説明

アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物、アルコール保持発泡体、アルコール蒸気供給材及びアルコール保持体

【課題】従来のアルコール吸着体は、必要量のアルコールを吸着させようとすると食品保存用具全体のカサが大きくなってしまうという欠点がある。さらに、エタノールのゲル化力が弱く、食品保存用具の小型化、軽量化の点で問題がある。
【解決手段】下記重合体(A)を架橋してなる樹脂(Z)を含む吸液性樹脂(B)及び発泡剤(C)を含んでなるアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物であって、該(B)の160℃で剪断速度100sec-1における溶融粘度が100〜100,000Pa・sであり、かつ該(B)のイオン交換水に対する吸液量が10〜1,000g/gであるアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物。
重合体(A):構成単位(a)を(A)の重量を基準として20〜100重量%含有してなり、(A)のオニウムカチオン置換率が30〜100モル%である重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物、並びにそれから得られるアルコール保持発泡体、アルコール蒸気供給材及びアルコール保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール、特にエタノールに消毒、殺菌作用があることは古くから知られている。アルコールを保持するアルコール保持材としては、例えば二酸化ケイ素微粉末やバーミキュライトのような吸着物質にエタノールを吸着させた吸着体が知られており、これを食品とともに食品の包装材内に存在させることによって食品の変質、カビの発生、腐敗から守る方法に使用されている(例えば、特許文献1)。また、液体状のエタノール又はエタノールで濡れた状態のα澱粉、セルロース及び珪酸等の粉末等をエタノール蒸気透過性のフィルムからなる収納体に封入した食品保存用具(例えば、特許文献2)や、ゲル状のエタノールをエタノール蒸気透過性のフィルムからなる収納体に封入した食品保存用具(例えば、特許文献3)が知られている。さらに、不織布や紙等にアルコール等を含浸させた、いわゆる「ウェットティッシュ」が知られており、おしぼりや便座拭き用ティッシュペーパーとして使用される(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭55−2273号公報
【特許文献2】特公昭59−30072号公報
【特許文献3】特開平11−32743号公報
【特許文献4】特開昭63−40555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のアルコール吸着体は、カサ比重が比較的小さい吸着物質を用いており、さらにエタノールを吸着したとしても自重の数倍程度しかなく、必要量のアルコールを吸着させようとすると食品保存用具全体のカサが大きくなってしまうという欠点がある。また、液体状のエタノールやエタノールで濡れた状態の粉末をフィルム袋に封入した場合には、食品保存用具自身が柔らかく、変形するため取り扱い難く、感触、見た目が悪いという不都合がある。また、フィルム袋のシール不良や破袋が生じた場合にはエタノールが流出して食品に付着するといった問題もある。さらに、液体状のエタノールをフィルム袋に分包する作業は極めて困難で、シール不良を生じやすいという不都合もある。また、エタノールに対する吸収量が少ないためにエタノールのゲル化力が弱く、食品保存用具の小型化、軽量化の点で不満がある。ウェットティッシュ等では容器に収納されていても、使用時に容器を開閉する際に開口部から内部のアルコールが揮散して容器内のアルコール濃度が減少し、殺菌効果等が充分発揮できなくなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記状況に鑑み鋭意検討した結果、特定組成の重合体を含んでなる樹脂組成物は、成形加工しやすく、任意の大きさのアルコール保持発泡体が得られ、このアルコール保持発泡体はアルコール系溶媒の吸収量が極めて高いことを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記重合体(A)を架橋してなる樹脂(Z)を含む吸液性樹脂(B)及び発泡剤(C)を含んでなるアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物であって、(B)の160℃で剪断速度100sec-1における溶融粘度が100〜100,000Pa・sであり、(B)のイオン交換水に対する吸液量が10〜1,000g/gであるアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物であることを要旨とする。
重合体(A):カルボキシル基、スルホ基並びにこれらの官能基のプロトンがオニウムカチオン及び/又はアルカリ金属カチオンで置換された官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する構成単位(a)を(A)の重量を基準として20〜100重量%含有してなり、以下の式により示される(A)のオニウムカチオン置換率が30〜100モル%である重合体。
オニウムカチオン置換率(モル%)=[(A)中のオニウムカチオンのモル数]÷[(A)中のカルボキシル基、スルホ基並びにこれらの官能基のプロトンがオニウムカチオン及び/又はアルカリ金属カチオンで置換された官能基の合計のモル数]×100
また、本発明のアルコール保持発泡体は、このアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を溶融成形した後に、架橋して得られることを要旨とする。
また、本発明のアルコール蒸気供給材は、このアルコール保持発泡体と、水溶性アルコール又はこれと水との混合液を含有してなることを要旨とする。
さらに、本発明のアルコール保持体は、このアルコール蒸気供給材と、不織布、織布、紙、プラスチックフィルム及び金属フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つの基材とを含むことを要旨とする。
さらに、本発明のアルコール保持体は、このアルコール蒸気供給材を外装材に収納してなるアルコール保持体であって、外装材が不織布、紙、織物、プラスチックフィルム及び金属フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルコール透過性の基材を少なくとも一部に有する外装材であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物によれば、溶融成形した後に架橋することで、フィルム、繊維、発泡シート及び肉厚成形品等、任意の形状及び大きさのアルコール保持発泡体が得られる。
本発明のアルコール保持発泡体は、水溶性アルコール又は水の吸液量が著しく大きく、また吸液速度が早い。
本発明のアルコール蒸気供給材は、水溶性アルコール又は水の吸液量が著しく大きく、また吸液速度が早く、さらにアルコール蒸気を多量に供給できる。
本発明のアルコール保持体は、水溶性アルコール又は水の吸液量が著しく大きく、また吸液速度が早く、さらにアルコール蒸気を多量に供給できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、重合体(A)を架橋してなる樹脂(Z)を含む吸液性樹脂(B)及び発泡剤(C)を含んでなるアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物であって、(B)の160℃で剪断速度100sec-1における溶融粘度が100〜100,000Pa・sであり、(B)のイオン交換水に対する吸液量が10〜1,000g/gであるアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物である。
本発明において、重合体(A)は、カルボキシル基、スルホ基及びこれらの官能基のプロトンがオニウムカチオン又はアルカリ金属カチオンで置換された官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する構成単位(a)を含有する重合体であり、(A)を形成し得るモノマーを重合してなる重合体が含まれる。
オニウムカチオンとしては後述するオニウムカチオンを意味し、アルカリ金属カチオンとは、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオン等のアルカリ金属のカチオンを意味する。
【0008】
(a)を形成し得るモノマーとしては、カルボキシル基を有するモノマー、スルホ基を有するモノマー等が含まれ、これらの1種以上を重合することにより重合体(A)の構成単位(a)とすることができる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、炭素数3〜30のカルボキシル基を有するモノマーが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ケイ皮酸及びそれらの無水物等が挙げられる。
スルホ基を有するモノマーとしては、炭素数3〜30のスルホ基を有するモノマーが挙げられ、具体的には、ビニルスルホン酸{ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸及びスチレンスルホン酸等}、(メタ)アクリレート型スルホン酸{スルホエチル(メタ)アクリレート及びスルホプロピル(メタ)アクリレート等}並びに(メタ)アクリルアミド型スルホン酸{アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等}等が挙げられる。
【0009】
(a)を形成し得るモノマーとしては、モノマーの重合性の観点から、炭素数3〜30のカルボキシル基及び/又はスルホ基を有するモノマーが好ましく、さらに好ましくはカルボキシル基を有するモノマー、次にさらに好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0010】
なお、本発明において、(メタ)アクリルの記載は、アクリル及び/又はメタクリルの意味であり、(メタ)アクリレートの記載は、アクリレート及び/又はメタクリレートの意味であり、以下同様である。
また、ここで炭素数とは、モノマーが分子内に有する全ての炭素原子の数を意味する。
【0011】
上記の(a)を形成し得るモノマーのカルボキシル基及び/又はスルホ基のプロトンがオニウムカチオン及び/又はアルカリ金属カチオンで置換された化合物も(a)を形成し得るモノマーとして使用できる。
【0012】
また、構成単位(a)を含んだ重合体(A)としては、上記の構成単位(a)を形成し得るモノマーを所定量重合する方法の他に、例えば、カルボキシル基、スルホ基含有モノマーのエステル化物やアミド化物の様な、容易にカルボキシル基やスルホ基へと加水分解等の方法を用いて変更できるモノマーを重合し、加水分解等の方法を用いてカルボキシル基、スルホ基並びにこれらの官能基のプロトンがオニウムカチオン及び/又はアルカリ金属カチオンで置換された官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する構成単位を分子内に導入した重合体であってもよい。
【0013】
さらに、構成単位(a)を含んだ重合体(A)としては、カルボキシメチルセルロースに代表されるカルボキシル基含有及び/又はスルホ基含有多糖類並びに多糖類と上記(a)を形成し得るモノマー及び/又は加水分解により(a)を形成し得るモノマーに変更できるモノマーとのグラフト共重合体も含まれ、構成単位(a)を所定量含有する重合体であれば特に限定はない。
多糖類としては、デンプン及びセルロースが挙げられる。
デンプンとしては、通常知られているデンプンが挙げられるが、具体的には、デンプン(サツマイモデンプン、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、トウモロコシデンプン及び米デンプン等の生デンプン)、酸化デンプン、ジアルデヒドデンプン、アルキルエーテル化デンプン、アリールエーテル化デンプン、オキシアルキル化デンプン並びにアミノエチルエーテル化デンプン等が挙げられる。
セルロースとしては、木材、葉、茎、ジン皮及び種子毛等から得られるセルロース、アルキルエーテル化セルロース、有機酸エステル化セルロース、酸化セルロース並びにヒドロキシアルキルエーテル化セルロース等が挙げられる。
【0014】
本発明において、構成単位(a)の重合体(A)中の含有量は、重合体(A)の重量に基づいて20〜100重量%であり、吸液性樹脂の吸液力及び成形性の観点から、好ましくは40〜95重量%、さらに好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは60〜90重量%である。
構成単位(a)が、20重量%未満では吸液性樹脂の吸液量が悪くなる。
【0015】
本発明において、重合体(A)は、構成単位(a)以外の構成単位(b)を含有してもよい。構成単位(b)は、アミノ基、ヒドロキシル基、不飽和基、アミド基、ニトリル基、ハロゲン基、アルキル基、カルボン酸及びスルホン酸アルキルエステル基、エーテル基、並びにフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含む構成単位が含まれる。構成単位(b)は(b)を形成し得るモノマーを構成単位(a)を形成し得るモノマーと共重合等する方法の他に、構成単位(b)を形成し得る化合物(c)を構成単位(a)に付加又は縮合反応等させる方法でも(A)に導入できる。
【0016】
構成単位(b)を形成し得るモノマーとしては、下記(b−1)〜(b−12)等が挙げられる。
【0017】
(b−1)アミノ基含有モノマー;
ジアルキル(アルキルの炭素数:1〜5)アミノエチル(メタ)アクリレート[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート]及びメタ(アクリロイル)オキシエチルトリアルキル(アルキル炭素数:1〜5)アンモニウムクロリド、ブロマイド又はサルフェート等;
【0018】
(b−2)ヒドロキシル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル[(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル]、(メタ)アクリル酸モノ(ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記する))エステル(PEGの数平均分子量:100〜4000)及び(メタ)アクリル酸モノ(ポリプロピレングリコール(以下、PPGと略記する))エステル(PPGの数平均分子量:100〜4000)等;
【0019】
(b−3)共役ジエン化合物;
1,3−ブタジエン、イソプレン、2−フェニル−1,3−ブタジエン及びクロロプレン等;
【0020】
(b−4)アミド基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−(ジ)メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロールマレアミド及びN−メチロールイタコンアミド等;
【0021】
(b−5)チオール基含有モノマー;
(メタ)アリルメルカプタン、チオール基を有する(メタ)アクリル酸エステル[ヒドロキシエチルアクリレートのエチレンスフィド1モル付加物、トリエチレングリコールジメルカプタンとアクリル酸とのエステル化物及びアクリル酸へのエチレンスルフィド2モル付加物等]等;
なお、本発明において、(メタ)アリルの記載は、アリル及び/又はメタアリルの意味であり、以下同様である。
【0022】
(b−6)ニトリル基含有モノマー;
アクリロニトリル及びメタアクリロニトリル等
【0023】
(b−7)ハロゲン基含有モノマー;
塩化ビニル、塩化ビニリデン及びハロゲン置換プロピレンモノマー等;
(b−8)炭素数4〜20のα−オレフィン
イソブチレン、1−ヘキセン及び1−ドデセン等;
【0024】
(b−9)(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜30)エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等]、(メタ)アクリル酸モノメトキシPEG(PEGの数平均分子量:100〜4000)及び(メタ)アクリル酸モノメトキシPPG(PPGの数平均分子量:100〜4000)等;
【0025】
(b−10)アリルエーテル;
メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル及びペンタエリスリトールモノアリルエーテル等
【0026】
(b−11)炭素数8〜20の芳香族ビニル化合物;
