説明

アミン捕捉のためのフルオロアルコキシカルボニル基を有する高分子基材

アミノ含有材料は、フルオロアルコキシカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有する高分子材料に結合されることができる。アミノ含有材料は、求核置換反応によってペンダントアミン捕捉基と反応することができる。反応生成物は、アルコール及びカルボニルイミノ基を含有するペンダント基である。反応は、高分子材料へのアミノ含有材料の結合をもたらす。高分子材料は、多くの場合、基材の表面上に配置され、アミノ含有材料の高分子材料への結合が、基材上でのアミノ含有材料の固定化をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2006年12月21日出願の米国仮特許出願第60/871,294号、及び2007年9月17日出願の米国特許出願第11/856,144号の優先権を主張するものであり、それらの開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
アミノ含有材料を高分子材料に結合する方法、及び基材上でアミノ含有材料を固定化する方法を記載する。
【背景技術】
【0003】
アミノ含有検体、アミノ酸、DNA、RNA、タンパク質、細胞、組織、細胞小器官、免疫グロブリン、又は基材の表面上で固定化されるそのフラグメントなどのアミノ含有材料を、多数の用途に使用することができる。例えば、固定化された生物学的アミノ含有材料を、疾患又は遺伝子欠陥の医学的診断のため、生物学的分離のため、又は各種生体分子の検出のために使用することができる。アミノ含有材料の固定化は、通常、アミノ基と、基材表面に共有結合した反応性官能基との反応によって行われる。
【0004】
アミノ反応性官能基を有する基材は、アミノ反応性官能基を含有する高分子材料の溶液で基材をコーティングすることによって調製することができる。あるいは、アミノ反応性官能基を有する基材は、アミノ反応性官能基を含有するモノマーの溶液で基材をコーティングし、次いで、モノマーの重合によって調製することができる。代表的なアミノ反応性モノマーとしては、例えば、N−[(メタ)アクリルオキシ]スクシンイミド及びビニルアズラクトンが挙げられる。アミノ含有材料は、N−アシルオキシスクシンイミド基と反応して、N−ヒドロキシスクシンイミドの変位及びカルボキサミドの形成をもたらすことができる。アミノ含有材料は、環式アズラクトンと反応して、環状構造の開環をもたらすことができる。
【0005】
N−アシルオキシスクシンイミド基又はアズラクトン基などの反応性官能基を包含する高分子表面は、一級又は二級アミノ含有材料と容易に反応することができるが、かかる反応性官能基は、多数の欠点に悩まされる場合がある。例えば、生物学的アミノ含有材料との反応の多くは、希釈水溶液中で行われる。これらの条件下で、N−アシルオキシスクシンイミド官能基が、急速に加水分解されることが知られている。本競争反応は、基材上のアミノ含有材料の不完全又は非効率的固定化を引き起こすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アズラクトン官能基は、加水分解に対してより安定しているが、ビニル基以外の任意の重合性基に結合したアズラクトンを合成することは困難である。得られた高分子材料は、ポリマー主鎖に直接結合したアミノ反応性官能基を有する。幾つかの用途においては、これは、アミノ含有材料が効率的固定化のためにアミン反応基に十分に接近することを困難にさせ得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アミノ含有材料を高分子材料へ結合する方法、及び基材上でアミノ含有材料を固定化する方法を記載する。更に具体的には、アミノ含有材料は、ペンダントアミン捕捉基を含む高分子材料に付着され得る。ペンダントアミン捕捉基は、一級又は二級アミノ含有材料との求核置換反応を行うことができるフルオロアルコキシカルボニル基を含む。部分的に反応した高分子材料は、反応した及び未反応のペンダントアミン捕捉基の両方を含むことが記載される。部分的に反応した高分子材料を含む物品も記載される。
【0008】
1つの態様では、アミノ含有材料を高分子材料へ結合する方法を記載する。方法は、フルオロアルコキシカルボニル基を含む、式Iのペンダントアミン捕捉基を含む高分子材料を提供する工程を含む。
【0009】
【化1】

【0010】
式Iでは、変数nは、0又は1に等しい。基Qは、カルボニルオキシあるいはカルボニルイミノのいずれかである。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であって、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含む、二価の基である。基Rは、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルから選択され、それぞれのRは、低級フルオロアルキルであり、Rは、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。星印()は、高分子材料の主鎖へのペンダント基の結合部位を示す。本方法は、(1)一級又は二級アミノ含有材料と、(2)ペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基を反応させ、高分子材料へのアミノ含有基の結合をもたらす、工程を更に含む。
【0011】
別の態様では、基材にアミノ含有材料を固定化する方法を記載する。本方法は、基材を提供する工程と、基材の表面上に高分子材料を配置する工程とを含み、高分子材料は、
【0012】
【化2】

【0013】
フルオロアルコキシカルボニル基を含む、式Iのペンダントアミン捕捉基を有する。本方法は、(1)一級又は二級アミノ含有材料と、(2)ペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基を反応させ、高分子材料へのアミノ含有基の結合をもたらす、工程を更に含む。変数n、並びに基Q、Y、R、及びRは、式Iに対して上で定義されたものと同一である。
【0014】
別の態様では、基材にアミノ含有材料を固定化する方法を記載する。本方法は、基材を提供すること及び反応混合物を基材の表面上に配置することから構成される。反応混合物は、(a)フルオロアルコキシカルボニル基を含む、式IIのアミン捕捉モノマーと、
【0015】
【化3】

