説明

アミン末端ポリアミドからの高固形分樹脂の合成

本発明は、二塩基性酸/エステルと過剰量のアミンとの反応によって形成されるポリアミノアミドポリマーの形成方法;それらから得られる中間ポリマー;中間ポリマーとエピハロヒドリンとの反応から得られる有効な高固形分樹脂の合成法;および得られる高固形分樹脂に関する。これらの樹脂は製紙工業における湿潤強度増強用樹脂として用いうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野および工業的適用性
本発明は、過剰量のアミンを用いるポリアミノアミドポリマーを形成する方法;それらから得られる中間ポリマー;有効な高固形分湿潤強度増強用樹脂の合成方法;およびそれらから得られるポリアミノアミド樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ポリアミノアミドに基づく樹脂は40年以上、中性およびアルカリ性条件下での紙の製造に用いられてきた。さらに、製紙業界では、二塩基性酸およびポリアミンから製造されるポリアミノアミドが、ポリアミノアミド−エピクロロヒドリン(PAE)樹脂の合成用プレポリマーとして一般に用いられている(例えば、H. H. Espy, TAPPI J., 78, 90 (1995))。一般に、樹脂を得るには、米国特許第2,926,116号;第2,926,154号;第3,332,901号;第5,644,021号;第6,222,006号;および第5,668,246号に記載のように、ポリアミノアミドをエピクロロヒドリンで処理し、これをポリマー主鎖中の第2アミンと反応させて、自己架橋およびセルロースパルプ繊維との反応に必要なクロロヒドリン、アゼチジニウムまたはエポキシド官能基を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポリアミノアミド−エピクロロヒドリン樹脂の製造手順は本技術分野においてよく知られている。しかしながら、ポリアミノアミドの製造に関しては、一般的な方法では高分子量および広い分子量分布を有するポリアミノアミドが得られ、これらはモル比1:1の二塩基性酸およびポリアミンを用いて一般に製造される。ポリアミノアミドの高分子量は、後で樹脂へ変換するとき、樹脂を製造することができるかつ高レベルの性能を維持したまま貯蔵することができる固形分のレベルを制限する。その結果、樹脂固形分は樹脂の約10〜約30重量%の範囲となり、一般に最高約30重量%に制限される。現在、この業界では、より低い固形分の樹脂と実質的に同等の性能レベルを維持しながら、長期間の貯蔵能力を有する、高固形分樹脂を提供することが求められている。
【0004】
最近、高固形分樹脂の合成では、一塩基性酸を用いてポリマー鎖の成長および分子量分布を調節する末端キャッピング技術によりポリアミノアミドの分子量を減じている。そのようなポリアミノアミドのエピハロヒドリンとの反応による樹脂への変換では、40%もの高い樹脂固形分となる。しかしながら、これらの種類の方法は、本発明では必要とされない特別の成分の取り扱いを必要とする。従って、本発明は、本技術分野で現在用いられている方法よりも簡単で効率的な方法を提供するものである。
【0005】
本発明によって得られる明らかな利点がいくつかある。第1に、本発明は、高いポリアミン:二塩基性酸/エステルモル比によりポリアミノアミドの分子量を調節して、狭い分子量分布を有する低分子量ポリマーの製造を可能にする。第2に、高いポリアミン:二塩基性酸/エステルモル比から生じるさらなるアミン基はエピハロヒドリンとの反応のためのさらなる部位を提供して、潜在的により高い反応官能性をもたらす。第3に、低分子量と狭い分子量分布との組み合わせによって、良好な貯蔵安定性および性能を有する高固形分樹脂の合成が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、製紙において有用な湿潤強度増強剤およびクレーピング助剤に関する。
本発明は、ポリアミノアミド中間ポリマーの合成方法、並びに中間ポリマー自体に関し、
(a)二塩基性酸またはエステルと過剰量のアミンを混合し、これによって重合混合物を形成すること;および
(b)工程(a)からの重合混合物を重合して完了させること
の工程を含む。
【0007】
本発明は、高固形分ポリアミノアミド樹脂の合成方法、並びに高固形分樹脂自体に関し、
(c)工程(b)からの混合物をエピハロヒドリンと反応させること;および
(d)反応を進めて、中間ポリマーを架橋すること
の工程を含む。
【0008】
本発明または、本発明の高固形分樹脂を用いて製造されるセルロース製品に関する。
