を含み、更に好ましくは酸化防止剤のビタミンE及び/又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む。
【0087】
任意の形態のニコチンを対象者に送達する方法
本発明は、対象者(人)にニコチンを様々な方法で送達するのに使用することができる。本発明の1つの実施形態によれば、対象者に対する任意の形態のニコチン送達の方法は、
a)本発明による任意の形態のニコチンを含有する経口製剤を、対象者の口腔内に投与する工程、及び
b)必要に応じて、経口製剤内の任意の形態のニコチンを口腔内の唾液中に放出させ、対象者の血漿中に吸収させる工程、を含む。
【0088】
任意の形態のニコチン送達方法は更に、
c)任意の形態のニコチンを、対象者に対して一定時間保持されるような方法で投与する工程を含む。この一定時間とは、少なくとも5分、10分、20分、30分、又は40分となり得る。
【0089】
喫煙の衝動又はタバコ使用の衝動を低下させる方法
本発明の別の特徴は、本発明の利用により喫煙の衝動を減らすことが可能な点である。本発明による、喫煙の衝動又はニコチン含有タバコ製品使用の衝動を低下させるための方法、及び/又は喫煙せずに喫煙の満足感を与えるための方法は、
a)ニコチン含有製品の少なくとも一部を、タバコを含まないニコチン含有経口製剤に置き換える工程、
b)対象者の口腔内に任意の形態のニコチンを含有する経口製剤を投与する工程、及び
c)必要に応じて、経口製剤内の任意の形態のニコチンを口腔内の唾液中に放出させ、対象者に吸収させる工程、を含む。
【0090】
他の実施形態において、本発明による方法は更に、任意の形態のニコチンを、対象者に対して一定時間保持されるような方法で投与する工程を含む。この一定時間とは、少なくとも5分、10分、20分、30分、又は40分となり得る。
【0091】
ニコチンを対象者に送達するための方法の更なる実施形態は、喫煙又はタバコの使用の衝動の減少を達成するための少なくとも1つの他の方法を、この経口製剤投与と組み合わせる工程を含んでもよい。
【0092】
タバコ含有物質は、例えば喫煙する、嗅ぐ、又は噛むために使用される物質となることができ、紙巻きタバコ、葉巻、パイプタバコ、嗅ぎタバコ、スヌース(snus)、及び噛みタバコを含むことができる。
【0093】
喫煙又はタバコ使用の衝動の持続的減少
本発明は、喫煙又はタバコ使用の衝動の減少にも使用することができる。それでもなお、対象者の満足感又は充足感を継続させ、かつ切望感の復活を避けるために、最初の切望感除去の後に、持続的な切望感除去を得ることができる。持続的な切望感除去は、ニコチンの持続的取り込みを可能とするような方法で、経口製剤を用いて達成される。対象者の血漿中のニコチン濃度が、この充足感を得るのに十分高いレベルに維持される限り、対象者の持続的な切望感除去及び/又は充足感は持続する。
【0094】
対象者は、一定時間(5分、10分、20分、30分又は40分又はそれ以上など)にわたって、例えば、個別使用の制御放出によるニコチンの持続放出などにより、経口製剤を使用することによってこれを達成することができる。
【0095】
喫煙又はタバコ使用の衝動の停止
使用者によっては、いくつかの理由(例えば健康上、経済上、社会的又は行動上の理由)のため、ニコチンの使用を完全に断つことが目標である場合がある。この喫煙の停止、又はタバコ使用の衝動の停止は、任意の形態のニコチンの量をある期間にわたって次第に減らしていくことにより達成することができる。本発明の具体的な一実施形態では、タバコへの切望感の完全な除去を達成するために、ある期間にわたって徐々に、上記の経口製剤中のニコチンの量を減少させる工程が、切望感除去を達成するための上記方法に更に含むことができる。この方法は、ある期間にわたって徐々に行う離脱(weaning)プロセスである。
【0096】
喫煙者のタイプによって、切望感の減少を感じる状態になる血漿中ニコチン濃度は種々異なる。これは当然、本発明による経口製剤の投与プログラムにおける個別タイプに影響することがある。喫煙者の様々なタイプとしては、例えばピークシーカー、すなわち、ニコチンの血漿中濃度を禁断症状のレベルより常に上にあるよう切望する喫煙者が挙げられる。
【0097】
1つの戦略は、投与する経口製剤の頻度を減らすことであってもよい。他の実施形態には、その経口製剤中のニコチン用量を変えること、並びにこれら2つの方法を組み合わせることが挙げられる。また、この戦略は、いかなる形態のニコチンも実質的に含まない経口製剤を含むことができる。このような経口製剤は、切望感が低いか又は実質的になくなった時に、治療期間の最後に投与することができる。
【0098】
ニコチンを送達し切望感の除去を達成するためのシステム
本発明により、特に切望感の除去を達成するために、対象者に任意の形態のニコチンを送達するシステムがある。このようなシステムは、本発明による経口製剤と、喫煙の衝動の減少を達成するための少なくとも1つの他の手段とを含む。
【0099】
本発明による別のシステムは、喫煙又はタバコ使用の衝動の減少を実現し、及び/又は、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのシステムとなることもできる。このようなシステムは、本発明による経口製剤と、喫煙への衝動やタバコを用いたいという衝動の減少を実現するための少なくとも1つの他の方法又は手段を含む。その他の方法又は手段は、口内スプレー、鼻スプレー、経皮パッチ、吸入器具、トローチ剤、錠剤を介する投与、及び非経口的方法、皮下的方法、及び経粘膜的方法よりなる群から選択される付随的又は同時的方法であることができ、あるいはタバコの使用であることができる。
