説明

アミューズメント装置

【課題】ゲーム装置やカラオケ装置等のアミューズメント装置に適した操作デバイスシステムの制御技術を提供する。
【解決手段】スクリーンに映像を背面側から投影するプロジェクタと、前記スクリーンの前面側からの操作デバイスによる投射光を前記スクリーンの背面側から撮像するカメラと、前記操作デバイスが載置され、ユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定を行うクレイドルと、前記クレイドルによるユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定、ならびに、前記カメラの撮像信号から前記操作デバイスの投射光の波長の解析および座標の検出を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記操作デバイスへの投射光の波長の設定として、現時点で未使用の波長の使用を前記クレイドルを介して前記操作デバイスに指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置やカラオケ装置等のアミューズメント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ディスプレイ領域における指示画像の画像領域をポインティング位置として自動的に認識するポインティング位置検出装置の開示がある。このポインティング位置検出装置は、プロジェクタの映像が投影されるディスプレイ領域の前面側から指示棒により指示を行い、ディスプレイ領域の背面側から指示棒先端部の影をCCDカメラにより撮像し、撮像画像の電気信号を解析することで、ディスプレイ領域上の指示棒先端部の影の座標位置を算出するようにしている。
【0003】
また、特許文献2には、視覚的に分かりやすい指示が可能なプレゼンテーションシステムの開示がある。このプレゼンテーションシステムは、プロジェクタの映像が投影されるスクリーンの前面側からレーザポインタにより光線を照射し、スクリーンの前面側からレーザポインタのスポット光をCCDカメラにより撮像し、撮像画像の電気信号を解析することで、スクリーン上のスポット光の座標位置を算出するようにしている。また、レーザポインタから照射する光線の点滅、形状、色等に応じて指示内容を判別するようにしている。
【0004】
また、特許文献3には、コンピュータ画面をダイレクトに操作しているという感覚を与えつつ、軽い処理負荷で指示位置を入力することができる画面位置指示システムの開示がある。この画面位置指示システムは、プロジェクタの映像が投影されるスクリーンの前面側からポインタにより光線を照射し、スクリーンの前面側からポインタのスポット光をカメラにより撮像し、撮像画像の電気信号を解析することで、スクリーン上のスポット光の座標位置を算出するようにしている。また、ポインタから照射する光線の波長に応じて発光位置を検知してもよいとしている。
【特許文献1】特開平11−345085号公報
【特許文献2】特開2002−41238号公報
【特許文献3】特開2007−86962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術は一般のプレゼンテーション等の指示装置としては有効であるものの、ゲーム装置やカラオケ装置等のアミューズメント装置の指示装置として使用する場合には、例えば次のような問題がある。
【0006】
第1に、上述した従来技術では複数のユーザによる操作を考慮しておらず、不特定多数のユーザが使用するアミューズメント装置には適用が困難である。なお、特許文献2に開示される、光線の色に応じて指示内容を判別する技術に基づき、個々のユーザを光線の色により区別するように拡張することは可能であると考えられるが、その場合であっても、不特定多数のユーザが使用する指示体の光線の色をいかに管理するのかは重要な問題となる。例えば、指示体に設けた選択スイッチ等により波長の異なる発光ダイオード等を切り替えることにより、指示体の投射光の波長を変更する場合を考えると、予め位置検知装置に付属する指示体が限られた本数である場合には、それぞれの指示体の選択スイッチを予め異なる位置にセットすることで、指示体相互間で波長の重複を避けることができる。
【0007】
しかし、ゲーム装置等のアミューズメント装置において、指示体をプレイヤ(遊技者)それぞれに販売もしくは貸与し、自分の指示体を使用させるような環境を想定した場合、不特定多数のプレイヤに指示体の選択スイッチ等を正確に操作させることは現実的ではなく、波長の重複により正常な動作が期待できなくなる。
【0008】