【0016】
(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーとを含む。式IIにおいて、変数nは、0又は1に等しい。基Qは、カルボニルオキシあるいはカルボニルイミノのいずれかである。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であって、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含む、二価の基である。基Rは、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルから選択され、それぞれのRは、低級フルオロアルキルであり、Rは、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルから選択され、Rは、水素又はアルキルである。本方法は、反応混合物を硬化させ、ペンダントアミン捕捉基を有する架橋された高分子材料を形成させる工程を更に含む。本方法は、(1)一級又は二級アミノ含有材料と、(2)ペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基を反応させ、高分子材料へのアミノ含有基の結合をもたらす、工程をなお更に含む。
【0017】
更なる別の態様では、部分的に反応した高分子材料を記載する。高分子材料は、(a)フルオロアルコキシカルボニル基を含む式Iの第1のペンダントアミン捕捉基と、(b)一級アミノ含有材料又は二級アミノ含有材料と式Iの第2のペンダントアミン捕捉基の反応生成物であるカルボニルイミノ含有ペンダント基とを含む。
【0018】
更に別の態様では、物品を記載する。物品は、基材と、基材の表面上に配置される高分子材料とを含む。高分子材料は、(a)フルオロアルコキシカルボニル基を含む式Iの第1のペンダントアミン捕捉基と、(b)一級アミノ含有材料又は二級アミノ含有材料と式Iの第2のペンダントアミン捕捉基の反応生成物であるカルボニルイミノ含有ペンダント基とを含む。
【0019】
用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1つ以上を意味する。
【0020】
用語「アルコキシ」とは、化学式−ORの一価の基を意味し、式中、Rはアルキル基である。
【0021】
用語「アルコキシカルボニル」とは、化学式−(CO)ORの一価の基を意味し、式中、Rはアルキル基である。
【0022】
用語「アルキル」とは、アルカンのラジカルである一価の基を意味し、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせである基を含む。アルキル基は通常、1〜30個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキル基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第3ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、及びエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
用語「アルキレン」とは、アルカンのラジカルである二価の基を意味する。アルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであることができる。典型的にはアルキレンは、1〜200個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキレンは、1〜100個の炭素原子、1〜80個の炭素原子、1〜50個の炭素原子、1〜30個の炭素原子、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一炭素原子上に(即ち、アルキリデン)又は異なる炭素原子上にあることができる。
【0024】
用語「アラルキル」とは、化合物R−Arのラジカルである一価の基を意味し、式中、Arは芳香族炭素環基であり、Rはアルキル基である。
【0025】
用語「アリール」は、芳香族炭素環式化合物のラジカルである一価の基を意味する。アリールは1つの芳香環を有することができ、又は芳香環に結合又は縮合する5つまでの他の炭素環を含むことができる。その他の炭素環は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アンスリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「アリーレン」は、芳香族炭素環式化合物のラジカルである二価の基を意味する。アリーレンは1つの芳香環を有することができ、又は芳香環に結合又は縮合する5つまでの他の炭素環を含むことができる。その他の炭素環は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。代表的なアリーレン基は、1つ、2つ、又は3つの芳香環を有する。例えば、アリーレン基は、フェニレンであることができる。
【0027】
用語「カルボニル」とは、化学式−(CO)−の二価の基を意味する。
【0028】
用語「カルボニルイミノ」とは、化学式−(CO)NR−の二価の基を意味し、式中、Rは、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルである。
【0029】
用語「カルボニルオキシ」とは、化学式−(CO)O−の二価の基を意味する。
【0030】
用語「カルボキシ」とは、化学式−(CO)OHの一価の基を意味する。
【0031】
用語「フルオロアルキル」とは、フッ素原子により置き換えられた少なくとも1つの水素原子を有するアルキルを意味する。本明細書に使用されるように、用語「低級フルオロアルキル」とは、1つ、2つ、3つ、又は4つの炭素原子を有するフルオロアルキルを意味する。幾つかの代表的なフルオロアルキルは、−CHF又は−CFなどの1つの炭素原子を有する。
【0032】
用語「フルオロアルコキシ」とは、化学式−ORの一価の基を意味し、式中、Rは、フルオロアルキルを意味する。
【0033】
用語「フルオロアルコキシカルボニル」とは、化学式−(CO)ORの一価の基を意味し、式中、(CO)は、カルボニル基を意味し、Rは、フルオロアルキル基を意味する。フルオロアルコキシカルボニルは、通常、化学式−(CO)OCR(Rであり、式中、R及びRは、本明細書に定義される。
【0034】
用語「ヘテロアルキレン」とは、イオウ、酸素、又は−NR−で置換された1つ以上の炭素原子を有するアルキレンである二価の基を意味し、式中、Rは、水素又はアルキルである。ヘテロアルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであることができ、かつ400個までの炭素原子及び30個までのヘテロ原子を含むことができる。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキレンは、300個までの炭素原子、200個までの炭素原子、100個までの炭素原子、50個までの炭素原子、30個までの炭素原子、20個までの炭素原子、又は10個までの炭素原子を含む。
【0035】
用語「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートであるモノマーを意味する。同様に、用語「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド又はメタクリルアミドであるモノマーを意味する。
【0036】
用語「(メタ)アクリロイル」とは、化学式CH=CR−(CO)−のエチレン性不飽和基を意味し、式中、Rは、水素又はメチルである。(メタ)アクリロイル基は、通常、オキシ又は−NRc−基に隣接し、式中、Rcは、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルである。
【0037】
用語「オキシ」とは、化学式−O−の二価の基を意味する。
【0038】
用語「チオ」とは、化学式−S−の二価の基を意味する。
【0039】
用語「アミン捕捉モノマー」とは、アミン捕捉基を有するモノマーを意味する。用語「アミン捕捉基」とは、モノマー又はポリマー上にある、アミノ含有材料と反応可能な基を意味する。アミン捕捉基は、多くの場合、フルオロアルコキシカルボニル基を含む。
【0040】
用語「アミノ含有材料」とは、一級アミノ基、又は二級アミノ基を有する材料を意味する。アミノ含有材料は、生体材料又は非生体材料であることができる。アミノ含有材料は、多くの場合、一級アミノ基又は二級アミノ基に結合するアルキレン基を有する。
【0041】
用語「ペンダント」とは、高分子材料の主鎖に付着しているが、高分子材料の主鎖の一部ではない基を意味する。ペンダント基は、重合反応には関与しない。
【0042】
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」とは、同様の意味で用いられ、1種のモノマーから調製した材料、例えばホモポリマー又は2種以上のモノマーから調製した材料、例えばコポリマー、ターポリマーなど、の両方を意味する。同様に、用語「重合させる」とは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどであり得る高分子材料の製造プロセスを意味する。
【0043】
用語「室温」とは、約20℃〜約25℃又は約22℃〜約25℃の温度を意味する。
【0044】
用語「基材」とは、固相支持体を意味する。基材は、任意の有用な形態を有することができ、薄フィルム、シート、膜、フィルター、不織布繊維又は織布繊維、中空又は固体ビーズ、ボトル、プレート、チューブ、ロッド、パイプ、又はウェハが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、多孔質又は非多孔質、剛性又は可撓性、透明又は不透明、無色又は有色、及び反射性又は非反射性であることができる。好適な基材材料としては、例えば、高分子材料、ガラス、セラミック、金属、金属酸化物、水和金属酸化物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
上記の要約は、本発明の開示されたそれぞれの実施形態又はあらゆる実施を記載することを意図するものではない。以下の説明により、代表的な実施形態をより具体的に例示する。本文書にわたって幾つかの箇所で、実施例の一覧を通して説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0046】
アミノ含有材料は、ペンダントアミン捕捉基を有する高分子材料に結合され得る。更に具体的には、ペンダントアミン捕捉基は、求核置換反応によって、一級又は二級アミノ含有材料と反応することができるフルオロアルコキシカルボニル基を含む。反応の生成物は、アルコール、及びカルボニルイミノ基を含むペンダント基である。反応は、高分子材料へのアミノ含有材料の結合をもたらす。高分子材料は、多くの場合、基材の表面上に配置され、高分子材料へのアミノ含有材料の結合は、基材上でのアミノ含有材料の固定化をもたらす。
【0047】
1つの態様では、アミノ含有材料を高分子材料へ結合する方法を記載する。本方法は、フルオロアルコキシカルボニル基を含む、式Iのペンダントアミン捕捉基を含む高分子材料を提供する工程を含む。
【0048】
【化4】

【0049】
式Iでは、変数nは、0又は1に等しい。基Qは、カルボニルオキシ又はカルボニルイミノである。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であって、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含む、二価の基である。基Rは、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルから選択され、Rは、低級フルオロアルキルであり、Rは、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。星印()は、ペンダント基の、高分子材料の主鎖への結合部位を意味する。本方法は、一級又は二級アミノ含有材料と、ペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基を反応させ、高分子材料へのアミノ含有基の結合をもたらす、工程を更に含む。反応は、化学式HO−CR(Rのアルコールの求核置換と、カルボニルイミノ基を含有するペンダント基の形成をもたらす。
【0050】
高分子材料のペンダントアミン捕捉基は、通常、炭化水素ポリマーの主鎖に結合される。高分子材料は、通常、アミン捕捉モノマーを含有する反応混合物のフリーラジカル重合の反応生成物である。アミン捕捉モノマーは、エチレン性不飽和基とアミン捕捉基の両方を有する。これらのアミン捕捉モノマーは、通常、式IIである。
【0051】
【化5】

【0052】
式IIでは、変数n、Q、Y、R、及びRは、式Iに対して定義されたものと同一である。基Rは、水素又はアルキルから選択される。多くの実施形態では、Rは、水素又はメチルである。
【0053】
変数nが0に等しい場合、式IIのアミン捕捉モノマーは、式IIaであり、
【0054】
【化6】

