説明

アミューズメント装置

【課題】可動体の位置を三次元空間的に捉えることで、従来よりもゲーム性に優れたアミューズメント装置を提供する。
【解決手段】ID送信部5A,5Cからの各識別信号の送信エリアTA,TCが重なり合う三次元の検出範囲Rが形成されるように、これらのID送信部5A,5Cを各々適所に配置する。また、スティック1の受光部が一周期Tにわたり時間窓Tonを連続して受信すると、発光部2が発光することで、動き検出センサ7A,7Eがスティック1の動きを検出する。制御部9は、動き検出センサ7A,7Eからの検出信号によって表示体3を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが保持する可動体の動きを検知し、その動きに応じて出力部を制御するアミューズメント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアミューズメント装置の構成を図Aに示す。これは、例えば特許文献1などに開示されているが、コンピュータデバイス100に画像キャプチャ装置102と表示体であるディスプレイスクリーン104とを通信可能に接続すると共に、ユーザSが保持する可動体106にLEDなどの光源108を備え、光源108から出る光を画像キャプチャ装置102によって検出し、可動体106及びそれに付随する光源108が、画像キャプチャ装置102の視界内で移動するのに対応して、ディスプレイスクリーン104上のカーソル110を移動させるシステムである。この場合、画像キャプチャ装置102として適切なウェブカメラや他のカメラを使用することができ、画像キャプチャ装置102が検知した空間における光源の位置は、コンピュータデバイス100がディスプレイスクリーン104に表示されるカーソル110の移動を制御するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−527573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術では、画像キャプチャ装置102はその視界の範囲内にある光源108の動きを捉えることができるが、画像キャプチャ装置102から光源108ひいては可動体106がどの程度離れているのかを検出することはできない。つまり、既存のアミューズメント装置では、画像キャプチャ装置102が可動体106の持つ位置を三次元空間的に捉えることができず、例えばユーザSが特定の空間内にある場合にのみ、カーソル110を移動させるようにするなどの、ゲーム性に優れた装置を提供することができなかった。
【0005】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、可動体の位置を三次元空間的に捉えることで、従来よりもゲーム性に優れたアミューズメント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアミューズメント装置は、上記目的を達成するために、同一の周期で一定の時間窓を有する識別信号を、前記時間窓が互いに一致せず、且つ互いの前記時間窓に隙間を生じないようにそれぞれ出力する複数の送信部と、前記識別信号を受信する受信部を有し、ユーザが保持可能な可動体と、前記可動体の動きを検出信号として出力する検出部と、前記検出信号に応じて出力部を制御する制御部と、を備え、前記各識別信号の送信エリアが重なり合う三次元の検出範囲が形成されるように、前記送信部を各々配置し、前記受信部が前記一周期にわたり前記時間窓を連続して受信すると、前記検出部が前記検出信号を出力するように構成している。
【0007】
この場合の可動体は、前記受信部が前記一周期にわたり前記時間窓を連続して受信すると空中に信号を送出する発信部を備え、前記検出部は、前記発信部からの信号を受信する構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、複数の送信部により設定された三次元の検出範囲内に、ユーザが保持する可動体の受信部が移動すると、その受信部は少なくとも一周期にわたって時間窓が連続した信号を受信するようになり、前記三次元の検出範囲外に可動体の受信部が移動すると、その受信部は一周期の間に時間窓が存在しない不連続な信号をするようになる。このような信号の違いにより、可動体の位置を三次元空間的に捉えることで、その可動体が特定の検出範囲内にある場合にのみ、可動体の動きに対応して例えば表示体などの出力部を制御することができ、従来よりもゲーム性に優れたアミューズメント装置を提供できる。
【0009】
請求項2の発明では、発信部から空中に放射する信号を検出部が受信することで、可動体の動きを判断できるので、可動体と検出部とを有線で接続する必要がなく、ユーザが可動体を自由に動かして、よりゲーム性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明におけるアミューズメント装置の概略的な全体構成を示す側面図である。
【図2】同上、アミューズメント装置の概略的な全体構成を示す正面図である。