第2に、上述した従来技術では投影画像と指示体の影や投射光とのコンフリクトについて十分に考慮がなされていない。すなわち、スクリーンの撮像画像から指示体の影や投射光を識別するものであるため、投影画像に指示体の影や投射光と紛らわしい画像が含まれていた場合には誤動作してしまうおそれがある。この点、指示体の投射光については、プロジェクタの光源となる発光ランプの線スペクトルと重複しない波長の発光ダイオード等を指示体の光源として用いることで区別が可能となる。この場合、予め位置検出装置と付属の指示体がセットになっている場合には、波長の重複を避けた状態を維持することができる。
【0009】
しかし、ゲーム装置等のアミューズメント装置においては種々のタイプの装置があり、光源の種類も他種類であることから、全てのタイプの装置と波長の重複を避けるのは困難であり、仮に重複を避けられたとしても指示体に割り当てられる波長の数は制限されたものとなってしまう。
【0010】
第3に、上述した従来技術では悪戯による誤動作について十分に考慮がなされていない。すなわち、一般のプレゼンテーション等の指示装置においては、悪戯による誤動作というものはほとんど考慮する必要がないが、ゲーム装置等のアミューズメント装置におけるこの種の光学式の装置ではレーザポインタ等を使った悪戯が考えられ、お金を払って楽しんでいるプレイヤおよびプレイヤに快適な環境を提供しようとしているアミューズメント施設運営者等にとっては多大な影響がある。
【0011】
第4に、上述した従来技術では指示体の電池切れが発生した場合について十分に考慮がなされていない。すなわち、一般のプレゼンテーション等の指示装置においては、指示体の電池切れが発生した場合、その場で電池を交換したり、他の指示体に交換したりする等で対処が可能である。しかし、ゲーム装置等のアミューズメント装置においては、電池切れによりゲーム等の進行が途中でできなくなり、お金を払って楽しんでいるプレイヤおよびプレイヤに快適な環境を提供しようとしているアミューズメント施設運営者等にとっては多大な影響がある。
【0012】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、ゲーム装置やカラオケ装置等のアミューズメント装置に適した操作デバイスシステムの制御技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明にあっては、請求項1に記載されるように、スクリーンに映像を背面側から投影するプロジェクタと、前記スクリーンの前面側からの操作デバイスによる投射光を前記スクリーンの背面側から撮像するカメラと、前記操作デバイスが載置され、ユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定を行うクレイドルと、前記クレイドルによるユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定、ならびに、前記カメラの撮像信号から前記操作デバイスの投射光の波長の解析および座標の検出を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記操作デバイスへの投射光の波長の設定として、現時点で未使用の波長の使用を前記クレイドルを介して前記操作デバイスに指示することを特徴とするアミューズメント装置を要旨としている。
【0014】
また、請求項2に記載されるように、請求項1に記載のアミューズメント装置において、前記制御部は、前記プロジェクタにより前記スクリーンに投影される映像が黒ブランクとなる期間に、前記カメラにより前記スクリーンの撮像を行わせるようにすることができる。
【0015】
また、請求項3に記載されるように、請求項2に記載のアミューズメント装置において、前記操作デバイスに対して投射光の発光タイミングを知らせる同期光を発生する同期光発生部を更に備え、前記制御部は、前記同期光発生部による同期光の発生の制御として、前記プロジェクタにより前記スクリーンに投影される映像が黒ブランクとなる期間に前記同期光発生部に同期光を発生させるようにすることができる。
【0016】
また、請求項4に記載されるように、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアミューズメント装置において、前記制御部は、前記操作デバイスへの投射光の波長の設定の後、前記操作デバイスの投射光の受光により波長を解析し、その後の検出対象の波長に設定するようにすることができる。
【0017】
また、請求項5に記載されるように、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアミューズメント装置において、前記クレイドルは、前記操作デバイスへの充電を行い、前記制御部は、前記操作デバイスの投射光の受光により光量を解析し、光量が所定値を下回る場合に充電量不足をアラートするようにすることができる。
【0018】
また、請求項6に記載されるように、アミューズメント装置のクレイドルから発生する高周波信号を整流して蓄電素子に充電する電源部と、前記クレイドルとの間で高周波信号によりユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定を受け付けるCPUと、ユーザによりスイッチが押されている間に投射光を発生する発光部とを備える操作デバイスとして構成することができる。
