説明

アルキル芳香族炭化水素の選択的触媒的水素化脱アルキル化の方法

C4-C9 脂肪族および脂環式生成物との混合物にあってもよい C8-C13 アルキル芳香族化合物を含む炭化水素組成物の触媒的水素化脱アルキル化を単独で行う方法であって、前記炭化水素組成物を、IIB、VIB および VIII族に属する少なくとも1つの金属で改変された5〜35の範囲のモル比 Si/Alを有するZSM-5 ゼオライトからなる触媒で、400〜700℃の範囲の温度、2〜4 MPaの圧力、反応器への供給物中の水とチャージとのモル比0.0006〜0.16 (すなわち0.01〜2.5% w/w)の範囲、および3〜6のモル比 H2/チャージで、水の存在下で連続的に処理することを含む、前記方法。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル芳香族炭化水素の触媒的水素化脱アルキル化の方法に関する。
より具体的には、本発明は、C4-C9 脂肪族および脂環式生成物との混合物にあってもよい C8-C13 アルキル芳香族化合物を含む炭化水素組成物の、触媒的水素化脱アルキル化の方法に関する。
さらにより具体的には、本発明は、反応が水の存在下に行われる、脂肪族生成物との混合物にあるアルキル芳香族炭化水素の触媒的水素化脱アルキル化の方法に関する。水の存在は、適切な操作条件および触媒調合の選択と共に、本発明の対象である前記反応をアルキル芳香族生成物の水素化脱アルキル化に対して驚くほど選択的とし、かつ、トランスアルキル化、異性化、不均化および縮合副反応を量的に抑制する効果を与える。
これによりベンゼン、トルエンおよびエタン(BTE)の収量が高くなり、かつメタンおよび縮合生成物(特にナフタレンおよびビフェニル生成物)双方の形成の抑制または非形成につながる。
【背景技術】
【0002】
アルキル芳香族生成物の触媒的変換の方法は文献より知られ、その方法において、処理条件下における水の添加は、異性化、不均化およびトランスアルキル化反応を特に促進することにより水素化脱アルキル化反応を著しく危うくし、したがって、本発明の対象とは逆の結果が得られる。
例えば米国特許第4,431,857号は、モリブデンを含浸させた結晶性ホウ素-珪酸塩触媒 (AMS-1B) の存在下で行われる触媒的方法を説明し、その方法においては、キシレン(オルト- メタ- およびパラ-) とエチルベンゼンからなる供給混合物への水の添加(50〜2000 ppm)が、それらのパラ-キシレンへの異性化を引き起こし、それにより直接的脱アルキル化を阻害する。
米国特許第5,773,679号は、トルエンからパラ-キシレンへの不均化反応を選択的に対象とする、シラン化剤で処理されたZSM-5 ゼオライトを使用する、供給混合物への水の添加(連続的または断続的(0.01〜10 ml*g/分))による触媒的変換の方法を説明する。しかしながら、当初から存在するエチルベンゼン、および、形成される高級(heavier)アルキル芳香族生成物は、その反応条件下においては脱アルキル化を受けない。
【0003】
米国特許第6,512,155号は、水の存在下 (75〜750 ppm)で行われる単独異性化の方法を説明し、この方法により、非平衡条件下において、エチルベンゼンと共に、キシレンの混合物をp-キシレンの選択的生成に至らせ、それによりキシレンの最終平衡組成が得られる。この反応はPtを含浸させたゼオライト系または非ゼオライト系触媒の存在下で進行し、水が、そのままで、または反応条件下で供給することが可能な有機前駆体(アルコール、エステル、エーテル)を用いて、連続的または断続的に添加される。
米国特許第6,500,997号は、ビスマスを含浸させたモルデナイトまたはβ-ゼオライト系触媒で行われる、不均化/トランスアルキル化を介する C7-C10 アルキル芳香族生成物の変換の方法を説明し、これにより平衡組成を有するキシレンが主に得られる。このケースでは、反応における水の存在は望ましくないが、この本発明によれば、この系は水が500 ppmまでの量で存在する場合であっても高い安定性および活性を保証する。
