説明

アルコキシシリル基を有する新規なポリエーテルシロキサンおよびその製造方法

アルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサン、および、SiH基を有する水素シロキサンと、アルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルを貴金属触媒を用いてSiC結合することによる、または複合金属シアン化物触媒の存在下でポリエーテルシロキサンまたはポリシロキサンをエポキシ官能性アルコキシシランでアルコキシル化することによるその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシリル基を有する新規なポリエーテルシロキサン、および、DMC触媒を用いてシリコーンポリエーテルをエポキシド官能性アルコキシシランでアルコキシル化することによる、または、アルコキシシリル基を有するオレフィン性不飽和ポリエーテルをSi−H基を有するシロキサンとヒドロシリル化結合することによるその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンポリエーテル共重合体(ポリエーテルシロキサンまたは単にシリコーンポリエーテルとも称される)は、様々な工業用途に、例えば、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤および分散剤、表面コーティング用のレベリング剤、潤滑剤として、三次石油回収用の助剤として、繊維、ヤーンまたはシート状のテキスタイル製品を柔軟化するためのテキスタイル助剤として、消泡剤として、化粧品添加剤(乳化剤)として、および泡安定剤(特に、ポリウレタンフォームの)として使用されている物質の1種である。
【0003】
ポリエーテルシロキサンは、1つまたは複数のシロキサンブロックを適切に選択し、1つまたは複数のポリエーテルブロックを適切に構成することによって、その性質、特にその親水性/疎水性バランスに影響を及ぼし、所望の値に調整することができるため、多くの用途に使用することができる。
【0004】
本発明の目的では、ポリエーテルの用語は、ポリエーテル、ポリエーテルオール、ポリエーテルアルコール、ポリエーテルエステル、およびまたポリエーテルカーボネートも包含し、これらは互いに同義に使用され得る。
【0005】
シロキサンブロックは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、二官能性シロキシ単位と三官能性シロキシ単位の絶対数、およびそれらの互いの数の比は広範囲で調整することができる。さらに、ポリオキシアルキレン基だけでなく他の修飾基もSi原子に結合させることが可能である。例としては、長鎖炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基または極性基で置換された炭化水素基、ヒドロキシル基などがある。
【0006】
シリコーンポリエーテル共重合体では、原則的にSiOC結合系とSiC結合系とは区別される。前者の場合、シロキサン骨格は、SiOC結合でポリエーテル基に結合している。後者の場合、シロキサン部分は、SiC結合でポリエーテル基に結合している。
【0007】
比較的古いSiOC結合経路は、例えば、クロロシロキサンを使用し、これを多くの場合、さらに補助アミン塩基を塩酸掃去剤として使用して、ポリエーテルアルコールと反応させ、ポリエーテルシロキサンを生成する。SiOCをベースにするポリエーテルシロキサンの代替の製造経路は、触媒の存在下でSiH基を有するシロキサン(水素シロキサン)をポリエーテルアルコールと脱水素反応させることを含む。使用される触媒としては、例えば、酸、塩基、および金属錯体、ならびにまた、例えば、独国特許出願公開第10 2005 004 676号に記載のトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランがある。未公開の独国特許出願第10 2008 002713.8号に記載のように、SiOH基を有するα,ω−ジヒドロキシシロキサンをエポキシドモノマーで直接アルコキシル化させることによって特定の直鎖状ポリエーテルシロキサンを得ることができる。
【0008】
SiC結合ポリエーテルシロキサン共重合体の製造経路は、ヒドロシリル化によって、即ち、従来技術(例えば、欧州特許第1 520 870号)に記載のように、通常は貴金属触媒を用いてSiH基を有するシロキサンを不飽和ポリエーテル、例えば、ビニルアルコールまたはアリルアルコールの誘導体に付加することによって利用される。広く一般的に用いられているアリルポリエーテルをベースにする共重合体系を合成するために、不飽和ポリエーテルは、選択された製造経路によってはアリルポリエーテル中に様々な量のプロペニルポリエーテルが既に存在するとの事実を考慮するため、および、ヒドロシリル化の際に不可避であり、使用されたアリルポリエーテルの一部をSiC結合反応に使用できなくしてしまうアリルプロペニル転位に対処するため、使用される水素シロキサンのSiH当量に基づいて通常20〜40mol%の、かなり化学量論的に過剰な量で使用される。ポリエーテルまたはポリエーテルオールという用語は、文献および本特許出願において同義に使用されることがあることを指摘しておく。
【0009】
この方法の結果として、アリルポリエーテルから誘導される工業的に得ることができるSiC結合シリコーンポリエーテル共重合体は、かなりの量の異性化した過剰なポリエーテルを含有し、これはβ位にあるその二重結合をもはやヒドロシリル化することができない。このようにして製造されたポリエーテルシロキサンの純度は比較的低いため、その特徴的な臭気が生じ、このためその生成物の使用可能性が制限される。化粧品製剤の添加剤は、健康に関して問題がなく、無臭のものでなければならない。例えば、欧州特許第1 431 331号に記載のように、後で精製が行われる多くの従来技術がある。
【0010】
アリルポリエーテルを過剰に用いることなくヒドロシリル化を行うと、使用する貴金属触媒により、それらの性質および反応条件に応じて、様々な程度の副反応が起こる。従って、少量の水分でも十分、残りのSiH官能基の水素を脱離させて加水分解し、生成したシラノールが互いにまたはポリエーテルのヒドロキシ官能性鎖末端と縮合する。このようにして、望ましくないモル質量の増加が起こり、ゲル化に至る。
【0011】
従来のポリエーテルアルコール(略して単にポリエーテルと称されることも多く、主にプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドからなる)は、長い間知られており、工業的に大量に製造されている。それらは、とりわけ、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンを製造するための、または他に界面活性剤を製造するための出発化合物の役割をする。
【0012】
アルコキシル化生成物(ポリエーテル)のほとんどの製造方法は、塩基性触媒、例えば、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属メトキシドを使用する。
KOHの使用は、特に、広く一般的に行われており、長年にわたって知られている。ブタノール、アリルアルコール、プロピレングリコールまたはグリセロールなどの通常低分子量のヒドロキシ官能性開始剤(starter)を、典型的には、アルカリ触媒の存在下でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドまたは様々なアルキレンオキサイドの混合物と反応させて、ポリオキシアルキレンポリエーテルを生成する。強アルカリ反応条件によって様々な副反応が促進される。プロピレンオキサイドのアリルアルコール(これは連鎖開始剤(chain starter)として機能する)への転位、および連鎖停止反応の結果、比較的広いモル質量分布を有するポリエーテルと、不飽和の副生成物が生成する。特に、アリルアルコールを開始剤アルコールとして使用すると、アルカリ触媒を用いて行われるアルコキシル化反応によりプロペニルポリエーテルも生成するが、この副生成物は、SiC結合シリコーンポリエーテル共重合体を得るためのヒドロシリル化後処理に関して非反応性である。
【0013】
塩基触媒を用いたアルコキシル化の欠点には、間違いなく、中和工程によって生じる活性塩基の反応生成物を取り除く必要性があることが含まれる。ついで、中和の際に生成した水を蒸留により除去すること、および生成した塩をろ過により除去することが絶対必要である。
塩基触媒を用いた反応の他に、アルコキシル化用の酸触媒も知られている。例えば、独国特許第102004007561号は、アルコキシル化法におけるHBFおよびルイス酸(BF、AlCl、およびSnClなど)の使用を記載している。
酸触媒を用いたポリエーテル合成の欠点は、プロピレンオキサイドなどの非対称オキシランの開環における位置選択性が不十分であり、そのため、いくつかの第二級OH末端を有し、いくつかの第一級OH末端を有するポリオキシアルキレン鎖が容易に制御されない形式で得られることとなる。ここでも、塩基触媒を用いたアルコキシル化反応の場合のように、中和、蒸留、およびろ過の一連の後処理工程は不可欠である。エチレンオキサイドをモノマーとして酸触媒を用いたポリエーテル合成に導入する場合、望ましくない副生成物としてジオキサンが生成することを考慮に入れなければならない。