【0019】
また、請求項7に記載されるように、請求項6に記載の操作デバイスにおいて、前記アミューズメント装置の同期光発生部から発生する同期光を受光する受光スイッチを更に備え、前記発光部は、前記受光スイッチが同期光を受光し、かつ、ユーザにより前記スイッチが押されている間に投射光を発生するようにすることができる。
【0020】
また、請求項8に記載されるように、請求項6または7のいずれか一項に記載の操作デバイスにおいて、前記CPUは、前記アミューズメント装置のクレイドルから一時的な発光を指示された際に、前記発光部を発光させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアミューズメント装置にあっては、ゲーム装置やカラオケ装置等のアミューズメント装置に適した操作デバイスシステムとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0023】
なお、以下の説明において「波長」とは、光スペクトル上の厳密な意味での波長ではなく、視覚的に認識される色に対応する波長を意味するものとする。例えば、赤の光と緑の光を同時に発光する場合、スペクトル上は赤のスペクトルと緑のスペクトルとが混在したものとなるが、視覚的には黄の光となることから、この場合は黄のスペクトルが単独で存在するのと同様に扱う。
【0024】
<構成>
図1は本発明の一実施形態にかかるゲーム装置の外観の例を示す図である。
【0025】
図1において、ゲーム装置1は、筐体11の上面に平板状のスクリーン12が設けられ、筐体11内部に設けられたプロジェクタ14からゲーム映像がスクリーン12に背面側から投影される。また、スクリーン12の上面側(前面側)からプレイヤが操作デバイスとしてのペンデバイス2A、2Bを接触させて光を投射することにより、スクリーン12上に生じた投射光のスポットを、筐体11内部に設けられたカメラ15により撮像し、投射光の波長によりペンデバイス2A、2Bの違いを認識するとともに、スクリーン12上の座標位置を認識する。そして、認識された投射光の座標位置をプレイヤの指示として受け付けてゲームを進行する。例えば、スクリーン12上の操作ボタンが表示された位置に投射光の座標位置を認識した場合には、当該操作ボタンが選択されたものとしてゲームを進行する。また、ゲームアイテムを移動する場面において、投射光の座標位置が連続して変化した場合、ゲームアイテムをその座標位置の変化の軌跡に従って移動する。
【0026】
一方、ゲーム装置1の上面両脇には、ペンデバイス2A、2Bを載置するクレイドル13A、13Bが設けられている。クレイドル13A、13Bには、ペンデバイス2A、2Bを収納する収納用凹部131A、131Bが設けられ、ペンデバイス2A、2Bが収納された状態で、ペンデバイス2A、2Bへの充電、ユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定等を行う。ユーザ設定データは、例えば、「ユーザが所有するキャラクタ」、「所有キャラクタのレベル」、「ユーザの対戦成績」、「ユーザのゲーム進行情報」などのデータが該当する。なお、クレイドル13A、13Bが有するそれぞれの機能を独立させて、ゲーム装置1の任意の箇所に設けてもよい。また、ゲーム装置1の筐体11内部には各部を制御する制御部16が設けられている。
【0027】
なお、図1に示したゲーム装置1の外観はあくまでも一例であり、スクリーン12やクレイドル13A、13Bの配置は任意に変更が可能であるほか、機械的な操作ボタン等を設けてもよい。また、2人用の装置としているが、任意の人数に対応した装置とすることができる。
【0028】
図2はクレイドル13(13A、13B)の外観の他の例を示す図である。
【0029】
図2において、クレイドル13は、基台132と、この基台132上に飛び出して設けられたペン支持部133とを有し、ペン支持部133の軸方向に設けられた穴部134にペンデバイス2(2A、2B)を差し込んで保持するようになっている。
【0030】
図3はゲーム装置1の内部構成例を示す図である。
【0031】
図3において、スクリーン12の周辺については、スクリーン12にゲーム映像を投影するプロジェクタ14と、スクリーン12を撮像するカメラ15と、スクリーン12を介してペンデバイス2A、2Bに同期光を照射する同期光発生部18とが設けられている。ペンデバイス2A、2Bに向けて同期光を照射するのは、プロジェクタ14によりスクリーン12に投影される映像によりペンデバイス2A、2Bの投射光の検出が妨げられないように映像の黒ブランク期間にのみカメラ15により撮像を行うことに対応し、撮像が有効に行われる期間のみペンデバイス2A、2Bの発光を行わせることで充電電荷の消費を抑えるためである。なお、ペンデバイス2A、2Bはプレイヤによりスイッチが押されることをも発光の条件としているため、同期光発生部18から同期光を受け、かつスイッチが押されていることにより発光が行われる。