【0055】
得られた高分子材料は、式Iaのペンダントアミン捕捉基を含有する。
【0056】
【化7】

【0057】
変数nが1に等しい場合、式IIのアミン捕捉モノマーは、式IIbであり、
【0058】
【化8】

【0059】
得られた高分子材料は、式Ibのペンダントアミン捕捉基を含有する。
【0060】
【化9】

【0061】
式Ibのペンダント基を有する高分子材料は、高分子材料の主鎖とアミン捕捉基(即ち、フルオロアルコキシカルボニル基)との間のスペーサー基(即ち、−Q−Y−)を有する。
【0062】
式Iのペンダントアミン捕捉基及び式IIのアミン捕捉モノマーは共に、化学式−(CO)OCR(Rのフルオロアルコキシカルボニル基を含有し、式中、Rは、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルから選択され、それぞれのRは、低級フルオロアルキルから選択される。Rのための好適なアルキル基は、通常、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。R及びRのための好適な低級フルオロアルキル基は、通常、1〜4個の炭素原子を有する。幾つかの代表的な低級フルオロアルキル基は、−CHF又は−CFなどの1個の炭素原子を有する。
【0063】
幾つかのモノマー又はペンダント基では、フルオロアルコキシカルボニル基は、−(CO)OCH(CFから選択され、式中、Rは、水素であり、それぞれのRは、−CF又は−(CO)OC(CFであり、式中、R及びそれぞれのRは、−CFである。その他の代表的なモノマー及びペンダント基では、フルオロアルコキシカルボニル基は、−(CO)OCF(CFから選択され、式中、Rは、フルオロであり、Rは、−CFである。
【0064】
基Qは、化学式−(CO)O−のカルボニルオキシ基あるいは化学式−(CO)−NR−のカルボニルイミノ基のいずれかであり、式中、Rは、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。Rのための好適なアルキル基は、多くの場合、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。代表的なアリールR基は、フェニルである。代表的なアラルキルR基は、フェニルで置換された1〜10個の炭素原子を有するアルキル、フェニルで置換された1〜6個の炭素原子を有するアルキル、又はフェニルで置換された1〜4個の炭素原子を有するアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基である。基Yは、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。基Rは、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。基Yは、通常、ペルオキシ(即ち、−O−O−)連鎖を含有しない。
【0066】
幾つかの実施形態では、基Yは、アルキレンであることができるか、若しくは基Yは、第一のアルキレンと、それに結合された、ヘテロアルキレン、アリーレン、第2のアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NR−、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの他の基を含むことができる。その他の実施形態では、基Yは、ヘテロアルキレンであることができるか、若しくは基Yは、第一のヘテロアルキレンと、それに結合された、アリーレン、アルキレン、第2のヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NR−、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの他の基を含むことができる。更にその他の実施形態では、基Yは、アリーレンであることができるか、若しくは基Yは、第1のアリーレンと、それに結合された、アルキレン、ヘテロアルキレン、第2のアリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NR−、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの他の基を含むことができる。
【0067】
幾つかの代表的なペンダントアミン捕捉基は、式Icに示されるように、アルキレン基Yを有する。
【0068】
【化10】

【0069】
式Icでは、変数pは、1〜20の整数である。代表的な化合物には、pが15以下、10以下、8以下、6以下、4以下、3以下、又は2以下の整数であるものが挙げられる。このようなペンダント基は、例えば、式IIcのアミン捕捉モノマーを含有する反応混合物のフリーラジカル重合から提供され得る。
【0070】
【化11】

【0071】
基R、R、及びRは、式I及びIIについて前に記載されたものと同一である。
【0072】
その他の代表的なペンダントアミン捕捉基は、式Id又はIeに示されるように、ヘテロアルキレン基Yを有することができる。
【0073】
【化12】

【0074】
式Id又はIeでは、それぞれの変数pは独立して、1〜20の整数であり、Dは、オキシ、チオ、又は−NH−である。代表的な化合物には、pが15以下、10以下、8以下、6以下、4以下、3以下、又は2以下の整数であるものが挙げられる。このようなペンダント基は、例えば、式IId又はIIeのアミン捕捉モノマーを含有する反応混合物のフリーラジカル重合から提供され得る。
【0075】
【化13】

【0076】
基R、R、及びRは、式I及びIIについて前に記載されたものと同一である。
【0077】
式Iのその他の代表的なペンダントアミン捕捉基において、Yは、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、又は−NR−から選択される基によって、第2のアルキレン又は第1のヘテロアルキレン基に連結される第1のアルキレンを含む。追加のアルキレン又はヘテロアルキレン基は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、又は−NR−から選択された基によって、第2のアルキレン又は第1のヘテロアルキレン基に連結されることができる。式Iの更にその他の代表的なペンダントアミン捕捉基において、Yは、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、又は−NR−から選択される基によって、第2のヘテロアルキレン又は第1のアルキレン基に連結される第1のヘテロアルキレンを含む。追加のアルキレン又はヘテロアルキレン基は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、又は−NR−から選択された基によって、第2のアルキレン又は第1のヘテロアルキレン基に連結されることができる。
【0078】
例えば、ペンダントアミン捕捉基は、式If、Ig、又はIhであることができる。
【0079】
【化14】

【0080】
式If、Ig、及びIhでは、それぞれのDは独立して、オキシ、チオ、又は−NH−であり、mは、1〜15の整数であり、kは、2〜4の整数であり、pは、1〜20の整数である。代表的な化合物には、pが15以下、10以下、8以下、6以下、4以下、3以下、又は2以下の整数であり、mが10以下、5以下、2以下、1以下であるものが挙げられる。このようなペンダントアミン捕捉基は、例えば、式IIf、IIg、又はIIhのアミン捕捉モノマーを含有する反応混合物のフリーラジカル重合から提供され得る。
【0081】
【化15】

【0082】
基R、R、及びRは、式I及びIIについて前に記載されたものと同一である。多くのこのようなペンダントアミン捕捉基では、kは、2に等しく、Dは、オキシであり、mは、1に等しく、pは、3以下である。
【0083】
幾つかの要因が、特定用途のための基Yの選択に影響を与え得る。これらの要因としては、例えば、アミン捕捉モノマー合成の容易さ、存在する場合、アミン捕捉モノマーと架橋モノマーとの相溶性又は反応性、及びアミン捕捉基とアミノ含有材料との反応性又は選択性が挙げられる。例えば、基Yのサイズ及び極性は、アミン捕捉基のアミノ含有材料との反応性に影響を与え得る。即ち、アミン捕捉基の反応性は、基Yの長さ、基Yの組成、又はその両方を変化させることにより変更することができる。同様に、アミン捕捉基のサイズ及び性質が、表面濃度及びアミノ含有材料との反応性に影響を与え得る。所望する場合、アミン捕捉モノマー中の各種の基を選択して、周囲温度にて液体であるモノマーを提供することができる。液体モノマー類は、どちらかと言えば、環境的に望ましい場合のある無溶媒コーティング組成物にて有用である。
【0084】
代表的なペンダントアミン捕捉基としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
【化16】

【0086】
これらのペンダントアミン捕捉基を有するポリマーは、それぞれ、以下のアミン捕捉モノマーを含有する反応混合物のフリーラジカル重合から調製され得る。
【0087】
【化17】