操作条件および触媒の選択に関係する限りにおいて、欧州特許第138,617号は、水素化脱アルキル化によって芳香族炭化水素を変換する方法を説明し、ここで前記方法は、エチルベンゼンおよびキシレンから実質的になる炭化水素ストリーム(stream)を、従来の反応条件下で、モリブデンで改変された(modified)ゼオライト触媒で処理することを含む。説明される方法において、一般の反応条件は、同時に異性化、トランスアルキル化、不均化および縮合反応がおこらない水素化脱アルキル化反応を可能としない。選択的な触媒的水素化脱アルキル化に対する制限は、当該技術分野に説明される他の様々な方法からも浮び上がる。いくつかのケースにおいては、この反応は、異性化、トランスアルキル化、不均化および縮合反応に関連する副反応までも形成する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
予期せぬことに、この度出願人は、適切な操作条件および触媒調合を選択することにより、水の存在下で、異性化、トランスアルキル化、不均化および縮合反応が同時に起こることなく、C8-C13 アルキル芳香族炭化水素からベンゼン、トルエンおよびエタン(BTE)への触媒的水素化脱アルキル化反応を誘導できることを見出した。
特に、水の存在および触媒の組成(共に本発明の対象である)は、驚いたことに、アルキル芳香族化合物の水素化脱アルキル化のみを優位に行う操作条件の選択を可能とした。本発明の対象であるこの方法において、この水素化脱アルキル化反応は、ベンゼン、トルエンおよびエタンの形成に対して量的に選択的で、メタンおよび縮合生成物(ナフタレンおよびビフェニル誘導体)の生成が減少または皆無となるだけでなく、さらに、ベンゼン/トルエン比が常にベンゼンの方に優位である。したがって、この方法の経済的側面は: ベンゼンおよびトルエン(常にトルエンよりも多い量で生成されるベンゼンに特に言及する)の利益的価値故に「液相」; いかなる熱分解過程で生成されるエタンの再利用(例えばオーブンへの再利用による)の可能性(この種の再利用により多量のエネルギーが回収される)の結果として「気相」;の両反応ストリームの実態価値に対して言及し得る。
【0005】
従って、本発明の対象は、C4-C9 脂肪族および脂環式生成物と混合されていてもよい C8-C13 アルキル芳香族化合物を含む炭化水素組成物の触媒的水素化脱アルキル化を単独で行う方法に関し、ここで前記方法は、前記炭化水素組成物を、IIb、VIB および VIII族に属する少なくとも1つの金属で改変された、5〜35のモル比 Si/Alを有するZSM-5 ゼオライト担体からなる触媒で、水の存在下で、連続的に、処理することを含み、ここで前記処理は、400〜700℃、好ましくは450〜600℃の範囲の温度、2〜4 MPa、好ましくは2.8〜3.6 MPaの範囲の圧力、0.0006〜0.16 (すなわち0.01〜2.5% w/w)、より好ましくは0.003〜0.032 (すなわち0.05〜0.5% w/w)の範囲の水と炭化水素チャージ(charge)とのモル比、3〜6、好ましくは3.8〜5.2のモル比 H2/チャージで行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明によれば、水素化脱アルキル化を受ける炭化水素は、エチルベンゼン、キシレン、ジエチルベンゼン、エチルキシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、プロピルベンゼン、エチルトルエン、プロピルトルエン等の C8-C13 アルキル芳香族化合物を含む。このチャージは、例えば改質装置(reforming units)または熱分解的過程(例えば水蒸気分解)を行う装置の流出物に由来し得、C4-C9 脂肪族および脂環式生成物ならびにヘテロ原子(例えば硫黄など)を含む有機化合物の混合物を、改質装置または熱分解過程から得られるチャージに一般的に存在する典型的な量で含み得る。
本発明の方法に使用される炭化水素チャージは、分離処理(例えば蒸留または抽出)に供することによって、その後水素化脱アルキル化を受けなければならない生成物を濃縮してもよいし、あるいは、芳香族化過程で処理することによって、アルキル芳香族化合物の濃度を増加させてパラフィンの濃度を減少させてもよい。さらには、事前にチャージを水素化することによって、脂肪族化合物および芳香族環のこのアルキル置換基上に存在する不飽和を排除することも必要であり得る。ここの後者の側面が、本発明の触媒的水素化脱アルキル化条件下においてこれらのヘテロ原子(硫黄、例えばH2Sとして)は適量で除去されるために特に重要でないとしても、この水素化は、処理されるチャージに典型的に存在する物質から硫黄、窒素または酸素を除去し得る。
【0007】