【0014】
しかし、酸および/または塩基に対して不安定な系は、示された条件下で成功裡にアルコキシル化することができない。これは、特に、アルコキシシラン誘導体などの有機ケイ酸誘導体およびオルガノシロキサン化合物に適用され、それらは酸および塩基によって誘導される縮合反応および架橋反応、または、シロキサン骨格の転位を生じさせる平衡化反応を受ける傾向が顕著である。これは、酸誘導アルコキシル化反応と塩基誘導アルコキシル化反応が両方とも、通常、水性媒体中で後に処理すること(中和、塩の除去、水の留去)を必要とするため、ますます重要である。
【0015】
まだ未公開の特許出願である独国特許出願第102008002713.8号は、複合金属触媒の存在下でSiOH官能性直鎖状オルガノシラノールをアルキレンオキサイドで直接アルコキシル化してSiOC結合ポリエーテルシロキサン構造を形成する特定の方法を記載している。
【0016】
例えば、DYNASYLAN(登録商標)GLYMOおよびDYNASYLAN(登録商標)GLYEO(Evonik Degussa GmbHの商標)の商品名で得ることができる3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランまたは3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどの有機アルコキシシラン化合物は、アルコキシル化が特に困難である。このような化合物は、硬度、耐引掻性および耐摩耗性、耐熱性、ならびに、耐溶媒性および耐酸性に関して改善された特性を有するコーティング系が得られるナノコンポジットを製造するための重要な方法となっているソルゲル法による有機変性網目構造の製造に使用される。アルコキシシラン化合物は、シーラントおよび接着剤に、また、一般に、金属、ガラス、およびガラス繊維/ガラス布帛などの様々な基材用に、例えば木材またはコルクを含む繊維強化複合材料用に、ならびに、また、例えば、表面コーティング中の顔料および充填剤などの表面処理用に、反応性結合剤およびプライマーとして、多岐にわたって使用される。
【0017】
当業者には分かるように、アルコキシシリル基の架橋または硬化は2段階の化学的方法で行われ、その第1段階では水の存在下で、ケイ素に結合したアルコキシ基が対応するアルコールとして除去され、SiOH基が生成する。後者は、その後、自己縮合の場合、互いに縮合してSi−O−Si架橋を形成し、ポリマー材料を生成する。あるいは、SiOH官能性中間体は、反応基を有する基材と、例えば、OH官能基を有するケイ素表面と特によく反応し、各基材に非常によく化学的に結合する。硬化速度は、触媒の添加または温度の変化により様々な影響を受け得る。
【0018】
この重要な種類の生成物の適用分野をさらに開発するため、化学的変性によりアルコキシシラン化合物の特性プロファイルを改善する試みが行われてきた。例えば、ポリエーテルの特性プロファイルを、特定のアルコキシシリル基を有する架橋性化合物の特性プロファイルと組み合わせることができることが文献に開示されている。例えば、独国特許第69 831518 T2号は、とりわけ、ポリエーテルアルコールを、例えば、イソシアネート基を有するアルコキシシランでウレタン結合を形成して変性することに関する。さらに、アルコキシシリル変性するために、予めオレフィン性不飽和末端基で変性されたポリエーテルオールにモノマーのトリアルコキシシランをヒドロシリル化結合することも選択される。
特開平11−021463は、各グリセロールポリエーテルトリオールをイソシアネート基を有するトリアルコキシシランでウレタン結合を形成して変性することによって三官能性アルコールであるグリセロールから誘導される、末端にトリアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレンエーテルを製造する方法に関する。
特開平08−295805は、DMC触媒を用いて製造されたジプロピレングリコールポリエーテルジオールをイソシアネート基を有するトリアルコキシシランでトリアルコキシシリル変性することを含む本質的に同等の方法を請求する。
文献、特開平09−012863、特開平09−012861および特開平07−062222は、末端に加水分解性トリアルコキシシリル官能基だけを有するポリエーテルオール、例えば、グリセロールポリエーテルオールを製造する方法を請求し、それらは、まず、DMC触媒を用いて製造された後、アルカリ金属アルコキシドと塩化アリルの添加により対応するアリルエーテルに転化され、続いて、白金金属触媒を用いたヒドロシリル化により末端にアルコキシシリル基を有する目的生成物に転化される。
【0019】
これまで未公開の特許出願である独国特許出願第102008000360.3号では、アルコキシシリル基を有するポリエーテルは、DMC触媒としても知られている複合金属シアン化物触媒の存在下で、アルコール、フェノールまたはポリエーテルオールなどのOH官能性開始剤からエポキシ官能性アルコキシシランを選択的にアルコキシル化することによって製造され、その反応条件下ではこの物質群に特徴的な望ましくない副反応(縮合および架橋反応)が起こらない。この方法で得られる生成物は、必要に応じて、側鎖または末端に反応性アルコキシシリル基を有する架橋性ポリエーテルである。水分の存在下で架橋され得るこのようなポリエーテルは、接着剤および結合剤として、ならびにコーティングおよび、例えば、シーラントにも非常に適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
これまで、ポリエーテルシロキサンの高く評価された界面活性特性と反応性かつ架橋性アルコキシシリル化合物の特性とを併せ持つ製品がない。
【0021】
本発明の目的は、2種類の異なる物質の特性プロファイルを併せ持ち、それらの界面活性特性に基づいて、それらがまず当該系の各界面に移動した後、所望の目的位置で、例えば、所望の基材表面でアルコキシル基によって硬化できるようなアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを提供することである。例えば、接着剤、塗料、およびワニスまたは一般にコーティング組成物に添加剤として使用される場合、それらは、例えば、基材を非常によく濡らすと同時に接着作用を有する可能性をもたらす。水(大気中の水分で十分である)の存在下におけるそれらのアルコキシシリル基の硬化の結果として、それらは、その後、各表面に永久に化学的に結合する。従って、特に、後者がアルコキシシリル基と反応する官能基、例えば、OH基を有する場合、それらは、例えば、様々な基材用のプライマーおよびコーティング組成物として適している。さらに、アルコキシシリル官能性シリコーンポリエーテルは、ガラス、金属、木材、メーソンリーまたはプラスチックなどの表面に非常に薄い層として塗布され、アルコキシシリル基の加水分解後にそこに永久に付着して表面を改質する展着剤(spreader)として使用することができる。それらの構造に応じて、それらは、例えば、疎水化剤または結合剤の役割を果たすことができる。
【0022】
本発明の別の目的は、従来の非架橋性ポリエーテルシロキサン界面活性剤について知られているように、親水性−疎水性バランスにより、即ち、共重合体中の疎水性シロキサンの割合と親水性ポリエーテルの割合を広範囲で変えることにより、本発明のシリル官能性ポリエーテルシロキサンの界面活性特性を制御することである。
【0023】
この目的の他に、本発明の目的は、このような、例えば、達成すべき構造の多様性に対するこの要求を満たすことができるような、アルコキシシリル基を有する界面活性ポリエーテルシロキサンを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
意外なことに、触媒活性部位がルイス酸特性を有するDMC触媒を用いて、ポリエーテルシロキサンをアルコキシシリル基を有するエポキシドでアルコキシル化できることが分かった。ルイス酸金属化合物は従来技術ではアルコキシシランの架橋触媒として使用されるため、これは、当業者に決して自明ではない。
【0025】
さらに、意外なことに、SiH基を有する水素シロキサンと、アルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルを貴金属触媒を用いてSiC結合させることによってアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを製造することができ、反応性アルコキシシリル基はこのヒドロシリル化反応で副反応を受けないことが分かった。これは当業者に予測されなかったが、それは、これまでにヒドロシリル化の反応条件下で加水分解反応と縮合反応が観察されている比較的高分子量の水素シロキサンの加水分解傾向よりも、モノマーのアルコキシシリル基が加水分解を受ける傾向の方がずっと大きいからである。
【0026】
従って、本発明は、式(I)のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびそれらの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】式(Ia)を示す図である。
【図2】式(IIa)を示す図である。
【図3】式(IXa)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンは、式(I)の化合物およびこれらの混合物であり、
【化1】