発明の好ましい態様の詳細な説明
本発明は、ポリアミノアミド中間ポリマーの合成方法、並びに中間ポリマー自体に関し、
(a)二塩基性酸またはエステルと過剰量のアミンを混合し、ここで、二塩基性酸/エステル:アミンモル比は約1:1.125〜約1:1.175であり、これによって重合混合物を形成すること;および
(b)工程(a)からの重合混合物を重合して完了させること
の工程を含む。
【0009】
本発明は、高固形分ポリアミノアミド樹脂の合成方法、並びに高固形分樹脂自体に関し、
(c)工程(b)からの混合物をエピハロヒドリンと反応させること;および
(d)反応を進めて、中間ポリマーを架橋すること
の工程を含む。
【0010】
ポリアミノアミド合成は一般にそのまま行われるが、モノマーの混合を容易にするためにいくらかの水(モノマーに基づいて10〜20%)を加え、そして重縮合の水と共に除去してもよい。
【0011】
本発明の重合混合物の形成に用いられる二塩基性酸またはエステルの量およびアミンの過剰量はコモノマー比によって定められる。つまり、コモノマーは中間ポリマーの分子量を決定する。中間ポリマーの分子量は、反応温度、反応に用いられる具体的なモノマー、それらの比率および反応時間により変化する。分子量および分布は、主として分子の大きさに基づいて物質を識別する技術であるサイズイクスクルージョンクロマトグラフィーによって測定される。二塩基性酸/エステル:アミンモル比を調節すること、特に過剰量のアミンを用いることにより、分子量の調節、並びに狭い分子量分布が可能となる。用いられる二塩基性酸/エステルの量と比較すると、一般にアミンの過剰量は約10〜約20%、好ましくは約12.5〜約17.5%である。従って、分子量とコモノマー比との間の関係から、約1:1の二塩基性酸/エステル:アミンモル比は一般に約3000〜約3500ダルトンの数平均分子量(Mn)に相当する。しかしながら、本発明では二塩基性酸/エステル:アミンモル比は約1:1.175〜約1:1.125であるのが好ましく、これは一般に約1600〜約2100ダルトンおよび多分散度(Mw/Mn)約1.5〜約2の低い数平均分子量(Mn)および狭い重量分布に相当する。ポリアミノアミドに対するアミン価は乾量基準で6.1〜6.7meg/gである。さらに、ポリマー混合物の中間ポリマー固形分は約30〜約70重量%、好ましくは約48〜約50重量%である。
【0012】
本発明の方法では、工程a)は、ポリアミンおよび二塩基性酸を混合すると塩が形成されるため発熱反応である。従って、反応容器を本技術分野で知られる適当な手段により冷却して、モノマーの損失を防ぐべきである。好ましくは、工程a)の反応温度は調節して、約110℃より下に維持すべきである。添加速度は、反応温度がこの温度より下にとどまっている限りどのような速度で行ってもよい。添加が完了した後、重縮合自体は約169〜171℃で行われる。一般に、工程a)の成分の混合に特定の順序は必要ないが、ポリアミンをまず加え、その後、二塩基性酸またはエステルを加えるのが好ましい。
【0013】
反応時間は中間ポリマーの分子量にある程度決められ、一般に反応時間が長いほど分子量はより高い。反応時間を調整して望ましい用途に適切な分子量の中間ポリマーを提供することができる。一般に、反応の初めでは、重合混合物はペースト状であるが、重合反応が進むにつれて、反応容器の内容物は透明になり、粘度は上昇する。試料は重合混合物から取り出すことができ、粘度を測定する。一般に、適切な中間ポリマーの形成で透明溶液が生じ、水を加えた後のブルックフィールド粘度は約135〜195cps、好ましくは150〜180cpsである。
【0014】
得られた中間ポリマーは減少した分子量および狭い重量範囲分布の組み合わせを有し、後にエピハロヒドリンと反応させると、良好な貯蔵安定性および良好な湿潤強さおよびクレーピング性能を有する高固形分樹脂となる。本発明の中間ポリマーはまた、追加アミン基も含み、これによってエピハロヒドリンとの反応のためのさらなる部位を提供する。例えば、DETAに関する実施例1、2および3に示すように、本発明で用いられる過剰のDETAの量が増加するにつれて、アミン価も増加する。アミン基の増加数は、本技術分野でよく知られた技術であるアミン分析を用いて示しうる。
【0015】
本発明では、工程b)から得られる中間ポリマーは線状または分枝状いずれの縮合ポリマーでもよい。一般的なおよび代表的な意味では、本発明は中間ポリマーも意図し、それは一般式:
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、RはC−Cであり;RはC−Cであり;RはC−Cであり;R
【0018】
【化2】