【0100】
具体的な一実施形態では、少なくとも1つの他の方法は、ニコチンの投与を含む。
【0101】
経口製剤の使用
本発明による経口製剤の使用には、前述のように、喫煙への衝動及びタバコを用いたいという衝動の迅速な、及び/又は持続的な、及び/又は完全な減少の達成、或いは、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのものを挙げることができる。
【0102】
ニコチンの投与用量は、任意の形態のニコチンの効果として、対象者に、個人的な感覚認識と充足感とを与えるように選択される。経口製剤の使用は、本発明による単独使用であっても、又は薬物濫用の分野で既知の他の手段又は方法との組合せであってもよい。具体的には、本発明は、上記段落の方法において上述した他の手段と組み合わせて使用することができる。
【0103】
この使用は、喫煙への衝動又はタバコ使用の衝動を迅速に減らすこのができる。他の実施形態には、喫煙への衝動又はタバコ使用の衝動のゆっくりとした減少が挙げられる。
【0104】
治療及び処置のための使用
本発明による経口製剤は、治療及び処置に使用することができる。そのような治療としては、タバコ又はニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、禁煙後の体重管理よりなる群から選択される疾患の治療であり得る。
【0105】
ニコチンは、これら疾患の治療用に、本発明による経口製剤のために使用することができる。
【0106】
更に、これら疾患の治療のために、本発明によるニコチン含有経口製剤の製造において、ニコチンを使用することができる。
【0107】
経口製剤の製造
本発明による経口製剤は基本的に、当該技術分野において既知の方法に従って製造される。代表的だが非限定的である製造方法が下記の実施例において記述される。
【0108】
下記の例では、チューインガムの混合、延伸、刻み目入れ、並びにチューインガムの圧縮が説明されている。下記の例ではまた、本発明の他の実施形態の製造に関する情報も提供される。
【0109】
便宜上、当該技術分野において例えば緩衝剤などの配合に関して既知の手順に従い、本発明による添加剤の組成物(例えば、緩衝剤系)も同時に製造される。組み込まれる緩衝剤系の物理的性質によっては、組成物の液体部分又は固体部分のいずれかにこの緩衝剤系(1種又は複数種)を追加すると便利な場合がある。微粉末として使用できる緩衝剤系の場合には、当然、他の添加剤の固体粉末部分にこの粉末を添加するのが最も便利な場合がある。次にこの最終製品を分析して、梱包を行うことが可能である。
【0110】
ニコチンの分析
本発明によるニコチン取り込み及び効果の分析は、当該技術分野で既知の標準的手順に従って、例えば、対象者の血漿中におけるニコチン又はその代謝物質の測定のためのバイオ分析を用いて行うことができる。
【実施例】
【0111】
本発明の実施形態における下記の実施例は、例示的だが、これらに限定されるものではない。当業者ならば、以下の実施例に基づいて、本発明の他の実施形態も想定することができる。下記の製剤の製造のためのバッチサイズは、実際のニーズ及び実際の生産設備に応じて修正することが可能である。別途記載がない限り、下記の製造においては、当該技術分野で既知の手順及び機器が用いられている。
下記の実施例において、使用されているアミノ酸はL−アルギニン、グリシン、及びN−グリシルグリシンである。ただし当業者ならば、L−アルギニン、グリシン、及びN−グリシルグリシンを、1つ以上の他のアミノ酸(例えば前述の表1から選択されるアミノ酸)に置き換え、現況技術の方法に従ってアミノ酸の量を調整することが可能である。更に、当業者ならば、pH調整化合物を追加する必要があるか否かは容易に計算することが可能である。したがって下記の実施例のいくつかにおいて、緩衝剤の他にpH調整化合物1種が追加されている。
(実施例1)錠剤
【0112】
【表4】

【0113】
製造プロセス:
上記の成分がブレンドされる。そのブレンドを、当該技術分野において既知の方法に従い、直接圧縮手段により圧縮して錠剤に成型する。
【0114】
(実施例2)溶融錠剤
これは口内で溶かすための錠剤であり、溶けた物質が口腔内粘膜に付着し、ニコチンがここに沈積して組織内に入り込む。
【0115】
【表5】

【0116】
製造プロセス:
この製造は室温で行われる。脂肪質成分、すなわち、植物油の一部が溶融される。固体成分、すなわち、ニコチン塩、ココアパウダー、緩衝剤、マンニトール、酸化チタン、甘味料及び香味剤がに添加され、混合される。ロールリファイナーにおいて混合物の粉砕を行うことにより、固体成分の粒子サイズが細かくされる。例えば、脂肪質成分との混合前に粉砕されることによって固体成分が既に必要な粒子サイズになっている場合は、ロールリファイニング手順が省かれる。実行可能性のあるロールリファイナーでの処置の後、混合物に、残りの溶融植物油を混合し、又は(再固化している場合には)再溶融し、それを混合する。溶融物の混合は適切なミキサー内で実施される。液体成分、すなわち、大豆レシチンを追加する。
【0117】
次に、鋳型成型、押出成形又は凝結などの適切な技法を用いて錠剤を製造する。これには、適切な前処理を行った後に必要に応じてのパスティレーション(pastillation)が含まれる。また、当該技術分野において既知の、その他適切な製造技法も用いることができる。
【0118】
(実施例3A)口内スプレー
【0119】
【表6】