本発明の水素化脱アルキル化触媒は、IIB、VIB および VIII族の少なくとも1つの金属で改変されたZSM-5 ゼオライトからなる。前記金属のうちモリブデンが好ましく(本発明の対象である)、それは単独または対のいずれかで使用される。ゼオライト担体の組成は、異性化、トランスアルキル化、不均化および縮合副反応が実質的に起こらない、アルキル芳香族化合物の水素化脱アルキル化を含む本発明の実施態様にとって特に重要である。高アルミニウム含量、具体的には5〜35、好ましくは15〜30のSi/Al モル比を有するZSM-5 ゼオライトの使用が、所望の結果を得ることに寄与することが確認されている。
ZSM-5 ゼオライトは、市販されているか、または米国特許第3,702,886号および第4,139,600号に説明される方法に従って調製し得る。ZSM-5 ゼオライトの構造は、Kokotailo et al. (Nature, Vol. 272, p. 437, 1978) およびKoningsveld et al. (Acta Cryst. Vol. B43, p. 127, 1987; Zeolites, vol. 10, p. 235, 1990)により説明されている。
本発明の方法において、ゼオライト触媒は好ましくは、形状およびコンシステンシー(例えば機械的耐性)を与えることができる結合化合物を取り入れることにより結合形体(bound form)で使用され、それによりゼオライト触媒/バインダーは工業的反応器において都合よく使用できるようになる。バインダーの例としては、アルミナ(そのうち、擬ベーマイトおよびγ-アルミナ); クレイ(そのうち、カオリナイト、バーミキュライト、アタパルジャイト、スメクタイト、モンモリオナイト); シリカ; アルミノ珪酸塩; 酸化チタンおよびジルコニウム; これら2以上の組み合わせが挙げられ、ゼオライト/バインダーの重量比が100/1〜1/10の範囲で使用される。
【0008】
ゼオライトまたはゼオライト/バインダー触媒の中の金属の分散は、従来の技術(例えば含浸、イオン交換、蒸着、または表面吸着など)に従って行うことができる。初期の含浸技術が好ましくは使用され、前記金属の少なくとも1つの水溶解物(hydro-soluble)および/または有機溶解物を含む水性または水-有機溶液(有機溶媒は好ましくはアルコール、ケトンおよびニトリルまたはそれらの混合物から選択される)が使用され、触媒中の金属の最終総含有量が0.5〜10重量%の範囲となる。
ゼオライト(バインダーを有していてもいなくてもよい)は、IIB、VIB および VIII族の金属、特にモリブデンによる含浸に供される。
【0009】
結合された、または結合されていない触媒は、以下の工程を含む方法に従って処理し得る:
- 担持させる金属の化合物の1または2以上の溶液を調製する工程;
- ゼオライトを上記溶液に含浸させる工程;
- そのように含浸させたゼオライトを乾燥させる工程:
- 含浸および乾燥させたゼオライトを、400〜650℃の温度で焼成する工程;
ここで、必要に応じて上記一連の工程を数回繰り返してもよい。
【0010】
使用される金属の化合物の例は: 酢酸モリブデン(II)、モリブデン酸アンモニウム(VI)、二モリブデン酸二アンモニウム(III)、七モリブデン酸アンモニウム(VI)、リンモリブデン酸アンモニウム(VI) およびナトリウムおよびカリウムの類縁(analogous)の塩、臭化モリブデン(III)、塩化モリブデン(III)-(V)、フッ化モリブデン(VI)、オキシ塩化モリブデン(VI)、硫化モリブデン(IV)-(VI)、モリブデン酸および対応するアンモニウム、ナトリウムおよびカリウムの酸性塩、並びに酸化モリブデン(II-VI)である。
含浸の完了時には、触媒中の総金属含有量(単独または対で)は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%の範囲にある。
【0011】
触媒の調製が一旦完了すると、それは固定層反応器の中にチャージされ、前記反応器には炭化水素チャージ、水素および水が連続的に供給される。水は、利便性に応じて、事前に気相とされた炭化水素チャージと直接的に混合し得るように既に蒸気化した状態で、または、液体チャージと混和性の担体化合物(反応条件下でその水を放出することができる)の添加により、のいずれかで供給される。
液体の炭化水素チャージと混和性の化合物のうち、アルコール、エーテルおよびエステルを使用することができる。アルコール、そしてそのうちエタノールまたはフェネチルアルコールが好ましい。ここでの反応条件下では、例えば、エチルアルコールが所望の水およびエチレンを放出する。後者は即座にエタンに水素化され、水素化脱アルキル化反応により選択的に生成された気相中に存在する量に加えられる。
