説明

アライメントマーク及びその作成方法

【課題】アライメントマーク位置読み取り精度を向上させる。
【解決手段】基板12の表面にメッキ給電用膜13を形成し、次いで当該メッキ給電用膜13にフォトレジストパターンを形成して、その後電気メッキによりパターン形成されるアライメントマーク及びその作成方法である。アライメントマークは、マーク本体15の周囲に設けられ前記メッキ給電用膜13を形成しない領域を一部に設けることでメッキ給電時の抵抗を調整して前記マーク本体15となるメッキ層の膜厚を制御するメッキ給電用膜非形成領域16とを備えた。アライメントマークの作成方法は、前記マーク本体15を形成する際に、当該マーク本体15の周囲にメッキ給電用膜非形成領域16を形成して前記メッキ給電用膜13を形成しない領域を一部に設けてメッキ給電時の抵抗を調整し、前記マーク本体15となるメッキ層の膜厚を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板等の表面にパターン形成されるアライメントマークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板の製造プロセス等においては、当該基板の製造後に部品実装等を行う際に基板の位置を特定するときの目安にするために、基板にアライメントマークが設けられる。このアライメントマークは、通常、基板の表面にメッキによって作成される。メッキでアライメントマークを形成することで、このアライメントマークの表面と基板の表面との間に段差が生じる。そして、カメラで基板の表面を撮影し、画像処理によって前記アライメントマークの表面と基板の表面との間の段差をコントラストの違いとして識別してアライメントマークの位置を特定する。それによって、特定したアライメントマークを基準にして基板の位置や基板表面の回路の位置等を特定する。
【0003】
このように、アライメントマークを基準にして基板の位置や基板表面の回路の位置等を特定して、プリント配線基板への部品の実装等が行われる。
【0004】
このようなアライメントマークの例を図2〜5に基づいて説明する。
【0005】
アライメントマーク1は、図2、3に示すように、主に基板2に設けられた反射防止膜3と、この反射防止膜3上に設けられたマーク部4とから構成されている。
【0006】
マーク部4の作成においては、メッキ膜厚を面内均一にするのが重要であるが、パターンによっては面内でメッキ膜厚を制御するのが困難な場合がある。そして、マーク部4のメッキ膜厚が必要以上に厚くなると、マーク部4のエッジ部にテーパ等が発生して、エッジ部のコントラストが不明瞭になることがある。
【0007】
アライメントマーク1の作成方法の一例を図4,5に基づいて説明する。
【0008】
図4(a)及び図5(a)に示す基板2上に、図4(b)及び図5(b)に示すように反射防止膜3となる絶縁材料(ポリイミド)を形成する。次いで、基板2及び反射防止膜3の上に図4(c)及び図5(c)に示すようにメッキ給電用スパッタ膜5を形成し、図4(d)及び図5(d)に示すようにフォトレジストパターン6を形成する。この際に、必要な積層パターンを同時に形成する。次いで、電気メッキ処理を行う。これにより、図4(e)及び図5(e)に示すようにフォトレジストパターン6に沿ってメッキ層7を形成する。
【0009】
その後、図4(f)及び図5(f)に示すようにフォトレジストパターン6を除去し、図4(g)及び図5(g)に示すようにメッキ給電用スパッタ膜3を除去して、図2及び図3に示すようにアライメントマーク1を完成する。この際に、配線となるパターンも同時に作成する。
【0010】
前記アライメントマーク1の例としては特許文献1、特許文献2に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−246743号公報
【特許文献2】特開2007−258374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、前記アライメントマーク1をメッキで作成する場合、そのメッキ層の高さによっては認識しづらくなることがある。図2に示すアライメントマーク1のマーク部4の場合、メッキ層が高くなりすぎてエッジ部8がテーパ状になるため、識別しづらくなってしまう。即ち、エッジ部8のコントラストが不鮮明になってアライメントマーク1を識別し難く、アライメントマーク1を正確に読み取ることができなくなる。
【0013】