【0032】
プロジェクタ14は、DLP(Digital Light Processing)方式のものや液晶方式のもの等の種々の方式のものを使用することができる。DLPとはDMD(Digital Mirror Device)を用いた映像表示システムのことであり、DMDの画素に対応する微細なミラーの個々が映像信号に応じて傾くことで、光源からの光線のスクリーンへの照射をオン・オフし、映像を表示する。画素の明るさはミラーのオン時間により制御する。また、カラー画像を表示するために、光源とDMDの間に高速で回転するカラーホイールを配置し、赤・緑・青の光線を時分割に照射するようになっている。なお、赤・緑・青を一巡する間に黒ブランクの期間が設けられている。
【0033】
カメラ15は、カラー撮像が可能であるとともに、制御信号が与えられるタイミングで撮像を行うことのできるシャッタ機能を備えたCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を使用することができる。
【0034】
同期光発生部18は、プレイヤに発光による違和感を与えないため、例えば、赤外線LED(Light Emitting Diode)を使用することができる。
【0035】
クレイドル13A、13Bは、ペンデバイス2A、2Bと通信するための高周波信号を送受信するアンテナ135A、135Bと、高周波信号の変復調を行う高周波部136A、136Bと、ペンデバイス2A、2Bの投射光を受光する受光部137A、137Bと、制御部16と通信するためのインタフェース138A、138Bとを備えている。なお、受光部137A、137Bはペンデバイス2A、2Bのキャリブレーション(後述)のために設けられており、キャリブレーションを行わない場合は省略することができる。
【0036】
また、ゲーム装置1内には、ゲーム音声を再生するスピーカ17A、17Bが設けられている。
【0037】
一方、制御部16には、ゲーム制御部161と映像出力部162と音声出力部163とユーザ設定入出力部164とペンデバイス波長設定部165とペンデバイス波長解析部166と同期部167と波長解析部168と座標検出部169とが設けられている。
【0038】
ゲーム制御部161は、ゲーム進行についての総合的な制御を行う機能を有している。
【0039】
映像出力部162は、ゲーム制御部161の制御のもと、プロジェクタ14に映像信号を出力する機能を有している。
【0040】
音声出力部163は、ゲーム制御部161の制御のもと、スピーカ17A、17Bに音声信号を出力する機能を有している。
【0041】
ユーザ設定入出力部164は、ゲーム制御部161の制御のもと、クレイドル13A、13Bと通信することで、ゲーム開始時にペンデバイス2A、2Bに保持されているユーザ設定データを入力し、ゲーム終了時にペンデバイス2A、2Bに書き込むべきユーザ設定データを出力する機能を有している。
【0042】
ペンデバイス波長設定部165は、ゲーム制御部161の制御のもと、クレイドル13A、13Bと通信することで、ゲーム開始時にペンデバイス2A、2Bに使用する投射光の波長を設定する機能を有している。
【0043】
ペンデバイス波長解析部166は、ゲーム制御部161の制御のもと、クレイドル13A、13Bと通信することで、ペンデバイス2A、2Bからの受光信号から波長を解析し、その後に波長解析部168で認識すべき波長を設定する機能を有している。すなわち、ゲーム装置1に対してはレーザポインタ等による悪戯が予想されるため、ペンデバイス2A、2Bの波長を事前に測定し、その波長に検出対象をキャリブレーションすることで、誤検出を防止することができる。なお、キャリブレーションを行わない場合はペンデバイス波長解析部166を省略することができる。
【0044】
同期部167は、映像出力部162の同期信号(垂直同期信号、水平同期信号)を基準とした所定のタイミングで同期光発生部18への同期光の発生制御を行うとともに、この同期光の発生タイミングにのみカメラ15に撮像(シャッタ制御)を行わせる機能を有している。シャッタ制御を行うのは、プロジェクタ14によりスクリーン12に投影される映像によりペンデバイス2A、2Bの投射光の検出が妨げられないようにするためであり、映像の存在しない期間に撮像を行う。
【0045】
同期光の発生およびシャッタをオンにするタイミングとしては、プロジェクタ14がDLP方式である場合には、カラーホイールの回転により黒ブランクが発生するタイミングとする。プロジェクタ14がDLP方式でない液晶方式等である場合には、ゲーム制御部161の制御によりゲーム映像中の所定タイミングに意図的に挿入された黒ブランクの期間に対応するタイミングとする。
【0046】