【0120】
(実施例3B)口内スプレー
【0121】
【表7】

【0122】
実施例3A及び3Bにおいて、並びに後述のいくつかの実施例において、アミノ酸緩衝剤のpH調整能は、適切な量のpH調整化合物の追加によって増大する。
【0123】
製造プロセス:
混合物I
1.精製水を容器に入れる。
2.ポロキサマーを加え、混合して溶解させてから次のステップに進む。
3.甘味料、グリシン(又はL−アルギニン)及び炭酸水素ナトリウムを加える。
4.全ての成分が溶けるまでかき混ぜ続ける。
【0124】
混合物II
5.エタノールを容器に入れる。
6.レボメントールを加え、かき混ぜ続けて溶かす。
7.プロピレングリコール、香味剤、グリセリン、冷却剤を加える。溶液が均質になるまで攪拌を続ける。
【0125】
最終混合
8.混合物IIを混合物Iに注ぎ、均質な溶液になるまでかき混ぜる。
9.静かにかき混ぜながら、ニコチンをこの溶液に加える。
10.溶液のpHを測定する。塩酸を加えることによりpHを9に調整する。
11.適量の精製水を加えてバッチ量にする。溶液をよく混合し、透明な溶液を得る。
【0126】
(実施例4)カプセル
【0127】
【表8】

【0128】
使用:
継ぎ目のないソフトゲルカプセルは、柔らかいゼラチンカプセルであり、その球体形状と、薄く継ぎ目のないゼラチン製シェルが特徴である。シェルが薄いため、噛む又は飲み込むことを意図している従来製造されているソフトゼラチンカプセルに比べ、口腔内で溶解させる製品での使用に適している。
【0129】
製造プロセス:
継ぎ目のないソフトゲルカプセルは、2つ以上の同心層よりなる液滴の形成により製造される。この液滴は、同心ノズルを通して異なる液体を供給することによって形成される。最も外側のノズルは、ゼラチン及び添加物(例えば、可塑剤)よりなる親水性溶液を供給する。1つ以上の内側ノズルは、親油性液体(例えば、油、トリグリセリド)を供給し、この液体には1種以上の活性物質を分散させることができる。形成された液滴の、親油性の中心及び親水性の周囲は、シェルとコア部成分との間の良好な相分離を確実にする。形成されたカプセルは、次に、冷却、乾燥、洗浄、並びにサイズ及び形状の選択といった一連の加工手順を経る。
【0130】
(実施例5A)ハードボイルドキャンディ
【0131】
【表9】

1個の重量3.5g
1個当たりニコチン2mg
【0132】
製造プロセス:
1.ステンレススチール製ビーカーに精製水、イソマルト、及びマルチトール溶液を入れる。混合し、かき混ぜながら加熱する。
2.加熱をやめ、135〜140℃まで冷ます。重酒石酸ニコチン二水和物を加え、完全に分散するまでかき混ぜる。L−アルギニンを加え、120℃で分散するまでかき混ぜる。
3.香味剤を加え、均質になるまでかき混ぜる。
4.型に流し込み、冷ます。
【0133】
(実施例5B)ハードボイルドキャンディ
【0134】
【表10】

1個の重量1.0g
1個当たりニコチン2mg
【0135】
製造プロセス:
1.ステンレススチール製ビーカーに精製水、イソマルト、及びマルチトール溶液を入れる。混合し、かき混ぜながら加熱する。
2.加熱をやめ、135〜140℃まで冷ます。重酒石酸ニコチン二水和物を加え、完全に分散するまでかき混ぜる。N−グリシルグリシン、炭酸ナトリウムを加え、120℃で分散するまでかき混ぜる。
3.香味剤を加え、均質になるまでかき混ぜる。
4.型に流し込み、冷ます。
【0136】
(実施例6)経口フィルム
【0137】
【表11】

【0138】
製造プロセス(パート1)
1.プルラン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、及びペクチンを混合する。
2.この混合物に加熱した水を加える。
3.スクラロース及びソルビトールを加え、かき混ぜて溶かす。室温まで冷ます。
4.ポリソルバット(Polysorbat)80、アトモス(Atmos)300、着色料、メントール、及び香味料をあらかじめ混合しておき、ブレンドに加える。
5.酒石酸を加え、次にニコチン遊離塩基を加えてかき混ぜる。
6.プルラン溶液を、望みの厚さの基材の上でキャスト成型し、熱風で乾燥させる。
【0139】
製造プロセス(パート2):
1.プルラン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、L−アルギニン、及び炭酸ナトリウムを混合する。
2.この混合物に加熱した水を加える。
3.スクラロース及びソルビトールを加え、かき混ぜて溶かす。室温まで冷ます。
4.ポリソルバット(Polysorbat)80、アトモス(Atmos)300、着色料、メントール、及び香味料をあらかじめ混ぜておき、ブレンドに加える。
5.プルラン溶液を、望みの厚さの基材の上にキャスト成型し、熱風で乾燥させる。
【0140】
製造(パート3)
1.キャストフィルム(活性部分)及びキャストフィルム(緩衝部分)を重ねて置き、軽く押してくっつける。
2.望ましいサイズに裁断する。例えば、24mm×33mmのサイズが適当である。
【0141】
必要に応じて、活性物質含有キャストフィルムと緩衝剤含有キャストフィルムとの間にバリヤー層を入れ、これら2つのフィルム間の化学反応を防ぐことができる。
【0142】
また、複数層の経口フィルムも予見可能となる。
【0143】
(実施例7)グミ
【0144】
【表12】

【0145】
製造プロセス:
1.イソマルトを融点まで加熱し、甘味料を加え、その混合物を冷ます。
2.冷めた混合物に、ペクチン溶液、L−アルギニン、及び香味剤を加える。