【0088】
当該技術分野において既知のいかなる方法も、式IIのモノマーを調製するために使用され得る。例えば、幾つかのモノマーは、環状無水物とヒドロキシ置換(メタ)アクリレートエステルを反応させることによって調製されることができる。本反応は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリレートエステルの形成をもたらす。カルボキシ基は、ハロカルボニル基を有する(メタ)アクリレートエステルを形成するために、塩化チオニルと反応され得る。ハロカルボニル基は、その後、酸受容体の存在下で、化学式HOCR(Rのアルコールと反応され得、式中、R及びRは、上に定義される。あるいは、ハロカルボニル基は、(RCFOと反応され得、それは、その場で形成されたKF及びペルフルオロケトンの付加物である。類似の変換は、nが0に等しい、式IIの化合物を生成するための塩化アクリロイルについて文献に報告されている。
【0089】
式Iのペンダントアミン捕捉基を含有する高分子材料は、直鎖の、可溶性ポリマーであり得、又は不溶性の、架橋ポリマーであり得る。高分子材料を参照する場合、用語「可溶性」とは、高分子材料が、室温で、水中又は少なくとも1つの有機溶媒中で、少なくとも0.01重量%の量で可溶性であることを意味する。同様に、高分子材料を参照する場合、用語「不溶性」とは、高分子材料が、室温で、水中又は少なくとも1つの有機溶媒中で、少なくとも0.01重量%の量で可溶性でないことを意味する。代表的な有機溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、及び2−ブタノール)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、アルカン(例えば、シクロヘキサン又はヘキサン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン及びハイドロフルオロエーテル及びヒドロクロロフルオロエーテルなどのフッ素化エーテル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、又はN−メチルピロリドン)、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、塩素化炭化水素(例えば、塩素−置換アルカン)、フッ素化炭化水素(例えば、フッ素−置換アルカン)、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
直鎖の、可溶性高分子材料は、通常、架橋剤の不在下で合成される。即ち、直鎖の、可溶性高分子材料を調製するために、アミン捕捉モノマーを含有する反応混合物は、通常、架橋剤を含有しない。このような高分子材料を調製するために使用される反応混合物は、多くの場合、モノマー混合物中のモノマーの重量を基準にして、0.1〜100重量%の式IIのアミン捕捉モノマーを含有する。
【0091】
対照的に、不溶性の、架橋高分子材料は、通常、架橋剤の存在下で重合される。即ち、不溶性の、架橋高分子材料を調製するために、アミン捕捉モノマーを含有する反応混合物はまた、通常、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤も含有する。架橋高分子材料を調製する場合、反応混合物は多くの場合、モノマー混合物中のモノマーの重量を基準にして、0.1〜90重量%の式IIのアミン捕捉モノマー及び10〜99.9重量%の架橋モノマーを含有する。
【0092】
不溶性の、架橋高分子材料の調製のための好適な架橋モノマーとしては、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、例えば、アルカンジオール(即ち、2つのヒドロキシ基を有するアルカン置換)、アルカントリオール(即ち、3つのヒドロキシ基を有するアルカン置換)、アルカンテトラオール(即ち、4つのヒドロキシ基を有するアルカン置換)、又はアルカンペンタオール(即ち、5つのヒドロキシ基を有するアルカン置換)と、(メタ)アクリル酸を反応させることによって、形成され得る。
【0093】
代表的な架橋モノマーとしては、1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、TMPTA−Nの商標名でサーフェス・スペシャルティズ(Surface Specialties)(ジョージア州スミュルナ(Smyrna))から、及びSR−351の商標名でサルトマー(Sartomer)(ペンシルベニア州エクストン(Exton))から市販されている)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、SR−444の商標名でサルトマー(Sartomer)から市販されている)、トリス(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート(SR−368の商標名でサルトマー(Sartomer)から市販されている)、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(例えば、サーフェス・スペシャルティズ(Surface Specialties)からPETIA(テトラアクリレート対トリアクリレートを約1:1の比で含む)及びPETA−K(テトラアクリレート対トリアクリレートを約3:1の比で含む)の商標名で市販されている)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、SR−295の商標名でサルトマー(Sartomer)から市販されている)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、SR−355の商標名でサルトマー(Sartomer)から市販されている)、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、SR−494の商標名でサルトマー(Sartomer)から市販されている)、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、SR−399の商標名でサルトマー(Sartomer)から市販されている)が挙げられる。架橋モノマーの混合物を使用することができる。
【0094】
任意の希釈モノマーなどのその他のモノマーは、直鎖の、可溶性高分子材料、あるいは架橋の、不溶性高分子材料のいずれかを調製するために使用される反応混合物に含まれ得る。好適な希釈モノマーは、通常、1つのみの(メタ)アクロイル基を含有し、アミン捕捉基を含有しない、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドである。
【0095】
幾つかの代表的な(メタ)アクリレート希釈剤モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、第3メタクリル酸ブチル、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートである。
【0096】
他の代表的な(メタ)アクリレート希釈剤モノマーは、フェニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレートである。更に他の代表的な(メタ)アクリレート希釈剤モノマーは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。追加の代表的な(メタ)アクリレート希釈剤モノマーは、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエーテル含有(メタ)アクリレートである。希釈剤モノマーは、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートハロゲン化合物などの含窒素(メタ)アクリレートであることができる。希釈剤モノマーはまた、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドなどであることができる。
【0097】
幾つかの反応混合物は、溶媒を含有する。好適な有機溶媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、及び2−ブタノール)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、アルカン(例えば、シクロヘキサン又はヘキサン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン及びハイドロフルオロエーテル及びヒドロクロロフルオロエーテルなどのフッ素化エーテル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、又はN−メチルピロリドン)、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、塩素化炭化水素(例えば、塩素−置換アルカン)、フッ素化炭化水素(例えば、フッ素−置換アルカン)、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の反応混合物は、無溶媒であることができる。代表的な無溶媒反応混合物としては、アミン捕捉モノマーが液体であるもの、又は反応混合物が、溶媒が除去され、コーティングされた組成物であるものが挙げられる。
【0098】
反応混合物は、通常、フリーラジカル重合法を使用して重合される。多くの場合、反応混合物に含まれている反応開始剤が存在する。反応開始剤は、熱反応開始剤、光反応開始剤、又はその両方であることができる。反応開始剤は多くの場合、反応混合物中のモノマー類の重量を基準にして、0.1〜5重量%、0.1〜3重量%、0.1〜2重量%、又は0.1〜1重量%の濃度で使用される。
【0099】
熱反応開始剤を反応混合物に加えた場合、架橋ポリマーを室温で(即ち、20〜25℃)又は高温にて形成することができる。重合に必要な温度は、多くの場合、使用される特定の熱反応開始剤に依存する。熱反応開始剤の例としては、有機過酸化物又はアゾ化合物が挙げられる。アゾ化合物は、例えば、デラウエア州ウィルミントン(Wilmington)所在のデュポン(DuPont)から、例えば、VAZO 67などのVAZOの商標名で市販されている。
【0100】
光反応開始剤を反応混合物に加えた場合、化学線を組成物がゲル化する又は硬化するまで適用することにより、架橋型高分子材料を形成することができる。好適な化学線としては、赤外線領域、可視領域、紫外線領域、又はこれらの組み合わせの電磁放射線が挙げられる。
【0101】
紫外線領域において好適な光反応開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル及び、アニソインメチルエーテルのような置換ベンゾインアルキルエーテル)、フェノン(例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの置換アセトフェノン及び2−メチル2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α−ケトール)、ホスフィンオキシド、高分子光反応開始剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
市販の光反応開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)1173の商標名で市販されている)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの混合物(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からダロキュア(DAROCUR)4265の商標名で市販されている)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)651の商標名で市販されている)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンの混合物(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)1800の商標名で市販されている)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドの混合物(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)1700の商標名で市販されている)2−メチル−、1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)907の商標名で市販されている)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)184の商標名で市販されている)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)369の商標名で市販されている)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)819の商標名で市販されている)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィネート(例えば、BASF(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte))からルシリン(LUCIRIN)TPO−Lの商標名で市販されている)、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte))からルシリン(LUCIRIN)TPOの商標名で市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
可視領域にて用いるのに好適な光反応開始剤は、多くの場合、電子供与体、及びヨードニウム塩などの電子受容体、並びにα−ジケトンなどの可視光感作性化合物を含む。かかる光反応開始剤は、例えば、米国特許公開公報第2005/0113477号(オクスマン(Oxman)ら)、及び米国特許公開公報第2005/0070627号(ファルサフィ(Falsafi)ら)、並びに米国特許第6,765,036号(デデ(Dede)ら)にて更に記載されている。
【0104】
直鎖かつ可溶性、又は架橋かつ不溶性であり得る、得られた高分子材料は、フルオロアルコキシカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有する。ペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基は、以下の反応スキームAに示されるように、一級アミノ含有材料又は二級アミノ含有材料との求核置換反応を行うことができる。
【0105】
【化18】