波長解析部168は、シャッタ制御された撮像信号にペンデバイス2A、2Bの投射光が含まれる場合に、その赤・緑・青の成分を分析することにより、投射光の波長を解析する機能を有している。そして、解析された波長により、予めペンデバイス2A、2Bに使用するよう設定された波長との対応付けから、ペンデバイス2A、2Bを認識する。
【0047】
座標検出部169は、シャッタ制御された撮像信号にペンデバイス2A、2Bの投射光が存在するタイミング(垂直同期信号、水平同期信号との相対的なタイミング)あるいはカメラ15内の撮像素子の受光位置により、スクリーン12上の座標位置(横方向:x座標、縦方向:y座標)を認識する機能を有している。
【0048】
図4はペンデバイス2(2A、2B)の外観および断面の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は長さ方向の断面図をそれぞれ示している。
【0049】
ペンデバイス2は、円筒状の胴体部21の先端に発光用レンズ部22の先端が露出しており、発光用レンズ部22を囲んでキャップ状の受光用レンズ部23が設けられている。また、胴体部21にはプレイヤによりプッシュ操作するスイッチボタン24が設けられている。
【0050】
ペンデバイス2の内部には、回路基板25と、電気二重層コンデンサ等のコンデンサ26とが設けられている。
【0051】
図5はペンデバイス2の回路構成例を示す図である。
【0052】
図5において、ペンデバイス2は、アンテナ201と高周波部202とCPU(Central Processing Unit)203とメモリ204と発光駆動部205と発光部206と整流部207とダイオード208とコンデンサ209と電源制御部210とスイッチ211と受光スイッチ212とを備えている。
【0053】
アンテナ201は、ゲーム装置1のクレイドル13A、13B(図3)と通信するための高周波信号を送受信するものである。
【0054】
高周波部202は、アンテナ201へ供給する高周波信号あるいはアンテナ201から受信した高周波信号の変復調を行うものである。
【0055】
CPU203は、ゲーム装置1のクレイドル13A、13Bとの間でのユーザ設定データの送受信、ゲーム装置1側から使用する光の波長の設定の受付、発光の制御等の全体的な制御を行う機能を有している。
【0056】
メモリ204は、ユーザ設定データおよびその他のデータを保持するものである。
【0057】
発光駆動部205は、CPU203の制御に応じて発光部206の発光駆動を行うものである。
【0058】
発光部206は、赤・緑・青の複数の発光ダイオードを内蔵してフルカラーの発光を可能とした素子である。
【0059】
整流部207は、アンテナ201の誘起電圧(交流電圧)を整流するものである。整流部207の出力はCPU203に入力され、高周波信号の受信状態が認識される。
【0060】
ダイオード208は、コンデンサ209からの逆流阻止のためのものである。
【0061】
コンデンサ209は、電気二重層コンデンサ等の蓄電素子である。図4(c)のコンデンサ26に相当する。
【0062】
電源制御部210は、コンデンサ209から安定した直流電源を得るためのレギュレーションを行うものである。
【0063】
スイッチ211は、プレイヤにより操作される、発光をオン・オフするためのものである。図4のスイッチボタン24により押圧されるマイクロスイッチ等により構成される。
【0064】
受光スイッチ212は、フォトダイオード等の素子であり、ゲーム装置1の同期光発生部18(図3)からの同期光を受信した際にオンとなり、スイッチ211がオンとされることを条件に、電源制御部210の電源出力を発光駆動部205に与える。
【0065】
<動作>
図6は上記の実施形態の処理例を示すフローチャートであり、制御部16の処理を中心に示したものである。
【0066】
図6において、ゲーム装置1の電源投入等により処理を開始すると(ステップS101)、ゲーム制御部161はユーザ設定入出力部164を介してクレイドル13A、13B上にペンデバイス2A、2Bが検出されたか否かを監視する(ステップS102)。すなわち、クレイドル13A、13Bは高周波部136A、136Bで発生した高周波信号をアンテナ135A、135Bから常時あるいは周期的に放射しており、ペンデバイス2A、2Bが近接して応答信号を返送してくることによりペンデバイス2A、2Bの存在を検出し、インタフェース138A、138Bからユーザ設定入出力部164を介してゲーム制御部161にペンデバイス2A、2Bの検出を通知する。なお、ゲーム制御部161はクレイドル13A、13Bのインタフェース138A、138Bとの直接の接続を有していてもよい。
【0067】
ゲーム制御部161がクレイドル13A、13B上のペンデバイス2A、2Bを検出した場合(ステップS102のYes)、ユーザ設定入出力部164によりクレイドル13A、13Bを介してペンデバイス2A、2Bからユーザ設定データを読み込む(ステップS103)。ゲーム制御部161は、読み込んだユーザ設定データにより、ゲームキャラクタの設定等を行う。