式中、
Xは、場合によっては酸素、窒素、リンまたは硫黄などのヘテロ原子を含有してもよい、炭素原子数1〜20の直鎖状、環状、または分枝状、脂肪族または芳香族、飽和または不飽和の炭化水素基であるが、好ましくはメチル基であり、
は、必要に応じて、X、XまたはXであり、
は、OH官能基の、場合によってはエステルまたはカーボネートで変性されている、アルコキシシリル基を有する式(Ia)のポリオキシアルキレン基(図1も参照)であり、
【化2】

は、末端がエーテル化されている式(Ib)のポリオキシアルキレン基であり、
【化3】

式中、
13は、必要に応じて、炭素原子数1〜18のアルキル基、好ましくはメチル基であるか、または、一官能性カルボン酸で末端がエステル化されている式(Ic)のポリオキシアルキレン基であり、
【化4】

式中、
14は、OH基を有してもよい、炭素原子数1〜30の飽和または一不飽和もしくは多不飽和、直鎖状または分枝状、脂肪族または芳香族の炭化水素基、好ましくはメチル基であり、
は、Xまたは式(Id)のフラグメントに対応し、
【化5】

式中、
k、kおよびkは、各々、互いに独立して、0〜500、好ましくは10〜200、特に15〜100の整数であり、
、l、l、l、lおよびlは、各々、互いに独立して、0〜60、好ましくは0〜30、特に0〜25の整数であり、
oは、0〜10、好ましくは0〜3の整数であり、
但し、
は、l、lおよびlの合計がゼロである場合、少なくとも1回はXと同一であり、XがXと同一でない場合、l、lおよびlの合計は少なくとも1であり、
式中、
aは、1〜3の整数、好ましくは3であり、
bは、0〜2、好ましくは0〜1の整数、特に好ましくは0であり、
aとbの合計は3であり、
cは、0〜24、好ましくは0〜12、特に好ましくは0〜8、特に非常に好ましくは0〜4の整数であり、
は、0〜24、好ましくは0〜12、特に好ましくは0〜8、特に非常に好ましくは0〜4の整数であり、
dは、1〜500、好ましくは1〜100、特に好ましくは1〜50、特に1〜25の整数であり、
eは、0〜5000、特に好ましくは0〜1000、特に0〜500の整数であり、
nは、2〜8の整数であり、
f、g、h、iおよびjは、各々0〜500、好ましくは0〜300、特に好ましくは0〜200、特に0〜100の整数であり、
但し、指数d〜jを有するフラグメントは互いに自由に並べ替えられてもよく、即ち、ポリエーテル鎖内の配列が互いに入れ替えられてもよく、指数d〜jを有するフラグメントの様々なモノマー単位は、ブロック状に配列されていてもよく、またはランダムに分布していてもよく、但し、指数k、k、k、l、l、l、l、l、lおよびoを有するフラグメントは互いに自由に並べ替えられてもよく、即ち、シロキサン鎖内で互いに入れ替えられてもよく、必要に応じてランダムに分布していてもまたはブロック状に配列されていてもよい。
【0029】
Rは、炭素原子数1〜20、特に1〜6の直鎖状もしくは分枝状、飽和、一不飽和もしくは多不飽和のアルキル基、または炭素原子数1〜20のハロアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基またはsec−ブチル基の中から選択される1つ以上の同一の基または異なる基を示す。
【0030】
またはRおよびRまたはRは同一であるか、または、各々、互いに独立して、H、または、飽和、もしくは、場合によっては一不飽和もしくは多不飽和、さらにまた置換された、場合によっては1価もしくは多価の炭化水素基であり、ここで、R基およびR基は、各々、1価の炭化水素基である。炭化水素基は、フラグメントYで脂環式架橋(cycloaliphatically bridged)されていてもよく;Yは、存在しなくてもよく、または1個もしくは2個のメチレン単位を有するメチレン架橋であってもよく;Yが0の場合、RおよびRは、各々、互いに独立して、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖状または分枝状の基、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基、ビニル基、アリル基またはフェニル基である。RまたはRの2つの基のうちの少なくとも1つが水素であることが好ましい。炭化水素基RおよびRは、さらに置換されていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシル基またはグリシジルオキシプロピル基などの官能基を有してもよい。
【0031】
は、芳香族基または脂環式基に結合していてもよい、炭素原子数1〜18の直鎖状または分枝状アルキル基である。
【0032】
およびRは、互いに独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基である。
【0033】
、R10、R11およびR12は、互いに独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基であり、炭化水素基はフラグメントZで脂環式架橋または芳香族架橋(aromatically bridged)されていてもよく、Zは、2価のアルキレン基であってもまたはアルケニレン基であってもよい。
【0034】
式(I)で記載されるポリエーテルシロキサンは、本方法の結果として存在し得る副生成物、例えば、遊離した過剰のポリエーテルまたは転位生成物を含む。
【0035】
シロキサン鎖内またはそれに結合したポリエーテル鎖内の様々なモノマー単位は、必要に応じてブロック状に配列していてもまたはランダムに配列していてもよい。ここに記載されている式に示されている指数および示されているその指数の値の範囲は、単離された実際の構造および/またはその混合物の可能なランダムな分布の平均である。これは、それに関して正確に示されている構造式にも当てはまる。
【0036】
式(I)のアルコキシシリル官能基を有するポリエーテルシロキサンは、通常、ポリエーテル鎖が、各々、SiC結合でポリシロキサン主鎖に結合している櫛型に分枝した共重合体である。
【0037】
本発明は、同様に、アルコキシシリル基を有するポリエーテル鎖がシロキサン体にSi−O−C結合で結合している式(II)の直鎖状ポリエーテル−シロキサン−ポリエーテルトリブロック共重合体を提供し、
【化6】

式中、
R’は、1つ以上の同一のまたは異なる、炭素原子数1〜20、特に1〜10の直鎖状または分枝状、飽和、一不飽和、または多不飽和のアルキル基に対応し、
mは、0〜5000、好ましくは2〜5000、特に好ましくは5〜4000、特に9〜3000の整数であり、
は、式(IIa)(図2も参照)のポリエーテルフラグメントに対応する。
【化7】

【0038】
置換基R、R〜R12、Y基およびZ基、ならびに指数a、b、c、d、e、f、g、h、h、i、jおよびnは、式(Ia)の化合物について前述した定義に対応する。
【0039】
式(I)〜(Id)ならびに(II)および(IIa)に示されている指数、ならびに示されている指数の値の範囲は、存在する実際の構造および/またはその混合物の可能なランダムな分布の平均である。
【0040】
本発明は、さらに、シロキサン骨格を維持して行われるアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを製造するための後述の方法を提供する。
【0041】
アルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびその混合物は、2つの異なる方法:
1)複合金属シアン化物触媒を用いた、シリコーンポリエーテル共重合体またはポリシロキサンのエポキシ官能性アルコキシシランでのアルコキシル化
および/または
2)DMC触媒を用いて、対応する不飽和開始剤化合物をエポキシ官能性アルコキシシランでアルコキシル化することによって予め得られた、アルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルのヒドロシリル化結合、
によって製造することができる。
【0042】
この2つの方法を互いに独立して行ってもよいが、必要に応じて、順次行ってもよい。
【0043】
この2つの方法を下記に詳述する。
【0044】
1)複合金属シアン化物触媒を用いたシリコーンポリエーテル共重合体またはポリシロキサンのエポキシ官能性アルコキシシランでのアルコキシル化
ヒドロシリル化法により予め製造されたポリエーテルシロキサンおよびそれらの混合物(例えば、過剰のポリエーテル、転位生成物または他の副生成物を含有する)のDMC触媒を用いたアルコキシル化が、未公開の独国特許出願第10 2008 043245.8号に記載されている。例えば、アルキレンオキサイド、ラクトン、または、例えば、環状酸無水物だけでなく、式(III)のエポキシ官能性アルコキシシランも、開始剤化合物の機能を果たすポリエーテルシロキサン系のOHを有しシロキサンに結合した、または遊離した、ポリエーテルに開環付加できることが分かっており、
【化8】

式中、指数a、bおよびc、ならびにR基は、式(Ia)について定義された意味を有し、pは差4−a−bに相当する整数である。
【0045】
エポキシ官能性化合物、ラクトン、グリシジル化合物および/または環状酸無水物は、単独で使用されても、または互いに必要に応じて混合して使用されてもよい。
【0046】
式(III)のこのようなエポキシド置換アルコキシシランの非網羅的な選択は、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビス(3−グリシジルオキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(3−グリシジルオキシプロピル)ジエトキシシラン、3−グリシジルオキシヘキシルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシヘキシルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシランを包含する。pが1である式(III)の化合物が特に非常に好ましい。
【0047】
本発明によるアルコキシル化は非常に選択的であるため、シロキサン骨格は保持され、シロキサン化合物に特徴的な加水分解および架橋反応が回避される。DMC触媒を用いたアルコキシル化にモノマーとしてエポキシ官能性アルコキシシランを使用することは、これまで、アルコール、ポリエーテルオール、およびフェノール成分などの純粋な有機連鎖開始剤の使用についてしか知られておらず、先行公開公報ではない独国特許出願第10 2008 000360.3号に記載されている。
【0048】
架橋性ポリエーテルシロキサンを製造するためのDMC触媒を用いたアルコキシル化において、式(III)のエポキシ官能性アルコキシシランを、必要により、一般式(IV)のアルキレンオキサイドと任意の添加順序で順次または混合して使用することができ、
【化9】

式中、RまたはRおよびRまたはRは同一であるか、または、各々、互いに独立して、H、または、飽和、もしくは、場合によっては一不飽和もしくは多不飽和、さらにまた置換されている、場合によっては1価もしくは多価の炭化水素基であり、ここで、R基およびR基は、各々、1価の炭化水素基である。炭化水素基は、フラグメントYで脂環式架橋されていてもよく;Yは、存在しなくてもよいし、または1個もしくは2個のメチレン単位を有するメチレン架橋であってもよく;Yが0の場合、RおよびRは、各々、互いに独立して、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖状または分枝状の基、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、もしくはブチル基、ビニル基、アリル基またはフェニル基である。好ましくは、式(IV)の2つの基、RまたはRのうちの少なくとも1つが水素である。特に好ましいアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−または2,3−ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1,2−ドデセンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド(ここで、R−Rは、−CHCHCHCH−基であり、Yは、従って−CHCH−である)またはビニルシクロヘキセンオキサイドまたはこれらの混合物である。式(IV)中の炭化水素基RおよびRはさらに置換されていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシル基またはグリシジルオキシプロピル基などの官能基を有してもよい。このようなアルキレンオキサイドには、エピクロロヒドリンおよび2,3−エポキシ−1−プロパノールが包含される。
【0049】
同様に、一般式(V)
【化10】