スチレン等;
【0027】
(b−12)その他のビニル化合物;
N−ビニルアセトアミド、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニル等;
【0028】
これらの(b)を形成し得るモノマーとしては1種以上を含んでいてもよい。なお、ここで炭素数とは、モノマーが分子内に有する全ての炭素原子の数を意味する。
【0029】
構成単位(b)を形成し得るモノマーの中で、モノマーの重合性並びに(a)及び(b)を形成し得るモノマーから得られる重合体の安定性の観点から、(b−2)、(b−4)、(b−8)、(b−9)、(b−10)及び(b−11)が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノPEGエステル、(メタ)アクリル酸モノPPGエステル、(メタ)アクリル酸モノメトキシPEG、(メタ)アクリル酸モノメトキシPPG、(メタ)アクリルアミド、アリルエーテル、炭素数4〜20のα−オレフィン及び炭素数8〜20の芳香族ビニル化合物であり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノPEGエステル、(メタ)アクリル酸モノメトキシPEG、(メタ)アクリルアミドである。
【0030】
構成単位(b)を形成し得る化合物(c)は、カルボキシル基又はスルホ基と反応し得る官能基を含有する化合物であり、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基等を少なくとも1種含有する化合物等が挙げられる。(b)を形成し得る化合物(c)としては下記(c−1)〜(c−6)等が挙げられる。
【0031】
(c−1)アミノ基含有化合物;
アンモニア、第1級アミン、第2級アミン等が含まれる。
第1級アミンとしては、第1級脂肪族(炭素数1〜30)アミン、第1級脂環式(炭素数3〜30)アミン、第1級芳香族(炭素数6〜30)アミン等が含まれる。
第1級脂肪族(炭素数1〜30)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン及び3−エトキシプロピルアミン等が挙げられる。
第1級脂環式(炭素数3〜30)アミンとしては、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
第1級芳香族(炭素数6〜30)アミンとしては、ベンジルアミン、アニリン等が挙げられる。
第2級アミンとしては、第2級脂肪族(炭素数2〜30)アミン、第2級脂環式(炭素数4〜30)アミン、第2級複素環式(炭素数4〜30)アミン、第2級芳香族(炭素数7〜30)アミン等が含まれる。
第2級脂肪族(炭素数2〜30)アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン及びジ(3−メトキシプロピル)アミン等が挙げられる。
第2級脂環式(炭素数4〜30)アミンとしては、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
第2級複素環式(炭素数4〜30)アミンとしては、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリン等が挙げられる。
第2級芳香族(炭素数7〜30)アミンとしては、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0032】
(c−2)ヒドロキシル基含有化合物;
脂肪族(炭素数1〜30)アルコール[1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−オクタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール及び1−オクタデカノール等]、脂環式(炭素数3〜30)アルコール[シクロペンタノール及びシクロヘキサノール等]、芳香族(炭素数6〜30)アルコール[フェノール、m−クレゾール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクチルフェノール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、メチルフェニルカルビノール、シンナミルアルコール及びフタリルアルコール等]等;
【0033】
(c−3)エポキシ基含有化合物;
グリシジルエーテル、グリシジルエステル及びα−オレフィンオキサイド(α−オレフィンの炭素数2〜30)等が含まれる。
グリシジルエーテルとしては、フェニルグリシジルエーテル、アルキル(アルキル基の炭素数1〜30)フェニルグリシジルエーテル、アルキル(アルキル基の炭素数1〜30)グリシジルエーテル及びアルキル(アルキル基の炭素数1〜30)フェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル等が含まれる。
アルキル(アルキル基の炭素数1〜30)フェニルグリシジルエーテルとしては、クレジルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル及びノニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アルキル(アルキル基の炭素数1〜30)グリシジルエーテルとしては、ブチルグリシジルエーテル及び2ーエチルヘキシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アルキル(アルキル基の炭素数1〜30)フェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノ(p−t−ブチル)フェニルエーテルのグリシジルエーテル及びエチレングリコールモノノニルフェニルエーテルのグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリシジルエステルとしては、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステル(脂肪酸の炭素数2〜30、アルキルの炭素数1〜30)及びα−オレフィンオキサイド(α−オレフィンの炭素数2〜30)等が挙げられる。
モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルとしては、ラウリン酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル及びリノール酸グリシジルエステル等が挙げられる。
α−オレフィンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0034】
(c−4)イソシアネート基含有化合物;
芳香族(炭素数6〜30)イソシアネート、脂肪族(炭素数1〜30)イソシアネート及び脂環式(炭素数3〜30)イソシアネート等が含まれる。
芳香族(炭素数6〜30)イソシアネートとしては、イソシアン酸フェニル、イソシアン酸−m−クロロフェニル、イソシアン酸−4−クロロフェニル、イソシアン酸−p−シアノフェニル、イソシアン酸−3,4−ジクロロフェニル、イソシアン酸−p−トルエンスルホニル、イソシアン酸−o−ニトロフェニル、イソシアン酸−m−ニトロフェニル、イソシアン酸−p−ニトロフェニル、イソシアン酸フェニル、イソシアン酸−p−ブロモフェニル、イソシアン酸−o−メトキシフェニル、イソシアン酸−m−メトキシフェニル及びイソシアン酸−p−メトキシフェニル等が挙げられる。
脂肪族(炭素数1〜30)イソシアネートとしては、イソシアン酸エチル、イソシアン酸オクチル、イソシアン酸−2−クロロエチル、イソシアン酸−n−ドデシル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸−n−ヘキシル及びイソシアン酸ラウリル等が挙げられる。
脂環式(炭素数3〜30)イソシアネートとしては、イソシアン酸シクロヘキシル、イソシアン酸2−メチルシクロヘキシル、イソシアン酸3−メチルシクロヘキシル及びイソシアン酸4−メチルシクロヘキシル等が挙げられる。
【0035】
(c−5)カルボジイミド基含有化合物;
芳香族(炭素数6〜30)カルボジイミド[ジフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、ジ−o−トリルカルボジイミド、ジ−p−トリルカルボジイミド、ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド及びジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド等]、脂肪族(炭素数1〜30)カルボジイミド[ジオクチルデシルカルボジイミド等]、脂環式(炭素数3〜30)カルボジイミド[ジ−シクロヘキシルカルボジイミド等]等;
【0036】
(c−6)オキサゾリン基含有化合物;
2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、(S)−(−)−4−ベンジル−2−メチル−2−オキサゾリン、メチル(4S,5S)−ジヒドロ−5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾールカーボネート、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン及び4,4−ジメチル−2−フェニル−2−オキサゾリン等;
【0037】
これらの中で、反応性及び安全性の観点から、ヒドロキシル基、アミノ基及びメチロール基のうちいずれか1種の官能基を少なくとも1個含有する化合物が好ましい。
【0038】
本発明において、構成単位(b)の重合体(A)中の含有量は、重合体(A)の重量に基づいて0〜80重量%が好ましく、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、さらに好ましくは0〜60重量%、次にさらに好ましくは0〜40重量%、特に好ましくは0〜20重量%である。
【0039】
また、アルコール保持発泡体は、種々の液体が吸収の対象となるため、アルコール保持発泡体の吸液量を向上させる観点から、それら吸収の対象となる液体のSP値(溶解度パラメーター)と構成単位(b)を形成し得るモノマーのSP値との差の絶対値が5以下の構成単位(b)を形成し得るモノマーを選択することが好ましく、さらに好ましくは対象とする液体のSP値と構成単位(b)を形成し得るモノマーのSP値との差の絶対値が3以下である。
なお、SP値とは、下記に示した様に凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で表されるものである。
[SP値]=(△E/V)1/2
ここで△Eは凝集エネルギー密度を表す。Vは分子容を表し、その値は、ロバート エフ.フェドールス(Robert F.Fedors)らの計算によるもので、例えばポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁に記載されている。
【0040】
構成単位(a)を形成し得るモノマー、及び必要により構成単位(b)を形成し得るモノマーを重合する際の重合方法は公知の方法で良く、例えば、前記の各モノマー及び生成する重合体が溶解する溶媒中での溶液重合法、溶媒を使用せずに重合する塊状重合法、乳化重合法等が挙げられる。モノマーの重合性の観点から、好ましくは溶液重合法である。
【0041】
溶液重合で使用する溶媒は、使用するモノマーや重合体の溶解性により適宜選択できるが、メタノール及びエタノール等のアルコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びジメチルカーボネート等のカーボネート、γ−ブチロラクトン等のラクトン、ε−カプロラクタム等のラクタム、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン、酢酸エチル等のカルボン酸エステル、テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素並びに水等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を混合して使用しても良い。溶液重合における重合濃度は、目的の用途によって適宜選定すればよいが、モノマーの重合性の観点から、1〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜60重量%である。
【0042】
上記重合で使用する重合開始剤は公知のもので良く、アゾ開始剤[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド及びアゾビス{2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル}プロロピオンアミド)等]、過酸化物開始剤[過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート及び過酸化水素等]及びレドックス開始剤[上記過酸化物開始剤と還元剤(アスコルビン酸や過硫酸塩等)との組み合わせ等]等が挙げられる。
【0043】
重合開始剤を使用する場合の開始剤の使用量は、モノマーの重合性及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、使用するモノマーの総重量に対して、0.0001〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜2重量%である。重合温度は、目的とする分子量、開始剤の分解温度及び使用する溶媒の沸点等により適宜選択すればよいが、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、−20〜200℃が好ましく、さらに好ましくは0〜100℃である。
【0044】
他の重合方法としては、光増感開始剤[ベンゾフェノン等]を添加し紫外線を照射する方法及びγ線や電子線等の放射線を照射し重合する方法等が挙げられる。
【0045】
重合体(A)は、オニウムカチオン置換率が30〜100モル%であることが必須である。なお、オニウムカチオン置換率は以下の式で示される。
オニウムカチオン置換率(モル%)=[(A)中のオニウムカチオンのモル数]÷[(A)中のカルボキシル基、スルホ基並びにこれらの官能基のプロトンがオニウムカチオン及び/又はアルカリ金属カチオンで置換された官能基の合計のモル数]×100
オニウムカチオン置換率は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、好ましくは45〜100モル%、さらに好ましくは60〜100モル%、特に好ましくは75〜100モル%である。
オニウムカチオン置換率が30モル%未満では、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性又はアルコール保持発泡体の吸液力が悪くなり、吸液力が悪くなる。
【0046】
オニウムカチオンとしては、第4級アンモニウムカチオン(I)、第3級スルホニウムカチオン(II)、第4級ホスホニウムカチオン(III)及び第3級オキソニウムカチオン(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
第4級アンモニウムカチオン(I)としては、下記(I−1)〜(I−11)が挙げられる。
以下、「オニウムカチオン」を「オニウム」のようにカチオンを省略して記載することがある。
【0047】
(I−1)炭素数4〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族第4級アンモニウム;
テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ジメチルプロピルアンモニウム、エチルメチルジプロピルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ジメチルジブチルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウム等;
【0048】
(I−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族第4級アンモニウム;
トリメチルフェニルアンモニウム、ジメチルエチルフェニルアンモニウム及びトリエチルフェニルアンモニウム等;
【0049】
(I−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式第4級アンモニウム;
N,N−ジメチルピロジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−ジエチルピロジニウム、N,Nジメチルモルホリニウム、N−エチル−N−メチルモルホリニウム、N,Nジエチルモルホリニウム、N,Nジメチルピペリジニウム及びN,N−ジエチルピペリジニウム等;
【0050】