【0106】
求核置換反応の生成物は、化学式HO−CR(Rのアルコール、並びに式IIIのペンダント基を含む。式IIIのペンダント基は、化学式−(CO)−NR−のカルボニルイミノ基を含有する。式IIIのカルボニルイミノ含有ペンダント基の形成は、高分子材料へのアミノ含有材料の結合をもたらす。
【0107】
反応スキームAでは、NHR−Tは、一級アミノ含有材料又は二級アミノ含有材料のための式を示す。基Rは、水素、アルキル、又は環状構造の一部から選択される。基Tは、アミノ基(−NHR)不在のアミノ含有材料の残基に等しい。アミノ基は、多くの場合、アミノ含有材料中のアルキレン基に結合する。化学式NHR−Tによって示され得る好適なアミノ含有材料としては、アミノ含有検体、アミノ酸、DNA、RNA、タンパク質、細胞、組織、細胞小器官、免疫グロブリン、又はそのフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
アミノ含有材料が複数個の一級アミノ基、二級アミノ基、又はこれらの組み合わせを有する場合、複数個のアミノ基は、式Iの多数のペンダントアミン捕捉基と反応させることができる。したがって、複数個のアミン捕捉基を有する高分子材料は、単一のアミノ含有材料に付着される1つ以上のペンダント基を有し得る。同様に、多数のアミン捕捉基を有する高分子材料は、多数のアミノ含有材料と反応され得る。これらのアミノ含有材料は、単一又は多数のアミノ基を有し得る。
【0109】
幾つかの実施形態では、高分子材料のペンダントアミン捕捉基の一部のみがアミノ含有材料と反応される。即ち、フルオロアルコキシカルボニル基を含有する過剰のペンダントアミン捕捉基がある。過剰のペンダントアミン捕捉基が望ましい可能性があり、存在し得る任意のアミノ含有材料の捕捉に有利に作用する傾向がある。アミノ含有材料と反応させる前の高分子材料のように、部分的に反応した高分子材料は、直鎖又は架橋であり得る。
【0110】
更に具体的には、部分的に反応した高分子材料は、(a)フルオロアルコキシカルボニル基を含有する、式Iの第1のペンダントアミン捕捉基と、
【0111】
【化19】

【0112】
(b)式IIIのカルボニルイミノ含有ペンダント基とを含む、ペンダント基の混合物を含む。
【0113】
【化20】

【0114】
カルボニルイミノ含有ペンダント基は、一級アミノ含有材料又は二級アミノ含有材料との、式Iの第2のペンダントアミン捕捉基の反応生成物である。変数n及び基Q、Y、R、R、R、及びTは、前述で定義されたものと同一である。
【0115】
式Iに従い、ペンダントフルオロアルコキシカルボニル基は、通常、N−ヒドロキシスクシンイミドの誘導体と比較して、改善された加水分解安定性を有し、それは、アミノ含有材料と反応させるための既知の基である。式Iのペンダントアミン捕捉基の改善された加水分解安定性のため、高分子材料は、通常、水性系において使用され得る。アミノ含有材料と、式Iのペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基との反応速度は、通常、フルオロアルコキシカルボニル基の加水分解速度より速い。即ち、アミノ含有材料の結合は、加水分解反応よりも高速で起こる。付着したアミノ含有材料は、共有カルボニルイミノ結合の形成のため、容易に置換されない。
【0116】
式Iのペンダントアミン捕捉基を有する高分子材料は、基材上で配置され得る。高分子材料が基材上に配置され、アミノ含有材料がペンダントアミン捕捉基と反応することによって、高分子材料に付着される場合、アミノ含有材料は、基材上で固定化される。
【0117】
高分子材料が直鎖の、可溶性ポリマーである場合、高分子材料は、多くの場合、基材の表面上での配置前に調製される。即ち、基材へのアミノ含有材料を固定化する方法は、基材を提供する工程と、基材の表面上に高分子材料を配置する工程であって、式中、高分子材料は、フルオロアルコキシカルボニル基を含む、式Iのペンダントアミン捕捉基を有する。
【0118】
【化21】

【0119】
変数n及び基Q、Y、R、及びRは、前述で定義されたものと同一である。方法は、高分子材料へのアミノ含有基の結合をもたらす、ペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基と、アミノ含有材料を反応させる工程を更に含む。
【0120】
高分子材料が架橋の、不溶性ポリマーである場合、高分子材料は、通常、重合される一方、基材と接触する。更に具体的には、基材にアミノ含有材料を固定化する方法は、基材を提供する工程と、基材の表面上に反応混合物を配置する工程とを含む。反応混合物は、(a)フルオロアルコキシカルボニル基を含む、式IIのアミン捕捉モノマーと、
【0121】
【化22】