【0068】
なお、ペンデバイス2A、2Bでは、クレイドル13A、13Bから受信した高周波信号に基づいてコンデンサ209の充電を開始する。
【0069】
次いで、ゲーム制御部161は、波長割当テーブルから現時点で未使用の波長を取得し(ステップS104)、ペンデバイス波長設定部165によりクレイドル13A、13Bを介してペンデバイス2A、2Bに波長の指示を行う(ステップS105)。指示を行った波長はプレイヤと対応付けて内部的に保持する。
【0070】
図7は制御部16内に保持される波長割当テーブルの例を示す図であり、「波長ID」「割当済フラグ」「波長制御値」等の項目を有している。「波長制御値」は赤・緑・青の発光の強度割合を示す情報である。ゲーム制御部161は波長割当テーブルの「割当済フラグ」が「未割当」の波長IDを特定して「割当済」に設定するとともに、対応する波長制御値を取得してペンデバイス2A、2Bに波長の指示を行い、波長IDをプレイヤと対応付けて内部的に保持する。
【0071】
図6に戻り、ゲーム制御部161は、悪戯等の防止のためのキャリブレーションを行う場合、ペンデバイス波長解析部166によりクレイドル13A、13Bからペンデバイス2A、2Bに一時的な発光を指示する(ステップS106)。
【0072】
そして、クレイドル13A、13Bの受光部137A、137Bで受光した信号をペンデバイス波長解析部166で分析することにより、厳密な波長と光量を解析し、取得した波長を検出対象の波長として波長解析部168に設定する(ステップS107)。
【0073】
また、ゲーム制御部161は、取得した光量が所定値に満たないか否かにより光量不足であるか否か判断し(ステップS108)、光量不足と判断した場合(ステップS108のYes)には充電不足である旨をアラートする(ステップS109)。このアラートはスクリーン12に表示してもよいし、クレイドル13A、13B上のディスプレイ(図示せず)に表示してもよい。また、スピーカ17A、17Bから音声によりアラートを行ってもよい。このアラートを確認したプレイヤは、ゲームの途中で充電切れになってゲームが継続できなくなる可能性を認識し、十分なレベルにまで充電されることを待つ等の対応をとる。
【0074】
次いで、ゲーム制御部161は、カメラ15の撮像信号に基づき波長解析部168および座標検出部169によりペンデバイス2A、2B毎の座標位置を検出し(ステップS110)、検出した座標位置に応じたゲーム進行を行う(ステップS111)。例えば、スクリーン12上に表示した操作ボタンの位置に投射光の座標位置を認識した場合には、当該操作ボタンが選択されたものとしてゲームを進行する。また、ゲームアイテムを移動する場面において、投射光の座標位置が連続して変化した場合、ゲームアイテムをその座標位置の変化の軌跡に従って移動する。また、ペンデバイス2A、2Bによる、投射光の座標位置に基づく文字や記号等の入力を受け付け、複数のユーザの入力を反映した画面をスクリーン12上に表示する。この際、ペンデバイス2A、2Bのいずれの操作であるかが認識できるため、各プレイヤに許容される操作だけが受け付けられる。
【0075】
次いで、ゲーム制御部161は所定のゴールへの到達等によりゲームが終了したか否か判断し(ステップS112)、終了でない場合(ステップS112のNo)は座標位置の検出(ステップS110)およびゲーム進行(ステップS111)を繰り返す。
【0076】
ゲーム終了と判断した場合(ステップS112のYes)、ゲーム制御部161は、ユーザ設定入出力部164によりクレイドル13A、13Bを介してペンデバイス2A、2Bに最新のユーザ設定データを書き込む(ステップS113)。
【0077】
そして、ゲーム制御部161は、波長割当テーブルからペンデバイス2A、2Bに割り当てた波長の割当済フラグを「未割当」に設定し(ステップS114)、処理を終了する(ステップS115)。その後も、次のゲーム開始に備え、上述の処理(ステップS101〜S115)を繰り返す。
【0078】
図8はペンデバイス2A、2Bの投射光の認識の処理例を示すフローチャートである。
【0079】
図8において、処理を開始すると(ステップS121)、同期部167の指示により、同期光発生部18はプロジェクタ14によるスクリーン12への投影映像が黒ブランクとなるタイミングで同期光を発生し、これとタイミングを揃えてカメラ15はシャッタを開として撮像を行う(ステップS122)。カメラ15はシャッタが開となった時点のスクリーン12全面の画像を撮像し、ペンデバイス2A、2Bは同期光を受光したタイミングでスイッチボタン24が押下されている場合に発光するため、ペンデバイス2A、2Bが発光した場合、撮像したスクリーン画像のいずれかの位置にペンデバイス2A、2Bの投射光による映像が含まれることになる。
【0080】
