説明

アリピプラゾールの投与方法

【課題】アリピプラゾールなどの抗精神病薬の送達方法を改良し、それにより患者コンプライアンスを改善し、活性薬剤の薬理学的プロフィールを最大限に活用すること。
【解決手段】任意に粘度増強剤を含有する注射用ビヒクル中に少なくとも約10 mg/mlのアリピプラゾールを含む混合物を含有する、アリピプラゾールの長期放出のための注射可能な組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリピプラゾールを含有してなる長期放出性の注射可能な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
商品名Abilify(登録商標)で販売されているアリピプラゾールは、ドーパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体アゴニストで、セロトニン5-HT2A受容体のアンタゴニストである。アリピプラゾールは、精神分裂症ならびに他の精神障害および中枢神経系障害の治療に用いられる。例えば、特許文献1参照。Abilifyは経口投与用錠剤として現在販売されている。しかし、経口抗精神病薬では、患者コンプライアンスが低いことが報告されている。従って、アリピプラゾールなどの抗精神病薬の送達方法を改良し、それにより患者コンプライアンスを改善し、活性薬剤の薬理学的プロフィールを最大限に活用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,006,528号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、アリピプラゾールなどの抗精神病薬の送達方法を改良し、それにより患者コンプライアンスを改善し、活性薬剤の薬理学的プロフィールを最大限に活用することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕任意に粘度増強剤を含有する注射用ビヒクル中に少なくとも約10 mg/mlのアリピプラゾールを含む混合物を含有する、アリピプラゾールの長期放出のための注射可能な組成物、
〔2〕アリピプラゾールの放出が少なくとも7日間である、〔1〕記載の組成物、
〔3〕粘度増強剤がカルボキシメチルセルロースを含む、〔2〕記載の組成物、
〔4〕前記注射用ビヒクルが少なくとも約1容量%のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含有する、〔3〕記載の組成物、
〔5〕前記注射用ビヒクルが約3容量%のカルボキシメチルセルロースを含有する、〔4〕記載の組成物、
〔6〕注射用ビヒクルがさらに湿潤剤を含有する、〔2〕記載の組成物、
〔7〕界面活性剤がポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート80からなる群より選択される、〔6〕記載の組成物、
〔8〕湿潤剤がポリソルベート20である、〔7〕記載の組成物、
〔9〕注射用ビヒクルが約0.1重量%のポリソルベート20を含有する、〔8〕記載の組成物、
〔10〕前記注射用ビヒクルが増密度剤を含む、〔2〕記載の組成物、
〔11〕前記増密度剤がソルビトールを含む、〔10〕記載の組成物、
〔12〕前記注射用ビヒクルが張度調整剤を含有する、〔2〕記載の組成物、
〔13〕前記張度調整剤が塩化ナトリウムを含む、〔12〕記載の組成物、
〔14〕前記注射用ビヒクルが約1重量%の塩化ナトリウムを含有する、〔1〕記載の組成物、
〔15〕少なくとも約10 mgのアリピプラゾールと、水、粘度増強剤、湿潤剤、および張性剤を含有する水性注射用ビヒクルとを含有してなる組成物、
〔16〕少なくとも約10 mgのアリピプラゾールと、水、約3容量%のカルボキシメチルセルロース、約0.1重量%のポリソルベート20、および約1重量%の塩化ナトリウムを含有する水性注射用ビヒクルとを含有してなる組成物、
〔17〕少なくとも約10 mgのアリピプラゾール、ならびに水、約3容量%のカルボキシメチルセルロース、約0.1重量%のポリソルベート20、および約0.9重量%の塩化ナトリウムから本質的になる水性注射用ビヒクルを含有してなる組成物、
〔18〕任意に粘度増強剤を含有する注射用ビヒクル中に少なくとも約10mg/mlのアリピプラゾールを含む混合物を投与することを含む、長期放出性で注射可能な組成物にてアリピプラゾールを個体に提供する方法、
〔19〕アリピプラゾールが少なくとも約20mg/mlの量で存在する、〔18〕記載の方法、
〔20〕治療有効量のアリピプラゾールが少なくとも約7日間個体の血漿中に存在する、〔19〕記載の方法、
〔21〕治療有効量のアリピプラゾールが少なくとも約14日間個体の血漿中に存在する、〔19〕記載の方法、
〔22〕治療有効量のアリピプラゾールが少なくとも約21日間個体の血漿中に存在する、〔19〕記載の方法、
