説明

アルカリ金属塩の気化および運搬

アルカリ金属塩を気化し、運搬するための装置および方法が示される。その装置は、アルカリ金属塩溶液を運搬することができる第1の導管と、第1の導管と流体連絡している第2の導管とを有し、ここで、その第2の導管は蒸気を運搬することができるので、アルカリ金属塩がその蒸気中に放散されて、離れた反応区域のような場所に運搬されることができる溶液を形成する。その溶液は、熱源により加熱することができる第3の導管により運搬されることができる。その方法は脱水素反応中に脱水素触媒に対する促進剤を添加するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本発明は2008年4月22日に出願された米国特許出願第12/107748号明細書に関する。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般的に、触媒による脱水素反応に関する。本発明は更に具体的には、ビニル芳香族化合物を生成するためのアルキル芳香族化合物の脱水素化に関する。
【背景技術】
【0003】
触媒による脱水素法は当該技術分野で周知である。これらの方法は、対応するアルケニル芳香族化合物を生成するためのアルキル芳香族化合物の脱水素化、および対応する共役ジオレフィンを生成するためのモノオレフィンの脱水素化を含む。触媒による脱水素化の特定の例は、エチルベンゼンの、触媒による脱水素化による、ビニル芳香族化合物のスチレンを生成するために一般的に使用される方法である。
【0004】
多数の既知の脱水素触媒および操作パラメーターはそれぞれ特有の利点と欠点をもつ。例えば転化レベルと有効な触媒寿命の間のような、脱水素触媒とそれらの特定の操作に対して考慮すべき多数の因子がある。触媒の寿命は脱水素反応において重要な検討材料である。触媒の単位コスト、触媒の有効寿命、使用済み触媒の再生能および使用済み触媒の廃棄コスト、のような触媒自体に関するコストが存在する。更に、労力、材料および生産性喪失を含む、脱水素反応器を停止して触媒を交換しそして/または触媒床を再生する工程に関するコストが存在する。
【0005】
通常の触媒不活性化は、それぞれ工程効率の望ましくない喪失をもたらす可能性がある、転化レベル、選択性レベルまたは双方を低下させる傾向がある。脱水素触媒の不活性化には様々な理由がある可能性がある。これらは、炭化と呼ぶことができる、コークスまたはタールによるような触媒表面の塞栓、触媒の構造の物理的破壊、および触媒からのアルカリ金属化合物の物理的喪失、のような促進剤の喪失、を含むことができる。使用される触媒と様々な操作パラメーターに応じて、一つ以上のこれらの機序が適用されるかも知れない。
【0006】
一般に有効触媒寿命を最大にすることは好適であり、多数の知られた技術または方法が存在する。時々使用される一つの方法は、反応温度を高めることである。これは例えば、反応物の流れの温度を高める、または反応室への熱を負荷する方法により実施することができる。このような反応温度の上昇は一般に反応速度を増加すると考えられ、それは触媒の不活性化を相殺することができるが、また、効率または選択性を損なうような望ましくない結果をもつ可能性がある。更に、この温度上昇法の効用には狭い限界が存在し得る。更に、それを越える更なる温度上昇が、触媒の物理的構造および/または機器の保全性を劣化させる可能性がある、触媒または機器の機械的温度限界が存在する。この限界に近づくと、触媒は従来の方法により交換または再生のいずれかを実施される必要があると考えられる。従来の方法は一般に、反応器を停止し、交換のために触媒を物理的に取り出す工程を伴う。
【0007】
許容レベルの転化および選択性を維持すると考えられる、定常状態のプロセス条件期間中に工程の中断を伴わずに使用することができると考えられる触媒再生法をもつことは望ましいと考えられる。更に、定常状態のプロセス条件期間中に、工程に対する触媒寿命延長剤の添加を容易にするための装置をもつことも望ましい。更に、多数の工程に対する同
時の触媒寿命延長剤の添加を容易にするための装置をもつことも望ましい。更に、離れた部位から触媒寿命延長剤を運搬することは望ましい。
【発明の概要】
【0008】
要約
本発明の一つの態様は、アルカリ金属塩溶液を運搬することができる第1の導管をもつ、アルカリ金属塩を水蒸気(steam)中に気化するための装置であり、ここで第1の導管は、溶液がそれを通って第1の導管を流出することができる少なくとも一つの開口部をもつ。第2の導管は第1の導管と流体連絡している。第2の導管は蒸気を含む流れを運搬することができる。アルカリ金属塩溶液は同時に(concurrently)水蒸気中に注入されて、水蒸気中アルカリ金属塩の溶液を形成する。その後、水蒸気中アルカリ金属塩の溶液は第2の導管と流体連絡している第3の導管中に運搬され、そこで第3の導管は蒸気ジャケットのような熱源により加熱されることができる。
【0009】