(I−4)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム;
1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム,4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシ−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム及び3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム等;
【0051】
(I−5)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリウム;
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−カルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、N,N’−ジメチルベンゾイミダゾゾリム、N,N’−ジエチルベンゾイミダゾゾリム及びN−メチル−N’−エチルベンゾイミダゾリウム等;
【0052】
(I−6)炭素数4〜30又はそれ以上のテトラヒドロピリミジニウム;
1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチルテトラヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチル−テトラヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム及び4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム等;
【0053】
(I−7)炭素数4〜30又はそれ以上のジヒドロピリミジニウム;
1,3−ジメチル−2,4−若しくは−2,6−ジヒドロピリミジニウム[これらを1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウムと表記し、以下同様の表現を用いる。]、1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−2,4,(6)−ジヒドロピミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9(10)−ウンデカンジエニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5,7(8)−ノナジエニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム及び2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム等;
【0054】
(I−8)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルイミダゾリニウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5,6,7−テトラヒドロ1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリニウム、2−ジメチル−3−シアノメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチルイミダゾリニウム及び2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム等;
【0055】
(I−9)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド−[1,2a]イミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−アセチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチルイミダゾリウム及び2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム等;
【0056】
(I−10)炭素数4〜30又はそれ以上のテトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2,3,4,6−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム及び2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム等;
【0057】
(I−11)炭素数4〜30又はそれ以上のジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,6,7,8−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−シアノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−アセチルメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム及び2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム等;
【0058】
第3級スルホニウムカチオン(II)としては、下記(II−1)〜(II−3)が挙げられる。
(II−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族第3級スルホニウム;
トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、エチルジメチルスルホニウム及びジエチルメチルスルホニウム等;
(II−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族第3級スルホニウム;
フェニルジメチルスルホニウム、フェニルエチルメチルスルホニウム及びフェニルメチルベンジルスルホニウム等;
(II−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式第3級スルホニウム;
メチルチオラニウム及びフェニルチオラニウム等;
【0059】
第4級ホスホニウムカチオン(III)としては、下記(III−1)〜(III−3)が挙げられる。
(III−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族第4級ホスホニウム;
テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、メチルトリエチルホスホニウム、メチルトリプロピルホスホニウム、メチルトリブチルホスホニウム、ジメチルジエチルホスホニウム、ジメチルジプロピルホスホニウム、ジメチルジブチルホスホニウム、トリメチルエチルホスホニウム、トリメチルプロピルホスホニウム及びトリメチルブチルホスホニウム等;
【0060】
(III−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族4級ホスホニウム;
トリフェニルメチルホスホニウム、ジフェニルジメチルホスホニウム及びトリフェニルベンジルホスホニウム等;
(III−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式4級ホスホニウム;
【0061】
第3級オキソニウムカチオン(IV)としては、下記(IV−1)〜(IV−3)が挙げられる。
(IV−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族第3級オキソニウム;
トリメチルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、エチルジメチルオキソニウム及びジエチルメチルオキソニウム等;
(IV−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族第3級オキソニウム;
フェニルジメチルオキソニウム、フェニルエチルメチルオキソニウム及びフェニルメチルベンジルオキソニウム等;
(IV−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式第3級オキソニウム;
メチルオキソラニウム及びフェニルオキソラニウム等;
【0062】
これらの中で、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、好ましいオニウムカチオンは(I)であり、更に好ましいものは(I−4)及び(I−5)であり、特に好ましいのは(I−4)である。
これらオニウムカチオンは、1種又は2種以上を併用しても良い。
【0063】
本発明において、オニウムカチオンを重合体(A)に導入する方法は、例えば置換前の重合体のカルボキシル基及び/又はスルホ基のプロトンをオニウムカチオンにより置換する方法が挙げられる。オニウムカチオンにより、プロトンを置換する方法としては、所定量オニウムカチオンに置換できる方法であればいずれの方法でも良いが、例えば、上記オニウムカチオンのモノメチル炭酸化物塩(例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウムモノメチル炭酸塩)をカルボキシル基及び/又はスルホ基を含有する重合体に添加し、必要により脱水や脱炭酸、脱メタノールを行うことで容易に置換できる。また、モノマーの段階で同様に置換しても良い。オニウムカチオンによる置換に関しては、例えば、カルボキシル基及び/又はスルホ基を含有するモノマーをオニウムカチオンで置換した後重合する方法や、カルボキシル基及び/又はスルホ基を有する重合体を作成した後、プロトンをオニウムカチオンで置換する方法を挙げることができるが、最終的な重合体のカルボン酸及び/又はスルホン酸のプロトンの所定量を置換できるのであればいずれの方法で行ってもよい。
【0064】
本発明において、吸液性樹脂(B)中の重合体(A)の使用量は、吸液性樹脂の吸液力の観点から、吸液性樹脂(B)の重量を基準として、60〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは70〜99重量%、次にさらに好ましくは80〜98重量%である。
【0065】
吸液性樹脂(B)の160℃で剪断速度100sec-1における溶融粘度は、100〜100,000Pa・sであり、成形性の観点から、好ましくは500〜50,000Pa・s、さらに好ましくは1000〜10,000、次にさらに好ましくは2000〜5,000である。溶融粘度は、160℃、剪断速度100sec-1の条件でキャピログラフによって測定できる。溶融粘度が100Pa・s未満のときには、吸液力が悪くなる。また、溶融粘度が100,000Pa・sを超えるときには、成形性が悪くなる。
【0066】
溶融粘度を100〜100,000Pa・sの範囲に調整する方法としては、下記(1)〜(3)が挙げられる。
(1)重合体(A)中の構成単位(a)の含有量を前述の範囲(20〜100重量%)内で調整する方法。
重合体(A)中の構成単位(a)の含有量を大きくすると、溶融粘度を大きくすることができる。重合体(A)中の構成単位(a)の含有量を小さくすると、溶融粘度を小さくすることができる。
(2)重合体(A)のオニウムカチオン置換率を前述の範囲(30〜100モル%)内で調整する方法。
重合体(A)のオニウムカチオン置換率を大きくすると、溶融粘度を小さくすることができる。重合体(A)のオニウムカチオン置換率を小さくすると、溶融粘度を大きくすることができる。
(3)吸液性樹脂(B)に後述する可塑剤を重合体(A)の重量を基準として3〜30重量%の範囲内で含有させる方法。
可塑剤の含有量を大きくすると、溶融粘度を小さくすることができる。可塑剤の含有量を小さくすると、溶融粘度を大きくすることができる。
【0067】
本発明の吸液性樹脂(B)のイオン交換水に対する吸液量は、10〜1,000g/gであり、吸液性樹脂の吸液力の観点から、好ましくは30〜900g/g、さらに好ましくは50〜500g/g、特に好ましくは200〜350である。吸液量が10g/g未満では、各種用途(水膨潤性ゴム、帯電防止剤、創傷被覆材、ゲル電解質フィルム、固体燃料、電池用バインダー、芳香・消臭剤の担持体、吸水性バインダー及び通信ケーブル用止水剤等)に用いた場合、吸液性樹脂の使用量が大きくなる。吸液量が1,000g/gを超えると吸液性樹脂の溶融粘度が高くなるため、成形性が悪くなる。
イオン交換水に対する吸液量は下記の方法により測定される。
[吸液量の測定法]
ナイロン製の網袋(250メッシュ、20cm×10cm)に吸液性樹脂(B)の試料X(g)(約0.1gを秤量)を入れ、これを袋ごと対象となる過剰のイオン交換水に浸す。浸漬3時間後に袋ごと空中に引き上げ、静置して30分間水切りした後、重量Y(g)を測定する。また、網袋のみを用いて同様の操作を行い、この重量Z(g)を測定する。なお、測定において対象となる液体の温度は25℃±1.0℃である。
吸液量(g/g)=(Y−Z)/X
【0068】
吸液量を調整する方法としては、下記(1)〜(3)が挙げられる。
(1)重合体(A)中の構成単位(a)の含有量を前述の範囲(20〜100重量%)内で調整する方法。
重合体(A)中の構成単位(a)の含有量を大きくすると、吸液量を大きくすることができる。重合体(A)中の構成単位(a)の含有量を小さくすると、吸液量を小さくすることができる。
(2)重合体(A)のオニウムカチオン置換率を前述の範囲(30〜100モル%)内で調整する方法。
重合体(A)のオニウムカチオン置換率を、小さくすると吸液量を大きくすることができる。重合体(A)のオニウムカチオン置換率を、大きくすると吸液量を小さくすることができる。
(3)樹脂(Z)中の後述する共役ジエン含有化合物[(1−1A)、(1−1B)及び(1−1C)]、ジエノフィル含有化合物[(1−2B)及び(1−2C)]、ニトロソ基含有化合物[(2−1A)、(2−1B)及び(2−2C)]、フェノール性水酸基含有化合物[(3−1A)及び(3−1B)]、分子内にアズラクトン基を少なくとも2つ有する化合物(3−1C)又はビニルエーテル基含有化合物[(4−1C)及び(4−2B)](以下、架橋剤と記載することがある)の量を重合体(A)の重量を基準として、0.05〜30重量%の範囲内で調整する方法。
架橋剤の含有量を大きくすると、吸液量を小さくすることができる。架橋剤の含有量を小さくすると、吸液量を大きくすることができる。
前述の溶融粘度とこの吸液量の両方を満たすには、後述の熱可逆性共有結合により架橋してなる吸液性樹脂とすることが好ましい。
【0069】
エタノール、メタノール等の液体に対する吸液量は液体の種類を変えた以外はイオン交換水の測定法と同様の方法で測定される。
【0070】
本発明において、吸液性樹脂は重合体(A)を架橋してなる樹脂(Z)を含む吸液性樹脂(B)であり、重合体(A)を架橋する樹脂(Z)の製造方法としては下記(1)〜(2)が挙げられる。
(1)熱可逆型共有結合により架橋する方法。
(2)分子間相互作用(水素結合、疎水性相互作用及びπ−π相互作用)により架橋する方法。
【0071】
これらの中でも、吸液性樹脂の吸液力の観点から、重合体(A)を熱可逆型共有結合により架橋してなる樹脂(Z)であることが好ましい。
【0072】
熱可逆型共有結合としては、ディールスアルダー型、ニトロソ2量体型、アズラクトン−ヒドロキシアリール型及びカルボキシル−アルケニルオキシ型からなる群より選ばれる少なくとも1種の形式の結合が挙げられ、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性の観点から、ディールスアルダー型の形式の結合が好ましい。
ディールスアルダー型結合は、例えば、下記の反応式(1)で示す共役ジエンとジエノフィルによる環化反応又は共役ジエン同士の環化反応による結合である。反応式(1)において、左辺の第1項が共役ジエンを示し、第2項がジエノフィルを示している。
【0073】
【化1】

【0074】
共役ジエンとしては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シクロペンタジエン環、1,3−ブタジエン、チオフェエン−1−オキサイド環、チオフェエン−1,1−ジオキサイド環、シクロペンタ−2,4−ジエノン環、2Hピラン環、シクロヘキサ−1,3−ジエン環、2Hピラン1−オキサイド環、1,2−ジヒドロピリジン環、2Hチオピラン−1,1−ジオキサイド環、シクロヘキサ−2,4−ジエノン環及びピラン−2−オン環等が挙げられる。
【0075】
ジエノフィルとしては、ビニル基、アセチレン基、アリル基、ジアゾ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0076】
重合体(A)をディールスアルダー型結合により架橋する方法としては、下記(1−1)〜(1−4)が挙げられる。
