説明

アミノ酸調節性の長期放出投薬形態

【課題】アミノ酸調節性の長期放出投薬形態の提供。
【解決手段】本明細書において、経口的長期延長放出投薬形態(例えば、錠剤)が開示される。この経口的長期放出投薬形態は、有効量の薬学的に活性な化合物、少なくとも1つのアミノ酸、および顆粒内ポリマーの複数の顆粒、ここで、この顆粒が分散される親水性顆粒外ポリマーマトリクスを含み、この親水性顆粒外ポリマーマトリクスは、顆粒内ポリマーよりもより迅速に水和される。このアミノ酸は、活性化合物の溶解性特性によりヒドロパシー特性について選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、薬学的に活性な化合物を含有する経口錠剤に関する。本発明は、制御された
薬物放出の生成および錠剤の製造の容易さにおいて特定の有用性を見出す。特に、本発明
は、最小の「バースト効果」および長期間にわたってより線形な薬物放出プロフィールを
有する薬物錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
従来の徐放マトリックス系において、薬物は、疎水性または親水性のいずれかの材料(
例えば、ポリマー)からなるマトリックスへと取り込まれる。このような系からの薬物放
出の主な機構は、拡散であり、時間動力学の平方根によって記載され得る曲線放出プロフ
ィールを生じる。このような放出プロフィールは、最初の迅速な放出(initial
rapid release)、次いで、放出速度のゆるやかな減速によって特徴付けら
れ、後期時間相における長期「先細り(tailing off)」を生じる。この「先
細り」は、しばしば不完全な溶解を伴う。さらに、代表的な、「バースト効果」として記
載される最初の迅速な放出が存在し、これは投薬形態の表面上の薬物の最初の迅速な湿潤
および最初の迅速な溶解に起因する。この型の曲線放出プロフィールは、長期間にわたっ
て、制御された速度または一定速度で、胃腸管全体にわたって吸収されるべき薬物に対し
て不利益であり得る。より詳細には、吸収のために利用可能な薬物の量は、薬物放出の期
間にわたって、着々と減少する。これは、長期間にわたって、より線形な薬物放出プロフ
ィールを有する投薬形態と比較して、より頻繁な投薬を必要とし得る。しかし、0オーダ
ーに近い放出を有する処方物においてでさえ、バースト効果は、頻繁に見られる。このバ
ースト効果は、薬物充填が増大するので特に問題であると予測され得る。なぜなら、暗に
、錠剤の表面で薬物の濃度が増加すると考えられるからである。
【0003】
多数のアプローチが、圧縮錠剤から周囲の水溶性溶解媒体への大量移動を制御する天然
の拡散プロセスを妨げ、そしてバースト効果を制限するために採用されている。特に、放
出を制御されたいわゆる「0オーダー」の制御放出、または一定速度の放出、およびほぼ
線形な放出プロフィールを達成するためのいくつかの方法が、開発される。これらのアプ
ローチとしては、錠剤の幾何学的改変が挙げられ、これは薬物拡散のために利用可能な表
面積の制御を生じる。他の例としては、多層錠剤、浸透圧ポンプならびにコートされたパ
イ型錠剤および表面積のコートされていない部分が戦略的に配置されている半球状錠剤の
使用が挙げられる。
【0004】
上記の指定された系の多くは、非常に有用であるが、しかし、相対的に費用が高く、そ
して製造が複雑であり、しばしば複数の製造工程および特別な装置を必要とするという欠
点がある。
【0005】
さらに、浸透圧ポンプ系および多層系は、充填された全薬物の約85%までしか薬物を
線形様式で送達せず、その後、激しく先細りする傾向がある。経口的浸透圧系の場合にお
いて、この効果は、レザバデバイスの消耗および浸透圧の減少に基づき得る。また、上述
のデバイスは、特に、医薬が相対的に水溶性である場合、医薬の大きな用量(例えば、6
00mgを超える)の制御された送達に対して有用性が限定されたものである。高い薬物
充填のこのような場合において、絶対最小値の速度制御賦形剤の添加は、楽々と飲み込み
得る錠剤の大きさを達成するために必要である。さらに、相対的に多量な浸透剤(osm
oagent)および/または親水性速度制御膨潤ポリマー層を添加する必要性は、この
ような系において達成可能な最大薬物充填を激しく限定する。
【0006】
従って、0オーダーの放出動力学に近似するために、薬物溶解性に関係なく、高い薬物
充填を送達し得る、簡単なモノリシックなマトリクス錠剤が必要である。
【0007】
近年、制御された放出を使用する親水性ポリマーに基づく系価値は、多数の特許の公報
および研究論文でますます示されている。Infieldら米国特許番号5,393,7
65は、ヒドロキプロピルメチルセルロースに基づく0オーダーの薬物放出に近づき得る
親水性腐食可能な(erodible)モノリシック錠剤処方物ならびに種々の腐食増強
賦形剤(例えば、ラクトース)および界面活性剤(例えば、Pluronic(登録商標
))を記載する。これらの成分は、薬物と混合され、マトリクスを形成し、そして次いで
錠剤化される(tableted)。摂取される場合、Infieldらのマトリクスは
、2つの層(水和化マトリクスの外層および荷電していないマトリクスの内層)を形成す
る。
【0008】
半合成セルロース誘導体は、制御放出処方物での広範な使用を見出しているが、多数の
多糖ベースの賦形剤もまた、経口制御放出系に使用されている。制御放出賦形剤として使