【0012】
C4-C9 脂肪族および脂環式炭化水素との混合物にあってもよい C8-C13 芳香族炭化水素の選択的水素化脱アルキル化を得るためには、基本的な実験パラメーターのうち、試薬の流速の選択が極めて重要である。従って、炭化水素、水および水素の混合物、または担体化合物の供給速度は、炭化水素ストリーム上で計算されるLSHV (液空間速度)が3〜5 h-1、そしてより好ましくは3.5〜4.5 h-1の範囲となることを保証するようなものでなくてはならない。
この目的のため、反応器に供給される水素とチャージとのモル比は、3〜6 mol/mol、より好ましくは3.8〜5.2 mol/molの範囲内に残らなければならない。特に、反応器に供給される水と炭化水素チャージとのモル比は、0.0006〜0.16 (すなわち0.01〜2.5% w/w)、より好ましくは0.003〜0.032 (すなわち 0.05〜0.5% w/w)である。
【0013】
この反応のための実験装置は、内径 20 mm、全高 84.5 cmのステンレススチール固定層反応器、前記反応器を取り囲む電気加熱装置、冷却システム、気体-液体分離機および液体高圧ポンプを含む。
自動制御により一定温度に維持される反応器の定温部分に触媒がチャージされる。反応器容量の残りに顆粒状の不活固体(例えばコランダム)を充填することによって、触媒層および熱が反応に供給される前に、気体状試薬流の最適な分布および混合が保証される。
反応器の前に位置するプレヒーター(200〜400℃、より好ましくは250〜320℃の範囲の温度で作動する)は、気相の中の試薬(炭化水素混合物、水および水素)と触媒との最適な接触に寄与する。この系は、固定層のみならず、さらに反応器全体にわたって定温環境を非常に迅速に確立するのに役立ち、それにより触媒の作動温度のより簡便かつより精密な制御を可能とする。反応により生成された液体状および気体状の流出物は、合間に、ガスクロマトグラフィーにより分離および分析される。
以下の実施例は、本発明の方法のより詳細な説明を提供するものであり、いかなる意味においても特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0014】
触媒調製のための参照例
触媒 A (比較)
触媒 A を調製し、それはZSM-5 ゼオライトとアルミナ(バインダーとして)を混合し(2つの相は60/40の重量比にある)、その混合物を押出し成形することにより得た。
押出し成形された生成物は空気中で550℃ で 5 時間焼成し、その表面積 BET は 290 m2/gである。
室温とした後、上記を粉砕および篩過して20〜40 メッシュ (0.84 mm〜0.42 mm)の寸法を有する粉末を生成し、それによりその12.4 gの触媒粉末は、20 mlの等価容量(equivalent volume)を有する。
触媒 B
触媒 B は、触媒 A (50 g)を、1.88 g のモリブデン酸アンモニウム [(NH4)6Mo7O24・4H2O]を含む水溶液(60 ml)に約25℃ で16時間含浸し、その後窒素流の下に12 時間置き、オーブンの中で、120℃ で 4 時間、減圧下で乾燥させ、そして空気中で550℃ で5 時間焼成することにより得られる。ICP-MS 分析により測定された 2.1重量%の値に対し、計算上のモリブデン含有量は2.0重量%である。
【0015】
実施例 1-9
反応器に20 cm3 (12.4 g) の触媒 Aをチャージし、その一方で残りの容量にコランダムの顆粒を充填して、試薬の気流および反応に供給された熱の最適な分布および混合を保証した。
表1にその組成を示した炭化水素チャージを、水素で適切に混合した反応器に供給した。チャージ中の脂肪族画分は C4-C9 生成物および飽和 C5 インダン環からなる。5% w/w の量でチャージ2中に存在するエタノールは、1.95% w/w 相当量の水を供給する。
【0016】
表 1 供給チャージの組成

反応は、3.9〜4.1 h-1のLHSVを得るような試薬チャージの流速および4.2-4.4のモル比 H2/チャージで、3 MPa の圧力で行われた。結果を以下の表2に示す。


























【0017】
【表1】



【0018】
【表2】

【0019】