図9はペンデバイス2A、2Bの発光タイミングの例を示すタイムチャートである。すなわち、垂直同期信号から所定の遅れをもってカメラ15のシャッタ開が行われ、このシャッタ開の前後に渡る期間に同期部167から同期光が発生する。そして、ペンデバイス2A、2Bは、同期光を受光したタイミングでスイッチボタン24が押下されている場合に発光する。
【0081】
図8に戻り、波長解析部168は、カメラ15の撮像信号に含まれる投射光の映像の撮像画素の波長からペンデバイス2A、2Bを認識する(ステップS123)。すなわち、撮像画素の赤・緑・青の強度割合から、波長割当テーブル(図7)の波長IDを特定し、予め保持されているプレイヤと波長IDとの対応付けに基づき、どのプレイヤのペンデバイスであるかを認識する。なお、波長解析部168は、キャリブレーションにより検出対象の波長が設定されている場合には、厳密に波長の特定を行い、誤差範囲を超える違いがある場合には波長の特定を行わない。
【0082】
次いで、座標検出部169は撮像画素における投射光の映像の到来タイミングからペンデバイス2A、2B毎の座標位置を認識し(ステップS124)、処理を終了する(ステップS125)。なお、投射光の映像の画素位置がカメラ15から直接に検出できる場合は、その画素位置から座標位置を求めることができる。例えば、プロファイルセンサと呼ばれる、CCDセルのx方向の縦一列分の合算値をx方向プロファイルとして出力し、y方向の横一列分の合算値をy方向プロファイルとして出力する素子の場合、x方向プロファイルのピーク(複数可)からx座標(複数可)を検出し、y方向プロファイルのピーク(複数可)からy座標(複数可)を検出することができる。
【0083】
図10は2つのペンデバイス2A、2Bの投射光の認識の例を示す図である。(a)はスクリーン12をカメラ15側から見た状態を示しており、ペンデバイス2Aの投射光がP、ペンデバイス2Bの投射光がPであるものとする。
【0084】
この場合、(b)に示すように、水平同期信号に対する、投射光Pに対応する第1波長の信号は時間tHAの遅れ、投射光Pに対応する第2波長の信号は時間tHBの遅れとなり、水平同期期間における割合から、投射光Pのx座標はxPA、投射光Pのx座標はxPBであると求めることができる。
【0085】
同様に、(c)に示すように、垂直同期信号に対する、投射光Pに対応する第1波長の信号は時間tVAの遅れ、投射光Pに対応する第2波長の信号は時間tVBの遅れとなり、水平同期期間における割合から、投射光Pのy座標はyPA、投射光Pのy座標はyPBであると求めることができる。
【0086】
<総括>
以上説明したように、本実施形態によれば次のような利点がある。
(1)ゲーム装置1の初期設定時に自動的に重複なくペンデバイス2A、2Bの波長の設定が行われるため、ペンデバイス2A、2Bを不特定多数のプレイヤそれぞれに販売もしくは貸与し、自分のペンデバイス2A、2Bを使用させるような環境を想定した場合であっても、波長の重複による誤動作を防止することができる。
(2)スクリーン12に投影される映像が黒ブランクの期間にのみペンデバイス2A、2Bの投射光の撮像を行うため、どのようなタイプのプロジェクタ14であっても光源や投影映像との波長の重複を避けることで誤動作を防止することができ、更にペンデバイス2A、2Bに割り当てられる波長の数も豊富にすることができる。
(3)ゲーム装置1の初期設定時にペンデバイス2A、2Bの波長を実測して検出対象波長のキャリブレーションを行うことにより、レーザポインタ等を使った悪戯による誤動作を防止することができる。
(4)ペンデバイス2A、2Bの発光する期間を、プレイヤによりスイッチが押され、かつ撮像が行われるタイミングとし、必要最小限のものとすることで、充電切れとなる事態を最小限に留めることができる。また、充電不足である旨をアラートすることで、知らずに充電切れとなってしまうことを防止することができる。
【0087】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態にかかるゲーム装置の外観の例を示す図である。
【図2】クレイドルの外観の他の例を示す図である。
【図3】ゲーム装置の内部構成例を示す図である。
【図4】ペンデバイスの外観および断面の例を示す図である。
【図5】ペンデバイスの回路構成例を示す図である。
【図6】実施形態の処理例を示すフローチャートである。
【図7】波長割当テーブルの例を示す図である。
【図8】ペンデバイスの投射光の認識の処理例を示すフローチャートである。
【図9】ペンデバイスの発光タイミングの例を示すタイムチャートである。
【図10】2つのペンデバイスの投射光の認識の例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 ゲーム装置
11 筐体
12 スクリーン
13、13A、13B クレイドル
131A、131B 収納用凹部
132 基台
133 ペン支持部