用され、そしてそれら単独または他の賦形剤と組み合せて使用されている多糖としては、
キトサン、アルギン酸、カラギーナン、スクレログリカン(scleroglucan)
および化工デンプン産物が挙げられる。
【0009】
キサンタンガム(細菌起源の半合成多糖)はまた、制御された放出材料として頻繁に注
目を集める。キサンタンガム単独の可能性が評価され、そしてアルギン酸またはグアーガ
ムと組み合せたキサンガムの多数の研究もまた、発表されている。Baichwalら、
米国特許第4,994,276号、同第5,128,143号およびStanifort
hら、米国特許第5,135,757号は、第2および第3の成分(例えば、サッカリド
または他の親水性ポリマー)と一緒にキサンタンガムおよび相乗的に相互作用する多糖(
例えば、ローカストビンガムまたはグアーガム)を使用する制御された放出賦形剤系を開
示する。これらの特許において、相乗的な相互作用が、キサンタンと多糖ガムとの間で起
こり、増加した粘性およびゲル強度を生じることが推測される。キサンタンとガムとの間
の相乗的な相互作用の類似の原理に基づいて、Baichwalら、米国特許第5,45
5,046号は、架橋ヘテロ多糖および多糖を使用することによる不溶性薬物(例えば、
ニフェジピン)に適切な徐放投薬形態を開示する。
【0010】
Cyanopsis tetragonolobusの種子から得られるグアー(天然
のガラクトマンナン)は、錠剤のための崩壊剤および結合剤、ならびに液体製品および半
固体製品のための懸濁剤、増粘剤および安定剤として製薬産業での用途を見出した。グア
ーガムはまた、いくつかの延長した放出処方物に使用されており、そしてキサンタンガム
とグアーガムとの組み合せは、広範に研究されている。この研究は、特定の例において、
多量のヒドロキシプロピルメチルセルロースが、受容可能な徐放処方物を達成するために
グアーガムに添加されねばならないことを示す。Altafら(1998)およびYuら
(1998)は、インビトロおよびインビボで、市販の製品(Dilacor XR(登
録商標))と等価であることが示された、ジルチアゼムを含むグアーガムベースの徐放処
方物についての論文を公開した。しかし、これらの2つの調製物のいずれも、主に0オー
ダー放出プロフィールを達成しなかった。Khurts、米国特許第5,292,518
号は、ゲル形成食物繊維(例えば、グアーガム)、薬物、鉱物塩(これは、摂取されると
生理学的に受容可能なガスを放出する)、崩壊剤およびバインダーからなる延長した放出
処方物を開示する。必要に応じて、有機酸(例えば、マレイン酸およびクエン酸)が、崩
壊をさらに補助するために含まれ得る。
【0011】
さらに、グアーガムは、ヒトの大腸において効率的に酵素分解されることが見出されて
おり、従って、結腸に対して特異的な薬物送達のためのキャリアとして使用されている。
ホウ砂またはグルタルアルデヒドでグアーガムを改変することは、制限された膨潤可能性
および増大した粘性を有する架橋ポリマーを生成する効果的な手段として報告されている
。制限された膨潤および増大した粘性は、報告によれば、結腸に達するまではインタクト
なままで、かつ最小の薬物を放出するようなポリマーマトリクスについての可能性を増大
させる。FriendおよびWong、米国特許第5,811,388号は、結腸障害の
処置に有用な薬物または結腸から吸収され得るペプチド薬物、および高等植物から得られ
得る親水コロイドガム(好ましくはグアーガム)からなる簡単な処方物を開示する。この
著者らは、ペプチドまたはタンパク質薬物を安定化するか、または胃腸膜の薬物浸透およ
び吸収を補助するのに役立ち得る、物質の宿主の可能な封入を述べている。
【0012】
アミノ酸(例えば、グリシン)は、ポリマーフィルムコーティング中の可塑剤として、
凍結乾燥産物、注射可能物質、点鼻薬および経口溶液の安定化および処方に使用される緩
衝剤および賦形剤としての頻繁な使用を見出す。例えば、DL−ロイシンは、親水性潤滑
剤として使用されている。Ibsen、米国特許第5,288,500号は、摂取の前に
、水に迅速に分散されるべき顆粒剤処方物が砂っぽいことおよび味をマスクするために、
迅速な膨潤を増強するような親水性ポリマーと組み合せてのアミノ酸の可能な使用を開示
する。Adesunloye、米国特許第5,874,106号は、ゼラチンカプセル剤
中の架橋を妨げる、カルボン酸(例えば、クエン酸)と組み合せてのアミノ酸を開示する
。最後に、Thombreら、米国特許第5,697,922号は、浸透圧デバイスを記
載し、ここで、浸透圧剤として同時に作用し得る溶解度調節物質は、コートされたマクロ
粒子にされ得る。これらの溶解度調節物質は、イオン化物質、塩、界面活性剤またはアミ
ノ酸を含み得る。
【0013】
投薬形態として有用であるが、多くの先の組成物の放出プロフィールは、最初の迅速な
放出、次いで放出速度のゆっくりとした減速によって通常特徴付けられ、後期時間相の「
延長した先細り」を生じる。「先細り」は、しばしば、不完全な溶解および100%の薬
物放出を達成できないことを生じる。さらに、典型的に初期「バースト効果」が存在し、
これは、相対的に多量な薬物が溶解して速く放出されることを引き起こし、投薬形態の表
面上の薬物の最初の迅速な湿潤および最初の迅速な溶解に起因する。最後に、多くのこの
ような系は、実用上の欠点(すなわち、相対的に費用が高くそして製造することが複雑で