【0019】
である)
を有する。
例えば、アジピン酸およびDETAの反応生成物からの線状ポリマー構造は:
線状
【0020】
【化3】

【0021】
(式中、aは2〜8、bは2〜6、およびcは2〜6である)
である。好ましくは、aは2〜6、bは2〜4、およびcは2〜4であり、より好ましくは、aは3〜4、bは2〜3、およびcは2〜3である。
【0022】
同じ反応からの予想される分枝構造の1つは次の通りである:
分枝状
【0023】
【化4】

【0024】
(式中、aは2〜8、bは2〜6、およびcは2〜6である)。
好ましくは、aは2〜6、bは2〜4、およびcは2〜4であり、より好ましくは、aは3〜4、bは2〜3、およびcは2〜3である。
【0025】
一般に、末端キャッピング法を用いて本技術分野で公知の方法から得られる構造は次の通りである:
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、XはRCO−であり、Rはメチル、エチル等である)。
適した二塩基性酸の例は、限定されないが、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シュウ酸、およびそれらの混合物である。4〜8個の炭素原子をもつ二塩基性酸が好ましい。
【0028】
適した二塩基性エステルの例は、限定されないが、アジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、シュウ酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびそれらの混合物である。本発明に適した二塩基性エステルは本技術分野で知られるどのようなアルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、フェノール等、およびそれらの混合物によっても製造しうる。
【0029】
ポリアミンはポリアミド鎖の成長を調節するように働いて、分子量を減じ、分布を狭くする。本発明で考えられる適したジアミンの例は、限定されないが、ジエチレントリアミン(DETA)またはその類似体、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン(ジプロピレントリアミンすなわちDPTA)、エチレンジアミン(EDA)、1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、N−メチル−ビス(アミノプロピル)アミン(MBAPA)、ビス(ヘキサメチレントリアミン)(BHMT)、トリプロピレンテトラアミン、テトラプロピレンペンタアミン、スペルミン、スペルミジン、1−フェニル−2,4−ペンタンジアミン、2−フェニル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、およびフェニレンジアミン、並びにそれらの組み合わせである。好ましいジアミンは、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)およびそれらの組み合わせである。最も好ましいジアミンはジエチレントリアミン(DETA)である。
【0030】
本発明はさらに、中間ポリマーをエピハロヒドリン、好ましくはエピクロロヒドリンと反応させて、高固形分ポリアミド樹脂を得ることに関し、ここで、ポリマーはそれ自体と架橋するまたは他の物質、例えば紙、パルプ、ウール、木材等と反応する能力を有する。適切な反応条件(すなわち、実施例に示す条件が好ましい)下で本発明のポリマーをエピクロロヒドリンで処理すると、得られる樹脂は水溶性で陽イオン性の樹脂となる。樹脂の合成は水中(最終固形分率に希釈される前は40〜44重量%固形分)で行われるのが最も一般的である。エピクロロヒドリン:ポリアミノアミド比はポリマーのアミン価に基づく(例えば、エピ:アミン当量)。エピクロロヒドリン:アミン当量比は1:1〜1:1.3、好ましくは1:1.2〜1:1.25である。中間ポリマーおよびエピハロヒドリンの本発明による高固形分樹脂の固形分は約30〜50重量%、好ましくは約30〜45重量%、より好ましくは約39〜41重量%である。
【0031】
反応時間は反応温度により決まり、温度が低いほど一般により長い反応時間を必要とする。反応は全てのまたは実質的に全ての利用可能なアミン基がエピハロヒドリンと反応するまで行なうのが好ましい。温度調節は樹脂の官能性決定の助けとなる。例えば、中間ポリマーとエピハロヒドリンとの反応では、これは約70℃以下の温度で生じ、温度は反応の間、一定のままであっても、あるいは初めは低い温度にし、その後、温度を上げる、多段階にしてもよい。所定の最終粘度で、水を加えて樹脂固形分を調節してもよく、pHは、好ましくは硫酸とギ酸の組み合わせを用いて、約2.7〜3.3、好ましくは約2.8〜3.0に調整する。これらの種類の樹脂は製紙過程で湿潤強度増強用樹脂および/またはクレーピング助剤として用いうる。
【0032】
本発明では、高固形分樹脂の構造は線状でも分枝状でもよい。一般的および代表的な意味では、本発明でさらに意図される高固形分樹脂は一般的な線状式:
【0033】
【化6】

