説明

アムロジピン及びロサルタンを含む薬剤学的組成物

【課題】心臓血管疾患の予防及び治療効果に優れた薬剤学的組成物及びその製造方法の提供。
【解決手段】アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む心臓血管疾患の予防又は治療用組成物、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧は本態性高血圧と二次性高血圧とに分類されるが、高血圧の大部分(約90〜95%)は本態性高血圧に該当する。二次性高血圧の場合、既知の原因を除去すれば治療が可能であるが、本態性高血圧の場合はその原因がまだ究明されていないため、弛緩療法、食餌療法、運動療法などを行い、随意的に薬物療法が並行される。代表的な抗高血圧剤としては利尿剤、交感神経遮断剤、血管拡張剤が挙げられる。このうち、最も多用されている血管拡張剤は、その薬理作用によってアンジオテンシン変換酵素(ACE;Angiotensin converting enzyme)阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤及びカルシウムチャンネル遮断剤に分けられる。
【0003】
高血圧の治療において、単純に血圧自体を低めることよりは持続的に血圧を正常範囲内にコントロールすることで、脳卒中、心不全、心筋梗塞症などの冠状動脈性心臓病及び心臓血管疾患の合併症の危険を減らすことが大事である。従って、高血圧治療剤は長時間の服用が必要である。さらに、互いに異なる薬理作用を有する2種以上の薬物を併用すると、一層優れた予防及び治療効果を奏することができるとともに、1種の薬物の長時間服用によって発生し得る副作用も低減させ得る。
【0004】
そこで、本発明者らは前記の問題点を解決し、心臓血管疾患に対する予防及び治療効果の向上した薬学的組成物を開発するために鋭意研究を重ねた結果、互いに異なる薬理作用を有するアムロジピン(amlodipine)又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン(losartan)又はその薬剤学的に許容される塩を含む薬剤学的組成物を開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は互いに異なる薬理作用を有するアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む心臓血管疾患の予防又は治療用組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は前記組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明の一実施形態によれば、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む心臓血管疾患の予防又は治療用組成物が得られる。
【0008】
アムロジピン(amlodipine)は、3−エチル−5−メチル−2−(2−アミノエトキシ−メチル)−4−(2−クロロフェニル)−6−メチル−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボン酸塩の一般名であり、ヨーロッパ公開特許EP0089167 A2はアムロジピンの薬剤学的に許容される塩の多様な形態を開示している。本発明で用いられるアムロジピンの薬剤学的に許容される塩は、非毒性かつ薬剤学的に許容される酸付加塩を形成する酸を用いて形成され得、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、ベシル酸塩及びカンシル酸塩などが挙げられるが、これらに制限されない。前記酸付加塩のうち、ベシル酸アムロジピンはノバスク(Novasc(登録商標))という商品名で市販されており、韓国特許第452491号はベシル酸アムロジピンに比べて溶解度、安定性などの物性に優れているカンシル酸塩を開示している。よって、本発明で用いられ得る最適のアムロジピンの薬剤学的に許容される塩はカンシル酸アムロジピンである。アムロジピンは人体内で長時間作用するカルシウムチャンネル遮断剤であって、狭心症、高血圧及びうっ血性心不全のような心臓血管系疾患の治療に有用な物質である。しかし、アムロジピンを用いた長期に亘る抗高血圧治療は用量制限、末梢浮腫、特にくるぶし浮腫のような副作用を頻繁に引き起こすと報告されている。アムロジピン由来のくるぶし浮腫は、脚の前毛細血管小動脈の選択的な膨張による体液の間質腔内への流出などに起因するものと推定されている。アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩の一日の推奨投与量は0.5〜20mg、好ましくは1〜10mg、より好ましくは5〜10mgである。
【0009】
ロサルタンは、2−ブチル−4−クロロ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]−1H−イミダゾール−5−メタノールの一般名であって、米国特許第5,608,075号、第5,138,069号、第5,153,197号などに開示されている。特に、ロサルタンカリウムはコザール(Cozaar(登録商標)という商品名で市販されている。よって、本発明で用いられ得る望ましいロサルタンの薬剤学的に許容される塩はロサルタンカリウムである。ロサルタンはアンジオテンシンIIの受容体への結合を遮断して、高血圧、心不全、虚血性末梢循環障害、心筋虚血(狭心症)、糖尿病性神経障害及び緑内障を治療し、心筋梗塞後の心不全への進行の予防に主に用いられる。ロサルタンは咳又は浮腫などの副作用発現率は低いが、時々めまいや起立性低血圧のような副作用を誘発すると報告されている。ロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩の1日の推奨投与量は0.1〜500mg、望ましく1〜200mg、より望ましく25〜200mgである。