ある欠点)があり、しばしば、複数の製造工程および特別な装置を必要とする。
【0014】
Kimら、WO 99/21551は、製造するのが比較的容易であるが、長期間にわ
たって薬物を送達するように設計される簡単なポリマーマトリクス錠剤を開示する。この
薬物は、初めに膨潤可能なポリマーを用いて顆粒化されて、顆粒を形成する。次いで、こ
の顆粒は、より膨潤可能な、腐食可能なポリマーのマトリクス内に分散され、そして圧縮
され、市販の高速打錠装置で容易に製造されるモノリシックなマトリクス錠剤を形成する
。Kimらは、ポリマー膨潤および薬物の溶解を媒介するためにアミノ酸を利用せず、そ
して薬物の溶解度は、放出プロフィールおよび放出持続時間を決定するのに最大の役割を
果す。従って、Kimらは、適用が高溶解性薬物に限定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、長期間(好ましくは、12〜24時間)にわたって0オーダーの放出動力学
に従って高薬物充填の薬学的に活性物質を送達し得る(ここで、薬物放出は、アミノ酸を
含むことによって媒介される)簡単なモノリシックなマトリクス錠剤についての長期放出
投薬形態を提供する。
【0016】
(定義)
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、以下に示される定義を有する。
【0017】
「ヒドロパシー」とは、アミノ酸の疎水性および親水性を組み合せる溶解性の特徴付け
のスケールをいう。より詳細に、この用語は、スライディングスケールをいい、pHスケ
ールと同様に、これは、アミノ酸の疎水性成分と親水性成分との間相対的なバランスを示
す相対的な値を割当てる。典型的なスケールは、Pliskaら、J.Chromato
g.216,79,1981,表題Relative Hydrophobic Cha
racter of Amino Acid Side Chainsに示され、ここで
グリシンは、0の値を有し(これは、疎水性成分と親水性成分との間の相対的に等しいバ
ランスを示す)、そして相対的に「中性」、「バランスがとれている」、「わずかに親水
性」または「弱い疎水性」として言及され得、イソロイシンは、1.83という正の値を
有し、強く疎水性であり、そしてこのスケールの反対の末端では、アスパラギン酸は、−
2.15という負の値を有し、そして強い親水性として特徴付けられ得る。本明細書中に
記載されるこのようなスケールおよびヒドロパシー特徴は、当業者に周知であり、そして
理解される。代表的な値およびヒドロパシー特徴は、表1に示される。
【0018】
「モノリシック」とは多層、特別な形、浸透区画および/または特別なコーティングを
必要としない、典型的に連結部も縫い目もなく、そして現代の高速打錠装置で錠剤化され
得る錠剤をいう。
【0019】
(発明の要旨)
本発明は、少なくとも1つのアミノ酸および顆粒内(intragranular)ポ
リマーを用いて顆粒化された薬学的に活性な化合物の多数の顆粒を含む経口長期放出投薬
形態を提供する。この顆粒は、親水性顆粒外(extragranular)ポリマー内
に分散され、モノリシックなマトリクスを形成する。この顆粒外ポリマーは、活性化合物
の100%放出に近付けるために、顆粒内ポリマーよりも迅速に水和し、同時に、線形放
出プロフィールを維持し、そして圧縮モノリシック錠剤の複雑さおよび製造費用の高さを
最小化する。アミノ酸は、活性化合物の溶解性に依存するヒドロパシー特徴について選択
される。
【0020】
本発明はまた、錠剤化された経口長期放出投薬形態を作製するためのプロセスを包含し
、このプロセスは、;薬学的に活性な化合物と顆粒内ポリマーおよび少なくとも1つのア
ミノ酸とを混合する工程混合物を顆粒化し顆粒を形成する工程;得られた顆粒と、より迅
速に水和する顆粒外ポリマーとをブレンドして、この顆粒を顆粒外ポリマーのマトリクス
中に分散させる工程、および得られたブレンドを圧縮して、長期間にわたって薬学的活性
剤の0オーダー放出に近付く簡単なモノリシックな錠剤を形成する工程、を包含する。
【0021】
その最も簡単な形態において、本発明は、顆粒内ポリマーおよび少なくとも1つのアミ
ノ酸との組み合わされ、そして顆粒を形成するために適切な任意の手段によって顆粒化さ
れた薬学的活性剤である。次いで、顆粒剤は、顆粒外ポリマーとブレンドされてそのポリ
マー内に分散される。次いで顆粒剤は圧縮されて、長期放出性のモノリシックなマトリク
ス錠剤を形成し得る。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
経口的長期放出投薬形態であって、以下:
(1)(a)薬学的に活性な化合物;(b)少なくとも1つのアミノ酸;および(c)顆粒内ポリマーを含む、複数の顆粒;ならびに
(2)該顆粒が分散される親水性顆粒外ポリマーであって、該顆粒外ポリマーは、該顆粒内ポリマーよりもより迅速に水和される、親水性顆粒ポリマー、
を含む、経口的長期放出投薬形態。
(項目2)
以下:
(1)(a)薬学的に活性な化合物;(b)少なくとも1つのアミノ酸;および(c)顆粒内ポリマーを含み、該顆粒内ポリマーが、全投薬形態の4重量%〜45重量%を含む、複数の顆粒;ならびに
(2)該顆粒が分散される親水性顆粒外ポリマーであって、該顆粒外ポリマーは、全投薬形態の4重量%〜47量%を含み、かつ該顆粒内ポリマーよりもより迅速に水和される、親水性顆粒ポリマー、