【0034】
(式中、aは2〜8、bは2〜6、およびcは2〜6である)
を有する。好ましくは、aは2〜6、bは2〜4、およびcは2〜4であり、より好ましくは、aは3〜4、bは2〜3、およびcは2〜3である。
【0035】
一般的な分枝構造は次の通りである:
【0036】
【化7】

【0037】
(式中、aは2〜8、bは2〜6、およびcは2〜6である)。
好ましくは、aは2〜6、bは2〜4、およびcは2〜4であり、より好ましくは、aは3〜4、bは2〜3、およびcは2〜3である。
【0038】
本発明は、高分子量ポリアミノアミドを用いるこれらの樹脂と比べて、すぐれた貯蔵安定性を有する樹脂を提供する。一般に、約40%の固形分を有し、約25℃(77°F)〜約32℃(90°F)で貯蔵される本発明の樹脂は、ゲル化に対して約3〜約6週間安定である(目視検査)。
【0039】
本発明はさらに、ペーパータオル、ナプキン、筆記用紙等のようなセルロース製品の製造に一般に用いられる従来の方法で、本発明の高固形分樹脂を用いて製造されるセルロース製品を意図する。樹脂は、紙の乾燥重量に基づいて、一般に約0.25〜約3%の量でセルロース製品に混入でき、紙の場合は約0.25〜約1.5%;ナプキンの場合は約0.25〜約1.0%;そしてペーパータオルの場合は約0.5〜約1.5%で混入しうる。水性製紙原料に加えられる樹脂の量は、望ましい湿潤強度および紙繊維に保持される樹脂量によって決まる。前もって製造されたまたは部分的に乾燥された紙は、樹脂に浸すことによってまたは樹脂を紙に噴霧することによって含浸することができる。その後、樹脂を十分に硬化するために、紙を少なくとも約80℃の温度で約5〜約30分間加熱する。
【0040】
本発明の態様を以下の実施例でさらに明らかにする。これらの実施例は説明のためにのみ示すものであることを理解すべきである。上記の説明およびこれらの実施例から、本技術分野における当業者は、本発明の基本的な特徴を確認することができ、そして本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な用途および条件に合うように本発明を変更することができる。ここに示したかつ記載したものに加えて、本発明の様々な変更は、本技術分野における当業者にとって上記の記載から明らかであろう。本発明を具体的な手段、材料および態様を参照して説明してきたが、本発明が記載の詳細に限定されないこと、および請求項の範囲内で全ての同等物に拡大することは無論野ことである。
【実施例】
【0041】
実施例1、2および3のポリアミノアミドは以下の設定で製造され、変動因子は反応に用いられるDETAの過剰量であった。貯蔵安定性は、樹脂を90℃で6週間貯蔵することによって試験した。安定性は、ゲル化が混合物中に生じたかどうかを調べることによって判定する(目視検査または25℃でのガードナー・ホルト標準との比較)。
【0042】
比較実施例−C
比較実施例(C)は、二塩基性酸/エステル:アミン比が1:1であるより低い固形分の高分子量ポリアミノアミドについてのデータを示す。この比較実施例は、1:1の二塩基性酸/エステル:アミン比を用いる以外は、実施例1、2および3と同じ方法で製造した。
【0043】
実施例1、2および3:アジピン酸およびジエチレントリアミンの共重合(12.5%、15%および17.5%過剰DETA)
ジエチレントリアミン(174.2g、1.69モル)を反応容器に入れた。アジピン酸(219.2g、1.5モル)を、110℃より下の温度に保ちながら注意深く加えた。添加が完了した後、反応容器の内容物を169〜170℃に加熱し、重縮合からの水を蒸留によって除去した。この温度での合計保持時間は180分であった。望ましい固形分が得られるまで、希釈水を加え、ポリアミノアミドを溶解するまで攪拌した。
総固形分=48.5%
ブルックフィールド粘度=211cps
pH=10.7
換算粘度=0.102dL/g(1M NHCl、2%、25℃)
Mn=2273ダルトン
Mw=4223
Mz=6899
Mw/Mn=1.96
アミン価=2.98meq/g
酸価=0.106meq/g
表1:アジピン酸および過剰のジエチレントリアミンから製造されたポリアミノアミド
【0044】
【表1】

【0045】
* モル比は二塩基性酸/エステル:アミンの比である
表1のアミン価および酸価は「受け入れたまま」を示す。実施例1、2および3並びに比較実施例Cの真のアミン価は、表1に示された値を表2に示された総固形分値で割ることによって判定される。
表2:調整されたアミンおよび酸価値
【0046】
【表2】