【図3】同上、スティックの電気的な構造を示すブロック図である。
【図4】同上、各ID送信部から送出されるID信号と、受光部が検出範囲内にあるときの検出信号を示す波形図である。
【図5】スティックの動きをどのように判断するのかを説明する図である。
【図6】従来のアミューズメント装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
【0012】
図1および図2は、本発明の好ましい実施形態を示すアミューズメント装置の全体構成を示している。同図において、1は可動体に相当する棒状のスティックで、これは先端に光源としての発光部2を有し、装置を利用するユーザSが手で保持できるような形状を有している。ここでの発光部2は赤外発光素子であるが、赤外線以外の波長の光を出力する各種発光素子を用いてもよい。
【0013】
3はアミューズメント施設の適所に設置される表示体であり、これは大型スクリーンなどの各種のディスプレイ装置で構成される。表示体3の表示部(モニター)4は正面から見て矩形状をなし、その周囲の上下左右には4個の送信部たるID(Identification:識別)送信部5A,5B,5C,5Dが等間隔に配置される。ID送信部5A,5B,5C,5Dは各々異なるタイミングのID信号を出力するが、その詳細は後ほど説明する。
【0014】
7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hは、前記表示部4を中心として、ID送信部5A,5B,5C,5Dの外周に等間隔に配置される8個の動き検出センサである。この動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hは、前記発光部2からの赤外光を検出するもので、その個数や配置については実施例中のものに限定されない。
【0015】
9は、動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hからの検出信号に基づき、スティック1の動きを判断して、その動きに応じた表示を表示部4に行なわせると共に、各ID送信部5A,5B,5C,5Dから所定のタイミングでID信号を送出させる制御部である。この制御部9は、表示体3と、動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hと、ID送信部5A,5B,5C,5Dとの間で電気的な接続が図られていれば、施設のどこに設けられていても構わない。また、当該電気的な接続は有線または無線で実現可能である。
【0016】
図3は、スティック1の電気的な構造を示す図である。同図において、11は電源としての電池、12は電池からの電源電圧を適切な入力電圧に変換する電源制御部であり、この電源制御部12には、スティック1の動きに応じてオンまたはオフする傾斜スイッチ13が接続される。また14は、電源制御部12からの入力電圧を受けて起動し、スティック1の各部を制御する制御部としてのCPUであり、このCPU14の入力ポートには、前記ID送信部5A,5B,5C,5Dからの赤外光によるID信号を受ける受光部16が接続される一方で、CPU14の出力ポートには、赤色,緑色,青色の各発光素子を組み合わせて構成される3色LED17と、赤外線を発射する送信部としての発光部2と、報知部である発音体18に音源信号を送出する音源IC19がそれぞれ接続される。その中で、3色LED17や発音体18は、何れもアミューズメント装置のゲーム性を高めるために設けられているが、例えば3色LED17に代わり単独のLEDで構成してもよい。
【0017】
前記傾斜スイッチ13は、ユーザSがスティック1を所定の方向である垂直に動かしたときにオフからオンに切り替るようになっており、スティック1として無駄な電力消費を抑えるために、傾斜スイッチ13がオンしたときに、電源制御部12からCPU14に一定時間入力電圧を供給するようになっている。
【0018】
図4は、前記ID送信部5A,5B,5C,5Dから送出されるID信号と、スティック1の受光部17が図1に示す検出範囲内にあるときの検出信号を示している。前記図1において、ID送信部5A,5B,5C,5Dからはそれぞれ指向性をもったID信号が送信エリアTA,TB,TC,TD(TB,TDは図示せず)を有して出力されるが、本装置では特に、複数のID送信部5A,5B,5C,5DからのID信号の送信エリアTが重なり合う三次元の検出範囲Rが、ユーザSが目視する表示部4の前方に形成されるように、これらのID送信部5A,5B,5C,5Dが各々適切に配置される。
【0019】
また図4に示すように、各々のID送信部5A,5B,5C,5Dは、制御部9からの制御信号を受けて、何れも同一の周期Tで一定の時間窓Tonを有するID信号を、時間窓Tonが互いに一致せず、且つ互いの時間窓Tonに時間の隙間を生じないように出力する。これにより、検出範囲R内に受光部17が存在するときには、受光部16が連続する時間窓TonのID信号を受信して、一定レベルの検出信号をCPU14に送出する構成になっている。
【0020】