を含む、項目1に記載の経口的長期放出投薬形態であって、ここで:
該アミノ酸は、該活性な化合物の溶解性特性によりヒドロパシー特性について選択され、かつ全投薬形態の11重量%〜29重量%を含み;
該活性な化合物が少なくともやや溶けにくい場合、該アミノ酸は疎水性成分と親水性成分との間の相対的に等しいバランスを有するか、または相対的により親水性であり;そして
該活性な化合物があまり溶けにくくない場合、該アミノ酸は少なくとも2つのアミノ酸の組み合わせであり、そのうちの一方は、中程度に疎水性かまたは強度に疎水性であり、もう一方は比較的より親水性である、経口的長期放出投薬形態。
(項目3)
前記薬学的に活性な化合物の放出プロフィールが、0オーダー放出プロフィール近くである、項目1または2に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目4)
前記経口的長期放出投薬形態が、前記薬学的に活性な化合物の約100%の放出を達成する、項目1または2に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目5)
前記薬学的に活性な化合物の放出が、約100%の放出を達成するために、12〜24時間かかる、項目1または2に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目6)
前記顆粒内ポリマーは、以下:酢酸ポリビニル、ガラクトマンナン多糖、およびセルロースエーテルの少なくとも1つを含み、該多糖が、ヒドロキシプロピルグアー、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アラビアゴム、トラガカント、カラヤゴム、からな
る群より選択される、項目1または2に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目7)
前記顆粒内ポリマーがガラクトマンナン多糖であり、かつ前記顆粒外ポリマーがグアーガムである、項目6に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目8)
前記顆粒内ポリマーが、前記顆粒外ポリマーよりも、より高分子量、より大きな粒子サイズ、またはその両方を有するグアーガムである、項目6に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目9)
錠剤化されたモノリシックマトリクス錠剤を含む、項目1〜8のいずれか1項に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目10)
項目1または2に記載の経口的長期放出投薬形態であって、前記アミノ酸が、以下:
(a)疎水性成分と親水性成分との間に相対的に等しいバランスを有するバランスのとれたアミノ酸、または相対的により親水性のアミノ酸、ならびに
(b)(i)バランスのとれたアミノ酸または相対的により親水性のアミノ酸、および(ii)疎水性アミノ酸の組み合わせ、
からなる群より選択される、経口的長期放出投薬形態。
(項目11)
前記バランスのとれたアミノ酸がグリシンを含む、項目10に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目12)
グリシンならびにイソロイシン、バリンおよびフェニルアラニンから選択される疎水性アミノ酸を含む、項目11に記載の経口的長期放出形態。
(項目13)
前記アミノ酸が、前記錠剤化された経口的長期放出投薬形態の全重量の約4%〜約45%の量で存在する、項目1に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目14)
前記アミノ酸が、前記錠剤化された経口的長期放出投薬形態の全重量の約11%〜約29%の量で存在する、項目1に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目15)
前記顆粒が、疎水性コーティング材料とブレンドされる、項目1または2に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目16)
前記疎水性コーティング材料が、ステアリン酸マグネシウムである、項目15に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目17)
前記疎水性コーティング材料が、全投薬形態重量の1%〜3%である、項目16に記載の経口的長期放出投薬形態。
(項目18)
項目1または2に記載の経口的長期放出投薬形態であって、前記顆粒が、必要に応じて、ラクトース、スクロース、マルトース、マルトデキストリン、デキストリン、デンプン、微結晶セルロース、フルクトース、ソルビトール、第二リン酸カルシウムおよび第三リン酸カルシウム、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、またはポリビニルピロリドン、アラビアゴムトラガカントおよびスクロースの少なくとも1つから選択される慣用的な錠剤添加物を含む、経口的長期放出投薬形態。
(項目19)
錠剤化されたモノリシックマトリクス錠剤を含む、項目10〜19のいずれか1項に記載の経口的長期放出投薬形態。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】図1Aは、ベラパミルHCl処方物の溶解速度に対するアミノ酸の効果を図示する。