アライメントマーク1を形成するメッキが厚くなると、図2(b)に示すマーク部4のエッジ部8のように、メッキの上側と下側でテーパが付いてしまうことがある。そして、エッジ部8にテーパが付いてしまうと、マーク部4を使用して位置認識する際に、カメラで撮影した画像を処理する際にマーク部4を認識するのが難しくなる。具体的には、マーク部4のエッジ部8にテーパが発生すると、画像処理によって、このテーパ部分tのどこかをエッジと認識してしまうため、エッジ部8の位置が変動して、誤差が発生してしまう。即ち、エッジ部8であるテーパ部分tのコントラストが不明瞭になってエッジ部分が複数出現し、アライメントマーク1を読み取る度に違う部分をエッジ部8と認識してしまい、誤差が発生してしまう。この結果、アライメントマーク位置読み取り精度が低下してしまうという問題がある。
【0014】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、アライメントマーク位置読み取り精度を向上させることができるアライメントマーク及びその作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために本発明に係るアライメントマークは、基板の表面にメッキ給電用膜を形成し、次いで当該メッキ給電用膜にフォトレジストパターンを形成して、その後電気メッキによりパターン形成されるアライメントマークであって、前記基板の表面に形成されるマーク本体と、当該マーク本体の周囲に形成された領域であって、前記メッキ給電用膜を形成しない箇所を一部に設けることでメッキ給電時の抵抗を調整することにより前記マーク本体となるメッキ層の膜厚を制御するメッキ給電用膜非形成領域とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るアライメントマークの作成方法は、基板の表面にメッキ給電用膜を形成し、次いで当該メッキ給電用膜にフォトレジストパターンを形成して、その後電気メッキによりパターン形成されるアライメントマークの作成方法であって、前記基板の所定の位置に前記アライメントマーク本体を形成するために、当該位置であるマーク本体形成部分の周囲にメッキ給電用膜を設ける際に、当該位置の周囲にメッキ給電用膜非形成領域を形成して前記メッキ給電用膜を形成しない領域を一部に設けることによりメッキ給電時の抵抗を調整し、それによって前記マーク本体となるメッキ層の膜厚を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
マーク本体を形成する際に、メッキ給電用膜非形成領域を形成してメッキ給電時の抵抗を調整して、メッキの膜厚を制御するため、マーク本体のエッジ部にテーパが付いて不鮮明になるのを防止することができる。この結果、アライメントマーク位置読み取り精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るアライメントマークの断面とマーク本体の平面及び側面を示す模式図である。
【図2】従来のアライメントマークの断面とマーク本体の平面及び側面を示す模式図である。
【図3】従来のアライメントマークを示す平面図である。
【図4】従来のアライメントマークの作成方法を断面状態で示す工程図である。
【図5】従来のアライメントマークの作成方法を平面状態で示す工程図である。
【図6】本発明の実施形態に係るアライメントマークを示す平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るアライメントマークの作成方法を断面状態で示す工程図である。
【図8】本発明の実施形態に係るアライメントマークの作成方法を平面状態で示す工程図である。
【図9】第1変形例を示す平面図である。
【図10】第2変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るアライメントマーク及びその作成方法について、添付図面を参照しながら説明する。本実施形態のアライメントマークは、プリント配線基板等のような、正確に位置を特定する必要がある基板の表面に設けられるものである。このアライメントマークをカメラで撮影して画像処理することによってアライメントマークの位置を認識し、このアライメントマークの位置を基準に基板の位置や基板上の回路の位置等を特定するものである。本実施形態のアライメントマークは、このような基板全てに適用できるものである。
【0020】