【0122】
(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む、架橋モノマーとを含む。式IIでは、変数n及び基Q、Y、R、R、及びRは、前述で定義されたものと同一である。本方法は、反応混合物を硬化させ、ペンダントアミン捕捉基を有する架橋された高分子材料を形成させる工程と、一級又は二級アミノ含有材料とペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基を反応させる工程とを更に含む。本反応は、求核置換反応によって、高分子材料へのアミノ含有材料の結合をもたらす。
【0123】
固定化する方法は、基材及び基材の表面上に配置される部分的に反応した高分子材料を含む物品の形成をもたらし得る。部分的に反応した高分子材料は、(a)式Iの第1のフルオロアルコキシカルボニル基と、(b)式IIIのカルボニルイミノ含有ペンダント基を含むペンダント基の混合物を含む。
【0124】
幾つかの実施形態では、反応混合物は、基材の表面を湿潤し、得られた架橋型高分子材料は、基材の表面に粘着する。架橋型高分子材料は、ポリマー上の反応性基と基材の表面上の相補的な基との間で共有結合を形成することなく接着する。むしろ、ポリマーは基材上の表面欠陥と連結することによって接着する。
【0125】
架橋型高分子材料は、基材上に模様化され得る。即ち、反応混合物は、基材の表面へ適用され得る。模様は、テキスト、模様、像、などの形態であることができる。例えば、模様は、ドット、正方形、長方形、円形、線、又は波(例えば、方形波、正弦波、又はのこぎり波)の形態であることができる。
【0126】
模様化された架橋型高分子材料の1つの形成方法として、反応混合物の模様をスクリーン印刷、ジェット印刷(例えば、スプレージェット、バルブジェット、又はインクジェット印刷)などによって基材の表面上に配置することが挙げられる。ジェット印刷のための有用な装置が、例えば、米国特許第6,513,897号(トキエ(Tokie))及び米国特許第6,883,908 B2号(ヤング(Young)ら)に記載されている。模様を基材の表面へ適用後、反応混合物を硬化することができる。例えば、反応混合物は、熱反応開始剤が反応混合物中に含まれる場合には加熱することにより、又は光反応開始剤が反応混合物中に含まれる場合には化学線を適用することにより硬化することができる。
【0127】
模様化された架橋型高分子材料の別の形成方法として、反応混合物の層を基材上へ形成する工程と、反応混合物の第1の部分を硬化して、基材上へ架橋型高分子材料の模様を形成する工程と、硬化しなかった反応混合物の第2の部分を除去する工程とが挙げられる。基材上の反応混合物の層は、例えば、ブラシコーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティング、転写ロールコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、ワイヤコーティング、及びドクターブレードコーティングなどの任意の好適な手法を使用して調製可能である。
【0128】
反応混合物の一部を重合する一方法は、光反応開始剤を反応混合物中で使用すること及びマスクを使用することを含む。マスクは、開口部の模様を含有し、かつ反応混合物の層と化学線供給源との間に配置されることができる。化学線は、マスクの開口部を貫通することができる。化学線に晒された際に、マスクの開口部に対応する反応混合物層の第1の部分は重合することができ、かつマスクによって化学線からブロックされた反応混合物層の第2の部分は、未硬化又は未反応で残存する。即ち、未硬化反応混合物は、ゲル化又は硬化せず、架橋型高分子材料を形成しないモノマー組成物である。未硬化反応混合物は、式IIのモノマー、架橋モノマー、及びあらゆる任意の希釈剤モノマーに好適な溶剤を使用して除去できる。溶媒は、通常、広範囲な架橋故に、硬化済架橋型高分子材料を溶解しない。このため、架橋型高分子材料の模様を基材表面に残したまま、未硬化反応性混合物を除去することができる。
【0129】
未反応反応混合物を除去するための好適な溶媒としては、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、N−メチルピロリドン、塩素化及びフッ素化炭化水素、フッ素化エーテル、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。架橋型高分子材料は、通常、これらの溶媒に不溶性である。
【0130】
本模様化法に好適なマスクとしては、高分子材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、又はポリスチレン)、金属箔材料(例えば、ステンレス鋼、その他の鋼鉄類、アルミニウム、又は銅)、紙、織布又は不織布布地材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。高分子マスク及びこれらマスクの開口部は、更に米国特許第6,897,164 B2号(ボーデ(Baude)ら)に記載されている。マスクの開口部は、任意の好適な寸法であることができる。
【0131】
アミノ含有材料の固定化のための基材は、任意の有用な形態を有することができ、フィルム、シート、膜、フィルター、不織布繊維又は織布繊維、中空又は固体ビーズ、ボトル、プレート、チューブ、ロッド、パイプ、又はウェハが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、多孔質又は非多孔質、剛性又は可撓性、透明又は不透明、無色又は有色、及び反射性又は非反射性であることができる。基材は、平坦な又は比較的平坦な表面を有することができ、あるいはウエル、ギザギザ、チャネル、バンプなどの質感を有することができる。基材は、単層又は多層の材料を有することができる。好適な基材材料としては、例えば、高分子材料、ガラス、セラミック、金属、金属酸化物、水和金属酸化物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0132】
好適な高分子基材材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、フェノール樹脂、ポリアミン、アミノエポキシ樹脂、ポリエステル、シリコーン、セルロース系ポリマー、多糖類、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
好適なガラス及びセラミック基材材料としては、例えば、シリコン、アルミニウム、鉛、ホウ素、リン、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、ヒ素、ガリウム、チタン、銅、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ガラスは、通常、様々な種類のケイ酸塩含有材料を含む。
【0134】
幾つかの実施形態では、基材は、米国特許第6,696,157 B1号(デヴィッド(David)ら)にて開示されているように、ダイヤモンド類似ガラス層を含む。ダイヤモンド類似ガラスは、炭素、ケイ素、及び水素、酸素、フッ素、イオウ、チタン、又は銅から選択される1つ以上の元素を含む非晶質材料である。幾つかのダイヤモンド類似ガラス材料は、プラズマ法を使用してテトラメチルシラン前駆体から形成される。更に酸素プラズマ中で処理され、表面上のシラノール濃度を制御するための疎水性材料を生成することができる。
【0135】
基材のための金属、金属酸化物、又は水和金属酸化物などの好適な金属含有材料は、例えば、金、銀、プラチナ、パラジウム、アルミニウム、銅、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、などを含有することができる。金属含有材料は、ステンレス鋼、酸化インジウムスズ、などの合金であることができる。幾つかの実施形態では、金属含有材料は、多層基材の最上層である。例えば、基材は、高分子である第2の層及び金属を含有する第1の層を有することができる。1つの実施例において、第2の層は高分子フィルムであり、かつ第1の層は金の薄膜である。その他の実施例では、多層基材は、チタン含有層でコーティングされ、次に金含有層でコーティングされた高分子フィルムを含む。このような構造においてチタン層は、金の層を高分子フィルムへ接着させるための結合層又はプライマー層として機能することができる。多層基材のその他の実施例では、シリコン支持層は、クロムの層で被覆され、次に金の層で被覆されている。クロム層は、金層のシリコン層への接着を改善することができる。
【0136】
ペンダントアミン捕捉基を有する高分子材料及び固定化されたアミノ含有材料は、様々な適用において使用できる。固定化された生物学的アミノ含有材料は、疾患又は遺伝的欠陥の医学的診断において有用であり得る。固定化されたアミノ含有材料は、生物学的分離のため又は各種生体分子の存在を検出するためにも使用できる。更に、固定化されたアミノ含有材料は、バイオリアクター内にて使用して、又は生体触媒として使用して、他の材料を調製することが可能である。フルオロアルコキシカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基は、生物学的材料ではないアミノ含有検体を検出するために使用できる。アミノ含有検体は、一級アミン基、二級アミン基、又はこれらの組み合わせを有することができる。
【0137】
更に、その他の材料が、固定化されたアミノ含有材料に結合することができる。この更に結合した材料は、アミノ含有材料の固定化前にアミノ含有材料と組み合わせたり、アミノ含有材料の固定化の後で、アミノ含有材料に結合させたりすることができる。例えば、高分子材料に付着されるアミノ含有材料は、第2の生体分子に更に結合される第1の生体分子であり得る。アミノ含有材料及び更に結合させた材料は、相補的RNAフラグメント、相補的DNAフラグメント、抗原−抗体の組み合わせ、免疫グロブリン−バクテリアの組み合わせなどであり得る。
【0138】
生物学的アミノ含有材料は、多くの場合、高分子材料への結合後に、活性を維持することができる(即ち、式IIIによるペンダント基が、生物学的に活性なアミノ含有材料を含むことができる)。例えば、固定化抗体は、引き続いて抗原に結合することができ、又は固定化抗原は、引き続いて抗体に結合することができる。同様に、バクテリアに結合可能な部分を有する固定化されたアミノ含有生体材料は、引き続いてバクテリアに結合することができる(例えば、固定化された免疫グロブリンは、引き続いて黄色ブドウ球菌などのバクテリアに結合することができる)。
【実施例】
【0139】
これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した特許請求の範囲に限定することを意味するものではない。特に記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、比率などは全て、重量による。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、シグマ−アルドリッチケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))より入手した。
【0140】
【表1】