【図1B】図1Bは、ベラパミルHCl処方物の溶解速度に対するアミノ酸の効果を図示する。
【図2A】図2Aは、ニフェジピン処方物の溶解速度に対するアミノ酸の効果を図示する。
【図2B】図2Bは、ニフェジピン処方物の溶解速度に対するアミノ酸の効果を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
本発明は、モノリシックな錠剤からの薬物の制御された放出のための処方物を提供する
。経口長期放出投薬形態は、少なくとも1つのアミノ酸および顆粒内ポリマーを用いて顆
粒化された薬学的に活性な化合物の多数の顆粒を含む。次いで、この顆粒は、親水性顆粒
外ポリマー内に分散される。本発明の重要な局面は、顆粒内ポリマーと比較してより迅速
に水和する顆粒外ポリマーの使用である。顆粒外ポリマーの迅速な水和は、薬物の線形放
出プロフィールの近似を補助し、そして100%に近い溶解を促進し、同時に、放出の持
続時間を延長し、そして長期放出投薬形態では頻繁に直面するバースト効果を減少する。
線形放出速度は、当業者に理解されるように、異なる溶解速度についてポリマーを選択す
ることによって各適用の必要性を合わせるように調製され得る(12〜24時間の放出時
間が最も好ましい)。
【0024】
顆粒内ポリマーは、薬学的活性剤および少なくとも1つのアミノ酸と混合されて顆粒を
形成する。顆粒内ポリマーは、以下のうちの1つ以上であり得る:ポリビニルアセテート
、ガラクトマンナン多糖(例えば、ヒドロキシプロピルグアー、グアーガム、ローカスト
ビーンゴム、ペクチン、アラビアゴム、トラガントゴム、カラヤゴム)、セルロースエー
テル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、ならびに他のゴム
および本発明の教示と一致する特性について当業者によって選択されるセルロースエーテ
ル。顆粒内ポリマーは、好ましくはガラクトマンナン多糖、最も好ましくはグアーガム(
25℃で1%の水溶液中75〜6000cpsの粘性範囲および粒径10〜300μmを
有する)である。
【0025】
錠剤中の顆粒内ポリマーは、好ましくは全投薬形態の4重量%〜45重量%の量で存在
する。使用される顆粒内ポリマーの特定の型および顆粒内ポリマーの量は、所望の薬物放
出速度、ポリマーの粘度、所望の薬物充填および薬物溶解性に基づいて選択される。顆粒
内ポリマーは、顆粒外ポリマーよりもゆっくりと水和することが本発明の重要な局面であ
る。2つのポリマーの間の水和速度における相対的な差異は、より粘性の低い顆粒内ポリ
マーおよびより粘性の高い顆粒外ポリマーを生成する。時間が経つにつれ、粘性の差異は
、錠剤の連続腐食および崩壊に寄与する。
【0026】
アミノ酸は、2つの主な理由のために本発明に有用である。第1に、アミノ酸は、ポリ
マーの粘性の決定における因子である。上記のように、時間が経つにつれ、顆粒外ポリマ
ーと顆粒内ポリマーとの間の粘性における差異は、コアの連続腐食および崩壊に寄与し、
薬物の約100%の放出を容易にする。顆粒中にアミノ酸を使用する別の重要な局面は、
アミノ酸のヒドロパシーを利用して、薬物の溶解性および放出を調節し得ることである。
【0027】
従って、アミノ酸は、活性化合物の溶解性特徴に依存してヒドロパシー特徴について選
択される。米国薬局方(United States Pharmacopeia)によ
って定義されるように、化合物が少なくとも水溶性に乏しい(すなわち、例えば、溶解性
に乏しい)か、溶解性であるか、または高レベルの溶解性を有する場合、親水性成分と疎
水性成分との間で相対的に等しいバランスを有する(すなわち、中性であるか、またはバ
ランスがとれているか、あるいは中性に極めて近いか、または相対的により強い親水性で
ある)アミノ酸が利用される。
【0028】
例えば、溶解性かまたは溶解性に乏しい、イオン化可能薬物(例えば、ベラパミルHC
l)の溶解および放出は、顆粒中に1つ以上のアミノ酸を含めることによって制御され得
る(図1a)。薬物の放出および溶解の特定の理論に同意することなく、顆粒化プロセス
の性質は、処方成分が密接に分子接触して、顆粒化は粒子の利用可能な表面積を減少させ
、従って水和の初速度を減少させるようなものであると考えられる。顆粒化処方物におい
て、アミノ酸のカルボキシル(COOH−)基およびアミノ基(NH/NH3+)がポ
リマー上のヒドロキシル基と相互作用するための十分な時間があり、従って、ポリマーの
膨潤、粘性およびゲル特性を媒介し、それによって膨潤媒介薬物拡散に対する制御を発揮
する。同時に、アミノ酸カルボキシル基はまた、薬物分子上の適切な極性置換基(例えば
、二級アミンまたは三級アミン)と相互作用し得る。さらに、アミノ酸の親水性およびイ
オンの性質は、水溶液中の広範な水和を生じる。従って、アミノ酸は、腐食を促進するが
、水和および溶解に必要な水の取り込みについてポリマーおよび薬物の両方と競合する。
【0029】
しかし、活性化合物が、乏しい溶解性よりもさらに溶解性は低い場合(わずかに溶解性
から不溶性である活性化合物を含む)、少なくとも2つのアミノ酸の組み合せが利用され
、このうちの一方は、強く疎水性であり、他方はこの疎水性成分よりも相対的により親水
性である(すなわちおよそ中性であるか、または強く親水性に対してバランスがとれてい
る)。
【0030】