一つの態様において、装置は、水蒸気中にアルカリ金属塩溶液を放散させるために第1の導管の開口部に隣接して配置された少なくとも1基の散気装置を有する。第3の導管は、水蒸気中の気化されたアルカリ金属塩を第4の導管内の流れ中に運搬するために第4の導管に接合されることができる。第4の導管内に配置された流れはまた、アルキル芳香族炭化水素の脱水素反応のための反応物を含むことができる。装置は更に、水蒸気中に放散されないあらゆるアルキル金属の流れが第3の導管内に流入することを制限するために第4の導管への接合部に隣接して配置された堰をもつことができる。第1の導管の開口部を含む第2の導管の部分は、混合室を形成することができ、そこでアルカリ金属の流れが水蒸気中に放散され、第3の流れを形成することができ、次に第3の流れが第3の導管中に流入する。第2の導管の混合室部分は、蒸気ジャケットのような熱源により加熱されることができる。第1の導管の一部は実質的に同心配列で、第2の導管内に配置することができる。アルカリ金属塩は固形物、液体または気体(vapor)、あるいはそれらの組み合わせとして添加することができる。
【0010】
その他の態様は、触媒による脱水素反応中にアルカリ金属により促進される脱水素触媒の活性を高める方法に関する。その方法は、水蒸気中にアルカリ金属塩を添加するための装置を使用して、アルカリ金属塩を蒸気に添加することにより第1の溶液を形成する工程を含む。装置はアルカリ金属塩の第1の流れを運搬することができる第1の導管をもち、そこで第1の導管は、第1の流れがそれを通って第1の導管から流出することができる少なくとも一つの開口部を有する。第2の導管は第1の導管と流体連絡しており、ここで第2の導管は、水蒸気を含むことができる第2の流れを運搬することができる。第1の流れは第1の導管を流出し、そして第2の導管内で熱源にさらされ、同時に第2の流れ中に放散されて、第2の流れの水蒸気と一緒に溶液中に第1の流れのアルカリ金属塩を含む第1の溶液を形成する。第1の溶液は第2の導管を流出し、第2の導管と流体連絡している第3の導管に流入する。第3の導管内で、第1の溶液は更に加熱され、第4の導管に運搬される。第4の導管内で、第1の溶液は脱水素触媒と接触させられる。
【0011】
第3の導管は、第1の溶液が第4の導管に運搬される時に、第1の溶液に熱を供給する熱源にさらされる。第3の導管は、第1の溶液を150〜500℃の間の温度に維持するのに十分な熱量を受けることができる。一つの相様において、第3の導管は第1の溶液を第2の導管から、離れた部位に配置された第4の導管に運搬する役目をもつ。第3の導管もまた、第1の溶液をポンプ輸送可能な状態に維持するのに十分な熱量を受ける。
【0012】
アルカリ金属塩は実質的に一定レベルの触媒活性を維持するのに十分な量を添加することができ、また一つの相様においては、カリウム塩化合物である。触媒による脱水素反応はアルケニル芳香族炭化水素を得るためのアルキル芳香族炭化水素反応物の流れの脱水素
化であることができる。アルカリ金属塩は固形物、液体または気体、あるいはそれらの組み合わせ物として水蒸気の流れに添加することができる。一つの態様において、触媒は40〜80重量%の酸化鉄と5〜30重量%のアルカリ金属化合物を含む。アルカリ金属塩は総反応物の流れの重量に対し、0.01〜1000ppm重量のアルカリ金属の連続的添加に等しい量を添加することができる。一つの態様において、アルキル芳香族炭化水素はエチルベンゼンであり、アルケニル芳香族炭化水素はスチレンである。
【0013】
更にその他の態様は、アルカリ金属塩を気化させ、運搬する方法である。その方法は、アルカリ金属塩を含む第1の流れを、アルカリ金属塩を運搬することができる第1の導管中に提供する工程を伴い、ここで第1の導管は、アルカリ金属塩がそれを通って第1の導管から流出することができる少なくとも一つの開口部を有する。水蒸気を含む第2の流れが、第1の導管と流体連絡しており、また水蒸気流入物の流れを運搬することができる第2の導管に提供される。アルカリ金属塩が第1の導管を流出する時に、それは加熱され、同時に水蒸気流入物の流れ中に放散されて、水蒸気と一緒に溶液中に気化されたアルカリ金属塩を含む第3の流れを形成する。開口部を含む第1の導管の部分は実質的に同心配列で、第2の導管内に配置することができる。第1の流れを第2の流れ中に放散するように第1の導管の開口部に隣接して配置された少なくとも1基の散気装置が存在することができる。第3の流れは第2の導管と流体連絡している第3の導管に送られる。第3の導管は熱源にさらされる。第3の導管は、第4の導管内の第4の流れと接触するように第3の流れを運搬するために、第4の導管に接合することができ、また更に、第2の流れ中に放散されないあらゆるアルカリ金属の流れが、第4の導管中に流入することを制限するために、第4の導管への第3の導管の接合部に隣接して配置された堰を含むことができる。
【0014】