134 穴部
135A、135B アンテナ
136A、136B 高周波部
137A、137B 受光部
138A、138B インタフェース
14 プロジェクタ
15 カメラ
16 制御部
161 ゲーム制御部
162 映像出力部
163 音声出力部
164 ユーザ設定入出力部
165 ペンデバイス波長設定部
166 ペンデバイス波長解析部
167 同期部
168 波長解析部
169 座標検出部
17A、17B スピーカ
18 同期光発生部
2、2A、2B ペンデバイス
21 胴体部
22 発光用レンズ部
23 受光用レンズ部
24 スイッチボタン
25 回路基板
26 コンデンサ
201 アンテナ
202 高周波部
203 CPU
204 メモリ
205 発光駆動部
206 発光部
207 整流部
208 ダイオード
209 コンデンサ
210 電源制御部
211 スイッチ
212 受光スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンに映像を背面側から投影するプロジェクタと、
前記スクリーンの前面側からの操作デバイスによる投射光を前記スクリーンの背面側から撮像するカメラと、
前記操作デバイスが載置され、ユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定を行うクレイドルと、
前記クレイドルによるユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定、ならびに、前記カメラの撮像信号から前記操作デバイスの投射光の波長の解析および座標の検出を行う制御部と
を備え、
前記制御部は、前記操作デバイスへの投射光の波長の設定として、現時点で未使用の波長の使用を前記クレイドルを介して前記操作デバイスに指示する
ことを特徴とするアミューズメント装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアミューズメント装置において、
前記制御部は、前記プロジェクタにより前記スクリーンに投影される映像が黒ブランクとなる期間に、前記カメラにより前記スクリーンの撮像を行わせる
ことを特徴とするアミューズメント装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアミューズメント装置において、
前記操作デバイスに対して投射光の発光タイミングを知らせる同期光を発生する同期光発生部
を更に備え、
前記制御部は、前記同期光発生部による同期光の発生の制御として、前記プロジェクタにより前記スクリーンに投影される映像が黒ブランクとなる期間に前記同期光発生部に同期光を発生させる
ことを特徴とするアミューズメント装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアミューズメント装置において、
前記制御部は、前記操作デバイスへの投射光の波長の設定の後、前記操作デバイスの投射光の受光により波長を解析し、その後の検出対象の波長に設定する
ことを特徴とするアミューズメント装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアミューズメント装置において、
前記クレイドルは、前記操作デバイスへの充電を行い、
前記制御部は、前記操作デバイスの投射光の受光により光量を解析し、光量が所定値を下回る場合に充電量不足をアラートする
ことを特徴とするアミューズメント装置。
【請求項6】
アミューズメント装置のクレイドルから発生する高周波信号を整流して蓄電素子に充電する電源部と、
前記クレイドルとの間で高周波信号によりユーザ設定データの入出力、および、投射光の波長の設定を受け付けるCPUと、
ユーザによりスイッチが押されている間に投射光を発生する発光部と
を備えたことを特徴とする操作デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の操作デバイスにおいて、
前記アミューズメント装置の同期光発生部から発生する同期光を受光する受光スイッチ
を更に備え、
前記発光部は、前記受光スイッチが同期光を受光し、かつ、ユーザにより前記スイッチが押されている間に投射光を発生する
ことを特徴とする操作デバイス。
【請求項8】
請求項6または7のいずれか一項に記載の操作デバイスにおいて、
前記CPUは、前記アミューズメント装置のクレイドルから一時的な発光を指示された際に、前記発光部を発光させる
ことを特徴とする操作デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−136771(P2010−136771A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313683(P2008−313683)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】