検出範囲Rの設定は、図示されたものに限らず、例えば空間内に複数の検出範囲Rを設定してもよい。その場合、一つの検出範囲Rを設定するのに、少なくとも2個以上のID送信部を設置すればよい。また、一部のID送信部を共通にして、各々複数のID送信部によって複数の検出範囲Rを設定することも可能である。
【0021】
本実施例では、CPU14が受光部16からの検出信号を受け取ると、CPU14はスティック2の動きを制御部9に判断させるために、発光部2に対して制御信号を送出し、当該発光部2から赤外光を出射させる構成になっている。このとき、発光部2を表示部4に向けながらスティック1を動かすと、どの動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hが発光部2からの赤外線を受信したのかによって、制御部9がスティック1の動きを判断する。制御部9はそのスティック1の動きに応じた表示制御信号を表示体3に送出し、それにより表示部4の表示形態を随時変更させるようになっている。
【0022】
次に、上記構成についてその作用を説明すると、先ずプレイを行なうユーザSは、スティック1の基部を手に保持して、決められた方向にスティック1を動かす。本実施例では、スティック1を上に動かして傾斜スイッチ13がオフからオンに切り替わると、電池11の電源電圧が電源制御部12によって入力電圧に変換され、その入力電圧がCPU14に一定時間(例えば1分間)供給される。これにより、CPU14はゲームが開始したことをユーザに知らせるために、スティック1の先端に設けられた3色LED17の各発光素子を全て通電状態にして、3色LED17を白色点灯させるなどの表示制御を、当該3色LED17に対して行なう。
【0023】
次に、ユーザSはスティック1の受光部2を、表示部4の前方に位置する検出範囲R内に差し出す。ID送信部5A,5B,5C,5Dからは、前記図4に示すようなID信号が送出されており、受光部2が検出範囲R外にある場合には、前記一周期Tの中で、時間窓Tonの存在しないL(低)レベルの信号が受光部2で受信される。一方、受光部2が検出範囲R内に進入すると、前記一周期Tにわたって時間窓Tonが存在する連続したHレベルの信号が受光部2で受信される。CPU14は、この受光部2における受光結果に基づき、受光部2が検出範囲R内にあると判断すると、ユーザSにその旨を知らせるために3色LED17を白色点滅させ、且つ発光部2からの赤外光の発射を可能にする。
【0024】
発光部2から赤外光が出射された状態で、ユーザSがスティック1を動かすと、制御部9はその動きに応じて表示部4の表示形態が変わるように、表示体3に対して表示制御信号を出力する。
【0025】
図5は、制御部9がどのようにしてスティック1の動きを判断するのかを模式的に説明するための図である。同図において、矢印Yは表示体3に向けたスティック1の動きを示しており、図5(A)では、表示体3の上部および下部に配置され、点線の領域に囲まれた動き検出センサ7A,7B,7D,7E,7F,7Hが、発光部2からの赤外線を受信することで、制御部9はスティック1が上下に動いていると判断できる。また、図5(B)において、表示体3の左右側部に配置され、点線の領域に囲まれた動き検出センサ7B,7C,7D,7F,7G,7Hが、発光部2からの赤外線を受信することで、制御部9はスティック1が左右に動いていると判断できる。さらに、図5(C)において、表示体3の周囲に配置され、点線の領域に囲まれた動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hが、発光部2からの赤外線を受信することで、制御部9はスティック1が円を描くように動いていると判断できる。
【0026】
このように制御部9は、複数の動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hのなかで、どの動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hが、スティック1の発光部2からの赤外線を受信するのかによって、スティック1の動きを判断することができる。
【0027】
また本実施例では、ユーザSが上述したようなスティック1の動きを行なった後に、表示部4の中心に位置するセンター検出ゾーンにスティック1の先端を向けると、全ての検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hが発光部2からの赤外線を受信できなくなることを利用して、制御部9がスティック1の動きに応じた信号をID送信部5A,5B,5C,5Dから送出する。これをスティック1の受光部16が受信すると、例えば図5(A)の動きでは3色LED17を赤に点滅させ、図5(B)の動きでは3色LED17を青に点滅させ、図5(C)の動きでは3色LED17を青に点滅させるように、スティック1の動きに応じて3色LED17の表示を変えるように、CPU14が3色LED17を制御する。これによりユーザSは、どのようなスティック1の動きであったのかを、3色LED17の表示により確認することができる。また、発音体18から音が出るタイミングは、ゲームの進行に合わせて任意に設定される。