本実施形態に係るアライメントマークは、電気メッキによりパターン形成されるマークである。電気メッキの場合、供給される給電量の違いによって形成されるメッキ層の厚さが変わってくる。このため、抵抗部を適宜設けて供給される給電量を調整し、メッキ層の膜厚を制御するものである。
【0021】
本実施形態に係るアライメントマーク11は、図1、6に示すように主に、基板12と、メッキ給電用膜13と、反射防止膜14と、マーク本体15と、メッキ給電用膜非形成領域16とから構成されている。なお、図1(a)は図6のA−A線矢視断面図、図1(b)は図6のB−B線矢視断面図、図1(c)はマーク本体15の平面図及び側面図である。
【0022】
基板12は、プリント配線基板等の基板である。
【0023】
メッキ給電用膜13は、電気メッキによってメッキ層を形成する際に、メッキ層を構成するイオンが付着する電極となる膜である。このメッキ給電用膜13は、例えばスパッタリング現象を利用したスパッタ法により形成される。このスパッタ法では、段差がある部分でカバレッジ(段差部分における皮膜の形成状態)不足が生じてスパッタ膜が形成されない現象が起きることが一般に知られている。これを利用して後述するメッキ給電用膜非形成領域16を形成しながら、メッキ給電用膜13を形成する。
【0024】
スパッタ法によってメッキ給電用膜13を形成する際に、メッキ給電用膜非形成領域16にスパッタ粒子を衝突させると前記カバレッジ不足が生じることがある。即ち、メッキ給電用膜非形成領域16に膜を形成する際に、このメッキ給電用膜非形成領域16が高く形成されると、その上端と基端との段差で前記カバレッジ不足が生じてスパッタ膜が形成されない現象が起きる。これにより、メッキ給電用膜非形成領域16の側壁に膜が形成されず、メッキ給電用膜非形成領域16に形成された膜は、メッキ給電用膜13から切り離された状態になる。これにより、メッキ給電用膜非形成領域16の部分は、メッキ給電用膜13として機能せず、抵抗部となる。これを利用して抵抗部を有するメッキ給電用膜13を形成する。このメッキ給電用膜13は、基板12及び反射防止膜14の表面に形成される。
【0025】
反射防止膜14は、マーク本体15を支持する土台となる膜材であって、四角形台状に形成されている。反射防止膜14は、ポリイミド等の樹脂で形成される。これにより反射防止膜14は、カメラで撮影した画像を処理する際に、この反射防止膜14上に形成されるマーク本体15との間でコントラストを高くする。
【0026】
マーク本体15は、位置合わせの基準となるマークである。マーク本体15は、基板12の設定位置に形成されて当該基板12のアライメントや基板12内の回路のアライメント等に用いられる。基板12のアライメント等を行う際に、このマーク本体15を特定して、このマーク本体15を基準にして基板12の位置や基板12内の回路の位置を特定する。
【0027】
マーク本体15は、カメラで正確に認識できるように、そのエッジ部が切り立った状態であることが要求される。このため、マーク本体15は、薄く形成されることが望ましい。これは、マーク本体15が厚くなると、従来技術の問題として上述したように、エッジ部にテーパが生じてしまうからである。このため、マーク本体15がメッキ層によって構成され、このメッキ層の厚さが給電量を変えることで調整されている。
【0028】
メッキ給電用膜非形成領域16は、マーク本体15の周囲に形成された領域であって、前記メッキ給電用膜13を形成しない箇所を一部に設けることでメッキ給電時の抵抗を調整することにより前記マーク本体15となるメッキ層の膜厚を制御する抵抗部である。メッキ給電用膜非形成領域16は、マーク本体15の形成部分の周囲を囲んで設けられる。具体的には、四角形の反射防止膜14の各辺に沿って形成された4つの凸部17で構成されている。この4つの細長い凸部17は、四角環状に形成された筋状の凸部の各角を削除して、形成されている。
【0029】