〔23〕粘度増強剤がカルボキシメチルセルロースを含む、〔19〕記載の方法、
〔24〕注射用ビヒクルが少なくとも約1容量%のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含有する、〔23〕記載の方法、
〔25〕注射用ビヒクルが少なくとも約3容量%のカルボキシメチルセルロースを含有する、〔24〕記載の方法、
〔26〕注射用ビヒクルがさらに湿潤剤を含有する、〔25〕記載の方法、
〔27〕表面活性剤がポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート80からなる群より選択される、〔26〕記載の方法、
〔28〕湿潤剤がポリソルベート20である、〔27〕記載の方法、
〔29〕注射用ビヒクルが約0.1重量%ポリソルベート20を含有する、〔28〕記載の方法、
〔30〕注射用ビヒクルが増密度剤を含有する、〔22〕記載の方法、
〔31〕増密度剤がソルビトールを含む、〔30〕記載の方法、
〔32〕注射用ビヒクルが張度調整剤を含有する、〔22〕記載の方法、
〔33〕張度調整剤が塩化ナトリウムを含む、〔32〕記載の方法、
〔34〕注射用ビヒクルが約1重量%の塩化ナトリウムを含有する、〔21〕記載の方法、
〔35〕組成物が注射によって投与される、〔18〕記載の方法、
〔36〕組成物が筋肉内または皮下に投与される、〔18〕記載の方法、
〔37〕第1の投与の少なくとも約7日後に組成物の第2の投与をさらに含む、〔18〕記載の方法、
〔38〕第1の投与の少なくとも約14日後に組成物の第2の投与をさらに含む、〔18〕記載の方法
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、アリピプラゾールなどの抗精神病薬の送達方法が改良され、それにより患者コンプライアンスが改善され、活性薬剤の薬理学的プロフィールが最大限に活用される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図は、本発明による、皮下注射(SCボーラス)の放出プロフィールと、アリピプラゾールを含むミクロスフェアの注射とを比較している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の要旨
本発明は、一部、ボーラス注射で投与されるアリピプラゾールおよび担体を含有する医薬組成物が、活性薬剤を含むポリラクチド−コ−グリコライドミクロスフェア製剤の注射により得られるのと同様の長期放出プロフィールを生じたという発見に関する。この驚くべき結果は、高分子ミクロスフェアの製造に係わる複雑さと費用を伴うことなく、薬理的に有益な長期放出製剤が得られ得ることを示唆している。
【0009】
したがって、本発明は、アリピプラゾールを含有する組成物を注射または埋め込むことを含むアリピプラゾールの長期放出のための、注射可能な組成物に関し、ここで、アリピプラゾールは、少なくとも7日間、好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、例えば3ヵ月間、哺乳動物の血清中に、存在する。好ましい態様では、組成物は、注射用ビヒクル中のアリピプラゾール製剤原料の懸濁液などの、注射用ビヒクル中のアリピプラゾールの懸濁液を含む。アリピプラゾール製剤原料は、アリピプラゾール(結晶性、非結晶性、または非晶質)、アリピプラゾール塩、アリピプラゾール溶媒和物(水和物を含む)、もしくは他のアリピプラゾールの多形を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなり得る。アリピプラゾール、またはアリピプラゾール製剤原料は、ある特定の大きさで添加し得る。例えば、アリピプラゾール、またはアリピプラゾール製剤原料は、コールター計数器によって測定される約100ミクロン未満、好ましくは約30〜80ミクロンの質量平均径に微粉化した後に、添加し得る。
【0010】
一つの態様では、アリピプラゾール、またはアリピプラゾール製剤原料は、注射用ビヒクル中に少なくとも約50 mg(例えば、少なくとも約70〜210 mgまたは約900〜2700 mgなど、例えば5400 mg未満)のアリピプラゾールを含む混合物(懸濁液を含む)として注射される。アリピプラゾールは、少なくとも約10 mg/ml、好ましくは少なくとも約20 mg/mlまたは少なくとも約30 mg/mlの量で存在し得る。本発明はまた、粘度増強剤を含有する注射用ビヒクル中に少なくとも約10 mg/mlのアリピプラゾールを含む混合物を投与することを含む、長期放出性で注射可能な組成物にて個体にアリピプラゾールを提供する方法およびかかる方法に有用な組成物に関する。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、粘度増強剤を任意に含有する注射用ビヒクル中にアリピプラゾールを含む混合物を含有するアリピプラゾールの長期放出のための注射可能な組成物に関する。アリピプラゾールは、少なくとも約10 mg/ml、好ましくは少なくとも約20 mg/mlまたは少なくとも約30 mg/mlの量で存在し得る。本発明はまた、注射用ビヒクル中に少なくとも約50 mgのアリピプラゾールを含む混合物を投与することを含む、長期放出性で注射可能な組成物にて個体にアリピプラゾールを提供する方法に関する。