(1−1)重合体(A)に共役ジエンを官能基として導入し、分子内に少なくとも2つのジエノフィルを有する化合物(1−1C)中のジエノフィルと重合体(A)中の共役ジエンとを反応させて架橋する方法。
(1−2)重合体(A)にジエノフィルを官能基として導入し、分子内に少なくとも2つの共役ジエンを有する化合物(1−2C)中の共役ジエンと重合体(A)中のジエノフィルとを反応させて架橋する方法。
(1−3)重合体(A)に共役ジエン及びジエノフィルを官能基として導入し、それらを反応させて架橋する方法。
(1−4)重合体(A)に共役ジエンを官能基として導入し、共役ジエン同士を反応させて架橋する方法。
【0077】
上記(1−1)、(1−3)及び(1−4)の方法において、重合体(A)に共役ジエンを官能基として導入する方法としては、下記(1−a)〜(1−b)が挙げられる。
【0078】
(1−a)分子内にビニル基を一つ有し、且つ少なくとも1つの共役ジエンを有する化合物(1−1A)と構成単位(a)を形成し得るモノマーと共重合する方法。
(1−1A)としては、共役ジエンを1つ有する化合物〔2−ビニルフラン、3−ビニルフラン、3‐(2‐フリル)アクリル酸、フルフリルビニルエーテル、2‐フルフリルオキシエチルビニルエーテル、2‐ビニル‐5‐メチルフラン、1−ビニル−1H−ピロール、1‐メチル‐2‐ビニル‐1H‐ピロール、2−ビニルチオフェン、3−ビニルチオフェン、1‐ビニル‐2,4‐シクロペンタジエン、1‐ビニル‐1,3‐シクロペンタジエン、2‐ビニル‐1,3‐シクロペンタジエン等〕及び共役ジエンを2つ有する化合物〔2‐[(E)‐2‐(2‐チエニル)ビニル]フラン、1,1′‐(メチルビニルシリレン)ビス(1,3‐シクロペンタジエン)等〕等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点から、共役ジエンを1つ有する化合物が好ましく、最も好ましくは2−ビニルフランである。
共重合する方法としては前述の構成単位(a)を形成し得るモノマーと構成単位(b)を形成し得るモノマーとを共重合する方法と同様の方法で行うことができる。
【0079】
(1−b)重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)が有する官能基と反応しうる官能基を分子内に1つ有し、且つ少なくとも1つの共役ジエンを有する化合物(1−1B)と重合体(A)とを反応させる方法。
この方法には、重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)を形成し得るモノマーに含まれる官能基と(1−1B)とを反応させた後に重合する方法も含まれる。
(1−1B)としては、共役ジエンを1つ有する化合物〔フルフリルグリシジルエーテル、フルフリルアミン、フルフリルアルコール、フルフリルイソシアネート、5‐メチルフラン‐2‐メタンアミン、2‐(フルフリルチオ)エタンアミン、2−チオフェンメタノール、2−チオフェンエタノール、2−チオフェンエチルアミン、3‐チオフェンカルボン酸等〕及び共役ジエンを2つ有する化合物〔5‐フルフリルフラン‐2‐メタノール、フロイン等〕等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点から共役ジエンを1つ有する化合物が好ましく、最も好ましくはフルフリルグリシジルエーテルである。
(1−1B)において、重合体(A)と反応しうる官能基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、グリシジル基、イソシアネート基、メチロール基及びアジリジン基等が挙げられる。
(A)に含まれるカルボキシル基又はスルホ基と反応させる場合、グリシジル基、イソシアネート基、メチロール基及びアジリジン基からなる群より選ばれる官能基を有することが好ましい。
(A)がアミノ基を有し、そのアミノ基と反応させる場合、アミノ基又はイソシアネート基を有することが好ましい。
(A)がヒドロキシル基を有し、そのヒドロキシル基と反応させる場合、エポキシ基又はイソシアネート基を有することが好ましい。
(A)がチオール基を有し、そのチオール基と反応させる場合、グリシジル基又はメチロール基を有することが好ましい。
共重合する方法としては前述の構成単位(a)を形成し得るモノマーと構成単位(b)を形成し得るモノマーとを共重合する方法と同様の方法で行うことができる。
重合体(A)と(1−1B)とを反応させる方法又は(a)若しくは(b)と(1−1B)とを反応させる方法としては、30〜150℃で加熱する方法等が挙げられる。
【0080】
上記(1−2)及び(1−3)の方法において、重合体(A)にジエノフィルを官能基として導入する方法としては、重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)が有する官能基と反応しうる官能基を分子内に1つ有し、且つ少なくとも1つのジエノフィルを有する化合物(1−2B)と重合体(A)とを反応させる方法が挙げられる。
(1−2B)としては、ジエノフィルを1つ有する化合物〔1‐(4‐アミノフェニル)‐1H‐ピロール‐2,5‐ジオン、N‐(4‐ヒドロキシフェニル)マレインイミド、4‐(2,5‐ジオキソ‐3‐ピロリン‐1‐イル)安息香酸、2,5‐ジオキソ‐3‐ピロリン‐1‐酢酸、2,5‐ジオキソ‐3‐ピロリン‐1‐ヘキサン酸、N‐(クロロメチル)マレインイミド、[4‐(2,5‐ジオキソ‐3‐ピロリン‐1‐イル)‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジノオキシ]ラジカル等〕、ジエノフィルを2つ有する化合物〔トリエタノールアミンジビニルエーテル、2‐(ジビニルアミノ)エタノール等〕及びジエノフィルを3つ有する化合物〔アミノトリビニルシラン、トリビニル(3‐ヒドロキシプロピル)シラン〕等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点からジエノフィルを1つ有する化合物が好ましく、最も好ましくは1‐(4‐アミノフェニル)‐1H‐ピロール‐2,5‐ジオンである。
(1−2B)において、重合体(A)と反応しうる官能基とは、(1−1B)で記載したものと同様の官能基が含まれ、好ましいものも同様である。
共重合する方法としては前述の構成単位(a)を形成し得るモノマーと構成単位(b)を形成し得るモノマーとを共重合する方法と同様の方法で行うことができる。
重合体(A)と(1−2B)とを反応させる方法としては、30〜150℃で加熱する方法等が挙げられる。
【0081】
上記(1−1)の方法において、(1−1C)としては、ジエノフィルを2つ有する化合物〔N,N′‐(1,3‐フェニレン)ビス(マレインイミド)、N,N′‐エチレンビス(マレインイミド)、1,6‐ビスマレイミドヘキサン、1,1′‐(4‐メチル‐1,3‐フェニレン)ビス(1H‐ピロール‐2,5‐ジオン)、4,4′‐ビスマレイミドジフェニルメタン、N,N′‐(1,4‐フェニレン)ビス(マレインイミド)、N,N′‐[スルホニルビス(4,1‐フェニレン)]ビス(マレインイミド)、N,N′‐[(1,3‐フェニレン)ビスオキシビス(3,1‐フェニレン)]ビス(マレインイミド)、1,8−ビス(マレイミド)−3,6−ジオキサオクタン、(4,7,10−トリオキサトリデカメチレン)ジマレイミド〕、ジエノフィルを3つ有する化合物〔トリス(2−マレイミドエチル)アミン、1,8−ビス(マレイミド)−4−(マレイミドメチル)オクタン等〕及びジエノフィルを4つ有する化合物〔シクロオクタ[1,2‐c:3,4‐c′:5,6‐c′′:7,8‐c′′′]テトラフラン、3,4‐[(チオフェン‐3,4‐ジイル)ビス(チオフェン‐3,4‐ジイル)]チオフェン等〕等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点からジエノフィルを2つ有する化合物が好ましく、最も好ましくは1,8−ビス(マレイミド)−3,6−ジオキサオクタンである。
【0082】
上記(1−2)の方法において、(1−2C)としては、ジエンを2つ有する化合物[フリル、フロイン、ジフルフリルエーテル、ジフルフリルスルホン、1,4‐ビス(フルフリルオキシメチル)ベンゼン、2,2′‐メチレンビスフラン、2,2′‐メチレンビス(5‐メチルフラン)、1,2‐ビス(2‐フリル)‐1,2‐エタンジオール、フルフリルスルフィド、フルフリルジスルフィド、アセトアルデヒドジフルフリルメルカプタール、1,1‐ビス(フルフリルチオ)‐2‐メチルプロパン、2,2′‐(m‐フェニレン)ジ(チオフェン)、1‐(2‐フラニルメチル)‐1H‐ピロール]、ジエンを3つ有する化合物[2,5‐ビス[(2‐フラニル)メチル]フラン、2,5‐ビス(α‐メチルフルフリル)フラン、1,3,5‐トリス(2‐チエニル)ベンゼン、1,3,5‐トリフルフリルヘキサヒドロ‐1,3,5‐トリアジン等]及びジエンを4つ有する化合物〔3,4‐[(チオフェン‐3,4‐ジイル)ビス(チオフェン‐3,4‐ジイル)]チオフェン、シクロオクタ[1,2‐c:3,4‐c′:5,6‐c′′:7,8‐c′′′]テトラフラン 等〕等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点からジエンを2つ有する化合物が好ましく、最も好ましくはジフルフリルエーテルである。
【0083】
樹脂(Z)中の共役ジエン含有化合物[(1−1A)、(1−1B)及び(1−1C)]の使用量は、重合体(A)の重量を基準として、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及び吸液性樹脂の吸液力の観点から、0.05〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20重量%、次にさらに好ましくは5.0〜12である。
樹脂(Z)中のジエノフィル含有化合物[(1−2B)及び(1−2C)]の使用量は、重合体(A)の重量を基準として、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及び吸液性樹脂の吸液力の観点から、0.05〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20重量%、次にさらに好ましくは0.4〜1.0である。
【0084】
ディールスアルダー型結合による架橋反応の温度は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性の観点から、20〜110℃が好ましく、さらに好ましくは30〜105℃、次にさらに好ましくは40〜100℃である。
【0085】
ニトロソ2量体型結合は、下記の反応式(2)で示す様に二つのニトロソ基が2量体化することで生じる結合である。
【0086】
【化2】

【0087】
重合体(A)をニトロソ2量体型結合により架橋する方法としては、下記(2−1)〜(2−2)が挙げられる。
(2−1)重合体(A)にニトロソ基を官能基として導入し、分子内に少なくとも2つのニトロソ基を有する化合物(2−1C)中のニトロソ基と重合体(A)中のニトロソ基とを反応させて架橋する方法。
(2−2)重合体(A)にニトロソ基を官能基として導入し、それらを反応させて架橋する方法。
【0088】
重合体(A)にニトロソ基を導入する方法としては、下記(2−a)〜(2−b)が挙げられる。
(2−a)分子内にビニル基を一つ有し、且つ少なくとも1つのニトロソ基を有する化合物(2−1A)と構成単位(a)を形成し得るモノマーと共重合する方法。
(2−1A)としては、1つのニトロソ基を有する化合物〔1,2,3,6‐テトラヒドロ‐1‐ニトロソピリジン、メチルビニルニトロソアミン、エチルニトロソビニルアミン、1‐ニトロソ‐3‐ピロリン等〕、2つのニトロソ基を有する化合物〔(E)‐1,2‐ジニトロソエテン、(Z)‐1,2‐ジニトロソエテン、2,3‐ジニトロソ‐2‐ブテン、1,2‐ジニトロソエテン等〕が挙げられる。これらの中でも、吸液性樹脂の吸液力の観点から、1つのニトロソ基を有する化合物が好まく、最も好ましくはメチルビニルニトロソアミンである。
共重合する方法としては前述の構成単位(a)を形成し得るモノマーと構成単位(b)を形成し得るモノマーとを共重合する方法と同様の方法で行うことができる。
【0089】
(2−b)重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)が有する官能基と反応しうる官能基を分子内に1つ有し、且つ少なくとも1つのニトロソ基を有する化合物(2−1B)と重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)が有する官能基とを反応させる方法。
この方法には、重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)を形成し得るモノマーに含まれる官能基と(2−1B)とを反応させた後に重合する方法も含まれる。
(2−1B)としては、1つのニトロソ基を有する化合物〔1‐ニトロソ‐3‐ピペリジンカルボン酸、4-[ニトロソ(ブチル)アミノ]-1-ブタノール、チオ亜硝酸等〕、2つのニトロソ基を有する化合物〔2,4‐ジニトロソ‐1‐ナフタレノール、2,3‐ジニトロソ‐2‐ブテン〕等が挙げられる。これらの中でも、吸液性樹脂の吸液力の観点から、1つのニトロソ基を有する化合物が好まく、最も好ましくはチオ亜硝酸である。
(2−1B)において重合体(A)と反応しうる官能基としては、(1−1B)で記載したものと同様の官能基が含まれ、好ましいものも同様である。
共重合する方法としては前述の構成単位(a)を形成し得るモノマーと構成単位(b)を形成し得るモノマーとを共重合する方法と同様の方法で行うことができる。
重合体(A)と(2−1B)とを反応させる方法としては、30〜150℃で加熱する方法等が挙げられる。
【0090】
(2−1C)としては、ニトロソ基を2つ有する化合物〔1,4‐ジニトロソベンゼン、2,6‐ジメチル‐1,4‐ジニトロソピペラジン、1,4‐ジニトロソ‐2,5‐ジメチルピペラジン、1,4‐ジニトロソ‐2‐メチルピペラジン等〕、ニトロソ基を3つ有する化合物〔1,3,5‐トリニトロソヘキサヒドロ‐1,3,5‐トリアジン、1,3,5‐トリニトロソベンゼン等〕及びニトロソ基を4つ有する化合物〔1,3,5,7‐テトラニトロソオクタヒドロ‐1,3,5,7‐テトラゾシン、N,N’,N’’,N’’’−テトラニトロソ−N,N’,N’’,N’’’−テトラメチル−1,2,3,4-シクロブタンテトラアミン等〕等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点からニトロソ基を2つ有する化合物が好ましく、最も好ましくは1,4‐ジニトロソベンゼンである。
【0091】
樹脂(Z)中のニトロソ基含有化合物[(2−1A)、(2−1B)及び(2−2C)]の使用量は、重合体(A)の重量を基準として、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及び吸液性樹脂の吸液力の観点から、0.05〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20重量%である。
ニトロソ2量体型結合による架橋反応の温度は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性の観点から、20〜110℃が好ましく、さらに好ましくは30〜105℃、次にさらに好ましくは40〜100℃である。
【0092】
アズラクトン−ヒドロキシアリール型結合は、下記反応式(3)で示す様にアズラクトン基とフェノール性水酸基による結合である。重合体(A)をアズラクトン−ヒドロキシアリール型結合により架橋する方法としては、重合体(A)にフェノール性水酸基を導入し、分子内に少なくとも2つのアズラクトン基を有する化合物(3−1C)中のアズラクトン基と重合体(A)中のフェノール性水酸基とを反応させて架橋する方法が挙げられる。
【0093】
【化3】

【0094】
重合体(A)にフェノール性水酸基を導入する方法としては、下記(3−a)〜(3−b)が挙げられる。
(3−a)分子内にビニル基を一つ含有し、且つ少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物(3−1A)と構成単位(a)を形成し得るモノマーと共重合する方法。
(3−1A)としては、フェノール性水酸基を1つ有する化合物〔2‐ビニルフェノール、3‐ビニルフェノール、4‐ビニルフェノール等〕、フェノール性水酸基を2つ有する化合物〔4,4′‐ビニリデンビスフェノール等〕及びフェノール性水酸基を3つ有する化合物〔レスベラトロール等〕等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点から、フェノール性水酸基を1つ有する化合物が好ましく、最も好ましくは4‐ビニルフェノールである。
共重合する方法としては前述の構成単位(a)を形成し得るモノマーと構成単位(b)を形成し得るモノマーとを共重合する方法と同様の方法で行うことができる。