(式中、少なくとも1つのグリシジルオキシプロピル基は、エーテル部分またはエステル部分により炭素原子数1〜24の直鎖状または分枝状アルキル基R、芳香族基または脂環式基に結合している)
のグリシジルエーテルおよび/またはグリシジルエステルなどのグリシジル化合物を、式(III)で表されるエポキシド官能性アルコキシシランと組み合わせて、場合によっては式(IV)のアルキレンオキサイドに加えて使用することができる。この種類の化合物には、例えば、アリル、ブチル、2−エチルへキシル、シクロヘキシル、ベンジル、C12/C14−脂肪アルコール、フェニル、p−tert−ブチルフェニルおよびo−クレジルグリシジルエーテルが包含される。好ましいグリシジルエステルとしては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートおよびグリシジルネオデカノエートがある。同様に、1,2−エチルジグリシジルエーテル、1,4−ブチルジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキシルジグリシジルエーテルなどの多官能性エポキシド化合物を使用することもできる。
【0050】
本発明に従って使用することができるエポキシド基を有する式(III)のアルコキシシランを、場合によっては式(IV)および(V)の他のエポキシドと組み合わせて、DMC触媒を用いたアルコキシル化の条件下で、式(VI)、
【化11】

(式中、nは、2〜8の整数であり、RおよびRは、互いに独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基である)
のラクトンと混合して開環重合により共重合させ、アルコキシシラン基を含有しポリエーテルフラグメント中にエステル官能基を有する架橋性ポリエーテルシロキサンを生成することもできる。これに関して使用できる好適なラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、およびγ−ブチロラクトン、ならびに様々なラクトンの混合物がある。コモノマーとしてε−カプロラクトンを使用することが好ましい。アルコキシル化法で、各エポキシドモノマーとラクトンモノマーを任意の順序で、かつ様々な量で順次、または並行して共重合させ、個々のモノマーの構成ブロックのブロック状のまたはランダムな配列を有するポリエーテルエステルを生成することができる。
【0051】
ラクトンの代替としてまたはラクトンに加えて、本発明に従って使用可能なエポキシド基を有する式(III)のアルコキシシラン、および場合によっては式(IV)および(V)の他のエポキシドの他に、式(VII)および(VIII)の飽和、不飽和または芳香族環状ジカルボン酸無水物をコモノマーとして、DMC触媒を用いたアルコキシル化の条件下で使用することもできる
【化12】

(式中、R、R10、R11およびR12は、互いに独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基である)。炭化水素基は、フラグメントZで脂環式架橋または芳香族架橋されていてもよく、ここで、Zは、2価のアルキレン基であってもまたはアルケニレン基であってもよい。好ましい環状酸無水物は、無水コハク酸、無水コハク酸オクチル(オクテニル)、無水コハク酸デシル(デセニル)、および無水コハク酸ドデシル(ドデセニル)、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ジヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸および無水メチルテトラヒドロフタル酸である。アルコキシル化プロセス中、各酸無水物モノマーを任意の順序で、かつ様々な量で順次またはエポキシド供給原料と並行して開環共重合させ、ポリエーテルエステルを生成してもよい。また、式(VII)および式(VIII)の酸無水物の混合物を使用してもよい。
【0052】
二酸化炭素の存在下でエポキシ官能性アルコキシシランを、場合によっては他のエポキシド化合物またはコモノマーの存在下でアルコキシル化する場合、ポリエーテル鎖に二酸化炭素を挿入することによって、カーボネート基で変性されたポリエーテル置換またはポリエーテルエステル置換ポリエーテルシロキサンを製造することができる。このような反応は、好ましくは、オートクレーブ反応器内で、過圧下で、かつ二酸化炭素下で行われる。カーボネート含有量は可変であり、例えば、反応中の温度および圧力条件を選択することによって制御することができる。
【0053】
適した連鎖開始剤は、式(IX)のSiC結合したポリエーテルシロキサンおよびその混合物であり、これらは、通常、対応する水素シロキサンと末端が不飽和の(例えば、アリルアルコールをベースにする)ポリエーテルとの貴金属触媒を用いたヒドロシリル化反応によって工業的に製造され、ポリエーテルフラグメントに結合したヒドロキシル基を少なくとも1個有する。このようなポリエーテルは、従来技術による事前の別々のアルコキシル化法で、通常はアルカリ触媒、酸触媒、またはDMC触媒を用いてアリルアルコールをアルキレンオキサイドおよび場合によっては追加のモノマーでアルコキシル化することにより製造される。
【化13】

[式中、
は、必要に応じて、X、XまたはXであり、
は、必要に応じて、Xまたは式(IXd)のフラグメントに対応し、
【化14】

は、OH官能性の、場合によってはエステルまたはカーボネートで変性された式(IXa)のポリオキシアルキレン基であり、
【化15】

式中、指数k、k、k、l、l、l、l、l、lおよびo、c、e、f、g、h、i、jおよびn、並びにフラグメントX、X、同様にR〜R14基、並びにYおよびZは、式(I)または(Ia)について前述した意味を有し、
但し、ポリエーテル鎖中の指数e、f、g、h、iおよびjで示されるフラグメント、ならびに、シロキサン骨格中の指数k、k、k、l、l、l、l、l、lおよびoで示されるものは、互いに自由に並べ替えられてもよく、即ち、鎖内の配列が互いに入れ替えられてもよく、ブロック状に配列されていてもよく、またはランダムに分布していてもよく、式(IX)で記載されるポリエーテルシロキサンは、本方法の結果として存在し得る副生成物、例えば、遊離した(free)過剰のポリエーテルまたは転位生成物を含み、
e、f、g、h、iおよびjの数値は、式(Ia)中のこれらの指数の値以下である。]
【0054】
最も簡単な場合、式(IX)のシリコーンポリエーテルは、本発明の方法により、DMC触媒の存在下、櫛型のまたは側鎖のポリオキシアルキレン鎖のOH末端において、式(IX)の分子1個当たり式(III)のエポキシ官能性アルコキシシランを少なくとも1個添加することによって連鎖延長される、即ち、ポリエーテルの末端が少なくとも1個の架橋性アルコキシシリル基の分だけ延長される。シロキサン骨格に結合していない遊離OH官能性ポリエーテルが工業用ポリエーテルシロキサン中に連鎖開始剤と混合して存在する場合、これらもその反応条件下でアルコキシシリル官能化される。
【0055】
本発明の方法では、低分子量ヒドロキシ官能性不飽和化合物を使用するヒドロシリル化により官能化され、異性化された過剰の出発物質がその後の蒸留によって除去されたシロキサンを使用することにより、比較的高純度の最終生成物が得られる。これらの高純度シロキサンをアルコキシル化での開始剤として使用すると、シロキサン非含有副成分を含まない純粋なアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンが得られる。
【0056】
本発明に従って請求される方法では、シラノール、例えば、直鎖状ポリジメチルシロキサンジオールまたはそれをベースにする式(X)のSiOC結合ポリエーテルシロキサンを、エポキシ官能性アルコキシシランおよび場合によっては他のモノマーとDMC触媒の存在下で反応させて、シリル基を有する式(II)のポリエーテルシロキサンを生成する際の合成の自由度が確保される。
【化16】