【0012】
一般に、アリピプラゾールは、注射用ビヒクル中に懸濁される。一態様において、アリピプラゾールは、過半量の医薬賦形剤または他の化合物を実質上有さない、遊離した流動性粉末で供給される。例えば、アリピプラゾールは、微粒子化された状態で供給され得、アリピプラゾールからなるか、またはこれから本質的になる。アリピプラゾール製剤原料は、それが例えば90重量%以上のアリピプラゾール、および例えば該製造工程の残留物である少量(例えば10重量%未満)の他の物質を含有する場合、本質的にアリピプラゾールからなると言い得る。実質的に純粋なアリピプラゾール製剤原料中に見出され得る化合物としては、例えば微粒子化、粉砕もしくは微細化を容易にするために使用される湿潤剤、残留溶媒、反応副生成物または出発(staring)原料が挙げられ得る。
【0013】
本発明の組成物は、徐放性マトリックスを有さない。徐放性マトリックスは、過半量(例えば総固体の50重量%以上)で存在するポリマーおよび他の巨大分子(アルブミン)であり、これは、活性剤がその内部に分散している場合、患者における活性剤の曝露またはバイオアベイラビリティーを遅くするのに用いられる。しばしば使用されるポリマーのマトリックスは、ポリラクチド−コ−グリコライドポリマーである。したがって、本発明のアリピプラゾール製剤原料および/または注射可能な組成物は、一般に過半量のPLGAポリマーマトリックスを含有しない。
【0014】
もちろん、ポリマーは医薬組成物中にしばしば見られ、その場合、活性は薬物の放出プロフィールを長期化することに全く関与しない。例えば、少量のポリソルベート、ポリアミン、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールが、ビヒクル中での活性剤の分散を容易にするために添加される。かかる機能を達成することを意図した量で、および実質的なマトリックス形成の形成を許容しない量で、かかるポリマーを含めることは許容される。
【0015】
アリピプラゾール製剤原料は、注射用ビヒクルに添加される。該製剤原料は、ビヒクルへの薬物の溶解度により、ビヒクル中に分散または懸濁され得る。ビヒクルは好ましくは、製剤原料を懸濁する水性ビヒクルである。好ましくはビヒクルは粘度増強剤を含有する。
【0016】
粘性のビヒクルは、例えば20℃において少なくとも20cpの粘性を有しうる。他の態様において、懸濁液の液相は、20℃において少なくとも約30cpの粘性を有し、40cp、50cpおよび60cpが好ましい。この粘度は、カルボキシメチルセルロース(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)などの粘度増強剤を添加することによって達成され得る。一態様において、注射用ビヒクルは少なくとも約1容量%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、好ましくは約3容量%のカルボキシメチルセルロースを含有する。
【0017】
注射用ビヒクルは、好都合には、ポリソルベートなどの湿潤剤を含み得る。適切なポリソルベートとして、商標Tween(登録商標)で販売されているポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート80が挙げられる。湿潤剤は、活性剤の分散性を向上させる量で添加し得る。適切な量の例としては約0.1〜2重量%のポリソルベート20が挙げられる。
【0018】
また、注射用ビヒクルには、好都合には、糖類、例えばマンニトールもしくはソルビトールなどの増密度剤(density enhancing agent)および/または塩化ナトリウムなどの張度調整剤が用いられ得る。一態様において、張度調整剤は0.9重量%などの約1重量%である。
【0019】
一態様において、組成物はアリピプラゾール製剤原料および注射用ビヒクルからなり、それにより、長期間のまたは持続性の放出プロフィールを得るための、驚くほど簡単でかつ洗練された製剤が提供される。
【0020】
アリピプラゾール製剤原料は、アリピプラゾール(結晶性、非結晶性、または非晶質形態の)、アリピプラゾール塩、アリピプラゾール溶媒和物(エタノール付加物および水和物を含む)、または他のアリピプラゾール多形体を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなり得る。好ましい塩としては、水性のビヒクル中で不溶性である塩が挙げられる。塩酸塩および臭化水素酸塩などの医薬用塩が好適である。