メッキ給電用膜非形成領域16は、反射防止膜14と同時に形成される。具体的には、まず1段目としてポリイミド等の樹脂を用いて、反射防止膜14と同じ高さの4つの細長い台部17A(図7(a)参照)を形成し、次いで2段目として、各台部17Aの上にさらに合成樹脂を積層して高くして凸部17を形成する。メッキ給電用膜非形成領域16を構成する各凸部17の高さは、スパッタ法によるスパッタ膜の形成時に、上端と基端とでカバレッジ不足が生じて側壁にスパッタ膜が形成されない程度の段差になるように設定する。4つの凸部17の部分でその側壁にスパッタ膜が形成されず、電気的にメッキ給電用膜13から切り離されることで、これら4つの凸部17の部分で抵抗部を構成する。この抵抗部である各凸部17によって、反射防止膜14の部分のメッキ給電用膜13での給電量が減少して、この反射防止膜14にできるメッキ層が薄くなり、安定化する。即ち、マーク本体15及びその外周の外側マーク部18が薄くなり、安定化する。これにより、エッジ部の上端部や基端部にテーパができることがなくなり、切り立ったシャープなエッジ部になって、マーク本体15の認識が安定する。このように、アライメントマーク11のメッキ膜厚を低くすることで、エッジが鮮明なアライメントマーク11が得られる。
【0030】
給電量は、4つの凸部17を変更して抵抗値を変えることで調整する。即ち、4つの凸部17の設置位置やサイズを変更してこれらの間隔を変更することで抵抗値を制御して、給電量を調整する。
【0031】
[アライメントマークの作成方法]
次に、アライメントマークの作成方法について説明する。
【0032】
本実施形態のアライメントマークの作成方法は、基板12の表面にメッキ給電用膜13を形成し、当該メッキ給電用膜13にフォトレジストパターンを形成して、電気メッキによりアライメントマークをその膜厚を調整しながらパターン形成する作成方法である。このアライメントマークの作成方法では、前記基板12の所定の位置に前記アライメントマーク本体を形成するために、当該位置であるマーク本体15の形成部分の周囲にメッキ給電用膜13を設ける際に、当該位置の周囲にメッキ給電用膜非形成領域16を形成して前記メッキ給電用膜13を形成しない領域を一部に設けることによりメッキ給電時の抵抗を調整し、それによって前記マーク本体15となるメッキ層の膜厚を制御する。
【0033】
前記メッキ給電用膜13を形成しない領域を一部に設ける前記メッキ給電用膜非形成領域16として4つの凸部17を用いる。前記マーク本体15の形成部分の周囲を囲む4つの凸部17を用いて、設定範囲で前記メッキ給電用膜13を形成しない領域を作る。このメッキ給電用膜13を形成しない領域であるメッキ給電用膜非形成領域16のサイズによって、メッキ給電時の抵抗を調整する。具体的には、前記メッキ給電用膜13をスパッタ法によるスパッタ膜で形成すると共に、前記メッキ給電用膜非形成領域16の段差によってその上端と基端とで前記スパッタ膜を切断する。即ち、作成されたスパッタ膜は、メッキ給電用膜非形成領域16においてカバレッジ不足となって切断される。
【0034】
これにより、前記スパッタ法によるスパッタ膜の形成時に、前記メッキ給電用膜非形成領域16の上端と基端とでスパッタ膜が切れて電流が流れなくなる。この電流が流れないメッキ給電用膜非形成領域16を抵抗部として利用する。この抵抗部としてのメッキ給電用膜非形成領域16の寸法を適宜調整することにより、その抵抗値を変えて、メッキ給電時の抵抗を調整する。この抵抗により、マーク本体15の部分でアライメントマーク部の給電量が低下するため、メッキの析出量が削減される。これにより、マーク本体15のメッキ層の膜厚が他の部分よりも薄く作成される。電気メッキの後に、フォトレジスト、スパッタ膜をそれぞれ除去してアライメントマークを完成する。
【0035】
この際、配線として必要はパターンが同時に作成される。アライメントマーク以外のパターンにおいては、給電量が通常であるため、必要なメッキ膜厚が得られる。
【0036】
具体的なアライメントマークの作成方法を、図7,8に基づいて説明する。図7(a)は基板12の側面図、図8(a)は基板12の平面図、図7(b)は図8(b)のA−A線矢視断面図、図7(c)は図8(b)のB−B線矢視断面図、図7(d)(e)は図8(c)のA−A線及びB−B線矢視断面図、以下同様に、図7(f)〜(o)は図8(d)〜(h)のA−A線及びB−B線矢視断面図である。なお、例えば図7(b)及び(c)の寸法は本来は異なるものである。図7(b)は図8(b)のA−A線上の寸法である。図7(c)は図8(b)のB−B線上の寸法である。このため、両者は異なる寸法であるが、ここでは説明の便宜のために同一寸法にしている。
【0037】
まず、図7(a)及び図8(a)の基板12に、図7(b)(c)及び図8(b)のように、ポリイミド等の合成樹脂で反射防止膜14及び凸部17の台部17Aをそれぞれ形成する。台部17Aは1段目であり、反射防止膜14と同じ高さに形成される。
【0038】