【0095】
(3−b)重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)が有する官能基と反応しうる官能基を分子内に1つ有し、且つ少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物(3−1B)と重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)が有する官能基とを反応させる方法。
この方法には、重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)を形成し得るモノマーに含まれる官能基と(3−1B)とを反応させた後に重合する方法も含まれる。
(3−1B)としては、フェノール性水酸基を1つ有する化合物〔2‐アミノフェノール、3‐アミノフェノール、4‐アミノフェノール等〕、フェノール性水酸基を2つ有する化合物〔3,4-ジヒドロキシベンゼン酢酸、4−(2−アミノエチル)ベンゼン-1,2−ジオール等〕等が挙げられる。これらの中でも、吸液性樹脂の吸液力の観点から、フェノール性水酸基を1つ有する化合物が好ましく、最も好ましくは4‐アミノフェノールである。
(3−1B)において重合体(A)と反応しうる官能基としては、(1−1B)で記載したものと同様の官能基が含まれ、好ましいものも同様である。
共重合する方法としては前述の構成単位(a)を形成し得るモノマーと構成単位(b)を形成し得るモノマーとを共重合する方法と同様の方法で行うことができる。
重合体(A)と(3−1B)とを反応させる方法としては、30〜150℃で加熱する方法等が挙げられる。
【0096】
分子内にアズラクトン基を少なくとも2つ有する化合物(3−1C)としては、アズラクトン基を2つ有する化合物〔ビスアズラクトンベンゼン、ビスアズラクトンヘキサン等〕、アズラクトン基を3つ以上有する化合物[ポリ(2−ビニル−4,4’−ジメチルアザラクトン)等]等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点からアズラクトン基を2つ有する化合物が好ましく、最も好ましくはビスアズラクトンベンゼンである。
【0097】
樹脂(Z)中の(3−1C)の使用量は、重合体(A)の重量を基準として、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及び吸液性樹脂の吸液力の観点から、0.05〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20重量%である。
樹脂(Z)中のフェノール性水酸基含有化合物[(3−1A)及び(3−1B)]の使用量は、重合体(A)の重量を基準として、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及び吸液性樹脂の吸液力の観点から、0.05〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20重量%である。
アズラクトン−ヒドロキシアリール型結合による架橋反応の温度は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性の観点から、20〜110℃が好ましく、さらに好ましくは30〜105℃、次にさらに好ましくは40〜100℃である。
【0098】
カルボキシル−アルケニルオキシ型結合は、下記反応式(4)で示す様にカルボキシル基とビニルエーテル基とがヘミアセタールエステルを形成することで生じる結合である。
【0099】
【化4】

【0100】
重合体(A)をカルボキシル−アルケニルオキシ型結合により架橋する方法としては、下記(1)〜(2)が挙げられる。
(4−1)重合体(A)のカルボキシル基と分子内に少なくとも2つのビニルエーテル基を有する化合物(4−1C)中のビニルエーテル基とを反応させて架橋する方法。
(4−2)重合体(A)にビニルエーテル基を官能基として導入し、重合体(A)中のカルボキシル基とビニルエーテル基とを反応させて架橋する方法。
【0101】
(4−1C)としては、ビニルエーテル基を2つ有する化合物[ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ビス[4−(ビニロキシ)ブチル]アジペート、ビス[4−(ビニロキシ)ブチル]サクシネート、エチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル及び2,2−ビス〔p−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕プロパン等]、ビニルエーテル基を3つ有する化合物〔トリス[4−(ビニロキシ)ブチル]トリメリテート、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等〕等が挙げられる。これらの中でも吸液性樹脂の吸液力の観点から、ビニルエーテル基を2つ有する化合物が好ましく、最も好ましくはジビニルエーテルである。
【0102】
重合体(A)にビニルエーテル基を導入する方法としては、下記(4−a)が挙げられる。
【0103】
(4−a)重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)が有する官能基と反応しうる官能基を分子内に1つ有し、且つ少なくとも1つのビニルエーテル基を有する化合物(4−2B)と重合体(A)の構成単位(a)又は必要により含有する構成単位(b)が有する官能基とを反応させる方法。
(4−2B)としては、ビニルエーテル基を1つ有する化合物〔グリシジルビニルエーテル、2‐(ビニルオキシ)エタノール及び4‐(ビニルオキシ)‐1‐ブタノール等〕、ビニルエーテル基を2つ有する化合物〔トリエタノールアミンジビニルエーテル等〕等が挙げられる。これらの中でも、吸液性樹脂の吸液力の観点から、ビニルエーテル基を1つ有する化合物が好まく、最も好ましくはグリシジルビニルエーテルである。
(4−2B)において重合体(A)と反応しうる官能基としては、(1−1B)で記載したものと同様の官能基が含まれ、好ましいものも同様である。
共重合する方法としては前述の構成単位(a)を形成し得るモノマーと構成単位(b)を形成し得るモノマーとを共重合する方法と同様の方法で行うことができる。
重合体(A)と(4−2B)とを反応させる方法としては、30〜150℃で加熱する方法等が挙げられる。
【0104】
樹脂(Z)中のビニルエーテル基含有化合物[(4−2B)及び(4−1C)]の使用量は、重合体(A)の重量を基準として、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及び吸液性樹脂の吸液力の観点から、0.05〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20重量%である。
カルボキシル−アルケニルオキシ型結合による架橋反応の温度は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性の観点から、20〜110℃が好ましく、さらに好ましくは30〜105℃、次にさらに好ましくは40〜100℃である。
【0105】
本発明において、吸液性樹脂(B)は、樹脂(Z)の他に可塑剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤及び発泡助剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含んでも良い。
【0106】
可塑剤としては、PEG(数平均分子量;106〜20,000)、PPG(数平均分子量;134〜20,000)、オキシエチレン−オキシプロピレン・ブロック共重合体等が使用できる。また、国際公開第98/10020号パンフレット及び特開2007−169444号公報等に記載されている公知の可塑剤等も使用できる。公知の可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、フタル酸ブチルベンジルエステル等のフタル酸混基エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族2塩基酸エステル、ジエチレングリコールジベンゾエート等のグリコールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ可塑剤、並びにトリメリット酸トリオクチル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィン、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレンセバケート、トリアセチン、トリブチリン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビフェニル、部分水添ターフェニル及びショウノウ等が挙げられる。
これらの中で、成形性とアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、オキシエチレン−オキシプロピレン・ブロック共重合体が好ましい。
【0107】
吸液性樹脂(B)中の可塑剤の含有量は用途によって異なるが、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、重合体(A)の使用した重量を基準として、3〜30重量%が好ましい。
【0108】
熱安定剤としては、ヒンダードフェノール、リン含有化合物及びラクトン等の公知の熱安定剤等が使用できる。
ヒンダードフェノールとしては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン及びN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等が挙げられる。
リン含有化合物としては、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト及びビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジファスファイト等が挙げられる。
ラクトンとしては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン-2−オンとキシレンの反応性生物等が挙げられる。
これらの中でも成形性の観点から、ヒンダードフェノールが好ましい。吸液性樹脂(B)中の熱安定剤の含有量は、アルコール保持発泡体の吸液力の観点から、重合体(A)の使用した重量を基準として、0.5〜10重量%が好ましい。
【0109】
滑剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪族アルコール及びパラフィン等の公知の滑剤が使用できる。
脂肪酸アミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド及びp−フェニレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸メチル、ステアリン酸オクチル、牛脂硬化油及びヒマシ硬化油等が挙げられる。
脂肪酸としては、ステアリン酸及びリノレン酸等が挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、ステアリルアルコール及びラウリルアルコール等が挙げられる。
パラフィンとしては、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックス等が挙げられる。
これらの中でも成形性の観点から、脂肪族アルコールが好ましい。吸液性樹脂(B)中の滑剤の含有量は、重合体(A)の使用した重量を基準として、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、0.05〜5重量%が好ましい。
【0110】
ブロッキング防止剤として具体的には、ワックス、有機微粉末及び無機微粉末等が挙げられる。ワックスは、パラフィンロウ、モンタンロウ、カルナバワックス、ペヘニン酸アミド及びステアリン酸アミド等が挙げられ、有機微粉末としては、架橋化アクリル微粉末、架橋化ポリスチレン微粉末、ペンゾクアナミン―ホルムアルデヒド縮合物微粉末、塩化ビニリデン重合体微粉末及びテフロン(登録商標)微粉末等が挙げられ、また、無機微粉末としては、シリカ微粉末、炭酸カルシウム及び酸化アルミニウム等が挙げられる。
これらの中でも、成形性の観点から、無機微粉末が好ましく、さらに好ましくはシリカ微粉末等である。吸液性樹脂(B)中のブロッキング防止剤の含有量は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、重合体(A)の使用した重量を基準として、0.05〜5重量%が好ましい。
【0111】
発泡助剤としては、尿素化合物、亜鉛華及び三塩基性硫酸鉛等の無機塩、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸鉛等の金属石けん並びにサリチル酸等が挙げられる。
これらの中でも、発泡温度の調整のしやすさの観点から、尿素化合物が好ましく、さらに好ましくは尿素である。吸液性樹脂(B)中の発泡助剤の含有量は、みかけ密度及びアルコール保持発泡体の吸液力の観点から、重合体(A)の使用した重量を基準として、0.05〜3重量%が好ましい。
【0112】
吸液性樹脂(B)の製造方法としては、前述の方法により重合体(A)を架橋する方法が挙げられる。さらに必要により添加剤(可塑剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤)及び溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させる場合には、これらを混合すればよい。
添加剤及び溶媒を混合する方法としては、
(1)(A)の前駆体{モノマー又はカチオン置換する前の重合体}と混合する。
(2)(A)と混合する。
(3)(A)の架橋体と混合する。
が挙げられる。
(1)において、前駆体と混合する場合、混合後、カチオン置換を行い、架橋することで吸液性樹脂(B)が得られる。
(2)において、(A)を溶液としてから、混合してもよい。
また、(1)、(2)及び(3)において、必要により添加剤及び溶媒は溶液又は分散液として混合してもよい。
これらのうち、吸液性樹脂(B)の吸液力の観点から、(2)が好ましい。
【0113】
吸液性樹脂(B)の固形分は、成形性の観点から、80〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%、次にさらに好ましくは95〜99重量%である。固形分は下記の方法で測定される。
固形分が80重量%未満では、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性が悪くなる。
【0114】
[固形分の測定法]
試料M(g)(約5〜10g)を秤量し、真空乾燥機(例えばバキュームドライングオーブンVO−620、アドバンテック社製)に入れ、100℃、100キロパスカルの減圧下で2時間乾燥させた後、重量N(g)を測定する。以下の式により固形分を算出する。
固形分(重量%)={N/M}×100
【0115】
本発明のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物は、上記吸液性樹脂(B)及び発泡剤(C)を含んでなるものである。
【0116】
本発明において、発泡剤(C)は、化学発泡剤と物理発泡剤の2種類に分けられる。
化学発泡剤とは加熱により発泡剤が分解し、窒素、二酸化炭素及びアンモニア等の気体を発生するものである。発生する気体としては、窒素及び二酸化炭素が好ましく、さらに好ましくは窒素である。
発泡剤の分解温度は120〜200℃が好ましく、さらに好ましくは130〜190℃である。発生する気体の量は100〜300cm3/gのものが好ましく、より好ましくは120〜280cm3/gである。
また化学発泡剤は有機発泡剤と無機発泡剤に区別することができる。
物理発泡剤とは気体又は加熱により蒸発若しくは昇華し気体となるものである。
蒸発若しくは昇華させるための加熱温度は、100℃以下が好ましく、さらに好ましくは80℃以下である。
【0117】
発泡剤(C)としては、有機発泡剤(C−1)、無機発泡剤(C−2)及び物理発泡剤(C−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の発泡剤が含まれ、好ましく使用できる。
有機発泡剤(C−1)としては、アゾジカーボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド及びp−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾーン等が挙げられる。
【0118】