更にその他の態様は、アルキル芳香族炭化水素を含む供給物の流れからビニル芳香族炭化水素を調製するために使用される酸化鉄ベースの、アルキル金属により促進される脱水素触媒を充填された反応室に、炭酸カリウム触媒寿命延長剤を供給するための装置である。その装置は、炭酸カリウムの第1の流れを運搬することができる第1の導管を有し、ここで第1の導管は、第1の流れがそれを通って第1の導管を流出することができる少なくとも一つの開口部を有する。少なくとも一つの開口部を含む第1の導管の少なくとも一部は、水蒸気を含むことができる第2の流れを運搬することができる第2の導管内に配置されている。第1の流れが第1の導管を流出する時に、それは加熱され、また同時に第2の流れ中に放散されて、第2の流れの水蒸気と一緒に、溶液中に第1の流れの、気化された炭酸カリウムを含む第3の流れを形成する。水蒸気と一緒に溶液中に気化された炭酸カリウムを含む第3の流れはその後、第2の導管に接合された第3の導管に運搬され、ここで第3の導管は熱源に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はアルカリ金属を蒸気中に気化させるための本発明の装置の一つの態様を表す。
【図2】図2は実験室の原型の酢酸カリウム蒸発器を表す。
【図3】図3は蒸気のための2mL/分の水と、2mL/分の10%酢酸カリウムを使用する、蒸発器の温度に対する酢酸カリウムの回収量のプロットである。
【図4】図4は、図3の10%酢酸カリウムのデータと比較される、蒸気のための2mL/分の水と、2mL/分の25%酢酸カリウムを使用する、蒸発器の温度に対する酢酸カリウム回収量のプロットである。
【図5】図5は3mL/分の水を1mL/分の酢酸カリウム溶液と一緒に使用する、拡大された低温限界のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
促進された酸化鉄触媒は、アルキル芳香族炭化水素のアルケニル芳香族炭化水素への脱水素化において特に有用である。例えば、エチルベンゼンの脱水素化によるスチレンの生成は、エチルベンゼンを水蒸気と混合し、そして混合物を脱水素触媒充填床中に通過させる方法により実施することができる。多数の場合、カリウムのようなアルカリ金属の化合物が脱水素触媒中に存在すると考えられる。カリウムは脱水素化中に触媒上へのコークスの堆積を低減させ、またそれにより触媒の有効寿命を延長する傾向をもつことができる。一つの相様において、カリウムは典型的には、酸化鉄1モル当たり少なくとも0.01モルから、酸化鉄1モル当たり1モルまでの量で存在することができる。脱水素触媒の一つの態様は30重量%〜95重量%の酸化鉄と、1重量%〜30重量%のカリウムを含む。脱水素触媒のその他の態様は、40重量%〜80重量%の酸化鉄と5重量%〜20重量%のカリウムを含む。その他の成分もまた、脱水素触媒に添加して、更なる促進、活性化または安定化の特徴を提供することができる。
【0017】
エチルベンゼンの脱水素化は通常、水蒸気の存在下で実施され、水蒸気:エチルベンゼンの重量比は0.5:1〜4:1、あるいはまた0.8:1〜2:1である。水蒸気は熱移動媒質として働くことができ、また更に触媒の中間酸化段階を安定化することができ、また、触媒上へのあらゆる有機堆積物の気化を援助することができ、それにより触媒の炭化を妨げる。有機堆積物の一部は一酸化炭素および/または二酸化炭素に酸化されることができる。
【0018】
触媒の新鮮な充填または既存の触媒の再生後、典型的に、高い触媒活性と選択性の初期期間とその後の触媒不活性化が存在する。触媒活性の漸進的な劣化に対し、多数の可能な説明が存在し、特定の過程に一つ以上の機序が適用可能である。アルカリ金属に促進される鉄ベースの触媒を不活性化することができる一つの機序は、アルカリ金属の喪失であり、そこでアルカリ金属は触媒から物理的に放出され、反応物の流れと連行される。アルカリ金属に促進される鉄ベースの触媒を不活性化することができるその他の機序は、アルカリ金属部位の汚染であり、すなわち触媒上のアルカリ金属の物理的部位が炭化等により被覆または遮蔽される。触媒の不活性化が進行するに従って、徐々に、脱水素化過程がもはや経済的に実効可能でないほど十分に、転化または選択性レベルまたは双方が低下する。この時点で、その過程は典型的に停止され、また触媒は従来の方法により交換または再生されなければならないと考えられる。
【0019】
本発明の態様は、脱水素触媒の活性を再生、安定化または促進し、またそれにより転化および選択性の経済的レベルを維持し、そして触媒交換の需要を縮小または遅延させるのに十分な量のアルカリ金属化合物をプロセスに添加する工程を伴う。アルカリ金属化合物はそれがプロセスに流入する前に水蒸気の流入物の流れに添加される。アルカリ金属化合物は、需要に応じて、連続的または間欠的に添加することができ、また前記の反応温度を上昇させるようなその他の操作法と一緒に使用することができる。一つの態様において、アルカリ金属化合物はカリウム化合物である。一つの態様において、アルカリ金属化合物は水蒸気とともに溶液中に流入することができるカリウム塩化合物である。その他の態様において、アルカリ金属化合物はリチウム化合物、ナトリウム化合物、ルビジウム化合物、セシウム化合物、フランシウム化合物、それらの混合物およびそれらの塩である。