【0047】
実施例4:過剰のジエチレントリアミン(12.5%)で製造されたポリアミノアミドを用いる樹脂の合成
アジピン酸とジエチレントリアミンとのコポリマー(12.5モル%過剰DETA)(80g、166.7g、48%溶液、0.50当量アミン)を反応容器に入れ、総重量255.4gに希釈した。エピクロロヒドリン(57.8g、0.625当量)を全て一度に加えた。温度を68〜70℃に上げ、粘度をモニターした。ガードナー・ホルト「U/V」で、31ccの冷水を加え、次に、濃HSOを加えてpHを4.8にした。次いで、25%HCOOHを加えて、pHを3.7に下げ、そして追加の濃HSOでpHを3.25に調整した。
総固形分=39.4%
ブルックフィールド粘度=368cps
GC
エピクロロヒドリン=0.029%
1,3−ジクロロプロパノール=2.48%
2,3−ジクロロプロパノール=81ppm
3−クロロプロパンジオール=0.27%
90°F安定性=>6週間
実施例5:過剰のジエチレントリアミン(15%)で製造されたポリアミノアミドを用いる樹脂の合成
アジピン酸とジエチレントリアミンとのコポリマー(15モル%過剰DETA)(24.4g、154.3g、48.2%溶液、0.50当量アミン)を反応容器に入れ、総重量242.7gに希釈した。エピクロロヒドリン(57.8g、0.625当量)を全て一度に加えた。温度を68〜70℃に上げ、粘度をモニターした。ガードナー・ホルト「U/V」で、31ccの冷水を加え、次に、濃HSOを加えてpHを4.8にした。次いで、25%HCOOHを加えて、pHを3.7に下げ、そして追加の濃HSOでpHを最後に3.25に調整した。
総固形分=39.5%
ブルックフィールド粘度=297cps
GC
エピクロロヒドリン=0.006%
1,3−ジクロロプロパノール=2.64%
2,3−ジクロロプロパノール=157ppm
3−クロロプロパンジオール=0.44%
90°F安定性=>6週間
実施例6:過剰のジエチレントリアミン(17.5%)で製造されたポリアミノアミドを用いる樹脂の合成
アジピン酸とジエチレントリアミンとのコポリマー(17.5モル%過剰DETA)(75.3g、156.3g、48.2%溶液、0.5当量アミン)を反応容器に入れ、総重量244.7gに希釈した。エピクロロヒドリン(57.8g、0.625当量)を全て一度に加えた。温度を68〜70℃に上げ、粘度をモニターした。ガードナー・ホルト「U/V」で、30ccの冷水を加え、次に、濃HSOを加えてpHを4.8にした。次いで、25%HCOOHを加えて、pHを3.77に下げ、そして最後に追加の濃HSOでpHを3.2に調整した。
総固形分=40.1%
ブルックフィールド粘度=331cps
GC
エピクロロヒドリン=0.008%
1,3−ジクロロプロパノール=2.44%
2,3−ジクロロプロパノール=0.009%
3−クロロプロパンジオール=0.028%
90°F安定性=>6週間
実施例7:樹脂の手漉きシート評価
実施例4、5、6の樹脂並びにKymene(登録商標)557H湿潤強度増強用樹脂を、pH7.5にて450ccカナダ標準叩解度のサイクルビーター中で2〜2.5%のコンシステンシーに叩解した硬木/軟木パルプの50/50ブレンドから製造した手漉きシートで評価した。表2に手漉きシート評価の結果をまとめる。
【0048】
手漉きシートに混入された樹脂率は、パルプ繊維に基づいて0.5%(w/w)であった。Kymene(登録商標)557H(デラウェア州ウイルミントンのハーキュリーズ社のポリアミドアミン−エピクロロヒドリン湿潤強度増強剤)を対照として用いた。樹脂率は、乾燥パルプに基づいて樹脂(固体)を加えることによって決定される(例えば、スラリー中の50gの乾燥パルプへの0.5%の付け足しでは、0.25gの樹脂を乾量基準で加える)。次に、樹脂を、40ポンド/連(24”×36”、500枚)の基本重量を有する手漉きシートにする。シートは約6%の水分率に乾燥した。