3.重酒石酸ニコチン二水和物を加え、完全にかき混ぜる。
4.当該技術分野において既知の方法を用い、望ましい形状とサイズのデンプン型を使用してキャスト成型する。
【0146】
(実施例8)チューイングキャンディ
【0147】
【表13】

【0148】
製造プロセス
1.イソマルトを融点まで加熱し、甘味料を加え、その混合物を冷ます。
2.冷めた混合物に、植物油、L−アルギニン、及び香味剤を加える。よくかき混ぜる。
3.重酒石酸ニコチン二水和物を加える。よくかき混ぜる。当該技術分野において既知の方法を用い、キャスト成型するか、又は押出成形して、望みのサイズに裁断する。
【0149】
(実施例9A)圧縮チューインガム
実施例9A
【0150】
【表14】

【0151】
製造プロセス:
1)ニコチン・レジン複合体を、親水性の水溶性成分、すなわちソルビトールとブレンドする。
2)水に実質的に不溶である疎水性の成分、すなわち、ヒマシ油を、適切な温度まで加熱し、溶液を得る。
3)1)で得たブレンドを、激しく攪拌しながら溶液2)に加える。
4)上記3)のブレンドを室温以下まで冷まし、ガムベース及び他の添加剤と混合する。
5)上記4)のブレンドを、必要に応じてふるいにかけて塊を除去し、直接圧縮法により圧縮してガムに成型する。
【0152】
(実施例9B)
【0153】
【表15】

【0154】
製造プロセス説明:
1)混合:ガムベース、甘味料、及び滑剤を含むガムベース粉末混合物を、活性物質、香味剤、滑剤、人工甘味料、緩衝剤、及び潤滑剤とブレンドする。
2)錠剤成型:上記のブレンドを、必要に応じてふるいにかけて塊を除去し、直接圧縮法により圧縮してガムに成型する。
【0155】
(実施例10)混合、延伸、及び刻み目入れによって製造したチューインガム
【0156】
【表16】

【0157】
製造プロセス:
混合、延伸、及び刻み目入れは従来の手順によって行われる。ガムベースと製剤のその他の成分との混合には、ダブルシグマブレードミキサーを用いる。ガムベースは、ミキサーで柔らかくされる。熱(加熱ジャケットから)と混合とによって、ガムベースは可塑性状態になる。よって、柔らかくなったベースは、液体成分、及び固体成分は粉末混合物として、これらと混ぜ合わせる。この暖かい塊をミキサーから出し、台車上のトレイ上に塊状に積み重ね、次のステップの開始まで、環境調整された場所に保管する。これはガムを冷ますためである。
【0158】
その後、延伸及び刻み目入れを行う。ガムを厚いシート状に押し出し、複数セットのカレンダーロールで延伸し、正しい厚さにする。刻み目入れロールは通常2本組で、このシートに正しいサイズのガム小片の切れ目を入れる。
【0159】
次いで、シートをトレイに載せて環境調整された場所に移し、そこでシートを冷まし、折り取るのに十分な脆さにする。次に、この環境調整されたガムシートを、回転ドラムであるブレーカーに通し、ここでシートが刻み目に沿って分離したガム小片に分けられる。
【0160】
選別工程で、変形したガムを取り除く。これにより合格したガムは更に、金属探知器を通して検査を行う。
【0161】
〔実施態様〕
(1) 少なくとも1種のアミノ酸及び/又はその塩により緩衝されること、並びに、前記少なくとも1種のアミノ酸及び/又はその塩のpH調整能が十分でない場合にpH調整化合物を含むことを特徴とする、ニコチンを含む緩衝された薬学的経口製剤。
(2) 前記少なくとも1種のアミノ酸の中に、少なくとも1種の内因性アミノ酸があることを特徴とする、実施態様1に記載の経口製剤。
(3) 前記少なくとも1種の内因性アミノ酸が、アルギニン、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、オルチニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、及びバリンの中から選択されていることを特徴とする、実施態様2に記載の経口製剤。
(4) 前記少なくとも1種の内因性アミノ酸が、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、及びバリンの中から選択されていることを特徴とする、実施態様3に記載の経口製剤。
(5) 前記少なくとも1種のアミノ酸が、システイン酸、N−グリシルグリシン、及びオルチニンの中から選択されていることを特徴とする、実施態様1に記載の経口製剤。
(6) 対象者に対する前記経口製剤の口腔内投与において前記対象者の唾液のpHが0.2〜4pH単位上昇するように緩衝される、実施態様1〜5のいずれか一項に記載の経口製剤。
(7) 対象者に対する前記経口製剤の投与において前記対象者の唾液のpHが0.5〜2pH単位上昇するように緩衝される、実施態様6に記載の経口製剤。
(8) アルカリ金属(カリウム若しくはナトリウム)又はアンモニウムの、炭酸塩(重炭酸塩若しくはセスキ炭酸塩を含む)、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、又はクエン酸塩(これらの例には、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム及び水酸化カルシウム、グリシン酸ナトリウム、トロメタモールが挙げられる)及びこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上の緩衝剤及び/又は1種以上のpH調整化合物と共にアミノ酸1種で緩衝されている、実施態様1〜7のいずれか一項に記載の経口製剤。