【0020】
本発明の様々な態様および相様が本明細書に与えられる。様々な相様は一般に、相互に包含的ではなく、相互と組み合わせて使用することができる。
【0021】
一つの態様において、添加されるアルカリ金属化合物は有機カリウム塩である。可溶性有機カリウム塩は脱水素工程に添加される前に水蒸気とともに溶液中に入れられる。カリウム塩は、塩を溶解しそして/または気化し、また、次に脱水素工程に添加することができるカリウムを含む水蒸気の溶液を形成することができる、水蒸気、例えば超加熱水蒸気の流れ中に噴霧または分配されることができる。有機カリウム塩は非有機カリウム化合物より低い温度で気化することができ、それにより脱水素工程に添加される水蒸気流中へのカリウムの分配を容易にすることができる。液体または気体の流れと一緒に溶液中に塩化合物を入れる様々な方法は当該技術分野で周知であり、それらすべてが本発明の範囲内にあると考えられる。適切な有機カリウム塩の限定されない例は、酢酸カリウム、安息香酸カリウム、クエン酸カリウム、フマル酸カリウム、グルコン酸カリウム、乳酸カリウム、マレイン酸カリウム、パモエ酸カリウム、琥珀酸カリウム、酒石酸カリウムおよびそれらの混合物を含む。カリウム塩化合物は一般に、K+イオンの、高い水和エネルギーにより、優れた水溶性をもつ。
【0022】
添加されるアルカリ金属化合物の量は、反応物の流れの量と純度、触媒充填物の量、触媒負荷の実行時間、脱水素化操作条件、および処理されている特定の触媒、のような様々な因子に左右される。アルカリ金属化合物は、総反応物流の重量に対して0.01〜1000ppm重量のアルカリ金属の連続的添加に等しい量におけるような、実質的に連続的方法で添加することができる。その他の態様において、アルカリ金属化合物は、総反応物流の重量に対して0.01〜750、0.10〜500、または0.1〜250ppm重量のアルカリ金属の連続的添加に等しい量で添加される。幾つかの態様において、アルカリ金属化合物は総反応物流の重量に対して0.1〜100ppm重量のアルカリ金属の連続的添加に等しい量で添加される。参照により本明細書に引用されたこととされるButlerに対する米国特許第6,936,743号明細書は、反応器中に向けた、総アルキル芳香族炭化水素の0.01〜100ppm重量の連続的添加に等しい量の触媒寿命延長剤の添加を開示している。
【0023】
アルカリ金属化合物はまた、間欠的方法で添加することもでき、間欠的添加は、添加量が、連続的添加を問題にさせるほど少量である場合には望ましいかも知れない。幾つかの例において、比較的大量のアルカリ金属化合物の間欠的添加は、比較的少量の連続的添加より優れた結果を与えることができる。その他の態様において、アルカリ金属化合物は、反応物流の重量に対して0.1〜10,000以上、1.0〜5000、または100〜1000ppm重量のアルカリ金属の量で間欠的に添加される。アルカリ金属化合物が添加される様々な量と方法は本発明の範囲内にあると考えられる。
【0024】
本発明の一つの相様は、プラント内の少なくとも一つの工程/装置へのアルカリ金属溶液の運搬を伴う。アルカリ金属の溶液は離れた部位で調製される。第1および第2の導管および混合室は、第4の導管およびプラント内のその他の装置/工程から離れている。第3の導管は、アルカリ金属溶液を離れた部位から第4の導管および場合によりその他の装置/工程へ運搬する役割を果たす。第5および場合により第6の導管は、アルカリ溶液の少なくとも一部をその他の装置/工程に迂回させることができる。一つの相様において、10〜90パーセントのアルカリ溶液はその他の装置/工程に迂回させる。その他の相様において、25〜75パーセントのアルカリ溶液はその他の装置/工程に迂回される。一つの態様において、アルカリ溶液は第4の導管およびその他の装置/工程に同時に送達される。
【0025】
アルカリ金属溶液は1重量%〜95重量%のアルカリ金属塩を含むことができる。その他の相様において、アルカリ金属溶液は5重量%〜80重量%、または5重量%〜55重量%または5重量%〜40重量%のアルカリ金属塩、あるいはまた10重量%〜30重量%のアルカリ金属塩を含むことができる。更に特定の相様において、アルカリ金属塩は、
分解せずに酢酸カリウム溶液をポンプ処理可能にさせる、水、メタノールまたはその他の物質と一緒に溶液中にあることができる酢酸カリウムを含む。一つの態様において、アルカリ金属溶液は1重量%〜95重量%の酢酸カリウム、あるいはまた5重量%〜80重量%、5重量%〜55重量%、5重量%〜40重量%の酢酸カリウム、あるいはまた10重量%〜25重量%の酢酸カリウムを有する酢酸カリウム溶液である。
【0026】