【0049】
手漉きシートは80℃で30分間硬化させた。乾燥強度および湿潤強度(20℃の蒸留水に2時間浸した後)について手漉きシートを試験した。
乾燥引っ張り強さおよび湿潤引っ張り強さは、1”幅の試験紙片に2〜3”/分で張力を加えることによって測定し、最大引っ張り強さは破損時に観察された(TAPPI法494)。「%レベル」は、パルプの重量に基づく使用樹脂量を示す。
表3:手漉きシート評価結果
【0050】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間ポリアミドポリマーの合成方法であって、
(a)二塩基性酸またはエステルと過剰量のアミンを混合し、ここで、二酸/エステル:アミンモル比は約1:1.125〜約1:1.175であり、これによって重合混合物を形成すること;および
(b)工程(a)からの重合混合物を重合して完了させること
を含む方法。
【請求項2】
二塩基性エステルが、アジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、シュウ酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびそれらの混合物の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二塩基性酸が、アジピン酸、グルタル酸、シュウ酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらの混合物の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アミンが、ジエチレントリアミン(DETA)またはその類似体、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン(ジプロピレントリアミンすなわちDPTA)、エチレンジアミン(EDA)、1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、N−メチル−ビス(アミノプロピル)アミン(MBAPA)、ビス(ヘキサメチレントリアミン)(BHMT)、トリプロピレンテトラアミン、テトラプロピレンペンタアミン、スペルミン、スペルミジン、1−フェニル−2,4−ペンタンジアミン、2−フェニル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、およびフェニレンジアミン、並びにそれらの組み合わせの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アミンが、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)およびそれらの組み合わせの少なくとも1種を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アミンがジエチレントリアミン(DETA)である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
中間ポリマーの分子量が約1600〜約2100ダルトンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
中間ポリマーが水溶性線状縮合ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
中間ポリマーが水溶性分枝状縮合ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法により製造される中間ポリマー反応生成物。
【請求項11】
【化1】