例えば、顆粒内ポリマー中のアミノ酸の組み合せの効果は、図2(b)におけるニフェ
ジピン(水に不溶性の薬物)の例によってさらに図示される。図は、特定の有益な組成物
が、(1)ニフェジピン、(2)疎水性アミノ酸(例えば、イソロイシンまたはフェニル
アラニン)および(3)弱い疎水性または親水性のアミノ酸(例えば、グリシン)(ここ
でこれらの疎水性成分および親水性成分は、相対的に等しいかまたはバランスが保たれて
いる)およびグアーを顆粒化することによって達成され得ることを図示する。この組み合
せは、ニフェジピンの溶解速度の著しい増加を生じ、従って、およその線形様式で溶解を
完了(ほぼ100%の用量)させることを可能にする。薬物溶解の特定の様式に同意する
ことなく、上記の組成物が、密接な分子会合、および強い疎水性アミノ酸(例えば、イソ
ロイシン)の疎水性側鎖と強い疎水性ニフェジピン分子との間の可能な弱い複合体形成を
容易にすると考えられる。同時に、少ない疎水性グリシン分子は、イソロイシン分子の極
性部分の間でそれら自体を効果的に分散させ得、そしてイソロイシン分子の極性部分と相
互作用し得る。水に曝露される場合、迅速な溶解、より親水性グリシン分子は、それらを
「長引かせ(drag)」、そして疎水性相互作用によってニフェジピンと複合体化され
る、より疎水性イソロイシン分子の水和を増大する。
【0031】
顆粒のアミノ酸成分は、任意の薬学的に受容可能なα−アミノ酸またはβアミノ酸、α
−アミノ酸の塩またはβ−アミノ酸の塩あるいはそれらの任意の組み合せを含み得る。適
切なα−アミノ酸の例は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェ
ニルアラニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチ
ジン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギンおよびグルタミンである。β−ア
ミノ酸の例は、β−アラニンである。
【0032】
本発明において代替的に使用されるアミノ酸の型は、親水性アミノ酸、疎水性アミノ酸
、親水性アミノ酸の塩または疎水性アミノ酸の塩、またはそれらの任意の組み合せとして
記載され得る。本発明において使用するための好ましい疎水性アミノ酸は、イソロイシン
、フェニルアラニン、ロイシン、およびバリンである。さらに、親水性アミノ酸(例えば
、グリシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸)は、顆粒において使用され得る。最終
的に、任意のアミノ酸および別のアミノ酸との組み合せでの任意のアミノ酸は、薬物の溶
解性を増強するために本発明において使用され得る。本発明において使用され得るアミノ
酸の詳細なリストおよび各ヒドロパシーについては、Albert L.Lehning
erら、Principles of Biochemistry 113(第2編、W
orth Publishers 1993)を参照のこと。
【0033】
アミノ酸の型および量は、所望の薬物充填、薬物放出の所望の速度、および薬物の溶解
性に基づいて選択され得る。投薬形態において、アミノ酸は、代表的に、全投薬形態重量
の4%〜45%である。しかし、アミノ酸の量は、好ましくは全投薬形態重量の11%〜
29%である。
【0034】
顆粒は、必要に応じて、コーティング材料(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたは
ステアリン酸の他の疎水性誘導体)とブレンドされ得る。使用されるコーティング材料の
量は、投薬形態の全重量の1%〜3%で変更され得る。通常、ステアリン酸マグネシウム
は、プロセッシングを容易するため(例えば、流れの補助するように)に使用されるが、
本発明において、ステアリン酸マグネシウムは、コーティング材料の疎水性性質に基づい
て、遅延溶解のさらなる利点を有する。従って、ステアリン酸マグネシウムは、投薬形態
の溶解性のさらなる調節および顆粒からの薬物放出をさらに遅延するために使用され得る

【0035】
機構特性を増強し、そして/または薬物放出速度にさらに影響するために、顆粒はまた、当該分野で慣習的な、少量の不活性な薬学的フィラーおよびバインダー/顆粒化剤を含み得る。不活性な薬学的フィラーの例として以下が挙げられる:ラクトース、スクロース、マルトース、マルトデキストリン、デキストリン、デンプン、微小結晶セルロース、フルクトース、ソルビトール、リン酸二カルシウムおよびリン酸三カルシウム。顆粒化剤/バインダーの例としては、以下が挙げられる:デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはポリビニルピロリドン、アラビアゴム、トラガカントおよびスクロース。他の適切なフィラーはまた、当業者によって理解されるように使用され得る。薬物の物理的および/または化学的特性に基づいて、湿潤顆粒化手順(水性顆粒化流体または有機顆粒化流体のいづれかを使用して)または乾燥顆粒化手順(例えば、スラッギングコンパクションまたはローラーコンパクション)が、使用され得る。
【0036】
薬学的に活性な化合物、顆粒内ポリマー、アミノ酸ならびに必要に応じてフィラーおよ
び疎水性コーティング材料の顆粒化の後、次いで、顆粒は、顆粒外ポリマーとブレンドさ
れ、そして顆粒外ポリマー内で分散される。
【0037】