無機発泡剤(C−2)としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム及びクエン酸等が挙げられる。
【0119】
物理発泡剤(C−3)としては、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ネオペンタン、イソペンタン、ヘキサン、エタン、ヘプタン、エチレン、プロピレン及び石油エーテル等の炭化水素、メタノール及びエタノール等のアルコール、メチルクロライド、メチレンクロライド、ジクロロフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン及びトリクロロフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素、並びに二酸化炭素、窒素、アルゴン及び水等が挙げられる。
【0120】
これらの中で、みかけ密度の制御の観点から、有機発泡剤(C−1)が好ましく、さらに好ましくはp,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジドである。
【0121】
アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物中の発泡剤(C)の含有量は、アルコール保持発泡体を作成した場合の吸液力の観点から、重合体(A)の使用した重量を基準として、0.1〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜15重量%であり、特に好ましくは3〜8重量%である。
アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物中の発泡剤(C)の含有量は、アルコール保持発泡体を作成した場合の吸液力の観点から、吸液性樹脂(B)の重量を基準として、0.1〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜15重量%であり、特に好ましくは3〜8重量%である。
【0122】
発泡剤(C)をアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物に含有させる方法としては、
(1)吸液性樹脂(B)の製造の段階で重合体(A)と有機発泡剤(C−1)及び/又は無機発泡剤(C−2)とを混合する方法。
(2)吸液性樹脂(B)を製造後に有機発泡剤(C−1)及び/又は無機発泡剤(C−2)とを混合する方法。
(2)アルコール保持発泡体に成形する段階で、吸液性樹脂(B)に物理発泡剤(C−3)を注入混合する方法。
が挙げられる。
【0123】
本発明のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物は、熱可塑化が可能であり、溶融混練等の操作により、他の樹脂と容易に混合することができるため、従来の粉末状の吸液性樹脂と比較して他樹脂との混合が均一に行える。
【0124】
アルコール保持発泡体の製造方法は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性の観点から、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を溶融成形した後に架橋することが好ましい。
アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を溶融成形する方法としては押出成形、射出成形及び熱成形等があげられる。これらの中で、成形性の観点から、押出成形が好ましい。
押出成形とは、一般的に公知の押出機等の装置を使用して成形する方法であり、製造方法は特に制限はないが、押出成形機、ダイ、サイジングダイ、冷却槽、引き取り機及び巻取り機又は切断機からなる一連の装置を用いた成形方法である。この他にも押出成形で一般的に使用されるロール転写装置等を付与することができる。
【0125】
アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を溶融成形する温度は、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物の成形性及び熱安定性の観点から120〜200℃が好ましく、さらに好ましくは125〜190℃であり、特に好ましくは130〜180℃である。
本発明のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物は、上記の温度で加熱することにより、吸液性樹脂(B)中の重合体(A)の架橋が切れるため、溶融粘度が低くなり、溶融成形を容易に行うことができる。
【0126】
本発明のアルコール保持発泡体の発泡方法については、熱可塑性樹脂における慣用の方法が用いられる。例えば、下記(1)〜(3)の方法等が用いられる。
(1)発泡剤を含有したアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を発泡させる方法
(2)上記(1)と同様に発泡剤を含有したアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を成形し、成形後に発泡させる方法
(3)発泡剤を除く吸液性樹脂を成形し、成形の段階で、物理発泡剤(C−3)を注入して発泡させる方法
【0127】
上記の製造方法で得られたアルコール保持発泡体の見掛け密度は、アルコール蒸気供給の持続性の観点から、0.2〜0.6g/cm3が好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.5g/cm3である。見掛け密度はJIS K7222:2005に準拠して測定される。
【0128】
上記(1)の方法により発泡する場合、アルコール保持発泡体樹脂組成物の成形性の観点から、アルコール保持発泡体樹脂組成物は架橋を起こしにくい温度で発泡することが好ましい。発泡時の温度としてはアルコール保持発泡体樹脂組成物の成形性の観点から、120〜160℃が好ましく、さらに好ましくは125〜155℃、次にさらに好ましくは130〜150℃である。
【0129】
上記(2)の方法により発泡する場合はアルコール保持発泡体樹脂組成物の熱安定性の観点から、150〜200℃が好ましく、さらに好ましくは160〜190℃、次にさらに好ましくは170〜180℃である。
【0130】
上記(3)の方法により発泡する場合は吸液性樹脂の溶融粘度の観点から、140〜190℃が好ましく、さらに好ましくは150〜180℃、次にさらに好ましくは160〜170℃である。
【0131】
発泡する温度は架橋反応の温度より高いので、発泡体を成形した後は、架橋結合の生成する温度すなわち架橋反応の温度で熟成することが好ましい。架橋反応の温度は、各種架橋結合により異なるが、20〜110℃が好ましく、さらに好ましくは30〜105℃、次にさらに好ましくは40〜100℃である。
【0132】
以上をまとめると、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を上記の方法により成形・発泡した後に、吸液性樹脂の架橋温度で加熱処理を行ってアルコール保持発泡体を得ることが好ましい。
【0133】
本発明で得られるアルコール保持発泡体の、水、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の液体に対する吸液量は、アルコール保持発泡体の吸液力の観点から、10〜1,000g/gが好ましく、さらに好ましくは30〜900g/g、次にさらに好ましくは50〜500g/gである。各種液体に対する吸液量は下記の方法により測定される。アルコールの吸液力の観点から、エタノール及び/又はメタノールに対する吸液量が、この範囲であることが好ましい。
【0134】
[吸液量の測定法]
ナイロン製の網袋(250メッシュ、20cm×10cm)にアルコール保持発泡体の試料X(g)(約0.1gを秤量)を入れ、これを袋ごと対象となる過剰(2L)の液体に浸す。浸漬3時間後に袋ごと空中に引き上げ、静置して30分間液体切りした後、重量Y(g)を測定する。また、網袋のみを用いて同様の操作を行い、この重量Z(g)を測定する。なお、測定において対象となる液体の温度は25℃±1.0℃である。
吸液量(g/g)=(Y−Z)/X
【0135】
また、本発明で得られるアルコール保持発泡体の、水、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の液体に対する保液量は、離液の観点から、5〜500g/gが好ましく、さらに好ましくは10〜400g/g、次にさらに好ましくは20〜300g/gである。各種液体に対する保液量は下記の方法により測定される。
【0136】
[保液量の測定法]
前述の吸液量を測定したアルコール保持発泡体を入れたナイロン製の網袋を遠心脱水装置(コクサン社製、遠心直径15cm)に入れ、1500rpmの回転速度で5分間遠心脱水した後、重量M(g)を測定する。また、網袋のみを用いて同様の操作を行い、この重量N(g)を測定する。
保液量(g/g)=(M−N)/X
【0137】
また 本発明で得られるアルコール保持発泡体の、水、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の液体に対する吸液速度は、アルコール蒸気供給材及びアルコール保持体の生産性の観点から、5〜500g/g/minが好ましく、さらに好ましくは10〜450g/g/min、次にさらに好ましくは20〜400g/g/minである。各種液体に対する吸液速度は下記の方法により測定される。アルコールの吸液速度の観点から、エタノール及びび/又はメタノールに対する吸液速度が、この範囲であることが好ましい。
【0138】
[吸液速度の測定法]
ナイロン製の網袋(250メッシュ、20cm×10cm)にアルコール保持発泡体の試料X(g)(約0.1gを秤量)を入れ、これを袋ごと対象となる過剰(2L)の液体に浸す。1分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して30分間液体切りした後、重量O(g)を測定する。また、網袋のみを用いて同様の操作を行い、この重量P(g)を測定する。なお、測定において対象となる液体の温度は25℃±1.0℃である。
吸液量(g/g/min)=(O−P)/X
【0139】
本発明のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を、成形後に発泡して架橋する方法、成形後に架橋して発泡する方法又は発泡した樹脂組成物を成形して架橋する方法等により加工することで、任意形状のアルコール保持発泡体を容易に得ることができる。また、アルコール保持発泡体製造用樹脂組成物は熱可塑化が可能であるため、他の熱可塑性樹脂と溶融混練によって容易に混合することができる。
【0140】
また、本発明のアルコール保持発泡体には、触感を改良するために、必要に応じてポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、ポリアクリル酸塩の架橋体、デンプンアクリル酸塩グラフト体等の本発明の架橋体ではない吸水性高分子、プルラン、カラギーナン等の天然系増粘剤を添加しても良い。この添加量は本発明のアルコール保持発泡体に対してアルコールの殺菌、消毒及び供給の効力を低下させない量であれば特に限定はないが、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
【0141】
本発明のアルコール保持発泡体は、任意の量のアルコール系溶媒を吸液させることにより、アルコール蒸気供給材とすることができる。
ここで、アルコール系溶媒とは、水と任意の割合で混合可能な水溶性アルコール単独又はこれと水との混合液のことである。水溶性アルコールとは、1気圧、液体の温度が25℃±1.0℃の条件下で、100mlの水に対して100ml以上溶解するアルコールであり、炭素数1〜6で、水酸基の価数が1〜5の脂肪族アルコールが好ましく挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。アルコール系溶媒の揮発性の観点から、さらに好ましくはメタノール、エタノール及びi−プロパノールである。
水を混合する場合には、水溶性アルコールと水との重量比(水溶性アルコール/水)は、0.1〜99/99.9〜1が好ましく、さらに好ましくは1〜90/99〜10である。
アルコール保持発泡体に吸液させるアルコール系溶媒の量に関しては、使用する目的や用途により適宜選択でき、特に限定はないが、アルコール蒸気供給材の保形性の観点から、アルコール保持発泡体の吸液量の60重量%以下が好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
ここで、アルコール蒸気供給材の保形性とは、アルコール蒸気供給材が自重によって型くずれしない程度の保形性を有することをいう。
本発明のアルコール保持発泡体は、水溶性アルコール又は水の吸液量が著しく大きく、また吸液速度が早いので、アルコール蒸気を多量に供給できる。
【0142】
本発明のアルコール保持発泡体にアルコール系溶媒を吸液させることで、本発明のアルコール蒸気供給材が得られるが、その吸液させる方法は公知の方法を用いることができ、例えば、前述の保液量を測定するのと同様の操作が挙げられる。
【0143】
アルコール蒸気供給材の大きさは、使用する目的や用途により適宜選択でき、特に限定はないが、発泡シート状の場合、厚みは成形性の観点から5〜6,000μmが好ましく、さらに好ましくは10〜3,000μm、特に好ましくは20〜2,000μmである。
発泡シート状のアルコール蒸気供給材の長さや巾に関しても、使用する目的や用途により適宜選択でき、特に限定はないが、好ましい長さは0.01〜10,000m、好ましい巾は0.1〜300cmである。
【0144】
本発明のアルコール保持体の一つの態様は、アルコール蒸気供給材と、不織布、織布、紙、プラスチックフィルム及び金属フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つの基材とを含むアルコール保持体である。
【0145】
本発明において使用する、不織布、織布、紙、フィルム等の基材は公知のもので良く、例えば、目付量が10〜500g程度の合成繊維及び/又は天然繊維からなる不織布又は織布、紙(上質紙、薄葉紙、和紙等)、合成樹脂、プラスチックフィルム、金属フィルム及びこれらの2つ以上の基材並びにこれらの複合体を例示することができる。
これらの基材の中で、接着性の観点から、不織布並びに不織布とプラスチックフィルム及び/又は金属フィルムとの複合体が好ましく、さらに好ましくは、不織布とプラスチックフィルム及び/又は金属フィルムとの透液性のない複合体である。
本発明のアルコール蒸気供給材において、基材の厚みは、強度及びアルコール蒸気供給材の大きさの観点から、1〜5,000μmが好ましく、さらに好ましくは10〜2,000μmである。
【0146】
本発明のアルコール保持体を製造する方法として、例えば、アルコール蒸気供給材を前記基材の中の1つ又は2つ以上からなる基材に接着させる方法等がある。
アルコール保持体を得る方法としては、アルコール蒸気供給材を基材と接着してアルコール保持体を得ても、アルコール保持発泡体を基材と接着した後、前記アルコール系溶媒を吸役させてアルコール保持体を得ても良い。
アルコール蒸気供給材又はアルコール保持発泡体を基材へ接着させる方法としては、公知の方法で良く、例えば、ホットメルト等の接着剤を使用する方法並びにヒートシールや接着剤で固着する方法等が挙げられる。
【0147】
アルコール保持体の大きさは、使用する目的や用途により適宜選択でき、特に限定はないが、シート形状の場合、その厚みは吸液量及びアルコール保持体の厚みの観点から10〜10,000μmが好ましく、さらに好ましくは50〜5,000、特に好ましくは100〜3,000μmである。
アルコール保持体の長さや巾に関しては、使用する目的や用途により適宜選択でき、特に限定はないが、好ましい長さは0.01〜10,000m、好ましい巾は0.1〜300cmである。
【0148】
本発明のアルコール保持体の別の態様は、前記アルコール蒸気供給材を、外装材に収納してなるアルコール保持体であって、外装材が前記基材からなる群より選ばれる少なくとも1つのアルコール透過性の基材を少なくとも一部に有する外装材に収納してなるアルコール保持体である。
【0149】
アルコール透過性の基材とは、アルコール系溶媒に対する蒸気透過度が1g/m2・24hr(50%RH/40℃)以上の基材である。アルコール系溶媒の揮発性の観点から、アルコール系溶媒に対する蒸気透過度は、3〜20g/m2・24hr(50%RH/40℃)であることが好ましく、さらに好ましくは5〜18g/m2・24hr(50%RH/40℃)である。また、殺菌・消毒及びアルコール供給性の観点から、エタノール及び/又はメタノールに対する蒸気透過度がこの範囲であることが好ましい。
【0150】