一つの態様において、アルカリ金属溶液は最初に水蒸気と混合され、次に混合物は気化器に供給される。その他の態様において、アルカリ金属溶液と水蒸気が別個に、独立して気化器に供給される。気化器は水蒸気供給物自体により、そして場合により水蒸気ジャケットまたは熱交換機のような更なる熱源から加熱されることができる。気化器は150℃〜480℃の範囲の温度で操作することができる。その他の態様において、気化器は200℃〜400℃の範囲の温度で操作される。気化器に供給される水蒸気に対する、気化器に供給される塩溶液の、比率は1:3の塩溶液:水蒸気〜3:1の塩溶液:水蒸気であることができる。
【0027】
一つの相様において、熱源は、単独でまたはその他の相様と組み合わせて、第2の導管の混合室および第3の導管に接続され、また熱源は水蒸気ジャケット、電熱素子および放射熱源よりなる群の一つ以上から選択される。
【0028】
更にその他の態様は、カリウム促進鉄ベースの触媒を使用してスチレンを調製するための、エチルベンゼンの脱水素化に使用される既存の設備を改造する方法である。その方法は、アルカリ金属塩を水蒸気流入物の流れ中に気化するために水蒸気流入物の流れに装置を付け加える工程を伴う。装置はアルカリ金属塩を運搬することができる第1の導管を有し、ここで第1の導管は、アルカリ金属塩がそれを通って第1の導管を流出することができる少なくとも一つの開口部を有する。第2の導管は第1の導管と流体連絡しており、そこで第2の導管は水蒸気の流入物の流れを運搬することができる。アルカリ金属塩が第1の導管を流出する時に、それは加熱され、同時に水蒸気の流入物の流れ中に放散されて、水蒸気と一緒に溶液中に気化アルカリ金属塩を含む第3の流れを形成する。開口部を含む第1の導管の部分は、実質的に同心配列で第2の導管内に配置することができる。装置は、第1の流れを第2の流れ中に放散するために、第1の導管の開口部に隣接して配置された少なくとも1基の散気装置をもつことができる。第3の流れは、第2の導管と流体連絡する第3の導管に送られる。第3の導管は熱源にさらされる。装置の第3の導管は、第3の流れを第4の導管内の第4の流れと接するように運搬するために第4の導管に接合することができ、また更に第2の流れ中に放散されないあらゆるアルカリ金属の流れが第4の導管に流入することを制限するために第4の導管に対する第3の導管の接合部に隣接して配置された堰を含むことができる。
【0029】
次に図1を参照して、一つの説明的態様100において、アルカリ金属塩はライン110を介して供給され、ライン120を介する水蒸気の流入物の流れに添加され、そこでそれらは混合室130中で混合され、次に混合物がライン170中を運搬され、次に脱水素工程/装置140に添加される。本明細書で示される脱水素工程140は、脱水素工程への流入物の流れであっても、または脱水素反応区域のような脱水素化装置の一部であってもよい。アルカリ金属塩は液体溶液として、固形物としてまたは気体相で、あるいはそれらの組み合わせ物として添加することができる。一つの相様において、蒸気は超加熱することができる。更に、水蒸気中へのアルカリ金属塩の溶解を容易にするために混合室130内で使用される様々な混合または撹拌機器が存在することができる。一つの相様において、混合室130は水蒸気ライン120内にアルカリ金属塩ライン110の実質的に同心の配列を有し、塩ラインと水蒸気ラインからの流れは図1に示すように並流(con−current)パターンで接触する。その他の態様において、混合室130は、水蒸気ライン120内にアルカリ金属塩ライン110の同心配列を有し、塩ラインと水蒸気ライン
からの流れが向流パターンで接触するか、あるいはアルカリ金属塩が混合室130内に噴霧されるかまたは分配される。アルカリ金属塩ライン110は、並流配列をもつ一つの態様における0度から、向流配列をもつ一つの態様における180度、あるいはまた30度〜45度の角度におけるような、混合室130に対するあらゆる角度で交互に取り付けることができるか、あるいは混合室130に垂直であることができ、アルカリ金属塩はインジェクターヘッドにより噴霧または分配される。一つの相様において、混合室130は熱源180にさらされる。熱源180は水蒸気ジャケットまたは電熱素子を含むことができる。
【0030】
図1に示した態様には、混合室130内の水蒸気流内にアルカリ金属塩を放散するために使用することができる、場合により使用される散気装置150が示されている。本明細書で使用される用語「散気装置」は、水蒸気内のその放散を補助するアルカリ金属塩の流路を変える作用をもつあらゆる装置を意味する。散気装置は流速を低減し、流れの内部に乱流を与えそして/または流れの方向に変化を与え、またはそれらの組み合わせ物を与えることができる。場合により使用される散気装置150は水蒸気流内にアルカリ金属塩を放散させる補助をするためのあらゆる形状をもつことができる。散気装置は、水蒸気流内の放射方向にアルカリ金属塩を偏向させ、また分配するために、角度を付け、または図1に示すような円錐形をもつことができる。
【0031】