【0010】
従って、本発明のアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む複合製剤は、従来の単一製剤に比べて狭心症、高血圧、動脈攣縮、深部静脈、心臓肥大、脳梗塞、うっ血性心不全、心筋梗塞などの心臓血管疾患に対してより優れた予防又は治療効果を奏することができ、各々薬物の副作用を減少させ得る。
【0011】
しかし、アムロジピンとロサルタンとを単純に混合して複合製剤化する場合には次のような問題が生ずる。
【0012】
第一の問題点は、ロサルタンのゲル化(gelation)である。ロサルタンは、pH4.0やpH6.8のような比較的に高pHの精製水には容易に溶出される。しかし、低pHの液状製剤(例えば、pH2.0やpH1.2など)ではゲル化のために非常に徐々に溶出される。従って、この製剤を経口服用する際には、低pH値を示す酸性の胃腸液に最初に曝されるので、ロサルタンを含む前記複合製剤の溶出率及び生体吸収率は非常に低くなる。また、ロサルタンのゲル化によってアムロジピンが製剤の内部に封入されたりする。例えば、試験例1の結果を示している図1において、単純に二つの成分を混合した錠剤の場合、一般的なアムロジピンの溶出基準、即ち30分時点での80%の溶出率を満たしていないことが分かる。よって、低pH条件下でもロサルタンがゲル化されない複合製剤の開発が求められている。
【0013】
第二の問題点はアムロジピンとロサルタンを単純混合した複合製剤の安定性が低下することであるが、これはロサルタンがアムロジピンの安定性に悪影響を及ぼすためである。
【0014】
そこで、本発明ではアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を物理的に分離させてこれらの接触を最少化させた複合製剤を提供し、これによってアムロジピン及びロサルタンの溶出率及び安定性を向上させ得た。
【発明の効果】
【0015】
アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む本発明の組成物は、より向上した心臓血管疾患の予防又は治療効果を奏することができる。また、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩を別途に造粒して製造した本発明の組成物は、アムロジピンとロサルタンが分離されていない混合組成物に比べて服用の際に優れた溶出率及び安定性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試験例1でのアムロジピンの溶出率を示すグラフである。
【図2】試験例2でのロサルタンの溶出率を示すグラフである。
【図3】試験例3でのアムロジピンの溶出率を示すグラフである。
【図4】試験例4でのアムロジピンの溶出率を示すグラフである。
【図5】試験例5でのアムロジピンの溶出率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、製剤内でアムロジピンとロサルタンを物理的に分離させるためにアムロジピンを造粒してアムロジピン−ロサルタン複合製剤を製造する。即ち、本発明の複合製剤は、1)アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩を造粒して顆粒部を製造する段階及び2)前記顆粒部をロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む混合部と混合する段階を含む方法によって製造される。このように製造した下記実施例1〜4の複合製剤は、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩の単純混合物を用いて製造された錠剤である比較例1の複合製剤に比べて、十分なロサルタンの溶出率を示しながらもより向上したアムロジピン溶出率を示し(図1〜3参照)、アムロジピンの薬物安定性の面においても優れている(表1参照)。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、本発明の複合製剤はアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩の2層錠剤型である。後述の実施例8に示したように、2層錠剤用打錠機を用いてアムロジピン顆粒部を1次錠剤部に打錠した後、ロサルタンを含む混合部を加えて2次錠剤部に打錠して2層錠剤を得ることができる。かかる2層錠剤も、図4に示しているように、実施例1の製剤と同様に優れたアムロジピン溶出率を示す。
【0019】
本発明のまた他の実施形態によれば、前記アムロジピンを別途に造粒して製造した複合製剤又はアムロジピン−ロサルタン2層錠剤は、アムロジピンとロサルタンとの接触面の間にコーティング層をさらに含むが、これはアムロジピンの顆粒上にコーティング剤を噴射して乾燥させた後、ロサルタンと混合させて製造し得る。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、アムロジピンとロサルタンが互いに分離されている本発明の製剤は、アムロジピンでコーティングされたロサルタン錠剤型を有する。かかる製剤は、アムロジピンをコーティング溶媒に溶解又は分散させた後、その結果得られた分散液をロサルタン錠剤にコーティングさせることによって製造し得る。この時、ロサルタン錠剤とアムロジピンコーティング層との間に分離層をさらに設けてもよい。アムロジピン分散工程に用いられるコーティング溶媒は通常のコーティング溶媒を用いることができ、例えばメチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられるが、これらに制限されない。
【0021】