式中、
R’およびmは、式(II)中の意味に対応し、
は、水素であるか、または式(Xa)のポリエーテルフラグメントに対応し、
【化17】

式中、
指数e、f、g、h、i、jおよびn、ならびにR基〜R12基ならびにY基およびZ基は、式(II)について前述した意味を有するが、但し、
ポリエーテル鎖中の指数e、f、g、h、i、およびjで示されるフラグメントは、互いに自由に並べ替られえてもよく、即ち、鎖内の配列が互いに入れ替えられてもよく、ブロック状に配列されていてもよく、またはランダムに分布していてもよく、
式(X)で記載されるポリエーテルシロキサンは、本方法の結果として存在し得る副生成物、例えば、転位生成物を含み、
e、f、g、h、i、およびjの数値は、式(II)中のこれらの指数の値以下である。
【0057】
特に、式(X)(X=H)の市販の短鎖シラノールは、縮合により生成した環状シロキサン種、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンを副成分として含有し得る。これらのシロキサン環は、反応性SiOH基を有しておらず、従って、DMC触媒の存在下における本発明によるアルコキシル化反応で不活性である。存在するこのような環状シロキサン化合物は、要求または所望のアルコキシル化生成物の適用分野に応じて、系中に残存してもよく、または、例えば、簡単な減圧蒸留により全部または部分的に除去されてもよい。蒸留による環状シロキサン種の除去は、アルコキシル化の前に行ってもまたはアルコキシル化の完了後に行ってもよい。
【0058】
式(X)の工業的に製造された短鎖シラノールは、特に、他の典型的な縮合生成物として低濃度の水を含有する可能性がある。シラノール中で水の濃度が、例えば、0.3%を超える極めて高い値に達した場合、DMC触媒の添加前およびアルコキシル化の開始前に、減圧蒸留によりシラノール開始剤から水の少なくとも一部を除去することが有利な可能性があるが、この理由は、それが複合金属シアン化物の触媒活性に対して阻害効果を有し得るだけでなく、アルコキシル化中にアルコキシル基の加水分解反応、および、従って望ましくない架橋反応を引き起こし得るからである。シランジオール開始剤中の水の含有量が非常に低いことが望ましい。反応を迅速に開始させるために、かつアルコキシル化中の加水分解のリスクを回避するために、DMC触媒およびエポキシ官能性アルコキシシランを添加する前にシランジオール開始剤中に存在し得る水を蒸留により除去することが有利である。
【0059】
式(IX)および(X)の化合物をエポキシ官能性アルコキシシラン、および場合によっては他のモノマーと一緒に必要に応じて混合して、本発明の方法によりアルコキシル化してもよい。
【0060】
本発明に従って請求される方法に使用される複合金属シアン化物触媒(DMC触媒)の製造およびアルコキシル化触媒としてのその使用は、1960年代から知られており、例えば、米国特許第3,427,256号、米国特許第3,427,334号、米国特許第3,427,335号、米国特許第3,278,457号、米国特許第3,278,458号、または米国特許第3,278,459号に記載されている。後年に開発され、例えば、米国特許第5,470,813号および米国特許第5,482,908号に記載されているさらにより有効なタイプのDMC触媒としては、特に、亜鉛コバルトヘキサシアノ錯体が挙げられる。それらは活性が極めて高いため、ポリエーテルオールの製造に必要な触媒濃度が非常に低く、そのため従来のアルカリ触媒に必要なアルコキシル化法の終わりの一連の工程(中和、沈殿、およびろ過による触媒の除去を含む)なしで行うことができる。
【0061】
従来技術は、複合金属シアン化物触媒を用いた触媒を使用する様々なアルコキシル化法について言及している。この点で、例えば、欧州特許出願公開第A1−1 017 738号、米国特許第5,777,177号、欧州特許出願公開第A1−0 981 407号、国際公開第2006/002807号および欧州特許出願公開第A1−1474464号を参照してもよい。
【0062】
本発明の方法に従ってアルコキシル化反応を開始するために、式(IX)または(X)の1種類以上のOH官能性開始剤化合物またはその混合物および複合金属シアン化物触媒(場合によっては、予め懸濁媒体中でスラリー化されていてもよい)を含む開始剤混合物を反応器に入れる。懸濁媒体として、ポリエーテルもしくは不活性な溶媒、または有利には、1種類以上の開始剤化合物、あるいはこれらの成分の混合物を使用してもよい。式(III)、(IV)または(V)のエポキシド化合物の少なくとも1つを最初に投入した開始剤混合物に添加する。アルコキシル化反応を開始するために、および複合金属シアン化物触媒を活性化するために、最初は、導入されるエポキシドの総量の一部しか通常は添加されない。開始段階では、開始剤混合物中のエポキシド対開始剤の反応基、特に、OH基のモル比は、好ましくは0.1〜100:1、特に好ましくは0.2〜60:1、特に0.4〜40:1である。エポキシドの添加前に、存在し得る反応阻害物質、特に、水を反応混合物から例えば、蒸留により除去することが有利となり得る。
【0063】
発熱反応の開始は、例えば、圧力および/または温度を監視することによって検出できる。反応器内の圧力の急低下は、気体のアルキレンオキサイドの場合、アルキレンオキサイドが組み込まれ、従って、反応が開始し、開始段階の終わりに達したことを示す。非気体グリシジルエーテル/エステルまたはエポキシ官能性アルコキシシランの場合、反応の開始は熱の発生によって示される。
開始段階の後、即ち、反応の開始後、目標のモル質量に応じて、他の開始剤化合物を他のエポキシドと一緒に、または他のエポキシドだけを導入する。代わりに、式(III)、(IV)および(V)の異なるエポキシドの任意の混合物を添加してもよい。また、本発明に従って使用することができる式(III)、(IV)および(V)のエポキシドモノマーを、順次、任意の順序で添加してもよい。例えば、反応混合物の粘度を低下させるため、不活性溶媒中で反応を行ってもよい。適した不活性溶媒は、炭化水素、特に、トルエン、キシレン、またはシクロヘキサンである。
本発明の生成物では、導入されたエポキシド(出発段階で既に添加されたエポキシドを含む)の合計の、使用した開始剤化合物に基づくモル比、特に使用した開始剤化合物のOH基の数に基づくモル比は、好ましくは1〜10:1、特に1〜10:1である。
【0064】
エポキシド化合物の付加反応は、好ましくは60〜250℃の温度で、特に好ましくは90〜160℃の温度で行われる。アルコキシル化を行う圧力は、好ましくは0.02bar〜100bar(絶対圧力)、特に好ましくは0.05bar〜20bar(絶対圧力)、特に0.2bar〜2bar(絶対圧力)である。減圧でアルコキシル化を行うことによって、反応を非常に安全に行うことができる。適切な場合、アルコキシル化は、不活性ガス(例えば、窒素)の存在下で、あるいは、ポリエーテルカーボネートを製造するために二酸化炭素の存在下で、好ましくは1〜20bar(絶対圧力)の過圧で行ってもよい。
【0065】
エステル変性ポリエーテルの製造に使用できるラクトン(VI)または環状酸無水物(VII)および(VIII)は、開始剤/触媒混合物に開始段階の始めに添加されてもよく、または、後の時点でエポキシドと並行して導入されてもよい。また、前述のコモノマーの反応器への導入をエポキシドの導入と交互に行ってもよい。
エポキシドモノマー対環状酸無水物のモル比は変えることができる。通常、酸無水物に基づいて少なくとも等モル量のエポキシドモノマーが使用される。酸無水物の完全な変換を確実にするために、エポキシドをモル過剰で使用することが好ましい。
アルコキシル化中、エポキシドモノマーに基づいて化学量論的に少ない量でまたは化学量論的に過剰な量でラクトンを添加してもよい。
【0066】
シリル基を有するカーボネート変性ポリエーテルシロキサンを製造するために、気体の二酸化炭素またはドライアイスとして導入される固体の二酸化炭素の存在下でアルコキシル化を行う。二酸化炭素ガスを使用することが好ましく、二酸化炭素ガスは、開始剤とDMC触媒とからなる系に反応の開始前に、即ち初期化段階で導入されてもよく、エポキシドモノマーおよび場合によっては他のコモノマーが供給される後の段階で導入されてもよい。最終生成物のカーボネート含有量を増加させるために、反応中、二酸化炭素消費量に応じて、さらに二酸化炭素を連続的にまたは幾つかに分けて供給することが有利であるが、二酸化炭素消費量はオートクレーブ内の圧力低下から分かる。反応は、好ましくは、100bar未満、特に好ましくは20bar未満の圧力で行われる。
【0067】
モノマーの添加、および、モノマー変換を完全にするために行われる可能性がある後反応の後、未だ存在する残りの未反応のモノマーおよび場合によっては他の揮発性成分を、通常は減圧蒸留、ガスストリッピングまたは他の脱臭法で除去する。揮発性の副成分の除去は、バッチ式に行ってもまたは連続的に行ってもよい。DMC触媒に基づく本発明の方法では、ろ過は、通常、省略される。
【0068】
方法の工程は、同一の温度で行ってもまたは異なる温度で行ってもよい。反応の始めに反応器に入れられる開始剤、DMC触媒、および場合によっては懸濁媒体からなる混合物を、国際公開第98/52689号の教示に従って、モノマーの導入を開始する前にストリッピングにより前処理してもよい。この場合、反応器への供給ラインで不活性ガスを反応混合物に導入し、反応器系に接続された真空装置を用いて減圧することにより揮発性成分を反応混合物から除去する。この簡単な方法で、触媒を阻害し得る物質、例えば、低級アルコールまたは水を反応混合物から除去することができる。不活性ガスの添加およびそれと同時に揮発性成分の除去を、特に、反応の開始時に行うことが有利な可能性があるが、その理由は、反応物質の添加により、または副反応の結果として、阻害化合物も反応混合物中に入る可能性があるからである。
【0069】
DMC触媒として、既知の全てのDMC触媒、好ましくは亜鉛とコバルトを含有するもの、より好ましくはヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛を含むものを使用することができる。米国特許第5,158,922号、米国特許出願公開第2003−0119663号、国際公開第01/80994号または前述の文献に記載のDMC触媒を使用することが好ましい。触媒は非晶質であってもまたは結晶であってもよい。
反応混合物中の触媒濃度は、好ましくは、>0〜1000wppm(質量ppm)、好ましくは>0〜300wppm、特に好ましくは0.1〜200wppm、特に非常に好ましくは1〜50wppmである。この濃度は、生成したアルコキシシリル変性ポリエーテルシロキサンの総質量に基づく。
触媒は、好ましくは、反応器に一度しか導入されない。触媒の量は、本方法に十分な触媒活性が得られるように調整される。触媒は、固体として導入されてもまたは触媒懸濁液の形態で導入されてもよい。懸濁液を使用する場合、式(IX)または(X)の開始剤は懸濁媒体として特に適している。しかし、好ましくは、懸濁液を使用せずに行われる。
【0070】
出発物質の導入時に、化学反応に関与する物質、即ち、エポキシドモノマー、開始剤、DMC触媒、および、適切な場合には懸濁媒体またはコモノマー(ラクトン、酸無水物、または二酸化炭素など)がよく分散していることが必要である。
【0071】
本発明に従って請求される反応の反応器として、原則的に、反応および起こり得る熱の発生を制御できる全ての適した種類の反応器を使用することができる。反応は、連続的に、半連続的にまたはバッチ式に、プロセス工学で既知の方法で行うことができ、使用可能な製造設備に柔軟に適合させることができる。従来の撹拌式タンク型反応器の他に、国際公開第01/062826号に記載のような、気相および内部熱交換管を有するジェットループ型反応器を使用することもできる。さらに、気相を含まないループ型反応器を使用することもできる。
【0072】
2)アルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルの水素シロキサンへのヒドロシリル化結合
従来技術に従って、ヒドロシリル化反応によりSiH基を有するシロキサンを不飽和ポリエーテルに、例えば、ビニルアルコールまたはアリルアルコールの誘導体に付加して、SiC結合ポリエーテルシロキサン共重合体を製造する。多数の文献の中で、欧州特許第1 520 870号、欧州特許第0 075 703号、米国特許第3,775,452号、および欧州特許第1 031 603号を挙げることができる。
【0073】
不飽和ポリエーテルとして、これまで、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドをベースにする、極めて稀に他のエポキシド化合物またはコモノマー(ラクトンなど)をベースにするアルコキシル化生成物が使用されてきた。
【0074】
意外なことに、加水分解や架橋を受けやすい傾向があるアルコキシシリル基を有する反応性不飽和ポリエーテルさえも、アルコキシル基またはシロキサン骨格の望ましくない副反応を生じることなく、ヒドロシリル化反応を受けることができることが分かった。簡単なヒドロシリル化の経路によってアルコキシシリル官能性、従って硬化性のポリエーテルシロキサン構造を得ることができる方法が初めて使用可能となった。
【0075】
本発明に従って使用できる水素シロキサンは、式(XI)の化合物およびその混合物であり、
【化18】