(9) 任意の形態の前記ニコチンが、ニコチン塩、遊離塩基形態のニコチン、ニコチン誘導体(例えばニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、又は任意の非共有結合ニコチン)、ゼオライトに結合したニコチン、セルロース又はデンプンミクロスフィアに結合したニコチン、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、実施態様1〜8のいずれか一項に記載の経口製剤。
(10) 前記ニコチン包接錯体が、例えばβ−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン錯体である、実施態様9に記載の経口製剤。
(11) 前記ニコチンカチオン交換体がポリアクリレートカチオン交換体である、実施態様9に記載の経口製剤。
(12) 前記ニコチン塩が、一酒石酸塩、酒石酸水素塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、及び/又は塩酸塩である、実施態様9に記載の経口製剤。
(13) 前記任意の形態のニコチンが、単位用量当たり、前記遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に0.05〜8mgの量で存在する、実施態様1〜10のいずれか一項に記載の経口製剤。
(14) 前記任意の形態のニコチンが、単位用量当たり、前記遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に0.1〜6mgの量で存在する、実施態様13に記載の経口製剤。
(15) 前記任意の形態のニコチンが、単位用量当たり、前記遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に2〜5mgの量で存在する、実施態様14に記載の経口製剤。
(16) 所望により少なくとも1種以上の添加剤が、溶媒、共溶媒、安定剤、保存料、抗酸化剤、柔軟剤、増粘剤、結合剤、充填剤、可溶化剤、ゴム、脂質保護剤、被膜形成剤、乳化剤、滑剤、潤滑剤、コーティング剤、溶融性ビヒクル、甘味料、香味剤、香料、冷却剤、増強剤、着色剤、ビタミン、ミネラル、フッ素、口臭防止剤、歯のホワイトニング剤、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、実施態様1〜15のいずれか一項に記載の経口製剤。
(17) 口内スプレー、カプセル、チューインガム、チュアブル錠、錠剤、溶融錠剤、トローチ剤、ハードボイルドキャンディ、チューイングキャンディ、グミ、又は経口フィルムの形態である、実施態様1〜16のいずれか一項に記載の経口製剤。
(18) コーティングされていない、実施態様1〜17のいずれか一項に記載の経口製剤。
(19) a)実施態様1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤を対象者の口腔内に入れることによって前記対象者に投与する工程と、
b)必要に応じて、前記経口製剤内の任意の形態のニコチンを前記口腔内の唾液中に放出させ、前記対象者の体循環の中に吸収させる工程とを含む、任意の形態のニコチンを対象者に送達するための方法。
(20) 実施態様1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤、及び、喫煙の衝動又はタバコ使用の衝動の減少を達成するための少なくとも1つのその他の手段又は方法を含む、任意の形態のニコチンを対象者に送達するためのシステム。
(21) 喫煙の衝動若しくはタバコ使用の衝動の減少を達成するための、及び/又は、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのシステムであって、実施態様1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤、及び、喫煙の衝動又はタバコ使用の衝動の減少を達成するための少なくとも1つのその他の手段又は方法を含む、システム。
(22) 前記少なくとも1つの他の手段又は方法が、口内スプレー、鼻スプレー、経皮パッチ、吸入器具、トローチ剤、錠剤を介する投与、並びに、非経口的方法、皮下的方法、及び経粘膜的方法よりなる群から選択される付随的若しくは同時的な手段又は方法、あるいはタバコの使用である、実施態様20又は21に記載のシステム。
(23) 前記少なくとも1つの他の手段又は方法がニコチンの投与を含む、実施態様22に記載のシステム。
(24) 喫煙の衝動若しくはタバコ使用の衝動のすばやい減少及び/若しくは持続的減少及び/若しくは完全な減少を達成するための、並びに/又は喫煙せずに喫煙の充足感を与えるための、実施態様1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤の使用。
(25) 対象者に任意の形態のニコチンを送達するための、実施態様1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤の使用。
(26) 重酒石酸ニコチン二水和物、アミノ酸1種、マンニトール又は充填剤、キサンタンガム又は別の結合剤、クロスポビドン又は別の錠剤分解物質、1種以上の香味剤、及び1種以上の人工甘味料を含む、ニコチン含有錠剤。
(27) 重酒石酸ニコチン二水和物、ココアパウダー又は別の充填剤/テクスチャライザー/風味マスキング剤、植物油又は別の溶融性ビヒクル、アミノ酸1種、マンニトール又は別の希釈剤、大豆レシチン又は別の乳化剤、着色料、人工甘味料、及び香味剤を含む、ニコチン含有溶融錠剤。