従って、本発明の別の実施形態は、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩を含む部分とロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む部分とが分離された状態で存在することを特徴とする、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む心臓血管疾患の予防又は治療用組成物を提供する。
【0022】
本発明のまた別の実施形態は、本発明はアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩を造粒した後、前記アムロジピンの顆粒部にロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を混合して製造した、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む心臓血管疾患の予防又は治療用組成物を提供する。かかる本発明の組成物は、アムロジピンの顆粒部にコーティングされた層をさらに含み得る。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態によれば、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩が別途の層に打錠された2層錠剤型である、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む心臓血管疾患の予防又は治療用組成物が得られる。かかる本発明の2層錠剤は、アムロジピン層上にコーティングされた層をさらに含み得る。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態によれば、ロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩からなる錠剤にアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩の層でコーティングした、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む心臓血管疾患の予防又は治療用組成物が得られる。かかる本発明の組成物は、ロサルタン錠剤とアムロジピンコーティング層との間に設けられた分離層をさらに含み得る。
【0025】
本発明の心臓血管疾患予防又は治療用組成物において、アムロジピン顆粒部及びロサルタン混合部はそれぞれ薬剤学的に許容される担体又は賦形剤を含み得る。薬剤学的に許容される担体又は賦形剤としては、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、グリシン及びデンプン、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及び複合ケイ酸塩)及び造粒用結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアカシアガム)などが挙げられる。また、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及び滑石のような潤滑剤がさらに含まれ得る。
【0026】
本発明の望ましい実施形態において、アムロジピン顆粒部は、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及び賦形剤を1:10〜1:60の重量比で含む。前記重量比が1:10未満の場合には当該組成物の溶出率が低下し(実施例5〜7及び図4参照)、1:60超過の場合には組成物がかさばって服用の際に不便である。
【0027】
また、本発明の組成物で用いられるアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩とロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩との重量比は1:2.5〜1:20であり、好ましくは1:5〜1:10である。
【0028】
本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤の形態で口腔、経口、舌下などの多様な経路で投与され得る。しかし、本発明の組成物の投与方法は、患者の症状及び要求を勘案して担当医師によって決定され得る。
【0029】
本発明の他の実施形態において、a)アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩、及び薬剤学的に許容される賦形剤の混合物を湿式造粒・乾燥してアムロジピン顆粒部を得る段階;及びb)前記アムロジピン顆粒部をロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩、及び薬剤学的に許容される賦形剤を含む混合部と混合する段階からなる、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその許容可能な塩を含む薬剤学的組成物の製造方法を提供する。
【0030】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、これらの実施例は本発明を具体的に説明するために例示するものであり、これらによって制限されない。
【実施例】
【0031】
実施例1:複合錠剤の製造I
(アムロジピン顆粒部)
カンシル酸アムロジピン 7.84mg(アムロジピン5mg)
微結晶性セルロース 70.0mg
リン酸二水素カルシウム 60.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ポビドン 3.0mg
精製水 70.0mg
(ロサルタン混合部)
ロサルタンカリウム 50.0mg