顆粒外ポリマーは、以下のうちの1以上であり得る:ポリエチレンオキシド、ガラクト
マンナン多糖(例えば、ヒドロキシプロピルグアー、グアーガム、ローカストビーンガム
、ペクチン、アラビアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム)、セルロースエーテル(例
えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、ならびに本発明の教示と一
致する特性について当業者よって選択される他のゴムおよびセルロースエーテル。顆粒外
ポリマーは、好ましくはガラクトマンナン多糖、最も好ましくはグアーガム(25℃で1
%の水溶液中75〜6000cpsの粘性範囲および粒径10〜300μmを有する)で
ある。上記のように、顆粒外ポリマーは迅速に水和し、そして顆粒内ポリマーに比べて短
時間で高レベルの粘性に達することが重要である。
【0038】
顆粒外ポリマーと顆粒内ポリマーとの間の水和速度における差異は、以下の3つの主な
手段によって達成される:(1)粒径の差異に基づいてポリマーを選択すること、(2)
分子量および化学組成の差異に基づいてポリマーを選択することおよび(3)(1)およ
び(2)の組み合せに基づいてポリマーを選択すること。この開示は、粒径の差異につい
て選択されたポリマーに第1に焦点を合わせるか、顆粒外ポリマーよりも分子量および/
または化学組成の差異を有する顆粒内ポリマーを使用することによって本発明の結果を達
成することが可能である。例えば、ポリエチレンオキシドは、顆粒内ポリマーとして使用
され得、そしておよびグアーガムは顆粒外ポリマーとして使用され得る。
【0039】
粒径は、市販のグアーガムの重要な特性である。なぜなら、より粗い粒子は迅速な分散
を保証するが、より微細な粒子は、速い水和にとって理想的である。従って、本発明の所
望の結果を達成するために、より微細な粒子が顆粒外ポリマーに使用され、そして微細で
ない粒子が顆粒内ポリマー粒子に使用される。HERCULES Incorporat
ed、表題「Supercol(登録商標)Guar Gum,1997」によるパンフ
レットは、異なる等級および粒子サイズのグアーガムの代表的な特性を含む。パンフレッ
トの情報は、当業者に容易に得られ得、そしてグアーガムの異なる特性を示すチャートが
、完全に本明細書中に含まれる。
【0040】
【表1】

【0041】
*粘性は、20rpmでBrookfield RVT 粘度計を使用して、報告された
基本の通りに25℃にて2時間後測定された。
【0042】
例えば、Guar Uは、15分でその最大の粘性の90%(5100cps)に達す
る。従って、迅速に水和する顆粒外ポリマーとしてGuar U、および迅速に水和せず
、そして粘性の少ない顆粒内ポリマーとしてGuar G3(これは、15分でピーク粘
性の40%(4000cps)に達する)を使用することを可能にする。使用され得る他
の迅速に水和する顆粒外ポリマーとしては、以下が挙げられる:ポリエチレンオキシド(
PEO)、セルロースエーテルおよび多糖(例えば、ヒドロキシプロピルグアー、ペクチ
ン、アラビアゴムおよびトラガント、カラヤゴム)、上記のポリマーの混合物ならびに本
発明の教示と一致する特性のために当業者によって選択される任意の他のポリマー。顆粒
外ポリマーの量および型は、所望の薬物充填、薬物放出速度および薬物溶解性に基づいて
選択される。顆粒外ポリマーの(錠剤の全重量の)約4〜47%の範囲が、可能であるこ
とが見出されるが、約15%〜47%の範囲が好ましい。
【0043】
本発明は、治療量の薬学的に活性な化合物を含み得、好ましくは、全投薬形態重量の約
75%まで含み得る。この薬物充填に関して、錠剤化された経口的長期放出投薬形態は、
最小のバースト効果を有するかまたはバースト効果が排除された、線形放出プロフィール
に近づく。しかし、当業者によって所望される場合、上記されるように、顆粒外ポリマー
は、より迅速な薬物放出または誘導バースト効果を達成するためにさらなる量の薬学的に
活性な化合物を含み得、そして薬学的に活性な化合物の溶解を媒介するためにアミノ酸を
含み得る。
【0044】
錠剤化された経口的長期放出投薬形態は、必要に応じて、当該分野で従来的であるよう
に、ポリマー、可塑剤、乳白剤、および着色料で覆われ得る。
【0045】
本発明の錠剤化された経口的長期放出投薬形態は、代表的に以下のように調製される。
【0046】
適切な量の、顆粒内ポリマー、薬学的に活性な化合物、およびアミノ酸が計量される。
計量後、各成分は、必要に応じてメッシュスクリーンを通り抜け、構成要素を微細な粉末
に粉砕(deagglomerate)し得る。好ましくは、#30メッシュスクリーン
が使用される。
【0047】
次いで、これらの粉末は、構成成分が、均等に混合されるまで(代表的には20分)、
ミキサー(適切には、ツインシェルV−ミキサー(Patterson−Kelly,E
ast Stroudsburg,PA))で混合される。必要に応じて、不活性充填物
が、混合工程の間に添加され得る。
【0048】
次いで、この混合物は、プラネタリーミキサーの混合ボウルに加えられる。顆粒化流体
(例えば、水、イソプロパノール、水とイソプロパノールとの混合物、または薬学的に受
容可能な溶媒)が、必要な場合に添加される。顆粒化流体は、凝集性の湿潤性の塊が形成
されるまで、連続的に混合されながら添加される。代表的には、凝集性の湿潤性の塊は、