同じ操作条件下において、510 および550℃の双方で、ベンゼン+トルエン(BT, 液相) またはベンゼン+トルエン+エタン(BTE, 液相および気相) に対する水素化脱アルキル化反応の選択性は、ZSM-5/Mo 触媒システムが H2O の存在下で作動している場合に常に最も高い(実施例 4 および 8)様子を観察することができる(表2, 実施例1-8を参照されたい)。
水素化脱アルキル化の選択性の“主要指標”とみなすことのできるB/T 比および BE/T 比は、この肯定的な傾向の直接的な視覚を与える。
表 3 (実施例 4、5 および 9) および添付の図 1 は、同じ全体的操作条件下において、585℃への温度上昇 (実施例 9) が、チャージの変換をモリブデン単独による試験に典型的な値に上昇させる様子を示す。この変換の回復は、キシレンおよび高級(heavier)芳香族 (C9-C9+)の残留濃度の有意な削減の結果として得られたものである。一度の通過あたりに変換されるキシレンおよび高級芳香族生成物の量は、反応器へのその再利用を十分とするような量である。
【0020】
芳香族環の水素化(一般に最高温度で有利である)から誘導されるメタンの濃度は、有意には変化せず、H2Oでの試験においては、それはモリブデン単独で得られたものよりも常に実質的に低いままである。さらには、同時に起こる高級芳香族生成物(C9-C9+) の削減は、触媒を不活性化する重縮合芳香族生成物およびコークスが作製される縮合副反応の形成(同じく一般に最高温度において有利である)の可能性を最小限とする。
これらすべての結果は、予期しない触媒とH2Oの間の非常に強い相乗効果の存在を示すものであり、その程度は全体としての ZSM-5/Mo/H2O 系が、真の反応触媒であるとみなすべきであるという程である。変換および選択性、ひいては活性に関する結果は、同じく高温で起こる水の存在に起因する分解効果に関連するこの触媒系の驚くべき安定性を示し、それは公知技術に説明されるものとは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】温度上昇がチャージの変換を上昇させる様子を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C4-C9 脂肪族および脂環式生成物との混合物にあってもよい C8-C13 アルキル芳香族化合物を含む炭化水素組成物の触媒的水素化脱アルキル化を単独で行う方法であって、前記炭化水素組成物を、IIB、VIB および VIII族に属する少なくとも1つの金属で改変された5〜35の範囲のモル比 Si/Alを有するZSM-5 ゼオライトからなる触媒で、400〜700℃の範囲の温度、2〜4 MPaの圧力、および3〜6の範囲のH2O/チャージ間のモル比で、水の存在下で連続的に処理することを含む、前記方法。
【請求項2】
触媒的水素化脱アルキル化反応が、
事前に蒸気化されて気相中の炭化水素画分と混合された、または、
室温における飽和状態にまで液体炭化水素画分に加えられた、または、
チャージと混和性であり、かつ反応の際にそれを放出することが可能な化合物を用いて加えられた、
水の存在下で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水を放出し、かつ、反応の液相および気相中に存在するものと同じ種類の脂肪族および/または芳香族炭化水素種を生成することが可能な化合物が、アルコール、エーテル、エステル、またはそれらの混合物である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
化合物がエタノールまたはフェネチルアルコールである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
反応器への供給物中の水とチャージの間モル比が、0.0006〜0.16(すなわち0.01〜2.5% w/w)、好ましくは0.003〜0.032(すなわち0.05〜0.5% w/w)の範囲にある、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
水素化脱アルキル化反応が、450〜600℃の範囲の温度、2.8〜3.6 MPaの範囲の圧力、3.8〜5.2の範囲のH2/チャージ モル比で、かつ、炭化水素ストリーム上で計算されるLHSV (液空間速度)が3〜5 h-1、好ましくは 3.5〜4.5 h-1の範囲となることを保証するような試薬の流速を用いて行われる、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