微結晶性セルロース 80.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
上記組成のアムロジピン顆粒部の成分を単位錠剤当たり70.0mgの精製水を用いて湿式造粒した後、20メッシュに整粒して乾燥し、乾燥アムロジピン顆粒部に上記組成のロサルタン混合部を加えて混合した後、打錠してアムロジピン5mg及びロサルタン50mgからなる複合錠剤を得た。
【0032】
実施例2:複合錠剤の製造II
(アムロジピン顆粒部)
カンシル酸アムロジピン 7.84mg(アムロジピン5mg)
マンニトール 70.0mg
リン酸二水素カルシウム 60.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ポビドン 3.0mg
精製水 70.0mg
(ロサルタン混合部)
ロサルタンカリウム 50.0mg
マンニトール 80.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
微結晶性セルロースの代わりにマンニトールを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法によってアムロジピン5mg及びロサルタン50mgからなる複合錠剤を得た。
【0033】
実施例3:複合錠剤の製造III
(アムロジピン顆粒部)
カンシル酸アムロジピン 15.68mg
微結晶性セルロース 140.0mg
リン酸二水素カルシウム 120.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 24.0mg
ポビドン 6.0mg
精製水 140.0mg
(ロサルタン混合部)
ロサルタンカリウム 50.0mg
微結晶性セルロース 80.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
アムロジピン顆粒部の量を2倍にしたことを除いては、実施例1と同一の方法によってアムロジピン10mg及びロサルタン50mgからなる複合錠剤を得た。
【0034】
実施例4:複合錠剤の製造IV
(アムロジピン顆粒部)
カンシル酸アムロジピン 15.68mg
微結晶性セルロース 140.0mg
リン酸二水素カルシウム 120.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 24.0mg
ポビドン 6.0mg
精製水 140.0mg
(ロサルタン混合部)
ロサルタンカリウム 100.0mg
微結晶性セルロース 160.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 24.0mg
ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
ロサルタン混合部の量を2倍にしたことを除いては、実施例3と同一の方法によってアムロジピン10mg及びロサルタン100mgからなる複合錠剤を得た。
【0035】
実施例5:複合錠剤の製造V
(アムロジピン顆粒部)
カンシル酸アムロジピン 7.84mg(アムロジピン5mg)
微結晶性セルロース 35.0mg
リン酸二水素カルシウム 30.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 6.0mg
ポビドン 1.5mg
精製水 35.0mg
(ロサルタン混合部)
ロサルタンカリウム 50.0mg
微結晶性セルロース 80.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
アムロジピン顆粒部の製造の際にカンシル酸アムロジピン1重量部に対して10重量部に該当する賦形剤を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法によって複合錠剤を製造した。
【0036】
実施例6:複合錠剤の製造VI
(アムロジピン顆粒部)
カンシル酸アムロジピン 7.84mg(アムロジピン5mg)
微結晶性セルロース 231.0mg
リン酸二水素カルシウム 198.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 40.0mg
ポビドン 10.0mg
精製水 462.0mg
(ロサルタン混合部)
ロサルタンカリウム 50.0mg
微結晶性セルロース 80.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
アムロジピン顆粒部の製造の際にカンシル酸アムロジピン1重量部に対して60重量部に該当する賦形剤を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法によって複合錠剤を製造した。
【0037】
実施例7:複合錠剤の製造VII
(アムロジピン顆粒部)
カンシル酸アムロジピン 15.68mg(アムロジピン10mg)
微結晶性セルロース 462.0mg
リン酸二水素カルシウム 396.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 80.0mg
ポビドン 20.0mg
精製水 924.0mg
(ロサルタン混合部)
ロサルタンカリウム 50.0mg
微結晶性セルロース 80.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
アムロジピン顆粒部の製造の際にカンシル酸アムロジピン1重量部に対して60重量部に該当する賦形剤を用いたことを除いては、実施例3と同一の方法によって複合錠剤を製造した。
【0038】
実施例8:2層錠剤の製造
(アムロジピン錠剤部)
カンシル酸アムロジピン 7.84mg(アムロジピン5mg)
微結晶性セルロース 70.0mg
リン酸二水素カルシウム 60.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ポビドン 3.0mg
精製水 70.0mg