(28) ニコチン遊離塩基、エタノール又は別の溶媒、アミノ酸1種、ポロキサマー又は別の可溶化剤、テトラスミンジナトリウム(tetracemindinatrium)又は別の安定剤、及び人工甘味料を含む、ニコチン含有口内スプレー。
(29) コアの中に、ニコチン遊離塩基、中鎖トリグリセリド又は別の親油性ビヒクル、香味剤、アミノ酸1種、及び増粘剤を、内側シェルの中に、親水性シェル形成材料を、外側シェルの中に、形成材料及び柔軟剤を、含む、ニコチン含有ソフトカプセル。
(30) 重酒石酸ニコチン二水和物、イソマルト、マルチトール、アミノ酸1種、及び香味剤を含む、ニコチン含有ハードボイルドキャンディ。
(31) 重酒石酸ニコチン二水和物、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、プルラン、アミノ酸1種、ポリソルベート、人工甘味料及び香味料を含む、ニコチン含有経口フィルム。
(32) 重酒石酸ニコチン二水和物、イソマルト、ペクチン、アミノ酸1種、人工甘味料及び香味料を含む、ニコチン含有グミ。
(33) 重酒石酸ニコチン二水和物、イソマルト、植物油、アミノ酸1種、甘味料及び香味剤を含む、ニコチン含有チューイングキャンディ。
(34) ニコチン・レジン複合体、ガムベース、アミノ酸1種、甘味料のうち1種以上、人工甘味料、滑剤、香味剤及び潤滑剤、並びに所望により疎水性剤を含む、直接圧縮により製造されるニコチン含有チューインガム。
(35) ニコチン・レジン複合体、ガムベース、甘味料、香味剤、及びアミノ酸1種を含む、混合、延伸、刻み目入れにより製造されるニコチン含有チューインガム。
(36) アミノ酸1種が、アルカリ金属(カリウム若しくはナトリウム)又はアンモニウムの、炭酸塩(重炭酸塩若しくはセスキ炭酸塩を含む)、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、又はクエン酸塩(これらの例には、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム及び水酸化カルシウム、グリシン酸ナトリウム、トロメタモールが挙げられる)並びにこれらの混合物よりなる群から選択される緩衝剤1種と組み合わせたアミノ酸1種に置き換えられる、実施態様26〜35のいずれか一項に記載の製剤。
(37) 治療に用いるための、実施態様1〜18のいずれか一項に記載の、又は実施態様25〜36のいずれか一項に記載の製剤。
(38) 前記治療が、タバコ又はニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、及び禁煙後の体重管理よりなる群から選択される疾患の治療である、実施態様37に記載の製剤。
(39) タバコ又はニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、禁煙後の体重管理よりなる群から選択される疾患の治療のための、実施態様1〜18のいずれか一項に記載の、又は実施態様26〜36のいずれか一項に記載の製品の製造における、ニコチンの使用。
(40) タバコ又はニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、禁煙後の体重管理よりなる群から選択される疾患の治療のための、実施態様1〜18のいずれか一項に記載の、又は実施態様26〜36のいずれか一項に記載の経口製剤の製造における、ニコチンの使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアミノ酸及び/又はその塩により緩衝されること、並びに、前記少なくとも1種のアミノ酸及び/又はその塩のpH調整能が十分でない場合にpH調整化合物を含むことを特徴とする、ニコチンを含む緩衝された薬学的経口製剤。
【請求項2】
前記少なくとも1種のアミノ酸の中に、少なくとも1種の内因性アミノ酸があることを特徴とする、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項3】
前記少なくとも1種の内因性アミノ酸が、アルギニン、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、オルチニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、及びバリンの中から選択されていることを特徴とする、請求項2に記載の経口製剤。
【請求項4】
前記少なくとも1種の内因性アミノ酸が、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、及びバリンの中から選択されていることを特徴とする、請求項3に記載の経口製剤。
【請求項5】
前記少なくとも1種のアミノ酸が、システイン酸、N−グリシルグリシン、及びオルチニンの中から選択されていることを特徴とする、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項6】
対象者に対する前記経口製剤の口腔内投与において前記対象者の唾液のpHが0.2〜4pH単位上昇するように緩衝される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項7】
対象者に対する前記経口製剤の投与において前記対象者の唾液のpHが0.5〜2pH単位上昇するように緩衝される、請求項6に記載の経口製剤。
【請求項8】