【0021】
本発明の方法は本明細中に記載する組成物を投与することを含んでおり、それにより、患者における長期放出または持続放出プロフィールを得る。長期放出プロフィールは、治療有効量のアリピプラゾールが個体の血漿中に少なくとも約7日間、好ましくは少なくとも約14日間、もしくはより好ましくは約21日間、または少なくとも2、3、4、6もしくは8週間、あるいは3ヶ月間ほどの長期間存在することを達成する送達を含む。
【0022】
一様態において、製剤は単回用量または単独用量として投与し得る。しかしながら、本発明は、数週間または数ヶ月間もしくはそれ以上の間、反復投薬を受ける個体など、絶え間なくまたは長期にわたる治療を必要とする個体にとって特に有益である。このような投薬計画において、該方法は第1長期放出製剤の第1投与および第2長期放出製剤の第2投与を含み得る。第2製剤は第1と同一であるか、実質的に同一であるかまたは異なるものであり得、かつ同一の活性剤もしくは異なる活性剤を含み得る。例えば、第2製剤は、第1の投与の約7日またはそれ以後、例えば少なくとも約14日後もしくは少なくとも約17日後に投与され、ここで、第1の投与は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日間またはそれ以上の期間の薬剤の放出をもたらす。
【0023】
用語「治療有効量」は、さらに、任意のパラメータまたは臨床症状の改善をもたらす量を規定することを意味する。実際の投薬量は各患者により異なり得、必ずしもすべての疾患の徴候の完全な除去を示すわけではない。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「個体」、「被験体」、または「患者」は、ヒトを含むがそれに限定されない、特定の疾患状態に罹患した哺乳動物などの温血動物をいう。
【0025】
本明細書に記載される治療に用いられる化合物の治療有効量は、当業者である担当の診断医により、従来技術の使用により、および類似した環境下で得られた結果を観察することにより、容易に決定され得る。治療有効量の決定において、哺乳動物の種;その大きさ、年齢、および全般的な健康状態;関連する特定の疾患;疾患の程度または疾患の複雑さまたは重篤さ;個々の患者の応答;投与される特定の化合物;投与の様式;投与される調合薬の特徴的な生物学的利用能;選択される投薬計画;併用薬の使用;ならびに他の関連性のある環境(これらに限定されない)を含む多数の要因が担当の診断医により考慮される。
【0026】
投与の様式は、一般的に筋肉内または皮下などへの注射もしくは体内埋め込みによるものである。
【0027】
選択される投与の様式に応じた好ましい量は、当業者により決定され得る。医薬組成物は当該分野で知られている技術を利用して製造され得る。典型的には、化合物の治療有効量を、薬学的に許容され得る担体と混合する。
【0028】
注射のために、化合物は生理学的に許容され得る医薬用担体内に存在させ、懸濁液として投与し得る。また、実例となる医薬用担体としては、水、メチルセルロース水溶液、生理食塩水、ブドウ糖溶液、果糖溶液、エタノール、もしくは動物性油、植物性油、または合成物由来(synthetic origin)の油が挙げられる。医薬用担体はまた、当該分野で知られている防腐剤および緩衝剤を含み得る。
【0029】
組成物が注射可能な物質として使用される場合(無針注射器が挙げられるがこれに限定されない)、従来の注射可能な担体内に製剤化され得る。適切な担体としては、生体適合性がありかつ薬学的に許容され得る溶液が挙げられる。
【0030】
好ましい様態において、薬物粒子の大きさは制御可能である。多くの場合、薬物粒子の質量平均直径は、約1〜100ミクロンの間、好ましくは約10〜100ミクロンの間、または約20〜60ミクロンの間などの100ミクロン未満である。
【0031】
一様態において、単位投薬形態は、例えば使用前に注射のために混合する乾燥粉末として、または既製の(ready for use)安定した懸濁液として保存され得る。当該技術分野で知られた方法を用いる保存または投与のための他の方法もまた本発明において考慮される。
【実施例】
【0032】
実験: アリピプラゾール製剤の単回皮下投薬量の投与後のラットにおけるアリピプラゾール薬物動力学的評価
【0033】
種および系統: Sprague-Dawleyラット 雄;450+/-50グラム
【0034】
試験群: 5群、15被検体
A群:10mgのアリピプラゾールを1回SC注射した3匹のラット。
B群:20mgのアリピプラゾールを1回SC注射した3匹のラット。
C群:30mgのアリピプラゾールを1回SC注射した3匹のラット。
D群:約67mgの微粒子を1回SC注射した3匹のラット。
E群:約40mgの微粒子を1回SC注射した3匹のラット。
【0035】
各群の条件の表:
【表1】