次いで、図7(d)(e)及び図8(c)のように、1段目としての各台部17Aに2段目としての合成樹脂を積層して4つの凸部17を形成する。この凸部17は、その上端と基端とでカバレッジ不足が生じて側壁にスパッタ膜が形成されない程度の高さの段差に形成する。この4つの凸部17でメッキ給電用膜非形成領域16が形成される。
【0039】
次いで、図7(f)(g)及び図8(d)のように、基板12、反射防止膜14及びメッキ給電用膜非形成領域16の全体に、スパッタ法によってメッキ給電用膜13であるスパッタ膜を形成する。このとき、図7(f)のX,Yの部分のように、メッキ給電用膜非形成領域16の段差のためにメッキ給電用膜13が切れてしまい、この部分が電気メッキの際に抵抗部となる。
【0040】
次いで、図7(h)(i)及び図8(e)のように、フォトレジストによりマーク本体15等を形成するためのパターン19を形成する。フォトレジストによるパターン形成では、段差に関係なく、形成されたパターンの部分全体で均一な膜が形成される。
【0041】
次いで、図7(j)(k)及び図8(f)のように、電気メッキを施す。このとき、メッキ給電用膜13には電圧が印加されて、メッキ層を構成するイオンが付着する電極となる。このとき、メッキ給電用膜非形成領域16では、メッキ給電用膜13が切断されているため、メッキ給電用膜非形成領域16で囲まれたマーク本体15の部分の給電量が制限されて、メッキ層の膜厚が薄くなる。即ち、メッキ給電用膜非形成領域16の外側は給電量が制限されないため、通常の厚さのメッキ層になる。一方、マーク本体15が位置するメッキ給電用膜非形成領域16の内側では、給電量が制限されて、メッキ層の膜厚が外側よりも薄くなる。このメッキ給電用膜非形成領域16の内側のメッキ層の膜厚は、そのエッジ部にテーパができない厚さに形成される。このエッジ部にテーパができないメッキ層の膜厚は、マーク本体15のサイズ等の諸条件によって異なるため、実際のマーク本体15を複数の異なる厚さで実験的に形成して、最も望ましい厚さを特定する。即ち、メッキ給電用膜非形成領域16のサイズを種々変更して電気メッキ時の給電量を変更して、複数の膜厚のメッキ層を実験的に形成し、最も望ましい厚さを特定する。
【0042】
次いで、図7(l)(m)及び図8(g)のように、フォトレジストを除用し、図7(n)(o)及び図8(h)のように、メッキ給電用膜13を除去して、図1のアライメントマーク11を形成する。このアライメントマーク11は、エッジ部が切り立ったマーク本体15を有する。
【0043】
[効果]
メッキ給電用膜非形成領域16を設けると共にその寸法を適宜変更することで、メッキ給電時の抵抗値を調整するようにしたので、アライメントマーク11のメッキ層の膜厚を容易に制御することができる。この結果、エッジ部にテーパのない、コントラストの鮮明なアライメントマーク11を形成することができる。
【0044】
また、アライメントマーク11を上述のようにして形成することで、アライメントマーク11を正確に認識することができる。即ち、カメラでアライメントマーク11を撮影して画像処理することで、エッジ部のコントラストが鮮明なアライメントマーク11を認識することができ、アライメントマーク位置読み取り精度を向上させることができる。
【0045】
この結果、プリント配線基板の露光時等において、基板12のアライメント精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のアライメントマークは、カメラの画像処理によって位置を特定する必要がある部材すべてに用いることができる。
【0047】
また、前記実施形態では、メッキ給電用膜13をスパッタ法によって形成し、メッキ給電用膜非形成領域16に、その上端と基端とで前記スパッタ膜が切れてしまう高さの段差を持たせたが、本発明はこれに限らず、メッキ給電用膜13を形成しない領域を一部に設けることができる手段すべてを用いることができる。たとえば、前記メッキ給電用膜非形成領域を高くしないで、全体にメッキ給電用膜を施した後、このメッキ給電用膜非形成領域の部分のメッキ給電用膜を除去する工程を設けてもよい。また、メッキ給電用膜を形成する際に、基板表面の一部をマスクして膜が形成されない領域を作ったり、メッキ給電用膜をベタ付けした後、一部をエッチング等で除去したりしてもよい。また、この場合、メッキ給電用膜は、スパッタ法に限らず、CVD法などの他の方法を用いてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、メッキ給電用膜非形成領域16を、マーク本体15の形成部分の周囲を囲む4つの凸部17で構成したが、本発明はこれに限らず、マーク本体15の形成部分の周囲を囲むと共に一部が途切れた凸部であればよい。例えば図9に示すように、メッキ給電用膜非形成領域21を、円環状で2箇所を切断した形状にして、給電量を大幅に減少させてもよい。このとき、切断部分は1箇所又は3箇所以上にして、給電量を調整する。2箇所の切断部分の広さを変えて給電量を調整してもよい。