アルカリ金属(カリウム若しくはナトリウム)又はアンモニウムの、炭酸塩(重炭酸塩若しくはセスキ炭酸塩を含む)、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、又はクエン酸塩(これらの例には、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム及び水酸化カルシウム、グリシン酸ナトリウム、トロメタモールが挙げられる)及びこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上の緩衝剤及び/又は1種以上のpH調整化合物と共にアミノ酸1種で緩衝されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項9】
任意の形態の前記ニコチンが、ニコチン塩、遊離塩基形態のニコチン、ニコチン誘導体(例えばニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、又は任意の非共有結合ニコチン)、ゼオライトに結合したニコチン、セルロース又はデンプンミクロスフィアに結合したニコチン、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項10】
前記ニコチン包接錯体が、例えばβ−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン錯体である、請求項9に記載の経口製剤。
【請求項11】
前記ニコチンカチオン交換体がポリアクリレートカチオン交換体である、請求項9に記載の経口製剤。
【請求項12】
前記ニコチン塩が、一酒石酸塩、酒石酸水素塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、及び/又は塩酸塩である、請求項9に記載の経口製剤。
【請求項13】
前記任意の形態のニコチンが、単位用量当たり、前記遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に0.05〜8mgの量で存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項14】
前記任意の形態のニコチンが、単位用量当たり、前記遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に0.1〜6mgの量で存在する、請求項13に記載の経口製剤。
【請求項15】
前記任意の形態のニコチンが、単位用量当たり、前記遊離塩基形態のニコチンとして計算した場合に2〜5mgの量で存在する、請求項14に記載の経口製剤。
【請求項16】
所望により少なくとも1種以上の添加剤が、溶媒、共溶媒、安定剤、保存料、抗酸化剤、柔軟剤、増粘剤、結合剤、充填剤、可溶化剤、ゴム、脂質保護剤、被膜形成剤、乳化剤、滑剤、潤滑剤、コーティング剤、溶融性ビヒクル、甘味料、香味剤、香料、冷却剤、増強剤、着色剤、ビタミン、ミネラル、フッ素、口臭防止剤、歯のホワイトニング剤、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項17】
口内スプレー、カプセル、チューインガム、チュアブル錠、錠剤、溶融錠剤、トローチ剤、ハードボイルドキャンディ、チューイングキャンディ、グミ、又は経口フィルムの形態である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項18】
コーティングされていない、請求項1〜17のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項19】
a)請求項1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤を対象者の口腔内に入れることによって前記対象者に投与する工程と、
b)必要に応じて、前記経口製剤内の任意の形態のニコチンを前記口腔内の唾液中に放出させ、前記対象者の体循環の中に吸収させる工程とを含む、任意の形態のニコチンを対象者に送達するための方法。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤、及び、喫煙の衝動又はタバコ使用の衝動の減少を達成するための少なくとも1つのその他の手段又は方法を含む、任意の形態のニコチンを対象者に送達するためのシステム。
【請求項21】
喫煙の衝動若しくはタバコ使用の衝動の減少を達成するための、及び/又は、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのシステムであって、請求項1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤、及び、喫煙の衝動又はタバコ使用の衝動の減少を達成するための少なくとも1つのその他の手段又は方法を含む、システム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの他の手段又は方法が、口内スプレー、鼻スプレー、経皮パッチ、吸入器具、トローチ剤、錠剤を介する投与、並びに、非経口的方法、皮下的方法、及び経粘膜的方法よりなる群から選択される付随的若しくは同時的な手段又は方法、あるいはタバコの使用である、請求項20又は21に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの他の手段又は方法がニコチンの投与を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
喫煙の衝動若しくはタバコ使用の衝動のすばやい減少及び/若しくは持続的減少及び/若しくは完全な減少を達成するための、並びに/又は喫煙せずに喫煙の充足感を与えるための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤の使用。