【0028】
以上のように、本実施例のアミューズメント装置は、同一の周期Tで一定の時間窓Tonを有する識別信号たるID信号を、時間窓Tonが互いに一致せず、且つ互いの時間窓Tonに隙間を生じないようにそれぞれ出力する複数のID送信部5A,5B,5C,5Dと、このID送信部5A,5B,5C,5DからID信号を受信可能な受信部として受光部16を有し、アミューズメント装置を利用するユーザSが保持可能な可動体としてのスティック1と、スティック1の動きを検出信号として出力する検出部としての動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hと、各動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hからの検出信号に応じて、例えば表示体3のような出力部を制御する制御部9と、を備え、ID送信部5A,5B,5C,5Dからの各識別信号の送信エリアTA,TB,TC,TDが重なり合う三次元の検出範囲Rが形成されるように、これらのID送信部5A,5B,5C,5Dを各々適所に配置し、スティック1の受光部16が一周期Tにわたり時間窓Tonを連続して受信すると、動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hがスティック1の動きを検出して、検出信号を出力するように構成している。
【0029】
このようにすると、複数のID送信部5A,5B,5C,5Dにより設定された三次元の検出範囲R内に、ユーザSが保持するスティック1の受光部16が移動すると、その受光部16は少なくとも一周期Tにわたって時間窓Tonが連続した信号を受信するようになり、前記三次元の検出範囲R外にスティック1の受光部16が移動すると、その受光部16は一周期Tの間に時間窓Tonが存在しない不連続な信号をするようになる。このような信号の違いにより、制御部9がスティック1の位置を三次元空間的に捉えることで、そのスティック1が特定の検出範囲R内にある場合にのみ、スティック1の動きに対応して例えば表示体3などの出力部を制御することができ、従来よりもゲーム性に優れたアミューズメント装置を提供できる。
【0030】
また特に本実施例では、スティック1の受光部16が一周期Tにわたり時間窓Tonを連続して受信すると、空中に例えば赤外線による信号を送出する発信部としての発光部2を備え、動き検出センサ7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7Hは、この発光部2からの信号を受信するように構成している。
【0031】
なお本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、図4に示す各ID信号を全て反転させ、実施例のようなHレベルではなく、Lレベルの時間窓Tonを生成してもよい。また、本実施例のような棒状のスティック1ではなく、例えば手首に装着する帯状の可動体を用いてもよく、表示体3の代わりにユーザSがゲーム性を享受するようなあらゆる出力部を取付けてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 スティック(可動体)
2 発光部(発信部)
3 表示体(出力部)
5A,5B,5C,5D ID送信部(送信部)
7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7H 動き検出センサ(検出部)
9 制御部
16 受光部(受信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の周期で一定の時間窓を有する識別信号を、前記時間窓が互いに一致せず、且つ互いの前記時間窓に隙間を生じないようにそれぞれ出力する複数の送信部と、
前記識別信号を受信する受信部を有し、ユーザが保持可能な可動体と、
前記可動体の動きを検出信号として出力する検出部と、
前記検出信号に応じて、出力部を制御する制御部と、を備え、
前記各識別信号の送信エリアが重なり合う三次元の検出範囲が形成されるように、前記送信部を各々配置し、
前記受信部が前記一周期にわたり前記時間窓を連続して受信すると、前記検出部が前記検出信号を出力するように構成したことを特徴とするアミューズメント装置。
【請求項2】
前記受信部が前記一周期にわたり前記時間窓を連続して受信すると空中に信号を送出する発信部を備え、
前記検出部は、前記発信部からの信号を受信する構成としたことを特徴とする請求項1記載のアミューズメント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−110136(P2011−110136A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267368(P2009−267368)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(592181956)株式会社野々村電子技研 (9)
【Fターム(参考)】