式中、
11は、必要に応じて、XまたはHであり、
12は、必要に応じて、X11または式(XIa)のフラグメントに対応し、
【化19】

式中、
指数k、k、k、およびoは、式(I)について前述した意味を有し、
l、l、lは、各々、互いに独立して、0〜120、好ましくは0〜60、特に0〜50の整数であり、
但し、l、lおよびlの合計が0のとき、X11は少なくとも1回は水素であり、
但し、X11がXのとき、l、lおよびlの合計は少なくとも1である。
【0076】
従来技術において欧州特許出願公開第A1−1 439 200号および未公開の独国特許出願第10 2007 055485.2号に記載のように、このような水素シロキサンを製造することができる。欧州特許出願公開第A1−1 439 200号の開示は、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。
【0077】
ヒドロシリル化反応に適した触媒は、例えば、元素の周期表の第8族〜第10族のd遷移金属元素の触媒、特に、ヘキサクロロ白金酸、シスプラチナ(cis-platinum)、ビス(シクロオクテン)白金ジクロライド、カルボプラチナ(carbo-platinum)、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、既知のKarstedt触媒、または様々なオレフィンと錯体化した白金(0)錯体などの白金化合物である。他の適した触媒は、原則的に、ロジウム化合物、イリジウム化合物、およびルテニウム化合物、例えば、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロライド、またはトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(II)ジクロライドである。本発明の方法の目的に好ましい触媒は、白金(0)錯体であり、例えば、欧州特許出願公開第A−1 520 870号に記載のように製造された修飾または未修飾Karstedt触媒が特に好ましい。
水素シロキサンに使用される反応相手は、未公開の独国特許出願第10 2008 000360.3号に記載のアルコキシル化法により、式(XII)の開始剤化合物
−H (XII)
およびその混合物から、式(III)のエポキシ官能性アルコキシシランを使用してアルコキシル化することによって得られ、ヒドロシリル化できる少なくとも1つの不飽和官能基および少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基(Hはアルコールまたはフェノール化合物のOH基に属する)を含有する全ての化合物であってもよい。炭素−炭素二重結合および三重結合を含有する化合物、とりわけ、不飽和基が末端位にあるものが、ヒドロシリル化に適している。独国特許出願公開第102008000360.3号に記載のように得られるアルコキシシリル基を有するアルコキシル化生成物を個々にまたは互いに必要に応じて混合して、ヒドロシリル化することにより式(I)の本発明によるSiC結合ポリエーテルシロキサンに転化することができる。他のヒドロシリル化可能な、好ましくは同様にアルコキシシリル官能性化合物を反応混合物に添加することもできる。これらの化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシランなどのビニルシラン化合物、または官能基を有する他の成分、例えば、アリルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0078】
は、一不飽和または多不飽和、分枝状または非分枝状脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素基に対応し、あるいは炭素鎖が酸素原子によって中断されていてもよいアルコキシ基、アリールアルコキシ基またはアルキルアリールアルコキシ基の種類の不飽和ポリエーテル基である。開始剤化合物として使用できるアルコキシ基、アリールアルコキシ基またはアルキルアリールアルコキシ基を有するポリエーテル基の鎖長は、自由に選択することができる。ポリエーテル基、アルコキシ基、アリールアルコキシ基またはアルキルアリールアルコキシ基は、好ましくは、炭素原子数1〜1500、特に好ましくは炭素原子数2〜300、特に炭素原子数2〜100である。
【0079】
OH官能性開始剤化合物R−H(XII)として、18〜10000g/mol、特に150〜2000g/molのモル質量を有し、かつ1〜8個、好ましくは1〜4個のヒドロキシル基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0080】
式(XII)の化合物の例として、アリルアルコール、5−ヘキセン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、トリメチロールプロパンのモノアリルエーテルおよびジアリルエーテル、グリセロール、およびペンタエリスリトール、1,4−ブチンジオール、および、例えば、プロパルギルアルコールならびにそれらのアルコキシル化生成物を挙げることができる。
【0081】
DMC触媒を用いたアルコキシル化によって予め製造された1〜8個のヒドロキシル基および50〜2000g/molのモル質量を有する低分子量の不飽和ポリエーテルオールが開始剤化合物として有利に使用される。
【0082】
ワンポット法(one-pot process)または供給流法(feed stream process)で、一段階または多段階でヒドロシリル化反応を行ってもよい。反応物を相溶化するために、または高粘度乃至固体の反応物の取り扱いを簡単にするために、トルエンまたはキシレンなどの溶媒中で反応を行ってもよい。同様に、溶媒の非存在下で乳化重合の形態で反応を行ってもよい。工業的にはヒドロシリル化は、撹拌式容器内で従来のバッチ法として、または、例えば、欧州特許第1 013 701号に記載のように連続法で行ってもよい。
【0083】
ヒドロシリル化触媒は、固体としてまたは溶解した形態で反応混合物にまたは反応物の1つに導入されてもよい。使用される触媒の量は、1〜500ppm、好ましくは1〜100ppm、特に1〜30ppmの範囲である。
【0084】
20〜200℃、好ましくは40〜150℃、特に好ましくは60〜120℃の範囲の温度でヒドロシリル化を行ってもよい。シロキサンに結合した水素の体積測定をすることにより反応変換を監視してもよい。この場合、反応混合物のサンプルをアルカリ溶液中で分解し、遊離した水素をガスビュレットで測定する。
【0085】
ヒドロシリル化によって得られる生成物は、使用する出発物質に応じて透明のこともあればまたは乳白色のこともある。粘度は1〜100000mPas、好ましくは1〜50000mPas、特に好ましくは1〜20000mPasの範囲である。
【0086】
本発明のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンは、アルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを使用して製造される硬化性組成物の製造に適している。
【0087】
本発明は、さらに、界面活性剤、接着剤、シーラントおよび結合剤、充填剤、助剤および添加剤、乳化剤、湿潤剤および分散剤、ポリマー添加剤、表面コーティング用のレベリング剤、潤滑剤として、三次石油回収用の助剤として、繊維、ヤーンまたはシート状のテキスタイル製品を柔軟化するためのテキスタイル助剤として、消泡剤として、化粧品添加剤として、および泡安定剤(特に、ポリウレタンフォームの)として使用されるアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを含有する組成物を提供する。
【0088】
本発明は、さらに、コーティング、プラスチックの押出、接着、ポリマーの安定化、湿潤、消泡、乳化、分散および/または表面改質に適した方法に使用されるアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを含有する(場合によっては、溶媒中に溶解された)組成物を提供する。
【0089】
本発明の他の対象は特許請求の範囲に記載されており、その開示内容は参照により全体が本明細書に援用される。
【0090】
本発明のシリル基を有するポリエーテルシロキサンおよび対応するそれらの製造方法を下記に例として記載するが、本発明はこれらの例示的実施形態に限定されるものではない。
以下に範囲、一般式、または化合物の種類を示す場合、これらは、明記される各範囲または化合物の群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を取り出すことによって得ることができる全ての部分範囲および化合物の部分群も包含する。
【0091】
実験的部分:
下記に示す実施例で本発明を例として記載するが、本発明の範囲は明細書全体および特許請求の範囲によって定められ、本発明は実施例に記載される実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0092】
1)複合金属シアン化物触媒によるエポキシ官能性アルコキシシランを用いたシリコーンポリエーテル共重合体またはポリシロキサンのアルコキシル化