約10分で起こる。好ましくは、湿潤性の塊は、一定に攪拌しながら、さらに15分間水
和する。
【0049】
次いで、湿潤性の塊は、篩(代表的には、1mmのステンレス鋼の篩)を通され、顆粒
を形成する。代表的には、篩は、振動造粒機(例えばErweka,Heusensta
mm,Germany製の造粒機)に取り付けられる。
【0050】
あるいは、顆粒化は、乾燥顆粒化プロセス(例えば、スラッギング圧縮またはローラー
圧縮)によって達成され得る。
【0051】
次いで、顆粒は乾燥される。代表的に、顆粒は、例えば、50℃の真空オーブン中で約
3.5時間、または乾燥での損失が顆粒重量の1.5%未満になるまで、トレー上で乾燥
される。
【0052】
次いで、ある量の顆粒外ポリマーが、顆粒に加えられる。代表的に、十分な顆粒外ポリ
マーが、加えられ、最終錠剤全重量の約4%〜約47%の量を達成する。好ましくは、十
分量が、加えられ、最終錠剤全重量の約15%〜約47%の量を達成する。
【0053】
次いで、顆粒外ポリマーおよび顆粒は、代表的には、ツインシェルV−ミキサー中で好
ましくは、少なくとも15分間ブレンドされる。少量(約0.5%〜約1%)の滑沢剤(
代表的には、ステアリン酸マグネシウム)は、必要に応じて混合物に加えられる。これは
、当業者に明らかであるように、微細スクリーンまたは他の方法によって、滑沢剤を篩に
かけることによって、達成され得る。
【0054】
圧縮の前に、さらなる量の滑沢剤が、必要に応じて加えられ得る。これは、錠剤中によ
り高い疎水性度を誘導するために実施される。添加される代表的なレベルは、全錠剤重量
の約1%〜約3%であり得る。
【0055】
また、流れ促進剤(例えば、1〜2%のタルクまたはコロイド状二酸化ケイ素)は、滑
沢剤を添加する直前に、混合物に添加され得る。これらの薬剤は、ホッパーからの粉末混
合物の、錠剤プレスの給送機構およびダイス型空洞への最適な流れを保証する。重力下で
の一様に速い流れは、ダイス型空洞の一様な充填および一様な錠剤重量および投薬量を保
証するために必須である。しかし、本発明の顆粒は、代表的に、十分な流れ特性を有し、
従って、この一般に使用される工業の実施を回避する。
【0056】
最終の混合は、市販の巨大スケールの錠剤プレスでの圧縮に適切である。好ましくは、
圧縮は、回転プレス(例えば、Strokes B2回連プレス)またはより小さな実験
室スケールの圧縮機(例えば、Mannesty F3シングルパンチプレスおよびCa
rver手動操作液圧プレス)でなされ得る。圧縮機の設定は、圧縮圧が約160〜18
0MPaの範囲であるべきように設定されるべきである。これは、約70〜100Nの硬
度の錠剤を生じる。
【0057】
本発明は、特定の実施形態についての参照をもって記載されるが、それらに限定される
必要はない。従って、添付の特許請求の範囲は、詳細に上記されるそれらの形態および本
発明の実施形態のみでなく、その真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によ
って考えられ得るようなこのような他の形態および実施形態を含むことが解釈されるべき
である。
【実施例】
【0058】
(実施例および表)
以下に記載される処方物は、上記の一般的な手順に従って調製される。これらの処方物
において、*は、成分が乾燥ブレンドによって添加されることを示す(すなわち、顆粒外
賦形剤として存在する)。
【0059】
(実施例1)
実施例1a:(図1a)は、顆粒外ポリマーおよび顆粒内ポリマーとしてグアーを含む
代表的なベラパミル処方物への顆粒内アミノ酸の添加の効果を図示する。
【0060】
【表2】

【0061】
実施例1b:(図1b)は、乾燥ブレンドされ、顆粒化されていないベラパミル処方物へ
のアミノ酸の添加の効果を図示する(ベラパミルHClは、顆粒化されていないが、錠剤
に圧縮される前に2つのポリマーとブレンドした)。
【0062】
【表3】

【0063】
(実施例2)
実施例2a:(図2a)は、ニフェジピン(高度に不溶性の薬物)を含む処方物 対
イソロイシンおよびグリシンを含まない処方物中の、イソロイシンおよびグリシンの組み
合せの効果を図示する。
【0064】
【表4】

【0065】
実施例2b:(図2b)は、ニフェジピン(高度に不溶性の薬物)を含む乾燥ブレンド
した、顆粒化されていない処方物 対 イソロイシンおよびグリシンを含まない類似の処
方物中の、イソロイシンおよびグリシンの組み合わせの効果を図示する。
【0066】
【表5】

【0067】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2012−46549(P2012−46549A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−264618(P2011−264618)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【分割の表示】特願2003−528525(P2003−528525)の分割
【原出願日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【出願人】(504097948)スコラー ファーマ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】