【0141】
調製実施例1:グルタリルクロリドモノ−メタクリルオキシエチルエステルの調製
乾燥THF中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(57.0グラム)、グルタル酸無水物(50.0グラム)及びフェノチアジン(0.15グラム)の溶液(250ミリリットル)を、氷/水浴内のガラス反応槽中で冷却した。トリエチルアミン(10ミリリットルのTHF中の46.0グラム)をこの攪拌混合物に滴下した。この混合物を室温まで温め、2日間攪拌した。この溶液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、残りの混合物をCHCl(250ミリリットル)に溶解した。この溶液を150ミリリットルの5%HCl溶液で2回、100ミリリットルの水で2回洗浄した。洗浄した後、この溶液をMgSOで乾燥させ、この溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、ピンク色の液体である、105.4グラムのグルタル酸モノ−メタクリルオキシエチルエステルを得た。このグルタル酸モノ−メタクリルオキシエチルエステル(50.0グラム)の試料を、CHClに溶解した(100ミリリットル)。これに、フェノチアジン(0.05グラム)、次いで、5〜10ミリリットルの塩化チオニルを加えた(25ミリリットル)。反応フラスコを、HClが発生する際、著しく冷却した。反応混合物を終夜攪拌し、この溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、ピンク色の液体である、52.0グラムのグルタル酸モノ−メタクリルオキシエチルエステルを得た。
【0142】
調製実施例2:グルタリルクロリドモノ−メタクリルオキシエチルエステルのヘキサフルオロ−イソ−プロピルエステルの調製
ヘキサフルオロ−イソ−プロパノール(8.6グラム)、CHCl(50ミリリットル)、及びエチルジイソプロピルアミン(5.4グラム)を、調製実施例1からの酸塩化物の攪拌混合物(10.5グラム)に、数分間にわたってゆっくりと加えた。得られた混合物を2時間攪拌し、揮発物をロータリーエバポレーターを用いて除去した。この残留物をメチル第三級ブチルエーテルに溶解し、マイクロフィルターを通して濾過した。この溶媒をロータリーエバポレーターを用いて除去し、9.0グラムの油を得た。この油をヘキサン(20ミリリットル)に溶解し、マイクロフィルターを通して濾過した。この溶媒をロータリーエバポレーターを用いて除去し、8.5グラムの透明な淡い褐色の液体を得た。生成物の識別を、プロトン及びフッ素NMRによって確認した。
【0143】
調製実施例3:グルタリルクロリドモノ−メタクリルオキシエチルエステルのノナフルオロ−第3−ブチルエステルの調製
ノナフルオロ−第3−ブタノール(4.7グラム)、フェノチアジン(0.007グラム)、CHCl(25ミリリットル)、及びエチルジイソプロピルアミン(3.0グラム)を、調製実施例1からの酸塩化物の攪拌混合物(6.0グラム)に、数分間にわたってゆっくりと加えた。得られた混合物を終夜攪拌した。更に、25ミリリットルのCHClを加え、得られた混合物を水(200ミリリットル)、3%HCl溶液(50ミリリットル)、水(50ミリリットル)で洗浄した。洗浄した後、この混合物をMgSOで乾燥させた。この溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、7.7グラムの透明な淡い褐色の液体を得た。生成物の識別を、プロトン及びフッ素NMRによって確認した。
【0144】
調製実施例4:ヘプタフルオロ−イソ−プロピルアクリレートの調製
この調製物は、A.G.ピットマン(Pittman)ら著によって、ジェイポリマーサイエンス(J Polymer Science)A−1、4、2637(1966)に記載されるものと本質的に同一であった。
【0145】
乾燥KF(19.2グラム)と乾燥ジグリム(250ミリリットル)の混合物を、パドル攪拌機、ガス注入口、及びドライアイスコンデンサーを装備した反応槽に加えた。この混合物を冷却槽を用いて−20℃まで冷却し、ヘキサフルオロアセトンをガスとして加えた。この冷却槽を取り除き、この混合物を20℃まで2時間にわたって温めた後、26ミリリットルの塩化アクリロイルを10分間にわたって加えた。得られた混合物を3時間攪拌した。水を加え、得られた下層有機層を水で再度洗浄し、MgSOで乾燥させた。この有機層(57.7グラム)を蒸留して、沸点が84℃を有する22.9グラムの物質とした。
【0146】
調製実施例5:グルタリルクロリドモノ−メタクリルオキシエチルエステルのヘプタフルオロ−イソ−プロピルエステルの調製
乾燥KF(6.3グラム)と乾燥ジグリム(100ミリリットル)の混合物を、冷却槽中で−20℃まで冷却し、ヘキサフルオロアセトン(16.0グラム)をガスとして加えた。この冷却槽を取り除いた。温度が5℃に達した場合(約1時間)、調製実施例1からの酸塩化物(20.0グラム)を10分間にわたってゆっくりと加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌し、水で反応停止させた。得られた下層有機層を、CHCl(25ミリリットル)に溶解し、水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。得られた溶液のGLCは、主要構成成分として所望のエステルを示した。
【0147】
(実施例1)
10重量%のフッ化炭素溶液を、調製実施例2で調製された1.00グラムのエステルと、9.00グラムのTMPTAと、40.0グラムの酢酸エチルとを混合することによって調製した。5重量%のフッ化炭素溶液を、4.0グラムのTMPTA及び16.0グラムの酢酸エチルと、20.0グラムの10重量%溶液を混合することによって調製した。2.5重量%のフッ化炭素溶液を、4.0グラムのTMPTA及び16.0グラムの酢酸エチルと、20.0グラムの5重量%溶液を混合することによって調製した。これらのそれぞれの溶液(10%、5%及び2.5%)に、2滴の光開始剤を加えた。得られた溶液は、28番のマイヤーロッド(Mayer rod)を用いてPETフィルム上にコーティングされ、30分間風乾させ、UVプロセッサー(UV processor)(フュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems)、メリーランド州ゲーサーズ(Gaithersburg)、モデルMC−6RQN、H−バルブ)を通過させ、硬化したフィルムを得た。
【0148】
(実施例2)
10重量%のフッ化炭素溶液を、調製実施例3で調製された1.00グラムのエステルと、9.00グラムのTMPTAと、40.0グラムの酢酸エチルとを混合することによって調製した。5重量%のフッ化炭素溶液を、4.0グラムのTMPTA及び16.0グラムの酢酸エチルと、20.0グラムの10重量%溶液を混合することによって調製した。2.5重量%のフッ化炭素溶液を、4.0グラムのTMPTA及び16.0グラムの酢酸エチルと、20.0グラムの5重量%溶液を混合することによって調製した。これらのそれぞれの溶液(10%、5%及び2.5%)に、2滴の光開始剤を加えた。得られた溶液は、28番のマイヤーロッド(Mayer rod)を用いてPETフィルム上にコーティングされ、30分間風乾させ、UVプロセッサー(UV processor)(フュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems)、メリーランド州ゲーサーズ(Gaithersburg)、モデルMC−6RQN、H−バルブ)を通過させ、硬化したフィルムを得た。
【0149】
(実施例3)
10重量%のフッ化炭素溶液を、調製実施例4で調製された1.00グラムのエステルと、9.00グラムのTMPTAと、40.0グラムの酢酸エチルとを混合することによって調製した。5重量%のフッ化炭素溶液を、4.0グラムのTMPTA及び16.0グラムの酢酸エチルと、20.0グラムの10重量%溶液を混合することによって調製した。2.5重量%のフッ化炭素溶液を、4.0グラムのTMPTA及び16.0グラムの酢酸エチルと、20.0グラムの5重量%溶液を混合することによって調製した。これらのそれぞれの溶液(10%、5%及び2.5%)に、2滴の光開始剤を加えた。得られた溶液は、28番のマイヤーロッド(Mayer rod)を用いてPETフィルム上にコーティングされ、30分間風乾させ、UVプロセッサー(UV processor)(フュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems)、メリーランド州ゲーサーズ(Gaithersburg)、モデルMC−6RQN、H−バルブ)を通過させ、硬化したフィルムを得た。
【0150】
(実施例4):ヘプタフルオロイソプロピルアクリレートのホモポリマー
113.4g(4オンス)の重合瓶を、5.0グラムの調製実施例4のエステルと、20グラムのHFE 7200と、50ミリグラムの熱反応開始剤で充填した。この溶液を分速1リットルのNで1分間パージし、密閉された瓶を、回転水浴中で60℃で24時間加熱した。得られたポリマーは、弱粘着性樹脂であった。
【0151】
(実施例5):ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート及びメタクリル酸ブチルのコポリマー
113.4g(4オンス)の瓶を、5.0グラムの調製実施例4のエステルと、5.0グラムのメタクリル酸ブチルと、30.0グラムの酢酸エチルと、104ミリグラムの熱反応開始剤で充填した。この内容物を分速1リットルのNでパージし、回転水浴中で60℃で24時間加熱した。このコポリマーは、粘着性のない透明かつ無色の樹脂であった。
【0152】
(実施例6):調製実施例2とメタクリル酸ブチルのコポリマー
113.4g(4オンス)瓶を、3.0グラムの調製実施例2のエステルと、7.0グラムのメタクリル酸ブチルと、30グラムの酢酸エチル、102ミリグラムの熱反応開始剤で充填した。この内容物を分速1リットルのNで1分間パージし、回転水浴中で60℃で24時間加熱した。このコポリマーは、粘着性のない透明かつ無色の樹脂であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ含有材料を高分子材料に結合する方法であって、
式Iのペンダントアミン捕捉基を含む高分子材料を提供する工程であって、
【化1】