Deutsche Gesellschaft fuer Fettwissenschaft(DGF)の分析法C−V 17A(98)に準拠して低温アセチル化法によりOH価を求めた。このようにして求めたOH価から平均モル質量を算出した。水酸化ナトリウムでの逆滴定の原理により濃HClの存在下で最終生成物のエポキシド酸素含有量を求めた。
【0093】
実施例1.1:
800g/molの平均モル質量を有し、エチレンオキサイド単位を64重量%およびプロピレンオキサイド単位を36重量%含むOH末端アリルポリエーテルを過剰量使用して従来技術に従って水素シロキサンをヒドロシリル化することにより予め製造された、k=27、l=5、l=o=0、X=X=メチルの構造を有する式(IX)のポリエーテルシロキサンを連鎖開始剤として使用する。
このポリエーテルシロキサン550gおよびヘキサシアノコバルト酸亜鉛DMC触媒0.071gを窒素下で3リットルのオートクレーブに入れ、撹拌しながら130℃に加熱する。存在し得る揮発性成分を蒸留により除去するため、反応器を真空排気して内部圧力30mbarにする。DMC触媒を活性化させるため、プロピレンオキサイド40.0g分を導入する。15分後および反応の開始(反応器の内部の圧力低下)後に、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)GLYEO)166.8gを130℃、および反応器内の最大内部圧力0.2bar(絶対圧力)で1時間にわたって連続的に供給する。130℃で1時間、後反応させた後、脱気工程を行う。ここで、揮発性成分を減圧下で留去する。完成した中程度の粘度を有し無色のポリエーテルシロキサン共重合体を80℃未満に冷却し、反応器から排液する。
僅かに黄色がかった生成物は、ポリエーテルシロキサン1分子当たり、それぞれ末端がトリエトキシシリル官能化されており、SiC結合によりシロキサン骨格に結合しているポリエーテル鎖を平均5個含有する。OH価は、39mgKOH/gである。最終生成物中に、遊離エポキシド基を検出することはできない。
【0094】
実施例1.2:
従来技術に従ってヘキサノールで水素シロキサンをヒドロシリル化することにより予め製造された、k=25、l=5、l=o=0、X=メチル、X=−(CH−OHの構造を有する式(IX)の直鎖状ポリエーテルシロキサンを連鎖開始剤として使用する。
このポリエーテルシロキサン200gおよびヘキサシアノコバルト酸亜鉛DMC触媒0.027gを窒素下で還流冷却器を備えた1リットルのガラスフラスコに入れ、撹拌しながら130℃に加熱する。存在し得る揮発性成分を蒸留により除去するため、反応器を真空排気して内部圧力30mbarにする。DMC触媒を活性化させるため、最初の3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)GLYEO)10.0g分を導入する。15分後、DYNASYLAN(登録商標)GLYEOをさらに88.4g、130℃で1.5時間にわたって連続的に供給する。その後、1,2−エポキシブタン28.8gを130℃で穏やかに還流しながら1.5時間にわたって添加する。1時間、後反応させた後、エポキシブタンは全て反応し、還流はもはや観察されない。揮発性成分を130℃で、減圧下で留去する。
完成した低粘度で幾分濁ったポリエーテルシロキサン共重合体は、ポリエーテルシロキサン1分子当たり、それぞれトリエトキシシリル官能化され、エポキシブテンブロックでキャップされている末端の短いポリエーテル鎖を平均2個含有する。OH価は、49.6mgKOH/gである。最終生成物中に、遊離エポキシド基を検出することはできない。
【0095】
実施例1.3:
1300g/molの平均モル質量を有し、エチレンオキサイド単位を18重量%およびプロピレンオキサイド単位を82重量%含むOH末端アリルポリエーテルを過剰量使用して従来技術に従って水素シロキサンをヒドロシリル化することにより予め製造された、k=40、l=5.5、l=o=0、X=X=メチルの構造を有する式(IX)のポリエーテルシロキサンを連鎖開始剤として使用する。
このポリエーテルシロキサン385.4gおよびヘキサシアノコバルト酸亜鉛DMC触媒0.045gを窒素下で3リットルのオートクレーブに入れ、撹拌しながら130℃に加熱する。存在し得る揮発性成分を蒸留により除去するため、反応器を真空排気して内部圧力30mbarにする。DMC触媒を活性化させるため、プロピレンオキサイド36.0g分を導入する。35分後および反応の開始(反応器の内部の圧力低下)後に、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)GLYMO)65.9gを130℃、および反応器内の最大内部圧力0.4bar(絶対圧力)で30分間にわたって連続的に供給する。130℃で1時間、後反応させた後、脱気工程を行う。完成した中程度の粘度を有し実質的に無色のポリエーテルシロキサン共重合体を80℃未満に冷却し、反応器から排液する。
生成物は、ポリエーテルシロキサン1分子当たり、それぞれ末端がトリメトキシシリル官能化されているポリエーテル鎖を平均5.5個含有する。OH価は、27mgKOH/gである。最終生成物中に、遊離エポキシド基を検出することはできない。
【0096】
実施例1.4:
<500ppmの含水量を有する、m=200、R’=メチル、X=Hの構造で末端がSiOH官能性の式(X)のポリシロキサンを連鎖開始剤として使用する。
このポリシロキサン360.0gおよびヘキサシアノコバルト酸亜鉛DMC触媒0.064gを窒素下で3リットルのオートクレーブに入れ、撹拌しながら130℃に加熱する。存在し得る揮発性成分を蒸留により除去するため、反応器を真空排気して内部圧力30mbarにする。DMC触媒を活性化させるため、プロピレンオキサイド50.0g分を導入する。40分後および反応の開始(反応器の内部の圧力低下)後に、まずプロピレンオキサイドをさらに182g、次いで3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)GLYEO)22.0g、および最後にプロピレンオキサイドをさらに116g、130℃および反応器内の最大内部圧力0.3bar(絶対圧力)で2.45時間にわたって連続的に供給する。130℃で1.5時間、後反応させた後、脱気工程を行う。完成した粘性の幾分濁ったポリエーテルシロキサン共重合体を80℃未満に冷却し、反応器から排液する。
生成物は、ポリエーテルシロキサン1分子当たり、ブロック構造を有しそれぞれトリエトキシシリル官能化されており、SiCに結合よりシロキサン骨格に結合しているポリエーテル鎖を平均2個含有する。OH価は、2.6mgKOH/gである。最終生成物中に、遊離エポキシド基を検出することはできない。
【0097】
2)DMC触媒を用いてエポキシ官能性アルコキシシランで対応する不飽和開始剤化合物をアルコキシル化することによって予め得られた、アルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルのヒドロシリル化結合
実施例2.1:
ヘプタメチルトリシロキサン25g、および、これまで未公開の特許出願である独国特許出願第10 2008 000360.3号に記載の方法によって製造され、1350g/molの平均モル質量、28重量%のエチレンオキサイド含有量、30重量%のプロピレンオキサイド含有量、および42重量%のDynasylan(登録商標)GLYEO含有量、および平均2個のトリエトキシシリル基を有するアリルポリオキシアルキレン225gを、精密ガラス撹拌機、内部温度計および還流冷却器を備えた4つ口フラスコ中で撹拌しながら70℃に加熱する。欧州特許第1520870号に記載のように修飾された白金(0)触媒の形態の白金5ppmをシリンジで添加する。2.5時間後に気体の体積を測定することによって変換を定量する。僅かだけ濁った、黄色がかった生成物の粘度は717mPasである。
【0098】
実施例2.2
ヘプタメチルトリシロキサン25g、および、これまで未公開の特許出願である独国特許出願第102008000360.3号に記載の方法により製造され、1510g/molの平均モル質量、10重量%のエチレンオキサイド含有量、52重量%のプロピレンオキサイド含有量、および38重量%のDynasylan(登録商標)GLYEO含有量、および平均2個のトリエトキシシリル基を有するアリルポリオキシアルキレン252gを、精密ガラス撹拌機、内部温度計および還流冷却器を備えた4つ口フラスコ中で撹拌しながら70℃に加熱する。欧州特許第1520870号に記載のように修飾された白金(0)触媒の形態の白金5ppmをシリンジで添加する。2.5時間後に気体の体積を測定することによって変換を定量する。僅かだけ濁った、黄色がかった生成物の粘度は494mPasである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンまたはこのようなポリエーテルシロキサンの混合物。
【請求項2】
式(I)を有する請求項1に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンまたはこのようなポリエーテルシロキサンの混合物
【化1】