水素化脱アルキル化に供される炭化水素チャージが、エチルベンゼン、キシレン、プロピルベンゼン、エチルトルエン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルキシレン、テトラメチルベンゼン、プロピルトルエン、エチルトリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジプロピルトルエンから選択される C8-C13 アルキル芳香族化合物を含む、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
C8-C13 アルキル芳香族炭化水素チャージが、改質装置または熱分解的過程を行う装置、あるいは水蒸気分解から得られる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
水素化脱アルキル化に供される炭化水素チャージが、C4-C9 脂肪族および脂環式生成物ならびにヘテロ原子を含む有機化合物と混合されていてもよい C8-C13 アルキル芳香族化合物を含む、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
触媒が結合形体にあるZSM-5 ゼオライトからなる請求項1から9のいずれか1項記載の方法であって、バインダーがアルミナ(そのうち、擬ベーマイトおよびγ-アルミナ); クレイ(そのうち、カオリナイト、スメクタイト、モンモリオナイト); シリカ; アルミノ珪酸塩; 酸化チタンおよびジルコニウム; これらの組み合わせから選択され、ゼオライト/バインダー重量比が100/1〜1/10の範囲である、前記方法。
【請求項11】
ZSM-5/バインダー 触媒が、IIB、VIB および VIII族に属する少なくとも1つの金属で改変されている、請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
金属がモリブデンである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ZSM-5 ゼオライトが、15〜30の範囲のあるSi/Al モル比により特徴付けられる、請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
触媒上への金属の分散が、含浸、イオン交換、蒸着または表面吸着から選択される技術に従って達成される、請求項1から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
そのものまたは結合形体のZSM-5 ゼオライトが、以下の工程を含む方法に従ってIIB、VIB および VIII族の金属で含浸される、請求項1から14のいずれか1項記載の方法:
- 担持させる金属の化合物の1または2以上の溶液を調製する工程;
- ゼオライトを上記溶液に含浸させる工程;
- そのように含浸させたゼオライトを乾燥させる工程:
- 含浸および乾燥させたゼオライトを、400〜650℃の温度で焼成する工程;
- ここで、上記一連の工程は数回繰り返してもよい。
【請求項16】
触媒上への金属の分散が、前記金属の少なくとも1つの水溶解性または有機溶解性化合物を、触媒中の最終総金属含有量が0.1〜10重量%の範囲となるような濃度で含む水性または水-有機溶液(有機溶媒はアルコール、ケトンおよびニトリルまたはそれらの混合物から選択される)に含浸させることにより行われる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
触媒の中の総金属含有量が、0.5〜8重量%の範囲にある、請求項1から16のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−530466(P2007−530466A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504271(P2007−504271)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001259
【国際公開番号】WO2005/090525
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502198696)ポリメーリ エウローパ ソシエタ ペル アチオニ (18)
【氏名又は名称原語表記】POLIMERI EUROPA S.P.A.
【住所又は居所原語表記】VIA E.FERMI 4, I−72100 BRINDISI, ITALY
【Fターム(参考)】