一つの相様において、ライン170は熱源182にさらされる。熱源182は水蒸気ジャケットまたは電熱素子を含むことができる。一つの態様において、この運搬ラインのライン170は200℃〜400℃の範囲の温度で加熱される。場合により使用される態様において、ライン190(a,b)はライン170中の混合物の少なくとも一部をプラント内のその他の工程/装置に運搬するために使用される。更に、水蒸気と一緒に溶液中にないあらゆるアルカリ金属塩の流れが脱水素工程/装置140中に流入することを制限するために使用することができる、場合により使用される堰160が示されている。本明細書で使用される用語「堰(weir)」は水蒸気とともに溶液中にないあらゆるアルカリ金属塩の流れが脱水素工程に流入することを制限するあらゆる装置を意味する。堰は、一つの態様において、溶液中にないアルカリ金属塩のような、比較的重い物質が沈降することができる流れの下方部分のような、完全には溶液中にないアルカリ金属塩を含むことができる流れの一部の流速を妨げることができる。アルカリ金属塩と水蒸気の混合物は、脱水素反応器または脱水素工程の流入物の流れに直接添加することができる。水蒸気にアルカリ金属を添加するその他の方法は、水蒸気流中へのアルカリ金属塩の加熱と気化を含むことができる。
【0032】
酸化鉄とアルカリ金属化合物を含む脱水素触媒は当該技術分野で周知であり、BASF
Corporation、Criterion Catalyst Company,L.P.およびSud Chemie,Inc.のような様々な会社から市販されている。これらの触媒および同様な触媒は本発明の範囲内にあると考えられる。
【実施例】
【0033】
態様は概括的に説明されてきたが、以下の実施例は本開示の特定の態様として、それらの実施と利点を示すために与えられる。実施例は具体例により与えられ、またどんな方法でも明細または請求項を限定することは意図されないことが理解される。
【0034】
工程の条件を評価するために、スチレン触媒供給物中への酢酸カリウムの注入のために使用される酢酸カリウム気化器の実験室の原型を構成し、使用した。この原型のデザインは、比較的大型容器の入り口で蒸気の並流中への液体カリウム塩溶液の注入を取り入れる。気化カリウム塩の流れの運搬は気化器の出口に一定の長さの加熱管を取り付けることによりシミュレートされた。流出液を回収し、塩の回収量を重力測定した。10%および2
5%双方の酢酸カリウム溶液に対して気化器および運搬管に適切な温度範囲が開発された。
【0035】
実験室の原型の酢酸カリウム気化器システム200の一態様が図2に示される。水210と酢酸カリウム溶液212を、連続流動二シリンジポンプを使用して、システム200に添加した。本体216は両端に1/4インチ(6mm)のLPT結合金具をもつ75mLの圧力サンプル容器であった。入り口は、酢酸カリウム溶液の添加用に本体216の内部の結合金具の端に貫通された1/16インチ(1.6mm)の管を伴う穿孔「T」結合金具214であった。次に酢酸カリウム導入の後に、「T」結合金具214に導入された、希釈剤の流れを形成するために、炉内にある螺線配管218中に水をポンプで入れた。気化器の流出液を、螺線コイル222状にした3フィート(90.15cm)の長さの1/4インチ(6mm)の配管である運搬管220を通って送った。気化器216と運搬管220、222は4区画の炉内に配置された。第1の区画1は気化器の容器を収納し、他方その他の3区画2、3、4は運搬管220、222を収納した。区画1は遮蔽栓により区画2〜4から分離された。炉を流出した運搬管224は冷却水コンデンサー226に接合された。液体生成物を回収するために、コンデンサー226に回収ビン228を取り付けた。
【0036】
気化器実験は、気化器と運搬管を所望の温度に加熱し、次に蒸気のための水を導入することにより開始した。一旦一定温度が達成された後に、酢酸カリウムの添加が開始し、これが実験の開始時間であった。実験は風袋を測定したびん中に液体流出物の総量を回収して、2〜4時間継続された。液体は化学分析用に試料採取された。次に溶液を乾燥オーブン中で蒸発させて、酢酸カリウムの量を得た。塩の量を確定するために誘導結合プラズマ(ICP)分析を使用した。実験データは以下の表1に示す。
【0037】
【表1】

【実施例1】
【0038】
酢酸カリウムの気化のために有効な操作範囲を決定するために様々な気化器温度を実施した。大部分の実験は、キャリアー蒸気のための2mL/分の水の流れと、2mL/分の
酢酸カリウム溶液を使用して実施した。酢酸カリウム溶液を気化器の入り口でキャリアー蒸気中に注入し、流れは凝縮され、出口で回収された。回収された流出液は乾燥オーブン内で気化させた。回収された塩は秤量され、期待理論量と比較された。
【0039】
図3は10%酢酸カリウム溶液に対する有効気化器操作温度の研究の結果を示す。酢酸カリウムの回収量は臨界測定値として使用された。有効な実験は100%の酢酸カリウム回収量を示すと考えられる。より低い回収量数値は、酢酸カリウムが装置内に堆積し、蒸気相内に十分に連行されなかったことを示す。10%の酢酸カリウムを使用する安全な操作範囲は200〜480℃である。480℃超では、酢酸カリウムは熱的に安定でなく、それによりKOHおよびKCOおよび堆積物の形成をもたらす。200℃未満では、酢酸カリウムの蒸気圧は低すぎるか、または気化のための熱が不十分である。