式中、
nが、0又は1に等しく、
Qが、カルボニルオキシ又はカルボニルイミノであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であって、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含む、二価の基であり、
が、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルであり、
が、低級フルオロアルキルであり、
が、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであり、
星印()が、該高分子材料の主鎖への該ペンダント基の結合部位を示し、
(1)一級又は二級アミノ含有材料と、(2)該ペンダントアミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基を反応させ、該高分子材料への該アミノ含有基の結合をもたらす、工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記高分子材料が、式IIのアミン捕捉モノマーを含む反応混合物の反応生成物であり、
【化2】

式中、
が、水素又はアルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高分子材料が、架橋される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応混合物が、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む、架橋モノマーを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
nが、0に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
それぞれのRが独立して、−CHF又は−CFから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
が、水素、フルオロ、−CHF、又は−CFである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
nが、1に等しく、Yが、アルキレンであるか、若しくはYが、第一のアルキレンと、それに結合された、ヘテロアルキレン、アリーレン、第2のアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの他の基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
nが、1に等しく、Yが、ヘテロアルキレンであるか、若しくはYが、第一のヘテロアルキレンと、それに結合された、アルキレン、アリーレン、第2のヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの他の基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ペンダントアミン捕捉基が、式Ic、Id、又はIeであって、
【化3】

式中、
pが、1〜20の整数であり、
Dが、オキシ、チオ、又は−NH−である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ペンダントアミン捕捉基が、式If、Ig、又はIhであって、
【化4】

式中、
Dが、オキシ、チオ、又は−NH−であり、
mが、1〜15の整数であり、
kが、2〜4の整数であり、
pが、1〜20の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アミノ含有材料が、生体分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アミノ含有材料が、第1の生体分子と、それに結合された第2の生体分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基材にアミノ含有材料を固定化する方法であって、
基材を提供する工程と、
該基材の表面上に高分子材料を配置する工程であって、該高分子材料が、式Iのペンダントアミン捕捉基を含み、
【化5】

式中、
nが、0又は1に等しく、
Qが、カルボニルオキシ又はカルボニルイミノであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であって、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含む、二価の基であり、
が、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルであり、
が、低級フルオロアルキルであり、
が、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであり、
星印()が、該高分子材料の主鎖への該ペンダント基の結合部位を示し、
(1)一級又は二級アミノ含有材料と、(2)該アミン捕捉基のフルオロアルコキシカルボニル基を反応させ、該高分子材料への該アミノ含有材料の結合をもたらす、工程とを含む、方法。
【請求項15】
前記アミノ含有材料が、アミノ含有検体、アミノ酸、DNA、RNA、タンパク質、細胞、組織、細胞小器官、免疫グロブリン、又はそれらのフラグメントを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基材にアミノ含有材料を固定化する方法であって、
基材を提供する工程と、
該基材の表面上に反応混合物を配置する工程であって、該反応混合物が、
a)式IIのアミン捕捉モノマーであって、
【化6】

式中、
nが、0又は1に等しく、
Qが、カルボニルオキシ又はカルボニルイミノであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であって、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含む、二価の基であり、
が、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルであり、
が、低級フルオロアルキルであり、
が、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであり、
が、水素又はアルキルである、式IIのアミン捕捉モノマーと、
b)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む、架橋モノマーとを含み、
該反応混合物を硬化させ、フルオロアルコキシカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を含む架橋された高分子材料を形成させる工程と、
(1)一級又は二級アミノ含有材料と、(2)フルオロアルコキシカルボニル基を反応させ、該高分子材料への該アミノ含有材料の結合をもたらす、工程とを含む、方法。
【請求項17】
前記アミノ含有材料が、アミノ含有検体、アミノ酸、DNA、RNA、タンパク質、細胞、組織、細胞小器官、免疫グロブリン、又はそれらのフラグメントを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
高分子材料であって、
(a)フルオロアルコキシカルボニル基を含有する式Iの第1のペンダントアミン捕捉基であって、
【化7】

式中、
nが、0又は1に等しく、
Qが、カルボニルオキシ又はカルボニルイミノであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であって、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含む、二価の基であり、
が、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルであり、
は、低級フルオロアルキルであり、
は、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであり、
星印()が、該高分子材料の主鎖への該ペンダント基の結合部位を示す、第1のペンダントアミン捕捉基と、
(b)一級アミノ含有材料又は二級アミノ含有材料との、式Iの第2のペンダントアミン捕捉基の反応生成物を含むカルボニルアミノ含有のペンダント基とを含む、高分子材料。
【請求項19】
前記アミノ含有材料が、アミノ含有検体、アミノ酸、DNA、RNA、タンパク質、細胞、組織、細胞小器官、免疫グロブリン、又はそれらのフラグメントを含む、請求項16に記載の高分子材料。
【請求項20】
基材と、
該基材上に配置される高分子材料とを含み、該高分子材料が、
(a)フルオロアルコキシカルボニル基を含有する式Iの第1のペンダントアミン捕捉基であって、
【化8】

式中、
nが、0又は1に等しく、
Qが、カルボニルオキシ又はカルボニルイミノから選択され、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であって、任意に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、−NR−、又はこれらの組み合わせを更に含む、二価の基であり、
が、水素、フルオロ、アルキル、又は低級フルオロアルキルであり、
が、低級フルオロアルキルであり、
が、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであり、
星印()が、該高分子材料の主鎖への該ペンダント基の結合部位を示す、第1のペンダントアミン捕捉基と、
(b)一級アミノ含有材料又は二級アミノ含有材料を有する式Iの第2のペンダントアミン捕捉基の反応生成物を含むカルボニルアミノ含有ペンダント基とを含む、物品。

【公表番号】特表2010−513687(P2010−513687A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543030(P2009−543030)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/086355
【国際公開番号】WO2008/079605
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】