【請求項25】
対象者に任意の形態のニコチンを送達するための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の経口製剤の使用。
【請求項26】
重酒石酸ニコチン二水和物、アミノ酸1種、マンニトール又は充填剤、キサンタンガム又は別の結合剤、クロスポビドン又は別の錠剤分解物質、1種以上の香味剤、及び1種以上の人工甘味料を含む、ニコチン含有錠剤。
【請求項27】
重酒石酸ニコチン二水和物、ココアパウダー又は別の充填剤/テクスチャライザー/風味マスキング剤、植物油又は別の溶融性ビヒクル、アミノ酸1種、マンニトール又は別の希釈剤、大豆レシチン又は別の乳化剤、着色料、人工甘味料、及び香味剤を含む、ニコチン含有溶融錠剤。
【請求項28】
ニコチン遊離塩基、エタノール又は別の溶媒、アミノ酸1種、ポロキサマー又は別の可溶化剤、テトラスミンジナトリウム又は別の安定剤、及び人工甘味料を含む、ニコチン含有口内スプレー。
【請求項29】
コアの中に、ニコチン遊離塩基、中鎖トリグリセリド又は別の親油性ビヒクル、香味剤、アミノ酸1種、及び増粘剤を、内側シェルの中に、親水性シェル形成材料を、外側シェルの中に、形成材料及び柔軟剤を、含む、ニコチン含有ソフトカプセル。
【請求項30】
重酒石酸ニコチン二水和物、イソマルト、マルチトール、アミノ酸1種、及び香味剤を含む、ニコチン含有ハードボイルドキャンディ。
【請求項31】
重酒石酸ニコチン二水和物、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、プルラン、アミノ酸1種、ポリソルベート、人工甘味料及び香味料を含む、ニコチン含有経口フィルム。
【請求項32】
重酒石酸ニコチン二水和物、イソマルト、ペクチン、アミノ酸1種、人工甘味料及び香味料を含む、ニコチン含有グミ。
【請求項33】
重酒石酸ニコチン二水和物、イソマルト、植物油、アミノ酸1種、甘味料及び香味剤を含む、ニコチン含有チューイングキャンディ。
【請求項34】
ニコチン・レジン複合体、ガムベース、アミノ酸1種、甘味料のうち1種以上、人工甘味料、滑剤、香味剤及び潤滑剤、並びに所望により疎水性剤を含む、直接圧縮により製造されるニコチン含有チューインガム。
【請求項35】
ニコチン・レジン複合体、ガムベース、甘味料、香味剤、及びアミノ酸1種を含む、混合、延伸、刻み目入れにより製造されるニコチン含有チューインガム。
【請求項36】
アミノ酸1種が、アルカリ金属(カリウム若しくはナトリウム)又はアンモニウムの、炭酸塩(重炭酸塩若しくはセスキ炭酸塩を含む)、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、又はクエン酸塩(これらの例には、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム及び水酸化カルシウム、グリシン酸ナトリウム、トロメタモールが挙げられる)並びにこれらの混合物よりなる群から選択される緩衝剤1種と組み合わせたアミノ酸1種に置き換えられる、請求項26〜35のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項37】
治療に用いるための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の、又は請求項25〜36のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項38】
前記治療が、タバコ又はニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、及び禁煙後の体重管理よりなる群から選択される疾患の治療である、請求項37に記載の製剤。
【請求項39】
タバコ又はニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、禁煙後の体重管理よりなる群から選択される疾患の治療のための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の、又は請求項26〜36のいずれか一項に記載の製品の製造における、ニコチンの使用。
【請求項40】
タバコ又はニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、禁煙後の体重管理よりなる群から選択される疾患の治療のための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の、又は請求項26〜36のいずれか一項に記載の経口製剤の製造における、ニコチンの使用。

【公表番号】特表2010−526875(P2010−526875A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508331(P2010−508331)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【国際出願番号】PCT/SE2008/000277
【国際公開番号】WO2008/140371
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(507362719)マクニール アーベー (8)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL AB
【Fターム(参考)】