[式中、
Xは、場合によっては酸素、窒素、リンまたは硫黄などのヘテロ原子を含有してもよい、炭素原子数1〜20の直鎖状、環状、または分枝状、脂肪族または芳香族、飽和または不飽和の炭化水素基であり、
は、必要に応じて、X、XまたはXであり、
は、OH官能性の、場合によってはエステルまたはカーボネートで変性されている、アルコキシシリル基を有する式(Ia)のポリオキシアルキレン基であり、
【化2】

は、末端がエーテル化されている式(Ib)のポリオキシアルキレン基であり、
【化3】

式中、
13は、必要に応じて、炭素原子数1〜18のアルキル基であるか、または、一官能性カルボン酸で末端がエステル化されている式(Ic)のポリオキシアルキレン基であり、
【化4】

式中、
14は、OH基を有してもよい、炭素原子数1〜30の飽和または一不飽和もしくは多不飽和、直鎖状または分枝状、脂肪族または芳香族の炭化水素基であり、
は、Xまたは式(Id)のフラグメントに対応し、
【化5】

式中、
k、kおよびkは、各々、互いに独立して、0〜500の整数であり、
、l、l、l、lおよびlは、各々、互いに独立して、0〜60の整数であり、
oは、0〜10の整数であり、
但し、
は、l、lおよびlの合計がゼロである場合、少なくとも1回はXと同一であり、
がXと同一でない場合、l、lおよびlの合計は少なくとも1であり、
式中、
aは、1〜3の整数であり、
bは、0〜2の整数であり、
aとbの合計は、3であり、
cは、0〜24の整数であり、
は、0〜24の整数であり、
dは、1〜500の整数であり、
eは、0〜5000の整数であり、
nは、2〜8の整数であり、
f、g、h、iおよびjは、各々、0〜500の整数であり、
但し、指数d〜jを有するフラグメントは、互いに自由に並べ替えられてもよく、即ち、ポリエーテル鎖内の配列が互いに入れ替えられてもよく、指数d〜jを有するフラグメントの様々なモノマー単位は、ブロック状に配列されていてもよいし、またはランダムに分布していてもよく、
但し、指数k、k、k、l、l、l、l、l、lおよびoを有するフラグメントは、互いに自由に並べ替えられてもよく、即ち、シロキサン鎖内で互いに入れ替えられてもよく、場合によっては、ランダムに分布していてもよいし、またはブロック状に配列されていてもよく、
Rは、炭素原子数1〜20、特に1〜6の直鎖状もしくは分枝状、飽和、一不飽和もしくは多不飽和のアルキル基、または炭素原子数1〜20のハロアルキル基の中から選択される1つ以上の同一のまたは異なる基であり、
またはRおよびRまたはRは同一であるか、または、各々、互いに独立して、H、または、飽和、もしくは、場合によっては一不飽和もしくは多不飽和、さらに置換された、場合によっては1価もしくは多価の炭化水素基であり、ここで、R基およびR基は、各々、1価の炭化水素基であり、前記炭化水素基は、フラグメントYにより脂環式架橋されていてもよく;Yは、存在しなくてもよく、または1個もしくは2個のメチレン単位を有するメチレン架橋であり;Yが0の場合、RまたはRは、各々、互いに独立して、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖状または分枝状の基であり、さらに置換されていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシル基またはグリシジルオキシプロピル基などの官能基を有してもよく、
は、芳香族基または脂環式基に結合していてもよい炭素原子数1〜18の直鎖状または分枝状アルキル基であり、
およびRは、互いに独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基であり、
、R10、R11およびR12は、互いに独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、またはアラルキル基であり、前記炭化水素基は、フラグメントZで脂環式架橋または芳香族架橋されていてもよく、Zは、2価のアルキレン基であってもよいし、またはアルケニレン基であってもよい]。
【請求項3】
ポリエーテル鎖が、各々、SiC結合によりポリシロキサン主鎖に結合している、式(I)のアルコキシシリル官能基を有する請求項1または2に記載のポリエーテルシロキサンの形態の櫛型に分枝した共重合体。
【請求項4】
oが0(ゼロ)であり、l=l=0(ゼロ)、およびX=X=アルコキシシリルポリエーテル基である、請求項2に記載のSi−C結合を有する直鎖状ポリエーテル−シロキサン−ポリエーテルトリブロック共重合体。
【請求項5】
oが0(ゼロ)ではなく、l=l=0(ゼロ)、l=l=0(ゼロ)、およびX=X=アルコキシシリルポリエーテル基である、請求項2に記載のSi−C結合を有する分枝状ポリエーテル−シロキサン−ポリエーテルブロック共重合体。
【請求項6】
アルコキシシリル基を有するポリエーテル鎖がシロキサン体にSi−O−C結合により結合している、式(II)の直鎖状ポリエーテル−シロキサン−ポリエーテルトリブロック共重合体
【化6】

[式中、
R’は、1つ以上の同一のまたは異なる、炭素原子数1〜20の直鎖状または分枝状、飽和、一不飽和または多不飽和のアルキル基に対応し、
mは、0〜5000の整数であり、
は、式(IIa)のポリエーテルフラグメントに対応し、
【化7】

置換基R、R〜R12、Y基およびZ基、ならびに指数a、b、c、d、e、f、g、h、i、jおよびnは、式(Ia)の化合物について前述した定義に対応する]。
【請求項7】
ポリエーテルシロキサンまたはシラノールが、DMC触媒を用いてアルコキシシリル基を有するエポキシドでアルコキシル化されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびその混合物の製造方法。
【請求項8】
SiH基を有する水素シロキサンと、アルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルとを遷移金属触媒を用いてSiC結合させることによる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびその混合物の製造方法。
【請求項9】
前記シロキサン骨格を保持して行われる、請求項8に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンの製造方法。
【請求項10】
式(I)のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびその混合物が、
a)複合金属シアン化物触媒を用いたシリコーンポリエーテル共重合体のエポキシ官能性アルコキシシランでのアルコキシル化
および/または
b)DMC触媒を用いて対応する不飽和開始剤化合物をエポキシ官能性アルコキシシランでアルコキシル化することによって予め得られた、アルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルのヒドロシリル化結合
によって得られる、請求項7〜9のいずれか1項に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンの製造方法。
【請求項11】
複合金属シアン化物触媒を用いてシリコーンポリエーテル共重合体をエポキシ官能性アルコキシシランでアルコキシル化することによる、式(I)のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびその混合物を製造するための請求項10に記載の方法。
【請求項12】
DMC触媒を用いて対応する不飽和開始剤化合物をエポキシ官能性アルコキシシランでアルコキシル化することによって製造されるアルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルをヒドロシリル化結合することによる、式(I)のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびその混合物を製造するための請求項10に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種類のアルキレンオキサイド、グリシジル化合物、ラクトンおよび/または環状無水物または式(III)のエポキシ官能性アルコキシシラン
【化8】

(式中、指数a、bおよびc、ならびにR基は、式(Ia)について定義された意味を有し、pは、差4−a−bに相当する整数である)
を、開始剤化合物として機能する前記ポリエーテルシロキサン系のOHを有し、シロキサン結合を有するまたは遊離したポリエーテルに開環付加することを特徴とする、式(I)のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびその混合物を製造するための請求項10に記載の方法。
【請求項14】
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビス(3−グリシジルオキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(3−グリシジルオキシプロピル)ジエトキシシラン、3−グリシジルオキシヘキシルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシヘキシルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシランが、式(III)のエポキシド官能性アルコキシシランとして使用されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アルコキシシリル基を有する不飽和ポリエーテルを水素シロキサンとヒドロシリル化結合させることを特徴とする、式(I)のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンおよびその混合物を製造するための請求項10に記載の方法。
【請求項16】
式(XI)の水素シロキサンおよびその混合物
【化9】

[式中、
11は、必要に応じて、XまたはHであり、
12は、必要に応じて、X11または式(XIa)のフラグメントに対応し、
【化10】

式中、
k、k、k、およびoは、式(I)について前述した意味を有し、
l、l、lは、各々、互いに独立して、0〜120、好ましくは0〜60、特に0〜50の整数であり、
但し、l、lおよびlの合計が0のとき、X11は少なくとも1回は水素であり、但し、X11がXのとき、l、lおよびlの合計は少なくとも1である]
を特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを使用して製造されるポリマー物品。
【請求項18】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを使用して製造される硬化性組成物。
【請求項19】
界面活性剤、接着剤、シーラントおよび結合剤、充填剤、助剤および添加剤、乳化剤、湿潤剤および分散剤、ポリマー添加剤、表面コーティング用のレベリング剤、潤滑剤として、三次石油回収用の助剤として、繊維、ヤーンまたはシート状のテキスタイル製品を柔軟化するためのテキスタイル助剤として、消泡剤として、化粧品添加剤として、および泡安定剤、特にポリウレタンフォームの安定剤として使用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを含有する組成物。
【請求項20】
コーティング、プラスチックの押出、接着、ポリマーの安定化、湿潤、消泡、乳化、分散および/または表面改質に適した方法での使用のための、場合によっては溶媒中に溶解される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルコキシシリル官能性ポリエーテルシロキサンを含有する組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511067(P2012−511067A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538923(P2011−538923)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064678
【国際公開番号】WO2010/063531
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】