【0036】
注射の経路: 肩甲骨間領域への皮下(SC)注射
【0037】
注射用ビヒクル: 0.9% NaClおよび水中に、3% CMC(低粘度)、0.1% Tween20を含む水性希釈剤
【0038】
投薬容量: 懸濁液は以下とおり製剤化した。
A群: 0.75 mLの希釈剤中10 mgの粉末
B群: 0.75 mLの希釈剤中20 mgの粉末
C群: 0.75 mLの希釈剤中30 mgの粉末
D群: 0.75 mLの希釈剤中、約67 mgの微粒子
E群: 0.75 mLの希釈剤中40 mgの微粒子
【0039】
血液の採取: 血液試料は、ハロタンでの麻酔の後、側部尾静脈より採取した。血液の採取には、抗血液凝固剤なしで注射器を用い、次に全血を、K2 EDTAおよび混合ビーズ(Microtainer(登録商標);MFG# BD365974)を含有するチューブに移した。血液試料を、処理し(チューブを15〜20回、上下逆さにし、>14000 gで2分間遠心分離する)、血漿を分離した。かかる方法で調製された血漿試料を、ラベルが貼られたプレインチューブ(Microtainer(登録商標);MFG# BD5962)に移し、<-70℃で凍結保存した。
【0040】
血液容量: 最初の24時間の各時点では、少なくとも250μL、その後は各時点で400μLの血液を採取した。
【0041】
血漿を得た時点:
2h 24h 3d 10d 21d
4h 32h 4d 14d 24d
8h 2d 7d 17d 28d
注: 血漿濃度が定量限界より低くなったとき、その群のラット(ats)は終了とした。
【0042】
得られた結果を、図1において報告する。驚いたことに、アリピプラゾールおよび注射用ビヒクル単独のボーラス注射を受けたラットは、PLGAミクロスフェア内に分散させたアリピプラゾールを受けたラットと実質的に同じであった。
【0043】
本発明の変更形態および変形形態は、前記発明の詳細な説明より、当業者に明白である。かかる変更形態および変形形態は、添付された特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0044】
本明細書中に引用されたすべての特許、特許出願公報、および論文は、参照によってその全体が緩用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意に粘度増強剤を含有する注射用ビヒクル中に少なくとも約10 mg/mlのアリピプラゾールを含む混合物を含有する、アリピプラゾールの長期放出のための注射可能な組成物。
【請求項2】
アリピプラゾールの放出が少なくとも7日間である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
粘度増強剤がカルボキシメチルセルロースを含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記注射用ビヒクルが少なくとも約1容量%のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含有する、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記注射用ビヒクルが約3容量%のカルボキシメチルセルロースを含有する、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
注射用ビヒクルがさらに湿潤剤を含有する、請求項2記載の組成物。
【請求項7】
界面活性剤がポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート80からなる群より選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
湿潤剤がポリソルベート20である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
注射用ビヒクルが約0.1重量%のポリソルベート20を含有する、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記注射用ビヒクルが増密度剤を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項11】
前記増密度剤がソルビトールを含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記注射用ビヒクルが張度調整剤を含有する、請求項2記載の組成物。
【請求項13】
前記張度調整剤が塩化ナトリウムを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記注射用ビヒクルが約1重量%の塩化ナトリウムを含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも約10 mgのアリピプラゾールと、水、粘度増強剤、湿潤剤、および張性剤を含有する水性注射用ビヒクルとを含有してなる組成物。