アルコール系溶媒に対する蒸気透過度とは、温度40℃、相対湿度50%の環境下で24時間の間にその基材1m2あたりを通過するアルコール系溶媒蒸気の量(g)で示されるもので、その値は、樹脂のフィルムの水蒸気透過量の測定に使用されるJISZ−0208に準じて測定される。前述の範囲の蒸気透過度を有する基材としては、特開2003−251178号に記載されているものが含まれる。さらに具体的には、紙、不織布、有孔プラスチックフィルム及び微多孔膜等の孔や間隙のあるシート状物、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合物(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合物(EVAL)、ポリビニルアルコール、アイオノマー、ナイロン及び三酢酸セルロース等の無孔フィルム、並びにこれらをラミネートしたもの等が挙げられ、外装材に収納されているもの(アルコール蒸気供給材等)が通過漏出しないものであればよい。必要に応じて耐水、耐油処理及び印刷等を施してもよい。
【0151】
外装材は、少なくとも一部がアルコール透過性の基材であればよい。アルコール透過性の基材以外の基材としては、外装材に収納されているもの(アルコール蒸気供給材等)が通過漏出しないようなものであればよい。アルコール透過性の基材以外の基材としては、低密度ポリエチレン、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチックフィルム及びそれらの積層体、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着フィルム等の金属フィルム及びそれらの積層体、前記プラスチックフィルムと前記金属フィルムとの積層体及びそれらと紙、不織布、織布等との積層体等が挙げられる。
【0152】
外装材は、使用する目的や用途により適宜選択できる。例えば、前述の基材を接着させた積層体状の外装材、アルコール透過性の基材で作成された袋状の外装材並びに少なくとも1部が開放されたアルコール透過性の基材以外の基材で作成された容器及びその開放された1部にアルコール透過性の基材で蓋をした容器の外装材等がある。
【0153】
本発明のアルコール保持体には、前記アルコール蒸気供給材以外の物質を共存物質として前記外装材中に共存させても良い。共存物質は、例えば、水溶性アルコール又はこれと水との混合液を吸収する樹脂、二酸化ケイ素及びバーミキュライト等のエタノール担持体、鉄粉と食塩等の酸化促進剤からなる脱酸素剤、ポリアリルアミン及び陰イオン交換樹脂等のアルデヒド吸着剤、エチレン吸着剤、エチレン発生剤並びに香料等が挙げられる。上記脱酸素剤、アルデヒド吸着剤、エチレン吸着剤、エチレン発生剤及び香料等を共存させる方法としては、殺菌・消毒効果や蒸気供給効果、それ以外の共存物の効果を妨げなければ特に限定はしないが、例えば、外装材が積層体状である場合、これらの共存物質をアルコール蒸気供給材と別個の層に収納し、アルコール蒸気供給材層と共存物質層との間にシート等を介在させて、(外装材/アルコール蒸気供給材層/介在シート/共存物質層/外装材)なる構造の積層シートとして良い。
【実施例】
【0154】
以下の実施例で本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0155】
製造例1
無水マレイン酸(49.0g)のN,N’−ジメチルホルムアミド(100ml)溶液を80℃に加熱後、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン(東京化成工業社製)(37.0g)のN,N’−ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を10分間かけて滴下し、20分間攪拌した。さらに無水酢酸102.0g、酢酸ニッケル(II)0.5g及びトリエチルアミン10.0gを加え、1時間攪拌した。撹拌後、水100mlを加え、溶媒を80℃で減圧留去し、25℃に冷却した後、残渣を2Lのクロロホルムに溶解した。その後、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、クロロホルムを減圧留去した。このクロマトグラフィーで精製した物をさらに窒素雰囲気下で加熱還流中のエタノール300mlに溶解後、0℃で12時間放置し、再結晶により1,8−ビス(マレイミド)−3,6−ジオキサオクタン(収率64.5%、融点93℃)を得た。
製造例2
特開2008−311359の製造例2に記載の方法で作成した1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−モノメチル炭酸塩45gにメタノール55gを加えて室温で5分間攪拌し、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−モノメチル炭酸塩の45重量%メタノール溶液を得た。
【0156】
吸液性樹脂の製造例1
重量平均分子量25万のポリアクリル酸35重量%水溶液(シグマ−アルドリッチ社製)77.1gに、製造例2で製造した1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−モノメチル炭酸塩(分子量:187)の45重量%メタノール溶液57.1gを添加し、カルボキシル基のプロトンの一部を1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンで置換した後、ロータリーエバポレーターを用いて80℃、減圧度100キロパスカル、3時間で副生したメタノール及び二酸化炭素を留去した。このポリマー溶液にフルフリルグリシジルエーテル(シグマ−アルドリッチ社製)の10重量%エタノール溶液30.0g及びN,N’−ジメチルホルムアミド20.0gを添加し、80℃加熱還流下で2時間混合・撹拌した。攪拌下でN,N’−ジメチルホルムアミド37.7g及び4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン(東京化成工業社製)の2重量%N,N’−ジメチルホルムアミド溶液20.0gを添加し、80℃加熱還流下で3時間混合・撹拌した後、得られた物を減圧乾燥機を用いて100キロパスカルの減圧下で110℃、3時間乾燥した。乾燥して得られた物を粉砕し、重量平均粒子径1,000μmの吸液性樹脂(1)を得た。
なお、重量平均粒子径は、測定試料の粒度分布を測定し、対数確率紙{横軸:粒径、縦軸:累積含有量(重量%)}に、累積含有量と粒子径との関係をプロットし、累積含有量が50重量%に対応する粒子径を求めることにより得られ、以下の実施例及び比較例においても同様である。粒度分布は、JIS Z8815−1994に準拠して測定され、たとえば、内径150mm、深さ45mmのふるい{目開き:2100μm、1700μm、1400μm、1180μm、1000μm、850μm、710μm、500μm、300μm、150μm及び106μm}を、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広い710μmのふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定される。
【0157】
吸液性樹脂の製造例2
実施例1において、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−モノメチル炭酸塩(分子量:187)の45重量%メタノール溶液57.1gの代わりに80.0g、N,N’−ジメチルホルムアミド37.7gの代わりに46.1gとした以外は実施例1と同様にして吸液性樹脂(2)を得た。
【0158】
吸液性樹脂の製造例3
実施例1において、N,N’−ジメチルホルムアミド37.7gの代わりに47.4g、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンの2重量%N,N’−ジメチルホルムアミド溶液20.0gの代わりに10.0gとした以外は実施例1と同様にして吸液性樹脂(3)を得た。
【0159】
吸液性樹脂の製造例4
実施例1において、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−モノメチル炭酸塩(分子量:187)の45重量%メタノール溶液57.1gの代わりに80.0g、N,N’−ジメチルホルムアミド37.7gの代わりに55.8g、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンの2重量%N,N’−ジメチルホルムアミド溶液20.0gの代わりに10.0gとした以外は実施例1と同様にして吸液性樹脂(4)を得た。
【0160】
吸液性樹脂の製造例5
実施例1において、フルフリルグリシジルエーテルの10重量%エタノール溶液30.0gの代わりに20.0g、N,N’−ジメチルホルムアミド37.7gの代わりに21.9g、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンの2重量%N,N’−ジメチルホルムアミド溶液20.0gの代わりに30.0gとした以外は実施例1と同様にして吸液性樹脂(5)を得た。
【0161】
吸液性樹脂の製造例6
実施例1において、フルフリルグリシジルエーテルの10重量%エタノール溶液30.0gの代わりに20.0g、N,N’−ジメチルホルムアミド37.7gの代わりに31.7gとした以外は実施例1と同様にして吸液性樹脂(6)を得た。
【0162】
吸液性樹脂の製造例7
重量平均分子量25万のポリアクリル酸35重量%水溶液(シグマ−アルドリッチ社製)77.1gに、製造例2で製造した1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−モノメチル炭酸塩(分子量:187)の45重量%メタノール溶液80.0gを添加し、カルボキシル基のプロトンの一部を1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンで置換した後、ロータリーエバポレーターを用いて80℃、減圧度100キロパスカル、3時間で副生したメタノール及び二酸化炭素を留去した。このポリマー溶液にフルフリルグリシジルエーテル(シグマ−アルドリッチ社製)の10重量%エタノール溶液30.0g及びN,N’−ジメチルホルムアミド20.0gを添加し、80℃加熱還流下で2時間混合・撹拌した。攪拌下でN,N’−ジメチルホルムアミド55.8g及び4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン(東京化成工業社製)の2重量%N,N’−ジメチルホルムアミド溶液20.0gを添加し、さらに数平均分子量1万のポリエチレングリコール(PEG−10000、三洋化成工業社製)の20%水溶液55.7gを加え80℃加熱還流下で3時間混合・撹拌した後、得られた物を減圧乾燥機を用いて100キロパスカルの減圧下で110℃、3時間乾燥した。乾燥して得られた物を粉砕し、重量平均粒子径1,000μmの吸液性樹脂(7)を得た。
【0163】
吸液性樹脂の製造例8
実施例1において、N,N’−ジメチルホルムアミド37.7gの代わりに40.4g、ビスマレイミドジフェニルメタンの2重量%N,N’−ジメチルホルムアミド溶液20.0gの代わりに製造例1で製造した1,8−ビス(マレイミド)−3,6−ジオキサオクタンの2重量%水溶液17.1gを使用した以外は実施例1と同様にして吸液性樹脂物(8)を得た。
【0164】
吸液性樹脂の製造例9
実施例1において、N,N’−ジメチルホルムアミド37.7gの代わりに47.4g、ビスマレイミドジフェニルメタンの2重量%N,N’−ジメチルホルムアミド溶液20.0gの代わりに製造例1で製造した1,8−ビス(マレイミド)−3,6−ジオキサオクタンの2重量%水溶液8.6gを使用した以外は実施例1と同様にして吸液性樹脂(9)を得た。
【0165】
比較用吸液性樹脂の製造例1
重量平均分子量25万のポリアクリル酸35重量%水溶液77.1gに、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−モノメチル炭酸塩(分子量:187)の45重量%メタノール溶液80.0gを添加し、カルボキシル基のプロトンの一部を1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンで置換した後、ロータリーエバポレーターを用いて80℃、減圧度100キロパスカル、3時間で副生したメタノール及び二酸化炭素を留去した。このポリマー溶液にエチレングリコールジグリシジルエーテルの10重量%水溶液1.5gを添加し、80℃加熱還流下で2時間混合・撹拌後、得られた物を減圧乾燥機を用いて100キロパスカルの減圧下で110℃、3時間乾燥した。乾燥して得られた物を粉砕し、重量平均粒子径1000μmの比較用吸液性樹脂(R1)を得た。
【0166】
比較用吸液性樹脂の製造例2
吸液性樹脂の製造例5において、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンのモノメチル炭酸塩の45重量%メタノール溶液57.1gに代えて、水酸化ナトリウム48%重量水溶液16.2gを使用した以外は吸液性樹脂の製造例5と同様にして比較用吸液性樹脂(R2)を得た。
【0167】
比較用吸液性樹脂の製造例3
吸液性樹脂の製造例1において、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンのモノメチル炭酸塩の45重量%メタノール溶液57.1gに代えて、22.8gを使用した以外は吸液性樹脂の製造例1と同様にして比較用吸液性樹脂(R3)を得た。
【0168】
比較用吸液性樹脂の4
市販の吸液性樹脂(商品名:アクアコークTWB、住友精化株式会社製)を比較用吸液性樹脂(R4)として用いた。
【0169】
吸液性樹脂(1)〜(9)及び比較用吸液性樹脂(R1)〜(R4)について、重合体(A)のオニウムカチオン置換率、吸液性樹脂の形状、溶融粘度及び固形分の測定結果を表1に示す。
【0170】
【表1】

【0171】
実施例1
吸液性樹脂(1)95重量部及びアゾジカーボンアミド(永和化成工業製、商品名:ビニホールAC#3/セルペースト101)5重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて160℃で溶融混練してペレット状のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を得た。さらにペレットを射出成型して、50mm×50mm×2mmのシート状にした後、190℃の発泡炉内で5分間発泡させた。更に発泡させたものをSAEFTY OVEN SPHH−200(タバイエスペック製)内で100℃、1時間加熱してアルコール保持発泡体(1)を得た。
【0172】
実施例2〜9
実施例1において、吸液性樹脂(1)の代わりに吸液性樹脂(2)〜(9)を使用した以外は実施例1と同様にしてアルコール保持発泡体(2)〜(9)を得た。
【0173】
実施例10
実施例1において、アゾジカーボンアミド5重量部をp、p‘−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド(永和化成工業製、商品名:ネオセルボンN#5000)3重量部に変更した以外は実施例1と同様にしてアルコール保持発泡体(10)を得た。
【0174】
実施例11
実施例1において、アゾジカーボンアミド(永和化成工業製、商品名:ビニホールAC#3/セルペースト101)5重量部をp、p‘−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド(永和化成工業製、商品名:ネオセルボンN#5000)7.5重量部に変更した以外は実施例1と同様にしてアルコール保持発泡体(11)を得た。
【0175】
比較例1
比較用吸液性樹脂(R1)95重量部及びアゾジカーボンアミド(永和化成工業製、商品名:ビニホールAC#3/セルペースト101)5重量%をヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて160℃で溶融混練したがペレット状のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を得られなかった。さらにペレットを射出成型して、シート成形を行ったが、シート状に成形できなかった。さらに得られたものを190℃の発泡炉内で5分間発泡させようとしたが、発泡できなかった。得られたものを粉砕し重量平均粒子径370μmの比較のアルコール保持非発泡体(R4)を得た。
【0176】
比較例2
比較用吸液性樹脂(R2)95重量部及びアゾジカーボンアミド(永和化成工業製、商品名:ビニホールAC#3/セルペースト101)5重量%をヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて160℃で溶融混練したがペレット状のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を得られなかった。さらにペレットを射出成型して、シート成形を行ったが、シート状に成形できなかった。さらに得られたものを190℃の発泡炉内で5分間発泡させようとしたが、発泡できなかった。得られたものを粉砕し重量平均粒子径370μmの比較のアルコール保持非発泡体(R5)を得た。
