説明

アライメント測定治具

【課題】 スラスタノズルの内部形状に依存せず、かつメタル粉発生のない取付けを実現できるアライメント測定治具を提供すること。
【解決手段】 スラスタノズル1の開口に取り付けられるアライメントミラー10と、該アライメントミラーの中心部を貫通している貫通管13と、該貫通管と接続されている真空引き用のコンプレッサー15とから成る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工衛星の姿勢制御系を構成するスラスタノズルの開口面角度をアライメント測定する際に使用するアライメント測定治具に関する。
【0002】
【従来の技術】人工衛星は、軌道上で自身を観測・実験に適した位置・向きへ設定、すなわち姿勢を制御するために、ノズルからガスを噴射する。その時のガス量を決定するためにスラスタノズルの開口面の角度を知ることが必要である。スラスタノズルの開口面の角度測定は、通常、アライメントミラーを使用して地上で行われる。
【0003】図3にスラスタノズルの外観を示す。スラスタノズル1は、その中心を通りノズル端面2に垂直なジェット噴射軸3を有する。
【0004】図4に従来のアライメントミラー測定治具の外観を示す。アライメントミラー20は、3方向に面したミラー面21、ノズル内部で固定される固定部22、取手23で構成される。
【0005】図5は、アライメントミラー20をスラスタノズル1の開口面に取付けた状態を示す。アライメントミラー20は、固定部22をスラスタノズル1内に挿入し小径部に固定することによりスラスタノズル1の開口面に取付けられる。そして、角度の測定基準を有したセオドライトを、ミラー面21とコリメーションの行える位置に移設する。そこで、ミラー面21の角度アライメント測定を実施する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のアライメント測定治具においては、以下のような問題点がある。
【0007】(1)固定部22の形状は、スラスタノズル1の形状、すなわち深さDと小径部の内径Rによって決定される。よって、スラスタノズル1の様々な形状に対応したアライメント測定治具を用意する必要がある。
【0008】(2)アライメントミラー20の固定部22をスラスタノズル1の小径部へ挿入して固定する際、固定部22と小径部との接触によってメタル粉が発生し、スラスタノズル1の機能を損なうおそれがある。
【0009】そこで、本発明の課題は、スラスタノズルの内部形状に依存せず、かつメタル粉発生のない取付けを実現できるアライメント測定治具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、人工衛星の姿勢制御を行うガスジェット噴射のためのスラスタノズルの開口の指定角測定を行うアライメント測定治具において、前記開口に取り付けられるアライメントミラーと、該アライメントミラーの中心部を貫通している貫通管と、該貫通管と接続されている真空引き用のコンプレッサーとから成ることを特徴とする。
【0011】なお、前記アライメントミラーは、3方向に面したミラー面を持つキューブミラーを有することを特徴とする。
【0012】また、前記アライメントミラーは、前記スラスタノズルの開口に接合させた後、前記コンプレッサーにより前記スラスタノズル内部を真空引きすることにより吸引式にて取付けられることを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明によるアライメント測定治具は、アライメントミラーの取付けに吸引式を採用しているので、アライメントミラーをスラスタノズルの形状に依存せずに取付けできる。そして、アライメントミラーをセオドライトで測定することによって、ノズル開口面の角度を測定できる機能を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】図1、図2を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明によるアライメント測定治具の外観を示している。本発明によるアライメント測定治具は、吸引式のアライメントミラー10を用いている。アライメントミラー10は、3方向に面したミラー面を持つキューブミラー11を有する台座12、台座12の中心を貫通する貫通管13、貫通管13にビニール管14を介して接続され、スラスタノズル内部の真空引きを行うためのコンプレッサー15によって構成される。
【0015】図2は、アライメントミラー10をスラスタノズル1の開口面に取付けた状態を示す。この取付けは、貫通管13をスラスタノズル1のジェット噴射軸とほぼ一致させるようにノズル端面2にあてた後、コンプレッサー15によってスラスタノズル内部16を真空状態にする。これにより、アライメントミラー10はノズル端面2に密着する。この状態で、従来と同様に、キューブミラー11に対してセオドライトでコリメーションしアライメント測定を実施する。
【0016】
【発明の効果】以上説明してきたように、アライメントミラーを吸引式によってスラスタノズルに取付けることにより、従来のように、スラスタノズルの形状に応じてアライメントミラーを用意することが不要となる。また、取付けに際してはアライメント治具のノズル内部への接触がなくなったことから、メタル粉の発生を防止できる。その結果、アライメントミラ一の付け替え不要に伴う作業効率の向上と、メタル粉の発生を防止できることにより品質を維持する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による吸引式のアライメント測定治具の外観を示した斜視図である。
【図2】図1のアライメントミラーをスラスタノズルヘ取付けた状態を示した側面図である。
【図3】スラスタノズルの外観を示した斜視図である。
【図4】従来のアライメント測定治具の外観を示した斜視図である。
【図5】図4のアライメントミラーをスラスタノズルへ取付けた状態を示した側面図である。
【符号の説明】
1 スラスタノズル
2 ノズル端面
3 ジェット噴射軸
10、20 アライメントミラー
11 キューブミラー
12 台座
13 貫通管
14 ビニール管
15 コンプレッサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 人工衛星の姿勢制御を行うガスジェット噴射のためのスラスタノズルの開口の指定角測定を行うアライメント測定治具において、前記開口に取り付けられるアライメントミラーと、該アライメントミラーの中心部を貫通している貫通管と、該貫通管と接続されている真空引き用のコンプレッサーとから成ることを特徴とするアライメント測定治具。
【請求項2】 請求項1記載のアライメント測定治具において、前記アライメントミラーは、3方向に面したミラー面を持つキューブミラーを有することを特徴とするアライメント測定治具。
【請求項3】 請求項2記載のアライメント測定治具において、前記アライメントミラーは、前記スラスタノズルの開口に接合させた後、前記コンプレッサーにより前記スラスタノズル内部を真空引きすることにより吸引式にて取付けられることを特徴とするアライメント測定治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−108998(P2000−108998A)
【公開日】平成12年4月18日(2000.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−282322
【出願日】平成10年10月5日(1998.10.5)
【出願人】(000232047)日本電気エンジニアリング株式会社 (47)
【Fターム(参考)】