(ロサルタン錠剤部)
ロサルタンカリウム 50.0mg
微結晶性セルロース 80.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
上記組成のアムロジピン錠剤部の成分を単位錠剤当たり70.0mgの精製水を用いて湿式造粒した後、20メッシュに整粒して乾燥した。その後、2層錠剤用打錠機(MRC−45、世宗ファルマテック社製)を用いて、乾燥されたアムロジピン顆粒部を入れて1次錠剤部を打錠し、上記組成のロサルタン混合部の成分を入れて2次錠剤部を打錠することで、アムロジピン5mg及びロサルタン50mgからなる2層錠剤を得た。
【0039】
比較例1:アムロジピン及びロサルタンが分離されていない直接圧縮された錠剤の製造
カンシル酸アムロジピン 7.84mg(アムロジピン5mg)
微結晶性セルロース 150.0mg
リン酸二水素カルシウム 60.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 24.0mg
ポビドン 3.0mg
ロサルタンカリウム 50.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
前記実施例1で用いられたものと同一な組成の成分を一度に混合して直接圧縮して、アムロジピン5mg及びロサルタン50mgからなる錠剤を得た。
【0040】
試験例1:アムロジピン溶出試験
実施例1で製造された複合錠剤と比較例1で製造された未分離混合物の錠剤を用いて、下記の条件下で溶出試験を行った。
【0041】
(試験条件)
溶出液:0.01N HCl 500ml(pH2.0)
溶出試験:米国薬局方(USP)のパドル法、75rpm
温度:37℃
(分析条件)
カラム:5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシラン化したシリカゲルで充填されたステンレススチール管(内径4.6mm、長さ25cm)
移動相:メタノール/0.03Mリン酸二水素カリウム混合液(600:400、v/v)
検出器:紫外分光光度計(測定波長237nm)
流速:1.5ml/分
注入量:20μl
(溶出率の所定基準)
30分時点での溶出率が80%以上。
【0042】
(結果)
図1に示すように、実施例1で製造されたアムロジピン−ロサルタンの複合錠剤は、比較例1で製造された未分離混合物の直接圧縮された錠剤に比べてアムロジピン溶出率が2倍以上高いことが分かった。また、溶出率において比較例1の錠剤は所定基準を満たさなかったが、実施例1の錠剤はこの基準を満たした。
【0043】
試験例2:ロサルタンの溶出試験
実施例1で製造された複合錠剤と比較例1で製造された未分離混合物の錠剤を用いて、下記の条件下で溶出試験をそれぞれ行った。
【0044】
(試験条件)
溶出液:精製水
溶出試験:米国薬局方(USP)のパドル法、50rpm
温度:37℃
(分析条件)
カラム: 5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシラン化したシリカゲルで充填されたステンレススチール管(内径約4.6mm、長さ25cm)
移動相:
移動相A:リン酸緩衝液/アセトニトリル(850:150、v/v)
移動相B:アセトニトリル
【表A】

【0045】
検出器:紫外分光光度計(測定波長250nm)
流速:1.5ml/分
注入量:10μl
(溶出率の所定基準)
45分時点での溶出率が85%以上。
【0046】
(結果)
図2に示しているように、実施例1で製造されたアムロジピン−ロサルタンの複合錠剤と比較例1で製造された未分離混合物の錠剤のロサルタンの溶出率はほぼ同一であり、両方とも所定基準を満足した。即ち、アムロジピンを別途に造粒して製造してもロサルタンの溶出率においては影響がないことが分かる。
【0047】
試験例3:実施例1〜4の錠剤のアムロジピン溶出試験
互いに分離された顆粒を用いて実施例1〜4で得られた複合錠剤に対する溶出試験を、試験例1の溶出試験条件及び分析条件下で行った。
【0048】
(結果)
図3に示しているように、実施例1〜4の複合錠剤は構成成分の種類及び含量の差と関係なくほぼ類似したアムロジピン溶出率を示した。
【0049】
試験例4:実施例1、5及び6の錠剤のアムロジピン溶出試験
実施例1、5及び6で得られた複合錠剤を用いて、溶出試験を試験例1の溶出試験条件及び分析条件下で行った。
【0050】
(結果)
図4に示すように、カンシル酸アムロジピン1重量部に対して60重量部の賦形剤を用いた実施例6の錠剤は、実施例1の錠剤とほぼ類似したアムロジピン溶出率を示したが、カンシル酸アムロジピン1重量部に対して10重量部の賦形剤を用いた実施例5の錠剤は、実施例1の錠剤よりやや低い溶出率を示した。かかる実施例5で製造した錠剤は、30分時点で溶出率が80%を示してアムロジピン溶出率の判定基準を満足させたが、もし、10重量部以下の賦形剤を用いる場合には、判定基準を満たすことができないということも予測できる。
【0051】
試験例5:実施例1及び8の錠剤のアムロジピン溶出試験
実施例1で製造された複合錠剤と実施例8で製造された2層錠剤を用いて、溶出試験を試験例1の溶出試験条件及び分析条件下で行った。
(結果)
図5に示すように、実施例1の複合錠剤と実施例8の2層錠剤とは、剤形の差にもかかわらずアムロジピン溶出率がほぼ同一であった。よって、アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩が分離された顆粒状に製造されれば、剤形と関係なくいずれも十分な溶出率を有することが分かる。
【0052】
試験例6:アムロジピンの安定性試験
実施例1で製造された分離顆粒を用いた複合錠剤及び比較例1で製造された未分離混合物の複合錠剤を用いて、下記の条件下で安定性試験を行った。
【0053】
保管条件:40℃、75%の相対湿度でHDPEボトル包装