【0040】
移送管を、気化器により使用されるものと異なる炉の区域により加熱した。早期バージョンの気化器システムの試験を、最初に400℃の移送管温度を使用して実施した。移送管温度の200℃への低下は、塩の回収結果に何の変化ももたらさなかった。200℃の移送管温度を、表1に示したすべての残りの試験に使用した。
【0041】
高濃度の酢酸カリウム溶液の使用は、資源および気化器の操作経費に利益をもたらすことができる。これらの理由で、気化器に25%の酢酸カリウム溶液を使用した。図4は10%溶液のものと重ねた25%酢酸カリウム溶液の結果を示す。25%の酢酸カリウムは10%溶液と同様なこの操作範囲で使用することができる。
【0042】
重量に基づき、2mL/分の水と、2mL/分の10%酢酸カリウムの実験の流出液中には5重量%のみの酢酸カリウムがあった。これは酢酸イオンに対して補整する約2%のみのKに相当した。モルに基づくと、流出液は分子量の差により1モル%未満のKを含んだ。対応する25%酢酸カリウムの実験に対し、対応する数値は流出液中、12.5重量%の酢酸カリウムまたは5重量%のKであった。Kのモルパーセントはまた約2.5%であった。気相中の酢酸カリウムのモル百分率は分圧と正比例するので、気化器は気化過程を補助するにちがいない、非常に低い酢酸カリウムの分圧を示すと考えられる。
【実施例2】
【0043】
その他の実験を、実施例1のものより高い水の流量と低い酢酸カリウムの流量を使用して実施した。これらの実験は、10%と25%双方の酢酸カリウムにつき実施した。水は3mL/分に増加し、酢酸カリウム溶液は1mL/分に減少させた。これは気化器への総流量を維持したが、異なる供給比率で維持した。このデータは図5に示す。酢酸カリウム溶液に対する蒸気の、より高い比率が、10%と25%双方の酢酸カリウムに対して150℃で有効な気化を許した。
【0044】
本明細書で使用される用語「転化(conversion)」は量的な意味で、転化される反応物のモル%の割合を意味する。
【0045】
用語「選択性」は、例えば、トルエンまたはベンゼンの代わりにスチレンを生成するようにエチルベンゼンを選択的に脱水素化するために、比較的高レベルの望ましい生成物および比較的低レベルの望ましくない生成物を選択的に生成する触媒の能力を意味する。
【0046】
用語「活性」は、触媒上の供給原料の各通過に対し特定の割合の反応物を転化する、例えば、触媒上の供給原料の各通過(pass)に対し特定の割合のエチルベンゼンを芳香族化合物に転化する、触媒の能力を意味する。
【0047】
文脈に応じて、本明細書における「発明」への言及はすべて、場合により、特定の態様
のみを表すことができる。その他の場合には、それは1項以上の、しかし必ずしもすべてではない請求項中に引用される主題事項を表すことができる。以上は、本特許中の情報が利用可能な情報および技術と合わされる時に当業者に本発明を製造させ、使用させることができるように含まれている、本発明の態様、バージョンおよび実施例に関するが、本発明はこれらの特定の態様、バージョンおよび実施例のみに限定はされない。本発明のその他の、また更なる態様、バージョンおよび実施例は、それらの基礎的範囲から逸脱せずに考案されることができ、そしてそれらの範囲が以下の請求項により決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属塩溶液の第1の流れを運搬することができる第1の導管、ここで第1の導管は、第1の流れがそれを通って第1の導管を流出することができる少なくとも一つの開口部をもつ;
第1の導管と流体連絡している第2の導管、ここで第2の導管は、水蒸気を含んでなる第2の流れを運搬することができる;
ここで、第1の流れが第1の導管を流出する時に、それは第2の流れ中に放散されて、第2の流れの水蒸気と一緒に溶液中に第1の流れのアルカリ金属塩を含んでなる第3の流れを形成する;
第2の導管と流体連絡している第3の導管、ここで第3の導管は、熱源により加熱されることができ、また第3の導管は、第3の流れを運搬することができる:
を含んでなる、アルカリ金属塩を水蒸気中に気化させるための装置。
【請求項2】
更に、第1の流れを第2の流れ中に放散させるために、第1の導管の少なくとも一つの開口部に隣接して配置された少なくとも1基の散気装置を含んでなる、請求項1の装置。
【請求項3】
第3の導管が、第3の流れを第4の導管内の第4の流れ中に運搬するために第4の導管に接合されている、請求項1の装置。
【請求項4】
更に、第2の流れ中に放散されないあらゆるアルカリ金属の流れが第4の導管に流入することを制約するために、第4の導管に対する第3の導管の接合部に隣接して配置された堰:
を含んでなる請求項3の装置。
【請求項5】
少なくとも一つの開口部を含む第1の導管の部分が第2の導管内に配置され、そして混合室を形成し、ここで第1の流れが第2の流れ中に放散されて、第3の流れを形成し、次に第3の流れが第3の導管に流入する、請求項1の装置。
【請求項6】
混合室が熱源により加熱されることができる、請求項5の装置。
【請求項7】
熱源が水蒸気ジャケットである、請求項6の装置。
【請求項8】
少なくとも一つの開口部を含む第1の導管の部分が実質的に同心配列で第2の導管内に配置されている、請求項1の装置。
【請求項9】
熱源が水蒸気ジャケットである、請求項1の装置。
【請求項10】
装置を使用して、水蒸気にアルカリ金属塩を添加することにより第1の溶液を形成する工程;ここで、
該装置は、アルカリ金属塩の第1の流れを運搬することができる第1の導管を有し、ここで第1の導管は、第1の流れがそれを通って第1の導管を流出することができる少なくとも一つの開口部をもつ;
該装置は、第1の導管と流体連絡している第2の導管を有し、ここで第2の導管は、水蒸気を含んでなる第2の流れを運搬することができ、第1の流れが第1の導管を流出する時に、それは第2の流れ中に放散されて、第2の流れの水蒸気と一緒に溶液中に第1の流れのアルカリ金属塩を含む第1の溶液を形成する;
該装置は、第2の導管と流体連絡している第3の導管を有し、ここで第3の導管は第1の溶液を運搬することができ、また熱源により加熱されることができる;
並びに
第1の溶液を脱水素触媒と接触させる工程:
を含んでなる、触媒による脱水素反応期間中にアルカリ金属により促進される脱水素触媒の活性を高める方法。
【請求項11】
アルカリ金属塩が実質的に一定レベルの触媒活性を維持するのに十分量で添加される、請求項10の方法。
【請求項12】
アルカリ金属塩がカリウム塩化合物である、請求項10の方法。
【請求項13】
触媒による脱水素反応が、アルケニル芳香族炭化水素を得るためのアルキル芳香族炭化水素の反応体の流れの脱水素化である、請求項10の方法。
【請求項14】
アルカリ金属塩が固形物として第2の流れに添加される、請求項10の方法。
【請求項15】
アルカリ金属塩が液体として第2の流れに添加される、請求項10の方法。
【請求項16】
アルカリ金属塩が気体として第2の流れに添加される、請求項10の方法。
【請求項17】
脱水素触媒が40〜80重量%の酸化鉄と5〜30重量%のアルカリ金属化合物を含んでなる、請求項10の方法。
【請求項18】
添加されるアルカリ金属塩が、脱水素触媒に接触する総反応体の流れの重量に対して0.01〜1000ppm重量のアルカリ金属の連続的添加量に等しい、請求項10の方法。
【請求項19】
アルキル芳香族炭化水素がエチルベンゼンであり、またアルケニル芳香族炭化水素がスチレンである、請求項10の方法。
【請求項20】
アルカリ金属塩を含んでなる第1の流れを第1の導管に提供する工程、ここで第1の導管はアルカリ金属塩を運搬することができ、またアルカリ金属塩がそれを通って第1の導管を流出することができる少なくとも一つの開口部をもつ;
水蒸気を含んでなる第2の流れを、水蒸気を運搬することができ、また第1の導管と流体連絡している第2の導管に提供する工程、ここで、アルカリ金属塩が第1の導管を流出する時、それは第2の流れ中に放散されて、水蒸気と一緒に溶液中にアルカリ金属塩を含む第3の流れを形成する;および
第3の流れを、第2の導管と流体連絡している第3の導管に提供する工程、ここで第3の導管は第3の流れを運搬することができ、第3の導管は熱源により加熱されることができる:
を含んでなる、アルカリ金属塩を気化させて、運搬する方法。
【請求項21】
少なくとも一つの開口部を含む第1の導管の部分が同心配列で第2の導管内に配置されている、請求項20の方法。
【請求項22】
第1の導管の少なくとも一つの開口部に隣接して配置された少なくとも1基の散気装置が第1の流れを第2の流れ中に放散するために使用される、請求項20の方法。
【請求項23】
装置の第3の導管が、第3の流れを第4の導管内の第4の流れと接触するように運搬するために第4の導管に接合され、また更に、第2の流れ中に放散されないあらゆるアルカリ金属の流れが第4の導管に流入することを制約するために第4の導管への第3の導管の接合部に隣接して配置された堰、を含んでなる、請求項20の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−517223(P2013−517223A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548240(P2012−548240)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2011/020965
【国際公開番号】WO2011/088104
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】