【請求項16】
少なくとも約10 mgのアリピプラゾールと、水、約3容量%のカルボキシメチルセルロース、約0.1重量%のポリソルベート20、および約1重量%の塩化ナトリウムを含有する水性注射用ビヒクルとを含有してなる組成物。
【請求項17】
少なくとも約10 mgのアリピプラゾール、ならびに水、約3容量%のカルボキシメチルセルロース、約0.1重量%のポリソルベート20、および約0.9重量%の塩化ナトリウムから本質的になる水性注射用ビヒクルを含有してなる組成物。
【請求項18】
任意に粘度増強剤を含有する注射用ビヒクル中に少なくとも約10mg/mlのアリピプラゾールを含む混合物を投与することを含む、長期放出性で注射可能な組成物にてアリピプラゾールを個体に提供する方法。
【請求項19】
アリピプラゾールが少なくとも約20mg/mlの量で存在する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
治療有効量のアリピプラゾールが少なくとも約7日間個体の血漿中に存在する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
治療有効量のアリピプラゾールが少なくとも約14日間個体の血漿中に存在する、請求項19記載の方法。
【請求項22】
治療有効量のアリピプラゾールが少なくとも約21日間個体の血漿中に存在する、請求項19記載の方法。
【請求項23】
粘度増強剤がカルボキシメチルセルロースを含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
注射用ビヒクルが少なくとも約1容量%のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含有する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
注射用ビヒクルが少なくとも約3容量%のカルボキシメチルセルロースを含有する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
注射用ビヒクルがさらに湿潤剤を含有する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
表面活性剤がポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート80からなる群より選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
湿潤剤がポリソルベート20である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
注射用ビヒクルが約0.1重量%ポリソルベート20を含有する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
注射用ビヒクルが増密度剤を含有する、請求項22記載の方法。
【請求項31】
増密度剤がソルビトールを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
注射用ビヒクルが張度調整剤を含有する、請求項22記載の方法。
【請求項33】
張度調整剤が塩化ナトリウムを含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
注射用ビヒクルが約1重量%の塩化ナトリウムを含有する、請求項21記載の方法。
【請求項35】
組成物が注射によって投与される、請求項18記載の方法。
【請求項36】
組成物が筋肉内または皮下に投与される、請求項18記載の方法。
【請求項37】
第1の投与の少なくとも約7日後に組成物の第2の投与をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項38】
第1の投与の少なくとも約14日後に組成物の第2の投与をさらに含む、請求項18記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−248258(P2010−248258A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173601(P2010−173601)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【分割の表示】特願2006−522614(P2006−522614)の分割
【原出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(506350023)アルカーメス,インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】