試験時点:0、1、2、4及び6ヶ月
分析対象:アムロジピン
分析条件:実施例1の分析条件
その結果は下記表1の通りである。
【表1】

【0054】
前記表1から明らかなように、分離造粒を用いて製造した実施例1の複合錠剤は、比較例で得られた未分離混合物の錠剤に比べてアムロジピンの薬物安定性により優れていた。
【0055】
以上本発明を実施例により説明したが、本発明の属する技術分野における熟練者であれば、本発明の技術思想及び特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることはもちろんのことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩を含む心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項2】
前記アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩が、互いに物理的に分離されていることを特徴とする請求項1に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項3】
前記アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩を造粒してアムロジピン顆粒部を得る段階と、前記アムロジピン顆粒部をロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩からなるロサルタン混合部と混合させる段階とを含む方法によって製造されることを特徴とする、請求項2に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項4】
前記アムロジピン顆粒部がその表面に形成されたコーティング層をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項5】
前記アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及びロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩がそれぞれ隔離され別途の層に含まれるように打錠された2層錠剤型であることを特徴とする、請求項3に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項6】
前記アムロジピン顆粒部及びロサルタン混合部が薬剤学的に許容される賦形剤をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項7】
前記アムロジピン顆粒部におけるアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及び薬剤学的に許容される賦形剤の重量比が1:10〜1:60の範囲内であることを特徴とする、請求項6に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項8】
ロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩からなる錠剤をアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩の層でコーティングして製造することを特徴とする、請求項2に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項9】
前記ロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩からなる錠剤とアムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩からなるコーティング層との間に分離層をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項10】
前記アムロジピンの薬剤学的に許容される塩がカンシル酸アムロジピンであることを特徴とする、請求項1に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項11】
前記ロサルタンの薬剤学的に許容される塩がロサルタンカリウムであることを特徴とする、請求項1に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項12】
前記心臓血管疾患が、狭心症、高血圧、動脈攣縮、深部静脈、心臓肥大、脳梗塞、うっ血性心不全及び心筋梗塞からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物。
【請求項13】
a)前記アムロジピン又はその薬剤学的に許容される塩及び薬剤学的に許容される賦形剤の混合物を湿式造粒した後で乾燥してアムロジピン顆粒部を得る段階;及び
b)前記a)段階で得られたアムロジピン顆粒部を前記ロサルタン又はその薬剤学的に許容される塩及び薬剤学的に許容される賦形剤からなる混合部と混合する段階を含む、
請求項3に記載の心臓血管疾患の予防又は治療用組成物を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−544752(P2009−544752A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522726(P2009−522726)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006352
【国際公開番号】WO2008/069612
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(599139534)ハンミ ファーム. シーオー., エルティーディー. (56)
【Fターム(参考)】