(式中、aは2〜8、bは2〜6、およびcは2〜6である)
の線状式を有する中間ポリマー。
【請求項12】
分枝状
【化2】

(式中、aは2〜8、bは2〜6、およびcは2〜6である)
の分枝状式を有する中間ポリマー。
【請求項13】
高固形分ポリアミド樹脂の製造方法であって、
(a)二塩基性酸またはエステルと過剰量のアミンを混合し、ここで、二塩基性酸/エステル:アミンモル比は約1:1.125〜約1:1.175であり、これによって重合混合物を形成すること;
(b)工程(a)からの重合混合物を重合して完了させること;
(c)重合混合物をエピハロヒドリンと反応させること;および
(d)反応を進めて、中間ポリマー反応混合物を架橋すること
を含む方法。
【請求項14】
ジエステルが、アジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、シュウ酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびそれらの混合物の少なくとも1種を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
二塩基性酸が、アジピン酸、グルタル酸、シュウ酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらの混合物の少なくとも1種を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
アミンが、ジエチレントリアミン(DETA)またはその類似体、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン(ジプロピレントリアミンすなわちDPTA)、エチレンジアミン(EDA)、1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、N−メチル−ビス(アミノプロピル)アミン(MBAPA)、ビス(ヘキサメチレントリアミン)(BHMT)、トリプロピレンテトラアミン、テトラプロピレンペンタアミン、スペルミン、スペルミジン、1−フェニル−2,4−ペンタンジアミン、2−フェニル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、およびフェニレンジアミン、並びにそれらの組み合わせの少なくとも1種を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
アミンが、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)およびそれらの組み合わせの少なくとも1種を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アミンがジエチレントリアミン(DETA)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エピハロヒドリンがエピクロロヒドリンである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
高固形分樹脂の固形分が約30〜50重量%である、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
高固形分樹脂の固形分が約30〜45重量%である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
高固形分樹脂の固形分が約39〜41重量%である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工程b)の中間ポリマーがそれ自体と架橋される、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
工程b)の中間ポリマーが別の物質と架橋される、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
請求項13に記載の方法により製造される高固形分ポリアミド樹脂。
【請求項26】
線状
【化3】

(式中、aは2〜8、bは2〜6、およびcは2〜6である)
の線状式を有する高固形分ポリアミド樹脂。
【請求項27】
分枝状
【化4】

(式中、aは2〜8、bは2〜6、およびcは2〜6である)
の分枝状式を有する高固形分ポリアミド樹脂。
【請求項28】
請求項13に記載の方法により製造される湿潤強度増強剤。
【請求項29】
請求項13に記載の方法により製造されるクレーピング助剤。
【請求項30】
請求項26に記載の樹脂を含むセルロース製品。
【請求項31】
請求項27に記載の樹脂を含むセルロース製品。

【公表番号】特表2006−522208(P2006−522208A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509308(P2006−509308)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/009205
【国際公開番号】WO2004/092248
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】