【0049】
また、これ以外にも、図10にように、四角形の凸部22を4箇所設けて構成してもよい。メッキ給電用膜非形成領域16は、マーク本体15へ周囲に設けられて、マーク本体15への給電量を調整できる形状であればよい。これにより、前記実施形態同様の作用、効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0050】
11:アライメントマーク、12:基板、13:メッキ給電用膜、14:反射防止膜、15:マーク本体、16:メッキ給電用膜非形成領域、17:凸部、21:メッキ給電用膜非形成領域、22:凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面にメッキ給電用膜を形成し、次いで当該メッキ給電用膜にフォトレジストパターンを形成して、その後電気メッキによりパターン形成されるアライメントマークであって、
前記基板の表面に形成されるマーク本体と、
当該マーク本体の周囲に形成された領域であって、前記メッキ給電用膜を形成しない箇所を一部に設けることでメッキ給電時の抵抗を調整することにより前記マーク本体となるメッキ層の膜厚を制御するメッキ給電用膜非形成領域とを備えたことを特徴とするアライメントマーク。
【請求項2】
請求項1に記載のアライメントマークにおいて、
前記メッキ給電用膜非形成領域が、前記マーク本体形成部分の周囲を囲むと共に一部が途切れた凸部で構成されたことを特徴とするアライメントマーク。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアライメントマークにおいて、
前記メッキ給電用膜がスパッタ法により形成され、前記メッキ給電用膜非形成領域が、前記スパッタ法によるスパッタ膜の形成時に、上端と基端とでカバレッジ不足により前記スパッタ膜が形成されない高さの段差を持たせたことを特徴とするアライメントマーク。
【請求項4】
基板の表面にメッキ給電用膜を形成し、次いで当該メッキ給電用膜にフォトレジストパターンを形成して、その後電気メッキによりパターン形成されるアライメントマークの作成方法であって、
前記基板の所定の位置に前記アライメントマーク本体を形成するために、当該位置であるマーク本体形成部分の周囲にメッキ給電用膜を設ける際に、当該位置の周囲にメッキ給電用膜非形成領域を形成して前記メッキ給電用膜を形成しない領域を一部に設けることによりメッキ給電時の抵抗を調整し、それによって前記マーク本体となるメッキ層の膜厚を制御することを特徴とするアライメントマークの作成方法。
【請求項5】
請求項4に記載のアライメントマークの作成方法において、
前記メッキ給電用膜非形成領域として、前記マーク本体形成部分の周囲を囲むと共に一部が途切れた凸部を用いて、前記メッキ給電用膜を形成しない領域を一部に設けることによりメッキ給電時の抵抗を調整することを特徴とするアライメントマークの作成方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のアライメントマークの作成方法において、
前記メッキ給電用膜がスパッタ法により形成されると共に、前記メッキ給電用膜非形成領域がカバレッジ不足により前記スパッタ膜が形成されない高さの段差に形成されて、前記スパッタ法によるスパッタ膜の形成時に、前記メッキ給電用膜非形成領域の段差でカバレッジ不足により前記スパッタ膜を形成しない当該メッキ給電用膜非形成領域を抵抗部としてメッキ給電時の抵抗を調整することを特徴とするアライメントマークの作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−182749(P2010−182749A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22937(P2009−22937)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】