【0177】
比較例3
比較用吸液性樹脂(R3)95重量部及びアゾジカーボンアミド(永和化成工業製、商品名:ビニホールAC#3/セルペースト101)5重量%をヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて160℃で溶融混練したがペレット状のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を得られなかった。さらにペレットを射出成型して、シート成形を行ったが、シート状に成形できなかった。さらに得られたものを190℃の発泡炉内で5分間発泡させようとしたが、発泡できなかった。得られたものを粉砕し重量平均粒子径370μmの比較のアルコール保持非発泡体(R6)を得た。
【0178】
比較例4
比較用吸液性樹脂(R4)95重量部及びアゾジカーボンアミド(永和化成工業製、商品名:ビニホールAC#3/セルペースト101)5重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて160℃で溶融混練してペレット状のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を得た。さらにペレットを射出成型して、50mm×50mm×2mmのシート状にした後、190℃の発泡炉内で5分間発泡させアルコール保持発泡体(R8)を得た。
【0179】
実施例1〜11で得られたアルコール保持発泡体(1)〜(11)及びの比較例1〜4で得られた比較のアルコール保持非発泡体(R5)〜(R8)についての形状、みかけ密度、水、メタノール又はエタノールに対する吸液量及び保液量並びに吸液速度の測定結果を表2に示す。
【0180】
【表2】

【0181】
実施例12
実施例1で得られたアルコール保持発泡体(1)を27mm×27mm角(約0.00072g)に裁断し、エタノールに浸漬させた後、ナイロン製の網袋(250メッシュ、20cm×10cm)に入れ遠心脱水装置(コクサン社製、遠心直径15cm)にて、1500rpmの回転速度で5分間遠心脱水し、アルコール蒸気供給材(1)を得た。
【0182】
実施例13〜22
実施例12において、アルコール保持発泡体(1)に代えて、実施例2〜11で得られたアルコール保持発泡体(2)〜(11)を用いる以外は実施例12と同様にして、アルコール蒸気供給材(2)〜(11)を得た。
【0183】
比較例5
実施例12において、アルコール保持発泡体(1)に代えて、比較例1で得られた比較のアルコール保持非発泡体(R5)を用いる以外は実施例12と同様にして、比較のアルコール蒸気供給材(R9)を得た。
【0184】
比較例6
レーヨン不織布(100g/m2)/ポリエチレンフィルム(20μm)/薄葉紙(16g/m2)のラミネートフィルム上に、比較例1で得られた比較のアルコール保持非発泡体(R5)を7.2g/m2の割合で均一に散布し、耐油紙(45g/m2)を重ねて27mm×27mm角に裁断してヒートシールし、エタノールに浸漬させた後、ナイロン製の網袋(250メッシュ、20cm×10cm)に入れ遠心脱水装置(コクサン社製、遠心直径15cm)にて、1500rpmの回転速度で5分間遠心脱水し、比較のアルコール蒸気供給材(R10)を得た。
【0185】
比較例7〜9
比較例6において、比較のアルコール保持非発泡体(R5)に代えて、比較例2〜4で得られた比較のアルコール保持非発泡体(R6)〜(R8)をそれぞれ用いる以外は比較例5と同様にして、比較のアルコール蒸気供給材(R11)〜(R13)を得た。
【0186】
アルコール蒸気供給材(1)〜(11)及び比較のアルコール蒸気供給材(R9)〜(R13)に関して、下記の方法で蒸気放散試験及び静菌効果試験を行った。
【0187】
[蒸気放散試験]
KOPフィルム(ポリ塩化ビニリデンをコーティングしたポリプロピレン)とLLDPEフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン)とをラミネートしたフィルムからなる内寸155mm×210mmの包装袋を用意し、各包装袋内に、上記で得られたアルコール蒸気供給材(1)〜(11)及び比較のアルコール蒸気供給材(R9)〜(R13)のうち何れか1枚を収納し、ヒートシールにより密閉した。こうして得られた包装袋を25℃恒温槽中に静置した後、1、5、10、15、20日目に下記の方法で包装袋内のエタノール蒸気濃度の測定を行った。
【0188】
エタノール蒸気の測定は、ガスクロマトグラフィーを用いて行った。測定条件は以下の通りとした。
測定装置機種 ;GC−14A(FID)(島津製作所社製)
充填剤 ;PEG−20M 10%
担体 ;Chromosorb WAW DMCS
カラム ;SUS 2m×3mm
キャリアーガス;N2 1.4kg/cm2
2 1.0kg/cm2
エアー 1.0kg/cm2
試料注入部及び検出部の温度 ;150℃
カラム温度 ;80℃
【0189】
表3に蒸気放散試験結果を示す。なお、表3においてエタノール蒸気濃度はkg/m3で示した。
【0190】
【表3】

【0191】
[静菌効果評価]
水分活性調整培地として、ポテトテキストロース3.9gとショ糖75gに水100gを加え、NaOH水溶液でpHを4〜8に調整を行ったものを用いた。この培地の水分活性を水分活性測定器(フロイント産業社製;FWA−200)で測定したところ0.90であった。また、菌液は分離済みのペニシリウム ノターツム(Penicillum notatumu)1gを白金耳で滅菌済み生理食塩水50mlに溶かした後、その溶液1mlを滅菌済み生理食塩水200mlで希釈した。ついで、滅菌済みシャーレ(直径95mm、深さ20mm;栄研器材社製)に上記200mlで希釈した菌液1mlを入れ、ついでこのシャーレに上記水分活性調整培地を約50g流し込んだ。そしてシャーレ中にて菌液と培地を混合した後、2時間静置して植菌シャーレを得た。
【0192】
実施例23〜33及び比較例10〜15
KOPフィルム(ポリ塩化ビニリデンをコーティングしたポリプロピレン)とLLDPEフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン)とをラミネートしたフィルムからなる内寸155mm×210mmの包装袋を用意し、各包装袋内に、上記で得られたアルコール蒸気供給材(1)〜(11)及び比較のアルコール蒸気供給材(R9)〜(R13)のうち何れか1枚と植菌シャーレ1個を収納し、ヒートシールにより密閉した。こうして得られた包装袋を25℃恒温槽中に静置し、カビを生育した。植菌シャーレのカビの生育状態を、1、10、20、30日目に下記の基準で評価し、静菌効果を評価した。その結果を表4に示す。また、上記包装袋内に植菌シャーレのみを入れた場合の結果を比較例15(R14)とした。
− :カビの生育が全く認められない。(コロニー無し)
+ :わずかにカビの生育が認められる。(コロニーの直径が5mm未満)
++ :カビの生育が進んでいる。(コロニーの直径が5〜10mm)
+++:カビの生育がかなり進んでいる。(コロニーの直径が10mmより大きい)
【0193】
【表4】

【0194】
実施例34
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)/ポリエチレンフィルム(20μm)のラミネートフィルム(エタノール蒸気透過度5g/m2・24hr(50%RH/40℃))上に、50mm×50mm角に切断した実施例1で得られたアルコール保持発泡体(10)を重ね、さらにナイロン(20μm)/アルミニウム箔(7μm)/ポリエチレン(20μm)のラミネートフィルム(アルコール蒸気透過度0.5g/m2・24hr(50%RH/40℃))を重ねたものを60mm×60mm角に裁断して端を10mm幅でヒートシールし、60重量%エタノール水溶液に浸漬させた後、ナイロン製の網袋(250メッシュ、20cm×10cm)に入れ遠心脱水装置(コクサン社製、遠心直径15cm)にて、1500rpmの回転速度で5分間遠心脱水し、アルコール保持体(1)を得た。
上記アルコール保持体(1)を、上部中央部が開閉可能なポリプロピレン製の円筒状容器(直径12cm、高さ17cmのもの)の底に敷き、その上に簀の子(直径9cmの格子状の円盤の下に、直径3mm、長さ1.5cmの足が4本ついたポリプロピレン製のもの)を置いた。この簀の子の上に、ロール状に巻かれたウェットティッシュ用パルプ製不織布(14cm×20cm)100枚に60重量%エタノール水溶液を飽和まで吸収させたものを入れた。また、アルコール保持体を入れないものを比較例16とした。
【0195】
実施例34及び比較例16に関して、下記の方法でアルコール蒸気供給試験を行った。
[蒸気供給試験]
実施例34及び比較例16の容器の中のウェットティッシュをロール巻き芯から容器上部中央部に向けて1枚ずつ取り出せるようにし、1日1枚ずつ不織布を取り出して、蒸留により液体を分離採取し、この液体のエタノール濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。その結果を表5に示す。なお、表5においてエタノール濃度は重量%で示した。ガスクロマトグラフィーの測定条件は蒸気放散試験と同じである。
【0196】
【表5】

【0197】
実施例1〜11から、本発明のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物は、発泡体に成形できることが分かる。一方、表1において、本発明の溶融粘度を満たさない比較用吸液性樹脂(R1)及び本発明の溶融粘度とオニウムカチオン置換率を満たさない比較用吸液性樹脂(R2)及び(R3)を用いたアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物は、比較例1〜3から、発泡体に成形できなかったことが分かる。
また、オニウムカチオン置換率を満たさない比較用吸液性樹脂(R4)を用いたアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物は、発泡体に成形できたものの(比較例4のアルコール保持発泡体(R8))、表2の結果から、実施例1〜11の本発明のアルコール保持発泡体と比較して、水、メタノール及びエタノールに対する吸液量、保液量及び吸液速度が劣っており、本発明のアルコール保持発泡体が極めて優れていることが分かる。
表3の結果から、実施例12〜22に示す本発明のアルコール蒸気供給材は長期間に渉り多量のアルコール蒸気を供給することができることが分かる。特に、比較のアルコール蒸気供給材(R10)及び(R12)は、時間経過とともに蒸気放散量が低下しているのに対し、実施例12〜22のアルコール蒸気供給材は、時間が経過してもほぼ変化しないことが分かる。
表4の結果から、本発明のアルコール蒸気供給材は比較のアルコール蒸気供給材(R10)〜(R14)に比べ、長期間に渉って静菌効果があることが分かる。
表5の結果から、本発明のアルコール保持体は長期間に渉って、エタノール蒸気の供給効果があることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物は、成形した後、架橋することで、任意の形状のアルコール保持発泡体を得ることができる。得られたアルコール保持発泡体は水、メタノール、プロピレンカーボネート、γ―ブチロラクトン及びエタノール等の各種液体に対して高い吸液力、保液力及び吸液速度を示す。また吸液速度が早いため、アルコール保持発泡体にアルコールを吸液させた本発明のアルコール蒸気供給材を製造するにあたって、効率が良い。
また、本発明のアルコール蒸気供給材は、多量のアルコールを吸液及び保持しているため、長期間に渉って消毒、殺菌効果又はアルコール蒸気供給効果が持続する。したがって、アルコール殺菌剤、ウェットティッシュ用アルコール蒸気供給材、脱脂綿用アルコール蒸気供給材として好適に使用することができる。
また、本発明のアルコール保持体は、少量のアルコール保持発泡体で多量のアルコールを吸液しているため、長時間に渉って消毒、殺菌効果又はアルコール蒸気供給効果が持続する。したがって、アルコール殺菌剤、ウェットティッシュ用アルコール蒸気供給材、脱脂綿用アルコール蒸気供給材として好適に使用することができる。
また、前記外装材に収納してなるアルコール保持体は、外装材に収納されているもの(アルコール蒸気供給材等)の通過漏出による汚染の心配がなく、また蒸気通過量が適切な外装材に収納することによって、さらに長時間にわたって消毒、殺菌効果が持続する。したがって、このアルコール保持体と食品とを他のアルコール蒸気供給性の容器の中に収納することにより食品を処理するのに好ましく用いられ、中でも特にパン、菓子、加工食品、乾物、穀物などの鮮度保持などに好適に使用することができる。
また、本発明のアルコール保持体はこれまでにあった雑貨用途(例えば、携帯おしぼり等)に加えて、容器開閉時のアルコール濃度低下を高度に防止できるため、これまで用いることができなかった医療用途のウェットティッシュ用としても好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記重合体(A)を架橋してなる樹脂(Z)を含む吸液性樹脂(B)及び発泡剤(C)を含んでなるアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物であって、(B)の160℃で剪断速度100sec-1における溶融粘度が100〜100,000Pa・sであり、(B)のイオン交換水に対する吸液量が10〜1,000g/gであるアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物。
重合体(A):カルボキシル基、スルホ基並びにこれらの官能基のプロトンがオニウムカチオン及び/又はアルカリ金属カチオンで置換された官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する構成単位(a)を(A)の重量を基準として20〜100重量%含有してなり、以下の式により示される(A)のオニウムカチオン置換率が30〜100モル%である重合体。
オニウムカチオン置換率(モル%)=[(A)中のオニウムカチオンのモル数]÷[(A)中のカルボキシル基、スルホ基並びにこれらの官能基のプロトンがオニウムカチオン及び/又はアルカリ金属カチオンで置換された官能基の合計のモル数]×100
【請求項2】
樹脂(Z)が、重合体(A)を熱可逆型共有結合により架橋してなる樹脂である請求項1に記載のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物。
【請求項3】
熱可逆型共有結合が、ディールスアルダー型、ニトロソ2量体型、アズラクトン−ヒドロキシアリール型及びカルボキシル−アルケニルオキシ型からなる群より選ばれる少なくとも1種の形式の結合である請求項2に記載のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のアルコール保持発泡体製造用樹脂組成物を溶融成形した後に、架橋する工程を含むアルコール保持発泡体の製造方法。
【請求項5】
請求項4の製造方法で得られるアルコール保持発泡体。
【請求項6】
アルコール保持発泡体のみかけ密度が0.2〜0.6g/cm3である請求項5に記載のアルコール保持発泡体。
【請求項7】
エタノール及び/又はメタノールに対する吸液量が10〜1,000g/gである請求項5又は6に記載のアルコール保持発泡体。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載のアルコール保持発泡体と、水溶性アルコール又はこれと水との混合液を含有してなるアルコール蒸気供給材。
【請求項9】
請求項8に記載のアルコール蒸気供給材と、不織布、織布、紙、プラスチックフィルム及び金属フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つの基材とを含むアルコール保持体。
【請求項10】
請求項8に記載のアルコール蒸気供給材を外装材に収納してなるアルコール保持体であって、外装材が不織布、紙、織物、プラスチックフィルム及び金属フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルコール透過性の基材を少なくとも一部に有する外装材であるアルコール保持体。
【請求項11】
アルコール透過性の基材のエタノール及び/又はメタノールに対する蒸気透過度が1g/m2・24hr(50%RH・40℃)以上である請求項10に記載のアルコール保持体。

【公開番号】特開2012−67180(P2012−67180A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212674(P2010−212674)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】